JP2008185455A - 水域環境の評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】自然環境における指標生物種の生息する生態学的意味と外部環境との関係を突き詰めて自然環境を充分に評価することであり、また生息環境または生態に関する多くの項目を評価基準に適用して可及的にその地域に適しているように、特にわが国の生物にとって適した水域環境であるかどうかを自然科学的に正しく対応しているように評価することである。
【解決手段】指標生物種の生息環境または生態に関する複数の項目について指標生物種生存のための有利性を含む評価基準を複数段階の相対的な数値として予め設定しておき、その後、評価対象水域のサンプリングにより得られた生物のうち、魚類、底生生物類、植物プランクトン類、動物プランクトン類または付着生物類に属する生物種について、前記指標生物種に該当するものの前記項目別の評価数値を全項目について各類毎に合計し、この合計値を前記該当した指標生物種数で除した値によって評価対象水域の環境を評価することからなる水域環境の評価方法とする。生態学的な要素を評価項目としたものであり、またそのような評価項目は、指標種毎に複数段階の数値評価を予め取得しておいたものにおいて評価するので、指標生物種をとりまく他の生物や環境との関連を充分にして評価することができ、また生息環境または生態に関する多くの項目を適用して可及的に実際に即した水域環境を評価することができる。
【選択図】なし

Description

この発明は、河川や湖沼、ダム湖などの水域環境についての評価方法に関し、例えば河川改修などの開発事業に伴う環境アセスメント事業や生物資源調査などにも利用できる水域環境の評価方法に関するものである。
一般に、評価対象水域を評価する水域環境の評価と保全に関する研究が、多くの研究機関によってなされている。
それらは、通常、物理・化学的環境要因の測定やプランクトンを中心とする水生生物の採集を行い、測定データの解析と共にサンプルの観察、測定、分類、計数、分析などにより得られたデータも含めて総合的に解析し、水域環境を評価または診断することによって行なわれている。
例えば、河川や湖沼に対して選定した魚種の生息可能性で対象水域の水質を規定して水域環境を評価する方法が知られている(特許文献1)。
また、評価対象水域における魚類の生息場の領域を規定する平水時の流速、水深、河床材料およびカバーから選ばれる規定要素を算出し、算出された前記生息場の領域の前記水域に占める割合で、前記水域の環境を定量的に評価する水域環境の定量的評価方法が知られている(特許文献2)。
また、調査対象水域において底生動物を定量採集し、採集した底生動物の種を同定して個体数を計数し、次に種名と生活型の対応関係を利用して分類し、生活型に対する種数および個体数を累積して数値化し、生活型の構成比と個体数に分けて同一チャート上に重ね合わせて図形表示することにより容易に評価できる方法が知られている(特許文献3)。
特開2002−331284号公報 特開2003−284450号公報 特開2004−050146号公報
しかし、上記した従来の水域環境の評価方法では、指標生物の生息環境の物理化学的データと、指標生物種の生息(存在)または非生息(不存在)の関係を調べたものにすぎず、経時的な観察の必要な生態学的な要素をその種が生育することの自然環境にとっての意味を評価することはなく、またはそのような評価項目は指標種毎に複数段階の数値評価として予め設定されかつ調査等により取得されたものではなかった。
そのため、従来の水域環境の評価方法では、指標生物種をとりまく他の生物や環境との関連を充分にして評価することは困難であり、生息環境または生態に関する多くの項目をわが国特有の環境に応じて選択的に使用して実際に即した水域環境を評価することができなかった。
この発明の創造性についてわかりやすく説明すると、総合的な水環境をそこに棲んでいる生物によって判定するという指標生物に着眼したことにある。その結果、誰にでもわかりやすく環境を伝えることができる、生息する生物、魚類や底生動物は数年以上そこにすんでいるところの底質などの環境の結果を示している。
すなわち、それぞれの生物の生息はその背景になっている水の数年以上のその地点におけるさまざまな環境の要素の結果である。生物からの環境の分析に最も信頼がおけ、無理がない優れた手法であるが、なぜいままでできなかったかについては、日本の教育制度と環境問題の発生の過程に原因がある。日本では生物から環境をみるという視点がなかった。
日本では生物の研究分野はそれぞれの生物種に限られ(大学の組織上、少なくとも80年以上の昔から)分類学を中心とした博物学から、農業、水産に関わる応用生態学であり、個体群生態学として発展してきた。
このことは個々の生物の情報は確かであっても、その生物をとりまくほかの生物や環境要素との関連性を明らかにすることがなかったため、環境という囲いの中で、生物を比較することが困難であった。
今回、社団法人淡水生物研究所が手がけた魚類、底生生物、プランクトン、付着生物の生息環境の指標性の整理は30年以上の日本の河川の現場のデータを整理したもので、そのことが画期的なことである。なぜならば日本の生物指標だからである。さらにこの整理手法の独創的なことはそれぞれの要素(エレメント)を数値化したことである。数値化はドイツのティーネマン、コブレンツマーソン、津田・森下(1972)以来、狭い範囲のミクロの生物やベントスには先例がないわけではない。魚類にまで及んだのは、アメリカのカーなどがあり、それとはまったく別のルートで森下らが日本の魚類について(Hの条件)試みている。
しかし、今回すべてのサイズの生物、しかも河川だけでなく、湖沼も人工的なダム湖も沼地もすべての水域までおよんで比較することが、可能にしたのは、優れた先見性の結果だといえる。
さらに環境の評価をするだけでなく、その結果から、今後水域のどことどの部分をどのように改善させていけば、何年後にはどのような水環境が再生復元されるかなどの方向性も明らかになる。これまで科学的な裏づけがないまま施工されてきた改変の工事に科学的な検証が可能となる。そのことは1992年の環境基本法、1997年河川法の改正、2000年自然再生法、2003年景観法など一連の環境に関わる法律を実施するにあたっての科学的な根拠を担うものである。
要するに、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、自然環境における指標生物種の生息する生態学的意味と外部環境との関係を突き詰めて自然環境を充分に評価することであり、また生息環境または生態に関する多くの項目を評価基準に適用して可及的にその地域に適しているように、特にわが国の生物にとって適した水域環境であるかどうかを自然科学的に正しく対応しているように評価することである。
上記の課題を解決するために、この発明においては、指標生物種の生息環境または生態に関する複数の項目について指標生物種生存のための有利性を含む評価基準を複数段階の相対的な数値として予め設定しておき、その後、評価対象水域のサンプリングにより得られた生物のうち、魚類、底生生物類、植物プランクトン類、動物プランクトン類または付着生物類に属する生物種について、前記指標生物種に該当するものの前記項目別の評価数値を全項目について各類毎に合計し、この合計値を前記該当した指標生物種数で除した値によって評価対象水域の環境を評価することからなる水域環境の評価方法としたのである。
上記した評価方法では、生態学的な要素を評価項目としたものであり、またそのような評価項目は、指標種毎に複数段階の数値評価を予め取得しておいたものにおいて評価するので、指標生物種をとりまく他の生物や環境との関連を充分にして評価することができ、また生息環境または生態に関する多くの項目を適用して可及的に実際に即した水域環境を評価することができる。
