JP2008110943A - モノクローナル抗体の作成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】モノクローナル抗体の作成方法とそのモノクローナル抗体の作成方法により得られたモノクローナル抗体を提供する。
【解決手段】タンパク質・RNA複合体を動物に投与、免疫化し、免疫化された動物から得られた目的の抗体産成細胞をミエローマ細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を得、得られたハイブリドーマ細胞を培養することによりモノクローナル抗体を得る。タンパク質としてはリボソーム構成タンパク質、中でもP0及び/又はP1及び/又はP2が好適に用いられる。RNAとしてはリボソームRNA、中でもリボソーム28S RNAが好適に用いられる。タンパク質・RNA複合体としては、P0・P1・P2・RNA複合体が好適に用いられる。動物としてはマウス、中でも自己免疫モデルマウスが好適に用いられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、モノクローナル抗体の作成方法及びそのモノクローナル抗体の作成方法により得られたモノクローナル抗体に関する。
モノクローナル抗体は、その特異的分子認識能と分子機構抑制効果により、基礎生命科学研究はもとより、検査診断や臨床医療等で広く利用されている。一般に、抗体作成の為に、単離した標的抗原タンパク質または合成ペプチドをアジュバントと呼ばれる免疫系促進剤とともにマウスに投与、免疫化し、目的の抗体産成細胞をミエローマ細胞とのハイブリドーマとして得る方法が用いられている。しかしながら一般の方法では必ずしも抗原タンパク質の分子機能を効率よく抑制する良質の抗体が得られない場合が多いという問題がある。
一方、ヒト全身性の自己免疫疾患(SLE)の患者血清中に検出される自己抗体は、生体内タンパク質やRNAの機能部位を認識する有効なものが得られる場合が多いことが知られている(非特許文献1及び2)。そのため、一部の自己抗体は自己免疫(SLE)モデルマウスの脾臓をミエローマ細胞と直接融合することでモノクローナル抗体として得られおり、抗DNA抗体や抗Sm抗体(非特許文献3及び4)等の一部の自己抗体について成功している。しかし自然発生的に活性化する抗体産成細胞を拾うこの手法では得られる自己抗体の種類に限界があるという問題がある(非特許文献3)。
ところで、自己免疫疾患で自己抗体が産出されるしくみとして、自己の抗原自体に対する免疫応答が寄与すると考えるアンチジェンドリブン(antigen driven)説が有力視されており(非特許文献5)、その詳細なしくみを分子レベルで探るうえで抗原部位の構造・機能解析が行われてきた。そして、様々な自己抗原が知られるなかで、抗P抗原はその構造面の特徴が最もよく解析されているものの一つである。
そして、モノクローナル抗P抗体(IgG)に関して、これまで本発明代表者らの研究を含め2件の報告がある(非特許文献6及び7)。これらはいずれも単離したP1/P2抗原タンパク質をアジュバント混在下でマウスに投与し、いずれの場合も、1クローンのみの抗P抗体を単離している。本発明代表者の経験では、従来法による免疫化ではP1特異抗体とP2特異抗体の産生が主で、P1とP2およびP0のC末端共通エピトープに対する抗P抗体の産生頻度が極めて低い。したがって、発生率の低い他の多くの自己抗体を得る為には、この従来型免疫法では困難が予想される、といった問題がある。
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そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、従来の方法では得ることが困難であった、良質なモノクローナル抗体を効率的に作成するためのモノクローナル抗体の作成方法を提供することを目的とする。
本発明代表者らはこれまで、80種類のタンパク質と高分子RNAより構成されるリボソームに対してSLE患者が産出する自己抗体を解析し、(1)P0、P1、P2の三種のタンパク質の共通C末端配列とリボソームRNAの一部位に対する抗体が優先的に産出されること、また、(2)これらのタンパク質とRNA部位が安定な複合体を形成することを証明し、これら成分がリボソーム中の一部位で強力な抗原提示部位を形成することを示してきた(図1)。
