JP2008201768A - 抗炎症剤及びシクロオキシゲナーゼ阻害剤 - Google Patents

抗炎症剤及びシクロオキシゲナーゼ阻害剤 Download PDF

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柳原紀之
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Abstract

【課題】物質の性質を改善し、機能性食品(成分)や医薬品などの適宜用途に用いるための方法及び改質された物質を提供する。
【解決手段】改質対象の物質を合成もしくは抽出する工程の前、工程中または工程後に、当該物質またはその原料物質を、適宜な重水素濃度の雰囲気に曝す工程を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、適宜な重水素濃度の固体、液体、気体、粒子もしくはイオンまたはその二つ以上との接触により、その性質が改質された物質に関し、特に、改質された機能性食品(成分)または医薬品に関するものである。
すべての医薬品は、その効能効果の鋭さにもかかわらず、何らかの副作用を伴うものである。そのため、使用量を増やせば効果の増大が期せる場合であっても、それに伴う副作用を生体が許容できる範囲内でなければ、実際上は増やすことはできない。
機能性食品(成分)の類は、一般的に、医薬品と比べれば副作用が少ないと考えられるが、効能効果も相対的に鈍いことが多く、医薬品と同程度の効果を得ようとするためには、摂取量をかなり増やさざるを得ない。そのため、結果的に、医薬品を使用した場合と同程度の副作用を被る恐れがある。
したがって、医薬品に匹敵する効果を有する機能性食品(成分)、または機能性食品(成分)と同程度の安全性を持つ医薬品、並びにそうした機能性食品(成分)や医薬品を開発するための簡便で合理的な方法が望まれているが、従来このような機能性食品(成分)や医薬品の機能性を改質するための簡便で合理的な方法はなかった。
ちなみに、重水に関しては、体内の重水素濃度平均の過度の上昇が、生物学的にネガティブな作用をもたらすことが知られる一方(非特許文献1)、その同じ重水の物理的性質を、悪性腫瘍細胞の運動阻害などに用いる可能性も検討されている(非特許文献2)。
また、軽水および軽水素化した機能性食品(成分)は、体内の重水素濃度の上昇を抑える目的で摂取されることもある(特許文献1,2)。
重水素化した医薬品に関しては、血漿中濃度を高めるなど、体内動態的な面で一定の効果が得られている(非特許文献3)。
AM. J. Physiol, 203, 907-913 (1962) ,J. J Katz, H. L. Crepsi, D. M. Czajka, and A. J. Finkel 癌と化学療法 23 (12),1665-1668, 1996 Arzneim.-Forsch./Drug-Res. 56, No.4, 295-300 (2006) 特開2006−67984号公報 特開2005−336146号公報
本発明が解決しようとする課題は、改質対象とする物質を、適宜な重水素濃度を持つ固体、液体、気体、粒子もしくはイオンまたはその二つ以上に接触させることにより、その物質の性質を改善し、機能性食品(成分)や医薬品などの適宜用途に用いるための方法及び改質された物質を提供することである。
本発明は、改質対象の物質を合成もしくは抽出する工程の前、工程中または工程後に、当該物質またはその原料物質を、適宜な重水素濃度の雰囲気に曝す工程を有することにより上記課題を解決する。
より具体的には、薬剤、機能性食品(成分)、酵素阻害剤またはシクロオキシゲナーゼ阻害剤を改質する方法であって、改質対象であるジンゲロン、カフェイン、アスピリンもしくはNS−398を、重水素軽減処理(軽水素増加処理)または軽水素軽減処理(重水素増加処理)が施された重水素濃度の雰囲気に曝す工程を有することを特徴とする物質の改質方法及びこれにより改質された物質により、上記課題を解決する。
重水素は、陽子1つと中性子1つから成る水素の安定同位体であり、地球上での存在比率は、水素が99.984%であるのに対し、重水素は0.014〜0.015%である。重水素は、天然では主に水として存在するが、重水素を含み通常の水よりも比重の大きい水は、HOに対して重水(DO)と呼ばれる。具体的には、天然の水における重水素濃度は約150ppm前後であるため、約150ppm以上の重水素濃度を持つ水を重水、約150ppm以下の重水素濃度を持つ水を軽水と称することもある。
本発明における「物質」には、天然物と化合物が含まれ、天然物としては各種食品素材や食品抽出物などが、化合物としては各種合成機能性物質や医薬品などが含まれるが、これに限るものではない。
本発明における「適宜な重水素濃度の固体、液体、気体、粒子、イオン」を、上述の水の重水素濃度で例えると、150ppm、より好ましくは140乃至160ppmに相当する重水素濃度を基準とし、150ppm以下、より好ましくは140ppm以下の水に相当する、固体、液体、気体、粒子、イオンには「軽」を付け、反対に、150ppm以上、より好ましくは160ppm以上の水に相当する、固体、液体、気体、粒子、イオンには「重」を付けることができる。
したがって本発明では、(1)重水素軽減処理(=軽水素増加処理)、または軽水素軽減処理(=重水素増加処理)を全く施さないものを、上記の通常水に相当する「通常の(固体、液体、気体、粒子、イオン)」とし、(2)重水素軽減処理(=軽水素増加処理)を施したものを、上記の軽水に相当する「軽(固体、液体、気体、粒子、イオン)」とし、(3)軽水素軽減処理(=重水素増加処理)を施したものを、上記の重水に相当する「重(固体、液体、気体、粒子、イオン)」と称する。
