JP2008154584A - 抗菌方法と材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】全体としてブドウ球菌属細菌のビルレンスの原因となる遺伝子の同定と、それによってこれらのビルレンス遺伝子とその生産物を標的とし、且つワクチンに有用な新規黄色ブドウ球菌変異体の提供。
【解決手段】ブドウ球菌のビルレンス遺伝子又は遺伝子生産物の機能を標的にする抗菌剤を同定するための方法が提供される。その方法は、ブドウ球菌属細菌由来の特定なDNA配列によって表されるビルレンス遺伝子生産物の発現を妨げる能力について可能性のある作用物質をアッセイすること、又はそのようなアッセイにおいて陽性である作用物質を同定することに続き、特定なDNA配列又はそれの相補鎖により全体又は一部をコードされる細菌性タンパク質の機能を妨げる能力について可能性のある作用物質をアッセイすること、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、全般的にブドウ球菌性細菌のビルレンスに応答可能な遺伝子の同定、それによってこれらのビルレンス遺伝子を標的にする新規抗菌剤の同定及びその生産物を与えること及びワクチンにおいて有用な新規黄色ブドウ球菌(Staphyl ococcus aureus)変異体の提供に関する。
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が最も重要なヒトの病原菌であるブドウ球菌属(Staphylococci)は、大部分のヒトの皮膚に集落化する、頑丈なグラム陰性細菌である。凝結酵素(coagulase)を生産するブドウ球菌属株は、黄色ブドウ球菌とされる;他の臨床的に重要な凝結酵素-陰性ブドウ球菌は、表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)とS.サプロフィチクス(S.saprophytics)である。皮膚又は粘膜バリアが崩壊した場合、ブドウ球菌は、普通無害かつ自己限定性である局在化した且つ外見上の感染を生じることができる。しかしながら、ブドウ球菌がリンパの及び血液に侵入する場合、潜在的に重大な合併症を、菌血症、敗血症性ショック及び心内膜炎、関節炎、骨髄炎、肺炎及び現実の何れかの器官中の膿瘍を生じ得る。黄色ブドウ球菌のある種の株は、皮膚発疹、食中毒又は多重システム機能不全(毒性ショック症候群におけるような)を生じる毒を生産する。黄色ブドウ球菌と表皮ブドウ球菌は共に、米国の病院において病院内非尿管感染の最も普通の原因となっている。それは、一次及び二次の菌血症の両方で及び皮膚の及び外科手術の創傷感染において最も頻繁に単離される病原菌である。Harrison’s Principles of Internal Medicine,13th ed.,Isselbacher等,eds.,McGraw-Hill,New York(1994),の全般、特に611-617頁を参照。
黄色ブドウ球菌による鼻の一過性集落形成は相対的に延長した期間の間その細菌を20から30パーセントが持っている、70から90%の人々において見られる。会陰の部位の独立した集落形成は、5から20パーセントの人々で発生する。黄色ブドウ球菌のより高度な保菌率は、アトピー性皮膚炎に罹った個人、病院勤務者入院患者、皮膚の度々の穿刺のケアが要求される患者、及び静脈内薬物乱用者において報告されている。
ブドウ球菌による感染は普通、細菌のビルレンス因子(virulence factors)と宿主防御の減少の結合を生じる。重要な微生物の因子は、過酷な条件下で生存するためのその能力、その細胞壁構造、組織反転を促進する酵素と毒素の生産、ある種の貧食細胞の細胞内に固執するその能力、及び抗菌剤への耐性を取得するためのその潜在能力を含む。重要な宿主因子は、完全な粘膜皮膚バリア、相当数の好中球、及び異物又は死滅組織の除去を含む。
黄色ブドウ球菌の細胞壁成分は、生体に固さを与え且つ望ましくない浸透条件下でそれの生存を可能とする巨大ペプチドグリカン複合体、ペプチドグリカンに結合した独特なテイコ酸、及び細胞の最も外部の部分を越えてペプチドグリカンに接続され且つ可溶形で放出される両方で見出されるプロテインAとを含む。femA及びfemBと称するタンパク質は、細胞壁ペプチドグリカンペンタグリシン架橋の形成に含まれ、メチシリン耐性における因子である。[Berger-Bachi等, Mol.Gen.Genet., 219:263-269(1989)]。黄色ブドウ球菌はまた、他の組織に血流を経ての生体の拡散を仲介し得るラミニンとフィブロネクチンへの特異的なレセプターをも有する。ぺプチドグリカンとテイコ酸の両方は、代替経路を経て相補カスケード活性化することかできる。黄色ブドウ球菌はまた、コアギュレーション経路中の組織因子を活性化することが明らかである。
黄色ブドウ球菌によって生産されるある種の酵素は、ビルレンスにおいて役割を演じ得る。カタラーゼは過酸化水素を分解し且つ食菌作用の間生体を保護し得る。凝結酵素は溶解と細胞結合との両方の形態で存在し且つトロンビン様物質の形成によって凝固することを血漿にもたらす。凝固酵素生産とビルレンスの間の高い相関関係は、この物質がブドウ球菌感染の病因論において重要であるがしかし病原性の決定要素としてのそれの正確な役割は決定していないことを示唆する。多くの株はまた、結合組織マトリックス中のヒアルロン酸を分解し且つ感染の拡散を促進し得る酵素、ヒアルノニダーゼをも生産する。幾つかの株からのトリプシン様プロテアーゼは、その活性フラグメントへのウイルス前駆体へマグルチニンの蛋白分解的切断によってインフルエンザウイルスの感染を増し、そのような共感染の罹患率に寄与し得る。
黄色ブドウ球菌は、疾患プロセスに関連されている多くの細胞外体外毒素を生産する。表皮剥脱(exfoliatin)毒素AとB、ブドウ球菌エンテロトキシン、及びトキシックショック症候群毒素、TSST−1は、形成した毒素の量、宿主の免疫状態及び循環系と毒素の接触に基づいて局部的又は全身的な作用を介在するサイトカインの生産に帰結するT細胞と単球/マクロファージを活性化する、微生物スーパー抗原の増大する群に属する。表皮剥脱毒素は、ブドウ球菌熱傷様皮膚症候群と水抱性膿痴疹の皮膚科学的徴候を介在する。これらの毒素は、水抱形成と表皮剥離に至る、顆粒層での皮膚の表皮内割線の原因となる。7の別個のエンテロトキシン(A,B,C1,C2,C3,D,及びE)が、黄色ブドウ球菌による食中毒に関連している。これらの毒素は、腸のぜん動を増し、且つ中枢神経系上に直接影響することによって嘔吐を誘発することが明らかである。トキシックショック症候群(TSS)は、黄色ブドウ球菌の臨床的分離の5から25パーセントで存在するTSST−1によって最も普通に仲介される。TSSはまた、エンテロトキシンB、まれにエンテロトキシンC1によって、低い頻度で仲介される。
黄色ブドウ球菌は、ビルレンスにおける役割が完全に理解されていない他の毒素を生産する。アルファ、ベータ、ガンマ及びデルタ毒素と称される、4の異なる赤血球溶血素が同定されている。アルファ毒素はまた、動物に皮下的に注射された場合、皮膚の壊死を生じると共に、デルタ毒素はまた、腸内の水吸収を阻害し、且つブドウ球菌感染の幾つかのケースで見られる急性水様下痢における役割を演じ得る。ロイコチジンは、カチオンに対し透過性の膜小孔を生産することによって顆粒球とマクロファージを溶解する。
arg,xpr,sae及びsar遺伝子は、ブドウ球菌属体外毒素の調節に含まれることが同定されている。米国特許第5,587,228号と国際特許出願公開WO 96/10579とWO 97/11690参照。興味あるのは、これらの調節系のインヒビターのスクリーニングのWO 97/11690の報告である。
ブドウ球菌は、塞がった毛包と皮脂腺を経て又は火傷、創傷、擦過傷、虫さされ、又は皮膚炎により損傷したエリアを経て、皮膚又は粘膜に侵入できる。ブドウ球菌属はしばしば人工器官の装置及び静脈内カテーテルに集落形成する;血管接触部位の黄色ブドウ球菌感染は、血液透析における患者の中の合併症発生頻度と死亡の主要なケースである。肺の集落形成化と浸潤は、気管内挿管、又は肺のクリアランス機構が弱まった、例えばウイルス感染後、吸引後の場合、又は嚢胞性線維症の患者で発生し得る。細胞毒性化学療法剤又は放射線治療後の胃腸管路への粘膜損傷はその部位からの侵入を起こり易くする。
一度皮膚又は粘膜が破られると、局在細菌の増殖が、炎症、好中球蓄積、組織壊死、血栓症及び感染の部位でのフィブリン沈着を伴って起こる。後の線維芽細胞は、該エリアの周りに相対的に無血管の壁を作る。宿主メカニズムが皮膚又は粘膜下感染を含むことで衰える場合、ブドウ球菌はリンパ及び血流に入り得る。転移性伝染の通例の部位は、肺、腎臓、心臓、弁、心筋層、肝臓、脾臓、骨及び脳を含む。
黄色ブドウ球菌による菌血症は、血管外(皮膚感染、熱傷、蜂巣炎、骨髄炎、関節炎)又は血管内病巣(静脈内カテーテル、透析接続部位、静脈内薬物乱用)のいずれか一方で、何れかの局所感染から生起され得る。まれに、菌血症に罹った患者が、高熱、頻脈、チアノーゼ、及び血管虚脱と共に12から24時間以内に死亡する。播種性の脈管内凝固は、模擬の髄膜炎菌血症疾患を発症し得る。普通該疾患は、消耗性の熱と転移性膿瘍の形成を伴ってより緩やかに進行する。
黄色ブドウ球菌血症の主要な合併症は、心内膜炎である。黄色ブドウ球菌は、心内膜炎の2番目によく起きる原因であり、薬物乱用の中では最もよく起こる原因である。その疾患は、典型的には急性で、高熱、進行性貧血を、且つ頻繁な塞栓及び心外性敗血症合併症を伴う。弁環と心筋膿瘍が普通である。死亡率は20から30パーセントである。
ブドウ球菌性熱傷性皮膚症候群(SSSS)は、黄色ブドウ球菌の表皮剥脱毒素生産株の感染の合併症である全身性の剥脱性皮膚炎である。該疾患は、新生児(Ritter's disease)において及び五歳以下の小児において典型的に発生する。狸紅熱様の発疹は、幹及び端、及び最終的な落屑を経て全身性となる、口周囲のエリアにおいて始まる。赤色となる水庖熱傷は、熱傷に似て皮膚を露出させる。SSSSに罹った大部分の成人は、免疫抑制され又は腎臓機能不全を有する。血液培養は度々陽性となり、且つ死亡率はかなり大きい。
トキシックショック症候群は、黄色ブドウ球菌のある種の株により生産される毒素(一般にTSST−1、及びより少ない頻度でエンテロトキシンBとC1)によって介在される多重系疾患である。それは最初、小児において所見されたが、しかし1980年に、月経の開始の間の若い女性の中で流行した。TSSの診断は、高熱、1または2週間にわたり継続する手のひらと足の裏が剥離する散在性発疹、起立性となり得る低血圧症、及び3又はより多くの器官系との関連の証拠とを含む臨床的基準に基づいている。そのような関係は普通、胃腸の機能不全(嘔吐又は下痢)、腎臓又は肝臓の不全、粘膜充血、血小板減少症、上昇したクレアチンホスホキナーゼ(CK)レベルを伴う筋肉痛、及び通常の脳脊髄液の検査による失見当を含む。TSSの死亡率は3パーセントである。
黄色ブドウ球菌は、集団感染性の細菌性肺炎のほぼ3%の原因となる。この疾患は、ブドウ球菌性肺炎が相対的により普通である場合、たとえ肺炎球菌性肺炎よりも一層頻度が少ないとしても、インフルエンザの急増の間を除き、散発的に発生する。乳児と小児における最初のブドウ球菌性肺炎は、高い熱と咳をしばしば伴って表れる。多重薄壁化膿瘍が胸部X線で見られ、且つ蓄膿症形成が共通する。年長小児と健康成人において、ブドウ球菌性肺炎はインフルエンザ様の呼吸器感染に一般的に先行する。ブドウ球菌関与の始まりは、悪寒、高熱、進行性呼吸困難、チアノーゼ、咳、胸膜痛、及び時折血痰を伴い、突然に起きる。ブドウ球菌性肺炎は、嚢胞性線維症に罹った患者において、集中治療室において挿管された患者及び吸引するために腹臥とされた消耗した患者においてより高頻度で見られる。
