JP2008175621A - 沈殿物堆積量測定装置、水力発電設備の沈殿物堆積量測定装置、及び沈殿物堆積量測定方法 - Google Patents

沈殿物堆積量測定装置、水力発電設備の沈殿物堆積量測定装置、及び沈殿物堆積量測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 煩雑な作業を行う必要がない上に、沈殿槽の深さや液体の濁り等に影響を受けることなく沈殿物の堆積量を正確に求めることのできる沈殿物堆積量測定装置を提供する。
【解決手段】 液体内の混入物を沈殿させる沈殿槽に堆積した沈殿物の堆積量を測定する沈殿物堆積量測定装置であって、沈殿槽の底に配置され、該沈殿槽内の液体及び沈殿物による圧力を測定する第一圧力計と、沈殿槽の底に配置され、該沈殿槽内の液圧のみを測定する第二圧力計と、前記第一圧力計の測定圧と第二圧力計の測定圧との差を基に沈殿物の堆積量を求めるように構成された演算装置とを備えていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体内の混入物を沈殿させる沈殿槽に堆積した沈殿物の堆積量を求める沈殿物堆積量測定装置、水力発電設備の沈殿物堆積量測定装置、及び沈殿物堆積量測定方法に関する。
従来から、液体と混入物とを分離する手段の一つとして、沈殿槽が知られている。かかる沈殿槽は、供給された液体に混入する混入物を沈殿させることで、下部に混入物を堆積させ、液体と混入物とを分離させるようになっている。
かかる沈殿槽は、化学プラントや食品工場等の種々の設備に採用されており、例えば、河川から引き込んだ水の落下エネルギで発電を行う水力発電設備にも採用されている。
該水力発電設備は、河川から分岐させた水路よりも低い位置に配置した発電機に対し、ダクト(導水路)を介して水路からの水を導くことで、該発電機を駆動するようになっている。
この種の水力発電設備は、河川から水を引き込むため、水路を流れる水(液体)に混入した土砂や落ち葉等の混入物が発電機に到達するのを阻止すべく、水路上に沈殿槽が設けられている。
該沈殿槽は、水路の一部を他の部分よりも深く掘り下げることで形成されており、上流から流れ込んできた水に混入した混入物を沈殿させることで水と混入物とを分離し、水のみを下流側(発電機側)に流出させるようになっている。
このように沈殿槽は、混入物を沈殿させることで、液体と混入物とを分離することができるが、沈殿物の堆積量が許容量以上になると、沈殿物が液体とともに流出することがあるため、水力発電設備に限らず、通常、定期的に沈殿槽内の沈殿物の堆積量(堆積高さ)を測定し、許容量(許容高さ)に近づくと沈殿物を排出するようにしている。
そして、沈殿物の堆積量は、長尺なスケール(紐状のものや棒状のもの)を沈殿槽に沈めて沈殿物の上層までの水深を測ったり、レーザー光の反射で距離を測定するレーザー測定器で沈殿物の上層までの水深を測ったりすることで求められている。
しかしながら、スケールで沈殿物の堆積量を求める場合、沈殿槽の深さが深いとスケールが沈殿物の表層にまで到達しないことがあり、また、沈殿槽内の液体が濁っていると、スケールが沈殿物の表層に到達しているかどうか把握できないことがある。そのため、沈殿槽内の液体を排出した上で、沈殿物の堆積量を実際に確認しなければならない場合がある。また、レーザー測定器で沈殿物の堆積量を求める場合、液体が濁っていると、その濁りでレーザー光の通過が阻害され正確な測定を行うことができない場合がある。そのため、この場合においても、沈殿槽内の液体を排出した上で、沈殿物の堆積量を実際に確認しなければならない場合がある。
本発明は、斯かる実情に鑑み、沈殿槽の深さや液体の濁り等の影響を受けることなく、沈殿物の堆積量を容易且つ正確に求めることのできる沈殿物堆積量測定装置、水力発電設備の沈殿物堆積量測定装置、及び沈殿物堆積量測定方法を提供することを課題とする。
本発明に係る沈殿物堆積量測定装置は、液体内の混入物を沈殿させる沈殿槽に堆積した沈殿物の堆積量を測定する沈殿物堆積量測定装置であって、沈殿槽の底に配置され、該沈殿槽内の液体及び沈殿物による圧力を測定する第一圧力計と、沈殿槽の底に配置され、該沈殿槽内の液圧のみを測定する第二圧力計と、前記第一圧力計の測定圧と第二圧力計の測定圧との差を基に沈殿物の堆積量を求めるように構成された演算装置と、を備えていることを特徴とする。
上記沈殿物堆積量測定装置によれば、演算装置によって第一圧力計の測定圧と第二圧力計の測定圧との差、すなわち、沈殿槽内に堆積した沈殿物のみで生じる単位面積当りの力(圧力)が求められる。そして、求められた圧力は、沈殿物の堆積高さと相関関係を有するので、その求められた圧力を基に沈殿物の堆積量を求めることができる。
本発明の一態様として、前記演算装置は、第一圧力計の測定圧と第二圧力計の測定圧との差を予め設定された沈殿物の嵩比重で除して堆積量を求めるように構成されてもよい。このようにすれば、予め設定した嵩比重に対応した沈殿物の堆積量(堆積高さ)を求めることができる。
この場合、沈殿物の嵩比重を複数設定したデータベースが記憶された記憶手段と、データベース内から何れか一つの嵩比重を選択する選択手段とを更に備え、前記演算装置は、第一圧力計の測定圧と第二圧力計の測定圧との差及び選択された嵩比重を基に沈殿物の堆積量を求めるように構成されていることが好ましい。このようにすれば、データベースに設定した複数の嵩比重の中から、選択手段によって沈殿槽に堆積する沈殿物の実際の嵩比重に近いものを選択することができ、その結果、沈殿物の堆積量を精度良く求めることができる。
そして、前記データベースは、設定された嵩比重を変更可能に構成されれば、例えば、沈殿槽に供給(流入)する液体に混入する混入物の組成がかわり、沈殿物の嵩比重が予め設定したものと異なるようになった場合でも、現状に応じた嵩比重に修正することができ、沈殿物の堆積量をより精度良く求めることができる。
本発明に係る水力発電設備の沈殿物堆積量測定装置は、水力発電を行うべく河川から分岐した水路上に設けられた沈殿槽に堆積した沈殿物の堆積量を求める水力発電設備の沈殿物堆積量測定装置であって、沈殿槽の底に配置され、該沈殿槽内の水及び沈殿物による圧力を測定する第一圧力計と、沈殿槽の底に配置され、該沈殿槽内の水のみの圧力を測定する第二圧力計と、前記第一圧力計の測定圧と第二圧力計の測定圧との差を基に沈殿物の堆積量を求めるように構成された演算装置と、を備えていることを特徴とする。
