しかしながら、特開2000−193956号公報に開示している液晶表示装置110では、前面および背面の表示とも反射偏光子を用いて反射型表示を行うため、以下のような問題が生じる。明所において、液晶表示装置110を透過型として第2反射偏光子142の外面側から見ようとすると、黒表示時には図15の状態では導光板152側から液晶セル122に入射した直線偏光の光の偏光方向を90度回転させることになるが、このとき第2反射偏光子142の外面側から外光が入射すると、液晶セル122に入射した光は第1反射偏光子118で反射して第2反射偏光子142の外面側に戻ってしまう。従って、黒表示が浮いた状態となって表示品位が低下する。
このように、従来の両面表示型の液晶表示装置110には、明所および暗所の両方において黒表示を良好に行うようにすることができないという問題があった。
本発明は上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、明所および暗所の両方において黒表示を良好に行うことができる両面表示型の液晶表示装置を提供することにある。
本発明の液晶表示装置は、上記課題を解決するために、アクティブマトリクス型の表示を行うための基板対の一方の基板をなす第1基板と、前記基板対の他方の基板として前記第1基板に対向して配置され、マトリクスを形成するスイッチング素子と金属配線と透明画素電極とを有する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置された液晶層と、前記第1基板の前記液晶層側と反対側に配置された第1偏光板と、前記第2基板の前記液晶層側と反対側に、前記第2基板に近い側から順に配置された偏光選択反射板と第2偏光板と、を備え、前記第2基板には、前記スイッチング素子および前記金属配線を前記液晶層側から覆うとともに前記透明画素電極が前記液晶層側に積層される絶縁層と、前記スイッチング素子と前記金属配線との少なくとも一部と前記絶縁層を介して対向する反射板とが形成されており、前記液晶層から前記第1基板側へ向かう方向と、前記液晶層から前記第2基板側へ向う方向との両方に画像表示することを特徴としている。
本発明の液晶表示装置は、上記課題を解決するために、前記偏光選択反射板は、互いに直交する反射軸と透過軸とを有し、前記偏光選択反射板の透過軸と前記第2偏光板の透過軸とが互いに平行であることを特徴としている。
本発明の液晶表示装置は、上記課題を解決するために、前記第1偏光板の透過軸と前記第2偏光板の透過軸とが直交していることを特徴としている。
本発明の液晶表示装置は、上記課題を解決するために、前記反射板と対向する領域の前記液晶層の厚みは、前記反射板と対向しない領域の前記液晶層の厚みよりも小さいことを特徴としている。
本発明の液晶表示装置は、上記課題を解決するために、前記第1基板には、カラーフィルタが配置されており、前記反射板と対向する領域の前記カラーフィルタの膜厚は、前記反射板と対向しない領域の前記カラーフィルタの膜厚よりも大きいことを特徴としている。
本発明の液晶表示装置は、上記課題を解決するために、前記反射板が存在する領域の前記絶縁層の膜厚は、前記透明画素電極が存在する領域の前記絶縁層の膜厚よりも大きいことを特徴としている。
本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、通過する光の状態を制御する表示媒体を備え、上記表示媒体から、上記表示媒体を挟む両側のいずれか一方を向く側を第1の側、他方を向く側を第2の側とし、上記第1の側から上記第2の側に向かって順に、上記表示媒体と、第1の状態の光を反射し、第2の状態の光を透過させる選択反射手段とが配置されており、上記選択反射手段は上記表示媒体に対して上記第2の側にのみ配置されていることを特徴としている。
上記の発明によれば、第1の側から入射した光が表示媒体を通過するときに、表示媒体はこの光の状態を制御するが、第1の状態となるように制御すれば、選択反射手段は第1の状態になった光を反射し、表示装置の第1の側に光を戻すことができる。従って、第1の側から表示内容の視認を行うときの明表示状態を実現することができる。また、表示媒体が光の状態を第2の状態となるように制御すれば、選択反射手段は第2の状態になった光を透過させ、この光を表示装置の第2の側に抜けるようにすることができる。従って、第1の側から表示内容の視認を行うときの暗表示状態を実現することができる。
また、第1の側から入射する光を表示に用いて第1の側から視認するときの明表示状態は、同じ光を表示に用いて第2の側から視認するときの暗表示状態となる。第1の側から入射する光を表示に用いて第1の側から視認するときの暗表示状態は、同じ光を表示に用いて第2の側から視認するときの明表示状態となる。すなわち、本発明の表示装置では、第1の側から入射する光を表示に用いて第1の側から視認するときに反射型の表示を行い、第1の側から入射する光を表示に用いて第2の側から視認するときに透過型の表示を行うことができる。第1の側から入射する光には、表示装置に設けたフロントライトやその他太陽光など任意の光源からの光を使用することができる。
一方、第2の側から入射した光を第2の状態にすれば選択反射手段を透過するので、この光を表示媒体の制御によって、第1の側に抜けるようにしたり、第1の側に抜ける前に吸収されるようにしたりすることができる。従来とは異なって選択反射手段は表示媒体に対して第2の側にのみ配置されているので、表示媒体に対して第1の側からの反射光がない。またこのとき、第2の側から入射して第2の状態となっている光には、第1の状態の光が含まれていないので、選択反射手段によって反射されて第2の側に戻る光はない。
従って、第1の側から入射する光を表示に用いて第2の側から視認を行うときの暗表示状態で、第2の側から入射した光が反射して戻ってこないようにすることができるので、暗所のみならず明所でも黒表示が良好になる。
この結果、明所および暗所の両方において黒表示を良好に行うことができる両面表示型の表示装置を提供することができる。
本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記状態は偏光状態であり、上記選択反射手段は、第1の偏光状態の光を反射し、第2の偏光状態の光を透過させる偏光選択反射手段であり、上記第1の側から上記第2の側に向かって順に、所定の偏光状態の成分となる光のみを透過させる第1の偏光手段と、上記表示媒体と、上記偏光選択反射手段と、上記第1の偏光状態の成分となる光を吸収し、上記第2の偏光状態の成分となる光を透過させる第2の偏光手段とが配置されていることを特徴としている。
上記の発明によれば、第1の側から入射した光は第1の偏光手段によって所定の偏光状態、例えば第2の偏光状態となる。表示媒体は通過するこの光の偏光状態を制御するが、第1の偏光状態となるように制御すれば、偏光選択反射手段は第1の偏光状態になった光を反射し、これが表示媒体で再び上記所定の偏光状態となって第1の偏光手段を透過し、表示装置の第1の側に光が戻る。従って、第1の側から表示内容の視認を行うときの明表示状態を実現することができる。また、表示媒体が光の偏光状態を第2の偏光状態となるように制御すれば、偏光選択反射手段は第2の偏光状態になった光を透過させ、この光は第2の偏光手段を透過して表示装置の第2の側に抜ける。従って、第1の側から表示内容の視認を行うときの暗表示状態を実現することができる。
また、第1の側から入射する光を表示に用いて第1の側から視認するときの明表示状態は、同じ光を表示に用いて第2の側から視認するときの暗表示状態となる。第1の側から入射する光を表示に用いて第1の側から視認するときの暗表示状態は、同じ光を表示に用いて第2の側から視認するときの明表示状態となる。すなわち、本発明の表示装置では、第1の側から入射する光を表示に用いて第1の側から視認するときに反射型表示を行い、第1の側から入射する光を表示に用いて第2の側から視認するときに透過型表示を行うことができる。第1の側から入射する光には、表示装置に設けたフロントライトやその他太陽光など任意の光源からの光を使用することができる。
一方、第2の側から入射した光は第2の偏光手段によって第2の偏光状態となって偏光選択反射手段を透過するので、この光を表示媒体の制御によって、第1の偏光手段を透過して第1の側に抜けるようにしたり、第1の偏光手段に吸収させたりすることができる。従来とは異なって偏光選択反射手段は表示媒体に対して第2の側にのみ配置されているので、表示媒体に対して第1の側からの反射光がない。またこのとき、第2の側から入射して第2の偏光手段を透過した光には、第2の偏光手段による吸収のために第1の偏光状態の光が含まれていないので、偏光選択反射手段によって反射されて第2の側に戻る光はない。
従って、第1の側から入射する光を表示に用いて第2の側から視認を行うときの暗表示状態で、第2の側から入射した光が反射して戻ってこないようにすることができるので、暗所のみならず明所でも黒表示が良好になる。
この結果、明所および暗所の両方において黒表示を良好に行うことができる両面表示型の表示装置を提供することができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記所定の偏光状態は直線偏光の状態であり、上記第1の偏光状態は第1の方向の直線偏光の状態であり、上記第2の偏光状態は上記第1の方向と直交する第2の方向の直線偏光の状態であり、上記表示媒体は90°ツイスト液晶層であることを特徴としている。
上記の発明によれば、90°ツイスト液晶層である表示媒体が、第1の偏光手段を透過した直線偏光の光を第1の方向の直線偏光となるように制御すれば、偏光選択反射手段は反射を行うことができ、第1の偏光手段を透過した直線偏光の光を第2の方向の直線偏光となるように制御すれば、偏光選択反射手段は透過を行うことができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記第2の偏光状態は直線偏光の状態であり、上記第2の偏光手段の上記第2の側にλ/4板が配置されていることを特徴としている。
上記の発明によれば、第1の側から第2の側へ透過した直線偏光の光はλ/4板によって円偏光となる。従って、この光が何らかの反射物によって第1の側へ向かって反射されたとしても、再びλ/4板に入射することによって上記直線偏光とは直交する方向の直線偏光となるので、第2の偏光手段に吸収される。
この結果、反射型として第1の側から表示の視認を行うときに、暗表示状態で反射物によって第1の側へ光が戻るのを防止することができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記状態は円偏光状態であり、上記選択反射手段は、第1の円偏光状態の光を反射し、上記第1の円偏光状態とは回転方向が逆の第2の円偏光状態の光を透過させる偏光選択反射手段であり、上記第1の側から上記第2の側に向かって順に、所定方向の直線偏光の成分となる光のみを透過させる第1の透過軸の偏光手段と、第1のλ/4板と、上記表示媒体と、上記偏光選択反射手段と、第2のλ/4板と、上記第1の透過軸の偏光手段の透過軸と直交する方向の透過軸を有する第2の透過軸の偏光手段とが配置されていることを特徴としている。
上記の発明によれば、第1の側から入射した光は第1の透過軸の偏光手段によって所定方向の直線偏光となり、さらに第1のλ/4板を透過して円偏光となる。表示媒体は通過するこの光の円偏光状態を制御するが、第1の円偏光状態となるように制御すれば、偏光選択反射手段は第1の円偏光状態になった光を反射する。この円偏光状態が表示媒体で再び制御され、第1のλ/4板によって上記所定方向の直線偏光になり第1の透過軸の偏光手段を透過し、表示装置の第1の側に光が戻る。従って、第1の側から表示内容の視認を行うときの明表示状態を実現することができる。また、表示媒体が光の円偏光状態を第2の円偏光状態となるように制御すれば、偏光選択反射手段は第2の円偏光状態になった光を透過させる。この光は第2のλ/4板によって上記所定方向とは直交する方向の直線偏光になり、第1の透過軸の偏光手段とは透過軸が直交する第2の透過軸の偏光手段を透過して表示装置の第2の側に抜ける。従って、第1の側から表示内容の視認を行うときの暗表示状態を実現することができる。
また、第1の側から入射する光を表示に用いて第1の側から視認するときの明表示状態は、同じ光を表示に用いて第2の側から視認するときの暗表示状態となる。第1の側から入射する光を表示に用いて第1の側から視認するときの暗表示状態は、同じ光を表示に用いて第2の側から視認するときの明表示状態となる。すなわち、本発明の表示装置では、第1の側から入射する光を表示に用いて第1の側から視認するときに反射型表示を行い、第1の側から入射する光を表示に用いて第2の側から視認するときに透過型表示を行うことができる。第1の側から入射する光には、表示装置に設けたフロントライトやその他太陽光など任意の光源からの光を使用することができる。
一方、第2の側から入射した光は透過軸が第1の透過軸の偏光手段とは直交する第2の透過軸の偏光手段によって直線偏光となり、これが第2のλ/4板によって第2の円偏光状態となる。従って、この光は偏光選択反射手段を透過するので、表示媒体の制御によって、第1の側から入射したときの第1のλ/4板により生成した円偏光状態と回転方向が逆の円偏光状態とされるときは、第1のλ/4板によって上記所定方向の直線偏光になるので、第1の偏光手段を透過して第1の側に抜ける。また、表示媒体の制御によって、第1のλ/4板によって第1の透過軸の偏光手段に吸収される直線偏光が得られるような円偏光状態とされるようにしてもよい。従来とは異なって偏光選択反射手段は表示媒体に対して第2の側にのみ配置されているので、表示媒体に対して第1の側からの反射光がない。またこのとき、第2の側から入射して表示媒体の金属配線などで反射された光は、再び第2のλ/4板に入射して第2の透過軸の偏光手段の透過軸と直交する方向の直線偏光となるので、第2の透過軸の偏光手段に吸収される。ここで円偏光とは、完全な円偏光だけでなく楕円率が0.7以上の楕円偏光も含む。また直線偏光とは、完全な直線偏光だけでなく0.3以下の楕円偏光も含む。
従って、第1の側から入射する光を表示に用いて第2の側から視認を行うときの暗表示状態で、第2の側から入射した光が反射して戻ってこないようにすることができるので、暗所のみならず明所でも黒表示が良好になる。
この結果、明所および暗所の両方において黒表示を良好に行うことができる両面表示型の表示装置を提供することができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記第2の側へ透過し終えた光を吸収する光吸収体を、光路に挿入および退避が可能なように備えていることを特徴としている。
上記の発明によれば、反射型として第1の側から視認を行うときに光吸収体を挿入することにより、第1の側から第2の側へ透過し終えた光の反射をなくすことができるので、良好な黒表示を行うことができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記表示媒体の上記第1の側に設けられた第1のカラーフィルタと、上記選択反射手段の上記第2の側に設けられた第2のカラーフィルタとを備えていることを特徴としている。
上記の発明によれば、反射型として第1の側から視認するときは第1のカラーフィルタのみを光が2回通過し、透過型として第2の側から視認するときには第1のカラーフィルタと第2のカラーフィルタとを光が1回ずつ通過するので、各カラーフィルタの濃度を個別に設定することにより、第1の側での反射型表示および第2の側での透過型表示のそれぞれで、明度や色再現性を適切に設定することができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記表示媒体の上記第1の側にカラーフィルタを備え、上記カラーフィルタは上記表示媒体の各画素内に複数種類の透過率領域を有していることを特徴としている。
カラーフィルタを第1の側に1つだけ備える場合、反射型として第1の側から視認するときには明表示状態において光がカラーフィルタを2回通過するが、透過型として第2の側から視認するときには明表示状態において光がカラーフィルタを1回だけ通過するので、第1の側からの視認時には第2の側からの視認時よりも光量が少なくなる。
上記の発明によれば、複数種類の透過率領域を有するカラーフィルタを第1の側に1つ設けることによって、上記のような光量の違いが生じる場合に対応させて異なる透過率領域を適宜組み合わせて通過させ、第1の側での反射型表示および第2の側での透過型表示のそれぞれで、明度や色再現性を適切に設定することができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記透過率領域として、上記第2の側に透過型表示を行うときの上記第1の側から上記第2の側への透過光に対する非透過領域に第1の側で対向するように設けられる透過率の高い高透過率領域と、上記透過光に対する透過領域に設けられる、上記高透過率領域よりも透過率の低い低透過率領域とを備えていることを特徴としている。
上記の発明によれば、反射型として第1の側から視認するときには明表示状態において光が低透過率領域を2回通過するので、明表示状態において低透過率領域を1回だけ通過する光を第2の側から視認する透過型のときよりも、低透過率領域を通過する光量が少なくなるが、透過型のときに視認に寄与しない領域である、非透過領域に第1の側で対向する高透過率領域を通過する光を、反射型のときに使用することができるので、第1の側での反射型表示および第2の側での透過型表示のそれぞれで、明度や色再現性を適切に設定することができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記表示媒体を駆動するための駆動配線の上記第2の側に光吸収層を備えていることを特徴としている。
上記の発明によれば、第2の側から入射して駆動配線に向かって進む光は光吸収層に吸収されるので、駆動配線からの反射をなくすことができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記表示媒体を駆動するための駆動配線が光の反射を所定量以下に抑制する低反射材料で形成されていることを特徴としている。
上記の発明によれば、第2の側から入射して駆動配線に向かって進む光は駆動配線によって反射が所定量以下に抑制されるので、駆動配線からの反射の影響をなくすことができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記第1の側に反射型表示を行うときと、上記第2の側に透過型表示を行うときとで、表示データの明暗を反転させることを特徴としている。
上記の発明によれば、第1の側に反射型表示を行うときと、第2の側に透過型表示を行うときとで、互いの表示の明暗の関係を揃えることができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記第1の側に反射型表示を行うときと、上記第2の側に透過型表示を行うときとで、表示データの左右を反転させることを特徴としている。
上記の発明によれば、第1の側の表示面と第2の側の表示面との一方を左右に裏返して他方を視認する場合に、互いの表示の向きを揃えることができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記第1の側に反射型表示を行うときと、上記第2の側に透過型表示を行うときとで、表示データの上下を反転させることを特徴としている。
上記の発明によれば、第1の側の表示面と第2の側の表示面との一方を上下に裏返して他方を視認する場合に、互いの表示の向きを揃えることができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記表示媒体に対して上記第2の側に光の非透過領域が設けられ、上記選択反射手段は、上記非透過領域に対して上記第2の側に配置されており、上記非透過領域の少なくとも一部と、上記表示媒体との間に、上記表示媒体を上記第1の側から上記第2の側へ向かって通過する光の反射手段が設けられていることを特徴としている。
上記の発明によれば、表示媒体に対して第2の側に光の非透過領域が設けられているが、選択反射手段を非透過領域に対して第2の側に配置しながらも、非透過領域の少なくとも一部と表示媒体との間に光の反射手段を備えていて、表示媒体を第1の側から第2の側へ向かって通過する光を反射させるようにする。従って、第1の側から反射型表示を視認するときに、非透過領域により遮られて選択反射手段に到達しない光を反射手段で反射することができ、明るい表示を確保することができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記状態は偏光状態であり、上記選択反射手段は、第1の偏光状態の光を反射し、第2の偏光状態の光を透過させる偏光選択反射手段であり、上記第1の側から上記第2の側に向かって順に、所定の偏光状態の成分となる光のみを透過させる第1の偏光手段と、上記表示媒体と、上記偏光選択反射手段と、上記第1の偏光状態の成分となる光を吸収し、上記第2の偏光状態の成分となる光を透過させる第2の偏光手段とが配置されており、上記表示媒体を挟む一対の透明基板を備えており、上記偏光選択反射手段は、上記一対の透明基板のうち上記第2の側にある透明基板に対して上記第2の側に配置されており、上記表示媒体と、上記第2の側にある上記透明基板との間に上記非透過領域が設けられていることを特徴としている。
上記の発明によれば、偏光選択反射手段を、一対の透明基板のうち第2の側にある透明基板に対して第2の側に配置することにより、偏光選択反射手段を一対の透明基板の内側に配置するよりも、製品の信頼性が向上するとともに、有利な製造プロセスを行うことができる。そして、表示媒体と第2の側にある透明基板との間に光の非透過領域が設けられているが、上述のような偏光選択反射手段の配置としながらも、反射手段によって、表示媒体を第1の側から第2の側へ向かって通過する光を反射させるようにする。従って、第1の側から反射型表示を視認するときに、非透過領域により遮られて偏光選択反射手段に到達しない光を反射手段で反射することができ、明るい表示を確保することができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記表示媒体は、上記第1の側から視認するときの明表示状態において、上記第1の偏光手段の上記第1の側から入射して上記反射手段で反射された光と、上記第1の偏光手段の上記第1の側から入射して上記偏光選択反射手段で反射された光とが、再び上記第1の偏光手段を透過し、上記第1の側から視認するときの暗表示状態において、上記第1の偏光手段の上記第1の側から入射して上記反射手段で反射された光と、上記第1の偏光手段の上記第1の側から入射して上記偏光選択反射手段に向かった光とが、再び上記第1の偏光手段を透過しないように、通過する光の偏光状態を制御することを特徴としている。
上記の発明によれば、第1の側から視認するときの明表示状態においては、第1の偏光手段の第1の側から入射して反射手段で反射された光と、第1の偏光手段の第1の側から入射して偏光選択反射手段で反射された光とが、再び第1の偏光手段を透過するように、通過する光の偏光状態を表示媒体が制御するので、反射手段で反射された光と偏光選択反射手段で反射された光とが同時に明るい表示に寄与する。従って、反射型表示の明るさを確保することができる。
また、第1の側から視認するときの暗表示状態においては、第1の偏光手段の第1の側から入射して反射手段で反射された光と、第1の偏光手段の第1の側から入射して偏光選択反射手段に向かった光とが、再び第1の偏光手段を透過しないように、通過する光の偏光状態を表示媒体が制御するので、反射手段で反射された光も、偏光選択反射手段で反射された光も同時に黒表示に寄与する。従って、暗表示状態を問題なく実現することができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記第1の偏光状態は第1の方向の直線偏光の状態であり、上記第2の偏光状態は上記第1の方向と直交する第2の方向の直線偏光の状態であり、上記所定の偏光状態は上記第1の偏光状態であり、上記表示媒体は、上記第1の側から上記第1の偏光手段を透過した光に対して、明表示状態では偏光状態を略変化させず、暗表示状態では、上記透明基板と平行な面内に定めた偏光の直交軸の各成分間の位相差を、上記第1の偏光状態のときをゼロとして、上記第1の偏光手段から上記反射手段に向かう光の通過完了点で略π/2とするとともに上記反射手段から上記第1の偏光手段に向かう光の通過完了点で略πとし、上記第1の偏光手段から上記偏光選択反射手段に向かう光の通過完了点で略πとするように、通過する光の偏光状態を制御することを特徴としている。
