前記のように、産業用ボイラーの熱交換器の表面上のすすまたはその他の付着物は、実際に作動液に伝達される熱量を減少させることによって、全体としてのシステム効率の損失を引き起こしうる。このことは、しばしば、プロセス後部からの排気ガス温度の上昇と、蒸気の生成およびエネルギー出力を維持するために必要とされる燃料燃焼比の増加とに反映される。従来的には、このような汚れた表面から付着物を完全に除去するためには、清浄化処理が行なわれている間、ボイラーを運転停止することが必要である。運転中に実施される清浄化技術は、一般に、高いメンテナンス費用または結果的に不完全な清浄化をもたらす。
本明細書に記載のシステムおよび技術では、ボイラーに外付けされるパルスデトネーション燃焼器を用いて、ボイラーの汚れた部分内に導かれる一連のデトネーションまたは準デトネーションが生じしめられる。高速の衝撃波は、ボイラーの汚れた部分を通って移動するとともに、表面から付着物を遊離させ、該付着物は、その後、ホッパを介してボイラーから排出されうる。以下に説明されるように、反復的なデトネーションを用いることは、蒸気ブロワまたは純粋に音波式のすす除去装置などの従来式清浄化技術を上回る利点を有する。
さらにまた、ボイラー用の清浄化システムは、付着物を迅速に除去するように作用して、ボイラーの停止時間を最小限に抑えることができることが望ましい。加えて、このシステムは、ボイラー環境内において利便的に運転可能であること、すなわち物理的に必要な空間的制約内に収まりうるとともに、汚れ除去を必要とするボイラー部分に到達し得、かつ清浄化システムが使用されないときにボイラーの運転を妨害しないことが望ましい。さらにまた、このような清浄化装置の設置が、ボイラー外の過剰な流れ空間を必要としないこと、または接近可能にするためにボイラーに主要な改変を加える必要がないことが望ましい。前記およびその他の特徴を達成しうる、パルスデトネーション燃焼器を基本とする清浄化システムを以下により詳細に説明する。
本明細書において使用される場合、「パルスデトネーション燃焼器」(PDC)という用語は、燃料と酸化剤とのデトネーションまたは準デトネーションにより圧力上昇と速度増加との両方を生じしめるとともに、繰返しモードで動作せしめられて、装置内において多数回のデトネーションまたは準デトネーションを生じしめることができる装置またはシステムを指す。「デトネーション」とは、衝撃波が燃焼域に結合され、衝撃が前記燃焼域からのエネルギー放出により維持されて、その結果として燃焼反応物より高圧の燃焼生成物が得られる超音速燃焼である。簡単にするために、本明細書において用いられるところの「デトネーション」という用語は、デトネーションと準デトネーションとのいずれをも含むこととする。「準デトネーション」は、亜音速デフラグレーション波によって生じしめられる圧力上昇と速度増加より高い圧力上昇と速度増加とを生じしめる超音速乱流燃焼プロセスである。
そのいくつかが以下にさらに詳細に説明される例証的なPDCは、燃料/酸化剤混合物の燃焼を起こさせる点火装置と、燃焼により起こされた圧力波面が合体してデトネーション波を生じしめるデトネーション室とを含む。各々のデトネーションまたは準デトネーションは、火花放電、レーザーパルス、熱源またはプラズマ点火装置等の外部点火源、または衝撃の集束、自己点火またはまた他の発生源からの既存のデトネーション波(十字火点火)のいずれかによって開始される。デトネーション室の形状は、デトネーション波の背後における圧力上昇がデトネーション波を付勢するとともに、さらにまた燃焼生成物そのものをPDCの排気管の外へ吹き出すことを可能にする。
丸形チャンバ、管状、共振性キャビティおよび環状チャンバを含むさまざまなチャンバ形状が、デトネーションの形成を支持しうる。このようなチャンバは、面積と形状とのいずれにおいても、一定または変動的な断面を有しうる。例証的なチャンバには、円筒管と、たとえば六角管等の多角形断面を有する管とが含まれる。本明細書において使用される場合、「下流」は、燃料または酸化剤の少なくとも一方の流動方向を指す。
産業用ボイラーとともに用いられるのに適する例証的なPDCを基本とする清浄化装置のひとつの実施例が、図1の略図に示されている。このPDC清浄化装置100は、図示されているx軸に沿って、図の左側に配置される空気および燃料入口(それぞれ102および104)を含む上流側ヘッド端部から図の右側に示される下流側端部の出口孔部116まで延在する。管114は、ヘッド端部から孔部116まで延在して、自身内に燃焼室101を形成する。図示された実施例において、PDCの孔部116は、清浄化対象のボイラーの壁部149または、以下により詳細に説明されるように、清浄化作用を高めうるまた他の下流側構成要素に取り付けられる。
前記のように、図示されたPDCのヘッド端部は、空気入口102を含む。この空気入口102は、圧力下においてPDCに供給されうる空気の供給源に接続されうる。この空気源は、燃焼室101の注入とパージとに用いられるとともに、さらにまた燃料を燃焼させる酸化剤としての役割を果たす空気を供給する。特定の実施例において、空気入口102への供給部は、空気圧縮機等の設備空気源に接続されうる。PDCの作用に関して以下に説明するように、空気入口を介した空気流は、一般に管114に流入するとともに、燃焼室114の長手方向に流れて、下流方向に孔部116を通って流出する。