黄色ブドウ球菌は、急性骨髄炎の大部分のケースの原因である。たとえ該疾患が20歳以下の人々においてより普通であるとしても、50歳以上の成人、特に棘の関係を持つ増加する流行をもたらす。侵入の最初の門は、多くの患者が含まれたエリアに先行する外傷の履歴が与えられるとしてもしばしば同定されない。一度確立した、感染は、骨膜に又は髄腔に沿って骨を通して行き渡る。まれに、化膿性関節炎を生じさせる関節包が広がる。小児において骨髄炎は、悪寒、高熱、悪心、嘔吐、及び骨の関与する部位での進行性の痛みと共に突発的に始まる急性過程として示され得る。
黄色ブドウ球菌は、細菌性髄膜炎のケースの1から9パーセントを、及び脳膿瘍の10から15パーセントの原因となる。最も普通には、該細菌は、傍脊椎又は傍髄膜の膿瘍から延長によって、又は脳神経外科手術後の院内感染によって、中枢神経系の外側の病巣から、典型的には心内膜炎感染から広がる。50パーセントを超える硬膜外膿瘍が黄色ブドウ球菌によるものである;これらのケースの半分までが、脊椎骨髄炎に関係するであろう。患者は、急性又は慢性の背部疼痛のいずれか一方を、大抵は低度の熱と倦怠感を伴って現れる。根性疼痛は、その疾患が神経学的機能不全及び最後の麻痺に進行し得る前兆となる症状である。
ブドウ球菌による抗菌耐性は、院内環境におけるその存続に利益となる。病院と地域社会の両方の90パーセント以上で、感染をもたらす黄色ブドウ球菌の株がペニシリン耐性である。この耐性は、β-ラクタマーゼ酵素の生産によるものである;これら酵素の遺伝子は、プラスミドによって通常は搬入される。その獲得した耐性を持った生物による感染は、かつてはぺニシリナーゼ耐性β-ラクタム抗菌剤で治療することかできた。しかしながら、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)と称される、真のペニシリナーゼ耐性黄色ブドウ球菌は、β-ラクタム抗菌剤の全て、同じくセファロスポリンに耐性である。MRSA耐性は、β-ラクタムへの低い親和性を持った変更されたペニシリン結合タンパク質(PBP2a又はPBP2’)の生産を遺伝子的に介在し且つ包含する。MRSAは、エリスロマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、及びアミノグリコシドへの耐性の仲介を獲得したプラスミドも度々有する。MRSAは、世界中共通に、特に第三次-ケア医薬病院において増加している。米国において、病院で分離した黄色ブドウ球菌のほぼ5パーセントがメチシリン耐性である。
米国特許第5,587,228号 国際特許出願公開WO 96/10579 国際特許出願公開WO 97/11690 Harrison’s Principles of Internal Medicine,13th ed.,Isselbacher等,eds.,McGraw-Hill,New York(1994) Berger-Bachi等, Mol.Gen.Genet., 219:263-269(1989)
かくして、細菌感染を、特に抗菌剤耐性細菌によってもたらされるそれらを治療するために有用な新規の作用物質の、及びそのような新規作用物質を同定する方法の必要が継続して存在する。そのような方法は、現存する抗菌剤とは無関係であり且つ現存する抗菌剤と比較して、宿主のブドウ球菌属の転換及び複製化の異なる態様を標的化する作用物質を理想的に同定するであろう。
本発明は、全体としてブドウ球菌属細菌のビルレンスの原因となる遺伝子の同定と、それによってこれらのビルレンス遺伝子とその生産物を標的とし、且つワクチンに有用な新規黄色ブドウ球菌変異体の提供を与えることに関する。
本発明の一つの態様に従い、ブドウ球菌のビルレンス遺伝子又は遺伝子生産物の機能を標的にする抗菌剤を同定するための方法が提供される。その方法は、配列番号:1から94のいずれか一つに記載したDNA配列によって表されるビルレンス遺伝子生産物の発現を妨げる能力について可能性のある作用物質をアッセイすること、又はそのようなアッセイにおいて陽性である作用物質を同定することに続き、配列番号:1から94のいずれか一つに記載のDNA配列又はそれの相補鎖により全体又は一部をコードされる細菌性タンパク質の機能を妨げる能力について可能性のある作用物質をアッセイすること、を含む。
複数の異なるアッセイの使用が、本発明のこの態様に従って意図される。そのビルレンス遺伝子生産物の機能が周知の遺伝子生産物に類似の配列によって知られ又は予測される場合、可能性のあるインヒビターは、酵素的な又は該遺伝子生産物の機能の鍵となる他の型のアッセイでスクリーンすることができる。そのビルレンス遺伝子生産物が、別なタンパク質又は核酸と相互作用する周知の遺伝子生産物に類似の配列により知られ又は予測される場合、この相互作用のインヒビターは、結合アッセイにおいて直接的に又は二つのハイブリッドアッセイを用いてスクリーンすることができる。他のアッセイは、そのビルレンス遺伝子生産物用のリガンドが知られていない場合、標的タンパク質と相互作用する遺伝子生産物を同定する二つのハイブリッドスクリーニングアッセイを含む、標的タンパク質に対する試験リガンドの直接結合の測定を通して標的タンパク質のリガンドを同定するアッセイ、及びイオンスプレー質量分析/HPLC法又は他の物理的及び分析学的方法によるアフィニティー限外濾過を通して標的タンパク質のリガンドを同定するアッセイ、を用いて良い。
本発明の別な態様において、ビルレンス遺伝子生産物の発現又は機能を妨げる能力について可能性のある作用物質をアッセイすることのための方法が提供され、ここで、これら生産物をコードするビルレンス遺伝子は、ここに定義した及び実施例1中に例示した通りの符号タグ化(signature-tagged)変異誘発を通しての同定によって獲得可能である。
本発明の更なる態様に従い、ここに記載された方法によって同定された新規の抗菌剤、同じく、そのような新規抗菌剤の投与を含むブドウ球菌属による感染を受けている対象を治療するための方法が提供される。特に、ビルレンス遺伝子生産物の発現を妨げる剤は、ビルレンス遺伝子配列に相補であるアンチセンスポリヌクレオチドを含む。ビルレンス遺伝子生産物の発現を妨げる剤は、ビルレンス遺伝子生産物の変異体、これらビルレンス遺伝子生産物のリガンド及びその変異体、及び酵素インヒビター(該生産物が酵素の場合)を含む。
本発明の更なる態様は、配列番号:1から94の何れか1つによって表される遺伝子中に機能性変異を含む黄色ブドウ球菌生物を提供し、上記機能性変異は該生物のビルレンスの減少をもたらす。そのような変異した黄色ブドウ球菌を含む、任意に適当なアジュバント及び薬学上許容される希釈剤又は担体を含む、ワクチン組成物もまた意図される。
本発明の多くの付加の態様と効果は、それの提示的に作られた実施態様を記載する以下の本発明の詳細な説明の考慮により当業者に明らかとなるであろう。
ここに用いたような「ビルレンス遺伝子」は、機能又は生産物が宿主動物中での細菌感染の成功裏の確立及び/又は維持に要求される遺伝子である。かくして、ビルレンス遺伝子及び/又はそれによりコードされたタンパク質は、宿主生物中の病原性を含むが、しかしインビトロで増殖する必要はないであろう。抗生物質が典型的にインビトロでスクリーンされることから、インビトロでのこれらのビルレンス遺伝子の同定は、現存の抗生物質と比べて標的と作用のメカニズムが異なった新規の抗菌剤を発見するための手段を提供する。黄色ブドウ球菌中には50から100のビルレンス遺伝子があり得る[参照GroismanとOchman,Trends Microbiol.Sci.,2:289-294(1984)(discussing Salmonella virulence genes);Muhldorfer and Hacker,Microb.Pathogenesis,16:171-181(1994)(discussing E.coli virulence genes)。
ここで用いたような「符号タグ化変異誘発(signature-tagged mutagenesis)」は、参考としてここに取り込まれる国際出願公聞WO 96/17951中に一般的に記載された方法であり、且つ例えば、細菌のネズミモデルにおいてビルレンスに要求される黄色ブドウ球菌遺伝子を同定するための方法を含む。この方法において、それぞれの挿入変異体は、互いが識別されるべき変異体を与える異なる符号タグ化を運ぶ。その標識は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により共増幅されるべき中心部を与える20-bpの不変の「腕」によって側面配位した40-bp可変中央領域を含む。標識した変異体株をミクロタイター皿中に配し、感染実験のための「接種材料プール」を形成するため組み合わせた。接種後適当な時点で、細菌を動物から分離し、「回収プール」を形成するためプールする。その回収プールにおける標識と接種プールにおける標識は、別個に増幅し標識し、次いで接種における変異体を表す異なる標識と並列したフィルターを検査するために使用される。弱毒化ビルレンスを持った変異体は、接種プールからの標識で検査した場合に、しかし回収プールからの標識によって検査した場合でなく、ハイブリダイゼーションシグナルを与える標識を持ったそれである。
符号タグ化変異誘発は、ビルレンスの損失について単一の動物において同時にスクリーンされるべき多数の挿入変異体株を与える96の変異体黄色ブドウ球菌株の13のプールのスクリーニングは、多くの個々の変異体の連続した分析によりビルレンスにおいて弱毒化することが確証された、減少したビルレンスを持った50株の同定に帰結した。これら変異体のトランスポゾン挿入ポイントの側面にある領域のヌクレオチド配列はDNA調査及びトランスポゾンの挿入によって不活性化した遺伝子を同定するためタンパク質配列データベースによって分析した。
これらのサーチに基づいて、多くのビルレンス遺伝子を異なるクラスにグループ化させ得る。第1のクラスは、細胞表面代謝に含まれるタンパク質をコードする(例えば、P2C73,P11C29,P13C83,P9B65,P10B89)。細胞壁ペプチドグリカンペンタグリシン架橋の形成に含まれる、femAとfemBの両者は、ビルレンス遺伝子として同定された。変異体P2C73は、femBに顕著な類似性を共有する前の未知の遺伝子中にトランスポゾン挿入を含む。変異体P14C15は、枯草菌(Bacillus subtilis)からのAsdに最も高いレベルの類似性を持った、異なる細菌からのアスパラギン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(Asd)にその生産物が類似する遺伝子中にトランスポゾン挿入を含む。Asdは、細胞壁ペプチドグリカンの重要な構成成分である、メチオニン、トレオニン、イソロイシン、リシン及びジアミノピメリン酸(DAP) の生合成における鍵となる酵素である。
第2のクラスは、細胞内生合成経路に含まれる酵素をコードする(例えば、P9B74,P5C4,P9B66,P14C15,P13B26,P7C18,P15C31,P10B18,P6B18,P10B66,P10C34,P12C3)。2つの遺伝子(変異体P7C18とP13B26)の推定されるタンパク質生産物は、枯草菌LysAとThrBに強い類似性を示す。Asdと同じく、これらの酵素は、アスパラギン酸生合成に含まれる。LysAは、ジアミノピメリン酸をリシンに変換するジアミノピメリン酸デカルボキシラーゼであり、且つThrBは、トレオニンへの変換前のホモセリンをリン酸化する。トランスポゾン挿入はまた、メタノコッカス ジャナスキー(Methanococcus jannaschii)trpA、ラクトコッカス ラクチス(Lactococcus lactis)trpB及びL.ラクチスtrpDの相同な遺伝子においても得られた。これらの遺伝子は、トリプトファン生合成経路の酵素をコードする:それぞれ、トリプトファン合成酵素のアルファ鎖、トリプトファン合成酵素のベータ鎖、及びアントラニル酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ。P15C31中で変異した該遺伝子は、プリン生合成経路の酵素、ホスホリボシルホルミルグリシンアミジンデカルボキシラーゼをコードするL.ラクチスpurLの相同体である。変異体P9B66は、生産物がペプチドメチオニンスルホキシド還元酵素に類似する遺伝子における挿入を含む。
