[パチンコ機の全体構造について]
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1乃至図5を参照して実施形態に係るパチンコ機の全体について説明する。図1は、実施形態に係るパチンコ機1の外枠2に対して本体枠3を閉塞し、本体枠3に対して扉枠5を開放した状態を示す斜視図であり、図2は、パチンコ機1の正面から見た斜視図であり、図3は、パチンコ機1の正面図であり、図4は、パチンコ機1の背面図であり、図5は、パチンコ機1の平面図である。
図1及び図2において、本実施形態に係るパチンコ機1は、島(図示しない)に設置される外枠2と、該外枠2に開閉自在に軸支され且つ遊技盤4を装着し得る本体枠3と、該本体枠3に開閉自在に軸支され且つ前記遊技盤4に形成されて球が打ち込まれる遊技領域20を遊技者が視認し得る透明板ユニットとしてのガラスユニット190と該ガラスユニット190の下方に配置され且つ遊技の結果発生した賞球を受け入れて発射レール38の発射位置に供給する皿ユニット300とを備えた扉枠5と、を備えて構成されている。
外枠2には、その下方前方に表面が装飾カバー板6aによって被覆されている下部装飾板6が固着されており、また、詳細に図示しないが、外枠2は、上下の木製の上枠板及び下枠板と左右の軽合金(アルミニュウム)製の側枠板とを、それぞれの端部を連結するための連結部材で連結することによって方形状に組み付けられるものである。なお、外枠2の上部に設けられる上支持金具7と下部装飾板6の一側上面に設けられる下支持金具8に、本体枠3の上下に固定される上軸支金具47及び下軸支金具48とを係合することにより、本体枠3が外枠2に対して開閉自在に軸支されている。
また、本体枠3には、上記したように遊技盤4が着脱自在に装着し得る他に、図4に示すように、その裏面に賞球を払い出すための賞球タンク50、タンクレール部材51、球通路ユニット52、及び球払出装置(球払出ユニット)53が取り付けられ、その裏面下部に発射装置57と、遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に設けられる電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板395(図22参照)等が一纏めに設けられている基板ユニット54が取り付けられ、更に、本体枠3の後面開口70(図7参照)を覆うカバー体58が着脱自在に設けられている。
更に、扉枠5には、上記した皿ユニット300に、ハンドルユニット318が設けられている。そして、扉枠5に設けられる皿ユニット300が1つであり、しかも、従来は本体枠3に設けられていたハンドルユニット318が扉枠5側である皿ユニット300に設けられ、また、扉枠5と本体枠3とが正面から見てほぼ同じ方形の大きさであるため、正面から本体枠3が視認できなくなっている。
[本体枠について]
まず、遊技盤4が前面側から着脱自在に装着し得ると共に、発射装置57と、賞球を払い出すための賞球タンク50とタンクレール部材51と球通路ユニット52と球払出装置53と、外枠2に対する本体枠3の施錠及び本体枠3に対する扉枠5の施錠を行う施錠装置60と、遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に設けられる電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板等が一纏めに設けられている基板ユニット54と、後面開口70を覆うカバー体58等の各種の部品が装着される本体枠3について、主として図4乃至図6を参照して説明する。図4及び図5は、前述した通りであり、図6は、本体枠3の正面図である。
遊技盤4が取り付けられる本体枠3の構成について説明すると、本体枠3は、合成樹脂によって一体的に成形されるものであり、本体枠3の一側上下には、本体枠3を外枠2に開閉軸支するための上軸支金具47及び下軸支金具48が取り付けられている。この軸支金具47,48を外枠2に取り付けられる上支持金具7及び下支持金具8にそれぞれ係合することにより、本体枠3を外枠2に対して開閉自在に軸支することができる。
ところで、本体枠3は、正面から見た場合に、図6に示すように、長方形状に形成され、その上部の約3/4が遊技盤4を設置するための遊技盤設置凹部30となっており、その遊技盤設置凹部30の下方のやや奥まった領域が板部32となっている。遊技盤設置凹部30の後方には、遊技盤設置凹部30の空間を形成するために後述する側面壁290〜293が後方に向って突設され、この側面壁290〜293によって囲まれる空間に、遊技盤4及び該遊技盤4に設けられる演出表示装置等の各種部品の後方突出部分が収納されるようになっている。
また、遊技盤設置凹部30を囲む前面側の前面上辺部、前面右側辺部、及び前面左側辺部には、上記した構成以外に開放側である前面右側辺部の上部、中間部、下部に本体枠3の開放側裏面に取り付けられる後述する施錠装置60に設けられる扉枠フック部61を貫通させて前方に飛び出させるためのフック用開口36が開設されており、また、軸支側である前面左側辺部の内側面に遊技盤4に形成される位置決め凹部466と係合するための盤位置決め突起37が設けられている。
次に、本体枠3の前面側の構成であって遊技盤設置凹部30の下方に位置する板部32に設けられる構成について説明すると、図6に示すように、板部32の前面の中央部から開放側の端部に向かって発射レール38がビス止め固定されている。この発射レール38の先端位置に対応する板部32の前面には、レール接続部材44が突設され、遊技盤設置凹部30に遊技盤4が設置されたときに、遊技盤4の外レールユニット472の下流端である接続通路部477と隣接するようになっている。レール接続部材44の側方位置(発射レール38と反対側の位置)には、遊技盤4の下部を固定するための楕円形状の遊技盤固定具46が回動自在に取り付けられている。この遊技盤固定具46は、前記遊技盤設置凹部30に遊技盤4が載置された状態で時計方向に回動して遊技盤固定具46を遊技盤4の前面に押圧して遊技盤4を固定するものである。一方、遊技盤4を取り外す場合には、遊技盤固定具46を反時計方向に回すことにより、遊技盤4の下部の固定の解除を簡単に行うことができる。更に、遊技盤固定具46の軸支側の側方に賞球払出ストッパー機構39が設けられている。この賞球払出ストッパー機構39は、球払出装置53から払出された賞球を扉枠5側の皿ユニット300に払い出す賞球通路の途中に設けられるもので、扉枠5を開放したときに、自動的に賞球通路を閉塞して賞球通路から外部に球がこぼれ落ちないようにする一方、扉枠5を閉じたときに自動的に賞球通路を連通させて球払出装置53から払出された賞球を皿ユニット300に払い出すものである。なお、発射レール38の発射位置の上方の板部32には、遊技盤4に形成される締結部469と図示しない締結具で締結するための締結穴41が形成されている。
また、板部32の開放側下部は、手前側に膨出状に突設された(裏面から見れば凹状となっている)直方体状の発射装置取付部40が形成されており、この発射装置取付部40に本体枠3の裏面から発射装置57が固定されている。また、発射装置取付部40の前面壁部分には、扉枠5の裏面側に取り付けられるスライドユニット230のスライド係脱片231(図1参照)が挿入されるハンドル連結窓40aが形成され、扉枠5を閉じたときに後述するスライド係脱片231がハンドル連結窓40aに挿入されて扉枠5の下部前面に設けられるハンドルユニット318と発射装置57とが連携されて、ハンドルユニット318の回動操作量に応じた強さで発射装置57の弾発力を調節することができるようになっており、それによって発射レール38の発射位置にある球を弾発して遊技領域20の所望の位置に打ち出すことができる。
本体枠3の前面構造は、概ね上記した通りであるが、次に、主として図4を参照して本体枠3の裏面構造について説明する。図4に示すように、本体枠3の裏面上部には、賞球又は貸球として払い出すための球を貯留する賞球タンク50が着脱自在に装着され、その賞球タンク50の下方に該賞球タンク50からの球を横傾斜状に誘導するタンクレール部材51が配置され、さらにタンクレール部材51の流下端から下方に向けて球通路ユニット52及び球払出装置53が設けられている。タンクレール部材51は、賞球タンク50からの球を前後方向に2列に整列させながら下流側に誘導するものであり、そのタンクレール部材51の下流端から球通路ユニット52に球が移動する際に1列となって球通路ユニット52内を落下する。そして、球通路ユニット52から球払出装置53に導かれた球は、次に説明する払出制御基板ボックス55に収納される払出制御基板720(図22参照)によって実行される払出制御プログラムに応じて所定個数の賞球や貸球を払出し、その払出した球を扉枠5の前面側に設けられる皿ユニット300に排出するようになっている。なお、球払出装置53には、詳細に図示しないが払出モータと該払出モータによって回転駆動されて球を1個単位で払い出す回転払出部材が設けられている。
更に、本体枠3の裏面には、その下部に基板ユニット54が取り付けられている。この基板ユニット54には、払出制御基板ボックス55、外部端子板56、電源基板ボックス(図示しないが払出制御基板ボックス55及び外部端子板56の奥側に固定されている。)等の遊技盤4に設けられない基板ボックスが集約して設けられている。つまり、遊技盤4が交換されても交換する必要のない制御基板を収納する基板ボックスが集約して設けられるものである。そして、遊技盤4を遊技盤設置凹部30に収納設置した際に、遊技盤4側に設けられる主制御基板と基板ユニット54に設けられる基板であって主制御基板と接続する必要のある基板との電気的な接続が自動的に行われるようになっている。上記した基板ユニット54の下方であって前記発射装置取付部40には、ユニット化された発射装置57が取り付けられている。さらに、本体枠3の前述した側面壁290〜293の後端に沿って形成される後面開口70には、カバー体58が開閉自在に設けられている。このカバー体58は、遊技盤4の後方部の全域を覆うものであり、このカバー体58を取り付けて閉じた状態では、図5に示すように、パチンコ機1の最も後方へ突出している前記タンクレール部材51の後端部とほぼ同一垂直面となるように形成されている。
また、本体枠3の開放側裏面には、施錠装置60が固定されている。この施錠装置60は、本体枠3の外枠2に対する施錠、及び扉枠5の本体枠3に対する施錠の両方の施錠を行う、所謂W錠といわれるものであり、この施錠装置60から本体枠3の前方に向けて複数(本実施形態においては3個)の扉枠フック部61とシリンダー錠62(共に図1参照)とが突出するように設けられている。
次に、遊技盤設置凹部30の構成について説明する。図7は、部品を取り付ける前の本体枠3の側面図であり、図8は、部品を取り付けた本体枠3の前方から見た斜視図である。遊技盤設置凹部30は、正確には、図7及び図8に示すように、上辺部と開放側の一部に遊技盤4を収納しない前向きの鍔面部分があり、上辺部の鍔面部分には特に何も形成されていないが、開放側の鍔面部分には、施錠装置60の扉枠フック部61が貫通するフック用開口36が上中下の3箇所開設されている。つまり、開放側の鍔面部分の裏面に施錠装置60が固定されている(図4参照)。
しかして、遊技盤設置凹部30は、軸支側の内側面及び上記した上辺部及び開放側の鍔面部から後方へ周設される第1側面壁290と、該第1側面壁290から後方に周設される第2側面壁291と、該第2側面壁291から後方に周設される第3側面壁292と、該第3側面壁292から後方に周設される第4側面壁293、とにより、本体枠3の左右側辺及び上辺の後方部分が囲まれた凹状に形成されているものである。なお、第1側面壁290〜第4側面壁293は、背面から見て上辺及び右辺(軸支側の辺)が段差をもって後方に真っ直ぐに延長されるように形成されるのに対し、左辺(開放側の辺)が第1側面壁290から第4側面壁293に向かうにしたがって内側に傾斜する段差状(図5参照)に形成される。これは、左辺(開放側の辺)の第1側面壁290から第4側面壁293までを後方に真っ直ぐ形成したときに、本体枠3を開放する際に、第4側面壁293の最後端部が外枠2の側枠板の内面と当接してスムーズに開放できない場合があるため、開放側の第1側面壁290から第4側面壁293までが内側傾斜状とすることによりスムーズに開放することができるようにしたものである。それと同時に開放側の第1側面壁290に沿って施錠装置60が取り付けられるが、その取付けを第1側面壁290の後端辺に設けられる錠取付穴(図示外)を利用して行うため、その錠取付穴(図示外)を形成するためにも開放側の第1側面壁290から第4側面壁293を傾斜段差状に形成したものである。更に、第1側面壁290〜第4側面壁293の段差の寸法も、第1側面壁290と第2側面壁291との段差は、遊技盤4の裏面の周辺と当接する必要があるため、ある程度大きな段差をもって形成されるが、それ以外の段差は、極めて小さな段差となっている。
そして、上記した側面壁290〜293は、図7に示すように、それぞれ奥行き幅寸法d1,d2,d3,d4を有するように形成され、本実施形態の場合、d1+d2+d3+d4=約90mmとなっている。特に、第1側面壁290の幅寸法d1は、遊技盤4の厚みに相当し、残りの第2側面壁291と第3側面壁292と第4側面壁293とによって形成される空間に遊技盤4に設けられる各種の遊技装置の後方突出部分が収納されるようになっている。特に、本実施形態の場合には、次に説明するように、遊技盤4の周辺部に対応する位置まで第2側面壁291と第3側面壁292と第4側面壁293とによって形成される空間の大きさが確保されているので、例えば、遊技盤4のほぼ全域を占めるような演出表示装置115等が取り付けられている場合においても、そのような各種部品による後方突出部分を楽に収納することができるものである。
また、第4側面壁293の後端辺からは背面から見てその左辺、上辺及び右辺に、左後面壁294、上後面壁295及び右後面壁296がそれぞれ内側に向かって突設されている。右後面壁296は、その前面が平板状となっており、その後面に球通路ユニット52と球払出装置53とが着脱自在に取り付けられるようになっている。したがって、右後面壁296の内側への突出幅は、球通路ユニット52と球払出装置53とを取り付ける幅があれば充分である。また、上後面壁295は、その前面が平板状となっており、その後面にタンクレール部材51が取り付けられるため、その下端辺が傾斜状に形成されている。したがって、上後面壁295の内側への突出幅は、傾斜状に取り付けられるタンクレール部材51の高さ幅寸法があれば充分である。更に、右後面壁296には、その前面が平板状となっており、その後面にカバー体58を軸支するカバー体支持筒部280が形成されている。したがって、右後面壁296の内側への突出幅は、カバー体支持筒部280を形成する幅寸法があれば充分である。
上述したように、第4側面壁293の後端辺から内側に向かって突設される左後面壁294、上後面壁295及び右後面壁296の前面が平板状に形成され、この平板状部分が遊技盤4の周辺部に対応するものであるため、上記したように、遊技盤4の周辺部に対応する位置まで第2側面壁291と第3側面壁292と第4側面壁293とによって形成される空間の大きさが確保されているので、例えば、遊技盤4のほぼ全域を占めるような演出表示装置115等が取り付けられている場合においても、そのような各種部品による後方突出部分を楽に収納することができるものである。なお、左後面壁294、上後面壁295及び右後面壁296の内側は、後面開口70となっており、この後面開口70がカバー体58(図4参照)によって開閉自在に閉塞されるようになっている。
[扉枠について]
次に、上記した本体枠3の前面側に開閉自在に設けられる扉枠5について、図9乃至図11を参照して説明する。図9は、扉枠5の背面図であり、図10は、扉枠5の正面から見た分解斜視図であり、図11は、扉枠5の背面から見た分解斜視図である。
図9乃至図11に示すように、扉枠5は、方形状に形成される扉枠本体100の上部に縦長六角形状の遊技窓101が形成され、該遊技窓101の前面周囲に扉レンズユニット120が取り付けられ、また、遊技窓101の下方の板状部の前面に扉枠本体100に皿ユニット300が設けられ、その皿ユニット300の一側(開放側)にハンドルユニット318が突設固定されている。また、扉枠本体100の裏面には、遊技窓101の周囲に補強板金160が固定され、遊技窓101を閉塞するようにガラスユニット190が取り付けられると共に、前記遊技窓101の下方の板状部の裏面に、前記ハンドルユニット318に対応するスライドユニット230、装着台220、及び枠装飾中継端子板240がそれぞれ取り付けられている。なお、ガラスユニット190の裏面下部には、防犯機能を有する防犯カバー210も装着されている。
扉枠本体100は、合成樹脂によって額縁状に形成され、前述したように上方部に縦長六角形状の遊技窓101が形成され、その遊技窓101の下方が板状部となっている。遊技窓101の上部左右には、スピーカ144a,144bを貫通させる円形状のスピーカ用開口102が形成され、そのスピーカ用開口102の下方にガラスユニット190の止め片194を係止するための止めレバー108が回動自在に設けられている。
一方、遊技窓101の下方の板状部には、軸支側上部に皿ユニット300の賞球連絡樋431(図16及び図17参照)が貫通する賞球通過口103が開設され、その斜め中央寄りに側面開口蓋383(図16及び図17参照)を脱着するための蓋用開口105が開設され、その蓋用開口105の開放側の隣接する位置に球送りユニット226を装着するための球送り開口104が開設され、さらに球送り開口104のさらに開放側寄りに前記シリンダー錠62が貫通するための錠穴106が開設されている。また、球送り開口104の下方の板状部の裏面側にスライドユニット230を取り付けるためのスライドユニット装着凹部107が形成されている。同じく、下方の板状部の裏面側の遊技窓101の下部左右に、ガラスユニット190の掛止突片195を掛け止めるための係合受片(図示外)が形成され、その係合受片の側方に防犯カバー210の装着弾性片213が装着される装着開口部110が形成されている。また、板状部の前面中央には、前方に向って皿ユニット300の案内穴436(図17参照)に挿入される係合突起111が形成されている。更に、扉枠本体100の下辺は、後方に突出した扉枠突片112となっており、この扉枠突片112と本体枠3に形成される係合溝42,43(図1参照)とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における外側の突条及び係合部を構成するものである。
<扉レンズユニット>
次に、上記した扉枠本体100の前面側の上部に取り付けられる扉レンズユニット120の構成について主として図12乃至図14を参照して説明する。図12は、扉枠5の前面側に取り付けられる扉レンズユニット120の正面から見た分解斜視図であり、図13は、扉レンズユニット120のレンズカバー140と皿ユニット300に設けられるレンズカバー309との関係を示すパチンコ機1の正面斜視図であり、図14は、スピーカカバー146a,146b及び装飾部材149a,149bを構成する部材のうち、LEDに照射される部材を取り除いた場合の扉枠5の正面図である。
図12乃至図14に示すように、扉レンズユニット120は、前面側を反射面とするリフレクタ122,130a,130bと、該リフレクタ122,130a,130bの前面及び内側に取り付けられる冷陰極管132,134a,134b及びLED基板137,138a,138bと、前記リフレクタ122,130a,130bの前方を覆う光透過性のあるレンズカバー140と、該レンズカバー140に取り付けられるスピーカ144a,144bと、前記レンズカバー140のベースとなるレンズベース体121と、から構成されている。
レンズベース体121は、平面視で前方が円弧で後方が直線の後面が開放した内部中空の三角形状に合成樹脂によって形成され、その中空内部に冷陰極管132,134a,134bに高電圧の電流を供給するインバータ基板136が収納固定されている。また、レンズベース体121の前面及び底面に当接するように断面L字状の上リフレクタ122が取り付けられている。この上リフレクタ122は、白色に着色されたポリカーボネート樹脂で形成されており、この白色着色樹脂によって反射率を高めた表面を有するものとしている。つまり、上リフレクタ122の表面は、上冷陰極管132及びLED137aから発せられた光を反射する反射面となっている。次に説明する側方リフレクタ130a,130bも同様に白色に着色されたポリカーボネート樹脂で形成されている。ところで、上リフレクタ122の両端部に、上冷陰極管132の両端を支持するための電極支持部125が形成され、さらに上リフレクタ122の前面に適宜間隔を置いて上冷陰極管132を支持するために先端部がU字状に形成された陰極管支持片123が突設されている。これは、上冷陰極管132の中央が屈曲された「く」字状に屈曲して形成されているので、中央の屈曲部に応力がかかって破損しやすいため、両端の電極支持部125だけではなく適宜間隔を置いて陰極管支持片123で支持し、しかも、上冷陰極管132を陰極管支持片123に支持する際には、耐熱性ゴムパッキン(図示外)に挟んで上冷陰極管132が動かないように支持することにより、より破損し難い支持構造とすることができる。また、両端の電極支持部125は、上方が開放されていると共に、内側に向いている周壁に上冷陰極管132の端部を受け入れるように一辺が開口した電極挿入孔(図示外)が形成されており、この電極挿入孔に上冷陰極管132の配線が接続された端部に取り付けられた弾性変形し得るゴム製スリーブ133を開口部分の対面方向である上方から挿入し、その後、電極支持部125の上方から電極蓋127を嵌め込むことにより、上冷陰極管132を上リフレクタ122の前面に装着することができる。このように上リフレクタ122の両端部にゴム製スリーブ133を装着し、そのゴム製スリーブ133部分を電極支持部125の電極挿入孔(図示外)に遊嵌状態で支持させることにより、上冷陰極管132が衝撃等により振動しても、ゴム製スリーブ133がその振動を吸収する際に、上冷陰極管132の端部が電極支持部125の部分で揺動あるいは摺動して破壊応力が弱められるので、電極支持部125部分及び上冷陰極管132の屈曲部での上冷陰極管132の破損を防止することができる。なお、上リフレクタ122の左右端には、スピーカ144a,144bを貫通させるスピーカ貫通穴128a,128bが形成されている。
上記の上リフレクタ122の両端に側方リフレクタ130a,130bが垂下するように連結されている。この側方リフレクタ130a,130bも上リフレクタ122と同様に白色に着色されたポリカーボネート樹脂で形成されており、この白色着色樹脂によって反射率を高めた表面を有するものとしている。つまり、側方リフレクタ130a,130bの表面は、側方冷陰極管134a,134b及びLED138cから発せられた光を反射する反射面となっている。側方リフレクタ130a,130bの前方に取り付けられる側方冷陰極管134a,134bは、直線状のものであるため、その側方冷陰極管134a,134bを支持する電極支持部131a,131bが、側方リフレクタ130a,130bの上下端部の2箇所に形成されている。もちろん、電極支持部131a,131bに側方冷陰極管134a,134bが支持される際には、上冷陰極管132と電極支持部125との関係を同じように、側方冷陰極管134a,134bの端部にゴム製スリーブ135a,135bが装着され、そのゴム製スリーブ135a,135bが電極支持部131a,131bに当接して支持されるようになっている。これにより、側方冷陰極管134a,134bが振動しても破損し難い支持構造とすることができる。
上記した上リフレクタ122及び側方リフレクタ130a,130bの内側(遊技窓101を縁取る位置)には、多数のLEDが実装されたLED基板137,138a,138bが取り付けられている。このLED基板137,138a,138bに実装されるLED137a,138c(LED基板138a,138bに実装されるLEDを同じ符号の138cと表示する。)によって次に説明するレンズカバー140の内周面が装飾される。
上記したレンズベース体121と上冷陰極管132及び側方冷陰極管134a,134bが装着された上リフレクタ122及び側方リフレクタ130a,130bとは、レンズカバー140の裏面側に固定される。レンズカバー140は、前記レンズベース体121と上冷陰極管132が装着された上リフレクタ122に対応する上レンズカバー部141と、前記側方冷陰極管134a,134bが装着された側方リフレクタ130a,130bに対応する側方レンズカバー部142a,142bとが透過性の樹脂によって形成されている。より詳細に説明すると、上レンズカバー部141及び側方レンズカバー部142a,142bは、共に白色レンズ部として断面楔状の前方膨出部が合成樹脂で成形され、その白色レンズ部141,142a,142bの下部後端の遊技窓101を縁取る内側に着色の異なる合成樹脂で成形された赤色レンズ部(図示外)を連結して構成されるものである。そして、この赤色レンズ部(図示外)を前記上LED基板137及び側方LED基板138a,138bに直線状に実装される複数のLED137a,138cによって照明するものである。
ところで、上レンズカバー部141は、内部が空洞で後方が開放した断面楔状に形成されると共に平面視においてブーメラン形状に構成されるものであり、前述した「く」字状に形成される上冷陰極管132とその楔状の先端部内面との距離が近くなるように形成されている。そして、上レンズカバー部141の楔状先端部外側には、銀色に着色された先頭レンズ部141cが接着されており、上レンズカバー部141のほぼ全体に相当する断面楔状の前方膨出面を上冷陰極管132で照明している。また、側方レンズカバー部142a,142bは、内部が空洞で後方が開放して断面楔状に形成される点で上レンズカバー部141と同様であるが、側方視において楔状の突出量が上レンズカバー部141に比べて少なく、また全体としてなだらかな曲線を有するブーメラン形状に構成されるものであり、前述した直線状に形成される側方冷陰極管134a,134bとその楔状の先端部内面との距離が近くなるように形成されている。そして、側方レンズカバー部142a,142bの楔状先端部外側には、銀色に着色された先頭レンズ部142cが接着されており、側方レンズカバー部142a,142bのほぼ全体に相当する断面楔状の前方膨出面を側方冷陰極管134a,134bで照明している。
上記した実施形態においては、リフレクタ122,130a,130bによって区画される空間に配置される発光源として、冷陰極管132,134a,134bとLED137a,138cとし、それぞれに対応するレンズカバー141,142a,142bとして色彩の異なる合成樹脂で成形して連結しているので、レンズカバー141,142a,142bを冷陰極管132,134a,134bとLED137a,138cとによって好適に照射される構造及び色彩で成形することができるものである。もちろん、種類の異なる発光源として、冷陰極管132,134a,134bとLED137a,138cの組み合わせに限らず、両者ともLEDとして構成してもよい。
また、レンズカバー140の上レンズカバー部141と側方レンズカバー部142a,142bとの連結部分には、スピーカ144a,144bを取り付けるためのスピーカ取付穴143a,143bが穿設されている。スピーカ144a,144bは、スピーカコーン145aが前面に設けられるものであり、そのスピーカコーン145aを支持するコーン支持体を取付部材(図示しない)によってスピーカ取付穴143a,143bの裏面から取り付けるようになっている。また、スピーカ取付穴143a,143bの前面は、網目状カバー147a,147bがその前面に取り付けられたスピーカカバー146a,146bによって覆われている。このようにスピーカ144a,144bの前面は、網目状カバー147a,147b(パンチングメタル)を有するスピーカカバー146a,146bによって覆われている。
更に、レンズカバー140の側方レンズカバー部142a,142bの下方に装飾部材取付領域148a,148bが形成され、その装飾部材取付領域148a,148bに装飾部材149a,149bが取り付けられている。この装飾部材149a,149bは、上記したスピーカカバー146a,146bと類似した形状にして、レンズカバー140を扉枠本体100の表面に取り付けたときに、レンズカバー140の上部左右と下部左右とがバランスのとれた印象を与えるために取り付けられるものである。
ところで、上記したスピーカカバー146a,146b及び装飾部材149a,149bは、上記したように単にスピーカ144a,144bの前方を覆ったり、あるいはレンズカバー140の下部を装飾したりするだけではなく、その周囲がLEDで光装飾される構造となっている。この構造について説明する。まず、スピーカカバー146a,146bについて説明する。スピーカカバー146a,146bは、合成樹脂で平板状に成形されたカバーベース板151の裏面にLED基板152を密着させる一方、カバーベース板151の前方にスピーカ枠154を内蔵した状態で図示外のインナーレンズや前面レンズで覆い、前面を網目状カバー147a,147bで閉塞する構成となっている。
次に、装飾部材149a,149bについて説明する。装飾部材149a,149bは、合成樹脂で平板状に成形された装飾ベース板155の裏面にLED基板156を密着させる一方、装飾ベース板155の前方に装飾枠158を内蔵した状態で図示外のインナーレンズや装飾レンズで覆い、前面を装飾板159a,159bで閉塞する構成となっている。
以上、詳述したように、本実施形態に係るスピーカカバー146a,146b及び装飾部材149a,149bは、扉枠5の遊技窓101を囲む領域において、前述した冷陰極管132,134a,134b及びLED基板137,138a,138b(図22の枠装飾ランプ842に相当)による光装飾とは別に四隅を重点的に光装飾するように構成されているので、遊技窓101の下辺を除く全周が漫然と光によって装飾されるのではなく、強弱のある光装飾とすることができる。特に、扉枠5の左右上部における光装飾は、従来、スピーカだけが配置される傾向が強く、そのスピーカ周りの光装飾が行われないため遊技窓101の外周周りの光装飾に斑がある印象を与えていたが、本実施形態のように構成することにより、遊技窓101の下辺を除く全周を効果的に光装飾を行うことができるものである。
<補強板金>
次に、扉枠本体100の裏面側に取り付けられる補強板金160について、図10及び図11を参照して説明する。補強板金160は、図10及び図11に示すように、扉枠本体100の上辺部裏面に沿って取り付けられる上側補強板金161と、扉枠本体100の軸支側辺部裏面に沿って取り付けられる軸支側補強板金162と、扉枠本体100の開放側辺部裏面に沿って取り付けられる開放側補強板金163と、扉枠本体100の遊技窓101の下辺裏面に沿って取り付けられる下側補強板金164と、が相互にビス等で締着されて方形状に構成されるものである。
上側補強板金161は、所定幅を有して扉枠本体100の横幅寸法とほぼ同じ長さに形成され、その長辺の両端縁が後方に向って折曲した上折曲突片165、下折曲突片166となっている。この上折曲突片165及び下折曲突片166は、本体枠3の上部防犯二重溝33(図6参照)に嵌合されるものである。軸支側補強板金162も、所定幅を有して扉枠本体100の縦長寸法とほぼ同じ長さに形成され、その長辺の両端縁が後方に向って折曲されているが、内側の軸支側短折曲突片172は極めて短く、外側の折曲突片が折曲部から先がL字状に形成された軸支側L字状折曲突片167となっている。この軸支側L字状折曲突片167は、そのL字状に曲がった先端部が前述した本体枠3の軸支側の延設された軸支辺部49の内側に当接するようになっている。開放側補強板金163は、所定幅を有して扉枠本体100の縦長寸法とほぼ同じ長さに形成され、その長辺の両端縁が後方に向って折曲した開放側外折曲突片173、開放側内折曲突片174となっている。開放側外折曲突片173は、前述した本体枠3の側部防犯溝34(図6参照)に挿入されるものであり、開放側内折曲突片174は、本体枠3の防犯凹部35(図6参照)に挿入されるものである。また、開放側補強板金163の上部、中間部、下部に施錠装置60の扉枠フック部61が侵入しえるように係合開口175が形成され、その係合開口175の裏面側を覆うように扉枠フック部61が係合するフックカバー176が固定されている。下側補強板金164は、所定幅を有して扉枠本体100の横幅寸法とほぼ同じ長さに形成され、その長辺の両端縁のうち下方長辺端縁が後方に向って折曲した下折曲突片178となっており、上方長辺端縁の両側部が後方に向って折曲した上折曲突片179となっているものの、その両側部の上折曲突片179に挟まれる部分が垂直方向に延設される垂直折曲突片180となっている。この垂直折曲突片180は、その上端縁形状が後述するガラスユニット190のユニット枠191の下端形状に合致するように凹状に形成され、ガラスユニット190を扉枠5の裏面側に固定したときに、垂直折曲突片180の上端片がガラスユニット190のユニット枠191の幅方向のほぼ中央の外周に沿って形成される係合溝200に係合するようになっている。なお、下側補強板金164には、扉枠本体100に形成される賞球通過口103の底面を除く外周を保護する賞球通過口被覆部177が形成されている。
<ガラスユニット>