図示されている実施例の空気入口102は、管114の軸に沿って燃焼室101内へと延在する中央体112に接続される。図示されている実施例の中央体は、空気入口102から延在するとともに、下流側開口部109まで先細状になっている略筒状の管体である。下流側開口部109に加えて、前記中央体112は、さらにまた、自身の長さに沿って、該中央体112を介して流動する空気をチャンバ101の上流側端部に流入させる1個以上の穴108を含む。これらの穴は、中央体の内部を、該中央体と管114の上流部分との間において形成される環状空間と接続する。
中央体112の開口部109と穴108とは、空気入口102を介して管114内に供給される空気に、方向性のある速度を与えることを可能にする。このような指向性の流れを用いて、注入される空気の乱流化を促進するとともに、空気と、PDCのヘッド端部内において流れの中に存在する燃料との混合を高めることができる。これらの効果を高めるために、穴108は、中央体の軸のまわりにおいて多数の角位置かつ軸方向位置に配置されうる。いくつかの実施例では、前記穴の角度は、中央体の軸に対して純粋に半径方向とされうる。また他の実施例においては、前記穴は、軸方向かつ周方向に角度をなして、中央体からの流れに下流方向または回転方向の速度を与えるようにされうる。中央体を介した流れは、さらにまた、中央体の冷却を達成して、中央体の劣化を引き起こしうる過剰な発熱を防ぐ役割を果たす。
空気入口102に加えて、燃料入口104が、図1に示されるPDC清浄化装置100のヘッド端部上に設けられる。この燃料入口104は、燃焼室101内において燃焼される燃料の供給部に接続される。プレナム106は、燃料入口104に接続される。図示される実施例において、このプレナム106は、PDCのヘッド端部の周のまわりに延在するキャビティである。複数個の穴110が、プレナム106の内部を管114の内部と接続する。燃料は、燃料入口104を介してプレナム106に供給されるとともに、然る後に、前記燃料が穴110を介して管114に流入するPDCの周のまわりに分配される。穴110は、プレナム106から略半径方向に、管114の壁部と中央体112との間における環状空間内へと延在する。
燃料は、チャンバ101内に注入されるとともに、中央体112の穴108を介して到来する空気流と混合される。燃料と空気との混合は、空気穴108と燃料穴110との相対的な構成によって高められうる。たとえば、空気穴108を介した流れによって生じしめられる高度の乱流の領域内に燃料が注入されるような位置に燃料穴110を配置することにより、燃料と空気とが、より急速に混合されて、より容易にデトネーション可能な燃料/空気混合物が創出されうる。空気穴108の場合と同様に、燃料穴110は、さまざまな軸方向位置かつ周方向位置に配置されうる。加えて、これらの穴110は、純粋に半径方向に延在するように整合せしめられるか、または半径方向に対して軸方向または周方向に傾斜せしめられうる。
燃料は、燃料をPDC内に流入させる時期を能動制御することを可能にする弁を介して入口104から燃料プレナム106に供給されうる。このような弁は、入口104内に配置され得、または燃料入口に接続される供給管路内において上流に配置されうる。このシステムのひとつの実施例において、前記弁は、ソレノイド弁とされうるとともに、電子的に制御されて開弁および閉弁されて、燃料流が調節される。
図1に示されるように、点火装置130は、PDCのヘッド端部付近に配置される。図示されている実施例において、この点火装置は、管114の壁部に沿って、中央体112の端部と同様の軸方向位置に配置される。この位置は、それぞれ穴110および108を介して到来する燃料と空気とが混合された後に点火装置を通過して流れることを可能にする。前記のように、点火装置は、従来技術において周知のようにさまざまな形態をとりうる。特に、点火装置は、全ての実施例において燃料/空気混合物の即時デトネーションを生じしめる必要はない。しかしながら、点火装置130は、望ましくは、以下にさらに説明されるように、燃料/空気混合物の燃焼がチャンバ101内においてデトネーションに遷移することを可能にしうるだけの頑健な燃焼点火を達成する。所望の時期に点火装置を動作させるために、点火装置130は、制御装置に接続されうる。
図示されていないが、従来技術において一般に周知のような制御装置を用いて、燃料弁および点火源等のさまざまなシステムの時期と動作とを制御することができる。本明細書において用いられる場合、制御装置という用語は、従来技術において一般に制御装置と呼ばれる集積回路のみに制限されるわけではなく、幅広く、処理装置、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラム可能論理制御装置、特定用途集積回路およびこのような目的に適するその他のプログラム可能回路を指す。
図1に示されるPDCの実施例は、一般に前記のヘッド端部から管の下流側端部にある孔部116までx軸に沿って延在する管114を含む。燃焼室101は、この管の壁部によって形成され、燃料/空気混合物の燃焼は、このチャンバ101内において行なわれる。一般に、燃焼は、点火装置130から、燃焼室101内に存在する前記混合物を介して進行する。図1に、一定の断面積を有する実質的に丸い筒形の形状をなす管の断面が示されている。当業者には、前記のように、その他の構成も可能であることが認識されよう。