上記構成の水力発電設備の沈殿物堆積量測定装置によれば、演算装置によって第一圧力計の測定圧と第二圧力計の測定圧との差、すなわち、沈殿槽内に堆積した沈殿物のみで生じる単位面積当りの力(圧力)が求められる(演算される)。そして、求められた圧力は、沈殿物の堆積高さと相関関係を有するので、その求められた圧力を基に沈殿物の堆積量を求めることができる。
本発明の一態様として、前記演算装置は、第一圧力計の測定圧と第二圧力計の測定圧との差を予め設定された沈殿物の嵩比重で除して堆積量を求めるように構成されてもよい。このようにすれば、予め設定した嵩比重に対応した沈殿物の堆積量(堆積高さ)を求める(演算する)ことができる。
この場合、沈殿物の嵩比重を複数設定したデータベースが記憶された記憶手段と、データベース内から何れか一つの嵩比重を選択する選択手段とを更に備え、前記演算装置は、第一圧力計の測定圧と第二圧力計の測定圧との差及び選択された嵩比重を基に沈殿物の堆積量を求めるように構成されていることが好ましい。このようにすれば、データベースに設定した複数の嵩比重の中から、選択手段によって沈殿槽に堆積する沈殿物の実際の嵩比重に近いものを選択することができ、その結果、沈殿物の堆積量を精度良く求めることができる。
特に、前記データベースは、複数の嵩比重が季節に応じて設定されていることが好ましい。沈殿槽に堆積する沈殿物は、季節によって組成が異なる(例えば、秋期においては落ち葉や枯れ葉等が沈殿物に混ざり、沈殿物の嵩比重が小さくなるが、冬季においては秋期よりも落ち葉等の混入率が低くなって沈殿物の嵩比重が秋期に比して大きくなる)ため、上述のように季節に応じた嵩比重をデータベースに設定しておけば、その季節に応じて沈殿物の堆積量をより精度良く求めることができる。
そして、前記データベースは、設定された嵩比重を変更可能に構成されれば、例えば、河川の上流側の地質変動や環境の変化等で混入物の組成がかわり、沈殿物の嵩比重が予め設定したものと異なるようになった場合でも、現状に応じた嵩比重に修正することができ、沈殿物の堆積量をより精度良く求めることができる。
そして、前記水路は、河川との分岐位置の下流側にカーブ領域が形成されるとともに、前記沈殿槽がカーブ領域の直下流側に設けられ、前記第一圧力計は、沈殿槽におけるカーブ領域の曲率半径の小さい一方の岸側且つ上流側の領域に配置され、前記第二圧力計は、沈殿槽におけるカーブ領域の曲率半径の大きい他方の岸側且つ上流側の領域に配置されてもよい。
カーブ領域を流れる水の流速は、曲率半径の小さい一方の岸側よりも曲率半径の大きい他方の岸側の方が速いため、その直下流側に設けられた沈殿槽において一方の岸側に偏って沈殿物が堆積する傾向にある。そのため、この領域の沈殿物が他の領域よりもいち早くオーバーフローすることになるので、第一圧力計を上記配置にすることで沈殿物の堆積許容量を超えてしまう前(沈殿槽から沈殿物が下流側に流れ込む前)に沈殿物の堆積量を把握して該沈殿物を排出することができる。
本発明に係る沈殿物堆積量測定方法は、液体内の混入物を沈殿させる沈殿槽に堆積した沈殿物の堆積量を求める沈殿物堆積量測定方法であって、沈殿槽の底に配置された第一圧力計で該沈殿槽内の液体及び沈殿物による圧力を測定するとともに、沈殿槽の底に配置された第二圧力計で該沈殿槽内の液圧のみを測定した後、第一圧力計の測定圧と第二圧力計の測定圧との差を基に沈殿物の堆積量を求めるようにしたことを特徴とする。
上記沈殿物堆積量測定方法によれば、第一圧力計の測定圧と第二圧力計の測定圧との差、すなわち、沈殿槽内に堆積した沈殿物のみで生じる単位面積当りの力(圧力)は、沈殿物の堆積高さと相関関係を有するので、圧力差を基に沈殿物の堆積量を求めることができる。
本発明の一態様として、第一圧力計の測定圧と第二圧力計の測定圧との差を予め設定された沈殿物の嵩比重で除して堆積量を求めるようにすれば、予め設定した嵩比重に対応した沈殿物の堆積量(堆積高さ)を求めることができる。
以上のように、本発明に係る沈殿物堆積量測定装置、水力発電設備の沈殿物堆積量測定装置、及び沈殿物堆積量測定方法は、何れも沈殿槽の深さや液体の濁り等の影響を受けることなく、沈殿物の堆積量を容易且つ正確に求めることができるといった優れた効果を奏し得る。
以下、本発明の一実施形態ついて、添付図面を参照しつつ説明する。なお、本発明に係る沈殿物堆積量測定装置及び沈殿物堆積量測定方法は、化学プラントや食品工場等の各種設備に採用できるが、本実施形態においては、水力発電設備に採用する場合を一例にして説明する。そこで、沈殿物堆積量測定装置(水力発電設備の沈殿物堆積量測定装置)の説明に先立って、前提となる水力発電設備について概略説明すると、かかる水力発電設備は、図1(a)及び図1(b)に示す如く、河川Rから分岐した水路Rdと、該水路Rdよりも低地に設置された発電機Pgと、水路Rdに繋がる取水口(採番しない)と発電機Pgと結ぶ導水路Riとを備えている。
前記水路Rdには、該水路Rdの一部を他の部分よりも深く掘り下げて形成された沈殿槽Dtが設けられている。具体的に説明すると、該水路Rdは、河川Rから枝分かれした分岐位置としての分岐領域R1と、該分岐領域R1の下流側で水の流通方向を変更すべく形成されたカーブ領域R2と、該カーブ領域R2の直下流に形成された沈殿槽Dtとして沈殿領域Dtと、該沈殿領域Dtと導水路Riとを繋ぎ、沈殿領域Dtから流出した水を導水路Riに導く取水領域R3とで構成されている。
前記分岐領域R1は、河川Rから引き込まれる水が円滑に流れ込むように、平面視において河川Rの上流側から下流側に向けて水路幅が徐々に拡大するように形成されており、最終的に所定幅になるように形成されている。なお、この分岐領域R1は河川Rの上流側の始点から下流側の終点近傍に至る範囲で河川Rに繋がっており、この範囲内で河川Rからの水が流れ込むようになっている。