このような水域環境の評価方法として、特に好ましい適用状態としては、評価対象水域が河川であり、かつ魚類における生息環境または生態に関する複数の項目が、河口と上流間の移動性による縦のつながり、河床材料、水深、流速、細流や水路への移動性による横のつながり、冠水の頻度による水辺の機能、水生植物の適量性、水辺林の有無、日光の嗜好性および人為管理性を含む項目である上記の水域環境の評価方法とすることである。
または、評価対象水域が河川であり、かつ底生生物類における生息環境または生態に関する複数の項目が、石礫、砂、流れ、水深、光、水中溶存酸素要求度、水温、河床更新性、食性およびライフサイズを含む項目である前記の水域環境の評価方法とすることである。
または、評価対象水域が天然または人工の湖沼であり、かつ植物プランクトンにおける生息環境または生態に関する複数の項目が、アオコとの関連性、赤潮との関連性、臭気との関連性、捕食されやすさ、鞭毛等による運動性、耐流性、生活史の長短、個体の大きさ、出現する栄養水域および同定の容易性を含む項目である前記の水域環境の評価方法とすることである。
または、評価対象水域が天然または人工の湖沼であり、かつ動物プランクトンにおける生息環境または生態に関する複数の項目が、生活史の長短、運動能力、耐流性、群体等の集積性、体長、個体の体積、水温適性、出現する栄養水域、出現頻度および同定の容易性を含む項目である前記の水域環境の評価方法とすることである。
この発明の水域環境の評価方法では、指標生物種における生息環境または生態に関する複数の項目に対応する複数段階の数値評価を予め取得しておき、その後、評価対象水域に生息する魚類その他所定生物種について、前記項目別の評価数値を全項目について合計し、かつ指標生物種数で除した値によって評価するので、指標生物種をとりまく他の生物や環境との関連を充分にして評価することができ、また生息環境または生態に関する多くの項目を適用して可及的に実際に即した水域環境を評価することができるという利点がある。
先ず、この発明の第1実施形態として、魚類による水域環境の評価項目と評価値について、以下に説明する。
1.水域環境の評価項目と評価値
1-1.魚類による河川環境の評価(FHIM:Fish Habitat Index Morishita)
以下に評価項目を10項目挙げ、さらに各項目について説明する。
1. 縦のつながり
2. 河床材料
3. 水深
4. 流速
5. 横のつながり
6. 水辺の機能
7. 水生植物
8. 水辺林
9. 光
10. 人との関わり
[生息環境の評価方法 FHIMの解説]
日本の145種の魚類の生息環境を整理し、対象魚種それぞれが各FHIM10項目のどの点数を要求するかを求め、その合計点を日本の川の生物の多様性を保全する川の環境条件FHIM(Habitat Index Morishita)とする。
[FHIMの各項目の評価の重みづけ]
FHIMでは、日本の川で魚類が生息する条件を10項目選定し、その10項目の要求の度合いを3段階の規準を設定し評価する。条件が満たされていれば5、そうでなければ1、どちらでもない場合は3を与え、10項目の点数を合計して地点ごとに最高50、最低10の評価値をつける。また、各魚種の生態学的な知見や研究者が経験から得た知識から、もっとも一般的にその種が生息しやすい状態を3段階の項目の規準にあてはめ、その魚種の「要求度」とした。
[評価の手順]
FHIM 各項目の評価のレベルは相対評価であるため、「5」、「3」、「1」とした。評価値は、その地点に生息するそれぞれの魚種について、その種が好むFHIM各項目の評価点の合計を求める。この評価値がその種が生息するための「要求度」である。
現地調査で確認した各魚種の「要求度」の項目別平均値を、その地点の魚類からみたFHIMの評価値とし、その合計値をFHIMとよぶ。
FHIM;Σ(生息する魚類の持つFHIM 評価)/Σ(種類数)
[魚類から河川の特性を評価する]
(FHIMの各項目について)
魚類が生息する指標を表1の10項目に選定し、各指標についての評価基準を5、3、1点で点数化した。以下に各指標について説明する。
[FHIM1 縦のつながり]
地域性のある種も含めた日本の145種の淡水魚の移動行動を中心にした生活型を区分すると、河口から上流の山間地へ移動する回遊魚、川の本川から支川や池沼を移動する種、あまり動かないで一年中同じような場所にいる種の3つの行動様式がある。
川を河口から山間地へ移動する回遊魚がタテ型の移動とすると、本川から支川、池沼への移動はヨコ型の移動である。同じ場所で生活し、大きく動かないのは定着型とする 3 )。海から源流まで長い行程を移動する魚類は、全魚種のうち17.5%であるが、中流から下流へ、中流から上流への移動が必要な魚種を合わせると6割以上が、河川の上流と下流が連続していなければ生活できない。
移動機能については、海から源流へ移動すれば5、池や沼、河川で動かないで生息すれば1とする。また、上流から下流へは大きく移動できないが、定住するとはっきり決められないか、生活史がよくわからない生物は3とした。
[FHIM2 河床の材質]
生物の日常的な生息場は河床の形態に左右される。生物の生息の条件と「物理的環境」との関連性はわかりやすい部分で、川の生態系のしくみの解析ではよく使われている。前章で示したが、石礫や砂、泥などの河床材料と流速と生息魚種については詳しく調べてきた。ここでの材料は、どんな材質であればどんな魚がすめるかから脱却し、材質の組合せの複雑性がすむ魚種の多様性につながるという評価の視点である。すなわち、成魚の生息場としてだけでなく、産卵や餌場、生活史上の環境を要求する方向へ解決することが大切なのである。
FHIMの評価は、河床材料がいろいろであれば5、石礫だけ、砂だけ、泥だけと単一になれば1とした。
[FHIM3 水深]
魚類がその水深で行動するには体高の3倍、そこに定着するためには体長の3倍の水深が必要である。すなわち体長2.5cmのメダカは、通過には最小で3cmの水深が必要で、生息には7.5cm以上の水深を必要とする2)。多くの魚類が生息する水深は、流れに沿って連続した瀬や淵があるだけでなく、全体的には横断方向に5cmくらいの浅い所から2mぐらいまでの深さが必要である。多くの魚類は日中と夜間の生息場が違うことに注意を払わなければならない。
水深の浅い場所があれば仔魚はブラックバスのような大型魚から逃れることができる。他方、大型魚は深いところがなければ、ゆっくり休むことができない。水面が広がって水深が平均化して、水深に差がなくなることは、環境が均一化することで、日本の山地渓流に生息するサケ科やハゼ科の魚類が生息しにくくなり、魚種が交代する。サケ科から平地流のアユやアブラハヤなどの魚類にかわる。河川工事の後、水量に変化がないのに物理的な生息条件の変化が生息する魚種を大きく変えていることに注目する。
FHIMの評価は、いろいろな水深があれば5、均一になればそれが浅くても深くても1とする。
[FHIM4 流速]
流水性の魚類が餌を採るのは、魚類が生息する場所より比較的流速の速い所である。夜休むときは昼間活動する時よりは流速の小さい場所に集まる。狭い距離の限られた水域に異なった流れがあると、多様な魚種が生活できる。大きな流速と小さな流速があれば、生物の1日の行動のリズムが容易になる。魚類や底生動物は好きな流れを選んで生活すればストレスがなくなり、成長や成熟が設計図に示された通りに保証され、それぞれの個体群の保全を持続可能にする。大きな流速は1m/sec以上、小さな流速は5cm/sec以下とする。
FHIMの評価は、滝があったり、淀みがあったり、大きい流れと小さい流れが混在していれば5、流れが速くても遅くても均一であれば1とした。
[FHIM5 横のつながり]
日本の川は3000年前から田畑に水をひくために利用されてきた。3000年程度では、生物の種が新たに適応進化をするとは考えられないから、田畑と連なった川を利用しながら生き残った生物が現存していると考えるのが妥当である。実際に田畑との連なりがなくなったら動きのとれない種は 18%もあり、連なりが不要の種は30%である。いいかえると、日本の魚種の70%が川とそれに連なる異なった水域を行き来することで一生をおくる。
