JP2008133563A - 静電噴霧法を用いた有機繊維の製造方法 - Google Patents

静電噴霧法を用いた有機繊維の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】静電噴霧法を用いて、有機物質を延伸可能な状態として繊維化することを目的とする。
【解決手段】有機物質溶液を静電噴霧する際、表面に突起部を有する集積体を回転させながら該集積体の表面に向けて静電噴霧する。二つの回転軸で回転される輪状の集積体を用いる場合には、集積体の回転軸近傍に向けて静電噴霧する。また、円筒状の集積体を用いる場合には、底面の中心を結ぶ線を中心に回転させながら、集積体の側面に向けて静電噴霧する。本発明では、集積体が導電性を有している必要はなく、集積体にアースを施工する必要もない。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電噴霧法によって有機物質を繊維化する方法であって、繊維の配列に方向性を有し、延伸可能な有機繊維の製造方法に関する。
静電噴霧法は、高電圧を利用した繊維製造方法の一種であり、均質で微細な繊維を製造しうることを特徴としている。この静電噴霧法においては、静電噴霧された有機物質溶液が電荷反発による脱溶媒を受けて固化される。
こうした静電噴霧法を利用した繊維製造方法として、特許文献1には、ゼインタンパク質溶液から繊維構造体を製造する方法が開示されている。
また、特許文献2には、紡糸するポリマー溶液を紡糸空間へ供給するステップと、前記ポリマー溶液を供給する方向に第1の気流を供給するステップと、前記供給して形成した繊維に、前記繊維とは反対極性のイオンを照射するステップと、前記ポリマー溶液を供給する方向と交差する方向であって紡糸した繊維を回収する方向に第2の気流を供給しながら、該繊維を回収するステップと、を含むことを特徴とする繊維集合体の製造方法が開示されている。
また、紡糸空間を1.5〜100気圧に維持することを特徴とする静電紡糸方法が特許文献3に開示されており、形成した繊維に対して繊維と反対極性のイオンを照射することを特徴とする静電紡糸方法が特許文献4に開示されている。
特開2005−290631号公報 特開2005−264374号公報 特開2004−256974号公報 特開2004−238749号公報
しかし、静電紡糸法では、高速で形成されるナノサイズの繊維が電極ターゲットである集積体に積層されていくためフェルト状になりやすく、微細繊維(ナノファイバー)を糸状として取り出しにくい。このため、一般的な繊維として利用ができないという欠点がある。
一方、溶融紡績法等の繊維化工程においては、紡糸によって形成された繊維を延伸することによって分子の配向結晶化を促進させ、繊維の高強度化が図られている。しかし、微細繊維を糸状として取り出しにくい静電紡糸法を用いた繊維製造方法では、繊維の延伸による物性向上が期待できない。
本発明は、静電噴霧法を用いて、有機物質を延伸可能な状態として繊維化することを目的とする。
本発明者は、有機物質溶液を静電噴霧する際、表面に突起部を有する集積体を回転させながら該集積体の表面に向けて静電噴霧すれば、集積体表面に有機物質が方向性をもって繊維として集積することを見出した。また、該集積体の表面に集積した繊維を取り外せば延伸可能であることも見出し、本発明を完成させるに至った。
具体的に、本発明は、
有機物質を有機溶媒に溶解させた紡績液を調製する調製工程と、
表面に突起部を有する集積体を回転させながら、前記紡績液に高電圧を印加して、前記集積体の前記回転軸近傍に向けて静電噴霧する静電噴霧工程と、
前記集積体の表面に集積された繊維を前記集積体から取り外す分離工程と、
を有する有機繊維の製造方法に関する(請求項1)。
表面に突起部を有する集積体を回転させながら有機物質の静電噴霧を行うと、突起部にはフェルト状、突起部と突起部の間には直線的に引き揃った状態で繊維が集積(析出)する。