上記の発明によれば、第1の側から上記第1の偏光手段を透過した光は第1の方向の直線偏光となるが、明表示状態では、表示媒体はこの光の偏光状態を略変化させないので、偏光選択反射手段に到達した光は反射され、反射手段で反射された光と併せて、再び第1の偏光手段を透過する。
また、暗表示状態では、表示媒体は、透明基板と平行な面内に定めた偏光の直交軸の各成分間の位相差を、第1の偏光状態のときをゼロとして、第1の偏光手段から反射手段に向かう光の通過完了点で略π/2とする制御を行うので、光は円偏光となって反射手段に到達する。反射手段で反射された光は上記円偏光とは偏光の回転方向が逆の逆円偏光となるので、表示媒体が、反射手段から上記第1の偏光手段に向かう光の通過完了点で略πとする制御を行うことにより、第1の偏光手段へは、第1の方向と直交する第2の方向の直線偏光の状態である第2の偏光状態となって到達し、第1の偏光手段を透過しない。また、表示媒体は、上記位相差を、第1の偏光手段から偏光選択反射手段に向かう光の通過完了点で略πとする制御を行うので、光は偏光選択反射手段へは第2の偏光状態となって到達し、偏光選択反射手段を透過する。
これにより、反射型の明表示状態において表示の明るさを確保することができるとともに、暗表示状態を問題なく実現することができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記第1の偏光手段と上記反射手段との間にある上記表示媒体と、上記第1の偏光手段と上記反射手段に対向しない上記偏光選択反射手段との間にある上記表示媒体とは、上記第1の側と上記第2の側とを結ぶ方向に見た厚みの比が略1対2であることを特徴としている。
上記の発明によれば、表示媒体は、第1の偏光手段と反射手段との間と、第1の偏光手段と反射手段に対向しない偏光選択反射手段との間とでは、第1の側と第2の側とを結ぶ方向に見た厚みの比が略1対2であるので、両方の領域における光の往復を考慮した偏光状態の制御を、両方の領域の表示媒体をECB液晶のような同一種類のものとしたまま、厚みの違いだけで実現することができる。尚、上記の比は、理想的には略1対2であるけれども、3対10以上、7対10以下であれば、両方の領域における光の光路長の整合を図ることができ、光の利用効率も向上するので、表示品位の向上を実現することができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記表示媒体は、表示のノーマリー状態において、上記偏光選択反射手段は上記第1の側から到達する光のほとんどを透過させ、上記第1の偏光手段は上記反射手段から反射されて到達する光のほとんどを吸収し、上記第2の偏光手段は上記第1の側から到達する光のほとんどを透過させ、表示の最大駆動状態において、上記偏光選択反射手段は上記第1の側から到達する光のほとんどを反射し、上記第1の偏光手段は上記反射手段から反射されて到達する光のほとんどを透過させることを特徴としている。
上記の発明によれば、液晶に電圧を印加しないときや低い電圧を印加するときなどのように、表示のノーマリー状態において、偏光選択反射手段は第1の側から到達する光のほとんどを透過させ、第1の偏光手段は上記反射手段から反射されて到達する光のほとんどを吸収し、第2の偏光手段は第1の側から到達する光のほとんどを透過させる。また、液晶に十分に高い電圧を印加するときなどのように、表示の駆動状態において、偏光選択反射手段は上記第1の側から到達する光のほとんどを反射し、第1の偏光手段は反射手段から反射されて到達する光のほとんどを透過させる。
従って、第1の側から反射型表示を視認するときにはノーマリーブラック、第2の側から透過型表示を視認するときにはノーマリーホワイトとなるので、透過型での黒表示を駆動状態で行うこととなり、透過型で行う黒表示を製造プロセスに依存せずに良好なものとし、コントラストを向上させることができる。
また、反射型表示において、反射手段を用いる領域と偏光選択反射手段を用いる領域とで、同時にノーマリー状態で黒表示を行い、同時に駆動状態で白表示を行うこととなる。従って、1つの画素に両方の領域が含まれていても、画素における両領域で黒表示および白表示を一致させることができ、良好な表示を実現することができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記表示媒体による表示の領域は、少なくとも、上記第1の側から上記表示媒体に入射する光を上記表示媒体に対して上記第2の側へ透過させる透過動作と、上記第1の側から上記表示媒体に入射する光を上記表示媒体に対して上記第1の側へ反射する反射動作とを行う第1領域と、上記第1の側から上記表示媒体を通過する光を上記第1の側へ反射する反射動作を行う第2領域とに分割され、上記表示媒体に対して上記第2の側に、上記表示媒体を上記第1の側から上記第2の側へ向かって通過する光の反射手段が配置され、上記第2領域は上記反射手段によって上記第2領域の反射動作を行い、上記第1の側から上記第1領域に入射する光を、上記第2の状態に制御して上記選択反射手段を透過させることによる上記第1領域の透過動作により、上記表示媒体に対する上記第2の側での表示に用いる透過型表示と、上記第1の側から上記第1領域に入射する光を、上記第1の状態に制御して上記選択反射手段によって反射させることによる上記第1領域の反射動作により、上記表示媒体に対する上記第1の側での表示に用いる第1の反射型表示と、上記第1の側から上記第2領域に入射する光を、上記第2領域の反射動作により、上記表示媒体に対する上記第1の側での表示に用いる第2の反射型表示とが可能であることを特徴としている。
上記の発明によれば、表示装置を第2の側から見るときに第1の領域を用いる透過型表示を行い、表示装置を第1の側から見るときに第1の領域と第2の領域とを用いる反射型表示を行うことができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記第1の反射型表示では、上記第1の側から上記第1領域に入射する光を上記第1の状態に制御して上記選択反射手段によって反射させて明表示状態とし、上記第1の側から上記第1領域に入射する光を上記第2の状態に制御して上記選択反射手段を透過させて暗表示状態とし、上記第2の反射型表示では、上記反射手段によって反射させた光を上記表示媒体に対する上記第1の側の視認者に到達させることにより明表示状態とし、上記反射手段によって反射させた光を上記表示媒体に対する上記第1の側の視認者に到達させないようにすることにより暗表示状態とし、上記第1の反射型表示と上記第2の反射型表示とで、明表示状態と暗表示状態とがそれぞれ一致することを特徴としている。
上記の発明によれば、第1の反射型表示と第2の反射型表示とで、明表示状態と暗表示状態とがそれぞれ一致するので、これらを合わせた表示は互いに打ち消し合うことなく良好なものとなる。また、表示装置に形成される光の非透過領域を第2の領域に設けることにより、第1の側から見る反射型表示を、第1の領域を用いる第1の反射型表示と第2の領域を用いる第2の反射型との両方で行う分、光の利用効率を高めることができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記透過型表示では、上記第1の側から上記第1領域に入射する光を上記第1の状態に制御して上記選択反射手段によって反射させて暗表示状態とし、上記第1の側から上記第1領域に入射する光を上記第2の状態に制御して上記選択反射手段を透過させて明表示状態とすることを特徴としている。
上記の発明によれば、第2の側から見る透過型表示の明表示状態を第1の側から見る反射型表示とし、第2の側から見る透過型表示の暗表示状態を第1の側から見る反射型表示の明表示状態とすることができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記表示媒体に対して上記第1の側に、所定の偏光状態の成分となる光のみを透過させる第1の偏光手段が配置されていることを特徴としている。
上記の発明によれば、高コントラスト比の表示をすることができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記所定の偏光状態は直線偏光の状態であり、上記第1の偏光状態は第1の方向の直線偏光の状態であり、上記第2の偏光状態は上記第1の方向と直交する第2の方向の直線偏光の状態であり、上記第1の偏光手段の透過軸と上記偏光選択反射手段の透過軸とは直交しており、上記表示媒体に駆動電圧のうち最も低い電圧が印加されたときに、上記第1の側から上記第1領域に入射した光は、上記偏光選択反射手段上で、上記偏光選択反射手段の透過軸と平行な長軸を有する楕円偏光か直線偏光となり、上記第1の側から上記第2領域に入射した光は、上記反射手段上で、楕円偏光か円偏光となることを特徴としている。
上記の発明によれば、第1領域と第2領域との両方を使用する反射型表示、すなわち第1の反射型表示と第2の反射型表示との両方を使用する反射型表示において、両者の黒表示を精度よく一致させて黒表示を良好にすることができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記所定の偏光状態は直線偏光の状態であり、上記第1の偏光状態は第1の方向の直線偏光の状態であり、上記第2の偏光状態は上記第1の方向と直交する第2の方向の直線偏光の状態であり、上記第1の偏光手段の透過軸と上記偏光選択反射手段の透過軸とは直交しており、上記表示媒体に駆動電圧のうち最も高い電圧が印加されたときに、上記第1の側から上記第1領域に入射した光は、上記偏光選択反射手段上で、上記偏光選択反射手段の透過軸と平行な長軸を有する楕円偏光か直線偏光となり、上記第1の側から上記第2領域に入射した光は、上記反射手段上で、楕円偏光か円偏光となることを特徴としている。
上記の発明によれば、第1領域と第2領域との両方を使用する反射型表示、すなわち第1の反射型表示と第2の反射型表示との両方を使用する反射型表示において、両者の黒表示を精度よく一致させて黒表示を良好にすることができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記偏光選択反射手段上での上記楕円偏光と上記直線偏光とは、楕円率が0.3以下の楕円偏光であり、上記反射手段上での上記楕円偏光と上記円偏光とは、楕円率が0.7以上の楕円偏光であることを特徴としている。
上記の発明によれば、第1の反射型表示と第2の反射型表示とのそれぞれにおいて、黒表示時に反射後の光が第1の偏光手段に対して第1の側にほとんど戻らないようにすることができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記偏光選択反射手段上での上記楕円偏光と上記直線偏光との楕円率が0.22以下であることを特徴としている。
上記の発明によれば、黒表示時に反射後の光が第1の偏光手段に対して第1の側により戻らないようにすることができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記反射手段上での上記楕円偏光と上記円偏光との楕円率が0.78以上であることを特徴としている。
上記の発明によれば、黒表示時に反射後の光が第1の偏光手段に対して第1の側により戻らないようにすることができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記表示媒体に対して少なくとも上記第1の側に光学補償素子が配置されていることを特徴としている。
上記の発明によれば、黒表示時に反射後の光が第1の偏光手段に対して第1の側にほとんど戻らないようにするための偏光状態の制御が容易になる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記表示媒体に対して上記第2の側に光学補償素子が配置されていることを特徴としている。
上記の発明によれば、透過型表示において、第1の側にある光学補償素子による偏光状態の制御に合わせて第2の側にある光学補償素子により偏光状態の制御を行うことができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記光学補償手段は複数の光学補償素子からなることを特徴としている。
上記の発明によれば、可視光領域の広い範囲で所望の偏光状態を得ることができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記第2領域の上記表示媒体は、リタデーションが150nm以上340nm以下の90°ツイストネマティック液晶層であることを特徴としている。
上記の発明によれば、表示媒体に90°ツイストネマティック液晶層を用いる場合に、反射型表示時の黒表示において、反射手段上で楕円率が0.7以上の楕円偏光を得ることができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記第1領域の上記表示媒体は、リタデーションが400nm以上の90°ツイストネマティック液晶層であることを特徴としている。
上記の発明によれば、表示媒体に90°ツイストネマティック液晶層を用いる場合に、透過型表示時に液晶層の透過率を大きくすることができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記第1の偏光手段と上記表示媒体との間にリタデーションを有する第1の光学補償手段が配置され、上記表示媒体と上記偏光選択反射手段との間にリタデーションを有する第2の光学補償手段が配置され、上記偏光選択反射手段に対して上記第2の側に、上記第1の偏光状態の成分となる光を吸収し、上記第2の偏光状態の成分となる光を透過させる第2の偏光手段が配置され、上記表示媒体は略平行配向の液晶層であり、上記第1の偏光手段の透過軸と上記第2の偏光手段の透過軸とは略直交の関係にあり、液晶分子のダイレクタと上記第1の光学補償手段の遅相軸とは略直交の関係にあり、電圧無印加状態における上記第2領域の上記液晶層のリタデーションRrの値と上記第1の光学補償手段のリタデーションR1の値とが、−175nm≦(Rr−R1)≦−105nmを満足し、液晶分子のダイレクタと上記第2の光学補償手段の遅相軸とが略平行の関係にあり、電圧無印加状態における上記第1領域の上記液晶層のリタデーションRtの値と上記第1の光学補償手段のリタデーションR1の値と上記第2の光学補償手段のリタデーションR2の値とが、190nm≦(Rt−R1+R2)≦300nmを満足することを特徴としている。
上記の発明によれば、反射型表示において8%以上の反射率と5以上のコントラスト比とが得られ、透過型表示において8%以上の透過率と10以上のコントラスト比とが得られる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記第1の偏光手段と上記表示媒体との間にリタデーションを有する第1の光学補償手段が配置され、上記表示媒体と上記偏光選択反射手段との間にリタデーションを有する第2の光学補償手段が配置され、上記偏光選択反射手段に対して上記第2の側に、上記第1の偏光状態の成分となる光を吸収し、上記第2の偏光状態の成分となる光を透過させる第2の偏光手段が配置され、上記表示媒体は略平行配向の液晶層であり、上記第1の偏光手段の透過軸と上記第2の偏光手段の透過軸とは略直交の関係にあり、液晶分子のダイレクタと上記第1の光学補償手段の遅相軸とは略直交の関係にあり、駆動電圧のうち最も高い電圧が印加された状態における上記第2領域の上記液晶層のリタデーションRrの値と上記第1の光学補償手段のリタデーションR1の値とが、−175nm≦(Rr−R1)≦−105nmを満足し、液晶分子のダイレクタと上記第2の光学補償手段の遅相軸とが略平行の関係にあり、上記最も高い電圧が印加された状態における上記第1領域の上記液晶層のリタデーションRtの値と上記第1の光学補償手段のリタデーションR1の値と上記第2の光学補償手段のリタデーションR2の値とが、190nm≦(Rt−R1+R2)≦300nmを満足することを特徴としている。
上記の発明によれば、反射型表示において8%以上の反射率と5以上のコントラスト比とが得られ、透過型表示において8%以上の透過率と10以上のコントラスト比とが得られる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記第1の偏光手段と上記表示媒体との間にリタデーションを有する第1の光学補償手段が配置され、上記表示媒体と上記偏光選択反射手段との間にリタデーションを有する第2の光学補償手段が配置され、上記偏光選択反射手段に対して上記第2の側に、上記第1の偏光状態の成分となる光を吸収し、上記第2の偏光状態の成分となる光を透過させる第2の偏光手段が配置され、上記表示媒体は略平行配向の液晶層であり、上記記第1の偏光手段の透過軸と上記第2の偏光手段の透過軸とは略平行の関係にあり、液晶分子のダイレクタと上記第1の光学補償手段の遅相軸とは略直交の関係にあり、電圧無印加状態における上記第2領域の上記液晶層のリタデーションRrの値と上記第1の光学補償手段のリタデーションR1の値とが、−175nm≦(Rr−R1)≦−105nmを満足し、電圧無印加状態における上記第1領域の上記液晶層のリタデーションRtの値と前記第1の光学補償素子のリタデーションR1の値と前記第2の光学補償素子のリタデーションR2の値とが、液晶分子のダイレクタと上記第2の光学補償手段の遅相軸とが略平行の関係にある時、25nm≦(Rt−R1+R2)≦50nmを満足する、あるいは、液晶分子のダイレクタと上記第2の光学補償素子の遅相軸とが略直交の関係にある時、−50nm≦(Rt−R1−R2)≦25nmを満足することを特徴としている。
上記の発明によれば、反射型表示において8%以上の反射率と5以上のコントラスト比とが得られ、透過型表示において8%以上の透過率と10以上のコントラスト比とが得られる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記第1の偏光手段と上記表示媒体との間にリタデーションを有する第1の光学補償手段が配置され、上記表示媒体と上記偏光選択反射手段との間にリタデーションを有する第2の光学補償手段が配置され、上記偏光選択反射手段に対して上記第2の側に、上記第1の偏光状態の成分となる光を吸収し、上記第2の偏光状態の成分となる光を透過させる第2の偏光手段が配置され、上記表示媒体は略平行配向の液晶層であり、上記記第1の偏光手段の透過軸と上記第2の偏光手段の透過軸とは略平行の関係にあり、液晶分子のダイレクタと上記第1の光学補償手段の遅相軸とは略直交の関係にあり、駆動電圧のうち最も高い電圧が印加された状態における上記第2領域の上記液晶層のリタデーションRrの値と上記第1の光学補償手段のリタデーションR1の値とが、−175nm≦(Rr−R1)≦−105nmを満足し、上記最も高い電圧が印加された状態における上記第1領域の上記液晶層のリタデーションRtの値と前記第1の光学補償素子のリタデーションR1の値と前記第2の光学補償素子のリタデーションR2の値とが、液晶分子のダイレクタと上記第2の光学補償手段の遅相軸とが略平行の関係にある時、25nm≦(Rt−R1+R2)≦50nmを満足する、あるいは、液晶分子のダイレクタと上記第2の光学補償素子の遅相軸とが略直交の関係にある時、−50nm≦(Rt−R1−R2)≦25nmを満足することを特徴としている。
上記の発明によれば、反射型表示において8%以上の反射率と5以上のコントラスト比とが得られ、透過型表示において8%以上の透過率と10以上のコントラスト比とが得られる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記第1の偏光手段と上記表示媒体との間にリタデーションを有する第1の光学補償手段が配置され、上記表示媒体と上記偏光選択反射手段との間にリタデーションを有する第2の光学補償手段が配置され、上記偏光選択反射手段に対して上記第2の側に、上記第1の偏光状態の成分となる光を吸収し、上記第2の偏光状態の成分となる光を透過させる第2の偏光手段が配置され、上記表示媒体は平行配向の略液晶層であり、上記第1の偏光手段の透過軸と上記第2の偏光手段の透過軸とは略直交の関係にあり、液晶分子のダイレクタと上記第1の光学補償手段の遅相軸とは略直交の関係にあり、電圧無印加状態における上記第2領域の上記液晶層のリタデーションRrの値と上記第1の光学補償手段のリタデーションR1の値とが、100nm≦(Rr−R1)≦170nmを満足し、液晶分子のダイレクタと上記第2の光学補償手段の遅相軸とは略直交の関係にあり、電圧無印加状態における上記第1領域の上記液晶層のリタデーションRtの値と上記第1の光学補償手段のリタデーションR1の値と上記第2の光学補償手段のリタデーションR2の値とが、190nm≦(Rt−R1−R2)≦300nmを満足することを特徴としている。
上記の発明によれば、反射型表示において8%以上の反射率と5以上のコントラスト比とが得られ、透過型表示において8%以上の透過率と10以上のコントラスト比とが得られる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記第1の偏光手段と上記表示媒体との間にリタデーションを有する第1の光学補償手段が配置され、上記表示媒体と上記偏光選択反射手段との間にリタデーションを有する第2の光学補償手段が配置され、上記偏光選択反射手段に対して上記第2の側に、上記第1の偏光状態の成分となる光を吸収し、上記第2の偏光状態の成分となる光を透過させる第2の偏光手段が配置され、上記表示媒体は平行配向の略液晶層であり、上記第1の偏光手段の透過軸と上記第2の偏光手段の透過軸とは略直交の関係にあり、液晶分子のダイレクタと上記第1の光学補償手段の遅相軸とは略直交の関係にあり、駆動電圧のうち最も高い電圧が印加された状態における上記第2領域の上記液晶層のリタデーションRrの値と上記第1の光学補償手段のリタデーションR1の値とが、100nm≦(Rr−R1)≦170nmを満足し、液晶分子のダイレクタと上記第2の光学補償手段の遅相軸とは略直交の関係にあり、上記最も高い電圧が印加された状態における上記第1領域の上記液晶層のリタデーションRtの値と上記第1の光学補償手段のリタデーションR1の値と上記第2の光学補償手段のリタデーションR2の値とが、190nm≦(Rt−R1−R2)≦300nmを満足することを特徴としている。
上記の発明によれば、反射型表示において8%以上の反射率と5以上のコントラスト比とが得られ、透過型表示において8%以上の透過率と10以上のコントラスト比とが得られる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記第1の偏光手段と上記表示媒体との間にリタデーションを有する第1の光学補償手段が配置され、上記表示媒体と上記偏光選択反射手段との間にリタデーションを有する第2の光学補償手段が配置され、上記偏光選択反射手段に対して上記第2の側に、上記第1の偏光状態の成分となる光を吸収し、上記第2の偏光状態の成分となる光を透過させる第2の偏光手段が配置され、上記表示媒体は略平行配向の液晶層であり、上記第1の偏光手段の透過軸と上記第2の偏光手段の透過軸とは略平行の関係にあり、液晶分子のダイレクタと上記第1の光学補償手段の遅相軸とは略直交の関係にあり、電圧無印加状態における上記第2領域の上記液晶層のリタデーションRrの値と上記第1の光学補償手段のリタデーションR1の値とが、100nm≦(Rr−R1)≦170nmを満足し、液晶分子のダイレクタと上記第2の光学補償手段の遅相軸とは略直交の関係にあり、電圧無印加状態における上記第1領域の上記液晶層のリタデーションRtの値と上記第1の光学補償手段のリタデーションR1の値と上記第2の光学補償手段のリタデーションR2の値とが、−50nm≦(Rt−R1−R2)≦50nmを満足することを特徴としている。