管114は、該管の長さに沿ってさまざまな位置に配置される多数の障害物120を内蔵する。これらの障害物120を用いて、燃焼が管114の長さに沿って進行するときに燃焼を促進するとともに、燃焼面をデトネーションまたは準デトネーションに加速してから管の下流側端部にある孔部116に到達させる。図1に示された実施例における障害物120は、管114の壁部と熱的に一体化される。このような熱的に一体化される障害物は、さまざまな方法で創出されうる。たとえば、障害物は、前記壁部に機械加工されるか、前記壁部と一体的に形成される(たとえば鋳造または鍛造により)か、または前記壁部に、たとえば溶接により取り付けられる特徴を含みうる。一般に、前記壁部の熱的に一体化される障害物またはその他の熱的に一体化される特徴は、前記特徴または障害物120が、自身が一体化されている管114の壁部と効果的に熱交換することができる程度に前記管の壁部と十分な接触状態にある。
管114と障害物120と中央体112とは、反復的なデトネーションに伴う温度と圧力とに耐えるのに適するさまざまな材料を用いて製作されうる。このような材料は、インコネル、ステンレス鋼、アルミニウムおよび炭素鋼を含むが、これらに制限されるわけではない。
図2に、PDCを基本とする清浄化装置のまた他の実施例においてPDCとともに用いられうるまた他のヘッド端部が図示されている。このヘッド端部200は、燃料入口104と図1に示された実施例に関連して説明された態様と実質的に同じ態様の構成と作用とを有する穴110を有するプレナム106とを含む。しかしながら、空気が中央体に直接接続される空気入口を介して導入されるのではなく、むしろ、図2に示されるヘッド端部200においては、空気と燃料とのいずれもが、多孔板224の上流に配置される混合室215内に直接導入される。
空気入口210、212を用いて、図2に示される混合室215内に空気流が導入される。各空気入り口は、図1の空気入口102の場合のように、空気源に接続されうる。燃料もまた、プレナム106の穴110から混合室215内に放出される。燃料と空気とは、混合室215内において混合され始めた後に、混合室215を燃焼室101から分離する多孔板224の穴225を介して流れる。燃料/空気混合物が板224の穴225を介して圧し出されるときに、さらなる乱流が流れの中に創出されて、さらに燃料/空気の混合が促進される。
燃料/空気混合物は、多孔板224を通過した後に燃焼室101の上流部分に流入するとともに、前記板224に取り付けられうる中央体230のまわりにおいて流動する。この予混合流は、その後、図1に関する前記説明と略同様に、点火装置130により点火されうる。図2に示されるヘッド端部200は、前記の特徴を有するヘッド端部の代わりに、または以下に説明されるPDCの変形態様とともに用いられうる。
図3に、図1および2に示されたようなPDCシステムの下流に接続されうるとともに、PDCの燃焼室101の孔部116からの流れを受ける拡散室の実施例が示されている。図示されている実施例において、拡散室300は、PDCの出口孔部116に直接接続され、図1に示される下流側の装置の壁部149が、拡散室300の上流側壁部149となっている。当業者には、拡散室は、PDCと直接接触しなくてもよいことが認識されるであろうが、PDCのチャンバ101は、拡散室300と連通することが望ましい。
図3に示されているように、この例証的な拡散室300は、流路310を外囲する壁部302を有する。図示されている壁部は、チャンバ300の上流側端部(孔部116に接続される)から下流側出口320に至るまでの流路310の断面積の増加を生じしめるラッパ形または釣鐘形の形状をなす。流れが下流方向に移動するときに断面積が増加していくことは、各燃焼サイクル中にPDC清浄化装置内において燃焼されうる燃料と空気との体積を増加させる役割を果たす。これを利用して、生じしめられる衝撃波の侵入と有効性とを高めることができる。
図示されている拡散室300では、漸進的に末広状の流路310になっているのに対して、流路をより大きいチャンバ内に直接開口させると、流路は、急激な容積変化を起こしてしまう。この漸進的に末広状にすることにより、PDCによって生じしめられるデトネーションは、チャンバの末広状流路310を通って移動するときに、デトネーションの立消えを引き起こすことなく維持されうる。
図示されている拡散室300の壁部302の内面は、滑らかであり、該拡散室の軸に対して垂直な断面は、実質的に円形である。当業者には、拡散室については、さらにまた、その他の断面形状とその他の軸方向形状とが可能であることが理解されよう。拡散室のまた他の実施例においては、PDCチャンバ101内においてDDTに用いられる本明細書に記載の障害物と同様の障害物が、拡散室300の流路310内に配置されうる。このような障害物(図示せず)を用いて、デトネーションがチャンバ300の末広状の形状を通って伝播するときに火炎の加速とDDTとを促進することができる。
拡散室のある特定の実施例において、前記拡散室は、直径が上流側の2インチ(約50.8ミリメートル)から出口320側の19インチ(約482.6ミリメートル)の直径まで増加する円形断面を有する60インチ(約1.52メートル)の長さのチャンバ300によって形成された。エチレン/空気混合物を上流側PDC内において用いてデトネーションを生じしめると、デトネーションを最大20Hzの周波数で維持することができた。
