JP2008176683A - 処理装置及び共分散行列演算プログラム - Google Patents

処理装置及び共分散行列演算プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】固有値に無限大値が含まれる共分散行列をコンピュータ上で演算する場合であっても、演算量を増大させることなく計算の精度を向上させることのできる技術を提供する。
【解決手段】共分散行列を行列Aと対角行列Dと行列Aの転置行列の積の形で表して演算を行う処理装置1において、入力部8は、対角行列Dを、無限大値と対角行列D1との積と、対角行列D2との和で表したとき、対角行列D1及び対角行列D2を入力させる。第1の格納部4及び第2の格納部5はそれぞれ対角行列D1及び対角行列D2を格納する。第3の格納部6は行列Aを格納する。演算部7は、対角行列D1、対角行列D2及び行列Aを用いて、共分散行列を下三角行列Lと対角行列Eと下三角行列Lの転置行列の積の形で表し、対角行列Eを無限大値と対角行列E1の積と、対角行列E2との和で表したときの下三角行列L、対角行列E1及び対角行列E2を計算する。出力部9は得られた下三角行列Lを出力する。
【選択図】図2

Description

本発明は、時系列データに基づいて状態変数値を推定する場合に用いられる共分散行列を演算する技術に関する。
従来から、時系列データに基づいて現在の状態変数値を推定する問題に対しては、カルマンフィルタが広く用いられている。カルマンフィルタとは、解析時までの時系列データを用いて時刻更新アルゴリズムと観測更新アルゴリズムを繰り返して行い、最適推定を行う手法である。カルマンフィルタアルゴリズムの実行に際しては、状態変数値推定の共分散行列の演算が行われる(例えば、非特許文献1)。
ここで、例えば、カルマンフィルタを用いてランダムに位置移動する運動体の位置座標を推定するときに、上記の時間更新において、推定対象とされている位置移動する運動体の位置に対する状態遷移推定の誤差が大きい場合がある。このような場合には、カルマンフィルタの共分散行列の演算においては、入力値として与える状態遷移雑音の共分散行列の固有値の1つあるいは複数が、特異的すなわち無限大発散することとして演算を行う必要が生じる。この他にも、初期時刻における運動体の位置が確定していない等の場合においても、本来は、共分散行列の固有値に特異値が含まれることとして行列演算を行う必要がある。
固有値に特異値が含まれる場合は、コンピュータでは固有値に無限大値を含む行列の演算ができないため、カルマンフィルタに入力する共分散行列をコンピュータで演算するための各種の手法が従来から提案されている。
かかる手法の一つに、無限大値を用いる代わりに、数値的に安定が保たれる程度、具体的には固有値のうち最大値と最小値の比が100対1程度に収まる範囲で十分に大きい値を代入して演算する方法がある。
他の手法としては、2つの行列(S及びTとする)を用いて、共分散行列をSとTの逆行列T−1との積に置き換えて演算する方法がある(例えば、非特許文献2)。
更に他の手法としては、特異性を持つ共分散行列に対しムーア・ペンローズ(Moore-Penrose)型の一般逆行列を用いて演算する方法がある(例えば、特許文献1)。
なお、公知技術として、カルマンフィルタの計算を行列に対する直交・三角行列化の計算に帰着させる方法が用いられており、特に、特異性を持たない対称行列(Σとする)に対して修正コレスキー分解を行うことにより、Σ=ADAを満たす行列A及び対角行列Dを求める方法(例えば、非特許文献3)や、グラム・シュミット法により特異性を持たない行列に対して直交・三角行列化を行う方法(例えば、非特許文献4)が用いられている。
特許第2846958号公報 片山徹著、「応用カルマンフィルタ」、朝倉書店、2000年1月、p.164−172 C. C. Paige、「Covariance Matrix Representation in Linear Filtering」、Linear Algebra and Its Role in Systems Theory、B. N. Datta、Ed. Providence、American Mathematical Society、1985、pp.309−321 伊理正夫著、「岩波講座 応用数学1[基礎1]線形代数I」、岩波書店、1997年9月、p.69−72 森正武、杉原正顕、室田一雄著、「岩波講座 応用数学12[方法2]線形計算」、岩波書店、1997年11月、p.68−71