上記の発明によれば、反射型表示において8%以上の反射率と5以上のコントラスト比とが得られ、透過型表示において8%以上の透過率と10以上のコントラスト比とが得られる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記第1の偏光手段と上記表示媒体との間にリタデーションを有する第1の光学補償手段が配置され、上記表示媒体と上記偏光選択反射手段との間にリタデーションを有する第2の光学補償手段が配置され、上記偏光選択反射手段に対して上記第2の側に、上記第1の偏光状態の成分となる光を吸収し、上記第2の偏光状態の成分となる光を透過させる第2の偏光手段が配置され、上記表示媒体は略平行配向の液晶層であり、上記第1の偏光手段の透過軸と上記第2の偏光手段の透過軸とは略平行の関係にあり、液晶分子のダイレクタと上記第1の光学補償手段の遅相軸とは略直交の関係にあり、駆動電圧のうち最も高い電圧が印加された状態における上記第2領域の上記液晶層のリタデーションRrの値と上記第1の光学補償手段のリタデーションR1の値とが、100nm≦(Rr−R1)≦170nmを満足し、液晶分子のダイレクタと上記第2の光学補償手段の遅相軸とは略直交の関係にあり、上記最も高い電圧が印加された状態における上記第1領域の上記液晶層のリタデーションRtの値と上記第1の光学補償手段のリタデーションR1の値と上記第2の光学補償手段のリタデーションR2の値とが、−50nm≦(Rt−R1−R2)≦50nmを満足することを特徴としている。
上記の発明によれば、反射型表示において8%以上の反射率と5以上のコントラスト比とが得られ、透過型表示において8%以上の透過率と10以上のコントラスト比とが得られる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記表示媒体に対して上記第1の側に、光散乱機能を有する光散乱手段が配置されていることを特徴としている。
上記の発明によれば、透過型表示において、周囲光が表示装置の第1の側から入射したときに周囲光による模様の重なりが視認されるのを回避することができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記表示装置全体のヘイズが、50以上95以下であることを特徴としている。
上記の発明によれば、周囲光による模様の重なりとコントラスト比の低下との両方を抑制することができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記第1の偏光手段の透過軸の方向は、上記表示装置を使用するときの装置姿勢における水平方向に一致していることを特徴としている。
上記の発明によれば、電場が水平方向に振動する偏光成分の多い環境に合わせて、光の利用効率を向上させることができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記表示装置の上記第1の側および上記第2の側の少なくとも一方において、上記表示装置に出入りする光の所定のものに対して、通常の通過状態となる進行状態を別の状態となる進行状態に切り替えることが可能な光変調手段を備えていることを特徴としている。
上記の発明によれば、光変調手段によって表示装置を出入りする光の進行状態を切り替えることにより、光がそのまま進行した場合の、表示装置に対して視認者と反対側で表示が読み取られる問題、および表示に都合が悪いという問題を回避することができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記光変調手段は、上記出入りする光のうち上記表示装置から外部へ向う方向に進行する光に対して、上記光変調手段に対して透過状態となる上記進行状態と、上記光変調手段に対して散乱状態となる上記進行状態とを切り替えることを特徴としている。
上記の発明によれば、散乱状態となる進行状態に切り替えることによって、表示装置に対して視認者と反対側で表示が読み取られないようにすることができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記表示装置の表示用の光を、上記出入りする光のうちの入る光として照射する光照射手段が配置されており、上記光変調手段は、上記光照射手段に対して上記表示媒体側に配置され、上記散乱状態となる上記進行状態において、上記光照射手段から照射される光を上記光変調手段に対して散乱状態とすることを特徴としている。
上記の発明によれば、光照射手段から照射される光を用いて透過型表示を行うときに、散乱状態となる進行状態に切り替えることによって、表示装置に対して視認者と反対側で表示が読み取られないようにすることができる。そして、この進行状態において光照射手段から照射される光は、光変調手段によって散乱状態となってから表示装置にとって入る光として使用されるので、光照射手段から照射される光に濃淡むらがある場合でも表示性能の低下を防止することができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記光変調手段は、上記出入りする光のうち上記表示装置から外部へ向う方向に進行する光に対して、上記光変調手段に対して透過状態となる上記進行状態と、上記光変調手段に対して反射状態となる上記進行状態とを切り替えることを特徴としている。
上記の発明によれば、反射状態となる進行状態に切り替えることによって、表示装置に対して視認者と反対側で表示が読み取られないようにすることができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記光変調手段は、互いに直交の関係にある2つの偏光状態の光の両方が上記光変調手段に対して透過状態となる上記進行状態と、上記2つの偏光状態の光の一方が上記光変調手段に対して反射状態となって他方が上記光変調手段に対して透過状態となる上記進行状態とを切り替えることを特徴としている。
上記の発明によれば、出入りする光のうち上記表示装置から外部へ向う方向に進行する光を2つの偏光状態の光の上記一方とすることにより、上記一方が反射状態となって他方が透過状態となる進行状態において、表示装置に対して視認者と反対側で表示が読み取られないようにすることができる。そして、この進行状態においては、出入りする光のうち外部から表示装置へ向う方向に進行する光のうち、2つの偏光状態の光の上記一方が反射状態ともなるので、この反射光によっても、表示装置に対して視認者と反対側で表示が読み取られないようにすることができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記光変調手段は、上記出入りする光のうち上記表示装置から外部へ向う方向に進行する光に対して、進行方向を変えない光路を上記光変調手段内に設定する上記進行状態と、進行方向をそらせる光路を上記光変調手段内に設定する上記進行状態とを切り替えることを特徴としている。
上記の発明によれば、進行方向をそらせる光路を光変調手段内に設定する進行状態に切り替えることによって、表示装置に対して視認者と反対側で表示が読み取られないようにすることができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記光変調手段は、上記出入りする光のうち上記表示装置から外部へ向う方向に進行する光に対して、上記光変調手段に対して透過状態となる上記進行状態と、上記光変調手段に対して吸収状態となる上記進行状態とを切り替えることを特徴としている。
上記の発明によれば、吸収状態となる進行状態に切り替えることによって、表示装置に対して視認者と反対側で表示が読み取られないようにすることができる。
上記表示装置の表示用の光を照射する光照射手段が配置されており、上記光変調手段は、上記光照射手段の保護カバーを兼ねていることを特徴としている。
上記の発明によれば、光照射手段の防塵防汚を、他に保護カバーを設けることなく、従って表示装置全体の厚みを増加させることなく行うことができる。
また、本発明の参考に係る表示装置は、上記課題を解決するために、上記光変調手段は、上記表示装置の上記第1の側での表示画面と上記表示装置の上記第2の側での表示画面とのいずれを使用画面とするかに連動して上記進行状態を切り替えることを特徴としている。
上記の発明によれば、使用する表示画面を選択すればそれに合わせて光変調手段の切り替え動作が行われるので、切り替え動作を指示する操作が不要となる。
また、本発明の参考に係る表示装置搭載機器は、上記課題を解決するために、上記のいずれかの表示装置が搭載され、上記表示装置の上記第1の側の表示面が外側を向くとともに上記第2の側の表示面が内側を向くように折りたたみ可能なことを特徴としている。
上記の発明によれば、折りたたんだ状態で第1の側の表示面に選択反射手段による反射を利用した表示を行って外部から視認することができ、開いた状態で第2の側の表示面に選択反射手段による透過を利用した表示を行って視認することができる。
また、本発明の参考に係る表示装置搭載機器は、上記課題を解決するために、折りたたまれた状態で上記表示装置の上記第2の側の表示面と対向する部材に、光吸収を行う部材が用いられていることを特徴としている。
上記の発明によれば、折りたたんだ状態で第1の側の表示面を視認するときに、第2の側の表示面と対向する部材で光吸収を行うことにより、光が第2の側から表示装置を通って第1の側に達しないようにすることができ、暗表示の白浮きを防止することができる。
また、本発明の参考に係る表示装置搭載機器は、上記課題を解決するために、上記表示装置の上記第1の側での表示と上記第2の側での表示との表示反転を指示する操作ボタンを備えていることを特徴としている。
上記の発明によれば、表示装置が第1の側の表示と第2の側の表示とが互いに反転表示である場合に、操作ボタンによって、第1の側での表示の視認と第2の側での表示の視認とのそれぞれに適切な表示状態を得ることができる。
また、本発明の参考に係る表示装置搭載機器は、上記課題を解決するために、上記操作ボタンは、折りたたみの開閉動作に連動して自動的に操作されて上記表示反転を指示する自動操作ボタンであることを特徴としている。
上記の発明によれば、開状態と閉状態とで視認する表示が第1の側と第2の側との間で切り替える場合に、自動操作ボタンによって自動的にそれぞれに適切な表示状態を得ることができる。
また、本発明の参考に係る表示装置搭載機器は、上記課題を解決するために、上記表示装置が搭載され、上記表示装置の上記第2の側の表示面と対向して配置可能な、光吸収を行う部材を備えていることを特徴としている。
上記の発明によれば、第1の側の表示面を視認するときに、光吸収を行う部材を第2の側の表示面と対向して配置することより、光が第2の側から表示装置を通って第1の側に達しないようにすることができ、暗表示の白浮きを防止することができる。
本発明のさらに他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分わかるであろう。また、本発明の利益は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
本発明の液晶表示装置は、以上のように、アクティブマトリクス型の表示を行うための基板対の一方の基板をなす第1基板と、前記基板対の他方の基板として前記第1基板に対向して配置され、マトリクスを形成するスイッチング素子と金属配線と透明画素電極とを有する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置された液晶層と、前記第1基板の前記液晶層側と反対側に配置された第1偏光板と、前記第2基板の前記液晶層側と反対側に、前記第2基板に近い側から順に配置された偏光選択反射板と第2偏光板と、を備え、前記第2基板には、前記スイッチング素子および前記金属配線を前記液晶層側から覆うとともに前記透明画素電極が前記液晶層側に積層される絶縁膜と、前記スイッチング素子と前記金属配線との少なくとも一部と前記絶縁層を介して対向する反射板とが形成されており、前記液晶層から前記第1基板側へ向かう方向と、前記液晶層から前記第2基板側へ向う方向との両方に画像表示する。
以上により、明所および暗所の両方において黒表示を良好に行うことができる両面表示型の液晶表示装置を提供することができるという効果を奏する。
以下、実施の形態により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
〔実施の形態1〕
本発明の参考形態としての一実施の形態について図1ないし図4、および図10に基づいて説明すれば以下の通りである。
図1に、本実施の形態に係る液晶表示装置(表示装置)1の断面構成を示す。
液晶表示装置1は、第1ガラス基板11、第2ガラス基板12、液晶層13、第1偏光板14、第2偏光板15、偏光選択反射板16、カラーフィルタ17、遮光膜18、透明電極19、スイッチング素子20、光吸収層21、光源22、および導光板23を備えている。また、一対の透明基板である第1ガラス基板11と第2ガラス基板12との間に液晶層13を挟んだ構成になっており、液晶層13を挟む両側のうち液晶層13から第1ガラス基板11側を向く側をA側(第1の側)、液晶層13から第2ガラス基板12側を向く側をB側(第2の側)とする。
光源22および導光板23はフロントライトを構成している。フロントライトは液晶表示装置1の最もA側に設けられ、光源22から発せられた光を導光板23がB側へ向けて照射する。液晶層(表示媒体)13は例えばTN(Twisted Nematic)液晶であり、自身に入射されて通過する直線偏光の光に対して、電圧の無印加時に偏光方向を90°回転させる制御を行い、電圧の印加時に偏光方向を変化させない制御を行う。
第1偏光板(第1の偏光手段)14は第1ガラス基板11のA側面に設けられ、所定の向きに設定された透過軸を有し、透過軸方向の直線偏光の成分となる光のみを透過させる。フロントライトから無偏光の光が第1偏光板14に入射すると、第1偏光板14の透過軸方向に平行な直線偏光になり透過する。第1偏光板14としては、高分子樹脂フィルムにヨウ素、二色性染料等の吸収体を混入し延伸することで吸収体を配向させたものを用いた。偏光板材料としては、上記以外のものであっても、無偏光を直線偏光にするものであれば何でもよい。第2偏光板(第2の偏光手段)15は第2ガラス基板12のB側面に設けられ、透過軸の方向が第1偏光板14と同じ偏光板である。
偏光選択反射板(選択反射手段、偏光選択反射手段)16は第2ガラス基板12のA側面に設けられている。偏光選択反射板16は、自身に入射する直線偏光の光の偏光方向が反射軸と平行であるときにはこの光を第1の偏光状態(第1の状態、第1の方向の直線偏光の状態)の光として反射し、偏光方向が透過軸と平行であるときにはこの光を第2の偏光状態(第2の状態、第2の方向の直線偏光の状態)の光として透過させる。偏光選択反射板16の反射軸と透過軸とは互いに直交している。また、偏光選択反射板16の反射軸は第1偏光板14の透過軸と直交する方向であり、偏光選択反射板16の透過軸は第1偏光板14の透過軸および第2偏光板15の透過軸と平行である。本実施の形態では、高分子膜を積層することで作成された既知の偏光選択反射板を用いた。また一方直線偏光を透過し、他方直線偏光を反射する偏光選択反射板であれば何でも良い。
カラーフィルタ17は、第1ガラス基板11のB側面にRGBの3色分がそれぞれ設けられている。偏光選択反射板16は、このカラーフィルタ17と対向する領域に設けられている。遮光膜18はカラーフィルタ17に隣接して、スイッチング素子20およびその他配線に対向する領域に設けられており、A側からB側へ透過する光を遮光する。
透明電極19は第1ガラス基板11上でカラーフィルタ17および遮光膜18のB側面、および第2ガラス基板12上で偏光選択反射板16のA側面のそれぞれに設けられている。透明電極材料としてはITO(酸化インジウムと酸化錫からなる合金)を用いた。透明電極材料としては、他の透明性を有する導電性金属膜を用いても同じである。又、本実施例では金属からなる透明電極材料を用いた例を記載しているが、金属以外の樹脂、半導体等の透明性を有する材料であれば何でも良い。また、配線接続を行うためのコンタクト部19aが適宜備えられている。
スイッチング素子20は、第2ガラス基板12のA側面に設けられ、各画素を駆動するためにスイッチングするTFTなどのアクティブ素子である。また、スイッチング素子20と第2のガラス基板12との間には光吸収層21が設けられている。
図1に示す液晶表示装置1はA側からもB側からも表示を視認することのできる両面ディスプレイであり、あらゆる環境下で視認を行うことができる。図1のA側から視認する場合、外光が強い明所では、フロントライトを点灯させずに、外光の偏光選択反射板16による反射光を利用して表示を行うことができる。また、外光が弱い暗所では、フロントライトを点灯させて、フロントライトの光を偏光選択反射板16で反射させて表示を行う。一方、図1のB側から視認する場合、明所ではフロントライトを点灯させずに、外光の偏光選択反射板16による透過光を利用して表示を行うことができる。また、暗所では、フロントライトを点灯させて、フロントライトの光を偏光選択反射板16で透過させて表示を行う。
次に、液晶層13がTN層である場合の表示方法について図2および図3を用いて詳細に説明する。
まず、図2を用い、A側から視認する場合について説明する。外光およびフロントライト光である無偏光が第1偏光板14を通過することで直線偏光になる。図2の第1偏光板14は横(紙面に対して平行)方向の直線偏光が透過するようになっている。その直線偏光が液晶層13を通過することで、旋光されて90°捩れ、縦(紙面に対して垂直)方向の直線偏光になる。第1偏光板14の透過軸と、偏光選択反射板16の透過軸とを平行になるように設定している場合、直線偏光が液晶層13で90°捩れ、偏光選択反射板16の透過軸に直交して入射する。これにより、直線偏光が偏光選択反射板16の反射軸に平行に入射する。反射軸に平行に入射した直線偏光は反射され、再度、液晶層13で90°捩れて、元の直線偏光に戻り、第1偏光板14を透過する。このようにして光をA側に戻すようにし、明表示状態を実現している。
液晶層13に電圧を印加した場合、液晶層13の捩れがとけて、液晶分子が第1ガラス基板11および第2ガラス基板12に対して垂直になっている状態になる。外光およびフロントライト光が第1偏光板14を通過することで直線偏光になる。その直線偏光は、液晶分子が垂直になっているため、液晶層13をそのまま通過する。第1偏光板14の透過軸と偏光選択反射板16の透過軸とが平行であるため、直線偏光は偏光選択反射板16を透過する。そして、第2偏光板15の透過軸と偏光選択反射板16の透過軸とが平行であるため、この直線偏光は第2偏光板15を透過して液晶表示装置1のB側へ抜ける。このようにして光をA側に戻さないようにし、暗表示状態を実現している。
次に、図3を用いて、B側から視認する場合について説明する。外光およびフロントライト光である無偏光が第1偏光板14を通過することで直線偏光になる。図3の各軸設定は図2と同じであり、第1偏光板14を横(紙面に対して平行)方向の直線偏光が透過する。その直線偏光が液晶層13を通過することで旋光されて90°捩れ、縦(紙面に対して垂直)方向の直線偏光になる。第1偏光板14の透過軸と偏光選択反射板16の透過軸とが平行になるように設定している場合、直線偏光が液晶層13で90°捩れ、偏光選択反射板16の透過軸に直交して入射する。そのことにより、直線偏光が偏光選択反射板16の反射軸に平行に入射する。反射軸に入射した直線偏光は反射され、再度、液晶層13で90°捩れて元の直線偏光に戻り、第1偏光板14を透過する。このようにして、B側に光を透過させないようにし、暗表示状態を実現している。
またこのとき、B側から光が入射したとすると、この光は第2偏光板15によって直線偏光となり、偏光選択反射板16を透過する。これにより、この直線偏光は液晶層13で90°捩れ、第1偏光板14の透過軸と直交する直線偏光となり第1偏光板14で吸収される。このように、従来とは異なって偏光選択反射板16は液晶層13に対してB側にのみ配置されているので、液晶層13に対してA側からの反射光がない。またこのとき、B側から入射して第2偏光板15を透過した光には、第2偏光板15による吸収のために第2偏光板15の透過軸に直交する方向の直線偏光が含まれていないので、偏光選択反射板16によって反射されてB側に戻る光はない。
従って、A側から入射する光を表示に用いてB側から視認を行うときの暗表示状態で、B側から入射した光が反射して戻ってこないようにすることができるので、暗所のみならず明所でも黒表示が良好になる。この結果、液晶表示装置1は明所および暗所の両方において黒表示を良好に行うことができる。
次に、液晶層13に電圧を印加した場合、液晶層13の捩れがとけて、液晶分子が第1ガラス基板11および第2ガラス基板12に対して垂直になっている状態になる。外光およびフロントライト光が第1偏光板14を通過する事で直線偏光になる。その直線偏光は、液晶分子が垂直になっているため、液晶層13をそのまま通過する。第1偏光板14の透過軸と偏光選択反射板16の透過軸とが平行であるため、直線偏光は偏光選択反射板16を通過する。そして、第2偏光板15の透過軸と偏光選択反射板16の透過軸とが平行であるため、この直線偏光は第2偏光板15を透過して液晶表示装置1のB側へ抜ける。このようにして、明表示状態を実現している。
また、液晶表示装置1が光吸収層21を備えていることにより、B側から入射して駆動配線に向かって進む光は光吸収層21に吸収されるので、駆動配線などの金属配線からの反射をなくし、暗表示状態での白浮きを防止することができる。この光吸収層21は、スイッチング素子20のB側面のみならず、画素の駆動配線のB側面に備えられていてもよい。図10に斜線を施したような、光吸収層21をスイッチング素子20や、ゲートバスライン、ソースバスライン、Csバスラインなどの駆動配線の領域のB側面に光吸収層21を設けることができる。
また、別の反射防止処理として上記光吸収層21の有無に関わらず、上記バスラインなどの駆動配線が光の反射を所定量以下に抑制する低反射材料で形成されるようにしてもよい。このようにすると、B側から入射して駆動配線に向かって進む光は駆動配線によって反射が所定量以下に抑制されるので、駆動配線からの反射の影響をなくすことができる。
ここで、偏光選択反射板16を液晶層13に対してA側とB側との両方に設けた場合の構成を比較例として図4に示す。
図4の液晶表示装置2は、第1ガラス基板11と第1偏光板14との間にもう一つの偏光選択反射板16aを備えている。図1の偏光選択反射板16に相当する偏光選択反射板16bは第2ガラス基板12と第2偏光板15との間に設けられている。偏光選択反射板16aと偏光選択反射板16bとは同一のものである。各偏光板および各偏光選択反射板の軸設定が図2および図3と同じであるとすると、暗表示状態ではB側から入射した光が第2偏光板15で直線偏光となって偏光選択反射板16bを透過し、液晶層13で90°旋光されて偏光選択反射板16aで反射される。この反射光は再度液晶層13で90°旋光されて偏光選択反射板16bおよび第2偏光板15を透過してB側へ戻る。
以上に述べた表示方法により、液晶表示装置1では、あらゆる環境下でA側およびB側の両面から表示を視認することが可能となる。また、上述する構成の場合、A側での表示は、液晶層13の電圧無印加状態で明表示状態を実現し、液晶層13の電圧印加状態で暗表示状態を実現している。B側での表示は、A側とは反対で、液晶層13の電圧無印加状態で暗表示状態、液晶層13の電圧印加状態で明表示状態を実現している。このことから分かるように、A側での表示とB側での表示とは、同じ表示データに対してそのままでは明暗(ネガポジ)が反転する。
そこで、本実施の形態では、駆動回路がA側の表示データとB側の表示データとの明暗を互いに反転させるような回路構成となっている。このような回路構成にすることにより、A側で表示を行うときと、B側で表示を行うときとで、互いの表示の明暗の関係を揃えることができる。