そして、前記カーブ領域R2は、所定幅にまで広がった分岐領域R1に連続して形成されている。該カーブ領域R2は、河川Rから流入させた水の流通方向を発電機Pgの設置位置に対応させるべく、分岐領域R1の最大幅と同一又は略同一の水路幅で円弧状或いは楕円弧状に形成されている。すなわち、カーブ領域R2は、一方の岸Sa側が他方の岸Sb側よりも曲率半径が小さくなるように形成されている。そして、本実施形態において、前記沈殿領域Dtは、水路Rdの一部を構成しており、上流側のカーブ領域R2の水路幅と同一又は略同一の幅で該カーブ領域R2に対して連続して形成されている。該沈殿領域Dtは、上流側のカーブ領域R2よりも底が掘り下げられて形成されている。すなわち、該沈殿領域(沈殿槽)Dtは、上流側(カーブ領域R2)及び下流側(取水領域R3)よりも水深が深くなるように底が掘り下げられ、いわゆる枡の如く形成されることで、その底の低い部分に土砂や落ち葉等の混入物を沈殿させるようになっている。そして、沈殿領域(沈殿槽)Dtは、水路Rd(当該沈殿領域Dt)を画定する両岸のうち、何れか一方の岸Sa(本実施形態においてはカーブ領域R2で曲率半径の大きな他方の岸Sbと繋がった岸)側の側壁に、堆積した沈殿物を排出させる排出口Dpが形成されている。該排出口Dpは、水路Rdが河川Rから分岐した位置よりも下流側で合流した排出路Raに接続されている。そして、排出口Dpには、該排出口Dpを開閉するための排出ゲートDgが設けられており、該排出ゲートDgの開閉で沈殿領域Dtと排出路Raとの連通及び遮断を切り換えることができるようになっている。
前記取水領域R3は、上流側の沈殿領域Dtと同一又は略同一の水路幅で真っ直ぐに延びるように形成されている。該取水領域R3には、沈殿領域Dtを通過した浮遊物等を除去するためのスクリーンSや、導水路Riへの水の流入と遮断とを切り換えるための取水ゲートG等が設置されている。そして、該取水領域R3は、スクリーンS及び取水ゲートGの下流側に形成された前記取水口が導水路Riに接続されている。
そして、前記導水路Riは、一般的にダクトで構成されており、前記発電機Pgは、導水路Riを介して流れてくる(落下してくる)水の力で回転するタービン(図示しない)を備えるとともに、該タービンを回転で発電する発電機構(図示しない)を備えている。これにより、かかる水力発電設備は、河川Rから引き込んだ水の落下エネルギによって発電するようになっている。
次に、本実施形態に係る沈殿物堆積量測定装置について説明する。本実施形態に係る沈殿物堆積量測定装置は、図2に示す如く、沈殿槽Dt内の水及び沈殿物による圧力を測定する第一圧力計1と、沈殿槽Dt内の水圧(水のみの圧力)を測定する第二圧力計2と、演算装置3とを備えている。
前記第一圧力計1は、いわゆる、土圧計であり、図1(a)及び図1(b)に示す如く、沈殿槽Dtの底に配置されている。該第一圧力計1は、図3に示す如く、堆積した沈殿物を受ける受感部(以下、第一受感部という)10と、該第一受感部10で受けた圧力を信号(本実施形態においては電流)に変換する変換部(以下、第一変換部という)11とを備えている。前記第一受感部10は、平面視略円形をなすダイヤフラム(第一ダイヤフラムという)100と、該第一ダイヤフラム100の周囲を液密に保持するケーシング(以下、第一ケーシングという)101とを備えている。該第一圧力計1は、前記第一ダイヤフラム100上に存在する水及び沈殿物の荷重によって第一ダイヤフラム100が変位し、その変位量を第一変換部11が電流値に変換するようになっている。すなわち、第一ダイヤフラム100上に水のみが存在し、第一ダイヤフラム100の変位量が小さいとき(圧力が小さきとき)には、第一変換部11は低い電流値を信号として出力し、第一ダイヤフラム100上に水及び沈殿物が存在し、その沈殿物の堆積量が大きくなる(圧力が大きくなる)につれて、第一変換部11は沈殿物の堆積量に応じて大きな電流値を信号として出力するようになっている。このように本実施形態に係る第一圧力計1は、信号(電流値)を出力するようにしているが、該電流値は圧力と相関関係があるため、実質的には圧力値を出力していることになる。
なお、該第一圧力計1は、地上に別途設置されたトランスミッタT1にケーブル(採番しない)を介して接続されており、トランスミッタT1を介して信号(電流値)を増幅して測定結果として出力するようになっている(図2参照)。
前記第二圧力計2は、第一圧力計1とは異なり、沈殿領域Dt内の水のみの圧力を測定する、いわゆる水圧計であり、図1(a)及び図1(b)に示す如く、沈殿槽Dtの底に配置されている。該第二圧力計2は、図4に示す如く、水圧を受ける受感部(以下、第二受感部という)20と、第二受感部20で受けた圧力を信号(本実施形態においては電流)に変換する変換部(以下、第二変換部という)21とを備えている。
前記第二受感部20は、平面視略円形をなすダイヤフラム(以下、第二ダイヤフラムという)200と、該第二ダイヤフラム200の周囲を液密に保持するケーシング(以下、第二ケーシングという)201と、該第二ケーシング201に連設されて第二ダイヤフラム200を包囲する筒状カバー202とを備えている。前記筒状カバー202は、透水性のポーラス203…が設けられており、内部に水のみが進入するようになっている。これにより、該筒状カバー202に包囲された第二ダイヤフラム200には水圧のみが作用するようになっている。
そして、該第二圧力計2は、水圧の作用で第二ダイヤフラム200が変位し、該変位量を第二変換部21が電流値に変換するようになっている。すなわち、水路Rd(沈殿領域Dt)の水位が低い場合には、沈殿領域Dtの底(第二圧力計2の第二受感部20)に作用する水圧が小さいため、第二ダイヤフラム200の変位量が小さく、第二変換部21は低い電流値を信号として出力し、水路Rd(沈殿領域Dt)の水位が高い場合には、沈殿領域Dtの底(第二圧力計2の第二受感部20)に作用する水圧が大きくなるため、第二ダイヤフラム200の変位量が大きく、第二変換部21は水位が高くなるにつれて大きな電流値を信号として出力するようになっている。このように本実施形態に係る第二圧力計2についても、第一圧力計1と同様に、信号(電流値)を出力するようにしているが、該電流値についても圧力と相関関係があるため、実質的には圧力値を出力していることになる。
なお、該第二圧力計2についても、第一圧力計1と同様に、地上に別途設置されたトランスミッタT2にケーブル(採番しない)を介して接続されており、トランスミッタT2を介して信号(電流値)を増幅して測定結果として出力するようになっている(図2参照)。
