JP2008098676A - ファイバーレーザー安定化法、短パルスファイバーレーザー出力制御法、レーザー装置、短パルスファイバーレーザー出力制御法及び短パルスファイバーレーザー反復率安定化法 - Google Patents

ファイバーレーザー安定化法、短パルスファイバーレーザー出力制御法、レーザー装置、短パルスファイバーレーザー出力制御法及び短パルスファイバーレーザー反復率安定化法 Download PDF

Info

Publication number
JP2008098676A
JP2008098676A JP2007340748A JP2007340748A JP2008098676A JP 2008098676 A JP2008098676 A JP 2008098676A JP 2007340748 A JP2007340748 A JP 2007340748A JP 2007340748 A JP2007340748 A JP 2007340748A JP 2008098676 A JP2008098676 A JP 2008098676A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
laser
short pulse
fiber laser
scanning
pulse
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007340748A
Other languages
English (en)
Inventor
Gregg D Dr Sucha
ディー スーハ グレッグ
Martin E Fermann
イー ファーマン マーチン
Donald J Dr Harter
ジェー ハーター ドナルド
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
IMRA America Inc
Original Assignee
IMRA America Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by IMRA America Inc filed Critical IMRA America Inc
Publication of JP2008098676A publication Critical patent/JP2008098676A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】振動や空気の乱れ、温度変化などの環境条件の変動により生じるタイミングジッターを最小限に低減する短パルスファイバーレーザーの安定化法を提供する。
【解決手段】ファイバーレーザー210,220を外部環境から隔離する隔離ステップと、該ファイバーレーザー210,220をファイバースプール280に巻き付ける巻き付けステップと、該ファイバーレーザー210,220が該ファイバースプール280に巻き付けられたままで該ファイバーレーザー210,220を動作させる動作ステップとを有する。ファイバーレーザー210,220がファイバースプール280に巻き付けられ、外部環境から隔離されるので、環境条件の変動の影響を受けることがなく安定化される。
【選択図】図4