次に、扉枠5の裏面に取り付けられる透明板ユニットとしてのガラスユニット190について、図10及び図11を参照して説明する。ガラスユニット190は、図10及び図11に示すように、遊技窓101よりも大きな開口を有する合成樹脂で成型した環状の縦長八角形状のユニット枠191と、該ユニット枠191の開口の外周前後面に2枚の透明板としてのガラス板201(ガラス板でなくても透明な合成樹脂板でもよい。)を接着することにより構成されるものである。ユニット枠191の斜め上部左右には、止め片194が環状の外側に向かって突設形成され、下部左右には、掛止突片195が環状の外側に向かって突設形成されている。この止め片194と掛止突片195とは、前述したように、ガラスユニット190を扉枠5の裏面に取り付けるためのものである。また、本実施形態におけるガラスユニット190は、ユニット枠191の後端面の前記止め片194の上部であってスピーカ144a,144bの側方位置と、軸支側の中間位置に外側に向って突設される防犯用突出板部199をユニット枠191と一体的に形成している。
<防犯カバー>
次に、上記したガラスユニット190の下部裏面を被覆して遊技盤4への不正具の侵入を防ぐ防犯機能が付与された防犯カバー210について、図10及び図11を参照して説明する。防犯カバー210は、図10及び図11に示すように、透明な合成樹脂によって左右の補強板金162,163の間のガラスユニット190の下方部を覆うような平板状に形成され、その上辺部が遊技盤4の内レールユニット462の下方円弧面に沿った円弧状の当接凹部211として形成されていると共に、その当接凹部211に沿って後方に向って防犯後突片214が突設されている。また、防犯カバー210を取り付けた状態で軸支側裏面には、防犯後端部突片215が斜め状に突設形成されている。一方、防犯カバー210の前面には、防犯カバー210を取り付けた状態で前記ガラスユニット190のユニット枠191の下方形状に沿った防犯前突片212が突設されると共に、下部両端にU字状に形成される装着弾性片213が前方に向けて突設形成されている。
<装着台>
装着台220は、図10及び図11に示すように、扉枠本体100の板部裏面の上半分を覆うように取り付けられるものであり、防犯カバー210と同様に透明な合成樹脂によって前方が開放した横長直方体状に形成されるものである。この装着台220は、発射レール38から発射された球をスムーズに遊技盤4に導くために、扉枠5を閉めたときに装着台220の後面と板部32とによって発射レール38を挟持するように形成されるものであり、このため、装着台220の後面に球飛送誘導面227が形成されている。ところで、本実施形態に係る装着台220には、その軸支側上部に下側補強板金164に形成される賞球通過口被覆部の後方突出部を貫通させる賞球通過口用開口221が形成され、その開放側下部に球送りユニット226を取り付ける球送りユニット取付凹部222が形成されている。この球送りユニット取付凹部222から斜め方向の領域が前記球飛送誘導面227となっている。また、球送りユニット取付凹部222に取り付けられる球送りユニット226は、発射装置57の打球杆の往復動差に対応して揺動する球送り部材が設けられ、この球送り部材の揺動動作によって皿ユニット300の誘導通路部362の流下端にある球を発射レール38の発射位置に1個ずつ供給するものである。また、装着台220の中程下部に後述する側面開口蓋383を取り外す際に指を入れることができる蓋用開口223が形成されている。更に、装着台220の上辺の一部に垂直に立設される立壁224が形成されている。この立壁224は、前記防犯カバー210を取り付けたときに、該防犯カバー210の前面と当接して防犯カバー210の下部が前方に移動しないように規制するためのものである。
<枠装飾中継端子板>
上記した装着台220の下部の軸支側には、図10及び図11に示すように、枠装飾中継端子板240が取り付けられ、その枠装飾中継端子板240の後面を覆う中継基板カバー241が取り付けられている。この枠装飾中継端子板240は、扉枠5に設けられる電飾部品や電気部品(冷陰極管132,134a,134b、LED基板137,138a,138b、スピーカ144a,144b,341a,341b、ハンドルユニット318内に設けられるスイッチ、貸球ユニット324、操作ボタンユニット326等)からの配線が集約して接続され、その枠装飾中継端子板240からの配線が本体枠3の裏面に取り付けられる基板ユニット54に組み込まれる中継基板等を介して払出制御基板ボックス55の払出制御基板や遊技盤4に取り付けられる主制御基板ボックス25の主制御基板に接続されている。
<皿ユニット>
次に、図15乃至図17を参照して皿ユニット300の構成について説明する。図15は、扉枠5の前面に設けられる皿ユニット300の正面図であり、図16は、皿ユニット300の正面から見た分解斜視図であり、図17は、皿ユニット300の背面から見た分解斜視図である。
図16及び図17に示すように、皿ユニット300は、大きく分けて外観を構成するユニット枠301と、該ユニット枠301の内部に取り付けられる下部スピーカユニット330と、該下部スピーカユニット330の上部に配置され且つ前記ユニット枠301の上面に臨むように設けられる皿体360と、該皿体360に設けられる第2球抜弁375の球抜き動作をするための第2球抜リンクユニット400と、ユニット枠301の後面を閉塞する皿蓋体430と、から構成されている。そこで、まずユニット枠301について説明する。
図15乃至図17に示すように、ユニット枠301は、上面が手前側に向って緩やかに傾斜する平面視半楕円形状の上面カバー部302と、該上面カバー部302の手前側から連続して前面と底面とを構成する前面カバー部303と、が合成樹脂によって一体的に成形されている。上面カバー部302の奥側には、扉枠本体100の前面側に当接する垂直カバー部302aも一体的に形成されている。この垂直カバー部302aには、その中央に貸球ボタンユニット用開口323が開設され、この貸球ボタンユニット用開口323に貸球ユニット324が裏面側から装着し得るようになっている。貸球ユニット324は、パチンコ機1に隣接して球貸し機が設けられている場合に、貸出指令を導出するスイッチや貸出残表示器等が設けられるものである。
また、上面カバー部302の垂直カバー部302aの立ち上がり部から前方に皿体上面開口部305が開設され、その前方中央に操作ボタンユニット用凹空間部306が形成され、該操作ボタンユニット用凹空間部306から左右の上面カバー部302の前端部に沿ってLED装飾空間部307が穿設され、さらに皿体上面開口部305の側方に第1球抜ボタン313を取り付けるための第1球抜ボタン用開口313aが設けられている。上記した皿体上面開口部305には、皿体360の貯留部361及びこれに連通する誘導通路部362の上面開口と同一形状に形成され、ユニット枠301に皿体360を取り付けたときに、皿体上面開口部305に皿体360の貯留部361及び誘導通路部362が臨むようになっている。
上記した操作ボタンユニット用凹空間部306には、空間部形成部材310が取り付けられ、該空間部形成部材310に操作ボタンユニット326が装着されるようになっている。空間部形成部材310には、操作ボタンユニット326の係合突片(図示外)を係合するための係合穴312と、操作ボタンユニット326の固定ネジ穴(図示外)を止着するためのネジ止め部311と、さらに操作ボタンユニット326を空間部形成部材310内に差し込んだときに操作ボタンユニット326の底面に設けられるコネクタ(図示外)と接続される配線のコネクタ310aを収納する配線収納開口310bが形成されている。(一部削除)なお、操作ボタンユニット326は、複数(図示の場合は3個)の操作ボタン327を有して構成されているが、この複数の操作ボタン327は、遊技盤4に設けられる演出表示装置115等で行われる遊技内容に遊技者が参加する際に操作されるものである。
更に、第1球抜ボタン313は、上面カバー部302の第1球抜ボタン用開口313aに装着された摺動支持部材314を介して上面カバー部302に取り付けられるものであり、その摺動支持部材314内を上下方向に摺動するようになっている。そして、第1球抜ボタン313が遊技者によって押圧操作されると、該第1球抜ボタン313の下方に位置する回動部材366が回動軸367を中心にして時計回転方向に回動し、その回動部材366の下端に連携されるスライド弁365が移動する。スライド弁365は、常にはバネ369により付勢されて皿体360の誘導通路部362の下流端部を閉塞した位置にあるが、上記のように第1球抜ボタン313の操作により移動したときには、誘導通路部362から退避し、誘導通路部362と該誘導通路部362の下流側に連続する第1球抜通路部364とを連通させる。これにより皿体360の貯留部361及び誘導通路部362に貯留されていた球を皿体360から球抜きすることができる。この構造については、皿体360の説明の際にさらに詳述する。
次に、ユニット枠301の前面カバー部303の構成について説明する。前面カバー部303は、上記したように上面カバー部302の手前側から連続して前面と底面とを構成するように構成されているため、前面カバー部303の前面部分は、中央部分が最も前方に突出し左右に離れるほど奥側に傾斜している。しかして、前面カバー部303の前面部分の中央突出部の左右には、スピーカ用開口315a,315bが開設され、そのスピーカ用開口315a,315bが網目状のスピーカカバー316a,316b(パンチングメタル)によって被覆されている。そして、スピーカカバー316a,316bの後方には、下部スピーカユニット330に収納固定される2つのスピーカ341a,341bが位置することになる。なお、スピーカ用開口315a,315bは、前面カバー部303の前面中央の突出部から奥側に向って傾斜する傾斜状面に形成されるものであるから、正面から見た場合に、パチンコ機1の中心縦ラインから外側に向って開放していることになる。そして、前面カバー部303の前面中央の突出部からスピーカ用開口315a,315bの上部及び下部の開口縁までを縁取るように前面装飾板304が取り付けられている。
また、前面カバー部303の開放側端部下方にハンドルユニット318を取り付けるためのハンドル取付穴317が開設されている。ハンドルユニット318は、周知のように、打球の弾発力を調節するためのものであり、このため遊技者が操作し得る回動操作部材318aが設けられ、その回動操作部材318aを回動操作することにより、回動軸の後端に固定される係合カム319が回動する。そして、前述したように、係合カム319の回動運動をスライドユニット230のスライド係脱片231のスライド移動運動に変換することにより発射装置57の弾発力の強弱を調節することができるようになっている。
ここで、第2球抜リンクユニット400は、第2球抜ボタン401と、該第2球抜ボタン401が係止されて揺動する押圧揺動部材(図示外)と、該押圧揺動部材(図示外)の押圧動作を前記第2球抜弁375の球抜き揺動動作として伝達するためにリンク部材取付板(図示外)に取り付けられる第1リンク414及び第2リンク419と、から構成されている。
そして、前面カバー部303の中央下部には、第2球抜リンクユニット400の一部を構成する第2球抜ボタン401を臨ませるための第2球抜ボタン用開口320が開設されている。また、前面カバー部303の底面中央には、前記第1球抜ボタン313及び第2球抜ボタン401を操作したときに球抜きされた球を皿ユニット300の外部に排出するための球排出口322が形成され、その球排出口322の斜め前方に前記操作ボタンユニット326を取り付けるための締具挿入穴325が形成されている。なお、本実施形態において、第1球抜ボタン313と第2球抜ボタン401の2つの球抜ボタン313,401を設けたのは、第1球抜ボタン313の操作によって、皿体360の貯留部361及び誘導通路部362に貯留されているすべての球を球抜きすることができるものの、その球抜動作は、誘導通路部362で一列状に整列された球を球抜するために多少時間がかかるのに対し、第2球抜ボタン401の操作によって、皿体360の貯留部361から上流側の球を径の大きな第2球抜開口388から素早く球抜することができるため、球抜時間を短くすることができる。このため、遊技者が球抜きにかける時間の長短を選択することができるものである。また、遊技中に大当たりとなった場合に皿ユニット300に大量の球が払出されることになり、これを放置して遊技を継続すると皿ユニット300の上流側に設けられる受皿満タンスイッチ730(図22参照)が機能して払出動作が停止されたり弾発動作が停止されて大当たり中であるにもかかわらず遊技が継続できなくなるおそれがあり、このような場合に、第2球抜ボタン401の操作を行うことにより、皿ユニット300に貯留されつつある球を球抜すると同時に発射位置への球の供給を維持して大当たり中の遊技を継続することができるようになっている。
次に、皿ユニット300のユニット枠301の裏面を閉塞する皿蓋体430の構成について説明する。皿蓋体430は、ユニット枠301の裏面のほぼ全域を閉塞するように長方形状の平板として合成樹脂によって成形され、その前面側のほぼ中央に球抜通路後樋433が一体的に突設形成されている。球抜通路後樋433には、上下に球を前方に誘導する湾曲状の上誘導樋434と下誘導樋435とが形成され、皿蓋体430をユニット枠301の裏面に取り付けた状態において、下部スピーカユニット330のスピーカボックス本体331に形成される球抜通路前樋337と対面して皿内球抜通路を構成しているものである。このとき、球抜通路前樋337に形成される誘導樋338が球抜通路後樋433の上誘導樋434と下誘導樋435との間に位置するようになっているので、皿内球抜通路は蛇行状に形成されることとなり、球抜きされた球が勢いを弱めながら球排出口322から外部に排出されるようになっている。
また、皿蓋体430には、上記した球抜通路後樋433の上部側方に開口蓋取付窓432が開設され、また、一端側(軸支側)上部裏面に四角筒状の賞球連絡樋431が突設されている。賞球連絡樋431は、皿ユニット300を扉枠本体100の表面に取り付けたときに、扉枠本体100の軸支側下部に形成された賞球通過口103を貫通して扉枠本体100の裏面側にまで貫通するものであり、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態で本体枠3に形成される賞球通路の末端と重合状に対面するものである。また、開口蓋取付窓432は、皿体360の第2球抜通路部(図示外)の側壁開口(図示外)を閉塞する側面開口蓋383を着脱自在に取り付けるための開口であり、扉枠本体100に形成される蓋用開口105(図11及び図12参照)に対応する位置に設けられるものである。
[遊技盤について]
遊技盤4の構成について図18乃至図21を参照して説明する。図18は、遊技盤4の正面図であり、図19は、遊技盤4の正面から見た斜視図であり、図20は、遊技盤4の正面から見た分解斜視図であり、図21は、遊技盤4の背面から見た分解斜視図である。
図18乃至図21に示すように、本実施形態の遊技盤4は、遊技領域20と対応する大きさの透明な樹脂からなる板状の遊技パネル409と、透明パネル遊技パネル409を着脱可能に嵌合する樹脂からなる枠状のパネルホルダ540と、パネルホルダ540の前側に配置されパネルホルダ540と協働して遊技パネル409を挟持し、遊技領域20を区画形成すると共に遊技領域20内に遊技球を案内する外レールユニット472と内レールユニット462からなる案内レール482を備えた前構成部材680とを主に備えている。
また、遊技盤4には、パネルホルダ540の後面側で下端から所定高さまでの所定範囲内に配置される板状のパネル裏板504と、パネル裏板504の後面側に配置されると共に前側及び上側が開放された箱状で後側に周辺制御基板ボックス24及び主制御基板ボックス25等を支持可能な基板ホルダ505とを備えている。詳細には、基板ホルダ505には、周辺制御基板810(図22参照)が収納された周辺制御基板ボックス24が装着され、その周辺制御基板ボックス24の後側に重ね合わされた状態で、主制御基板710(図22参照)が収納された主制御基板ボックス25が装着されている。なお、図示しないが、基板ホルダ505は、基板ホルダ505の後側に支持された主制御基板ボックス25内の主制御基板等と電気的に接続され後方からスライド接続可能とされたドロワコネクタを支持するドロワコネクタホルダを更に備えている。
更に、遊技盤4には、パネルホルダ540の後面側に取付固定されると共に遊技パネル409との間で所定容積の空間を形成可能な枠状箱型の裏箱514を有する裏ユニット510と、裏箱514の後面側に支持され所定の演出画像を表示可能なLCDからなる演出表示装置115とを更に備えている。この演出表示装置115は、裏箱514の後面側に形成された開口部514aを閉鎖するように裏箱514に着脱可能に支持されている。
なお、この演出表示装置115の後側には、演出表示装置115等を制御する表示制御基板816(図22参照)を有する表示装置制御基板ボックス119が取付けられている。また、演出表示装置115は、従来のパチンコ機に用いられている演出表示装置と比較して、より大型のもの(例えば、5〜21インチ)が備えられている。
この遊技盤4における前構成部材680は、上述した通り遊技球を案内する外レールユニット472と内レールユニット462とからなる案内レール482を備えていると共に、外レールユニット472の上端と内レールユニット462の下端とを結ぶような円弧状の開口680aを備えており、この案内レール482と開口680aとによって正面視略円形状の遊技領域20が区画形成されるようになっている。そして、この案内レール482により、遊技球の発射装置57によって発射レール38に沿って発射された遊技球が、遊技領域20の上部に案内されるようになっている。
図6、図18及び図19に示すように、外レールユニット472は、その始端部に発射レール38の延長状に設けられたレール接続部材44に連接する接続通路部477が斜め状に形成されており、その接続通路部477に隣接してファール口473が形成されている。なお、衝止部476は、勢いよく外レールユニット472を滑走してきた打球が衝突したときに、その衝突した打球を遊技領域20の内側に反発させるようにゴムや合成樹脂の弾性体が設けられるものであり、逆流防止部材463は、一端発射されて遊技領域20の内側に取り入れられた打球が再度外レールユニット472に逆流しないように防止するものである。更に、外レールユニット472の下部一側には、金属製のレールの一部に沿うように防犯突起465(図6参照)が突設されている。この防犯突起465は、扉枠5が閉じられた状態で防犯カバー210に突設される防犯後端部突片215と上下方向に重複して本体枠3と扉枠5の軸支側の隙間の中程よりやや下方から挿入されるピアノ線等の不正具の侵入を防止するものである。
また、内レールユニット462の下部中央には、アウト口471が設けられ、そのアウト口471から逆流防止部材463までの内レールユニット462と外レールユニット472との間は、発射された打球が遊技領域20まで誘導される誘導通路を構成するものであるが、遊技領域20に到達せずに外レールユニット472を逆流した打球はファール口473に取り込まれて再度皿ユニット300の皿体360に排出されるようになっている。また、内レールユニット462のアウト口471から衝止部476に向かう途中の前構成部材680には、レール防犯溝464(図6参照)が形成されている。このレール防犯溝464は、扉枠5が閉じられた状態で防犯カバー210に突設される防犯後突片214の一部が侵入するように溝状に形成されており、このレール防犯溝464と防犯後突片214との凹凸係合により、上下方向に重複して本体枠3と扉枠5の開放側の隙間の中程よりやや下方から挿入されるピアノ線等の不正具の侵入を最終的に防止するものである。
ところで、遊技盤4の一側には、本体枠3に形成される盤位置決め突起37に嵌合する位置決め凹部466が形成され、遊技盤4の他側には、本体枠3に形成される盤止め具挿入穴(図示しない)に挿入される遊技盤止め具467が設けられている。遊技盤止め具467は、押し込み固定したときにその端部が盤止め具挿入穴に挿入されるようになっている。しかして、遊技盤4を本体枠3に固定するためには、本体枠3の前面側から位置決め凹部466が盤位置決め突起37に嵌合するように斜め方向から差し込んだ後、遊技盤4の全体を本体枠3の遊技盤設置凹部30に押し込み、その状態でフリーな状態となっている遊技盤止め具467を押し込み固定してその端部を盤止め具挿入穴に挿入して固定する。その後、本体枠3の板部32の前面上部に回動自在に設けられる遊技盤固定具46を回動して遊技盤4の下部前面を固定する。これによって遊技盤4を本体枠3に簡単に装着することができる。遊技盤4を取り外すには、上記の手順と逆の手順で取り外せばよい。ただし、図示の実施形態の場合には、遊技盤4の下方側の下端辺の一部を切り欠いて締結部469が形成されており、この締結部469と本体枠3の板部32に形成される締結穴41とを図示しない締結具で締結することにより、その締結具を切断しない限り遊技盤4を本体枠3から取り外せないようにすることも可能となっている。
また、遊技盤4の外形形状は、その上部左右に前記扉枠5の裏面に設けられるスピーカ144a,144bの後方突出部分を受け入れるようにスピーカ用切欠部468が形成され、また、ファール口473の側方斜め下に賞球を排出するための通路の一部が挿入される通路用切欠部478が形成されている。
さらに、遊技盤4の裏面下部には、基板ホルダ505が固定されている。この基板ホルダ505は、その前方に入賞球を集めるように空間部が形成され、その空間部の底面に落下口(図示しない)が形成されている。この落下口は、前記アウト口471の後面部分で合流して基板ユニット54に形成されるアウト球通路(図示しない)に連通するものである。また、基板ホルダ505には、その裏面に遊技動作を制御する周辺制御基板810(図22参照)を収納する周辺制御基板ボックス24および主制御基板710(図22参照)を収納する主制御基板ボックス25と、基板ユニット54に設けられる払出制御基板や電源基板等と接続するためのパネル中継端子板750(図22参照)と、が取り付けられている。
また、図20及び図21に示すように、前構成部材680には、その後面側に後方へ突出する複数の位置決め固定ボス680c及び位置決め突起680dが備えられている。これら位置決め固定ボス680c及び位置決め突起680dは、詳細は後述するが、後側に配置されるパネルホルダ540及び基板ホルダ505と位置決めできるようになっている。なお、内レールユニット462の後面側にも位置決め突起680dが複数備えられており、後述する遊技パネル409の内レール固定孔409dに嵌合固定されるようになっている。
遊技盤4における遊技パネル409は、その外形が遊技領域20よりも若干大きい多角形状とされており、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂等の透明な樹脂板により形成されている。なお、遊技パネル409の板厚は、パネルホルダ540よりも薄く、障害釘(図示外)を植設しても十分に保持可能な必要最低限の厚さ(8〜10mm)とされている。
この遊技パネル409には、上部の外周近傍に配置され前後方向に貫通する丸孔からなる複数の嵌合孔409aと、左右下部の外周近傍に配置され前後方向に貫通し上下方向に延びる長孔409bが夫々備えられている。これら嵌合孔409a及び長孔409bは、遊技領域20よりも外側に配置されており、パネルホルダ540との位置決めを行うものである。
また、遊技パネル409には、その上辺の両端と下辺の両端に、前側が窪んだ段状の係合段部409cが夫々備えられている。この係合段部409cは、遊技パネル409の板厚の略半分を切り欠いた形態とされると共に、嵌合孔409a及び長孔409bと同様に、遊技領域20によりも外側に配置されており、パネルホルダ540と遊技パネル409とを係合固定するためのものである。
更に、遊技パネル409には、所定位置に内レール固定孔409dが複数備えられている。この内レール固定孔409dに内レールユニット462の後側から突出する位置決め突起680dを嵌合固定させることで、内レールユニット462を所定の位置に固定することができるようになっている。
また、遊技パネル409には、図示しない障害釘を植設するための下孔(図示外)が、遊技パネル409を貫通するように穿設されており、この下孔(図示外)の内径は、障害釘の植設側の外径よりも若干小さい径とされている。この遊技パネル409には、下孔(図示外)が所定の位置に複数穿設されており、各下穴(図示外)に前面側から図示しない障害釘を、障害釘植設装置を用いて植設することで、多数の障害釘が所定のゲージ配列となるようになっている。
また、遊技パネル409の正面側には、多数の障害釘の他に、適宜位置に図示しない風車が配設されている。さらに、遊技パネル409には、案内レール78を備えた前構成部材680や枠状のセンター役物620等がビス止めにより固定されるように、所定形状の貫通する図示しない開口部409eが適宜形成されている。
なお、遊技パネル409を押出し成形された透明な樹脂板とした場合、遊技パネル409の上下方向を押出し方向に対して約45度傾けた方向となるように材料取りをしても良く、これにより、遊技パネル409の後方に配置された演出表示装置115のドットマトリックスが押出し成形により形成される複数の微細な成形痕と干渉して、モアレが発生するのを可及的に抑制することができ、モアレにより演出表示装置115に表示される演出画像が見辛くなるのを防止することができる。
続いて、遊技盤4におけるパネルホルダ540は、正面視において遊技パネル409を包含する大きさで外形が略四角形状とされ、従来のパチンコ機の遊技盤における木製合板からなる部材(例えば、遊技盤ベース等)の厚さと略同じ厚さ(本例では、約20mm)とされた熱可塑性樹脂からなるものである。このパネルホルダ540には、遊技パネル409が着脱可能に嵌合し前面側から後方側に向かって凹んだ嵌合段部540aと、嵌合段部540aの内側において略遊技領域20と同等の大きさで前後方向に貫通する貫通口540bとを主に備えている。
パネルホルダ540の嵌合段部540aは、前面からの深さが遊技パネル409の厚さと略同じ深さとされており、嵌合段部540aに嵌合された遊技パネル409の前面がパネルホルダ540の前面と略同一面となるようになっている。また、この嵌合段部540aは、その前側内周面が、遊技パネル409の外周面に対して所定量のクリアランス(図示外)が形成される大きさとされている。このクリアランスにより、温度変化や経時変化により相対的に遊技パネル409が伸縮しても、その伸縮を吸収できるようになっている。なお、クリアランス内にゴム等の弾性部材を詰めても良い。
また、パネルホルダ540には、遊技パネル409の係合段部409cと対応する位置に、係合段部409cと係合する被係合部が備えられている。詳述すると、パネルホルダ540下側の嵌合段部540aに配置された被係合部は、遊技パネル409における下側の係合段部409cと対応し、嵌合段部540aの前面との間に遊技パネル409の係合段部409cが挿入可能な大きさの所定の隙間を形成した状態で、パネルホルダ540の前面に沿って上側(中心側)に向かって所定量延びる係合突部540cが形成される。一方、パネルホルダ540上側の嵌合段部540aに配置された被係合部は、遊技パネル409における上側の係合段部409cと対応し、嵌合段部540aの前面から前方に向かって突出し係合段部409cと弾性係合する係合爪部540dとされている。この係合爪部540dは、その先端がパネルホルダ540の前面から突出しない大きさとされている。これら係合突部540c及び係合爪部540dに遊技パネル409の係合段部409cを係合させることで、パネルホルダ540は遊技パネル409を着脱可能に保持することができるようになっている。
更に、パネルホルダ540には、嵌合段部540aに嵌合支持される遊技パネル409に形成された嵌合孔409a及び長孔409bと対応する位置に配置され、嵌合段部540aの前面から前方に向かって延び、遊技パネル409の嵌合孔409a及び長孔409bに嵌合及び挿通可能な複数の突出ピン540eを備えている。これらの突出ピン540eを遊技パネル409の嵌合孔409a及び長孔409bに嵌合及び挿通することで、パネルホルダ540と遊技パネル409とを互いに位置決めすることができるようになっている。
また、パネルホルダ540には、前構成部材680に備えられた位置決めボス680cを挿通可能な前後方向に貫通するボス挿通孔540fを備えており、このボス挿通孔540fに前構成部材680の位置決めボス680cを挿通することで、パネルホルダ540と前構成部材680とが互いに位置決めされるようになっている。
このパネルホルダ540には、その後面側に、上下方向の中央やや下方より下側と外周縁を残すように前側に所定量窪んだ形態の取付支持部540gが備えられている。パネルホルダ540の後面は、取付支持部540gにより、下端より所定高さまでの所定範囲より上側で、後面側外周部が後方に突出したような状態で窪んだ形態となると共に、その窪み量(深さ)が、取付支持部540gに取付固定される裏箱514等の所定部材のフランジ状の固定部を収容できる深さ(本例では、約2.5mmとされており、1〜3mmの間とすることが望ましい)とされている。この取付支持部540gに所定の部材を取付固定することで、その固定部がパネルホルダ540よりも後側に突出するのを防止することができ、パネルホルダ540すなわち遊技盤4をパチンコ機1の本体枠3に確実に装着できるようになっている。
また、パネルホルダ540の後面側には、下端より所定高さまでの所定範囲内で取付支持部540gが形成された位置より下側に形成され、前側に向かって窪みパネル裏板504を収容可能な収容凹部540hと、この収容凹部540h内に前後方向に貫通するように配置されパネル裏板504に形成された係止爪504cを係止可能な係止部(図示外)とを更に備えている。この収容凹部540hは、パネル裏板504の係止爪504cをこの係止部(図示外)に係止させることでパネル裏板504を着脱可能に収容すると共に、収容されたパネル裏板504の後面が、パネルホルダ540の後面と略同一面となるように形成されている。
次に、遊技盤4のセンター役物620は、各種装飾体や入賞口などが形成されて、遊技領域20に配置される役物であり、遊技パネル409の正面側から取付けられるようになっている。詳細には、先述のように遊技パネル409にはセンター役物620を取り付けるための開口部409eが適宜形成されており、センター役物620は遊技パネル409の正面側から各開口部409eに嵌め込まれたのちにビス止め等で固定される。
センター役物620は、額縁状の枠状装飾体622を主構成とし、この枠状装飾体622の中央に形成された開口部621を通して後方に配置された演出表示装置115が視認できるようになっている。ただし、この開口部621には、枠状装飾体622の背面全体を被覆するように透明樹脂製の透明板621aが形成されている。そのため、遊技盤4の正面側からは、開口部621(透明板621a)を介して背後の演出表示装置115が視認できる一方で、この開口部621(透明板621a)を介して遊技球がセンター役物620の背後に進入できないようになっている。
なお、センター役物620が遊技パネル409に取付けられた状態では、遊技パネル409と透明板621aとが略同一平面を形成する(略面一となる)。そのため、遊技盤4では、遊技パネル409が配置される位置(遊技パネル409と透明板621aとで形成される平面位置)を越えて光は奥方向または手前方向に透過することができる一方で、遊技球は遊技パネル409が配置される位置(遊技パネル409と透明板621aとで形成される平面位置)を越えて奥方向に侵入することが原則として防止される。
次に、遊技盤4の裏ユニット510は、その後側に演出表示装置115が着脱可能に取付けられるようになっている。具体的には、裏ユニット510には、裏箱514における略矩形状に形成された開口部514aの内周で、上下に延びる一方側(背面視で左側)に上下に離反して形成される二つの着脱溝516と、着脱溝516とは左右方向反対側(背面視で右側)で裏箱514の後面に配置され着脱レバーを有した着脱機構518とを備えている。
一方、演出表示装置115は、その外形が略矩形状に形成されており、左右一方の側面(背面視左側の側面)で上下方向に互いに離反した位置に形成され、外方に向かって突出する二つの着脱突起116と、着脱突起116が形成された側面とは反対側の他方の側面(背面視右側の側面)で上下方向の略中央に形成され、外方に向かって突出する着脱係止部118とを備えている。これら、着脱突起116および着脱係止部118は、裏ユニット510の着脱溝516および着脱機構518と対応するように形成されて、演出表示装置115が裏ユニット510に着脱可能に構成される。
さらに、この裏ユニット510には、後述する回転振分役物や装飾役物が設けられている。また、裏ユニット510の正面側には、後述する複数の電飾部品や発光体が配設されている。そして、これらの役物や電飾部品等に接続されて駆動を制御するランプ駆動基板850(図22参照)を収容したランプ駆動基板ボックス508が、裏ユニット510の背面下部に配設されている。
次に、遊技盤4のパネル裏板504は、パネルホルダ540の後面側で下端から所定高さまでの所定範囲内の肉抜き部を覆うように配置されると共に、パネルホルダ540の収容凹部540hに後面同士が略同一面となるように収容可能とされる。また、遊技盤4の基板ホルダ505は、パネル裏板504の後面側に配置されると共に前側及び上側が開放された箱状とされる。この基板ホルダ505は、遊技領域20内に打ち込まれた遊技球を収集して遊技球排出口(図示外)から下方へ排出することができるようになっている。
基板ホルダ505には、その前面側の所定位置に、前構成部材680の位置決めボス680cと嵌合する筒状の固定ボス505eを備えており、この固定ボス505eを、前構成部材680との間にパネルホルダ540を挟んだ状態で、前構成部材680の位置決めボス680cと嵌合させると共に、基板ホルダ505の後方から固定ボス505eを貫通する貫通孔505fを通して所定のビスを前構成部材680の位置決めボス680cにねじ込むことで、前構成部材680、パネルホルダ540、及び基板ホルダ505を固定できるようになっている。