遺伝子の第3のクラスは、TCAサイクルの構成成分をコードするそれらである(例えば、変異体P4C27,P4C52,P10B2,P10C20,P12C32)。P10B2とP12C32株は、それぞれオキソグルタル酸デヒドロゲナーゼ複合体とアコニターゼのサブユニットのための遺伝子において変異を持つ。
第4のクラスは、ATP-結合カセット(ABC)トランスポータースーパーファミリーのオリゴペプチド輸送タンパク質にその生産物が類似する遺伝子から構成される(例えば、変異体P7C26,P10C15,P5C3,P11C66,P5C34)。オリゴペプチド輸送は、ラクトコッカス属においてペプチド利用と蛋白分解系のために重要である。グループA連鎖球菌(streptococci)において、Oppタンパク質は、獲得する栄養源のみでなく、粘着性、プロテアーゼ生産及び分泌したタンパク質の加工においても含まれる。
遺伝子の第5のクラスは、細胞内調製及び再生プロセスに含まれる(例えば、変異体P4C15,P13B74,P13C72,P10B30,P6C63,P14B25)。変異体P4C15とP6C63は、黄色ブドウ球菌MarR/LuxR-様調節タンパク質における挿入を含む。MarRとLuxRは転写レギュレータ一のファミリーに属し、且つこれらMarR/LuxR-様タンパク質は黄色ブドウ球菌における類似機能を有すると思われる。肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、淋菌(Ncisseria gonorrhoeae)及び大腸菌(Escherichia coli)において、この酵素はそれの機能的酸化状態において表面粘着性を維持するための助けとなる。変異体P10B30は、大腸菌のATP-従属Clpプロテアーゼに類似の生産物を伴う遺伝子中のトランスポゾン挿入と関係している。細胞内蛋白質分解のための該Clpストレス応答系は、細菌内に広く保存され且つその系の構成成分は、リステリア菌(Listeria monocytogenes)とS.リフィムリウム(S.ryphimurium)のビルレンスのために重要である。変異体P13B74とP13C72は、転移終結で機能することができる、ステム-ループ終結配列を有する。
ビルレンス遺伝子としてこれら遺伝子の同定は、本発明に従う新規の抗菌剤を同定するための方法においてそれに有用性を与える。そのような方法は、配列番号:1から94のいずれか1つに記載されたDNA配列によって表されるビルレンス遺伝子生産物の発現を妨げる能力について可能性のある作用物質をアッセイすること(即ち、配列番号:1から94のDNA配列によって表される遺伝子がビルレンス遺伝子生産物をコードする、又は配列番号:1から94のDNA配列がビルレンス遺伝子生産物をコードする遺伝子に近接される、又はビルレンス遺伝子生産物の発現の調節に含まれる)、又は、そのようなアッセイにおいて陽性である作用物質を同定することに続き、配列番号:1から94のいずれか1つに記載されたDNA配列又はその相補鎖によって全体を又は一部をコードした細菌タンパク質の機能を妨げる能力について可能性のある作用物質をアッセイすることを含む。これらのアッセイにおいて有用なポリヌクレオチドとポリペプチドは、ここに記載されたような遺伝子とコードされたポリペプチドのみでなく、野生型遺伝子とポリペプチドと実質上同じ活性を有する、それの変異体もまた含まれる。ここで用いたような「変異体」は、その変異体が野生型ポリヌクレオチド又はポリペプチドと実質上同じ活性を保有している限りは、1又はそれ以上の欠失、挿入又は置換を含むポリヌクレオチド又はポリペプチドを含む。ポリペプチドに関して、欠失変異体は、生物学的活性のために必須でないポリペプチドの部分を欠いたフラグメントを含むことを意図し、且つ挿入変異体は、その野生型ポリペプチド又はそのフラグメントが別なポリペプチドに融合している融合ポリペプチドを含むことを意図する。
該ビルレンス遺伝子は、鋳型として黄色ブドウ球菌ゲノムDNAを用いてPCRによってクローン化され得る。発現ベクターへの該遺伝子の挿入のケースについて、PCRプライマーは、そのPCR-増幅遺伝子が開始コドンATGに先行する5’末端で制限酵素サイトを、及び終止コドンTAG,TGA又はTAAの後の3’末端で制限酵素サイトを有するように選択される。もし望むなら、該遺伝子中のコドンは、GrosjeanとFiers,Gene,18:199-209(1982),及びKonigsberg とGodson, Proc.Natl.Acad.Sci.(USA), 80:687-691(1983)によって記載された好ましい大腸菌コドンに従い、アミノ酸の変更なしに、変えられる。コドン処理の最適化は、大腸菌において作製される場合、その遺伝子生産物の発現の増加に至るであろう。もしその遺伝子生産物が、大腸菌又は他の細菌のペリプラズムにおいて又は細胞培養培地中のいずれか一方の、細胞外で生産されるべきものなら、その遺伝子はその開始コドンなしにクローン化され且つシグナル配列の後ろの発現ベクターに配される。例えば、femA遺伝子のクローン化と発現は後述する実施例3中に記載される。
タンパク質精製工程を簡素化するために、精製標識が、遺伝子コード化配列の5’又は3’末端のいずれか一方に加えられる。普通に用いられる精製標識は、6のヒスチジン残基のストレッチ(米国特許第5,284,933と5,310,663号)、SchmidtとSkerra,Protein Engineering,6:109-122(1993)に記載のストレプタビジン- アフィニティー標識、FLAGペプチド[Hopp等,Biotechnology,6:1205-1210(1988)]、グルタチオンS-トランスフェラーゼ[SmithとJohnson,Gene,67:31-40 (1988)]、及びチオレドキシン[La Vallie等,Bio/Technology,11:187-193(1993)]を含む。これらのペプチド又はポリペプチドを取り外すために、蛋白分解的な切断認識サイトが融合接合部で挿入され得る。普通用いられるプロテアーゼは、因子Xa、トロンビン、及びエンテロキナーゼである。
タンパク質は、周知のプロモーターベクター、及び宿主を用いて、良く知られた原核生物又は真核生物の幾つかにおいて製造される。何れかの適当な宿主細胞は、大腸菌、バチルス属及び黄色ブドウ球菌を含む他の細菌、ピチア パストリス(Pichia pastoris)とサッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae) を含む酵母、昆虫細胞、又はCHO細胞を含む哺乳動物細胞のような、当該分野で周知の適当なベクターを利用し、遺伝子生産物の発現のために使用され得るものである。タンパク質は直接的に又はペプチド又はポリペプチドに融合され、且つ細菌細胞のペリプラズムの空間への又は細胞培養培地への分泌によって細胞内又は細胞外のいずれか一方で生産され得る。タンパク質の分泌はシグナルペプチド(プレ-配列としても知られる)が要求される;原核生物及び真核生物からの多数のシグナル配列が、組換えタンパク質の分泌のために機能することが知られる。タンパク質分泌プロセスの間、該シグナルペプチドは、成熟タンパク質を生産するためにシグナルペプチダーゼによって取り外される。
上述した方法により生産したビルレンス遺伝子は、抑制作用物質をスクリーンするため高スループットアッセイで使用される。スクリーンするべき可能性のある作用物質のためのソースは、化合物ライブラリー、ストレプトミセス属の菌、他の細菌と真菌の発酵培地、栽培植物と他の植物の細胞抽出物である。周知の酵素的活性を持ったタンパク質のために、アッセイはその活性に基づいて確立され、且つ多数の可能性のある作用物質は、その活性を阻害する能力についてスクリーンされる。他のタンパク質又は核酸と相互作用するタンパク質のため、結合アッセイはその相互作用を直接測定することで確立され、その可能性のある作用物質は、その結合相互作用を阻害する能力についてスクリーンされる。
代替的に、そのような結合相互作用は、両方とも参考によってここに組み込まれるFieldsとSong,Nature,340:245-246(1986)、及びFieldsとSternglanz,Trends in Genetics,10:286-292(1994)中に記載された酵母ツー−ハイブリッドシステムを用いて間接的に評価される。そのツー−ハイブリッドシステムは、2つのタンパク質又はポリペプチド間の相互作用を検出するための遺伝的アッセイである。それは、興味のある周知のタンパク質に、又は正確なドメインに又は相互作用の臨界的な残基に結合するタンパク質を同定するために使用できる。この方法論における変形は、タンパク質に結合するペプチドを同定するため、及び薬剤をスクリーンするために、DNA結合タンパク質をコードする遺伝子をクローンするために開発されている。ツー−ハイブリッドシステムは、リポーター遺伝子の上流活性化配列(UAS)に結合するDNA-結合ドメインと密接する転写活性化ドメインを持ってくる相互作用タンパク質対の能力を利用し、且つ普通は酵母において実施される。そのアッセイは、(1)タンパク質Xに融合されるDNA-結合領域、及び(2)タンパク質Yに融合した活性化ドメインをコードするツーハイブリッド遺伝子の構築が要される。該DNA-結合ドメインは、リポーター遺伝子のUASに対する第1のハイブリッドタンパク質を標的にする;しかしながら、大部分のタンパク質は活性化ドメインを欠いているために、このDNA-結合ハイブリッドタンパク質は、該リポーター遺伝子の転写を活性化できない。活性化ドメインを含む第2のハイブリッドタンパク質は、それがUASを結合できないために、該リポーター遺伝子の発現をそれ自身で活性化できない。しかしながら、両方のハイブリッドタンパク質が存在する場合、タンパク質Xとタンパク質Yの非共有的な相互作用は、該リポーター遺伝子の転写を活性化するよう、UASに対する活性化ドメインを繋ぎ止める。ビルレンス遺伝子生産物(例えば、タンパク質X)が別のタンパク質又は核酸(例えば、タンパク質Y)と相互作用することが既に知られている場合、このアッセイは、XとYの相互作用を妨げる作用物質を検出するために使用することができる。リポーター遺伝子の発現は、異なる試験作用物質がその系に加えるようにしてモニターされる;阻害性作用物質の存在は、リポーターシグナルの欠如となる。
ビルレンス遺伝子生産物の機能が末知であり、且つリガンドがその遺伝子生産物に結合することが知られていない場合でも、酵母のツー−ハイブリッドアッセイはまた、その遺伝子生産物に結合するタンパク質を同定するために使用できる。タンパク質X(標的タンパク質)に結合するタンパク質を同定するためのアッセイにおいて、異なるタンパク質Yをそれぞれ含む多数のハイブリッド遺伝子が生産され、且つ該アッセイにおいてスクリーンされる。典型的に、Yは全cDNA又はゲノムのDNAがその活性化領域に結紮されるプラスミドのプールによってコードされる。この系は、広範なタンパク質に適用可能であり、且つそれはタンパク質Yの同一性又は機能を知ることさえ不要である。該系は高度に感受性であり且つ他の方法によって明示できない相互作用を検出できる;一様に短命な相互作用は、リポータータンパク質を生産するために繰り返して翻訳することができる安定なmRNAを生産するために転写を誘発して良い。