Description

本発明は、短パルスレーザーの技術分野に属し、特にレーザー安定化法と装置、レーザーのタイミングジッター減少法と装置、及びレーザーの出力制御法と装置に属する。本発明は、タイミング校正を高精度(すなわちサブピコ秒)に行うのに有用であり、時間的走査方法や高速走査レーザー装置に対しても有用である。分けても本発明を適用した高速走査レーザー装置は、コリレーターやレンジング、三次元イメージング、コンターリング、トモグラフィー及び光学時間領域レフレクトメトリー(OTDR)を含む他の形式のポンプ・プローブデバイスにおいて、機械的な走査遅延アームの必要性をなくする。
超高速レーザー発振器は、今のところ、反復周波数が5MHzから1GHz程度までの範囲で、ナノジュールレベルのパルスエネルギーで10fs(フェムト秒)のオーダーのパルス幅(のレーザー)を発生する能力があることが知られている。この様な短パルスは、タイムゲーティングや度量衡学を含む多くの応用に使用されている。このような短光パルスの応用の多くにおいては、光パルスのワンセットが他の光パルスのワンセットに対して遅れていることが必要である。ここにおいては、時間遅れは非常に高精度であることが必要であり、例えば10fsのオーダーの精度であることが必要である。短パルスの時間遅れは、生物学的又は医学的なイメージングや、高速光検出及び光サンプリング、光時間領域反射率計、並びに度量衡学などの応用で、多く使用されている。光パルスの遅延及び走査(スキャニング)のための通常の方法は、光パルスを鏡から反射すると共に、この鏡を何らかの機械的な手段で物理的に距離Dだけ動かすことである。距離Dは、遅延時間ΔTと、真空中では3.0×108 m/sの光速との積で定義される。すなわち、
D=c/2×ΔT 又は D(cm)=15×ΔT(ns)
この種の遅延は、ここでは「物理的遅延」と呼ぶことにする。同様に、走査というのは、ここでは二つの光パルスの間の到着時刻の差のシステマティックな変動を指すものとする。鏡の精密な位置決め及び走査のために、すでに様々な方法やデバイスが開発されている。例えば以下のようなものがある:
・ボイスコイル型デバイス(シェーカー)(例えば、非特許文献1参照)
・回転鏡対(例えば、非特許文献2参照)
・ステップモーターを採用しているリニアートランスレーター(多くのベンダーから商品化されている)
・ガルバノメーターを採用しているリニアートランスレーター(例えば、非特許文献3参照)
・可調整群遅延(アジャスタブル・グループ・ディレイ)を使用している他のタイプの物理的遅延には、以下のようなものがある。
・走査ガルバノメーターを採用しているフェムト秒パルスシェーパー(FPS)(例えば、非特許文献4−5参照)
・回転ガラスブロック
物理的遅延方法には数々の短所があるが、その最たるものは長い遅延が必要な場合には広い場所をとってしまうことである。例えば、10ns(ナノ秒)の遅延を得るためには、5フィートの鏡の移動が必要である。その他にもまた、物理的な制約や短所がある。
長い遅延が使用されているときには、ミスアラインメントやピント外れは、計測を歪ませる。コーナーキューブ反射器を使用すると、ミスアラインメントの問題は軽減されるが、ピント外れの問題は軽減されない。このピント外れの影響は、走査振幅が光ビームの共焦点パラメーターのかなりの部分に相当するときに起きやすい。10nsの時間遅れは、10フィート(約3m)の自由空間での伝搬を必要とする。それゆえ、ピント外れの影響を最小限に抑えるためには、共焦点パラメーター(ZR )はおおよそこの値(10フィート)の10倍、すなわちZR =30mでなくてはならない。このため、1550nmの波長では12mmのビーム半径(wo )が要求される。これでは多くの場合に非現実的に大きいものになってしまう。
鏡を大きく移動させることの必要性は、遅延線を何度も通過すること(マルチパッシング)により、低減される。(例えば、遅延線のダブルパッシングによれば、必要とされる鏡の移動距離を半減させることができる。)しかしながら、これによっては、ピント外れの問題は軽減されない。マルチパッシングでは、アラインメント作業がより複雑になり、光学的な損失が増えるといった独自の問題が生じてしまう。
しかし、走査率(スキャニングレート)及び走査周波数に関する別の制限は、同時に解決することができる。進行中の計測の「リアルタイム」ディスプレイを得るために、素早く(30Hzより上で)走査する間に平均して信号を送ることが、多くの場合望ましい。それでも、このように高い走査周波数では、走査範囲は限られてしまう。これまでに達成された走査範囲の最高記録は、走査FPS法を用い、100Hzのレート(走査率)で100ps(ピコ秒)である。走査範囲及び又は走査周波数をこれ以上いくらかでも増加させると、高レベルの振動が発生してしまい、レーザーの作動が成り立たなくなってしまう可能性がある。回転しているガラスブロックは、この振動問題を防ぎ、より高い走査速度を出す能力をもっているが、走査範囲を全く調整することができない。さらに、これら(回転ガラスブロック)は、群速度の分散の変動をもたらすので、100fs未満の幅のパルスに使用するのは不適当である。
物理的遅延に加えて、機械的な動きを全く必要としない時間的な走査方法が導入されている。例えば、以下のようなものがある。
・自由走査レーザー(例えば、非特許文献6−9参照)
・分散要素として音響光学デフレクター(偏向器)を採用しているステップミラー遅延線(例えば、非特許文献10参照)
これらの非機械的な方法によれば、とりわけ高速走査が可能である。これらの自由走査レーザーでは、レーザーの反復周期全体にわたるスパン(幅)が得られる。例えば、図1に示す公知の自由走査レーザーシステムは、互いに異なるキャビティ長をもっているマスターレーザー10及びスレーブレーザー20を有し、両者10,20は互いに異なる反復周波数ν1 及びν2 でパルス列を生成する。その走査周波数は、周波数差Δν=ν1 −ν2 に等しいので、スレーブレーザー20のキャビティ長を所定の長さに調整することにより所望の値に設定される。相関器(コリレーター)40は、二つのレーザーの間の相互相関から信号を生成する。これからこの二つのレーザーの間のタイミングに関する情報が得られ、データ取得電子装置50にトリガー信号が与えられる。例えば、Kafka et al.によれば、二つの独立なモードロック・チタン:サファイア・レーザー、つまりマスターレーザー10及びスレーブレーザー20(それぞれの公称反復率は80MHz)が、(80MHz程度の)互いに異なる反復周波数をもつように設定された。反復周波数のオフセットに起因して、おおよそ100kHzのオフセット周波数Δνで、互いを通して走査しあった。このオフセット周波数は、ローカルRFオシレーターに対して安定化され得る。レーザー反復率が80MHz付近であったから、総走査範囲は約13nsであった。それゆえ、機械的に動く遅延線を全く使用することなく、時間走査が達成された。タイミングの較正は、非線形結晶(例えば相関器40)の中へ鏡30から反射された二つのレーザービームの相互相関により達成された。結果として得られた信号は、トリガーデータ取得ユニット50(例えばオシロスコープ)へ送られて使用された。レーザー10,20からのレーザービーム出力もまた、別の鏡60で反射され、レーザービームを使用した所望の計測や実験を行う計測装置70により受信される。
この技術の最大の欠点は、次の二つの理由によりデータ取得時間が極めて長くかかることである:
1.固定された走査範囲:走査範囲が、レーザーの反復周波数(すなわちラウンドトリップタイム)の逆数に固定されている。
2.無駄時間:13nsのパルス空間の全部の代わりに、100psだけとか10psだけとかに関心が流れがちである。それゆえ、10μs(マイクロ秒)ある走査時間の内、ほんの1%(又は0.1%)しか活用されておらず、残りの99%(99.9%)は「無駄時間」である。そのため、データ取得時間が100倍とか1000倍とかに増大する。
Kafka et al.は、これらの制限に言及しており、もっと高い反復率(例えばνo =1GHz)のレーザーを用いればこれを部分的に回避することができると示唆している。しかしながら、たいへん多様な走査範囲が要求される多くの応用のためには、この解決策は受け入れ難い。例えば、半導体のポンププローブ計測は、しばしば多種多様な時間範囲にわたって行われる。半導体のキャリヤー(すなわち電子及び正孔)の寿命は数ナノ秒のオーダーであり、1GHzのレーザーは全く受け入れることができない。なぜなら、次のパルスが届くときにも、以前のレーザーパルスによる残留キャリヤーが依然として存在しているからである。それでも同時に、極端に高速なダイナミックスを見るために、もっと狭い時間スケールにズームインすることが望ましいことも、しばしばある。それゆえ、自由走査レーザー技術には、多くの応用で要求される走査範囲の選定の柔軟性が欠けている。極端に長い取得時間がかからずに広い時間的なダイナミックレンジを得るための方法は、タイミング調整を粗くも細かくもできる柔軟性をもつことである。
関連する研究で、レーザーが能動的にモード同期している場合にも受動的にモード同期している場合にも、或いは受動モードロックレーザーと能動モードロックレーザーとの組み合わせの場合にも、二つのモードロックレーザーの間でタイミングを安定化させるために、数種類の方法が使用されてきた。同期化のために使用された方法は、大きく分けて(1)受動光学的方法と(2)電子的安定化との二つのタイプに分かれる。最も高い同期精度は、二つのレーザーを光学効果を介して干渉させる受動光学的方法によって達成される(例えば、非特許文献11−14参照)。これらの光学効果(例えば相互位相変調等)は、一パルス幅(100フェムト秒未満)以下に同期される二つのレーザー間での強固なモード同期を発生させる。これらは最も正確な同期化をもたらすものの、レーザー間の時間遅れは強固に固定されている。そのため、これらの間の時間遅れを走査するためには、通常の物理的な走査遅延方法を使用せざるを得ない。
単純なRF位相検知を使用した電子的な安定化によれば、相対的な時間遅れを調整する上で最も柔軟性が得られるが、しかし現時点ではこれらのシステムは、2〜3ピコ秒よりも良好なタイミングの正確さを維持することができない。このようなシステムは、外部の参照周波数に合わせてTi:サファイア・レーザーを安定化させたり、二つのモードロックTi:サファイア・レーザーの同期を取ったりするために、市販されている(スペクトラフィジックス Lok-to-Clock/TM システム)。パルス光学位相同期ループ(POPLL)を使用すれば、100フェムト秒よりも良好な安定化が達成される。これはハイブリッド光学電子的方法であって、ディジャーリ等の文献(例えば、非特許文献15参照)に開示されている。同文献では、電子安定化回路が、光学的相互相関器からのタイミング誤差信号をもたらす。しかしながら、この方法は、受動的光学方法としての同じタイミング調整の同期(ロック)を被っている。タイミングの変更は、一つのパルス幅未満でのみ可能である。それゆえ、POPLL法を使用するに際して、一つのパルス幅より少しでも大きく相対パルスタイミングを変更したい場合には、一つのレーザービームの中にある種の物理的な遅延線を挿入することが必要になるであろう。
もしもレーザー固有のタイミングジッターが低減されるのであれば、RF法によるタイミング安定化の性能を向上させることができるであろう。二つのレーザーができる限り同一の環境条件に置かれることにより、固有のレーザージッターのある程度の低減が可能である。スティッキーパルス・レーザーは、Dykaar et al. に開示されているが、Ti:サファイア・レーザー結晶の空間的に分かれている二つの領域をポンピングするために、空間的に分割されたレーザービームを採用している。これには、二つの分割されているレーザーが、エンドミラーを除いて同じポンプレーザー、レーザー結晶、空気の空間、及びその他のキャビティ内の要素のほとんどを共有していることが不可欠である。このようにすれば、二つのレーザーは、同じ温度変動、ポンプレーザーのノイズ、及び擾乱を経験するので、反復率のジッターにおける差異が最低限に抑制される。こうすれば、たとえ二つのレーザー間での光学的干渉が弱くても、複数のパルスを一緒に同期(ロック)することができる。「環境的カップリング」の一般的な原則は、モードロック・ファイバーレーザーを含む他の形式のレーザーにも適用可能である。しかしながら、Dykaar et al. の目的は二つのレーザーを一緒にロックすることであり、本発明の目的とするところでは好ましくないことに注意すべきである。なぜならば、この時間遅れは走査できないからである。すなわち、前述のスティッキーパルス・レーザーの二つのカップリングされたレーザーからのタイミングパルスは、光学的カップリングを通して一緒にロックされるものであり、独立に制御することはできないからである。
R. F. Fork and F. A. Beiser, APPL Opt. 17, 3534(1978) Z. A. Yaza and N. M. Amer, Opt. Comm., 36, 406(1981) D. C. Edelstein, R. B. Romney, and M. Scheuermann, Rev. Sci, Instrum. 62, 579(1990) K. F. Kwong, D. Yankelevich, K. C. Chu, J. P. Heritage, and A. Denes; "400-Hz mechanical scanning optical delay line" Opt. Lett. 18, (7) 558(1993) K. C. Chu, K. Liu, J. P. Heritage, A. Denes, Conference on Laser and Electro-Optics, OSA Tech. Digest Series, Vol.8, 1994, paper CThI23. A.Black, R.B.Apte, and D.M.Bloom, Rev.Sci, Instrum. 63,3191(1992) K.S.Giboney, S.T.Allen, M.J.W.Redwell, and J.E.Bowers; "Picosecond Measurements by Free-Running Electro-Optic Sampling." IEEE Photon.Tech.Lett., pp.1353-5. Nov.1994 J.D.Kafka, J.W.Pieterse, and M.L.Watts; "Two-color subpicosecond optical sampling technique." Opt.Lett., 17, pp.1286-9, Sept.15, 1992 M.H.Ober, G.Sucha, and M.E.Fermann; "Controllable dual- wavelength operation of a Femtosecond neodium fiber laser." opt.Lett.20, p.195-7, Jan.15, 1995 R.payaket, S.Hunter, J.E.Ford, S.Esener; "Programmable ultrashort optical pulse delay using an acousto-optic deflector." Appl.Opt., 34, No.8, pp.1445-1453, Mar.10, 1995 J.M.Evans, D.E.Spence, D.Burns, and W.Sibbet; "Dual- wavelength selfmode-locked Ti:sapphire lasers." Opt.Lett., 13, pp.1074-7, Jul.1,1993 M.R.X.de Barros and P.C.Becker; "Two-color synchronously mode-locked femtosecond Ti:sapphire laser." Opt.Lett., 18, pp.631-3, Apr.15, 1993 D.R.Dykaar and S.B.Darak; "Stickly pulses:two-color cross-mode-locked femtosecond operation of a single Ti:sapphire laser." Opt.Lett., 18, pp.634-7, Apr.15, 1993 Z.Zhang and T.Yagi, "Dual-wavelength synchronous operation of a mode-locked Ti:sapphire laser based on self-spectrum splitting." Opt. Lett., 18, pp.2126-8, Dec.15, 1993 S.P.Dijaili, J.S.Smith, and A.Dienes, "Timing synchronization of a pasively mode-locked dye laser using a pulsed optical phase locked loop" Appl.Phisics.Lett., 55, pp.418-420, Jul.1989