本実施の形態の液晶表示装置1では偏光選択反射板16を第2ガラス基板12のA側面(液晶パネルの内側)に形成しているが、図4の液晶表示装置2のように第2ガラス基板12のB側面(液晶パネルの外側)に形成した場合であっても同様の効果が得られる。その場合、第2ガラス基板12の板厚による視差の問題が起こってしまうときには、第2ガラス基板12の板厚を薄く(望ましくは0.3mmt以下)することで回避可能である。
〔実施の形態2〕
本発明の参考形態としての他の実施の形態について図5ないし図7、および図53ないし図61に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、前記実施の形態1で述べた構成要素と同一の機能を有する構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態では、両面ディスプレイの液晶表示装置を搭載した表示装置搭載機器について説明する。
まず、表示装置搭載機器が携帯電話である場合の例を説明する。
携帯電話端末は、ストレートタイプと折りたたみ式との2種類がある。近年、画像の受信や、データ表示領域の拡大から折りたたみ式の携帯電話端末が主流と成りつつある。折りたたみ式の携帯電話端末は、通話やデータ処理を行う際は折りたたみを解除した状態で使用している。図5に示すように、待ち受け時は折りたたまれた状態で保持されている。折りたたまれた状態で、時計や着信有り等の情報を確認するために、背面ディスプレイADが設置され、そのディスプレイで簡易情報を表示している。前面ディスプレイBDは端末の内側に位置する。
本実施の形態に係る両面ディスプレイの液晶表示装置(表示装置)3を用いた携帯電話端末を図6(a)・(b)に、また、液晶表示装置3の断面構成を図7に示す。
図6(a)に示すように、通話やデータ処理等を行う主情報を表示する場合は、前面ディスプレイBDで表示を行う。前面ディスプレイBDで表示を確認する場合は、図7のB側から表示を視認することになる。B側から表示を視認する場合、外光が強い場合は、フロントライトを点灯させずに外光を透過させることにより表示を行ったり、フロントライトを点灯させてフロントライト光を透過させることにより表示を行ったりする。外光が弱い場合は、フロントライトを点灯させて、フロントライト光を透過させることにより表示を行う。明表示状態と暗表示状態との切り替えは、液晶層13の印加電圧で制御する。
図6(b)に示すように、携帯電話端末を折りたたんだ状態で使用する場合は、背面ディスプレイADで表示確認を行う。この場合、図7のA側から表示を視認することになる。外光が強い場合は、フロントライトを点灯させずに、外光を偏光選択反射板16で反射させることにより表示を行う。外光が弱い場合は、フロントライトを点灯させて、フロントライト光を偏光選択反射板16で反射させることにより表示を行う。明表示状態と暗表示状態との切り替えは、液晶層13の印加電圧で制御する。
明表示時(ノーマリーホワイト表示モード時)には、入射光を偏光選択反射板16にて反射させて明表示状態を得る。また、暗表示時(ノーマリーホワイト表示モード時)には、偏光選択反射板16が光を透過させて、再帰させないことで暗表示状態を得ている。携帯電話端末を折りたたんだ状態で使用する場合は、偏光選択反射板16を透過した光が裏面の操作面等で反射されて再帰する。そのことにより暗表示状態の黒表示が浮いた状態(白浮き)になることでコントラスト低下を引き起こす可能性がある。また、外光等が上記裏面反射等により、液晶表示装置3を通ってA側に再帰しても暗表示の白浮きとなる。
この点を解決するために、図7に示すように、液晶表示装置3には、第2偏光板15のB側面に位相差フィルム31が配置されている。この位相差フィルム31はλ/4フィルム(λ/4板)である。位相差フィルム31があることにより、第2偏光板15を透過した直線偏光が円偏光になり、その円偏光が操作面等で反射して再度位相差フィルム31を通過することで、第2偏光板15の透過軸と直交した直線偏光が得られる。この直線偏光が第2偏光板15に入射することで、吸収軸と平行になるために光が吸収されて、光が再帰することなく良好な暗表示状態を保つことができる。
また、本実施の形態では、第2偏光板15のB側面に位相差フィルム31を設置することで、操作面等の裏面反射による暗表示状態の白浮きを防止する例を記載したが、操作面等を光吸収体の材質で作成してもよい。この光吸収体は、B側へ透過し終えた光を吸収し、光路に挿入および退避が可能なように備えられる。これにより、暗表示状態の白浮きを防止して良好な黒表示を行うことができる。また操作面等に反射防止の加工を施すことでも良い。
携帯電話端末を折りたたんだ状態で使用する場合の暗表示の白浮き防止方法について説明する。図53のように携帯電話端末を折りたたんだ状態で使用する際の、暗表示は偏光選択反射板16が光を透過させて、再帰させないことで暗表示状態を得ている。
図53の断面図を図54に示す。図54に示すように、液晶表示装置3を通過した光は操作側装置541に届く。操作側装置541は、操作側基板542に各種操作ボタン543等が備えられた構成である。操作側基板542は光吸収体もしくは光吸収加工を施されているため、操作側基板542で光が吸収されて反射されず、液晶表示装置3側に再帰しない。その事により、良好な黒表示を得ることが可能となる。また、操作側基板542の各種操作ボタン543等にも光吸収加工が施されているもしくは、光吸収体で形成されている事で、光が再帰することなく良好な黒表示を得ている。
上述のように、図54を用いた実施例においては、操作側装置541の折りたたみ時に内側となる機器、表示ボタンに反射防止加工を行う事により、暗表示の白浮き防止を行う例を記載した。しかし、機器のデザイン上、各種操作ボタン543等が反射防止加工できないような場合でも、次のように両面ディスプレイを折りたたむことにより、暗表示の白浮きを防止する事が可能となる。
A側面(AD)から表示を確認する場合、上述したように、A側面の裏面と対向するように配置される面は、反射等によりA側に光が再帰しないようにするのが好ましい。しかし、図54の各種操作ボタン543等に反射防止加工が施せない場合は、図55に示すように操作側基板542における各種操作ボタン543等を配置する面の裏側の面に反射防止加工を施し、両面ディスプレイのB側面(BD)が上記裏側の面に向かって折りたたまれるように配置されるようにすればよい。これにより、A側表示の暗表示の白浮き防止が可能となる。
また、図6(a)・(b)に示したような携帯電話端末では、前面ディスプレイBDと背面ディスプレイADとの視認を切り替えるときに、それぞれのディスプレイを裏返すことになる。そこで、背面ディスプレイADで表示を行うときと、前面ディスプレイBDで表示を行うときとで、駆動回路により表示データの左右を反転させるようすれば、前面ディスプレイBDと背面ディスプレイADとのうちの一方を左右に裏返して他方を視認する場合に、互いの表示の向きを揃えることができる。また、背面ディスプレイADで表示を行うときと、前面ディスプレイBDで表示を行うときとで、駆動回路により表示データの上下を反転させるようすれば、前面ディスプレイBDと背面ディスプレイADとのうちの一方を上下に裏返して他方を視認する場合に、互いの表示の向きを揃えることができる。
次に、両面ディスプレイの液晶表示装置3を搭載した表示装置搭載機器がパーソナルコンピュター(以下PCと記す)である例を説明する。
PCは、デスクトップPCとノートPCとの2種類がある。重量や携帯性の面からノートPCを屋外等に持ち歩く機会が多い。図56に、ノートPCに両面ディスプレイの液晶表示装置3を用いた場合の構成を示す。キーボード等で文字入力等を行う場合、図56(a)のようにディスプレイを開いた状態で使用する。待ち受け時や、キーボードを用いて入力しない場合は、図56(b)のように折りたたんだ状態で使用する。図56(a)に示すように、キーボード用いて文字入力等を行う際は、前面ディスプレイ561で表示を行う。また待ち受け時や、キーボードを用いて入力しない場合は、背面ディスプレイ562で表示を行う。
図56(a)の状態で使用する場合は、図7のB側から表示を視認することになる。B側から表示を視認する場合、外光が強い場合は、フロントライトを点灯させずに外光を透過させることにより表示を行ったり、またフロントライトを点灯させてフロントライト光を透過させることにより表示を行ったりする。外光が弱い場合は、フロントライトを点灯させて、フロントライト光を透過させることにより表示を行う。明表示状態と暗表示状態との切り替えは、液晶層13の印加電圧で制御する。
図56(b)に示すように折りたたんだ状態で使用する場合は、背面ディスプレイ562で表示確認を行う。この場合、図7のA側から表示を視認することになる。外光が強い場合は、フロントライトを点灯させずに、外光を偏光選択反射板16で反射させることにより表示を行う。外光が弱い場合は、フロントライトを点灯させて、フロントライト光を偏光選択反射板16で反射させることにより表示を行う。明表示状態と暗表示状態との切り替えは、液晶層13の印加電圧で制御する。
図56(a)・(b)に示したようなノートPCでは、前面ディスプレイ561と背面ディスプレイ562との視認を切り替えるときに、それぞれのディスプレイを裏返すことになる。そこで、背面ディスプレイ562で表示を行うときと、前面ディスプレイ561で表示を行うときとで、駆動回路により表示データの左右を反転させるようにすれば、前面ディスプレイ561と背面ディスプレイ562とのうちの一方を左右に裏返して他方を視認する場合に、互いの表示の向きを揃えることができる。
また、背面ディスプレイ562で表示を行うときと、前面ディスプレイ561で表示を行うときとで、駆動回路により所望の表示データが表示されるように、表示データをネガポジ反転させるようすれば、前面ディスプレイ561と背面ディスプレイ562とも同様の表示が確認できるようになる。
また、背面ディスプレイ562で表示を行うときと、前面ディスプレイ561で表示を行うときとで、駆動回路により表示データの上下を反転させるようすれば、前面ディスプレイ561と背面ディスプレイ562とのうちの一方を上下に裏返して他方を視認する場合に、互いの表示の向きを揃えることができる。
図56(a)と図56(b)とでは、表示データのネガポジ反転と、画像の左右反転という、表示反転が起る。従って、ディスプレイ開閉時に表示反転を指示する信号が入力されるような自動操作ボタンが配置されており、ディスプレイ開閉動作に連動して自動操作ボタンが押されることにより、図56(a)と図56(b)との両方で所望の表示が出力されるようになっている。
また、ディスプレイ開閉時以外でも、任意にスイッチ等の操作ボタンで表示データを反転することも可能である。
図56の構成では、キーボードを構成する材料及びキースイッチ等、全ての構成部材に対して光吸収体加工や光吸収加工がなされている。そのことにより、背面ディスプレイ562で暗表示を行う際の、白浮きを防止して良好な表示を行うことが可能となる。
また、背面ディスプレイ562の暗表示の白浮きを防止する他の方法として、図7に示すパネルとしての液晶表示装置3の、第2偏光板15のB側面に位相差フィルム31を設置することで、操作面等の裏面反射による暗表示の白浮きを防止することが可能となる。また、液晶表示装置3の第2偏光板15と第2ガラス基板12との間に、図示しないが位相差を0とλ/2との間で切り替えることが可能な表示装置を配置することでも暗表示の白浮きを防止することが可能となる。
次に、両面ディスプレイの液晶表示装置3を搭載した表示装置搭載機器が携帯端末(PDA、携帯ゲーム機)である例を説明する。図57に、携帯端末に、両面ディスプレイの液晶表示装置3を用いた場合の構成を示す。
配置キー等で操作を行う場合、図57(a)のようにディスプレイを開いた状態で使用する。待ち受け時や、配置キーを用いて入力しない場合は図57(b)のように折りたたんだ状態で使用する。図57(a)に示すように配置キー用いて操作を行う際は、前面ディスプレイで571で表示を行う。また待ち受け時や、配置キーを用いて入力しない場合は、背面ディスプレイ572で表示を行う。
図57(a)の状態で使用する場合は、図7のB側から表示を視認することになる。B側から表示を視認する場合、外光が強い場合は、フロントライトを点灯させずに外光を透過させることにより表示を行ったり、またフロントライトを点灯させてフロントライト光を透過させることにより表示を行ったりする。外光が弱い場合は、フロントライトを点灯させて、フロントライト光を透過させることにより表示を行う。明表示状態と暗表示状態との切り替えは、液晶層13の印加電圧で制御する。
図57(b)に示すように折りたたんだ状態で使用する場合は、背面ディスプレイ572で表示確認を行う。この場合、図7のA側から表示を視認することになる。外光が強い場合は、フロントライトを点灯させずに、外光を偏光選択反射板16で反射させることにより表示を行う。外光が弱い場合は、フロントライトを点灯させて、フロントライト光を偏光選択反射板16で反射させることにより表示を行う。明表示状態と暗表示状態との切り替えは、液晶層13の印加電圧で制御する。
図57(a)・(b)に示したような携帯端末では、前面ディスプレイ571と背面ディスプレイ572との視認を切り替えるときに、それぞれのディスプレイを裏返すことになる。そこで、背面ディスプレイ572で表示を行うときと、前面ディスプレイ571で表示を行うときとで、駆動回路により表示データの左右を反転させるようにすれば、前面ディスプレイ571と背面ディスプレイ572とのうちの一方を左右に裏返して他方を視認する場合に、互いの表示の向きを揃えることができる。
また、背面ディスプレイ572で表示を行うときと、前面ディスプレイ571で表示を行うときとで、駆動回路により所望の表示データが表示されるように、表示データをネガポジ反転させるようにすれば、前面ディスプレイ571と背面ディスプレイとも同様の表示が確認できるようになる。
また、背面ディスプレイ572で表示を行うときと、前面ディスプレイ571で表示を行うときとで、駆動回路により表示データの上下を反転させるようすれば、前面ディスプレイ571と背面ディスプレイ572とのうちの一方を上下に裏返して他方を視認する場合に、互いの表示の向きを揃えることができる。
図57(a)と図57(b)とでは、表示データのネガポジ反転と、画像の左右反転という、表示反転が起る。従って、ディスプレイ開閉時に表示反転を指示する信号が入力されるような自動操作ボタンが配置されており、ディスプレイ開閉動作に連動して自動操作ボタンが押されることにより、図57(a)と図57(b)との両方で所望の表示が出力されるようになっている。
また、ディスプレイ開閉時以外でも、任意にスイッチ等の操作ボタンで表示データを反転することも可能である。
図57の構成では、配置キーを構成する材料及びキースイッチ等、全ての構成部材に対して光吸収体加工や光吸収加工がなされている。そのことにより、背面ディスプレイ572で暗表示を行う際の、暗表示の白浮きを防止して良好な表示を行うことが可能となる。
また、背面ディスプレイ572の暗表示の白浮きを防止する他の方法として、図7に示すパネルとしての液晶表示装置3の、第2偏光板15のB側面に位相差フィルム31を設置することで、操作面等の裏面反射による暗表示の白浮きを防止することが可能となる。また、液晶表示装置3の第2偏光板15と第2ガラス基板12との間に、図示しないが、位相差を0とλ/2との間で切り替えることが可能な表示装置を配置することでも暗表示の白浮きを防止することが可能となる。
次に、両面ディスプレイの液晶表示装置3を搭載した表示装置搭載機器が、テレビ、モニター等の映像表示装置である例を説明する。図58に、テレビに両面ディスプレイの液晶表示装置3を用いた場合の構成を示す。
図58(a)に示すように、前面ディスプレイ581を用いて映像を確認する場合は、図7のB側から表示を視認することになる。B側から表示を視認する場合、外光が強い場合は、フロントライトを点灯させずに外光を透過させることにより表示を行ったり、またフロントライトを点灯させてフロントライト光を透過させることにより表示を行ったりする。外光が弱い場合は、フロントライトを点灯させて、フロントライト光を透過させることにより表示を行う。明表示状態と暗表示状態との切り替えは、液晶層13の印加電圧で制御する。
図58(b)に示すように背面ディスプレイ582で表示確認を行う場合、図7のA側から表示を視認することになる。外光が強い場合は、フロントライトを点灯させずに、外光を偏光選択反射板16で反射させることにより表示を行う。また、外光が強い場合、暗表示の白浮きが懸念されるので、図58(b)の蓋583を前面ディスプレイ581にかぶせることで、外光が強くても暗表示の浮きが無く良好な表示を確認できる。この蓋583の構成材料には、光吸収機能がある材料を用いている。図59は蓋583をかぶせた状態を示し、図60はこの状態をテレビの側面から見た図である。図60から分かるように、蓋583はテレビの一端側を軸として回転することができるようになっている。
また、背面ディスプレイ582の暗表示の白浮きを防止する他の方法として、図7に示すパネルとしての液晶表示装置3の、第2偏光板15のB側面に位相差フィルム31を設置することで、蓋面等の裏面反射による暗表示の白浮きを防止することが可能となる。
また、蓋583をかぶせなくても、液晶表示装置3の第2偏光板15と第2ガラス基板12との間に、図示しないが、位相差を0とλ/2との間で切り替えることが可能な表示装置を配置する事でも暗表示の白浮きを防止することが可能となる。
また外光が弱い場合は、フロントライトを点灯させて、フロントライト光を偏光選択反射板16で反射させることにより表示を行う。明表示状態と暗表示状態との切り替えは、液晶層13の印加電圧で制御する。
また、外光が弱い暗室のような部屋や、前面ディスプレイ581側に反射しないような物(パネル以外)が配置されている場所において、背面ディスプレイ582の表示を確認する場合、光吸収機能を備えている蓋583を閉じなくても表示が視認可能であるため、外光の明るさに応じて蓋583の開閉を行うようにしてもよい。
図58(a)・(b)に示したようなテレビでは、前面ディスプレイ581と背面ディスプレイ612との視認を切り替えるときに、それぞれのディスプレイを裏返すことになる。そこで、背面ディスプレイ582で表示を行うときと、前面ディスプレイ581で表示を行うときとで、駆動回路により表示データの左右を反転させるようにすれば、前面ディスプレイ581と背面ディスプレイ582とのうちの一方を左右に裏返して他方を視認する場合に、互いの表示の向きを揃えることができる。
また、背面ディスプレイ582で表示を行うときと、前面ディスプレイ581で表示を行うときとで、駆動回路により所望の表示データが表示されるように、表示データをネガポジ反転させるようにすれば、前面ディスプレイ581と背面ディスプレイ582とも同様の表示が確認できるようになる。
また、背面ディスプレイ582で表示を行うときと、前面ディスプレイ581で表示を行うときとで、駆動回路により表示データの上下を反転させるようすれば、前面ディスプレイ581と背面ディスプレイ582とのうちの一方を上下に裏返して他方を視認する場合に、互いの表示の向きを揃えることができる。
図58(a)と図58(b)とでは、表示がネガポジ反転、画像が左右反転するため、所望の表示が視認できるように、表示切り替えスイッチ584等で表示データを反転することが可能である。
次に、両面ディスプレイの液晶表示装置3を搭載した表示装置搭載機器が、デジタルカメラ、カムコーダ等の携帯映像表示(撮影/再生)装置である例を説明する。図61に、デジタルカメラに、両面ディスプレイの液晶表示装置3を用いた場合の構成を示す。
図61(a)に示すように前面ディスプレイ611を用いて映像を確認する場合は、図7のB側から表示を視認することになる。B側から表示を視認する場合、外光が強い場合は、フロントライトを点灯させずに外光を透過させることにより表示を行ったり、またフロントライトを点灯させてフロントライト光を透過させることにより表示を行ったりする。外光が弱い場合は、フロントライトを点灯させて、フロントライト光を透過させることにより表示を行う。明表示状態と暗表示状態との切り替えは、液晶層13の印加電圧で制御する。
図61(b)に示すように背面ディスプレイ612で表示確認を行う場合、図7のA側から表示を視認することになる。外光が強い場合は、フロントライトを点灯させずに、外光を偏光選択反射板16で反射させることにより表示を行う。また、外光が強い場合、暗表示の浮きが懸念されるので、図61(a)の蓋613を前面ディスプレイ611にかぶせることで、外光が強くても暗表示の白浮きが無く良好な表示を確認できる。この蓋613の構成材料には、光吸収機能を備えた材料を用いている。
デジタルカメラを蓋613をかぶせた状態で使用する場合の暗表示の白浮き防止方法について、前述の図60を用いて説明する。図60の前面ディスプレイ581を前面ディスプレイ611、背面ディスプレイ582を背面ディスプレイ612、蓋583を蓋613とする。図60のようにデジタルカメラを蓋613をかぶせた状態で使用する際の暗表示状態は、光を偏光選択反射板16を透過させて再帰させないことで得ている。
図60に示すように、背面ディスプレイ612側から液晶表示装置3を通過した光は蓋613側に届く、蓋613は光吸収体であるかもしくは光吸収加工が施されているため、光は蓋側基板で吸収されて反射されず、液晶表示装置3側に再帰しない。その事により、良好な黒表示を得ることが可能となる。
また、背面ディスプレイ612の暗表示の白浮きを防止する他の方法として、図7に示すパネルとしての液晶表示装置3の、第2偏光板15のB側面に位相差フィルム31を設置することで、かぶせた蓋613の面等からの反射による暗表示の白浮きを防止することが可能となる。
また、蓋613をかぶせなくても、液晶表示装置3の第2偏光板15と第2ガラス基板12との間に、図示しないが、位相差を0とλ/2との間で切り替えることが可能な表示装置を配置することでも暗表示の白浮きを防止することが可能となる。
また、外光が弱い場合は、フロントライトを点灯させて、フロントライト光を偏光選択反射板16で反射させることにより表示を行う。明表示状態と暗表示状態との切り替えは、液晶層13の印加電圧で制御する。
また、外光が弱い暗室のような部屋や、前面ディスプレイ611側に反射しないような物(パネル以外)が配置されている場所において、背面ディスプレイ612の表示を確認する場合、光吸収機能を備えている蓋613を閉じなくても表示が視認可能であるため、外光の明るさに応じて蓋613の開閉を行うようにしてもよい。
図61(a)・(b)に示したようなデジタルカメラでは、前面ディスプレイ611と背面ディスプレイ612との視認を切り替えるときに、それぞれのディスプレイを裏返すことになる。そこで、背面ディスプレイ612で表示を行うときと、前面ディスプレイ611で表示を行うときとで、駆動回路により表示データの左右を反転させるようにすれば、前面ディスプレイ611と背面ディスプレイ612とのうちの一方を左右に裏返して他方を視認する場合に、互いの表示の向きを揃えることができる。
また、背面ディスプレイ612で表示を行うときと、前面ディスプレイ611で表示を行うときとで、駆動回路により所望の表示データが表示されるように、表示データをネガポジ反転させるようにすれば、前面ディスプレイ611と背面ディスプレイ612とも同様の表示が確認できるようになる。
また、背面ディスプレイ612で表示を行うときと、前面ディスプレイ611で表示を行うときとで、駆動回路により表示データの上下を反転させるようすれば、前面ディスプレイ611と背面ディスプレイ612とのうちの一方を上下に裏返して他方を視認する場合に、互いの表示の向きを揃えることができる。
図61(a)と図61(b)とでは、表示がネガポジ反転、画像が左右反転する為、所望の表示が視認できるように、表示切り替えスイッチ614等で表示データを反転することが可能である。
また本実施の形態では、両面ディスプレイの液晶表示装置3を、携帯電話、ノートPC、携帯端末、テレビ、デジタルカメラに採用した際の例を記載したが、液晶表示装置3を備える全ての製品に採用化可能である。