他のアッセイは、標的タンパク質に結合する作用物質をサーチするために使用して良い。標的タンパク質への試験リガンドの結合を直接同定するためのそのようなスクリーニング法の一つは、参考によりここに取り込まれる米国特許第5,585,277号に記載される。この方法は、タンパク質が一般に折り畳み及び非折り畳み状態の混合物として存在し、且つその2つの状態の間で変化し続けるという原理に基づいている。試験リガンドが標的タンパク質の折り畳み形態に結合する場合(即ち、試験リガンドが標的タンパク質のリガンドである場合)、そのリガンドにより結合した標的タンパク質分子は、その折り畳み状態で残る。かくして、その折り畳み標的タンパク質は、リガンドの不在におけるよりも、標的タンパク質に結合する試験リガンドの存在においてより大きく広がって存在する。標的タンパク質へのリガンドの結合は、その標的タンパク質の折り畳みと非折り畳み状態を間を区別する何れかの方法によって測定することができる。標的タンパク質の機能は、実行されるべきこのアッセイのために周知である必要はない。実際上、何らかの抗原は、金属、ポリペプチド、タンパク質、脂質、ポリサッカリド、ポリヌクレオチド及び小さな有機分子を制限されることなしに含む、を試験リガンドとして、この試験によって評価することができる。例えば、可能性のあるリガンドをスクリーニングするこの方法においてfemAの使用が、後述する実施例3中に記載される。
標的タンパク質のためのリガンドを同定するための別な方法は、参考によりここに取り込まれる、Wieboldt等,Anal.Chem., 69:1683-1691(1997)中に記載される。この技術は、標的タンパク質への結合までの溶液相での時間で20−30物質の組合せライブラリーをスクリーンする。その標的タンパク質に結合する作用物質は、遠心性の限外濾過によって他のライブラリー構成成分から分離される。フィルター上に残される特異的に選択された分子は、標的タンパク質から続けて解放し、HPLC及び空気圧補助した電子スプレー(イオンスプレー)イオン化質量分析によって分析される。この方法は、標的タンパク質への最も大きな親和性を持つライブラリー構成成分を選択し、特に小さい分子ライブラリーのために有用である。
最初のスクリーンによって同定されたインヒビター/バインダーは、黄色ブドウ球菌のインビボでのマウスモデルにおいて、ビルレンスについてのその作用が評価される。菌血症、心内膜炎、敗血症性関節炎、軟組織膿瘍又は肺炎のモデルが利用可能である。細菌のビルレンスを妨げるインヒビター/バインダーは、感染の確立を防ぐことができる又は一度それが確立された感染の結果を逆転することができる。
黄色ブドウ球菌ビルレンス遺伝子の同定はまた、ワクチンにおいて有用である、減じられたビルレンスを示す微生物を提供する。そのような微生物は、後述する実施例1において作製した黄色ブドウ球菌変異体及び配列番号:1から94のいずれか1つにより表される遺伝子中に少なくとも1の機能性変異を含む他の黄色ブドウ球菌を含む。これら生物の減じられたビルレンスと免疫原性は、対象に投与することによって確認され得る。単独投与されるべき本発明の無発病性の(avirulent)微生物が可能であると同時に、1又はそれ以上のそのような変異体微生物は、適当なアジュバント及び薬学的に許容される希釈剤又は担体を含むワクチン組成物において好ましく投与される。その担体(carriers)は、本発明の無発病性微生物と和合できるとの意味において「許容」され、且つ免疫化すべき対象に有害でない必要がある。典型的に、該担体は、滅菌され且つ発熱源無しとされ得る水又は生理食塩水とされるだろう。免疫化すべき対象は、黄色ブドウ球菌のビルレンス形態によって生じる疾患から保護を必要とする対象である。
当該分野で周知の何れかのアジュバント、例えばフロイント完全アジュバントとフロイント不完全アジュバント、ミコール酸ベースのアジュバント(例えばトレハロースジミコラート)、細菌性リポポリサッカリド(LPS)、ペプチドグリカン(即ち、ムレイン、ムコペプチド、又はN-Opacaのようなグリコプロテイン、ムラミルジペプチド[MDP]、又はMDP類似物)、プロテオグリカン(例えば、肺炎杆菌(Klebsiella pneumoniac)から抽出した)、連鎖球菌性調製物(例えば、OK432)、BiostimTM(例えば01K2)、EP 109 942,EP 180 564及び EP 231 039の「Iscoms」、水酸化アルミニウム、サポニン、DEAE-デキストラン、中性油脂(ミグリオールのような)、植物油脂(落花生油のような)、リポソーム、PluronicRポリオール又はRibiアジュバント系(例えば、GB-A-2 189 141を参照)のような油ベースアジュバントを含む、をワクチン組成物において使用し得る。最近、適当な放線菌目の細菌遺伝子、Amicolataの抽出物を含む代替のアジュバントが、米国特許第4,877,612号中に記載されている。加えて、所有権のあるアジュバント混合物が商業的に利用できる。使用するアジュバントは、一部として、受容生物に基づくであろう。投与するアジュバントの量は、動物の型と大きさに基づくであろう。最適投薬量は、ルーチンの方法によって容易に決定されるであろう。
該ワクチン組成物は、任意に、薬学的に許容される(即ち、滅菌及び無毒性)液体、半液状、又は製薬用のビヒクル、賦形剤または媒質として利用できる固体希釈剤を含んで良い。当該分野で周知の何れかの希釈剤を使用して良い。希釈剤の例としては、それに制限されることなしに、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ステアリン酸マグネシウム、メチル又はプロピルヒドロキシ安息香酸、タルク、アルギン酸塩、デンプン、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、ソルビトール、マンニトール、アカシアゴム、リン酸カルシウム、鉱油、ココアバター、及びテオブロマの油を含む。
該ワクチン組成物は、搬送用に利便的な形態で包装できる。該組成物は、カプセル、サチェット、カシェ剤、ゼラチン、髪又は他の容器の中に含めることができる。これらの搬送形態は、受容生物への免疫原性組成物の酸化と並立する場合、特にその免疫原性組成物が単位投薬形態で搬送される場合に好適である。その投薬単位は、例えば錠剤、カプセル、座薬又はカシェ剤中に包装することができる。
該ワクチン組成物は、例えば静脈内、皮内、筋肉内、乳房内、腹腔内又は皮下注射によって;経口、舌下、経鼻、肛門、膣内、又は経皮デリバリーによって;又は外科手術移植、例えば脾性カプセルの下に又は角膜中に包埋下による、を含む何れかの通常の方法によって免疫化すべき対象に導入され得る。その治療はその期間にわたり単一の投薬量又は複数の投薬量からなって良い。
本発明のワクチンがヒトの医薬及び獣医学の分野において有用とされ得ることが理解されるであろう。かくして、免疫化されるべき対象は、ヒト、又は動物、例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ及びネコ、及びニワトリ、七面鳥、アヒル及びガチョウのような鳥類とされ得る。
本発明の他の態様と効果は、以下に説明する実施例の考慮により理解されるであろう。実施例1は、符号タグ化トランスポゾンの染色体挿入を含む黄色ブドウ球菌変異体を作製すること及び減じられたビルレンスを持った変異体を同定することによってビルレンスと関連した黄色ブドウ球菌遺伝子の同定に向けられる。実施例2は、個々の変異体の弱毒化ビルレンスの確認に向けられる。実施例3は、抗菌活性について可能性のある作用物質をスクリーニングするためのアッセイにおいてビルレンス遺伝子と遺伝子生産物の使用に向けられる。
(実施例1 ビルレンスに関連する黄色ブドウ球菌遺伝子の同定)
ビルレンスに関連する黄色ブドウ球菌遺伝子を、以下の通り、一般的には国際特許公報No.WO96/17951とHenselら、Science,269:400-403(1995) にしたがって、符号タグ化(signature-tagged)変異誘発により同定した。
A.プラスミドpID408の構築
温度感受性シャトルプラスミドpID408を、符号タグ化トランスポゾンの黄色ブドウ球菌へのトランスファーに使用するために構築した。DNA制限消化と結紮は、Sambrook,Molecular Cloning:a laboratory manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor, NY(1989)によって記載されたように行った。温度感受性レプリコンpE194tsとクロラムフェニコール(cm)耐性遺伝子(cmR)有する、pTV32tsの6.5kbのBamHI断片[Plasmids:実際的アプローチ、K.Hard.編、Oxford:IRL Press 79-103(1985)中、Youngmanにより記載されている;J.Iandolo,カンサス、マンハッタン、獣医大学診断医学部、により取得された]を、プラスミドpSP72(Promega)のBamHI部位に挿入して、pID402を形成した。プラスミドpID402は、SmaIで消化し、自己結紮して、SmaI部位の間にBamHI部位を含む小断片を除去し、pID4 05を得た。アンピシリン耐性遺伝子(ampR)/ori/rop領域(pBR322の1904−4359塩基に対応する)を含むpBR322(New England BioLabs)のDNA断片を、プライマーpBR1(5'-GGAGCTCACTAGTCGGAGGCATCAGTGACC-3’配列番号95)およびpBR2(5'-GGGATCCCATGAGAATTCTTGAAGACG-3' 配列番号96)を用いて、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)増幅法により調製した。プライマーpBR1は、SacIとSpcIの部位を含み、pBR2はBamHIとEcoRI部位を含む。PCR産物はBamRIとSacIで消化され、pID405のBamHI/SacI消化断片(レプリコンpE194tsとcmRを有する)に結紮して、pSP72のampR/ori 領域がpBR322のレプリコンで置換されているpID406を形成した。最後に、トランスポゾンTn917とそのエリスロマイシン(erm)耐性遺伝子(ermR)を含む、pTV9の6.5kbのBamHI−EcoRI断片[Plasmids:実際的アプローチ、K.Hard.編、Oxford:IRL Press,79-103(1985)中、Youngmanにより記載されている]を、BamHIとEcoRIで消化されたpID406に結紮し、プラスミドpID408を得た。pBR322からの複製の基点は、pID408が大腸菌中で複製するのを可能にし、温度感受性レプリコンpE194ts(pTv32tsから)は32℃で黄色ブドウ球菌中で複製するのを可能にする。
B.符号タグのクローニングと選択