本発明の第1の課題は、例えば「マスター」レーザー及び「スレーブ」レーザーのように、光学要素の大きな機械的な動きを必要とすることなく、パルス反復周期TR の連続していかようにも選択されるサブインターバルでの操作を可能とする、二つのモードロックレーザーの間での時間遅れを急速に走査(スキャン)するための方法及び装置を提供することである。
本発明の第2の課題は、振動や空気の乱れ、温度変化などの環境条件の変動により生じるタイミングジッターを、最小限に低減する方法及び装置を提供することである。
本発明の第3の課題は、上記走査方法及び上記走査方法の結合に使用されるように、サブピコ秒の精度をもって走査時間スケールを較正する方法を提供することである。
例えば、一つのレーザー(例えばマスターレーザー)からのパルスを、部分反射する光学要素のシリーズを通して別のレーザー(例えばスレーブレーザー)からの通過パルスによって得られるパルスシーケンスに対する相互相関を取る(クロスコリレートする)ために、本発明は使用することができる。
第1の課題を解決するための手段は、二つのレーザー間での平均タイミング(位相)を連続的にモニターするための電子的フィードバック回路を使用しているが、一つのレーザー(例えばスレーブレーザー)のキャビティ長をミクロン単位で適正に調整するようになっている。なお、データ取得のデューティーサイクルが大きく改善されるように、反復周期のいくつかのサブインターバルにわたって、自由走査法とは異なり相対時間遅れが走査されるよう、二つのレーザーのRF安定化を改造(モディファイ)することが望ましい。
第2の課題を解決するための手段は、二つのレーザーを独立に制御できるようにしながら、同一の容器内で同一の要素を使用して、同じポンプレーザーでポンピングされるように、両方のレーザーを構成する。とりわけファイバーレーザーの場合には、同じ軸(スプール)に二つのファイバーが一緒に巻き付けられる。
同じスプールに二つのファイバーを巻き付け、遮音して同じ容器内に構成することで、
振動や空気の乱れ、温度変化などの環境条件の変動により生じるタイミングジッターを、
最小限に低減することができる。
[高速走査法の原理]
本発明は、自由走査レーザーシステムと同様に、例えば図2(a)に示すようにほとんど同一の反復率をもつマスターレーザー110及びスレーブレーザー120の二つのレーザーから構成されている。しかしながら自由走査レーザーシステムとは異なって、マスターレーザー110及びスレーブレーザー120からのパルス出力は、互いを通して完全に走査することはできないようになっている。むしろ、波長λ1をもつマスターレーザー110は、一定の反復率ν1 に保持されているか、自発的にドリフトするのが容認されている一方で、スレーブレーザー120の反復周波数ν2 は、マスターレーザー110の反復率の付近を動揺(ディザー)させられている。この反復率の動揺は、例えば30Hzから1kHzまでの範囲の「高」周波でスレーブレーザー120のキャビティ長(L2 )を変えることによって達成されている。その一方で、その「平均的」反復率は、走査周波数未満の帯域幅の「低速」位相同期ループ(PLL)回路を含む安定器ユニット130により、マスターレーザー110の反復率に合わせて追従ないし制御されている。マスターレーザー110とスレーブレーザー120との間の平均的な時間遅れは、スレーブレーザー120のキャビティ長を制御する安定器ユニット130により、一定に保持されている。一方、二つのレーザー間の瞬時の遅れを走査するために、信号発生器140からの高速動揺信号出力は、安定器ユニット130からの制御電圧出力と(合算器Σで)足し合わされている。反復周波数の追従及び動揺は、スレーブレーザー120のエンドミラーをピエゾ素子(PZT)121に取付け、周波数信号発生器140からの必須の電圧信号を(PZTに)印加することにより、実現することができる。PLL回路の帯域幅は動揺周波数未満であることが必要であり、さもないと、(スレーブレーザー120の周波数が)マスターレーザー110に追従しようとしてキャビティ長の走査を妨害してしまうであろう。
図2(b)は別の実施例を示しており、この実施例ではマスターレーザー110もPZT111を装置していて、両レーザー110,120が共にPZT111,121によりそれぞれ制御されるエンドミラーを有している。この場合には、マスターレーザー110が走査周波数で動揺させられており、スレーブレーザー120はマスターレーザー110の「平均的」反復率を追従(トラック)している。マスターレーザー110のキャビティ長は信号発生器140により急速に動揺させられており、安定器ユニット130はスレーブレーザー120を所望の平均的時間遅れに固持している。
繰り返すが、PLL回路がタイミング走査と干渉しないために、PLL回路の帯域幅を動揺周波数が凌駕していることが必要である。
キャビティ長の走査がどう作用するかを説明する一例として、スレーブレーザー120のPZT121に対して走査周波数fS の矩形波を印加する。すると、キャビティ長のミスマッチは、次の式(1)の時間の関数で急速に変動する:
ΔL(t)= ΔL0・ Sq(fS,t) ……(1)
ここで、ΔL0 は矩形波の振幅であり、Sq(x)は矩形波関数である。これにより、走査サイクルの半分毎に正負の線形走査遅れが生じる(三角波)。安定している場合には、ΔLだけの一定のキャビティ長のミスマッチが、次の式(2)のオフセット周波数を生じる:
Δν= −cΔL/(2L2) ……(2a)
又は書き改めて、
Δν/ν= −ΔL/L ……(2b)
しかしながら、高速走査法においては、キャビティ長は十分に高い周波数で動揺させられるので、(両レーザーの)パルスは互いにすれ違う可能性はない。すなわち、走査周波数及び振幅は、次の式(3)の条件を満たす:
S>>Δν ……(3a)
又は、
S>> −cΔL/(2L2) ……(3b)
この場合には、時間変動する時間遅れTD(t)は、次の式(4)に示すように、キャビティ長のミスマッチの時間積分に比例するであろう:
D(t)= (2/cT1)∫ΔL(t')dt' ……(4a)
又は、
D(t)= (1/L)∫ΔL(t')dt' ……(4b)
ここで、cは真空中の光速であり、積分期間は走査サイクルのオーダーにある。図3(a)は矩形波変調の例を示しており、同図では1kHzの矩形波が二つのレーザーの内一つのPZTに印加されている。図3(a)〜(c)に示されている波形は、時間に依存しているキャビティ長のミスマッチΔL(t) 及びその結果として生じる瞬時の時間遅れTD(t)を、各種の動揺波形がスレーブレーザー120のPZTに印加される際の時間の関数として示している。瞬時の反復率ν2 は、ν1 の周辺を動揺しており、相対的な時間遅れは時間に関して線形に前後に走査している。合計走査範囲は基本反復率ν1 又は走査周波数fs に依存しており、走査範囲は次の式(5)に従う:
max= (ΔL/2L)・(1/fS) ……(5a)
又はオフセット周波数で表現して、
max= (Δν/2ν)・(1/fS) ……(5a)
走査率は、(ミリ秒/ミリ秒)の単位で次の式(6)により与えられる:
scan= 2ΔLν/c ……(6a)
又は、
scan= ΔL/L ……(6b)
或いは、研究室で使うのに便利な単位で、
scan= 109ΔL/L(ps/ms) ……(6c)
「サンプリンググリッド」は、次の式(7)のラウンドトリップあたりの時間的なパルス進みから与えられる:
δts= 2ΔL/c ……(7)
走査速度パラメーターを、1秒あたりの空間的なパルスの進みの総計として、次の式(8)に示すように定義することができる:
νscan= (2ΔL(t))/TR=(ΔL(t))/L・c……(8)
走査率、サンプリンググリッド、及び走査速度の概念は、自由走査(フリー・スキャン)レーザーにもまた適用可能であることに注意されたい。
一例を挙げると、公称キャビティ長がL=1.5mのレーザー一対により、ν1 =100MHzが得られる。もしΔL=15μmの走査振幅を仮定すると、Δν=1kHzのオフセット周波数、Rscan=104 ps/ms、及びδtg =100fsが結果として得られる。もしキャビティ長が動揺させられないと、フルパルス・ウォークオフが1msで起こる。したがって、もし15μmの走査振幅が使用されると、トータル・ウォークオフを防ぐためにはfs >1kHzの走査周波数が必要である。
表1〜3には、10MHz、100MHz、及び1GHzの反復率νをもつモードロックレーザーについて、いくつかの可能な走査範囲、走査率、及び各種走査速度パラメーターの関数としてのサンプリンググリッド・インターバルが記載されている。表3から、1GHzのレーザーについて、実際的な走査条件の大半においてトータル・ウォークオフが生じていることが分かり、それゆえに時間遅れは1ナノ秒を超えることができない。したがって、反復率が1GHz未満のレーザーでは、本発明の動揺方法が自由走査レーザー方法として望ましい。
Figure 2008098676
Figure 2008098676
Figure 2008098676
対称形の矩形波が唯一の望ましい方法と言うわけではない。図3(b)及び図3(c)は、矩形波変調に加えて別の二つの動揺方法(スキーム)を示している。単方向の走査を得るために、図3(b)に示すように方形波(非対称な矩形波)を使用することもできる。こうすれば、後方への走査の無用の無駄時間を低減することができるであろう。無指向性走査が市販のファブリ・ペロー干渉計で使用されているとはい、図3(b)に示す方形波によるよりも、むしろ三角波で(無指向性走査を)実行している。
矩形波及び方形波の前縁及び後縁での電圧の急変は、機械的なショックとPZTの浮き上がりを起こしかねず、それゆえ異なる走査の線形時間スケールを歪ませることになる。これらの影響を低減するような信号条件の何らかのタイプ(例えば遷移のスムージング)が望ましい。或いは、図3(c)に示すように、正弦波電圧をPZTに印加しても良い。正弦波走査の利点は、矩形波や方形波にある鋭い電圧遷移に関連して起こるショックや浮き上がりを避けることができることである。また、誘起されたキャビティ長のミスマッチに反応しようとするPLLによるタイミングの歪みをもさけることができる。すなわち、単純なアナログ安定化回路にとって、たとえ走査時間遅れに対してなにがしかの反応をこの安定器がしても、正弦波駆動電圧は正弦波的な走査特性をもたらす。これらの理由により、正弦波走査が実施上最も単純である。しかしながら、正弦波走査では、図3(b)に示すように単方向の走査を生じる方形波のもつ利点は得られない。それゆえ、単純さが求められる度合いに応じて、正弦波走査でPZTを駆動するのが望ましくなる。
表1〜3中の走査速度パラメーターは、PZTの対称形の矩形波変調に基づいて得られている。正弦波走査では、走査範囲及び走査率が若干変わることであろう。時間に依存する遅れは依然として前述の式(4)で求められるが、キャビティ長の変調は次の式(9)により与えられる:
ΔL(t)= ΔL0・cos(2πfSt) ……(9)
その際の遅れは、次の式(10)で与えられる:
D(t)= (ΔL0/L)・(1/2πfS)・sin(2πfSt)……(10)
以上のようにして正弦波走査(の特性)が求まる。ただし、PZTの位置に対して時間遅れは90度になる。この場合、走査特性は線形ではなく、ある種のスケール補正が必要であることに注意されたい。
ここに記載されているレーザー走査技術は一対のモードロック・ファイバーレーザーを使用して実証されているが、この技術は前述の二つの実施例に限定されるものではなく、むしろソリッドステート、ダイオードレーザー、及びダイレーザーを含むモードロックレーザーの多くのタイプに適用可能である。
[走査ファイバーレーザーシステム]
図4に、二つのファイバーレーザーすなわちマスターレーザー210及びスレーブレーザー220を採用している本発明の好ましい実施例を示す。
両レーザー210,220は、同じレーザーダイオードLD 250によってポンピングされており、同レーザーダイオードのパワーはスプリッターSPL 206により二つのレーザーへと分割されている。マスターレーザー210は、ファラデー回転子(旋光器)ミラーFRM 215によって終端が形成されている。一方、スレーブレーザー220は、光学アセンブリPZT−FRM 225によって終端が形成されている。これはFRM 215とほぼ同じであるが、ミラーがPZT上に取り付けられている点が異なっている。二つのファイバーレーザー210,220は、同一のモード同期光学系(すなわち波長板λ/4,λ/2、ファラデー回転子FR、及び偏光ビームスプリッタPBS)を構成要素としている。レーザーモード同期は、過飽和吸収体SAによって始動される。
両レーザー210,220の低雑音出力ポートからの出力パルスは、それぞれフォトダイオードPD−1,PD−2よって検知される。両フォトダイオードは、駆動安定器130によって使用される。
両ファイバーレーザー210,220は、ν0 =4.629MHzの公称反復率をもっている。これらは、ファーマン等の文献( M.E.Ferman, L.M.Yang, M.L.Stock, and M.J.Andrejco, "Enviromentally stable Kerr-type mode-locked erbium fiber lazer producing 360-fs pulses." Opt.Lett., 10, pp.43-5, Jan.1994)に開示されている。同文献では、モード同期機構として非線形偏光エヴォルーション(NPE)が使用されている。両レーザー210,220は、ファラデー回転子ミラーを除いて、同一の構成要素をもっている。すなわち、マスターレーザー210は、シングルパッケージのファラデー回転子ミラーFRM 215で終端を形成されている。一方、スレーブレーザー220は、FRMと同一ではあるがミラーがPZT上に取り付けられている分離した構成要素であるアセンブリPZT−FRM 225によって終端が形成されている。ここで使用されているPZTは、全移動行程が40ミクロンのものである。両レーザー210,220は、同じファイバースプール280に一緒に巻き付けられることにより、熱的及び力学的にカップリングされている(同一状態に保たれている)。そのうえ、両レーザー210,220は、同じポンプレーザーダイオードLD 205によってポンピングされているので、二つのレーザー内のポンプノイズは相関している。両レーザー210,220間の相対的なタイミングは、PLL回路を含む安定器130によって設定され安定化されている。ひとたび安定器130が稼働し両レーザー210,220が適正な遅れに設定されると、走査させるようにスレーブレーザー220のPZTに動揺信号が印加される。動揺信号は、信号発生器135により印加され、PZTを駆動するための信号を生成するために、安定器130からの安定化信号出力に加えられる。或いは、安定器130の出力が安定化信号及び動揺信号の両方を含んでいるようにして、安定器130から動揺信号を発生させても良い。いずれのレーザー210,220も、キャビティ内の偏光器に関連した二つの出力ポートをそれぞれもっている。これら二つの出力ポートは、図4中に各P
BSの二つの出力として図示されている。これら二つのレーザー出力は、互いに極めて異なった雑音特性をもっている。すなわち、一方はいくぶん雑音があり、他方はほとんど雑音がない。これは、この種のレーザーに起こることが知られている(NPEに起因する)光学限界効果の故である。安定化回路130への入力を生成するフォトダイオードPD−1,PD−2によって検出されのは、この静かな出力ビームである。安定化回路130への入力として静かな出力ビームを使うことは、タイミングジッターを最小限に抑制する助けになる。
正弦波時間走査は、このツインファイバーレーザーシステムを使用した本発明者らによって初めて達成された。図5は、図4に示した二つのファイバーレーザー210,220の間の相互相関走査(クロスコリレーション・スキャン)の二サイクルを示している。この相互相関走査は、平均化なしの単発のデータ取得により収集されたデータである。より詳しくは、走査周波数106Hz、走査範囲200ピコ秒における本発明の動揺方法により走査させられている二つのファイバーレーザー210,220間の相互相関信号を、図5は示している。ここで、図5はフルに二サイクル分の走査を図示しており、前進走査(フォウォードスキャン)及び後退走査(バックウォードスキャン)を示している。併せて、PZT制御器に印加されている正弦波電圧と、矩形波として現れている信号発生器135のトリガー出力とが図示されている。図5のプロットは、二つのレーザー210,220からのパルスを、非線形結晶すなわちベータバリウム・ボレート(BBO)結晶内での和周波混合(サム・フリーケンシー・ミキシング)を使用した変形相互相関器を通して得られたものである。