前記のように、PDCを基本とする清浄化システムでは、PDCによって生じしめられるデトネーションを用いて、ボイラーまたはその他の装置の壁部上に堆積しうる付着物および被覆物を遊離させるとともに、次にデトネーションに続く高圧流を利用して、前記遊離された物質を壁面から吹き飛ばす。作用において、PDCは、高周波数で繰り返される燃焼サイクルにより、デトネーションと該デトネーションに付随する高圧流とを創出する。PDCは、しばしば、1〜100Hzの周波数で動作せしめられうる。各燃焼サイクルは、一般に、注入段階と、点火事象と、火炎を加速してデトネーションへと至らせる段階と、ブローダウン段階とを含む。PDCおよび清浄化装置の一般的な作用を、以下に図面を参照してより詳細に説明する。
以下の説明において、燃料注入段階と燃焼点火と火炎面をデトネーションへと加速することと燃焼生成物の吹出しおよびパージとの一巡りを、「燃焼サイクル」または「デトネーションサイクル」と呼ぶ。清浄化システムが作動状態にある期間は、「清浄化運転」と呼ばれる。清浄化対象の容器が該容器の目的に活動的に使用されている時期は、「ボイラー運転」と呼ばれる。前記のように、清浄化対象の容器は、ボイラーの一部分でなくてもよいが、指示を簡単にするために、「ボイラー運転」という用語は、清浄化装置により清浄化されるあらゆる装置の運転を指すのに用いられる。
特に、以下に説明されるように、本明細書に記載のシステムのひとつの利点は、その他のデトネーション清浄化システムと相違して、清浄化装置を動作させるために、その容器が清浄化されるボイラーまたはその他の装置を運転停止する必要がないところにある。特に、ボイラー運転中に清浄化運転を行なうことが可能である。この清浄化装置は、ボイラー運転中に連続的に運転されなくてもよいが、清浄化装置をボイラー運転中において規則的な周期で動作させることができる柔軟性が得られることにより、ボイラー運転を有意な時間にわたって停止させることなく、全体としてより高水準の清浄状態が維持されうる。
デトネーションサイクルの注入段階において、空気と燃料とがPDC内に供給される。図1に図示され、かつ前記に説明されたように、空気は、空気入口102を介して、燃料は、燃料入口104を介して導入され得、その後に前記燃料と空気とが前記のように混合されて、PDC内における燃焼に適する燃料/空気混合物が形成される。より多くの燃料と空気とが導入され、かつ混合されると、チャンバは、より多くの燃料と空気とが導入されるにしたがって、まず図示された実施例のヘッド端部付近から徐々に該チャンバの長さに沿って燃料/空気混合物により満たされていく傾向にある。前記のように、空気は、清浄化運転中において空気入口102を介してPDCに連続的に供給されうるが、いくつかの実施例においては、制御装置を手段として弁を用いてPDC内への燃料の導入を制御することが望ましいかもしれない。加えて、さらにまた、清浄化装置が動作していない時期に空気流を制御しうることが望ましいかもしれない。ひとつの例証的な実施例においては、制御装置は、燃料弁が開弁してから経過した時間を追跡することができるとともに、PDCに入力される空気率に基づいて、一旦燃料/空気混合物が燃焼室101の所望の部分を満たし終えるのに十分な量の燃料が添加されると、燃料弁を閉弁することができる。
燃焼事象後に、空気は、燃焼運転または清浄化運転中に引き続きチャンバ101内に導入されて、前の燃焼サイクルによるあらゆる残留燃焼生成物のパージを補助する。さまざまな実施例において、弁を用いて、チャンバを満たすのに必要とされる燃料の量を増加または減少させて、PDCの運転を調整することができる。一旦弁が閉弁され、かつチャンバにもはや燃料が供給されなくなると、点火装置130が作動せしめられる。
点火装置130は、制御装置により作動せしめられて、チャンバ101内における燃料/空気混合物の燃焼が開始されうる。たとえば、火花点火装置が点火装置として用いられる場合は、制御装置は、前記点火装置に電流を送って、適切な時間に火花を創出させうる。一般に、点火装置は、該点火装置130付近の燃料/空気混合物中において火炎を生じしめるのに十分なエネルギーを該点火装置付近の混合物中に導入する。この火炎が混合物中に存在する酸化剤を用いて燃料を燃焼させることにより該燃料を消費するため、火炎はチャンバ101内の混合物全体にわたって伝播することになる。
火炎がPDCのチャンバ101を通って伝播すると、火炎面は、管114の壁部と該管内に配置される障害物120とに到達する。火炎面と前記管の壁部および前記障害物との相互作用により、チャンバ内の圧力と温度との上昇が生じしめられやすくなる。このような圧力と温度との上昇により、火炎がチャンバを通って伝播する速度と火炎面での燃焼によりエネルギーが燃料/空気混合物から放出される率とが増大しやすくなる。この加速は、燃焼速度が、通常のデフラグレーションプロセスにより予想される速度を超えて準デトネーションまたはデトネーションの特徴をなす速度に高まるまで続く。このDDTプロセスは、急速に行なわれること(高いサイクル速度の運転を維持するために)が望ましく、そのために障害物120を用いて、各火炎の発生からデトネーションへの遷移に必要とされる立上り時間と距離とが短縮される。