DNA符号タグ化を、Henselら、Science,269:400-403(1995)に記載された方法により調製し、以下の通りpID408に運搬されるトランスポゾンTn917中に挿入した。プールRT1中のオリゴヌクレオチドタグ(5'-CTAGGTACCTACAACCTCAAGCTT-[NK] 2 0-AAGCTTGGTTAGAATGGGTACCATG-3' 配列番号97、ここでNはA、C、G、またはTであり、KはGまたはTである)を、オリゴヌクレオチド合成装置(Applied Biosystems)で合成した。オリゴヌクレオチドプールRT1からの80bpタグを、用いるプライマーP10(5-CTAGAATTCTACAACCTCAAGCTT-3’ 配列番号98)とP11(5'-AAGCTTGGTTAGAATGGAATTCATG-3' 配列番号99)からPCR増幅した。PCR増幅化タグは、EcoRIで消化され、ゲル精製され、EcoRIで消化された脱リン酸化pID408と結紮されて、ユニークな符号タグ化Tn917トランスポゾンを含むプラスミドを形成した。結紮されたDNAは、黄色ブドウ球菌株RN4220(NCTC8325−4由来で、Plasmids :実際的アプローチ、K.Hard.編、Oxford:IRL Press 79-103(1985)中、Youngmanに記載された制限欠損株)中に、電気穿孔法により形質転換した。電気穿孔法は、以下の修正を施した、Schenk及びLaddaga,FEMS Microbiol Lett., 94:133-138(1992)の方法により行った:電気的に形質転換された細菌は、非選択的ブレインーハートインフュージョン(BHI、Difco)寒天プレート(1.5%寒天)塗布し、32℃で8〜12時間増殖させ、ついでAccutran Replica Plater(Schleicher およびSchuell)を用いて、20μg/ml ermと20μg/ml cmを含有するBHI寒天プレート上にレプリカし、32℃で一晩増殖させた。
ついで、全部で400のermR、cmR形質転換株をスクリーニングして、増幅されて効率的にラベルされた150のタグを同定した。150形質転換株は、各々、20μg/ml ermと20μg/ml cmを含有する10mlのBHIブロス中で、32℃一晩培養した。各培養からQiagen Plasmid Miniprep Kitを用いて、細菌細胞をリソスタフィン(Sigma;200mg/ml)で37゜Cにて30分間、Qiagen miniprep kitのP1溶液中で溶解した以外は製造者のプロトコルにしたがって、プラスミドDNAを抽出した。各プラスミドDNA調製物の一部(1μg)を、Hybond N+膜(Amersham)上に、Bio-Dot Microfiltration Apparatusを用いて、製造者のプロトコル(Bio-Rad)に従って移し、膜あたり75の異なるプラスミドを得た。膜はついで変性溶液(0.5N NaOH、1.5M NaCl)で飽和したWhatman 3MM濾紙に移し、5分間インキュベートし、ついで中和溶液(0.5M NaOH、0.5M Tris−Cl pH7.4)で飽和した他のWhatman 3MM濾紙に5分間移した。中和の後、膜を80℃10分間乾燥させ、DNAを紫外線により、Stratalinker(Stratagene)を用いて架橋した。150形質転換株からの符号タグ化は、またプローブとして使用されるために標識化した。プラスミド調製物の一部を、37,37,38,38プラスミドの4つのプールを形成するように合わせた。これらの4つのプールからのDNA符号タグ化は、プライマ−P12(5'-GAATTCCATTCTAAC-3' 配列番号100)とP13(5'-ATTCCATTCTAACCAAGC-3' 配列番号101)を用いて、Henselら、Science,269:400-403(1 995)の方法にしたがって、PCR増幅された。これらのPCR産物はゲル精製され、製造者(Boehringer Mannheim)により記載されたようにPCR DIG Probe Synthesis Kitを用いてジゴキシゲニン(DIG)−標識PCRに供した。DIG−標識PCR産物は、DIG Probe Synthesis Kitに記載された方法にしたがって、別々に膜にハイブリダイズさせ、強いハイブリダイズシグナルを示すが、他のプールのタグとは交差ハイブリダイズしないタグを同定した。これらの実験から、全部で96のプラスミドが、タグの標識化効率と交差ハイブリダイズしないことに基づいて選択された。
C.黄色ブドウ球菌変異体バンクの生成
ユニークな符号タグ化トランスポゾンを含む96のプラスミドを用いて、染色体にトランスポゾンが挿入された黄色ブドウ球菌変異体を生成させた。ドットブロットハイブリダイゼーションのために、一連の同じ膜を、Hybond N+膜上にB io-Dot Microfiltration Apparatusを用いて、96プラスミドの各々1μgを移すことによって用意した。96プラスミドは、別々に、黄色ブドウ球菌株RN6390内に、電気穿孔法[Schenk及びLaddaga, FEMS Microbiol Lett., 94:133-138 (1992)]形質転換した。電気的に形質転換された細菌は、20μg/ml ermと20μg/ml cmを含有するBHI寒天プレート上で、直接、32℃で一晩平板培養した。各形質転換からの単一コロニーを、200μlBHIブロス、20 μg/ml erm、20μg/ml cmを含むミクロタイター皿の各ウェルに移した。ミクロタイター皿を32℃一晩インキュベートした。グリセリンを各ウェルに、最終濃度50%となるように添加し、プレートを80℃に保存した。96形質転換株のこのコレクションをマスタープールとし、以下の変異誘発の全てに用いた。
96の異なるTn917変異株を作製するため、マスタープールからの細菌をミクロタイター皿レプリケータ(Sigma)を用いて、200μlBHIブロス、20μg/ml ermを含む新しいミクロタイター皿のウェル内にレプリカした。この皿を43℃一晩インキュベートし、ついで各ウェルからの細菌を20μg/ml ermを含むBHI寒天上に線状に植え、43℃で一晩、単一コロニーを得るためにインキュベートした。各ウェルから得られた約5つの異なるermRコロニーを20μ/ml cmを含むBHI寒天上に移して、32℃でインキュベートし、そして20μ/ml ermを含むBHI寒天上に移して、43℃でインキュベートし、cmsコロニーをスクリーニングした。ermR、cmSコロニーは、プラスミドを欠いており、Tn917の染色体挿入を有しているはずである。96ウェルの各々からの個々のermR、cmSコロニーを、20μg/ml ermを含むBHIブロスの入った新しい96ウェルミクロタイター皿に移し、接種の用途のために43℃で一晩増殖させた。これらの96変異体を併せて1つの「接種プール」とした。変異体プールもまた50%グリセロール中80℃で保存した。
ermR、cmSコロニーがプラスミドを欠いており、Tn917の1つの染色体挿入を有していることを確かめるために、個々の変異株からと、別々に培養された46コロニーのプールからの染色体DNA試料をEcoRIで消化し、β−ラクタマーゼ遺伝子の断片をプローブとして用いてサザン分析に供した。12の別々に分析された変異体について、1つにハイブリダイズする異なるサイズの断片が、各レーンに観察された。多くのハイブリダイズする断片が46変異体からのDNAを含むレーンに観察された。これらの結果は、黄色ブドウ球菌染色体内でTn917挿入の多くが、1箇所で、異なる位置に生じていることを示す。
D.ビルレンスが減少した変異体を同定するための感染研究
染色体トランスポゾン挿入を含む、96の黄色ブドウ球菌変異体の「接種プール」を、弱毒化されたビルレンスについて菌血症のマウスモデルで評価した。43℃での一晩のインキュベートの後、ミクロタイター皿の個々のウェルからの96の異なる変異体を併せてプールし、BHIブロスで4000×gで、10分間の遠心分離により2回洗浄し、BHIブロス中に再懸濁した。OD620を比色計を用いて測定した(1.6×109コロニー形成単位(CFU)/mlのOD620) [Cheung J.Bacteriol.,177:3220-3226(1995)]。細菌懸濁液を約5×106CFU/mlに希釈し、ついで等量のBHIブロス中の予めオートクレーブした4%(w/v)のビール酵母(Sigma)と混合した。この混合液を0.2mlは、約5×105CFU細菌を含むものであったが、これを全部CD−1マウス(体重約25g)へ腹腔内接種した。接種の希釈の一部をBHI寒天へ平板培養した後、接種のCFU数を目視でカウントして確認した。各プールで、2〜4匹のマウスに接種した。接種後48時間で、細菌は、動物の脾臓から、Henselら、Science, 269:400-403(1995)記載されたようにして、回収し、プールして「回収されたプール」を形成した。各回収プールは、少なくとも10,000細菌コロニーからなっていた。タグをプライマーP12とP13を用いて(上記B節に記載)PCR増幅し、タグをDIG標識し、標識化タグを前記C節に記載したようにBio-Dot Microfiltration Apparatusを用いて、Hybond N+膜に移しておいた96プラスミドにハイブリダイズさせることにより、回収プールに存在する符号タグ化を接種プールに存在する符号タグ化とを比較した。
E.ビルレンス遺伝子同定とDNA配列決定
各々が96の黄色ブドウ球菌Tn917変異体からなる、全部で13プールを、上述のごとくマウス中でのビルレンス欠損について検索した。これらより、タグが強く接種プールからのプローブにハイブリダイズするが、対応する回収プールからのプローブには弱くハイブリダイズする50の変異体を同定した。
これらの50変異体のトランスポゾン挿入点の横の染色体DNAをクローン化するために、各変異体から3−5μgの黄色ブドウ球菌染色体DNAを、Pospicch及びNeumann, Trends Genetc., 11:217-218(1995)により記載されたようにして分離し、HindIIIで完全消化した。消化されたDNAの半分をついで、pID408のpBR322断片をプローブとして用いてサザンハイブリダイゼーション分析に供し、トランスポゾンをこの部分に有するDNA断片のサイズを決定した。残りのDNAは200μlの結紮バッファー(Gibco-BRL)中に再懸濁し、一晩16℃で自己結紮した。結紮産物を大腸菌DH5α(Gibco)中に形質転換し、50μg/ml Luria Bertani(LB)寒天上にプレーティングし、37℃で一晩インキュベートした。各形質転換から単一のampRコロニーを、100μg/ml ampを含むLBブロス中で生育させた。プラスミドDNAをQiagcnプラスミドミニプレップキットを用いて抽出した。トランスポソンの横の染色体DNAを、Tn917のermに隣接する末端に基づいたプライマ−pseq-1(5'-TGAACTGCCACTGTAGAGAGA-3' 配列番号102)を用いて取得し、モデル373Aシーケンシングシステム(Applied Biosystems)を用いて配列を決めた(数百ヌクレオチドの範囲) 。得られた配列は、配列番号の対応ヌクレオチドの参照とともに、下記表1に示す。
これらのDNA配列は、Human Genome Mapping Project Recourse Centre, Hinxton,英国におけるBLASET及びFASTAネットワークサービスを用いて、Human Genome Sciences and the European Molecular Biology Laboratory 及びGenbank DNA and Protein Databasesから黄色ブドウ球菌データベースをサーチすることにより分析した。ビルレンス遺伝子とそれらの可能性のある作用の同定において、現在までになされたサーチの結果を表1に示す。下記表1は、符号タグ化化同定番号、各ビルレンス遺伝子(及び配列番号内部のヌクレオチド位置:配列決定されたDNAの実際の範囲に対応している)対応する配列番号、遺伝子の可能性のある作用、および以下の実施例2に決定されるノックアウト変異体のLD50を表す。