走査の機械的な遅延(遅れ、ディレイ)は、公知の相関器(コリレーター)の一枝(ワンアーム)の中で使用される。しかしながら、本発明の相関器では、機械的な遅延は使用されていない。全ての走査は、前述のレーザー動揺法によって行われている。また図5には、PZT制御器に印加されている正弦波電圧と、信号発生器135からのトリガー出力とが図示されている。式(9)及び式(10)から予期できるように、グラフ上にマークされたPZTの移動端は、印加された正弦波から90度だけ位相が外れていることに留意されたい。走査範囲は、走査周波数100Hzで約200ピコ秒である。これは、反復率100Hzでの3cmの物理的な遅延と等価である。しかし、このツインレーザーシステムでは、これと同じ走査範囲が、スレーブレーザー220のPZTをほんの2〜3ミクロンだけ動かすことにより達成されている。
この相互相関法は、二つのレーザー210,220間のタイミングジッターを計測するために使用された。タイミングの較正は、20ピコ秒だけ分離されたパルス列を作り出す厚さ2mmのガラスエタロンを相関器の一枝に挿置することにより、行われている。これらのパルス列は、図5中の走査上で明瞭に視認できる。図6は、同じ走査を引き伸ばした時間スケールで図示している。同図から、2mmのガラスエタロンを相関器の一枝に挿置することによって生成されたごく近傍に間隔を空けている二つのパルス(一つのレーザーはサテライトパルスをもっている)と、この一対のパルスの複製とが見て取れる。この一対のパルスは、エタロンの光学的厚さに対応している20ピコ秒だけ、主たる(メイン)パルス対(つい)から離れている。ここで、パルス幅は1ピコ秒のオーダーにあり、またサテライトパルスは2〜3ピコ秒だけメインパルスから離れて存在している。したがって、RMSタイミングジッターは、±20ピコ秒までの状況によるタイミングの偏差を伴って、ΔTj =5ピコ秒と測定された。タイミングジッターのデータは図7に示されており、同図では各データポイントが、走査率106Hzでの各レーザー210,220の走査間の相対的な時間遅れを表している。この計測されたジッターは、安定器130の電子的PLL回路の精度の限界を例示していると共に、これだけのジッターにもかかわらず如何に精密にタイミングの情報が得られるかをも例示している。もし走査が十分に急速に行われるのであれば、走査時間内の相対的なタイミングジッターは、極めて小さくすることができる。そして、例えばレーザーパルスをエタロンに通すことにより、もし安定なタイミングパルス列が得られるのであれば、走査時間の間のジッターさえも正確に知ることができる。このようにして、レーザーに数ピコ秒のジッターがありながらも、走査特性はサブピコ秒の精度で明らかになる。
一緒にパッケージ(コ・パッケージング)された複数のレーザーの効用は、重大である。以前に本発明者により組み立てられたあまりうまくないデュアルレーザーシステムでは、同様の一対のレーザーが異なる基台(ブレッドボード)上に別々に組み上げられており、異なるレーザーによってポンピングされていた。安定器を使用しても、PZTの移動範囲の40ミクロンをキャビティ長のミスマッチが超える前に、そのスレーブレーザーがマスターレーザーに追随していたのは、わずかに30分程度であった。この(ミスマッチが40ミクロンを超える)時点で、追随(トラッキング)は不可能となった。それゆえ、正常な室温の下にあっても、5MHzレーザーの一対の間でのキャビティ長のミスマッチのドリフトは、大半のPZTの可動範囲である40ミクロンを容易に超えてしまった。
これとは対称的に、本発明の一緒にパッケージされたシステムは、無期限に追従することができるので、正常な室内状態の下でPZTによる40ミクロンの制限内にキャビティ長のミスマッチが見事に留まっていることを示している。周波数ドリフトの絶対値の計測と相対値の計測によれば、二つのレーザー210,220の間の相対的な周波数ドリフトは、一つのレーザーの絶対的なドリフトの7分の1程度に小さいことが分かる。相対的なドリフトは、製作上で二つのレーザーを真に同一に作ることにより、さらに小さく改善することができる。これは、両レーザー210,220の終端を同一のPZT−FRMアセンブリで形成することによるか、又は両レーザー210,220の終端を同一のFRMパッケージで形成し、スレーブレーザー220のキャビティ長をファイバー・ストレッチャーで変更することにより、達成することができる。
相対的タイミングドリフト及び絶対的タイミングドリフトの両方をさらに低減するには、ファイバースプール280及び他の構成要素を遮音して、同じ容器内に二つのレーザーを構成すると良い。こうすると遮音されるし、温度も制御される。つまるところ、前述の各方法の全てを用いて、相対的タイミングジッターは量子限界にまで達した( H.A.Haus and A.Mecozzi, "Noise of mode-locked lasers," IEEE J. Quantum Electron., QE-29, pp.983-996, March 0993)。量子限界によるタイミングジッターは、分散(ディスパーション)の増大に伴って増大するので、分散ゼロの波長の付近でモードロックレーザーを作動させることにより、ジッターはさらに低減されうるであろう。
モードロックレーザーのエンドミラーを動揺させることにより、ミラーのミスアラインメントとピント外れとのせいで、走査周波数における振幅の変動が誘起される。ミスアラインメントの作用は、角度の感度を減らすようにPZTミラーに焦点を結ばせることにより、また、市販のファブリペロー干渉計でできるがアラインメントを保つように三点ミラー走査PZTを用いることによって、最小化される。ピント外れの影響は、PZTミラーのビームウエスト(ビーム・ウエスト・インシデント)の共焦点パラメーターに対し、走査振幅が許容できる程に小さいときに、発生しうる。ファイバーレーザーにおいて、このピント外れは、ファイバー内に戻ってくるビームの結合効率(カップリング・エフェシエンシー)の減少を起こし、今度はパワーの変動を起こす。それゆえ、PZTミラーの焦点深度が浅いこと(タイト・フォーカシング)は、望ましくないことである。ビームのコリメーションの賢明な選定により、このピント外れの影響を低減することができる。例えば、もし40ミクロンの走査範囲をもつPZTを使用すると、共焦点パラメーターは少なくとも2〜3mmは必要であろう。そこで、ZR がPZTミラーでのビーム・ウエストの共焦点パラメーターであるとして、(ΔL/ZR)2の量がおおよそ10-4であるというのはかなり小さい。この量が小さければ、レーザーの振幅変調はこれに伴って小さい。
たとえもしミラーの軽度のミスアラインメントが走査中の振幅にいくらかの変動をもたらしたとしても、ファイバーの導波特性(ガイディング・プロパティー)の故に、ビーム指向性(ポインティング)の安定性はいささかも減退しない。しかしながら、ソリッドステート・モードロックレーザーを使用した場合には、もし出力ビームの偏差の発生を防止するように計測が行われないならば、いくらかの出力ビームの偏差が生じる可能性がある。
変形態様のレーザーシステムとして、同一のFRMで両レーザーの終端が形成されていても良く、またキャビティ長がPZTファイバー・ストレッチャーにより調整されるようになっていても良い。このようなピエゾセラミックチューブ・アクチュエータ(PiT 40×18×1)は、ドイツのピエゾメカニック株式会社により製造されている。
[タイミング較正]
PLL回路安定器130が相対的時間遅れの平均値を安定化していても、この位置は数ピコ秒だけ変動することがあり、それゆえ、例えば100フェムト秒程度の所望の精度をもつタイミング信号で、データ取得ユニット50が適正にトリガーされることが補償されていることが必要である。このような信号は、BBOのような非線形結晶内での非線形光学ミキシングを採用している相互干渉器から得られる。このようなことは、前述の実施例で行われており、Kafka et al.のようなその他の人によっても行われている。走査時間遅れのためにミラーシェーカーを使用する場合にも、この種のトリガリングは、度量衡計測において高精度を得るためにも必須であることが示されている。
しかしながら、これは必要条件ではあっても十分条件ではない。ジッターの計測によれば、タイミングの変動は、走査と走査との間で発生するばかりではなく、単一の走査の間にも生じていることが明らかになっている。すなわち、走査率Rscanは、走査と走査の間で変化するばかりではなく、走査サイクルの中でさえも変動する。それゆえ、走査の作動が信号平均化よりも「前に」起こることが必須である。したがって、相関器からの走査毎に「少なくとも」二つのタイミングパルスがあることが必要である。この二つのタイミングパルスの内、一方はトリガリングのためであり、他方は時間スケール情報のためである。これを行うのに、本発明は、(振幅と時間との両方において)一様なパルス列でも非一様なパルス列でも、走査インターバルを満足することができる。このようにすれば、各走査サイクルの各々における走査インターバルに関して、タイミング情報を得ることができる。
[タイミングスケールの発生]
時間スケールの較正で重要なキーポイントは、タイミング情報を発生させるのに使用するように、光学的方法を選択することである。好ましい実施例においては、図8(a)〜(b)に示すように、多数のパルスの列を時間的に一様に生成するよう、フィネスの高いファブリペロー(FP)エタロンから単パルスを反射することにより、パルス列を生成することができる。なぜならば、このFPエタロンは「ガタガタ板」として使用されており、その中ではFPエタロン(すなわちフィネスの高いエタロン)内でパルスが何度も内部反射されるからである。ここではむしろ共振特性が使用されており、透過率はむしろ低い。
一例として二つのミラーからなるR=98%の反射率のFPエタロンを採用したとすると、その透過率はT=0.0004である。この例について今から説明する。透過したパルス列は、図8(a)に示すように、FPエタロンの通過時間により分離されている一連のパルスであり、ミラー損失及びミスアラインメントに依存している減衰率により弱まって立ち上がっている。すなわち、送信されたパルス列は、Tをエタロン表面の透過率としてT2 のファクターにより減衰する。送信されたパルス列には、パルス強度がラウンドトリップ毎にゆっくりと弱まるが、多かれ少なかれ一様性がある。パルス列中の第1の(かつ最大の)パルスは、FPエタロンに入射するパルスに比べて2500分の1に弱まっている。
図9及び図10は、表面の反射率がR=98%でありミラーの間隔が約1mmの実際にエアギャップがあるFPエタロンを通して送信されたパルス列が、ゆっくりと減衰していく様子を示している。図10は、引き伸ばした時間軸上に、17パルスをもつ単一の後退走査(バックウォード・スキャン)のプロットと、走査の終端に対応する点とを示している。これらのデータは、単に、ボイスコイル(スピーカー)上に取り付けられたリトロレフレクターを採用している通常の走査相関器の一枝に、FPエタロンを挿置することにより得られたものである。スピーカーには正弦波電圧が印加されたので、時間遅れは、いくらか正弦波的な仕方で走査されている。パルス間の時間的な間隔により、図11(a)に示すように、シェーカーミラーの走査特性が得られる。総走査範囲(トータル・スキャンレンジ)は、これらのデータから次の式(11)に従って算出される:
max=〜 (17パルス)×(6.7ピコ秒/パルス) ……(11)
図11(a)に示すデータは、予期されたように、走査特性が正確に線形ではないことを示している。線形性からの偏差を示すために、このデータは直線でフィッティングされ、そしてこのデータはこのベストフィット(の直線)から減算された。その結果を図11(b)に示すように、時間走査特性は線形性からの偏差を有する。
反射されたパルス列は、図8(b)に示すように、最初の表面反射でありパルスエネルギーの大半(すなわち98%)を含んでいるプロンプトパルスによって減少していること以外は、透過されたパルス列と同一である。この最初に反射されたパルスが強度の大半を占めているので、どのような試験的な応用や計測を行うにも便利である。このプロンプトパルスの強度は、プロンプトパルスの直後に続くパルス列の強度の2500倍であることに留意されたい。ほとんどの場合、この弱いパルス列は計測に影響することはない。
しかしながら、それでも受け入れ難い場合もあり得るであろう。
もちろん、フィネスの低いエタロンを使用することもできるが、そうすると透過されるパルス列の減衰がもっとずっと急速になり、この相関器のダイナミックレンジが限定要素になってしまう。例えば、表面の反射率がR=30%のエタロンを使用すると、各パルスが直前のパルスよりも10分の1に弱くなって急激に減衰する一連のパルスが発生する。それゆえ、ほとんどのデータ取得装置においては一度の測定で三桁のダイナミックレンジであるので、リアルタイムの較正にはたったの三個程度のパルスしか使えない。これは、図5〜7に示す相関の場合であった。例えば対数アンプを使用するなどのダイナミックレンジ圧縮スキームによって、この影響はある程度まで除去することができる。
さらに別の実施例では、FPエタロンの組み合わせを使用することができる。例えば、(カバースリップのような)薄いエタロンによれば、極めて近接したパルス(〜1ピコ秒)の対を発生させることができ、これをもっと間隔が広く(例えば20ピコ秒)よりフィネスの高いFPに送ることができるであろう。その結果、一連の20ピコ秒おきのパルス対が得られるであろう。これにより、タイミング特性に関するローカルで派生的な情報が得られる。
上記FPエタロンは、固形(ソリッド)でも空間型(エアスペースド)でも構わない。ソリッド・エタロンはもっとでこぼこでコンパクトであるが、エアスペースド・エタロンは調整可能でパルスの広がりを避けることができる。ここで、パルスの広がりは、エタロンを透過して多数回のラウンドトリップをしてきたパルスに起こる現象である。高精度を得るためには、エタロンの温度を制御することが必要である。例えば、融けたシリカの一片を透過して起こる群遅延(グループ・ディレイ)の機能的な変化は、近似的にΔl/l〜10-6℃である。それゆえ、もし1ミクロン(6フェムト秒)の精度が全長1m(6ナノ秒)の範囲で要求される場合には、エタロンの温度は1℃以内で一定にすべきである。
エアスペースド・エタロンには、温度補償取付け技術を使用して構成できる点で利点がある。したがって、ソリッド・エタロンの温度感度は低減することができ、正常な室温での作動には温度制御は必要ないかもしれない。
その他にも実施可能なものとしては、図12(a)に示すように、光ファイバー300上に形成された光反射率の異なる一連のファイバー格子310を使用するものがある。
これらの格子310は、一様にも非一様にもパルス・シーケンスを顕すように製作することができる。この場合には、間隔(スペーシング)は一様であるが、同図に示す如く5パルス毎又は10パルス毎に大きなパルスが生じる「規則的な(ルーラー)」スケールを形成するように、その振幅は非一様である。もちろん、ファイバー300内であれば所望の位置にどこにでもファイバー格子310を形成することができることは、たいへんに融通性に富んだことであり、格子310を非一様に配設することは、タイミングの曖昧さを取り除く上で有利であろう。
そのうえ、もしファイバー300の実長をパルスが通過するようにしたいのであれば、ファイバー300内での群速度分散(GVD)によってパルスが拡がってしまう。そこで、通過すべきファイバー300のGVDが適正に補償されるようなやり方で、チャープ格子310を形成しても良い。実際にも、ノーマルなチャープのない格子では反射帯域幅がほんの2nm程度しかないので、サブピコ秒のパルスに対しては不安定になってしまい、高精度の時間分解能を得ようとすればチャープ格子が必要である。中央波長800nmの100フェムト秒パルスは、半値全幅(FWHM)帯域幅が8nmである。そして波長1500nmでは、帯域幅は約30nmである。これらのパルスに対しては、チャープ格子だけが十分に広い帯域幅をもっている。