更に、この基板ホルダ505には、その前面下部に、前構成部材680のファール口473と連通する開口受部505gを備えている。この開口受部505gは、アウト口471とは異なる位置で基板ホルダ505の下側に遊技球を誘導できるようになっており、基板ホルダ505内部に受けられた「死球」と、遊技球を遊技領域20内へ打ち込む際に、打ち損じた遊技球とを区別できるようになっている。
なお、本例では、前構成部材680の一部を除き、遊技パネル409、パネルホルダ540、パネル裏板504、及び基板ホルダ505が、熱可塑性樹脂により形成されており、それらの部材がリサイクルできるようになっている。なお、樹脂としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、等とすることができ、熱可塑性樹脂の他に、機能や用途に応じて適宜熱硬化性樹脂を用いても良い。また、遊技パネル409以外に、前構成部材680やパネルホルダ540、及びパネル裏板504等にも、透明な樹脂を用いても良い。
更に、少なくとも遊技パネル409を透明部材により構成するようにしており、従来のパチンコ機1のように遊技盤4に開口部を備えなくても、遊技パネル409を通して遊技盤4の後方に配置された演出表示装置115を視認することができるので、遊技領域20における実際に遊技球が流下可能な領域を可及的に広くすることができ、遊技球に種々の動きをさせて遊技者の興趣が低下するのを防止することができる。また、遊技領域20が形成される遊技パネル409を透明部材により構成するようにしているので、遊技パネル409の後方に配置したものを遊技者に視認させることができ、例えば、遊技パネル409の後方に、遊技領域20全体に広がる大型の演出表示装置115を配置してこれまでにない大型の演出画像を表示したり、種々の演出用や装飾用の役物を奥行き方向に配置してこれまでに無い奥行感のある遊技盤4の構成としたりすることができ、遊技者の関心を引き付けられる訴求力の高いパチンコ機1とすることができる。
<センター役物について>
次に、遊技パネル409の正面側から配設されるセンター役物620について説明する。まず、図18及び図19に示すように、遊技領域20の中央部には、枠状のセンター役物620が配置されている。このセンター役物620は、遊技領域20の幅方向のうち5分の4以上の幅を占める大きさである。センター役物620は略長方形の開口部621を有している。また、センター役物620は枠状装飾体622を有しており、この枠状装飾体622は、開口部621の開口縁に沿って設けられている。
そして、演出表示装置115が、正面視でこの開口部621を介して視認可能となるように、開口部621を閉塞するように配置された透明板621aの後方に配置されている。つまり、センター役物620の内側(すなわち、開口部621)は、遊技領域20のうちで演出表示装置115が表出される画像表示領域20aである。そして、このセンター役物620によって遊技領域20が、先述の画像表示領域20aと、遊技球が主に流下する球流下領域20bとに仕切られる構成をなす。なお、画像表示領域20aに遊技球が進入するのは、原則として、遊技球が後述するワープ通路550,650を経由した場合のみである。
かかる構成により、開口部621内に多数の遊技球が進入してしまい、当該遊技球によって背後の演出表示装置115が視認困難となる事態が防止される。特に本実施形態では従来よりも大型の演出表示装置115を採用しているにも拘らず、画像表示領域20aが演出表示装置115に表示される各種演出を視認しやすい良好な状態に保ち、遊技者が演出表示装置115に表示される各種演出を確実に視認することができるようにしている。
なお、遊技パネル409において、センター役物620は前構成部材680と接触しないように配置されており、遊技領域20に打ち込まれた遊技球はセンター役物620の右側方または左側方を経由してセンター役物620の下方に設けられたアウト口471に向かって流下する。本実施形態では、センター役物620(詳細には、枠状装飾体622)の上方から時計回り方向に右下方に延びる正面視円弧状の側壁が、前構成部材680の内周壁との間に遊技球が1つのみ通過可能な隙間が形成される程度に近接している。そのため、遊技領域20に打ち込まれた遊技球の多くは、後述する第2始動口602や通過ゲート612などが配設されている遊技領域20の左側方を流下することになる。一方、遊技領域20に打ち込まれた遊技球のうち、発射装置57により大きな弾発力で打ち込まれた一部が遊技領域20の右側方を一球ずつ流下可能である。
センター役物620の下方には、遊技領域20に向けて打ち込まれた遊技球を受入れ可能な第1始動口600が配置されている。第1始動口600の下方には、一対の可動片606を有する第3始動口604(第2始動口については後述する)が配置されている。第3始動口604は、一対の可動片606が閉状態であるときは遊技球を受入れることが不可能または受入れ困難となっており、この一対の可動片606が開状態であるときは、第1始動口600よりも遊技球の受入れが容易となる。
第1始動口600とアウト口471との間、具体的には第3始動口604の下方であって且つアウト口471の上方(本実施形態では直上)には、大当たり遊技用開閉装置500が設けられている。この大当たり遊技用開閉装置500は、大当たり遊技用大入賞口500aと、この大当たり遊技用大入賞口500aに対応して設けられた大当たり遊技用大入賞口開閉扉500bとを有している。大当たり遊技用大入賞口500aは、遊技球の受入れが可能な開口部である。大当たり遊技用大入賞口開閉扉500bは、大当たり遊技用大入賞口500aを、遊技球の受入れが可能な開状態と遊技球の受入れが不可能または困難にする閉状態とに切り換えるための部材である。なお、大当たり遊技用大入賞口500aが閉状態であるとき、遊技領域20に向けて打ち込まれた遊技球の受け入れが必ずしも不可能であることに限定されるものではなく困難、好ましくは極めて困難であっても良い。
第1始動口600の左側には、遊技球が通過可能な通過ゲート612が設けられている。また、通過ゲート612よりも若干下方における第3始動口604の左右両側には、三つの一般入賞口614が設けられている。
遊技球の流下方向について最も下流側には、各始動口600,602,604、大当たり遊技用開閉装置500および一般入賞口614のいずれにも入賞しなかった遊技球を遊技盤4の背後に排出するアウト口471が形成されている。即ち、遊技球の流下方向についてアウト口471よりも上流側に設けられた各始動口600,602,604、大当たり遊技用開閉装置500および一般入賞口614のいずれにも入賞しなかった遊技球は、このアウト口471に向けて流下する。
大当たり遊技用開閉装置500はアウト口471の直上に配置されている。これにより、大当たり遊技用開閉装置500の開閉動作中は、各始動口600,602,604、大当たり遊技用開閉装置500および一般入賞口614のいずれにも入賞しなかった遊技球が大当たり遊技用開閉装置500の近傍に集まってくるので入賞の期待感をもつことができる。
センター役物620の右下には、複数のLEDから構成されるLED表示領域80が形成されている。このLED表示領域80には、後述する第1特別図柄抽選手段900による抽選結果を表示する第1特別図柄表示器84、第2特別図柄抽選手段910による抽選結果を表示する第2特別図柄表示器86、第1特別図柄抽選手段900による抽選の保留数を表示する第1特別図柄保留表示器88および第2特別図柄抽選手段910による抽選の保留数を表示する第2特別図柄保留表示器90が設けられている。また、LED表示領域80には、普通図柄抽選手段920による抽選結果を表示する普通図柄表示器82と、普通図柄抽選手段920による抽選の保留数を表示する普通図柄保留表示器92とが設けられている。これらの表示器は、後述するRAM713に格納された制御データに基づいて後述の主制御基板710によって順次実行される遊技の進行にかかる複数の処理がそれぞれ機能していることが認識可能とされる主制御機能診断表示器とも言えるものである。
これらの各表示器82,84,86,88,90,92は、例えばLEDで構成されており、このLEDの点灯態様によって、第1特別図柄抽選手段900による抽選結果、第2特別図柄抽選手段910による抽選結果、普通図柄抽選手段920による抽選結果、第1特別図柄抽選手段900による抽選の保留数、第2特別図柄抽選手段910による抽選の保留数および普通図柄抽選手段920による抽選の保留数が報知される。
なお、「抽選の保留数」とは、本実施形態によれば、当否判定用乱数を取得するものの当該取得した当否判定用乱数が当たりであるか否かの判定の保留数を意味するが、これに限られず、当否判定用乱数の取得を保留し、当該取得を保留した当否判定用乱数の保留数であっても良い。
また、第1特別図柄保留表示器88および第2特別図柄保留表示器90には、抽選の保留数の表示に代えて、抽選結果の表示の保留数であっても良い。即ち、当否判定用乱数を取得し且つ当該取得した当否判定用乱数の当否を判定するものの、当該判定結果を第1特別図柄表示器84または第2特別図柄表示器86に表示することを保留し、かかる保留数を表示しても良い。
また、センター役物620は、枠状装飾体622の下枠付近に、棚状のステージ660を有している。また、枠状装飾体622の左枠の上下方向の略中央付近(即ち、枠状装飾体622の側方)には、遊技領域20を流下する遊技球を第1ステージ660まで誘導するためのステージ誘導路である第1ワープ通路650に受入れ可能な第1ワープ入口652が設けられている。また、第1ワープ入口652に受入れられた遊技球は、第1ワープ出口654から排出されて第1ステージ660に導かれる。すなわち、遊技領域20を流下する遊技球が第1ワープ入口652に進入すると、当該遊技球は第1ワープ通路650を経由してセンター役物620の内部に設けられた第1ステージ660に搬送されるように構成されている。
この第1ワープ入口652は、遊技領域20を流下する遊技球の流下方向について、第2始動口602よりも下方に設けられている。そして、第1ワープ入口652の下方には、第1ワープ入口652に遊技球を誘導するワープ誘導片658が設けられている。このワープ誘導片658は、枠状装飾体622から左方(即ち、センター役物620から遊技領域20)に向けて突出して、第1ワープ入口652に遊技球が導かれ易くなっている。従って、遊技球が第2始動口602に導かれなかった場合であっても、第1ワープ入口652に当該遊技球が受入れられる期待感が高まり、興趣が高められる。
第1ステージ660には、第1ワープ出口側端部666から第1ワープ反出口側端部668にかけて波状に形成された曲面が形成されている。詳しくは、上方向に膨らんだ山部662がステージ660の左右方向の略中央部に形成されており、この山部662の左右両側には、山部662と連続的に連なった谷部664が形成されている。
なお、山部662の高さは、第1ワープ出口側端部666および第1ワープ反出口側端部668よりも低い位置となっている。これにより、第1ワープ出口654から排出された遊技球は、山部662を乗り越えることができ、第1ワープ出口側端部666と第1ワープ反出口側端部668との間を往復して転動することができる。
これにより、第1ワープ通路650における遊技球の流下方向と第1ステージ660における遊技球の転動方向とが略同一線上にあるので、第1ワープ通路650を流下した遊技球は、運動エネルギーの損失が少ない。即ち、第1ワープ通路650を流下した遊技球がその進行方向を変えられると運動エネルギーが損失してしまう。従って、第1ワープ通路650を流下した遊技球は、第1ステージ660上を勢い良く転動する。また、本実施形態において、第1ステージ660には、センター役物620の右側からは遊技球が導かれない。即ち、第1ステージ660にはセンター役物620の左側からのみ遊技球が導かれるので、第1ステージ660上を転動する遊技球が、反対方向から導かれた遊技球によって転動を阻害されることがない。そのため、遊技球が第1ステージ660上を勢い良く転動して第1ステージ660に滞在する時間が長くなり、その結果、第1ステージ660において遊技球が遊ぶこととなり興趣が高められる。
また、第1ステージ660の山部662には、第1始動口600に遊技球を導くために手前側に下方傾斜した案内溝が形成されている。従って、第1ステージ660上を転動している遊技球が山部662付近で転動する勢いがなくなったとき、この案内溝によって第1始動口600に当該遊技球が導かれ易くなる。一方、第1ステージ660の谷部664には、第1始動口600の側方に遊技球を導くために手前側に下方傾斜した案内溝が形成されている。従って、第1ステージ660上を転動している遊技球が谷部664付近で転動する勢いがなくなったとき、この案内溝によって第1始動口600に当該遊技球が比較的導かれ易くなる。従って、遊技球が第2始動口602に導かれなかった場合であっても、第1始動口600に当該遊技球が受入れられる期待感が高まり、興趣が高められる。
<裏ユニットについて>
次に、遊技パネル409の背面側に配設される裏ユニット510について説明する。先述のように、遊技パネル409の背面側には、演出表示装置115が中央に配置された裏ユニット510が取付けられており、遊技盤4の正面側からはセンター役物620の開口部621を介して演出表示装置115及び裏ユニット510が視認可能となっている。
図18乃至図21に示すように、裏ユニット510は、裏箱514の開口部514aにおける底壁付近に、棚状の第2ステージ560が形成されている。また、裏箱514の開口部514aにおける左側壁には、第2始動口602に入賞した遊技球を第2ステージ560まで誘導するためのステージ誘導路である第2ワープ通路550が設けられている。また、第2始動口602に受入れられた遊技球は、第2ワープ出口554から排出されて第2ステージ560に導かれる。すなわち、遊技領域20を流下する遊技球が第2始動口602に進入すると、当該遊技球は第2ワープ通路550を経由して裏箱514の内側(すなわち、開口部514aの底壁)に設けられた第2ステージ560に搬送されるように構成されている。
なお、第2始動口602に受入れられた遊技球は、裏ユニット510の前面側(すなわち、遊技パネル409の背後)に設けられた第2ワープ通路550内を流下するところ、この第2ワープ通路550は透明部材として構成されている。そのため、遊技者は、同じく透明な遊技パネル409を介して、当該遊技パネル409と裏ユニット510との間隙をを流下する遊技球を視認可能である。よって、遊技者は第2始動口602に受入れられた遊技球が第2ステージ560に搬送される様子を観察でき、興趣が高められることになる。
この第2ステージ560には、遊技盤4の左右方向を長手軸線方向とし、かつ、左右両端に向けて縮径するような棒状体をなす回転振分役物580が設置されている。そして、第2ステージ560は、回転振分役物580の手前側における左右方向の略中間位置の高さが、第2ワープ出口側端部566および第2ワープ反出口側端部568よりも低くなるように傾斜がつけられている。そのため、第2ステージ560に案内された遊技球は、第2ステージ560における回転振分役物580の手前側(前ステージ560a)で、第2ワープ出口側端部666と第2ワープ反出口側端部668との間を往復して転動することができる。
第2ステージ560に設けられた回転振分役物580は、遊技盤4の左右方向を軸線中心として手前側から奥側に一方向に回転する。この回転振分役物580の左右方向の略中心部分である磁着部580aには、図示しない磁性体が内部に設けられており、遊技球はこの磁性体の磁力によって磁着部580aに着接可能である。すなわち、第2ステージ560の前ステージ560aを転動する遊技球は、回転振分役物580の磁着部580a近傍で転動する勢いを失うと、磁力によって当該磁着部580aに着接されることになる。
また、第2ステージ560における回転振分役物580の背後側(後ステージ560b)には、その左右方向の略中央に遊技球を受入可能な特殊受入口562が、回転振分役物580に隣接して形成されている。また、特殊受入口562の左右側方には、通常受入口564が回転振分役物580に隣接して各々形成されている。そして、回転振分役物580の磁着部580aに着接した遊技球は、回転振分役物580の回転に伴って第2ステージ560の奥側に搬送されて、特殊受入口562及び通常受入口564のいずれかに振分けられるようにして受け入れられる。
このように、第2始動口602に入賞した遊技球を用いて、第2ステージ560において回転振分役物580による振分動作を行うことで、第2始動口602に遊技球が入賞した以上の喜びと優越感と遊技者にを与えることが可能である。さらに、本実施形態では、特殊受入口562に遊技球が受け入れられると一定のポイントが遊技者に付与されて、そのポイントの累積が特定値以上となった場合には、遊技者に所定の特典が付与される(例えば、通常は表示されない特殊な演出が表示される等)。そのため、第2始動口602に遊技球が入賞すると、遊技者はその遊技球が特殊受入口562に受け入れられるか否かをハラハラドキドキしながら注視することになるため、遊技の興趣を高めることができる。
なお、第2ステージ560の後ステージ560bでは、左右方向の略中間位置の高さが第2ワープ出口側端部666および第2ワープ反出口側端部668よりも高くなるように傾斜がつけられている。そのため、回転振分役物580の磁着部580aに着接した遊技球が、特殊受入口562及び通常受入口564のいずれにも受け入れられなかった場合は、当該遊技球は後ステージ560b上を第2ワープ出口側端部666または第2ワープ反出口側端部668に向けて転動したのち、再び前ステージ560aに案内される。そのため、第2ステージ560に供給された遊技球は、必ず特殊受入口562及び通常受入口564のいずれかに受け入れられることになる。
一方、裏箱514の開口部514aにおける上壁付近には、未確認飛行物体(所謂、UFO)を模した装飾体である円盤状役物590が設けられており、その本体部591には複数の電飾部材が設けられている。詳細には、本体部591の底面側には、下方に突出した半球状の下電飾体592が3つ設けられており、本体部591の正面側には、円形窓を模した2つの上電飾体594が設けられており、下電飾体592と上電飾体594との間に左右に延びるライン状の中電飾体596が設けられている。
円盤状役物590の本体部591の内部には、各電飾体592,594,596にそれぞれ対応して、発光源としてのLEDを有するLED基板(図示外)を背後に有している。これらの電飾体592,594,596の駆動も、裏ユニット510に備えられたランプ駆動基板ボックス508に収容されるランプ駆動基板850(図22参照)により制御される。
なお、裏箱514の開口部514aは、上方に向けて一部が突出するように形成されており、この突出部位に円盤状役物590が嵌め込まれている。そのため、遊技盤4を正面からみると、円盤状役物590のうちで下電飾体592のみが演出表示装置115の表示可能領域と重複している。このように、比較的大きな体積を有する円盤状役物590を裏ユニット510に設けても、当該円盤状役物590が演出表示装置115の表示可能領域と重複する範囲が狭いので、円盤状役物590によって演出表示装置115が視認しづらくなることが防止される。
ところで、裏ユニット510には、遊技球を振分ける演出を行なうための第2ステージ560や回転振分役物580や、遊技盤4を装飾する大型の円盤状役物590などを備えており、更には、裏ユニット510には通常よりも大型の演出表示装置115が取付けられるため、遊技盤4の後方突出部分が必然的に大きくなってしまう。しかしながら、本実施形態では、先述した本体枠3の遊技盤設置凹部30による遊技盤4の取付け構造によって、遊技盤4の後方突出部分を楽に収納することができる。そのため、遊技盤4は遊技パネル409の正面側のみならず背面側にも様々な部品や形状などを採用することができ、遊技盤4をより多様で奥行きのある構造とすることができる。
<遊技盤の電飾部材とその発光態様について>
遊技盤4には複数の電飾部品や発光体が配設されており、これらの電飾部品等の駆動も裏ユニット510に備えられたランプ駆動基板ボックス508に収容されるランプ駆動基板850(図23参照)により制御される。以下、これらの電飾部品のうちで主要なものについて、詳細に説明する。なお、遊技盤4に設けられた電飾部品や発光体が、図22のセンター装飾ランプ853に相当する。
まず、図18及び図19に示すように、センター役物620には、正面視で略羽根型をなす羽根型装飾体630が複数形成されている。複数の羽根型装飾体630は、センター役物620の枠状装飾体622における上方から時計回り方向に右下にかけて、正面視で演出表示装置115の外縁から遊技盤4の外周に向けて若干湾曲しながら延びるように(すなわち、放射状に)、略均等間隔で形成されている。なお、各羽根型装飾体630は、その延設方向(遊技盤4の外周に向けた方向)に向かうに従って正面視で徐々に幅広となるような羽根型形状をなす。
また、センター役物620の枠状装飾体622の左側部には、当該枠状装飾体622から突設された羽根型装飾体632が形成されている。この羽根型装飾体632は、正面視で演出表示装置115の左側縁から内レールユニット462に接合される位置まで、若干湾曲しながら延びるように形成されている。なお、羽根型装飾体632も、先述の羽根型装飾体630と同様に、その延設方向(遊技盤4の外周に向けた方向)に向かうに従って正面視で徐々に幅広となるような羽根型形状をなす。
ただし、複数の羽根型装飾体630は、遊技球が流下しない枠状装飾体622の内側領域(すなわち、画像表示領域20a)に形成されるのに対し、羽根型装飾体632は、遊技球が流下する枠状装飾体622の外側領域(すなわち、球流下領域20b)に突設される。そのため、球流下領域20bに設けられた羽根型装飾体632は、その背後を遊技球が通過可能とするため、遊技パネル407との間に遊技球の直径よりも若干大きい間隔が形成されるように、枠状装飾体622から内レールユニット462に対して架設されている。さらに、羽根型装飾体632には、複数の羽根型装飾体630とは異なり、背後を流下する遊技球を視認可能とするために、スリット状の窓部632aが形成されている。
一方、裏ユニット510にも、正面視で略羽根型をなす羽根型装飾体530を複数形成されている。複数の羽根型装飾体530は、裏箱514の開口部514aにおける左下から時計回り方向に上方にかけて、正面視で演出表示装置115の外縁から遊技盤4の外周に向けて若干湾曲しながら延びるように(すなわち、放射状に)、略均等間隔で形成されている。なお、各羽根型装飾体530は、センター役物620の羽根型装飾体630,632と同様に、その延設方向(遊技盤4の外周に向けた方向)に向かうに従って正面視で幅広となるような羽根型形状をなす。
そして、裏ユニット510の正面側には、正面視で先述の羽根型装飾体630,632と対応する位置に、発光源としての複数のLEDを有するLED基板535(図20参照)が設けられている。言い換えれば、センター役物620の羽根型装飾体630,632の背後には、遊技パネル409を介してLED基板535が各々設けられている。そして、各羽根型装飾体630,632は、各々の背後に有するLED基板535の駆動により、正面視で各羽根型装飾体630,632の外縁部分が白色で発光する。
同様に、裏ユニット510においては、複数の羽根型装飾体530の背後にもLED基板535が設けられている。そして、各羽根型装飾体530は、各々の背後に有するLED基板535の駆動により、正面視で各羽根型装飾体530の外縁部分が白色で発光する。
ここで、羽根型装飾体530は裏ユニット510に設けられる一方、羽根型装飾体630,632はセンター役物620に設けられている。しかしながら、遊技盤4を正面から見ると、羽根型装飾体530,630,632は、演出表示装置115の外縁から遊技盤4の外郭に向けて放射状に延びる一連の装飾部材をなす。そして、羽根型装飾体530,630,632が各々対応するLED基板535の駆動により発光すると、演出表示装置115から遊技盤4の外郭方向に放射状に光が延びるような演出がなされる。これにより、演出表示装置115がその表示可能領域を越えて遊技盤4の外郭に向けて発光したかのような印象(すなわち、演出表示装置115から外側に向けて発光表示が延びるような印象)を与えるとともに、演出表示装置115の表示可能領域が一時的に大きくなったような錯覚を与えることができる。
さらに、裏ユニット510には、正面視で3つ目状のライト状装飾体520が複数形成されている。これらのライト状装飾体520は、1つの青色レンズ体と、当該青色レンズ体を隣接した2つの赤色レンズ体とを一組として構成される。なお、ライト状装飾体520において、青色レンズ体及び赤色レンズ体は円形をなすとともに、赤色レンズ体は青色レンズ体よりも小径をなす。
複数のライト状装飾体520は、裏ユニット510の開口部514aの全周を取り囲むように、裏ユニット510の正面側に略均等な間隔で配置される。そして、各ライト状装飾体520の背後には、3つのレンズ体(1つの青色レンズ体及び2つの赤色レンズ体)の各々に対応するLEDを備えたLED基板(図示外)が設けられている。このLED基板(図示外)の駆動により、各ライト状装飾体520は赤色レンズ体または青色レンズ体を介して発光する。
このように、本実施形態では、遊技盤4における後方側(遊技パネル409の背後)に設けられる裏ユニット510に各種電飾部材(特に、複数のライト状装飾体520)を具備して、当該電飾部材が遊技盤4における正面側に光を投射するようにした。さらに、遊技パネル409や透明板621aを透明樹脂製にするなど、遊技盤4を構成する主要部品の多くを光透過部材とした。そのため、複数のライト状装飾体520などの電飾部材により、正面視で遊技盤4の全体がライトアップされるような印象を与えて、遊技盤4の奥行きが深いことが強く強調される。
より具体的には、複数のライト状装飾体520のうちで青色レンズ体のみを発光させると、各ライト状装飾体520の青色発光によって、遊技パネル409や透明板621a等を介して、裏ユニット510のみならずセンター役物620や前構成部材680等も青色に照らし出される。一方、複数のライト状装飾体520のうちで赤色レンズ体のみを発光させると、各ライト状装飾体520の赤色発光によって、遊技パネル409や透明板621a等を介して、裏ユニット510のみならずセンター役物620や前構成部材680等も赤色に照らし出される。つまり、遊技盤4の奥行きが深いことを利用して、各ライト状装飾体520が遊技盤4の奥側から手前方向に光照射することで、遊技盤4の全体が照らし出されるように発光装飾することができる。これにより、遊技者に視覚上の強いインパクトを与えるのみならず、遊技盤4の奥行きの深さを体感させるに留まらず、遊技盤4の奥行きが実際よりも深く見えるような印象を与えることができる。
なお、各ライト状装飾体520のうちで青色レンズ体と赤色レンズ体とを同時に発光させると、遊技盤4から所定距離離間した遊技者からは、当該ライト状装飾体520がピンク色に発光しているように把握される。そのため、各ライト状装飾体520の発光によって、裏ユニット510のみならず、遊技パネル409を介してセンター役物620や前構成部材680もピンク色に照らし出すように見せることも可能である。
ここで、本実施形態では、演出表示装置115に表示される装飾図柄が、赤色,青色,ピンク色のいずれかで表されている。つまり、赤色,青色,ピンク色の3色は、本実施形態にかかるパチンコ機1を象徴するイメージカラーといえる。そして、ライト状装飾体520による赤色,青色,ピンク色の発光制御は、パチンコ機1のイメージカラーを遊技者に強い印象付ける効果も有するものである。
ところで、従来のパチンコ機では、扉枠に形成される遊技窓(ガラスユニット)が、遊技盤の遊技領域に合わせて略円形状に形成されるのが通常である。しかしながら、本実施形態では、扉枠5に形成される遊技窓101(ガラスユニット190)は、正面視で遊技領域20を大きく越えて遊技盤4の略全体を包含するような大きさを有する縦長略八角形状に形成されている。すなわち、遊技窓101(ガラスユニット190)が従来と比べて面積が極めて大きい。これにより、遊技者は、本実施形態のパチンコ機1が有する奥行きの深さをより強く体感できるとともに、遊技盤4の奥側から各種電飾部材から照射される光がパチンコ機1の正面側に表出しやすい(すなわち、遊技者の視覚に発光態様が把握されやすい)ようにすることができる。
さらに、本実施形態にかかるパチンコ機1では、遊技盤4が配置される奥行きが深いため、パチンコ機1の外部から遊技領域20に光が進入しにくい。そのため、演出表示装置115や各種電飾部材が駆動していない状態では、従来のパチンコ機よりも遊技領域20が暗い状態となる。そして、演出表示装置115や各種電飾部材が、外部からの光によって照らし出され難い遊技盤4の奥側に位置している。
このことから、演出表示装置115や各種電飾部材は、パチンコ機1の外部から進入する光によって遊技者がその表示態様や発光態様を視認することが妨げられるような事態が防止される。つまり、演出表示装置115や各種電飾部材は、比較的暗い状態に保たれる遊技盤4の奥側で表示又は発光することになるため、遊技者は演出表示装置115における画像表示や各種電飾部材の発光態様を視認しやすい。
さらに、パチンコ機1の外部からの光の進入を遮断する構造を利用して、演出表示装置115や各種電飾部材を意図的に暗くすることで、従来の遊技機よりも遊技領域20を暗い状態とすることができる。そして、この意図的に暗くされた遊技領域20を用いて、あたかも当該遊技領域20が宇宙空間やコンサート会場であるかのような印象を遊技者に与えることができる。例えば、この遊技領域20において、円盤状役物680をライトアップしたり発光させたりすることで、宇宙空間を浮遊するUFOを擬似的に演出することも可能である。そして、この遊技領域20では、演出表示装置115における画像表示や各種電飾部材の発光態様を利用して、より多様な演出を実現することができる。
さらに、本実施形態に係るパチンコ機1は、先述のように扉枠5において遊技窓101の下辺を除く全周を効果的に光装飾を行うことができるものである。従来のパチンコ機1においては、光装飾される範囲は主として遊技領域20に限られるのに対して、本実施形態のパチンコ機1を正面視すると遊技領域20および扉枠5を含めて光装飾される範囲が極めて大きい。言い換えれば、本実施形態のパチンコ機1では、従来の遊技機ではなしえなかった光装飾の平面的な広がりを実現することができる。
これに加えて、本実施形態のパチンコ機1では、遊技盤4の奥側から電飾部材による光装飾を行なうことによって、従来にない光装飾による奥行き感を実現している。つまり、光装飾による平面的な広がりと奥行き感とが相まって、遊技者はあたかも光装飾に包まれるかのような印象を受けることとなり、従来にない興趣を体感しつつ一層遊技に集中することができる。
さらに、遊技盤4の奥側から電飾部材による光装飾を行なうことにより、遊技領域20を流下する遊技球がその光によって照らし出されることになる。これにより、遊技領域20を流下する遊技球が浮遊しているかのような印象を遊技者に与えることができる。さらに、遊技球を照らし出す光が当該遊技球の表面で乱反射するため、遊技球における色彩に複雑な多様性をもたせることができ、遊技者に対して遊技球があたかも宇宙空間を流れる流星であるかのようなイメージを与えることができる。
[主基板および周辺基板の制御的な構成について]
次に、パチンコ機1の主基板および周辺基板の制御的な構成について図22および図23を参照して説明する。
図22は、制御構成を概略的に示すブロック図であって、主基板500周辺の構成を主として示した図である。図23は、制御構成を概略的に示すブロック図であって、周辺基板600周辺の構成を主として示した図である。なお、これらの図面において太線の矢印は電源の接続および方向を示し、細線の矢印は信号の接続および方向を示している。
本実施形態のパチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板500のグループ(図22に示す)と、周辺基板600のグループ(図23に示す)とで分担されている。主基板500のグループは遊技動作(入賞検出、乱数取得および当たり判定、特別図柄表示、賞球払出等)を制御しており、周辺基板600のグループは演出動作(発行装飾や音響出力、液晶表示および装飾体の動作等)を制御している。
図22に示すように、主基板700は、主制御基板710と払出制御基板720とから構成されている。主制御基板710は、中央演算装置としてのCPU711、読み出し専用メモリとしてのROM712および読み書き可能メモリとしてのRAM713を備えている。
CPU711は、ROM712に格納されている制御プログラムを実行することによりパチンコ機1で行われる各種遊技を制御したり、周辺基板800や払出制御基板720に出力するコマンド信号を作成したりする。
RAM713には、主制御基板710で実行される種々の処理において生成される各種データや入力信号等の情報が一時的に記憶される。
なお、主基板700は、電源基板395に接続されており、電源基板395から作動用電力が供給されるようになっている。具体的には、電源基板395から払出制御基板720に作動用電力が供給され、当該払出制御基板720を介して主制御基板710に作動用電力が供給される。
この主制御基板710の入力インタフェースには、パネル中継端子板750を介して、第1始動口600への入賞状態を検出する第1始動口センサ780、第2始動口602への入賞状態を検出する第2始動口センサ782、第3始動口604への入賞状態を検出する第3始動口センサ784、通過ゲート612を遊技球が通過したことを検出するゲートセンサ760および一般入賞口614に遊技球が入賞したことを検出する一般入賞口センサ762が接続されている。