(実施例2 黄色ブドウ球菌ノックアウト変異体のビルレンスの評価)
実施例1で、96変異体のプールをテストした時点で、減少されたビルレンスを有すると同定された、個々のノックアウト変異体のビルレンスを、各変異体のLD50測定を実施することにより評価した。与えられた変異がビルレンス遺伝子内にあることの確認は、両方の株が、宿主動物に対して同じ結果を有する感染を確立することにおいて同様に効果的であるかどうかに関して、親と変異株との比較により得ることができる。実際には、これは、LD50値(標準化条件下で動物の50%死亡率をもたらすのに必要な細菌の数)を、野生株と変異由来株との間で比較することにより行うことができる。もしLD50値が互いの標準誤差の範囲であれば、変異はその内部ではないか、あるいはビルレンス遺伝子に影響を与えていない。もし野生型と変異株との間に著しい差異があり、変異株が著しく致死的な感染を起こしにくくなるならば、変異はビルレンス遺伝子内にあるか、あるいはビルレンス遺伝子に劇的に影響を与えている。
要約すると、LD50測定は以下の通り行った。19と22gの間の体重のCF1メスマウスに、4%(w/V)乾燥ビール酵母を感染を確立するためのアジュバントとして含む0.2ml BHIブロス中の野生型あるいは変異黄色ブドウ球菌のいずれかを規定濃度で、腹腔内接種した。ビール酵母の量は、感染に用いられる細菌によって0−8%から変化させても良い。1回のLD50測定は、細菌の5回の対数希釈(103から107)を利用し、各対数希釈は10マウスにテストされる。用いた細菌の実際の数は、細菌のCFUの数を測定するために細菌ストックで行ったプレートカウントにより各LD50測定で見積もった。感染後、マウスは少なくとも1週間の期間、死亡を毎日モニターした。観察期間の最後に、死亡データについてのプロビット法を用いてLD50を決めた。野生型黄色ブドウ球菌株RN6390のLD50値は、1.4×104から1.4×105の範囲である。ビルレンス遺伝子変異体のLD50は下記表1に示す。
Figure 2008154584
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(実施例3 ビルレンス遺伝子産物の抗菌剤に対するスクリーニングでの使用)
ビルレンス遺伝子とそれらの遺伝子産物を、黄色ブドウ球菌に対する新しい抗菌剤を同定するアッセイに利用した。遺伝子をクローン化し、遺伝子にコードされた蛋白質を生産し精製し、スクリーニングするための高処理量アッセイを確立させ、一次スクリーニングで同定された阻害剤を二次アッセイで評価した。FermA、のクローニングと発現、およびその可能性のある阻害剤のスクリーニングでの使用は、以下に述べる。
A.FemA遺伝子のクローニング
DNA制限消化と結紮はSambrook, Molecular Cloning: a laboratory manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor, NY(1989) に記載されたように実施する。大腸菌の細胞内発現のための黄色ブドウ球菌femA遺伝子[Berger-Bachiら, Mol.Gene.Genet., 219:263-269(1989)]のクローニングは、以下の通り行った。3’末端に6つのヒスチジンを有する遺伝子をクローン化するために、下記の2つのオリゴヌクレオチドプライマー
Figure 2008154584
を、黄色ブドウ球菌ゲノムDNAからの遺伝子をPCR増幅するために用いる。結果として得られたfemA遺伝子は、大腸菌は発現ベクターへのクローニングのために5’末端にClaI部位を、3’末端にBamHI部位を有している。3’末端に6つのヒスチジン残基を有するfemA遺伝子の、大腸菌のペリプラスムへの分泌のために、以下の2つのオリゴヌクレオチドプライマー
Figure 2008154584
を用いるPCR増幅は、5’末端にKpnI部位、3’末端にBamHI部位を有する断片をもたらす。約1.3kbのPCR断片は、femA遺伝子とそのフランキング領域の配列を確認するために、直接に、あるいは発現ベクターへのクローニング後に、配列決定することができる
B.組換えFemA蛋白質生産と精製
大腸菌におけるfemA発現を以下の通り行う。大腸菌発現ベクターpSRtac−pelBは合成tacプロモーターとPelBのシグナル配列[Leiら,J.Bact., 169:4 379-4383(1987)]を含み、転写リードスルーを最小限化するための上流と下流の転写ターミネータを有する。細胞内発現のために、上記A節に記載されたようにPCRにより作製され、ClaIとBamHI部位を末端に有するfemA遺伝子は、ClaIとB amHIで消化されたpSRtac−pelB内にクローン化される(PelB シグナル配列を置換)。ペリプラスムへの分泌のために、上記A節に記載されたようにPCRで作製され、KpnIとBamHI部位を末端に有するfemA遺伝子はKpnIとB amHIで消化されたpSRtac−pelB内、pelBシグナル配列のすぐ下流にクローン化される。大腸菌は、femA遺伝子を含む発現ベクターで形質転換される。 tacプロモータを誘導して、発現レベルを最適化するために、形質転換された細菌を、2×10-3Mから1×10-5Mの濃度範囲のIPTG(イソプロピルチオ−β−ガラクトシダーゼ)で、細菌増殖温度27℃から42℃、富化培地あるいは最小培地でインキュベートする。
こうして生産された組換えFemAは6つのヒスチジン残基をC末端に含み、ヒスチジンのニッケルへの親和性によって精製されることができる。クロマトグラフィを金属キレート樹脂Ni−ニトリロ三酢酸(Ni−NTA)(Qiagen,Chatsworth,カリフォルニアより入手可能)を用いて、天然あるいは変性条件下で、実施することができる。
C.阻害剤の可能性のあるもののスクリーニングのためにFemAを用いた高処理量アッセイ
米国特許第5,585,277号に記載されたスクリーニング方法を以下のようにして、FemAに結合するリガンドを同定するための高処理量アッセイを確立するために用いる。テストのリガンドとfemAを、リガンドへのfemAの結合を検出するために適当な条件下で(例えば、温度、pH、塩濃度、時間)結合させる。もし折り畳むまれないターゲットの蛋白質が少なすぎるようであれば、観察されるシグナルは、測定の利便性のためには低すぎるレベルまたは速度となる。条件は、周知の方法を用いて最適化される。テストリガンドのfemAへの結合は、いくつかの方法のうちの1つで評価される:折り畳まれたfemAがテストリガンド−femA 結合内に存在する範囲を測定することによる、折り畳まれていないfemAがテストリガンド−femA結合内に存在する範囲を測定することによる、あるいは折り畳まれたfemAの折り畳まれていないfemAに対する結合内での比率を測定することによる。これらの測定を行うには多くの方法がある。例えば、蛋白質分解を用いることができる。折り畳まれていないfemAに好んで作用するプロテアーゼは、テストリガンド−femA結合に結合し、適当な時間のインキュベーションの後、テストリガンドの存在および非存在下でインタクトまたは分解fe mAの間の差異を測定する。折り畳まれたfemAに結合するテストリガンドの添加は、こうしてプロテアーゼ耐性型でそれを安定化し、蛋白質分解の速度を変化させる。広い種類の周知のプロテアーゼ、例えばトリプシン、キモトリプシン、V8プロテアーゼ、エラスターゼ、カルボキシペプチダーゼ、プロテイナーゼK、サーモリジン、およびズブチリシンが使用できる。他の例として、テストリガンドのfemAへの結合は、特異的に折り畳まれていない状態の蛋白質だけに結合する抗体に使用を通して、評価される。特定の蛋白質に対する抗体を作製するためには、当業者には多くの方法が知られている。
D.阻害を評価するための生体内アッセイ
C節で述べたような最初のスクリーニングで同定された阻害剤/バインダは、それらのビルレンスについて、黄色ブドウ球菌感染のマウスモデルで評価される。マウスは100LD50の野生型細菌で感染され、種々の投与量の被験阻害剤で処理される。被験阻害剤のED50(感染動物の50%を治癒するのに必要な体重キログラム当たり薬剤のミリグラム量)を測定した。各試験は、2つの対照群、LD50用量の細菌が与えられ、被験阻害剤が与えられない負の対照群(感染用量は、操作上100LD50に近いことを確かめる)と、100LD50用量の細菌とED50用量の既知で細菌感染に効果のある抗体が与えられた正の対照群(感染が適当な条件で治癒されることを確かめる)を含む。
被験阻害剤の、一連の2倍希釈を用いた、5つの投与レベルを用いる。典型的な投与スキームは、最小限の1投与につき体重kg当たり薬剤6.25mgからはじめ、100mg/kgの最大限投与にまで上げていく。各投与レベルを、6匹のマウスでテストし、感染と治療の後の死亡を少なくとも6日間モニターする。試験期間の最後に、プロビット分析を用いて阻害剤のED50値またはテストにおいて感染動物の50%だけ死をもたらすような逆のビルレンスに必要な体重キログラム当たりの薬剤の量を決定する。ビルレンス因子の干渉による感染の防止の検出を意図したテストで、阻害剤の最初の投与は、感染の1時間前に与えられ、ついで感染の4時間後と8時間後に与えられる。感染の結果を逆にするビルレンス因子の検出を意図したテストで、阻害剤は、感染第1日目に、感染の1時間後と4時間後に投与され、感染後第2日目と第3日目に午前と午後に1度ずつ(6−8時間隔てて)与えられる。感染の確立の防止または一度確立された感染の結果を逆にすることに成功する阻害剤は同定される。
(実施例4:Svr、黄色ブドウ球菌のビルレンス制御因子)
符号タグ化化変異誘発を用いた黄色ブドウ球菌内の多くの推定ビルレンス遺伝子の同定を実施例1から3で報告する。これらのうちの多くは、DNAと蛋白質のデータベース中の配列とは大きく類似していなかった。ビルレンスにおけるこれらの遺伝子の役割をさらに調べるために、変異株を一連の表現形テストに供した。1つの変異株はビルレンス因子に対して多形質発現効果を有することが見出された。我々はこうしてこの株の変異を受けた遺伝子を、スタフィロコッカス・ビルレンス・レギュレータ(staphylococcal virulence regulator(svr))と命名した。その親の野生型株と比較して、svr変異株は著しく減少した量のα−、 β−、δ−トキシンを発現したが、増加した量のプロテインAを発現した。クローン化svr遺伝子のDNA配列分析は、DNAと蛋白質のデータベースの中に入っているものと大きな類似はみられなかった。a-toxinをコードする遺伝子であるhlaと、プロテインAをコードする遺伝子であるspaに特異的なプローブを用いたノーザンハイブリダイゼーションは、α−トキシンとプロテインAの発現にsv rがmRNAレベルで影響を与えることを示した。svr、agr、およびRNAIII転写物のノーザン分析は、agr mRNAとRNAIIIが、野生型株とsvr遺伝子をプラスミド上に有するsvr変異株において検出可能であるが、agr-とsvr-株では存在していないことを示した。svr転写物は野生型とagr-には存在したが、svr-株では検出されなかった。このことは、svrがagrとRNAIIIの発現に必要であることを示している。したがってsvr産物は、黄色ブドウ球菌のビルレンスを制御するagr制御ネットワークにおける新規の構成要素であると思われる。
<方法>
<細菌の株とプラスミド>