デトネーション波は、管114の全長にわたって移動して、前記管の出口孔部116から脱出する。孔部116から、デトネーション波は、清浄化対象の物体の本体内に導かれるか、または図3に示されたような拡散部300を介して送られた後に清浄化対象の物体内へと導かれうる。高圧燃焼生成物がデトネーション波の後に続くとともに、デトネーション波そのものと一緒に出口開口116を通って吹き出る。
この高圧生成物がPDCから吹き出るときに、空気入口102を介して連続的に供給される空気により、これらの生成物は、たとえ該燃焼生成物内の圧力が降下しても、下流方向に孔部116から外方に押し出されやすくなる。このような連続的な空気供給を用いて、燃焼生成物は、管114から排除される。一旦燃焼生成物が排除されると、燃料入口104の弁が開弁され得、新たな注入段階が開始されて、次の燃焼サイクルが開始されうる。
管114または拡散室320の出口から脱出するデトネーション波は、清浄化対象の物体の本体を通って伝播する急激な圧力増加、すなわち衝撃を含む。この衝撃は、ボイラー壁部等の面から付着物とスラグとを除去する上でいくつかの有利な効果を有しうる。ひとつの局面において、前記衝撃波は、堆積したスラグおよび付着物を通って移動する圧力波を生じしめうる。このような内圧波は、堆積物内において、付着物内における亀裂の形成を促進するとともに付着物の一部分を残りの堆積物またはボイラー壁部から離脱させうる屈曲および圧縮を生じしめうる。これは、しばしば、堆積したスラグの表面から遊離した「ダスト」として見られる。加えて、衝撃波の通過に付随する圧力変化は、ボイラーそのものの壁部において屈曲を生じしめ得、この屈曲もまた、壁部からスラグを遊離させるのに役立ちうる。さらにまた、反復的な燃焼サイクルのその後の衝撃波による反復的な衝撃は、スラグ内において、さらに内部応力の発生を促進するとともに付着物の機械的な崩壊を促しうる共振を励起させうる。各衝撃波の背後において、加圧された燃焼生成物の流れが、遊離した付着物と粒子状物質とを下流に吹き出しうる一掃効果をもたらす。衝撃とパージの繰り返し作用を用いて、ボイラー壁部の上に堆積する付着物を徐々に破壊する。
清浄化効果を最適化するために、PDCから脱出する各波の強さと、PDCが動作せしめられる運転周波数とが、増加または低下せしめられうるとともに、前記強さと周波数とは、設計および動作パラメータの両方を変更することによって調節されうる。たとえば、チャンバ101の長さの変化を用いて、DDTに必要とされる立上り時間の大きさを変更することができ、またはさまざまな長さまたは形状の拡散室300を用いて、衝撃において異なる水準の圧力を達成することができる。操作的には、燃料注入量の変更は、燃料弁が開弁状態に維持される時間あるいは空気または燃料が空気および燃料入口102、104を介してPDC内に導入される速度または圧力を制御することによって行なわれうる。
燃料または運転周波数の選択を変更することにより、全体としての動作信頼性および清浄化効果が、対象となる特定の形状または付着物の堆積に合わせてさらに調整されうる。本明細書に記載の清浄化装置のひとつの実施例において、使用される燃料は、エチレン等の気体燃料である。特定の実施例においては、燃料は、気体の形態で保存される必要はなく、燃料入口を介して燃焼室101内に導入される時点で気体の形態をとればよいことに注意されたい。その他の考えられる燃料には、水素ガス、天然ガス、メタンおよびプロパンを含むその他の気体燃料と、ガソリン、灯油および航空燃料を含む液体燃料とが含まれるが、これらに制限されるわけではない。
たとえば、図1に示されるような管114内へと点火する図2に示されるようなヘッド端部200を有する実施例を用いて、最大20Hzで実験が行なわれた。エチレンが燃料に用いられ、空気が酸化剤として用いられた。試験結果から、下流側の測定圧力(清浄化されるボイラーの内部において生じる)は、注入段階の持続時間と、充填されるチャンバ101の有効容積とに強く依存することがわかった。チャンバの有効燃料充填長さを入口から20インチ(約508ミリメートル)と入口から90インチ(約2.29メートル)との間において変動させると、PDCの運転中に下流で測定されるピーク圧力において有意な変動が創出された。
燃料の多様化に加えて、使用される酸化剤もまた多様化されうる。終始「空気」という用語が用いられるが、当業者には、適切な可燃性混合物が、空気以外の酸化剤を用いることにより形成されうることが理解されよう。ある特定の実施例においては、空気は、一般に手軽に入手可能であるとともに、費用と別途の酸化剤供給部の配設とを避けうるため、空気が酸化剤として用いられる。加えて、空気を使用することにより、PDC清浄化装置の連続パージによって燃焼サイクル間においてシステムをより効果的に冷却することができる。
加えて、前記のシステムは、デトネーションが空気等の同じ酸化剤を用いることによって生じしめられて、チャンバ内における燃焼の初期点火と、デトネーションへの燃焼の立上りと、デトネーションそのものの支持とが行なわれるように動作することができる。これにより、別途の酸化剤源、または異なる圧力または濃度の酸化剤をさまざまな点で燃焼室内に噴射することを必要としないより単純なシステムを得ることができる。
同様に、初期燃焼と立上りとデトネーションとのいずれにも単一の燃料系を用いることにより、システムのさまざまな部分への別途の燃料供給(たとえば、初期燃焼と立上りのためのひとつの燃料系と、主デトネーション室用の第2の燃料系と)を用いるシステムより単純なシステムを得ることができる。同じ燃料系を用いることに加えて、本明細書に記載のシステムでは、点火と立上りとデトネーションとに同じ燃料が用いられる。