水生昆虫の多くが産卵するのは細流や小川であり、孵化した幼生は間隙生物になり、湧き水や伏流水のある浅いところで生活する。魚類は間隙生物のいる所に産卵する。孵化した仔魚が口を開ければ餌にありつけるところを親魚が選ぶからだ。すなわち、増水したら本川と連なり、しばらくの間は水が溜まっているような、流れている本川とは違った水域があることが、魚類や底生動物の一生には大切である。
FHIMの評価は、細流、水路へ常に移動できれば 5、細流、水路があっても移動難しい場合は3、細流、水路もなく移動できなければ1とした。
[FHIM 6 水辺の機能]
河床が下がって、水面が少しの増水ぐらいでは植物の茂っているところまで冠水しないと、せっかくの植物帯が生物に利用できない。冠水の度合いと魚類や底生動物との場の利用形態は未解な部分が多いが、川底が低下し、低水敷が整備されると、生物の多様性が失われることは明白で、関係があるとすることが妥当である。
今日の日本の川は、人口の少ない山間地でさえ水の量が豊かで、生物学的水質が清冽であるとは言い難い。水の量や汚濁の程度は、都市だからと限定して論じられるほど特異でなくなっている。都市の川と人口の少ない山間地域の川との差は、人が川を利用する様式の違いにあらわれている。すなわち、都市域の川から水辺域がなくなったことである。
FHIMの評価は、雨が降れば浸かるような所があれば5、年に1回の大雨でも、浸からなければ1となる。どちちらでもなければ3となる。
[FHIM7 水生植物]
水生植物帯にはフナなどの池沼性の魚類や稚魚が生息し、洪水などの非常時には大型の魚類の隠れ場になる。水生植物は光合成によって溶存酸素を増加させる。しかし、植物が増えすぎると流れが阻害され、植物に集まるミクロな動物の増加で水中の溶存酸素が欠乏して、日光を好む渓流性の魚種も好酸素性の回遊魚も生息しなくなる。水生植物には機能の違う3タイプ、抽水植物(ヨシなど)、浮草植物(ヒシなど)、沈水植物(カナダモなど)がある。
FHIMの評価は、異なったタイプの水生植物が水面の30%以下にとどまっている場合は5、100%植物に覆われているか、全くない場合が1である。過ぎたるは及ばざるがごとしである。水面が植物で覆われてしまった水域は干陸化が促進され、やがて陸地になる。カワトンボなどの特異な生物がしばらくの間生息するが、湖沼学では川が老化したといい、水域のエコロジカルヘルスはいいとはいえない。
[FHIM8 水辺林]
水辺林があるかどうかは「FHIM9 光」との関連が大きい。魚類に対する水辺林の効用の直接的なものは、餌場を提供する、産卵場(植物の根など)のほか、外敵からの防御の機能も大きい。
上流から風が吹けば、樹木の下部の地上よりに小さな風が上流方向に生じ、その小さな風に乗って水生昆虫の成虫は上流へ翔行する。小さな風は水生昆虫のカワゲラやトビケラなどの成虫を上流へ運ぶ。そのことが重要な水辺林の機能である。そして自分の生まれた上流で産卵する。上流で生まれた幼虫が流下し、渇水で溯上し、川の上下移動を繰り返し、大型の生物に食べられ、最後は2個体か3個体が成虫になれば種は持続する。
FHIMの評価は、水辺林が連続する、水辺林が水面に突出していれば5、水辺林がなければ1、水辺林があっても疎らであれば3となる。
[FHIM9 光]
生物が生息する条件は水温で論じられることが多い。イワナなどの源流に生息する冷水性の魚類は、水温が20℃以下の所が分布域になっている。たとえ20℃以下の所でも樹木もなく光のよく当たる開けた場所では、サケ科の魚類は探してみても姿がない。サケ科の魚類は水温の他、光や水辺林、巨石や流速などの河床材質など、限りなく多くの条件(これまでの FHIM 各項目)が重ならなければ生息しない。反対にサケ科の魚類が自生していれば、これらの多くの条件が十分にあるといえる。
FHIMの評価では、陰の多いところを好むのが5(全魚種の16%が該当)、一日中陽があたっても平気なのが1(21%)である。日本の魚類では陽の当たる渓流性の魚類が多く、3の値のところで多様性が高くなる。5の値のところは特殊な魚類の棲むところで、多様性は高くないが5の条件があれば3の値の魚種も生息が可能である。しかし、3を示す魚種は成長が遅れる。環境の多様性の視点からは5にしかすめない魚種のいることの重要性がわかる。
[FHIM10 人との関わり]
洪水などの攪乱がないと生物相が極相になって固定化する。日本の河川、とくに山地渓流では洪水の自然のリズムの攪乱は望ましい。山間地の土砂の移動など自然のリズムによる川の変化はこれまで常に起こってきた。しかし、市街地を流れる河川や、治水、利水に利用されて強度に人が管理した川では、自然のリズムによる川の変化が小さくなる。
都市域に生息する生物は、上流の自然のリズムに合った変化が嫌いなものが多い。特に外来種のブラックバスやブルーギルなどは、日本の川の本来ある自然のリズムを好まないから、そのような水域には侵入しにくい。反対にそのような場所にブラックバスやブルーギルを人が放流すると生態系への影響は大きくなる。移入種の問題は、生態系への直接的な人的攪乱であり、時間の経過とともに影響の度合いは大きくなる。
FHIMの評価は、攪乱の度合いが小さければ5、改変が目立たなければ3、工事などによって河道が安定している場合は1とした。
Figure 2008185455
次に、この発明の第2実施形態として、底生動物類による水域環境の評価項目と評価値について、以下に説明する。
1−2.底生動物による河川環境の評価(BHIM)(Benthos Habitat Index Morishita)
以下に評価項目を10項目挙げ、さらに各項目について説明する。
1.石礫
2.砂
3.流れ
4.水深
5.光
6.水質(酸素要求度)
7.水温(地理的分布)
8.更新
9.食性
10.ライフスタイル
[底生動物のBIM値による河川環境の評価]
BIM値は、河川の自然の機能がどの程度損なわれずに現存しているかを、そこに生息する底生動物から評価する手法の一つである。すなわち、BIMの項目の一つ一つは底生動物の生活史の上で必要な条件を底生動物が持つ要求の違いに着目した評価手法である。
水生生物が生息する条件の項目を選び、それぞれについて”大きく要求する”を5、“普通”を3、“あまり要求しない”を1とした。この数値を出現した底生動物に用いて、河川の現状の特性評価の手法にした。すなわち、生息する生物から推測する構造と機能の現状などが、数値に置き換えられ、河川の底生動物の生息環境条件がより客観的に評価できることになり、地点間および年代などを比較することが可能になる。客観的に比較することができれば指標生物学の基礎データとして多いに有効であり、これを用いることにより将来の予測、自然再生における目標が可能になるはずである。
[BIMを用いた解析方法]
河川に出現した底生生物の種のBIM値(前述)を用いて、河川の評価を行った。計算方法は以下に示す通りである。
BIM値の評価値=Σ(生息する底生動物の持つBIM1〜10値)/Σ(種類数)
(但し、BIM値はそれぞれの項目で少数第一位以下で四捨五入したものを用いる。)
底生動物にとっての河川の構造や機能が最適であれば、評価値は50に近づき、30±であれば構造と機能が良好であり、20以下になれば構造や機能が損なわれていることとする。それぞれの項目についても3.5以上が最良、2.5〜3.5が良好、2.5以下が不良とした。
底生生物から日本の川の特性を評価する。以下にBHIM指標項目を説明する。
[BHIM1 石礫]
石礫がないと生息できない5、石礫がなくても平気である1、どちらにも当てはまらない3と評価した。
[BHIM2 砂]
直径1〜8mmまでの粒径の砂が必要であるを5とし、砂がなくても平気であるを1とし、どちらにも当てはまらず偏った砂でも平気であるを3と評価した。
[BHIM3 流れ]
10〜100(cm/s)までの様々な速さの流れが必要であるを5と評価し、流れがなくても平気であるを1、どちらにも当てはまらず、流れはあるが偏った流れでも平気であるを3と評価した。
[BHIM4 水深]
干陸化しやすいところから1mの深さまでいろいろな水深が必要である、すなわちエコトーンが形成されているを5と評価し、水があればよいを1、どちらにも当てはまらず水深に変化がなくてもよいを3と評価した。
