JP2008186308A - 土壌供給水量予測装置、土壌供給水量予測方法、および土壌供給水量予測プログラム - Google Patents

土壌供給水量予測装置、土壌供給水量予測方法、および土壌供給水量予測プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】土壌供給水量の予測精度を向上すること。
【解決手段】土壌供給水量予測装置は、積雪層の貯留効果を貯留関数法によってモデル化した積雪浸透モデルを有する。この積雪浸透モデルでは、融雪水は積雪層を通し、降雨は積雪層を通さずに土壌に直接到達させる。本装置では、入力された融雪量に対して積雪浸透モデルを適用して、積雪層を浸透して土壌に到達する融雪量を算出し、得られた土壌到達融雪量と入力された雨量とを加算することにより、土壌供給水量を算出する。
【選択図】図2

Description

本発明は、土壌供給水量予測装置、土壌供給水量予測方法、および土壌供給水量予測プログラムに関する。
積雪寒冷地における多目的ダムの管理運用にあたっては、灌漑などの利水需要に備えて融雪期に貯水位を高く設定しておく必要がある。一方、地球温暖化による気候変化などを原因として積雪期や融雪期には大雨を伴う異常出水が懸念されるため、貯水位が高い状況での大規模なダム流入量は、安全管理上好ましくない。このように水資源管理と洪水管理の相反する条件下においては、降雨や融雪に伴う流出量を的確に予測することが重要な課題となる。
今日、融雪期の流出量を算定する手法は数多く提案されているが、そのほとんどは、雪面における融雪量の推定(融雪モデル)と河川流出量の推定(流出モデル)を単に組み合わせることで流出量を算定している。しかし、雪面で発生した融雪水は直接土壌に到達するのではなく、積雪内を流下した後で土壌に達する。水が積雪内を流下するには時間がかかるため、融雪水が土壌に到達する時刻は雪面で融雪水が発生した時刻から遅れることになる。この遅れ時間に関しては、融雪水の山腹における積雪内の流下時間と、山腹の地中の流下時間とがほぼ同じであることが示され、融雪流出過程の重要な要素であることが指摘されている。
そこで、従来、土壌供給水量を予測する方法を含む融雪流出モデルとして、洪水予測といった実用上の観点から積雪層の浸透を取り入れた融雪流出モデルが提案されている(非特許文献1)。この融雪流出モデルは、積雪層の貯留効果を簡単な貯留関数法によってモデル化し(以下「積雪浸透モデル」と呼ぶ)、この手法を組み込んだ融雪流出モデルである。この積雪浸透モデルでは、積雪深によって貯留関数法に含まれる1つのパラメータを変えることで、積雪深の変化に伴う積雪貯留の変化を表現している。
中津川誠、外2名、「積雪貯留を考慮した汎用的な融雪流出解析」、水工学論文集、2004年2月、第48巻、pp.37-42 Kondo, J and Yamazki, T, "A Prediction Model for Snowmelt, Snow Surface Temperature and freezing Depth Using a Heat Balance Method", Journal of Applied Meteorology, May 1990, vol.29, pp.375-384 山崎剛、「融雪機構のモデリング」、モデリング技術の最近の進歩に関する講座、1993年、pp.91-106 近藤純正編著、「水環境の気象学−地表面の水収支・熱収支−」、朝倉書店、1994年 石井孝、外2名、「衛星データによる葉面積指数LAIの推定」、水文・水資源学会誌、1999年、第12巻、第3号、pp.210-220 口澤寿、外1名、「熱・水収支を考慮した流域スケールの積雪と蒸発散の推定」、北海道開発土木研究所月報、第588号、pp.19-38 馬場仁志、外2名、「蒸発散及び浸透を組み合わせた二段貯留関数型流出モデルの開発」、水文・水資源学会誌、2001年、第14巻、第5号、pp.364-375 星清、外1名、「雨水流法と貯留関数法との相互関係」、水理講演会論文集、1982年、26、pp.273-278 臼谷友秀、外2名、「積雪層の貯留効果を取り入れた融雪流出モデルの検討」、河川技術論文集、2006年、第12巻、pp.329-334 中津川誠、外2名、「積雪変化を考慮した長期流出計算」、水工学論文集、2003年、第47巻、pp.157-162 Nash, J. E. and Sutcliffe, J. V., "River flow forecasting through conceptual models part Ι - A discussion of principles-", J. of Hydrology, 1970, Vol.10, pp.282-290 吉田順五、「融雪水の積雪内浸透」、低温科学物理篇、1965年、23、pp.1-16
しかしながら、従来の方法(積雪浸透モデル)は、融雪水の浸透をモデル化したものであり、大雨の浸透をも表現できるか否かは検証されていなかった。
すなわち、積雪浸透モデルは、上記のように、雪面に供給された水が土壌に到達するまでに時間がかかる点に着目し、この時間を考慮しようとしたものである。雪面に供給される水としては、融雪水と降雨とが考えられる。従来の積雪浸透モデルは、融雪水と降雨を区別せず、この2種類の水について積雪層を通すようにしていた。しかし、その後の検証により、従来の積雪浸透モデルでは、大雨の浸透については表現できないことが判明した。したがって、従来の方法では、土壌供給水量の予測精度に一定の限界がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、土壌供給水量の予測精度を向上することができる土壌供給水量予測装置、土壌供給水量予測方法、および土壌供給水量予測プログラムを提供することを目的とする。
本発明の土壌供給水量予測装置は、雪面から積雪層を流下して土壌に供給される水量を予測する土壌供給水量予測装置において、雪面に与えられる融雪量を入力する融雪量入力手段と、雪面に与えられる雨量を入力する雨量入力手段と、融雪水は積雪層を浸透し、降雨は積雪層を浸透せずに土壌に直接到達するものとして、入力された融雪量および入力された雨量に基づいて、土壌に供給される水量を算出する算出手段と、を有する構成を採る。
本発明の土壌供給水量予測装置は、雪面から積雪層を流下して土壌に供給される水量を予測する土壌供給水量予測装置において、雪面に与えられる融雪量を入力する融雪量入力手段と、雪面に与えられる雨量を入力する雨量入力手段と、積雪層の貯留効果を貯留関数法によってモデル化した積雪浸透モデルを有し、融雪水に対しては前記積雪浸透モデルを適用し、降雨に対しては前記積雪浸透モデルを適用せずに土壌に直接到達させるものとして、入力された融雪量および入力された雨量に基づいて、土壌に供給される水量を算出する算出手段と、を有する構成を採る。
本発明の土壌供給水量予測装置は、雪面から積雪層を流下して土壌に供給される水量を予測する土壌供給水量予測装置において、雪面に与えられる融雪量を入力する融雪量入力手段と、雪面に与えられる雨量を入力する雨量入力手段と、積雪層の貯留効果を貯留関数法によってモデル化した積雪浸透モデルを有し、入力された融雪量に対しては、前記積雪浸透モデルを適用して、積雪層を浸透して土壌に到達する融雪量を算出し、入力された雨量に対しては、前記積雪浸透モデルを適用せずに、土壌に直接到達させるものとし、算出された土壌到達融雪量と入力された雨量とを加算して、土壌に供給される水量を算出する算出手段と、を有する構成を採る。