その他の改変が、前記の利点を維持しながら、前記のシステムおよび運転方法の態様に対して加えられうることが理解されよう。たとえば、ひとつのまた他の態様においては、多数の空気入口102を用いて、PDC内へのより迅速な空気の導入を可能にすることができる。さらに他の態様においては、多数の燃料入口104を用いて、単一の燃料プレナム106への供給、または燃焼室101または混合室215内に独立的に燃料を噴射する別々のプレナムへの供給のいずれかが行なわれうる。さらに他の考えられる変形態様には、ヘッド端部または燃焼室101に沿って半径方向または軸方向に離間する多数の点火装置103を使用することが含まれる。
また他の変形態様の例は、図1を参照して前記に説明された障害物120の構成において認められうる。障害物は、PDC環境内において作用するDDTプロセスと信頼性とを向上させるのに適するさまざまな形態をとりうる。ひとつの態様において、前記障害物120は、図4に示されるように、管の壁部114から延在する環状リング410の形態をとりうる。このようなリング410は、管の断面積を制限するとともに、火炎面が部分的に反射される表面となる。その他の形態には、弓形420等の部分的障害物、たとえば図5に示されるような半月形または図6に示されるような三日月形の板430が含まれる。このような形態は、管114の表面から延在する板でありうる。
さらにまた、障害物120の間隔および配置を変化させて、PDCによってより効果的な清浄化デトネーションを生じしめることができる。たとえば、図1に示されるように等間隔に配置するのではなく、むしろ障害物120は、管114の長さに沿って連続する障害物120間において変動する距離を有して配置されうる。加えて、管114の軸のまわりにおいて回転対称をなさない弓形420、三日月形430またはその他の障害物の場合は、変動する周方向配置が可能である。たとえば、弓形の形状420を有する障害物120を管114の側部に交互に長さに沿って配置して、連続する障害物120が、図7に示されるように、互いに反対側に配置されるようにすることができる。加えて、多数の障害物を管114に沿って同じ軸方向位置に配置することも、管の全面に渡らない障害物の場合には可能である。このような多数の弓形の配置の一例が、図7の右側に示されている。
また他の実施例では、障害物は、管の壁部から燃焼室内へと延在する筒状突起の形態をとる。図8の軸方向断面図に示されているように、穴440が、PDCの管114内に創出される。次に、筒体450が、前記穴440を貫通して配置されるとともに、管114の壁部を通って燃焼室101内へと延在する。ひとつの実施例において、前記筒体450は、穴440と同様にねじ切りされ、前記筒体は、筒状ボルトと穴との間における螺合により正位置に保持される。また他の実施例においては、前記突起は、溶接またはその他の機械的拘束により正位置に固定される。筒状突起は、鋳造または管の壁部との一体成形によっても形成されうることが理解されよう。このような構成を用いて、前記のようにボルトを管114の壁部と熱的に一体化させることができる。
図8に示されるように、筒体450は、燃焼室101内に延在する。前記筒体が前記チャンバ内に延在する長さは、本明細書に記載のシステムの異なる実施例において変動しうる。たとえば、ある実施例においては、前記長さは、燃焼室の内径の約2分の1以上とされうる。また他の実施例では、前記長さは、燃焼室の内径と等しくされ得、この場合は、前記筒体は、該筒体を延在させる側部からチャンバの対向側部まで延在することになる。さまざまな実施例において、前記筒体がチャンバの壁部から延在する長さと前記筒体の位置における燃焼室の内径との比は、約0.5〜約0.625、約0.625〜約0.70、約0.70〜約0.80、約0.80〜約0.875、約0.875〜約0.95または約0.95〜約1とされうる。ある特定の実施例では、前記筒体は、約1.5インチ(約38.1ミリメートル)の延在長さを有し得、前記内径は、約2.0インチ(約50.8ミリメートル)とされて、前記長さと前記内径との比は、約0.75になりうる。その他の実施例を以下に説明する。
図8を参照するとわかるように、筒体450は、さらにまた、本明細書に記載のシステムの異なる実施例において変動しうる幅または直径を有する。たとえば、ひとつの実施例において、筒体450の幅は、燃焼室101の内径の約4分の1以上とされうる。また他の実施例では、前記幅は、前記内径の約2分の1以下とされうる。さまざまな実施例において、前記筒体の幅と前記筒体の位置における燃焼室の内径との比は、約0.25〜約0.30、約0.30〜約0.40、約0.40〜約0.45および約0.45〜約0.5とされうる。ある特定の実施例において、前記筒体は、約0.625インチ(約15.9ミリメートル)の幅を有し得、前記燃焼室は、約2.0インチ(約50.8ミリメートル)の内径を有して、前記筒体の幅と前記内径との比は、約0.3125となりうる。その他の実施例を以下に説明する。
本明細書および特許請求の範囲の全体を通して、前記のような範囲制限は、組み合わされ得、かつ/または置き換えられ得、このような識別された範囲は、文脈または文言により別段の指示がない限り、自身内に包含される全ての部分範囲を含みうる。