そこで、上記の知見より、本発明者らは自己抗体産出の刺激を提供する抗原として、単離された抗原タンパク質より、P0・P1・P2・RNA複合体が有効であるだろうという発想に至った。
そして、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、自己抗原タンパク質・RNA複合体を変性させることなく、SLEモデルマウス(MRL/lpr)に投与し免疫化することにより、非常に効果的にモノクローナル抗体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
さらにこの方法により、抗P抗体エピトープのリン酸化型と強く反応する抗体と、リン酸化型/非リン酸化型と同等に反応する抗体の二種類をクローン化することに成功した。
すなわち、本発明の請求項1記載のモノクローナル抗体の作成方法は、タンパク質・RNA複合体を動物に投与、免疫化し、免疫化された動物から得られた目的の抗体産成細胞をミエローマ細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を得、得られたハイブリドーマ細胞を培養することによりモノクローナル抗体を得ることを特徴とする。
本発明の請求項2記載のモノクローナル抗体の作成方法は、請求項1において、前記タンパク質がリボソーム構成タンパク質であることを特徴とする請求項1記載のモノクローナル抗体の作成方法。
本発明の請求項3記載のモノクローナル抗体の作成方法は、請求項2において、前記リボソーム構成タンパク質がP0及び/又はP1及び/又はP2であることを特徴とする。
本発明の請求項4記載のモノクローナル抗体の作成方法は、請求項1において、前記RNAがリボソームRNAであることを特徴とする。
本発明の請求項5記載のモノクローナル抗体の作成方法は、請求項4において、前記リボソームRNAがリボソーム28S RNAであることを特徴とする。
本発明の請求項6記載のモノクローナル抗体の作成方法は、請求項1において、前記タンパク質・RNA複合体がP0・P1・P2・RNA複合体であることを特徴とする。
本発明の請求項7記載のモノクローナル抗体の作成方法は、請求項1において、前記動物がマウスであることを特徴とする。
本発明の請求項8記載のモノクローナル抗体の作成方法は、請求項7において、前記マウスが自己免疫モデルマウスであることを特徴とする。
本発明の請求項9記載のモノクローナル抗体は、請求項1〜8記載のモノクローナル抗体の作成方法により得られたことを特徴とする。
本発明は、自己抗体のモノクローン化という視点に立脚しており、そのため、本発明によれば、自己免疫疾患の発症機序を探る基礎医学研究において特に有効に利用することができる。また、モノクローナル抗体は、分子識別や分子構造・機能研究のプローブとして基礎生命科学の幅広い学術領域で利用されている他、分子機能を抑制する抗体は免疫医療の領域で薬剤として直接利用されている。そのため、新たな良質の抗体産出をもたらす本発明は基礎生命科学や臨床医学の分野で広く利用することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のモノクローナル抗体の作成方法は、タンパク質・RNA複合体を動物に投与、免疫化し、免疫化された動物から得られた目的の抗体産成細胞をミエローマ細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を得、得られたハイブリドーマ細胞を培養することによりモノクローナル抗体を得ることを特徴とする。なお、抗原の免疫化、抗体産生細胞とミエローマ細胞の融合、ハイブリドーマ細胞の培養は、特定の方法に限定されるものではなく、通常用いられる方法により行うことができる。
前記タンパク質としてはリボソーム構成タンパク質、中でもP0及び/又はP1及び/又はP2が好適に用いられる。
そして、前記RNAとしてはリボソームRNA、中でもリボソーム28S RNAが好適に用いられる。