本発明の土壌供給水量予測装置は、雪面から積雪層を流下して土壌に供給される水量を予測する土壌供給水量予測装置において、雪面に与えられる融雪量を入力する融雪量入力手段と、雪面に与えられる雨量を入力する雨量入力手段と、積雪層の貯留効果を貯留関数法によってモデル化した積雪浸透モデルを有し、入力された融雪量に対して、前記積雪浸透モデルを適用して、積雪層を浸透して土壌に到達する融雪量を算出する算出手段と、算出された土壌到達融雪量と入力された雨量とを加算して、土壌に供給される水量を算出する加算手段と、を有する構成を採る。
本発明の土壌供給水量予測方法は、雪面から積雪層を流下して土壌に供給される水量を予測する土壌供給水量予測方法において、雪面に与えられる融雪量を入力するステップと、雪面に与えられる雨量を入力するステップと、融雪水は積雪層を浸透し、降雨は積雪層を浸透せずに土壌に直接到達するものとして、入力した融雪量および入力した雨量に基づいて、土壌に供給される水量を算出するステップと、を有するようにした。
本発明の土壌供給水量予測方法は、雪面から積雪層を流下して土壌に供給される水量を予測する土壌供給水量予測方法において、雪面に与えられる融雪量を入力するステップと、雪面に与えられる雨量を入力するステップと、積雪層の貯留効果を貯留関数法によってモデル化した積雪浸透モデルを構築しておき、融雪水に対しては前記積雪浸透モデルを適用し、降雨に対しては前記積雪浸透モデルを適用せずに土壌に直接到達させるものとして、入力した融雪量および入力した雨量に基づいて、土壌に供給される水量を算出するステップと、を有するようにした。
本発明の土壌供給水量予測方法は、雪面から積雪層を流下して土壌に供給される水量を予測する土壌供給水量予測方法において、雪面に与えられる融雪量を入力するステップと、雪面に与えられる雨量を入力するステップと、積雪層の貯留効果を貯留関数法によってモデル化した積雪浸透モデルを構築しておき、入力した融雪量に対しては、前記積雪浸透モデルを適用して、積雪層を浸透して土壌に到達する融雪量を算出し、入力した雨量に対しては、前記積雪浸透モデルを適用せずに、土壌に直接到達させるものとし、算出した土壌到達融雪量と入力した雨量とを加算して、土壌に供給される水量を算出するステップと、を有するようにした。
本発明の土壌供給水量予測方法は、雪面から積雪層を流下して土壌に供給される水量を予測する土壌供給水量予測方法において、雪面に与えられる融雪量を入力するステップと、雪面に与えられる雨量を入力するステップと、積雪層の貯留効果を貯留関数法によってモデル化した積雪浸透モデルを構築しておき、入力した融雪量に対して、前記積雪浸透モデルを適用して、積雪層を浸透して土壌に到達する融雪量を算出するステップと、算出した土壌到達融雪量と入力した雨量とを加算して、土壌に供給される水量を算出するステップと、を有するようにした。
本発明の土壌供給水量予測プログラムは、雪面から積雪層を流下して土壌に供給される水量を予測する土壌供給水量予測プログラムであって、雪面に与えられる融雪量を入力するステップと、雪面に与えられる雨量を入力するステップと、融雪水は積雪層を浸透し、降雨は積雪層を浸透せずに土壌に直接到達するものとして、入力した融雪量および入力した雨量に基づいて、土壌に供給される水量を算出するステップと、をコンピュータに実行させるためのものである。
本発明の土壌供給水量予測プログラムは、雪面から積雪層を流下して土壌に供給される水量を予測する土壌供給水量予測プログラムであって、雪面に与えられる融雪量を入力するステップと、雪面に与えられる雨量を入力するステップと、積雪層の貯留効果を貯留関数法によってモデル化した積雪浸透モデルを構築しておき、融雪水に対しては前記積雪浸透モデルを適用し、降雨に対しては前記積雪浸透モデルを適用せずに土壌に直接到達させるものとして、入力した融雪量および入力した雨量に基づいて、土壌に供給される水量を算出するステップと、をコンピュータに実行させるためのものである。
本発明の土壌供給水量予測プログラムは、雪面から積雪層を流下して土壌に供給される水量を予測する土壌供給水量予測プログラムであって、雪面に与えられる融雪量を入力するステップと、雪面に与えられる雨量を入力するステップと、積雪層の貯留効果を貯留関数法によってモデル化した積雪浸透モデルを構築しておき、入力した融雪量に対しては、前記積雪浸透モデルを適用して、積雪層を浸透して土壌に到達する融雪量を算出し、入力した雨量に対しては、前記積雪浸透モデルを適用せずに、土壌に直接到達させるものとし、算出した土壌到達融雪量と入力した雨量とを加算して、土壌に供給される水量を算出するステップと、をコンピュータに実行させるためのものである。
本発明の土壌供給水量予測プログラムは、雪面から積雪層を流下して土壌に供給される水量を予測する土壌供給水量予測プログラムにおいて、雪面に与えられる融雪量を入力するステップと、雪面に与えられる雨量を入力するステップと、積雪層の貯留効果を貯留関数法によってモデル化した積雪浸透モデルを構築しておき、入力した融雪量に対して、前記積雪浸透モデルを適用して、積雪層を浸透して土壌に到達する融雪量を算出するステップと、算出した土壌到達融雪量と入力した雨量とを加算して、土壌に供給される水量を算出するステップと、をコンピュータに実行させるためのものである。
本発明によれば、土壌供給水量の予測精度を向上することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る土壌供給水量予測装置の構成を示すブロック図である。
図1に示す土壌供給水量予測装置100は、コンピュータで構成されており、大別して、入力部110、定数データベース120、融雪モデル部130、および積雪浸透モデル部140を有する。土壌供給水量予測装置100は、気象データおよび地形データを入力し、内蔵する所定の融雪モデルおよび積雪浸透モデルに基づいて、土壌供給水量を算定する。この算定処理は、例えば、メッシュ単位(約1km四方)で、かつ、所定の時間単位で行われる。すなわち、土壌供給水量予測装置100は、融雪モデルおよび積雪浸透モデルを約1km四方のメッシュに適用して、気象・地形因子からメッシュ毎の土壌供給水量を推定する。なお、以下では、約1km四方のメッシュのことを、単に「1kmメッシュ」と呼ぶことにする。
入力部110は、外部から提供される気象データおよび地形データを入力処理して、計算に必要な情報(計算条件)を融雪モデル部130および積雪浸透モデル部140にそれぞれ出力する。すなわち、入力部110は、融雪モデルによる計算に必要な情報(所定の項目の気象データおよび地形データ)を融雪モデル部130に出力し、積雪浸透モデルによる計算に必要な情報(雨量、積雪深)を直接積雪浸透モデル部140に出力する。