物質によっては、重水素軽減処理(=軽水素増加処理)を施したものへの接触によって望ましい改質を得られるものもあれば、反対に、軽水素軽減処理(=重水素増加処理)を施したものへの接触によって望ましい改質を得られる場合もある。また共に望ましい結果を得られる場合もある。しかしそれを事前に予測することは困難であるため、まずはそれぞれの濃度の端にできるだけ近い濃度に接触させることによって大まかな傾向をつかんだ後、費用対効果を考慮しつつ実際に使用する濃度を決定し、希釈あるいは濃縮していっても良い。
本発明における「性質」には、弾性や剛性などの物理的性質、可溶性や阻害活性などの化学的・生理学的性質、あるいは、色彩、味覚、匂い、触感などの官能的性質などが含まれるが、これに限るものではない。
本発明における「改質」には、上記性質の増加、減少、上昇、下降、追加、削除などが含まれるが、これに限るものではない。
また、適宜な重水素濃度の固体、液体、気体、粒子、イオン、またはその二つ以上との接触により得られる当該固体、液体、気体、粒子、イオン、またはその二つ以上と改質された物質から成る混合物のみならず、その後に、当該固体、液体、気体、粒子、イオン、またはその二つ以上を除去した物質も本発明の技術的範囲に含まれる。それはたとえば、水素と重水素との間の置換、第1水和圏への水和、水和錯体形成、または、構造変化などの変化を保持している。
本発明における「除去」には、単純な隔離、蒸発、発散、凍結乾燥処理、曝露の停止などが含まれるが、これに限るものではない。
本発明における「水素と重水素との間の置換」は、従来の技術で言うところの重水素化、あるいは軽水素化のことを指す。しかし本発明においては、物質をそこへ接触させるところの固体、液体、気体、粒子、イオンの重水素濃度をこそ重視しているのに対し、重水素化、あるいは軽水素化という従来の手法が目的とするところは、処理後に得られる物質の重水素濃度、言い換えれば、水素と重水素との間の置換効率をこそ重視している。本発明により改質された物質が、結果として水素と重水素との間の置換をしていたとしても、本発明はあくまで、適宜な重水素濃度への接触による物質の性質そのものへの働きかけを目的としている。
本発明における「第1水和圏への水和」とは、適宜な重水素濃度の固体、液体、気体、粒子、イオン、またはその二つ以上に接触されることにより、その性質が改質させられた物質において、当該固体、液体、気体、粒子、イオン、またはその二つ以上を除去した後も、当該物質において保持されているところの変化の一つとして考えられるものである。ある物質の水和物を構成する水分子の水和範囲を、第1水和圏と呼び、それ以外の溶媒部分を第2水和圏と呼ぶことがあるが、ここでいう第1水和圏への水和とは、要するに溶媒部分を取り除いた水分子への水和のことである。つまり当該固体、液体、気体、粒子、イオン、またはその二つ以上を除去した後も、重水和物あるいは軽水和物としてその変化をとどめている物質のことである。なお、水和物以外に、重エタノール和物、軽エタノール和物、重メタノール和物、軽メタノール和物、重ヘキサン和物、軽ヘキサン和物、重クロロホルム和物、軽クロロホルム和物、重グリセリン和物、軽グリセリン和物なども考えられるが、これら各溶媒和物も本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明における「水和錯体形成」は、上記の第1水和圏への水和が部分的な構造に特徴を有するのに対し、全体的な構造に特徴を有する。適宜な重水素濃度の固体、液体、気体、粒子、イオン、またはその二つ以上に接触させることにより、その性質が改質させられた物質において、当該固体、液体、気体、粒子、イオン、またはその二つ以上を除去した後も、当該物質において保持されているところの変化の一つとして水和錯体、つまり重水和錯体あるいは軽水和錯体を形成することが考えられる。なお、水和錯体以外に、重エタノール和錯体、軽エタノール和錯体、重メタノール和錯体、軽メタノール和錯体、重ヘキサン和錯体、軽ヘキサン和錯体、重クロロホルム和錯体、軽クロロホルム和錯体、重グリセリン和錯体、軽グリセリン和錯体なども考えられるが、これら各溶媒和錯体も本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明における「構造変化」は、水素と重水素との間の置換、第1水和圏への水和、水和錯体形成などの総合的な結果として生じることも考えられるが、それらに還元されない要因により構造変化が生じることも考えられるので、これを独立して挙げる。なお、ここでいう構造変化には電子の励起状態なども含まれる。
本発明により改質された物質が、たとえば酵素阻害剤である場合、その阻害活性という性質を改質させる。酵素阻害剤には、たとえばCOX(シクロオキシゲナーゼ)阻害剤、LPO(リポキシゲナーゼ)阻害剤、COL(コラゲナーゼ)阻害剤などがあり、生理学的な作用もさまざまであるが、ここでは例としてCOX(シクロオキシゲナーゼ)阻害剤をとりあげる。
近年では、生体防御的に働くプロスタグランジンも産生するCOX−1を阻害せずに、炎症部位において炎症に関与するプロスタグランジンを産出するCOX−2のみを阻害するCOX−2選択阻害薬も開発されている。しかし、COX−2選択阻害薬の使用が心血管系合併症の発生リスクを高めるという報告もされている。さらにそれが薬剤である以上、代謝・分解される際に発生する活性酸素や過酸化脂質に由来する生体(特に肝臓)への負荷は消すことはできない。
したがって、理想的なCOX阻害剤とは、1)薬剤の使用量を減らすことを目標にCOX阻害活性そのものを高めた薬剤、2)COX阻害活性を付与された機能性食品(成分)である。発明の画期性や社会への貢献度からみて、より望ましいのは2)である。
[実施例1−1]