前記第一圧力計1及び第二圧力計2は、第一受感部10(第一ダイヤフラム100)及び第二受感部20(第二ダイヤフラム200)が高さ方向(沈殿領域Dtの深さ方向)において同レベルになるように配置される。すなわち、第一圧力計1の第一受感部10上に沈殿物が存在しない場合(水圧のみが作用する場合)、水圧のみを測定する第二圧力計2の測定結果(測定圧)と同一の測定結果が得られるように配置されている。そして、本実施形態において、沈殿領域Dtの直上流にカーブ領域R2が形成されているため、図1(a)に示す如く、第一圧力計1は、カーブ領域R2の曲率半径の小さい一方の岸Sa側で且つ該沈殿領域Dt内の上流領域に配置され、前記第二圧力計2は、カーブ領域R2の曲率半径の大きい他方の岸Sb側で且つ該沈殿領域Dt内の上流側領域に配置されている。すなわち、カーブ領域R2を流れる水は、曲率半径の小さな一方の岸Sa側ほど流速が遅くなり、その領域に連続した沈殿領域Dtの一方の岸Sa側の上流領域に沈殿物が堆積しやすい傾向にあるため、この領域に水と沈殿物とによる圧力を測定する第一圧力計1を配置して圧力を測定するようにしている。その一方で、第二圧力計2は、水圧のみを測定することを目的としているため、沈殿物の堆積しにくい他方の岸Sb側に配置して水圧を測定するようにしている。すなわち、第二圧力計2は、沈殿物(水に混入した混入物)の進入を防止するために透水性を有するポーラス203…の形成された筒状カバー202を備えているが、そのポーラス203…の目詰まり等の危険性を回避すべく、沈殿物の堆積しにくい他方の岸Sb側に配置されている。
図2に戻り、前記演算装置3は、いわゆるカリキュレータとよばれるもので、本実施形態においては、CPUが採用されている。該演算装置3は、前記第一圧力計1の測定圧と第二圧力計2の測定圧との差を基に沈殿物の堆積量を求めるように構成されている。本実施形態においては、第一圧力計1及び第二圧力計2がトランスミッタT1,T2を介して測定結果(変換信号)を出力するように構成されているため、該演算装置3は、トランスミッタT1,T2に接続されており、該トランスミッタT1,T2からの出力を基に第一圧力計1の測定圧と第二圧力計2の測定圧の差を求め、その差を基に沈殿物の堆積量を求めるように構成されている。
なお、第一圧力計1及び第二圧力計2は、測定圧を電流(電気信号)として出力するようになっているが、上述の如く、電流値と圧力とは相関関係があるため、演算装置3はその関係を基に演算するようになっている。
なお、第一圧力計1の出力を圧力値に変換するとともに、第二圧力計2の出力を水圧値に変換して、これらの差を求めるようにしてもよいが、電流値と圧力とが相関関係にあることから、本実施形態においては、第一圧力計1の出力(電流値)から第二圧力計2の出力(電流値)を差し引いて、これらの差を求めるようにしている。そして、その差(電流値の差)と対応する圧力、すなわち、第一圧力計1上に堆積した沈殿物のみによる単位面積当りの力(圧力)が求められる。そして、演算装置3は、求められた圧力を基に沈殿物の堆積量(堆積高さ)を求めるようになっている。すなわち、求められた単位面積当りの力:圧力は、沈殿物の堆積高さと相関関係を有するので、その求められた圧力を基に沈殿物の堆積量を求めるようになっている。
本実施形態において、前記演算装置3は、第一圧力計1の測定圧と第二圧力計2の測定圧との差を予め設定された沈殿物の嵩比重で除して堆積量を求めるように構成されている。なお、演算装置3が求めた圧力から、沈殿物の嵩比重を反映させて圧力との相関関係を基に予め設定した堆積量を求めるようにしても勿論よい。
より具体的に説明すると、本実施形態に係る水力発電設備の沈殿物堆積量測定装置は、沈殿物の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…を複数設定したデータベースDb(図5参照)が記憶された記憶手段4と、データベースDb内から何れか一つの嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…を選択する選択手段5を更に備えている。
前記記憶手段4としては、ハードディスクドライブや、RAM、CD−Rドライブ等の種々のものを採用することができ、選択手段5としては、キーボード(汎用キーボード又は専用キーボード)やマウス等を採用することができる。そして、本実施形態に係る沈殿物堆積量測定装置は、選択手段5による嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…の選択を円滑に行うべく、データベースDbに設定した複数の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…、及び、選択した嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…を表示するディスプレイ6を備えている。なお、ディスプレイ6には、液晶ディスプレイや7セグメント等を採用することができ、また、該ディスプレイ6にタッチパネルを採用することで、ディスプレイ6自体を前記選択手段5としても機能させることもできる。
前記データベースDbに設定される複数の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…は、例えば、組成の異なる複数種類の沈殿物を実際に採取した上で実際に測定して求められたものである。本実施形態においては、河川Rから引き込んだ水で発電する水力発電設備に採用されるため、図5に示す如く、前記複数の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…は、季節(四季)に応じて設定されている。具体的に説明すると、沈殿槽Dtに堆積する沈殿物は、季節によって組成が異なり、例えば、秋期においては落ち葉や枯れ葉等の混入率が高く、沈殿物の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…が小さくなり、冬季においては秋期よりも落ち葉等の混入率が低くなって沈殿物の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…が秋期に比して大きくなる。このことに着目し、本実施形態に係る沈殿物堆積量測定装置は、季節毎に沈殿物をサンプル採取して求めた季節毎の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…をデータベース化している。