さらに、主制御基板710の入力インタフェースには、パネル中継端子板750に接続された開閉装置中継端子板754を介して開閉装置カウントセンサ776が接続されている。
上記各センサからの検出信号は主制御基板710に入力されるようになっている。
一方、パネル中継端子板750の出力インタフェースには図柄制限抵抗基板766を介して普通図柄・特別図柄表示基板768が接続されている。これにより、主制御基板710は、普通図柄表示器82、第1特別図柄表示器84および第2特別図柄表示器86への駆動信号を出力することが可能となっている。
また、開閉装置中継端子板754の出力インタフェースには普通電動役物ソレノイド774と開閉装置開閉ソレノイド778とが接続されており、主制御基板710から、普通電動役物ソレノイド774および開閉装置開閉ソレノイド778に向けて駆動信号が出力される。なお、普通電動役物ソレノイド774は第3始動口604の上方に設けられた一対の可動片606を駆動するものであり、大当たり遊技用開閉装置開閉ソレノイド778は大当たり遊技用開閉装置500(より具体的には大当たり遊技用大入賞口開閉扉500b)を駆動するものである。
一方、払出制御基板720は、中央演算装置としてのCPU722、読み出し専用メモリとしてのROM724および読み書き可能メモリとしてのRAM726を備えている。
そして、払出制御基板720は、主制御基板710から入力したコマンド信号を処理し、球払出装置53や、発射ハンドルおよび発射モータ等から構成される発射装置57に対して、駆動信号を出力する。これにより、球払出装置53は、駆動信号に従って遊技球を払い出し、発射装置57は駆動信号に従って遊技球を発射させることが可能になる。
また、払出制御基板720の入力インタフェースには、本体枠3の前枠体(図示外)の開放状態を検出する内枠開放スイッチ736および扉枠5の開放状態を検出する扉開放スイッチ738も接続されている。
なお、主制御基板710と払出制御基板720との間では、それぞれの入出力インタフェースを介して双方向通信が実施されており、たとえば主制御基板710が賞球コマンドを送信すると、これに応えて払出制御基板720から主制御基板710にACK信号が返される。
また、払出制御基板720には、皿体360に貯えられる遊技球が満タンになったことを検出する受皿満タンスイッチ730も接続されており、この検出に基づいて、「遊技球を皿体360から取り出して下さい」旨の報知がなされる。
また、主制御基板710および払出制御基板720には外部端子板56が接続されている。各始動口600,602,604への入賞状態、普通図柄・特別図柄の変動状態および抽選結果に基づく遊技状態等の各種情報は、この外部端子板56を介して、遊技施設に設けられたホールコンピュータ等へ出力される。
一方、周辺基板800は、図23に示すように、周辺制御基板810と表示装置制御基板816とから構成されている。なお、上記の主制御基板710と周辺制御基板810との間では、それぞれの出力インタフェースと入力インタフェースとの間で一方向だけの通信が行われている。即ち、主制御基板710から周辺制御基板810へのコマンド送信はあっても、周辺制御基板810から主制御基板710へのコマンド送信は行われない。また、周辺基板800に供給される作動用電力は、主制御基板710を介して供給される。
周辺制御基板810もまた、CPU811、ROM812およびRAM813等の電子部品を有しており、これらの電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することが可能となっている。
また、周辺制御基板810には、効果音や楽曲等演出音の基となる音源を記憶したROM819と、このROM819に記憶された音源を基に演出内容等に応じた効果音や楽曲等の演出音を出力する音源IC818と、が設けられている。
なお、周辺制御基板810と表示装置制御基板816との間では、それぞれの入出力インタフェースとの間で双方向に通信が行われる。
一方、表示装置制御基板816には、演出表示装置115としての液晶表示器(LCD)が接続されている。この表示装置制御基板816は、周辺制御基板810から送信されたコマンド信号を処理し、演出表示装置115に対して駆動信号を出力する。なお、表示装置制御基板816には、CPU832、RAM834、ROM836、VDP838および画像ROM839が備えられている。
CPU832は、周辺制御基板810から送られてきたコマンド信号を入出力インタフェースを介して受信するとともに、そのコマンドを基に演算処理を行って、VDP838の制御を行う。
RAM834は、CPU832の作業領域を提供すると共に、表示コマンドに含まれる情報を一時的に記憶する。また、ROM836は、CPU832用(表示制御用)のプログラムを保持する。
VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)838は、演出表示装置115に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する描画回路である。VDP838の内部には、レジスタが設けられており、VDP838の動作モードや各種表示機能の設定情報等を保持しておくことが可能となっている。そして、このレジスタに保持される各種情報をCPU832が書き換えることにより、演出表示装置115における表示態様を種々変化させることが可能となる。
画像ROM839は、各種の画像データを記憶する不揮発性メモリであり、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データおよび背景画像用のJPEG形式画像データ等が記憶されている。
また、周辺制御基板810には、ランプ駆動基板850および枠装飾中継端子板240が接続されている。
ランプ駆動基板850の出力インタフェースには、パネル装飾ランプ852およびセンター装飾ランプ853が接続されている。これにより、ランプ駆動基板850は、これらの各ランプの点灯状態を切り替えることが可能となっている。さらに、ランプ駆動基板850の入力インタフェースには、遊技盤5の後方側に排出された遊技球(即ちアウト球)を検出する排出口検出センサ854が接続されている。
また、周辺制御基板810に接続された枠装飾中継端子板240には、扉枠5に接続されたスピーカ144,341、操作ボタン327および枠装飾ランプ842等が接続されており、周辺制御基板810には、操作ボタン327の操作状態に基づいて演出表示装置115に出力される演出態様を切り替えると共に、スピーカ144,341や枠装飾ランプ842に対して駆動信号を出力する。
[主制御基板および周辺制御基板の機能的な構成について]
次に、パチンコ機1の主基板700を構成する主制御基板710および周辺基板800を構成する周辺制御基板810の機能的な構成について図24を参照して説明する。
図24は、主制御基板710および周辺制御基板810の機能的な構成を概略的に示す機能ブロック図である。
図24に示すように、主制御基板710は、遊技状態制御手段934と、第1特別図柄抽選手段900と、第1特別図柄表示制御手段702と、第1特別図柄保留表示制御手段930と、第1特別図柄保留カウンタ903と、第2特別図柄抽選手段910と、第2特別図柄表示制御手段704と、第2特別図柄保留表示制御手段932と、第2特別図柄保留カウンタ913と、保留順記憶手段940と、当否判定用乱数記憶領域5131と、処理領域5132と、大当たり遊技実行手段715と、小当たり遊技実行手段714と、開閉動作制御手段938と、普通図柄抽選手段920と、普通図柄表示制御手段716と、普通図柄保留表示制御手段718と、普通図柄保留カウンタ923と、可動片開閉制御手段928と、コマンド送信手段946と、を備えている。
遊技状態制御手段934は、パチンコ機1の遊技状態がいずれの遊技状態であるかを判断し、当該判断した遊技状態に基づいて遊技状態を制御する。
本実施形態では、パチンコ機1の遊技状態として、パチンコ機1の外観から遊技の状態を把握可能な外部遊技状態として、外部通常遊技状態(ノーマル遊技状態)およびこの外部通常遊技状態よりも遊技者に有利となる外部有利遊技状態(チャンス遊技状態)のいずれかの遊技状態に制御される。
外部通常遊技状態は、後述の開放延長機能が作動しない遊技状態であって、一対の可動片606が後述の促進態様に制御されない遊技状態である。即ち、後述するが、一対の可動片606は、普通図柄抽選手段920による抽選処理において当選したことを契機として開閉動作するものであり、これによって上記第3始動口604への遊技球の入賞確率を高めるものであるが、当該可動片606が動作するときの動作態様としては、第1の動作態様と、該第1の動作態様よりも遊技者に有利な第2の動作態様(促進態様)とが用意されている。そしてこのうち、外部通常遊技状態では、上記可動片606が動作するときの動作態様として上記第1の動作態様が採用されることとなる。なお、この第1の動作態様とは、上記第3始動口604への遊技球の入賞が促進され難い態様のことであり、例えば、第3始動口604が閉状態に維持される態様、または、第3始動口604が閉状態に維持される場合と比べて遊技球の入賞に影響を与えない程度に一対の可動片606が開放動作する態様(即ち、可動片606が開閉動作したとしても第3始動口604への入賞頻度が閉状態に維持される場合とほぼ同等である態様)である。「遊技球の入賞に影響を与えない程度に」とは、一対の可動片606が開閉動作したとしても第3始動口604への入賞頻度が閉状態に維持される場合と殆ど同等であること、即ち、一対の可動片606が開放動作したとしても第3始動口604への遊技球の入賞が大きくは促進されないことを意味する。
一方、外部有利遊技状態は、後述の開放延長機能が作動する遊技状態であって、一対の可動片606が動作するときの動作態様として上記第2の動作態様(促進態様)が採用される遊技状態である。ここで、「促進態様」とは、第3始動口604への遊技球の入賞が促進される態様であって、例えば一対の可動片606の開放時間としてより長い時間が採用される態様のことである。すなわち、「促進態様」とは、普通図柄抽選手段920による抽選における当選確率のアップ、普通図柄抽選手段920による抽選時間の短縮(普通図柄の変動時間の短縮)および一対の可動片606の開放時間アップ等が相当する。ただし、これら三つの態様のうち、いずれか一つまたは二つのみを行うことによって促進態様としても良く、三つ全てを行うことによって促進態様としても良い。
また、パチンコ機1の遊技状態は、外観から把握することが困難な内部的に制御される遊技状態もある。本実施形態では、後述の確変機能(所謂確率変動機能)が作動する遊技状態と当該確変機能が作動しない遊技状態とがそれに相当する。
確変機能が作動しない場合、第1特別図柄抽選手段900または第2特別図柄抽選手段910によって、大当たりに当選する確率が所定の低確率(第1の確率)で抽選処理が行われる。一方、確変機能が作動する場合、第1特別図柄抽選手段900または第2特別図柄抽選手段910によって、大当たりに当選する確率が第1の確率よりも少なくとも2倍以上の確率(本実施形態では第1の確率(当選確率A)に対して10倍とされた第2の確率(当選確率B))で抽選処理が行われる。このように、確変機能が作動する場合に、確変機能が作動しない場合と比べて大当たりへの当選確率を少なくとも2倍以上とするのは、確変機能が作動したときに、確変機能が作動しない場合と比べて特別図柄の変動回数が少ない段階で大当たりに当選しうるようにすることで、興趣の低下の抑制を図るためである。
本実施形態では、開放延長機能および確変機能の両方とも作動しない遊技状態を「外部通常遊技状態A」と称し、開放延長機能は作動しないけれども確変機能が作動する遊技状態を「外部通常遊技状態B」と称し、開放延長機能は作動するけれども確変機能が作動しない遊技状態を「外部有利遊技状態A」と称し、開放延長機能および確変機能の両方とも作動する遊技状態を「外部有利遊技状態B」と称する。なお、上述の「外部通常遊技状態」は、「外部通常遊技状態A」および「外部通常遊技状態B」の両方を含む意味であり、上述の「外部有利遊技状態」は、「外部有利遊技状態A」および「外部有利遊技状態B」の両方を含む意味である。
なお、本実施形態のパチンコ機1は、遊技者が、外部通常遊技状態Aと外部通常遊技状態Bとを区別することはできず、同様に、外部有利遊技状態Aと外部有利遊技状態Bとの区別もできないようになっている。従って、遊技者は、外部有利遊技状態であれば自己に有利な遊技状態であると判断し、外部通常遊技状態であれば自己に有利でない遊技状態であると判断することとなる。
また、いずれかの遊技状態から遊技者にとってより有利な遊技状態への変更は、条件装置が作動した場合にのみ行われる。なお、上記4つの遊技状態(外部通常遊技状態A、外部通常遊技状態B、外部有利遊技状態A、外部有利遊技状態B)のうち、遊技者にとって最も有利な遊技状態は外部有利遊技状態Bであり、遊技者にとっても最も不利な遊技状態は外部通常遊技状態Aである。従って、外部通常遊技状態Aから他の遊技状態(外部通常遊技状態B、外部有利遊技状態Aおよび外部有利遊技状態B)への変更、外部有利遊技状態Aから外部有利遊技状態Bへの変更等は、条件装置が作動しない限り行われない。
第1特別図柄抽選手段900は、遊技球が第1始動口600への入賞に基づいて第1始動口センサ780により検出されると、0〜652の乱数幅で発生する当否判定用乱数のうち一つの乱数を、第1特別図柄当否判定用乱数取得手段902により取得する。この取得した乱数は当否判定用乱数記憶領域5131に記憶されると共に、当該取得した乱数の数は、第1特別図柄保留カウンタ903によって第1所定数(例えば4個)まで保留される。そして、第1特別図柄保留カウンタ903による保留が解除されると、取得された順に当否判定用乱数記憶領域5131に記憶される乱数が処理領域5132に移され、第1特別図柄当否判定手段904によって大当たりまたは小当たりに当選したか否かが判定される。
第1特別図柄当否判定手段904による当否判定は、外部通常遊技状態Aまたは外部有利遊技状態Aであれば、第1特別図柄当否判定用乱数取得手段902によって取得された乱数値と第1通常特図判定テーブル906とに基づいて行われるように、遊技状態制御手段934によって制御される。本実施形態では19および457が大当たり乱数(大当たり当選と判定される乱数)なので、先ずは、第1特別図柄当否判定用乱数取得手段702により取得した乱数値がこれらの大当たり乱数であるか否かが判定され、大当たり乱数であれば大当たり遊技実行手段715によって大当たり遊技が実行される。
一方、外部通常遊技状態Bまたは外部有利遊技状態Bであれば、第1特別図柄当否判定手段904による当否判定は、第1特別図柄当否判定用乱数取得手段902によって取得された乱数値と第1確変特図判定テーブル908とに基づいて行われるように、遊技状態制御手段934によって制御される。本実施形態では19、41、71、97、101、137、167、181、191、199、233、263、277、331、353、373、419、457、499および509が大当たり乱数なので、先ずは、第1特別図柄当否判定用乱数取得手段902により取得した乱数値がこれらの大当たり乱数であるか否かが判定され、大当たり乱数であれば大当たり遊技実行手段715によって大当たり遊技が実行される。
第2特別図柄抽選手段910は、遊技球が第2始動口602または第3始動口604への入賞に基づいて第2始動口センサ782または第3始動口センサ784により検出されると、遊技球が第1始動口600に入賞したときと同様に0〜652の乱数幅で発生する特別図柄当否判定用の乱数のうち一つの乱数を、第2特別図柄当否判定用乱数取得手段912により取得する。この取得した乱数は当否判定用乱数記憶領域5131に記憶されると共に、当該取得した乱数の数は、第2特別図柄保留カウンタ913によって第2所定数(例えば4個)まで保留される。そして、第2特別図柄保留カウンタ913による保留が解除されると、取得された順に当否判定用乱数記憶領域5131に記憶される乱数が処理領域5132に移され、第2特別図柄当否判定手段914によって大当たりまたは小当たりに当選したか否かが判定される。
第2特別図柄当否判定手段914による当否判定は、外部通常遊技状態Aまたは外部有利遊技状態Aであれば、第2特別図柄当否判定用乱数取得手段912によって取得された乱数値と第2通常特図判定テーブル907とに基づいて行われるように、遊技状態制御手段934によって制御される。なお、第2通常特図判定テーブル907に記憶されている大当たり乱数は、第1通常特図判定テーブル906に記憶されている大当たり乱数と同じである。
一方、外部通常遊技状態Bまたは外部有利遊技状態Bであれば、第2特別図柄当否判定手段914による当否判定は、第2特別図柄当否判定用乱数取得手段912によって取得された乱数値と第2確変特図判定テーブル909とに基づいて行われるように、遊技状態制御手段934によって制御される。なお、第2確変特図判定テーブル909に記憶されている大当たり乱数は、第1確変特図判定テーブル908に記憶されている大当たり乱数と同じである。
なお、大当たり遊技が実行されているとき、たとえ第1始動口600に遊技球が入賞しても当否判定は行われずに、取得した当否判定用乱数が当否判定用乱数記憶領域5131に記憶されると共に第1特別図柄保留カウンタ903のカウンタ値がカウントアップされる。また、第1通常特図判定テーブル906、第2通常特図判定テーブル907、第1確変特図判定テーブル908および第2確変特図判定テーブル909は、いずれもROM712(図22参照)に記憶されている。
このように、第1特別図柄当否決定手段904による当たり判定と第2特別図柄当否決定手段914による当たり判定とでは、異なるテーブルが用いられる。このように、各始動口600,602,604のうちいずれの始動口に入賞するかで抽選処理を異ならせることによって、遊技内容のバリエーションを増やすことが可能となり、興趣の低下を抑制できる。
なお、当否判定用乱数記憶領域5131は、特別図柄抽選手段毎の抽選順序(即ち第1特別図柄抽選手段900による抽選順序および第2特別図柄抽選手段910による抽選順序)を、それぞれ記憶しているものの、両者を併合した抽選順序(即ち各始動口センサ780,782,784によって遊技球が検出された順序)は記憶していない。各始動口センサ780,782,784によって遊技球が検出された順序(即ち第1特別図柄当否判定用乱数取得手段902または第2特別図柄当否判定用乱数取得手段912によって乱数が取得された順序)は、保留順記憶手段940によって記憶される。従って、保留順記憶手段940によって記憶された順序に基づいて、第1特別図柄抽選手段900(詳細には第1特別図柄当否判定手段904)または第2特別図柄抽選手段910(詳細には第2特別図柄当否判定手段914)によって、取得された乱数の当否判定が一つずつ行われることとなる(一つの乱数ずつ当否判定を行う)。
ところで、第1特別図柄当否決定手段904または第2特別図柄当否決定手段914による当否判定の結果が大当たりと判定されると、図示しない図柄乱数取得手段によって、0〜99の乱数幅で発生する図柄乱数のうち一つの乱数が取得される。そして、この取得された乱数値が、39〜68であれば第1長開放大当たりと判定され、76〜99であれば第2長開放大当たりと判定され、3〜38であれば第3長開放大当たりと判定され、0〜2であれば第1短開放大当たりと判定され、69〜75であれば第2短開放大当たりと判定される。当該判定された大当たりの種類が、第1長開放大当たり、第2長開放大当たりまたは第3長開放大当たりである場合には長開放大当たり遊技実行手段715aによって、大当たりに当選した旨を示す演出画像が演出表示装置(演出画像表示装置)115の表示面に表示される状況のもとで大当たり遊技用開閉装置(開閉装置)500を開閉動作させる長開放大当たり(遊技者に対する定量の遊技球の払い出しが促される大当たり遊技)が実行される。一方、第1短開放大当たりまたは第2短開放大当たりである場合には、短開放大当たり遊技実行手段715bによって、大当たりに当選した旨を示す演出画像が演出表示装置(演出画像表示装置)115の表示面に表示されない状況のもとで大当たり遊技用開閉装置(開閉装置)500を開閉動作させる短開放大当たり(遊技者に対する定量の遊技球の払い出しが促されない大当たり遊技)が実行される。すなわち、大当たりについての抽選処理は、第1特別図柄当否決定手段904または第2特別図柄当否決定手段914による当否判定と、こうした図柄乱数に応じた当選種判定とによって行われる。
一方、第1特別図柄当否判定用乱数取得手段902および第2特別図柄当否判定用乱数取得手段912によって取得された乱数値が大当たり乱数でなければ、小当たり(状態維持当たり)に当選(選出)しているか否かが、第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914によって判定される(決定処理)。具体的には、第1通常特図判定テーブル906および第1確変特図判定テーブル908には、当否判定用乱数のうち、1、3、31、211が小当たり乱数として記憶されている。一方、第2通常特図判定テーブル907および第2確変特図判定テーブル909には、当否判定用乱数のうち、3のみが小当たり乱数として記憶されている。取得した乱数がこれらの小当たり乱数であると判定されると、小当たり遊技実行手段714によって上記短開放大当たりの開閉動作に近似させて上記大当たり遊技用開閉装置(開閉装置)500が開閉動作される小当たり遊技が実行される。
このように、第1特別図柄抽選手段900による抽選処理では、確変機能が作動しているか否かに拘らず、小当たりへの当選確率は常に一定である。また、同様に、第2特別図柄抽選手段910による抽選処理においても、確変機能が作動しているか否かに拘らず、小当たりへの当選確率は常に一定である。ただし、第1特別図柄抽選手段900による抽選処理において小当たりに当選する確率と、第2特別図柄抽選手段910による抽選処理において小当たりに当選する確率と、は異なっている(第1特別図柄抽選手段900による抽選処理において小当たりに当選する確率が、第2特別図柄抽選手段910による抽選処理において小当たりに当選する確率よりも高い)。
ところで、開放延長機能が作動している外部有利遊技状態であれば、一対の可動片606の開閉動作を行うにあたり、例えばその開放時間としてより長い時間が採用されるため(促進態様)、第2特別図柄抽選手段910による抽選頻度が高められる(特別図柄の抽選機会が増加する)。即ち、外部通常遊技状態である場合よりも特別図柄の抽選機会が増加する分、大当たりに当選する期待感が高まる。従って、第2特別図柄抽選手段910による抽選処理において小当たりに当選する確率を、第1特別図柄抽選手段900による抽選処理において小当たりに当選する確率よりも相対的に低くすることによって、遊技者に付与される利益が小さい小当たりへの当選頻度が低くなる。これにより、小当たりに頻繁に当選することに起因する煩わしさを軽減でき、興趣の低下を抑制できる。
一方、開放延長機能が作動しない例えば外部通常遊技状態Aであれば、一対の可動片606の開閉動作を行うにあたり、例えばその開放時間としてより長い時間が採用されることはないため、開放延長機能が作動している遊技状態と比べて特別図柄の抽選機会が少ない。ここで、小当たり遊技と第2短開放大当たり遊技とは互いに極似する遊技態様なので、小当たりに当選する頻度を高めることで、確変機能が作動するのではないかといった期待感を遊技者に与える頻度が高くなり、興趣の低下を抑制できる。
このように、第2特別図柄抽選手段910による抽選処理において小当たりに当選する確率を、第1特別図柄抽選手段900による抽選処理において小当たりに当選する確率よりも相対的に低くすることによって、いずれの遊技状態であっても、興趣の低下を抑制できる。
なお、第1特別図柄抽選手段900および第2特別図柄抽選手段910による当否判定は、上述のとおり、第1特別図柄保留カウンタ903または第2特別図柄保留カウンタ913による保留の解除条件が成立したことに基づいて行われる。本実施形態における当該解除条件は、第1特別図柄または第2特別図柄の変動開始であるが、これに限られない。例えば、特別図柄当否判定用の乱数を取得した際に当否判定を行い、当該当否判定結果を、第1特別図柄または第2特別図柄の変動が開始されるまで記憶するようにしても良い。
第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914による判定結果は、第1特別図柄表示制御手段702または第2特別図柄表示制御手段704によって、第1特別図柄表示器84または第2特別図柄表示器86に表示される。ただし、当該表示は、複数のLEDの点灯パターンによって表示されるため、第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914による判定結果を、遊技者が把握することは困難である。
また、第1特別図柄保留カウンタ903または第2特別図柄保留カウンタ913による保留数は、それぞれ、第1特別図柄保留表示制御手段930または第2特別図柄保留表示制御手段932によって、第1特別図柄保留表示器88または第2特別図柄保留表示器90に表示される。
大当たり遊技実行手段715および小当たり遊技実行手段714は、第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914による判定結果に基づいて、大当たり遊技または小当たり遊技を実行する。ここで、大当たり遊技は条件装置の作動を伴う遊技であり、小当たり遊技は条件装置の作動を伴わない遊技である。
条件装置は、第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914による判定結果が大当たりである場合にのみ作動するものであって、一の遊技状態から当該一の遊技状態よりも遊技者に有利な遊技状態への変更(移行)は、条件装置が作動した場合にのみ可能となる。例えば外部通常遊技状態Aから外部通常遊技状態Bへの変更(移行)などは条件装置が作動することが条件である。従って、小当たり遊技が実行されるに際して遊技状態が変更することはなく、例えば、外部通常遊技状態Aであるときに小当たり遊技が実行されても外部通常遊技状態Aが継続し、外部通常遊技状態Bであるときに小当たり遊技が実行されても外部通常遊技状態Bが継続する。
なお、一の遊技状態から当該一の遊技状態よりも遊技者に不利な遊技状態への変更(移行)は、条件装置が作動することの他、遊技状態変更抽選(一の遊技状態から当該一の遊技状態よりも遊技者により不利な遊技状態に変更するか否かの抽選)に当選すること、または、特別図柄の変動が一定回数行われること、の条件が成立した場合に行われる場合もある。従って、例えば外部通常遊技状態Bから外部通常遊技状態Aへの変更(移行)、外部有利遊技状態Bから外部有利遊技状態Aへの変更(移行)などは、条件装置が作動しない場合であっても、上述した他の条件が成立することによって行われる場合がある。
大当たり遊技実行手段715は、第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914により判定された抽選結果が大当たりであれば、開閉動作制御手段938によって開閉装置開閉ソレノイド772を作動させて大当たり遊技用開閉装置500を開閉させる動作を行い、大当たり遊技を実行する。
より具体的には、大当たり遊技の種類として、大当たり遊技用開閉装置500の最大開放時間(例えば30sec)が相対的に長い長開放大当たり遊技と、大当たり遊技用開閉装置500の最大開放時間(例えば0.6sec)が相対的に短い短開放大当たり遊技とがある。第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914により判定された抽選結果が、第1長開放大当たり、第2長開放大当たりまたは第3長開放大当たりであれば、大当たり遊技実行手段715としての長開放大当たり遊技実行手段715aが長開放大当たり遊技を実行する。一方、第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914により判定された抽選結果が、第1短開放大当たりまたは第2短開放大当たりであれば、大当たり遊技実行手段715としての短開放大当たり遊技実行手段715bが短開放大当たり遊技を実行する。
ここで、長開放大当たり遊技は、大当たり遊技用開閉装置500の開閉動作を、開閉動作制御手段938によって15ラウンド行う遊技である。短開放大当たり遊技は、大当たり遊技用開閉装置500の開閉動作を、開閉動作制御手段938によって2ラウンド行う遊技である。大当たり遊技用開閉装置500に遊技球が入賞すると、開閉装置カウントセンサ776によって入賞球数がカウントされる。そして、賞球としての所定数(例えば15球)の遊技球が、払出制御基板720によって球払出装置53から受け皿に払い出される。
なお、大当たり遊技の種別は、長開放大当たりと短開放大当たりとに限定されるものではなく、大当たり遊技用開閉装置500の最大開放時間がほぼ同じ(例えば30秒)であるが、最大開放回数が相対的に多い大当たり(例えば15ラウンド)と、最大開放回数が相対的に少ない大当たり(例えば2ラウンド)とであっても良い。また、最大開放回数がほぼ同じ(例えば15ラウンド)であるが、大当たり遊技用開閉装置500の最大開放時間が相対的に長い当たり(例えば30sec)と、大当たり遊技用開閉装置500の最大開放時間が相対的に短い当たり(例えば0.3sec)とであっても良い。
ここで、「ラウンド」とは大当たり遊技時における大当たり遊技用開閉装置500の開閉動作単位であって、大当たり遊技用開閉装置500が開放したのち、当該開放状態から閉鎖条件が成立して大当たり遊技用開閉装置500が閉鎖するまでが1ラウンドである。当該閉鎖条件は、大当たり遊技用開閉装置500が開放してから所定時間経過すること、または、大当たり遊技用開閉装置500に最大入賞数の遊技球が入賞すること、である。このいずれかの条件を満たしたときに、大当たり遊技用開閉装置500が閉鎖する。
ところで、本実施形態では、長開放大当たり遊技時における閉鎖条件と短開放遊技時における閉鎖条件とが異なっている。長開放大当たり遊技における閉鎖条件は、大当たり遊技用開閉装置500が開放してから30sec経過すること、または、9球の遊技球が入賞すること、である。一方、短開放大当たり遊技における閉鎖条件は、大当たり遊技用開閉装置500が開放してから0.6sec経過すること、または、3球の遊技球が入賞すること、である。
なお、大当たり遊技用開閉装置500の閉鎖条件はこれらに限られるものではない。ただし、長開放大当たり遊技時においては、大当たり遊技用開閉装置500が開放してから所定時間経過するまでに最大入賞数の遊技球が大当たり遊技用開閉装置500に入賞可能である程度となるように、閉鎖条件が設定されることが好ましい。一方、短開放大当たり遊技時においては、大当たり遊技用開閉装置500が開放中に辛うじて1球または2球の遊技球が大当たり遊技用開閉装置500に入賞可能である程度となるように、閉鎖条件が設定されることが好ましい。
このように、第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914による判定結果が大当たりであったとしても、当該大当たりの種別が長開放大当たりである場合と短開放大当たりである場合とで、遊技者に付与される利益が大きく異なる。即ち、当選した大当たりの種別が第1長開放大当たり、第2長開放大当たりまたは第3長開放大当たりである場合には、大当たり遊技用開閉装置500に多量の遊技球が入賞しうる。一方、当選した大当たりの種別が第1短開放大当たりまたは第2短開放大当たりである場合には、大当たり遊技用開閉装置500に辛うじて1球または2球の遊技球が入賞しうる程度である。これにより、長開放大当たり遊技が実行される場合と短開放大当たり遊技が実行される場合とで、遊技者に付与される利益が大きく異なることとなる。
小当たり遊技実行手段714は、第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914により判定された抽選結果が小当たりであれば、短開放大当たり遊技と極似(近似)する態様で、大当たり遊技用開閉装置500を開閉動作させる小当たり遊技を行う。「極似(近似)する態様」には、短開放大当たり遊技と全く同一の態様および短開放大当たり遊技と極めて似た態様の両方が含まれる。
なお、「極めて似た態様」とは、大当たり遊技用開閉装置500の開放態様を視認しただけでは、短開放大当たりであるのか小当たりであるのかを遊技者が判断できない程度に似た態様であることを意味する。従って、本実施形態では、第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914により判定された抽選結果が小当たりであれば、大当たり遊技用開閉装置500が開放してから0.6sec経過すること、または、3球の遊技球が入賞すること、を閉鎖条件とする大当たり遊技用開閉装置500の開閉動作が2回行われる(大当たり遊技時における大当たり遊技用開閉装置500の開閉動作単位を「ラウンド」と称するのに対し、小当たり遊技時における大当たり遊技用開閉装置500の開閉動作単位を「回」と称する)。
さらに、本実施形態では、演出表示装置115に表示される表示態様およびスピーカー144,341から出力される効果音や演出音は、小当たり遊技が終了したときと第2短開放大当たりに基づく短開放大当たり遊技が終了したときとで互いに極似している。また、本実施形態のパチンコ機1では、内部遊技状態がいずれの遊技状態であるかを報知する状態報知ランプのような状態報知手段を備えていない(一般的な遊技機では状態報知ランプを備えている)ので、内部的な遊技の状態(確変機能が作動しているか否か)を全く報知していない(すなわち、遊技者は外部通常遊技状態Bの存在さえも知らないことすらある)。これにより、遊技者は、大当たり遊技用開閉装置500の開閉動作が行われたことに気がついたとしても、それが第2短開放大当たりに基づくものであるのか小当たりに基づくものであるのかを把握することができない(遊技状態が報知される一般的な遊技機では、短開放大当たり遊技が実行されると確変機能が作動し、当該確変機能が作動している旨が報知される)。なお、第1短開放大当たりに基づく短開放大当たり遊技が終了したのちは開放延長機能が作動するので、第1短開放大当たり遊技であったことが把握できる。また、「極似している」とは、全く同一のみならず極めて似たものを含む意味である。