静電噴霧工程において、表面に突起部を有し、二つの回転軸で回転される輪状の集積体を回転させながら、前記紡績液に高電圧を印加して、前記輪状の集積体の前記回転軸近傍に向けて静電噴霧することが好ましい(請求項2)。
集積体が二つの回転軸で回転される輪状である場合には、回転軸近傍(集積体端部)に向けて有機物質溶液を静電噴霧することにより、このような効果が得られる。すなわち、ベルトコンベアのように回転する集積体に対して特定方向から有機物質を静電噴霧した場合にのみ、集積する有機繊維に方向性を持たせることが可能である。そして、集積した繊維を集積体表面から取り外せば、長さ方向に延伸処理が可能であり、一本の繊維束として強化することができる。
また、静電噴霧工程において、側面の表面に突起部を有する円筒状の集積体を、その底面の中心を結ぶ線を中心に回転させながら、前記紡績液に高電圧を印加して、前記円筒状の集積体の側面に向けて静電噴霧することも好ましい(請求項3)。
前記集積体が円筒状である場合には、突起部が形成されている前記集積体側面に向けて、前記集積体を回転させながら静電噴霧を行うことにより、突起部にはフェルト状、突起部と突起部の間には直線的に引き揃った状態で繊維が集積(析出)する。この場合、円筒状の集積体は、底面の中心を結ぶ線を回転中心とする必要がある。
前記突起部の垂直方向の断面は、略長方形又は三角形であることが好ましく、複数の前記突起部が回転方向に直交するように平行に並んでいることが好ましい(請求項4)。フェルト状の集積部分と、フェルト状の集積部分同士を結ぶ直線的集積部分とを規則的に配置させやすいためである。
前記集積体にはアースを施工することが好ましい(請求項5)。本発明の有機繊維の製造方法では、従来の静電噴霧法を用いた有機物質の繊維化方法とは異なり、集積体にアースを施工する必要はなく、集積体が導電性である必要もない。しかし、集積体にアースを施工した方が、繊維の集積効率が高くなる利点がある。
本発明の繊維束の製造方法によれば、従来は糸状として取り出しにくく、一般的な繊維として利用ができなかった静電噴霧法により製造された微細繊維を、延伸可能な状態で製造することができる。
以下に、本発明の実施の形態について、適宜図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、これらに限定されない。
本発明の有機繊維の製造方法の概略フローチャートを、図1に示す。
まず、ステップS1として、有機物質を有機溶媒に溶解させた紡績液を調製する(調製工程)。有機物質及び有機溶媒は、静電噴霧法によって繊維化できる組み合わせであれば特に限定することなく、本発明に使用することが可能である。
次に、ステップS2として、表面に突起部を有する集積体を回転させながら、前記紡績液に高電圧を印加し前記集積体に静電噴霧する(静電噴霧工程)。アースを設置した金網、金属板等を集積体として有機物質の紡績液を静電噴霧した場合、繊維はフェルト状となり、「糸」として取り出すことは不可能である。
しかし、本発明では、表面に突起部を有する集積体を回転させた状態で、紡績液に高電圧を印加して静電噴霧を行うことにより、集積体表面に繊維を特定の状態で集積させることを特徴とする。すなわち、突起部には繊維がフェルト状に集積し、突起部と突起部との間には繊維が引き揃えた状態で集積する。
集積体の形状は、表面に突起部(突起)が形成されていれば特に限定されるものではないが、回転させながら表面に均質に繊維を集積するためには、二つの回転軸で回転される輪状(ベルト状)又は底面の中心を回転中心とする円筒状であることが好ましい。
ベルト状の集積体1の場合には、二つの回転軸(回転軸2及び回転軸3)によって、図2に示すような状態で回転させる。そして、回転軸近傍(ノズルA又はノズルBの位置)から回転している集積体に向けて静電噴霧を行う。このとき、回転軸から離れた位置、例えばノズルCの位置から回転している集積体に向けて静電噴霧を行った場合には、集積体表面に繊維がフェルト状に集積されるだけである。
一方、円筒状の集積体4の場合には、図3に示すように、底面5a及び5bの二つの中心(6a及び6b)を結ぶ直線を回転中心として集積体を回転させる。そして、ノズルDの位置から円筒状である集積体側面に向けて静電噴霧を行う。