チャープ格子からのフェムト秒の反射パルスは、それらのパルス自身が拡がっておりかつチャープされていることが知られている。この場合には、図12(b)に概要を示すように、チャープの方向が互いに逆の二つのチャープ格子320,330からのパルスを連続的に反射することが必要である。ここでは、パルスは、まず最初にチャープ格子シーケンスCFGS 320から反射され、続いて反対向きにチャープされたほとんど同一のチャープ格子330から反射されるという補償スキームを使用することにより、パルスの拡大(ブロードニング)が防止されている。この順番は逆にしても(すなわちCFGの次にCFGSの順で反射されても)、同様の結果が得られる。偏光ビームスプリッタPBS 340により、また1/4波長板QWP 350によって、有効な分割(スプリッティング)及び反射がもたらされる。
この技術は、ガルバナスカス等によるファイバー内でのチャープパルス増幅に応用されて成功を収めている( A.Galvanauskas, M.E.Fermann, K.Sugden, and Bennion, "All- fiber femtosecond pulse amplification circuit using chirped Bragg gratings." Appl.Phys.Lett., 66, pp.1053-5, Feb.27, 1995 )。しかしながら、本発明のこの見地での目的は、ガルバナカス等のそれとは異なっている。彼らの研究では、チャープパルス増幅のために光パルスを非常に長い持続時間(>300ピコ秒)に引き伸ばすためと、そしてそのパルスを再び圧縮するためとに、一対の格子が使われている。本発明では、チャープされていない格子は短パルスをサポートするのに帯域幅(〜1nm)が不十分であるので、また、ファイバーの実長を横切るパルスに対してファイバーのGVDを補償する必要性がいくらか生じるであろうからという理由で、チャープ格子が使用されている。ここで、本発明のこの見地での目的は短パルスのシーケンスを発生させることであるから、パルスを引き伸ばそうという要求はない。
二つのファイバー格子は、透過にも反射にも使用可能なファイバーFPエタロンを形成するためにも使用できる。或いは、受動的光ファイバーループを使用しても良い。反射を起こせる他の構造は、ファイバー内の光ファイバーとマイクロベンドとの接合が不十分である。これらの場合には、温度制御が必要であろうし、タイミングの較正のバリエーションは前もって知ることができ数学的に補償されるであろう。
パルス列は、物理的に可能であれば、所望のパルス列が得られるように注意深く選ばれた各ミラーの反射率及び間隔により、部分的に反射する一連のミラーによってもまた、生成が可能である。単一のパルスから所望のパルス列を生じるために必要なミラーパラメーターを計算するためのアルゴリズムがすでに開発されている( V.Narayan et al., "Design of multimirror structure for hig-frequency bursts and codes of ultrashort pulses," IEEE J.Quantum Electron. QE-30, pp.1671-1680, July 1994 )。単一のパルスからパルス列を生成するためにも使用できる部分レフレクターからなる光学デバイスは、その他にも数々ある。
任意にプログラムすることができるパルス列は、パルスシェーピング分散遅延線(DDL)にレーザーパルスを通すことによって生成できる。これによれば、前述の方法よりもずっと大きな柔軟性が得られるが、しかし達成しうる最大のパルス間隔の点で限界がある。実際上の限界は、おおよそ100〜200ピコ秒である。パルス間隔をこれよりいくらかでも大きくしようとすると、物理的に大きな装置が必要になり、法外に高価なものになってしまう。
波長が1550nm付近の低い反復率(30MHz以下)のレーザーに最も有用な別の実施例は、ゲイン・セクション(例えばErドープされたファイバー)のあるファイバーループからなる再生ソリトン保存リング内に、パルス列を注入するためのものであろう。このリング内に注入されたパルス列は、ここで説明した方法を含むいろいろな方法で得られるであろう(例えば、ファブリペロー・エタロン、ファイバー格子、パルスシェーパー、その他)。このループは再生的であるので、各レーザーパルスについてダンピングすることと再注入することが必要である。これは、5MHzのレーザーでは200ナノ秒毎に起こるであろう。ダンピング及び注入は、AO(音響光学的)であってもEO(電気光学的)であっても、市販のある種の光スイッチで達成されうる。
ただし、別の実施例は、閾値(スレッショルド)又はその付近にまでバイアスされたレーザーダイオードに、単一のレーザーからの複数の短パルスを注入するためのものであろう。レーザーダイオードの複数の小面は、30%の反射率をもち、フィネスが低いFPエタロンを形成している。しかしながら、このレーザーダイオードの利得は、光パルスの「リングダウン」を阻止ないし防止するであろう。このようにして、数十のパルスからなるパルス列を得ることが可能になろう。実際に、このダイオード中での群速度分散及び利得の狭まり(ゲイン・ナローイング)は、その構造を通って多数回のラウンドトリップをするパルスを拡げてしまい、それゆえに実際に使用可能なパルスの数を制限してしまうことになろう。このデバイスは、反射にも透過にも使用することができる。
特別に細かい(サブミクロンの)較正は、その計測システムの一つのビーム内に複屈折結晶(例えば水晶)を挿入して、その結晶の常軸及び異常軸に沿って伝搬するパルスの到着時刻を比較することによってなしうる。1mmの典型的な板厚では2〜3波長分のリターデーションを生じ、そのリターデーションにより、100フェムト秒以下の持続時間のパルスが使用されるならば容易に認められる違いを生じるであろう。
[相互相関器光学系]
前述の方法によって生成されたパルス信号列は、ある種の非線形要素を使用して、別のレーザーパルスと相互相関を取ることができる。パルスの同時性や相対的なパルスタイミングを検出するためには、各種の非線形プロセスを使用することができる。使用可能なある種の非線形性としては、第2高調波発生(SHG)、和周波発生、利得飽和、吸収飽和、四波混合、及び光電流があるが、これらに限定されるものではない。非線形要素のありそうな選択としては、SHG結晶がある。しかしながら、SHG結晶を使用すると、レーザーパルス間にオーバーラップがあったときにしか信号が発生しないという短所がある。それゆえ、これは同時性の検出器としてしか使用できない。そういうわけで、前述のパルス列発生器、パルスシェーパー、エタロン、その他の各種を使用することが必要になる。ある状況においては、SHG結晶の使用によって得られる非常に高い精度は必要がない。ある場合には、非即時の応答をもつ故に「振幅」情報を介して時間遅れに関する情報が得られる要素を使用することが、より望ましいこともある。トラベリングウェーブ・レーザーダイオード増幅器(TWAs)や飽和吸収器や光検出器などの適切なデバイスや材料、或いはPINフォトダイオードやアバランシェ・フォトダイオード或いはSEEDデバイスなどのように飽和作用で中継するデバイスなどは、数多くある。例えば、TWAなどは、光通信の中で光学時計のリカバリーに使用されてきている。これら(TWA)は、十分に飽和状態に駆動されると、振幅の変動に比較的鈍感になる。ここで、その精度と範囲とは、そのデバイスの回復時間(リカバリータイム)によって決まる。TWAデバイスは、10-3ラジアン程度までの位相精度で計測ができることが分かっている。このような光電子デバイスでは、光学的吸収の非線形性だけがタイミング情報をもたらす唯一の方法ではない。そのデバイスを通ってパルスが伝搬していくにつれて変化するそのデバイスの光電流や電圧、電気容量などの電気的な特性を観測することによってもまた、パルスタイミング情報が得られる。光学的特性の変化を検出するに当たり、これは大きな単純化である。
これらのタイミング較正技術は、高速走査レーザー法と共に使用するようになっているとはい、ここに述べられたレーザー走査システムだけにとは限らず、自由走査レーザー、二重波長モードロックレーザー、及び物理的な遅れを採用している通常の走査システムにさえも、応用できると期待している。その一例としては、図9〜11に示されている較正データがある。このデータは、ボイスコイル(スピーカー)上に取り付けられたリトロレフレクターからなる走査システムから取得された。そのスピーカーに正弦波電圧が印加されているから、その時間遅れは、いくらか正弦波的な調子で走査された。図11(a)に示す走査特性は、走査中に取得されたどんなデータの時間スケールの修正にも使用することができる。そのアクチュエータがもっと大きな振幅で駆動されると、その走査特性は明らかに正弦波的に偏差を生じる。これもまた、修正可能である。回転しているガラスブロックや回転ミラーなどのような他のデバイスでもまた、ここで説明された本発明のタイミング法によって修正可能な非線形走査特性をもっている。
[レーザー安定化]
如何にキャビティ長の誤差もレーザーキャビティのラウンドトリップ毎にコンスタントに蓄積されるので、非常に小さなキャビティ長の変動であっても大きなタイミング誤差を生じうる。それゆえ、サーボループを使って、「時間平均」反復率をν1 に、又は等価であるが「時間平均」キャビティ長ミスマッチΔLをゼロに保持することが必要になる。平均キャビティーミスマッチを制御するために使われるフィードバック信号は、図13に示すように、一対の光検出器PD−1,PD−2によって検知され、通常の位相同期ループ(PLL)回路に導入される。以前に説明したように、このようなPLL安定化システムの精度は、すでに計測されており、20ピコ秒までの最大タイミング移動で5ピコ秒以内のRMSに、二つのファイバーレーザーを同期させることができることが分かっている。ここに引用されている安定化の精度は現在の技術水準によるものであって、絶対的な達成可能限界を示すものでは全くない。本質的には、1ピコ秒未満まで精度を向上させることが可能なはずである。しかしながら、場合によっては1フェムト秒以下にまでなる所望の時間分解能に達するとまでは、期待されていない。この理由により、ここで説明したタイミング較正法は、依然として必要である。
図13に、好ましい実施例として、安定器130を含むレーザー安定化動揺システムの詳細な模式図を示す。安定器130は、タイミング弁別装置TD 131,132、位相検出器133、フィルター134、直流電圧発生器135、アンプ136、周波数発生器140及び加算器137を含んでいる。パルスアンプ(PA)430,440は、それぞれ光検出器PD−1,PD−2からの電気パルス出力を受け取る。パルスアンプ430,440は、これらの受け取った電気パルスを増幅して、タイミング弁別装置TD 131,132にそれぞれ出力する。タイミング弁別装置TD 131,132は、その信号が位相検出器133に入力される前にその信号を整える。PZT制御装置450には、ここでは市販のPZT制御装置を使用している。高電圧アンプは、1〜10Vの範囲の入力信号を取り込み、これに比例した0〜150Vの範囲の出力を生成する。PZT制御装置450は別ユニットとして図示されているが、安定器130内に統合してしまうこともでき、その方が望ましい。
安定器130のこの好ましい実施例においては、PLLのための位相検出器133は、標準的なRF位相検出器か、線形性が高いXORゲートのような混合器(ミキサー)で良い。ラウンドトリップ時間のどんなサブインターバルの走査を行おうとする場合にも、線形性は非常に重要である。或いは、時間振幅コンバーター(TAC)を位相検出器133として使用しても良い。これもまた線形性がとても高く、5MHzなどという低い反復率においては特に適当であろう。高度に精密な位相安定性の一つの限界は、単純なRF混合器の中で起こりうるAMからFMへの変換(コンバージョン)である。すなわち、この混合器によって、レーザーの振幅の変動がタイミングの変動へと変換されてしまうのである。それゆえ、光ダイオードPD−1,PD−2によって生成された電気パルスに対し、信号調整(シグナル・コンディショニング)を行うことが望ましい。こうすれば図13に示すように、位相検出器133の前のタイミング弁別装置131,132により、最も容易に行うことができる。しかしながら、レーザーの振幅雑音を低減することによってもまた、この影響は最小化され得る。ある条件下のモード同期作動の間に、レーザーのある出力ポートに対して、光学的制限プロセスが起こることが知られている。これにより、安定器130が作動する場合に、タイミングジッターを大幅に低減することができる。
安定化システムの帯域幅よりも走査周波数が大きいこともまた、重要である。このため、PLLは平均時間位置を適正に維持するが、適用されたミラー走査を妨害することはない。前述のツインファイバーレーザーは、たった30Hzの帯域幅のPLL回路を使用して安定化されていた。このずいぶん低めの帯域幅には、走査率の範囲を30Hzから数kHzに至るまでの範囲で設定できるという利点がある。30Hzの安定器の帯域幅を使用しながら10ピコ秒未満の精度で同期を維持し続けるためには、一対のレーザーの固有の相対的タイミングジッターは極めて低くなければならない。これは、以前に説明した構成の方法を使用して達成される。その方法とは、可能な限り大きな範囲で同じ環境条件に二つのレーザーを置くことを確実にするものである。
安定化のために必要なフィードバック信号を、単純な相関器で生成することもまた可能である。レーザーが走査している間に、相関器により計測されるピーク位置を、安定器130にフィードバックする誤差信号として使用することもできる。本発明においてはレーザーがコンスタントに走査しているので、Dykaar et al.の単純な静的相互相関器の技術はここではうまく行かないことに留意されたい。
本発明の高速走査システムは、多くの点で通常の走査物理遅延や自由走査レーザーに勝っている。とりわけ、可動アーム(ムーヴィング・アーム)をもつ通常の走査物理遅延とは異なり、走査に数ナノ秒の大きな遅れが生じた場合にも、本発明ではレーザービームにミスアラインメントやピント外れが起こらない。物理的遅延では、アラインメントは非常に注意深く行わなくてはならず、共焦点パラメーターは1ナノ秒の遅延線に対しても1mより大きくなければならない。そのうえ、本発明によれば、音速を超えることもできる高速走査速度が可能である。しかし物理的遅延では、100Hzで1ナノ秒(100フィート毎秒)の走査さえおぼつかない。それなのに本発明によれば、大きな(調整可能な)走査範囲が実施でき、例えば5MHzのファイバーレーザーで約50ピコ秒から200ナノ秒に至るまでの範囲での走査が可能である。このような走査範囲を通常の走査システムで達成するには、200フィートの遅延線が必要であろう。また、通常の自由走査システムと同様に、よりよい衝撃係数(デューティーサイクル)のために高反復率のレーザーを採用する必要もない。
さらに、大きな時間的ダイナミックレンジが可能であり、これは離れた目標の走査やOTDRをする上で有用である。例えば、1フェムト秒未満の時間分解能をもち総走査範囲がTR =200ナノ秒であれば、108 の時間ダイナミックレンジが得られる。また、通常の自由走査システムとは異なって、無駄時間が大幅に減っており向上した衝撃係数が達成されている。さらに今や本発明によれば、可動部品を一切必要とせずに、極めて単純でコンパクトな相互相関器の設計が化のである。例えば、この相関器は、ゲームボーイ(商品名)のサイズにすることもできる。そのうえ本発明では、行程の長さがマッチしている必要がないので、実験のセットアップは極めて単純になる。
前述の高速走査及び較正の方法は、多種多様な計測や実験を行うために使用することができる。本発明の方法及び装置を使用できる2〜3の応用について、以下に説明する。しかしながら、当業者であれば、本発明は多くの応用に適用でき、以下に説明する応用に限定されるものではないことが、容易に理解できるであろう。
図14は、本発明による、FPエタロンを使用しているタイミング較正方法と高速走査レーザーシステムとを採用している一般的な計測システムの好ましい実施例を示す。レーザー510(レーザー510がマスターレーザーであるかスレーブレーザーであるかは不問)は、FPエタロンに入射している。FPエタロンを通過して発射されたパルス列は、タイミングユニット540に送られ、レーザー520からの単パルスと相互相関を取られて、較正された時間スケールを与える一連のデータ(データストリーム)が発生する。上記エタロンから反射されたパルス列は、レーザー520からの単パルスに沿って計測ユニット(図略)に送られる。この計測ユニットからの上記一連のデータは、データ取得システム(DAQ)550の「Yチャンネル」に入力され、一方、タイミングユニット540からの一連のデータは、DAQ 550の「Xチャンネル」に入力される。この情報には、次の異なる二つの用途がある:
1.飛行時間スケール修正:この技術では、タイミングパルスは時間スケールを形成する。例えば、もし正弦波走査が使われるなら、一様なパルスシーケンスであっても時間において非一様性を表す。高速プロセッサーであれば、信号平均化以前の正確な時間スケールで(補間法を用いて)適正に走査データを調整するために、この時間スケール情報を使用できるであろう。言い換えれば、タイミングパルスにより形成された時間スケールに基づいた高速プロセッサーによって、各走査点が修正されるのである。例えば、図11(a)は、図10に示してある走査の各ピークに対する走査特性を示しており、そして図11(b)は、これらの点の線形性からの偏差を示している。この時間スケール情報はこの偏差の修正に使用され、「飛行中」の各ピークを本質的に修正することができる。
2.走査の排除(賢明なトリガリング):この技術は、トリガーパルスと相対的に上手に定義された所定の時間スロット内で起こるたくさんの(少なくとも二つの)タイミングパルスを探す「走査選択器(スキャンセレクター)」を使用する。この選択器は、信号平均化器に入る走査データの合計をするか否か(ゴー/ノーゴー)の決定をする。相関器からのタイミングパルスがこの時間スロットにはまり込むと、現在のデータバッファーに走査を合計する。逆にもしタイミングパルスがその時間スロットを「ミス」した場合には、その走査は排除される。信号の平均化が済んだ後、時間スケールの如何に非線形性も適正に補償することができる。
この賢明なトリガリング法は、実施するには最も単純なものであるが、多くの走査が無駄になってしまう。飛行中スケール修正はもっと洗練されており、走査の無駄からいえばもっと効率的ではあるが、もっと計算負荷が大きい。したがって、応用での制限がどちらの技術を使うかを決めることになろう。
[表面計測システム]
さらに明確な応用の一例として、図15及び図16に示すように、通常の動ミラー法の代わりに本発明の高速レーザー走査技術を採用している表面計測システムの好ましい二つの実施例がある。
図15は、表面計測システムの一実施例を示す。同実施例では、スレーブレーザー620からのビームは、タイミングユニット641に入力されるパルス列を発生するFPエタロンに入射する。マスターレーザー610からのビームは、普通のビームスプリッタBS 660によって分割される。スレーブレーザー620の分割されたビームの一方は、タイミングユニット641に入力される。同ビームの他方は検査される表面に向けられ、同表面で反射される。反射されたビームは相関器640に入力される。同様に、FPエタロンから反射された単パルスも相関器640に入力される。したがって、相関器640は計測されるべき目標物(供試体)のために使用され、タイミングユニット641は時間スケール較正のために使用される。相関器640からの出力である目標物に対応しているデータストリームは、DAQ650のYチャンネルへ入力される。そして、また相関器を含むタイミングユニット641から出力されたデータストリームは、DAQ650のXチャンネルへ入力される。Xチャンネルに入力されたタイミングユニットデータは、時間スケールをもたらす。そして、相関器640から出力されYチャンネルに入力されたデータからは、目標物表面の距離情報が得られる。
図16は、本発明の複数の技術を採用している表面計測システムの別の実施例を示す。同実施例では、タイミングデバイス(FPエタロン)は、目標物へのビーム経路の中に挿置されている。FPエタロンから反射されたビームは、計測すべき目標物を照射する。
目標物表面から散乱する光は、レンズL1によって集光され、FPエタロンを通過した較正済みのパルス列と(ビームスプリッタBS 670を介して)再結合される。スレーブレーザー620からのゲーティングパルスと目標物及びエタロンからのパルス列との間の結果として得られる相互相関からは、このエタロンからの複数パルス・タイミングスケールに重畳された目標物までの距離情報(単一パルス)が得られる。この結果は単一データストリームであって、これには目標物までの距離情報と時間スケール較正との両方が含まれている。さすれば、目標物表面上の一点までの距離は、データストリーム中のタイミングパルスと目標物パルスとの間の相対的な時間遅れを計測することによって推定される。目標物パルスとエタロンパルスとの間のこの比較は、超短パルスを用いた差分計測法の一変形である。
図15及び図16では、FPエタロンは入力ビームに対して鋭角で対向しているように図示されている。この入射角は、明瞭にするために誇張されている。FPエタロンを垂直入射から傾けていくと、図8(a)に示すように、このエタロンからの一連の反射光が横にずれる量が増えていくことが、当業者にはお分かりになろう。したがって、入射角を実現可能な限り小さくしてFPエタロンを使うことが望ましい。もしFPエタロンの前に偏光子及びファラデー回転子があれば、垂直入射角での使用も可能である。この空間的なずれは、相関器640,740のレンズや他の開口からはみ出さない限りは、同相関器の性能を損なうことはない。
或いは、この横ずれの影響は、急激な劣化とは異なった何かであるパルス列の包絡線の形を変えて、なにがしかの利点を生じることもあり得る。このようなことは、ビームの光景を介してか、又は相関器内の非線形混合結晶の位相マッチング条件の角度の選択可能性により、起こりうるであろう。
[OTDRシステム]
図17は、本発明の高速走査レーザー及びタイミングシステムを採用している光学時間領域反射率計(OTDR)システムの模式図である。走査レーザーシステムは、使用可能な明瞭な範囲が広くなるように、低い反復率のレーザー(ν〜5−10MHz)からなることが望ましい。マスターレーザー710からの短パルスは、ビームスプリッタBS 760により二つのビームに分割される。分割されたビームの内一方はタイミングユニット741に送られ、他方はファイバーなどの導波供試デバイス(DUT)790に送られる。DUT790内の表面や接続部、欠陥などから反射されたパルスは、約10フェムト秒すなわち約3ミクロンの精度での精密なタイミングないし距離の計測のために、相関器740に送られる。これは、次のような方法で実現される。
すなわち、スレーブレーザー720からの単一パルスは、二つのビームに分割される。それらのビームの内一方は、ファイバーからの信号のためのゲーティングパルスとして使用されるために、相関器740に送られる。その他方は、データ取得(DAQ)ユニット750のために較正された時間スケールをもたらすために、次にはそれ自身が別の相関器であるタイミングユニット741によって使用されるパルスシーケンスを生成するパルスシェーパー780に送られる。5MHz(TR =200ns)程度の低い反復率のシステムのためには、パルスシェーパー780は、200ナノ秒のタイミングインターバル全体をだいたい満たすパルスシーケンスを生成しなければならない。この好ましい実施例では、パルスシェーパーは、図12(b)に示すようなチャープ・ファイバーブラッグ格子を利用して構成できるであろう。
このレーザーの変形態様としては、タイミングユニット及び相関器が使用可能である。例えば、マスターレーザー710の役とスレーブレーザー720の役とは、交換可能である。パルスシェーパーとしては、ファイバーFPエタロン又は(受動でも利得ありでも)ファイバーループが使用可能である。
[EOサンプリング・オシロスコープ]
図18は、本発明の高速走査レーザー及びタイミングシステムを使用した、ジッターなしの電気光学サンプリング・オシロスコープの模式図である。本実施例では、十分に確立されている非接触EOサンプリング技術が、ここで説明された高速走査技術と組み合わされており、時間スケールの調整にかなり大きな柔軟性がもたらされている。
マスターレーザー810からのパルスは、二つのビームに分割される。一方のビームはタイミングユニット841に送られ、他方のパルスは供試デバイス(DUT)上に電気パルスを発生させるために送られる。この場合、供試デバイスは、光導電(PC)スイッチ891を介して、集積回路(IC)上に取り付けられている。スレーブレーザー820からのパルスもまた、二つのビームに分割される。一方のビームは、電気光学(EO)プローブチップ892に送られ、他方のビームは、パルス列を生成するパルスシェーパー880に送られる。このパルス列は、時間スケールの較正のために、次にはタイミングユニット841に送られる。EOプローブチップ892から返ってきたパルスは、DUTからの電圧とEOプローブチップ892との間の干渉によって変調されている。これらのパルスは、偏光光学素子893によって検出され、DAQ850のYチャンネルに送られる。したがって、精密タイミング較正が、図17のODTRのために説明したのと同じようにして得られる。
時間遅れ、走査インターバル、及び走査周波数は、安定器830によって所望の値に設定することができる。例えば、もし(走査範囲ではなく)走査周波数を二倍に増加させたければ、スレーブレーザー820内の変調周波数を倍にして、対応する量だけPZTの走査電圧を増大させる必要がある。それに比べ、走査周波数を変化させないで走査範囲を増大させるには、単純にPZTの走査電圧を増せば良い。時間掃引範囲(タイム・スウィープレンジ)の相対遅れは、安定器830の位相制御によって調整される。時間スケールの調整のこの柔軟性は、通常のオシロスコープの遅れ時間ベースによって与えられるものと同様である。
この目的のために、光導電性サンプリングを使用することもまた、同様に可能であろう。こうすればずっと高い感度が得られるが、時間分解能は約2ピコ秒までに限られる。
短レーザーパルス及び走査遅れの最も広く使用される応用は、ずっと物理、化学、又は電子システムのポンプ・プローブ計測であった。しかしながら、この技術のための応用範囲は急速に拡がってきており、この技術が科学市場を越えて商品になることは今にも起こりそうなことである。ここに説明された高速走査及び時間較正の技術は、超短レーザーパルスを利用するほとんど全ての応用に使用可能である。なぜならば、これらの応用の事実上全てが、レーザーパルス間の時間遅れの調整を何らかの形式で必要としているからである。これらの応用は、半導体材料及び半導体デバイスの分野での超高速電子/光電子デバイスのチャージ・ダイナミックス特性の電気光学試験や、全光信号処理光導電サンプリング、及び各種各様の時間分解ナノメーター・プロービングなどに適用でき、またこれらに限定されずに広く応用可能である。
したがって、テラヘルツ・イメージングを含むこれらの走査方法が応用できるテラヘルツ・ビームのための新しい応用は、数多く開発中である。その一例としては、フー等の文献( B.B.Hu et al., "Imaging with Teraherz Waves", Optic Letters, Vol.20, No.16, August 15, 1995, pp.1716-1719)により開示されているものがある。最近では、超高速光検出器が市販されるようになり、そのスピード(50GHz,10ps FWHM)は、市販のオシロスコープ(例えばPicometrix製の Newport Corp. Model #PX-D7 )の計測能力を遥かに凌駕するものである。ピコ秒レーザー及び走査遅れは、これらの検出器のスピードの利点を最大限に引き出すために必要である。そのうえさらに、本発明の走査方法は、その走査範囲の選定の非常なる優越性の故に、サブミリメーターの分解能のレーザーレーダー及び目標物のリモート・プロファイフィングに特に適当である。その走査範囲調整の柔軟性により、高速走査システムをオシロスコープの可調整時間ベースと相似にすることができる。
ここで説明された高速走査方法によって達成できる非常に高い走査率によれば、新しい潜在的な応用をたくさん実施可能にすることができる。走査速度パラメーター(表1〜3参照)は、特別に利用価値がある長所の象徴である。表1〜3の走査速度は、3m/sから30,000m/sにまで範囲が及んでいることに留意されたい。それゆえ、自由走査技術でも高速走査技術でも超音速の走査速度が可能であるから、例えばレーザーに誘起される固体中及び液体中の音響効果及び光弾性効果などの研究や応用で、本発明は潜在的に利用価値がある。このような応用では、通常の走査方法を使用するのは実際的ではない。というのは、通常の走査方法では物理的遅延システムの中で走査ミラーを音速で動かすことが必要であり、非現実的だからである。
本発明は、好ましい実施例を参照して説明されてきたが、これらの実施例に応用が限定されることはない。以上の開示と教唆から、本発明に対するその他の変形態様やバリエーションがあることは、当業者にとっては明白である。したがって、ここで取り上げて説明してきた本発明の実施例はほんのいくつかのであるが、本発明の思想及び見解から離れることなく、なおその上に数々の変形が可能であることは明白である。
公知の自由走査レーザーシステムの構成を示す模式図。 本発明の高速走査レーザーシステムの構成を示す組図。(a)は、スレーブレーザーのキャビティ長制御の場合の模式図で、(b)は、両レーザーのキャビティ長が制御される場合の模式図。 時間遅れTD(t)と、レーザーキャビティ内のPZTに印加される電圧とを示す組図。(a)は、印加電圧が矩形波の場合のグラフ、(b)は、印加電圧が方形波の場合のグラフ、(c)は、印加電圧が正弦波の場合のグラフ。 本発明のツインファイバーレーザーシステムの構成を示す模式図(同システムでは、両レーザーのファイバーは同じ軸に巻かれており、モード同期機構として非線形偏光展開(エヴォルーション)を使用する二つの同一のモードロック・ファイバーレーザーを使用。)。 本発明の動揺法により走査された二つのファイバーレーザーの間の相互相関信号を示すグラフ。 本発明の動揺法により走査された二つのファイバーレーザーの間の相互相関信号を示す拡大グラフ。 本発明の動揺法により走査された二つのファイバーレーザーの間のタイミングジッターを示すグラフ。 ファブリペロー・エタロンの作用を示す組図。(a)は、ファブリペロー・エタロンの作用を示す模式図、(b)は、発射パルス列と反射パルス列との時間配列を示す概念図。 単レーザーパルスとエタロンを通ったパルス列との間の相互相関信号を示す全走査サイクル二つ分のグラフ。 単レーザーパルスとエタロンを通ったパルス列との間の相互相関信号を示す半走査サイクル分の拡大グラフ。 ファブリペロー・エタロンのピーク位置を示す組図。(a)は、ピーク位置の線形フィッティングを示すグラフ、(b)は、線形フィッティングの偏差を示すグラフ。 光屈折性成長チャープファイバー格子の並びからなるパルス列ジェネレーターの構成を示す組図。(a)は、パルス列ジェネレーター単体の構成及び作用を示す模式図、(b)は、二つのパルス列ジェネレーターの組み合わせを示す模式図。 レーザー安定化動揺システムの構成を詳細に示す模式図。 本発明の高速走査レーザー及びタイミング較正法を採用している計測システムの模式図。 本発明の高速走査レーザーを採用している計測システムの模式図。 本発明の高速走査レーザーを採用している計測システムの模式図。 本発明の高速走査レーザー及びタイミング較正法を採用しているフェムト秒OTDRシステムの構成を示す模式図。 本発明の高速走査レーザーシステム及びタイミング較正法を採用している電気光学サンプリング・オシロスコープの構成を示す模式図。
符号の説明
10,110,210,510,610,710,810:マスターレーザー
20,120,220,520,620,720,820:スレーブレーザー
30:ハーフミラー
40,640,740:相関器(コリレーター)
50:オシロスコープ
60:ミラー
70:計測装置
111,121:ピエゾ素子、ピエゾアクチュエータ(PZT)
130,630,830:安定器ユニット、駆動安定器、PLL回路安定器
131:タイミング弁別装置(TD)
133:位相検出器
134:フィルター、濾波器
135:信号発生器
136:オペアンプ
138:加算器(Σ)
140:低周波信号発生器
205:レーザーダイオード(LD)
206:スプリッター(SPL)
215:ファラデー回転子(旋光器)ミラー(FRM)
225:光学アセンプリ(PZT−FRM)
280:ファイバースプール
300:ファイバー
310,320,330:チャープ・ファイバー格子
340:偏光ビームスプリッタ(PBS)
350:四分の一波長板(QWP)
430,440:パルスアンプ(PA)
450:PZT制御装置
540:タイミングユニット、相互相関器
550,650,750,850:データ取得システム(DAQ)
641,741,841:タイミングユニット
660,670,760,770:ビームスプリッタ(BS)
780,880:パルスシェーパー
790:供試デバイス(DUT)
891:光導電(PC)スイッチ
892:電気光学(EO)プローブチップ
893:偏光光学素子
L1:集光レンズ
FP:FPエタロン
FR:ファラデー旋光器
PD−1,PD−2:フォトダイオード、光検出器
SA:過飽和吸収体
λ/2:半波長板
λ/4:四分の一波長板(QWP)