ショウガ抽出成分であるジンゲロン(4-(4-Hydroxy-3-methoxyphenyl)butan-2-one、輸入販売=和光純薬工業株式会社)50mgを、重水素濃度約0.5ppm以下の軽水(Water,Deuterium-Depleted、ISOTEC社)20mLに投入し、スターラーで攪拌しながら漬け置きした。24時間後に得られた軽水とジンゲロンの混合液を、凍結乾燥処理した。処理後得られた粉末のシクロオキシゲナーゼ(COX−1、COX−2)阻害活性を評価した。
なお、本実施例、及び以下の例における凍結乾燥処理は、特に説明がない限り下記の条件に従った。
RLEII-103(共和真空技術株式会社)を用いて、検体を凍結し、真空(約0.04〜0.05Torr)にしてから、以下の表1のとおり温度を上げて乾燥を実施した。
Figure 2008201768
[実施例1−2]
ショウガ抽出成分であるジンゲロン(4-(4-Hydroxy-3-methoxyphenyl)butan-2-one、輸入販売=和光純薬工業株式会社)50mgを、重水濃度約99.9%の重水(Deuterium Oxide、Cambridge Isotope Lboratories,Inc.)20mLに投入し、スターラーで攪拌しながら漬け置きした。24時間後に得られた重水とジンゲロンの混合液を、60キログレイで電子線照射し凍結乾燥処理した。処理後得られた粉末のシクロオキシゲナーゼ(COX−2)阻害活性を評価した。
[実施例2]
カフェイン(カフェイン、和光純薬工業株式会社)600mgを、重水濃度約99.9%の重水(Deuterium Oxide、Cambridge Isotope Lboratories,Inc.)100mLに投入し、スターラーで攪拌しながら漬け置きした。24時間後に得られた重水とカフェインの混合液を、凍結乾燥処理した。処理後得られた粉末のシクロオキシゲナーゼ(COX−1、COX−2)阻害活性を評価した。
[実施例3]
非ステロイド系抗炎症薬であるアスピリン(Acetylsalicylic Acid、HOOCC6H4OCOCH3、和光純薬工業株式会社)400mgを、重水濃度約99.9%の重水(Deuterium Oxide、Cambridge Isotope Lboratories,Inc.)100mLに投入し、スターラーで攪拌しながら漬け置きした。24時間後に得られた重水とアスピリンの混合液を、凍結乾燥処理した。処理後得られた粉末のシクロオキシゲナーゼ(COX−1)阻害活性を評価した。
[実施例4]
COX−2選択的阻害剤であるNS−398(C13H18N2O5S、和光純薬工業株式会社販売)50mgを、重水濃度約99.9%の重水(Deuterium Oxide、Cambridge Isotope Lboratories,Inc.)100mLに投入し、スターラーで攪拌しながら漬け置きした。24時間後に得られた重水とNS−398の混合液を、凍結乾燥処理した。処理後得られた粉末のシクロオキシゲナーゼ(COX−2)阻害活性を評価した。
[比較例1]
ショウガ抽出成分であるジンゲロン(4-(4-Hydroxy-3-methoxyphenyl)butan-2-one、輸入販売=和光純薬工業株式会社)50mgを、重水素濃度約150ppmの蒸留水20mLに投入し、スターラーで攪拌しながら漬け置きした。24時間後に得られた蒸留水とジンゲロンの混合液を、凍結乾燥処理した。処理後得られた粉末のシクロオキシゲナーゼ(COX−1、COX−2)阻害活性を評価した。
[比較例2]
ショウガ抽出成分であるジンゲロン(4-(4-Hydroxy-3-methoxyphenyl)butan-2-one、輸入販売=和光純薬工業株式会社)50mgを、重水濃度約99.9%の重水(Deuterium Oxide、Cambridge Isotope Lboratories,Inc.)20mLに投入し、スターラーで攪拌しながら漬け置きした。24時間後に得られた重水とジンゲロンの混合液を、凍結乾燥処理した。処理後得られた粉末のシクロオキシゲナーゼ(COX−1、COX−2)阻害活性を評価した。
[比較例3]
カフェイン(カフェイン、和光純薬工業株式会社)600mgを、重水素濃度約150ppmの蒸留水100mLに投入し、スターラーで攪拌しながら漬け置きした。24時間後に得られた蒸留水とカフェインの混合液を、凍結乾燥処理した。処理後得られた粉末のシクロオキシゲナーゼ(COX−1、COX−2)阻害活性を評価した。
[参考例1]
COX−1阻害活性の陽性対照として、アスピリン(Cayman Chemical Co.、Lot. No.130291-131515)のシクロオキシゲナーゼ(COX−1)阻害活性を評価した。
[参考例2]
COX−2阻害活性の陽性対照として、NS−398(Cayman Chemical Co.、Lot. No.121861-140177)のシクロオキシゲナーゼ(COX−2)阻害活性を評価した。
[COX阻害活性の評価]
COX阻害活性の評価は、以下のプロトコルに従って行われた。
1.被験物質およびその調製方法:
被験物質を適当量秤量し、リン酸緩衝液(PBS, Dulbecco’s Phosphate-Buffered Saline; pH: 7.2±0.1;Invitrogen, Lot No. 1318763)で懸濁した。予備溶解性実験によって、被験物質の濃度を0.01 mg/ml、0.1 mg/mlおよび1 mg/mlとした。また、陽性対照としてAspirin(Cayman Chemical Co.、Lot. No.130291-131515)、およびNS-398 (Cayman Chemical Co.、Lot. No.121861-140177)をエタノールでそれぞれ溶解し、最終濃度を100 μMおよび30 μMとした。エタノールの最終濃度は0.2%であった。なお、反応液1.0 ml中に添加する被験物質の容量はキットのプロトコルに従いの20 μlとした。
