本発明は、全体として、有害な副作用を生じることが知られているか若しくは疑われている薬剤、特に催奇形性薬剤を患者に供給する方法に関する。本明細書における用語「薬剤」とは、疾患の診断、治癒、軽減(緩和)、治療、または予防に使用し、または身体の構造または機能に作用させることを目的とした任意の物質をいう。用語「副作用」とは、薬剤の服用により生じた可能性がある任意の異常、欠損、突然変異、病変、変性、または傷害をいう。前記副作用は、患者またはその患者の胎児に生じる可能性が高いものをいう場合がある。前記副作用は、前記患者の体液の被提供者またはそのような被提供者の胎児に生じる可能性が高いものをいう場合がある。用語「生じる可能性が高い」とは、薬剤に起因することが知られているか若しくは疑われている副作用が、特定の個人または個人の集団において、比較的高い発生率で生じると予期されることを意味する。
一般に、本発明の方法を望ましく且つ有利に使用して、薬剤を服用する患者、その薬剤を処方する処方者、およびその薬剤を調剤する薬局を教育し、且つその行為および行動を強化することができる。本明細書における用語「処方者」とは、医師などを含め、薬剤を処方することのできる任意の個人をいう。本明細書における用語「処方者」には、臨床研究者、臨床スタッフ、および調査員も包含される。前記教育と、行為および行動の強化は、薬剤の適切な処方および調剤、および患者の服薬遵守(服薬コンプライアンス)を確実にする上で必要なことが多い。本明細書で説明する方法に従った適切な処方、調剤、および患者の服薬遵守を確実なものにするには、例えば特定の薬剤服用に伴う危険性および利点、またその危険性を回避するための措置について説明した製品情報、教育用パンフレット、生涯教育用モノグラフ、ビデオテープなど種々の文献およびその他の資料を含む多種多様な教材を使用することができる。
本明細書で説明する方法を有利に使用することにより、前記薬剤が禁忌である患者に対する有害な副作用が知られているか若しくは疑われている1若しくはそれ以上の薬剤の供給を回避することができる。本明細書における用語「禁忌」とは、患者の任意の疾患に対し、1若しくはそれ以上の薬剤の投与を含む一連の特定治療が望ましくない若しくは不適切なものになることをいう。この疾患は、既存のもの、または患者が前記薬剤を服用している間に進行したものである場合があり、前記薬剤での治療に直接的または間接的に起因する疾患を含む。このように、禁忌薬剤には、例えば、胎児に危険性が及ばないよう妊娠した患者への投与を回避することが重要な催奇形性薬剤などがある。患者が、すでに服用しているある薬剤と別の薬剤を併用すると、その患者またはその患者の胎児に有害な副作用を生じることが知られているか若しくは疑われている薬剤も、本明細書では「禁忌」と見なされる。禁忌薬剤には、例えば、投与すると結果的に血液障害や凝血などが生じる薬剤も含まれる。
本発明の方法は、特に催奇形性薬剤の患者への供給に使用する場合有益である。本方法により、胎児への薬剤送達を実質的に(または完全に)回避しつつ、患者への催奇形性薬剤の供給を有利に達成できる。用語「実質的に」は、胎児への催奇形性薬剤送達の回避に関して使用する場合、一般に、胎児への薬剤送達の回避率が約50%を超えることを意味する。本発明の特定の実施形態では前記回避率が約55%を超え、より好適な場合には回避率が約60%を超える。本発明の特定の実施形態では前記回避率が約65%を超え、さらに好適な場合には回避率が約70%を超える。本発明の特定の実施形態では前記回避率が約75%を超え、さらに好適な場合には回避率が約80%を超える。他の実施形態では前記回避率が約85%を超え、さらに好適な場合には回避率が約90%を超える。本発明の特定の実施形態では、この回避率は約95%を超える。他の実施形態において、催奇形性薬剤は、胎児にはまったく送達されずに(回避率100%)、患者に供給される。
本発明の方法を使用して、潜在的に有害な薬剤を服用している患者の健康について有害な副作用の発生を監視することにより、患者に対する治療の危険性がその有益性を上回るかどうかを判断できる。
本発明の薬剤を供給するための方法には、特に、例えば催奇形性薬剤を含む当該薬剤を処方する資格を有する処方者をコンピュータ可読記憶媒体に登録する工程が伴う場合がある。前記コンピュータ可読記憶媒体に登録された処方者は、薬剤を必要とする患者に当該薬剤を処方する資格がある。一般に、前記処方者が前記コンピュータ可読記憶媒体に登録されるには、当該処方者は、以下詳述するように例えば教育およびカウンセリングを患者に提供することなどを含め、本明細書で説明する方法の種々の態様に準拠する必要がある。コンピュータ可読記憶媒体への処方者の登録は、例えば郵送、ファックス送信、またはオンライン送信で、登録カード、またはオンラインフォーム/オフライン用紙を前記処方者に提供することにより行われ、本発明の特定の実施形態では、例えば前記処方者が処方するとして登録されている特定の薬剤や、前記薬剤を患者に供給する適切な方法(本明細書で説明する薬剤を供給するための方法を含む)に関する適切な教材も同時に前記処方者に提供される。本発明の特定の実施形態において、前記処方者は、登録カードまたは登録フォーム(用紙)に必要事項を記入(入力)し、本発明の特定の実施形態において、前記登録カードまたは登録フォームは、例えば郵送、ファックス送信、またはオンライン送信により、前記薬剤の製造業者または配布業者、あるいは他の認可された登録資料の受領者に返却される。前記登録カードまたは登録フォームにおいて前記処方者に要求される情報としては、例えばその処方者の氏名、住所、および1若しくはそれ以上の医療機関との所属・提携関係(該当する場合)などが含まれる。次に、前記登録カードまたは登録フォーム内の処方者の情報は、前記コンピュータ可読記憶媒体に入力される。前記コンピュータ可読記憶媒体への前記処方者の登録は、例えば電話で、および/または音声自動応答システムを使って行うことも考えられる。処方者(後述するように薬局および患者も)の登録に使用できる適切なコンピュータ可読記憶媒体は、本出願の教示を理解した当業者であれば自明である。
別の実施形態において、処方者に関する上述の情報は、当該薬剤の製造業者または配布業者の場所(すなわち「配布業者側」)に設けられたシステムへ送信され、前記システムのコンピュータ可読媒体に登録される。このシステムは、上述の処方者情報の入力用にウェブベースのユーザインターフェースをオンラインまたはオフラインで提供し、当該情報を電気的に受信して前記コンピュータ可読媒体に登録することができる。
本明細書で説明する方法によれば、例えば催奇形性薬剤を含む処方された特定の薬剤を調剤する資格を有する薬局も、本発明の特定の実施形態においてコンピュータ可読記憶媒体に登録される。前記薬局が登録されるコンピュータ可読記憶媒体は、前記処方者が登録されるコンピュータ可読記憶媒体と同じものでも異なるものでもよい。前記コンピュータ可読記憶媒体に登録された薬局は、薬剤を必要とする患者にその薬剤を調剤する資格を有する。一般に、前記薬局が前記コンピュータ可読記憶媒体に登録されるには、当該薬局は本明細書で説明する方法の種々の態様に準拠する必要がある。その態様は、例えば患者を登録する(本発明の特定の実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体にも登録する)工程と、患者が薬剤を供給するための方法における特定の態様に確実に準拠するようにする工程とを含み、またさらに以下詳述するように本方法の他の態様を含む。上述のコンピュータ可読記憶媒体への処方者登録と同様、コンピュータ可読記憶媒体への薬局の登録は、例えば郵送、ファックス送信、またはオンライン送信で、登録カードまたは登録フォームを薬局に提供することにより行われ、本発明の特定の実施形態では、例えば前記薬局が調剤するとして登録された特定の薬剤や、前記薬剤を患者に供給する適切な方法(本明細書で説明する薬剤を供給するための方法を含む)に関する適切な教材も同時に前記薬局に提供される。本発明の特定の実施形態において、前記薬局が必要事項を記入(入力)した登録カードまたは登録フォームは、その後、例えば郵送、ファックス送信、またはオンライン送信により、前記薬剤の製造業者または配布業者、あるいは他の認可された登録カードまたは登録フォーム受領者に返却される。前記登録カードまたは登録フォームにおいて前記薬局に要求される情報としては、例えばその薬局の名称、住所、および病院や医療団体といった医療機関との所属・提携関係(該当する場合)などが含まれる。本発明の特定の実施形態において、前記登録カードまたは登録フォーム内の薬局の情報は、次に、前記コンピュータ可読記憶媒体に入力される。前記コンピュータ可読記憶媒体への前記薬局の登録は、例えば電話で、および/または音声自動応答システムを使って行うことも考えられる。
別の実施形態において、薬局に関する上述の情報は、当該薬剤の製造業者または配布業者の場所(すなわち「配布業者側」)に設けられた前記システムへ送信され、当該システムのコンピュータ可読媒体に登録される。このシステムは、上述の薬局情報の入力用にウェブベースのユーザインターフェースをオンラインまたはオフラインで提供し、当該情報を電気的に受信して前記コンピュータ可読媒体に登録することができる。
上記のとおり、本明細書で説明する薬剤を供給するための方法には、コンピュータ可読記憶媒体への患者登録も含まれる。患者が登録されるコンピュータ可読記憶媒体は、前記処方者および/または薬局が登録されるコンピュータ可読記憶媒体と同じものでも異なるものでもよい。一般に、前記患者が前記コンピュータ可読記憶媒体に登録されるには、当該患者は、本明細書で説明する方法の種々の態様に準拠する必要がある。患者の登録は、登録済み薬局によって、例えば前記患者の初回の訪問時に行うことができる。ただし、患者登録は、薬剤が初めて処方される時点でその薬剤に関し登録済みの処方者が行った方がより効率的になり、本発明の方法もより遵守されることがこれまでにわかっている。
一形態では、通常、処方者が患者に関する登録カードまたは登録フォームを記入する。この登録カードまたは登録フォームには患者の氏名、性別、住所、生年月日などの患者情報が含まれる。前記登録について上述した情報など、前記処方者および調剤を行う薬局に関する情報も、前記患者の登録カードまたは登録フォームに入力されることが望ましい。次に記載済みのカードまたはフォームは、前記薬剤の製造業者または配布業者、あるいは他の認可された登録フォーム受領者へ、例えば郵送、ファックス送信、またはオンライン送信で転送される。郵送またはファックスで登録が行われる場合、本発明の特定の実施形態において、前記コンピュータ可読記憶媒体への登録の入力は、光学式文字認識(optical character recognition:OCR)ソフトウェアの使用を伴う。また、前記コンピュータ可読記憶媒体への前記患者の登録は、例えば電話で、および/または音声自動応答システムを使って行うことも考えられる。
一実施形態において、患者に関する上述の情報は、当該薬剤の製造業者または配布業者の場所(すなわち「配布業者側」)に設けられた前記システムへ送信され、当該システムのコンピュータ可読媒体に登録される。このシステムは、上述の患者情報の入力用にウェブベースのユーザインターフェースをオンラインまたはオフラインで提供し、当該情報を電気的に受信して前記コンピュータ可読媒体に登録することができる。
本発明の特定の実施形態では患者からも情報が収集され、その情報は、当該患者が当該薬剤を服用した場合生じることが知られているか若しくは疑われている副作用の危険性に関する証拠となる。次に、この情報は前記薬剤の所定のリスクパラメータと比較されて複数のリスクグループが定義され、当該情報の分析により少なくとも1つのリスクグループに前記患者を割り当てることが可能になる。本発明の特定の実施形態において、このリスクグループの割り当ては、その後、前記コンピュータ可読記憶媒体にも入力される。このリスクグループ割り当てについては、前記処方者が行って当該患者の登録カードまたは登録フォームに記入してもよいし、あるいは看護師、技師、または事務職員など別の個人が行うようにすることも可能であり、本発明の特定の実施形態では前記別の個人が情報を解釈し、当該患者にリスクグループの1つを適宜割り当てる。
一実施形態において、前記リスクグループの割り当ては、当該薬剤の製造業者または配布業者の場所(すなわち「配布業者側」)に設けられた前記システムにも送信され、当該システムのコンピュータ可読媒体に登録される。このシステムは、処方者が前記リスクグループの割り当てを上述の患者情報とともに入力するために、ウェブベースのユーザインターフェースをオンラインまたはオフラインで提供し、前記リスクグループの割り当てを電気的に受信して前記コンピュータ可読媒体に登録することができる。
上記のとおり、所定のリスクパラメータにそれぞれ基づく複数のリスクグループは、投与される薬剤について確立されることが好ましい。当業者であれば、考慮すべき前記リスクパラメータと、それらのパラメータにより定義される前記リスクグループとは、当該患者が当該薬剤を服用した場合有害な副作用が生じることが知られているか若しくは疑われるリスクに影響を及ぼす要因に基づいており、対象となる薬剤に応じて異なることが容易に理解されるであろう。例えば、前記薬剤が催奇形性薬剤である場合、このようなリスクパラメータには、胎児が当該薬剤に曝露するリスクに影響を及ぼす要素、例えば当該患者の年齢、性別、および生殖状態を含めることができる。例えば、第1のリスクグループは妊娠する可能性のある女性患者を有し、第2のリスクグループは妊娠する可能性のない女性患者を有し、第3のリスクグループは性的に活発な男性患者を有し、第4のリスクグループは性的に活発でない男性患者を有する。また、当該薬剤の投与が厳密に禁忌である患者用にリスクグループを確立してもよく、そのようなグループに割り当てられた患者に、当該薬剤の受け取りが承認されることはない。他の薬剤については、特定の既存疾患がある可能性、または特定の他の薬剤が処方薬剤と併用される可能性に影響を及ぼすものなど、異なる要因が、関連するリスクパラメータを定義する可能性がある。
一実施形態では、投与される薬剤に関して確立される複数の前記リスクグループおよびリスクパラメータの定義は、前記薬剤の配布業者側に設けられたシステムにおける前記コンピュータ可読媒体にも格納される。この実施形態において、前記システムは、前記リスクグループの割り当て、前記リスクパラメータ、前記患者情報、前記処方者情報に基づいて、投与すべき薬剤に関するリスクグループに患者を割り当てるための所定の工程に従って、前記リスクグループの割り当てが正しく行われたことを容易に保証できるよう構成されている。
各患者をリスクグループに割り当てることにより、前記薬剤が禁忌患者に調剤される確率を最小限に抑えるため、且つ知られている若しくは疑われる有害な副作用の起こる危険性を最小限に抑えるため実施される前記工程を、特定の患者の状況に適すようカスタマイズすることが可能になる。例えば、患者に割り当てられたリスクグループに応じて、その患者から追加情報が収集される。以下で詳述するように、そのような追加情報は、例えば患者調査の形態をとってよい。そのような追加情報には、それ以前に行われた特定の診断学的検査の結果も含めてよい。その追加情報のいかんにより、当該患者のリスクグループ割り当ては変わらない可能性もあるが、異なるリスクグループに割り当てられる可能性もあり、異なるリスクグループに割り当てられた場合はさらに当該患者から追加情報を収集しなければならないことがある。
一実施形態において、前記配布業者側に設けられた前記システムは、上述の工程に基づいて追加情報が必要であるかを判断する。このシステムは、追加情報が必要であると判断した場合、アラートを発する。その場合、当該システムは前記処方者にアラートを転送し、当該患者から追加データを収集して当該システムに入力するようにする。
本発明によれば、患者に投与されるまたは投与が提案される2つ、3つ、若しくはそれ以上の薬剤について監視が実施され、1若しくはそれ以上の副作用が生じる可能性を回避または減少させる。薬剤の組み合わせを各患者に投与する場合は副作用の生じる可能性が高まるおそれがあるため、前記薬剤の組み合わせがコンピュータ可読記憶媒体に登録され、前記危険性の増大が当該患者のリスクグループ割り当てに反映される。医師は前記薬剤のうち少なくとも1つを患者に処方するよう登録され、薬局はそのような処方に対し調剤を行うよう登録される。このように、患者を1若しくはそれ以上のリスクグループに割り当てることにより、有害な薬剤間の相互作用を回避できるようになる。
特定の実施形態では、すべての所与のリスクグループについて、患者から収集すべき所定の追加情報セットを定義することができる。この追加情報セットは、当該薬剤の初回調剤前に取得でき、および/または当該患者から定期的に取得できる。この情報としては、それ以前に患者から得られなかった情報を含めてよく、あるいは単にそれ以前の質問を繰り返しても、それ以前に実施された診断学的検査を繰り返してもよい。この情報は、患者の行為、あるいは患者がこれまでに受けた若しくは現在も受けている他の医療処置や薬剤など患者の過去または現在継続中の治療に関係するものであってよい。例えば、前記追加情報セットは、患者の行動およびリスク回避措置の遵守に関する調査またはアンケートの形態をとってよく、有害な副作用の発生の危険性が増加したか、減少したか、または同じ状態のままかの証拠となる。患者のリスクグループ割り当ては、当該患者の回答に基づき、適切な場合適宜変更される。あるいは、薬剤の組み合わせに起因することが知られているか若しくは疑われている副作用については、患者に質問することで、患者がそのような薬剤の組み合わせを服用する可能性の有無について証拠ができる。同様に、患者が薬剤を共有することが懸念事項である場合、前記調査が患者が有害な薬剤を他者と共有している危険性の証拠となり、ひいては禁忌対象者が当該薬剤を受け取る危険性が増している証拠となる。
前記追加情報には、それ以前当該患者に対し行われた特定の診断学的検査の結果を含めてもよい。そのような診断学的検査は、例えば催奇形性薬剤に胎児が曝露する危険性の証拠となり、懸念される有害な副作用の危険因子の有無の検査となり、またはその副作用の発症の証拠となる。2つ以上の薬剤を組み合わせて使用すると副作用の生じる危険性が増すことが知られているか若しくは疑われている場合は、1若しくはそれ以上の前記薬剤の有無に関する検査、または患者がそのような他の薬剤を使用している証拠を前記診断学的検査に含めることができる。また、診断学的検査は、適切な投薬が維持されていることを保証する上で、処方された薬剤を含む1若しくはそれ以上の薬剤の濃度の証拠となる。本発明の特定の実施形態では、前記追加情報は、患者体内の白血球レベルに関するデータを有してよい。これらのデータは、患者における好中球減少症の有無の証拠となる。本発明の特定の他の実施形態では、前記追加情報は、患者体内の血小板レベルに関するデータを有してよい。これらのデータは、患者における血小板減少症の有無の証拠となる。本発明の特定の実施形態では、前記診断学的検査で、DVTの危険性またはPEの危険性の証拠となるデータを取得することができる。
そのような診断学的検査は、血液、血清、血漿、唾液、精液、尿、糞便を含む、患者の任意の体液または老廃物に対して実施できる。診断学的検査は、患者の任意組織の生検であってもよく、あるいは特定の有害な副作用に対する遺伝的素因を示す遺伝子検査を含めてもよい。診断学的検査の他の形態としては、画像診断や、任意の組織、器官、または系統の適切な機能の証拠となる検査なども考えられる。本発明の特定の実施形態において、前記追加情報および/または診断学的検査の結果は、患者が当該薬剤の受け取りを承認される前に、前記コンピュータ可読記憶媒体に取得され入力される。また前記情報により、有害な副作用の発生の危険性が当該薬剤の潜在的な有益性を上回ることが示された場合、患者は、当該薬剤の調剤を承認しないリスクグループに割り当てられる。
したがって、本発明の方法によれば、患者への薬剤の供給は次の工程を伴う。薬剤が患者に処方および調剤される前に、当該処方者および当該薬局は、上記のように1若しくはそれ以上の適切なコンピュータ可読記憶媒体に登録される。そのコンピュータ可読記憶媒体に登録されていない処方者は、前記薬剤を処方する資格がない。同様に、前記コンピュータ可読記憶媒体に登録されていない薬局は、前記薬剤を調剤する資格がない。
癩性結節性紅斑(ENL)や多発性骨髄腫など1若しくはそれ以上の疾患および/または障害に悩む患者を含む患者の検査過程で、処方者は、サリドマイドおよびレナリドマイドを含め、催奇形性薬剤や催奇形性であることが疑われる薬剤などの投薬により、前記患者の疾患が改善されるかどうかを判断する。本発明の特定の実施形態では、前記薬剤を処方する前に、処方者は、例えばその薬剤に伴う種々の危険性および有益性について、患者にカウンセリング(助言)する。例えば、本発明の特定の実施形態において、処方者は、患者に対し、当該薬剤の服用に伴う有益性について説明し、それに伴う種々の副作用も説明する。本発明の実施形態で処方者が患者を特定のリスクグループに割り当てる場合、本発明の特定の実施形態は、割り当てられた特定のリスクグループについて具体化して開示している。そのため、禁忌薬剤のある疾患に罹患した患者は、本発明の特定の実施形態において、前記禁忌薬剤に伴う危険性と、危険性を回避するため取るべき措置とについて処方者からカウンセリングを受ける。本発明の特定の実施形態において、患者には、当該薬剤の服用に伴うことが知られているか若しくは疑われている危険性がすべて完全に開示される。例えば催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤の場合、本発明の特定の実施形態において、処方者は、前記催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤に対し患者の胎児または患者体液の被提供者の胎児が曝される危険性について、当該患者にカウンセリングする。そのようなカウンセリングは、口頭および書面で提供される。特定の実施形態において、処方者は、処方が考慮されている薬剤について、製品情報、教育用パンフレット、生涯教育用モノグラフなどの印刷物資料を患者に提供する。これにより、催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤を伴う方法の場合、本発明の特定の実施形態において、処方者は、上記の製品情報、教育用パンフレット、生涯教育用モノグラフなどの形態で印刷物情報を患者に提供し、(知られているかまたは疑われている)当該薬剤の胎児への影響について、患者に警告する。有害な副作用を生じることが知られているか若しくは疑われている他の薬剤の場合、患者は、当該薬剤の服用に伴う危険性およびそれらの危険性を回避する上で踏むべきステップについてカウンセリングを受ける。例えば、前記薬剤と別の薬物(例えばアルコール)との併用を避けるべき場合、前記処方者は、当該薬剤の服用中にアルコールを飲む危険性がある患者にカウンセリングを行う。