Claims (16)

  1. ファイバーレーザーを安定化する方法であって、
    該ファイバーレーザーを外部環境から隔離する隔離ステップと、
    環境条件の変化に応じて該ファイバーレーザーのキャビティ長を調節する調節ステップと、
    を有することを特徴とするファイバーレーザー安定化法。
  2. さらに、ピエゾエレクトリック・トランスデューサーで前記レーザーの反復率を変更する反復率変更ステップを有し、前記レーザーが短パルスレーザーであることを特徴とする請求項1に記載のファイバーレーザー安定化法。
  3. さらに、前記ピエゾエレクトリック・トランスデューサーの駆動信号の前端或いは後端の急な電圧遷移を避けるために該駆動信号を整えるステップを有することを特徴とする
    請求項2に記載のファイバーレーザー安定化法。
  4. さらに、前記ピエゾエレクトリック・トランスデューサーを正弦曲線の駆動信号で駆動するステップを有することを特徴とする請求項2に記載のファイバーレーザー安定化法。
  5. 短パルスファイバーレーザーの出力を制御する方法であって、
    該ファイバーの温度を制御することで該レーザーの反復率を安定化させる安定化ステップを有することを特徴とする短パルスファイバーレーザー出力制御法。
  6. さらに、ピエゾエレクトリック・トランスデューサーを前記レーザーに連絡して供給する供給ステップと、
    該ピエゾエレクトリック・トランスデューサーに電圧を供給する電圧供給ステップと、
    を有し、該レーザーの反復率が該ピエゾエレクトリック・トランスデューサーの移動によって制御されることを特徴とする請求項5に記載の短パルスファイバーレーザー出力制御法。
  7. さらに、前記レーザーの平均反復率を制御するための位相ロックループ回路を供給するステップを有することを特徴とする請求項6に記載の短パルスファイバーレーザー出力制御法。
  8. 各々レーザーキャビティをもつ第1と第2短パルスレーザーと、
    該第1と第2短パルスレーザーからそれぞれのパルスを受信して比例出力を発生することができる位相ロックループ回路と、
    を有し、該第1と第2レーザーの内少なくとも一方はモードロックファイバーレーザーで、長さ変更ユニットを備え、該長さ変更ユニットは該位相ロックループ回路の該比例出力に基づいて該レーザーキャビティの長さを変えることができることを特徴とするレーザー装置。
  9. 前記第1と第2短パルスレーザーの一方又は両方は受動モードロックされることを特徴とする請求項8に記載のレーザー装置。
  10. 前記長さ変更ユニットはピエゾエレクトリック・トランスデューサー(PZT)を備えることを特徴とする請求項8に記載のレーザー装置。
  11. 前記長さ変更ユニットは該ファイバーの長さを伸ばすことができることを特徴とする請求項8に記載のレーザー装置。
  12. 前記位相ロックループ回路は安定器に含まれ、前記安定器がPZT制御器を備えることを特徴とする請求項8に記載のレーザー装置。
  13. 前記第1と第2短パルスレーザーは同期されており、前記比例出力で安定化されており、該比例出力は該第1と第2短パルスレーザーからのそれぞれのパルスの間の差の大きさであることを特徴とする請求項8に記載のレーザー装置。
  14. 前記位相ロックループ回路のバンド幅は前記ピエゾエレクトリック・トランスデューサーの移動周波数以下であることを特徴とする請求項7に記載の短パルスファイバーレーザー出力制御法。
  15. 前記短パルスファイバーレーザーはモードロックされていることを特徴とする請求項7に記載の短パルスファイバーレーザー出力制御法。
  16. 短パルスファイバーレーザーの反復率を安定化する方法であって、
    該短パルスファイバーレーザーの反復率を安定化させることができる位相ロックループ回路を供給するステップと、
    ピエゾエレクトリック・トランスデューサーを前記短パルスファイバーレーザーに接続する接続ステップと、
    該ピエゾエレクトリック・トランスデューサーに電圧を供給する電圧供給ステップと、
    を有し、該短パルスファイバーレーザーの反復率が該ピエゾエレクトリック・トランスデューサーの移動によって制御されることを特徴とする短パルスファイバーレーザー反復率安定化法。
JP2007340748A 1996-02-16 2007-12-28 ファイバーレーザー安定化法、短パルスファイバーレーザー出力制御法、レーザー装置、短パルスファイバーレーザー出力制御法及び短パルスファイバーレーザー反復率安定化法 Pending JP2008098676A (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US24579696P 1996-02-16 1996-02-16