2.分析方法、データ処理:
COX Inhibitor Screening Assay Kit(Cayman Chemical Co.、ロット番号:159931)を用い、エンザイムイムノアッセイ(EIA)法で測定した。すなわち、アラキドン酸を基質としてCOX-1またはCOX-2による酵素反応により得られた最終代謝物(PGF)濃度を測定する目的で、マイクロプレートリーダー(Multiskan JX、 Thermo Labsystems, Inc.)を用いて405 nmの吸光度を測定した。
得られた吸光度よりEIAのデータ解析ソフト(Cayman Chemical Co.)を用いて、最終代謝物のPGF2αの濃度を求めた。溶媒(PBSまたはエタノール)に対する被験物質および陽性対照薬の抑制率(%)は次式で求めた。
抑制率(%)=(1-被験物質のPGF2α濃度/溶媒のPGF2α濃度)×100
3.試験結果
以上の試験結果を図1〜図3に示す。
図1、図2が示すように、約150ppmの重水素濃度の蒸留水に漬け置き後に凍結乾燥処理したジンゲロン(比較例1)においては、濃度依存的なCOX−1阻害活性(=PGF2α産生抑制率、以下同様)を示す一方(47.1%、51.9%、94.7%、順に0.01mg/ml、0.1mg/ml、1mg/ml濃度、以下同様)、COX−2阻害活性(=PGF2α産生抑制率、以下同様)はあまり示さなかった(18.5%、11.5%、12.8%)。
約99.9%の重水濃度の重水に漬け置き後に凍結乾燥処理したジンゲロン(比較例2)においては、COX−2阻害活性が下がった(−4.9%、−0.7%、6.2%)。
重水素濃度約0.5ppm以下の軽水に漬け置き後に凍結乾燥処理したジンゲロン(実施例1−1)においては、COX−2阻害活性が大幅に上がった(79.9%、85.9%、88.4%)。ジンゲロンにおいては、COX−2阻害活性を大幅に上昇させる重水素軽減処理(=軽水素増加処理)を施したものへの接触が望ましいと言える。
また、図3が示すように、約99.9%の重水濃度の重水に漬け置き後に、60キログレイで電子線照射し凍結乾燥処理したジンゲロン(実施例1−2)においては、COX−2阻害活性が大幅に上がった。
なお、図1、2において、アスピリンのCOX−1阻害活性(35.3%)、およびNS−398のCOX−2阻害活性(69.7%)は、投与用量を実施例、比較例と揃えるために、以下の計算により補正している。
試験に使用したアスピリンの最終濃度は、100(μM)である。アスピリンの分子量は180である。したがって、100×180(μg/L)、つまり0.018(mg/mL)がアスピリンの最終濃度である。他方、本試験の被験物質は、0.01mg/ml、0.1mg/ml、1mg/mlの3段階の濃度で試験されている。このうち、0.018(mg/mL)に最も近い濃度は0.01mg/mlである。よって、これに合わせるよう補正した。すなわち、試験結果として実際に得られたアスピリンのCOX−1阻害活性は63.6%であったが、これは0.018(mg/mL)を使用した際の数値であるため、これを0.01mg/mlを使用したと仮定し、0.01:0.018=x:63.6、よってx=35.3(%)と補正した。
同様に、試験に使用したNS−398の最終濃度は、30(μM)である。NS−398の分子量は314.36である。したがって、30×314.36(μg/L)、つまり0.0094308(mg/mL)がNS−398の最終濃度である。他方、本試験の被験物質は、0.01mg/ml、0.1mg/ml、1mg/mlの3段階の濃度で試験されている。このうち、0.0094308(mg/mL)に最も近い濃度は0.01mg/mlである。よって、これに合わせるよう補正した。すなわち、試験結果として実際に得られたNS−398のCOX−2阻害活性は65.7%であったが、これは0.0094308(mg/mL)を使用した際の数値であるため、これを0.01mg/mlを使用したと仮定し、0.01:0.0094308=x:65.7、よってx=69.7(%)と補正した。
以下、続いてカフェイン系の試験結果を図4〜図5に示す。
図4、図5が示すように、約150ppmの重水素濃度の蒸留水に漬け置き後に凍結乾燥処理したカフェイン(比較例3)においては、COX−1阻害活性(=PGF2α産生抑制率、以下同様)を示す一方(60.9%、22.7%、43.9%、順に0.01mg/ml、0.1mg/ml、1mg/ml濃度、以下同様)、COX−2阻害活性(=PGF2α産生抑制率、以下同様)はあまり示さなかった(12.2%、1.4%、12.5%)。
約99.9%の重水濃度の重水に漬け置き後に凍結乾燥処理したカフェイン(実施例2)においては、濃度依存的にCOX−2阻害活性が上がった(27.3%、39.4%、60.2%)。
以上のことから、カフェインにおいては、COX−2阻害活性を大幅に上昇させる軽水素軽減処理(=重水素増加処理)を施したものへの接触が望ましいと言える。
なお、図4、5において、アスピリンのCOX−1阻害活性(35.3%)、およびNS−398のCOX−2阻害活性(69.7%)は、上述の計算により補正している。
以下、続いて阻害薬系の試験結果を図6〜図7に示す。
図6が示すように、約99.9%の重水濃度の重水に漬け置き後に凍結乾燥処理したアスピリン(実施例3)においては、COX−1阻害活性を高めた(50.8%、99.7%、100%)。
図7が示すように、約99.9%の重水濃度の重水に漬け置き後に凍結乾燥処理したNS−398(実施例4)においては、COX−2阻害活性を高めた(96.8%、97.2%、97.9%)。