このように、第1特別図柄抽選手段900または第2特別図柄抽選手段910による抽選では、大当たりに当選しなかった場合であっても小当たりに当選する期待感を持つことができる。
また、第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914による大当たりの当否判定は、小当たりの当否判定に先立ってそれと別に行われる。ここで、小当たりの当否判定が大当たりの当否判定よりも仮に先に行われたとすると、小当たりに当選した場合には大当たりの当選が行われないことになってしまう。すなわち、本実施形態のパチンコ機1は、大当たりと小当たりとが重複当選することがないので、このような遊技機において小当たりの当否判定に先立って大当たりの当否判定が仮に行われたとすると、小当たりに当選した時点で大当たりに当選する機会が失われることとなる。従って、大当たりの当否判を小当たりの当否判定に先立って行うことで、第1特別図柄抽選手段900または第2特別図柄抽選手段910によって行われる全ての特別図柄の抽選において、大当たりへの当否判定が行われることとなり、興趣の低下を抑制できる。
なお、大当たりと小当たりとを重複して当選させるようにすることも可能であるが、この場合、いずれを優先して当選とするかを決めなければならず、制御的にも複雑となる。従って、本実施形態のように、大当たりに当選しなかったときにのみ小当たりの当否判定を行うことによって、制御的な複雑化を回避できる。さらには、大当たりの当否判定および小当たりの当否判定の二度の抽選機会が与えられ、遊技者に得した気分を与えることができ、興趣の低下が抑制できる。
さらに、小当たりへの当選確率は大当たりへの当選確率よりも高く設定されており、しかも、小当たり遊技が実行されているのか短開放大当たり遊技が実行されているのかを把握することができない。従って、遊技者は、外部通常遊技状態Aや外部有利遊技状態Aであるとき、小当たりに当選する毎に、確変機能が作動する可能性がある短開放大当たりに当選したのではないかといった期待感を持つことができ、興趣の低下を抑制できる。
また、外部通常遊技状態Aや外部有利遊技状態Aから外部通常遊技状態Bや外部有利遊技状態Bに変更される期待感を遊技者に与えることによって、遊技者は遊技を止めるに止められなくなってしまい、その結果、パチンコ機の稼働率が向上し、遊技店にとっても利益がもたらされる。
一方、外部通常遊技状態Bまたは外部有利遊技状態Bであるときに小当たりまたは短開放大当たりに当選したとしても、当該外部通常遊技状態Bまたは外部有利遊技状態Bが継続される(即ち確変機能の作動が継続する)ので、遊技者に安心感を与えることができる。即ち、外部通常遊技状態Bまたは外部有利遊技状態Bにおいて、大当たり遊技用開閉装置500の開閉動作が2回(または2ラウンド)行われたとしても、外部通常遊技状態Aや外部有利遊技状態Aに変更されることがないので、興趣の低下を抑制できる。
なお、第1特別図柄当否決定手段904および第2特別図柄当否決定手段914による当否判定に用いられるテーブルは、必ずしも同じテーブルを用いる必要はなく、第1特別図柄当否決定手段904および第2特別図柄当否決定手段914のそれぞれが異なるテーブルを用いても良い。また、この場合、第1特別図柄抽選手段900による抽選における当選確率と、第2特別図柄抽選手段910による抽選における当選確率と、が異なるようにしても良い。さらに、第1特別図柄抽選手段900による抽選において当選した場合の大当たり遊技態様と、第2特別図柄抽選手段910による抽選において当選した場合の大当たり遊技態様と、が異なる態様(例えば遊技者に付与される利益が異なる態様等)としても良い。
次に、普通図柄抽選手段920による抽選について説明する。
普通図柄抽選手段920は、遊技球が通過ゲート612を通過してゲートセンサ760により検出されると、0〜250の乱数幅で発生する普通図柄当否判定用乱数のうち一つの乱数を、普通図柄当否判定用乱数取得手段922により取得する。この取得した乱数は、当該取得した乱数を記憶する記憶領域および当該取得した乱数の数をカウンタ値として記憶する普通図柄保留カウンタを有する普通図柄保留手段923によって所定の上限値(例えば4個)まで保留される。そして、普通図柄保留手段923による保留が解除されると、取得された順に普通図柄当否判定手段924によって当否が判定される。
普通図柄当否判定手段924による当否判定は、外部通常遊技状態であれば、普通図柄当否判定用乱数取得手段922によって取得された乱数値と通常普図判定テーブル926とに基づいて行われるように、遊技状態制御手段934によって制御される。本実施形態では246〜250が当たり乱数なので、普通図柄当たり判定用乱数取得手段922により取得した乱数値がこれらの当たり乱数であるか否かが判定され、当たり乱数であれば、可動片開閉制御手段928によって一対の可動片606の開閉動作が実行される。なお、このとき、普通図柄の変動時間は4000msecであり、一対の可動片606は、開放時間180msの開閉動作を1回実行する(第1の動作態様)。
一方、外部有利遊技状態であれば、普通図柄当否判定手段924による当否判定は、普通図柄当否判定用乱数取得手段922によって取得された乱数値と普通図柄開放延長時当たり判定用テーブル927とに基づいて行われるように、遊技状態制御手段934によって制御される。本実施形態では1〜250が当たり乱数なので、普通図柄当たり判定用乱数取得手段922により取得した乱数値がこれらの当たり乱数であるか否かが判定され、当たり乱数であれば、可動片開閉制御手段928によって一対の可動片606の開閉動作が実行される。なお、このとき、普通図柄の変動時間は1024msecであり、一対の可動片606は、開放時間1300msecの開閉動作を3回および開放時間856msecの開閉動作を2回実行する(第2の動作態様(促進態様))。
このように、外部有利遊技状態であるとき、外部通常遊技状態の場合と比べて、第3始動口604への遊技球の入賞頻度が飛躍的に向上する。従って、外部有利遊技状態であると特別図柄の抽選機会が飛躍的に増加し、大当たり遊技が実行される期待感が高まり、興趣の低下を抑制できる。
ここで、通常普図判定テーブル926および普通図柄開放延長時当たり判定用テーブル927は、いずれもROM712(図22参照)に記憶されている。
なお、本実施形態において、普通図柄当否判定手段924による当否判定は、外部通常遊技状態であっても当たりであると判定されて一対の可動片606の開閉動作が実行されうるが、これに代えて、外部通常遊技状態であるときは当たり確率がゼロとなるようにしても良い。即ち、一対の可動片606の開閉動作が行われるのは、外部有利遊技状態であるときのみとしても良い。
普通図柄当否判定手段924による判定結果は、普通図柄表示制御手段716によって普通図柄表示器82に表示される。また、普通図柄保留カウンタ923による保留数は、普通図柄保留表示制御手段718によって普通図柄保留表示器92に表示される。
可動片開閉制御手段928は、普通図柄当否判定手段924によって判定された抽選結果が当たりであるときに、普通電動役物ソレノイド774を作動させて一対の可動片606を開閉動作させる。ただし、上述したとおり、外部有利遊技状態である場合と、外部通常遊技状態である場合とでは、一対の可動片606の開閉動作態様は異なっている(外部有利遊技状態である場合、第3始動口604への遊技球の入賞が、外部通常遊技状態である場合よりも容易化される)。
なお、本実施形態では、一対の可動片606が閉鎖されているとき、第3始動口604への遊技球の入賞が不可能となっており、一対の可動片606が開閉動作することに伴って、第3始動口604への遊技球の入賞が、第1始動口600および第2始動口602への遊技球の入賞よりも容易となる。ただし、一対の可動片606が閉鎖されているとき、第3始動口604への遊技球の入賞が不可能である態様に限られず、第3始動口604への遊技球の入賞が第1始動口600または第2始動口602への遊技球への入賞よりも困難であれば良い。
コマンド送信手段946は、第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914による抽選結果およびこの抽選結果に拘わる情報を周辺基板600に送信する。「抽選結果に拘わる情報」とは、演出表示装置115にて行われる装飾図柄の変動時間等が相当する。
なお、第1特別図柄当否判定手段904、第2特別図柄当否判定手段914および普通図柄当否判定手段924による当否判定結果には、必ずしも外れが含まれている必要はない。例えば、大当たり遊技用開閉装置500への遊技球の入賞が極めて困難な態様で小当たり遊技が実行される場合であれば、大当たりに当選しなかったときは全て小当たりに当選するようにしても良い。
また、本実施形態のように、第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914による当否判定において、大当たりの当否判定を小当たりの当否判定に先だって行うことによって上述したような顕著な効果がもたらされるが、大当たりの当否判定と小当たりの当否判定とを一括で行っても良い。
一方、周辺制御基板810は、図24に示すように、コマンド受信手段950と、演出抽選手段960と、演出制御手段962と、を備えている。
コマンド受信手段950は、主制御基板710から送信された第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914による判定結果および当該判定結果に拘わる情報を受信する。
演出抽選手段960は、演出表示装置115に表示される演出態様を決定し、これに伴って、スピーカー144,341から出力される効果音や楽曲等の演出音および各ランプ842,852,853における表示が決定される。演出制御手段962は、演出抽選手段960により決定された演出態様や表示に基づいて制御を行う。具体的には、演出抽選手段960により決定された演出態様が演出表示装置115に表示されるように表示装置制御基板816に情報送信すると共に、これに伴って決定された演出音等および表示がスピーカー144,341および枠装飾ランプ842から出力および表示されるように枠装飾中継端子板240を介して制御する。さらには、パネル駆動基板850を介してパネル装飾ランプ852やセンター装飾ランプ853における表示も制御する。
次に、パチンコ機1の遊技進行に応じて主基板700で実行される種々の制御処理について図25〜図30を参照して説明する。
[メインシステム処理について]
まず、図25に基づいて説明する。図25は、主基板700の主制御基板710に搭載されるCPU711(いずれも図22参照)が実行するメインシステム処理の一例を示すフローチャートである。
図25に示すように、パチンコ機1へ電源が供給されると、CPU711(図22参照)は、電源投入時処理を実行する(ステップS10)。この電源投入時処理では、まず、RAM713(図22参照)に記憶されているバックアップデータが正常であるか(停電発生時の設定値となっているか)否かを判別する。すなわち、この実施の形態のRAM713(データメモリ)は、電力の常時供給によって各種の制御データがバックアップされるバックアップ領域を有している。そして、パチンコ機1は、電力供給の停止に際しては、上記RAM713の処理領域に記憶されている各種の制御データを上記バックアップ領域に一時退避させる処理を行うとともに、電源復帰時にこの一時退避されたデータを当該RAM713の処理領域に読み出すことで、電源遮断時から継続性のある遊技を実行可能としている。
したがって、この電源投入時処理(ステップS10)では、バックアップデータ(バックアップ領域内のデータ)が正常であれば、RAM713に記憶されているバックアップデータに従って電力供給の停止時の状態に戻す処理(復電時処理)を実行する。一方、バックアップデータが異常であれば、RAM713に記憶されているバックアップデータは消去される。そしてその後、RAM713の処理領域には、例えば現在の遊技状態を示す制御データなど、遊技進行に必要な各種の制御データが各々の初期パラメータをもって書き込まれることとなる(初期化処理)。また、製品化されてから最初の電源投入時も、遊技進行に必要な各種の制御データが各々の初期パラメータをもって書き込まれることとなる。
ただし、この電源投入時処理(ステップS10)では、RAM713に記憶されているバックアップデータの消去を指示するRAM消去スイッチがオンであるか否かの判断も行われる。すなわち、このRAM消去スイッチがオンであったときも、RAM713に記憶されているバックアップデータは消去される。また併せて、RAM713の処理領域には、例えば現在の遊技状態を示す制御データなど、遊技進行に必要な各種の制御データが各々の初期パラメータをもって書き込まれることとなる(初期化処理)。なお、こうした初期化処理が行われた状態では(イニシャル時では)、現在の遊技状態を示す制御データは、開放延長機能および確変機能の両方とも作動しない遊技状態である「外部通常遊技状態A」を示すようになる。したがって、上記一対の可動片606がイニシャル時に動作するようなことがあれば、この一対の可動片606は、開放時間180msの開閉動作を1回実行することとなる(第1の動作態様)。また、こうした初期化処理の直後のイニシャル時に大当たりについての抽選処理が行われるときは、その当選確率として上記第1の確率(当選確率A)が採用されることとなる。
また、電源投入時処理(ステップS10)では、このような初期化処理を実行したときに主制御基板710(図22参照)が起動したことを示す電源投入コマンドを、周辺制御基板810(図22参照)に送信可能な状態にセットする処理も実行される。電源投入コマンドは、主制御基板710が起動したことを周辺制御基板810に通知するものである。なお、遊技店の閉店時等にパチンコ機1への電力供給を停止した場合(電源を落とした場合)にもRAM713にバックアップデータが記憶され、再びパチンコ機1への電力供給を開始したときには電源投入時処理が実行される。
電源投入時処理(ステップS10)が終了すると、CPU711は、遊技用の各処理を繰り返し実行するループ処理を開始する。このループ処理の開始時には、CPU711は、まず、停電予告信号が検知されているか否かを判断する(ステップS20)。なお、この実施形態では、パチンコ機1にて使用する電源電圧は、電源基板(図示しない)によって生成される。即ち、パチンコ機1に搭載される複数種類の装置はそれぞれ異なる電源電圧で動作するため、外部電源からパチンコ機1に供給される電源電圧を電源基板にて所定の電源電圧に変換した後、各装置に電源を供給している。そして、停電が発生し、外部電源から電源基板に供給される電源電圧が所定の電源電圧以下となると、電源基板から主制御基板510に電源電圧の供給が停止することを示す停電予告信号が送信される。そして、ステップS20で主制御基板510に搭載されるCPU511により停電予告信号を検知すると、電源断発生時処理を実行する(ステップS40)。
この電源断発生時処理は、停電後に電源基板に供給される電源電圧(本実施形態では24V)が復旧(以下「復電」と称する)した場合に、遊技機の動作を停電前の状態から開始するために停電発生時の状態をRAM713のバックアップ領域にデータを一時退避させる処理である。処理内容は後述するが、本実施例においては、図示する通り、電源断発生時処理は、割込処理ではなく、ループの開始直後に停電予告信号の検知有無に応じて実行される分岐処理としてメイン処理(主制御処理)内に組み込まれている。
ステップS20で停電予告信号が検知されていない場合(ステップS20におけるNO)、即ち、外部電源からの電力が正常に供給されている場合には、遊技にて用いられる乱数を更新する非当落乱数更新処理を行う(ステップS30)。なお、非当落乱数更新処理にて更新される乱数については後述する。
[電源断発生処理について]
図26は、電源断発生時処理の一例を示すフローチャートである。上述したように、電源断発生時処理(ステップS40)は、メインシステム処理において、停電予告信号が検出された時に(ステップS20におけるYES)実行される処理である。CPU711は、まず、割込処理が実行されないように割込禁止設定を行う(ステップS42)。そして、RAM713の処理領域におけるチェックサムを算出し、この算出結果と各種の遊技データをRAM713のバックアップ領域に記憶する(ステップS44)。このチェックサムは、復電時に停電前のRAM713の内容が適正に保持されているか否かをチェックするために使用される。
次いで、CPU711は、RAM713の所定領域に設けられたバックアップフラグに、電源断発生時処理が行われたことを示す規定値を設定する(ステップS46)。以上の処理を終えると、CPU711は、RAM713へのアクセスを禁止し(ステップS48)、無限ループに入って電力供給の停止に備える。ところで、この処理では、ごく短時間の停電等(以下「瞬停」と称する)により電源電圧が不安定になって電源断発生時処理が開始されてしまうと、実際には電源電圧は停止されないため、無限ループから復帰することができなくなるおそれがある。かかる弊害を回避するため、本実施例のCPU711には、ウォッチドックタイマが設けられており、所定時間、ウォッチドックタイマが更新されないとリセットがかかるように構成されている。ウォッチドックタイマは、正常に処理が行われている間は定期的に更新されるが、電源断発生時処理に入ると、更新が行われなくなる。その結果、瞬停によって電源断発生時処理に入り、図26の無限ループに入った場合でも所定期間経過後にリセットがかかり、電源投入時と同じプロセスでCPU711が起動することになる。
なお、RAM713のバックアップ領域に代えて、書き換え可能な不揮発性メモリ(EEPROMなど)を備えるようにしてもよい。この場合、データをバックアップさせるために常時の電力供給を必要としない、といったメリットがある。
若しくは、上記RAM713の全領域を、電力の常時供給によってデータがバックアップされるバックアップ領域としてもよい。この場合、電源遮断時において、RAM713の特定領域に記憶されているデータをその他の領域に退避させる必要がなくなる。また、電源復帰時にも、退避データを処理領域に読み出す必要がなくなるため、これらの処理に要する負荷が軽減されるようになる。
[タイマ割込処理について]
図27は、タイマ割込処理の一例を示すフローチャートである。本実施の形態においては、メインシステム処理の実行中に主基板700の主制御基板710に搭載されるCPU711により4ms毎にタイマ割込処理が実行される。タイマ割込処理において、CPU711は、レジスタの待機処理を実行した後(ステップS50)、ステップS60からステップS270の処理を実行する。
ステップS60のセンサ監視処理では、上述した各種のセンサ(ゲートセンサ760、第1始動口センサ780、第2始動口センサ782、第3始動口センサ784、開閉装置カウントセンサ776等)の検出信号を監視する処理を実行する。
ステップS70の当落乱数更新処理では、遊技で用いられる乱数を更新する処理を実行する。なお、この実施形態では、当落乱数更新処理にて更新される乱数と、上述した非当落乱数更新処理にて更新される乱数と、は異なる。乱数については後述するが、当落乱数更新処理にて更新される乱数を非当落乱数更新処理でも更新するようにしてもよい。
また、ステップS80の払出制御処理では、センサ監視処理(ステップS60)にて検出された信号に基づいて払出制御基板720に遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを送信する。
ステップS90の普通図柄・普通電動役物制御処理では、センサ監視処理処理(ステップS60)にてゲートセンサ760から検出された信号に基づいて普通図柄表示器82に関わる制御処理を実行するとともに、一対の可動片606の開閉制御を行うための処理を実行する。
ステップS100の特別図柄・特別電動役物制御処理では、特別図柄の変動開始から当たり遊技の開始までの一連の処理を実行するとともに、特別電動役物としての大当たり遊技用開閉装置500の開閉制御を行うための処理を実行する。
ステップS260の出力データ設定処理では、特別図柄・特別電動役物制御処理(ステップS100)等において定まる情報に基づいて、主制御基板710から周辺制御基板810に送信するコマンドを生成する処理を実行する。
ステップS270のコマンド送信処理では、出力データ設定処理(ステップS260)において設定されたコマンドを周辺制御基板810に送信する処理が行われる。ステップS60からステップS270の処理を実行すると、レジスタ復帰処理(ステップS280)を実行して、タイマ割込処理を終了する。
ここで、上述した非当落乱数更新処理(ステップS30)および当落乱数更新処理(ステップS70)においてCPU711により更新される各種乱数について説明する。
本実施形態において、遊技にて用いられる各種乱数として、当否判定用乱数、図柄乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン乱数および普通図柄当否判定用乱数等がある。
当否判定用乱数は、大当たり遊技または小当たり遊技を発生させるか否かの判定に用いられる当否判定用乱数である。図柄乱数は、大当たり遊技を発生させると判定されたときに、大当たりの種別(第1長開放大当たり、第2長開放大当たり、第3長開放大当たり、第1短開放大当たりおよび第2短開放大当たり)の判定に用いられる乱数である。リーチ判定用乱数は、当否判定にて大当たりおよび小当たりのいずれにも当選していない(即ち外れ)と判定されたときに、リーチ変動とするか否かの判定に用いられる乱数である。変動パターン乱数は、第1特別図柄表示器84および第2特別図柄表示器86に表示する特別図柄の変動パターンを決定するために用いられる乱数である。普通図柄当否判定用乱数は、一対の可動片606を開放状態に制御するか否かの判定に用いられる乱数である。
なお、演出表示装置115にて表示制御される装飾図柄の変動パターンは、変動パターン乱数により決定しても良く、周辺基板800の周辺制御基板810に搭載されるCPU811または表示装置制御基板816に搭載されるCPU832(いずれも図23参照)により決定するようにしてもよい。また、変動パターン乱数は必須ではなく、リーチ判定用乱数を用いて特別図柄の変動パターンを決定するようにしても良い。
これらの乱数のうち、当落乱数更新処理では、大当たり遊技または小当たり遊技の発生に関わる当否判定用乱数、図柄乱数、および、遊技球を受け入れやすい開放状態に一対の可動片606を制御するか否かに関わる普通図柄当たり判定用乱数の更新を行う。ここで、大当たり遊技の発生および一対の可動片606を開放状態に制御するか否かに関わる判定に用いられる乱数は一定のタイミングとして4ms毎に更新される。このようにすることにより、それぞれの乱数における所定期間における確率(大当たり遊技または小当たり遊技を発生させると判定される確率、一対の可動片606を開放状態に制御すると判定される確率)を一定にする(即ち狙い打ち等により確率に偏りが発生することを防止する)ことができ、遊技者が不利な状態となることを防止できる。
一方、非当落乱数更新処理では、当たり遊技の発生および普通図柄の表示結果に関わらないリーチ判定用乱数、並びに、変動パターン乱数の更新を行う。なお、主制御基板710で更新される乱数は、上記したものに限られず、非当落乱数更新処理では、当否判定用乱数を更新するカウンタが1周したときに次にカウントを開始させる当否判定用乱数の初期値を決定するための初期値決定乱数等の更新も行う。
なお、本実施例においては、当否判定用乱数を取得するための手段として、第1特別図柄当否判定用乱数取得手段902および第2特別図柄当否判定用乱数取得手段912の2つの手段を設けているが、これを一つのみ設けた構成としてもよい。
[特別図柄・特別電動役物制御処理について]
次に、図28に基づいて特別図柄・特別電動役物制御処理について説明する。図28は、特別図柄・特別電動役物制御処理(ステップS100)の一例を示すフローチャートである。
この特別図柄・特別電動役物制御処理では、まず、第1・第2・第3始動口入賞処理(ステップS110)を行う。具体的には後述するが、第1始動口600、第2始動口602、第3始動口604に遊技球が受け入れられたか否か判別し、これに基づいて一連の処理を行う。第1・第2・第3始動口入賞処理(ステップS110)を行うと、次に、処理フラグを確認し(ステップS120〜ステップS230)、処理フラグに対応する処理を行う。
第1・第2・第3始動口入賞処理(ステップS110)を終えると、先ず、処理フラグが0であるか否かを判断し(ステップS120)、処理フラグが0であれば(ステップS120におけるYES)変動開始処理(ステップS130)を実行する。変動開始処理(ステップS130)では、特別図柄の変動表示を開始するための設定を行う。詳しくは後述するが、大当たり遊技または小当たり遊技を開始させるか否かの判断を行い、処理フラグを「1」に更新する。一方、ステップS120において処理フラグが0でなければ(ステップS120におけるNO)ステップS140に進む。
ステップS140に進むと、処理フラグが1であるか否かを判断する(ステップS140)。処理フラグが1であれば(ステップS140におけるYES)変動パターン設定処理(ステップS150)を実行する。この変動パターン設定処理では、第1特別図柄表示器84または第2特別図柄表示器86に表示される特別図柄および演出表示装置115に表示される装飾図柄の変動パターンを決定し、当該変動パターンに対応して設定される変動時間(第1特別図柄表示器84または第2特別図柄表示器86のいずれかにおいて特別図柄の変動表示を開始してから停止表示するまでの時間)をタイマにセットし、処理フラグを「2」に更新する。一方、ステップS140において処理フラグが1でなければ(ステップS140におけるNO)、ステップS170に進む。
ステップS170に進むと、処理フラグが2であるか否かを判断する(ステップS170)。処理フラグが2であれば(ステップS170におけるYES)変動中処理(ステップS180)を実行する。この変動中処理では、変動パターン設定処理(ステップS150)で設定された変動時間をタイマにより監視し、タイムアウトしたことに基づいて第1特別図柄表示器84または第2特別図柄表示器86における特別図柄の変動表示を停止させる。このとき、変動開始処理(ステップS130)にて大当たりとする判定がなされていれば、処理選択フラグを「3」に更新し、小当たりとする判定がなされていれば、処理選択フラグを「4」に更新し、大当たりおよび小当たりとする判定のいずれもなされていなければ処理選択フラグを「0」に更新する。一方、ステップS170において処理フラグが2でなければ(ステップS170におけるNO)、ステップS190に進む。
ステップS190に進むと、処理フラグが3かどうか判断する(ステップS190)。処理フラグが3であれば(ステップS190におけるYES)大当たり遊技開始処理(ステップS200)を実行する。この大当たり遊技開始処理では、大当たり種別(長開放大当たりか短開放大当たりか)を判断し、その大当たり種別に応じて大当たり遊技用開閉装置500の開閉動作を制御するためのラウンド回数、開放時間および遊技球の入賞制限個数をセットし、処理フラグを「5」に更新する。一方、ステップS190において処理フラグが3でなければ(ステップS190におけるNO)、ステップS210に進む。
ステップS210に進むと、処理フラグが4かどうか判断する(ステップS210)。処理フラグが4であれば(ステップS210におけるYES)小当たり遊技処理(ステップS220)を実行する。この小当たり遊技処理では、大当たり遊技用開閉装置500の開放動作を制御するための開放回数および開放時間をセットし、処理フラグを「6」に更新する。一方、処理フラグが4でなければ(ステップS210におけるNO)、ステップS230に進む。
ステップS230に進むと、処理フラグが5かどうか判断する(ステップS230)。処理フラグが5であれば(ステップS230におけるYES)特別電動役物大当たり制御処理(ステップS240)を実行する。この特別電動役物大当たり制御処理では、大当たり遊技開始処理(ステップS200)においてセットしたラウンド回数、開放時間および遊技球の入賞制限個数に基づいて大当たり遊技用開閉装置500の開閉動作を制御し、大当たり遊技が終了する場合には、確率変動機能および開放延長機能を作動させるか否か判断させるとともに処理フラグを「0」に更新する処理を行う。
一方、ステップS230において処理フラグが5でなければ(ステップS230におけるNO)特別電動役物小当たり制御処理(ステップS250)を実行する。この特別電動役物小当たり制御処理(ステップS250)では、小当たり遊技処理(ステップS220)においてセットした開放回数、開放時間および制限個数に基づいて、大当たり遊技用開閉装置500の開閉動作を制御し、小当たり遊技が終了する場合には、処理フラグを「0」に更新する処理を行う。なお、小当たり遊技は、大当たり遊技のように条件装置の作動を伴う遊技ではないものの、上述したとおり、大当たり遊技の一種である短開放大当たり遊技と極似する遊技である。
ステップS130からステップS250の各種処理のいずれかを実行すると特別図柄・特別電動役物制御処理を終了する。
[第1・第2・第3始動口入賞処理について]
次に、第1・第2・第3始動口入賞処理について図29に基づいて説明する。図29は、第1・第2・第3始動口入賞処理の一例を示すフローチャートである。
第1・第2・第3始動口入賞処理では、CPU711は、先ず、第2始動口602または第3始動口604に遊技球が入賞したか否かを判断する(ステップS1101)。具体的には、第2始動口センサ602または第3始動口604による遊技球検知の有無を確認する。このとき、第2始動口センサ782または第3始動口センサ784による遊技球の検知があれば、第2始動口602または第3始動口604に遊技球が入賞したと判断する(ステップS1101におけるYES)。第2始動口センサ782および第3始動口センサ784による遊技球の検知がいずれもなければ、第2始動口602および第3始動口604のいずれにも遊技球が入賞していない(ステップS1101におけるNO)と判断する。
ステップS1101において第2始動口602または第3始動口604に遊技球が入賞したと判断したときには、各種データ(第2特別図柄当否判定用乱数取得手段912によって取得された当否判定用乱数、図柄乱数、特別図柄種別)を取得する。そして、第2特別図柄保留カウンタ913のカウンタ値が上限値である4未満であるか否かを判断する(ステップS1102)。
ステップS1101において第2特別図柄保留カウンタ913のカウンタ値が上限の4未満であると判断すると(ステップS1102におけるYES)、CPU711は、第2保留記憶処理を行い(ステップS1103)、その後、ステップS1104に進む。第2保留記憶処理は、第2始動口602に遊技球が入賞したことによって取得した各種データ(当否判定用乱数、図柄乱数、特別図柄種別)を当否判定用乱数記憶領域5131に記憶すると共に、第2特別図柄保留カウンタ913のカウンタ値に1を加算する処理である。なお、当否判定用乱数記憶領域5131は、当否判定用乱数記憶領域、図柄乱数記憶領域および特別図柄種別記憶領域を有しており、第2始動口602または第3始動口604に遊技球が入賞したことによって取得した各種データは、それぞれの記憶領域に記憶される。
CPU711が、ステップS1101において第2始動口602および第3始動口604のいずれにも遊技球が入賞していないと判断したとき(ステップS1101におけるNO)、および、ステップS1102において第2特別図柄保留カウンタ913のカウンタ値が上限値の4に達していると判断したとき(ステップS1102におけるNO)は、いずれもステップS1104に進む。
ステップS1104では、CPU711は、第1始動口600に遊技球が入賞したか否かを判断する(ステップS1104)。具体的には、第1始動口センサ780による遊技球検知の有無を確認する。このとき、第1始動口センサ780によって遊技球が検知された場合には第1始動口600に遊技球が入賞したと判断する(ステップS1104におけるYES)。第1始動口センサ600による遊技球の検知がなければ、第1始動口600に遊技球が入賞していない(ステップS1104におけるNO)と判断する。
ステップS1104において第1始動口600に遊技球が入賞したと判断したときには、各種乱数(第1特別図柄当否判定用乱数取得手段902によって取得された当否判定用乱数、図柄乱数、特別図柄種別)を取得し、第1特別図柄保留カウンタ903のカウンタ値が上限値である4未満であるか否かを判断する(ステップS1105)。
ステップS1104において第1特別図柄保留カウンタ903のカウンタ値が上限の4未満であると判別すると(ステップS1105におけるYES)、CPU711は、第1保留記憶処理を行い(ステップS1106)、第1・第2・第3始動口入賞処理を終了する。第1保留記憶処理は、第1始動口600に遊技球が入賞したことによって取得した各種データ(当否判定用乱数、図柄乱数、特別図柄種別)を当否判定用乱数記憶領域5131に記憶すると共に、第1特別図柄保留カウンタ903のカウンタ値に1を加算する処理である。なお、第2始動口602または第3始動口604に遊技球が入賞したことによって取得した各種データと同様に、第1始動口600に遊技球が入賞したことによって取得した各種データは、当否判定用乱数記憶領域5131におけるそれぞれの記憶領域に記憶される。