[BHIM5 酸素]
酸素が十分に必要であるを5と評価し、酸素がなくても平気であるを1、どちらにも当てはまらないを3と評価した。
[BHIM6 光]
河畔林などで覆われていたり、谷間にあて直接水面に光の当たる時間が短く(約6時間以内)ないと生息できないを5と評価し、水面に光の当たる時間が長くても平気である(約12時間以上)を1とし、どちらにも当てはまらないを3と評価した。
[BHIM7 水温]
最高水温が22℃以下でないと生息できないを5と評価し、水温とは関係がないを1、どちらにも当てはまらないを3と評価した。
[BHIM8 更新]
増水などによって河床が更新されることが必要であるを5と評価し、河床が更新されなくても平気であるを1とし、どちらにも当てはまらないを3と評価した。
[BHIM9 食性]
生態系における生物間の相互関係でもっとも明瞭なものが食物連鎖である。水中における水生生物の位置としては、添付の図1に示すようになる。水生昆虫は大きく食藻性(グレイザー)・雑食性(コレクター・シュレッダー)・食虫性昆虫(プレディター)と分けることができる。
グレイザーは水底や石、植物体などの表面についた植物(主に藻類)を削り取って食う代表的な水生昆虫としては多くのカゲロウ、一部の携巣性トビケラ、コレクターは網または櫛のような道具を使って水中に漂う食物を濾して食べるものである代表的な水生昆虫としては造網性トビケラ、ブユなどである。シュレッダーは食物(おもに生物遺体)を細かく砕いて食べるもので、代表種は大きな携巣性トビケラ、小型カワゲラなどであり、プレディターは小動物を捕食するものであり、代表種はナガレトビケラ、大型カワゲラ、トンボ、ヘビトンボ、ホタル、ゲンゴロウ、タガメなどがいる。食性に他の生物が関わっている捕食者である生物が生息しているといことは、必ず、他の生物の存在があるという証明になり、指標としての評価が高い。BIMにおいては食性の項目を設け、動物食つまり食虫性の水生昆虫を評価値を5とし、植物食の水生昆虫を3とし、雑食性を1とした。
[BHIM10 命の長さ ライフサイズ]
それぞれの生物によって寿命が異なる。BIMにおいては命の長い生物を5と評価し、まだ生態がわかっていないものや短命であるものを1とし、それ以外を3と評価した。命が長い生物が生息しているということはその生息環境がしばらく安定していたという指標になる。
(酸素不足に弱い底生動物と強い底生動物)
有機汚濁の進行と底質上の酸素不足との間には密接な関係があり、一般的に言って、有機汚濁のあまり進行しない地点でみられるカゲロウ、カワゲラ、トビケラなどの水生昆虫類は酸素不足に弱く、有機汚濁の目立つ地点でみられるミズムシなどの甲殻類、カワニナやヒメタニシなどの軟体類、ヒルやイトミミズなどの環形類は酸素不足に強いと考えられる。この背景にはそれぞれのグループが進化してきた歴史がありそうだ。昆虫類は今から数億年前の古世代に水中から陸上、空中に進出したグループで、爆発的に順応放散して種分化し、地球上の生物種の総数の半分以上を占めている。ある意味で今日の地球上で最も繁栄しているグループである。水生昆虫類は、すべてこれら昆虫類のうち2次的に水中に戻っていったものであり、体制が水中での呼吸にあまり適応していない。
したがって、低水温や有機汚濁の進行していないところで十分に酸素不足があると競争能力が大きいが、酸素不足がおこると体制上どうしても不利なようである。例外は赤い呼吸色素を発達させたユスリカ類で、有機汚濁の進んだ酸素不足のところによく適応して繁栄している。またカブトムシのなかまであるゲンゴロウや、カメムシのなかまであるタガメでは水中の酸素を直接利用できず、クジラと同様に空気中の酸素にたよっているが、かえってそのために酸素不足のところでもよく活動できる。一方、甲殻類、軟体類、環形類の現生種の大部分は先祖から一貫して水中生活者である。陸上に進出したものでも種々のカタツムリ(軟体類)やミミズ(環形類)など、水辺やその他湿り気のあるところから離れられないものがほとんどだ。これらの3グループは酸素濃度の高いところでは昆虫類に比べて競争能力が劣るようで圧倒されている感があるが、少し酸素が不足してくると逆に昆虫類を圧倒する。もちろんさらに酸素不足がひどくなると生息できない。
ところで、よく誤解されることであるが、“生物種間の競争”という時には、決して“食う食われる”の関係を意味しない。生物種間の競争とは、ニッチェを同じくするもの同士でのみおこる効率に関する競り合いである。ニッチェは、生態的地位と訳されるが、環境やエサなど生息条件のある組み合わせである、と定義できる。
ニッチェのモデルはもちろん極めて単純化した話であり、現実の問題はもっといろいろな要因が複雑に絡み合っていくのであるが、同様のことは種よりも上位の分類群でも考えられそうだ。川の底生動物だと、同じ川底というニッチェにおいて過去に競争がおこったとき、昆虫類は酸素不足のおこらないところでは効率がよく、甲殻類や軟体類、環形類を圧倒した。一方、酸素不足の起こりがちなところでは、体制上の不利から進出できず、今日の勢力範囲がきまったのではないだろうか。
以上に述べたことは実際には証明がむずかしく、またあくまでも一般的な大まかな傾向である。種類によっては例外的なものもしばしばみられる。同じ昆虫類の中でもカワゲラのように酸素不足に非常に弱いものもあり、前述した赤色ユスリカのように酸素不足にきわめて強いものもある。軟体類のカワニナのように酸素不足にもかなり強く、かつ酸素不足のおこらないところにも多いものもある。カワニナの場合には同じニッチェを占める種が酸素不足のおこらないところにいなかったか、もしくはむかしいたその種を駆逐したかどちらかであろう。一方、同じニッチェを占める昆虫類と甲殻類の間の競争の見本となりそうなのはオオマダラカゲロウとミズムシであろうか。どちらの種も同じくらいの体長で、流速や底質の似たところに多く、エサは有機残渣である。オオマダラカゲロウもそれほど酸素不足に弱くないが、ミズムシのほうがずっと酸素不足に強い。
カワニナとオオマダラカゲロウとミズムシについて述べたことを模式的に図示すると図2のようになる。
カワニナとあとの2種類との間ではニッチェが大きく違い、競争が起こりにくい。オオマダラカゲロウとミズムシの間ではニッチェがよく似ており、酸素不足の程度に関してニッチェをたがえることによって共存しているのではないかと思われる。
図2を逆に解釈してみると、カワニナは酸素が不足しているか否かの指標になりにくいが、オオマダラカゲロウとミズムシは、どちらの種の勢力が大きいかによって酸素不足の相対的な程度を推定できる。この意味で指標種として価値が高い。
酸素不足の程度が即、有機汚濁の程度を意味しないが、両者はかなり密接な関係にある。そして生物学的水質階級の理論の基本の多くはだいたい以上に述べていたようなところであると考えてよい。また今までずっと用いてきた“酸素不足”を一貫してきたから、前に述べたように、BODとの間にはかなり食い違いがある。生物学的水質階級とBODが食い違う主要な原因である。生物学的水質階級の方がより人の感覚に近い。
代表的な底生動物種と酸素不足の点からみると 酸素不足については、きわめて弱い、弱い、あまり強くない、強い、きわめて強い、の5段階評価を行なった。
以下は日本に出現する代表種の特性である。
(モンカゲロウ Ephemera strigata)
渓流の渕の砂地に潜って生活している。体型は円筒形で、前肢は砂を掘るためによく発達する。エサは有機残渣。酸素不足に弱い。
(オオマダラカゲロウ)
流速のあまり大きくない瀬にすむ。カマボコ型の体型で、底質上をのそのそと這い回る。餌は、有機残渣であり、酸素不足にあまり強くない。
(アカマダラカゲロウ Ephemerella rufa)
オオマダラカゲロウより少し小型で体高も少し低く、弱々しい感じがする。生息する環境条件やエサはオオマダラカゲロウに似る。酸素不足にあまり強くない。
(サホシロハラコカゲロウ)
尾を使って巧妙に泳ぐ。体形は紡錘型。尾の中央の黒い帯状紋が特徴。流速の小さな石の上か、水草や水辺の植物につかまっていることが多い。エサは付着ソウ類と思われる。酸素不足に強い。