また他の特定の実施例において、管114のDDT部分は、ヘッド端部の点火装置130と出口孔部116との間において40インチ(1.02メートル)の長さを有する2インチ(約50.8ミリメートル)の外径の鋼管により製作される。障害物120は、DDT部分の長さに沿って2インチ(約50.8ミリメートル)毎に配置され、各障害物120は、管114の壁部内に穴440を貫通して螺入されるとともに燃焼室101内に1.25インチ(約31.75ミリメートル)突出する1/2インチ(約12.7ミリメートル)のねじ付きボルト450であった。各ボルト450は、すぐ上流に配置されるボルトから周方向に約90度の位置に配置されて、管114の長さに沿って延在する螺旋状のボルト配置が創出された。
試験において、ボルト等の筒状突起を用いることにより、デトネーションの支持に用いられうる高度な頑健性の動作パラメータが得られることがわかった。たとえば、ボルトを用いることにより、点火の時点で燃焼室内に存在する全体としての空気/燃料比を変動させることが可能になる一方で、依然として燃焼をデトネーションに遷移させることが可能であった。このような燃料/空気比の変動は、各点火の前に用いられる燃料注入の持続時間を変動させ、以ってチャンバ全体の燃料により満たされる部分を変動させることによって達成されうる。このような変動は、さらにまた、空気または燃料がシステム内に導入される速度を変化させることによって達成されうる。
PDCの動作中において、燃焼室の内部で生じしめられる熱と圧力とは、燃焼室101の表面を損傷させる効果を有しうる。特に、流れの中に延在する障害物120は、燃焼時において有意に加熱されうる。熱的に一体化される障害物を設けることは、障害物から管114そのものへの熱伝達の形成に役立つ。管は、一方の側から加熱されるだけであり、さらにまた外部的に冷却されうるため、管114をヒートシンクとして用いて、熱的に一体化される障害物120に伝達される熱を放散させることができる。このような熱的に一体化される障害物は、運転中においてより低温に維持されるとともに、したがって熱的に一体化されない障害物より強く、かつ故障しにくくなる。
燃焼室内においてデフラグレーションからデトネーションへの遷移を補助することに加えて、図8に示されるようなボルト450の形態をとる障害物120は、さらにまた、長期間の運転により損傷されると、管114から取り外されて交換されうる。このような取外し可能な障害物は、故障する前に交換されうるため、PDC管114の部分全体を交換しなくても、PDCの性能の低下を回避することができる。
前記に説明された構成に加えて、PDCを基本とする適切な清浄化システムを創出する上で、図示された構成要素のまた他の構成および配置を用いることができる。たとえば、管114は、図1においてx軸に沿って実質的に線形に延在するように図示されているが、図9に示される実施例等のまた他の実施例では、前記管は、該管の第1の部分520と該管の第2の部分530とを分けるベンド510を自身の長さに沿って含みうる。このような構成において、第2の部分530は、第1の部分520と同軸ではない。このような構成は、第1の部分520と第2の部分530とベンド530との1個以上に配置される障害物120を含みうる。この構成により、ヘッド端部から出口孔部116まで湾曲した流路の管に沿って延在する燃焼室101が創出される。直線状の管の場合と同様に、ベンド530を有するPDCの実施例は、任意で、拡散室300またはその他の下流側構成要素に接続され得、または清浄化対象の装置内に直接吐出しうる。
また他の実施例において、ベンドは、拡散室内に配置されて、拡散室が同軸ではない第1の部分と第2の部分とに分割されるようにされうる。図9に関して前記に説明されたように、このような構成は、拡散室の第1の部分、拡散室の第2の部分または拡散室のベンドの1個以上において障害物を含みうる。加えて、前記ベンドそのものが、末広状の断面を有しうる。
さらに他の実施例において、ベンドは、PDCと1個以上の下流の装置との間において配置されうる。たとえば、ある特定の実施例では、ベンドは、燃焼室の孔部116と拡散室300との間において配置されうる。PDC清浄化システムの構成要素をひとつにまとめる上でより高い柔軟性をもたらすことに加えて、流路の長さに沿ったベンドは、デトネーション波がこうした湾曲状の流路を通過するときに、該デトネーション波の強さと発達とを維持する上で気体力学的利点をもたらしうる。
また別の構成において、PDC清浄化装置の一部分は、清浄化対象の容器内に配置されうる。たとえば、図10に、拡散室300に接続される直線状の管114を有するPDC清浄化装置の略図が示されている。しかし、拡散室の出口320は、例証的なボイラー600の壁部610と面一に配置されるのではなく、むしろ拡散室の一部分がボイラー600内に配置されて、拡散室300が壁部610から離れて延在するようになっている。
本明細書に記載のPDC清浄化装置とともに用いられる下流側装置のさらにまた他の構成が、図11に示されている。多出口室650は、略図で示されている。このようなチャンバ650は、清浄化対象の容器600内に該容器そのものの壁部610から離れて延在する壁部660により形成される。PDCからの流れは、容器の壁部610内の穴を介して多出口室650内に導かれる。複数個の出口穴670は、チャンバ650の壁部660に配置され、これらの穴を介してPDCからのデトネーション波と加圧流とが容器600内に導かれうる。このような構成を用いて、PDCからの出力をより特定的に誘導し、かつ局在化させて、容器内の特定の面をより効果的に清浄化することができる。