以上のことから、アスピリンにおいては、COX−1阻害活性を高めるという目的に照らせば、軽水素軽減処理(=重水素増加処理)を施したものへの接触が望ましいと言える。また、NS−398においては、COX−2阻害活性を高めるという目的に照らせば、軽水素軽減処理(=重水素増加処理)を施したものへの接触が望ましいと言える。
なお、図6、7において、アスピリンのCOX−1阻害活性(35.3%)、およびNS−398のCOX−2阻害活性(69.7%)は、上述の計算により補正している。
以下、追加の実施例を示す。
[実施例5]
非ステロイド系抗炎症薬であるアスピリン(Acetylsalicylic Acid、HOOCC6H4OCOCH3、和光純薬工業株式会社)400mgを、重水濃度約99.9%の重水(Deuterium Oxide、Cambridge Isotope Lboratories,Inc.)100mLに投入し、スターラーで攪拌しながら漬け置きした。24時間後に得られた重水とアスピリンの混合液を、凍結乾燥処理した。処理後得られた粉末のシクロオキシゲナーゼ(COX−1)阻害活性を評価した。
[実施例6]
非ステロイド系抗炎症薬であるアスピリン(Acetylsalicylic Acid、HOOCC6H4OCOCH3、和光純薬工業株式会社)400mgを、重水素濃度約25ppmの軽水100mL(上記重水素濃度約0.5ppm以下の軽水と重水素濃度約150ppmの蒸留水より調整)に投入し、スターラーで攪拌しながら漬け置きした。24時間後に得られた軽水とアスピリンの混合液を、凍結乾燥処理した。処理後得られた粉末のシクロオキシゲナーゼ(COX−1)阻害活性を評価した。
[実施例7]
非ステロイド系抗炎症薬であるアスピリン(Acetylsalicylic Acid、HOOCC6H4OCOCH3、和光純薬工業株式会社)400mgを、重水素濃度約0.5ppm以下の軽水(Water,Deuterium-Depleted、ISOTEC社)100mLに投入し、スターラーで攪拌しながら漬け置きした。24時間後に得られた軽水とアスピリンの混合液を、凍結乾燥処理した。処理後得られた粉末のシクロオキシゲナーゼ(COX−1)阻害活性を評価した。
[比較例4]
非ステロイド系抗炎症薬であるアスピリン(Acetylsalicylic Acid、HOOCC6H4OCOCH3、和光純薬工業株式会社)400mgを、重水素濃度約150ppmの蒸留水100mLに投入し、スターラーで攪拌しながら漬け置きした。24時間後に得られた軽水とアスピリンの混合液を、凍結乾燥処理した。処理後得られた粉末のシクロオキシゲナーゼ(COX−1)阻害活性を評価した。
[参考例3]
COX−1阻害活性の陽性対照として、アスピリン(Cayman Chemical Co.、Lot. No.130291-131515)のシクロオキシゲナーゼ(COX−1)阻害活性を評価した。
[COX阻害活性の評価]
1.被験物質およびその調製方法:上述の手順に従った。
2.分析方法、データ処理:上述の手順に従った。
3.試験結果
以上の試験結果を図8に示す。
図8が示すように、約99.9%の重水濃度の重水に漬け置き後に凍結乾燥処理したアスピリン(実施例5)においては、COX−1阻害活性を高めた(62.8%、97.0%、100%)。また、約25ppmの重水素濃度の軽水に漬け置き後に凍結乾燥処理したアスピリン(実施例6)においても、COX−1阻害活性を高めた(76.4%、100%、100%)。また、約0.5ppm以下の重水素濃度の軽水に漬け置き後に凍結乾燥処理したアスピリン(実施例7)においても、COX−1阻害活性を高めた(86.1%、100%、100%)。
以上のことから、アスピリンにおいては、COX−1阻害活性を高めるという目的に照らせば、軽水素軽減処理(=重水素増加処理)、及び重水素軽減処理(=軽水素増加処理)を施したものへの接触が望ましいと言える。
なお、図8において、アスピリンのCOX−1阻害活性(52.6%)は、上述の計算により補正している。
[実施例8]
クルクミン(クルクミン、和光純薬株式会社)500mgを、重水濃度約99.9%の重水(Deuterium Oxide、Cambridge Isotope Lboratories,Inc.)100mLに投入し、スターラーで攪拌しながら漬け置きした。24時間後に得られた重水とクルクミンの混合液を、凍結乾燥処理した。処理後得られた粉末のリポキシゲナーゼ(5−LPO)阻害活性を評価した。
[比較例5]
クルクミン(クルクミン、和光純薬株式会社)500mgを、重水素濃度約150ppmの蒸留水100mLに投入し、スターラーで攪拌しながら漬け置きした。24時間後に得られた重水とクルクミンの混合液を、凍結乾燥処理した。処理後得られた粉末のリポキシゲナーゼ(5−LPO)阻害活性を評価した。
[参考例4]
LPO阻害活性の陽性対照として、フェニドン(phenidone、Sigma-Aldrich Co. Lot. No.12219DC)のリポキシゲナーゼ(5−LPO)阻害活性を評価した。
[LPO阻害活性の評価]
LPO阻害活性の評価は、以下のプロトコルに従って行われた。
1.被験物質およびその調製方法:
被験物質を適当量秤量し、分析bufferで懸濁した。陽性対照としてphenidone(Sigma-Aldrich Co. Lot. No.12219DC)をエタノールで溶解し、最終濃度の3 μMとした。エタノールの最終濃度は0.0047%とした。なお、反応液210 μl中に添加する被験物質の容量はキットのプロトコル通りの10 μlとした。
2.分析方法、データ処理:
Lipoxygenase Inhibitor Screening Assay Kit(Cayman Chemical社、ロット番号:150122; 5-lipoxygenase (potato) screening enzyme, ロット番号:137450-137451)を用い、5-リポキシゲナーゼ活性を測定した。すなわち、リノール酸を基質として5-リポキシゲナーゼによる酵素反応により得られた最終代謝物濃度を測定する目的で、マイクロプレートリーダー(Multiskan JX、 Thermo Labsystems, Inc.)を用いて500 nmの吸光度を測定した。
得られた吸光度は下記の式で5-LO活性を求めた。
A500/min=(A500(sample)−A500(blank))/7 min
5-LO活性=((A500/min)/(9.47 mM-1))×(0.21ml)/0.09ml)×希釈倍数
100% initial activityに対する被験物質の抑制率(%)は次式で求めた。
抑制率(%)=(100% initial activity 対照5-LO活性−被験物質の5-LO活性/100% initial activity 対照5-LO活性)×10
3.試験結果
以上の試験結果を図9に示す。
図9が示すように、約99.9%の重水濃度の重水に漬け置き後に凍結乾燥処理したクルクミン(実施例8)においては、LPO阻害活性を高めた(11.1%、41.5%、47.6%)。
以上のことから、クルクミンにおいては、LPO阻害活性を高めるという目的に照らせば、軽水素軽減処理(=重水素増加処理)を施したものへの接触が望ましいと言える。
なお、図9における3μMフェニドンのLPO阻害活性(34.3%)を、実施例、比較例の投与濃度である0.01mg/mLに補正すると、705.0%となるが、図のパースペクティブを攪乱することになるため補正前の数値を掲載した。
以下、追加の実施例を示す。
[実施例9]
AZT(Zidovudine、和光純薬工業株式会社)250mgを、重水濃度約99.9%の重水(Deuterium Oxide、Cambridge Isotope Lboratories,Inc.)50mLに投入し、スターラーで攪拌しながら漬け置きした。24時間後に得られた重水とAZTの混合液を、凍結乾燥処理した。処理後得られた物質のHIV逆転写酵素阻害活性を評価した。
[実施例10]
AZT(Zidovudine、和光純薬工業株式会社)250mgを、重水素濃度約150ppmの蒸留水50mLに投入し、スターラーで攪拌しながら漬け置きした。24時間後に得られた蒸留水とAZTの混合液を、凍結乾燥処理した。処理後得られた物質のHIV逆転写酵素阻害活性を評価した。
[実施例11]
AZT(Zidovudine、和光純薬工業株式会社)250mgを、重水素濃度約0.5ppm以下の軽水(Water,Deuterium-Depleted、ISOTEC社)50mLに投入し、スターラーで攪拌しながら漬け置きした。24時間後に得られた軽水とAZTの混合液を、凍結乾燥処理した。処理後得られた物質のHIV逆転写酵素阻害活性を評価した。
[参考例5]
HIV逆転写酵素阻害活性の陽性対照として、AZT(Zidovudine、和光純薬工業株式会社)のHIV逆転写酵素阻害活性を評価した。
[HIV逆転写酵素阻害活性の評価]
1.試験方法:
HIV逆転写酵素阻害活性の評価は、特開平11−246431に開示される方法に従って行われた。以下、該当箇所を一部変更の上引用する。
MT−4細胞にHIV−1(LAV−1株)を0.001TCID50 /個の割合で1時間感染させ、その後、RPMI−1640培養液(10%ウシ胎児血清、ペニシリン100U/ml、ストレプトマイシン100μg/ml含有)を用いて1回洗浄した。このHIV−1感染MT−4細胞を、実施例9、10、11、または参考例5を含むRPMI−1640培養液に1×105 個/mlの濃度で浮遊させ、5日間培養した。培養は、96穴の平底培養プレートにて行ない、1ウェルあたり200μlの量で培養した。培養液中の実施例9、10、11、または参考例5の濃度は、最大値を1000μg/mlに設定し、1/2ずつ段階希釈したものを用意して検討を行なった。
5日間培養した後、HIV感染によるバルーニングや巨核細胞出現などのMT−4細胞変性効果(CPE)を顕微鏡により観察した。CPEが認められた場合は、HIV増殖抑制効果なしと判定した。この判定基準にしたがって、HIV増殖抑制効果が認められる最小試料濃度を決定した(HIVに対する最小増殖抑制濃度)。また、上記の方法と同様にしてMT−4細胞に対する細胞毒性の有無も検討した。細胞観察の結果、細胞生育障害または細胞死が認められた場合は、MT−4細胞に対する細胞毒性ありと判定した。この判定基準にしたがって、細胞毒性が認められる最小試料濃度を決定した(MT−4細胞に対する最小細胞障害濃度)。
なお本方法は、HIV逆転写酵素阻害活性を直接測定するものではないが、HIVを感染させた細胞に対して作用させる物質が、市販のHIV逆転写酵素阻害剤であるAZT(参考例5)、及び本発明により改質されたAZT(実施例9、10、11)であることから、該細胞の細胞変性を抑制した主な要因として、HIV逆転写酵素阻害を想定した。
2.試験結果:
以上の試験結果を表2に示す。
Figure 2008201768
表2が示すように、約99.9%の重水濃度の重水に漬け置き後に凍結乾燥処理したAZT(実施例9)においては、HIVに対する最小増殖抑制濃度を約29倍高める一方、MT−4細胞に対する最小細胞障害濃度を約961倍高めた。また、約150ppmの重水素濃度の蒸留水に漬け置き後に凍結乾燥処理したAZT(実施例10)においても、HIVに対する最小増殖抑制濃度を約29倍高める一方、MT−4細胞に対する最小細胞障害濃度を約961倍高めた。また、約0.5ppm以下の重水素濃度の軽水に漬け置き後に凍結乾燥処理したAZT(実施例11)においても、HIVに対する最小増殖抑制濃度を約29倍高める一方、MT−4細胞に対する最小細胞障害濃度を約961倍高めた。