CPU711が、ステップS1104において第1始動口600に遊技球が入賞していないと判断したとき(ステップS1104におけるNO)、および、ステップS1105において第1特別図柄保留カウンタ903のカウンタ値が上限値の4に達していると判断したとき(ステップS1105におけるNO)は、いずれも第1・第2・第3始動口入賞処理を終了する。
なお、ステップS1102において、第2始動口602または第3始動口604に遊技球が入賞したときに第2特別図柄保留カウンタ913のカウンタ値が上限値であるとき、ステップS1101で取得した各種データを破棄する。同様に、ステップS1105において、第1始動口600に遊技球が入賞したときに第1特別図柄保留カウンタ903のカウンタ値が上限値であるとき、ステップS1104で取得した各種データを破棄する。
なお、第2始動口602または第3始動口604に遊技球が入賞したと判断したとき、各種データ(当否判定用乱数、図柄乱数、特別図柄種別)の取得は、必ずしもステップS1101で行う必要はなく、ステップS1101〜ステップS1103の間で行えばよい。例えば、ステップS1101で各種データを取得せずに、ステップS1102で第2特別図柄保留カウンタ913のカウンタ値が上限値未満であることを判定した後に各種データを取得してもよいし、ステップS1103の第2保留記憶処理で取得するようにしてもよい。
同様に、第1始動口600に遊技球が入賞したと判定したとき、各種データ(当否判定用乱数、図柄乱数、特別図柄種別)の取得は、必ずしもステップS1104で行う必要はなく、ステップS1104〜ステップS1106の間で行えばよい。例えば、ステップS1104で各種データを取得せずに、ステップS1102で第1特別図柄保留カウンタ903のカウンタ値が上限値未満であることを判別した後に各種データを取得してもよいし、ステップS1106の第1保留記憶処理で取得するようにしてもよい。
このように、本実施形態では、第2始動口602または第3始動口604への入賞処理(ステップS1101〜ステップS1103)を実行したのちに、第1始動口600への入賞処理(ステップS1104〜1106)を実行している。ただし、これに代えて、第1始動口600への入賞処理を実行したのちに、第2始動口602または第3始動口604への入賞処理を実行する態様であっても良い。
また、本実施形態では、第1始動口600に遊技球が入賞したときは第1特別図柄抽選手段900によって抽選処理を行い、第2始動口602または第3始動口604に入賞したときは第2特別図柄抽選手段910によって抽選処理を行っているが、これに限られない。例えば、第1始動口600または第3始動口602に遊技球が入賞したときは第1特別図柄抽選手段900によって抽選処理を行い、第2始動口602に入賞したときは第2特別図柄抽選手段910によって抽選処理を行うようにしても良い。さらには、各始動口600,602,604に対応させて特別図柄抽選手段を設けるようにしても良い(即ち、第1始動口に対応する第1特別図柄抽選手段、第2始動口に対応する第2特別図柄抽選手段、第3始動口に対応する第3特別図柄抽選手段を設けるようにしても良い)。
また、本実施形態では、第1特別図柄抽選手段900による抽選処理および第2特別図柄抽選手段910による抽選処理のいずれが行われた場合であっても大当たりへの当選確率は同じであるが、これに限られない。例えば、第1特別図柄抽選手段900による抽選処理が行われた場合の大当たり当選確率と、第2特別図柄抽選手段910による抽選処理が行われた場合の大当たり当選確率と、が異なるようにしても良い。
さらに、本実施形態では、第1特別図柄抽選手段900による抽選処理にて大当たりに当選した場合と、第2特別図柄抽選手段910による抽選処理にて大当たりに当選した場合、とで遊技者に付与される利益に差異はないが、これに限られない。例えば、第1特別図柄抽選手段900による抽選処理が行われた場合には第1長開放大当たり遊技が実行される確率が相対的に高く設定される一方で、第2特別図柄抽選手段910による抽選処理が行われた場合には第1長開放大当たり遊技が実行される確率が相対的に低く設定されるような場合が相当する。
[変動開始処理について]
次に、変動開始処理について図30に基づいて説明する。図30は、変動開始処理の一例を示すフローチャートである。
処理選択フラグが「0」のときに実行される変動開始処理(ステップS130)では、CPU711は、先ず、当否判定用乱数記憶領域5131に記憶されている乱数の数(始動記憶数)が0であるか否かを判断する(ステップS1301)。当否判定用乱数記憶領域5131に記憶されている始動記憶数が0であることは、第1特別図柄保留カウンタ903および第2特別図柄保留カウンタ913のいずれのカウンタ値も0であることを意味する。
始動記憶数が0でなければ(ステップS1301におけるNO)、当否判定用乱数記憶領域5131のシフト処理を行う(ステップS1302)。このシフト処理は、各始動口600,602,604への遊技球の入賞に基づいて取得された乱数の当否判定が行われる順序をシフトする処理である。即ち、特別図柄の当否判定は各始動口600,602,604に遊技球が入賞した順に行われるため、変動開始に伴って当該順序がシフトする。各始動口600,602,604への遊技球の入賞に基づいて取得された乱数のうち最も早く取得された乱数は、処理領域5132に移される。なお、ステップS1301において始動記憶数が0であれば(ステップS1301におけるYES)、変動開始処理を終了する。
ステップS1302においてシフト処理を行ったのち、CPU711は、処理領域5132に記憶されている種別(第1特別図柄であるか第2特別図柄であるか)を判別する(ステップS1303)。ここで、当該種別が第2特別図柄種別であれば(ステップS1303におけるYES)、第2特別図柄フラグをON状態にする(ステップS1303)と共に、第2特別図柄保留カウンタ713のカウンタ値を1減算して(ステップS1305)、ステップS1308に進む。一方、当該種別が第1特別図柄種別であれば(ステップS1303におけるNO)、第1特別図柄フラグをON状態にする(ステップS1306)と共に、第1特別図柄保留カウンタ903のカウンタ値を1減算して(ステップS1307)、ステップS1308に進む。
ステップS1308では、確変機能が作動している遊技状態(外部通常遊技状態Bまたは外部有利遊技状態B)であるか否かを判断する(ステップS1308)。ここで、確変機能が作動している遊技状態であれば(ステップS1308におけるYES)、第1確変特図判定テーブル908または第2確変特図判定テーブル909が選択される(ステップS1309)。具体的には、第1特別図柄フラグがON状態であれば第1確変特図判定テーブル908が選択され、第2特別図柄フラグがON状態であれば第2確変特図判定テーブル909が選択される。
一方、ステップS1308において確変機能が未作動であれば(ステップS1308におけるNO)、第1通常特図判定テーブル906または第2通常特図判定テーブル907が選択される(ステップS1310)。具体的には、第1特別図柄フラグがON状態であれば第1通常特図判定テーブル906が選択され、第2特別図柄フラグがON状態であれば第2通常特図判定テーブル907が選択される。
そして、ステップS1309またはステップS1310において選択された判定テーブルと、処理領域5132に記憶されている当否判定用乱数と、に基づいて当否判定が行われる(ステップS1311)。
なお、ステップS1311における大当たり判定は、第1特別図柄フラグがON状態であれば第1特別図柄当否判定手段904によって行われ、第2特別図柄フラグがON状態であれば第2特別図柄当否判定手段914によって行われる。
ステップS1311における当否判定にて大当たりであると判定されると(ステップS1311におけるYES)、取得した図柄乱数に基づいて大当たりの種別を判定する(ステップS1312)。その後、大当たりの種別に応じたフラグをON状態にする(ステップS1313)。具体的には、第1長開放大当たりであれば第1長開放大当たりフラグをON状態にし、第2長開放大当たりであれば第2長開放大当たりフラグをON状態にし、第3長開放大当たりであれば第3長開放大当たりフラグをON状態にし、第1短開放大当たりであれば第1短開放大当たりフラグをON状態にし、第2短開放大当たりであれば第2短開放大当たりフラグをON状態にする。その後、処理フラグを「1」に更新し(ステップS1316)、変動開始処理を終了する。
一方、ステップS1311における当否判定にて大当たりでないと判定すると(ステップS1311におけるNO)、小当たりであるか否かが判定される(ステップS1314)。ここで、小当たりに当選していると判定されると(ステップS1314におけるYES)、小当たりフラグをON状態にして(ステップS1315)、ステップS1316に進み、処理フラグを「1」に更新し、変動開始処理を終了する。ステップS1314において小当たりに当選していないと判定されると(ステップS1314におけるNO)、ステップS1316に進み、処理フラグを「1」に更新し、変動開始処理を終了する。
なお、本実施形態では、ステップS1302においてシフト処理を行ったのち、ステップS1309またはステップS1310において選択された判定テーブルと、処理領域5132に記憶されている当否判定用乱数と、に基づいて当否判定が行われる(ステップS1311)が、これに限られない。例えば、判定テーブルと、当否判定用乱数記憶領域5131に記憶されている当否判定用乱数のうち最も早く記憶された乱数と、に基づいて当否判定を行い、その後、シフト処理を行っても良い。このとき、当否判定用乱数記憶領域5131に記憶されている当否判定用乱数を参照できるのは、変動開始時のみである。
[変動パターン設定処理について]
次に、変動パターン設定処理について図31に基づいて説明する。図31は、変動パターン設定処理(ステップS150)の一例を示すフローチャートである。
変動パターン設定処理は、当否判定結果に応じて変動パターンを設定する処理である。この処理では、先ず、複数種類の大当たりのうちいずれかの大当たりフラグがON状態であるか否かを判断する(ステップS1510)。ここで大当たりフラグがON状態であると(ステップS1510におけるYES)、大当たりの種別に対応する変動パターンに設定する(ステップS1520)。具体的には、第1長開放大当たりフラグがON状態であれば第1長開放大当たりに対応する変動パターンに設定し、第2長開放大当たりフラグがON状態であれば第2長開放大当たりに対応する変動パターンに設定し、第3長開放大当たりフラグがON状態であれば第3長開放大当たりに対応する変動パターンに設定し、第1短開放大当たりフラグがON状態であれば第1短開放大当たりに対応する変動パターンに設定し、第2短開放大当たりフラグがON状態であれば第2短開放大当たりに対応する変動パターンに設定する。そして、その後、ステップS1560に進んで変動時間値をタイマにセットし、処理フラグを「2」に更新(ステップS1570)したのち、変動パターン設定処理を終了する。
ステップS1510において、いずれの大当たりフラグもON状態でないとき(ステップS1510におけるNO)、小当たりフラグがON状態であるか否かを判断する(ステップS1530)。ここで、小当たりフラグがON状態であると(ステップS1530におけるYES)、小当たりに対応する変動パターンに設定し(ステップS1540)、ステップS1560に進み、処理フラグを「2」に更新(ステップS1570)して変動パターン設定処理を終了する。
ステップS1530において、小当たりフラグがON状態でないとき(ステップS1530におけるNO)、当否判定結果が大当たりおよび小当たりのいずれにも当選していない外れである判断し、外れに対応する変動パターンに設定し(ステップS1550)、ステップS1560に進み、処理フラグを「2」に更新(ステップS1570)して変動パターン設定処理を終了する。
なお、この変動パターン設定処理において設定された変動パターンに基づいて、第1特別図柄表示器84または第2特別図柄表示器86としての複数のLEDの点灯パターンによって表示される。
[変動中処理について]
次に、図32に基づいて、変動中処理について説明する。図32は、変動中処理の一例を示すフローチャートである。変動中処理では、先ず、特別図柄が変動中であるか否かを判断する(ステップS1801)。ここで、第1特別図柄表示器84および第2特別図柄表示器86のいずれかが変動中であれば変動中であると判断される。特別図柄が変動中でなければ(ステップS1801におけるNO)、そのまま、変動中処理を終了する。
ステップS1801において特別図柄が変動中であると判断すると(ステップS1801におけるYES)、ステップS1802に進み、変動時間が終了しているか否かを判断する。具体的には、変動パターン設定処理においてタイマにセットした変動時間が経過したか否かを判断する。ここで、変動時間が経過していなければ、変動時間が経過するまで待機する(ステップS1802におけるNO)。変動時間が経過すると(ステップS1802におけるYES)、特別図柄の変動を停止する(ステップS1803)。即ち、第1特別図柄表示器84または第2特別図柄表示器86のうち変動中の表示器において、第1特別図柄抽選手段900または第2特別図柄抽選手段910の抽選結果を導出表示する。
特別図柄の変動を停止すると(ステップS1803)、複数の大当たり種別のうちいずれかの大当たりフラグがON状態であるか否かを判断する(ステップS1804)。即ち、今回の変動が停止して抽選結果が導出された結果、いずれかの大当たり遊技を開始するか否を判断する。いずれかの大当たりフラグがON状態であると(ステップS1804におけるYES)、処理フラグを「3」に更新し(ステップS1805)、変動中処理を終了する。いずれの大当たりフラグもON状態でなければ(ステップS1804におけるNO)、次に小当たりフラグがON状態であるか否かを判断する(ステップS1806)。即ち、今回の変動が停止して抽選結果が導出された結果、小当たり遊技を開始するか否かを判断する。小当たりフラグがON状態であると(ステップS1806におけるYES)、処理フラグを「4」に更新し(ステップS1807)、変動中処理を終了する。小当たりフラグがON状態でなければ(ステップS1806におけるNO)、処理フラグを「0」に更新し(ステップS1808)、変動中処理を終了する。
[大当たり遊技開始処理について]
次に、図33に基づいて、大当たり遊技開始処理について説明する。この大当たり遊技開始処理では、先ず、確率変動機能が作動中であるか否かを判断する(ステップS2001)。上述のとおり、大当たり遊技が実行されているときは確変機能が作動しないため、確変機能が作動している場合には、確変機能の作動を停止して(ステップS2002)、ステップS2003に進む。一方、ステップS2001において確変機能が作動していないと判断すると(ステップS2001におけるNO)、ステップS2002をスキップしてステップS2003に進む。
ステップS2003では、開放延長機能が作動中であるか否かを判断する。上述のとおり、大当たり遊技が実行されているときは開放延長機能が作動しないため、開放延長機能が作動している場合には、開放延長機能の作動を停止して(ステップS2004)、ステップS2005に進む。一方、ステップS2003において開放延長機能が作動していないと判断すると(ステップS2003におけるNO)、ステップS2004をスキップしてステップS2005に進む。
ステップS2005では、長開放大当たりであるか否かを判断する。具体的には、第1長開放大当たりフラグ、第2長開放大当たりフラグおよび第3長開放大当たりフラグのうちいずれかのフラグがON状態であれば長開放大当たりであると判断し(ステップS2005におけるYES)、長開放大当たり遊技時におけるラウンド回数(例えば15ラウンド)、1ラウンド当たりの大当たり遊技用開閉装置500の最大開放時間(例えば30sec)および最大入賞数(例えば9球)をセットする(ステップS2006)。そして、その後、ステップS2008に進んで処理フラグを「5」に更新し、大当たり遊技開始処理を終了する。
一方、ステップS2005において、第1短開放大当たりフラグおよび第2短開放大当たりのうちいずれかのフラグがON状態であれば長開放大当たりではなく短開放大当たりであると判断し(ステップS2005におけるNO)、短開放大当たり遊技時におけるラウンド回数(例えば2ラウンド)、1ラウンド当たりの大当たり遊技用開閉装置500の最大開放時間(例えば0.6sec)および最大入賞数(例えば3球)をセットし、ステップS2008に進む。
[小当たり遊技開始処理について]
次に、図34に基づいて、小当たり遊技開始処理について説明する。この小当たり遊技開始処理では、先ず、小当たり遊技時における大当たり遊技用開閉装置500の開閉回数(例えば2回)、1回当たりの大当たり遊技用開閉装置500の最大開放時間(例えば0.6sec)、最大入賞数(例えば3球)をセットする。その後、処理フラグを「6」に更新して小当たり遊技開始処理を終了する。
[特別電動役物大当たり制御処理]
次に、図35に基づいて、特別電動役物大当たり制御処理について説明する。特別電動役物大当たり制御処理においては、先ず、大当たり遊技用開閉装置500が開放中であるか否かを判断する(ステップS2401)。大当たり遊技用開閉装置500が開放中であれば(ステップS2401におけるYES)、予めセットされた大当たり遊技用開閉装置500の最大開放時間が経過したか否かを判断する(ステップS2402)。具体的には、ステップS2006またはステップS2007においてセットされた最大開放時間が経過したか否かを判断する。大当たり遊技用開閉装置500の最大開放時間が経過したと判断すると(ステップS2402におけるYES)、大当たり遊技用開閉装置500を閉鎖して(ステップS2404)、ステップS2405に進む。
ステップS2402において大当たり遊技用開閉装置500の開放時間が経過していなければ(ステップS2402におけるNO)、予めセットされた最大入賞数の遊技球が大当たり遊技用開閉装置500に受け入れられたか否かを判断する(ステップS2403)。具体的には、開閉装置カウントセンサ776によるカウント値が、ステップS2006またはステップS2007においてセットされた最大入賞数に達したか否かを判断する。大当たり遊技用開閉装置500に最大入賞数の遊技球が受け入れられたと判断すると(ステップS2403におけるYES)、ステップS2404に進み、大当たり遊技用開閉装置500を閉鎖する。一方、大当たり遊技用開閉装置500に最大入賞数の遊技球が受け入れられていなければ、ステップS2402に戻る。
ステップS2405では、予めセットされたラウンド数に達したか否かを判断する(ステップS2405)。具体的には、ステップS2006またはステップS2007においてセットされたラウンド数に達したか否かを判断する。ここで、予めセットされたラウンド数に達していれば(ステップS2405におけるYES)ステップS2407に進み、大当たりフラグ(第1〜第3長開放大当たりフラグおよび第1・第2短開放大当たりフラグのうちON状態となっているフラグ)をOFFにする。一方、予めセットされたラウンド数に達していなければ(ステップS2405におけるNO)、大当たり遊技用開閉装置500の開放処理を行い(ステップS2406)、ステップS2402に戻る。
なお、ステップS2401において、大当たり遊技用開閉装置500が開放中でないと判断されると(ステップS2401におけるNO)、ステップS2405に進む。
ステップS2407において大当たりフラグをOFFにしたのち、確変機能を作動すべきか否かを判断し(ステップS2408)、確変機能を作動すべきであれば確変機能の作動処理を行う(ステップS2409)。具体的には、ステップS2407においてOFFにされた大当たりフラグが、第1長開放大当たりフラグ、第2長開放大当たりフラグ、第1短開放大当たりフラグおよび第2短開放大当たりフラグのうちいずれかのフラグであれば、確変機能を作動する。即ち、これまで行われていた大当たり遊技が、第1長開放大当たり遊技、第2長開放大当たり遊技、第1短開放大当たり遊技および第2短開放大当たり遊技のうちのいずれかであれば、確変機能を作動する。
次いで、開放延長機能を作動すべきか否かを判断し(ステップS2410)、開放延長機能を作動すべきであれば開放延長機能の作動処理を行う(ステップS2411)。その後、処理フラグを「0」に更新し(ステップS2415)、特別役物大当たり制御処理を終了する。一方、ステップS2410において開放延長機能を作動させないと判断された場合(ステップS2410におけるNO)にも、ステップS2415に進んで処理フラグを「0」に更新し、特別役物大当たり制御処理を終了する。
ところで、本実施形態では、開放延長機能を作動すべきか否かについて、当該大当たりが当選した際の遊技状態が重大な影響を及ぼす。
具体的には、外部通常遊技状態Aまたは外部通常遊技状態Bであるときに大当たりに当選して大当たり遊技が実行された場合であれば、ステップS2407においてOFFとされた大当たりフラグが第1長開放大当たりフラグまたは第1短開放大当たりフラグであるときに限り、ステップS2410において開放延長機能を作動すべきと判断される。一方、ステップS2407においてOFFとされた大当たりフラグが第2長開放大当たりフラグまたは第2短開放大当たりフラグであるとき、ステップS2408において確変機能を作動すべきと判断されるにも拘らず、ステップS2410において開放延長機能を作動しない旨が判断される。
また、外部有利遊技状態Aまたは外部有利遊技状態Bであるときに大当たりに当選して大当たり遊技が実行された場合であれば、ステップS2407においてOFFとされた大当たりフラグがいかなる種別の大当たりフラグであったとしても、ステップS2410において開放延長機能を作動すべきと判断される。即ち、ステップS2407においてOFFとされた大当たりフラグが、第1長開放大当たり、第2長開放大当たり、第1短開放大当たりおよび第2短開放大当たりのいずれであっても(第3長開放大当たりに当選した場合にステップS2410に進むことはあり得ない)、ステップS2410において開放延長機能を作動すべきと判断される。従って、一旦、第1長開放大当たり遊技または第1短開放大当たり遊技が実行されると、第3長開放大当たり遊技が実行されない限り、第2長開放大当たり遊技や第2短開放大当たり遊技が実行されたのちの遊技状態が、外部有利遊技状態Bとなる。
より厳密に言えば、上記ステップS2410の処理では、まず、大当たりフラグに基づいて、上記第1長開放大当たり及び上記第1短開放大当たりのいずれかに当選したか否かの判断を行う。そしてこの結果、上記第1長開放大当たり及び上記第1短開放大当たりのいずれかに当選した旨判断されれば、上記ステップS2411の処理において、開放延長機能を作動させることとなる。
ただし、上記ステップS2410の処理では、上記第1長開放大当たり及び上記第1短開放大当たりのいずれにも当選しておらず、上記第2長開放大当たり及び上記第2短開放大当たりのいずれかに当選している旨判断される場合もある。このような場合には、該当する当たり(第2長開放大当たりまたは第2短開放大当たり)が当選された時点(大当たり遊技が行われる前の時点)で上記開放延長機能が作動していたか否かの判断をさらに行う。そしてこの結果、上記開放延長機能が作動していなかった旨判断されたときは(外部通常遊技状態Aまたは外部通常遊技状態B)、上記ステップS2411の処理に移行することなく(開放延長機能を作動させることなく)、処理フラグを「0」に更新した時点で(ステップS2415)、当該特別役物大当たり制御処理を終了する。一方、上記開放延長機能が作動していた旨判断されれば(外部有利遊技状態Aまたは外部有利遊技状態B)、上記ステップS2411の処理において、開放延長機能を作動させた後、処理フラグを「0」に更新した時点で(ステップS2415)、当該特別役物大当たり制御処理を終了することとなる。
このような構成では、外部通常遊技状態Aまたは外部通常遊技状態Bにある限りは、上記第2長開放大当たりや、上記第2短開放大当たりは、あくまで「外部通常遊技状態に移行する契機となる当たり」でしかない。ただし、上記第1長開放大当たり及び上記第1短開放大当たりのいずれかが当選されて開放延長機能が作動する遊技状態(外部有利遊技状態)に移行した後は、上記第2長開放大当たりや、上記第2短開放大当たりは、「外部有利遊技状態に移行する契機となる当たり(遊技者にとって最も有利度の高い当たり)」となり、その遊技価値が大きく変わるようになる。この意味では、上記第1長開放大当たりや、上記第1短開放大当たりは、「上記第2長開放大当たり及び上記第2短開放大当たりとしての遊技価値を異ならしめる遊技状態(覚醒遊技状態)に移行する契機となる当たり」とも言える。
一方、この実施の形態では、上記ステップS2408において、確変機能を作動すべきでない当たり(第3長開放大当たり)に当選している旨判断されたときも(ステップS2408におけるNO)、該当する当たり(第3長開放大当たり)が当選された時点(大当たり遊技が行われる前の時点)で上記開放延長機能が作動していたか否かの判断を行うようにしている(ステップS2412)。そしてこの結果、上記開放延長機能が作動していなかった旨判断されたときは(外部通常遊技状態Aまたは外部通常遊技状態B)、その時点で上記処理フラグを「0」に更新する(ステップS2415)。ただし、上記ステップS2412の処理において、開放延長機能が作動していた旨判断されたときは(外部有利遊技状態Aまたは外部有利遊技状態B)、開放延長機能の作動処理を行う(ステップS2413)。そしてこの後、開放延長機能の作動回数(例えば100回)を設定した時点で(ステップS2414)、ステップS2415に進んで処理フラグを「0」に更新し、特別電動役物大当たり制御処理を終了する。
このような構成では、上記外部有利状態にあるときに上記第3長開放大当たりが当選されてしまったとしても、該当選に応じた大当たり遊技が行われた後、所定の期間内は、上記第2長開放大当たりや、上記第2短開放大当たりが、「外部有利遊技状態に移行する契機となる当たり(遊技者にとって最も有利度の高い当たり)」として機能する状態とされるようになる。
なお、外部通常遊技状態であるときに大当たりに当選して大当たり遊技が実行された場合であれば、ステップS2407においてOFFとされた大当たりフラグがいかなる大当たりフラグであったとしても、ステップS2412において開放延長機能を作動すべきと判断されることはない(即ちステップS2412に続いてステップS2415に進む)。第3長開放大当たりに当選しない限りステップS2412に進むことはあり得ないからである。
一方、外部有利遊技状態であるときに大当たりに当選して大当たり遊技が実行された場合であれば、ステップS2407においてOFFとされた大当たりフラグが第3長開放大当たりフラグであるときに、ステップS2412において開放延長機能を作動すべきと判断され、ステップS2413に進む。なお、ステップS2407においてOFFとされた大当たりフラグが第3長開放大当たりフラグでなければステップS2412に進むことがなく常にステップS2409に進むので、ステップS2412においてNOと判断されることはあり得ない。
[特別電動役物小当たり制御処理]
次に、図36に基づいて、特別電動役物小当たり制御処理について説明する。特別電動役物小当たり制御処理では、先ず、ステップS2201においてセットされた最大入賞数の遊技球が大当たり遊技用開閉装置500に入賞したか否かを判断する(ステップS2501)。最大入賞数の遊技球が大当たり遊技用開閉装置500に入賞していれば(ステップS2501におけるYES)、大当たり遊技用開閉装置500が開閉中か否かを判断する(ステップS2502)。大当たり遊技用開閉装置500が開閉中であれば(ステップS2502におけるYES)、大当たり遊技用開閉装置500を閉鎖して(ステップS2503)、小当たりフラグをOFF状態にする(ステップS2509)。ステップS2502において大当たり遊技用開閉装置500が開放中でなければ(即ち閉鎖していれば)、ステップS2509に進み、小当たりフラグをOFF状態にする。そして、その後、ステップS2510に進み、処理フラグを「0」に更新して、特別電動役物小当たり制御処理を終了する。
ステップS2501において最大入賞数の遊技球が大当たり遊技用開閉装置500に入賞していないと判断すると、大当たり遊技用開閉装置500が開放中であるか否かを判断する(ステップS2504)。ここで、大当たり遊技用開閉装置500が開放中であれば(ステップS2504におけるYES)、ステップS2201において予めセットされた開放時間が経過しているか否かを判断し(ステップS2505)、開放時間が経過していれば(ステップS2505におけるYES)、大当たり遊技用開閉装置500を閉鎖する(ステップS2506)。その後、大当たり遊技用開閉装置500の開閉回数が、ステップS2201において予めセットされた回数に達しているか否かを判断し(ステップS2507)、当該予めセットされた回数に達していれば(ステップS2507におけるYES)、小当たりフラグをOFFにした(ステップS2509)のち、処理フラグを「0」に更新する(ステップS2510)。ステップS2504において大当たり遊技用開閉装置500が開放中でないと判断すると(ステップS2504におけるNO)、ステップS2507に進む。
なお、ステップS2505において大当たり遊技用開閉装置500の開放時間が予め定めた時間を経過していないと判断したとき(ステップS2505におけるNO)、ステップS2501に戻る。また、ステップS2507において大当たり遊技用開閉装置500の開放回数が予め定めた回数に達していないと判断したとき(ステップS2507におけるNO)、大当たり遊技用開閉装置500を再び開放し(ステップS2508)、その後、ステップS2501)に戻る。
このように、予めセットされた遊技球が大当たり遊技用開閉装置500に入賞したと判断すると(ステップS2501におけるYES)、ステップS2201において予めセットされた大当たり遊技用開閉装置500の開閉回数に達したか否かに拘らず、特別電動役物小当たり制御処理を終了する。
[遊技内容について]
次に、各遊技状態における遊技内容について図37〜図42を参照して説明する。本実施形態のパチンコ機1では、内部的には、外部通常遊技状態A、外部通常遊技状態B、外部有利遊技状態A、外部有利遊技状態Bのいずれかに設定されることは上述した通りである。ただし、本実施形態のパチンコ機1では、外部的には、外部通常遊技状態A及び外部通常遊技状態Bのいずれかの状態にあるときは、それらいずれの状態にあるかにかかわらず、予め定められた単一(1つ)の遊技状態(イニシャル時の遊技状態でもある外部通常遊技状態)にあることが遊技者に淡々と示唆されるのみである。
すなわち、各始動口600,602,604のうちいずれかに遊技球が入賞すると、第1特別遊技抽選手段900または第2特別図柄抽選手段910により特別図柄の抽選が行われる。当該抽選結果は、第1特別図柄表示器84または第2特別図柄表示器86に表示されると共に、演出表示装置115において装飾図柄の停止図柄の組み合わせにより表示される。
図37〜図42に示すように、演出表示装置115には、三つの図柄列からなる装飾図柄が表示され、当該装飾図柄の各図柄列には、1〜8の装飾図柄が順に配列されて表示される。この装飾図柄のうち、3および7は赤で表示され、1、2、5および6はピンクで表示され、4および8は青で表示される。以下、赤で表示される図柄を特定図柄、ピンクで表示される図柄を準特定図柄、青で表示される図柄を非特定図柄と称する。
ここで、図37は外部通常遊技状態(内部的には、外部通常遊技状態Aまたは外部通常遊技状態B)において演出表示装置115に表示される画像であって、(a)は背景画像がドーム球場、(b)は背景画像が客船、(c)は背景画像が夜景、の画像である。外部通常遊技状態のときは、図37(a)〜(c)のうちいずれかの画像にランダムに選択決定される。なお、操作ボタン327によって図37(a)〜(c)のうちいずれかの画像に選択決定できるようにしても良い。これにより、遊技者の所望の画像が演出表示装置115に表示されることとなり、興趣の低下を抑制できる。
外部通常遊技状態において、第1特別遊技抽選手段900または第2特別図柄抽選手段910による抽選処理(以下、単に「特別図柄抽選処理」と称する)にて第1長開放大当たり、第2長開放大当たりまたは第3長開放大当たりに当選すると、装飾図柄が縦方向にスクロール変動し、その後、ゾロ目(三つの図柄列が同じ図柄となること)で停止表示される。
なお、特別図柄抽選処理の結果は、装飾図柄のみでなく、演出表示装置115に表示される画像の右下にも特別図柄対応図柄1000,1002として表示される。ここで、第1特別図柄抽選手段900による抽選結果は第1特別図柄対応図柄1000として表示され、第2特別図柄抽選手段920による抽選結果は第2特別図柄対応図柄1002として表示される。
ところで、外部通常遊技状態において、リーチが発生しない場合における第1特別図柄の変動時間は、第1特別図柄保留カウンタ903によるカウンタ値(所謂保留数)によって異なっており、変動開始時における当該カウンタ値(変動開始に伴ってカウンタ値が減算されたのちの値)が3であれば概ね11secとなっている。また、当該カウンタ値が2であれば概ね6sec、当該カウンタ値が0または1であれば概ね3secとなっている。また、リーチが発生しない場合における第2特別図柄の変動時間も、第1特別図柄の変動時間と同様、第2特別図柄保留カウンタ913によるカウンタ値(所謂保留数)によって異なっており、変動開始時における当該カウンタ値が3であれば概ね11sec、当該カウンタ値が2であれば概ね6sec、当該カウンタ値が0または1であれば概ね3secとなっている。なお、リーチが発生する場合には、リーチ種別に対応した変動時間に決定される。また、装飾図柄の変動時間および特別図柄対応図柄の変動時間は、特別図柄の変動時間とほぼ同じである。