特に催奇形性薬剤および催奇形性であると疑われる薬剤に関連して提供されるカウンセリングについては、本発明の特定の実施形態において、妊娠女性がそのような薬剤を絶対使用してはならない旨を前記処方者が女性患者にカウンセリングする。患者が妊娠する可能性のある女性(すなわち妊娠可能な女性)である場合、本発明の特定の実施形態において、処方者は、わずか1回分の用量であっても、サリドマイドやレナリドマイドなど特定の催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤は、出生異常の原因になりうることを患者にカウンセリングする。これを受け、本発明の特定の実施形態において患者は、性交を全面的に回避し、または性的に活発な場合は適切な形態の避妊を行うようカウンセリングを受ける。本発明の特定の実施形態において、処方者は、男性患者にも女性患者にも、少なくとも2形態の効果的な避妊法を使うことが重要であるとカウンセリングし、そのうち1つの形態は、本発明の特定の実施形態において高度に効果的なホルモン法であり、他方の形態は、本発明の特定の実施形態において効果的なバリア法(遮断法)である。本発明の特定の実施形態において、患者は、催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤による治療前および治療中の一定期間、さらに当該薬剤での治療が終了した後の一定期間、前記避妊法を実施するようカウンセリングを受ける。特定の実施形態では、患者は、治療開始前少なくとも約4週間、治療中、および治療終了後少なくとも約4週間の間、少なくとも2形態の避妊を行うようカウンセリングを受ける。処方者は、妊娠可能な女性患者に対し、1若しくはそれ以上の避妊具または避妊薬を自ら提供することが望ましい。
本発明の特定の実施形態において、催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤を処方された男性患者は、性的関係を持つたび毎回コンドームを使用するようカウンセリングを受けるが、これは、催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤の多くが精液に含まれるおそれがあるためである。また本発明の特定の実施形態において、男性患者は、コンドームを着用せず性交を持った場合、および/または妊娠を引き起こしたと考えられる場合、当該患者の処方者に連絡するようカウンセリングを受ける。女性患者の場合と同様、処方者は、女性患者を妊娠させることが可能な男性患者に、避妊具または避妊薬を提供することが望ましい。避妊に関して処方者が患者に行える他のカウンセリングは、本出願の説明を理解した当業者にとっては明白であろう。催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤を処方する処方者が、利用可能な避妊方法の特定の態様およびその利点および欠点について知識がない場合、患者は、当該薬剤を処方される前に、そのような事柄に精通した処方者への紹介を受けるべきである。一般に、後述するように、催奇形性や避妊などに関するカウンセリングは、本発明の特定の実施形態において、妊娠可能な女性患者、または妊娠中の若しくは妊娠可能なパートナーと性的関係を持つことが可能な男性患者だけに提供される。これにより、例えば出産適齢期を過ぎた女性またはそのような女性と性的関係を持つことができない男性への不要なカウンセリングを回避することができる。
さらに、催奇形性薬剤、催奇形性であると疑われる薬剤、または他の潜在的に有害な薬剤が関与する方法に関して、処方者は、当該薬剤を誰とも共有しないよう、また特に当該薬剤を子供および妊娠する可能性のある女性の手の届かない場所に保管するよう、患者にカウンセリングする。女性患者、特に妊娠する可能性がある女性患者の場合、処方者は、催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤での治療前および治療中に、当該患者に妊娠検査(本発明の特定の実施形態では血清を使った妊娠検査)を行うべきである。妊娠する可能性のある女性患者は、前記催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤の受け取りを開始し、かつ当該薬剤を受け取り続けるには、妊娠検査の結果が継続的に陰性であり続けなければならない。本発明の特定の実施形態において、患者は、(a)薬剤の服用前、(b)薬剤を服用する最初の28日間、1週間に1回、および/または(c)薬剤を服用した治療過程の終了後、妊娠検査を受ける。本発明の他の実施形態では、患者は、処方箋が書かれる10日前、11日前、12日前、または14日前と、さらに処方箋が書かれる前24時間以内とに、妊娠検査を受ける。
さらに、レナリドマイドなど好中球減少症または血小板減少症を惹起すると疑われている薬剤が関与する本発明の特定の実施形態に関しては、処方者は、患者の血球数を監視する。例えば血球数は、薬剤を投与する最初の12週間は2週間ごとに監視し、その後、少なくとも毎月監視できる。別の例として、薬剤を投与する最初の8週間は2週間ごとに血球数を監視し、その後、少なくとも毎月監視できる。本発明の特定の実施形態において、好中球減少症または血小板減少症を生じることが疑われる薬剤の受け取りを開始し、および/または前記薬剤を受け取り続けるには、患者は、許容範囲内の血球数を有さなければならない。本発明の他の特定の実施形態において、好中球減少症または血小板減少症を生じることが疑われる薬剤の受け取りを開始し、および/または前記薬剤を受け取り続けるには、患者は、輸血を受け、または好ましくない血球数若しくは低い血球数を改善することのできる1若しくはそれ以上の薬剤を服用しなければならない。
また本発明の特定の実施形態において、患者は、処方された薬剤のいかなる未使用部分を破棄し、あるいは当該未使用部分を処方者、薬局、製造業者、または配布業者に返却するよう、前記処方者からカウンセリングを受ける。
当業者であれば、本出願の教示を一度理解すれば、上述したカウンセリングの1若しくはそれ以上の態様が、特定の状況で、催奇形性薬剤以外の薬剤について適用できることが明白である。
本発明の方法は、本発明の特定の実施形態において、患者は、例えば避妊に関するカウンセリングを含むカウンセリングを処方中の薬剤について受けるほか、当該薬剤の処方箋を受け取る前にインフォームドコンセントフォーム(同意書)に記入しなければならず、そのフォームには当該患者だけでなく当該処方者も署名することが必要である。当該処方者は、記録用に前記インフォームドコンセントフォームの写しを保管しなければならない。また、前記患者がインフォームドコンセントを行ったことの実証は前記コンピュータ可読記憶媒体に登録される。本発明の特定の実施形態において、この実証は、例えば前記患者の登録情報およびリスクグループ割り当てとともに、前記処方者から提供される。驚くべきことであるが、薬局ではなく処方者が患者のインフォームドコンセントを確認することにより、本発明の方法は、より効率的に実施され、患者の服薬遵守改善につながり、したがって有害な副作用の生じる危険性を低減することがわかっている。
インフォームドコンセントフォームに記入および署名することにより、患者は、当該薬剤の服用に伴う危険性について理解したことを認める。本発明の特定の実施形態では、このインフォームドコンセントフォームにおいて、患者は、提供されたリスク回避措置を遵守し処方者のカウンセリングに沿った態様で行動することに同意する。例えば催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤が関与する場合、患者は少なくとも1形態の避妊を行うことに同意し、女性患者の場合は少なくとも2形態の避妊を行うことに同意する。特定の実施形態では、患者のリスクグループの割り当てに制約される場合、当該患者は、回避すべき有害な副作用が生じる危険性に関する定期的な診断学的検査を受けることに同意する。催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤が関与する特定の実施形態において、女性患者は、前記催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤での治療前、治療中、および治療後に、本発明の特定の実施形態では妊娠検査を受け、本発明の特定の実施形態では血清を使った妊娠検査を受けることにも同意する。本発明の特定の実施形態において、患者は、(a)薬剤の服用前、(b)薬剤を服用する最初の28日間、1週間に1回、および/または(c)薬剤を服用した治療過程の終了後、妊娠検査を受ける。本発明の他の実施形態では、患者は、処方箋が書かれる10日前、11日前、12日前、または14日前と、さらに処方箋が書かれる前24時間以内とに、妊娠検査を受ける。また、本発明の特定の実施形態において、女性患者は、薬剤、特に催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤を処方された時点で妊娠していないことと、妊娠した時点で前記薬剤の服用をただちに停止することと、前記薬剤での治療が終了した後少なくとも4週間は妊娠しようとしないこととを認める。女性患者、特に催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤の投与を受ける女性患者は、本発明の特定の実施形態において、使用している1若しくはそれ以上の避妊法を変更することを希望する場合、および月経がなく追加妊娠検査を受けることを希望する場合、さらに当該女性患者の処方者に連絡することに同意する。女性患者、特に催奇形性薬剤および催奇形性であると疑われる薬剤で治療される予定の女性患者は、本発明の特定の実施形態において、前記薬剤による治療中は授乳しないことに同意する。
本明細書で説明する方法によれば、薬剤、特に催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤を処方された男性患者は、本発明の特定の実施形態において、前記薬剤での治療中に、女性、特に妊娠妊娠する可能性がある女性との無防備な性的関係を避けることに同意する。その場合、本発明の特定の実施形態において、男性患者は、女性との性的関係中にコンドーム(ラテックスコンドームが好適)を使用することにさらに同意する。また本発明の特定の実施形態では、男性患者も女性患者も、当該薬剤を誰とも共有しないことに同意し、当該薬剤の服用中は献血できないことに同意し、男性患者の場合は精子を提供しないことにも同意する。また本発明の特定の実施形態において、患者は、例えば当該薬剤での治療前、治療中、および治療後に、秘密厳守の患者調査に参加することに同意する。この患者調査では、例えば当該薬剤の処方者、製造業者、および/または配布業者、さらに当該薬剤の配布を全般的に監視するため確立された任意のグループまたは団体に、患者の性行動に関する詳細情報を含め患者のライフスタイル全般に関する情報が提供される。この調査は、危険な行動を起こす患者および本明細書で説明する方法を遵守しない患者の特定に役立つ。そのような危険な行動および/または服薬不履行(服薬ノンコンプライアンス)が見られた場合は、当該薬剤による患者治療を一時停止し、またはそれに介入して、患者を再教育することができる。
前記調査から得られた情報は、本発明の特定の実施形態において、前記コンピュータ可読記憶媒体にも入力される。前記コンピュータ可読記憶媒体に前記情報が入力されると、当該薬剤の処方者、製造元、および/または配布業者は、種々の患者への当該薬剤投与に伴う危険性のレベルについて情報を収集できるようになる。これにより、登録された患者集団の全体から、関与する薬剤が禁忌である可能性の高い1若しくはそれ以上の患者部分集団を特定することが可能になる。例えば、妊娠することのできる女性患者の部分集団および/または女性患者を妊娠させることのできる男性患者の部分集団を特定することが可能である。本発明の特定の実施形態では、催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤への胎児の曝露に関する上述のカウンセリング情報を、主にこの患者部分集団に提供する。
危険性が許容範囲内と見なされる場合、患者は、本明細書で説明する方法を使って当該薬剤を受け取り続けることができる。危険性が許容範囲外と見なされる場合は、付加的なカウンセリングが患者に提供され、または必要に応じて当該薬剤による当該患者の治療が終了され、代替治療モダリティが提供される。特定の実施形態において、女性患者は少なくとも毎月1回患者調査に回答し、男性患者は少なくとも3〜6か月に1回患者調査に回答することに同意する。この調査は、郵送、ファックス送信、オンライン送信、または電話で実施してよい。本発明の特定の実施形態において、この調査は、音声自動応答システム(IVR)の使用を介し電話で実施される。
患者が上記のようにカウンセリングを受け、またインフォームドコンセントフォームに記入および署名し、処方されるべき薬剤が当該患者に禁忌でないと判断された後(例えば、催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤を処方することが望ましい女性患者の場合は、妊娠検査が陰性だった場合など)、処方者は、当該薬剤を当該患者に処方する。本発明の特定の実施形態において、患者に処方される薬剤の量は限られたものであり、本発明の特定の実施形態では、約28日間を超えない期間処方される。当該薬剤の再調剤は、以下で詳しく説明するように当該処方者から処方箋が更新されない限り許可されない。本発明の特定の実施形態において、薬剤が調剤されるようにするには、患者は、上述のとおり登録された薬局で、処方箋およびインフォームドコンセントフォームを提示する。患者は、処方箋を未登録の薬局に持ち込むことも考えられる。その場合、その薬局は、例えばただちに当該薬剤の製造業者に連絡することにより、登録する工程を実施することができる。前記薬局の登録が一度完了すると、本明細書で以下説明する配布手順が再開可能になる。言うまでもなく、これにより処方工程が遅れるため、患者は薬剤の処方箋を別の登録済み薬局に持っていくことを希望する可能性もある。患者が記入済みのインフォームドコンセントフォームを薬局で提示しない場合、またはそのようなインフォームドコンセントの実証がそれ以前に、前記コンピュータ可読記憶媒体に登録されていなかった場合、当該薬剤は調剤されない。この場合、薬局は、当該薬剤の処方者に連絡して、当該患者に関するインフォームドコンセントフォームが記入されるように手配する。
本発明の特定の実施形態において、薬剤は、個別ブリスター包装など包装された状態で薬局(および患者)に供給され、前記包装には、当該薬剤に伴う危険性と、妊娠検査や避妊(催奇形性薬剤および催奇形性であると疑われる薬剤の場合)など本方法の種々の態様の重要性と、当該薬剤を他者と共有することに伴う危険性とに関する警告等が含まれる。
上記のとおり、本発明の特定の実施形態において、薬剤は限られた量のみ患者に処方および調剤され(約28日間を超えない処方量が好ましい)、本発明の特定の実施形態では再調剤は許可されない。これにより、患者が追加で処方箋を得るには、処方者からフォローアップ診察を受けることが一般に必要となる。そのようなフォローアップ診察は、本発明の特定の実施形態において、少なくとも患者が処方箋の更新を必要とするたび行われ、可能性として当該患者が例えば追加カウンセリングを必要とする場合は、より頻繁に行われる。そのフォローアップ診察時、本発明の特定の実施形態において、患者は、当該薬剤の服用に伴う危険性および利点に関する追加カウンセリングを受け、さらに(該当する場合)避妊に関するカウンセリングも受ける。また本発明の特定の実施形態において、患者は付加的な患者調査に回答し、性行動を含め自分のライフスタイルに関する現時点での情報を提供し、妊娠する可能性がある女性の場合は妊娠試験を新たに受ける。本発明の特定の実施形態において、患者は、(a)薬剤の服用前、(b)薬剤を服用する最初の28日間、1週間に1回、および/または(c)薬剤を服用した治療過程の終了後、妊娠検査を受ける。本発明の他の実施形態では、患者は、処方箋が書かれる10日前、11日前、12日前、または14日前と、さらに処方箋が書かれる前24時間以内とに、妊娠検査を受ける。
カウンセリングを受け患者調査に回答した後に女性患者の妊娠検査が陰性だった場合、処方者は、当該女性患者に薬剤を新たに処方することができる。元の処方箋と同様、更新された処方箋は、本発明の特定の実施形態において、約28日間を超えない限られた期間に対するものであることがより好ましい。
また特定の実施形態において、処方者は、前記製造業者、配布業者、または当該薬剤の配布を監視する他のグループまたは団体から、前記処方者が潜在的に有害な薬剤をそれが禁忌であるかもしれない患者に処方した旨および当該患者が付加的なカウンセリングおよび診断学的検査を必要とする可能性がある旨のリマインダ(確認通知)を、例えば郵送、ファックス、またはオンライン送信で受け取る。そのようなリマインダは、本発明の特定の実施形態において、例えば前回の調剤から約14〜約21日後に前記処方者に送付される。
前記処方者からの元の処方箋と同様、患者は、更新された全処方箋を登録済み薬局に提示しなければならない。前記薬剤を調剤する前に、薬局は、本発明の特定の実施形態において、例えば標準的なオンライン送信またはIVR経由の電話で、当該患者が登録済みで当該薬剤を受け取る資格があることを確認する。患者の服薬資格が確認されると、前記薬局は、当該薬剤を当該患者に調剤することができる。患者に資格がない場合、前記薬局は、当該薬剤を当該患者に調剤しないことが一般である。前記薬局は、例えば当該薬剤の処方者または製造業者に連絡して患者登録を開始することができる。特定の実施形態において、患者が前回処方された薬剤をまだ約7日間分より多く有する場合、および/または当該患者が薬剤を調剤してもらうために当該薬局を訪れた日付より約14日前以前に新しい処方箋が書かれている場合、薬局は、当該薬剤を調剤できないようになっている。
本明細書で説明する方法によれば、1若しくはそれ以上のコンピュータ可読記憶媒体に処方者、薬局、および患者を登録することにより、催奇形性薬剤および催奇形性であると疑われる薬剤を含む禁忌薬剤の配布を監視し、その配布権限を付与する手段が提供される。これにより、前記コンピュータ可読記憶媒体は、本発明の方法を遵守しない患者、薬局、または処方者に対し、催奇形性薬剤および催奇形性であると疑われる薬剤を含む禁忌薬剤へのアクセス、その調剤、またはその処方を拒否する役割を果たす。上記のとおり、コンピュータ可読記憶媒体に登録されていない処方者は、一般に前記薬剤を処方できず、登録されていない薬局は、一般に前記薬剤を調剤できない。同様に、コンピュータ可読記憶媒体に登録されていない患者に対しては一般に前記薬剤の処方および/または調剤は行われない。また、患者は、インフォームドコンセントフォームを薬局に提示しなければならない。そのようなフォームが薬局で提示されない限り、またはそのようなインフォームドコンセントの実証が処方者から提供されて前記コンピュータ可読媒体に登録されない限り、患者は、一般に、前記薬剤の処方を受け取ることができない。上記のとおり、前記薬剤は限られた量のみ患者に処方が許され、処方の再調剤は許されない。
本発明の特定の実施形態において、前記方法では、患者用に薬剤を調剤する前に、登録済み薬局が前記コンピュータ可読媒体で照合を行い、処方承認コードを読み出すことが必要である。本出願における「処方承認コード」とは、単に処方箋に関連付けられた番号を指すものではなく、副作用の生じる危険性が許容範囲内であることが判断された事実と、調剤について承認、、つまり肯定的な判断がなされた事実とを表すコードである。本発明の特定の実施形態において、この承認コードは、処方者、薬局、患者、患者のリスクグループ、および患者のインフォームドコンセントが記憶媒体に適切に登録されていない限り提供されない。また、前記リスクグループの割り当てによっては、前記処方承認コードを生成するために、前記リスクグループ割り当てに関連すると上記で定義したように、定期的な調査と診断学的検査の結果とを含む追加情報セットを前記記憶媒体に登録することがさらに必要となる。このように、前記登録済み薬局は、本方法に準拠して処方薬剤を調剤する承認を受ける際、前記承認コードを読み出す必要がある。この処方承認コードが得られない場合、患者は、電話などで必要な調査に回答するよう指示され、または処方者のもとで必要な診断学的検査を完了するよう指示される。これにより、薬局にかかる負担が最小限に抑えられ、本方法の遵守レベルが効率的かつ有利に改善される。また、本明細書で説明する実施形態では、患者のリスクグループ割り当てに適し必要とされるすべての追加情報が患者への薬剤調剤前に得られることで、有害な副作用の生じる危険性がより確実に最小限に抑えられるよう保証される。
催奇形性薬剤および催奇形性であると疑われる薬剤を供給することは、本発明の明らかな有益性を有する一態様であるが、本明細書ですべて企図されている本発明の1若しくはそれ以上の実施形態によれば、他タイプの薬剤も有益に処方および供給される。例えば本発明の方法は、患者の多くに肝臓損害を起こすことが知られているか若しくは疑われている薬剤を供給する場合に使用できる。そのような薬剤の1つは、結核(tuburculosis:TB)の治療薬として周知のイソニアジドである。以下の本発明の方法では、登録された医師が、TB検査の結果が陽性であった患者にイソニアジドの処方を希望する場合を考慮する。この医師は、コンピュータ可読記憶媒体に、前記患者の年齢や病状などに関する特定の情報とともにこの患者を登録する。例えば前記患者が若年成人であり他の複雑な危険因子がない場合、この患者は、回避すべきアルコール併用など特定の行動に関するカウンセリングを受けるよう指定されたリスクグループに割り当てられる。当該患者は、イソニアジド服用で生じるおそれのある肝臓損害の危険性について十分な情報を提供され、本発明の特定の実施形態では、当該薬剤の治療中、いかなるアルコール飲料も飲まないようカウンセリングを受ける。本発明の特定の実施形態において、患者はインフォームドコンセントフォームに署名し、処方者である医師は、このインフォームドコンセントの実証を、前記患者の登録フォームおよびリスクグループ割り当てとともに、コンピュータ可読記憶媒体へ送信する。次に当該医師は、イソニアジドの処方箋を当該患者に提供する。前記処方箋が登録済み薬局で提示されると、当該患者および当該処方者が登録済みであることと、当該患者のリスクグループ割り当ておよびインフォームドコンセントが提供済みであることとを検証するため、前記コンピュータ可読記憶媒体が照合される。
当該患者のリスクグループ割り当てに応じて、特定の診断学的検査が付加的に必要とされる場合は、調剤が承認される前に、ベースラインデータが取得される。当該患者のリスクグループによっては、例えば血清肝臓酵素を毎月評価する必要が出てくる。これらの状況では、本発明の特定の実施形態において、約30日間を超える調剤は行われない。
また本発明の特定の実施形態において、患者には、毎月調査に回答しなければならない旨が伝えられる。この調査には、当該患者の過去1か月間のアルコール消費の証拠となるアンケートを含めることができる。この調査には、肝臓損害早期発症その他イソニアジドに起因することが知られているか若しくは疑われるている副作用の指標となりうる特定症状の証拠となる質問を含めることもできる。また、当該患者には、イソニアジドと組み合わせて服用すると有害なことが知られているかている他の薬剤の併用に関する質問もなされる。本発明の特定の実施形態において、この調査は音声自動応答システムを使って電話で実施され、その回答は前記記憶媒体に入力される。その回答に基づき、当該患者のリスクグループ割り当ては、必要に応じて調整され若しくはそのまま残される。