(エルモンヒラタカゲロウ)
流速の大きい石面上を滑走する。体型は薄くて平べったい。ヒラタの名の由来はここにある。エサは付着の藻類と思われ、酸素不足に弱い。
(ウエノヒラタカゲロウ Epeorus uenoi)
腹面のエラが吸盤状になっており、エルモンヒラタカゲロウよりさらに急流に適応する。酸素不足にきわめて弱い。エサは付着ソウ類と思われる。
(オオヤマカワゲラ Oyamia gibba)
生昆虫の中では大型で体長40mm前後。がっしりした体型をしている。渓流の早瀬に棲むが、石面の裏など直接流れのあたらないところにいる。エサは他の水生昆虫。酸素不足にきわめて弱い。カワゲラ類はほとんどの種が酸素不足にきわめて弱い。
(ヘビトンボ Protohermes grandis)
水生昆虫の中では最も大型に属する。体長は70mmに達することがある。渓流の早瀬にすむが、オオヤマカワゲラと同様、流れが直接あたるところにはいない。エサは他の水生昆虫。酸素不足に弱い。
(ヤマナカナガレトビケラ)
ナガレトビケラのなかまはトビケラ類の中では原始的なグループとされ、巣をつくらないことが特徴である。いずれも酸素不足にきわめて弱い。体長は15mm程度であまり大きくないが、早瀬の石面を徘徊して他の水生昆虫をエサにする。
(ヒゲナガカワトビケラ)
トビケラのなかまでは最も大型に属する。体長40〜50mm。早瀬の石と石の間に網をはり、自分は網の後ろにかくれていて、流下してきて引っかかった物を食べ、雑食性であり、酸素不足に弱い。
(ナミコガタシマトビケラ)
ヒゲナガトビケラと同様、造網性で、雑食性。体長は小さく10mm強。酸素不足にあまり強くはないが、トビケラのなかまではもっともよく耐える。発電所の導水路などにしばしば大発生する。
(オオシマトビケラ)
ヒゲナガカワトビケラやコガタシマトビケラと同様、造網性で雑食性。体長は25〜30mm。酸素不足にあまり強くない。しばしば発電所の導水路などに大発生する。
(コカクツツトビケラ)
落葉をつづって四角柱の巣をつくる。渓流の平瀬にすみ、落葉を食べる。体長は10mm程度であり、酸素不足に極めて弱い。
(カワニナ Semisulcospira libertina)
巻貝。石面や泥面を匍匐しながら付着ソウ類や有機残渣を食っている。殻長は 40mmを越えるものもある。酸素不足に強いが、水生昆虫の多いところにもよくみられる。
(ヒメタニシ Sinotaia quadrata)
巻貝。カワニナよりさらに酸素不足に強い。水生昆虫の多いところにはほとんどみられない。カワニナより流速の遅いところを好む。殻長 35mm 前後。エサはカワニナと同様。
(サカマキガイ Physa fontinalis)
巻貝。カタツムリの仲間で、肺により空気呼吸を行う。そのため酸素不足にきわめて強い。殻長 7mm 前後。エサはカワニナと同様。
(ミズムシ Asellus hilgendorfi)
甲殻類等脚目。ダンゴムシやワラジムシと近縁。流速の遅い川の有機物の中をのそのそと歩きまわって有機残渣を食っている。体長8mm前後。酸素不足に強い。水生昆虫の多いところには殆どみられない。
(サワガニ Potamon dehaani)
甲殻類十脚目。純淡水産のカニとしては日本で唯一の種。渓流の流れのゆるいところにすみ、水生昆虫や腐肉を食う。酸素不足に弱い。
(シマイシビル Erpobdella lineata)
茶色のヒル。背に黒のたて縞が 2 本あるのが特徴。底生動物の体液を吸うといわれるが、有機残渣から吸汁しているのではないかと疑う。酸素不足に強い。水生昆虫の多いところにはほとんどみられない。
(セスジユスリカ)
赤色のユスリカ。ユスリカはハエやカのなかまである。アカムシと称して釣具屋で売られるものの多くは本種。体長は 10mm 程度。酸素不足にきわめて強く、底泥が黒く還元状態になっているところにもしばしばみられる。有機物残渣を食っている。水生昆虫の多いところにはほとんどみられない。
[渓流性の底生生物からみた水量の変化の位置づけ]
(洪水と水生昆虫の関係)
川はいつも同じようにおだやかに流れているのではない。春の雪解け、夏の集中豪雨、秋の台風などの増水時には、平常の何倍、あるいは何十倍もの水が激しく流れて河床を削り、石や泥を押し流してそこにすんでいる生物を滅ぼす。このなかには人間の不注意や予想の範囲を超えた出水による災害もあるが、人間の影響を取り除いても生物への攪乱を全てなしにすることはできないことがわかっている。
川の水量の大きな変動は、雪解け水の増水、何年かに一度起こる大型の台風や集中豪雨、また、ほとんど川に水がないというような渇水などによる他、土木構造物による利水のための変動もある。前者が予想できないのに比べて、後者はある幅の中にある。一般には変動幅が変わらない方がいいと考えられてきたが、日本の生物は自然の大きな変動幅がどうも大切らしいということにわれわれは気づいてきた。
流域の山々が森林に覆われていると、水量の急激な変動がいくらか緩和されるにみえるが、それも程度のもので、かならずしも森林がカバーできるのでないことがわかっている、川底で石や砂を頼りにして生活している水生昆虫のカゲロウやトビケラの幼虫も常にこのような水の変化の中に生きている。そのため、先に述べたように、かつてはこれらの水位変動がなくなると、川の水生昆虫は洪水などの攪乱によって死ぬことがなくなり、ずっと繁栄しつづけ、極相を形成すると考えていたのがクレメンツである。
発電や洪水防止のために川にダムを造って、その下流にはいつも一定量の水を流すように調節している。このようなダムの下流は確かに安定していて、そこにすむ生物も増えたようにみえた。しかし時間がたつとその生物の種類はもとの川と変わってくる。河床が砂粒で川底を埋められて、瀬と淵の境目がはっきりしなくなり、同じように細かな砂に全体がおおわれた平瀬になる、草が生えて砂利の露出した河原がなくなり、陸生の植物が侵入し、河床が固定され、少しの洪水でも砂が動かなくなると、水生昆虫は早瀬のものが減って、平瀬から淵にすむ種に変わる。ある期間、10年くらいはトビケラなどの増加がみられ、オイカワが優位にたっていた。
川は常に堆積の作用を行っている。川岸や川底を削って磯や砂を下流に運び、下流を埋めていく働きは川上から川下までの各所で、さまざまな形で起こっている。平時でも水が流れていて砂礫も流れている。淵頭の早瀬では流水中にかなりの砂礫が含まれている。淵尻の平瀬のすぐ上流では一度止まり、淵の部分をすぎるとまた少しの砂礫が含まれるようになる。これは平水時に砂礫が流れ、淵に堆積していく。
平時の川では瀬には侵食作用、淵には堆積作用がおこり、川全体を同じような深さと流速にしていこうと平均化の作用があるはずである。すなわち、洪水は川の多様な構造をつくり、平水時には均一化という二つの異なった機能があって、これまで維持されていたこのような川の構造の変化、機能の変化が日本の川にすむ渓流昆虫に生息の多様性をもたらしたのだろう。カゲロウ、カワゲラ、トビケラ、ユスリカ、ドロムシなどの生物のすむ浮石の重なりあった礫底がいつも川の瀬に存在し、維持されていることが多くの水生昆虫の生活史を助ける自然の川のリズムであろう。底生生物の繁栄を滅亡とは、洪水という現象の二つの側面であって、一方だけを切り離して考えることはできない。生態遷移は不安定系である。
洪水で川底が更新され、早瀬にはまた多くの石礫が重なり合って堆積し、水生昆虫のすみ場所として好適な条件を備えるようになってくると昆虫がすむ。はじめは移動能力の大きいコカゲロウなどがすみ、トビケラ類でもヤマトビケラなどのように石で造った筒巣を背負った携巣性のものから、固定巣をつくるシマトビケラやヒゲナガカワトビケラのような造網性のものが多くなる。岩の表面には小さな半円錐型の網を張り砂の巣を造るシマトビケラや、石と石の隙間に四角い大きな網を張り、小石を集めた頑丈な巣をつくるヒゲナガカワトビケラなどが増加し、これらの網と巣で石と石がつなぎ合わされた礫底が河床に広がっていけば川は安定して、渓流の生態系の基盤となる水生昆虫群集を形成する。