共分散行列の行列要素に特異値が含まれる場合における上記の各種手法のうち、無限大値に替えて十分に大きい値を代入する方法によれば、計算処理上の数値的不安定の発生や算出精度が低下するという問題がある。また、共分散行列を上記のとおりST−1に置き換えて演算する方法によれば、算出精度の低下を防ぐことができる一方で、計算量が増大し、演算時間が長期化するという問題がある。また、ムーア・ペンローズ型の一般逆行列を使用する方法に関しては、一般逆行列は、その元の行列の固有値を有限値から無限大へ極限をとったものとは必ずしも一致せず、このため、数学的に正しい方法とは言えない。
本発明は、固有値に無限大値が含まれる共分散行列をコンピュータ上で演算する場合であっても、演算量を増大させることなく計算の精度を向上させることのできる技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る処理装置は、共分散行列を行列Aと対角行列Dと行列Aの転置行列の積の形で表して演算を行う処理装置であって、対角行列Dを、無限大値と対角行列D1との積と、対角行列D2との和で表したとき、対角行列D1及び対角行列D2を入力させる入力手段と、対角行列D1及び対角行列D2を格納する第1の格納手段と、行列Aを格納する第2の格納手段と、前記第1の格納手段及び第2の格納手段に格納された対角行列D1、対角行列D2及び行列Aを用いて、前記共分散行列を下三角行列Lと対角行列Eと下三角行列Lの転置行列の積の形で表し、対角行列Eを無限大値と対角行列E1の積と、対角行列E2との和で表したときの下三角行列L、対角行列E1及び対角行列E2を計算する演算手段と、得られた下三角行列Lを出力する出力手段とを備えた構成とする。
上記の処理装置においては、共分散行列を行列Aと対角行列Dと行列Aの転置行列の積(ADA)で表し、行列式中の対角行列Dに関し、D=∞×D1+D2の形で表す。共分散行列に含まれる無限大値をとる固有値は、上記対角行列D1の外に出されるため、ADA=LELを満たす下三角行列L及び対角行列Eを求める計算を、演算量を増大させることなくコンピュータを用いて高精度で求めることが可能となる。
前記第1の格納手段は、対角行列D1を格納する手段と対角行列D2を格納する手段とを含む構成としてもよい。あるいは、前記第1の格納手段は、対角行列D1及び対角行列D2の対角要素を格納する要素格納手段と、該要素格納手段に格納されている対角要素がそれぞれ対角行列D1あるいは対角行列D2のいずれを表すかを示す情報を格納する格納手段とを含む構成としてもよい。
本発明は、上記の処理装置に限らない。例えば、上記の処理方法やその方法を実行するプログラム等であっても、本発明に含まれる。
本発明によれば、共分散行列の固有値に無限大値が含まれる場合であっても、コンピュータにおいて、演算量を増大させることなく高精度の演算を実行することが可能となる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、カルマンフィルタの更新処理についての概念図である。まず、図1を参照して、カルマンフィルタアルゴリズムに用いる各種の行列について説明する。
図1に示す行列のうち、行列Fは時刻iにおける状態遷移行列、Gは時刻iにおける駆動行列、Hは時刻iの観測行列である。そして、行列Pは時刻iにおける推定誤差共分散行列であり、Q及びRは、それぞれ時刻iにおける非負定値対称行列及び正定値対称行列である。各行列の次数は、Rがm行×m列、Hがm行×m列、Pがm行×m列、Fがm行×m列、Gがm行×m列、Qがm行×m列とし、以降の説明においては、m=m+m、n=m+m+mとする。
カルマンフィルタを適用するシステムに推定誤差共分散行列の初期値
Figure 2008176683
及び時系列データが入力されると、以後はカルマンフィルタアルゴリズムにより、時刻iにおける推定誤差共分散行列Pと与えられた各行列(F、G、H、Q及びR)とから観測更新及び時間更新の計算を行うことにより、時刻(i+1)における予測誤差共分散行列Pi+1が得られる。Pi+1により状態推定値が求められ、更にPi+1と与えられる時刻(i+1)の行列群に対して観測更新及び時間更新により、時刻(i+2)における予測誤差共分散行列Pi+2を求めることができる。以後同様に、更新を繰り返して時刻tにおける予測誤差共分散行列Pを求め、状態推定値を求めていく。
先に従来の共分散行列の演算処理における問題点について説明したとおり、初期値として入力される共分散行列Pや時系列データ(F、G、H、Q及びRからなる行列群)の値によっては、数値的に安定した演算結果を得ることができない。そこで、数値的に安定した結果を得るために、公知の技術として平方根フィルタが用いられている。平方根フィルタアルゴリズムによれば、上記の行列のうち、行列Q、R及びPについてはそれぞれ平方根形を用いて計算を行う。以下、平方根フィルタに入力するための共分散行列の演算方法について説明する。