さらに本発明の特定の実施形態において、患者は、引き続き処方の承認を受けるには、定期的な診断学的検査が必要である旨の説明を受ける。本発明の特定の実施形態において、前記診断学的検査には、肝臓損害の早期徴候をスクリーニングするための患者の血清肝臓酵素レベルのアッセイが含まれる。また、この診断学的検査には、肝臓損害を生じ若しくはイソニアジドとの併用が有害であることが知られているかている他の薬剤の存在に関するスクリーニングを含めることもできる。一般に、上記のような定期的検査が行われ条件を満たす結果が前記コンピュータ可読記憶媒体に入力されるまで、次回の処方または再調剤のための処方承認コードは生成されない。前記薬局が処方承認コードを受け取らない場合、患者は、必要な調査に回答し、検査を受け、または医師のもとでさらにコンサルティングを受けるよう指示される。
前記検査または調査の結果、肝臓損害の危険性が増大したことが示されると、当該患者のリスクグループ割り当ては変更され、あるいは当該患者はイソニアジドの追加調剤前に処方者の診察を受けるよう指示される。これにより、懸念される有害な副作用の進行を監視することができる。例えば、前記検査で肝臓酵素が若干上昇したことが示されると、当該患者のリスクグループのステータスは、第1のリスクグループから第2のリスクグループへ変更される。この第2のリスクグループの一人となった当該患者は、当該薬剤の受け取りについて承認を受ける前に、追加の診断学的検査を受けなけれならならくなる可能性がある。そのような検査には、例えば可能性としてイソニアジドに起因し、またはイソニアジドおよびアルコールなど他の薬物の組み合わせに起因した細胞傷害のレベルをさらに診断するための肝臓機能検査を含めることができる。より強烈なケースでは、肝臓の超音波診断、さらに肝臓生検も示唆される。最終的に、イソニアジド投与を継続した場合の危険性が、その継続治療で可能な有益性を上回ると、当該患者は、イソニアジドの調剤が中止されたことを示すリスクグループに割り当てられる。
本発明の方法は、例えばヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus:HIV)感染で患者が治療を受けている場合、同様に使用できる。HIVの検査結果が陽性の患者は、後天性免疫不全症候群(Acquired Immune Deficiency Syndrome:AIDS)の発症に対抗する1若しくはそれ以上の薬剤で治療することが可能である。HIV陽性の患者は、例えば1若しくはそれ以上のウイルスプロテアーゼ阻害剤および逆転写酵素阻害剤の組み合わせを含む複数薬剤を混合した「エイズカクテル」を投与されることが非常に多い。本発明の方法に従うことにより、患者は、薬剤の組み合わせの服用による有害な副作用の危険性を最小限に抑えつつ、当該薬剤の組み合わせを引き続き服用することができる。また、本発明の方法を望ましくかつ有利に使用して、薬剤を服用する患者、その薬剤を処方する処方者、およびその薬剤を調剤する薬局を教育し、その行動および行為を強化することができる。
前述の本発明の方法と同様、患者のHIV検査結果が陽性だった場合、登録された処方者は、当該患者に関する背景情報を取得し、登録フォームが記入済みであり、当該患者が前記コンピュータ可読記憶媒体に登録可能であることを確認する。前記処方者は、有害な副作用を生じることが知られているか若しくは疑われている薬剤を含む1若しくはそれ以上の薬剤を、単独で、互いに組み合わせて、または他の薬剤と組み合わせて前記患者に処方することができる。処方される薬剤に応じ、また本発明の特定の実施形態で当該患者の病歴、身体的状態、およびライフスタイルについて処方者が取得する情報に応じ、患者は、本発明の特定の実施形態において、少なくとも1つのリスクグループに割り当てられる。このリスクグループ割り当てに基づき、本発明の特定の実施形態において、患者は、処方された薬剤に伴う危険性について、教材を受け取りカウンセリングを受け、治療計画の重要性について助言を受ける。また本発明の特定の実施形態において、患者は、当該患者の胎児および当該患者の全体液被提供者を含め、他者に疾患を蔓延させてしまう危険性についてカウンセリングを受ける。これを受け、患者は1若しくはそれ以上の避妊法の優先的使用についてカウンセリングを受け、処方者から避妊具も提供される。また本発明の特定の実施形態において、患者は、当該薬剤のいずれも他者と共有しないこと、および処方されていないいかなる薬剤も回避することについてカウンセリングを受ける。このように、本発明の特定の実施形態において、患者は、当該疾患の蔓延を最小限に抑える方法と、当該薬剤の服用に起因しうる1若しくはそれ以上の副作用の発生を回避する方法との双方についてカウンセリングを受ける。本発明の特定の実施形態において、当該治療計画に内在する危険性をすべて十分に説明した時点で、処方者は、患者のインフォームドコンセントを取得し、これを前記コンピュータ可読記憶媒体に登録して、当該患者の薬剤の受け取りを可能にし、また処方された薬剤の服用に起因しうる1若しくはそれ以上の副作用の発生を回避するための本明細書で説明する方法を遵守するようにする。
本発明の方法の遵守を促進し、処方された薬剤での治療で生じることが知られているか若しくは疑われている有害な副作用が起こる可能性を最小限に抑えるには、当該薬剤の処方箋が登録済み薬局で提示される際、当該薬剤が患者に調剤される前に、前記コンピュータ可読記憶媒体の照合により処方承認コードが読み出されることが好ましい。処方承認コードが生成されるようにするためには、患者は、そのリスクグループ割り当てに基づいて、追加情報を提供する必要があり、その追加情報は当該処方が承認される前に、前記記憶媒体へ入力される。例えば、患者は、特定の診断学的検査を受けなければならない場合がある。HIVに感染した患者では、例えば、必要に応じて当該薬剤の投与量を調整できるよう、初期および定期的にウイルス量の検査が必要とされる。また患者は、患者が他の薬剤を服用している可能性、または治療計画の選択および実施に重要な症状を呈し始めている可能性の証拠となる質問を伴う調査に回答することが必要になる。そのような追加情報は、治療の開始前に必要とされ、また新しい処方が生成され処方が再調剤されるに伴い治療中にも定期的に必要になる。患者から提供された情報と、該当する場合は実施された診断学的検査の結果とに基づき、当該患者のリスクグループ割り当ては、現状を維持し、または必要に応じて変更される。患者のリスクグループ割り当ては、当該患者が当該薬剤を服用してきた期間の長さに基づいても変更される。
定期的な患者調査は、薬剤配布プログラムの要件を患者に再確認させ、さらに有害な副作用が生じる危険性の証拠となる情報を取得するという役割も果たす。例えば、この調査には、他のHIV陽性個人との薬剤共有について患者行動の証拠となる質問や、当該疾患の蔓延を回避するための措置に患者が遵守している証拠となる質問を含めることができる。また、この調査には、患者が利用しているかもしれない他の薬剤、医薬品、または治療のうち有害な副作用が生じる危険性に影響を及ぼすおそれのあるものに関する質問を含めることもできる。
この調査には、患者治療計画の変更の必要性を示唆する特定症状の発症の証拠となる質問を含めることもできる。例えば、一部の質問は、AIDS患者に一般に生じるうつ病が患者に発症している証拠となるものであってよい。前記調査の質問への回答がうつ病を示している場合は、当該患者のリスクグループ割り当てが変更され、例えば、抗うつ薬治療の必要性について判断するために、当該患者は処方者の診察を受けるよう指示される場合がある。同様に、プロテアーゼ阻害物質など特定の薬剤は、特定の患者で脂肪の再分布異常につながるおそれがある。この症状は、特定の代謝欠陥と同時に見られる場合があり、高血糖や高コレステロールなどの疾患の症状でもある。前記調査にはこの異常に関する質問を含めることができ、患者がそのような身体的変化に気づいたことを示す回答をした場合、その患者のリスクグループは、対象薬剤へのアクセスが追加承認される前に代謝異常の証拠となる診断学的検査が必要とされるものへと割り当てられる。
前記調査と同様、患者に必要となる診断学的検査は、当該患者のリスクグループ割り当てに応じて異なり、本発明の特定の実施形態では、当該患者のリスクグループ割り当てに適したものである。患者のウイルス量検査に加え、例えば患者体内の1若しくはそれ以上の薬剤のレベルを評価する定期的な診断学的検査が適切な場合もある。逆転写酵素阻害物質の用量は、例えば有害な副作用が生じる危険性に関し重要な要因である。同時に、頻繁に併用される種々の薬剤も同様な代謝経路をたどるため、治療計画に第2の薬剤を加えると第1の薬剤の薬物動態が大幅な影響を受け、前記第1の薬剤の用量調整を余儀なくさせるおそれがある。例えば、よく知られたプロテアーゼ阻害剤であるリトナビルを含む「エイズカクテル」での治療は、他のプロテアーゼ阻害剤の生物学的利用能に大幅な影響を及ぼすため、他のプロテアーゼ阻害剤の用量を減らすことが必要になる。このため、リトナビルを患者の治療計画に含めるとリスクグループの割り当てに変更が生じ、併用する他のプロテアーゼ阻害剤血中レベルを評価するための診断学的検査が定期的に必要になる。
同様に、処方を行う医師、または患者が診察を受ける可能性のある別の医師が治療計画に他の薬剤を加えると、登録済み処方者が処方した初期の治療計画を妨げるおそれがある。例えば、エイズ患者は、結核などのマイコバクテリア感染を起こすことが多い。感染性疾患の専門家は、このような感染を治療するため、リファンピンやリファブチンなどリファマイシンとして知られた薬剤分類の1つを処方する可能性がある。ただし、リファマイシンは、多くのプロテアーゼ阻害剤の代謝を加速することが知られているため、リファマイシンでの治療開始時、それらプロテアーゼ阻害剤の用量を適切に調整しない限り、その効果は大幅に低下するおそれがある。そのため、プロテアーゼ阻害剤で治療を受けている患者には、前記調査に、例えばリファマイシン併用の可能性に関する質問を含めることができる。その調査の結果、2タイプの薬剤が併用されていることが示された場合は、当該患者のリスクグループ割り当てが変更され、当該患者は用量調整のため処方者の診察を受けるよう、あるいは十分なレベルのプロテアーゼ阻害剤がまだ維持されていることを確認するため、診断学的検査を受けるよう指示される場合がある。同様に、登録済み処方者がプロテアーゼ阻害剤を服用している登録済み患者の治療計画にリファマイシンの処方を加える場合、前記処方が前記コンピュータ可読記憶媒体に入力された時点でリスクグループ割り当てが自動的に変更され、前記プロテアーゼ阻害剤の用量の更なる調整を行わない場合は当該処方の承認が生成されないようになっている。このように、本発明の方法を有利に利用すると、1若しくはそれ以上の薬剤について適切な用量を維持し、そのような薬剤を併用し若しくは治療計画に他の薬剤を追加することにより有害な副作用が生じる可能性を最小限に抑え、1若しくはそれ以上の薬剤の服用に伴う危険性を適切に開示するよう促し、禁忌対象者が潜在的に有害な薬剤に曝される危険性を最小限に抑え、さらに患者の治療プロトコル遵守と、当該疾患が他者に広がる危険性を増大させる既知行動の回避とを支援することが可能になる。
本発明の他の実施形態では、例えば付加的な細胞遺伝学的異常および多発性骨髄腫を伴う若しくは伴わない5q欠失染色体異常に関連した低リスク群または中リスク群−1の骨髄異形成症候群(MDS)による輸血依存性貧血を含む種々の疾患、障害、または病状に対する治療を患者が受けている場合、本明細書で開示した方法を使用してよい。そのような患者は、催奇形性薬剤、催奇形性であると疑われる薬剤、またはレナリドマイドやサリドマイドなど他の潜在的に有害な薬剤を含む薬剤で、治療を受けることができる。特定の実施形態において、多発性骨髄腫の治療を受ける患者は、過去に多発性骨髄腫の治療を少なくとも1回受けたことがある場合、レナリドマイドまたはサリドマイドをデキサメタゾンなど別の薬剤と併用した治療を受けることができる。本発明の方法に従うと、患者は、レナリドマイドまたはサリドマイドの服用による有害な副作用の危険性を最小限に抑え若しくは回避しつつ、レナリドマイドまたはサリドマイドを受け取り若しくは受け取り続けるための承認を受けることができる。また、本発明の方法を望ましくかつ有利に使用して、レナリドマイドまたはサリドマイドを服用する患者、前記薬剤を処方する処方者、および前記薬剤を調剤する薬局を教育し、その行動および行為を強化することができる。
上述した方法のほか、本発明の特定の実施形態では、患者へのレナリドマイドまたはサリドマイドの供給に以下の工程が伴う。レナリドマイドまたはサリドマイドの配布を管理してそれらの薬剤を受け取る資格のない患者がそれらを受け取る危険性を最小限に抑えるため、あるいはそれらを服用することにより有害な副作用が生じる危険性を最小限に抑えるため、本発明の特定の実施形態において、レナリドマイドまたはサリドマイドは、催奇形性薬剤、催奇形性であると疑われる薬剤、または他の潜在的に有害な薬剤について上述し、さらに以下で例示するように、管理された配布プログラムを通じてのみ利用可能となる。このプログラムでは、患者用に薬剤が処方および調剤される前に、当該処方者、当該薬局、および当該患者は、上記のように1若しくはそれ以上の適切なコンピュータ可読記憶媒体に登録される。前記処方者が当該コンピュータ可読記憶媒体に登録されていない場合、前記薬剤を処方する資格がない。同様に、前記薬局が前記コンピュータ可読記憶媒体に登録されていない場合は、前記薬剤を調剤する資格がない。同様に、前記患者が前記コンピュータ可読記憶媒体に登録されていない場合は、前記薬剤を受け取る資格がない。
前述の本発明の方法と同様、レナリドマイドまたはサリドマイドの処方箋を受け取る患者は、事前に、例えば効果的な避妊に関するカウンセリングや、血球減少症、肺塞栓症、深部静脈血栓症を起こす危険性(該当する場合)に関するカウンセリングを含め、当該薬剤についてカウンセリングを受けなければならない。一部の実施形態において、患者のカウンセリングは当該医師により行われる。他の実施形態において、患者のカウンセリングは医師および薬剤師の双方により行われる。本発明の方法では、本発明の特定の実施形態において、患者はインフォームドコンセントフォームに記入することが必要であり、そのフォームには当該患者だけでなくその処方者も署名しなければならない。当該処方者は、記録用に前記インフォームドコンセントフォームの写しを保管しなければならない。また、前記患者がインフォームドコンセントを行ったことの実証を、前記コンピュータ可読記憶媒体に登録することもできる。本発明の特定の実施形態において、この実証は、前記処方者から提供され、例えば前記患者の登録情報およびリスクグループ割り当てと伴に含まれる。驚くべきことであるが、薬局ではなく処方者が患者のインフォームドコンセントを確認することにより、本発明の方法は、より効率的に作用し、患者の服薬遵守改善につながり、したがって有害な副作用の生じる危険性を低減することがわかっている。当該患者は、当該薬剤の服用に伴う危険性に関するカウンセリングも受ける。そのようなカウンセリングは、口頭または書面で実施される。一部の実施形態では、患者に、例えばインフォームドコンセントフォーム、投薬ガイド、製品情報、製品パッケージ添付資料、教育用パンフレット、前記患者調査について説明したパンフレット、および緊急避妊薬に関する情報を含んだトレーニング資料が配布される。このトレーニング資料は、本発明の特定の実施形態において、受け取った薬剤について患者が日付および数量を記録するための薬剤供給ログフォームを含む。このトレーニング資料では、当該薬剤の服用に伴う危険性と、適切な投薬計画を遵守する必要性とについて患者がその配偶者またはパートナーを教育できる情報を、患者に提供してもよい。
特定の実施形態では、カウンセリングについて、サードパーティのベンダー((製造)販売業者)が初回調査およびフォローアップ調査の回答に関するコンサルティングを行うことにより、適切なカウンセリングが28日ごとに行われたことを確認する。特定の実施形態では、一般に、記入済みの調査が前記サードパーティベンダーにファックスされ、そこで回答が確認され、後述するように、処方箋に記入するための確認番号が医師に供給される。あるいは、前記サードパーティベンダーが、前記調査の回答が不完全であると判断し、または当該患者に当該薬剤を受け取る資格がないと示した場合、当該サードパーティベンダーは、当該患者の処方箋を取り消すよう当該医師に連絡する。別の代替態様として、前記調査は音声自動応答システムを使っても実施可能であり、その場合、前記サードパーティベンダーが前記調査の回答を確認し、後述するように、処方箋に記入するための確認番号を医師に供給する。
インフォームドコンセントフォームに記入および署名することにより、患者は、レナリドマイドまたはサリドマイドの服用に伴う危険性について理解したことを認める。本発明の特定の実施形態では、このインフォームドコンセントフォームにおいて、患者は、提供されたリスク回避措置を遵守し処方者のカウンセリングに沿った態様で行動することに同意する。特定の実施形態では、インフォームドコンセントフォームに署名することにより、患者は、当該薬剤の配布について1若しくはそれ以上の臨床試験への参加に同意することを認める。本発明の特定の実施形態において、インフォームドコンセントフォームに署名することにより、患者は、当該患者がレナリドマイドまたはサリドマイドを服用していることを当該患者のパートナーまたは配偶者に知らせたことと、レナリドマイドまたはサリドマイドでの治療に伴いまたは疑われる危険性と、当該患者およびその配偶者のレナリドマイドまたはサリドマイド治療中に当該患者およびその配偶者の双方が胎児への曝露を防ぐ上で注意すべき事項とに関する教育資料を当該患者のパートナーまたは配偶者に提供したことと(本発明の特定の実施形態において、前記資料は、例えばアラビア語、クメール語、中国語、英語、フランス語、ドイツ語、ギリシャ語、イタリア語、日本語、朝鮮語(韓国語)、ラオ語、ポーランド語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語、ベトナム語など、患者の選択した言語で利用できる)、効果的な避妊の選択肢について当該患者がそのパートナーまたは配偶者に説明したこととも認める。
本発明の特定の実施形態において、患者は、インフォームドコンセントフォームに記入し署名することにより、当該患者の代理人となる薬剤管理責任者を指定し、および/またはこれを教育することに同意することも認める。本明細書における用語「薬剤管理責任者」とは、例えば患者の家族、友人、または後見人、あるいは患者を補助する看護師であり、レナリドマイドまたはサリドマイドがヒトの出生異常または胎児の死亡を起こす危険性と、適切な避妊が不可欠であることと、深部静脈血栓症および肺塞栓症が起こる危険性と、さらにMDS患者については(好中球減少症および/または血小板減少症を含む)血球減少症の徴候および症状と、定期的な血液検査の必要性とを含め、レナリドマイドまたはサリドマイドの服用に伴う危険性について教育を受けた者をいう。
本発明の特定の実施形態では、患者同様、その薬剤管理責任者も、例えば当該薬剤管理責任者の氏名、住所、電話番号、当該患者との関係(続柄)を含め、前記コンピュータ可読記憶媒体に登録される。薬剤管理責任者はレナリドマイドまたはサリドマイドの服用に伴う危険性について教育を受ける。これにはレナリドマイドまたはサリドマイドがヒトの出生異常または胎児の死亡を生じる危険性と、適切な避妊が不可欠であることと、深部静脈血栓症および肺塞栓症が起こる危険性と、さらにMDS患者については(好中球減少症および/または血小板減少症を含む)血球減少症の徴候および症状と、定期的な血液検査の必要性とが含まれる。一部の実施形態において、薬剤管理責任者は、インフォームドコンセントフォームに署名することにより、レナリドマイドまたはサリドマイドでの治療に伴う危険性に関するカウンセリングを受けたことと、当該患者が処方箋のガイドラインに従ってレナリドマイドまたはサリドマイドを服用するよう補助し、当該患者が当該薬剤の流用を防ぐよう補助し、当該薬剤が当該患者に適さなくなった場合は、当該患者が当該薬剤の薬局、配布業者、または製造業者に当該薬剤を返却するよう補助し、および/または当該薬剤を全て使用する前に当該患者が死亡した場合は当該薬剤の薬局、配布業者、または製造業者に当該薬剤を返却することを補助することに同意することとを示す。一部の実施形態では、患者が薬剤管理責任者を指定できない場合が考えられる。そのような状況では、処方者により、薬剤管理責任者が指定されない場合でも前記患者が当該薬剤を受け取る資格があるかどうかが判断される。
本発明の特定の実施形態において、レナリドマイドまたはサリドマイドは、契約薬局を通じて1つの団体により配布される。特定の実施形態では、当該薬剤の配布業者または製造業者と契約している1つの薬局だけが、当該薬剤を調剤する資格を有する。
特定の実施形態において、レナリドマイドまたはサリドマイドの処方箋は、前記契約薬局へファックス、または人の手で配達される。本明細書における用語「契約薬局」とは、レナリドマイドまたはサリドマイドを配布するよう契約した薬局をいう。特定の実施形態において、契約薬局は、大学の医療センター、刑務所または矯正施設、保健維持機構(Health Maintenance Organization:HMO)、あるいは米国国防総省などの政府団体または政府機関にある。催奇形性薬剤、催奇形性であると疑われる薬剤、または他の潜在的に有害な薬剤に関する上記の服薬資格要件に加え、上記のような契約薬局に雇用された薬剤師および/または看護師は、本発明の特定の実施形態において、レナリドマイドまたはサリドマイドに伴うリスク回避措置について患者に対し教育およびカウンセリングを行う方法に関する訓練を受ける。特定の実施形態において、上記のような契約薬局に雇用された薬剤師および/または看護師は、患者にカウンセリングしレナリドマイドまたはサリドマイドを調剤するための認定を1つの団体から受ける。薬剤師および/または看護師は、トレーニングプログラムに参加する必要があり、これには、MDSおよび多発性骨髄腫を概略説明するトレーニングモジュールのレビューが含まれる。また薬剤師および/または看護師は、レナリドマイドまたはサリドマイドを調剤する権限を与えられる前に、教訓的なウェブベースのトレーニングプログラムに出席する必要もある。患者が、レナリドマイドまたはサリドマイドの危険性について、処方者と、薬剤師および/または看護師との双方からカウンセリングを受ける場合、当該薬剤師および/または当該看護師は、本発明の特定の実施形態において、後述するようにレナリドマイドまたはサリドマイドでの治療に伴うリスク回避措置に関し患者を教育する。