日本の普通の渓流の安定した水生昆虫群集の基本型は、ヒゲナガカワトビケラとシマトビケラ類を主体としてオオクラカケカワゲラやオオヤマカワゲラなどのカワゲラや、ヒラタカゲロウ、マダラカゲロウ、コカゲロウなどのいろいろな生活型のカゲロウ類、ウスバガガンボやユスリカ類が個体数を増やし、さらにヘビトンボやトンボが加わるとその時点は現存量が飛び抜けて大きくなるが一方でブレもおこす。このような水生昆虫群集が安定した河床に成立した、ほぼ安定した群集といえるだろう。
川底に新たに堆積した石礫に藻が生じ、カゲロウやユスリカがすみつき、さらにシマトビケラやヒゲナガカワトビケラの巣網によって川底が覆われて一応の安定をすることは、自然界における生態遷移の現象の一つである、こうして到達した最終的な安定状態を「極相」ろいう。どのときは種類数も現存量もそれまでの最大となるのが普通である。川底のこのような生態遷移は、造網性トビケラ類の増加による遷移の進行とともに、その川底の昆虫群集の現存量が増えていくことで説明する。そして昆虫群集全体の現存量の中における造網性トビケラの現存量の割合を「造網性指数」とする。
一度大きな出水によって河床が壊されると、水生昆虫群集の回復にはかなりの年月がかかる。伊勢湾台風による大出水のあとの奈良県吉野川の水生昆虫群集の回復は、現存量が最大に達してほぼ安定するまでに7、8年かかった(御勢、1968)。川はいつも同じ状態で続いているのではない。一年のうちに季節によって変化していき、されにはこうした時折の河川全体の大きな変化を通して絶えず壊されては回復し、安定してはまた壊れている。そうして川の水生昆虫は、この大小さまざまな環境の変動のなかをくぐり抜けて生きている。
その変動のリズムがそれぞれの生物にとって適応できないところにくれば種は消失し、一つの種の消失がそれに関わる種を消失させていく。しかし、新たな環境はその環境を適地とする生物種の侵入を招き、その種の定着によりやがて新たな生態系の構造が形成される。しかし一時的な物理的変化は時間がたてば修正され、その土地のもつポテンシャルにあった植生に変化するはずである。しかし、その生態系は安定した系になるのではなく、不安定な系として移行する、
[川のサイズが水生生物に及ぼしている事象]
(大きな川の生物と小さな川の生物)
出水が河川の水生昆虫に及ぼす影響は、大きい川は小さい川に比べて大きく河床が破壊され、水生昆虫が大きな影響を受ける。小さい谷ほど出水後の水生昆虫相の回復が早い。このことは小さい枝谷ほど水量の変動が少なく、水生昆虫が安全に生存できることを示しているようにみえ、水生昆虫の生息をおびやかしているのは人の圧力であるというようにされてきた。
川が上流から下流まで一様な環境条件の下のみあるのではない。地形、水温、流速、その他様々な点で違ってくる。それらの条件は、そこにすむ昆虫の種類やその生活内容に大きな影響を与えているはずなのに、なぜ小さな川の方が優位なのか疑問が生まれる。この疑問を解決するのが水生昆虫の成虫の遡上と幼虫の流下という生活史のサイクルが群集のダイナミックスにつながっていく。
いってみれば、水生昆虫は魚よりももっと小さい範囲の環境、たとえば本川に連なるあまり光の当たらない水深の小さなところが安心してすめる生息域なのだろう。支川で生まれた幼虫が何かで流れる。下流への流れがあることで川は機能し、その水生昆虫の流下や遡上があるからこそ、魚がそれを目当てに移動し、分布域を拡大していくということである。
すなわち、通常大きな川が小さな川より多様性が高いというような表現をしている場合は、大きな川にはたくさんの支川があり、流域も広く環境が多様だということで、同じ長さの本川と小さな支川を比較した言い方でないことを理解してほしい。
Figure 2008185455
次に、この発明の第3実施形態として、植物プランクトン類による水域環境の評価項目と評価値について、以下に説明する。
1-3. 植物プランクトンによる水環境の評価(PHIM)(Phytoplankton Habitat Index Morishita)
以下に評価項目を10項目挙げ、さらに各項目について説明する。
1.アオコ
2.赤潮
3.臭いをつける種
4.捕食性
5.運動性
6.耐流性
7.生活史
8.サイズ
9.生物学的水質
10.同定
[プランクトンのPHIM値によるダム湖の水環境の評価]
(PHIM値(Phytoplankton Habitat index Morishita)について)
PHIM値は人工的に新しく創成されたダム湖の自然の機能が、自然湖沼の環境と比較してどの程度の位置づけにあるかを、そこに生息する植物プランクトンから評価する手法の一つである。すなわち、PHIMの各項目は植物プランクトンの生活史の上で必要な条件を植物プランクトンが持つ要求の度合いに着目した評価手法である。植物プランクトンが生息する条件の項目を選び、それぞれについて”大きく要求する”を5、“普通”を3、“あまり要求しない”を1とした。
この数値を出現した植物プランクトンに用いて、ダム湖の現状の特性評価の手法にする。すなわち、生息する生物が指標する水環境の状況を数値としてあらわすことから、水環境の状態がより客観的に評価できることになり、地点間および年代などを比較することが可能になる。客観的に比較することができれば指標生物学の基礎データとして大いに有効であり、これを用いることにより将来の予測、管理の目標が可能になる。
[PHIMを用いた解析方法]
ダム湖および湖沼に出現した底生生物の種のPHIM値(前述)を用いて、河川の評価を行った。計算方法は以下に示す。
PHIM値の評価値=Σ(出現する植物プランクトンの持つPHIM1〜10値)/Σ(種類数)
(但し、PHIM値はそれぞれの項目で少数第一位以下で四捨五入したものを用いる。)
植物プランクトンにとってダム湖の状態が、天然の湖沼に近づいている場合は、評価値は50に近づき、30前後であれば構造と機能が良好であり、20以下になれば構造や機能が損なわれていることとする。それぞれの項目についても3.5以上が最良、2.5〜3.5が良好、2.5以下が不良とした。
[プランクトン群集からダム湖の特性を評価する]
PHIM値に選定した指標項目について以下に説明する。
(プランクトンの異常発生現象)
止水域が流水域と大きく違う点は、水中にプランクトンが発生増殖することである。プランクトンになる種類は通常浮遊しており、流水に対して耐性が弱いものである。植物プランクトンは、水中の栄養塩を取り込み、光合成で増殖する。そのように増殖した植物プランクトンは限りなく増殖するのではなく、動物プランクトンに捕食されて、バイオマス量が調整されている。
しかしながら、栄養塩の供給が多すぎたり、水質のバランスが通常とは異なる状況では、ある特定の植物プランクトンが独占的に増殖し、湖面の水の色が変色したり、魚類の鰓に付着して酸欠症状に及んだり、水に臭いがつくなどの現象が起こる。アオコや赤潮はプランクトンの異常発生によるものである。このようなプランクトンの異常発生は、水質の変化で生物間の通常のバランスが崩れたときに起こるのであるから、環境を指標するものとして適している。指標生物の1、3、5の区分は16ダムと琵琶湖の15000サンプルデータに基づいて判定した。
[PHIM1 アオコ]
アオコの原因となる種は、ミクロキスティスMicrocystis, アファニゾメノン(Aphanizomenon)、アナベナ(Anabaena)などの藍藻類である。その藻塊(フロック)が水面に緑色の粉状やマット状になって浮き、また、夏期には腐敗して悪臭を発することもあり、景観上も不快である。アオコの発生は、栄養塩(窒素やリン)濃度、水温と相関が高い。アオコが発生しフロックをつくる状態では、動物プランクトンの種類数は少なくなる。
評価値は、アオコ種を1、アオコになる種が出現している時に同時に出現している種を3、アオコになる種と同時に出現しない種を5とした。
[PHIM2 赤潮]
赤潮を形成するプランクトンは、Peridinium や Uroglena などの鞭毛を持つ種である。これらは他の植物プランクトンと比べて運動能力が高く、離合集散が速いため、光、温度、栄養分に対して、他種とくらべ有利であり、短期間に増殖しやすく、高密度になると赤潮を形成する。