図2は、本実施形態に係る共分散行列の演算を行う情報処理装置のブロック図である。情報処理装置1は、入力部8、第1の格納部4、第2の格納部5、第3の格納部6、演算部7及び出力部9を含んで構成される。
入力部8は、情報処理装置1に入力される時系列データ及び情報処理装置における共分散行列の演算結果を入力させる。具体的には、共分散行列に修正コレスキー分解を行うことにより得られる形、すなわち行列Aと対角行列Dと行列Aの転置行列Aとの積の形(ADA)で表した場合の、行列A及び対角行列Dを入力させる。行列Aは、上記の時系列で与えられる行列群及びPを要素に含む。
ここで、対角行列Dの対角要素のうち、無限大値からなる要素については無限大値と第1の対角行列D(1)積で表し、他の要素については第2の対角行列D(2)の対角要素とし、対角行列Dは第1の対角行列D(1)と第2の対角行列D(2)との和で表されることとする。すなわち、第1及び第2の対角行列D(1)、D(2)は以下の(1)式を満たす。
D=∞×D(1)+D(2) (1)
第1の格納部4及び第2の格納部5は、置換処理により得られた行列D(1)、D(2)の対角要素を格納する。第3の格納部6は、上記行列Aの行列要素を格納する。
演算部7は、それぞれの格納部に格納されている値を用いて、カルマンフィルタの計算を行い、ADA=LELを満たす下三角行列L及び対角行列Eを求める。詳細については後述する。出力部9は、演算結果を外部に出力するとともに、演算部7の演算の結果得られる共分散行列Pi+1を出力する。カルマンフィルタにおいては、次のステップの計算に用いるため、得られたPi+1は入力部8に与えられる。
図3は、第1の格納部4及び第2の格納部5の構造の例を示す図である。
図3(a)は、第1及び第2の格納部のそれぞれに、第1及び第2の対角行列の対角要素の値を保持する場合のメモリの状態を示す。第1及び第2の格納部4、5は、上記の例においてはそれぞれ行列Dの次数と等しい個数の領域を備えており、それぞれに第1及び第2の対角行列の対角要素を格納する。
図3(b)は、第1の格納部4には、対角要素の値を格納し、第2の格納部5には、第1の格納部4に格納されている要素は第1あるいは第2の対角行列のいずれの要素であるかを識別するための値を格納する場合のメモリの状態を示す。図3(b)に示す例では、第1の格納部4に第1の対角行列の要素が格納される場合は、第2の格納部5の対応する領域に例えば「1」を格納し、第1の格納部4に第2の対角行列の要素が格納される場合は、第2の格納部5の対応する領域に例えば「0」を格納することとしている。例えば、行列Dの1行には無限大値が含まれるため、第1の格納部4にはD (1)の値が格納されており、第2の格納部5には、第1の格納部4に保持されている値はD(1)の値であることを示す情報である「1」が格納されている。行列Dの2行には無限大値は含まれないため、第1の格納部4にはD (2)の値が格納されており、第2の格納部5には、第1の格納部4に保持されている値はD (2)の値であることを示す情報「0」が格納されている。
なお、図3(b)に示すような対角要素の保持方法は、2つの対角行列D(1)、D(2)の要素d (1)及びd (2)の内積は0であることから実施可能である。
対角行列Dの要素のうち、無限大値をとる対角要素については上記第1の対角行列D(1)に含め、残りの対角要素については第2の対角行列D(2)に含めることで、共分散行列に無限大値が含まれる場合であっても、コンピュータで行列演算をすることが可能となる。また、従来の方法、例えば無限大値の代わりに数値的安定性を保つことのできる程度に大きい値を代入して以後の計算を行う方法や、共分散行列を行列SとTの逆行列であるT−1との積ST−1に置き換えて計算する方法と比較して、演算量を増大させることなく精度の高い値を得ることができる。
ところで、上記の修正コレスキー分解により得られる行列については、m行×n列の行列Aは
Figure 2008176683
(m=m+m、n=m+m+m)と表される。(2)式で表されるm行×n列行列Aと正規直交行列Θとにより、m行×n列の行列AΘは、以下のように表現される。
Figure 2008176683
なお、(3)式中の
Figure 2008176683
はm行×m列行列であり、
Figure 2008176683
はm行×m列行列である。
上記の(3)式に示すm行×n列の行列AΘのうち、共分散行列を含む部分を取り出したm行×m列の行列を行列Lとおくと、行列Lは、下の(4)式のように表される。