例えば、自動車に設置するカーナビゲーションの画面に用い、昼間と夜とで、表示画面のネガ、ポジを反転させることで、見易くすることが可能となる。また、両面テレビとして用いる場合、2部屋例えば居間と寝室との境部分の例えば壁にはめ込むことによって、1台のテレビで2部屋分のテレビとすることができる。また、ゲーム機として用いる場合、表示装置を立て、表裏両面のそれぞれに対戦者が対峙してゲームを行うことができる。特に、オセロゲーム、碁等は、ネガ、ポジの状態であっても、実質支障無くゲームを行うことが可能である。さらに、腕時計の表示装置にも用いることができる。
〔実施の形態3〕
本発明の参考形態としてのさらに他の実施の形態について図8に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、前記実施の形態1および2で述べた構成要素と同一の機能を有する構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図8に、本実施の形態に係る液晶表示装置(表示装置)4の断面構成を示す。液晶表示装置4は上下にカラーフィルタを配置することで、A側、B側の両方において良好な色再現性を持つ両面ディスプレイを実現するものである。
液晶表示装置4は、図7の液晶表示装置3のカラーフィルタ17に相当するカラーフィルタ(第1のカラーフィルタ)17aを備える他、第2ガラス基板12と偏光選択反射板16との間にカラーフィルタ(第2のカラーフィルタ)17bを備えている。
液晶表示装置4のA側で表示を行う際は、偏光選択反射板16の反射を利用して反射型表示で表示を行う。B側で表示を行う際は、第1偏光板14、偏光選択反射板16、および第2偏光板15で透過型表示を行う。A側の反射型表示では、明表示状態時に、A側から入射した光が、第1偏光板14、カラーフィルタ17a、液晶層13の順に通過して偏光選択反射板16に入射する。その後、偏光選択反射板16で反射され、再度液晶層13、カラーフィルタ17a、第1偏光板14を通過してA側に出射される。反射で表示を行うため、入射光はカラーフィルタ17aを2回通過する。そのため、通常の透過型液晶表示装置のカラーフィルタ膜厚では、明度がさがり、表示品位低下を引き起こす。図8のカラーフィルタ17aの膜厚は、上記表示品位低下を防止するため、透過型液晶表示装置の1/2以下に設定してある。そのことにより、カラーフィルタ17aを2回通過しても透過と同等の色再現性と明度を得ることができる。
B側での表示は透過で行うために、A側から入射した光が、第1偏光板14、カラーフィルタ17a、液晶層13、偏光選択反射板16、カラーフィルタ17b、第2偏光板15、位相差フィルム31の順に通過して、B側に出射されることで明表示状態を実現している。カラーフィルタ17aは反射型表示用に膜厚が薄くなっているため、このカラーフィルタ17aのみで透過の色表示を行うと色再現性が狭くなるが、偏光選択反射板16の下層にカラーフィルタ17bを設けたことにより、透過型液晶表示装置と同等の色再現性を実現している。カラーフィルタ17bは、透過型液晶表示装置の1/2以下の膜厚になるように形成している。そのことにより、A側のカラーフィルタ17aと、B側のカラーフィルタ17bとを1回ずつ通過することで、透過型液晶表示装置と同等の色再現性が実現可能となる。
このように、液晶表示装置4によれば、各カラーフィルタ17a・17bの濃度を個別に設定することにより、A側での反射型表示およびB側での透過型表示のそれぞれで、明度や色再現性を適切に設定することができる。
〔実施の形態4〕
本発明の参考形態としてのさらに他の実施の形態について図9および図10に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、前記実施の形態1ないし3で述べた構成要素と同一の機能を有する構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図9に、本実施の形態に係る液晶表示装置(表示装置)5の断面構成を示す。液晶表示装置5は、1層のカラーフィルタで良好な色再現性を持つ両面ディスプレイを実現するものである。
液晶表示装置5は、図7の液晶表示装置3において、カラーフィルタ17が備えられている箇所に設けられた第1領域(低透過率領域)32aと、図7の遮光膜18が備えられている箇所に設けられた第2領域(高透過率領域)32bとを画素ごとに有するカラーフィルタ32を備えている。図10に、カラーフィルタ32の構成を平面図で示した。液晶表示装置3のカラーフィルタはカラーフィルタ32の1層だけとなっている。また、液晶表示装置3における偏光選択反射板16に代えて、上記カラーフィルタ32の全面と対向するように設けられた偏光選択反射板(選択反射手段、偏光選択反射手段)33を備えている。偏光選択反射板33は偏光選択反射板16と光学的特性は同じであるが、上記の配置により、図7の領域だけでなく、スイッチング素子20上およびバスライン上にも設けられる。
実施の形態3で述べたように、カラーフィルタをA側に1つだけ備える場合、反射型としてA側から視認するときには明表示状態において光がカラーフィルタを2回通過するが、透過型としてB側から視認するときには明表示状態において光がカラーフィルタを1回だけ通過するので、A側からの視認時にはB側からの視認時よりも光量が少なくなる。
スイッチング素子20上およびバスライン上は、金属電極および金属配線があるため、光が通過しない。そこで、本実施の形態では、透過型表示に寄与しないこの領域を、A側から視認する表示領域に使用する。カラーフィルタ32において、この非透過領域とA側で対向する第2透過率領域32bは、反射型表示用として膜厚を小さくしまたは濃度を薄くし、透過率を向上させたカラーフィルタ領域を形成しており、第1透過領域32aよりも透過率が高い。また、A側での反射型表示の明度および色再現性が反射型液晶表示装置と同等になる様に、第2透過率領域32bの面積を設定して第1透過率領域32aと分割する。これにより、カラーフィルタ32の透過率が面積的に変化している。
第1透過領域32aは、B側から表示を視認する場合に透過型液晶表示装置と同等の明度および色再現性になるように膜厚および濃度を調整した透過型カラーフィルタ領域である。この第1透過領域32aと、第2透過領域32bとの面積比率を調整する事で、B側から視認した場合、透過型液晶表示装置と同等の色再現範囲と明るさを実現する事ができる。
このように、本実施の形態に係る液晶表示装置5によれば、1層のカラーフィルタ32で、反射型と透過型とで光量の違いが生じる場合に対応させて複数の異なる透過率領域を適宜組み合わせて通過させ、A側での反射型表示およびB側での透過型表示のそれぞれで、明度や色再現性を適切に設定することができる。ここでは、A側では反射型液晶表示装置と同等の色再現性と明るさ、B側では透過型液晶表示装置と同等の色再現性および明るさを兼ね備えた両面ディスプレイが提供可能となる。
〔実施の形態5〕
本発明の参考形態としてのさらに他の実施の形態について図11ないし図14に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、前記実施の形態1ないし4で述べた構成要素と同一の機能を有する構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
実施の形態1ないし4では、偏光選択反射板16・33に高分子の積層膜を用いる例について述べたが、他の偏光選択反射板を用いても同じことが言える。以下に、偏光選択反射板にコレステリック液晶を用いた場合を説明する。
図11に、本実施の形態に係る液晶表示装置(表示装置)6の断面構成を示す。
液晶表示装置6は、第1ガラス基板11、第2ガラス基板12、第3偏光板41、第4偏光板42、偏光選択反射板43、第1のλ/4板44、第2のλ/4板45、液晶層46、光源22、および導光板23を備えている。また、第1ガラス基板11と第2ガラス基板12との間に液晶層46を挟んだ構成になっており、液晶層46を挟む両側のうち液晶層46から第1ガラス基板11側を向く側をA側(第1の側)、液晶層46から第2ガラス基板12側を向く側をB側(第2の側)とする。また、図1のようなカラーフィルタ17、遮光膜18、透明電極19、スイッチング素子20、光吸収層21は図示されていないだけであり、適宜設けられる。
光源22および導光板23によって構成されるフロントライトは液晶表示装置6の最もA側に設けられる。液晶層(表示媒体)46はリタデーション△ndがλ/2の平行配向のネマティック液晶層である。液晶層46は、入射されて通過する円偏光の光に対して円偏光状態を制御し、電圧の無印加時に右円偏光を左円偏光にし、左円偏光を右円偏光にする制御を行い、電圧の印加時に円偏光の方向を変化させない制御を行う。
第3偏光板(第1の透過軸の偏光手段)41は第1ガラス基板11のA側に設けられ、所定の向きに設定された透過軸を有し、透過軸方向の直線偏光の成分となる光のみを透過させる(透過軸方向については後述する)。材質は図1の第1偏光板14および第2偏光板15と同じでよい。フロントライトから無偏光の光が第3偏光板41に入射すると、第3偏光板41の透過軸方向に平行な直線偏光になり透過する。第4偏光板(第2の透過軸の偏光手段)42は第2ガラス基板12のB側に設けられ、透過軸の方向が第3偏光板41と直交している同じ材質の偏光板である。
偏光選択反射板(選択反射手段、偏光選択反射手段)43は、コレステリック液晶フィルムからなり、入射する左円偏光の光を反射させる左ねじれのコレステリック液晶反射板である。右円偏光の光は透過させる。ここでは、光が左円偏光の状態にある場合を第1の円偏光状態(第1の状態、第1の偏光状態)とする。また、光が、回転方向が逆の右円偏光の状態にある場合を第2の円偏光状態(第2の状態、第2の偏光状態)とする。
第1のλ/4板44は第3偏光板41と第1ガラス基板11との間に設けられ、第3偏光板41から入射する直線偏光の光を円偏光にし、液晶層46から入射する円偏光の光を直線偏光とする。第2のλ/4板45は第2ガラス基板12と第4偏光板42との間に設けられ、第2ガラス基板12から入射する円偏光の光を直線偏光とし、第4偏光板42から入射する直線偏光の光を円偏光とする。
次に、図11および図12を用いてA側からの視認およびB側からの視認について説明する。
まず、図11のA側から視認する場合について説明する。外光およびフロントライト光である無偏光が第3偏光板41を通過する事で直線偏光になる。第3偏光板41の透過軸は、図13に示すように+45°(時計の12時を0°として右回りを+とする)に設定されており、透過した光は+45°の直線偏光になる。その直線偏光が図13に示すように遅相軸が0°の第1のλ/4板44を通過する事で右円偏光になる。その後、液晶の配向軸が0°で、△ndがλ/2の平行配向のネマティック液晶層からなる液晶層46を通過することで、電圧無印加時には右円偏光が左円偏光になる。偏光選択反射板43は、入射する左円偏光を反射する。偏光選択反射板43で反射した左円偏光は、再度液晶層46を通過することで右円偏光になる。この右円偏光は第1のλ/4板44を再度通過することで直線偏光になる。該直線偏光は第3偏光板41を透過して明表示状態を実現する。
液晶層46に電圧を印加した場合、液晶分子が第1ガラス基板11および第2ガラス基板12に対して垂直になり△nd=0になる。外光およびフロントライト光である無偏光が第3偏光板41を通過することで+45°の直線偏光になる。その直線偏光が遅相軸が0°の第1のλ/4板44を通過することで右円偏光になる。その右円偏光は液晶層46をそのまま通過する。偏光選択反射板43は、右円偏光をそのまま透過させる。この右円偏光は第2のλ/4板45を通過して+135°の直線偏光となり、これが透過軸が図13に示すように+135°の第4偏光板42を透過する。これにより光をA側に戻らないようにすることができ、暗表示状態を実現している。
次に、図12のB側で視認する場合について記載する。外光およびフロントライト光である無偏光が第3偏光板41を通過することで+45°の直線偏光になる。その直線偏光が第1のλ/4板44を通過することで右円偏光になる。その後、液晶層46を通過することで、電圧無印加時に右円偏光が左円偏光になる。偏光選択反射板43は、左円偏光を反射し、反射した左円偏光は、再度液晶層46を通過することで右円偏光になる。右円偏光が第1のλ/4板44を再度通過することで直線偏光になる。該直線偏光が第3偏光板41を透過することで、B側には光が到達しないようにして暗表示状態を実現する。
一方、このときB側から入射する光があるとすると、この光は第4偏光板42によって+45°の直線偏光となり、これが第2のλ/4板45によって右円偏光となる。従って、この光は偏光選択反射板43を透過するので、液晶層46の制御によって左円偏光となり、第1のλ/4板44を通って+45°の直線偏光となる。従って、この光は第3偏光板41に吸収される。条件によって+135°の直線偏光を生成してA側に抜けるようにすることも可能である。
従来とは異なって偏光選択反射板43は液晶層46に対してB側にのみ配置されているので、液晶層46に対してA側からの反射光がない。またこのとき、B側から入射して液晶層46を駆動する金属配線などで反射された光は、再び第2のλ/4板45に入射して+45°の直線偏光となるので、第4偏光板42に吸収される。
従って、A側から入射する光を表示に用いてB側から視認を行うときの暗表示状態で、B側から入射した光が反射して戻ってこないようにすることができるので、暗所のみならず明所でも黒表示が良好になる。この結果、液晶表示装置6は、明所および暗所の両方において黒表示を良好に行うことができる両面表示型の表示装置となる。
液晶層46に電圧を印加した場合、液晶分子が第1ガラス基板11およ第2ガラス基板12に対して垂直になり△nd=0になる。外光およびフロントライト光である無偏光が第3偏光板41を通過することで+45°の直線偏光になる。その直線偏光が第1のλ/4板44を通過することで右円偏光になる。その右円偏光は液晶層46をそのまま通過する。偏光選択反射板43は、右円偏光をそのまま透過させる。この右円偏光は第2のλ/4板45を通過して+135°の直線偏光となり、これが第4偏光板42を透過する。これにより光をA側に戻らないようにすることができ、明表示状態を実現している。
次に、前述のコレステリック液晶を用いた偏光選択反射板43は、高分子積層型偏光選択反射板の膜厚を1/10以下にする事が可能で、セル膜厚制御を容易にすることが可能になるのでこれについて、図14を用いて説明する。
図14に示すように、偏光選択反射板(選択反射手段、偏光選択反射手段)50が高分子を積層したものであるときは、厚さが150μm〜200μmと厚い。このため、パネル層厚を制御するために、パネル周辺部に熱硬化性樹脂であるシール材料51を塗布し、その内部にパネル層厚が所望の厚さになる様にスペーサ52を混入させている。本実施の形態では、スペーサ52としてガラスファイバーをシール材料51に混入させている。シール材料51を塗布後、上下ガラス基板のパターンが上下で合うように貼り合せ、その後所望の条件でプレスしながら温度を加え、シール材料51を熱硬化させる。その際、図14に示す様にシール材料51より内側に偏光選択反射板50がある場合は、シール材料51を150μm〜200μmと非常に厚く塗布するため、プレス時に横方向への広がりが発生し、表示領域等に所望の領域外へシール材料51が広がり問題となる。また、偏光選択反射板50に対して、液晶層(表示媒体)53の層厚が数μmと非常に薄く、シール材料51が150μm〜200μmと厚い場合は、セル内スペーサ54を入れてもプロセスのばらつきにより、液晶層53の層厚を所望の厚さに制御することが困難である。
また図14に示す様に、液晶層53に接する偏光選択反射板50の最表面が平坦になっていないため、数μmの液晶層厚を制御することが、下地である表面の影響を受けるため非常に困難である。
従って、偏光選択反射板50にコレステリック液晶を用いて厚みを小さくすることにより、液晶層46の層厚制御を容易に行うことができるようになる。
以上、実施の形態1から5まで述べた。本発明の液晶表示装置により、偏光選択反射板とフロントライト方式の照明とを用いることにより、1つの液晶表示装置にてあらゆる環境下において両面(前面/背面)から良好な視認が可能となる。このことから、薄型化、軽量化、低コスト化、簡易表示画面の表示面積拡大等の多くの利点を兼ね備えた液晶表示装置を提供することができる。
〔実施の形態6〕
本発明のさらに他の実施の形態について図16ないし図18に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、特にことわらない限り前記実施の形態1ないし5で述べた構成要素と同一の機能を有する構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図16に、本実施の形態に係る液晶表示装置(表示装置)7の断面構成を示す。
液晶表示装置7は、第1ガラス基板11、第2ガラス基板12、液晶層13、第1偏光板14、第2偏光板15、偏光選択反射板16、カラーフィルタ171a・171b、遮光膜18、透明電極19、スイッチング素子20、光源22、導光板23、反射板161、および絶縁樹脂層162を備えている。また、第1ガラス基板11と第2ガラス基板12との間に液晶層13を挟んだ構成になっており、液晶層13を挟む両側のうち液晶層13から第1ガラス基板11側を向く側をA側(第1の側)、液晶層13から第2ガラス基板12側を向く側をB側(第2の側)とする。
スイッチング素子20は、第2ガラス基板12のA側面に設けられ、各画素を駆動するためにスイッチングするTFTなどのアクティブ素子である。
反射板(反射手段)161は、入射する光の偏光状態に依存せずこの光を反射する。図16では、スイッチング素子20やバスラインと液晶層13との間に設けられ、液晶層13をA側からB側へ向かって通過する光をA側へ反射する。液晶層13と第2ガラス基板12との間に設けられたスイッチング素子20やバスラインの領域は光の非透過領域となる。絶縁性樹脂層162は、第2ガラス基板12上にスイッチング素子20およびバスライン側を覆うように全面に設けられている。反射板161は、この絶縁性樹脂層162上に、上記非透過領域の少なくとも一部に対向するように設けられている。ここでは反射板161による視認性を向上させるため、絶縁性樹脂層162には微細な凹凸が設けられており、反射板161はこの上に積層されることによって、絶縁性樹脂層162の凹凸を反映した微細な凹凸を有するものとなっている。
反射板161の材料としては、アルミニウム、チタンを含むアルミ合金、銀、パラジウムを含む銀合金、銅などが挙げられる。そして例えば、反射板161にアルミニウム(Al)を使用する場合、ITOと直接コンタクト(接触)する構造をとることによってAlの現像工程で接触部分に電食が発生するのを避けるために、モリブデン(Mo)膜上にAlを形成するAl/Mo構造を採用するとよい。この構造では、Mo(1000Å)とAl(1000Å)とを連続で積層し、更にMoとAlとを同時に同じエッチャントでエッチングすることにより、反射板161のパターニングを行うことができる。
なお、本実施の形態では反射手段として反射板161を用いているがこれに限らず、平板上の反射板なども用いることができる。また、反射板161と等価な反射特性を持たせるために、表面に光の散乱体を設けた部材も使用することができる。
光源22および導光板23はフロントライトを構成している。フロントライトは液晶表示装置7の最もA側に設けられ、光源22から発せられた光を導光板23がB側へ向けて照射する。液晶層(表示媒体)13は例えばECB(Electrical controlled birefringence)液晶であり、自身に入射されて通過する特定の光に対して、第1ガラス基板11および第2ガラス基板12と平行な面内に定めた偏光の直交軸の各成分間の位相差を制御する。ここでは液晶層13の電圧無印加か十分な低電圧印加の状態で、第1偏光板14からの入射時点での位相差をゼロとして、第1偏光板14から反射板161に向かう光の通過完了点で略π/2とする。そして、反射板161から第1偏光板14に向かう光の通過完了点で位相差を略πとし、第1偏光板14から偏光選択反射板16に向かう光の通過完了点で略πとする制御を行う。また、液晶層13に十分高い電圧を印加する状態では、通過する光の上記位相差を変化させず、偏光状態を変化させない制御を行う。なお、上記説明で位相差に関して「略」とことわっているのは、液晶層13の一部の分子の立ち上がりや立ち下がりが、電圧の印加およびその解除に追従することのない場合も含まれるためである。
上記偏光状態の制御を行うために、第1偏光板14と反射板161との間にある液晶層13(以後、反射板設置領域と称する)と、第1偏光板14と反射板161に対向しない偏光選択反射板16との間にある液晶層13(以後、反射板非設置領域と称する)とは、A側とB側とを結ぶ方向に見た厚み(表示媒体(液晶層)の厚みのことを、以降セル厚と称する)の比が略1対2に設定されている。略1対2としているのは、反射板設置領域において反射板161が表面に微細な凹凸を有していて、これによるセル厚のばらつきを考慮しているためである。
第1偏光板(第1の偏光手段)14は第1ガラス基板11のA側面に設けられ、所定の向きに設定された透過軸を有し、透過軸方向の直線偏光の成分となる光のみを透過させる。フロントライトから無偏光の光が第1偏光板14に入射すると、第1偏光板14の透過軸方向に平行な直線偏光になり透過する。第1偏光板14としては、高分子樹脂フィルムにヨウ素、二色性染料等の吸収体を混入し延伸することで吸収体を配向させたものを用いた。偏光板材料としては、上記以外のものであっても、無偏光を直線偏光にするものであれば何でもよい。第2偏光板(第2の偏光板)15は第2ガラス基板12のB側面側に設けられ、透過軸の方向が第1偏光板14と直交する偏光板である。
偏光選択反射板(選択反射手段、偏光選択反射手段)16は、本実施の形態では第2ガラス基板12のB側面と第2の偏光板15との間に設けられる。偏光選択反射板16は、自身に入射する直線偏光の光の偏光方向が反射軸と平行であるときにはこの光を第1の偏光状態(第1の状態、第1の方向の直線偏光の状態)の光として反射し、偏光方向が透過軸と平行であるときにはこの光を第2の偏光状態(第2の状態、第2の方向の直線偏光の状態)の光として透過させる。偏光選択反射板16の反射軸と透過軸とは互いに直交している。また、偏光選択反射板16の反射軸は第1偏光板14の透過軸と平行な方向であり、偏光選択反射板16の透過軸は第1偏光板14の透過軸と直交する方向である。本実施の形態では、高分子膜を積層することで作成された既知の偏光選択反射板を用いた。また一方直線偏光を透過し、他方直線偏光を反射する偏光選択反射板であれば何でも良い。
カラーフィルタ171aは反射板非設置領域用のカラーフィルタであり、第1ガラス基板11のB側面にRGBの3色分がそれぞれ設けられている。カラーフィルタ171bは反射板設置領域用のカラーフィルタであり、ここでは透明のカラーフィルタが配置されている。従って、反射板161はカラーフィルタ171bと対向する領域に設けられている。さらに、カラーフィルタ171bはカラーフィルタ171aに対して膜厚が厚く設定されており、これによって、前述したように反射板設置領域のセル厚と反射板非設置領域のセル厚との比を略1対2に設定している。なお、ここではカラーフィルタ171bの膜厚を変更することでセル厚を制御したが、絶縁性樹脂層162に段差を設けることによって、セル厚を制御することも可能である。遮光膜18はカラーフィルタ171a・171bに隣接して、配線の一部および、画素電極の存在しない部分に対向する領域に設けられており、A側からB側へ透過する光を遮光する。
透明電極19は、第1ガラス基板11上におけるカラーフィルタ171a・171bおよび遮光膜18のB側面、および第2ガラス基板12上における絶縁性樹脂層162のA側面のそれぞれに設けられている。透明電極材料としてはITO(酸化インジウムと酸化錫とからなる合金)を用いた。透明電極材料としては、他の透明性を有する導電性金属膜を用いても同じである。又、本実施の形態では金属からなる透明電極材料を用いた例を記載しているが、金属以外の樹脂、半導体等の透明性を有する材料であれば何でも良い。また、スイッチング素子20などとの配線接続を行うためのコンタクト部19aが適宜備えられている。