催奇形性薬剤、催奇形性であると疑われる薬剤、または他の潜在的に有害な薬剤について上述したように、本発明の特定の実施形態では、患者から情報が収集され、その情報は、当該患者がレナリドマイドまたはサリドマイドを服用した場合生じることが知られているか若しくは疑われている副作用の発生の危険性に関する証拠となる。次に、この情報は、その分析により少なくとも1つのリスクグループに前記患者を割り当てることができるよう、レナリドマイドまたはサリドマイドについて複数のリスクグループが所定のリスクパラメータと比較される。本発明の特定の実施形態において、このリスクグループの割り当ては、その後、前記コンピュータ可読記憶媒体にも入力される。このリスクグループ割り当てについては、前記処方者が行い当該患者の登録カードまたは登録フォームに含めることができ、あるいは看護師、技師、事務職員、または薬剤師など別の個人が行うようにすることも可能で、本発明の特定の実施形態では前記別の個人が情報を解釈し、当該患者にリスクグループの1つを適宜割り当てる。
上記のとおり、特定の実施形態では、所定のリスクパラメータにそれぞれ基づく複数のリスクグループは、レナリドマイドまたはサリドマイドについて確立されるのが好ましい。例えばレナリドマイドまたはサリドマイドに関しては、第1のリスクグループは妊娠する可能性のある成人女性をから成り、第2のリスクグループは妊娠する可能性のない成人女性から成り、第3のリスクグループは妊娠する可能性のある小児(女)から成り、第4のリスクグループは妊娠する可能性のない小児(女)から成り、第5のリスクグループは成人男性から成り、第6のリスクグループは小児(男)から成る場合がある。
本明細書における用語「妊娠する可能性のある女性」とは、性的に成熟した女性で、子宮摘出術または両側卵巣摘出術を受けておらず、自然状態で少なくともそれ以前に連続24か月間月経のあった閉経前の者をいう。特定の実施形態において、妊娠する可能性のある女性が薬剤を受け取る資格を得るには、例えば、処方された薬剤での治療開始前4週間、治療中、治療中断中(該当する場合)、および治療完了後4週間、完全に性交を自粛し、または効果的な避妊法を2つ同時に行うことに同意しなければならない。
本明細書における用語「効果的な避妊」とは、少なくとも1つの非常に効果的な避妊法を、別の非常に効果的な避妊法または避妊のための効果的なバリア法と併用したものをいう。本明細書における用語「非常に効果的な避妊法」とは、子宮内避妊器具(IUD)、ピルなどのホルモン法、パッチ、注射剤、インプラント、リング、卵管結紮、およびパートナーの精管切除をいう。本明細書における用語「避妊のための効果的なバリア法」とは、男性用ラテックスコンドーム、子宮頸管キャップ、およびペッサリーをいう。
本発明の特定の実施形態において、妊娠する可能性のある女性がレナリドマイドまたはサリドマイドを受け取る資格を得るには、レナリドマイドまたはサリドマイドの処方を始めて受け取る際、初回処方の前10〜14日以内および初回処方の前24時間以内に、感度が少なくとも50mIU/mlの妊娠検査で結果が陰性でなければらならない。妊娠する可能性のある女性は、本発明の特定の実施形態において、治療を始めた最初の月(第1月)にも、4週間、毎週妊娠検査を受け、その結果が陰性でなければならない。妊娠する可能性のある女性は、本発明の特定の実施形態において、月経が規則的な場合は治療第1月以降、毎月妊娠検査を受け、月経が不規則な場合は毎月2回妊娠検査を受ける。また本発明の特定の実施形態において、患者に月経がなかった場合、または治療中に異常月経出血があった場合は、レナリドマイドまたはサリドマイドでの治療を中止する必要があり、当該患者はかかりつけの医師の診察を受けなければならない。一実施形態では、レナリドマイドまたはサリドマイドの処方箋受け渡し前に、当該患者が妊娠していないことを、処方者が確認する。別の実施形態では、レナリドマイドまたはサリドマイドの処方箋受け渡し前に、当該患者が妊娠していないことを、処方者および薬剤師が確認する。
本発明の特定の実施形態において、すべての女性患者は、レナリドマイドまたはサリドマイドでの治療中および治療完了後4週間、授乳および献血を自粛しなければならない。すべての女性患者は、当該薬剤を誰とも共有しないことに同意しなければならず、秘密厳守の必須調査に参加しなければならない。
本発明の特定の実施形態において、男性患者は、精管切除術を受けて成功した場合でも、レナリドマイドまたはサリドマイドでの治療完了後の4週間を含め、妊娠する可能性のある女性との性交時、毎回ラテックスコンドームを使用することに同意しなければならない。また男性患者は、ラテックスコンドームを使わずに性交した場合、また当該男性患者のパートナーが妊娠した可能性がある場合、その旨を当該男性患者の医療提供者に知らせることに同意しなければならない。また、男性患者は、治療中および治療完了後4週間、献血または精子提供を自粛しなければならない。すべての男性患者は、当該薬剤を誰とも共有しないことに同意しなければならない。
本発明の特定の実施形態では、成人でない患者すなわち18歳未満の小児の場合、その患者の親または後見人は、当該薬剤に伴う危険性について教育およびカウンセリングを受け、当該薬剤を誰とも共有しないよう指示を受ける。性的に活発な小児の場合、薬剤師および/または医師は、本発明の特定の実施形態において、成人患者について上述したように、避妊の選択肢について当該患者およびその親または後見人に説明する必要がある。性的に活発でない小児の場合、その親または後見人は、女性患者の月経が開始した場合、当該処方者または当該薬剤師を含む当該医療提供者に通知することに同意しなければならない。
本発明の特定の実施形態において、成人患者が無能力者である場合は、その正式代理人が当該成人患者を代行して、当該薬剤に伴う危険性について教育およびカウンセリングを受け、当該薬剤を誰とも共有しないよう指示を受けなければならない。前記正式代理人は、例えば、適切な米国州法に基づき、前記無能力者である患者を代行して治療に同意することを認可された当該患者の血縁者、配偶者、家族、友人、後見人、または世話人である。この正式代理人は、すべての教材を読み、インフォームドコンセントフォームに自らの頭文字を署名し、服薬遵守を保証することに同意しなければならない。成人患者が無能力者である場合、処方者は、前記インフォームドコンセントフォームに記載する能力が当該無能力者患者に欠如している旨と、その無能力の原因である病状の特定と、当該患者の正式代理人の氏名、住所、および当該患者との関係と、当該患者の当該プログラム遵守について正式代理人が責任を受諾しており当該患者の代理で治療に同意することを認可された旨の見解とを当該処方者のレターヘッド付きの書簡に記述し、署名および日付を記入て提出しなければならない。
本発明の特定の実施形態において、すべての患者は、当該薬剤への胎児の曝露を防ぐため適切な避妊を行うようカウンセリングを受ける。また本発明の特定の実施形態において、患者は、MDSに対するレナリドマイド治療(または他の治療)により好中球減少症および血小板減少症を起こす危険性についてカウンセリングを受ける。そのような患者は、本発明の特定の実施形態において、治療の最初の8週間は毎週、それ以降は少なくとも毎月、血球数(CBC)検査を受ける。
特定の実施形態では、患者は、産科医/婦人科医(obstetrician/gynecologist:OB/GYN)に割り当てられる。このような場合、OB/GYNは、避妊措置に関する追加カウンセリングを当該患者に提供する。特定の場合、OB/GYNは、レナリドマイドまたはサリドマイドを服用しており妊娠した可能性があると考えている患者、またはレナリドマイドまたはサリドマイドを服用中の男性患者に妊娠させられた可能性のある女性に緊急避妊薬を提供する。患者について指定されたOB/GYNは、コンピュータ可読記憶媒体に登録可能である。この登録には、当該OB/GYNの氏名、住所、および1若しくはそれ以上の医療機関との所属・提携関係(該当する場合)を含めることができる。特定の実施形態において、処方者は、例えば緊急避妊薬、付加的な患者カウンセリング、妊娠検査、および妊娠検査の陽性結果について患者からの問い合わせに対応するOB/GYNを当該患者のために特定する。
本発明の特定の実施形態において、カウンセリングは、薬剤師、医師、看護師、または契約薬局における他の医療専門家が、電話で若しくは直接会って行う。
多発性骨髄腫に対しレナリドマイド(または別の薬剤)で治療を受けている患者は、任意選択で、治療の最初の12週間は2週間ごとに、それ以降は毎月CBC検査を受ける。本発明の特定の実施形態において、そのような患者は、深部静脈血栓症および肺塞栓症を起こす危険性についてカウンセリングを受けるする必要がある。すべての患者は、レナリドマイド(または別の薬剤)を誰とも共有しないようカウンセリングを受けなければならない。
本発明の特定の実施形態において、薬剤師および/または看護師は、レナリドマイドまたはサリドマイドが処方された患者に、薬剤を配送または調剤する前に連絡する。上記の電話または対面中、本発明の特定の実施形態において、患者は、上述のように、レナリドマイドまたはサリドマイドがヒトの出生異常または胎児の死亡を生じる危険性と、適切な避妊が不可欠であることと、深部静脈血栓症および肺塞栓症が起こる危険性と、さらにMDS患者については(好中球減少症および/または血小板減少症を含む)血球減少症の徴候および症状と、定期的な血液検査の必要性ととについてカウンセリングを受ける。レナリドマイドまたはサリドマイドの調剤前、薬剤師または看護師は、当該薬剤の危険性について患者が理解していることを確認する。また、前記薬剤師または看護師は、当該患者に配送を行う場合の送付先住所を必要に応じ確認する。本発明の特定の実施形態において、薬剤師は、上記のように承認番号が確認され、当該薬剤師に確認番号が発行され、当該薬剤師または看護師が当該患者へのカウンセリングを完了するまで、レナリドマイドまたはサリドマイドを患者に配送または調剤しない。
本明細書における用語「承認番号」とは、医師が患者カウンセリングを完了し、当該患者が患者調査に回答し、さらに当該医師が医師調査に回答した後、当該医師に対し発行される番号をいう。医師が承認番号を取得後、当該承認番号は処方箋に記載される。特定の実施形態において、前記承認番号は、医師が当該承認番号を取得した日から限られた期間のみ有効となり、この期間は、例えば妊娠する可能性のある女性の場合は7日間または14日間、妊娠する可能性のない患者の場合は14日間などとされる。特定の実施形態において、医師には、前記承認番号に加えて「配送/調剤期限」も発行され、これも、本発明の特定の実施形態で処方箋に記載される。この「配送/調剤期限」とは、処方された薬剤に伴う危険性について上記のとおり薬局が患者にカウンセリングし、当該患者宛てに当該薬剤を配送しなければならない最終日付、または処方された薬剤に伴う危険性について上記のとおり患者にカウンセリングし、当該患者に当該薬剤を調剤しなければならない最終日付をいう。
本明細書における用語「確認番号」とは、本発明の特定の実施形態において、薬剤師が、電話でまたはオンライン送信やウェブベース送信などを通じて当該薬剤のマーケティング担当者または配布業者に連絡して前記承認番号を検証する際、当該マーケティング担当者または配布業者が、当該薬剤師に提供する実証番号をいう。また、この確認番号は、調査の回答により患者の服薬遵守が確認された後、サードパーティベンダーからも医師に供給される。本発明の特定の実施形態において、前記確認番号は、当該薬剤師または医師がこの確認番号を取得した後、24時間有効となる。特定の実施形態において、薬局は、前記確認番号が有効な時間内にレナリドマイドまたはサリドマイドを配送または提供する(24時間以内)。当該薬剤が24時間の時間枠内に配送されず若しくは引き取られない場合、当該薬局は、前記確認番号を取り消し、当該薬剤の配送準備または引き取り準備が整った時点で新しい確認番号を取得する。特定の実施形態において、薬剤師は、マーケティング担当者または配布業者に連絡して承認番号を確認する際、確認番号に加えて当該処方箋の有効日数を通知され、これにより当該処方箋を調剤できる残り日数を知る。
特定の実施形態では、確認番号が提供される前に、薬剤師は、前記薬局に当該薬剤の在庫があり調剤の準備が整っていることを確認しなければならない。その時点で当該薬局に当該薬剤の在庫がない場合は、当該薬剤師が確認番号の取得を試みても確認番号は提供されず、当該薬局は当該薬剤を調剤する権限を与えられない。
その場合、前記薬局は、当該薬剤の供給を受けられるよう試みる。薬局は、別の薬局から当該薬剤を譲渡してもらえるよう要求することが考えられる。特定の実施形態において、薬局チェーンの下にある小売薬局は、同じ薬局チェーンの別の薬局からの薬剤の譲渡を要求することができる。その場合、当該薬剤は、それを調剤しようとする薬局に配送され、あるいは譲渡される。本発明の特定の実施形態において、譲渡される薬剤は、譲渡側薬局の最も最近入荷した在庫からのものである。
代替態様として、薬局は、他の任意の薬局から当該薬剤を譲渡してもらえるよう要求できることが考えられる。本発明の特定の実施形態において、譲渡される薬剤は、譲渡側薬局の最も最近入荷した在庫からのものである。他の実施形態において、譲渡される薬剤は、譲渡側薬局に保管された在庫からのものである。
特定の実施形態において、レナリドマイド、サリドマイド、または他の潜在的に有害な薬剤は、専売権のある中央薬局を通じて配布および調剤される。そのような場合、その中央薬局は、前記契約薬局として上記の役割を果たすだけでなく、当該処方者に連絡して当該薬剤に関する当該処方者の処方資格も確認する。この中央薬局は、当該薬剤の服薬に伴う危険性およびリスク回避措置に関する患者カウンセリングも行う。この中央薬局は、本発明の特定の実施形態において、当該薬剤を患者の自宅に配送し、フォローアップの電話をかけて当該患者が当該薬剤を受け取ったことを確認する。
特定の実施形態では、催奇形性薬剤、催奇形性であると疑われる薬剤、または他の潜在的に有害な薬剤を調剤するよう登録された1若しくはそれ以上の薬局が存在することについて、患者を教育することが好ましい。登録された処方者には登録された薬局のリストが供給され、このリストは当該患者にも供給される。特定の実施形態において、この登録された薬局のリストには、例えば当該処方者および/または当該患者から15マイル以内にある薬局を含めることができる。他の実施形態では、この登録された薬局のリストに、例えば当該処方者および/または当該患者と同じ州、地域、またはテリトリーにある薬局を含めることができる。他の実施形態では、この登録された薬局のリストに、例えば催奇形性薬剤、催奇形性であると疑われる薬剤、または他の潜在的に有害な薬剤を過去12か月以内に調剤した登録済み薬局を含めることができる。さらに他の実施形態では、この登録された薬局のリストに、例えば登録された全薬局を含めることができる。当業者であれば、登録された薬局のリストに、上記カテゴリーのうちいずれか若しくはすべてに含まれる薬局のリストを包含できることが容易に理解されるであろう。
上記のとおり、サリドマイドまたはレナリドマイド以外の催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤は、本発明の特定の実施形態において限られた量のみ患者に処方および調剤され(約28日間を超えない処方量が好ましい)、本発明の特定の実施形態では再調剤は許可されない。本発明の特定の実施形態において、2回目以降の調剤には新しい処方箋が必要であり、2回目以降の処方箋は、現在の処方箋の残り日数が7日以下でない限り、調剤されない。これにより、患者が追加で処方箋を得るには、処方者からフォローアップ診察を受けることが一般に必要となる。そのようなフォローアップ診察は、本発明の特定の実施形態において、少なくとも患者が処方箋の更新を必要とするたび行われ、可能性として当該患者が例えば追加カウンセリングを必要とする場合は、より頻繁に行われる。そのフォローアップ診察時、本発明の特定の実施形態において、患者は、当該薬剤の服用に伴う危険性および利点に関する追加カウンセリングを受け、さらに(該当する場合)避妊に関するカウンセリングも受ける。また本発明の特定の実施形態において、患者は付加的な患者調査に回答し、性行動を含め自分のライフスタイルに関する現時点での情報を提供し、妊娠する可能性がある女性の場合は妊娠試験を新たに受ける。一部の実施形態において、特定の患者は、治療後6か月ごとにフォローアップ調査に回答するだけでよい。そのような患者としては、男性および妊娠する可能性のない女性などが含まれる。付加的な患者調査は、電話、ファックス、音声自動応答、および/またはウェブベースのシステムを含め、種々の方法で患者に提供される。カウンセリングを受け患者調査に回答した女性患者の妊娠検査が陰性だった場合、処方者は、当該女性患者に新たに薬剤を処方することができる。元の処方箋と同様、更新された処方箋は、本発明の特定の実施形態において、約28日間を超えない限られた期間に対するものであることがより好ましい。調査結果により、当該患者が処方箋のガイドラインを遵守していないことが明らかになった場合、本発明の特定の実施形態では、当該薬剤のマーケティング担当者または配布業者が処方者に連絡して前記調査結果を知らせる。治療が連続12か月間中止された場合、当該患者がレナリドマイドまたはサリドマイドの新たな処方を受けるためには、上述した当該プログラムに再登録しなければならない。
言うまでもなく、1若しくはそれ以上の本発明の方法は、1若しくはそれ以上のコンピュータシステム手段により達成されることを理解すべきである。これを受け、特定の実施形態において、本発明は、本明細書に開示する方法の1若しくはそれ以上の工程を自動化できるコンピュータシステムを有する。そのようなコンピュータシステムは、本発明の特定の実施形態において、1若しくはそれ以上の入出力手段と、前記患者、前記処方者、前記薬剤に関するデータを格納する手段と、内外のネットワーク経由でデータを通信する手段と、インターネット経由でデータを通信する手段と、患者、処方者、または薬剤管理責任者に、薬剤または薬剤の安全で効果的な使用法に関する教育を提供する(特定の実施形態では対話型)手段とを有する。
他の実施形態において、また図1〜図3で例示したように、本発明は、有害な副作用の潜在的危険性がある薬剤の配布を管理するために、配布業者側に設けられた薬剤配布管理システムを有する。以下、図1および2を参照して本システムを説明する。
図1は本発明の一実施形態を例示した図であり、医療機関11、薬局12、および薬剤配布機関13はネットワーク15を経由して相互接続されている。このネットワーク15は、インターネットや電話網(ファックス送信)などの広域ネットワーク(Wide Area Network:WAN)または専用回線を使った閉鎖型ローカルネットワーク、あるいはこれらの組み合わせであってよい。
代表的なシステムの動作および効果
この実施形態では、前記薬剤配布機関13に設けられたシステム14は、前記医療機関11および前記薬局12から情報を受信し、その情報をコンピュータ可読媒体に格納し、次に、当該医療機関11および当該薬局12からの情報を処理することにより、薬剤を調剤するための処方承認コードおよび許可コードを生成する。薬剤の調剤のために、前記システム14がこのような処方承認コードおよび許可コードを生成することにより、有害な副作用の潜在的危険性がある薬剤を安全に配布することが可能になる。
このように、前記配布業者側に設けられた前記システム14は、コンピュータを利用して、図2に示すように、
(工程21、「S21」)前記医療機関11および前記薬局12の情報を受信し、前記システム14の記憶媒体に格納する工程と、
(工程22、「S22」)特定の患者に関する所定のパラメータおよび当該患者のリスクグループへの割り当てに関する情報を前記医療機関11から受信し、当該所定のパラメータおよび割り当て情報を前記システム14の記憶媒体に格納する工程と、
(工程23、「S23」)前記医療機関11からの前記パラメータに基づいて、前記患者を前記リスクグループに割り当てるために必要な条件が満たされているかどうかを判断し、前記必要な条件が満たされていない場合は、当該割り当てられた患者リスクグループを再検討するためのアラートを発する工程と、
(工程24、「S24」)前記医療機関11からの前記パラメータに基づいて、前記患者について前記薬物の服用を補助する当該患者の配偶者、指定された家族、または後見人の登録が必要であるかを所定の定義により判断し、前記配偶者、前記指定された家族、または前記後見人の登録が必要であるにもかかわらず前記パラメータに含まれていない場合には、そのような登録に対する同意の入力を前記医療機関11に要求するためのアラートを発する工程と、
(工程25、「S25」)前記リスクグループの分類と、前記配偶者、前記指定された家族、または前記後見人の登録が必要であるかの判断とに基づいて、処方承認コードを発行するか拒否するかを判断し、発行することを判断した場合は、前記処方承認コードを前記患者に関連付けて発行する工程と、
(工程26、「S26」)前記薬剤を調剤する資格のある薬局12から、前記処方承認コードを伴う当該薬剤の調剤申請を受け取り、当該申請が真正であることを確定する前記処方承認コードと、前記薬局12が前記システム14の前記記憶媒体に登録された薬局であるという情報とに基づいて当該薬剤の調剤許可コードを発行する工程と
を実行する。
構成
図3は、前記システム14の構成を例示した図である。前記システム14は、ソフトウェアプログラム格納部32およびデータ格納部33を有し、これらはCPU、RAM、およびユーザI/Fが接続された通信バス34に論理的に接続されている。前記ソフトウェアプログラム格納部32は、処方者情報/薬局情報登録ユニット35と、患者パラメータ/リスクグループ登録ユニット37と、患者評価レビューユニット38と、同意必要条件レビューユニット39と、承認コード生成ユニット40と、許可コード生成ユニット41とを有する。これらのユニット35および37〜41は、実際にはソフトウェアプログラムモジュールであり、前記CPUにより前記RAMへ読み出され実行されることにより、本発明の各構成要素として機能するようなっている。
前記処方者/薬局情報登録ユニット35は、図2の工程21を実行する。すなわち、この処方者/薬局情報登録ユニット35は、前記医療機関11および前記薬局12の情報を受信したのち、当該情報を(図3の参照番号42および43で示すように)前記システム14の前記データ格納部33に格納する。
前記患者パラメータ/リスクグループ登録ユニット37は、図2の工程22を実行する。すなわち、この患者パラメータ/リスクグループ登録ユニット37は、前記医療機関11から、特定の患者に関する所定のパラメータおよび当該患者のリスクグループ割り当てに関する情報を受信する。この患者パラメータ/リスクグループ登録ユニット37は、(参照番号44で示した)前記所定のパラメータおよび前記割り当て情報をデータ格納部33に格納する。
前記患者評価レビューユニット38は、図2の工程23を実行する。すなわち、この患者評価レビューユニット38は、前記医療機関11からの前記パラメータに基づいて、前記患者をリスクグループに割り当てるために必要な条件が満たされているかどうかを判断する。この判断は、前記データ格納部33に格納されている(参照番号44〜46で示した)定義に基づいて行われ、前記必要な条件が満たされていない場合は、前記システム14は、割り当てられた患者リスクグループを再検討するためのアラートを発する。このアラートは、前記医療機関11へ直接送信可能である。