ここで、集積体表面の突起部について、輪状(ベルト状)の集積体1を例に説明する。図2のノズルCの位置から見たベルト状の集積体1の上面図の例を、図4(a)〜図4(c)に示す。ベルト状の集積体1の場合、集積体の回転方向に対して直交するように、複数の突起部を平行に並べればよい。これに対し、図5に示すように、回転方向に平行するように複数の突起部を平行に並べれば、集積体表面の全体に繊維がフェルト状に集積し、本発明の作用効果は得られない。
図4(a)のA−A断面図の例を、図6(a)〜図6(c)に示す。突起部の形状は、特に限定されるものではないが、突起部上面に繊維をフェルト状に集積させ、かつ、突起部と突起部の間の繊維を直線的に引き揃えるためには、図6(a)及び図6(b)にそれぞれ垂直方向の断面を示したような略長方形又は三角形の突起部であることが好ましい。
なお、突起部の好ましい配置と配列については、図3に示した円筒状の集積体4についても同様である。
静電噴霧法を用いる繊維製造方法においては、集積体が導電性であり、かつ、アースを施すことが通常であるが、本発明の静電噴霧工程では、集積体にアースを施工することは必須ではない。また、集積体はゴム、プラスチック、シリコン等の非導電性物質であってもよく、この点で従来技術と大きく異なる。
ただし、同じ集積体を使用する場合、アースを施工すると集積効率が高くなるために好ましい。
次に、ステップS3として、前記集積体の表面に集積された方向性を有する繊維を、前記集積体から取り外す(分離工程)。静電噴霧工程において、集積体にフェルト状部分と引き揃え部分とが交互に形成されているために、集積体から繊維を取り外した(引き剥がした)後、糸状に引き伸ばすことが可能である。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
本発明の実施例1として、以下の製造方法により有機繊維を製造した。
1)調製工程
まず、ポリカプロラクトン(以下、PCLという)(平均分子量7〜10万)をジクロロメタンに溶解させ、20重量%とした溶液を紡績液として調製した。なお、PCL濃度は、8重量%以上25重量%以下であることが好ましく、10重量%以上20重量%以下であることがより好ましい。
2)静電噴霧工程
次に、PCL溶液を、図7に示す静電噴霧装置を用いて繊維化し、ゴムベルトを集積体として静電噴霧した。この静電噴霧装置について、以下に説明する。
金属製ホルダー11には金属製ノズル12が接続されており、金属製ホルダー11はスタンドを用いて適当な位置で固定されている。金属製ホルダー11には、金属製ノズル12の反対側に送液配管14が接続されると共に、高圧電源13が接続されている。
送液配管14は、別の密閉容器15の内部に収容されている容器16へと通じており、容器16内には紡績液17として上記PCL溶液が満たされている。さらに、密閉容器15は、コンプレッサー18と接続しており、内部を加圧状態にすることができる。
コンプレッサー18をONにすると、密閉容器15の内部が加圧され、容器16内の紡績液17は、送液配管14を通って金属製ノズル12へと送液される。
ここでは、金属製ノズル12として24G注射針(長さ15mm、ステンレス製)を使用し、金属製ノズル12先端と集積体であるゴムベルト19との距離を15cmとした。
一方、ゴムベルト19は、幅12mm、厚さ1mmであり、表面には垂直方向の断面が底辺1mm×高さ0.5mmの二等辺三角形である突起部20が1.3mm間隔で設けられている。突起部の配列は、図4(a)の状態である。そして、直径12mmである二つの回転軸(21a及び21b)によって保持されている。このとき、ゴムベルト19は、回転軸の延長線方向から見て縦12mm×横100mmの略直方体の輪となっている。
また、金属製ノズル12と二つの回転軸(21a及び21b)の回転中心(22a及び22b)とは同じ高さとなるように調整されている。