Figure 2008176683
上記の修正コレスキー分解により得られたADAに対し、直交・三角行列化の計算を行ってADA=LEL(Eはm次対角行列)を満たすm次下三角行列Lを求めることで、カルマンフィルタの誤差推定共分散行列
Figure 2008176683
が得られる。直交・三角行列化の計算には、例えばグラム・シュミット法を用いる。
以下、図面を参照して、直交・三角行列化の具体的な方法について説明する。
図4は、グラム・シュミット法による直交・三角行列化のアルゴリズムを示す図であり、図5から図7は、その方法を示したフローチャートである。
入力される行列は、上記のm行×n列行列A及びn次対角行列Dである。対角行列Dについては、上記(1)式に示すとおり、第1の対角行列D(1)と第2の対角行列D(2)との和に置換されている。
行列A及び対角行列Dの入力に対して出力される行列は、m次下三角行列L、m行×n列重み付き直交行列B及びm次対角行列Eである。行列Dが2つの対角行列の和に置換されているので、行列Eについても、無限大値を含む対角要素については第1の対角行列E(1)に、無限大値以外の対角要素については第2の対角行列E(2)に含まれ、E=∞×E(1)+E(2)と表される。
図4から図7において用いている変数のうち、「i」及び「j」は、演算すべき行列要素を識別するために用いるための変数であり、「k」は、第1及び第2の対角行列E(1)、E(2)(あるいはD(1)、D(2))を識別するための変数である。
行列Bは、
A=LB (5)
で定義される。このとき、ADA=(LB)D(LB)=LBDBより、
BDB=E (6)
の関係が導かれる。
また、ADA=LELであり、両辺はそれぞれ
Figure 2008176683
及び
Figure 2008176683
と変形できることから、(7)式が導かれる。
Figure 2008176683
そして、(6)式の両辺については、それぞれ以下のように変形することができる。
Figure 2008176683
Figure 2008176683
これより、
Figure 2008176683
が導かれる。また、
ΘΘ=I(行列Iは単位行列) (9)
である。
m行×n列の直交行列Bについては、以下の式のように表すこととする。
Figure 2008176683
Figure 2008176683
は行列Bのi行におけるn個の行列要素(bi1、bi2、…、bin)を表す。
以上の前提条件の下で、グラム・シュミット法による直交・三角行列化の計算を行う。
まず、図5のステップS1で、変数iを初期化してi=1とし、ステップS2で、iの値が行列L及びEの次数であるm以下の条件を満たすか否かを判定する。iがm以下の値をとる場合は、ステップS3に進む。
ステップS3で、変数kを初期化してを代入する。上記のとおり、変数kは行列要素に無限大値を含むか否かに応じて分離した、第1及び第2の対角行列を識別するために用いられている。そして、ステップS4で、変数kが2以下の場合はステップS5に進み、第kの対角行列E(k)のi行i列の行列要素e (k)を初期化して0を設定し、ステップS6でkに1を加算してステップS4に戻る。ステップS4でkが2を超えると判定すると、ステップS7に進む。
ステップS7で、変数jを初期化して1を設定し、ステップS8で、jの値が行列L及びEの次数であるm以下の条件を満たすか否かを判定する。jがm以下であるときは、ステップS9に進み、行列Lのi行j列の要素lijを初期化して0を設定し、ステップS10でjに1を加算してステップS8に戻る。ステップS8で、jがmを超えると判定すると、行列Lのi行目の行列要素については全て初期化を終えたとして、図6のステップS11に進む。
ステップS11で、上記の処理で初期化により0が設定されている行列Lのi行の行列要素のうち、i列の要素liiについては1を設定する。ステップS12で、行列Bのi行の要素を設定する。ここで、行列Lのi行の各要素については、先にステップS9及びステップS11において設定した値(lii=1を、lij=0(j≠0))を設定している。設定した値を用いると上記(5)は、
A=LB=B
となることから、ステップS12においては、行列Bのi行の要素は、
Figure 2008176683
と設定される。そして、ステップS13でiに1を加算してステップS2に戻る。ステップS2において、iがmよりも大きい場合は、全ての行列要素について計算が完了したと判断して、初期値の設定を終えて図7のステップS14に進む。
以上の処理は、求めるべき行列E、L及びBの初期化を行うものであり、図4のアルゴリズムにおいては1行目から6行目に示す処理に対応している。