前記同意必要条件レビューユニット39は、前記医療機関11からの前記パラメータに基づいて、前記患者について前記薬物の服用を補助する当該患者の配偶者、指定された家族、または後見人が必要であるかを前記データ格納部33に格納されている(参照番号44〜46で示した)所定の定義により判断し、前記配偶者、前記指定された家族、または前記後見人の登録が必要であるにもかかわらず前記パラメータに含まれていない場合には、そのような登録に対する同意の入力を前記医療機関11に要求するためのアラートを発する。
承認コード生成ユニット40は、前記リスクグループの分類と、前記配偶者、前記指定された家族、または前記後見人の登録が必要であるかの判断とに基づいて処方承認コードを発行するか拒否するかを判断し、発行することを判断した場合は、前記処方承認コードを前記患者に関連付けて発行する。この発行された承認コードは、前記患者の同意情報46と関連付けられて前記データ格納部33に格納される。
許可コード生成ユニット41は、前記薬剤を調剤する資格のある薬局12から、前記処方承認コードを伴う前記薬剤の調剤申請を受け取り、当該申請が真正であることを確定する前記処方承認コードと、前記薬局12が前記システム12に登録された薬局であるという情報とに基づいて当該薬剤の調剤許可コードを発行する。この発行された許可コードは、前記患者の同意情報46と関連付けられて前記データ格納部33に格納される。
代表的なシステムの動作
以下、前記システムの構成を、当該システムの動作を通じて詳細に説明する。
上述したように、前記薬剤の製造業者または処方者により、特に、例えば催奇形性薬剤を含む当該薬剤を処方する資格を有する処方者11(医療機関11)がこのシステム14に登録される。前記処方者11が前記システム14に登録されると、当該システム14は、当該処方者11が前記薬剤を必要とする患者に当該薬剤を処方する資格を有することを認識する。一般に、前記処方者11が前記システム14に登録されるには、当該処方者11は、以下詳述するように例えば教育およびカウンセリングを患者に提供することなどを含め、本明細書で説明する方法の種々の態様に準拠する必要がある。前記システム14への処方者11の登録は、例えば郵送、ファックス送信、またはオンライン送信で、登録カード、またはオンラインフォーム/オフライン用紙を前記処方者11に提供することにより行われ、本発明の特定の実施形態では、例えば前記処方者11が処方するとして登録されている特定の薬剤や、前記薬剤を患者に供給する適切な方法(本明細書で説明する薬剤を供給するための方法を含む)に関する適切な教材も同時に前記処方者11に提供される。本発明の特定の実施形態において、前記処方者11は、登録カードまたは登録フォーム(用紙)に必要事項を記入(入力)し、本発明の特定の実施形態において、前記登録カードまたは登録フォームは、例えば郵送、ファックス送信、またはオンライン送信により、前記システム14に送信される。前記登録カードまたは登録フォームにおいて前記処方者11に要求される情報としては、例えばその処方者の氏名、住所、および1若しくはそれ以上の医療機関との所属・提携関係(該当する場合)などが含まれる。次に、前記登録カードまたは登録フォーム内の処方者の情報は、処方者情報/薬局情報登録ユニット35によりデータ格納部33に入力される。前記処方者情報/薬局情報登録ユニットは、上記で説明した所定の資格基準に基づいて前記処方者11の資格について検証する。前記システム14への前記処方者11の登録は、例えば電話で、および/または音声自動応答システム14を使って行うことも考えられる。
例えば催奇形性薬剤を含む、処方された特定の薬剤を調剤する資格を有する薬局も、前記システム14に登録される。前記薬局が前記システム14に登録されると、当該システム14は、前記薬局が前記薬剤を必要とする患者に当該薬剤を調剤する資格を有することを認識する。一般に、前記薬局が前記システム14に登録されるには、薬局は本明細書で説明する方法の種々の態様に準拠する必要がある。その態様は、例えば患者を登録する(前記システム14にも登録する)工程と、患者が薬剤を供給するための方法における特定の態様に確実に準拠するようにする工程とを含み、またさらに以下詳述するように本方法の他の態様を含む。上述のシステム14への処方者11の登録と同様、薬局12の登録は、例えば郵送、ファックス送信、またはオンライン送信で、登録カードまたは登録フォームを薬局に提供することにより行われ、本発明の特定の実施形態では、例えば前記薬局12が調剤するとして登録された特定の薬剤や、前記薬剤を患者に供給する適切な方法(本明細書で説明する薬剤供給方法を含む)に関する適切な教材も同時に前記薬局に提供される。前記薬局が必要事項を記入(入力)した登録カードまたは登録フォームは、その後、例えば郵送、ファックス送信、またはオンライン送信により、前記薬剤の製造業者または配布業者、あるいは他の認可された登録カードまたは登録フォーム受領者に返却され、さらに前記システム14に登録される。前記登録カードまたは登録フォームにおいて前記薬局12に要求される情報としては、例えばその薬局の名称、住所、および病院や医療団体といった医療機関との所属・提携関係(該当する場合)などが含まれる。本発明の特定の実施形態において、前記登録カードまたは登録フォーム内の薬局の情報は、次に、薬局情報登録ユニット36によりデータ格納部33に入力される。前記薬局情報登録ユニットは、上記で説明した所定の資格基準に基づいて前記薬局12の資格について検証する。前記システム14への前記薬局12の登録は、例えば電話で、および/または音声自動応答システム14を使って行うことも考えられる。
上記のとおり、本明細書で説明するシステム14には、患者情報(患者パラメータ)の登録の工程も含まれる。一般に、前記患者が前記システム14に登録されるには、当該患者は、本明細書で説明する方法の種々の態様に準拠する必要がある。患者の登録は、前記登録済み薬局12によって、例えば前記患者の当該薬局12への初回の訪問時に行うことができる。ただし、患者登録は、薬剤が初めて処方される時点でその薬剤に関し登録済みの処方者11が行った方が本発明の方法がより効率的に遵守されることがこれまでにわかっている。
一形態では、通常、処方者11が患者に関する登録カードまたは登録フォームを記入する。この登録カードまたは登録フォームには患者の氏名、性別、住所、生年月日などの患者情報が含まれる。前記登録について上述した情報など、前記処方者11および調剤を行う薬局に関する情報も、前記患者の登録カードまたは登録フォームに入力されることが望ましい。次に記載済みのカードまたはフォームは、前記薬剤の製造業者または配布業者、あるいは他の認可された登録フォーム受領者へ、例えば郵送、ファックス送信、またはオンライン送信で転送される。郵送またはファックスで登録が行われる場合、本発明の特定の実施形態において、前記システム14への登録の入力は、光学式文字認識(optical character recognition:OCR)ソフトウェアの使用を伴う。また、前記システム14への前記患者の登録は、例えば電話で、および/または音声自動応答システムを使って行うことも考えられる。前記患者情報は、前記患者パラメータ/リスクグループ登録ユニット37により前記データ格納部33に格納される。前記患者パラメータ/リスクグループ登録ユニット37は、前記患者に関して受信した情報および投与すべき薬剤に関する情報に基づいて前記患者の資格にについて検証する。次に、患者パラメータ/リスク情報は、参照番号47で示すように、前記データ格納部33に登録される。
本発明の特定の実施形態では患者からも情報が収集され、その情報は、当該患者が当該薬剤を服用した場合生じることが知られているか若しくは疑われている副作用の危険性に関する証拠となる。次に、この情報は前記薬剤の所定のリスクパラメータセットと比較されて複数のリスクグループが定義され、当該情報の分析により少なくとも1つのリスクグループに前記患者を割り当てることが可能になる。このリスクグループの割り当ては、その後、前記システム14にも入力および送信される。このリスクグループ割り当てについては、前記処方者11が行って当該患者の登録カードまたは登録フォームに記入してもよいし、あるいは看護師、技師、または事務職員など別の個人が行うようにすることも可能であり、本発明の特定の実施形態では前記別の個人が情報を解釈し、当該患者にリスクグループの1つを適宜割り当てる。前記患者に対するリスクグループの割り当ては、前記患者パラメータ/リスクグループ登録ユニット37により、前記データ格納部33に格納される。
上記のとおり、所定のリスクパラメータセットにそれぞれ基づく複数のリスクグループは、投与される薬剤について確立されることが好ましい。当業者であれば、考慮すべき前記リスクパラメータと、それらのパラメータにより定義される前記リスクグループとは、当該患者が当該薬剤を服用した場合有害な副作用が生じることが知られているか若しくは疑われる危険性に影響を及ぼす要因に基づいており、対象となる薬剤に応じて異なることが容易に理解されるであろう。例えば、前記薬剤が催奇形性薬剤である場合、このようなリスクパラメータには、胎児が当該薬剤に曝露する危険性に影響を及ぼす要素、例えば当該患者の年齢、性別、および生殖状態を含めることができる。例えば、第1のリスクグループは妊娠する可能性のある女性患者を有し、第2のリスクグループは妊娠する可能性のない女性患者を有し、第3のリスクグループは性的に活発な男性患者を有し、第4のリスクグループは性的に活発でない男性患者を有する。また、当該薬剤の投与が厳密に禁忌である患者用にリスクグループを確立してもよく、そのようなグループに割り当てられた患者に、当該薬剤の受け取りが承認されることはない。他の薬剤については、特定の既存疾患がある可能性、または特定の他の薬剤が処方薬剤と併用される可能性に影響を及ぼすものなど、異なる要因が、関連するリスクパラメータを定義する可能性がある。
投与される薬剤について確立される複数の前記リスクグループおよびリスクパラメータの定義は、参照番号45で示すように、前記システム14の前記データ格納部にも格納される。この実施形態において、前記患者評価レビューユニット38により、前記リスクグループの割り当て、前記リスクパラメータ、前記患者情報、および前記処方者情報に基づいて、投与されるべき薬剤について患者を前記リスクグループに割り当てるための所定の工程に従って前記リスクグループの割り当てが正しく行われたことが確定される。前記リスクグループの割り当てが前記所定の工程に従って行われなかった場合は、前記システム14はアラートを生成する。
この実施形態において、上述したように、前記患者評価ユニット38は、前記患者情報を前記薬剤に関する前記所定のリスクパラメータセットと比較し、複数のリスクグループを生成する。これにより、前記レビューユニット38は、前記処方者11によって前記患者に割り当てられたリスクグループが適切であるかどうかを分析することができる。
上記のように、各患者をリスクグループに割り当てることにより、前記薬剤が禁忌患者に調剤される確率を最小限に抑えるため、且つ知られている若しくは疑われる有害な副作用の起こる危険性を最小限に抑えるため実施される前記工程を、特定の患者の状況に適すようカスタマイズすることが可能になる。例えば、患者に割り当てられたリスクグループに応じて、前記システム14は前記患者から追加情報を収集することを要求する。以下で詳述するように、そのような追加情報は、例えば患者調査の形態をとってよい。そのような追加情報には、それ以前に行われた特定の診断学的検査の結果も含めてよい。その追加情報のいかんにより、当該患者のリスクグループ割り当ては変わらない可能性もあるが、異なるリスクグループに割り当てられる可能性もあり、異なるリスクグループに割り当てられた場合はさらに当該患者から追加情報を収集することを要求する場合もある。
このように、前記システム14においては、患者評価レビューユニット38により、前記リスクグループの割り当て、前記患者情報、および前記処方者情報に基づいて、前記患者から追加情報を収集する必要があるかどうかが確定される。
上記の判断を行うための規則は、リスクパラメータ/リスクグループ定義情報45として前記データ格納部32に格納することができ、前記レビューユニット38は当該規則を利用して前記処方者11からの要求を処理する。
例えば前記システム14においては、患者に投与されるまたは投与が提案される2つ、3つ、若しくはそれ以上の薬剤について監視が実施され、1若しくはそれ以上の副作用が生じる可能性を回避または減少させる。薬剤の組み合わせを各患者に投与する場合は副作用の生じる可能性が高まるおそれがあるため、前記薬剤の組み合わせが前記システム14に登録され、前記危険性の増大が当該患者のリスクグループ割り当てに反映される。前記システム14において、医師は前記薬剤のうち少なくとも1つを患者に処方するよう登録され、薬局12はそのような処方に対し調剤を行うよう登録される。このように、患者を1若しくはそれ以上のリスクグループに割り当てることにより、前記患者評価レビューユニット38は有害な薬剤間の相互作用を回避するためのアラートを生成することができるようになる。前記リスクグループの割り当てを検討するための定義は、投与されるそれぞれの薬剤に従って前記データ格納部33に登録される。
特定の実施形態では、すべての所与のリスクグループについて、前記システム14は患者から収集すべき所定の追加情報セットを定義する。この追加情報セットは、当該薬剤の初回調剤前に取得でき、および/または当該患者から定期的に取得できる。この情報としては、それ以前に患者から得られなかった情報を含めてよく、あるいは単にそれ以前の質問を繰り返しても、それ以前に実施された診断学的検査を繰り返してもよい。この情報は、患者の行為、あるいは患者がこれまでに受けた若しくは現在も受けている他の医療処置や薬剤など患者の過去または現在継続中の治療に関係するものであってよい。例えば、前記追加情報セットは、患者の行動およびリスク回避措置の遵守に関する調査またはアンケートの形態をとってよく、有害な副作用の発生の危険性が増加したか、減少したか、または同じ状態のままかの証拠となる。患者のリスクグループ割り当ては、当該患者の回答に基づき、適切な場合適宜変更される。あるいは、薬剤の組み合わせに起因することが知られているか若しくは疑われている副作用については、患者に質問することで、患者がそのような薬剤の組み合わせを服用する可能性の有無について証拠ができる。同様に、患者が薬剤を共有することが懸念事項である場合、前記調査が患者が有害な薬剤を他者と共有している危険性の証拠となり、ひいては禁忌対象者が当該薬剤を受け取る危険性が増している証拠となる。このような追加情報および前記リスクグループの変更に関する情報は前記処方者11(医療機関)によって収集および判断され、前記システム14に送信され、前記データ格納部に登録される。
前記追加情報には、それ以前当該患者に対し行われた特定の診断学的検査の結果を含めてもよい。そのような診断学的検査は、例えば催奇形性薬剤に胎児が曝露する危険性の証拠となり、懸念される有害な副作用の危険因子の有無の検査となり、またはその副作用の発症の証拠となる。2つ以上の薬剤を組み合わせて使用すると副作用の生じる危険性が増すことが知られているか若しくは疑われている場合は、1若しくはそれ以上の前記薬剤の有無に関する検査、または患者がそのような他の薬剤を使用している証拠を前記診断学的検査に含めることができる。また、診断学的検査は、適切な投薬が維持されていることを保証する上で、処方された薬剤を含む1若しくはそれ以上の薬剤の濃度の証拠となる。本発明の特定の実施形態では、前記追加情報は、患者体内の白血球レベルに関するデータを有してよい。これらのデータは、患者における好中球減少症の有無の証拠となる。本発明の特定の他の実施形態では、前記追加情報は、患者体内の血小板レベルに関するデータを有してよい。これらのデータは、患者における血小板減少症の有無の証拠となる。本発明の特定の実施形態では、前記診断学的検査で、DVTの危険性またはPEの危険性の証拠となるデータを取得することができる。
そのような診断学的検査は、血液、血清、血漿、唾液、精液、尿、糞便を含む、患者の任意の体液または老廃物に対して実施できる。診断学的検査は、患者の任意組織の生検であってもよく、あるいは特定の有害な副作用に対する遺伝的素因を示す遺伝子検査を含めてもよい。診断学的検査の他の形態としては、画像診断や、任意の組織、器官、または系統14の適切な機能の証拠となる検査なども考えられる。本発明の特定の実施形態において、患者が当該薬剤の受け取りを承認される前に、前記追加情報および/または診断学的検査の結果が前記システム14に取得され入力される。前記承認コードを判断する定義は前記データ格納部33に格納されおり、前記承認コード生成ユニットは当該データ格納部に登録された患者のリスク同意情報48を検証する。
また前記情報により、有害な副作用の発生の危険性が当該薬剤の潜在的な有益性を上回ることが示された場合、患者は当該薬剤の調剤を承認しないリスクグループに割り当てられる。
したがって、前記実施形態における前記システム14によれば、患者への薬剤の供給は次の工程を伴う。薬剤が患者に処方および調剤される前に、当該処方者11および当該薬局12は、上記のように前記システム14に登録される。前記処方者11が前記システム14に登録されていない場合は、当該処方者11は前記薬剤を処方する資格がない。同様に、前記薬局12が前記システム14に登録されていない場合は、当該薬局12は前記薬剤を調剤する資格がない。
癩性結節性紅斑(ENL)や多発性骨髄腫など1若しくはそれ以上の疾患および/または障害に悩む患者を含む患者の検査過程で、処方者11は、サリドマイドおよびレナリドマイドを含め、催奇形性薬剤や催奇形性であることが疑われる薬剤などの投薬により、前記患者の疾患が改善されるかどうかを判断する。本発明の特定の実施形態では、前記薬剤を処方する前に、前記処方者11は、例えばその薬剤に伴う種々の危険性および有益性について、患者にカウンセリングする。例えば、本発明の特定の実施形態において、前記処方者11は、患者に対し、当該薬剤の服用に伴う有益性について説明し、それに伴う種々の副作用も説明する。本発明の実施形態で前記処方者11が患者を特定のリスクグループに割り当てる場合、本発明の特定の実施形態は、割り当てられた特定のリスクグループについて具体化して開示している。そのため、禁忌薬剤のある疾患に罹患した患者は、本発明の特定の実施形態において、前記禁忌薬剤に伴う危険性と、危険性を回避するため取るべき措置とについて前記処方者11からカウンセリングを受ける。本発明の特定の実施形態において、患者には、当該薬剤の服用に伴うことが知られているか若しくは疑われている危険性がすべて完全に開示される。例えば催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤の場合、本発明の特定の実施形態において、前記処方者11は、前記催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤に対し患者の胎児または患者体液の被提供者の胎児が曝される危険性について、当該患者にカウンセリングする。そのようなカウンセリングは、口頭および書面で提供される。特定の実施形態において、前記処方者11は、処方が考慮されている薬剤について、製品情報、教育用パンフレット、生涯教育用モノグラフなどの印刷物資料を患者に提供する。これにより、催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤を伴う方法の場合、本発明の特定の実施形態において、前記処方者11は、上記の製品情報、教育用パンフレット、生涯教育用モノグラフなどの形態で印刷物情報を患者に提供し、(知られているかまたは疑われている)当該薬剤の胎児への影響について、患者に警告する。有害な副作用を生じることが知られているか若しくは疑われている他の薬剤の場合、患者は、当該薬剤の服用に伴う危険性およびそれらの危険性を回避する上で踏むべきステップについてカウンセリングを受ける。例えば、前記薬剤と別の薬物(例えばアルコール)との併用を避けるべき場合、前記処方者11は、当該薬剤の服用中にアルコールを飲む危険性がある患者にカウンセリングを行う。
特に催奇形性薬剤および催奇形性であると疑われる薬剤に関連して提供されるカウンセリングについては、本発明の特定の実施形態において、妊娠女性がそのような薬剤を絶対使用してはならない旨を前記処方者11が女性患者にカウンセリングする。患者が妊娠する可能性のある女性(すなわち妊娠可能な女性)である場合、本発明の特定の実施形態において、前記処方者11は、わずか1回分の用量であっても、サリドマイドやレナリドマイドなど特定の催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤は、出生異常の原因になりうることを患者にカウンセリングする。これを受け、本発明の特定の実施形態において患者は、性交を全面的に回避し、または性的に活発な場合は適切な形態の避妊を行うようカウンセリングを受ける。本発明の特定の実施形態において、前記処方者11は、男性患者にも女性患者にも、少なくとも2形態の効果的な避妊法を使うことが重要であるとカウンセリングし、そのうち1つの形態は、本発明の特定の実施形態において高度に効果的なホルモン法であり、他方の形態は、本発明の特定の実施形態において効果的なバリア法(遮断法)である。本発明の特定の実施形態において、患者は、催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤による治療前および治療中の一定期間、さらに当該薬剤での治療が終了した後の一定期間、前記避妊法を実施するようカウンセリングを受ける。特定の実施形態では、患者は、治療開始前少なくとも約4週間、治療中、および治療終了後少なくとも約4週間の間、少なくとも2形態の避妊を行うようカウンセリングを受ける。前記処方者11は、妊娠可能な女性患者に対し、1若しくはそれ以上の避妊具または避妊薬を自ら提供することが望ましい。
本発明の特定の実施形態において、催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤を処方された男性患者は、性的関係を持つたび毎回コンドームを使用するようカウンセリングを受けるが、これは、催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤の多くが精液に含まれるおそれがあるためである。また本発明の特定の実施形態において、男性患者は、コンドームを着用せず性交を持った場合、および/または妊娠を引き起こしたと考えられる場合、前記処方者11に連絡するようカウンセリングを受ける。女性患者の場合と同様、前記処方者11は、女性患者を妊娠させることが可能な男性患者に、避妊具または避妊薬を提供することが望ましい。避妊に関して前記処方者11が患者に行える他のカウンセリングは、本出願の説明を理解した当業者にとっては明白であろう。催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤を処方する前記処方者11が、利用可能な避妊方法の特定の態様およびその利点および欠点について知識がない場合、患者は、当該薬剤を処方される前に、そのような事柄に精通した処方者11への紹介を受けるべきである。一般に、後述するように、催奇形性や避妊などに関するカウンセリングは、本発明の特定の実施形態において、妊娠可能な女性患者、または妊娠中の若しくは妊娠可能なパートナーと性的関係を持つことが可能な男性患者だけに提供される。これにより、例えば出産適齢期を過ぎた女性またはそのような女性と性的関係を持つことができない男性への不要なカウンセリングを回避することができる。