ここで、気象データは、気象に関する各種データであり、例えば、気温や湿度、風速、降水量、日射量、日照時間、積雪深、積雪密度などである。気象データは、毎時変化する値である。気象データとしては、気象観測によって得られた(公表されている)値、または、任意の適当な方法によって推定された値が用いられる。本実施の形態では、気象データとして、例えば、観測値(実測データ)を空間補間して1kmメッシュ化した値を用いる。
地形データは、対象流域の地形に関する各種データであり、例えば、葉面積指数や南北・東西方向の傾斜量などである。葉面積指数は、月単位の値であり、傾斜量は、固定値である。本実施の形態では、地形データとして、公表されている値を用いる。
定数データベース120には、融雪モデルおよび積雪浸透モデルによる計算に必要な各種定数が格納されている。定数は、固定値である。本実施の形態では、物理的な定数については、文献に掲載されている値を用いる。定数データベース120には、例えば、バルク係数や空気の定圧比熱、放射に対する葉面の傾きを表すファクター、雪の融解潜熱、積雪の熱伝導率、ステファン・ボルツマン(Stefan-Boltzman)定数、計算の時間間隔などが格納されている。
融雪モデル部130は、所定の融雪モデルを内蔵し、この融雪モデルを用いて、所定の入力情報(気象データおよび地形データ)から融雪量(雪面に与えられる水量)を算出する。算出された融雪量は、積雪浸透モデル部140に出力される。
利用する融雪モデルは、特に限定されない。一例として、本実施の形態では、融雪モデルとして、近藤・山崎らが提案した熱収支法(非特許文献2、非特許文献3)を基本とし、植生の影響を考慮したものを用いる。基礎式は、積雪全体および雪面に関する2本の熱収支式から成り、それぞれ、次の式(1)および式(2)で与えられる。
Figure 2008186308
ここで、cは積雪の比熱(J/kg/K)、ρは積雪の密度(kg/m)、lは雪の融解潜熱(J/kg)、Tは0(℃)、Tは雪温(℃)、Tsnは時間Δt後の雪温(℃)、Wは最大含水率(=0.1)、Zは凍結深(m)、εは射出率(=0.97)、λは積雪の熱伝導率(=0.42W/m/K)、σはステファン・ボルツマン定数(W/m/K)、Δtは時間間隔(=3600s)、fは植被層の透過率、Gは積雪が受けるエネルギー(W/m)、Hは顕熱(W/m)、lEは潜熱(W/m)、L下向き矢印は下向き長波放射量(W/m)、Mは融雪熱(W/m)、Zは時間Δt後の凍結深(m)、Tは植被層の温度(℃)である。なお、下向き長波放射量L下向き矢印は、近藤の方法(非特許文献4、pp.90-91)によって与え、また、植被層の温度Tは、便宜的に気温を用いる。
また、上記の顕熱Hおよび潜熱lEは、バルク法により次の式(3)でそれぞれ与えられる(非特許文献4、pp.242)。
Figure 2008186308
ここで、cは空気の定圧比熱(J/kg/K)、ρは空気の密度(kg/m)、Cは顕熱に対するバルク係数(=0.003)、Uは風速(m/s)、Tは気温(℃)、lは水の蒸発の潜熱(J/kg)、Cは潜熱に対するバルク係数(=0.003)、q(T)は飽和比湿、qは比湿、hは相対湿度、Δは飽和比湿の温度に対する勾配、pは気圧(hPa)、eは水蒸気圧(hPa)、eSATは飽和水蒸気圧(hPa)である。
また、上記の植被層の透過率fは、石井ら(非特許文献5)が推定した葉面積指数LAIを用い、次の式(4)で与えられる(非特許文献4、pp.231)。
Figure 2008186308
ここで、Fは放射に対する葉面の傾きを表わすファクター(=0.5:等方的)、LAIは葉面積指数である。
また、上記の積雪が受けるエネルギーGは、次の式(5)で与えられる。
Figure 2008186308
ここで、Sは日射量(W/m)、αはアルベド(albedo)である。なお、アルベドは、日平均気温を用いた実験式(非特許文献6)によって与えられる。
本実施の形態の融雪モデルでは、上記の式(1)〜(5)を連立して、融雪熱M、雪温Tsn、凍結深Zを同時に解く。そして、得られた融雪熱Mの値を用いて、次の式(6)によって、融雪量(雪面に与えられる水量)qrm(mm/h)を算出する。
Figure 2008186308
ここで、qrmは融雪量(mm/h)、Mは融雪熱(W/m)、Δtは時間(=3600s)、lfは氷の融解潜熱(融解熱)(J/kg)、ρは水の密度(=1000kg/m)である。
積雪浸透モデル部140は、所定の積雪浸透モデルを内蔵し、この積雪浸透モデルを用いて、所定の入力情報(融雪量、雨量、積雪深)から、メッシュ毎の土壌供給水量を算出する。算出された土壌供給水量は、外部に出力される。
基本的には、土壌供給水量は、次の式で与えられる。
土壌供給水量=降雨+融雪水−積雪貯留量
ここで、積雪貯留量(積雪内に残る貯留量)は、積雪深によって変化する。
本実施の形態では、積雪浸透モデルとして、中津川らが提案する1価線形貯留関数法(非特許文献1)を用いる。このモデルは、積雪内の水の流れにダルシー(Darcy)則(飽和浸透)を仮定して導出されたものであり、基礎式は、次の式(7)および式(8)で与えられる。
Figure 2008186308
ここで、sは積雪貯留量(mm)、kは積雪の貯留係数、qrmは雪面に与えられる水量(特に融雪量)(mm/h)、qは積雪浸透による土壌供給水量(mm/h)、k01、k02は係数、Hは積雪深(cm)である。
式(7)において、積雪の貯留効果は、貯留係数kによって表現される。この貯留係数kは、本来雪質(積雪密度や氷粒径など)に依存して変化すると考えられるが、実用性の観点から、積雪深Hでパラメタライズされている。
図2は、本実施の形態における積雪浸透モデルの構成を示す図である。なお、図3は、従来の積雪浸透モデルの構成を示す図である。
本来であれば、降雨と融雪水の流下は区別されるものではない。しかし、図2に示す積雪浸透モデルでは、降雨と融雪水の流下を別々に扱い、融雪水については、積雪浸透を考慮する上記従来の方法(以下「従来法」という。図3に示す積雪浸透モデルに対応する)と同様に、浸透を考え、降雨については、浸透を考えずに直接土壌に到達させる(つまり、雨が積雪層を流下する際の遅れ時間を考慮しない)。このように、積雪浸透を考慮せずに降雨を直接土壌に到達させる(つまり、降雨を直接流出モデルに出力する)方法を、ここでは、便宜上、「修正法」と呼ぶことにする。修正法(図2に示す積雪浸透モデルに対応する)では、融雪水は積雪層を通し、一方、降雨は量にかかわりなく直接土壌に到達させる。このように処理することによって、無降雨時の融雪水は積雪層を浸透し、一方、大雨は土壌に直接到達することになる。
なお、従来法では、雪面に与えられる雨量と融雪量の総和が積雪層を流下するものとして考え、図3に示すように、両者に対して積雪層の浸透を考慮する。
したがって、本実施の形態では、出力である土壌供給水量は、積雪浸透により土壌に到達する融雪量qと、雨量との合計となる。すなわち、
土壌供給水量(出力)
=積雪浸透により土壌に到達する融雪量q+雨量
ここで、積雪浸透により土壌に到達する融雪量(積雪浸透による土壌供給水量)qrmは、上記の式(7)および式(8)によって算出される。
上記の式(7)の係数k01、k02は、例えば、図4から求められる。