以上のことから、AZTにおいては、HIV逆転写酵素阻害活性を抑えつつ、細胞毒性を大幅に低めるという目的に照らせば、すなわち、効果は中庸でありながらも安全性を大幅に高めたAZTを得たい場合は、AZTを本発明により改質することが望ましいと言える。
[実施例12]
ショウガ抽出成分であるジンゲロン(4-(4-Hydroxy-3-methoxyphenyl)butan-2-one、輸入販売=和光純薬工業株式会社)250mgを、重水濃度約99.9%の重水(Deuterium Oxide、Cambridge Isotope Lboratories,Inc.)100mLに投入し、スターラーで攪拌しながら漬け置きした。24時間後に得られた重水とジンゲロンの混合液を、60キログレイで電子線照射し凍結乾燥処理した。処理後得られた物質のシクロオキシゲナーゼ阻害活性(COX−1、COX−2)を評価した。
なお、本願発明における電子線処理は、特に説明がない限り下記の条件に従った。
電子線を隈なく照射するためアルミパウチ等厚みの薄い容器に入れた試験品を、支持材に固定した後、電子線照射装置(RDI社製ダイナミトロン型5MeV電子加速器)を用いて、試験品の表面予定線量が所定の線量(例えば10kGY、20kGY、60kGY)になるよう電子線照射を行った。この際、線量の測定は次の方法に従って行われた。すなわち、電子線照射を行う前に、線量計(CTA線量計、富士写真フィルム社製 FTR−125)の照射前吸光度測定を実施し、あらかじめ決めておいた測定場所(試験品上面、試験品下面、支持材上面)に線量計を装着する。照射後、線量計を取り外し、照射後吸光度を測定する。照射前と照射後の吸光度の差を所定の換算方式に従い線量値に換算する。
[実施例13]
ショウガ抽出成分であるジンゲロン(4-(4-Hydroxy-3-methoxyphenyl)butan-2-one、輸入販売=和光純薬工業株式会社)250mgを、重水素濃度約150ppmの蒸留水100mLに投入し、スターラーで攪拌しながら漬け置きした。24時間後に得られた蒸留水とジンゲロンの混合液を、60キログレイで電子線照射し凍結乾燥処理した。処理後得られた物質のシクロオキシゲナーゼ阻害活性(COX−1、COX−2)を評価した。
[実施例14]
ショウガ抽出成分であるジンゲロン(4-(4-Hydroxy-3-methoxyphenyl)butan-2-one、輸入販売=和光純薬工業株式会社)250mgを、重水素濃度約0.5ppm以下の軽水(Water,Deuterium-Depleted、ISOTEC社)100mLに投入し、スターラーで攪拌しながら漬け置きした。24時間後に得られた軽水とジンゲロンの混合液を、60キログレイで電子線照射し凍結乾燥処理した。処理後得られた物質のシクロオキシゲナーゼ阻害活性(COX−1、COX−2)を評価した。
[比較例6]
ショウガ抽出成分であるジンゲロン(4-(4-Hydroxy-3-methoxyphenyl)butan-2-one、輸入販売=和光純薬工業株式会社)700mgを、重水素濃度約150ppmの蒸留水100mLに投入し、スターラーで攪拌しながら漬け置きした。24時間後に得られた蒸留水とジンゲロンの混合液を、凍結乾燥処理した。処理後得られた物質のシクロオキシゲナーゼ(COX−1、COX−2)阻害活性を評価した。
[COX阻害活性の評価]
1.被験物質およびその調製方法:上述の手順に従った。
2.分析方法、データ処理:上述の手順に従った。
3.試験結果
以上の試験結果を図10に示す。
図10が示すように、約99.9%の重水濃度の重水に漬け置き後に、60キログレイで電子線照射し凍結乾燥処理したジンゲロン(実施例12)においては、COX−1阻害活性を示すとともに(98.7%、65.7%、32.7%)、COX−2阻害活性も示した(94.0%、84.7%、80.7%)。
150ppmの蒸留水に漬け置き後に、60キログレイで電子線照射し凍結乾燥処理したジンゲロン(実施例13)においても、COX−1阻害活性を示すとともに(87.4%、19.9%、3.2%)、COX−2阻害活性も示した(68.3%、73.7%、54.0%)。
重水素濃度約0.5ppm以下の軽水に漬け置き後に、60キログレイで電子線照射し凍結乾燥処理したジンゲロン(実施例14)においても、COX−1阻害活性を示すとともに(88.6%、48.4%、18.5%)、COX−2阻害活性も示した(58.1%、64.5%、52.8%)。
以上のことから、ジンゲロンにおいては、COX−1及び2阻害活性を高めるという目的に照らせば、本発明による改質は望ましいと言える。
ジンゲロン系のCOX−1阻害活性を示すグラフである。 ジンゲロン系のCOX−2阻害活性を示すグラフである。 ジンゲロン系のCOX−2阻害活性を示すグラフである。 カフェイン系のCOX−1阻害活性を示すグラフである。 カフェイン系のCOX−2阻害活性を示すグラフである。 阻害薬系のCOX−1阻害活性を示すグラフである。 阻害薬系のCOX−2阻害活性を示すグラフである。 アスピリンのCOX−1阻害活性を示すグラフである。 クルクミンのLPO阻害活性を示すグラフである。 ジンゲロン系のCOX阻害活性を示すグラフである。

Claims (21)

  1. 物質の合成もしくは抽出工程前、合成もしくは抽出工程中または合成もしくは抽出工程後に、適宜な重水素濃度の固体、液体、気体、粒子もしくはイオンまたはその二つ以上に接触させることにより、その性質が改質させられた物質。
  2. 物質の合成もしくは抽出工程前、合成もしくは抽出工程中または合成もしくは抽出工程後に、適宜な重水素濃度の固体、液体、気体、粒子もしくはイオンまたはその二つ以上に接触させることにより、その性質が改質させられた物質において、その改質処理後にその接触させたものを除去した物質。