細菌の株とプラスミドを表1に挙げる。黄色ブドウ球菌株は寒天(1.5%)と抗生物質(20μg/mlエリスロマイシン[erm]及び/又は20μg/mlクロラムフェニコール[cm])含有または非含有Brain Heart Infusion(BHI)培地(Difco)にて増殖させた。大腸菌株DH5aは、50μg/mlアンピシリン[amp]含有または非含有Luria Bertani(LB)培地で増殖させた。
Figure 2008154584
<DNA操作、PCR、ジゴキシゲニン標識、およびハイブリダイゼーション>
黄色ブドウ球菌からの染色体DNAは、Pospiechら(8)により記載されたように分離した。DNA制限消化と修飾は、Sambrook(9)らにより記載されたように行った。黄色ブドウ球菌株RN4220からのプラスミドDNAは、Qiagen Plasmid Miniprep Kitを用いて、細菌細胞をリソスタフィン(Sigma;200mg/ml)で37℃にて30分間、プラスミド精製の前に溶解した以外は製造者のプロトコルに従って、分離した。
<プラスミドの構築>
プラスミドpID413はpVA380−1(10)から得た。pVA380−1レプリコンを有する2.5kb断片は、pVA380−1からPCR増幅した。BglIIとHindIIIの制限部位を、フォワードプライマー5'-TGGAGATCTAAGCTTTGCATAACTTTCTCGTCC-3'(配列番号107)とリバースプライマー5'-TCCTGGCGATTCTGAGAC-3'(配列番号108)を用いて増幅断片の5’末端に導入した。増幅断片をDNAポリメラーゼクレノー断片で埋め、HindIII消化とDNAポリメラーゼクレノー断片で埋めた後に、pCW59からのテトラサイクリン耐性遺伝子を有する2.3kbDNA断片と結紮して、プラスミドpID413を得た。プラスミドpSP72 のDNAポリリンカーをBglIIとHindIIIで消化し、BglIIとHindIII消化pID413内に挿入して、PID413PLを作製した。
<黄色ブドウ球菌のゲノムライブラリーの構築>
黄色ブドウ球菌(RN6390)染色体DNAライブラリーを、pBR322内に以下のようにして構築した:染色体DNAをBamHIとEcoRIで平均サイズ5kbとなるように部分消化し、フェノール:クロロホルム抽出で精製した。精製DNA断片は、Bam HIとEcoRIで消化したpBR322と結紮した。この結紮産物を大腸菌DH5a内に電気穿孔法で形質転換し、50μg/mlアンピシリンを含むLB寒天プレートで平板培養した。
<svr変異体P6C63の相補>
異なるサイズの4つのDNA断片をpID413PL内にクローン化して、変異株P6C63(図1A)を相補した。これらの4つの断片のすべてを、svr遺伝子の横のDNA 配列に基づくプライマーを用いてPCRにより増幅した。BamHIとHindIIIの制限部位を各断片の5’末端と3’末端に各々導入した。増幅断片をBamHIとHindIIIで消化し、BamHIとHindIIIで消化したpID414PL内に挿入してpID437,pID439,pID4311およびpID4312を作製した。svr遺伝子をRN6390のゲノム DNAから、PCRによりプライマー5'-TGGGGATCCGATAAGTGTGACTGGTAG-3'(配列番号109)および5'-TGGAAGCTTACATTACTTCAAATAAATTA-3'(配列番号110)を用いて増幅して、pID437を作製した。svr、orf2、およびorf3を含む2.1kb断片をPCRによりプライマー5'-TGGGGATCCTGCATATCAAAATGTTTATGGC-3'(配列番号111)および5'-TGGAAGCTTACACATATGCCAATCTCAC-3'(配列番号112)を用いて増幅して、pID439を作製した。svrとorf2、さらにorf2の287bp上流配列を含む1.3kb断片をPCRによりプライマー5'-GTTGGATCCGCTGTTGTTACTTTGATGC-3'(配列番号113)および5'-TGGAAGCTTACATTACTTCAAATAAATTA-3'(配列番号114)を用いて増幅して、pID4311を作製した。svr、orf2、およびorf3、さらにorf2の28Thp上流配列を含む2.4kb断片をPCRによりプライマー5'-GTTGGATCCGCTGTTGTTACTTTGATGC-3'(配列番号115)および5-TGGAAGCTTACACATATGCCAATCTCAC-3'(配列番号116)を用いて増幅して、pID4312を作製した。これらの4つのプラスミドのすべてを個々にP6C63内へ電気穿孔法により形質転換した。形質転換株を、テトラサイクリンの耐性により選択し、野生型の表現形の回復についてテストした。
<表現形の特徴づけ>
1%Tween寒天培地(Difco)上でリパーゼ活性をアッセイした。DNase寒天(Difco)上でDNase生産をアッセイした。Smeltzerら(11)により記載された方法により、凝結酵素をアッセイした。クロスストリークしたヒツジ、ウサギおよびウマ血液寒天プレート上で、α-、β-、δ-毒素をアッセイした。抗プロテインAモノクローナル抗体(Sigma)を用いたウェスタンブロットにより、プロテインAを検出した。
<サザンおよびノザンブロット分析>
サザンハイブリダイゼーション分析は、Sambrookら(9)により記載されたようにDIG標識DNA断片をプローブとして用いて行った。ノザンハイブリダイゼーションのために、黄色ブドウ球菌からの全RNAを、Quiagen RNA easy kitを用いて、細菌細胞をリソスタフィン(Sigma;200mg/ml)で37℃にて3−5分間溶解した以外は製造者のプロトコルにしたがって、分離した。同量のRNAを、0.66Mホルムアルデヒドを含む1.2%寒天ゲル上で分離し、ニトロセルロース膜上に移した。ハイブリダイゼーションを42℃で行った。すべてのプローブを、PCR生成DNA断片をテンプレートとして用いてPCR増幅により[α-32P]dATPで放射線標識した。PCRのためのオリゴヌクレオチドプライマーは以下の通りである:hla断片の増幅はプライマーH1(5'-ATTTGATATGTCTCAACTGC-3')(配列番号117)およびH2(5'-GCTCTAATTTTTAAGTGAGG-3')(配列番号118)を用いて行った。spaの増幅のために用いたプライマーは、S1( 5'-TATCTGGTGGCGTAACACCTG-3')(配列番号119)およびS2(5'-GATGAAGCCGTTACGTTGTTC-3')(配列番号120)であった。agrのためには、プライマーA1(5'-GCCATAAGGATGTGAATGTATG-3')(配列番号121)およびA2(5-GCATTTGCTAGTTATCTTG-3')(配列番号122)を用いた。RNAIIIの増幅のためにはプライマーR1(5'-AGATCTATCAAGGATGTGATGGTT-3')(配列番号123)およびR2(5'-GTCATTATACGATTTAGTACAATC-3')(配列番号124)を用いた。
<逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)>
細菌の対数期後の培養液からの全RNA(1mg)を、First-strand cDNA synthsis kit(Pharmacia Biotcch)を用いて製造者の指示に従って逆転写した。PCRをcDNAサンプル10ml、200pmol各プライマー、及び200nMのdNTPsおよび2.5UのTaq-DNAポリメラーゼ(Sigma)を含む100ml容量で行った。PCR産物をアガロースゲル電気泳動により分析した。
<感染研究>
1つの株の感染研究のために、CD−1メスマウス(20g;Charles River Labs)を各々、BHIブロス中に5×105cfu細菌と2%(w/v)ビール酵母を含む0.2mlの懸濁液で腹腔内接種した。感染の6、24、48、72、96および120時間後に、各群から2匹のマウスを殺した。脾臓ホモゲネートの希釈シリーズをBHIプレート上に塗布し37℃一晩インキュベートした。細菌のcfuの数を各時間点でカウントした。
<結果>
<クローニングとsvr領域の配列決定>
P6C63株のトランスポソン挿入部位の周りの染色体領域のクローン化のために、黄色ブドウ球菌のゲノムライブラリーをプラスミドpBR322に作製した。このゲノムライブラリーからのコロニーを、トランスポソンの挿入の隣の0.5kb DNAからなるプローブとハイブリダイズさせることにより、1つのポジティブクローンが同定された。この組換えプラスミドの制限分析が、P6C63でTn917により分裂された2.5kb AluI断片を明らかにした。配列番号8と10は、P6C63に対して最初に同定されたヌクレオチドとアミノ酸配列である。トランスポゾンTn917は、この断片の3つのオープン・リーディング・フレーム(orfs)のうちの1つの中に挿入された。このorfは、svrと命名された(図1A)。372bpの長さで124アミノ酸残基の蛋白質をコードしている(図1B;配列番号125)。P6C63のさらなる配列決定で、ヌクレオチドとアミノ酸配列を配列番号126と127として決定した。蛋白質のデータベースのFASTA及びBLASTサーチは、svrとorf3が既知の蛋白質またはモチーフに著しい類似はないことを明らかにした。しかしながら、svrのすぐ上流のorf2は、枯草菌の転写因子のmarファミリーのメンバーである大腸菌のslyAに著しい類似性(148アミノ酸残基で28%同一)を示した。
P6C63株のビルレンス欠損が、svrの妨害またはorf3に対する極性効果またはオペロンの可能性のある他の遺伝子のためであるかどうかを確立するために、一連のプラスミドを構築し、P6C63へ形質転換して、α-、β-、およびδ -トキシン生産の欠損の相補のテストした(下記参照)。最小の相補プラスミド(pID437)中の挿入は、svr遺伝子のみを含んでおり(図1A)、トキシン欠損表現形がsvr遺伝子の変異のためであることを示した。プラスミドpID437、pID439、pID4311、およびpID4312をp6C63内へ形質転換し、形質転換株の一部だけが野生型表現形の完全な回復を示した。これらの形質転換株について、svr遺伝子をプローブとして用いて、サザン分析を行い、相補された株中のプラスミドの存在を調べた。サザンハイブリダイゼーションは、相補された形質転換株で、プラスミドが染色体DNA(データ示さず)内へ組み込まれているが、相補されていない形質転換株では組み込まれていないプラスミドを有していることを示した。
黄色ブドウ球菌の他の株、特に臨床分離株もsvr遺伝子を含んでいるかどうかを決定するために、米国および英国の異なる臨床ソースからの黄色ブドウ球菌株RN6390、Newman、Wood 46、ID401およびID402についてサザンハイブリダイゼーション分析を行った。各株からの染色体DNAをHin dIIIで消化し、svr遺伝子でプローブした。RN6390、Newman、Wood 46、ID401株で、共通の8.2kb断片が観察され、ID402株では10kb断片が観察された(図1C)。このことはsvrが黄色ブドウ球菌で広く保存されていることを示す。
<表現形の特徴づけ>
svr-表現形をより詳しく調べるために、黄色ブドウ球菌ビルレンス決定のためにP6C63を多くのテストに供した。a-、b-、およびd-毒素の発現レベルを、異なる血液寒天プレート上で調べた。a-、b-、およびd-毒素の発現レベルは、P6C63とRN6911(agr-株)では、それらの親株RN6390に比べて大きく減少しており、毒素の生産は、pID437で形質転換されたときP6C63で回復された(図2A)。
agr-株の特徴は、細胞壁プロテインAの過剰生産である。agr-とsvr-株の類似のトキシン欠損表現形の観点から、我々は、プロテインAを、抗−プロテインAモノクローナル抗体を用いたウェスタンブロットにより調べた。図2Bに示すように、プロテインAは野生型株で検出されず、相補株ではかろうじて検出され、 agr-とsvr-株の両方には存在していた。