図4は、貯留係数kと積雪深Hの関係を示す図である。この図において、貯留係数kは、1997年に観測された顕著な融雪事例から求めた値である。また、積雪深Hは、貯留係数kを求めたときに観測されていた値である。図中の実線は、これらの点から最小二乗法で求めた回帰直線である。
融雪観測の結果、上記顕著な融雪事例のkとそのときの積雪深Hとの相関関係(図4)から、k01=0.16h/cm、k02=8.24hが報告されており、本実施の形態においても、式(7)の係数k01、k02として、この値を用いる。
本実施の形態では、上記のように、土壌供給水量予測装置100は、融雪モデルおよび積雪浸透モデルを1kmメッシュに適用して、気象・地形因子からメッシュ毎の土壌供給水量を推定する。
なお、図示しないが、積雪浸透モデル部140によって算出されたメッシュ毎の土壌供給水量を、さらに流域全体にわたってランピングし(流域平均化)、得られた値(流域平均土壌供給水量)を外部に出力するようにしてもよい。
次いで、上記構成を有する土壌供給水量予測装置100の動作について、図5に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図5に示すフローチャートは、コンピュータのROMなどに制御プログラムとして記憶されており、CPUによって実行される。
まず、ステップS1000では、入力部110で、外部から提供される気象データおよび地形データを入力処理する。具体的には、例えば、上記のように、気象データとしては、気温や湿度、風速、降水量、日射量、日照時間、積雪深、積雪密度などを入力し、地形データとしては、葉面積指数や南北・東西方向の傾斜量などを入力する。
そして、ステップS1100では、融雪モデル部130で、融雪量の算出処理を行う。具体的には、ステップS1000で入力した所定の情報(気象データおよび地形データ)ならびに定数データベース120に格納されている所定の定数を用いて、融雪モデルによって融雪量(雪面に与えられる水量)を算出する。
図6は、図5の融雪量算出処理(S1100)の内容を示すフローチャートである。
まず、ステップS1110では、ステップS1000で入力した情報の中から、融雪モデルによる計算に必要な情報を取り込む。
そして、ステップS1120では、変数の算出を行う。具体的には、ステップS1110で取り込んだ情報を用いて、透過率、アルベドα、水蒸気圧、空気の密度、比湿を算出する。例えば、透過率は、上記の式(4)によって計算される。また、アルベドαは、日平均気温を用いた実験式によって与えられる。また、水蒸気圧、空気の密度、および比湿は、一般に使用される周知の式によってそれぞれ計算される。
そして、ステップS1130では、1次パラメータの算出を行う。具体的には、ステップS1110で取り込んだ情報およびステップS1120で算出した変数を用いて、上記の式(1)および式(2)における各項(1次パラメータ)を算出する。1次パラメータは、下向き長波放射量L下向き矢印、顕熱H、潜熱lE、および積雪が受けるエネルギーGである。上記のように、下向き長波放射量L下向き矢印は、近藤の方法(非特許文献4、pp.90-91)によって与えられる。また、顕熱Hおよび潜熱lEは、上記の式(3)によって与えられる。また、積雪が受けるエネルギーGは、上記の式(5)によって与えられる。
そして、ステップS1140では、2次パラメータの算出を行う。具体的には、ステップS1110で取り込んだ情報およびステップS1130で算出した1次パラメータを用いて、上記の式(1)および式(2)を解いて、2次パラメータを算出する。2次パラメータは、融雪熱M、雪温Tsn、および凍結深Zである。
そして、ステップS1150では、融雪量の算出を行う。具体的には、ステップS1110で取り込んだ情報およびステップS1140で算出した融雪熱Mを用いて、上記の式(6)によって、融雪量qrm(mm/h)を算出する。
そして、ステップS1160では、ステップS1150で算出した融雪量を、図示しないメモリに一時格納した後、図5のメインフローチャートにリターンする。
そして、図5のステップS1200では、積雪浸透モデル部140で、土壌供給水量の算出処理を行う。具体的には、ステップS1000で入力した所定の情報(雨量および積雪深)、ステップS1100で算出した融雪量、ならびに定数データベース120に格納されている所定の定数を用いて、図2の積雪浸透モデル(修正法)によって土壌供給水量を算出する。
図7は、図5の土壌供給水量算出処理(S1200)の内容を示すフローチャートである。
まず、ステップS1210では、ステップS1000で入力した情報の中から、図2の積雪浸透モデル(修正法)による計算に必要な情報(具体的には、雨量と積雪深)を取り込むとともに、ステップS1100で算出した融雪量、ならびに定数データベース120に格納されている所定の定数(具体的には、係数k01、k02)を取り込む。
そして、ステップS1220では、積雪の貯留係数の決定を行う。具体的には、ステップS1210で取り込んだ積雪深Hおよび係数k01、k02を用いて、上記の式(8)によって、積雪の貯留係数kを決定する。
そして、ステップS1230では、土壌に到達する融雪量の算出を行う。具体的には、ステップS1100で算出した融雪量qrmおよびステップS1220で決定した積雪の貯留係数kを用いて、上記の式(7)によって、積雪浸透により土壌に到達する融雪量qを算出する。
そして、ステップS1240では、土壌供給水量の算出を行う。具体的には、ステップS1210で取り込んだ雨量と、ステップS1230で算出した土壌に到達する融雪量qとを合計して、土壌供給水量を算出する。
そして、ステップS1250では、ステップS1240で算出した土壌供給水量を、図示しないメモリに一時格納した後、図5のメインフローチャートにリターンする。
そして、図5のステップS1300では、ステップS1200で算出した土壌供給水量を外部に出力する。出力の形態とタイミングは、用途に応じて設定可能である。例えば、土壌供給水量がメッシュ化されたデータとして必要な場合は、算出されたメッシュ毎の土壌供給水量をそのまま外部に出力することができる。あるいは、例えば、その後流出モデルに入力して予測流入量の算定に利用する場合は、算出されたメッシュ毎の土壌供給水量を流域全体にわたってランピングし(流域平均化)、得られた値(流域平均土壌供給水量)を外部に出力することができる。
このように、本実施の形態によれば、積雪浸透モデルにおいて、融雪水は積雪層を通し、一方、降雨は量にかかわらず直接土壌に到達させるため、融雪期のハイドログラフを再現した場合、その誤差(実測値と計算値の差)が小さくなり、土壌供給水量の予測精度を向上することができる。
本発明者は、上記の効果を実証するために、積雪寒冷地のダム流域(豊平峡ダムと定山渓ダム)を解析対象地点として、積雪層の貯留効果を考慮した融雪流出モデル(本実施の形態に係る土壌供給水量予測装置100を含む)の再現性を検証した。検証では、融雪期における大雨時の雨量とダム流入量の相互関係を分析し、融雪期の流出量を推定する場合、大雨に対しては積雪層の貯留効果はないと考えた方が合理的であることを確認した。
図8は、検証に用いた融雪流出モデルの構成を示す概略図である。