ステップS14で、変数jを初期化して1を設定し、ステップS15で、jの値がm以下であるとの条件を満たすか否かを判定する。jがm以下の値をとる場合は、ステップS16に進み、kを初期化して1を設定して更にステップS17に進む。
ステップS17で、kが2以下であるか否かを判定する。kが2以下の場合はステップS18に進み、(6)式より、第kの対角行列E(k)のj行の対角要素を下の(11)式のように設定する。
Figure 2008176683
そして、ステップS19に進み、ステップS18で設定したe (k)が0であるか否かを判定する。「0」が設定されている場合は、m次下三角行列L及びm×n重み直交行列Bの行列要素については先に設定した初期値を用いることとして、ここでは特に設定し直さず、ステップS20でkに1を加算してステップS17に戻る。e (k)に0以外の値が設定されている場合は、ステップS21に進む。
ステップS21で、変数iについて初期化してj+1を設定し、ステップS22で、iの値がm以下であるとの条件を満たすか否かを判定する。iがm以下の値をとる場合は、ステップS23に進む。
ステップS23で、行列L及びBの要素について、下の(12)式のように設定する。
Figure 2008176683
そして、ステップS24でiに1を加算し、ステップS22に戻る。
ステップS22で、iがmを超えた場合は、ステップS25に進み、jに1を加算してステップS15に戻る。ステップS15でjがmを超えた場合は、処理を終了する。
以上説明したように、図4及び図5から図7に示す方法によれば、変数jについて対角行列E(1)及びE(2)の対角要素を(11)式に示すとおりに設定し、設定された値が0以外の場合には、対応するi行j列の下三角行列Lの要素、及びi列の直交行列Bの要素について(12)式に示すとおりに設定し、jの値がmを超えると、処理を終了する。
ステップS15以降の処理は、グラム・シュミット法を適用しており、図4のアルゴリズムにおいては、7行目以降の処理に対応している。
なお、上記の実施形態においては行列Lを下三角行列としているが、求めるべき三角行列を上三角行列Uとしても、U=Lであることから、同様の方法により共分散行列の演算が可能である。
また、上記の実施形態においては、カルマンフィルタに適用するための共分散行列の演算方法について例に挙げて説明しているが、これに限るものではなく、一般の共分散行列の計算に対しても適用が可能である。
更には、直交・三角行列化の方法としてはグラム・シュミット法について説明しているが、他の方法、例えば、ハウスホルダ法やギブンズ法を用いることも可能である。
(付記1)
共分散行列を行列Aと対角行列Dと行列Aの転置行列の積の形で表して演算を行う処理装置であって、
対角行列Dを、無限大値と対角行列D1との積と、対角行列D2との和で表したとき、対角行列D1及び対角行列D2を入力させる入力手段と、
対角行列D1及び対角行列D2を格納する第1の格納手段と、
行列Aを格納する第2の格納手段と、
前記第1の格納手段及び第2の格納手段に格納された対角行列D1、対角行列D2及び行列Aを用いて、前記共分散行列を下三角行列Lと対角行列Eと下三角行列Lの転置行列の積の形で表し、対角行列Eを無限大値と対角行列E1の積と、対角行列E2との和で表したときの下三角行列L、対角行列E1及び対角行列E2を計算する演算手段と、
得られた下三角行列Lを出力する出力手段と
を備えることを特徴とする処理装置。
(付記2)
前記第1の格納手段は、対角行列D1を格納する手段と対角行列D2を格納する手段とを含む
ことを特徴とする付記1記載の処理装置。
(付記3)
前記第1の格納手段は、対角行列D1及び対角行列D2の対角要素を格納する要素格納手段と、該要素格納手段に格納されている対角要素がそれぞれ対角行列D1あるいは対角
行列D2のいずれを表すかを示す情報を格納する格納手段とを含む
ことを特徴とする付記1記載の処理装置。
(付記4)
前記演算手段は、グラム・シュミット法により計算を行い、該グラム・シュミット法による計算においては、
対角行列E1及び対角行列E2の対角要素として0を設定し、下三角行列Lの対角要素として1を、下三角行列Lの対角要素以外の要素については0を設定することにより初期化を行い、
対角行列D1に基づいて、対角行列E1のj行の対角要素を設定し、
設定された対角行列E1のj行の対角要素の値が0でないときは、下三角行列Lの(j+1)行j列からm行j列までの要素を、対角行列E1のj行の対角要素の値及び対角行列D1に基づいて順次設定してゆき、