また、前記タンパク質・RNA複合体としては、上記のタンパク質P0、P1、P2により形成されたP0・P1・P2複合体とRNAを組み合わせたP0・P1・P2・RNA複合体が好適に用いられる。
ここで、P0、P1、P2は、ヒトSLE患者の30−40%で検出される抗−P抗体の抗原となるリボソーム構成タンパク質であり、抗P自己抗原エピトープを共有している。また、この抗P自己抗原エピトープには、リン酸化を受けるアミノ酸(セリン)が含まれている。そして、生体内のリボソームではこれらタンパク質はリン酸化されているので、形成したP0・P1・P2複合体はカゼインキナーゼII処理等により、リン酸化されて使用されることが好ましい。
そして、P0・P1・P2・RNA複合体としては、リン酸化されたP0・P1・P2複合体、およびこれらが結合するリボソーム28S RNAの断片とからなるタンパク質・RNA複合体であるP0・P1・P2・リボソーム28S RNA複合体が好適に用いられる(図1)。
そして、本発明のモノクローナル抗体の作成方法において、前記動物としては、マウス、中でも自己免疫モデルマウスが好適に用いられる。
本発明のモノクローナル抗体は、以上のようなモノクローナル抗体の作成方法により得られる。
中でも、P0・P1・P2・リボソーム28S RNA複合体を抗原として得られた、モノクローナル自己抗体である抗P抗体は、(a)リン酸化型と非リン酸化型のエピトープ両者と同等に反応する抗体と(b)リン酸化型エピトープとより強く反応する抗体の二種類で、ともにリボソームと効率よく結合し機能を阻害するものであった。
以上のような本発明の抗体作成方法は、抗P抗体のような主要抗体ばかりでなく、他の多くの自己抗体のモノクローン化のための有効な方法となると考えられる。また、健常人の末梢血中にも自己を認識するリンパ球が低いレベルで存在しており、種々の成分に対する自己反応性の抗体が生体内で産出されることが示唆されている(Bouneaud, C., Kourilsky, P., and Bousso, P. (2000) Impact of negative selection on the T cell repertoire reactive to a self-peptide: A large fraction of T cell clones escapes clonal deletion. Immunity. 13, 829-840.)。
以下に本発明の実施例によって、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
(リボソーム中の抗P自己抗原成分からのタンパク質・RNA複合体再構成とマウスの免疫化)
リボソームの自己免疫標的となる部位を構成するタンパク質P0、P1、P2およびこれら複合体が結合するリボソームRNA部位をそれぞれ発現精製した。P0、P1、P2のC末端側のアミノ酸配列は共通で、この部位に抗P自己抗原エピトープが含まれる。またこの部位のアミノ酸配列にはセリン残基が含まれカゼインキナーゼによりリン酸化を受けることが知られている(Hasler, P., Brot. N, Weissbach, H., Parnassa, A. P., and Elkon, K. B. (1991) Ribosomal proteins P0, P1, and P2 are phosphorylated by casein kinase II at their conserved carboxyl termini. J. Biol. Chem. 266, 13815-13820.)。抗原タンパク質およびRNA断片を混合し、複合体を再構成した後、カゼインキナーゼ処理し、リン酸化を行った。この複合体を精製後、未変性状態でSLEモデルマウスMRLの足底に投与・免疫化した。免疫化されたマウスからの鼠徑部リンパ細胞とミエローマ細胞間ハイブリドーマ細胞から高頻度に抗P抗体が検出された。
以下、詳細に説明する。