図8に示すように、検証に用いた融雪流出モデルは、融雪・積雪浸透・流出の3種類のサブモデルから構成される。この融雪流出モデルによる計算は、まず、融雪モデルおよび積雪浸透モデルを約1km四方のメッシュに適用して、気象・地形因子からメッシュ毎の土壌供給水量を推定する。次に、メッシュ毎の土壌供給水量を流域全体にわたってランピングし、得られた値を流出モデルへの入力値とする。最後に、この値を流出モデルに入力して、流出量を算定する。なお、融雪モデルおよび積雪浸透モデルは、上記の土壌供給水量予測装置100に含まれる構成であるため、その説明を省略する。
流出モデルには、2段タンク型貯留関数モデル(非特許文献7)を採用した。この流出モデルでは、図8の下側の図に示すように、全流出過程を表面・中間流出と地下水流出の2成分に分離し、両者を別々の貯留関数法によって表わす。
表面・中間流出成分(1段目タンク)は、kinematic wave式を集中化した運動方程式(非特許文献8)と連続の式とから成り、次の式(9)および式(10)で与えられる。
Figure 2008186308
ここで、sは1段目タンクの貯留高(mm)、qは土壌供給水量(mm/h)、qは表面・中間流出成分の流出高(mm/h)、fは1段目タンクから2段目タンクへの浸透供給量(mm/h)、k11、k12は貯留係数、p、pは貯留指数、Aは流域面積(km)、バーqは土壌供給水量の平均強度(mm/h)、c、c、cはモデル定数(未知定数)である。
一方、地下水流出成分(2段目タンク)は、次に示す基礎式(11)、(12)で与えられる。
Figure 2008186308
ここで、sは2段目タンクの貯留高(mm)、k21、k22は貯留係数、qは地下水流出成分の流出高(mm/h)、cはモデル定数(未知定数)である。
この貯留関数法による流出量の計算には、4個のモデル定数(c、c、c、c)を与える必要がある。このモデル定数値の組み合わせは、融雪流出予測を考えると1種類であることが望ましい。通常、モデル定数は出水毎に異なる値をとるために、複数の出水例からモデル定数の代表値を決めることが困難となる場合が多い。そこで、本検証では、複数の出水事例からモデル定数を同定するのではなく、比較的大きな規模の1つの出水に対して最適値を探索することにより、モデル定数を決定することにした。なお、モデル定数の最適値探索にはニュートン法を用いた(非特許文献9)。この簡便な最適同定法の妥当性は、後述するように、1組のモデル定数による複数年の洪水ハイドログラフの高い再現性が実証されることによって確かめられた。
対象流域と解析データ
図9は、解析対象流域を示す図である。
解析対象流域は、図9に示すように、北海道札幌市の南部に位置する豊平峡ダム流域(流域面積:134km)と、その南約10kmにある定山渓ダム流域(流域面積:104km)とした。流域の標高分布は、両ダムとも400〜1300mで、全体の50%は700〜900mの範囲にある。
積雪期間は11月下旬から翌年5月中旬の約6ヶ月間で、融雪に伴う増水は4月中旬から5月下旬に見られる。降雪量(雨量に換算した値)は、豊平峡ダムが1000mm、定山渓ダムが1200mmで、年間降水量の約50%を降雪が占める。
図10は、豊平峡ダムおよび定山渓ダムにおける気象観測項目を示す表である。
それぞれのダムでは、ダム管理所(図9参照)においてダム流入量と気象要素(図10参照)が観測されている。本検証では、観測データが1時間毎に整理されているものを用いた。解析対象期間は、1996年から2000年とした。降水量を除く気象要素は、ダム管理所で観測された値であるため、それらを融雪流出モデルに入力するにはダム管理所で観測されたデータからメッシュ値を作成する必要がある。
気温に関しては、気温減率(0.65℃/100m)を仮定し、ダム管理所の気温を標高で補正してメッシュ値を作成した。各メッシュの標高は、石狩川流域ランドスケープ情報(財団法人北海道河川防災研究センター編集・発行(1998))を活用した。日射量は、メッシュの傾きによってダム管理所の観測値を補正した値を用いた。その他の気象要素については、ダム流域の面積が小さいことから、観測値をそのままメッシュの値として扱うことにした。なお、流域内の積雪深分布は、中津川らの報告(非特許文献10)に基づいて推定した。
豊平峡ダム流域への適用
ここでは、融雪モデルと積雪浸透モデルを用いて土壌供給水量を推定し、積雪浸透モデルが大雨においても適切な土壌供給水量を算定しているか否かを調べた。
図11は、豊平峡ダムにおける融雪期の降雨事例(2000年)を示す表である。また、図12は、豊平峡ダム流域における降雨開始日の積雪分布(2000年)を示す図である。なお、図12において、白色の領域は積雪域であり、灰色の領域は無積雪域である。
降雨事例として、2000年の融雪期に発生した3度の降雨期間を取り上げた(図11)。いずれの事例も3日間雨量で70mmを超え、降雨規模としては、解析の対象とした1996年から2000年の融雪期の中で上位3事例である。
各事例における積雪の分布状況は、4月21日は、流域全体に積雪がある状態であり(図12(A))、5月12日は、標高の低い個所では融雪が進み積雪はないものの、広い範囲で雪はまだ残っている状態である(図12(C))。なお、図12(B)は、中間の5月2日の積雪状態である。
これらの事例に関して、雪面に供給される水量(雨量と融雪量)、ならびに、算定した土壌供給水量およびダム流入量を、図13〜図15に示す。図13は、2000年4月21日の事例における雪面および土壌に供給される水量の比較を示す図、図14は、2000年5月2日の事例における雪面および土壌に供給される水量の比較を示す図、図15は、2000年5月12日の事例における雪面および土壌に供給される水量の比較を示す図である。各図において、左側には雪面に供給された雨量と融雪量(積雪浸透層を通過する前の水量)を示し(図13(A)、図14(A)、図15(A))、右側には土壌に供給された水量(積雪浸透層を通過した水量:積雪浸透モデルによって算定した値)を示す(図13(B)、図14(B)、図15(B))。ただし、図13〜図15に示す土壌供給水量は、従来の積雪浸透モデル(図3参照)による算定値である。
図13〜図15によれば、次の特徴が把握される。
1)ダム流入量の変動は、雪面に供給される降雨に対して時間遅れを持ちつつよく対応している。特に、第2出水(図14)では、ダム流入ハイドログラフの複数の小さなピークはハイエトグラフのピークに鋭敏に反応している。
2)積雪層を流下した土壌供給水量に対してダム流入量の応答はよくない。具体的には、第1出水(図13)では、土壌供給水量は流入量と同様な変動を示し、第2出水(図14)では、流入ハイドログラフに見られる複数のピークは土壌供給水量には見られない。
この考察により、積雪浸透モデルが一種のフィルターの役目を果たし、大雨に対して積雪層の流下を想定すると、過度にスムージングされているものと考えられる。すなわち、大雨に対しては、従来の積雪浸透モデルは適切な値を出力していない。しかし、図14に示すように、雨量と流入量の対応関係が極めてよいことに着目すると、降雨を流出モデルに直接入力することで、再現性が向上する可能性が大きいと考えられる。そこで、本実施の形態に係る土壌供給水量予測装置100が採用する修正法(降雨を直接流出モデルに入力する方法)によって融雪ハイドログラフの再現を試みた。