図示された実施例において、多出口室650は、容器の側部において壁610から容器600内に延在する。しかし、また他の実施例では、多出口管は、容器の壁部610に沿って配置されて、図12に示されるように、穴670を用いてPDCからのデトネーションを壁部に沿って多数の位置において導くようになっている。
また、このような清浄化システムは、産業用ボイラーに制限されるのではなく、汚れに直面しうるさまざまな異なる面上において清浄化を達成するのに用いられうることが理解されよう。本明細書に記載の前記システムおよび技術を用いて清浄化されうる面を有する容器の例には、セメント製造、廃棄物熱源転換設備および石炭燃焼エネルギー設備において用いられる容器と、石炭ガス化設備における反応炉とが含まれるが、これらに制限されるわけではない。
本明細書に記載のシステムのさまざまな実施例において用いられうるその他の特徴には、燃焼室101、または拡散室300または多出口室650等の下流の装置内に配置されうる面積縮小装置が含まれる。このような面積縮小装置には、ノズルとベンチュリとが含まれうるが、これらに制限されるわけではなく、さまざまなチャンバ内の圧力を増加させるため、または衝撃を反射してデトネーションの遷移と伝播とを高めるために用いられうる。このような装置は、たとえば機械加工によりチャンバ壁部と一体的に形成されるか、または摩擦結合、ボルト締結または溶接等の技術によりチャンバに取り付けられうる。
前記のように、清浄化装置の構成を多様化させうることに加えて、さらにまた、燃焼サイクルおよび清浄化運転の持続時間と周波数とを多様化させることができる。たとえば、ある特定の実施例において、清浄化装置は、各1分のボイラー運転中に約2秒間作動せしめられうる。これらの2秒間の運転中に、清浄化装置は、約2Hzのデトネーションサイクル周波数で動作しうる。このようなシステムにおいては、少数回のデトネーションが、毎分短期間にわたって用いられて、堆積した付着物を振動させて遊離させる。
また他の実施例では、清浄化運転が約1分間にわたって用いられて、その後清浄化装置を冷却するため運転を1分間停止する。このような運転1分、停止1分の清浄化運転サイクルが、30分等の期間にわたって繰り返される。この運転は、1日1回、または連続ボイラー運転中に必要に応じて行なわれうる。デトネーションサイクルの周波数は、前記の例の場合のように、2Hzに固定されるか、または要望どおりに増加または低下せしめられうる。当業者には、さまざまなデトネーションサイクル周波数を利用して、本明細書の教示から逸脱することなく、さまざまな構成の清浄化運転デューティサイクルが可能であることが認識されよう。
ある特定の実施例では、清浄化装置の燃焼器は、約1Hz以上の周波数で動作せしめられる。また他の実施例では、デトネーションサイクル周波数は、約100Hz以下である。さまざまな実施例において、デトネーションサイクル周波数は、約1Hz〜約1.5Hz、約1.5Hz〜約2.5Hz、約2.5Hz〜約4Hz、約4Hz〜約8Hz、約8Hz〜約12Hz、約12Hz〜約18Hz、約18Hz〜約25Hz、約25Hz〜約40Hzおよび約40Hz〜約100Hzとされうる。特定の実施例においては、デトネーション周波数は、約2Hz,約3Hz、約10Hzおよび約20Hzである。
このように、前記の清浄化システムのさまざまな実施例は、ボイラーまたはその他の容器からのすすまたは灰の除去を達成する方法となる。これらの技術およびシステムは、さらにまた、清浄化される装置を長期間にわたって運転停止する必要なしに周期的な運転を可能にする。
必ずしもこうした前記の全ての目的または利点が、何らかの特定の実施例にしたがって達成されうるわけではないことを理解されたい。よって、たとえば、当業者には、本明細書に記載のシステムおよび技術は、本明細書に教示または示唆されうるその他の目的または利点が必ずしも達成されなくても、本明細書に教示される1個の利点または1群の利点を達成または最適化することができる態様で実施または実現されうることが認識されよう。
さらにまた、当業者には、異なる実施例のさまざまな特徴の互換性が認識されよう。たとえば、ある実施例に関して説明された障害物としてのボルトの使用を、また他の実施例に関して説明された拡散室とともに用いるように適合化させることができる。同様に、前記のさまざまな特徴と各特徴に対するその他の周知の同等物とを当該技術分野における通常の技術の1つにより組み合わせ、かつ合致させて、本開示の原理にしたがったまた他のシステムおよび技術を作り上げることができる。
本明細書においては、前記システムをある一定の好適な実施例と例とに関して開示したが、当業者には、本発明は、具体的に開示された実施例に制限されるわけではなく、本明細書に記載のシステムおよび技術のその他の実施例および/または用途と前記システムおよび技術の自明な改変形態および同等物とを包含することが理解されよう。よって、開示された本発明の範囲は、前記に開示された特定の実施例に制限されるべきではなく、以下の特許請求の範囲を公正に読むことによってのみ判断されるべきであることが意図される。