抗P自己抗原エピトープを共有する三種のリボソームタンパク質P0、P1、P2のそれぞれの遺伝子を大腸菌発現用プラスミドに組み込み、それぞれを大腸菌細胞に導入しタンパク質を発現させた。そして各タンパク質を、各種カラムクロマトグラフィーを用い精製した。その後、P0、P1、P2を混合しタンパク質複合体を形成させた(図1)。抗Pエピトープにはリン酸化を受けるアミノ酸(セリン)が含まれ、生体内のリボソームではこれらタンパク質はリン酸化されているので、形成したP0・P1・P2複合体をカゼインキナーゼII処理し、リン酸化した。一方、抗28S RNA自己抗体が反応するリボソーム28S RNAの1922−2020残基部位断片は対応する遺伝子をT7 RNAポリメラーゼにより試験管内で転写し、合成した。その後、P0・P1・P2複合体とRNA断片を混合し、形成したタンパク質・RNA複合体をショ糖密度勾配超遠心法により精製した。得られたP0・P1・P2・RNA複合体を、アジュバンドと混合することなく、直接MRL/lprマウスの足底に投与し免疫化した(図1)。そして、免疫化されたマウスからの鼠徑部リンパ細胞をミエローマ細胞(P3−X63−Ag8−U1)と融合させ、ハイブリドーマを96穴培養プレートで培養した。
(効果的モノクローナル自己抗体産出への効果)
得られたハイブリドーマ細胞が抗原複合体に対する抗体を産出しているかどうか各細胞の培地中に産出・放出された抗体の反応性を、免疫化に使用したP0・P1・P2・RNA複合体抗原を用いて、ELISA法により解析した。抗原に対し反応する抗体を産出するハイブリドーマ細胞を全てについてクローン化を行った。最終的に得られたハイブリドーマクローンのそれぞれが産出する抗体について、タンパク質成分(P0、P1、P2)との反応性はウエスタンブロット法で解析し、またRNA断片に対する反応性は、標識合成RNAを用いた免疫沈降法により解析した。
一連の免疫実験を二回行い、産出抗体を分析した(表1)。
一回目では得られたハイブリドーマ細胞が少なく、9クローンについて注目した。その結果、9クローンのうち1クローンがP0、P1、P2のC末端共通エピトープを認識する目的の抗P抗体であった。各タンパク質成分と特異的に反応する抗P0抗体、抗P1抗体、抗P2抗体や抗RNA抗体を産出するハイブリドーマは得られなかった。
二回目の実験では多くのハイブリドーマ細胞が得られ、46クローンについて産出抗体の反応性を分析した。
(本実施例で得られた抗P抗体の反応性)
免疫実験2で得られたモノクローナル抗体の46クローン中2種類(9D5、4H11)について、ラットリボソームタンパク質(A)、カイコリボソームタンパク質(B)との反応性を分析した。約10pmolのリボソーム中に含まれる全タンパク質成分をSDS処理後に電気泳動で分離し、ニトロセルロース膜に転写した。それを一定量の9D5、4H11モノクローナル抗体と反応させ、以下、通常のイミュノブロット法を行った。その結果、P0、P1、P2の三種のタンパク質と反応する抗P抗体が34クローンから検出された。図2より、矢印で示す通り2種類のモノクローナル抗P抗体ともラット、カイコ両リボソームから調製したP0/P1/P2と交差反応し、典型的な抗P抗体の性質を示した(カイコについてはP1、P2の分子量が極めて近いためバンドが重なっている)。その他、2クローンから抗P0特異抗体の産出が認められたがP1、P2、およびRNA成分と特異的に反応する抗体産出細胞は検出されなかった。
ところで、本発明代表者らは1990年に、P1−P2二量体を抗原として、アジュバントを用いた従来型のマウス免疫化を試みている(非特許文献6)。この際、標準マウスBalb c、および自己免疫モデルマウスの一種、(NZB×NZW)F1マウスを免疫化したが、いずれの場合も主な産出抗体は抗P1抗体と抗P2抗体で、得られた抗P抗体は(NZB×NZW)F1マウスを用いた際の1クローンだけであった。これらの知見は、本抗体産出系が抗P自己抗体を優先的に産出させる点で優れていることを示している。
(抗原タンパク質のリン酸化による本実施例により得られた抗P抗体との反応性への効果)
本発明ではまた、リン酸化型蛋白質との反応性がわずかに異なる、二種類の抗Pモノクローナル抗体が得られた。一つはエピトープ部位に含まれるセリン残基のリン酸化型抗原とより強く反応する抗体、もう一方はこのセリン残基のリン酸化型と非リン酸化型で同等に反応する抗体である(図3A、B)。それらの代表例として、9D5と4H11の二種類のモノクローナル抗体の反応性を示す。