ここで、上記した従来法と修正法の相違点をまとめると、次のとおりである。従来法では、雪面に与えられる雨量と融雪量の総和が積雪層を流下するものとして考え、両者に対して積雪層の浸透を考慮する(図3)。一方、修正法では、降雨と融雪水の流下を別々に扱い、融雪水については、従来法と同様に、浸透を考え、降雨については、浸透を考えずに直接土壌に到達させる(図2)。すなわち、修正法では、融雪水は積雪層を通し、一方、降雨は量にかかわりなく直接土壌に到達させる。これにより、無降雨時の融雪水は積雪層を流下し、一方、大雨は土壌に直接到達することになる。
以下、従来法と修正法の優劣を、流出(ハイドログラフ)の再現性によって検証する。
ここでは、従来法と修正法を用いて土壌供給水量を推定し、それぞれの値から計算されるダム流入量を比較した。これによって、従来法と修正法の優劣を評価した。再現計算に用いるモデル定数は、最大の出水が観測された2000年5月12日〜14日の事例によって最適同定された値である。
最大出水例に対して最適化を行った再現結果を図16に示す。図16は、従来法と修正法の再現性の比較(豊平峡ダム、2000年)を示す図である。なお、図16において、灰色の部分は実測流入量を示し、実線は修正法による再現結果を示し、丸印は従来法による再現結果を示している。図16に示すように、どちらの手法を用いてもほぼ同じダム流入ハイドログラフが得られた。このときのモデル定数と精度評価指標を図17の最適化結果の欄に示す。図17は、モデル定数および再現精度の比較(豊平峡ダム)を示す表である。図17に示すように、修正法と従来法で得たモデル定数(c、c)に違いは見られるものの、精度評価指標の値に関してはほとんど差異はない。
なお、図17に示す精度評価指標は、次の式(13)〜式(15)で計算される。
Figure 2008186308
ここで、qoiは観測流量(m/s)、qciは計算流量(m/s)、Nはデータ数である。Nash-Sutcliffe 指標Eは、値が1に近いほど観測値と計算値の適合度が高いことを表し、一般には0.8程度を超えていれば良好な再現結果が得られたものと判断される(非特許文献11)。
以上の結果では、1つの大規模出水の再現精度に関しては、修正法と従来法で優劣の差は見られない。この理由は、最適化過程において降雨の違いがモデル定数に反映されたためと考えられる。
モデル定数(c、c)は、1段目タンクの貯留係数(k11、k12)を与え、貯留高sの応答を決定付ける(式(9)、式(10)参照)。これらのモデル定数の変化は、貯留高sを変化させ、さらに計算ハイドログラフに対して次の変化をもたらす。
1)cは、値が小さくなると計算ハイドログラフのピークは大きくなり、同時にピークの出現が早まる。
2)cは、値の減少に伴って計算ハイドログラフのピークの出現が早まり、その結果、出水が早く終わることになる。
このようなモデル定数の特性に基づいて考えると、従来法と修正法で得た最適モデル定数の差は、次のように生じたものと推察される。すなわち、土壌供給水量とハイドログラフのピークの値に着目すると、修正法で算出した土壌供給水量のピークの値は、従来法による値に比べて大きい。このため、修正法による計算ハイドログラフのピークを実測値に適合させるには、従来法のcよりも小さな値をとることになる。これに伴って計算ハイドログラフのピーク出現が遅れ、この遅れを解消するためにcの値を小さくするように最適化がなされる。この結果、修正法のcは従来法の値よりも大きく、また、cは小さな値になったものと考えられる。
次に、この最適モデル定数を用いて全融雪期間のハイドログラフを再現し、修正法と従来法の精度比較を行う。
図18は、修正法および従来法による再現結果(豊平峡ダム、2000年)を示す図であり、最適モデル定数を用いて、2000年の全融雪期間の流入ハイドログラフを再現した結果である。なお、図18において、灰色の部分は実測流入量を示し、実線は修正法による再現結果を示し、丸印は従来法による再現結果を示している。
図18によれば、修正法による計算結果は、最大出水では従来法と同程度の再現性を保ちつつ、第1出水および第2出水における適合度が向上していることがわかる。また、図17の再現結果欄に示す精度評価指標を比較すると、修正法では、相対誤差(JRE)は従来法の24%から19%に減少し、また、Nash-Sutcliffe 指標(E)は0.87から0.95に増大している。以上の解析の結果、降雨を流出モデルに直接入力することで、融雪期間全体の再現性が向上することが確認された。
修正法の再現性が従来法に比べて良くなった理由の1つとしては、修正法では、大雨の流下形態を変えたためと考えられる。積雪内の水の流下形態は2種類に大別されることが指摘されている(非特許文献12)。その1つは、水が膜となって氷粒を覆いその表面を水が流下する皮膜流下、もう一方は、多量の水が積雪内の間隙を満たしそれらが柱状となって流下する水路流下である。両者の流下速度には差があり、一般には水路流下の速度は皮膜流下に比べて大きい。積雪浸透モデルは、融雪水の流下を対象にしたモデルであり、従来法は、皮膜流下を想定した手法といえる。一方、修正法は、降雨を直接流出モデルに入力することによって、皮膜流下とは異なった速度の大きい流下形態(水路流下)を加味したものと考えられる。修正法は、簡便ではあるものの流下形態の違いを的確に反映しており、このことが再現性を向上させた原因と考えられる。
次に、上記で求めたモデル定数(修正法)を用いて、1996年から1999年の複数年の融雪期のハイドログラフを再現した。図19は、その再現結果(豊平峡ダム、1996年〜1999年)を示す図である。図19(A)は、1996年の流入量の再現結果であり、図19(B)は、1997年のダム流入量の再現結果であり、図19(C)は、1998年のダム流入量の再現結果であり、図19(D)は、1999年のダム流入量の再現結果である。なお、図19において、灰色の部分は実測ダム流入量、実線は計算ダム流入量、黒色の部分は土壌供給水量をそれぞれ表している。
図19に示すように、いずれの年においても、短期的な出水が的確に再現されているのと同時に、融雪期全体の長期的な流出傾向も良好に再現されている。1996年から1999年の最大誤差は38.06m/s、RMSEは7.91m/sであった。
図19の解析例に示すように、気象条件の異なる複数年にわたって良好な再現ハイドログラフが得られたことは、本発明の融雪流出モデルの妥当性を裏付ける結果と言える。また、出水規模の大きな1事例のみでモデル定数を同定しても、流域を代表するモデル定数が得られることを実証している。すなわち、融雪期の比較的大きな規模の1出水で最適流出モデル定数が得られれば、複数年にわたって融雪全期間のハイドログラフを実用上十分な精度で再現できることがわかった。
1つのモデル定数で長期にわたってダム流入量を再現できた理由は、積雪が土壌を覆っていることが挙げられる。融雪期は、少量ではあるものの融雪水が日々土壌に供給され、一方で、積雪は地表からの水分の蒸発を抑制している。これら積雪の効果によって土壌の乾湿状態の変化が抑えられ、その結果、モデル定数を固定してもダムへの流入ハイドログラフが良好に再現できたものと考察される。
定山渓ダムへの適用