図16に示す液晶表示装置7はA側からもB側からも表示を視認することのできる両面ディスプレイであり、あらゆる環境下で視認を行うことができる。図16のA側から視認する場合、外光が強い明所では、フロントライトを点灯させずに、外光の偏光選択反射板16および反射板161による反射光を利用して表示を行うことができる。また、外光が弱い暗所では、フロントライトを点灯させて、フロントライトの光を偏光選択反射板16および反射板161で反射させて表示を行う。一方、図16のB側から視認する場合、明所ではフロントライトを点灯させずに、外光の偏光選択反射板16による透過光を利用して表示を行うことができる。また、暗所では、フロントライトを点灯させて、フロントライトの光を偏光選択反射板16で透過させて表示を行う。
次に、液晶層13が平行配向液晶層である場合の表示方法について図17および図18を用いて詳細に説明する。
まず、図17を用い、A側から視認する場合について説明する。まず、液晶層13が電圧無印加か十分に低い電圧の印加の状態である場合について説明する。外光およびフロントライト光である無偏光が第1偏光板14を通過することで直線偏光になる。図17の第1偏光板14は紙面に対して平行で横方向の直線偏光が透過するようになっている。反射板設置領域ではその直線偏光が液晶層13を通過することで、略π/2の位相差を与えられ、反射板上161では円偏光となる。さらに、ここで反射した光は光の進行方向に対して逆方向に回転した逆円偏光となり、さらに液晶層13の復路でリタデーションを与えられ、第1偏光板14に到達する時は入射した時と直交する直線偏光となり、第1偏光板14によって吸収される。これにより表示状態となる。一方、反射板非設置領域を通過する光は、液晶層13を通過することで略πの位相差を与えられ、偏光選択反射板16に到達する時には入射時の偏光と直交した直線偏光となる。従って偏光選択反射板16および第2偏光板15を通過しパネル背面(B側)に光が通過する。よってA側から観察すると暗表示状態となる。
このように、反射板設置領域と反射板非設置領域とで、液晶層13のセル厚を異ならせ、通過する光に対して異なる位相差を付与することにより、反射板設置領域と反射板非設置領域とで同時に白黒表示を実現し、両方の反射を表示に用いることで明るい反射型表示を実現することに成功している。さらに、反射板設置領域のカラーフィルタ171bを透明とすることで反射光の明るさをさらに向上させることに成功している。
次に液晶層13に電圧を印加した場合、液晶が立ち上がり、入射光の偏光状態は変化しない。従って、第1偏光板14を通過した直線偏光は、反射板設置領域および反射板非設置領域の両方でその偏光状態を維持したまま反射され、さらに第1偏光板14を通過する。よってA側から観察すると明表示状態となる。
ここで、液晶表示装置7を反射型表示装置としてA側から視認するときの、反射特性を評価した結果について説明する。
まず、リファレンスとして、図17の反射板161が無い構造で反射率を測定した結果を示す。測定に用いた構成は、
液晶パネル:透過部の開口率…66%、反射板161の開口率…0%
偏光反射板16:住友3M社製の「D−BEF」(商品名)
であり、これに対して、拡散光入射での明るさが測定できる測定装置(ミノルタ社製の「CM−572」(測定装置名))によって反射率を測定した結果、2.2%であった。
次に、図17の液晶表示装置7で反射率を測定した結果を示す。測定に用いた構成は、
液晶パネル:透過部の開口率…66%、反射板161の開口率…13.5%
偏光反射板16:住友3M社製の「D−BEF」(商品名)
であり、リファレンスと同じ測定装置によって反射率を測定した結果、3.9%であった。
上記結果から分かるように、液晶表示装置7ではリファレンスよりも反射率が2倍近くになっているが、これは以下の理由によると考えられる。第2ガラス基板12に外付けした偏光選択反射板16により反射された光は、液晶パネルのガラス厚みによる視差のため、別の色のカラーフィルタを通過する可能性があり、この場合、ほとんどが吸収されて暗くなってしまう。これに対して、反射板161により反射された光は、必ず同じ色のカラーフィルタを通過するため、効率の良い反射が得られる。
次に、図18を用い、B側から視認する場合について説明する。ここでは、パネル非透過部分に相当する反射板設置領域において、反射板161に到達する光は透過型表示に寄与しないので、この部分の動作については説明を省略する。まず、液相層13が電圧無印加か十分低い電圧の印加である状態について説明する。外光およびフロントライト光である無偏光が第1偏光板14を通過することで直線偏光になる。図18の第1偏光板14は紙面に対して平行で横方向の直線偏光が透過するようになっている。反射板非設置領域の透過可能部分を通過する光は、液晶層13を通過することで略πの位相差を与えられ、偏光選択反射板16に到達する時には入射時の偏光と直交した直線偏光となる。従って、この光は偏光選択反射板16および第2偏光板15を通過しパネル背面(B側)に透過する。よってB側から観察すると明表示状態となる。
次に、液晶層13に電圧を印加した場合、液晶が立ち上がり、入射光の偏光状態は変化しない。従って、第1偏光板14を通過した直線偏光は、偏光選択反射板16でその偏光状態を維持したまま反射され、さらに第1偏光板14を通過する。よってB側から観察すると暗表示状態となる。
また、B側から光が入射したとすると、この光は第2偏光板15によって直線偏光となり、偏光選択反射板16を透過する。電圧無印加あるいは低電圧印加の状態では、この直線偏光は液晶層13で90°捩れ、第1偏光板14の透過軸と平行な直線偏光となり第1の偏光板14を透過する。また、電圧印加の状態では、この直線偏光はそのまま第1偏光板14に到達し、第1偏光板14に吸収される。
このように、従来とは異なって偏光選択反射板16は液晶層13に対してB側にのみ配置されているので、液晶層13に対してA側からの反射光がない。またこのとき、B側から入射して第2偏光板15を透過した光には、第2偏光板15による吸収のために第2偏光板15の透過軸に直交する方向の直線偏光が含まれていないので、偏光選択反射板16によって反射されてB側に戻る光はない。
従って、A側から入射する光を表示に用いてB側から視認を行うときの暗表示状態で、B側から入射した光が反射して戻ってこないようにすることができるので、暗所のみならず明所でも黒表示が良好になる。この結果、液晶表示装置7は明所および暗所の両方において黒表示を良好に行うことができる。
また、液晶表示装置7によれば、偏光選択反射板16を、第2ガラス基板12に対してB側に配置することにより、偏光選択反射板16を第1ガラス基板11と第2ガラス基板12との内側に配置するよりも、製品の信頼性が向上するとともに、配置の容易さにより有利な製造プロセスを行うことができる。そして、液晶層13と第2ガラス基板12との間に光の非透過領域が設けられているが、上述のような偏光選択反射板16の配置としながらも、反射板161を備えていて、液晶層13をA側からB側へ向かって通過する光を反射させるようにする。従って、A側から反射型の表示を視認するときに、非透過領域により遮られて偏光選択反射板16に到達しない光を反射板16で反射することができ、明るい表示を確保することができる。また、カラーフィルタを備えている場合には、偏光選択反射板16で反射された光が入射時のカラーフィルタとは異なるカラーフィルタに吸収されることによる明るさの低下を、反射板161による反射光で補うことができる。
また、液晶表示装置7によれば、A側から視認するときの明表示状態においては、第1偏光板14のA側から入射して反射板161で反射された光と、第1偏光板14のA側から入射して偏光選択反射板16で反射された光とが、再び第1偏光板14を透過するように、通過する光の偏光状態を液晶層13が制御するので、反射板161で反射された光と偏光選択反射板16で反射された光とが同時に明るい表示に寄与する。従って、反射型の表示の明るさを確保することができる。
また、A側から視認するときの暗表示状態においては、第1偏光板14のA側から入射して反射板161で反射された光と、第1偏光板14のA側から入射して偏光選択反射板16に向かった光とが、再び第1偏光板14を透過しないように、通過する光の偏光状態を液晶層13が制御するので、反射板161で反射された光も、偏光選択反射板16で反射された光も同時に黒表示に寄与する。従って、暗表示状態を問題なく実現することができる。
また、液晶表示装置7によれば、A側から第1偏光板14を透過した光は透過軸方向の直線偏光となるが、明表示状態では、液晶層13はこの光の偏光状態を略変化させないので、偏光選択反射板16に到達した光は反射され、反射板161で反射された光と併せて、再び第1偏光板14を透過する。
また、暗表示状態では、液晶層13は、偏光の位相差を、第1偏光板14を透過した状態のときをゼロとして、第1偏光板14から反射板161に向かう光の通過完了点で略π/2とする制御を行うので、光は円偏光となって反射部材に到達する。反射板161で反射された光は逆円偏光となるので、液晶層13が、反射板161から第1偏光板14に向かう光の通過完了点で略πとする制御を行うことにより、第1偏光板14へは、透過軸方向と直交する吸収軸方向の直線偏光となって到達し、第1偏光板14に吸収される。また、液晶層13は、上記位相差を、第1偏光板14から偏光選択反射板16に向かう光の通過完了点で略πとする制御を行うので、光は偏光選択反射板16へは第2の偏光状態となって到達し、偏光選択反射板16を透過する。
これにより、反射型の明表示状態において表示の明るさを確保することができるとともに、暗表示状態を問題なく実現することができる。
また、液晶表示装置7によれば、液晶層13は、反射板設置領域と反射板非設置領域とでは、セル厚の比が略1対2であるので、両方の領域における光の往復を考慮した偏光状態の制御を、両方の領域の液晶層13をECB液晶という同一種類のものとしたまま、セル厚の違いだけで実現することができる。
また、液晶表示装置7によれば、液晶層13に電圧を印加しないときや低い電圧を印加するときなどのように、表示のノーマリー状態において、偏光選択反射板16はA側から到達する光のほとんどを透過させ、第1偏光板14は反射板161から反射されて到達する光のほとんどを吸収し、第2偏光板15はA側から到達する光のほとんどを透過させる。また、液晶層13に十分に高い電圧を印加するときなどのように、表示の最大駆動状態において、偏光選択反射板16はA側から到達する光のほとんどを反射し、第1偏光板14は反射板161から反射されて到達する光のほとんどを透過させる。
従って、A側から反射型の表示を視認するときにはノーマリーブラック、B側から透過型の表示を視認するときにはノーマリーホワイトとなる。従って、透過型のノーマリー状態での黒表示品位は反射型と比べて一般的にプロセスに依存して劣るが、上記構成により、透過型での黒表示を駆動状態で行うこととなる。これにより、透過型で行う黒表示を製造プロセスに依存せずに良好なものとし、コントラストを向上させることができる。
また、反射型の表示において、反射板設置領域と反射板非設置領域とで、同時にノーマリー状態で黒表示を行い、同時に最大駆動状態で白表示を行うこととなる。従って、1つの画素に両方の領域が含まれていても、画素における両領域で黒表示および白表示を一致させることができ、良好な表示を実現することができる。
〔実施の形態7〕
本発明の参考形態としてのさらに他の実施の形態について図19ないし図22に基づいて説明すれば以下の通りである。
図19に本実施の形態の1画素103の概略平面図を、図20に表示装置の一部の概略断面図を示す。表示媒体による表示の領域を構成する本実施の形態の1画素103は、少なくとも第1領域101と第2領域102とに分割されている。第1領域101は、1画素103の領域内の光透過領域上に形成され、透過型表示と反射型表示との両方を行う。第2領域102は、1画素103の領域内の、信号用配線104などによる光の非透過領域上に形成され、反射型表示のみを行う。
本実施の形態の画素構成により、反射型表示領域と透過型表示領域とを画素分割により形成しないため光の利用効率を高めることが可能となる。
次に、表示原理について図20を用いて説明する。
図20は1画素103を側方から見た図である。少なくとも第1領域101の表示媒体に対するB側(第2の側)には偏光選択反射層(選択反射手段、偏光選択反射手段)105が設置されている。ここでは、第1領域101の表示媒体に対するB側、第2領域102の表示媒体に対するB側との両方にまたがるように偏光選択反射層105が設置されている。信号用配線104は偏光選択反射層105に対してA側に設けられている。第2領域102においては信号用配線104に対してA側に反射部材(反射手段)106が設けられている。
本実施の形態の場合、偏光選択反射層105は紙面に対して平行で横方向の直線偏光を透過させ、紙面に対して垂直な直線偏光を反射させる機能を有している。反射部材106は、表示媒体をA側(第1の側)からB側へ向かって通過して入射する光を偏光状態に依存せずにA側へ反射する。
第1領域101について説明すると、図20に示したようにA側からB側へ向かって光が入射し、偏光選択反射層105上で紙面に対して平行で横方向の直線偏光の状態(第2の状態、第2の偏光状態)となる場合、入射した光は偏光選択反射層105を通過する。この時、B側から見た透過型表示は、入射した光が視認者には届くため明表示状態となり、A側から見た反射型表示は、入射した光が視認者には届かないため、暗表示状態となる。
一方、A側からB側へ向かって光が入射し、偏光選択反射層105上で紙面に対して垂直な直線偏光の状態(第1の状態、第1の偏光状態)となる場合、入射した光は偏光選択反射層105で反射する。この時、B側から見た透過型表示は、入射した光が視認者には届かないため暗表示状態となり、A側から見た反射型表示は、入射した光が反射して視認者に届くため明表示状態となる。
次に、第2領域102について説明する。第2領域102はA側から見た反射型表示のみに寄与し、B側から見た透過型表示とは無関係である。従って、第2領域102の明表示状態および暗表示状態を次のように設定する必要がある。
第1領域101によるA側の反射型表示が暗表示状態である時に、第2領域102によるA側の反射型表示が同時に暗表示状態となり、また、第1領域101によるA側の反射型表示が明表示状態である時に、第2領域102のA側の反射型表示が同時に明表示状態になるように設定されている。この時、A側から見た反射型表示は、第1領域101の表示と第2領域102の表示とを合わせた表示となる。本実施の形態では、暗表示状態および明表示状態とも第1領域101と第2領域102とで一致しているため、これらを合わせた表示は互いに打ち消し合うことなく良好なものとなる。
さらに、第2領域102の反射部材106を表示媒体の光の非透過領域上にのみ形成することにより、B側から見た透過型表示の明るさを犠牲にすることがない。これにより、B側から見た透過型表示において、最大限に光の利用効率を高めることができ、明るく視認性の高い表示が可能となる。
このように、本実施の形態の表示装置は、A側から第1領域101に入射する光を、紙面に対して水平な直線偏光の状態に制御して偏光選択反射層105を透過させて、表示媒体に対するB側での表示に用いる透過型表示が可能である。また、本実施の形態の表示装置は、A側から第1領域101に入射する光を、紙面に対して垂直な直線偏光の状態に制御して偏光選択反射層105によって反射させて、表示媒体に対するA側での表示に用いる第1の反射型表示が可能である。また、本実施の形態の表示装置は、A側から第2領域102に入射する光を、反射部材106によって反射させて、表示媒体に対するA側での表示に用いる第2の反射型表示が可能である。
次に、偏光選択反射層105上での偏光状態、および反射部材106上での偏光状態は表示のコントラスト比に大きく影響を及ぼすため、それぞれでの偏光の楕円率とコントラスト比との関係を調べた。
反射部材106上での偏光の楕円率とA側から見た第2領域102による表示のコントラスト比との関係を図21に示す。図21より、第2領域102の反射部材106上での楕円率が0.7以上の時、5以上のコントラスト比を実現でき良好な表示が可能となることが分かる。
また、偏光選択反射層105上での偏光の楕円率とB側から見た第1領域101による表示のコントラスト比との関係を図22に示す。図22より、第1領域101の偏光選択反射層105上での楕円率が0.3以下の時、10以上のコントラスト比を実現でき良好な表示が可能となることが分かる。これらの楕円率とコントラスト比の関係は、偏光を制御する表示媒体であれば、同様の結果が得られる。また、この時、A側から見た第1領域101による表示は、B側から見た表示に対して暗表示状態と明表示状態とが入れ替わるため、B側から見た透過型表示が良好であれば、A側から見た反射型表示も良好となる。さらに、図22より、第1領域101の偏光選択反射層105上での楕円率が0.22以下の時、20以上のコントラスト比を実現でき、さらに良好な表示が可能となることが分かる。
このような偏光状態を実現するための一例として、第1領域の表示媒体と第2領域の表示媒体とを調整することが必要である。その具体的手段として、表示媒体の種類を第1領域と第2領域とで異ならすことも可能であるが、第1領域内に絶縁層を設けるなどして、第1領域の表示媒体の厚さが第2領域の表示媒体の厚さよりも厚くなるように設定すれば、表示媒体の種類を変えなくても容易に両表示領域の偏光状態を整合することができる。
〔実施の形態8〕
本発明の参考形態としてのさらに他の実施の形態について図23ないし図32に基づいて説明すれば以下の通りである。
図23に本実施例における液晶表示装置(表示装置)200の構成を模式的に示す。液晶表示装置200は、第1ガラス基板201、第2ガラス基板202、液晶層203、第1偏光板204と第1光学補償素子205とからなる楕円偏光板、第2偏光板207と第2光学補償素子209と偏光選択反射板208とからなる楕円偏光板、光散乱層206、カラーフィルタ210a・210b、遮光膜211、透明電極214、スイッチング素子215、光源212、導光板213、および反射板218を備えている。また、第1ガラス基板(透明基板)201と第2ガラス基板(透明基板)202との間に液晶層203を挟んだ構成になっており、液晶層203を挟む両側のうち液晶層203から第1ガラス基板201側を向く側をA側(第1の側)、液晶層203から第2ガラス基板202側を向く側をB側(第2の側)とする。光源212および導光板213はフロントライトを構成している。フロントライトは液晶表示装置200の最もA側に設けられ、光源212から発せられた光を導光板213がB側へ向けて照射する。液晶層(表示媒体、90°ツイストネマティック液晶層)203は90°TN方式である。
第1偏光板(第1の偏光手段)204は第1ガラス基板201のA側面に設けられ、所定の向きに設定された透過軸を有し、透過軸方向の直線偏光の成分となる光のみを透過させる。フロントライトから無偏光の光が第1偏光板204に入射すると、第1偏光板204の透過軸方向に平行な直線偏光になり透過する。第1偏光板204としては、高分子樹脂フィルムにヨウ素、二色性染料等の吸収体を混入し延伸することで吸収体を配向させたものを用いた。偏光板材料としては、上記以外のものであっても、無偏光を直線偏光にするものであれば何でもよい。
第2偏光板(第2の偏光手段)207は第2ガラス基板202のB側に設けられ、透過軸の方向が第1偏光板204とほぼ直交する偏光板である。偏光選択反射板(選択反射手段、偏光選択反射手段)208は第2ガラス基板202と第2偏光板207との間に設けられている。偏光選択反射板208は、自身に入射する直線偏光の光の偏光方向が反射軸と平行であるときにはこの光を第1の偏光状態(第1の状態、第1の方向の直線偏光の状態)の光として反射し、偏光方向が透過軸と平行であるときにはこの光を第2の偏光状態(第2の状態、第2の方向の直線偏光の状態)の光として透過させる。偏光選択反射板208の反射軸と透過軸とは互いに直交している。また、偏光選択反射板208の反射軸は第1偏光板204の透過軸とほぼ平行な方向であり、偏光選択反射板208の透過軸は第1偏光板204の透過軸とほぼ直交する方向である。本実施の形態では、高分子膜を積層することで作成された既知の偏光選択反射板を用いた。また、一方直線偏光を透過し、他方直線偏光を反射する偏光選択反射板であれば何でも良い。
第1光学補償素子(光学補償手段)205は第1ガラス基板201と第1偏光板204との間に設けられている。第2光学補償素子(光学補償手段)209は第2ガラス基板202と偏光選択反射板208との間に設けられている。光散乱層(光散乱手段)206は、第1ガラス基板201のA側に、第1偏光板204および第1光学補償素子205に対する順序は任意として設けられる。
カラーフィルタ110aは、第1ガラス基板201のB側にRGBの3色分がそれぞれ設けられており、カラーフィルタ210bには透明のカラーフィルタが配置されている。反射板218は偏光状態に依存せずに、入射する光を反射する。反射板218は基板内に設けられた絶縁性樹脂層216上の、上記カラーフィルタ110bとほぼ対向する領域に設けられている。更にカラーフィルタ210bはRGBのカラーフィルタ210aに対して膜厚を厚く設定してあり、カラーフィルタ210bの部分のセル厚が、これ以外の部分のセル厚の約1/2となるように設定されている。ここではカラーフィルタ210bの膜厚を変更することでセル厚を制御したが、絶縁性樹脂層216に段差を設けることによって、セル厚を制御することも可能である。また、ここでは偏光状態に依存しない反射板218による視認性を向上させるため、絶縁性樹脂層216には微細な凹凸が設けられている。遮光膜211はカラーフィルタ210a・210bに隣接して、配線の一部および、画素電極の存在しない部分に対向する領域に設けられており、A側からB側へ透過する光を遮光する。
透明電極214は第1ガラス基板201上でカラーフィルタ210a・210bおよび遮光膜211のB側面、および第2ガラス基板202上でA側面のそれぞれに設けられている。透明電極材料としてはITO(酸化インジウムと酸化錫からなる合金)を用いた。透明電極材料としては、他の透明性を有する導電性金属膜を用いても同じである。又、本実施の形態では金属からなる透明電極材料を用いた例を記載しているが、金属以外の樹脂、半導体等の透明性を有する材料であれば何でも良い。また、配線接続を行うためのコンタクト部217が適宜備えられている。スイッチング素子215は、第2ガラス基板202のA側面に設けられ、各画素を駆動するためにスイッチングするTFTなどのアクティブ素子である。
上記液晶表示装置200において、カラーフィルタ210aおよびこれと対向する領域は、光の透過領域となる第1領域220であって、実施の形態7の第1領域101に相当している。また、カラーフィルタ210bおよびこれと対向する領域は、第2領域219であって、実施の形態7の第2領域102に相当している。第2領域219における光の非透過領域は、反射板218に対してB側に設けられているスイッチング素子215および配線などで構成される。
さらに、本実施の形態のように液晶層203が90°TNの場合についての光学設計について具体的に説明する。本実施の形態による液晶表示装置200は、A側から見る反射型表示とB側から見る透過型表示との両方の表示品位を同時に満足させるものである。
A側から見た反射型表示は表示装置の第2領域219と第1領域220との両方を観察することになり、B側から見た透過型表示は第1領域220のみを観察することになる。言いかえれば、第2領域219はA側から見る反射型表示のみに寄与し、第1領域220はA側から見る反射型表示とB側から見る透過型表示との両方に寄与することになる。
まず、第2領域219の反射型表示についての光学設計について具体的に説明する。