  3. 物質の合成もしくは抽出工程前、合成もしくは抽出工程中または合成もしくは抽出工程後に、適宜な重水素濃度の固体、液体、気体、粒子もしくはイオンまたはその二つ以上に接触させることにより、その性質が改質させられた物質において、
    その接触させたものを除去した後も、その接触させたものに由来する、水素と重水素との置換、第1水和圏への水和、水和錯体形成または励起状態を含む構造変化を保持している物質。
  4. 前記適宜な重水素濃度の固体、液体、気体、粒子もしくはイオンまたはその二つ以上への接触が、触媒作用によって補完されている請求項1〜3の何れかに記載の物質。
  5. 前記触媒作用が、貴金属触媒との接触、酸の添加、塩基(アルカリ)の添加、加熱処理、重粒子線(α線、陽子線を含む)照射、電子線(β線)照射、電磁波(赤外線、紫外線、X線、γ線を含む)照射、暗所保存であるか、またはその二つ以上を含む触媒作用である請求項4記載の物質。
  6. 重水素軽減処理が施された重水素濃度の固体、液体、気体、粒子もしくはイオンまたはその二つ以上に接触させることにより、その性質が改質させられた物質、
    または該物質において、その接触処理後にその接触させたものを除去した物質を含む薬剤。
  7. 重水素軽減処理が施された重水素濃度の固体、液体、気体、粒子もしくはイオンまたはその二つ以上に接触させることにより、その性質が改質させられた物質、
    または該物質において、その接触処理後にその接触させたものを除去した物質を含む機能性食品。
  8. 軽水素軽減処理が施された重水素濃度の固体、液体、気体、粒子もしくはイオンまたはその二つ以上に接触させることにより、その性質が改質させられた物質、
    または該物質において、その接触処理後にその接触させたものを除去した物質を含む薬剤。
  9. 軽水素軽減処理が施された重水素濃度の固体、液体、気体、粒子もしくはイオンまたはその二つ以上に接触させることにより、その性質が改質させられた物質、
    または該物質において、その接触処理後にその接触させたものを除去した物質を含む機能性食品。
  10. 重水素軽減処理が施された重水素濃度の固体、液体、気体、粒子もしくはイオンまたはその二つ以上に接触させることにより、その性質が改質させられた物質、
    または該物質において、その接触処理後にその接触させたものを除去した物質を含む酵素阻害剤。
  11. 軽水素軽減処理が施された重水素濃度の固体、液体、気体、粒子もしくはイオンまたはその二つ以上に接触させることにより、その性質が改質させられた物質、
    または該物質において、その接触処理後にその接触させたものを除去した物質を含む酵素阻害剤。
  12. 重水素軽減処理が施された重水素濃度の固体、液体、気体、粒子もしくはイオンまたはその二つ以上に接触させることにより、その性質が改質させられた物質、
    または該物質において、その接触処理後にその接触させたものを除去した物質を含む抗炎症剤。
  13. 軽水素軽減処理が施された重水素濃度の固体、液体、気体、粒子もしくはイオンまたはその二つ以上に接触させることにより、その性質が改質させられた物質、
    または該物質において、その接触処理後にその接触させたものを除去した物質を含む抗炎症剤。
  14. 150ppm以下、より好ましくは140ppm以下の重水素濃度の水および/または蒸気に接触させることにより、その性質が改質させられた改質ジンゲロン、または該改質ジンゲロンにおいて、その接触処理後にその接触させたものを除去した改質ジンゲロンを含むシクロオキシゲナーゼ阻害剤。
  15. 150ppm以上、より好ましくは160ppm以上の重水素濃度の水および/または蒸気に接触させることにより、その性質が改質させられた改質カフェイン、改質アスピリンもしくは改質NS−398、または該改質カフェイン、該改質アスピリンもしくは該改質NS−398において、その接触処理後にその接触させたものを除去した改質カフェイン、改質アスピリンもしくは改質NS−398を含むシクロオキシゲナーゼ阻害剤。
  16. 150ppm以上、より好ましくは160ppm以上の重水素濃度の水および/または蒸気に接触させ、かつ電子線を照射することにより、その性質が改質させられた改質ジンゲロン、または該改質ジンゲロンにおいて、その接触処理後にその接触させたものを除去した改質ジンゲロンを含むシクロオキシゲナーゼ阻害剤。
  17. 改質対象の物質を合成もしくは抽出する工程の前、工程中または工程後に、当該物質またはその原料物質を、適宜な重水素濃度の雰囲気に曝す工程を有することを特徴とする物質の改質方法。
  18. 薬剤、機能性食品、酵素阻害剤、抗炎症剤またはシクロオキシゲナーゼ阻害剤を改質する方法であって、改質対象であるジンゲロンを、重水素軽減処理が施された重水素濃度の雰囲気に曝す工程を有することを特徴とする物質の改質方法。
  19. 前記重水素軽減処理が施された重水素濃度の雰囲気は、150ppm以下、より好ましくは140ppm以下の重水素濃度の水および/または蒸気である請求項18記載の物質の改質方法。
  20. 薬剤、機能性食品、酵素阻害剤、抗炎症剤またはシクロオキシゲナーゼ阻害剤を改質する方法であって、改質対象であるカフェイン、アスピリンもしくはNS−398を、軽水素軽減処理が施された重水素濃度の雰囲気に曝す工程を有することを特徴とする物質の改質方法。
  21. 前記軽水素軽減処理が施された重水素濃度の雰囲気は、150ppm以上、より好ましくは160ppm以上の重水素濃度の水および/または蒸気である請求項20記載の物質の改質方法。
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