以上、修正された積雪浸透モデルと簡便に流出モデル定数を決定する方法の有効性を検証した。ここでは、修正された融雪流出モデルの汎用性を確認する意味で、解析対象地点を定山渓ダム流域に移し、当該モデルの適用性を検討した。
ここでは、まず、出水規模の大きい2000年4月21日〜24日の事例によって流出モデル定数を最適化し、最適値によって同年の融雪期全体を再現した。図20は、この最適化の結果である。図21は、最適モデル定数(修正法)によって2000年のハイドログラフを再現した結果である。図20(B)において、灰色の部分は実測ダム流入量、白丸は計算ダム流入量をそれぞれ表す。また、図20では、修正法と従来法で推定した土壌供給水量を比較して示した。土壌供給水量の縦軸は、修正法では下向きを正とし、従来法では上向きを正としている。図21において、灰色の部分は実測ダム流入量、実線は計算ダム流入量、黒色の部分は土壌供給水量をそれぞれ表す。また、図22は、このときのモデル定数および再現精度の比較を示す表である。
図20に示すように、修正法では、適合度の高いモデル定数が求まり、図21および図22に示すように、融雪期全体の流入ハイドログラフが良好に再現できている。一方、従来法では、解が振動し、最適値は得られていない。最適値が得られなかった理由は、降雨が積雪層のフィルターを流下することによって、降雨波形が平滑化されすぎたためであると考えられる(図20)。上記の豊平峡ダム流域への適用結果と同様に、ここでも降雨の取り扱いは修正法が適切であることが確認された。
以上の結果を総合すると、積雪期間に大雨が発生した場合、雪面の水は時間の遅れがなく土壌に到達して河川に流出すると考えた方が合理的であると言える。
最後に、1996年から1999年のダム流入ハイドログラフを再現した結果を図23に示す。定山渓ダムにおいても、計算流入量は融雪期全体の長期的な流出状況を良好に再現しており、本発明における融雪流出モデルの妥当性が示された。また、この間の最大誤差は38.25m/s、RMSEは5.96m/sであり、豊平峡ダムにおける解析結果と同様、1つの出水事例のみで最適同定されたモデル定数であっても、複数年のダム流入ハイドログラフを実用上十分な精度で再現できることが検証された。
以上、本検証では、積雪寒冷地のダム流域(豊平峡ダムと定山渓ダム)を解析対象地点として、積雪貯留を考慮した融雪流出モデルの再現性を検証した。その結果、まとめとして、次の知見が得られた。
1)既往の研究成果によれば、積雪層における融雪水の流下形態には皮膜流下と水路流下に分類されることが指摘されている。本検証の解析結果として、融雪期に集中豪雨が発生する場合は、水路流下と考えるのが合理的であり、降雨を直接流出モデルに入力した方が、ダム流入ハイドログラフの再現精度がより向上することが確認された。
2)流出モデル定数を簡便かつ客観的に探索するために、数学的最適化手法(ニュートン法)を用いて、出水規模の大きい1事例のみでモデル定数を同定し、融雪全期間の流入量を再現した。その結果、わずか1事例で求められたモデル定数であっても、実用上十分な再現精度が得られることがわかった。
3)上記の1)および2)の検討結果を踏まえ、複数年にわたる融雪期の流入ハイドログラフを推定した。その結果、解析対象とした2つの流域とも、短期的な出水および融雪期全体の長期的な流出状況も良好に再現することができた。
本検証では、修正した融雪流出モデルの流出モデル定数を1つに固定しても十分な再現精度が得られることを実証した。このことは、洪水毎にモデル定数を変更する必要がないことを示しており、実際の洪水予測においては大きなメリットとなる。
本発明に係る土壌供給水量予測装置および土壌供給水量予測方法は、土壌供給水量の予測精度を向上することができる土壌供給水量予測装置および土壌供給水量予測方法として有用である。
本発明の一実施の形態に係る土壌供給水量予測装置の構成を示すブロック図 本実施の形態における積雪浸透モデルの構成を示す図 従来の積雪浸透モデルの構成を示す図 貯留係数kと積雪深Hの関係を示す図 図1の土壌供給水量予測装置の動作を示すフローチャート 図5の融雪量算出処理(S1100)の内容を示すフローチャート 図5の土壌供給水量算出処理(S1200)の内容を示すフローチャート 検証に用いた融雪流出モデルの構成を示す概略図 解析対象流域を示す図 豊平峡ダムおよび定山渓ダムにおける気象観測項目を示す表 豊平峡ダムにおける融雪期の降雨事例(2000年)を示す表 豊平峡ダム流域における降雨開始日の積雪分布(2000年)を示す図 雪面および土壌に供給される水量の比較の一例(2000年4月21日)を示す図 雪面および土壌に供給される水量の比較の他の例(2000年5月2日)を示す図 雪面および土壌に供給される水量の比較のさらに他の例(2000年5月12日)を示す図 豊平峡ダムにおける従来法と修正法の再現性の比較(2000年)を示す図 豊平峡ダムにおけるモデル定数および再現精度の比較を示す表 豊平峡ダムにおける修正法および従来法による再現結果(2000年)を示す図 豊平峡ダムにおける複数年の融雪期のダム流入量の再現結果(1996年〜1999年)を示す図 定山渓ダムにおける最適モデル定数による再現比較(2000年)を示す図 定山渓ダムにおける最適モデル定数(修正法)による再現結果(2000年)を示す図 定山渓ダムにおけるモデル定数および再現精度の比較を示す表 定山渓ダムにおける複数年の融雪期のダム流入量の再現結果(1996年〜1999年)を示す図
符号の説明
100 土壌供給水量予測装置
110 入力部
120 定数データベース
130 融雪モデル部
140 積雪浸透モデル部

Claims (19)

  1. 雪面から積雪層を流下して土壌に供給される水量を予測する土壌供給水量予測装置において、
    雪面に与えられる融雪量を入力する融雪量入力手段と、
    雪面に与えられる雨量を入力する雨量入力手段と、
    融雪水は積雪層を浸透し、降雨は積雪層を浸透せずに土壌に直接到達するものとして、入力された融雪量および入力された雨量に基づいて、土壌に供給される水量を算出する算出手段と、
    を有する土壌供給水量予測装置。
  2. 雪面から積雪層を流下して土壌に供給される水量を予測する土壌供給水量予測装置において、
    雪面に与えられる融雪量を入力する融雪量入力手段と、
    雪面に与えられる雨量を入力する雨量入力手段と、
    積雪層の貯留効果を貯留関数法によってモデル化した積雪浸透モデルを有し、融雪水に対しては前記積雪浸透モデルを適用し、降雨に対しては前記積雪浸透モデルを適用せずに土壌に直接到達させるものとして、入力された融雪量および入力された雨量に基づいて、土壌に供給される水量を算出する算出手段と、
    を有する土壌供給水量予測装置。
  3. 雪面から積雪層を流下して土壌に供給される水量を予測する土壌供給水量予測装置において、
    雪面に与えられる融雪量を入力する融雪量入力手段と、
    雪面に与えられる雨量を入力する雨量入力手段と、
    積雪層の貯留効果を貯留関数法によってモデル化した積雪浸透モデルを有し、入力された融雪量に対しては、前記積雪浸透モデルを適用して、積雪層を浸透して土壌に到達する融雪量を算出し、入力された雨量に対しては、前記積雪浸透モデルを適用せずに、土壌に直接到達させるものとし、算出された土壌到達融雪量と入力された雨量とを加算して、土壌に供給される水量を算出する算出手段と、