上記特別図柄抽選処理の結果が第1長開放大当たりであるとき、装飾図柄は、特定図柄、準特定図柄または非特定図柄のゾロ目で停止表示され、その後、第1長開放大当たりに基づく長開放大当たり遊技が実行される。当該長開放大当たり遊技が終了したのちの遊技状態は、特別図柄抽選処理にて大当たりに当選するまで、外部有利遊技状態Bとなる。なお、詳細は後述するが、外部通常遊技状態時における特別図柄抽選処理の結果が第1長開放大当たりに基づく長開放大当たり遊技が終了したのち、遊技者に大きな利益がもたらされる可能性がある有利な「昇格モード」に突入する。
一方、上記特別図柄抽選処理の結果が第2長開放大当たりまたは第3長開放大当たりであるとき、装飾図柄は、準特定図柄または非特定図柄のゾロ目で停止表示され(特定図柄のゾロ目で停止表示されることはない)、その後、第2長開放大当たりまたは第3長開放大当たりに基づく長開放大当たり遊技が実行される。
特別図柄抽選処理の結果が第2長開放大当たりであったことに基づく長開放大当たり遊技が終了したのちの遊技状態は、外部通常遊技状態Bとなる。特別図柄抽選処理の結果が第3長開放大当たりであったことに基づく長開放大当たり遊技が終了したのちの遊技状態は、外部通常遊技状態Aである。換言すれば、特別図柄抽選処理の結果が第2長開放大当たりであったとき、および、特別図柄抽選処理の結果が第3長開放大当たりであったとき、のいずれの場合であっても、これらの大当たりに基づく長開放大当たり遊技が終了したのちの外部遊技状態は、図37に示したような、上記イニシャル時(データメモリの初期化処理の直後)の演出の際にも用いられる通常外部遊技状態となる。従って、遊技者は、自己にとって有利でない遊技状態であると判断して遊技を行うこととなる。
このように、外部通常遊技状態にて演出表示装置115に表示された装飾図柄が特定図柄のゾロ目であれば、その時点で第1長開放大当たりに当選したことを把握できる。これにより、第1長開放大当たり遊技終了後の遊技状態が外部有利遊技状態Bとなる(即ち昇格モードに突入する)ことを把握できるので、遊技者に大きな期待感を与えることができ、興趣の低下を抑制できる。
一方、外部通常遊技状態にて演出表示装置115に表示された装飾図柄が準特定図柄または非特定図柄であれば、この段階ではいずれの大当たりに当選したのかを把握することはできない。ただし、演出表示装置115に表示された装飾図柄が準特定図柄または非特定図柄であったとしても、第1長開放大当たりに当選していれば、大当たり遊技中または大当たり遊技が終了したのちに第1長開放大当たりであったことが報知される。従って、遊技者は、「昇格モード」に突入するのではないかといった期待感を抱きながら大当たり遊技を実行することとなるので、単調となりがちな大当たり遊技中における興趣の低下を抑制できる。
また、遊技状態に拘らず特別図柄抽選処理の結果が第1短開放大当たり、第2短開放大当たりまたは小当たりであるとき、本実施形態では、演出表示装置115においてゾロ目が表示されずにチャンス目が表示される。上記特別図柄抽選処理の結果が第1短開放大当たりであれば、第1短開放大当たりに基づく短開放大当たり遊技を実行し、当該短開放大当たり遊技が終了したのちの遊技状態が外部有利遊技状態Bとなる(開放延長機能が作動することにより、第1短開放大当たりであったことが把握できる)。上記特別図柄抽選処理の結果が第1短開放大当たりであったことに基づく短開放大当たり遊技が終了したのち、「昇格モード」に突入する。
一方、上記特別図柄抽選処理の結果が第2短開放大当たりであれば、当該第2短開放大当たりに基づく短開放大当たり遊技を実行し、当該短開放大当たり遊技が終了したのちの遊技状態が外部通常遊技状態Bとなる。また、特別図柄抽選処理の結果が小当たりであれば小当たり遊技を実行する。なお、当該小当たり遊技の実行は条件装置の作動が条件ではないので、小当たり遊技が実行されても遊技状態は変更しない。例えば、外部通常遊技状態Aにあるときに小当たりに当選した場合には小当たり遊技の終了後も外部通常遊技状態Aのままであり、外部通常遊技状態Bにあるときに小当たりに当選した場合には小当たり遊技の終了後も外部通常遊技状態Bのままである。
これに対し、外部的には、外部通常遊技状態であるときに特別図柄抽選処理の結果が第2短開放大当たりまたは小当たりであれば、当該第2短開放大当たりに基づく短開放大当たり遊技または当該小当たりに基づく小当たり遊技が終了した後の遊技状態は、いずれも外部通常遊技状態となり、一対の可動片606の動作が促進態様に制御されることもない。このため、遊技者から見れば、遊技状態に変化はないように見える。
なお、上述した図柄乱数の乱数幅に対する第1長開放大当たりの乱数の数、第2長開放大当たりの乱数の数、第3長開放大当たりの乱数の数、第1短開放大当たりの乱数の数および第2短開放大当たりの乱数の数に基づけば、外部通常遊技状態にあるときに「昇格モードに突入する確率」は、概ね3分の1である。なお、『外部通常遊技状態にあるときに「昇格モード」に突入する確率』とは、外部通常遊技状態にあるときに「昇格モードに移行する契機となるチャンス当たりの当たり分配率」のことであり、具体的には、外部通常遊技状態における特別図柄の抽選処理にて大当たり遊技に当選し、当該大当たり遊技への当選に基づく大当たり遊技が終了したのちに「昇格モード」に突入する確率が、大当たり遊技が実行される回数のうち概ね3分の1であることを意味する。
外部通常遊技状態において第2長開放大当たりまたは第3長開放大当たりに当選すると、当該第2長開放大当たりまたは当該第3長開放大当たりへの当選に基づく長開放大当たり遊技が終了したのちは、いずれも外部通常遊技状態となる。ただし、内部的には、このときの当選種別が第2長開放大当たりであれば、当該第2長開放大当たり遊技終了後の遊技状態は外部通常遊技状態Bとなり、第3長開放大当たりであれば、当該第3長開放大当たり遊技終了後の遊技状態は外部通常遊技状態Aとなる。
このように、外部通常遊技状態において第2長開放大当たり及び第3長開放大当たりのいずれかに当選したときは、いずれの当選種別であったとしても、該当する当たりに応じた大当たり遊技が終了したのち、再び外部通常遊技状態となり、外部通常遊技状態である旨を示す演出画像が演出表示装置115に再度表示されることとなる。さらに、本実施形態のパチンコ機1には、遊技状態を常時表示する状態報知ランプ(例えば、抽選処理が行われるとき、確変機能が作動しているか否かを表示するランプ)も設けられていない。従って、遊技者は、内部的に外部通常遊技状態Aおよび外部通常遊技状態Bのいずれであっても、自己に有利でない遊技状態(イニシャル時にも現れる遊技状態)であると判断して遊技を行うこととなる。換言すれば、遊技者は、上記一対の可動片606が動作するときの動作態様が上記イニシャル時と同様であることから、上記イニシャル時から遊技状態に変化はなく、上記大当たりの当選確率も上記イニシャル時に採用される当選確率A(第1の確率)と同様だろうと判断して遊技を行うこととなる。
ただし、上述した図柄乱数の乱数幅に対する第2長開放大当たりの乱数の数(第2長開放大当たりの当たり分配率)、及び第3長開放大当たりの乱数の数(第3長開放大当たりの当たり分配率)に基づけば、外部通常遊技状態において、上記第2長開放大当たりに当選する確率と、第3長開放大当たりに当選する確率とは同等程度(概ね2対3)とされている。このような構成によれば、第2長開放大当たり及び第3長開放大当たりのいずれかの当選によって上記外部通常遊技状態に連続して移行されたときは、上記イニシャル時にも採用される当選確率A(第1の確率)をもって抽選処理が行われるときと、該当選確率Aよりも高確率とされた当選確率B(第2の確率)をもって抽選処理が行われるときとで同一の遊技状態にあることが遊技者に示唆される状況のもとで、これら当選確率A及び当選確率Bの二重標準をもって上記大当たりについての抽選処理(この実施の形態では、図柄乱数に応じて当選種を決定する処理も含めた一連の処理)が行われることとなる。したがって、遊技者は、このようなイニシャル時と同様の外部通常遊技状態に連続して移行したにもかかわらず、前回の大当たり遊技が行われてから少ない抽選回数のうちに上記大当たりが当選されるサプライズ当たり(予想外大当たり)、ひいてはいわゆる大当たりの連荘を享受し易くなる。
ちなみに、図38は、外部通常遊技状態にあるときに上記演出表示装置115に現れる演出態様の一態様を示す画像であり、例えば、第2長開放大当たり及び第3長開放大当たりのいずれかの当選によって外部通常遊技状態に連続して移行したときなどに上記演出表示装置115に現れるものである。この画像では、背景画像がドーム球場となっており、装飾図柄は、縦方向にスクロール変動を行う。このように、外部通常遊技状態にある限りは、内部の遊技状態にかかわらず、予め定められた単一(1つ)の遊技状態(上記イニシャル時にも採用される外部通常遊技状態)にあることが遊技者に淡々と示唆される。
なお、本実施形態では、第2長開放大当たりまたは第3長開放大当たりへの当選に基づく長開放大当たり遊技が終了したのち、特別図柄抽選処理が最大50回行われるまで図38に示す画像が表示される。そして、特別図柄抽選処理の結果が50回行われる間に大当たり遊技が発生しなければ、図38に示す画像が表示されたのち、図37(a)〜(c)のうちいずれかの画像が表示される。
ところで、上述した図柄乱数の乱数幅に対する第2長開放大当たりの乱数の数(第2長開放大当たりの当たり分配率)および図柄乱数の乱数幅に対する第3長開放大当たりの数(第3長開放大当たりの当たり分配率)に基づけば、第2長開放大当たりに基づく大当たり遊技と第3長開放大当たり遊技との比率は概ね2対3となる(即ち、第2長開放大当たりまたは第3長開放大当たりに基づく長開放大当たり遊技が終了したのちの遊技状態は、外部通常遊技状態Aである場合と外部通常遊技状態Bになる場合との比率が概ね3対2となる)。従って、第2長開放大当たりまたは第3長開放大当たりに基づく長開放大当たり遊技が終了したのちの遊技状態において、特別図柄の変動が数10回転行われるまでの間に大当たりに当選する頻度が高くなり、所謂数珠連なりで大当たり遊技が実行されうることとなる。なお、外部通常遊技状態Bであれば特別図柄の変動が数10回転行われるまでの間に極めて高い頻度で大当たりに当選することは言うまでもないが、仮に外部通常遊技状態Aであったとしても、本実施形態における外部通常遊技状態A時の大当たりへの当選確率上、特別図柄の変動が数10回転行われるまでの間に大当たりに当選する可能性がある。
一方、遊技者は確変機能が作動しない外部通常遊技状態Aであることを前提として遊技を行っているので、第2長開放大当たりまたは第3長開放大当たりに基づく長開放大当たり遊技が終了したのち数10回転といった、確変機能が作動しない外部通常遊技状態A時における大当たりの当選確率と比較して早い段階で数珠連なりで大当たりに当選することは遊技者にとって予想外のことである。このように予想外に大当たりに当選すると(以下、このような大当たりを「予想外大当たり」と称する)、遊技者は自らに“ツキ(幸運であること)”があると思い込み、気分良く遊技を行うことができ、興趣の低下を抑制できる。
このような予想外大当たりは、第2長開放大当たりまたは第3長開放大当たりに基づく長開放大当たり遊技が終了したのちの遊技状態がいかにも確変機能が作動しない遊技状態であるように見せつつも、実際には確変機能が作動する外部通常遊技状態Bの場合を積極的に(外部通常遊技状態Bと同程度に)存在させることにより発生するものである。従って、確変機能が作動しない外部通常遊技状態A時における大当たりの当選確率のみに頼った単なる偶然により数珠連なりで大当たり遊技が実行されるわけではなく、意図的に比較的高い頻度で数珠連なりで大当たりに当選しうるので、興趣の低下を抑制できる。しかも、第2長開放大当たりまたは第3長開放大当たりに基づく長開放大当たり遊技が終了したのちに予想外大当たりとなる可能性があるにも拘らず、その逆、即ち特別図柄の変動回数が例えば何千回転といった所謂ハマリに陥る遊技状態に意図的に設定されることもないので(ただし、所謂ハマリに偶然陥る可能性は確率上ありうる)、遊技続行の意欲が失われることがなく、興趣の低下を抑制できる。
言い換えれば、第2長開放大当たりまたは第3長開放大当たりに基づく長開放大当たり遊技が終了したのちの外部通常遊技状態では、イニシャル時に採用される当選確率Aと、該当選確率Aよりも高い確率とされた当選確率Bと、の2つの当選確率のいずれかを同等程度でもって(当選確率Aと当選確率Bとの二重標準によって)上記大当たりについての抽選処理(この実施の形態では、図柄乱数に応じて当選種を決定する処理も含めた一連の処理)が実行される。そのため、この外部通常遊技状態が繰り返される場合であっても、少なくとも外部通常遊技状態Aと同じ当選確率Aが維持されることから、長期間に亘って大当たりに当選しない状態に陥る事態が排除され、かつ、大当たりに当選しやすい当選確率Bによって外部通常遊技状態に大当たりへの当選しやすさに変化(所謂、波)をもたせることができる。
また、外部通常遊技状態に移行する契機となる第2長開放大当たりおよび第3長開放大当たりへの各々への当選確率がこのように同程度となるようにすれば、外部通常遊技状態において当選確率Bをもって大当たり抽選処理が実行される期待度が高くなる。言い換えれば、外部通常遊技状態において当選確率Aが採用される割合と当選確率Bが採用される割合を考慮すると、外部通常遊技状態で期待される当選確率(平均確率)は当選確率Aよりも大幅に高くなるため、遊技者の外部通常遊技状態に期待感が一層高まる。
[タイムリミットモードについて]
本実施形態のパチンコ機1では、外部通常遊技状態において第2短開放大当たりまたは小当たりに当選したとき、第2短開放大当たり当選に基づく短開放大当たり遊技または小当たり当選に基づく小当たり遊技が終了したのち、「タイムリミットモード」に突入する。
図39はタイムリミットモードにおいて演出表示装置115に表示される画像である。この「タイムリミットモード」では、図39に示すように、演出表示装置115に8文字のアルファベットが8文字表示される。タイムリミットモードに突入したとき、全てのアルファベットが黒抜き表示され、遊技の進行に応じて部分的に着色表示される。図39では、「I」、「K」、「A」および「D」が黒抜き表示であり、「P」、「N」、「L」および「Y」が着色表示である。タイムリミットモードでは、遊技の進行に応じて当該アルファベットの黒抜表示が着色表示に変更されていき、予め示された限られた一定の時間内で8文字全てのアルファベットが着色表示に変わると、大当たり遊技が開始される。なお、このタイムリミットモードにおいて、装飾図柄は、図39にように縦方向にスクロール変動を行う。
確変機能および開放延長機能の両方とも作動しない外部通常遊技状態Aにおいて第2短開放大当たりまたは小当たりに当選したことによって「タイムリミットモード」に突入すると、このタイムリミットモードにおける遊技状態は、外部通常遊技状態Aである場合と外部通常遊技状態Bである場合とがある。上述した当否判定用乱数の乱数幅に対する大当たりの乱数の数、図柄乱数の乱数幅に対する第2短開放大当たりおよび当否判定用乱数の乱数幅に対する小当たりの乱数の数に基づけば、外部通常遊技状態Aにおける第2短開放大当たりへの当選確率と小当たりへの当選確率との比率が1対19となる。
一方、外部通常遊技状態Bにおいて第2短開放大当たりまたは小当たりに当選したことによって「タイムリミットモード」に突入した場合には、このときの遊技状態は常に外部通常遊技状態Bとなる。小当たりは条件装置の作動を伴う当たりではないので、外部通常遊技状態Bにおいて小当たりに当選しても外部通常遊技状態Bが継続するからである。
ところで、「タイムリミットモード」における遊技状態は外部通常遊技状態Aの場合と外部通常遊技状態Bの場合とがあるものの、いずれも、遊技者からは単に外部通常遊技状態とでしか認識できない遊技状態である。ただし、外部通常遊技状態Aにおいて第2長開放大当たりまたは第3長開放大当たりに当選し、当該第2長開放大当たりまたは当該第3長開放大当たりへの当選に基づく長開放大当たり遊技が終了したのちの遊技状態のように、いかにも確変機能が作動しない遊技状態であると遊技者に思わせるのではなく、上述のように、一定の限られた時間内に所定の事項(本実施形態では、8文字全てのアルファベットについての黒抜き表示部分が着色表示されるといった事項)が達成されると大当たり遊技が開始されるといったように、ある程度の期待感を遊技者に与えている。しかも、小当たりへの当選確率は大当たりへの当選確率よりも高いため、比較的高い頻度で「タイムリミットモード」に突入することとなり、興趣の低下を抑制できる。
なお、外部的には、8文字全てのアルファベットについての黒抜き表示部分が着色表示されると大当たり遊技が開始するが、内部的には、大当たりに当選したときに、8文字全てのアルファベットについて着色表示するといった処理を行っている。従って、外部通常遊技状態Bであるときは、外部通常遊技状態Aであるときよりも、黒抜き表示のアルファベットよりも着色表示のアルファベットの方が多くなるようにして、遊技者に期待感を与えている。
また、本実施形態では、「タイムリミットモード」に突入すると、演出表示装置115の左下の領域に、「タイムリミットモード」の残り時間を示すタイマ1004が表示される。ここで、「タイムリミットモード」の時間は、遊技状態が外部通常遊技状態Aであるか外部通常遊技状態Bであるかに拘らず一定時間(本実施形態では3分間)である。1分間当たりの特別図柄の変動回数は平均して5回程度なので、「タイムリミットモード」における特別図柄の変動回数は15回程度となる(リーチ演出等特別図柄の変動時間が長い変動表示が行われるとさらに変動回数が少なくなる)。この15回という回数は、外部通常遊技状態Bにおける大当たりへの当選確率の逆数の半分以下である。
このように、「タイムリミットモード」では、上記第2短開放大当たりの当選によって、上記イニシャル時に採用される大当たりの当選確率Aよりも高い確率とされた当選確率Bをもって上記大当たりについての抽選処理(この実施の形態では、図柄乱数に応じて当選種を決定する処理も含めた一連の処理)が行われるか、上記小当たり(状態維持当たり)の当選(選出)によって、該当選時の外部通常遊技状態が維持される状況のもとでの抽選処理が行われるようになる。すなわち、上記第2短開放大当たりの当選によって、上記当選確率Bをもって抽選処理が行われる遊技状態に移行されている場合があることから、「タイムリミットモード」中の大当たりへの期待度を好適に確保することができるようになり、ひいては「タイムリミットモード」中での遊技の興趣の低下を抑制することができるようになる。
またさらに、この実施の形態では、上述の通り、外部通常遊技状態に連続して移行されたときは、イニシャル時に採用される当選確率Aと、該当選確率Aよりも高い確率とされた当選確率Bとの2つの当選確率のいずれかを同等程度(当選確率Aと当選確率Bとを二重標準)で採用するとともに、当選確率Aをもって抽選処理を行うときと当選確率Bをもって抽選処理を行うときとにかかわらず予め定められた単一(1つ)の遊技状態にあることが遊技者に示唆される状況のもとで、当該抽選処理をそれら当選確率A及び当選確率Bのいずれかをもって行うようにしている。したがって、上記第2短開放大当たりの当選、及び上記小当たりの当選のいずれを契機として「タイムリミットモード」に突入したとしても、上記当選確率Aのみをもって上記抽選処理が行われることが遊技者から見て確定されている場合と比較すれば、大当たり期待度を飛躍的に高くすることが可能となる。
ところで、「タイムリミットモード」における内部の遊技状態が外部通常遊技状態Bであったとき、「タイムリミットモード」中に大当たりに当選しなかったとしても、内部の遊技状態は外部通常遊技状態Bのままである。即ち、「タイムリミットモード」において、8文字全てのアルファベットについての黒抜き表示部分が着色表示されることがないまま当該「タイムリミットモード」が終了してしまったとしても確変機能は作動したままなので、比較的早い段階で大当たり遊技が発生しうることとなる。
本実施形態では、「タイムリミットモード」における内部の遊技状態が仮に外部通常遊技状態Bであったとしても、「タイムリミットモード」にて大当たりに当選するとは限らない。即ち、「タイムリミットモード」における特別図柄の変動回数は上述のとおり15回程度であるのに対し、外部通常遊技状態Bにおける大当たり当選確率の逆数が15の倍以上となっている。即ち、「タイムリミットモード」が外部通常遊技状態Bであったことを前提としても、「タイムリミットモード」にて大当たりに当選する確率は半分以下ある。これにより、遊技者に一旦は落胆させるものの復活して大当たり当選したように思わせることができ、遊技者に一層の喜びを与えることができ、興趣の低下を抑制できる。しかも、「タイムリミットモード」が終了すると、たとえ外部通常遊技状態Bであったとしても演出表示装置115の背景画像等、外部的には外部通常遊技状態Aの場合と極似する態様となっているので、「タイムリミットモード」が終了したときに、遊技者に大きな落胆を与えることができる。この落胆の度合いが大きいほど、相対的に早い段階で大当たり遊技が発生したときの喜びが大きくなるので、より一層、興趣の低下を抑制できる。
また、「タイムリミットモード」には、小当たりのみならず第2短開放大当たりに当選しても突入するようにしているので、従来のような単なる演出のみにすぎない所謂ミッションモードとは異なり、「タイムリミットモード」において大当たりに当選する期待度を向上させることができる。さらに、本実施形態では、第2長開放大当たりに当選したのちの外部通常遊技状態(即ち外部通常遊技状態B)において小当たりに当選しても「タイムリミットモード」に突入する。この場合、「タイムリミットモード」では、第2長開放大当たりに基づいて確変機能が作動していることから、大当たりに極めて当選しやすい。これにより、「タイムリミットモード」において大当たりに当選する期待度を一層向上させることができる。
「タイムリミットモード」では、先述と同様に、確変機能が未作動となる当選確率Aと、確変機能が作動する当選確率Bと、の2つの当選確率(二重標準)のいずれかをもって大当たり抽選処理が実行される。そして、「タイムリミットモード」において当選確率Bをもって大当たり抽選処理が実行される期待度を高めるため、第2短開放大当たりに当選すると「タイムリミットモード」に突入するようにした。ただし、第2短開放大当たりのような、「大当たりが当選されたにもかかわらず遊技者に対して定量の遊技球の払い出しが促されない当たり」は、大当たりとしての価値の低さが遊技者に認識されつつあり、これの改善が要望されている。
この点、後述するが、この実施の形態では、「大当たりが当選されたにもかかわらず遊技者に対して定量の遊技球の払い出しが促されない当たり」である上記第1短開放大当たりに当選したときは、上記第2長開放大当たりがいわゆる確変大当たり(いわゆる確率変動機能といわゆる開放延長機能とが付与される当たりであり、遊技者にとって最も価値の高い当たり)として機能するようになる昇格モードに移行させるようにしている。このような昇格モードでは、上述の外部通常遊技状態にあるときよりもいわゆる確変大当たりが当選されやすくなることから(この意味では、「いわゆる確変大当たり」だけの当選確率で見れば該当選確率がより高い当選確率に変更されたモード、ともいえる)、遊技者は、定量の遊技球の払い出しを促すだけの単なる出玉当たりに当選されることよりも、このような昇格モードへの移行を主目的とした第1短開放大当たりに当選されることを狙って遊技するようになる。これにより、「大当たりが当選されたにもかかわらず遊技者に対して定量の遊技球の払い出しが促されない当たり」としての価値が高められるようになり、上記第2短開放大当たりに当選されたときも含めて、定量の遊技球の払い出しを促す出玉当たりに当選しなかったときの遊技の興趣の低下を抑制することができるようになる。すなわち、定量の遊技球の払い出しを促す出玉当たりにどれだけ当選することができるか、といった単調な遊技だけでなく、新たな遊技を提供することもできるようになる。
ところで、「タイムリミットモード」は、外部通常遊技状態Aにおいて第2長開放大当たりまたは第3長開放大当たりに当選し、当該第2長開放大当たりまたは当該第3長開放大当たりへの当選に基づく長開放大当たり遊技が終了したのちの外部通常遊技状態から突入する場合もある。このとき、大当たり遊技が終了してから「タイムリミットモード」に突入するまでの特別図柄の変動回数と、「タイムリミットモード」における特別図柄の変動回数と、の和が50回に満たない場合がある。例えば、大当たり遊技が終了してから「タイムリミットモード」に突入するまでに例えば特別図柄の変動表示が10回行われたのちに「タイムリミットモード」に突入したような場合、「タイムリミットモード」に突入するまでの特別図柄の変動回数と、「タイムリミットモード」における特別図柄の変動回数と、の和が概ね25回となる。このような場合には、「タイムリミットモード」が終了したとき、外部通常遊技状態Aであるか外部通常遊技状態Bであるかに拘らず、演出表示装置115に表示ざれる画像は、図37(a)〜(c)のうちいずれかの画像となり、図38に再びに戻ることはない。これにより、外部通常遊技状態Aにおいて第2長開放大当たりまたは第3長開放大当たりに当選し、当該第2長開放大当たりまたは当該第3長開放大当たりへの当選に基づく長開放大当たり遊技が終了したのちの遊技状態から「タイムリミットモード」に突入したとき、外部通常遊技状態Aにおいて第2長開放大当たりまたは第3長開放大当たりに当選し、当該第2長開放大当たりまたは当該第3長開放大当たりへの当選に基づく長開放大当たり遊技が終了したのちの遊技状態における特別図柄の変動回数を記憶する処理が不要となり、表示装置制御基板816に搭載されたCPU832の負荷を軽減できる。
[昇格モードについて]
次に、外部有利遊技状態B、即ち「昇格モード」における遊技内容について説明する。本来であれば開放延長機能の作動を伴わない大当たり(即ち、外部通常遊技状態Aにおける特別図柄抽選処理にて当選したとしても、大当たり遊技終了後に開放延長機能が作動することがない大当たり)に当選したとしても、「昇格モード」では、大当たり遊技終了後に開放延長機能が作動する。
なお、上述のとおり、「昇格モード」は、外部通常遊技状態時において、特別図柄抽選処理の結果が第1長開放大当たりまたは第1短開放大当たりであったときに、当該第1長開放大当たりに基づく長開放大当たり遊技または当該第1短開放大当たりに基づく短開放大当たり遊技が終了したのちの遊技状態のことである(即ち外部有利遊技状態Bのことである)。第1長開放大当たりに基づく長開放大当たり遊技が終了したのちに突入した昇格モードと、第1短開放大当たりに基づく短開放大当たり遊技が終了したのちに突入した昇格モードと、では、演出表示装置115に表示される背景画像が異なる。
ここで、図40は、第1長開放大当たりに基づく長開放大当たり遊技が終了したのち昇格モードに突入した場合に演出表示装置115に表示される画像である。図40によれば、第1長開放大当たりに基づく長開放大当たり遊技が終了したのちの昇格モードでは、演出表示装置115において、背景画像として宇宙空間を想起させる図が表示される。また、装飾図柄は、キャラクタが描かれたカード状の表示に付されて表示され、スクロール変動に代えて、表面と裏面とを交互に表示させることによって図柄を変動させる回転変動が行われる。
図41は、第1短開放大当たりに基づく短開放大当たり遊技が終了したのち昇格モードに突入した場合に演出表示装置115に表示される画像である。図41によれば、第1短開放大当たりに基づく短開放大当たり遊技が終了したのちの昇格モードでは、演出表示装置115において、黒っぽい背景画像にキャラクタのシルエットが表示される(キャラクタのシルエットは装飾図柄の背後に表示されるため図40では視認し難い)。また、装飾図柄は、キャラクタが描かれたカード状の表示に付されて表示され、スクロール変動する。
このように、「昇格モード」において演出表示装置115に表示される画像は、外部通常遊技状態において演出表示装置115に表示される画像と顕著に異なっている。とくに、装飾図柄の表示方法が顕著に異なることから、「昇格モード」では、外部通常遊技状態とは違った特別な状態にあることを一見して把握できる。さらに、一対の可動片606の動作が促進態様に制御されるので、遊技者は、自己に有利な遊技状態となったことを把握できる。
ところで、外部通常遊技状態であるとき、特別図柄抽選処理にて第2長開放大当たりまたは第2短開放大当たりに当選すると、第2長開放大当たりに基づく長開放大当たり遊技または第2短開放大当たりに基づく短開放大当たり遊技が終了したのちの遊技状態が、開放延長機能の作動を伴わない外部通常遊技状態Bとなる。また、外部通常遊技状態A時における特別図柄抽選処理にて第3長開放大当たりに当選した場合には、長開放大当たり遊技が終了したのちの遊技状態は外部通常遊技状態Aのままである。
しかし、「昇格モード」では、特別図柄抽選処理にて第2長開放大当たりまたは第2短開放大当たりに当選した場合であっても、第2長開放大当たりに基づく長開放大当たり遊技または第2短開放大当たりに基づく短開放大当たり遊技が終了したのちの遊技状態が、確変機能および開放延長機能の両方の作動を伴う外部有利遊技状態Bとなる。即ち、演出表示装置115に表示された装飾図柄が、特定図柄のみならず準特定図柄のゾロ目であったとしても、大当たり遊技が終了したのちに「昇格モード」に突入する(即ち確変開放延長遊技となる)。ここで、1〜8の図柄のうち特定図柄の数は2つ(3および7)であり、準特定図柄の数は4つ(1、2、5および6)であるから、視覚上、8分の6の確率で「昇格モード」が継続するように感じられる。これにより、遊技意欲が向上して、興趣の低下を抑制できる。ただし、特別図柄抽選処理の結果が、第1長開放大当たりまたは第2長開放大当たりであったとしても、外部通常遊技状態Aの場合と同様、演出表示装置115において非特定図柄のゾロ目で停止表示する場合もある。
なお、「昇格モード」において、内部的には、上述した図柄乱数の乱数幅に対する第1長開放大当たりの乱数の数、第2長開放大当たりの乱数の数、第3長開放大当たりの乱数の数、第1短開放大当たりの乱数の数および第2短開放大当たりの乱数の数に基づけば、大当たり遊技が終了したのちに「昇格モード」が継続する確率は、概ね5分の3である。この意味では、上記第2長開放大当たりは、上記外部通常遊技状態においては、同外部通常遊技状態に移行する契機となる当たりの当たり分配率が最も高い当たり分配率となるように機能(これによって、遊技機としてのスペックを維持)する一方で、外部有利遊技状態においては、同外部有利遊技状態に移行する契機となる当たりの当たり分配率が最も高い当たり分配率となるように機能(これによって遊技者に有利なチャンス遊技状態の継続性を大幅に高める)する増援当たり、とも言うべきものである。
ところで、この「昇格モード」においても、上記第3長開放大当たりに当選してしまったときは、該第3長開放大当たりの当選に応じた大当たり遊技が終了した後、上記外部通常遊技状態Aに移行することとなる。ただし後述するが、この実施の形態では、上記外部通常遊技状態Aへの移行に先立って、上記第2長開放大当たりがいわゆる確変大当たりとして機能するとともに(覚醒遊技状態)、いわゆる確変機能といわゆる開放延長機能とのうち開放延長機能のみが作動する「引き戻しモード」に所定の引き戻し期間だけ移行させることとした。すなわちこの場合、「昇格モード」において上記第3長開放大当たりが当選されてしまったとしても、該当選に応じた大当たり遊技が行われた後の所定の引き戻し期間は、いわゆる確変大当たり(いわゆる確率変動機能といわゆる開放延長機能とが付与される当たりであり、遊技者にとって最も価値の高い当たり)の当選確率だけで見れば、上述の外部通常遊技状態Aにあるときよりも遊技者に有利な確率をもって上記大当たりについての抽選処理(この実施の形態では、図柄乱数に応じて当選種を決定する処理も含めた一連の処理)が行われるようになる。したがって、上記「昇格モード」が終了してしまったときに遊技の興趣が一気に低下してしまうことが好適に抑制されるようになる。なお、この実施の形態の「引き戻しモード」は、開放延長機能の作動を伴う外部有利遊技状態Aとして構成されている(確変機能は作動しない)。また、この「引き戻しモード」では、装飾図柄の数が8つであるのに対し、特定図柄(3,7)および準特定図柄(1、2、5および6)の数が6つなので、「昇格モード」が継続する視覚上の確率は4分の3となる。これにより、「昇格モード」が継続することに対して大きな期待感を抱くことができ、興趣の低下を抑制できる。
このように、外部通常遊技状態であるときは、「昇格モード」に突入する期待感が相対的に低いものの、一旦「昇格モード」に突入すると、所謂連チャンの期待感が高まり、興趣が大きく高められる。しかも、確率上は、外部通常遊技状態Aにおける特別図柄抽選にて大当たりに3回当選するとそのうち1回は「昇格モード」に突入する大当たりとなるので(ただし、視覚上は4分の1)、「昇格モード」に突入する条件は遊技者にとってさほど厳しいものではない。即ち、「昇格モード」に突入する条件が厳しければ、技量の高い所謂上級者のような遊技者でなければ「昇格モード」に突入しないといった気分にかられ、「昇格モード」が遠い存在のように感じる遊技者もいる。しかし、3回のうち1回の確率で「昇格モード」に突入しうることになれば、誰でも「昇格モード」に突入する機会があるように感じられ、「昇格モード」が身近なものになり、興趣の低下を抑制できる。