回転軸21aは、モーターに接続されており、モーターを回転させることにより回転軸21aも回転し、ゴムベルト19を回転させることができる。回転軸21bは回動自在であり、回転軸21aの回転に追従して回転する。ここでは、図7中に矢印で示した方向にゴムベルト19を回転させた(速度14cm/秒)。なお、同じ速度で逆方向に回転させてもよい。
そして、高圧電源13(パルス電子技術株式会社製)によって、金属製ホルダー11に15 kVの直流電圧を印加した。なお、PCL溶液の押出圧力は0.15MPaとし、ゴムベルト19にはアースを施工しなかった。
ゴムベルト19を回転させながらPCL溶液を静電噴霧した結果、突起部20にはPCL繊維がフェルト状に集積し、突起部と突起部との間の部分(平坦部23)にはPCL繊維が引き揃った状態で集積された。このときのゴムベルト19表面の写真を、図8に示す。
3)分離工程
次に、ゴムベルト19上に集積されたPCL繊維を、ピンセットを用いて取り外した。取り外した状態のPCL繊維を図9、その拡大写真を図10にそれぞれ示す。
図10から明らかなように、本実施例のPCL繊維は、フェルト状部分と、フェルト状部分同士を結ぶ直線的に引き揃った部分が交互に形成されている。そして、集積体から取り外したPCL繊維は、回転方向に引き延ばしてもちぎれることがなかった。このため、本実施例のPCL繊維は、分離工程の後、延伸処理を行うことが可能である。
[実施例2]
本発明の実施例2として、乳酸/グリコール酸共重合体(以下、PLGAという)(平均分子量22万、乳酸:グリコール酸=75:25(モル比))をジクロロメタンに溶解させ、15重量%とした溶液を紡績液として使用した。なお、PCL濃度は、10重量%以上30重量%以下であることが好ましく、12重量%以上20重量%以下であることがより好ましい。
集積体は実施例1と同じものを使用した。また、20 kVの直流電圧を印加し、PLGA溶液の押出圧力を0.05MPaとしたこと以外、すべて実施例1と同様にしてPLGA繊維をゴムベルト上に集積させた。
PLGA繊維が集積したゴムベルト19表面の写真を図11、ゴムベルト19からPLGA繊維を取り外す様子の写真を、図12にそれぞれ示す。
図11から明らかなように、本実施例のPLGA繊維は、フェルト状部分と、フェルト状部分同士を結ぶ直線的に引き揃った部分が交互に形成されている。そして、集積体から取り外したPLGA繊維は、長さ方向に引き延ばしてもちぎれることがなかった。このため、本実施例のPLGA繊維も、分離工程の後、延伸処理を行うことが可能である。
なお、実施例1及び実施例2では、ゴムベルト19にアースを施工しなかったが、アースを施工した場合にも、同様のPCL繊維及びPLGA繊維を製造することができた。集積効率向上の観点からは、同じゴムベルト19を使用する場合には、アースを施工した方が好ましかった。
[実施例3]
本発明の実施例3として、実施例1で使用したゴムベルト19に導電性塗料を塗布し、導線性ベルトとした集積体を用いた以外は、すべて実施例1と同じ条件でPCL繊維を製造した。その結果、実施例1と同様のPCL繊維が、より高い集積効率で得られた。なお、導電性ベルトにアースを施工してもしなくても、同様のPCL繊維が得られた。
[実施例4]
本発明の実施例4として、実施例2で使用したゴムベルト19に導電性塗料を塗布し、導線性ベルトとした集積体を用いた以外は、すべて実施例2と同じ条件でPLGA繊維を製造した。その結果、実施例2と同様のPLGA繊維が、より高い集積効率で得られた。なお、導電性ベルトにアースを施工してもしなくても、同様のPLGA繊維が得られた。
[実施例5]
本発明の実施例5として、直径9cm、幅20mmのガラス製円筒の側面に、実施例1で使用したのと同じ種類のゴムベルトを取り付け、これを集積体として使用した。そして、図13に示す静電噴霧装置を用いて実施例1と同じPCL溶液を繊維化した。なお、集積体以外の部分は、実施例1の静電噴霧装置と同じである。
ここで、金属製ノズル12と、円筒31底面の中心32とは同じ高さとなるように調整されている。また、円筒31には金属シール34を巻き付け、その上にゴムベルト33を取り付けた。そして、金属シール34にはアースを施工した。