対角行列D2に基づいて、対角行列E2のj行の要素を設定し、
設定された対角行列E2のj行の対角要素の値が0でないときは、下三角行列Lの(j+1)行j列からm行j列までの要素を、対角行列E2のj列の対角要素の値及び対角行列D2に基づいて順次設定してゆく
処理を実行する
ことを特徴とする付記2または3記載の処理装置。
(付記5)
前記行列A、対角行列D1及び対角行列D2は、カルマンフィルタの共分散行列の演算に使用される
ことを特徴とする付記1から3のいずれか1つに記載の処理装置。
(付記6)
共分散行列を行列Aと対角行列Dと行列Aの転置行列の積の形で表して演算を行うための共分散行列演算プログラムであって、
対角行列Dを、無限大値と対角行列D1との積と、対角行列D2との和で表したとき、対角行列D1及び対角行列D2を入力させ、
対角行列D1、対角行列D2及び行列Aを格納手段に格納し、
前記格納手段に格納された対角行列D1、対角行列D2及び行列Aを用いて、前記共分散行列を下三角行列Lと対角行列Eと下三角行列Lの転置行列の積の形で表し、対角行列Eを無限大値と対角行列E1の積と、対角行列E2との和で表したときの下三角行列L、対角行列E1及び対角行列E2を計算し、
得られた下三角行列Lを出力する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする共分散行列演算プログラム。
カルマンフィルタの更新処理についての概念図である。 本実施形態に係る共分散行列の演算を行う情報処理装置のブロック図である。 第1の格納部及び第2の格納部の構造を示す図である。 グラム・シュミット法による直交・三角行列化のアルゴリズムを示す図である。 グラム・シュミット法による直交・三角行列化方法を示すフローチャート(その1)である。 グラム・シュミット法による直交・三角行列化方法を示すフローチャート(その2)である。 グラム・シュミット法による直交・三角行列化方法を示すフローチャート(その3)である。 グラム・シュミット法による直交・三角行列化のアルゴリズムの変形例方法を示す図である。 グラム・シュミット法による直交・三角行列化方法の変形例を示すフローチャートである。
符号の説明
1 情報処理装置
4 第1の格納部
5 第2の格納部
6 第3の格納部
7 演算部
8 入力部
9 出力部

Claims (4)

  1. 共分散行列を行列Aと対角行列Dと行列Aの転置行列の積の形で表して演算を行う処理装置であって、
    対角行列Dを、無限大値と対角行列D1との積と、対角行列D2との和で表したとき、対角行列D1及び対角行列D2を入力させる入力手段と、
    対角行列D1及び対角行列D2を格納する第1の格納手段と、
    行列Aを格納する第2の格納手段と、
    前記第1の格納手段及び第2の格納手段に格納された対角行列D1、対角行列D2及び行列Aを用いて、前記共分散行列を下三角行列Lと対角行列Eと下三角行列Lの転置行列の積の形で表し、対角行列Eを無限大値と対角行列E1の積と、対角行列E2との和で表したときの下三角行列L、対角行列E1及び対角行列E2を計算する演算手段と、
    得られた下三角行列Lを出力する出力手段と
    を備えることを特徴とする処理装置。
  2. 前記第1の格納手段は、対角行列D1を格納する手段と対角行列D2を格納する手段とを含む
    を備えることを特徴とする請求項1記載の処理装置。
  3. 前記第1の格納手段は、対角行列D1及び対角行列D2の対角要素を格納する要素格納手段と、該要素格納手段に格納されている対角要素がそれぞれ対角行列D1あるいは対角行列D2のいずれを表すかを示す情報を格納する格納手段とを含む
    ことを特徴とする請求項1記載の処理装置。
  4. 共分散行列を行列Aと対角行列Dと行列Aの転置行列の積の形で表して演算を行うための共分散行列演算プログラムであって、
    対角行列Dを、無限大値と対角行列D1との積と、対角行列D2との和で表したとき、対角行列D1及び対角行列D2を入力させ、
    対角行列D1、対角行列D2及び行列Aを格納手段に格納し、
    前記格納手段に格納された対角行列D1、対角行列D2及び行列Aを用いて、前記共分散行列を下三角行列Lと対角行列Eと下三角行列Lの転置行列の積の形で表し、対角行列Eを無限大値と対角行列E1の積と、対角行列E2との和で表したときの下三角行列L、対角行列E1及び対角行列E2を計算し、
    得られた下三角行列Lを出力する
    処理をコンピュータに実行させることを特徴とする共分散行列演算プログラム。
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