ところで、従来の確変付き短開放当たり(所謂、突然確変)では、賞球の払出が乏しく確変機能の作動が付与されるだけであり、むしろ遊技者は多量の賞球の払出を得られる長開放当たりを獲得し損ねたという失望感を感じることがあった。その点、本実施形態の第1短開放大当たりでは、当該第1短開放大当たりに基づく短開放大当たり遊技が終了したのちに「昇格モード」に移行する。そして、この「昇格モード」では、単に確変機能の作動が付与されるだけでなく、第2長開放大当たりに当選すると大当たり遊技終了後に外部有利遊技状態Bが実行される(つまり、第2長開放大当たりに第1長開放大当たりと同様の利益が付与される)。いわば、本実施形態の第1短開放大当たりは、第2長開放大当たりを遊技者に付与される利益がより大きい第1長開放大当たりに変貌させる「覚醒当たり」として機能する。そのため、遊技者は第1短開放大当たりに当選すると多大な利益を期待することができ、従来の確変付き短開放当たりに当選したときのような失望感を味わうことがない。
[引き戻しモードについて]
上述の通り、本実施形態のパチンコ機1では、「昇格モード」が終了してしまっても、特別図柄の変動回数が規定値に達するまで「昇格モード」を高い確率で引き戻すことができる「引き戻しモード」が存在する。上記規定値は、開放延長機能の作動回数(例えば100回)である。
具体的には、外部有利遊技状態Aであるときに、特別図柄抽選処理において第1長開放大当たり、第2長開放大当たり、第1短開放大当たりおよび第2短開放大当たりのいずれかに当選すると、再び「昇格モード」を引き戻すことができる。すなわち、この実施の形態では、開放延長機能が作動する状態を、上記第2長開放大当たりとしての遊技価値が異なるようになる状態(覚醒遊技状態)としている。そして、上述した図柄乱数の乱数幅に対する第1長開放大当たりの乱数の数、第2長開放大当たりの乱数の数、第1短開放大当たりの乱数の数および第2短開放大当たりの数に基づけば、この「引き戻しモード」中、特別図柄の抽選処理にて大当たりに当選しさえすれば、「昇格モード」を引き戻すことができる確率は、大当たり遊技が5回実行されるとすればそのうち概ね3回である。すなわち、外部通常遊技状態にあるときよりも遊技者にとって有利となるように上記大当たりについての抽選処理(この実施の形態では、図柄乱数に応じて当選種を決定する処理も含めた一連の処理)が行われるようになる。
なお、この実施の形態では、「引き戻しモード」中、上記大当たりについての抽選処理の結果、上記第3長開放大当たりが当選されたときは、当該当たりに応じた大当たり遊技が行われた後、特別図柄の変動回数が規定値に達するまで「昇格モード」を高い確率で引き戻すことができる「引き戻しモード」に再度移行(延長)するようにしている。このときも、上記規定値は例えば100回とされる。
ここで、図42は「引き戻しモード」において演出表示装置115に表示される画像である。この「引き戻しモード」では、図42に示すように、演出表示装置115において、ステージ空間が背景画像として表示される。また、装飾図柄は、昇格モードと同様に、キャラクタが描かれたカード状の表示に付されて表示される。これにより、この引き戻しモードにおいても、外部通常遊技状態とは違って特別な状態にあることを一見して把握できる。なお、装飾図柄の変動は、昇格モードと異なりスクロール変動が行われる。
このように、本実施形態のパチンコ機1は、内部的に外部通常遊技状態Aにあるときも、外部通常遊技状態Bにあるときも、外部的には、単一の外部通常遊技状態として遊技者に把握される。即ち、外部通常遊技状態Aにおいて大当たりに当選したときであれば、大当たり遊技が終了したのちに確変機能が作動することが確信できるのは、開放延長機能が作動する第1長開放大当たりまたは第1短開放大当たりに当選した場合のみである。従って、外部通常遊技状態では確変機能の作動を伴う大当たりに当選する確率が相対的に少ないと感じる一方、一旦「昇格モード」に突入すると確変機能の作動を伴う大当たりに当選する確率が高くなるように感じられる。従って、外部通常遊技状態であれば、遊技者に大きな利益が付与されうる「昇格モード」突入に期待を抱きながら遊技を行うこととなり、興趣の低下を抑制できる。
ところで、一般的な遊技機では、第1短開放大当たりまたは第2短開放大当たりに当選した場合、特別図柄抽選処理においてせっかく大当たりに当選していながら、遊技者に賞球として付与される遊技球の量が、第1長開放大当たり、第2長開放大当たりまたは第3長開放大当たりに当選した場合と比べると極めて少ない。従って、第1短開放大当たりまたは第2短開放大当たりに当選した場合には、第1短開放大当たりまたは第2短開放大当たりへの当選に基づく短開放大当たり遊技が終了したのちに確変機能が作動することが確信できる場合であっても、遊技者は損をした気分を味わうことになる。
しかし、本実施形態の遊技機においては、特別図柄抽選処理にて第1短開放大当たりであることが確信できる(即ち小当たりでないことが確信できる)第1短開放大当たりに当選したとき、上記第2長開放大当たりがいわゆる確変大当たりとして機能するとともに(覚醒遊技状態)、いわゆる確変機能といわゆる開放延長機能との両方が作動する「昇格モード」に突入する。従って、遊技者に賞球として付与される遊技球の量が少ない大当たりの種別(第1短開放大当たり)に当選した場合であったとしても、その後に多量の遊技球が賞球として遊技者に付与されうるので、第1短開放大当たりに当選したことが損であるという気分よりも、むしろ大当たり遊技が連チャンする期待感の方が上回ることになり、興趣の低下を抑制できる。
しかも、「昇格モード」では、演出表示装置115に表示される装飾図柄が特定図柄のみならず準特定図柄であっても「昇格モード」が継続するので、視覚上、4分の3の確率で「昇格モード」が継続するように感じられる。従って、第1短開放大当たりに当選したことが損であるといった気分をさらに軽減することができ、興趣の低下を抑制できる。
また、第1短開放大当たり遊技が終了したのちの「昇格モード」において特別図柄抽選処理の結果が仮に第3長開放大当たりであったとしても、第3長開放大当たりに基づく長開放大当たり遊技が終了したのちは「引き戻しモード」に突入する。従って、特別図柄抽選処理の結果が第1短開放大当たり遊技であるとき、賞球としての遊技球が遊技者に殆ど付与されることなく外部通常遊技状態Aに戻ってしまう確率はかなり低い。これにより、第1短開放大当たりに当選したことが損であるという気分をより一層軽減することができると共に、大当たり遊技が連チャンする期待感を遊技者に与えることができ、興趣の低下を抑制できる。
このように、本実施形態のパチンコ機1は、「昇格モード」において第1長開放大当たり、第2長開放大当たり、第1短開放大当たりおよび第2短開放大当たりのいずれかに当選すると、当該当選に基づく大当たり遊技が終了したのちの遊技状態が再び「昇格モード」となる(即ち、確変機能および開放延長機能の両方が作動する)。また、「引き戻しモード」において第1長開放大当たり、第2長開放大当たり、第1短開放大当たりおよび第2短開放大当たりのいずれかに当選すると、再び「昇格モード」を引き戻すことができる。これは、大当たりに当選したときに開放延長機能が作動しているか否かを確認し、開放延長機能が作動していれば、当選した大当たりの種別に拘らず当該当選した大当たりに基づく大当たり遊技が実行されたのちも開放延長機能を作動させるといった内部的な制御処理を行っているからである。即ち、主制御基板710に搭載されたCPU711は、大当たりに当選したときに開放延長機能が作動しているか否かを確認するだけで、「昇格モード」および「引き戻しモード」を設けることができる。これにより、CPU711の負荷の増大を抑制させつつ「昇格モード」および「引き戻しモード」を設けることが可能となり、バリエーションに富んだ遊技機を提供することが可能となる。一方、特別図柄抽選処理にて大当たりに当選したときに開放延長機能が作動していなければ、当選した大当たりの種別に応じて、当該当選した大当たりに基づく大当たり遊技が実行されたのちの遊技状態において開放延長機能が作動するか否かが決定される。
[特別図柄の変動時間について]
ところで、第1特別図柄および第2特別図柄は、いずれも、開放延長機能が作動しているか否かによって変動時間が異なる。また、開放延長機能が作動していない場合には、リーチが発生しない場合における第1特別図柄の変動時間は第1特別図柄保留カウンタ903によるカウンタ値(所謂第1保留数)に応じて異なっており、同様に、リーチが発生しない場合における第2特別図柄の変動時間は第2特別図柄保留カウンタ913によるカウンタ値(所謂第2保留数)に応じて異なっている。
具体的には、開放延長機能が作動しない外部通常遊技状態において、リーチが発生しない場合における第1特別図柄の変動時間は、変動開始時における第1特別図柄保留カウンタ903によるカウンタ値(当該変動を開始することに伴ってカウンタ値が減算されたのちのカウンタ値)が3であれば概ね11secとなっている。また、当該カウンタ値が2であれば概ね6sec、当該カウンタ値が0または1であれば概ね3secとなっている。また、リーチが発生しない場合における第2特別図柄の変動時間も、第1特別図柄の変動時間と同様に、変動開始時における第2特別図柄保留カウンタ913によるカウンタ値(当該変動を開始することに伴ってカウンタ値が減算されたのちのカウンタ値)が3であれば概ね11secとなっている。また、当該カウンタ値が2であれば概ね6sec、当該カウンタ値が0または1であれば概ね3secとなっている。なお、リーチが発生する場合における第1特別図柄および第2特別図柄の変動時間は、当該リーチの態様によって変動時間が決まる。
一方、開放延長機能が作動する外部有利遊技状態(外部有利遊技状態A、外部有利遊技状態B)において、リーチが発生しない場合における第1特別図柄の変動時間は、第1特別図柄保留カウンタ903によるカウンタ値に拠ることなく概ね2secとなっている。また、リーチが発生しない場合における第2特別図柄の変動時間も、第1特別図柄の変動時間と同様に、第2特別図柄保留カウンタ913によるカウンタ値に拠ることなく概ね2secとなっている。
このように、開放延長機能が作動している場合と作動していない場合とでは、特別図柄の変動時間が顕著に異なっている。また、この特別図柄の変動時間は外部的に把握できるので、遊技者は、特別図柄の変動時間に基づいて、自己にとって有利な遊技状態であるか否かを判断することとなる。従って、遊技者は、外部有利遊技状態であれば遊技を継続する意欲が向上する一方、外部通常遊技状態であれば遊技を継続する意欲が喪失する場合もある。なお、外部通常遊技状態Bのように、外部通常遊技状態であって且つ内部有利遊技状態のような場合があるが、このような遊技状態であったとしても、遊技者は、自己に有利でない遊技状態であると判断することになる。このとき、予想外大当たりが発生しうることとなり、興趣の低下を抑制できる。
なお、特別図柄の変動時間は、装飾図柄の変動時間および特別図柄対応図柄1000,1002の変動時間とほぼ同じ時間である。
以上説明したように、この実施の形態にかかる遊技機によれば、以下のような多くの優れた効果が得られるようになる。なお、以下に列記する効果(1)〜(6)は、この実施の形態にかかる遊技機によって得られる効果の一例である。
(1)外部通常遊技状態(ノーマル遊技状態)において、上記イニシャル時(RAM713の初期化処理が行われたとき)に採用される当選確率Aをもって上記大当たりについての抽選処理(この実施の形態では、図柄乱数に応じて当選種を決定する処理も含めた一連の処理)が行われるときと、該当選確率Aよりも高確率とされた当選確率Bをもって上記大当たりについての抽選処理が行われるときとで同一の遊技状態にあることが遊技者に示唆される状況(予め定められた単一の遊技状態(外部通常遊技状態)にあることが遊技者に示唆される状況、図37(a)〜(c)、図38参照)のもとで、これら当選確率A及び当選確率Bの二重標準をもって上記大当たりについての抽選処理を行うこととした(二重標準抽選手段)。したがって、遊技者は、上記イニシャル時にも現れる外部通常遊技状態(ノーマル遊技状態)にあるにもかかわらず、前回の大当たり遊技が行われてから少ない抽選回数のうちに上記大当たりが当選されるサプライズ当たり、ひいてはいわゆる大当たりの連荘を享受し易くなる。何より、外部通常遊技状態(ノーマル遊技状態)においてこうした連荘を期待できるようにした代償として、例えば、上記大当たりの当選確率が上記イニシャル時に採用される当選確率Aよりも低くされる場合がある、などといったデメリットもなく、外部通常遊技状態(ノーマル遊技状態)が連続して繰り返されたとしてもこうした状態が継続されるため、遊技の興趣の低下が抑制されるようになる。
(2)上述の二重標準抽選手段は、大当たりの当選に応じた大当たり遊技が行われる遊技状態から上記外部通常遊技状態(ノーマル遊技状態)に移行するに際し、上記当選確率A及び上記当選確率Bのいずれを採用するかを上記大当たりの当選種に応じて内部的に決定しておき、上記外部通常遊技状態(ノーマル遊技状態)に移行してから次の大当たりが当選されるまでの期間は当該決定された当選確率のみを採用して上記大当たりについての抽選処理を行うこととした。例えば、第2長開放大当たりが当選されたときは上記当選確率Bを採用すること、若しくは第3長開放大当たりが当選されたときは上記当選確率Aを採用すること、を内部的に決定しておき、上記外部通常遊技状態(ノーマル遊技状態)に移行してから次の大当たりが当選されるまでの期間は当該決定された当選確率のみを採用して上記大当たりについての抽選処理を行うこととした。したがって、上記大当たりについての抽選処理を行う都度、その当選確率としていずれの確率を採用すべきかを決定する場合と比較して、大当たりについての抽選処理にかかる演算負荷を好適に軽減することができるようになる。
(3)上記第2短開放大当たり(ノーマル状態移行当たり)が当選されたとき、大当たりに当選した旨を示す演出画像が上記演出表示装置(演出画像表示装置)115の表示面に表示されない状況のもとで上記大当たり遊技用開閉装置500を開閉動作させることで、遊技者への定量の遊技球の払い出しが促されないように当該当たりに応じた大当たり遊技を実行することとした(第2の遊技実行手段)。また、上記小当たり(状態維持当たり)が当選(選出)されたとき、上記短開放大当たりの開閉動作(上記第2の遊技実行手段による大当たり遊技)に近似させて上記大当たり遊技用開閉装置(開閉装置)500を開閉動作させることとした(近似遊技実行手段)。また、上記第2短開放大当たり(ノーマル状態移行当たり)の当選を実行契機とする大当たり遊技(短開放大当たりの開閉動作)が行われた後の所定期間は(外部通常遊技状態B)、上記イニシャル時に採用される大当たりの当選確率Aよりも高確率とされた当選確率Bをもって上記大当たりについての抽選処理を行うこととした(高確抽選手段)。そしてこの上で、第2の遊技実行手段及び近似遊技実行手段のいずれかによって上記大当たり遊技用開閉装置500が開閉動作された後、「予め示された一定の時間内で8文字全てのアルファベットを着色表示に変える」といった特定の演出条件を達成すべき旨の指令が上記演出表示装置(演出画像表示装置)115の表示面中に演出表示される状態であるタイムリミットモード(高期待指令演出モード)に移行させる演出制御を行うこととした(高期待演出制御手段)。このような構成によれば、上記タイムリミットモード(高期待指令演出モード)では、上記第2短開放大当たり(ノーマル状態移行当たり)の当選によって上記高確抽選手段による抽選処理が行われるか、上記小当たり(状態維持当たり)の当選(選出)によって外部通常遊技状態(ノーマル遊技状態)が維持される状況のもとでの抽選処理が行われるようになる。すなわち、上記高確抽選手段による抽選処理が行われる場合には、上記イニシャル時に採用される大当たりの当選確率Aよりも高確率とされた当選確率Bをもって上記大当たりについての抽選処理が行われるため、タイムリミットモード(高期待指令演出モード)に移行したときの大当たりへの期待度を好適に確保することができるようになり、ひいてはタイムリミットモード(高期待指令演出モード)中での遊技の興趣の低下を抑制することができるようになる。また、上記二重標準抽選手段が採用される構成のもとでは、上記第2短開放大当たり(ノーマル状態移行当たり)の当選、及び上記小当たり(状態維持当たり)の当選(選出)のいずれを契機として上記タイムリミットモード(高期待指令演出モード)に突入したとしても、上記当選確率Aのみをもって上記抽選処理が行われることが遊技者から見て確定されている場合と比較すれば、大当たり期待度を飛躍的に高くすることが可能となる。
(4)外部通常遊技状態において、上記第2長開放大当たり(第2のノーマル出玉当たり)及び第3長開放大当たり(第1のノーマル出玉当たり)のいずれかが当選されたときは、遊技者に対する定量の遊技球の払い出しを促す大当たり遊技が実行される(第1の遊技実行手段)。そして、この大当たり遊技が実行された後は、上記一対の可動片606が動作するときの動作態様が上記イニシャル時と同様とされる外部通常遊技状態(ノーマル遊技状態)に移行される。これに対し、上記第1短開放大当たり(覚醒当たり)が当選されたときは、遊技者に対する定量の遊技球の払い出しが促されない大当たり遊技が実行される(第2の遊技実行手段)。ただし、この第1短開放大当たり(覚醒当たり)の当選に応じた大当たり遊技が実行された後は、上記第2長開放大当たり(第2のノーマル出玉当たり)としての遊技価値を異ならしめる覚醒遊技状態(開放延長機能が作動する遊技状態)に移行させることとした。より具体的には、上記第2長開放大当たりがいわゆる確変大当たりとして機能するようになるとともに(覚醒遊技状態)、いわゆる確変機能といわゆる開放延長機能との両方が作動する「昇格モード」に突入させることとした。すなわち、上記第2長開放大当たり(第2のノーマル出玉当たり)が当選されたときはまず、開放延長機能が機能している状態(「昇格モード」または「引き戻しモード」)にあるか否かの判断を行うこととした(ステップS2410:覚醒判断手段)。そして、開放延長機能が機能している状態にあれば、上記覚醒遊技状態にある旨判断し、上記外部通常遊技状態への移行ではなく、上記一対の可動片606が動作するときの動作態様が上記イニシャル時よりも遊技者に有利な動作態様に変更される外部有利遊技状態(チャンス遊技状態)に移行させることとした(チャンス遊技状態移行手段)。そして、この外部有利遊技状態(チャンス遊技状態)においては、上記外部通常遊技状態(ノーマル遊技状態)において上記抽選処理を行うときと異なる遊技状態にあることが遊技者に示唆される状況のもとで、上記大当たりについての抽選処理を行うこととした。すなわち、第1短開放大当たり(覚醒当たり)に当選したときは(この実施の形態では、第1長開放大当たりに当選したときも)、上記第2長開放大当たり(第2のノーマル出玉当たり)がいわゆる確変大当たり(いわゆる確率変動機能といわゆる開放延長機能とが付与される当たりであり、遊技者にとって最も価値の高い当たり)として機能するようになるいわば覚醒遊技状態ともいえる遊技状態、換言すればいわゆる確変大当たりの当たり分配率が高められた状態に移行させるようにした。このような遊技状態では、上述の外部通常遊技状態(ノーマル遊技状態)にあるときよりもいわゆる確変大当たりが当選されやすくなることから(この意味では、いわゆる確変大当たりだけの当選確率で見れば該当選確率がより高い当選確率に変更された状態、ともいえる)、遊技者は、定量の遊技球の払い出しを促すだけの単なる出玉当たりに当選されることよりも、このような覚醒遊技状態への移行を主目的とした覚醒当たりに当選されることを狙って遊技するようになる。これにより、「大当たりが当選されたにもかかわらず遊技者に対して定量の遊技球の払い出しが促されない当たり」としての価値が高められるようになり、定量の遊技球の払い出しを促す出玉当たりにどれだけ当選することができるか、といった単調な遊技だけでなく、新たな遊技を提供することができるようになる。また、上記二重標準抽選手段が採用される構成のもとでは、定量の遊技球の払い出しを促す出玉当たりとしての価値を好適に確保することができるようにもなり、遊技者は、遊技の状況によって大当たりの当選種を狙い分けるようになることが想定される。例えば、持ち玉がない状況では出玉当たりの当選をまずは狙い、これによって遊技球が払い出された後に覚醒当たりを狙う、などといった新たな遊技の楽しみ方も提供できるようになる。
(5)上記第3長開放大当たり(第1のノーマル出玉当たり)が当選されたときはまず、上記開放延長機能が作動する状態(例えば「昇格モード」などのチャンス遊技状態)にあるか否かの判断を行うこととした(ステップS2412:判断手段)。そして、上記開放延長機能が作動する状態(チャンス遊技状態)にある旨判断されたときは、上記外部通常遊技状態(ノーマル遊技状態)への移行に先立って、上記第2長開放大当たり(第2のノーマル出玉当たり)としての遊技価値を異ならしめる上記覚醒遊技状態に所定の引き戻し期間(「引き戻しモード」)だけ移行させることとした(引き戻し遊技状態移行手段)。すなわちこの場合、例えば「昇格モード」において上記第3長開放大当たり(第1のノーマル出玉当たり)が当選されてしまったとしても、該当選に応じた大当たり遊技が行われた後の所定の引き戻し期間(「引き戻しモード」)は、いわゆる確変大当たり(いわゆる確率変動機能といわゆる開放延長機能とが付与される当たりであり、遊技者にとって最も価値の高い当たり)の当選確率だけで見れば、上述の外部通常遊技状態(ノーマル遊技状態)よりも遊技者に有利となるように上記大当たりについての抽選処理が行われるようになる。したがって、「昇格モード」が終了する契機となる当たり(第3長開放大当たり)に当選してしまったときに遊技の興趣が一気に低下してしまうことが好適に抑制されるようになる。
(6)上記第2長開放大当たりを、外部通常遊技状態(ノーマル遊技状態)においては、外部通常遊技状態(ノーマル遊技状態)に移行する契機となる当たり(以下、ノーマル当たりという)の当たり分配率(上述した図柄乱数の乱数幅に対する、外部通常遊技状態に移行する契機となる当たりの乱数の数)が最も高い当たり分配率となるように上記ノーマル当たりとして機能する一方で、外部有利遊技状態(チャンス遊技状態)においては、外部有利遊技状態に移行する契機となる当たり(以下、チャンス当たりという)の当たり分配率(上述した図柄乱数の乱数幅に対する、外部有利遊技状態に移行する契機となる当たりの乱数の数)がが最も高い当たり分配率となるように上記チャンス当たりとして機能する増援当たりとして用いることとした。これにより、外部通常遊技状態(ノーマル遊技状態)での大当たりの当選によって上記外部有利遊技状態(チャンス遊技状態)に突入(移行)する際の突入確率(1/3)と、外部有利遊技状態(チャンス遊技状態)での大当たりの当選によって上記外部有利遊技状態(チャンス遊技状態)に再度移行(継続)する際の継続確率(3/5)とが大きく異なるようになり、遊技機としてのスペックを好適に維持しつつ、遊技者に有利なチャンス遊技状態の継続性を大幅に高めることができるようになる。すなわちこの場合、上記外部有利遊技状態(チャンス遊技状態)に一旦突入すれば、高い継続率をもって当該外部有利遊技状態(チャンス遊技状態)が継続されることとなり、遊技機としての他のスペックを大きく犠牲にせずとも、上記外部有利遊技状態(チャンス遊技状態)に突入した後はいわゆる大当たりの連荘を強く期待できるようになる。また、上記実施の形態では、上記第2長開放大当たりが当選したときの遊技状態の種類(外部通常遊技状態か、外部有利通常遊技状態か)に応じて、当該第2長開放大当たりを上記ノーマル当たりとして機能させるか、上記チャンス当たりとして機能させるかを決定することとしたため、外部通常遊技状態(ノーマル遊技状態)での大当たりの当選によって上記外部有利遊技状態(チャンス遊技状態)に移行(突入)する際の突入確率と、外部有利遊技状態(チャンス遊技状態)での大当たりの当選によって上記外部有利遊技状態(チャンス遊技状態)に再度移行(継続)する際の継続確率とを異ならしめるにあたり、ノーマル当たり及びチャンス当たりの当たり分配率を決定付けるテーブルとして、上記外部通常遊技状態(ノーマル遊技状態)にあるときにのみ用いられる突入専用テーブルや、上記外部有利遊技状態(チャンス遊技状態)にあるときにのみ用いられる継続専用テーブルなどを用意する必要がなくなる、といった優れた効果も得られるようになる。なお、「外部有利遊技状態(チャンス遊技状態)に再度移行(継続)する」とは、より厳密には、「次の大当たりが当選されるまで外部有利遊技状態(チャンス遊技状態)が維持される遊技状態に再度移行(継続)する」の意味であり、外部通常遊技状態(ノーマル遊技状態)に移行する契機となる当たりの当選によって上記「引き戻しモード」に移行する場合はこれに該当しない。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
・上記外部通常遊技状態にあるときの抽選処理(特別図柄の抽選)にて上記当選確率Aが採用される確率をa、上記当選確率Bが採用される確率をbとするとき、それらの確率が例えば「b/2≦a≦2b」の範囲内(好ましくは、「b/2<a<2b」の範囲内、より好ましくは、「2b/3≦a≦3b/2」の範囲内、さらに好ましくは、「b≦a≦3b/2」の範囲内)で設定された条件のもとで、該当する抽選処理をそれら当選確率A及び当選確率Bのいずれかをもって行うようにすれば、「上記当選確率A及び上記当選確率Bの二重標準を採用するとともに上記大当たりについての抽選処理をそれら当選確率A及び当選確率Bのいずれかをもって行う」といえる。
・上記当選確率Aをもって抽選処理を行うときと上記当選確率Bをもって抽選処理を行うときとで同一の遊技状態にあることが遊技者に示唆される状況とは、上記大当たりについての抽選処理が行われるときの上記演出表示装置115における演出態様として同様の演出態様が採用される状況(図37(a)〜(c)、図38)のほか、上記大当たりについての抽選処理が行われるとき、演出表示装置115外にて遊技状態を遊技者に教示する表示器の表示態様として同様の表示態様が採用される状況などであってもよい。
・上記RAM713は、RAM消去スイッチがオン操作されたときなどに、例えば大当たりの当選確率や、現在の遊技状態を示すデータなど、遊技進行に必要な各種の制御データが各々の初期パラメータをもって書き込まれるメモリであればよく、遊技の進行にかかる複数の処理に供される上記データメモリであればよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(技術的思想1)
遊技領域を有し、当該遊技領域に向けて遊技球が打ち込まれる遊技盤と、
前記遊技領域に向けて打ち込まれた遊技球を受け入れ困難な閉状態と当該閉状態よりも遊技球を受け入れ容易な開状態との間で開閉動作可能な開閉装置と、
前記遊技領域に向けて打ち込まれた遊技球の入球確率が高められるように動作可能な可動部材を有して設けられる始動口と、
前記始動口に遊技球が入球されることに応じて、大当たりについての当落にかかる抽選処理を含めて遊技の進行にかかる複数の処理をデータメモリに格納された制御データに基づいて順次実行する主制御手段と、
所定の画像が演出表示される表示面を有する演出画像表示装置と、
前記主制御手段による前記抽選処理の結果に応じた演出画像が前記演出画像表示装置の表示面に表示される演出制御を行う副制御手段と、を備え、
前記抽選処理にて前記大当たりが当選されたときは、前記開閉装置が開閉動作される大当たり遊技が行われる遊技機であって、
前記主制御手段は、
前記大当たりについての当落にかかる抽選処理を行うにあたり、前記データメモリが初期化された状態にあるイニシャル時に採用される大当たりの当選確率A、及び該当選確率Aよりも高確率とされた当選確率Bの二重標準を採用するとともに、前記当選確率Aをもって前記抽選処理を行うときと前記当選確率Bをもって前記抽選処理を行うときとで同一の遊技状態にあることが遊技者に示唆される状況のもとで、当該抽選処理をそれら当選確率A及び当選確率Bのいずれかをもって行う二重標準抽選手段、を備え、
前記可動部材が動作するときの動作態様が前記イニシャル時と同様とされる遊技状態をノーマル遊技状態とするとき、該ノーマル遊技状態から前記大当たりの当選によって前記ノーマル遊技状態に連続して移行したときの当該ノーマル遊技状態においては、前記大当たりについての当落にかかる抽選処理を前記二重標準抽選手段によって行うようにした
ことを特徴とする遊技機。
上記構成では、前記主制御手段が、前記大当たりについての当落にかかる抽選処理を行うにあたり、前記データメモリが初期化された状態にあるイニシャル時に採用される大当たりの当選確率A、及び該当選確率Aよりも高確率とされた当選確率Bの二重標準を採用するとともに、前記当選確率Aをもって前記抽選処理を行うときと前記当選確率Bをもって前記抽選処理を行うときとで同一の遊技状態にあることが遊技者に示唆される状況(予め定められた単一の遊技状態にあることが遊技者に示唆される状況)のもとで、当該抽選処理をそれら当選確率A及び当選確率Bのいずれかをもって行う二重標準抽選手段、を備えるようにしている。そしてこの上で、前記可動部材が動作するときの動作態様が前記イニシャル時に仮に動作するとしたときの動作態様と同様とされる前記ノーマル遊技状態から前記大当たりの当選によって該ノーマル遊技状態に連続して移行したとき(大当たりに当選したにもかかわらずノーマル遊技状態が継続したとき)、前記大当たりについての当落にかかる抽選処理を前記二重標準抽選手段によって行うようにしている。
このような遊技機によれば、上記ノーマル遊技状態において、上記イニシャル時に採用される当選確率Aをもって抽選処理が行われるときと、該当選確率Aよりも高確率とされた当選確率Bをもって抽選処理が行われるときとで同一の遊技状態にあることが遊技者に示唆される状況(予め定められた単一の遊技状態にあることが遊技者に示唆される状況)のもとで、これら当選確率A及び当選確率Bの二重標準をもって上記大当たりについての抽選処理が行われる。したがって、遊技者は、ノーマル遊技状態にあるにもかかわらず、前回の大当たり遊技が行われてから少ない抽選回数のうちに上記大当たりが当選されるサプライズ当たり、ひいてはいわゆる大当たりの連荘を享受し易くなる。何より、ノーマル遊技状態においてこうした連荘を期待できるようにした代償として、例えば、上記大当たりの当選確率が上記イニシャル時に採用される当選確率Aよりも低くされる場合がある、などといったデメリットもなく、ノーマル遊技状態が連続して繰り返されたとしてもこうした状態が継続されるため、遊技の興趣の低下が抑制されるようになる。
なお、「上記当選確率A及び上記当選確率Bの二重標準を採用するとともに前記抽選処理をそれら当選確率A及び当選確率Bのいずれかをもって行う」とは、上記当選確率Aが採用される確率をa、上記当選確率Bが採用される確率をbとするとき、それらの確率が例えば「b/2≦a≦2b」の範囲内(好ましくは、「b/2<a<2b」の範囲内、より好ましくは、「b≦a≦1.5b」の範囲内)で設定された条件のもとで、前記抽選処理をそれら当選確率A及び当選確率Bのいずれかをもって行うことなどをいう。
また、上記当選確率Aをもって抽選処理を行うときと上記当選確率Bをもって抽選処理を行うときとで同一の遊技状態にあることが遊技者に示唆される状況とは、上記大当たりについての抽選処理が行われるときの上記演出画像表示装置における演出態様として同様の演出態様が採用される状況のほか、上記大当たりについての抽選処理が行われるとき、演出画像表示装置外にて遊技状態を遊技者に教示する表示器の表示態様として同様の表示態様が採用される状況などをいう。
また、遊技の進行にかかる複数の処理に供される上記データメモリとは、例えばRAMなどからなり、RAM消去スイッチがオン操作されたときなどに、例えば大当たりの当選確率や、現在の遊技状態を示すデータなど、遊技進行に必要な各種の制御データが各々の初期パラメータをもって書き込まれるメモリのことをいう。
(技術的思想2)
前記二重標準抽選手段は、前記大当たりの当選に応じた大当たり遊技が行われる遊技状態から前記ノーマル遊技状態に移行するに際し、前記当選確率A及び前記当選確率Bのいずれを採用するかを内部的に決定しておき、前記ノーマル遊技状態に移行してから次の大当たりが当選されるまでの期間は当該決定された当選確率のみを採用して前記抽選処理を行うものである
技術的思想1に記載の遊技機。
上記二重標準抽選手段としては、上記大当たりについての抽選処理を行う都度、その当選確率を所定の選択確率をもって内部的に決定し、該決定された当選確率をもって当該抽選処理を行うようにすることも考えられるが、この場合、上記大当たりについての抽選処理にかかる演算負荷が無駄に高くなってしまう。この点、上記技術的思想2に記載の遊技機では、前記大当たりの当選に応じた大当たり遊技が行われる遊技状態から上記ノーマル遊技状態に移行するに際し、上記当選確率A及び上記当選確率Bのいずれを採用するかを所定の選択確率をもって内部的に決定しておき、前記ノーマル遊技状態に移行してから次の大当たりが当選されるまでの期間は当該決定された当選確率のみを採用して前記抽選処理を行うようにしたため、このような大当たりについての抽選処理にかかる演算負荷を好適に軽減することができるようになる。
(技術的思想3)
前記データメモリに格納された制御データに基づいて前記主制御手段によって順次実行される前記遊技の進行にかかる複数の処理がそれぞれ機能していることが認識可能とされる主制御機能診断表示器を、前記演出画像表示装置とは別にさらに備える
技術的思想1または2に記載の遊技機。
ただし、このように内部の制御状態が見た目上現れない遊技機においては特に、内部の処理機能が適性に機能しているか否かを判断し難い。すなわち、内部の処理機能が適正に機能していないようなことがあれば、ホール側若しくは遊技者側に不利益を与えかねない。この点、技術的思想1または2に記載の遊技機において、技術的思想3に記載の遊技機では、上記データメモリに格納された制御データに基づいて上記主制御手段によって順次実行される上記遊技の進行にかかる複数の処理がそれぞれ機能していることが認識可能とされる主制御機能診断表示器を、上記演出画像表示装置とは別に備えることとしたため、このような遊技機であっても、内部の処理機能が適性に機能しているか否かを判断することができるようになる。ただし、このような主制御機能診断表示器は、遊技者から見て認識困難となるように内容を表示するものであることが実用上望ましい。