円筒31には、中心32を回転中心として回転するように、モーターに接続する回転軸が取り付けられおり、モーターを回転させることによりゴムベルト33を回転させることができる。ここでは、図13中に矢印で示した方向にゴムベルト33を回転させた(回転数200rpm)。なお、同じ速度で逆方向に回転させてもよい。
そして、高圧電源13によって、金属製ホルダー11に20 kVの直流電圧を印加し、ゴムベルト33に向けて静電噴霧した。なお、PCL溶液の押出圧力は0.15MPaとした。
ゴムベルト33を回転させながらPCL溶液を静電噴霧した結果、ゴムベルト33の突起部35にはPCL繊維がフェルト状に集積し、突起部と突起部との間の部分(平坦部36)にはPCL繊維が引き揃った状態で集積された。このときのゴムベルト33表面の写真を、図14に示す。
図14から明らかなように、本実施例のPCL繊維は、フェルト状部分と、フェルト状部分同士を結ぶ直線的に引き揃った部分が交互に形成されている。そして、集積体から取り外したPCL繊維は、長さ方向に引き延ばしてもちぎれることがなかった。このため、本実施例のPCL繊維も、分離工程の後、延伸処理を行うことが可能である。
[実施例6]
本発明の実施例6として、実施例5の静電噴霧装置を行い、PLGA繊維を製造した。紡績液が実施例2で使用したPLGA溶液であること以外、すべて実施例5と同じ条件で静電噴霧を行った。その結果、ゴムベルト上に集積したPLGA繊維は、フェルト状部分と、フェルト状部分同士を結ぶ直線的に引き揃った部分が交互に形成されていた。このため、本実施例のPLGA繊維も、分離工程の後、延伸処理を行うことが可能である。
[比較例1]
本発明の比較例1として、図2(c)のノズル位置から静電噴霧を行うこと以外、すべて実施例1と同様にしてPCL繊維を製造した。静電噴霧工程後のゴムベルト表面の写真を、図15に示す。
比較例1では、ゴムベルトの突起部上にフェルト状のPCL繊維が集積されるだけで、フェルト状部分同士を結ぶ直線的に引き揃った部分は形成されなかった。また、ゴムベルトから取り外した後、長さ方向に引っ張るとすぐに切断されるため、延伸処理を行うことは不可能であった。
[比較例2]
本発明の比較例2として、図2(c)のノズル位置から静電噴霧を行うこと以外、すべて実施例2と同様にしてPLGA繊維を製造した。
しかし、比較例2でも、ゴムベルトの突起部上にフェルト状のPLGA繊維が集積されるだけで、フェルト状部分同士を結ぶ直線的に引き揃った部分は形成されなかった。また、ゴムベルトから取り外した後、長さ方向に引っ張るとすぐに切断されるため、延伸処理を行うことは不可能であった。
[比較例3]
本発明の比較例3として、図13に示すゴムベルト33を外したこと以外、すべて実施例5と同じ条件でPCL溶液の静電噴霧を行った。すなわち、アースを施工した金属テープ34(表面に凹突起なし)の表面にPCL繊維を集積した。静電噴霧工程後の金属テープ34表面の写真を、図16に示す。
図16から明らかなように、金属テープ34上にはフェルト状のPCL繊維が均質に集積されただけであった。また、集積体表面から繊維を取り外した後、長さ方向に引っ張るとすぐに切断されるため、延伸処理を行うことは不可能であった。
[比較例4]
本発明の比較例4として、直径1cmのアルミ棒(長さ5cm)を集積体として用い、実施例5と同様、集積体に対して水平方向からPCL溶液を静電噴霧した。静電噴霧条件は、集積体(アルミ棒)を20000rpmで回転させたこと以外、すべて実施例5と同じである。また、アルミ棒にはアースを施工した。
アルミ棒から取り外したPCL繊維の拡大写真を、図17に示す。図17から明らかなように、PCL繊維は完全なフェルト状であり、全く方向性が認められなかった。また、引っ張るとすぐに切断されるため、延伸処理を行うことは不可能であった。
[比較例5]