本実施の形態ではA側から見た反射型表示をノーマリーブラック、B側から見た透過型表示をノーマリーホワイトとしている。ノーマリーブラックの反射型表示である第2領域219において、高コントラスト比を得るためには、第1偏光板204を通過した直線偏光が反射板218上で円偏光になることが望ましい。この場合、反射した光が再び第1偏光板204に到達する時には、入射時とほぼ直交した直線偏光となっており、第1偏光板204で遮光される。
しかし、図24に示すようにさまざまなリタデーションを有する従来の90°TNに直線偏光がそのまま、液晶層203に入射する場合、電圧無印加時に反射板218上で楕円率が0.54以下の偏光にしかならない。この場合、反射した光が再び第1偏光板204に到達する時には、入射時とほぼ直交した直線偏光にはならず、その多くは第1偏光板204を通過し、良好な遮光状態が得られない。図24において最も円偏光に近い条件であっても、その楕円率は0.54であり実施の形態7で示した良好な表示が得られる反射板106上での楕円率0.7以上を満たすことができない。
そこで、本実施の形態では、第1光学補償素子205を用いて、第1偏光板204を通過した直線偏光をあらかじめ楕円偏光に変換した後、90°TNの液晶層203に入射させることにより、反射板218上で楕円率が0.7以上の偏光となるように設定した。しかしながら、第1偏光板204を通過した直線偏光をあらかじめ楕円偏光に変換するうえにおいても次の理由から制限がある。
第1領域220におけるノーマリーホワイトの透過型表示は、上述した様に90°TNにおいては本来不必要である第1光学補償素子205を設置したため、これを補償するために第2光学補償素子209を、偏光選択反射板208上に第1光学補償素子205とリタデーションが等しくかつ光学的に直交した状態で設置する必要がある。
この場合、第2光学補償素子209にも直線偏光を楕円偏光にするような機能があり、このことが透過型表示のコントラスト比を低下させるため、使用する第2光学補償素子209として、なるべく直線偏光を楕円率の小さい楕円にしか変換しないものを使用するのが好ましい。ここで、第2光学補償素子209として直線偏光をなるべく小さい楕円率の楕円偏光に変換するものを用いるためには、第1光学補償素子205もなるべく直線偏光を楕円率の小さい楕円にしか変換しないものを使用する必要が有る。そのためには、90°TN液晶層のみで、反射板218上でなるべく楕円率が1に近い偏光となるような90°TN液晶層を選ぶことが必要である。
また、図25に、第2偏光板207と第2光学補償素子209と偏光選択反射板208とからなる楕円偏光板による楕円率と透過型表示のコントラスト比の関係を示す。図25より、良好な透過型表示となるコントラスト比10以上を実現するためには、直線偏光が第2光学補償素子209により楕円率が0.3以下の偏光にしか変換されない必要がある。したがって、第1偏光板204と第1光学補償素子205とからなる楕円偏光板による楕円率も0.3以下とする必要がある。
図26にリタデーションの異なる90°TNに右円偏光を入射させたときの出射光の楕円率を示す。この場合、出射光の楕円偏光と同じ楕円率の偏光に変換する楕円偏光板を用いることにより、反射板218上で円偏光となる。図26から分かるように、リタデーションが250nm付近でもっとも楕円率が小さくなり、使用する第1光学補償素子205および第2光学補償素子209による楕円率が小さくなり、透過型表示のコントラスト比を維持することが可能となる。また、楕円率が0.3以下となる前述の第1光学補償素子205からなる楕円偏光板を用いるとき、楕円率が1の円偏光に変換できる範囲の第2領域219の90°TNのリタデーションは、150nm以上320nm以下となる。さらに、楕円率が0.3以下となる前述の第1光学補償素子205からなる楕円偏光板を用いるとき、楕円率が0.7以上の偏光に変換できる範囲の第2領域219の90°TNのリタデーションは、150nm以上340nm以下となる。
上述した液晶表示装置200は、液晶層203の誘電異方性を示す△εが正の場合であり、A側から見た反射型表示を黒表示とするときに液晶層203にはOFF電圧、すなわち駆動電圧のうち最も低い電圧を印加する。このとき、A側から第1領域220に入射した光が、偏光選択反射板208上で偏光選択反射板208の透過軸と平行な長軸を有する楕円偏光か直線偏光になる。また、第2領域219に入射した光が、反射板218上で楕円偏光か円偏光になる。これにより、第1領域220と第2領域219との両方を使用する反射型表示において、両者の黒表示を精度よく一致させて黒表示を良好にすることができる。
逆に、液晶層203の△εが負の場合は、A側から見た反射型表示を黒表示とするときに液晶層203にはON電圧、すなわち駆動電圧のうち最も高い電圧を印加する。このとき、A側から第1領域220に入射した光が、偏光選択反射板208上で偏光選択反射板208の透過軸と平行な長軸を有する楕円偏光か直線偏光になる。また、第2領域219に入射した光が、反射板218上で楕円偏光か円偏光になる。これにより、第1領域220と第2領域219との両方を使用する反射型表示において、両者の黒表示を精度よく一致させて黒表示を良好にすることができる。
一方、第1領域220は、ノーマリーホワイトの90°TNであり、十分な印加電圧により液晶層203のリタデーションの値に関係なく、さらには、第1光学補償素子205と第2光学補償素子209とはリタデーションがほぼ等しく遅相軸が直交の関係にあるので、良好な黒が表示できる。しかし、電圧無印加時の透過率は図27に示すように液晶層203のリタデーションに依存し、透過率が高くなるのは400nm以上の場合である。
上述した光学設計により、液晶表示装置200を作成した。詳細には、液晶層203は、第2領域219のセル厚が2.8μm、第1領域220のセル厚が5.6μmとなるように作成した。第1ガラス基板201および第2ガラス基板202上の配向処理は平行配向とし、△n=0.089で自発ピッチが左まわりの100μmの液晶組成物を真空注入法などの方法で充填した。
第2領域219の液晶層203はリタデーションが250nmの90°TNであり、これに反射板218から円偏光を入射させた時の出射光は、楕円率が0.18であり、楕円の長軸は、下側基板のラビング方向を0度とし反時計周りを正方向とすると−70度であった。各光学素子の設定においては、リタデーションが138nmである第1光学補償素子205の遅相軸を、第2領域219の反射板218から円偏光を入射させたときに出射する楕円偏光の長軸と平行となるように設定し、第1偏光板204の吸収軸または透過軸と第1光学補償素子205の遅相軸とのなす角を−10度に設定した。一方、第2光学補償素子209はそのリタデーションが138nmで、その遅相軸は第1光学補償素子205の遅相軸とほぼ直交の関係にある。また、偏光選択反射板208の反射軸と第2偏光板207の吸収軸とはほぼ平行の関係にあり、第2偏光板207の吸収軸は第1偏光板204の吸収軸とほぼ直交の関係にある。
以上により作成された本実施の形態の液晶表示装置200のA側から見た反射型表示、およびB側から見た透過型表示の電気光学特性を図28および図29に示す。図28、図29中、実線は本実施の形態による液晶表示装置200の特性を示し、破線は比較例として従来の、光学補償素子を用いない表示装置の特性を示す。図31には、本実施の形態における各光学軸の設定角度を示す。
また、本実施例では直線偏光を楕円偏光に変換するために第1光学補償素子205としてリタデーションが138nmのλ/4板を使用したが、これに限らずリタデーションそのものを変えることにより楕円偏光に変換する手法を用いても良く、この場合は、各光学軸の軸設定を適宜最適にすることにより、本実施の形態と同様の効果が得られる。
次に、液晶表示装置200において、反射板218上で可視光領域のより広い範囲で円偏光となるように、第1光学補償素子205として複数枚の光学補償素子からなる積層タイプのものを使用した場合について説明する。
一例として、リタデーションが138nmの光学補償素子205aとリタデーションが275nmの光学補償素子205bからなる第1光学補償素子205と、リタデーションが138nmの光学補償素子209aとリタデーションが275nmの光学補償素子209bからなる第2光学補償素子209とを用いた場合の各光学軸の設定角度について、図32に示す。この場合、反射型表示のコントラスト比がさらに高くなり、その電気光学特性を図30に示す。図30中、実線は図32の構成による液晶表示装置200の特性を示し、破線は比較例として従来の、光学補償素子を用いない表示装置の特性を示す。
〔実施の形態9〕
本発明の参考形態としてのさらに他の実施の形態について図23、図33ないし図41に基づいて説明すれば以下の通りである。
本実施の形態の表示装置は、図23の液晶表示装置200において液晶層203をホモジニアス配向としたものであり、例えばECB(Electrical controlled・birefringence)方式の液晶である。この液晶層203は、自身に入射されて通過する偏光に対して、位相差を与える。ここでは、液晶層203は、電圧無印加か十分な低電圧印加で、第1領域220においては約λ/2の位相差を与え、第2領域219においては約λ/4の位相差を与えるように設定されている。
次に、この液晶表示装置200の一般的な光学設計について説明する。液晶表示装置200は、A側から見る反射型表示とB側から見る透過型表示との両方の表示品位を同時に満足させるものである。A側から見た反射型表示では液晶表示装置200の第2領域219と第1領域220の両方を観察することになり、B側から見た透過型表示では第1領域220のみを観察することになる。言いかえれば、第2領域219はA側から見る反射型表示のみに寄与し、第1領域220はA側から見る反射型表示とB側から見る透過型表示との両方に寄与することになる。
そこで、まず、第2領域219の反射型表示に関して検討を行った。
液晶表示装置200の作成において、液晶層203は第2領域219でのセル厚が2.5μm、第1領域220でのセル厚が5.0μmとなるように作成した。第1ガラス基板201および第2ガラス基板202上の配向処理を平行配向とし、△n=0.065の液晶組成物を真空注入法などの方法で充填した。
以上により作成された液晶表示装置200を用いて、第2領域219による反射型表示について検討した。第1光学補償素子(光学補償手段、第1の光学補償手段)205のリタデーションR1を変化させ、第1光学補償素子205の遅相軸と液晶層203の液晶分子のダイレクタとが直交している場合について、反射率とコントラスト比とを測定した。その結果を図33に示す。液晶層203のリタデーションは、駆動電圧のうち最も低い電圧(OFF電圧)が印加された状態である電圧無印加状態におけるものである。第2領域219における液晶層203のリタデーションをRrとしている。Rr−R1の領域は第1光学補償素子205の遅相軸と液晶層103の液晶分子のダイレクタとが直交している場合であり、液晶層203のリタデーションRrから第1光学補償素子205のリタデーションR1分だけ小さいリタデーションに対応する位相差が通過光に与えられる。
ここで、反射率が8%以上、コントラスト比が5以上であれば、良好な表示が可能となる。図33において細実線で示した反射率と太実線で示したコントラスト比との両方が前述した値を満たすのは限られた領域であり、これは、第1光学補償素子205の遅相軸と液晶分子のダイレクタとが直交の関係にある領域でRr−R1が−175nm以上−105nm以下の領域と、第1光学補償素子205の遅相軸と液晶分子のダイレクタとが直交の関係にある領域でRr−R1が100nm以上170nm以下の領域とのいずれかを満たす場合に限られる。この時、第2領域219上に形成された反射板218上での偏光の楕円率は0.7以上となっている。
さらに、図33で示したRr−R1が最適となる2つの領域にあるRr−R1=−137nmとRr−R1=133nmの場合について、第2光学補償素子(光学補償手段、第2の光学補償手段)209のリタデーションR2を変化させた時のB側から見た透過型表示の、液晶層203の電圧無印加状態における透過率とコントラスト比とをそれぞれ図34から図37に示す。図34から図37までのグラフ上に記載されている平行および直交は、第2光学補償素子209の遅相軸と液晶層203の液晶分子のダイレクタとの関係を意味する。これらの図では、第1領域220の液晶層203のリタデーションRtは、第2領域219の液晶層203のリタデーションRrと、液晶層203の厚みの差に対応して異なっている。
図34はRr−R1=−137nmの場合のグラフであり、第1偏光板204と第2偏光板207とで透過軸または吸収軸が直交の関係にある場合を示す。図35はRr−R1=−137nmの場合のグラフであり、第1偏光板204と第2偏光板207とで透過軸または吸収軸が平行の関係にある場合を示す。図34および図35のそれぞれには、第2光学補償素子209の遅相軸と液晶分子のダイレクタとが直交している場合および平行である場合について、透過率とコントラスト比とを測定した結果が示されている。Rt−R1−R2の領域が、第2光学補償素子209の遅相軸と液晶分子のダイレクタとが直交している場合を示し、Rt−R1+R2の領域が、第2光学補償素子209の遅相軸と液晶分子のダイレクタとが平行である場合を示している。ここで、透過率が8%以上、コントラスト比が10以上であれば、良好な表示が可能となる。
図34において細実線で示した透過率と太実線で示したコントラスト比との両方が前述した値を満たすのは限られた領域であり、第2光学補償素子209の遅相軸と液晶分子のダイレクタとが平行の関係にある領域に存在し、Rt−R1+R2が190nm以上300nm以下の領域である。
図35において、細実線で示した透過率と太実線で示したコントラスト比との両方が前述した値を満たすのは限られた領域であり、第2光学補償素子209の遅相軸と液晶分子のダイレクタとが平行の関係にある領域では、Rt−R1+R2が25nm以上50nm以下の領域である。また、第2光学補償素子209の遅相軸と液晶分子のダイレクタとが直交の関係にある領域では、Rt−R1−R2が−50nm以上25nm以下の領域である。
図36は、Rr−R1=133nmについての結果であり、第1偏光板204と第2偏光板207とで透過軸または吸収軸が直交の関係にある場合を示している。図37は、Rr−R1=133nmについての結果であり、第1偏光板204と第2偏光板207とで透過軸または吸収軸が直交の関係にある場合を示している。第2光学補償素子209の遅相軸と液晶分子のダイレクタとが直交している場合および平行である場合について、透過率とコントラスト比とを測定した。Rt−R1−R2の領域が、第2光学補償素子209の遅相軸と液晶分子のダイレクタとが直交している場合を示し、Rt−R1+R2の領域が、第2光学補償素子209の遅相軸と液晶分子のダイレクタとが平行である場合を示している。ここで、透過率が8%以上、コントラスト比が10以上であれば、良好な表示が可能となる。
図36において細実線で示した透過率と太実線で示したコントラスト比との両方が前述した値を満たすのは限られた領域であって、第2光学補償素子209の遅相軸と液晶分子のダイレクタとが直交の関係にある領域に存在し、Rt−R1−R2が190nm以上300nm以下の領域である。
図37において細実線で示した透過率と太実線で示したコントラスト比との両方が前述した値を満たすのは限られた領域であって、第2光学補償素子209の遅相軸と液晶分子のダイレクタとが直交の関係にある領域に存在し、Rt−R1−R2が−50nm以上50nm以下の領域である。
また、図34から図37までは、第1領域220のB側から見た透過型表示の特性を示すと同時に、A側から見た反射型表示の特性を示している。A側から見た反射型表示は、B側から見た透過型表示の明暗(ネガポジ)反転表示である。つまり、第1領域220のA側から見た透過型表示の特性が良ければ、同時に第1領域220のB側から見た反射型表示も良いこととなる。
本実施の形態では、液晶層203の第2領域219のリタデーションRrが162.5nm、第1領域220のリタデーションRtが325nmの場合について説明したが、リタデーションRr、Rtはこれらに限定されるものではない。
次に、上記液晶表示装置200の具体的な光学設計値について説明する。前述と同様、液晶表示装置200の作成において、液晶層203は第2領域219のセル厚が2.5μm、第1領域220のセル厚が5.0μmとなるように作成し、第1ガラス基板201および第2ガラス基板202上の配向処理を平行配向とし、△n=0.065の液晶組成物を真空注入法などの方法で充填した。さらに、第1光学補償素子205には、材質がPVA(ポリビニルアルコール)でそのリタデーションR1が300nmである高分子フィルムを用いた。また、液晶分子のダイレクタと第1光学補償素子205の遅相軸とのなす角が90°となるように、第1光学補償素子205を設置した。
さらに、第2光学補償素子209には、材質がPVA(ポリビニルアルコール)でそのリタデーションR2が220nmである高分子フィルムを用いた。また、液晶分子のダイレクタと第2光学補償素子209の遅相軸とのなす角が0°となるように、第2光学補償素子209を設置した。また、図38に示すように第1偏光板204の透過軸と第1光学補償素子205の遅相軸とのなす角が45°となるように設置し、偏光選択反射板208の透過軸と第2偏光板207の透過軸とを一致させ、さらにこれらの透過軸と第1偏光板204の透過軸とが直交の関係になるように設置した。
また、第1偏光板204の吸収軸と第1光学補償素子205の遅相軸とのなす角が45°となるように設置し、偏光選択反射板208の反射軸と第2偏光板207の吸収軸とを一致させ、さらにこれらの吸収軸と第1偏光板204の吸収軸とが直交の関係になるように設置してもよい。
以上の光学設計値を適用した液晶表示装置200の、表示特性の測定結果を次に示す。
A側から見た反射型表示の電気光学特性を図39に、B側から見た透過型表示の電気光学特性を図40にそれぞれ示す。図39は液晶層203の印加電圧と反射率との関係を示し、図40は液晶層203の印加電圧と透過率との関係を示す。図39に示した反射型表示、図40に示した透過型表示とも十分な明るさとコントラスト比とを実現していることが判明した。また、A側から見た反射型表示はノーマリーブラック型、B側から見た透過型表示はノーマリーホワイト型であるが、本実施の形態の液晶表示装置200はその構成上、A側およびB側から同時には見ないため、A側表示とB側表示とのそれぞれについて適時ネガポジ反転のスイッチによりネガポジを選択すれば良い。また、画像左右反転、画像上下反転などのスイッチを兼ね備えていても良い。
上述した液晶表示装置200は、液晶層203の誘電異方性を示す△εが正の場合であり、A側から見た反射型表示を黒表示とするときに液晶層203にはOFF電圧、すなわち駆動電圧のうち最も低い電圧を印加する。このとき、A側から第1領域220に入射した光が、偏光選択反射板208上で偏光選択反射板208の透過軸と平行な長軸を有する楕円偏光か直線偏光になる。また、第2領域219に入射した光が、反射板218上で楕円偏光か円偏光になる。これにより、第1領域220と第2領域219との両方を使用する反射型表示において、両者の黒表示を精度よく一致させて黒表示を良好にすることができる。
逆に、液晶層203の△εが負の場合は、A側から見た反射型表示を黒表示とするときに液晶層203にはON電圧、すなわち駆動電圧のうち最も高い電圧を印加する。このとき、A側から第1領域220に入射した光が、偏光選択反射板208上で偏光選択反射板208の透過軸と平行な長軸を有する楕円偏光か直線偏光になる。また、第2領域219に入射した光が、反射板218上で楕円偏光か円偏光になる。これにより、第1領域220と第2領域219との両方を使用する反射型表示において、両者の黒表示を精度よく一致させて黒表示を良好にすることができる。前述した各リタデーションRr・Rt・R1・R2の関係は、液晶層203にON電圧を印加した状態で得られるものとなる。
ただし、上述した各楕円偏光の楕円率の制御は、実施の形態8と同じであるとは限らない。
次に、液晶表示装置200に備えられている光散乱層206の機能について説明する。
本実施の形態の液晶表示装置200は、B側から見る透過型表示の場合、フロントライトからの光のだけでなく、フロントライト越しに入射する周囲からの光も表示に利用することができるため、従来の透過型液晶表示装置とは異なり、明るい環境下でも高品位の透過型表示を実現することができる。しかしながら、液晶表示装置200の第1領域220に周囲で反射してきた光が入射して散乱せずに通過する場合、周囲光の濃淡、例えば、屋内では、床あるいは机の模様、屋外では地面の模様などがそのまま表示に重なる。つまり、透明ガラス越しに机、床、地面を見ている場合と同様の現象がおき、表示品位を大きく低下させる。この現象の回避は、光を散乱させる機能を液晶表示装置200にもたせることにより実現することができる。そこで、光散乱層206を液晶表示装置200に設置している。一方でこの光散乱層206がコントラスト比を低下させる原因とならぬよう、光散乱層206には適切な散乱強度が選択されている。
液晶表示装置200全体のヘイズが大きすぎるとA側から見た反射型表示、B側から見た透過型表示ともコントラスト比が低下し、正面輝度が低下する。さらに、A側から見た反射型表示時には、画像のぼけが顕著になる。以上の観点から、本実施の形態の液晶表示装置200に最適となるヘイズを検討した。周囲光による模様の重なりは、ヘイズが50でほぼ解消される。また、コントラストの高い模様であってもヘイズを60とすることで解消されることが判明した。図41に、図23と同様の表示装置に各種ヘイズが異なる光散乱層を設置した場合について、A側から見た反射型表示のコントラスト比およびB側から見た透過型表示のコントラスト比の測定結果を示す。
表示装置全体のヘイズが小さい時はコントラスト比は高いものの、前述の理由から実用上問題が発生する。また、ヘイズが90よりも大きい場合、コントラストの低下が顕著となり、実用上問題がある。前述したように反射型表示のコントラスト比が5以上、透過型表示のコントラスト比が10以上であれば、実用上問題のない表示が可能なことから、ヘイズは最大で95以下とすることが好ましい。
これらの検討を経て、表示装置全体のヘイズが50以上95以下、好ましくは60以上90以下の場合に、前述した周囲光による模様の重なりおよびコントラスト比の低下が解決されることが判明した。
従って、液晶表示装置200全体のヘイズが50以上95以下、あるいは60以上90以下となるように、光散乱層206を設置するとよい。また、液晶表示装置200のいずれかの部材、例えば、カラーフィルタ210a、第1ガラス基板201、第2ガラス基板202、絶縁性樹脂層216などに光散乱機能を持たせることにより、光散乱層206を省略することもできる。
次に、光散乱層206の設置位置と表示特性との関係について説明する。
まず、光散乱層206の設置位置を液晶層203に対してA側とした場合およびB側とした場合のそれぞれについて、液晶表示装置200のコントラスト比を測定した結果を表1に示す。
この時、光散乱層206としてのヘイズが80のものを用いた。光散乱層206を液晶層203に対してA側に設置した場合、A側から見た表示となる反射型表示のコントラスト比は低いものの、B側から見た表示となる透過型表示のコントラスト比は高くなる。この場合、反射型表示のコントラスト比低下よりも透過型表示のコントラスト比低下の方が顕著である。一方、光散乱層206を液晶層203に対してB側に設置した場合、A側から見た表示となる反射型表示のコントラスト比は高いが、B側から見た表示となる透過型表示のコントラスト比は大きく低下する。実用上は透過型表示を優先させるのが得策であり、液晶層203に対してA側に設置した方が液晶表示装置200としての機能が向上することが判明した。
さらに、B側から見る透過型表示には周囲光も利用可能であるが、この場合の周囲光は、環境によれば電場が水平方向に振動する偏光成分が多いこともあり、第1偏光板204の透過軸を、液晶表示装置200を使用するときの装置姿勢における水平方向に略一致させることにより光の利用効率を向上させることが可能となる。
〔実施の形態10〕