    を有する土壌供給水量予測装置。
  4. 雪面から積雪層を流下して土壌に供給される水量を予測する土壌供給水量予測装置において、
    雪面に与えられる融雪量を入力する融雪量入力手段と、
    雪面に与えられる雨量を入力する雨量入力手段と、
    積雪層の貯留効果を貯留関数法によってモデル化した積雪浸透モデルを有し、入力された融雪量に対して、前記積雪浸透モデルを適用して、積雪層を浸透して土壌に到達する融雪量を算出する算出手段と、
    算出された土壌到達融雪量と入力された雨量とを加算して、土壌に供給される水量を算出する加算手段と、
    を有する土壌供給水量予測装置。
  5. 前記土壌供給水量は、所定のメッシュ単位で求められる、請求項1から請求項4のいずれかに記載の土壌供給水量予測装置。
  6. 前記土壌供給水量は、所定の時間単位で求められる、請求項1から請求項4のいずれかに記載の土壌供給水量予測装置。
  7. 前記積雪浸透モデルは、積雪深をパラメタとして有する、請求項2から請求項4のいずれかに記載の土壌供給水量予測装置。
  8. 前記積雪深は、前記積雪浸透モデルにおいて積雪の貯留効果を表す貯留係数のパラメタとして用いられる、請求項7記載の土壌供給水量予測装置。
  9. 融雪モデルを有し、気象データおよび地形データに基づいて、雪面の融雪量を算出する融雪量算出手段、をさらに有し、
    前記融雪量入力手段は、
    前記融雪量算出手段によって算出された融雪量を入力する、
    請求項1から請求項8のいずれかに記載の土壌供給水量予測装置。
  10. 前記融雪モデルは、熱収支法の原理を基本とし、植生の影響を考慮した熱収支式から成る、請求項9記載の土壌供給水量予測装置。
  11. 得られたメッシュ単位の土壌供給水量を対象流域で平均化する平均化手段、をさらに有する請求項5記載の土壌供給水量予測装置。
  12. 雪面から積雪層を流下して土壌に供給される水量を予測する土壌供給水量予測方法において、
    雪面に与えられる融雪量を入力するステップと、
    雪面に与えられる雨量を入力するステップと、
    融雪水は積雪層を浸透し、降雨は積雪層を浸透せずに土壌に直接到達するものとして、入力した融雪量および入力した雨量に基づいて、土壌に供給される水量を算出するステップと、
    を有する土壌供給水量予測方法。
  13. 雪面から積雪層を流下して土壌に供給される水量を予測する土壌供給水量予測方法において、
    雪面に与えられる融雪量を入力するステップと、
    雪面に与えられる雨量を入力するステップと、
    積雪層の貯留効果を貯留関数法によってモデル化した積雪浸透モデルを構築しておき、融雪水に対しては前記積雪浸透モデルを適用し、降雨に対しては前記積雪浸透モデルを適用せずに土壌に直接到達させるものとして、入力した融雪量および入力した雨量に基づいて、土壌に供給される水量を算出するステップと、
    を有する土壌供給水量予測方法。
  14. 雪面から積雪層を流下して土壌に供給される水量を予測する土壌供給水量予測方法において、
    雪面に与えられる融雪量を入力するステップと、
    雪面に与えられる雨量を入力するステップと、
    積雪層の貯留効果を貯留関数法によってモデル化した積雪浸透モデルを構築しておき、入力した融雪量に対しては、前記積雪浸透モデルを適用して、積雪層を浸透して土壌に到達する融雪量を算出し、入力した雨量に対しては、前記積雪浸透モデルを適用せずに、土壌に直接到達させるものとし、算出した土壌到達融雪量と入力した雨量とを加算して、土壌に供給される水量を算出するステップと、
    を有する土壌供給水量予測方法。
  15. 雪面から積雪層を流下して土壌に供給される水量を予測する土壌供給水量予測方法において、
    雪面に与えられる融雪量を入力するステップと、
    雪面に与えられる雨量を入力するステップと、
    積雪層の貯留効果を貯留関数法によってモデル化した積雪浸透モデルを構築しておき、入力した融雪量に対して、前記積雪浸透モデルを適用して、積雪層を浸透して土壌に到達する融雪量を算出するステップと、
    算出した土壌到達融雪量と入力した雨量とを加算して、土壌に供給される水量を算出するステップと、
    を有する土壌供給水量予測方法。
  16. 雪面から積雪層を流下して土壌に供給される水量を予測する土壌供給水量予測プログラムであって、
    雪面に与えられる融雪量を入力するステップと、
    雪面に与えられる雨量を入力するステップと、
    融雪水は積雪層を浸透し、降雨は積雪層を浸透せずに土壌に直接到達するものとして、入力した融雪量および入力した雨量に基づいて、土壌に供給される水量を算出するステップと、
    をコンピュータに実行させるための土壌供給水量予測プログラム。
  17. 雪面から積雪層を流下して土壌に供給される水量を予測する土壌供給水量予測プログラムであって、
    雪面に与えられる融雪量を入力するステップと、
    雪面に与えられる雨量を入力するステップと、
    積雪層の貯留効果を貯留関数法によってモデル化した積雪浸透モデルを構築しておき、融雪水に対しては前記積雪浸透モデルを適用し、降雨に対しては前記積雪浸透モデルを適用せずに土壌に直接到達させるものとして、入力した融雪量および入力した雨量に基づいて、土壌に供給される水量を算出するステップと、
    をコンピュータに実行させるための土壌供給水量予測プログラム。
  18. 雪面から積雪層を流下して土壌に供給される水量を予測する土壌供給水量予測プログラムであって、
    雪面に与えられる融雪量を入力するステップと、
    雪面に与えられる雨量を入力するステップと、
    積雪層の貯留効果を貯留関数法によってモデル化した積雪浸透モデルを構築しておき、入力した融雪量に対しては、前記積雪浸透モデルを適用して、積雪層を浸透して土壌に到達する融雪量を算出し、入力した雨量に対しては、前記積雪浸透モデルを適用せずに、土壌に直接到達させるものとし、算出した土壌到達融雪量と入力した雨量とを加算して、土壌に供給される水量を算出するステップと、
    をコンピュータに実行させるための土壌供給水量予測プログラム。
  19. 雪面から積雪層を流下して土壌に供給される水量を予測する土壌供給水量予測プログラムにおいて、
    雪面に与えられる融雪量を入力するステップと、
    雪面に与えられる雨量を入力するステップと、
    積雪層の貯留効果を貯留関数法によってモデル化した積雪浸透モデルを構築しておき、入力した融雪量に対して、前記積雪浸透モデルを適用して、積雪層を浸透して土壌に到達する融雪量を算出するステップと、
    算出した土壌到達融雪量と入力した雨量とを加算して、土壌に供給される水量を算出するステップと、
    をコンピュータに実行させるための土壌供給水量予測プログラム。
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