赤潮による湖面の呈色は、景観上不快である。また、赤潮がひどくなると、魚をへい死させ、衰退時に藻臭を発する。評価値は、赤潮種を1、赤潮になる種が出現している時に同時に出現している種を3、赤潮になる種と同時に出現しない種を5とした。
[PHIM3 臭いをつける種]
臭気をつける種は、赤潮やアオコになる種と異なり、現象を目で確認することはできない。一般に、臭いをつける種はフォルミディウム(Phormidium属)、オシラトリア(Oscillatoria)属 など糸状藻類が多い。これらが優占している時や最盛期を過ぎた衰退時期に、水面に近づくとカビ臭や藻臭が感じられる。評価値は臭いをつける種を1、臭いをつける種が出現している時、同時に出現している種を3、臭いをつける種と同時に出現しない種を5とする。
[PHIM4 捕食性]
植物プランクトンは、動物プランクトンに捕食され、止水水域の基礎生産量を支えている。動物プランクトンのほとんどは付属肢や触手などで渦流おこしひき寄せ、捕食するろ過採食者である。大きさ、形状、コロニーの有無によって、捕食されやすさが種によって異なる。植物プランクトンの捕食性は水域の餌環境を指標できる。評価値は捕食されやすい種を1、捕食されにくい種を5、コロニーなどを形成すると捕食されにくい種を3とした。
[PHIM5 運動性]
植物プランクトンは、通常、浮遊して大きくは移動しないものがほとんどである。しかし、中には鞭毛をもち、動物プランクトンのように移動する種や、集積しその浮力で、上下運動を行う種もある。運動能力を持つ種は、もたない種に対して、優位にたてる。運動性の高い種が出現している水域では、しばしば異常繁殖が起こっている。このような点から種の運動性に注目して指標とした。評価値は、運動性の高い種を1、運動性の低い種を5、集積しると浮力が増す種を3とした。
[PHIM6 耐流性]
河川には流水に耐性のある種が生息しているが、止水域では流れに弱い種が生息して
いる。ダム湖はもともと河川を堰きとめて形成されたものであり、水域の中に止水域と
流水域をもつ。ダム湖の水環境の状況を把握できるものとして、水の流れに対する耐流性が指標として適していると考える。耐流性の指標種は、主に流水に出現する種を評価値1とし、止水域に出現する種を5、止水域、流水域どちらにも出現する種を3とした。
[PHIM7 生活史]
植物プランクトンの生活史は、種類、温度によって異なるが、一般に異常発生をする種は、生活史が短く、細胞の寿命が短い。一方、生活史の長い種は、成長に時間がかかるが、安定した量で存在するため、プランクトン量が急激に変化しない。
“生活史の長い植物プランクトン”は、植物プランクトン相が変動しやすいか安定しやすさをあらわす指標となる。1世代が長い種は、緑藻綱スピロギラ(Spirogya)、エドゴニウム(Oedogonium) 等有性生殖をおこなう種や、珪藻綱Fragilaria, Asterionellaなどコロニーを形成する種およびスタウラスツルム(Staurastrum) やペディアスツルム(Pediastrum)などがある。評価値は生活史が2ヶ月以上の長い種は5、2週間以下の短い種を1、その間の種を3とする。
[PHIM8 サイズ]
植物プランクトンの細胞サイズは、1μmのピコプランクトンから200μmにもなるシネドラアクス(Synedra acus)など、大きさはさまざまである。サイズの大きな種は水塊に占める割合が大きく、環境の影響を受けやすいと考えられ、これらに注目することが環境を測る上で重要である。評価値は70μmを超えるサイズの種を5、20μm以下の小さい種を1、その間の種を3とした。
[PHIM9 生物学的水質]
植物プランクトンの発生には、リン, 窒素などの栄養塩が大きく関与しており、その量とプランクトン群集の間には、相関関係がみられる(森下,1983)。優占種の指標種から湖の生物学的な栄養状態を判定する手法は、Hutchinson が提唱し、日本では津田らが日本の湖沼を研究し広げた(Hutchinson,1966;津田,森下, 1974)。Ecological health からみた水環境は、生物学的な栄養状態に大きく影響される。生物学的水質は水域の状態を測る指標として重要である。評価値は貧栄養水域に出現する種を5、富栄養水域に出現する種を1、中栄養に出現する種を3とした。
[PHIM10 検証]
指標生物による判定の難しい点は、種によっては、種の同定がむずかしい点である。
指標生物としてよい種とは、指標として優れているだけでなく、誰にでも(生物を専門的に学んでいない人)にも、区別がつく特徴をもっている種であることが重要である。また古くからプランクトンとして認知され、文献に記載されている種は多くの人が検証しや
すく、同定しやすい種とする。また、水域に小さな変動で分化しやすいこと、研究分野
が未開発で同定が不確かで検証しにくい種は同定されにくい。そこで、評価値は、同定しやすい種を5、同定しにくい種を1、そのどちらともいえない種を3とした。
Figure 2008185455
次に、この発明の第4実施形態として、動物プランクトン類による水域環境の評価項目と評価値について、以下に説明する。
1-3. 動物プランクトンによる水環境の評価(ZHIM)(Zooplankton Habitat Index Morishita)
以下に評価項目を10項目挙げ、さらに各項目について説明する。
1.生活史
2.運動性
3.耐流性
4.集積
5.サイズ
6.ボリューム
7.水温
8.生物学的水質
9.出現頻度
10.検証
[プランクトンのZHIM値によるダム湖の水環境の評価]
(ZHIM値(Zooplankton Habitat index Model)について)
ZHIM値は、人工的に新しく創成されたダム湖の自然の機能が、自然湖沼の環境と比較してどの程度の位置づけにあるかを、そこに生息するプランクトンから評価する手法の一つである。すなわち、ZHIMの各項目は、動物プランクトンの生活史の上で必要な条件をプランクトンが持つ要求の度合いに着目した評価手法である。動物プランクトンが生
息する条件の項目を選び、それぞれについて”大きく要求する”を5、“普通”を3、“あまり要求しない”を1とした。この数値を出現した動物プランクトンに用いて、ダム湖の現状の特性評価の手法にした。すなわち、生息する生物が指標する水環境の状況を数値として表すことから、水環境の状態がより客観的に評価できることになり、地点間および年代などを比較することが可能になる。客観的に比較することができれば指標生物学の基礎データとして多いに有効であり、これを用いることにより将来の予測、自然再生における目標が可能になるはずである。
[ZHIMを用いた解析方法]
ダム湖および湖沼に出現した底生生物の種のZHIM値(前述)を用いて、河川の評価を行った。計算方法を以下に示す。
ZHIM値の評価値=Σ(出現するプランクトンの持つZHIM 1〜10 値)/Σ(種類数)
(但し、ZHIM値は、それぞれの項目で、少数第一位以下で四捨五入したものを用いる。)
プランクトンにとってダム湖の状態が、天然の湖沼に近づいている場合は、評価値は50に近づき、30前後であれば構造と機能が良好であり、20以下になれば構造や機能が損なわれていることとする。それぞれの項目についても3.5以上が最良、2.5〜3.5が良好、2.5以下が不良とした。
以下に、プランクトン群集からダム湖の特性を評価し、ZHIM 値に選定した指標項目の解説をする。
[ZHIM1 動物プランクトンの生活史]
動物プランクトンのサイズは、ライフサイクルと関係が深く、体重が大きくなる程、呼吸率は低くなることが知られている(Ikeda,1974)。動物プランクトンでは、原生動物などバクテリアを捕食する種類は、成長速度が速いが、世代交代も早く生活史は短い。一方、エビ、カニの仲間であるケンミジンコやヒゲナガケンミジンコなどの甲殻類はノープリウス期、コペポディド期など幼生期を経て、成長速度は遅いが、寿命が長い。琵琶湖のように大きな湖には寿命の長い種類が多くみられる。貯水容量の大きなダム湖では、寿命の長い種が多いが、貯水容量が少なく、湖水の回転率が高いダム湖は少ないことがこれまでの調査結果から得られている。すなわち、ダム湖に出現する動物プランクトンの種の寿命の長さは、湖水の回転頻度に関係していると考えられる。生活史の長いプランクトンが存在することは、その水域が長い時間かわらないで安定していることを表し、天然の湖沼の状態に近いことを指標している。評価値は、生活史が2ヶ月以上の長い種を5、2週間以内の短い種を1、その間の種を3とした。