さらに、催奇形性薬剤、催奇形性であると疑われる薬剤、または他の潜在的に有害な薬剤が関与する方法に関して、前記処方者11は、当該薬剤を誰とも共有しないよう、また特に当該薬剤を子供および妊娠する可能性のある女性の手の届かない場所に保管するよう、患者にカウンセリングする。女性患者、特に妊娠する可能性がある女性患者の場合、前記処方者11は、催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤での治療前および治療中に、当該患者に妊娠検査(本発明の特定の実施形態では血清を使った妊娠検査)を行うべきである。妊娠する可能性のある女性患者は、前記催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤の受け取りを開始し、かつ当該薬剤を受け取り続けるには、妊娠検査の結果が継続的に陰性であり続けなければならない。本発明の特定の実施形態において、患者は、(a)薬剤の服用前、(b)薬剤を服用する最初の28日間、1週間に1回、および/または(c)薬剤を服用した治療過程の終了後、妊娠検査を受ける。本発明の他の実施形態では、患者は、処方箋が書かれる10日前、11日前、12日前、または14日前と、さらに処方箋が書かれる前24時間以内とに、妊娠検査を受ける。
さらに、レナリドマイドなど好中球減少症または血小板減少症を惹起すると疑われている薬剤が関与する本発明の特定の実施形態に関しては、前記処方者11は、患者の血球数を監視する。例えば血球数は、薬剤を投与する最初の12週間は2週間ごとに監視し、その後、少なくとも毎月監視できる。別の例として、薬剤を投与する最初の8週間は2週間ごとに血球数を監視し、その後、少なくとも毎月監視できる。本発明の特定の実施形態において、好中球減少症または血小板減少症を生じることが疑われる薬剤の受け取りを開始し、および/または前記薬剤を受け取り続けるには、患者は、許容範囲内の血球数を有さなければならない。本発明の他の特定の実施形態において、好中球減少症または血小板減少症を生じることが疑われる薬剤の受け取りを開始し、および/または前記薬剤を受け取り続けるには、患者は、輸血を受け、または好ましくない血球数若しくは低い血球数を改善することのできる1若しくはそれ以上の薬剤を服用しなければならない。
また本発明の特定の実施形態において、患者は、処方された薬剤のいかなる未使用部分を破棄し、あるいは当該未使用部分を前記処方者11、前記薬局12、製造業者、または配布業者に返却するよう、前記処方者11からカウンセリングを受ける。
当業者であれば、本出願の教示を一度理解すれば、上述したカウンセリングの1若しくはそれ以上の態様が、特定の状況で、催奇形性薬剤以外の薬剤について適用できることが明白である。
本発明の方法は、本発明の特定の実施形態において、患者は、例えば避妊に関するカウンセリングを含むカウンセリングを処方中の薬剤について受けるほか、当該薬剤の処方箋を受け取る前にインフォームドコンセントフォーム(同意書)に記入しなければならず、そのフォームには当該患者だけでなく当該処方者11も署名することが必要である。前記処方者11は、記録用に前記インフォームドコンセントフォームの写しを保管しなければならない。また、前記患者がインフォームドコンセントを行ったことの実証は患者のリスク同意情報として前記システム14に登録される。本発明の特定の実施形態において、この実証は、例えば前記患者の登録情報およびリスクグループ割り当てとともに、前記処方者11から提供される。驚くべきことであるが、薬局ではなく前記処方者11が患者のインフォームドコンセントを確認することにより、本発明の方法は、より効率的に実施され、患者の服薬遵守改善につながり、したがって有害な副作用の生じる危険性を低減することがわかっている。
インフォームドコンセントフォームに記入および署名することにより、患者は、当該薬剤の服用に伴う危険性について理解したことを認める。本発明の特定の実施形態では、このインフォームドコンセントフォームにおいて、患者は、提供されたリスク回避措置を遵守し前記処方者11のカウンセリングに従ってで行動することに同意する。例えば催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤が関与する場合、患者は少なくとも1形態の避妊を行うことに同意し、女性患者の場合は少なくとも2形態の避妊を行うことに同意する。特定の実施形態では、患者のリスクグループの割り当てに制約される場合、当該患者は、回避すべき有害な副作用が生じる危険性に関する定期的な診断学的検査を受けることに同意する。催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤が関与する特定の実施形態において、女性患者は、前記催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤での治療前、治療中、および治療後に、本発明の特定の実施形態では妊娠検査を受け、本発明の特定の実施形態では血清を使った妊娠検査を受けることにも同意する。本発明の特定の実施形態において、患者は、(a)薬剤の服用前、(b)薬剤を服用する最初の28日間、1週間に1回、および/または(c)薬剤を服用した治療過程の終了後、妊娠検査を受ける。本発明の他の実施形態では、患者は、処方箋が書かれる10日前、11日前、12日前、または14日前と、さらに処方箋が書かれる前24時間以内とに、妊娠検査を受ける。また、本発明の特定の実施形態において、女性患者は、薬剤、特に催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤を処方された時点で妊娠していないことと、妊娠した時点で前記薬剤の服用をただちに停止することと、前記薬剤での治療が終了した後少なくとも4週間は妊娠しようとしないこととを認める。女性患者、特に催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤の投与を受ける女性患者は、本発明の特定の実施形態において、使用している1若しくはそれ以上の避妊法を変更することを希望する場合、および月経がなく追加妊娠検査を受けることを希望する場合、さらに当該女性患者の処方者11に連絡することに同意する。女性患者、特に催奇形性薬剤および催奇形性であると疑われる薬剤で治療される予定の女性患者は、本発明の特定の実施形態において、前記薬剤による治療中は授乳しないことに同意する。
本明細書で説明する方法によれば、薬剤、特に催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤を処方された男性患者は、本発明の特定の実施形態において、前記薬剤での治療中に、女性、特に妊娠妊娠する可能性がある女性との無防備な性的関係を避けることに同意する。その場合、本発明の特定の実施形態において、男性患者は、女性との性的関係中にコンドーム(ラテックスコンドームが好適)を使用することにさらに同意する。また本発明の特定の実施形態では、男性患者も女性患者も、当該薬剤を誰とも共有しないことに同意し、当該薬剤の服用中は献血できないことに同意し、男性患者の場合は精子を提供しないことにも同意する。また本発明の特定の実施形態において、患者は、例えば当該薬剤での治療前、治療中、および治療後に、秘密厳守の患者調査に参加することに同意する。この患者調査では、例えば当該薬剤の前記処方者11、製造業者、および/または配布業者、さらに当該薬剤の配布を全般的に監視するため確立された任意のグループまたは団体に、患者の性行動に関する詳細情報を含め患者のライフスタイル全般に関する情報が提供される。この調査は、危険な行動を起こす患者および本明細書で説明する方法を遵守しない患者の特定に役立つ。そのような危険な行動および/または服薬不履行(服薬ノンコンプライアンス)が見られた場合は、当該薬剤による患者治療を一時停止し、またはそれに介入して、患者を再教育することができる。
前記調査から得られた情報は、本発明の特定の実施形態において、前記システム14にも入力される。前記システム14に前記情報が入力されると、前記患者評価レビューユニット38、同意レビューユニットおよび/または承認コード生成ユニット40は、種々の患者への当該薬剤投与に伴う危険性のレベルについて情報を収集できるようになる。これにより、前記システム14は、登録された患者集団の全体から、関与する薬剤が禁忌である可能性の高い1若しくはそれ以上の検討すべき患者部分集団を特定することが可能になる。例えば、妊娠することのできる女性患者の部分集団および/または女性患者を妊娠させることのできる男性患者の部分集団を特定することが可能である。本発明の特定の実施形態では、催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤への胎児の曝露に関する上述のカウンセリング情報を、主にこの患者部分集団に提供する。
危険性が許容範囲内と見なされる場合、患者は、本明細書で説明する方法を使って当該薬剤を受け取り続けることができる。危険性が許容範囲外と見なされる場合は、付加的なカウンセリングが患者に提供され、または必要に応じて当該薬剤による当該患者の治療が終了され、代替治療モダリティが提供される。特定の実施形態において、女性患者は少なくとも毎月1回患者調査に回答し、男性患者は少なくとも3〜6か月に1回患者調査に回答することに同意する。この調査は、郵送、ファックス送信、オンライン送信、または電話で実施してよい。本発明の特定の実施形態において、この調査は、音声自動応答システム(IVR)の使用を介し電話で実施される。
患者が上記のようにカウンセリングを受け、またインフォームドコンセントフォームに記入および署名し、処方されるべき薬剤が当該患者に禁忌でないと判断された後(例えば、催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤を処方することが望ましい女性患者の場合は、妊娠検査が陰性だった場合など)、前記処方者11は、当該薬剤を当該患者に処方する。本発明の特定の実施形態において、患者に処方される薬剤の量は限られたものであり、本発明の特定の実施形態では、約28日間を超えない期間処方される。当該薬剤の再調剤は、以下で詳しく説明するように前記処方者11から処方箋が更新されない限り許可されない。本発明の特定の実施形態において、薬剤が調剤されるようにするには、患者は、上述のとおり登録された薬局12で、処方箋およびインフォームドコンセントフォームを提示する。患者は、処方箋を未登録の薬局12に持ち込むことも考えられる。その場合、当該薬局12は、例えばただちに当該薬剤の製造業者に連絡することにより、前記システム14に登録する工程を実施することができる。前記薬局12の登録が一度完了すると、本明細書で以下説明する配布手順が再開可能になる。言うまでもなく、これにより処方工程が遅れるため、患者は薬剤の処方箋を別の登録済み薬局12に持っていくことを希望する可能性もある。患者が記入済みのインフォームドコンセントフォームを薬局12で提示しない場合、またはそのようなインフォームドコンセントの実証がそれ以前に、前記システム14に登録されていなかった場合、前記レビューユニット38,39、承認コード生成ユニット40および/または許可コード生成ユニット41は、承認コードまたは許可コードの発行を許可しないため、薬剤は調剤されない。この場合、薬局12は、当該薬剤の処方者11に連絡して当該患者用にインフォームドコンセントフォームが記入されるように手配し、さらに当該フォームは前記システム14に登録される。
本発明の特定の実施形態において、薬剤は、個別ブリスター包装など包装された状態で薬局12(および患者)に供給され、前記包装には、当該薬剤に伴う危険性と、妊娠検査や避妊(催奇形性薬剤および催奇形性であると疑われる薬剤の場合)など本方法の種々の態様の重要性と、当該薬剤を他者と共有することに伴う危険性とに関する警告等が含まれる。
上記のとおり、本発明の特定の実施形態において、薬剤は限られた量のみ患者に処方および調剤され(約28日間を超えない処方量が好ましい)、本発明の特定の実施形態では再調剤は許可されない。これにより、患者が追加で処方箋を得るには、前記処方者11からフォローアップ診察を受けることが一般に必要となる。そのようなフォローアップ診察は、本発明の特定の実施形態において、少なくとも患者が処方箋の更新を必要とするたび行われ、可能性として当該患者が例えば追加カウンセリングを必要とする場合は、より頻繁に行われる。そのフォローアップ診察時、本発明の特定の実施形態において、患者は、当該薬剤の服用に伴う危険性および利点に関する追加カウンセリングを受け、さらに(該当する場合)避妊に関するカウンセリングも受ける。また本発明の特定の実施形態において、患者は付加的な患者調査に回答し、性行動を含め自分のライフスタイルに関する現時点での情報を提供し、妊娠する可能性がある女性の場合は妊娠試験を新たに受ける。本発明の特定の実施形態において、患者は、(a)薬剤の服用前、(b)薬剤を服用する最初の28日間、1週間に1回、および/または(c)薬剤を服用した治療過程の終了後、妊娠検査を受ける。本発明の他の実施形態では、患者は、処方箋が書かれる10日前、11日前、12日前、または14日前と、さらに処方箋が書かれる前24時間以内とに、妊娠検査を受ける。
カウンセリングを受け患者調査に回答した後に女性患者の妊娠検査が陰性だった場合、前記処方者11は、当該女性患者に薬剤を新たに処方することができる。元の処方箋と同様、更新された処方箋は、本発明の特定の実施形態において、約28日間を超えない限られた期間に対するものであることがより好ましい。上述した規則はリスクパラメータ/定義情報45としても登録される。
また特定の実施形態において、前記処方者11は、前記製造業者、配布業者、または当該薬剤の配布を監視する他のグループまたは団体の場所に設けられた前記システム14から、当該処方者11が潜在的に有害な薬剤をそれが禁忌であるかもしれない患者に処方した旨および当該患者が付加的なカウンセリングおよび診断学的検査を必要とする可能性がある旨のリマインダ(確認通知)を、例えば郵送、ファックス、またはオンライン送信で受け取る。そのようなリマインダは、本発明の特定の実施形態において、例えば前回の調剤から約14〜約21日後に前記処方者11に送付される。
前記処方者11からの元の処方箋と同様、患者は、更新された全処方箋を登録済み薬局12に提示しなければならない。前記薬剤を調剤する前に、前記薬局12は、本発明の特定の実施形態において、例えば標準的なオンライン送信またはIVR経由の電話で、当該患者が登録済みで当該薬剤を受け取る資格があることを確認する。患者の服薬資格が確認されると、前記薬局12は当該薬剤を当該患者に調剤することができる。患者に資格がない場合、前記薬局12は、当該薬剤を当該患者に調剤しないことが一般である。前記薬局12は、例えば当該薬剤の処方者11または製造業者に連絡して患者登録を開始することができる。特定の実施形態において、患者が前回処方された薬剤をまだ約7日間分より多く有する場合、および/または当該患者が薬剤を調剤してもらうために当該薬局12を訪れた日付より約14日前以前に新しい処方箋が書かれている場合、前記薬局12は、当該薬剤を調剤できないようになっている。
本明細書で説明する方法によれば、前記処方者11、薬局12、および患者を前記システム登録することにより、催奇形性薬剤および催奇形性であると疑われる薬剤を含む禁忌薬剤の配布を監視し、その配布権限を付与する手段が提供される。これにより、前記システム14は、本発明の方法を遵守しない患者、薬局、または処方者に対し、催奇形性薬剤および催奇形性であると疑われる薬剤を含む禁忌薬剤へのアクセス、その調剤、またはその処方を拒否する役割を果たす。上記のとおり、前記システム14に登録されていない処方者は、一般に前記薬剤を処方できず、登録されていない薬局は、一般に前記薬剤を調剤できない。同様に、前記システム14に登録されていない患者対しては、一般に前記薬剤の処方および/または調剤は行われない。また、患者は、インフォームドコンセントフォームを前記薬局12に提示しなければならない。そのようなフォームが前記薬局12で提示されない限り、またはそのようなインフォームドコンセントの実証が前記処方者11から提供されて前記システム14に登録されない限り、患者は、一般に、前記薬剤の処方箋を受け取ることができない。上記のとおり、前記薬剤は限られた量のみ患者に処方が許され、処方の再調剤は許されない。
この実施形態において、前記システム14は、患者用に薬剤を調剤する前に、登録済み薬局12が当該システム14に照合を行い、処方承認コードを読み出すことを要求する。本出願における「処方承認コード」とは、単に処方箋に関連付けられた番号を指すものではなく、副作用の生じる危険性が許容範囲内であることが判断された事実と、調剤について承認、つまり肯定的判断がなされた事実とを表すコードである。本発明の特定の実施形態において、この承認コードは、前記処方者11、前記薬局12、前記患者、前記患者のリスクグループ、および前記患者のインフォームドコンセントが前記システム(参照番号48で示す)に適切に登録されていない限り提供されない。また、前記リスクグループの割り当てによっては、前記処方承認コードを生成するために、前記リスクグループ割り当てに関連すると上記で定義したように、定期的な調査と診断学的検査の結果とを含む追加情報セットを前記システムに登録することがさらに必要となる。このように、前記登録済み薬局12は、前記システム14に準拠して処方薬剤を調剤する承認を受けるために、前記承認コードを読み出す必要がある。この処方承認コードが得られない場合、患者は、電話などで必要な調査に回答するよう指示され、または前記処方者11のもとで必要な診断学的検査を完了するよう指示される。この実施形態において、前記許可コード生成ユニット41は、前記薬剤を処方どおりに調剤する必要条件が全て満たされている場合、許可コードを前記薬局12に発行する。
このように、前記薬局12にかかる負担が最小限に抑えられ、本方法の遵守レベルが効率的かつ有利に改善される。また、本明細書で説明する実施形態では、患者のリスクグループ割り当てに適し必要とされるすべての追加情報が患者への薬剤調剤前に得られることで、有害な副作用の生じるリスクがより確実に最小限に抑えられるよう保証される。
催奇形性薬剤および催奇形性であると疑われる薬剤を供給することは、本発明の明らかな有益性を有する一態様であるが、本明細書ですべて企図されている本発明の1若しくはそれ以上の実施形態によれば、他タイプの薬剤も有益に処方および供給される。例えば本発明の方法は、患者の多くに肝臓損害を起こすことが知られているか若しくは疑われている薬剤を供給する場合に使用できる。そのような薬剤の1つは、結核(tuburculosis:TB)の治療薬として周知のイソニアジドである。以下の本発明の方法では、登録された医師が、TB検査の結果が陽性であった患者にイソニアジドの処方を希望する場合を考慮する。この医師は、前記システム14に、前記患者の年齢や病状などに関する特定の情報とともにこの患者を登録する。例えば前記患者が若年成人であり他の複雑な危険因子がない場合、この患者は、回避すべきアルコール併用など特定の行動に関するカウンセリングを受けるよう指定されたリスクグループに割り当てられる。当該患者は、イソニアジド服用で生じるおそれのある肝臓損害の危険性について十分な情報を提供され、本発明の特定の実施形態では、当該薬剤の治療中、いかなるアルコール飲料も飲まないようカウンセリングを受ける。本発明の特定の実施形態において、患者はインフォームドコンセントフォームに署名し、処方者である医師は、このインフォームドコンセントの実証を、前記患者の登録フォームおよびリスクグループ割り当てとともに、前記システム14へ送信する。次に当該医師は、イソニアジドの処方箋を当該患者に提供する。前記処方箋が登録済み薬局12で提示されると、当該患者および当該処方者11が登録済みであることと、当該患者のリスクグループ割り当ておよびインフォームドコンセントが提供済みであることとを検証するため、前記システム14が照合される。
当該患者のリスクグループ割り当てに応じて、特定の診断学的検査が付加的に必要とされる場合は、調剤が承認される前に、ベースラインデータが取得される。当該患者のリスクグループによっては、例えば血清肝臓酵素を毎月評価する必要が出てくる。これらの状況では、本発明の特定の実施形態において、約30日間を超える調剤は行われない。
また本発明の特定の実施形態において、患者には、毎月調査に回答しなければならない旨が伝えられる。この調査には、当該患者の過去1か月間のアルコール消費の証拠となるアンケートを含めることができる。この調査には、肝臓損害早期発症その他イソニアジドに起因することが知られているか若しくは疑われるている副作用の指標となりうる特定症状の証拠となる質問を含めることもできる。また、当該患者には、イソニアジドと組み合わせて服用すると有害なことが知られているかている他の薬剤の併用に関する質問もなされる。本発明の特定の実施形態において、この調査は音声自動応答システムを使って電話で実施され、その回答は前記記憶媒体に入力される。その回答に基づき、当該患者のリスクグループ割り当ては、必要に応じて調整され若しくはそのまま残される。
さらに本発明の特定の実施形態において、患者は、引き続き処方の承認を受けるには、定期的な診断学的検査が必要である旨の説明を受ける。本発明の特定の実施形態において、前記診断学的検査には、肝臓損害の早期徴候をスクリーニングするための患者の血清肝臓酵素レベルのアッセイが含まれる。また、この診断学的検査には、肝臓損害を生じ若しくはイソニアジドとの併用が有害であることが知られているかている他の薬剤の存在に関するスクリーニングを含めることもできる。一般に、上記のような定期的検査が行われ条件を満たす結果が前記システム14に入力されるまで、次回の処方箋または再調剤のための処方承認コードは生成されない。前記薬局12が処方承認コードを受け取らない場合、患者は、必要な調査に回答し、検査を受け、または医師のもとでさらにコンサルティングを受けるよう指示される。
前記検査または調査の結果、肝臓損害の危険性が増大したことが示されると、当該患者のリスクグループ割り当ては変更され、あるいは当該患者はイソニアジドの追加調剤前に前記処方者11の診察を受けるよう指示される。これにより、懸念される有害な副作用の進行を監視することができる。例えば、前記検査で肝臓酵素が若干上昇したことが示されると、当該患者のリスクグループのステータスは、第1のリスクグループから第2のリスクグループへ変更される。この第2のリスクグループの一人となった当該患者は、当該薬剤の受け取りについて承認を受ける前に、追加の診断学的検査を受けなけれならならくなる可能性がある。そのような検査には、例えば可能性としてイソニアジドに起因し、またはイソニアジドおよびアルコールなど他の薬物の組み合わせに起因した細胞傷害のレベルをさらに診断するための肝臓機能検査を含めることができる。より強烈なケースでは、肝臓の超音波診断、さらに肝臓生検も示唆される。最終的に、イソニアジド投与を継続した場合の危険性が、その継続治療で可能な有益性を上回ると、当該患者は、イソニアジドの調剤が中止されたことを示すリスクグループに割り当てられる。