本発明の比較例5として、比較例5のPCL溶液の代わりに、PLGA溶液を用いてPLGA繊維を製造した。静電噴霧条件は、紡績液が実施例2と同じPLGA溶液であること以外、すべて比較例4と同じである。
比較例5のPLGA繊維は、比較例4のPCL繊維と同じく完全なフェルト状であり、全く方向性が認められなかった。また、引っ張るとすぐに切断されるため、延伸処理を行うことは不可能であった。
以上説明したように、本発明の有機繊維の製造方法によれば、静電噴霧法を利用しながら、延伸処理が可能な微細かつ均質な有機繊維を製造することができる。これにより、静電噴霧法によって製造された有機繊維を強化し、一般的用途に使用することも可能となる。
本発明の有機繊維の製造方法は、紡績及び繊維分野における有機繊維の製造方法として有用である。
本発明の有機繊維の製造方法の概略フローチャートである。 ベルト状(輪状)の集積体を用いる場合における、集積体の回転及びノズルの位置を表す図である。 円筒状の集積体を用いる場合における、集積体の回転及びノズルの位置を表す図である。 輪状(ベルト状)の集積体における、好ましい突起部の形状例を表す上面図である。 輪状(ベルト状)の集積体における、好ましくない突起部の形状例を表す上面図である。 輪状(ベルト状)の集積体における、好ましい突起部の形状例を表す断面図である 輪状(ベルト状)の集積体を用いる静電噴霧装置の一例を表す図である。 実施例1の静電噴霧工程後のゴムベルト表面の写真である。 実施例1の分離工程後のPCL繊維の写真である。 実施例1の分離工程後のPCL繊維の拡大写真である。 実施例2の静電噴霧工程後のゴムベルト表面の写真である。 実施例2の分離工程後のPCL繊維の写真である。 円筒状の集積体を用いる静電噴霧装置の一例を表す図である。 実施例5の静電噴霧工程後のゴムベルト表面の写真である。 比較例1の静電噴霧工程後のゴムベルト表面の写真である。 比較例3の静電噴霧工程後の金属テープ表面の写真である。 比較例4の分離工程後のPCL繊維の写真である。
符号の説明
1:輪状(ベルト状)の集積体
2,3:回転軸
4:円筒状の集積体
5a,5b:底面
6a:底面5aの中心
6b:底面5bの中心
7:回転中心
11:金属製ホルダー
12:金属製ノズル
13:高圧電源
14:送液配管
15:密閉容器
16:容器
17:紡績液
18:コンプレッサー
19:ゴムベルト
20:突起部
21a,21b:回転軸
22a:21aの回転中心
22b:21bの回転中心
23:平坦部
31:円筒
32:円筒底面の中心
33:ゴムベルト
34:金属シール
35:突起部
36:平坦部

Claims (5)

  1. 有機物質を有機溶媒に溶解させた紡績液を調製する調製工程と、
    表面に突起部を有する集積体を回転させながら、前記紡績液に高電圧を印加して、前記集積体の回転軸近傍に向けて静電噴霧する静電噴霧工程と、
    前記集積体の表面に集積された繊維を前記集積体から取り外す分離工程と
    を有する有機繊維の製造方法。
  2. 静電噴霧工程において、表面に突起部を有し、二つの回転軸で回転される輪状の集積体を回転させながら、前記紡績液に高電圧を印加して、前記輪状の集積体の回転軸近傍に向けて静電噴霧する請求項1に記載の有機繊維の製造方法。
  3. 静電噴霧工程において、側面の表面に突起部を有する円筒状の集積体を、その底面の中心を結ぶ線を中心に回転させながら、前記紡績液に高電圧を印加して、前記円筒状の集積体の側面に向けて静電噴霧する請求項1に記載の有機繊維の製造方法。
  4. 前記突起部の垂直方向の断面が略長方形又は三角形であり、複数の前記突起部が回転方向に対して直交するように平行に並んでいる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の有機繊維の製造方法。
  5. 前記集積体にアースを施工する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の有機繊維の製造方法。
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