さらに、本実施形態において、前記データベースDbは、設定された嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…を変更可能に構成されている。すなわち、本実施形態に係る沈殿物堆積量測定装置は、河川Rの上流側の地質変動や環境の変化等で水に混入する混入物の組成が変わる可能性があることを考慮して、沈殿物の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…が予め設定したものと異なるようになった場合でも、現状に応じた嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…に修正することができるようになっている。従って、データベースDbに設定された複数の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…を、沈殿領域Dtからサンプル採取した沈殿物を基に求めた現状の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…に修正できるようになっている。なお、上述の如く、前記データベースDbは、季節に応じて複数の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…が設定されるため、データベースDbの情報(嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…)を修正する場合には、一年を通じて季節毎にサンプル採取を行って、実際の沈殿物の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…を求めて設定することが好ましい。
本実施形態に係る沈殿物堆積量測定装置は、以上の構成からなり、次に、該沈殿物堆積量測定装置の作動について説明する。
上記構成の水力発電設備は、河川Rから水路Rdに水を引き込むに際し、河川Rから土砂や落ち葉等の混入物についても水路Rdに流れ込むことになる。そうすると、本実施形態に係る水力発電設備は、部分的に掘り下げた沈殿槽Dtが水路Rd上に設けられているので、河川Rから流れ込んだ混入物が該沈殿槽Dt内で沈殿して除去され、浮遊物がスクリーンSで除去された後、河川Rからの水が導水路Riを介して発電機Pgに送り込まれる。これにより、発電機Pgに土砂や落ち葉、枯れ木等が流れ込むのを防止した上で、発電機Pgが駆動されて発電が行われる。
このように河川Rからの水の引き込みに伴って沈殿槽Dtに前記混入物が堆積することになるが、本実施形態においては、沈殿物堆積量測定装置が、沈殿槽Dt内で作用する水圧、沈殿物による圧力、沈殿物の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…を基にして、経時的に沈殿槽Dtに堆積した沈殿物の堆積量を求め(監視し)、沈殿物のオーバーフローを防止するようになっている。
具体的に説明すると、本実施形態に係る沈殿物堆積量測定装置は、図6に示す如く、沈殿物の堆積量を測定するに先立ち、データベースDb内の情報(嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…)の変更の要否が確認され(S10)、河川Rの上流側の地質変化等によってデータベースDbの情報に変更が必要である場合(S10でYES)には、作業者がデータベースDbの内容を別途採取したサンプルに基づく実際の嵩比重に変更する(S20)。そして、データベースDbの情報に変更が必要でない場合、或いは、情報が変更されると(S10でNO)、以後のステップ(演算装置3による演算)に用いる嵩比重が選択されているかが確認(判断)され(S30)、嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…が選択されていない場合(S30でNO)には、作業者がデータベースDbから何れか一つの嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…が選択する(S40)。本実施形態においては、上述の如く、データベースDbに季節に対応する複数の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…が設定されているので、作業者は、その季節に対応した嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…を選択乃至設定する。
そして、嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…が選択される、或いは選択されていると(S30でYES)、次に、選択されている嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…の変更の要否が確認される(S50)。なお、ここでの嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…の変更は、データベースDdから異なる嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…を選択し直すことを意味するが、例えば、データベースDbに設定した嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…(情報)そのものを変更できるようにしてもよい。
嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…を変更する場合(S50でYES)、作業者が選択手段5によって先に選択した嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…を別の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…に変更(選択)する(S60)。そして、嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…の変更が不要な場合、或いは、変更されて再度の変更が不要な場合、すなわち、S40で嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…選択され、又は、S60で嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…が変更されると(S50でNO)、沈殿槽Dtの沈殿物の堆積量が求められる(S70〜S90)
具体的には、第一圧力計1が沈殿槽Dt内の水及び沈殿物による圧力P1:水の作用による圧力(P1’)+沈殿物の作用による圧力(P1'')を測定するとともに、第二圧力計2が沈殿槽Dt内の水による圧力(水圧)P2を測定する(S70)。この際、沈殿槽Dtに沈殿物が存在しない場合、第一圧力計1及び第二圧力計2は、共に沈殿槽Dt内の水の圧力(水圧)のみを測定圧P1,P2として出力する。これに対し、沈殿槽Dtに沈殿物が堆積すると、第一圧力計1の第一受感部10には、水の圧力P1’と沈殿物の圧力P1''とが作用し、第一圧力計1は、水の圧力P1’と沈殿物の圧力P1''との合計(P1’+P1'')を測定圧P1として出力する。これに対し、第二圧力計2は、常に水圧のみを測定圧P2として出力する。なお、第一圧力計1の第一受感部10及び第二圧力計2の第二受感部20は、圧力を受ける領域の面積が一定であるので、第一圧力計1及び第二圧力計2の測定圧は、単位面積当りの力として表現される。
そして、演算装置3は、第一圧力計1の測定圧P1と第二圧力計2の測定圧P2との差を求める(算出する)(S80)。第一圧力計1の第一受感部10と第二圧力計2の第二受感部20とが同レベルで配置されているため、沈殿槽Dtに沈殿物が存在せずに第一受感部10及び第二受感部20が水圧P1,P2のみを測定している場合、演算装置3の演算結果(第一圧力計1の測定圧P1と第二圧力計2の測定圧P2との差(P1−P2))は、0(ゼロ)となる。その一方で、沈殿槽Dtに沈殿物が堆積していると、演算装置3の演算結果(第一圧力計1の測定圧P1と第二圧力計2の測定圧P2との差(P1−P2))は、沈殿物のみによる圧力P1''となる。すなわち、第一圧力計1の第一受感部10と第二圧力計2の第二受感部20とが同レベルで配置されているため、第一圧力計1の測定圧P1のうちの水による圧力(水圧)P1’と第二圧力計2の測定圧P2が同一になるため、第一圧力計1の測定圧P1のうちの残りの圧力(沈殿物による圧力)P1''が演算装置3の演算結果として求められる(S80)。
そして、演算装置3は、求めた圧力差(P1−P2:P1'')を予め設定した沈殿物の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…で除して、第一圧力計1の第一受感部10上に堆積した沈殿物の堆積量(堆積高さ)を求める(演算する)ことになる(S90)。
このような第一圧力計1及び第二圧力計2による圧力の測定と、その測定結果に基づく演算装置3による演算が経時的に繰り返し行われる(S70〜S100でNO)。
そして、求めた沈殿物の堆積量が所定量(高さ)に達したと演算装置3が判断すると(S100でYES)、沈殿槽Dtの排出ゲートDgを開き、沈殿槽Dt内の沈殿物(土砂等)が排出路Raを介して河川Rに戻される(S110)。そして、演算装置3の演算結果が0(ゼロ)又は略0(略ゼロ)になる、すなわち、沈殿物の排出が完了して第一圧力計1の測定結果が水圧又は略水圧だけの値になると(S120でYES)、排出ゲートDgが閉じられることになる(S130)。この排出ゲートDgの開閉に対応して取水ゲートGを開閉してもよいが、発電稼働率の低下を防ぐべく、通常、排出ゲートDgを開く場合も取水ゲートGは開いた状態で維持する。なお、排出ゲートDgを沈殿槽Dtの下層部分(沈殿物の堆積を予定した部分)の開閉を行うことで、堆積した土砂等(混入物)が主として排出されることになり、導水路Ri側に流れる水の量が大きく低下することが防止されている。そして、引き続き沈殿物の堆積量の測定(監視)を行う、すなわち、当該沈殿物堆積量測定装置の作動を続行させれば(S140でNO)、上述のような作動(S10〜S130)が連続的に繰り返される一方、当該沈殿物堆積量測定装置を停止する旨を指示すれば(S140でYES)、一連の作動が完了することになる(END)。
なお、本実施形態においては、記憶手段4に記憶させたデータベースDbは、沈殿物の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…が季節毎に設定されているため、S30での嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…の選択や、S60での嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…の変更は、通常、季節の変わり目に設定され、例外を除いて、日常的な測定において頻繁に選択や変更が行われることがない。また、S20でのデータベースDbの変更についても、河川Rの上流側の地質変化等を見受けられる場合(例えば、沈殿物の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…に変動があり、沈殿物の堆積量が所定量に達すると判断される前に沈殿物が取水領域よりも下流側に流出する傾向が見受けられるような場合)に、実際に沈殿物をサンプル採取して嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…を求めた上でデータベースDbに反映されるものであるので、例外を除いて、日常的な測定において頻繁に変更が行われることはない。
以上のように、本実施形態に係る沈殿物堆積量測定装置によれば、演算装置3によって第一圧力計1の測定圧と第二圧力計2の測定圧との差を基に沈殿物の堆積量を求めるように構成したので、沈殿槽Dtの水深や水の濁り等に影響を受けることなく沈殿物の堆積量を容易且つ正確に測定することができる。