本発明の方法は、例えばヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus:HIV)感染で患者が治療を受けている場合、同様に使用できる。HIVの検査結果が陽性の患者は、後天性免疫不全症候群(Acquired Immune Deficiency Syndrome:AIDS)の発症に対抗する1若しくはそれ以上の薬剤で治療することが可能である。HIV陽性の患者は、例えば1若しくはそれ以上のウイルスプロテアーゼ阻害剤および逆転写酵素阻害剤の組み合わせを含む複数薬剤を混合した「エイズカクテル」を投与されることが非常に多い。本発明の方法に従うことにより、患者は、薬剤の組み合わせの服用による有害な副作用の危険性を最小限に抑えつつ、当該薬剤の組み合わせを引き続き服用することができる。また、本発明の方法を望ましくかつ有利に使用して、薬剤を服用する患者、その薬剤を処方する処方者、およびその薬剤を調剤する薬局を教育し、その行動および行為を強化することができる。
前述の本発明の方法と同様、患者のHIV検査結果が陽性だった場合、登録された処方者11は、当該患者に関する背景情報を取得し、登録フォームが記入済みであり、当該患者が前記システム14に登録可能であることを確認する。前記処方者11は、有害な副作用を生じることが知られているか若しくは疑われている薬剤を含む1若しくはそれ以上の薬剤を、単独で、互いに組み合わせて、または他の薬剤と組み合わせて前記患者に処方することができる。処方される薬剤に応じ、また本発明の特定の実施形態で当該患者の病歴、身体的状態、およびライフスタイルについて前記処方者11が取得する情報に応じ、患者は、本発明の特定の実施形態において、少なくとも1つのリスクグループに割り当てられる。このリスクグループ割り当てに基づき、本発明の特定の実施形態において、患者は、処方された薬剤に伴う危険性について、教材を受け取りカウンセリングを受け、治療計画の重要性について助言を受ける。また本発明の特定の実施形態において、患者は、当該患者の胎児および当該患者の全体液被提供者を含め、他者に疾患を蔓延させてしまう危険性についてカウンセリングを受ける。これを受け、患者は1若しくはそれ以上の避妊法の優先的使用についてカウンセリングを受け、前記処方者11から避妊具も提供される。また本発明の特定の実施形態において、患者は、当該薬剤のいずれも他者と共有しないこと、および処方されていないいかなる薬剤も回避することについてカウンセリングを受ける。このように、本発明の特定の実施形態において、患者は、当該疾患の蔓延を最小限に抑える方法と、当該薬剤の服用に起因しうる1若しくはそれ以上の副作用の発生を回避する方法との双方についてカウンセリングを受ける。本発明の特定の実施形態において、当該治療計画に内在するリスクをすべて十分に説明した時点で、前記処方者11は、患者のインフォームドコンセントを取得し、これを前記システム14に登録して、当該患者の薬剤の受け取りを可能にし、また処方された薬剤の服用に起因しうる1若しくはそれ以上の副作用の発生を回避するための本明細書で説明する方法を遵守するようにする。
本発明の方法の遵守を促進し、処方された薬剤での治療で生じることが知られているか若しくは疑われている有害な副作用が起こる可能性を最小限に抑えるには、当該薬剤の処方箋が登録済み薬局12で提示される際、当該薬剤が患者に調剤される前に、前記システム14の照合により処方承認コードが読み出されることが好ましい。処方承認コードが生成されるようにするためには、患者は、そのリスクグループ割り当てに基づいて追加情報を提供する必要があり、その追加情報は当該処方が承認される前に、前記記憶媒体へ入力される。例えば、患者は、特定の診断学的検査を受けなければならない場合がある。HIVに感染した患者では、例えば、必要に応じて当該薬剤の投与量を調整できるよう、初期および定期的にウイルス量の検査が必要とされる。また患者は、患者が他の薬剤を服用している可能性、または治療計画の選択および実施に重要な症状を呈し始めている可能性の証拠となる質問を伴う調査に回答することが必要になる。そのような追加情報は、治療の開始前に必要とされ、また新しい処方箋が生成され処方箋が再調剤されるに伴い治療中にも定期的に必要になる。患者から提供された情報と、該当する場合は実施された診断学的検査の結果とに基づき、当該患者のリスクグループ割り当ては、現状を維持し、または必要に応じて変更される。患者のリスクグループ割り当ては、当該患者が当該薬剤を服用してきた期間の長さに基づいても変更される。
定期的な患者調査は、薬剤配布プログラムの要件を患者に再確認させ、さらに有害な副作用が生じる危険性の証拠となる情報を取得するという役割も果たす。例えば、この調査には、他のHIV陽性個人との薬剤共有について患者行動の証拠となる質問や、当該疾患の蔓延を回避するための措置に患者が遵守している証拠となる質問を含めることができる。また、この調査には、患者が利用しているかもしれない他の薬剤、医薬品、または治療のうち有害な副作用が生じる危険性に影響を及ぼすおそれのあるものに関する質問を含めることもできる。
この調査には、患者治療計画の変更の必要性を示唆する特定症状の発症の証拠となる質問を含めることもできる。例えば、一部の質問は、AIDS患者に一般に生じるうつ病が患者に発症している証拠となるものであってよい。前記調査の質問への回答がうつ病を示している場合は、当該患者のリスクグループ割り当てが変更され、例えば、抗うつ薬治療の必要性について判断するために、当該患者は前記処方者11の診察を受けるよう指示される場合がある。同様に、プロテアーゼ阻害物質など特定の薬剤は、特定の患者で脂肪の再分布異常につながるおそれがある。この症状は、特定の代謝欠陥と同時に見られる場合があり、高血糖や高コレステロールなどの疾患の症状でもある。前記調査にはこの異常に関する質問を含めることができ、患者がそのような身体的変化に気づいたことを示す回答をした場合、その患者のリスクグループは、対象薬剤へのアクセスが追加承認される前に代謝異常の証拠となる診断学的検査が必要とされるものへと割り当てられる。
前記調査と同様、患者に必要となる診断学的検査は、当該患者のリスクグループ割り当てに応じて異なり、本発明の特定の実施形態では、当該患者のリスクグループ割り当てに適したものである。患者のウイルス量検査に加え、例えば患者体内の1若しくはそれ以上の薬剤のレベルを評価する定期的な診断学的検査が適切な場合もある。逆転写酵素阻害物質の用量は、例えば有害な副作用が生じる危険性に関し重要な要因である。同時に、頻繁に併用される種々の薬剤も同様な代謝経路をたどるため、治療計画に第2の薬剤を加えると第1の薬剤の薬物動態が大幅な影響を受け、前記第1の薬剤の用量調整を余儀なくさせるおそれがある。例えば、よく知られたプロテアーゼ阻害剤であるリトナビルを含む「エイズカクテル」での治療は、他のプロテアーゼ阻害剤の生物学的利用能に大幅な影響を及ぼすため、他のプロテアーゼ阻害剤の用量を減らすことが必要になる。このため、リトナビルを患者の治療計画に含めるとリスクグループの割り当てに変更が生じ、併用する他のプロテアーゼ阻害剤血中レベルを評価するための診断学的検査が定期的に必要になる。
同様に、処方を行う医師、または患者が診察を受ける可能性のある別の医師が治療計画に他の薬剤を加えると、登録済み処方者11が処方した初期の治療計画を妨げるおそれがある。例えば、エイズ患者は、結核などのマイコバクテリア感染を起こすことが多い。感染性疾患の専門家は、このような感染を治療するため、リファンピンやリファブチンなどリファマイシンとして知られた薬剤分類の1つを処方する可能性がある。ただし、リファマイシンは、多くのプロテアーゼ阻害剤の代謝を加速することが知られているため、リファマイシンでの治療開始時、それらプロテアーゼ阻害剤の用量を適切に調整しない限り、その効果は大幅に低下するおそれがある。そのため、プロテアーゼ阻害剤で治療を受けている患者には、前記調査に、例えばリファマイシン併用の可能性に関する質問を含めることができる。その調査の結果、2タイプの薬剤が併用されていることが示された場合は、当該患者のリスクグループ割り当てが変更され、当該患者は用量調整のため処方者11の診察を受けるよう、あるいは十分なレベルのプロテアーゼ阻害剤がまだ維持されていることを確認するため、診断学的検査を受けるよう指示される場合がある。同様に、登録済み処方者11がプロテアーゼ阻害剤を服用している登録済み患者の治療計画にリファマイシンの処方を加える場合、前記処方が前記システム14に入力された時点でリスクグループ割り当てが自動的に変更され、前記プロテアーゼ阻害剤の用量の更なる調整を行わない場合は当該処方承認が生成されないようになっている。このように、本発明の方法を有利に利用すると、1若しくはそれ以上の薬剤について適切な用量を維持し、そのような薬剤を併用し若しくは治療計画に他の薬剤を追加することにより有害な副作用が生じる可能性を最小限に抑え、1若しくはそれ以上の薬剤の服用に伴う危険性を適切に開示するよう促し、禁忌対象者が潜在的に有害な薬剤に曝される危険性を最小限に抑え、さらに患者の治療プロトコル遵守と、当該疾患が他者に広がる危険性を増大させる既知行動の回避とを支援することが可能になる。
本発明の他の実施形態では、例えば付加的な細胞遺伝学的異常および多発性骨髄腫を伴う若しくは伴わない5q欠失染色体異常に関連した低リスク群または中リスク群−1の骨髄異形成症候群(MDS)による輸血依存性貧血を含む種々の疾患、障害、または病状に対する治療を患者が受けている場合、本明細書で開示した方法を使用してよい。そのような患者は、催奇形性薬剤、催奇形性であると疑われる薬剤、またはレナリドマイドやサリドマイドなど他の潜在的に有害な薬剤を含む薬剤で、治療を受けることができる。特定の実施形態において、多発性骨髄腫の治療を受ける患者は、過去に多発性骨髄腫の治療を少なくとも1回受けたことがある場合、レナリドマイドまたはサリドマイドをデキサメタゾンなど別の薬剤と併用した治療を受けることができる。本発明の方法に従うと、患者は、レナリドマイドまたはサリドマイドの服用による有害な副作用の危険性を最小限に抑え若しくは回避しつつ、レナリドマイドまたはサリドマイドを受け取り若しくは受け取り続けるための承認を受けることができる。また、本発明の方法を望ましくかつ有利に使用して、レナリドマイドまたはサリドマイドを服用する患者、前記薬剤を処方する処方者、および前記薬剤を調剤する薬局を教育し、その行動および行為を強化することができる。
上述した方法のほか、本発明の特定の実施形態では、患者へのレナリドマイドまたはサリドマイドの供給に以下の工程が伴う。レナリドマイドまたはサリドマイドの配布を管理してそれらの薬剤を受け取る資格のない患者がそれらを受け取る危険性を最小限に抑えるため、あるいはそれらを服用することにより有害な副作用が生じる危険性を最小限に抑えるため、本発明の特定の実施形態において、レナリドマイドまたはサリドマイドは、催奇形性薬剤、催奇形性であると疑われる薬剤、または他の潜在的に有害な薬剤について上述し、さらに以下で例示するように、(同意必要条件として登録される)管理された配布プログラムを通じてのみ利用可能となる。このプログラムでは、患者に薬剤が処方および調剤される前に、当該処方者11、当該薬局12、および当該患者は、上記のように前記システム14に登録される。前記処方者11が前記システム14に登録されていない場合は、前記薬剤を処方する資格がない。同様に、前記薬局12が前記システム14に登録されていない場合は、前記薬剤を調剤する資格がない。同様に、前記患者が前記システム14に登録されていない場合は、前記薬剤を受け取る資格がない。
前述の本発明の方法と同様、レナリドマイドまたはサリドマイドの処方箋を受け取る患者は、事前に、例えば効果的な避妊に関するカウンセリングや、血球減少症、肺塞栓症、深部静脈血栓症を起こす危険性(該当する場合)に関するカウンセリングを含め、当該薬剤についてカウンセリングを受けなければならない。一部の実施形態において、患者のカウンセリングは当該医師により行われる。他の実施形態において、患者のカウンセリングは医師および薬剤師の双方により行われる。本発明の方法では、本発明の特定の実施形態において、患者はインフォームドコンセントフォームに記入することが必要であり、そのフォームには当該患者だけでなくその処方者11も署名しなければならない。当該処方者11は、記録用に前記インフォームドコンセントフォームの写しを保管しなければならない。また、前記患者がインフォームドコンセントを行ったことの実証を、前記システム14に登録することもできる。本発明の特定の実施形態において、この実証は前記処方者11から提供され、例えば前記患者の登録情報およびリスクグループ割り当てと伴に含まれる。驚くべきことであるが、前記薬局12ではなく前記処方者11が患者のインフォームドコンセントを実証することにより、本発明の方法は、より効率的に作用し、患者の服薬遵守改善につながり、したがって有害な副作用の生じる危険性を低減することがわかっている。当該患者は、当該薬剤の服用に伴う危険性に関するカウンセリングも受ける。そのようなカウンセリングは、口頭または書面で実施される。一部の実施形態では、患者に、例えばインフォームドコンセントフォーム、投薬ガイド、製品情報、製品パッケージ添付資料、教育用パンフレット、前記患者調査について説明したパンフレット、および緊急避妊薬に関する情報を含んだトレーニング資料が配布される。このトレーニング資料は、本発明の特定の実施形態において、受け取った薬剤について患者が日付および数量を記録するための薬剤供給ログフォームを含む。このトレーニング資料では、当該薬剤の服用に伴う危険性と、適切な投薬計画を遵守する必要性とについて患者がその配偶者またはパートナーを教育できる情報を患者に提供してもよい。
特定の実施形態では、カウンセリングについて、サードパーティのベンダー((製造)販売業者)が初回調査およびフォローアップ調査の回答に関するコンサルティングを行うことにより、適切なカウンセリングが28日ごとに行われたことを確認する。特定の実施形態では、一般に、記入済みの調査が前記サードパーティベンダーにファックスされ、そこで回答が確認され、後述するように、処方箋に記入するための確認番号が医師に供給される。あるいは、前記サードパーティベンダーが、前記調査の回答が不完全であると判断し、または当該患者に当該薬剤を受け取る資格がないと示した場合、当該サードパーティベンダーは、当該患者の処方箋を取り消すよう当該医師に連絡する。別の代替態様として、前記調査は音声自動応答システムを使っても実施可能であり、その場合、前記サードパーティベンダーが前記調査の回答を確認し、後述するように、処方箋に記入するための確認番号を医師に供給する。
インフォームドコンセントフォームに記入および署名することにより、患者は、レナリドマイドまたはサリドマイドの服用に伴う危険性について理解したことを認める。本発明の特定の実施形態では、このインフォームドコンセントフォームにおいて、患者は、提供されたリスク回避措置を遵守し処方者のカウンセリングに沿った態様で行動することに同意する。特定の実施形態では、インフォームドコンセントフォームに署名することにより、患者は、当該薬剤の配布について1若しくはそれ以上の臨床試験への参加に同意することを認める。本発明の特定の実施形態において、インフォームドコンセントフォームに署名することにより、患者は、当該患者がレナリドマイドまたはサリドマイドを服用していることを当該患者のパートナーまたは配偶者に知らせたことと、レナリドマイドまたはサリドマイドでの治療に伴いまたは疑われる危険性と、当該患者およびその配偶者のレナリドマイドまたはサリドマイド治療中に当該患者およびその配偶者の双方が胎児への曝露を防ぐ上で注意すべき事項とに関する教育資料を当該患者のパートナーまたは配偶者に提供したことと(本発明の特定の実施形態において、前記資料は、例えばアラビア語、クメール語、中国語、英語、フランス語、ドイツ語、ギリシャ語、イタリア語、日本語、韓国語、ラオ語、ポーランド語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語、ベトナム語など、患者の選択した言語で利用できる)、効果的な避妊の選択肢について当該患者がそのパートナーまたは配偶者に説明したこととも認める。
本発明の特定の実施形態において、患者は、インフォームドコンセントフォームに記入し署名することにより、当該患者の代理人となる薬剤管理責任者を指定し、および/またはこの薬剤管理責任者を教育することに同意することも認める。本明細書における用語「薬剤管理責任者」とは、例えば患者の家族、友人、または後見人、あるいは患者を補助する看護師であり、レナリドマイドまたはサリドマイドがヒトの出生異常または胎児の死亡を起こす危険性と、適切な避妊が不可欠であることと、深部静脈血栓症および肺塞栓症が起こる危険性と、さらにMDS患者については(好中球減少症および/または血小板減少症を含む)血球減少症の徴候および症状と、定期的な血液検査の必要性とを含め、レナリドマイドまたはサリドマイドの服用に伴う危険性について教育を受けた者をいう。
本発明の特定の実施形態では、患者情報と同様、その薬剤管理責任者も、前記システム14に患者のリスク同意情報47として登録される。この情報には例えば当該薬剤管理責任者の氏名、住所、電話番号、当該患者との関係(続柄)が含まれる。前記薬剤管理責任者はレナリドマイドまたはサリドマイドの服用に伴う危険性について教育を受ける。これにはレナリドマイドまたはサリドマイドがヒトの出生異常または胎児の死亡を生じる危険性と、適切な避妊が不可欠であることと、深部静脈血栓症および肺塞栓症が起こる危険性と、さらにMDS患者については(好中球減少症および/または血小板減少症を含む)血球減少症の徴候および症状と、定期的な血液検査の必要性とが含まれる。一部の実施形態において、薬剤管理責任者は、インフォームドコンセントフォームに署名することにより、レナリドマイドまたはサリドマイドでの治療に伴う危険性に関するカウンセリングを受けたことと、当該患者が処方箋のガイドラインに従ってレナリドマイドまたはサリドマイドを服用するよう補助し、当該患者が当該薬剤の流用を防ぐよう補助し、当該薬剤が当該患者に適さなくなった場合は、当該患者が薬局12、当該薬剤の配布業者、または製造業者に当該薬剤を返却するよう補助し、および/または当該薬剤を全て使用する前に当該患者が死亡した場合は薬局12、当該薬剤の配布業者、または製造業者に当該薬剤を返却することを補助することに同意することとを示す。一部の実施形態では、患者が薬剤管理責任者を指定できない場合が考えられる。そのような状況では、前記処方者11により、薬剤管理責任者が指定されない場合でも前記患者が当該薬剤を受け取る資格があるかどうかが判断される。
前記同意必要条件レビューユニット39は、前記医療機関11からのパラメータに基づいて、前記患者について前記薬剤の服用を補助する前記薬剤管理者の登録が必要であるかを前記データ格納部33に格納された所定の定義(参照番号44〜46で示す)により判断し、当該薬剤管理者の登録が必要であるにもかかわらず前記パラメータに含まれていない場合は、そのような登録に対する同意の入力を前記医療機関11に要求するためのアラートを発する。
本発明の特定の実施形態において、レナリドマイドまたはサリドマイドは、契約薬局を通じて1つの団体により配布される。特定の実施形態では、当該薬剤の配布業者または製造業者と契約している1つの薬局12だけが、当該薬剤を調剤する資格を有する。
特定の実施形態において、レナリドマイドまたはサリドマイドの処方箋は、前記契約薬局12へファックス、または人の手で配達される。本明細書における用語「契約薬局」とは、レナリドマイドまたはサリドマイドを配布するよう契約した薬局12をいう。特定の実施形態において、契約薬局12は、大学の医療センター、刑務所または矯正施設、保健維持機構(Health Maintenance Organization:HMO)、あるいは米国国防総省などの政府団体または政府機関にある。催奇形性薬剤、催奇形性であると疑われる薬剤、または他の潜在的に有害な薬剤に関する上記の服薬資格要件に加え、上記のような契約薬局に雇用された薬剤師および/または看護師は、本発明の特定の実施形態において、レナリドマイドまたはサリドマイドに伴うリスク回避措置について患者に対し教育およびカウンセリングを行う方法に関する訓練を受ける。特定の実施形態において、上記のような契約薬局に雇用された薬剤師および/または看護師は、患者にカウンセリングしレナリドマイドまたはサリドマイドを調剤するための認定を1つの団体から受ける。薬剤師および/または看護師は、トレーニングプログラムに参加する必要があり、これには、MDSおよび多発性骨髄腫を概略説明するトレーニングモジュールのレビューが含まれる。また薬剤師および/または看護師は、レナリドマイドまたはサリドマイドを調剤する権限を与えられる前に、教訓的なウェブベースのトレーニングプログラムに出席する必要もある。患者が、レナリドマイドまたはサリドマイドの危険性について、前記処方者11と、薬剤師および/または看護師との双方からカウンセリングを受ける場合、当該薬剤師および/または当該看護師は、本発明の特定の実施形態において、後述するようにレナリドマイドまたはサリドマイドでの治療に伴うリスク回避措置に関し患者を教育する。
催奇形性薬剤、催奇形性であると疑われる薬剤、または他の潜在的に有害な薬剤について上述したように、本発明の特定の実施形態では、患者から情報が収集され、その情報は、当該患者がレナリドマイドまたはサリドマイドを服用した場合生じることが知られているか若しくは疑われている副作用の発生の危険性に関する証拠となる。次に、この情報は、その分析により少なくとも1つのリスクグループに前記患者を割り当てることができるよう、レナリドマイドまたはサリドマイドについて複数のリスクグループが所定のリスクパラメータセットと比較される。本発明の特定の実施形態において、このリスクグループの割り当ては、その後、前記システム14にも入力される。このリスクグループ割り当てについては、前記処方者11が行い当該患者の登録カードまたは登録フォームに含めることができ、あるいは看護師、技師、事務職員、または薬剤師など別の個人が行うようにすることも可能で、本発明の特定の実施形態では前記別の個人が情報を解釈し、当該患者にリスクグループの1つを適宜割り当てる。
上記のとおり、特定の実施形態では、所定のリスクパラメータセットにそれぞれ基づく複数のリスクグループは、レナリドマイドまたはサリドマイドについて確立されるのが好ましい。例えばレナリドマイドまたはサリドマイドに関しては、第1のリスクグループは妊娠する可能性のある成人女性から成り、第2のリスクグループは妊娠する可能性のない成人女性から成り、第3のリスクグループは妊娠する可能性のある小児(女)から成り、第4のリスクグループは妊娠する可能性のない小児(女)から成り、第5のリスクグループは成人男性から成り、第6のリスクグループは小児(男)から成る場合がある。