A:ELISAタイタープレートの各ウェルに20pmolの抗原サンプルを次のように吸着させた;P1-、非リン酸化型P1;P1+、リン酸化型P1;P2-、非リン酸化型P2;P2+、リン酸化型P2;C、抗原タンパク質無添加。一定量の9D5(上)、4H11(下)と反応させ、以下通常のELISA法により分析した。
B:Aに示す各抗原(10pmol)をSDS処理後電気泳動で分離し、ニトロセルロース膜に転写した。それをAと同様に2種類の抗体と反応させ、以下通常のイミュノブロット法にて分析した。
A、Bとも9D5はリン酸化型蛋白質とより強く反応しているのに対し、4H11はリン酸化型/非リン酸化型蛋白質とも同等に反応している。
以上のように、本発明により、このような二種類の抗P抗体をクローン化し、それらの存在を明確に示すことに成功した。
(本実施例により得られた抗P抗体によるリボソーム機能抑制効果の測定)
さらに、得られた抗P抗体によるリボソーム機能抑制効果を測定した。2.5pmolのラット80Sリボソーム(A)、甲殻類(アルテミア・サリーナ)80Sリボソーム(B)に対し精製した9D5、4H11モノクローナル抗体をそれぞれ1−3μg添加後、リボソーム翻訳因子(EF2)依存のGTP加水分解活性(GTPase活性)を測定した。その結果、両タイプの抗体ともほぼ同等に、リボソームの翻訳因子に依存したGTP加水分解活性を効率よく抑制した(図4A、B)。
これらの結果より、得られた両抗体とも、リボソーム機能構造を認識することが示された。前述したように、自己抗体は生体高分子の機能構造の有効なプローブとなるが、本発明は、多くの有効なモノクローナル自己抗体の調製と利用に活用できる可能性が示唆された。
本実施例における、リボソーム中の抗P自己抗原成分からのタンパク質・RNA複合体再構成とマウスの免疫化を示す概略図である。 A:本実施例で得られた9D5及び4H11と、ラットリボソームタンパク質の反応性を示すイミュノブロット法の結果を示す写真である。
B:本実施例で得られた9D5及び4H11とカイコリボソームタンパク質の反応性を示すイミュノブロット法の結果を示す写真である。
A:本実施例において得られた9D5及び4H11の反応性を示すELISA法による結果を示す写真である。
B:本実施例において得られた9D5及び4H11の反応性を示すイミュノブロット法による結果を示す写真である。
A:ラット80Sリボソームに対し精製した9D5及び4H11によるリボソーム機能抑制効果を示すグラフである。
B:甲殻類(アルテミア・サリーナ)80Sリボソームに対し精製した9D5及び4H11によるリボソーム機能抑制効果を示すグラフである。

Claims (9)

  1. タンパク質・RNA複合体を動物に投与、免疫化し、免疫化された動物から得られた目的の抗体産成細胞をミエローマ細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を得、得られたハイブリドーマ細胞を培養することによりモノクローナル抗体を得ることを特徴とするモノクローナル抗体の作成方法。
  2. 前記タンパク質がリボソーム構成タンパク質であることを特徴とする請求項1記載のモノクローナル抗体の作成方法。
  3. 前記リボソーム構成タンパク質がP0及び/又はP1及び/又はP2であることを特徴とする請求項2記載のモノクローナル抗体の作成方法。
  4. 前記RNAがリボソームRNAであることを特徴とする請求項1記載のモノクローナル抗体の作成方法。
  5. 前記リボソームRNAがリボソーム28S RNAであることを特徴とする請求項4記載のモノクローナル抗体の作成方法。
  6. 前記タンパク質・RNA複合体がP0・P1・P2・RNA複合体であることを特徴とする請求項1記載のモノクローナル抗体の作成方法。
  7. 前記動物がマウスであることを特徴とする請求項1記載のモノクローナル抗体の作成方法。
  8. 前記マウスが自己免疫モデルマウスであることを特徴とする請求項7記載のモノクローナル抗体の作成方法。
  9. 請求項1〜8記載のモノクローナル抗体の作成方法により得られたことを特徴とするモノクローナル抗体。
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