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005128427A Division JP4242364B2 (ja) 1996-02-16 2005-04-26 相対的タイミングドリフトの低減方法、タイミングジッター減少法及び短パルスファイバーレーザーシステム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008098676A true JP2008098676A (ja) 2008-04-24

Family

ID=39381127

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007340748A Pending JP2008098676A (ja) 1996-02-16 2007-12-28 ファイバーレーザー安定化法、短パルスファイバーレーザー出力制御法、レーザー装置、短パルスファイバーレーザー出力制御法及び短パルスファイバーレーザー反復率安定化法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008098676A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3688841B2 (ja) レーザパルス比較方法、高速レーザー走査方法、高速走査レーザー装置、短パルスレーザー装置、距離計測装置、電気光学サンプリング・オシロスコープ、短パルスレーザー安定制御方法および較正時間スケール発生装置
US9711932B2 (en) Optical signal processing with modelocked lasers
US6816515B1 (en) Wavelength-swept laser and method for its operation
Yasa et al. A rapid-scanning autocorrelation scheme for continuous monitoring of picosecond laser pulses
Delfyett et al. Chirped pulse laser sources and applications
US5383207A (en) Optical carrier generation using stimulated brillouin scattering
Degenhardt et al. Influence of chirped excitation pulses in an optical clock with ultracold calcium atoms
Sucha et al. A new method for rapid temporal scanning of ultrafast lasers
Jacobs Optical heterodyne (coherent) detection
US5483341A (en) Cavity dispersing measuring method and measuring apparatus thereof
Zhao et al. High-resolution absolute distance measurement using a dual-wavelength, dual-comb, femtosecond fiber laser
JP2008098676A (ja) ファイバーレーザー安定化法、短パルスファイバーレーザー出力制御法、レーザー装置、短パルスファイバーレーザー出力制御法及び短パルスファイバーレーザー反復率安定化法
JP3378502B2 (ja) 光信号波形測定方法
Tanaka et al. Resolution and noise factor of distance measurement using two-photon absorption process in photodetector
Piracha A Laser Radar Employing Linearly Chirped Pulses From A Mode-locked Laser For Long Range, Unambiguous, Sub-millimeter Resolution Ranging And Velocimetry
JPH10307079A (ja) 光部品の波長分散測定装置
Newbury et al. Fiber Frequency Combs: Development and Applications
Sucha Rapid scanning time delays for ultrafast measurement systems
Raksi et al. Single pulse pump-and-probe measurements and a new single pulse autocorrelator
Kurobori et al. An intensity/phase autocorrelator for measurement of an ultrashort optical pulse having frequency variation
JPH01115184A (ja) 超短光パルス発生装置
Du Plessis An all-fibre laser distance measurement system utilising figure-eight fibre lasers with electro-optic amplitude modulation
Marciante et al. Enhanced-dynamic-range, single-shot measurement of nanosecond pulses via optical replication
Ozharar et al. Frequency skewed optical pulses for range detection
Sucha et al. Rapid temporal scanning of ultrafast lasers

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080509

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20080806

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20080811

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090120