本明細書における用語「妊娠する可能性のある女性」とは、性的に成熟した女性で、子宮摘出術または両側卵巣摘出術を受けておらず、自然状態で少なくともそれ以前に連続24か月間月経のあった閉経前の者をいう。特定の実施形態において、妊娠する可能性のある女性が薬剤を受け取る資格を得るには、例えば、処方された薬剤での治療開始前4週間、治療中、治療中断中(該当する場合)、および治療完了後4週間、完全に性交を自粛し、または効果的な避妊法を2つ同時に行うことに同意しなければならない。
本明細書における用語「効果的な避妊」とは、少なくとも1つの非常に効果的な避妊法を別の非常に効果的な避妊法または避妊のための効果的なバリア法と併用したものをいう。本明細書における用語「非常に効果的な避妊法」とは、子宮内避妊器具(IUD)、ピルなどのホルモン法、パッチ、注射剤、インプラント、リング、卵管結紮、およびパートナーの精管切除をいう。本明細書における用語「避妊のための効果的なバリア法」とは、男性用ラテックスコンドーム、子宮頸管キャップ、およびペッサリーをいう。
本発明の特定の実施形態において、妊娠する可能性のある女性がレナリドマイドまたはサリドマイドを受け取る資格を得るには、レナリドマイドまたはサリドマイドの処方を始めて受け取る際、初回処方の前10〜14日以内および初回処方の前24時間以内に、感度が少なくとも50mIU/mlの妊娠検査で結果が陰性でなければらならない。妊娠する可能性のある女性は、本発明の特定の実施形態において、治療を始めた最初の月(第1月)にも、4週間、毎週妊娠検査を受け、その結果が陰性でなければならない。妊娠する可能性のある女性は、本発明の特定の実施形態において、月経が規則的な場合は治療第1月以降、毎月妊娠検査を受け、月経が不規則な場合は毎月2回妊娠検査を受ける。また本発明の特定の実施形態において、患者に月経がなかった場合、または治療中に異常月経出血があった場合は、レナリドマイドまたはサリドマイドでの治療を中止する必要があり、当該患者はかかりつけの医師の診察を受けなければならない。一実施形態では、レナリドマイドまたはサリドマイドの処方箋受け渡し前に、当該患者が妊娠していないことを、前記処方者11が確認する。別の実施形態では、レナリドマイドまたはサリドマイドの処方箋受け渡し前に、当該患者が妊娠していないことを前記処方者11および薬剤師が確認する。
本発明の特定の実施形態において、すべての女性患者は、レナリドマイドまたはサリドマイドでの治療中および治療完了後4週間、授乳および献血を自粛しなければならない。すべての女性患者は、当該薬剤を誰とも共有しないことに同意しなければならず、秘密厳守の必須調査に参加しなければならない。
本発明の特定の実施形態において、男性患者は、精管切除術を受けて成功した場合でも、レナリドマイドまたはサリドマイドでの治療完了後の4週間を含め、妊娠する可能性のある女性との性交時、毎回ラテックスコンドームを使用することに同意しなければならない。また男性患者は、ラテックスコンドームを使わずに性交した場合、また当該男性患者のパートナーが妊娠した可能性がある場合、その旨を当該男性患者の医療提供者に知らせることに同意しなければならない。また、男性患者は、治療中および治療完了後4週間、献血または精子提供を自粛しなければならない。すべての男性患者は、当該薬剤を誰とも共有しないことに同意しなければならない。
本発明の特定の実施形態では、成人でない患者すなわち18歳未満の小児の場合、その患者の親または後見人は、当該薬剤に伴う危険性について教育およびカウンセリングを受け、当該薬剤を誰とも共有しないよう指示を受ける。性的に活発な小児の場合、薬剤師および/または医師は、本発明の特定の実施形態において、成人患者について上述したように、避妊の選択肢について当該患者およびその親または後見人に説明する必要がある。性的に活発でない小児の場合、その親または後見人は、女性患者の月経が開始した場合、当該処方者11または当該薬剤師を含む当該医療提供者に通知することに同意しなければならない。
本発明の特定の実施形態において、成人患者が無能力者である場合は、その正式代理人が当該成人患者を代行して、当該薬剤に伴う危険性について教育およびカウンセリングを受け、当該薬剤を誰とも共有しないよう指示を受けなければならない。前記正式代理人は、例えば、適切な米国州法に基づき、前記無能力者である患者を代行して治療に同意することを認可された当該患者の血縁者、配偶者、家族、友人、後見人、または世話人である。この正式代理人は、すべての教材を読み、インフォームドコンセントフォームに自らの頭文字を署名し、服薬遵守を保証することに同意しなければならない。成人患者が無能力者である場合、前記処方者11は、前記インフォームドコンセントフォームに記載する能力が当該無能力者患者に欠如している旨と、その無能力の原因である病状の特定と、当該患者の正式代理人の氏名、住所、および当該患者との関係と、当該患者の当該プログラム遵守について正式代理人が責任を受諾しており当該患者の代理で治療に同意することを認可された旨の見解とを当該処方者11のレターヘッド付きの書簡に記述し、署名および日付を記入して提出しなければならない。
本発明の特定の実施形態において、すべての患者は、当該薬剤への胎児の曝露を防ぐため適切な避妊を行うようカウンセリングを受ける。また本発明の特定の実施形態において、患者は、MDSに対するレナリドマイド治療(または他の治療)により好中球減少症および血小板減少症を起こす危険性についてカウンセリングを受ける。そのような患者は、本発明の特定の実施形態において、治療の最初の8週間は毎週、それ以降は少なくとも毎月、血球数(CBC)検査を受ける。
特定の実施形態では、患者は、産科医/婦人科医(obstetrician/gynecologist:OB/GYN)に割り当てられる。このような場合、OB/GYNは、避妊措置に関する追加カウンセリングを当該患者に提供する。特定の場合、OB/GYNは、レナリドマイドまたはサリドマイドを服用しており妊娠した可能性があると考えている患者、またはレナリドマイドまたはサリドマイドを服用中の男性患者に妊娠させられた可能性のある女性に緊急避妊薬を提供する。患者について指定されたOB/GYNは、システム14に登録可能である。この登録には、当該OB/GYNの氏名、住所、および1若しくはそれ以上の医療機関との所属・提携関係(該当する場合)を含めることができる。特定の実施形態において、前記処方者11は、例えば緊急避妊薬、付加的な患者カウンセリング、妊娠検査、および妊娠検査の陽性結果について患者からの問い合わせに対応するOB/GYNを当該患者のために特定する。
本発明の特定の実施形態において、カウンセリングは、薬剤師、医師、看護師、または契約薬局12における他の医療専門家が、電話で若しくは直接会って行う。
多発性骨髄腫に対しレナリドマイド(または別の薬剤)で治療を受けている患者は、任意選択で、治療の最初の12週間は2週間ごとに、それ以降は毎月CBC検査を受ける。本発明の特定の実施形態において、そのような患者は、深部静脈血栓症および肺塞栓症を起こす危険性についてカウンセリングを受けるする必要がある。すべての患者は、レナリドマイド(または別の薬剤)を誰とも共有しないようカウンセリングを受けなければならない。
本発明の特定の実施形態において、薬剤師および/または看護師は、レナリドマイドまたはサリドマイドが処方された患者に、薬剤を配送または調剤する前に連絡する。上記の電話または対面中、本発明の特定の実施形態において、患者は、上述のように、レナリドマイドまたはサリドマイドがヒトの出生異常または胎児の死亡を生じる危険性と、適切な避妊が不可欠であることと、深部静脈血栓症および肺塞栓症が起こる危険性と、さらにMDS患者については(好中球減少症および/または血小板減少症を含む)血球減少症の徴候および症状と、定期的な血液検査の必要性ととについてカウンセリングを受ける。レナリドマイドまたはサリドマイドの調剤前、薬剤師または看護師は、当該薬剤の危険性について患者が理解していることを確認する。また、前記薬剤師または看護師は、当該患者に配送を行う場合の送付先住所を必要に応じ確認する。本発明の特定の実施形態において、前記薬剤師は、上記のように前記システム14により承認番号が確認され、前記システム14から当該薬剤師に確認番号が発行され、当該薬剤師または看護師が当該患者へのカウンセリングを完了するまで、レナリドマイドまたはサリドマイドを患者に配送または調剤しない。
本明細書における用語「承認番号」とは、医師が患者カウンセリングを完了し、当該患者が患者調査に回答し、さらに当該医師が医師調査に回答した後、前記システム14から当該医師に対し発行される番号をいう。医師が承認番号を取得後、当該承認番号は処方箋に記載される。特定の実施形態において、前記承認番号は、医師が当該承認番号を取得した日から限られた期間のみ有効となり、この期間は、例えば妊娠する可能性のある女性の場合は7日間または14日間、妊娠する可能性のない患者の場合は14日間などとされる。特定の実施形態において、医師には、前記承認番号に加えて「配送/調剤期限」も発行され、これも、本発明の特定の実施形態で処方箋に記載される。この「配送/調剤期限」とは、処方された薬剤に伴う危険性について上記のとおり薬局12が患者にカウンセリングし、当該患者宛てに当該薬剤を配送しなければならない最終日付、または処方された薬剤に伴う危険性について上記のとおり患者にカウンセリングし、当該患者に当該薬剤を調剤しなければならない最終日付をいう。
本明細書における用語「確認番号」とは、本発明の特定の実施形態において、薬剤師が、電話でまたはオンライン送信やウェブベース送信などを通じて当該薬剤のマーケティング担当者または配布業者の場所に設けられた前記システム14に通信し、当該システムが前記承認番号を実証すると、当該システム14から当該薬剤師に提供される実証番号をいう。また、この確認番号は、調査の回答により患者の服薬遵守が確認された後、サードパーティベンダーからも医師に供給される。本発明の特定の実施形態において、前記確認番号は、当該薬剤師または医師がこの確認番号を取得した後、24時間有効となる。特定の実施形態において、前記薬局12は、前記確認番号が有効な時間内にレナリドマイドまたはサリドマイドを配送または提供する(24時間以内)。当該薬剤が24時間の時間枠内に配送されず若しくは引き取られない場合、当該薬局12は、前記確認番号を取り消し、当該薬剤の配送準備または引き取り準備が整った時点で新しい確認番号を取得する。特定の実施形態において、薬剤師は、マーケティング担当者または配布業者の場所に設けられた前記システム14に通信して承認番号を確認すると、確認番号に加えて当該処方箋の有効日数を通知され、これにより当該処方箋を調剤できる残り日数を知る。
特定の実施形態では、確認番号が提供される前に、薬剤師は、前記薬局12に当該薬剤の在庫があり調剤の準備が整っていることを確認しなければならない。その時点で当該薬局12に当該薬剤の在庫がない場合は、当該薬剤師が確認番号の取得を試みても確認番号は提供されず、当該薬局12は当該薬剤を調剤する権限を与えられない。
その場合、前記薬局12は、当該薬剤の供給を受けられるよう試みる。薬局12は、別の薬局12から当該薬剤を譲渡してもらえるよう要求することが考えられる。特定の実施形態において、薬局チェーンの下にある小売薬局12は、同じ薬局チェーンの別の薬局12からの薬剤の譲渡を要求することができる。その場合、当該薬剤は、それを調剤しようとする薬局12に配送され、あるいは譲渡される。本発明の特定の実施形態において、譲渡される薬剤は、譲渡側薬局の最も最近入荷した在庫からのものである。
代替態様として、薬局12は、他の任意の薬局12から当該薬剤を譲渡してもらえるよう要求することが考えられる。本発明の特定の実施形態において、譲渡される薬剤は、譲渡側薬局の最も最近入荷した在庫からのものである。他の実施形態において、譲渡される薬剤は、譲渡側薬局に保管された在庫からのものである。
特定の実施形態において、レナリドマイド、サリドマイド、または他の潜在的に有害な薬剤は、専売権のある中央薬局12を通じて配布および調剤される。そのような場合、その中央薬局12は、前記契約薬局12として上記の役割を果たすだけでなく、当該処方者11に連絡して当該薬剤に関する当該処方者の処方資格も確認する。この中央薬局12は、当該薬剤の服薬に伴う危険性およびリスク回避措置に関する患者カウンセリングも行う。この中央薬局12は、本発明の特定の実施形態において、当該薬剤を患者の自宅に配送し、フォローアップの電話をかけて当該患者が当該薬剤を受け取ったことを確認する。
特定の実施形態では、催奇形性薬剤、催奇形性であると疑われる薬剤、または他の潜在的に有害な薬剤を調剤するよう登録された1若しくはそれ以上の薬局が存在することについて、患者を教育することが好ましい。登録された処方者には登録された薬局のリストが供給され、このリストは当該患者にも供給される。特定の実施形態において、この登録された薬局のリストには、例えば当該処方者11および/または当該患者から15マイル以内にある薬局を含めることができる。他の実施形態では、この登録された薬局のリストに、例えば当該処方者11および/または当該患者と同じ州、地域、またはテリトリーにある薬局を含めることができる。他の実施形態では、この登録された薬局のリストに、例えば催奇形性薬剤、催奇形性であると疑われる薬剤、または他の潜在的に有害な薬剤を過去12か月以内に調剤した登録済み薬局を含めることができる。さらに他の実施形態では、この登録された薬局のリストに、例えば登録された全薬局を含めることができる。当業者であれば、登録された薬局のリストに、上記カテゴリーのうちいずれか若しくはすべてに含まれる薬局のリストを包含できることが容易に理解されるであろう。
上記のとおり、サリドマイドまたはレナリドマイド以外の催奇形性薬剤または催奇形性であると疑われる薬剤は、本発明の特定の実施形態において限られた量のみ患者に処方および調剤され(約28日間を超えない処方量が好ましい)、本発明の特定の実施形態では再調剤は許可されない。本発明の特定の実施形態において、2回目以降の調剤には新しい処方箋が必要であり、2回目以降の処方箋は、現在の処方箋の残り日数が7日以下でない限り、調剤されない。これにより、患者が追加で処方箋を得るには、前記処方者11からフォローアップ診察を受けることが一般に必要となる。そのようなフォローアップ診察は、本発明の特定の実施形態において、少なくとも患者が処方箋の更新を必要とするたび行われ、可能性として当該患者が例えば追加カウンセリングを必要とする場合は、より頻繁に行われる。そのフォローアップ診察時、本発明の特定の実施形態において、患者は、当該薬剤の服用に伴う危険性および利点に関する追加カウンセリングを受け、さらに(該当する場合)避妊に関するカウンセリングも受ける。また本発明の特定の実施形態において、患者は付加的な患者調査に回答し、性行動を含め自分のライフスタイルに関する現時点での情報を提供し、妊娠する可能性がある女性の場合は妊娠試験を新たに受ける。一部の実施形態において、特定の患者は、治療後6か月ごとにフォローアップ調査に回答するだけでよい。そのような患者としては、男性および妊娠する可能性のない女性などが含まれる。付加的な患者調査は、電話、ファックス、音声自動応答、および/またはウェブベースのシステムを含め、種々の方法で患者に提供される。カウンセリングを受け患者調査に回答した女性患者の妊娠検査が陰性だった場合、前記処方者11は、当該女性患者に新らたに薬剤を処方することができる。元の処方箋と同様、更新された処方箋は、本発明の特定の実施形態において、約28日間を超えない限られた期間に対するものであることがより好ましい。調査結果により、当該患者が処方箋のガイドラインを遵守していないことが明らかになった場合、本発明の特定の実施形態では、当該薬剤のマーケティング担当者または配布業者が処方者11に連絡して前記調査結果を当該処方者11に知らせる。治療が連続12か月間中止された場合、当該患者がレナリドマイドまたはサリドマイドの新たな処方を受けるためには、上述した当該プログラムに再登録しなければならない。
言うまでもなく、1若しくはそれ以上の本発明の方法は、1若しくはそれ以上のコンピュータシステム手段により達成されることを理解すべきである。これを受け、特定の実施形態において、本発明は、本明細書に開示する方法の1若しくはそれ以上の工程を自動化できるコンピュータシステムを有する。そのようなコンピュータシステムは、本発明の特定の実施形態において、1若しくはそれ以上の入出力手段と、前記患者、前記処方者11、および前記薬剤に関するデータを格納する手段と、内外のネットワーク経由でデータを通信する手段と、インターネット経由でデータを通信する手段と、患者、処方者11、または薬剤管理責任者に、薬剤または薬剤の安全で効果的な使用法に関する教育を提供する(特定の実施形態では対話型)手段とを有する。
例
以下、本発明の実施形態で使用できる前記患者パラメータ44および前記患者の同意情報47の例を示す。前記患者パラメータ44は、例えば患者調査および患者評価という形で処方者が収集したものであり、前記システム14へ送信される。この患者パラメータおよび前記患者リスクグループは、薬剤のタイプに基づいて定義される。前記システム14は、前記患者パラメータに基づいて、患者が服薬に伴う危険性について理解しているかどうか、処方者が必要な工程を満たすことにより評価を行っているかどうか、および薬局が登録されているかどうかを判断することにより、薬剤を調剤するための処方承認コードおよび許可コードを発行するよう構成されている。
例1:妊娠する可能性のない小児(女)に関する初回の患者調査
以下の調査(またはこれと同等の調査)は、初回の患者面談時に、妊娠する可能性のない小児(女)からの情報収集を補助するために使用される。
例2:妊娠する可能性のある小児(女)に関する初回の患者調査
以下の調査(またはこれと同等の調査)は、初回の患者面談時に、妊娠する可能性のある小児(女)である患者からの情報収集を補助するために使用される。
例3:小児(男)に関する初回の患者調査
以下の調査(またはこれと同等の調査)は、初回の患者面談時に、小児(男)である患者からの情報収集を補助するために使用される。
例4:妊娠する可能性のない小児(女)に関する初回の処方者調査
以下の調査(またはこれと同等の調査)は、処方者が妊娠する可能性のない小児(女)である患者と初めて面談する際、当該処方者からの情報収集を補助するために使用される。
例5:妊娠する可能性のある小児(女)に関する初回の処方者調査
以下の調査(またはこれと同等の調査)は、処方者が妊娠する可能性のある小児(女)である患者と初めて面談する際、当該処方者からの情報収集を補助するために使用される。
例6:小児(男)に関する初回の処方者調査
以下の調査(またはこれと同等の調査)は、処方者が小児(男)である患者と初めて面談する際、当該処方者からの情報収集を補助するために使用される。
例7:妊娠する可能性のある小児(女)に関するフォローアップ患者調査
以下の調査(またはこれと同等の調査)は、フォローアップ患者面談時に、妊娠する可能性のある小児(女)である患者からの情報収集を補助するために使用される。
例8:妊娠する可能性のない小児(女)に関するフォローアップ患者調査
以下の調査(またはこれと同等の調査)は、フォローアップ患者面談時に、妊娠する可能性のない小児(女)である患者からの情報収集を補助するために使用される。
例9:小児(男)に関するフォローアップ患者調査
以下の調査(またはこれと同等の調査)は、フォローアップ患者面談時に、小児(男)である患者からの情報収集を補助するために使用される。
例10:妊娠する可能性のない小児(女)に関するフォローアップ処方者調査
以下の調査(またはこれと同等の調査)は、処方者が妊娠する可能性のない小児(女)である患者とフォローアップ面談する際、当該処方者からの情報収集を補助するために使用される。
例11:妊娠する可能性のある小児(女)に関するフォローアップ処方者調査
以下の調査(またはこれと同等の調査)は、処方者が妊娠する可能性のある小児(女)である患者とフォローアップ面談する際、当該処方者からの情報収集を補助するために使用される。
例12:小児(男)に関するフォローアップ処方者調査
以下の調査(またはこれと同等の調査)は、処方者が小児(男)である患者とフォローアップ面談する際、当該処方者からの情報収集を補助するために使用される。
例13:妊娠する可能性のない成人女性に関する初回の患者調査
以下の調査(またはこれと同等の調査)は、初回の患者面談時に、妊娠する可能性のない成人女性である患者からの情報収集を補助するために使用される。
例14:妊娠する可能性のある成人女性に関する初回の患者調査
以下の調査(またはこれと同等の調査)は、初回の患者面談時に、妊娠する可能性のある成人女性である患者からの情報収集を補助するために使用される。
例15:成人男性に関する初回の患者調査
以下の調査(またはこれと同等の調査)は、初回の患者面談時に、成人男性である患者からの情報収集を補助するために使用される。
例16:妊娠する可能性のない成人女性に関する初回の処方者調査
以下の調査(またはこれと同等の調査)は、処方者が妊娠する可能性のない成人女性である患者と初めて面談する際、当該処方者からの情報収集を補助するために使用される。
例17:妊娠する可能性のある成人女性に関する初回の患者調査
以下の調査(またはこれと同等の調査)は、処方者が妊娠する可能性のある成人女性である患者と初めて面談する際、当該処方者からの情報収集を補助するために使用される。
例18:成人男性に関する初回の処方者調査
以下の調査(またはこれと同等の調査)は、処方者が成人男性である患者と初めて面談する際、当該処方者からの情報収集を補助するために使用される。
例19:妊娠する可能性のない成人女性に関するフォローアップ患者調査
以下の調査(またはこれと同等の調査)は、フォローアップ患者面談時に、妊娠する可能性のない成人女性である患者からの情報収集を補助するために使用される。
例20:妊娠する可能性のある成人女性に関するフォローアップ患者調査
以下の調査(またはこれと同等の調査)は、フォローアップ患者面談時に、妊娠する可能性のある成人女性である患者からの情報収集を補助するために使用される。
例21:成人男性に関するフォローアップ患者調査
以下の調査(またはこれと同等の調査)は、フォローアップ患者面談時に、成人男性である患者からの情報収集を補助するために使用される。
例22:妊娠する可能性のない成人女性に関するフォローアップ処方者調査
以下の調査(またはこれと同等の調査)は、処方者が妊娠する可能性のない成人女性である患者とフォローアップ面談する際、当該処方者からの情報収集を補助するために使用される。
例23:妊娠する可能性のある成人女性に関するフォローアップ処方者調査
以下の調査(またはこれと同等の調査)は、処方者が妊娠する可能性のある成人女性である患者とフォローアップ面談をする際、当該処方者からの情報収集を補助するために使用される。
例24:成人男性に関するフォローアップ処方者調査
以下の調査(またはこれと同等の調査)は、処方者が成人男性である患者とフォローアップ面談をする際、当該処方者からの情報収集を補助するために使用される。
以上に例示した調査を通じて取得された初回の患者情報およびフォローアップ患者情報は、コンピュータ可読記憶装置(前記システム14)へ送信することができる。
当業者であれば、以上の説明から、本明細書で説明した実施形態に加え、本発明の種々の変更形態が明確に理解されるであろう。そのような変更形態も、添付の特許請求の範囲に含まれるよう意図されている。