また、第一圧力計1の測定圧と第二圧力計2の測定圧との差を予め設定された沈殿物の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…で除して堆積量を求めるように演算装置3を構成したので、予め設定した嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…に対応した沈殿物の堆積量(堆積高さ)を求めることができる。
また、沈殿物の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…を複数設定したデータベースDbが記憶された記憶手段4と、データベースDb内から何れか一つの嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…を選択する選択手段5とを備え、第一圧力計1の測定圧と第二圧力計2の測定圧との差及び選択された嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…を基に沈殿物の堆積量を求めるように演算装置3を構成したので、データベースDbに設定した複数の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…の中から、選択手段5によって沈殿槽Dtに堆積する沈殿物の実際の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…に近いものを選択することができ、その結果、沈殿物の堆積量を精度良く求めることができる。
特に、前記データベースDbの複数の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…が季節に応じて設定されているため、その季節に応じて沈殿物の堆積量を精度良く求めることができる。
そして、前記データベースDbが設定された嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…を変更可能に構成されているので、沈殿物の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…が予め設定したものと異なるようになった場合でも、現状に応じた嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…に修正することができ、沈殿物の堆積量をより精度良く求めることができる。
そして、沈殿領域Dtにおけるカーブ領域R2の曲率半径の小さい一方の岸Sa側且つ上流側の領域に第一圧力計1を配置するとともに、沈殿領域Dtにおけるカーブ領域R2の曲率半径の大きい他方の岸Sb側且つ上流側の領域に第二圧力計2を配置するようにしたので、沈殿物の堆積許容量を超えてしまう前(沈殿槽Dtから沈殿物が下流側に流れ込む前)に沈殿物の堆積量を把握した上で該沈殿物を排出することができる。
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
上記実施形態において、水力発電所の沈殿物堆積量測定装置について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、化学プラントや食品工場等の各種設備に設けられた沈殿槽Dt内の沈殿物の堆積量を求める沈殿物堆積量測定装置としてもよい。この場合、沈殿槽Dt内に供給される液体(例えば、水や薬液やその液体等)の圧力を第一圧力計1で測定するとともに、前記液体と沈殿槽Dtに堆積する沈殿物(例えば、汚泥やスラッジ等)とによる圧力を第二圧力計2で測定し、演算装置3で第一圧力計1の測定圧と第二圧力計2の測定圧との差を求め、その差を基に沈殿物の堆積量を求めるようにしてもよい。この場合、上記実施形態のように、沈殿物の組成が季節によって変化するものではない場合もあるが、沈殿槽Dtに供給される液体が変更される場合、それに混入する混入物が異なる組成となる場合があるため、データベースDbには変更される可能性のある液体(混入物)の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…を複数設定するようにしてもよい。従って、この場合の沈殿槽Dtは、上記実施形態のように水路Rdの一構成をなすものではなく、例えば、独立したタンクの如き構成されたものであってもよい。
また、上記実施形態において、複数の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…の設定されたデータベースDbを記憶手段4に記憶させるようにしたが、これに限定されるものではなく、上記実施形態で選択手段5としたキーボードやマウス等を入力手段として用いて適宜沈殿物の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…を入力乃至設定できるようにしてもよい。
そして、上記実施形態において、演算装置3で第一圧力計1の測定圧と第二圧力計2の測定圧との差を求め、その差(圧力差:沈殿物による圧力)を予め設定した沈殿物の嵩比重Pd1,Pd2,Pd3…で除することで堆積量(堆積高さ)を求めるようにしたが、例えば、沈殿物のみによる単位面積当りの力(圧力)と沈殿物の堆積量との関係を予め複数設定し、この関係と演算装置3の演算結果とを比較して、沈殿物の堆積量を求めるようにしてもよい。
上記実施形態において、水路Rdの一部を構成する沈殿槽Dtの直上流側にカーブ領域R2が形成されることを前提として、曲率半径の小さな一方の岸Sa側に第一圧力計1を配置するとともに、曲率半径の大きな他方の岸Sb側に第二圧力計2を配置するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、第一圧力計1及び第二圧力計2を水路Rd(沈殿槽Dt)の中央部に横並びに配置するようにしてもよい。但し、より精度の高い測定を行うには、上記実施形態と同様に、沈殿物の堆積しやすい領域に第一圧力計1を配置するととともに、沈殿物の堆積しにくい領域に第二圧力計2を配置することが好ましいことは言うまでもない。