[ZHIM2 運動性]
動物プランクトンの運動性の大きい種には、触覚や剛毛を使って深い層から浅い層まで日周運動をするケンミジンコやミジンコや繊毛を使って回転しながらすばやく移動するフクロワムシ、スジワムシ、ハネウデワムシなどがある。運動性の大きい種は植物プランクトン捕食に優位に働くことができるため、植物プランクトンから動物プランクトンへ食物連鎖にとって重要な役割を担っていると考えられる。
評価値は、日周運動をする運動性の大きい種を5、ほとんどは固着生活する種を1、移動はするがほぼ同じ水域で出現している種を3とした。
[ZHIM3 耐流性]
動物プランクトンの中には、河川水や、水力発電の導水管などの流速の大きな水域でも生息できるものがある。流れに対して耐性がある種は、ダムの放流水にもみられる。流れに対して耐性があるものは、湖水の流動を指標するものである。評価値は流水でよく出現する種を1、流水では生息できない種を5、どちらにもみられる種を3とした。
[ZHIM4 集積]
動物プランクトンの中には群体を形成して、生活するものもある。テマリワムシなどはその代表種で一個体では運動能力は低いが、足部を付着させて球状の群体を形成すると回転しながら移動し、捕食活動を有利に行なう。このように生活スタイルを変化させる種は、動物プランクトンの環境変化に対して適応性が高く、捕食能力が高い。評価値は単体で生活する種5、集積する種を1、場合によっては集積する種を3とした。
[ZHIM5 サイズ]
動物プランクトンは、50μm〜1000μmまでサイズは様々である。動物プランクトンは触手や繊毛などで水流を起こし、プランクトンを体内にとりこんでいるろ過採食者、捕獲器でとらえて捕食する捕食者がある。ろ過採食者は、付属肢や触手などで渦流を起こし、ひき寄せた植物プランクトンや粒状有機物を、胸部付属肢刺毛などで集めて濾し取るため、捕食できるプランクトンは、濾過器官の大きさや濾過器官に密生する刺毛の密度によって決まる(Marshall,S.M.,1973 谷口 旭1975)。したがって、小さいサイズの原生動物や輪虫類の仲間は、大きなサイズやコロニーを形成する種を捕食できず、捕食活動では不利となる。したがって動物プランクトンのサイズをみることで、動物プランクトンの植物プランククトンへの捕食活動の影響を測る指標となる。評価値は、体長200μm未満を小型種とし1、体長800μmを超える大型種を5とし、その間の種を3とした。
[ZHIM6 ボリューム]
動物プランクトンの優占種を決めるのは、個体数ではなく体積量である。小型種と大型種では1個体が占める割合が異なるからである。すなわち大型種は、小型種より、水域の特性を指標しやすいことになる。体積量は個体に形状から体長、体幅などを計測し、計算して求める。単位はμm3である。評価値は体積量107以上ならば5、106以上では3、それ以下を1とした。
[ZHIM7 水温]
水温は、変温動物には生息条件としては重要な要素である。日本の湖沼は、冬季の水温が4℃以下にならない熱帯湖と4℃以下となる温帯湖に分類される、すなわち冷水に強い種が存在することが、ダム湖の性格を決める指標となる。冷水種が出現することが水域の多様性が大きいと考える。評価値は、冷水性種を5、温水種を3、そのどちらにも出現する種を1とした。
[ZHIM8 生物学的水質]
PIMの指標項目の解説と同様である。評価値は貧栄養水域に出現する種を5、富栄養水域に出現する種を1、中栄養に出現する種を3とした。
[ZHIM9 出現頻度]
出現頻度の高い種とは、出現期間が長いもの、出現時の個体群が少なくないもの、例えば200リットル中の1/20程度調べたとき、数個体以上出現するものである。但し、対象水域は酸性やアルカリ性の強いなど水域の栄養状態が極端ではないことに限る。評価値は年4期(季節別)の調査で、常には出現しないが、経年で確認されてきた種は、歴史的にその水域の特性を表す指標性が高く、評価値を5とし、まれにしか認められない種を1、四季のいつでも確認される種は3とした。
[ZHIM10 検証]
PIMの指標項目の解説と同様である。汎用性は指標生物の選定理由の重要な点のひとつである。指標値の汎用性が広がり、より利用価値が高くなる。すなわちサンプリングによる差異が小さい、誰がサンプリングしても確認でき、古くからプランクトンとして認知され、文献に記載されている種を多くの人が検証しやすい種を、同定しやすい種とする。また、水域に小さな変動で分化しやすいこと、研究分野が未開発で同定が不確かで検証しにくい種を同定しにくい種とする。評価値は、同定しやすい種を5、同定しにくい種を1、そのどちらともいえない種を3とした。
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以下に、水域環境の評価のための指標生物表を列挙する。
表5〜9は日本の河川に生息する代表的な魚類の指標値である。
表10〜13は、日本の河川に生息する代表的な底生生物の指標値である。
表14〜25は、日本の河川に生息する代表的な植物プランクトンの指標値である。
表26〜31は、日本の河川に生息する代表的な動物プランクトンの指標値である。
表32〜56は、日本各地のダム湖またはその上流もしくは下流の河川において検証された魚類または底生生物が指標する環境評価値である。
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水生生物の食物連鎖の説明図 底生生物の体長と生息効率の関係を示す図表

Claims (5)

  1. 指標生物種の生息環境または生態に関する複数の項目について指標生物種生存のための有利性を含む評価基準を複数段階の相対的な数値として予め設定しておき、その後、評価対象水域のサンプリングにより得られた生物のうち、魚類、底生生物類、植物プランクトン類、動物プランクトン類または付着生物類に属する生物種について、前記指標生物種に該当するものの前記項目別の評価数値を全項目について各類毎に合計し、この合計値を前記該当した指標生物種数で除した値によって評価対象水域の環境を評価することからなる水域環境の評価方法。
  2. 評価対象水域が河川であり、かつ魚類における生息環境または生態に関する複数の項目が、河口と上流間の移動性による縦のつながり、河床材料、水深、流速、細流や水路への移動性による横のつながり、冠水の頻度による水辺の機能、水生植物の適量性、水辺林の有無、日光の嗜好性および人為管理性を含む項目である請求項1に記載の水域環境の評価方法。
  3. 評価対象水域が河川であり、かつ底生生物類における生息環境または生態に関する複数の項目が、石礫、砂、流れ、水深、光、水中溶存酸素要求度、水温、河床更新性、食性およびライフサイズを含む項目である請求項1に記載の水域環境の評価方法。
  4. 評価対象水域が天然または人工の湖沼であり、かつ植物プランクトンにおける生息環境または生態に関する複数の項目が、アオコとの関連性、赤潮との関連性、臭気との関連性、捕食されやすさ、鞭毛等による運動性、耐流性、生活史の長短、個体の大きさ、出現する栄養水域および同定の容易性を含む項目である請求項1に記載の水域環境の評価方法。
  5. 評価対象水域が天然または人工の湖沼であり、かつ動物プランクトンにおける生息環境または生態に関する複数の項目が、生活史の長短、運動能力、耐流性、群体等の集積性、体長、個体の体積、水温適性、出現する栄養水域、出現頻度および同定の容易性を含む項目である請求項1に記載の水域環境の評価方法。
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