本発明の参考形態としてのさらに他の実施の形態について、図42ないし図52に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、前記実施の形態1で述べた構成要素と同一の機能を有する構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図42に本実施の形態に係る液晶表示装置(表示装置)300の断面構成を示す。液晶表示装置300は、第1ガラス基板11、第2ガラス基板12、液晶層13、第1偏光板14、第2偏光板15、偏光選択反射板16、カラーフィルタ17、遮光膜18、透明電極19、スイッチング素子20、光吸収層21、光源22、導光板23、および光変調機構310を備えている。すなわち、実施の形態1で述べた液晶表示装置1に光変調機構310が追加された構成である。
また、一対の透明基板である第1ガラス基板11と第2ガラス基板12との間に液晶層13を挟んだ構成になっており、液晶層13を挟む両側のうち液晶層13から第1ガラス基板11側を向く側をA側(第1の側)、液晶層13から第2ガラス基板12側を向く側をB側(第2の側)とする。この液晶表示装置300はA側からもB側からも表示を視認することのできる両面ディスプレイである。
このように2つの表示画面を有する両面ディスプレイでは、あらゆる環境下で表示装置の両面から表示を視認することが可能となる。しかしながら、一方の側が明表示状態の際には他方の側は暗表示状態となり、一方の側が暗表示状態の際には他方の側は明表示状態となり、同じ表示データに対して明暗(ネガポジ)が反転した画像が常に表示される。この反転画像の光をそのままにすると、表示装置に対して視認者と反対側で反転画像の読み取りが可能になる。また、非常に強い周囲光が透過表示側から入射した場合には、左右の反転した透過表示側と同じ表示状態が反射表示側から視認されることも可能である。
このように、従来の2つの表示画面を有する液晶表示装置では、裏面から使用画面の表示が見えてしまうため、プライバシーの点で問題が生じていた。本実施の形態はこの問題点を解決するものであり、光変調機構310を備えることにより、両面表示型の表示装置に関して、使用者の視認に供しない裏面表示の視認性を無くすことで、プライバシー保護に配慮した表示装置を提供する。
光変調機構(光変調手段)310は、導光板23に対してA側に設けられている。光変調機構310は、液晶表示装置300にA側で出入りする光の所定のものに対して、進行状態を所定通りに切り替えることが可能である。
液晶表示装置300に出入りする光のうち、出る光は、光変調機構310がない場合に、A側での表示あるいはB側での表示に使用されて視認者に提供可能な状態(反転画像も含む)となって液晶表示装置300の外部に向かって進行する光である。液晶表示装置300のA側に出る光として、第1偏光板14から液晶表示装置300に対してA側の外部へ向かって出射される光がある。
液晶表示装置300に出入りする光のうち、入る光は、光変調機構310がない場合に、A側での表示あるいはB側での表示に使用するために特定の偏光を取り出す前の、液晶表示装置300に内部に向かって進行する光である。液晶表示装置300にA側から入る光として、液晶表示装置300に対してA側の外部から第1偏光板14へ向かって入射する光がある。以下では、光の進行状態を切り替えるのに、光変調機構310は変調状態と非変調状態との間でスイッチングを行う。なお、光変調機構310はA側およびB側の少なくとも一方に備えることが可能であるが、以下ではA側に設けられている場合について説明する。
液晶表示装置300をA側から視認する場合には、A側の表示に供する偏光、すなわち第1偏光板14からA側に出射された光に対して光変調機構310を非変調状態とする。光変調機構310は、非変調状態では第1偏光板14からA側に向かって進行する光と、A側から第1偏光板14に向かって進行する光との両方に対して透過状態となる進行状態とする。このとき、フロントライトまたは外光の偏光選択反射板16による反射光を利用して、A側から視認する表示を行うことができる。
一方、液晶表示装置300をB側から視認する場合には、A側の表示に供する偏光、すなわち第1偏光板14からA側に出射された光に対して光変調機構300を変調状態とする。光変調機構310は、変調状態では第1偏光板14からA側に向かって進行する光に対しては、A側から画像の認識ができないように、通常の透過状態となる進行状態を別の状態となる進行状態に変調する。また、A側から第1偏光板14に向かって進行する光に対しては透過状態となる進行状態のままとしてもよいし、透過状態となる進行状態から別の状態となる進行状態に変調してもよい。このとき、外光またはフロントライトの偏光選択反射板16による透過光を利用して、B側から視認する表示を行うことができる。しかし、光変調機構310を変調状態とすることで、A側からB側表示の反転画像を認識することはできないので、これによって表示の視認性を低減させ、プライバシーを保護することができる。
次に、光変調機構310の具体的構成について説明する。
図43に示す光変調機構310は、第3ガラス基板301、第4ガラス基板302、光散乱層303、一対の透明電極304・304より構成されている。A側からB側へ向かって、第3ガラス基板301、透明電極304、光散乱層303、透明電極304、第4ガラス基板302の順に配置されている。
光散乱層303には、紫外線硬化型の高分子分散型液晶(Polymer Dispersed Liquid Crystal:PDLC)を用い、透明電極104は画面全面に形成されている。紫外線硬化型の高分子分散型液晶のプレポリマー液晶混合物としては、例えば、紫外線硬化材料(DIC社製−商品名MixC)と誘電異方性がネガ型である液晶(メルク社製−商品名ZLI−4318)とを10:90の重量比にて混合した混合物に対して、少量の重合開始剤(チバ・ガイギー社製)を添加することによって得られた。該高分子分散型液晶は、該プレポリマーを重合することにより得られるものである。液晶を封入した両基板表面の透明電極304には、液晶が配向膜に対しておよそ垂直に配向する垂直配向膜が塗布されている。
以上のようにして作製された高分子分散型液晶層に入射する光は、印加された電界に応じて進行状態が散乱状態と透過状態とに切り替わる。なお、ここでは、電圧無印加時に液晶層が光に対して透明状態すなわち非変調状態に、電圧印加時に液晶層が変調状態になるよう設定されている。
上記例では、液晶層に用いる液晶として誘電異方性が負の材料を、配向膜として垂直配向膜を用いたが、液晶および配向膜はこれに限る物ではなく、それぞれ誘電異方性が正の液晶材料および水平配向膜を用いても良いし、組み合わせによってハイブリッド配向、ベンド配向などのようにしても良い。
図43において、B側から視認する場合、外光およびフロントライト光である無偏光が第1偏光板14を通過することで直線偏光になる。第1偏光板14を横(紙面に対して平行)方向の直線偏光が透過する。その直線偏光が液晶層13を通過することで旋光されて90°捩れ、縦(紙面に対して垂直)方向の直線偏光になる。第1偏光板14の透過軸と偏光選択反射板16の透過軸とが平行になるように設定している場合、直線偏光が液晶層13で90°捩れ、偏光選択反射板16の透過軸に直交して入射する。そのことにより、直線偏光が偏光選択反射板16の反射軸に平行に入射する。反射軸に入射した直線偏光は反射され、再度、液晶層13で90°捩れて元の直線偏光に戻り、第1偏光板14を透過する。
このようにして、B側に光を透過させないようにし、暗表示状態を実現しているが、同時にA側から視認すると、この透過する偏光による明状態が表示されている。また、B側が明表示状態においてB側から周囲光が入射した場合、第1偏光板14を横方向の直線偏光として透過し、透過光をそのままにすると液晶表示装置300のA側には明表示として視認されてしまう。
ここで光散乱層303へ電圧を印加すると光散乱層303が変調状態となり(図43右側)、液晶表示装置300のA側に抜ける明表示光が前方散乱されて画像をぼかすことができる。同時に、光変調機構310にA側から入射する無偏光状態の周囲光は光散乱層303で前方散乱される。散乱された無偏光状態の周囲光は、第1偏光板14で紙面に平行な偏光成分となり、B側での表示に利用することができる。散乱による画像の視認性低下の効果は、表示画像の解像度、光散乱層303の散乱状態でのヘイズ値および液晶表示装置300と光散乱層303との距離dに依存する。このことから、散乱状態のヘイズは50以上であることが好ましい。
また、光変調機構310を付加したことによる周囲光のB側表示への利用効率は、光散乱層303の散乱状態における全光線透過率に依存するため、全光線透過率は50%以上であることが好ましい。
一方、電圧無印加時には光散乱層303は非変調状態となり(図43左側)、B側からの入射光を遮断することで、フロントライト光または周囲光を用いた反射表示がA側から視認することができる。
なお、A側を待ち受け画面とする使用形態では、光散乱層303には消費電力を抑える点で本実施形態に示したような、いわゆるリバース型PDLCが好ましいが、この限りではない。
さらに、A側表示画面とB側表示画面との使用の切り替えに連動して、透明電極304への電圧印加状態が変化し、光変調機構310の変調状態が切り替わるような機構を設けてもよい。
また、光変調機構310を、フロントライトの導光板23と第1偏光板14との間に配置しても良い。この場合、光変調機構310は、導光板23に対して液晶層13側に位置する。導光板23は表示用の光を照射する光照射手段であり、光源22から出射された光を、液晶表示装置300に入る光として照射する。光変調機構310は、導光板23と第1偏光板14との間に配置されていることで、自身に入射される光を液晶表示装置300に出入りする光として処理する。
一般的なフロントライトでは、ライト点灯時に光源の配置された導光板の一辺の両角から暗線が生じてしまう。図52に、暗線が生じている状態を示す。図52(a)は、導光板23をB側から視認する場合において、光源22の長手方向に直交する導光板23の2つの側面の一方を見込む角度で視認すると、他方の側面の光源22との境界付近から、導光板23の光源22と反対側の端部に向かって斜めに暗線600が延びている状態を示している。図52(b)は、これとは逆に上記他方の側面を見込む角度で視認した場合に、上記一方の側面の光源22との境界付近から、導光板23の光源22と反対側の端部に向かって斜めに暗線600が延びている状態を示している。
従って、この光が照射される液晶表示装置をB側から視認した場合、フロントライト点灯時にはこの暗線のために表示性能が低下してしまう。そこで、上述のようにフロントライトの導光板23と第1偏光板14との間に光変調機構310を配置し、その光散乱層303を適度な散乱状態にすることで、B側で視認する場合の暗線による表示性能低下を防ぐことができる。同時に、不使用画面であるA側表示の視認性を低下させることでプライバシーを保護することが可能となる。
次に、光変調機構310の他の具体的構成について図44を用いて詳細に説明する。図44の光変調機構310は、第3ガラス基板301、第4ガラス基板302、選択反射切替え層320、一対の透明電極304・304、λ/4板330より構成されている。選択反射切替え層320は図43の光変調機構310の光散乱層303を置き換えたものであり、λ/4板330は第4ガラス基板302に対してB側に配置されている。
ここでは、選択反射切替え層320としてブロードバンドコレステリック層を用い、透明電極304は画面全面に形成されている。なお、このブロードバンドコレステリック層は、電圧無印加時に可視光領域の右円偏光を選択的に反射する変調状態となり、電圧印加時には光に対して透明状態である非変調状態となるように調整されている。
A側から視認する場合(図44右側)には、一対の透明電極404へ電圧を印加して選択反射切替え層320を非変調状態とすることにより、従来通りのA側表示が視認される。一方、B側から視認する場合(図44左側)、不要なA側表示に対する外部からの視認性を低減すると同時に、A側での明表示を構成する光およびB側から液晶表示装置300を透過する光をB側での表示に再利用することができる。すなわち、B側から視認している場合、液晶表示装置300のA側には第1偏光板14を介して直線偏光が通過しており、この直線偏光にはフロントライト光によるA側での明表示に寄与する光とB側から液晶表示装置300に入射して通過する光とが含まれる。
ここで、第1偏光板14の透過軸は紙面に平行で横方向となるように設定されている(この方向を0°とし、時計の左回りを+とする)。また、λ/4板330は遅相軸が+45°に設定されており、直線偏光はλ/4板330を通過した後に右円偏光となる。選択反射切替え層320を電圧無印加状態とすることで、右円偏光のみを選択的に反射するため、液晶表示装置300のA側表示は外部から視認されない。反射された右円偏光は、再びλ/4板330を通過して元の直線偏光に戻る。この直線偏光は、第1偏光板14を透過できるので、B側での表示に再利用することができる。このとき、光変調機構310にA側から入射するの周囲光についても、右円偏光のみが選択反射され左円偏光は透過される。透過した左円偏光はλ/4板330を介して紙面に垂直な偏光となり、第1偏光板14で吸収される。
したがって、図44の構成では、液晶表示装置300のA側表示光をB側での表示に利用する方が、周囲光を利用するよりも優位な場合、つまり周囲(A側)の光が弱い環境で用いることが好ましい。
次に、光変調機構310のさらに他の具体的構成について図45を用いて説明する。図45では、液晶表示装置300の第1偏光板14に対してB側の部分は図44と同様なので省略している。また、図45における光変調機構310の構成は、λ/4板330の設定角度を除いて図44と同様である。ここで、λ/4板330の遅相軸は+135°に設定し、液晶表示装置300の第1偏光板14を通過した偏光はλ/4板330で左円偏光となる。
A側から視認する場合(図45右側)、一対の透明電極304へ電圧を印加し、選択反射切替え層320を非変調状態とすることで、A側での表示は従来通り視認される。一方、B側から視認する場合(図45左側)、電圧無印加とすることで選択反射切替え層320は右円偏光のみを選択反射するようになる。このとき、液晶表示装置300の第1偏光板14を通過した偏光は左円偏光となるので選択反射切替え層320を透過するが、A側から光変調機構310に入射する周囲光の約50%(右円偏光)が選択反射切替え層320によって反射されるため、A側からはハーフミラー調に視認されてA側表示は見えなくなる(コントラストが著しく低下する)。同時に、A側からの周囲光の残りの約50%(左円偏光)は選択反射切替え層320を透過し、λ/4板330を介して紙面に平行な直線偏光となって第1偏光板14を透過するので、B側での表示に利用することができる。このときの周囲光の利用効率は、光学変調機構310の無い場合とほぼ同じである。
このことから、図45の構成は、図44とは逆に周囲(A側)の光が強い環境で用いることが好ましい。
また、周囲光の強度に応じて、図44で説明した方法と図45で説明した方法とを切替えることが可能な例を、図46を用いて説明する。なお、既出番号の構成部材については前述のものと同様とする。図46の光変調機構310は、図44および図45におけるλ/4板330に代えて、平行配向ネマティック液晶層340(以下、液晶層340)、第5のガラス基板341、第6のガラス基板342、および全面に形成された一対の透明電極343・343を有する。A側からB側へ向かって、第5のガラス基板341、透明電極343、液晶層340、透明電極343、第6のガラス基板342の順に配置されている。液晶層340の液晶分子の配向軸は、第1偏光板14の透過軸に対して+45°とし、電圧無印加時に△ndが3λ/4となるように設定されている。
周囲光が強い場合には、液晶層340に電圧を印加しない。このとき、第1偏光板14を透過した紙面に平行な偏光は、液晶層340によって△nd=3λ/4の位相差を受け、左円偏光となる。よって、A側表示光は選択反射切替え層320を透過するが、強い周囲光の約50%が反射されてハーフミラーのようになりプライバシーは保たれる。また、同時に、強い周囲光の透過する左円偏光をB側表示に利用できる。
一方、周囲光が弱い場合には、液晶層340に適当な電圧を印加し、液晶層340のリタデーション△ndをλ/4とする。このとき、紙面に平行な偏光は液晶層340によってλ/4の位相差を受け、右円偏光となる。したがって、A側表示光は選択反射切替え層320で反射して外部から視認されず、再度、B側表示に利用できる。
また、液晶層340を他のリタデーションとなるように制御することで楕円率を制御し、周囲光の強さに応じて最も有効な光利用手段となるようにすることも可能である。
次に、光変調機構310のさらに他の具体的構成について、図47および図48を用いて説明する。
図47は、図42ないし図46で示した断面図とは直交する断面図を示している。すなわち、第1の偏光板14を通過した光は紙面と直交する偏光であるとする。
図47の光変調機構310は、第3のガラス基板301、一対の透明電極304・304、プリズム形状部材400、液晶401より構成されている。A側からB側へ向かって、透明電極304、プリズム形状部材400、液晶401、透明電極304、第3のガラス基板301の順に配置されている。
プリズム形状部材400は、アクリル系樹脂により、一対の透明電極304・304で挟まれた空間に作製された構造体である。この構造体は、第1偏光板14の透過軸と平行に延びる頂角約60°の三角柱が、1つの長方形側面を第3のガラス基板301に平行として三角形の一辺の長さに等しい約100μmのピッチで、第3のガラス基板301上で該透過軸と直交する方向に複数個配列した空間を、一対の透明電極304・304で挟まれた空間から除いた形状をなしている。
該プリズム形状部材400と、透明電極304が形成された第3ガラス基板301とは張り合わされ、空洞部に液晶401が充填されている。液晶401は、△n=0.2027(常光に対する屈折率noは1.5065、異常光に対する屈折率neは1.7092)であるポジ型液晶のZLI−5049−100(MERCK社製)を用いる。このとき、液晶の分子配向は、紙面に垂直な方向でのホモジニアス配向とする。図48は、図47の光変調機構310の斜視図である。第1偏光板14の透過軸と液晶401の分子配向とは平行である。
A側表示を視認する場合、上下一対の透明電極304に電圧を印加して液晶分子を応答させる(図47左側)。このとき、第1偏光板14を透過した紙面に垂直な偏光は、液晶401の常光に対する屈折率no=1.5065に従って進む。ここで、アクリル系樹脂の屈折率は約1.5であるため、この偏光は液晶401とプリズム形状部材400との界面に屈折率差がほとんどなく、直進する。この場合、光変調機構310は、第1偏光板14から進行してくる光の進行方向を変えないように内部の光路を設定する光路非変調状態となる。
一方、B側で視認する場合、電圧無印加状態として液晶分子を紙面に垂直に配向させる(図47右側)。このとき、第1偏光板14を透過した紙面に垂直な偏光は、液晶401の異常光に対する屈折率ne=1.7092に従って進む。ここで、アクリル系樹脂の屈折率は約1.5であるため、この偏光は液晶401とプリズム形状部材400との界面での屈折率差に従って、反射および屈折を生じる。この場合、光変調機構310は、第1偏光板14から進行してくる光の進行方向をそらせるように内部の光路を設定する光路変調状態となる。
これにより、A側表示が視認できなくなると同時に、A側から入射する周囲光は、該界面で常光と異常光とに分かれて進む。このとき、紙面に垂直な偏光に対する屈折率は、液晶401の屈折率の方がプリズム形状部材400の屈折率よりも大きいため、周囲光は該界面で全反射することなく効率よく取り込まれ、B側表示に利用することができる。
次に、光変調機構310のさらに他の具体的構成について、図49および図50を用いて説明する。
図49および図50に示すように、この光変調機構310は、図47および図48のプリズム形状部材400に代えて、アクリル系樹脂で作製した、ピッチが約100μmの逆半円柱型のウェーブ形状部材402を用いる。図49は図47と同方向の断面図であり、図50は斜視図である。ウェーブ形状部材402は、プリズム形状部材400を形成するために一対の透明電極304・304で挟まれる空間から除く空間を形成している三角柱列を、長方形断面が第3のガラス基板301と平行な半円注列にしたものである。半円柱の延びる方向が第1偏光板14の透過軸と平行であり、半円の直径が上記ピッチの約100μmに等しい。
A側表示を視認する場合、上下一対の透明電極304に電圧を印加して液晶分子を応答させる(図49左側)。このとき、図47と同様に、光は直進する。この場合、光変調機構310は、第1偏光板14から進行してくる光の進行方向を変えないように内部の光路を設定する光路非変調状態となる。
一方、B側で視認する場合、電圧無印加状態として液晶分子を紙面に垂直に配向させる(図49右側)。図48および図49の構成では、液晶401とウェーブ形状部材402との界面が曲面をなしており、液晶表示装置300からの紙面に垂直な偏光は該界面で屈折・反射をするが、屈折率が1.7092と1.5との界面であるため、入射角が約60.7度以上の該偏光は全反射を生じ、B側の表示に再利用できる。また、A側からの周囲光は全反射を生じないで取り込まれるので、液晶表示装置300のB側の表示に利用することが可能である。この場合、光変調機構310は、第1偏光板14から進行してくる光の進行方向をそらせるように内部の光路を設定する光路変調状態となる。
次に、光変調機構310のさらに他の具体的構成について、図51を用いて説明する。
図51の光変調機構310は、第3ガラス基板301、第4ガラス基板302、ゲストホスト液晶層500、一対の透明電極304・304より構成されている。A側からB側へ向かって、第3ガラス基板301、透明電極304、ゲストホスト液晶層500、透明電極304、第4ガラス基板302の順に配置されている。透明電極104は画面全面に形成されている。ゲストホスト液晶層500は、電圧無印加時に色素分子が第1偏光板14の透過軸と平行に配向するように、液晶分子を用いて配向させている(図51右側)。このとき、第1偏光板14を通過した偏光は、この色素分子により吸収される。これは、光が光変調機構310に対して吸収状態となる進行状態となる。電圧印加時には、液晶分子は第3ガラス基板301および第4ガラス基板302に対してほぼ垂直に配向し、色素による吸収が減少することで透明状態となる。これは光が光変調機構310に対して透過状態となる進行状態である。
A側から視認する場合、一対の透明電極304・304へ電圧を印加してゲストホスト液晶層500を非変調状態(透明状態)とすることで光が光変調機構310に対して透過状態となる進行状態に切り替えるので(図51左側)、従来通りのA側表示が視認される。一方、B側から視認する場合には、ゲストホスト液晶層500を変調状態とすることで光が光変調機構310に対して吸収状態となる進行状態に切り替えるので(図51右側)、外部からA側表示を視認することはできない。
なお、液晶の分子配向に360度以上のねじれ構造を持たせて、電圧無印加時にすべての偏光を吸収するWTモード等を用いてもよい。
以上、本実施の形態について述べたが、全ての例において、光変調機構310がフロントライト(導光板23)の保護カバーを兼ねてもよい。従来、フロントライトには防塵防汚のための保護カバーが必要であるが、光変調機構310を保護カバーとして配置することで別途保護カバーを設ける必要がなく、表示器全体の厚みを削減することができる。
さらに、液晶表示装置1のA側およびB側の表示画面のうち、使用する表示画面を切り替える動作に連動して光変調機構310の変調状態と非変調状態とが切り替わる機構を設けてもよい。この場合、光変調機構310の動作切り替えを指示する操作が不要になる。
以上、各実施の形態について述べた。尚、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する特許請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。