上記実施形態において、沈殿槽Dtに沈殿した沈殿物の堆積量を求める沈殿物堆積量測定装置(水力発電設備の沈殿物堆積量測定装置)について説明したが、例えば、沈殿槽Dtの底に配置された第一圧力計1で該沈殿槽Dt内の液体及び沈殿物による圧力を測定するとともに、沈殿槽Dtの底に配置された第二圧力計2で該沈殿槽Dt内の液圧のみを測定した後、第一圧力計1の測定圧P1と第二圧力計2の測定圧P2との差(P1−P2)を基に沈殿物の堆積量を求める沈殿物堆積量測定方法として採用してもよい。すなわち、第一圧力計1及び第二圧力計2とともに演算装置3を一体的な装置にしたものに限定されるものではなく、例えば、作業者が、第一圧力計1の測定圧P1と第二圧力計2の測定圧P2との差(P1−P2)を求めるとともに、その差を基に沈殿物の堆積量を求める(予め設定した嵩比重で求めた圧力差(P1−P2)を除して(割り算して)沈殿物の堆積量を求める)ようにしてもよい。この場合、第一圧力計1及び第二圧力計2の測定圧P1,P2を作業者が認識できるようにすることは勿論のことである。
本発明の一実施形態に係る沈殿物堆積量測定装置(水力発電設備の沈殿物堆積量測定装置)が採用される水力発電設備の概略説明図であって、(a)は、概略平面図を示し、(b)は、(a)のI−I断面図を示す。 同実施形態に係る沈殿物堆積量測定装置の概略構成図を示す。 同実施形態に係る沈殿物堆積量測定装置の第一圧力計の概略斜視図を示す。 同実施形態に係る沈殿物堆積量測定装置の第二圧力計の概略斜視図を示す。 同実施形態に係る沈殿物堆積量測定装置の記憶手段に記憶されるデータベースの概略構成図を示す。 同実施形態に係る沈殿物堆積量測定装置の作動を説明するフロー図を説明する。
符号の説明
1…第一圧力計、2…第二圧力計、3…演算装置、4…記憶手段、5…選択手段、6…ディスプレイ、10…第一受感部、11…第一変換部、20…第二受感部、21…第二変換部、100…第一ダイヤフラム、101…第一ケーシング、200…第二ダイヤフラム、201…第二ケーシング、202…筒状カバー、203…ポーラス、Db…データベース、Dg…排出ゲート、Dp…排出口、Dt…沈殿槽(沈殿領域)、G…取水ゲート、P1’…沈殿物による単位面積当りの力(圧力:第一圧力計の測定圧と第二圧力計の測定圧との圧力差)、P1…測定圧(沈殿物と水とで作用する単位面積当りの力:圧力)、P2…測定圧(水のみで作用する単位面積当りの力:圧力)、Pd1,Pd2,Pd3…嵩比重、Pg…発電機、R…河川、R1…分岐領域、R2…カーブ領域、R3…取水領域、Rd…取水路、Rd…水路、Ri…導水路、S…スクリーン、Sa…一方の岸、Sb…他方の岸、T1,T2…トランスミッタ

Claims (12)

  1. 液体内の混入物を沈殿させる沈殿槽に堆積した沈殿物の堆積量を求める沈殿物堆積量測定装置であって、沈殿槽の底に配置され、該沈殿槽内の液体及び沈殿物による圧力を測定する第一圧力計と、沈殿槽の底に配置され、該沈殿槽内の液圧のみを測定する第二圧力計と、前記第一圧力計の測定圧と第二圧力計の測定圧との差を基に沈殿物の堆積量を求めるように構成された演算装置と、を備えていることを特徴とする沈殿物堆積量測定装置。
  2. 前記演算装置は、第一圧力計の測定圧と第二圧力計の測定圧との差を予め設定された沈殿物の嵩比重で除して堆積量を求めるように構成されている請求項1記載の沈殿物堆積量測定装置。
  3. 沈殿物の嵩比重を複数設定したデータベースが記憶された記憶手段と、データベース内から何れか一つの嵩比重を選択する選択手段とを更に備え、前記演算装置は、第一圧力計の測定圧と第二圧力計の測定圧との差及び選択された嵩比重を基に沈殿物の堆積量を求めるように構成されている請求項2記載の沈殿物堆積量測定装置。
  4. 前記データベースは、設定された嵩比重を変更可能に構成されている請求項3記載の沈殿物堆積量測定装置。
  5. 水力発電を行うべく河川から分岐した水路上に設けられた沈殿槽に堆積した沈殿物の堆積量を求める水力発電設備の沈殿物堆積量測定装置であって、沈殿槽の底に配置され、該沈殿槽内の水及び沈殿物による圧力を測定する第一圧力計と、沈殿槽の底に配置され、該沈殿槽内の水のみの圧力を測定する第二圧力計と、前記第一圧力計の測定圧と第二圧力計の測定圧との差を基に沈殿物の堆積量を求めるように構成された演算装置と、を備えていることを特徴とする水力発電設備の沈殿物堆積量測定装置。
  6. 前記演算装置は、第一圧力計の測定圧と第二圧力計の測定圧との差を予め設定された沈殿物の嵩比重で除して堆積量を求めるように構成されている請求項5記載の水力発電設備の沈殿物堆積量測定装置。
  7. 沈殿物の嵩比重を複数設定したデータベースが記憶された記憶手段と、データベース内から何れか一つの嵩比重を選択する選択手段とを更に備え、前記演算装置は、第一圧力計の測定圧と第二圧力計の測定圧との差及び選択された嵩比重を基に沈殿物の堆積量を求めるように構成されている請求項6記載の水力発電設備の沈殿物堆積量測定装置。
  8. 前記データベースは、複数の嵩比重が季節に応じて設定されている請求項7記載の水力発電設備の沈殿物堆積量測定装置。
  9. 前記データベースは、設定された嵩比重を変更可能に構成されている請求項7又は8記載の水力発電設備の沈殿物堆積量測定装置。
  10. 前記水路は、河川との分岐位置の下流側にカーブ領域が形成されるとともに、前記沈殿槽がカーブ領域の直下流側に設けられ、前記第一圧力計は、沈殿槽におけるカーブ領域の曲率半径の小さい一方の岸側且つ上流側の領域に配置され、前記第二圧力計は、沈殿槽におけるカーブ領域の曲率半径の大きい他方の岸側且つ上流側の領域に配置されている請求項5乃至9の何れか1項に記載の水力発電設備の沈殿物堆積量測定装置。
  11. 液体内の混入物を沈殿させる沈殿槽に堆積した沈殿物の堆積量を求める沈殿物堆積量測定方法であって、沈殿槽の底に配置された第一圧力計で該沈殿槽内の液体及び沈殿物による圧力を測定するとともに、沈殿槽の底に配置された第二圧力計で該沈殿槽内の液圧のみを測定した後、第一圧力計の測定圧と第二圧力計の測定圧との差を基に沈殿物の堆積量を求めるようにしたことを特徴とする沈殿物堆積量測定方法。
  12. 第一圧力計の測定圧と第二圧力計の測定圧との差を予め設定された沈殿物の嵩比重で除して堆積量を求めるようにした請求項11記載の沈殿物堆積量測定方法。
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