<ビルレンス研究>
変異体P6C63は、96変異体のプールでのSTMによりオリジナルに分離し、LD50分析では、野生型株RN6390(7)に比べて、ビルレンスにおいて非常に無毒化されていることが示された。P6C63の増殖速度論をより詳しく研究するために、RN6390とP6C63株を、CD−1マウスの群へ、細菌の1×105cfuの投与量で、腹腔内接種した。細菌は、異なる時間点で脾臓から回収し、cfuを定量した。脾臓でのRN6390の細菌のロードは、接種の6,24,48、および72時間後に106cfuを超えていた。P6C63の数は、最初の6時間の間増加し、ついで減少し、結局96時間までに一掃された。RN6390で接種されたマウスは、変異株で接種されたものに比べて非常に重篤であるようで、24時間以内に18マウスのうち1匹が死んだ。
<svrの転写分析>
RN6390でのsvr mRNAをノザンハイブリダイゼーションにより検出する試みは成功しなかったので、RT−PCRを用いて、種々の遺伝的背景において、svrの転写を測定した。P6C63(svr-)、RN6911(agr-)及びRN6390(野生型)からの全RNAを、svr DNA配列に対応するプライマーを用いたRT−PCRに供した。図4Aに示すように、svr転写物は、RN6911とRN6390で検出されたが、P6C63では検出されなかった。対照RT−PCRを、逆転写酵素を95℃5分間不活性化した以外は上記と同じ条件を用いて行った。3つの株のいずれにおいてもPCR産物は得られず、図4Aで示した産物がDNAの汚染のためでないことが示された。
<SVRのhlaとspaの転写に対する効果>
svr変異株がα-、β-、δ-毒素の生産減少とプロテインAのレベル増加を示したので、ノザンハイブリダイゼーションを行って、それらがmRNAレベルで効果を受けているかどうかを決定した。RN6390、RN6911、P6C63および相補株P6C63(pID437)の対数期後の培養液から抽出された全RNAを、hlaとspaに特異的なプローブを用いたノーザン分析に供した。hlaプローブを用いたとき、野生型株RN6390と相補株からのRNAにおいて強いバンドが観察されたが、agr-株RN6911またはsvr-株P6C63ではいずれも観察されなかった。膜をはがしてspa遺伝子と再プローブすると、hlaとは異なり、ハイブリダイズするバンドが、RN6911とP6C63からのRNA中に同定されたが、RN6390株あるいは相補株では同定されなかった(図4B)。これらの結果は、蛋白質分析(上記)と一致しており、svrがα-トキシンとプロテインAの発現にmRNAレベルで影響を与えることを示した。
<svrはagrとRNAIIIの転写に必要である>
表現形分析とノーザンハイブリダイゼーションの結果がsvr変異体がagr-株の特徴に似ている特徴を有していることを示したため、ノーザンハイブリダイゼーションを行いsvrがagr制御システムに関連するかどうか調べた。RN6390、RN6911、P6C63および相補株の対数期後の培養液から分離された全RNAを、agrとRNAIIIに特異的なプローブを用いたノーザンハイブリダイゼーションに供した。図4Cに示すように、agrとRNAIIIの両方のプローブが、野生型株と相補株から分離されたRNAにハイブリダイズしたが、svr変異株またはagr-株からのRNAにはハイブリダイズしなかった。この結果は、svrがagrとRNAIIIの転写に必要であることを示唆する。
細菌ビルレンス遺伝子(7)の同定のためのアプローチである、STMを用いて、我々は、変異表現形がagr-株のそれに類似している、新規スタフィロコッカス・ビルレンス・レギュレータsvrを同定した。しかしながら、svrのDNA配列分析は、それが既知のagr制御システムのメンバーでなく、DNAおよび蛋白質データベース中の既知の蛋白質と類似していないことを示す。svr変異表現形は、svrを含むプラスミドにより相補され、表現形欠損はsvrの下流遺伝子に対する極性効果でないことを示した。興味深いことに、相補は染色体に組み込まれたプラスミドを含む細胞で起こり、組み込まれていないプラスミドを含む細胞では起こらなかった。この理由は明らかでないが、プラスミドコピー数が15−25/細胞(10)であるために、svrの過剰発現に関係している可能性がある。確かに、種々の増殖ステージにおいて細菌から回収したRNAを用いたノーザンハイブリダイゼーションによってはそれが検出されなかったので、野生型細胞ではsvr mRNAの生成量は非常に低いようである。
svr変異体での表現形と毒素とプロテインAのノーザンハイブリダイゼーション分析は、それがagr-変異株のそれと類似するパターンであることを示した。したがって、我々はsvrがagr制御システムとリンクしているかどうか調べた。svr mRNAはagr-株と野生型株で検出されたが、svr-株では検出されず、agrはsvr活性に影響を及ぼさないことを示唆していた。対照的に、agr mRNAとRNAIIIは野生型株とsvr-−相補株で検出されたが、svr-株では検出されなかった。このことは、svrがagrとRNAIIIの発現に必要であることを示唆している。
最近、agrが、黄色ブドウ球菌により生産され分泌される、RAP(RNAIII活性化蛋白質)と呼ばれる蛋白質様の因子により自己誘導されることが示された(1 6)。RAPの配列は発表されていないが、svrの長さは372bpで13kDaの蛋白質をコードしており、RAPは38kDa蛋白質である(16)ため、svrがRAP蛋白質をコードしているとは思われない。sarもまたagrとRNAIII(6)の発現のために必要であるという事実は、3つの異なる制御経路が、黄色ブドウ球菌のagr配座とビルレンス因子の発現に影響を及ぼしているかもしれないことを示している。svr、sar、およびRAPの関係についての研究は、黄色ブドウ球菌がビルレンス遺伝子発現を制御するメカニズムを明らかにする助けとなるであろう。
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の最近の出現は、非常に重要な公衆衛生問題を表している(18)。したがって、黄色ブドウ球菌感染を制御する代替アプローチには緊急の必要性がある。Balabanら(17)は、RAPでワクチンを受けたマウスが連続した黄色ブドウ球菌の攻撃による感染から保護されたことを報告した。svrが、おそらくagrとRNAIIIの制御を通して、ビルレンスに必要であるという事実は、svrが、黄色ブドウ球菌感染に対する抗生物質とワクチンの開発のためのもう1つのターゲットかもしれないことを示唆する。
実施例4の参考資料を以下に記す。
[参考文献]
Figure 2008154584
Figure 2008154584
上述した発明の多数の変更と変形が当業者になされることが予期される。従って、添付した請求の範囲において明らかにしたその制限のみで、それについて定められるであろう。
A.svrと相補のプラスミドの地図。制限酵素の部位が示される(A,Alu I;E,EcoRI;P,PstI)。B.Svrタンパク質の推定したアミノ酸配列。C.染色体DNAのサザーンハイブリダイゼーション。DNAは黄色ブドウ球菌RN6390株、Newman Wood 46,ID 401と402から抽出し、そしてHindIIIで消化した。その消化したDNAは、アガロースゲル電気泳動によって分離し、ナイロン膜上に移し、且つ32P-標識svr遺伝子により試験した。 P6C63の表現型の分析。A.α-,β-及びδ-毒素の生産。黄色ブドウ球菌株は、ウサギ血液寒天平板培地(α-毒素用)、ヒツジ血液寒天平板培地(β-毒素用)及びウマ血液寒天平板培地(δ-毒素用)上に画線接種し一晩培養する。細菌コロニーを囲むハローが毒素活性の表示である。B.プロテインAのウエスターンイムノブロット。全体の細胞タンパク質をそれぞれの株から抽出し、高プロテインAモノクローナル抗体とのウエスターンイムノブロッティングに続きSDS-PAGE電気泳動によって分離した。C.PAGEとクマシーブルー染色により検出した(B)におけるタンパク質サンプル。 細菌株のインビボでの生存動態。マウスの2つの群は、黄色ブドウ球菌野生株RN6390又は変異体P6C63の1×105cfuでi.p.感染させた。接種後6,24,48,72,96及び120時間で、2つのマウス/群を殺し、細菌cfu/脾臓の数を測定した。データはそれぞれの時点での平均値±標準偏差である。 A.株RN6390,RN6911及びP6C63におけるsvr転写体のRT-PCR分析。全RNAは対数期後の培養黄色ブドウ球菌株の109cfuから分離した。RT-PCRは、svr遺伝子内の領域200bpを増幅する2つのプライマーを用いて実施した。BとC.ノーザンブロット分析。全RNAは、対数期後の培養黄色ブドウ球菌株RN6390,RN6911,P6C63と補充した株P6C63(pID437)の109cfuから分離した。RNAは、1.5%アガロース−0.66Mホルムアルデヒドゲル電気泳動によって分離し、ナイロン膜に移し且つ表示した通り32P-標識遺伝子により試験した。

Claims (10)

  1. 配列番号:1,2,9,10,12,18,20,30,61,66,74と80のいずれか1つに記載のDNA配列によって表されるビルレンス遺伝子生産物の発現を妨げる能力について可能性のある作用物質をアッセイすること、及び上記ビルレンス遺伝子生産物の発現を妨げる作用物質を同定することの工程を含む抗菌作用物質の同定方法。
  2. 配列番号:1,2,9,10,12,18,20,30,61,66,74と80のいずれか1つに記載のDNA配列又はその相補鎖によって全体又は一部がコードされた細菌タンパク質の機能を妨げる能力について可能性のある作用物質をアッセイすること、及び上記細菌タンパク質の機能を妨げる作用物質を同定することの工程を含む抗菌作用物質の同定方法。
  3. タンパク質が、細胞表面代謝に含まれ、且つ配列番号:1(符号タグ化同定番号P2C73に一致する)のDNA配列によってコードされるものである請求項2記載の方法。
  4. 用いるアッセイが酵素アッセイである請求項1から3のいずれか1項記載の方法
  5. 用いるアッセイが結合アッセイである請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
  6. 用いるアッセイが、ツー−ハイブリッドスクリーニングアッセイである請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
  7. アッセイが、標的タンパク質への結合によってリガンドのためのスクリーンに用いられる請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
  8. 用いるアッセイが、アフィニティー限外濾過アッセイである請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
  9. 配列番号:1,2,9,10,12,18,20,30,61,66,74と80のいずれか1つによって表される遺伝子中に機能性変異を含む黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)生物であり、上記機能性変異が、該生物のビルレンスの減少となる黄色ブドウ球菌生物。
  10. 請求項9記載の黄色ブドウ球菌生物を含むワクチン組成物。
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