JP2008051712A - 細片集合物の水分率測定装置及び水分率測定方法 - Google Patents

細片集合物の水分率測定装置及び水分率測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易にかつ正確に細片集合物の水分率を測定することができる装置とする。
【解決手段】水分率測定の対象となる細片集合物Sが供給される供給容器10と、この供給容器10内の細片集合物Sに向かってマイクロ波αを発信するマイクロ波発信手段20と、このマイクロ波発信手段20から発信され細片集合物Sを透過したマイクロ波βを受信するマイクロ波受信手段30と、を備える。そして、供給容器10は、横方向が回転軸となるように回転するようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、マイクロ波を利用して、例えば、製紙用木材チップ等の細片集合物の水分率を測定する装置及び方法に関するものである。
現在、細片集合物の水分率を測定する方法としては、静電容量法(キャパシタンス)、電気伝導法(コンダクタンス)、中性子散乱法、赤外線放射法などのほかに、細片集合物にマイクロ波を透過させ、この透過させたマイクロ波の減衰量や位相変化量に基づいて水分率を測定(算出)する方法がある。
そして、このマイクロ波を利用する方法も、いかにして正確に水分率を測定するかが課題とされている。細片集合物は、大きさ、形、密度、かたさ等の性状がさまざまな細片が混在してなる場合があり、さまざまな性状の細片が混在していると、水分率の測定精度が低下してしまうのである。
特に、製紙用木材チップ等の細片集合物は、さまざまな樹種がチップ化されてなる場合があり、細片の性状が多様に変化するため、水分率測定精度の向上が大きな課題となっている。製紙用木材チップ等の細片集合物の水分率を正確に測定することができないと、クラフト法で木材チップを蒸解する際に、添加する薬品の量を正確に把握することができず、未蒸解物が増加し、あるいは過蒸解となってパルプの強度が低下したり微細化したりするため、品質・収率が大きく低下する。
そこで、水分率の測定精度を向上させる方法として、マイクロ波の透過に先立って細片集合物を粉砕する方法(例えば、特許文献1参照。)や細片集合物を振動させつつ搬送する方法(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。特許文献1の方法は、細片集合物の大きさを均一化することにより、特許文献2の方法は、スクレーパーやローラーに替えて振動によって細片集合物の偏在を解消することにより、それぞれ測定精度向上を図ったものである。
しかしながら、特許文献1の方法は、(ア)粉砕処理が繁雑である、(イ)性状の異なる細片(集合物)が混在していると、その固さの多様性によっては均一に粉砕されず、測定精度が向上しない、(ウ)例えば、測定後の細片集合物たる木材チップを蒸解工程に戻すと過蒸解となり、あるいは微細繊維が増加するため、水分率測定後の細片集合物を元の工程に戻すことができない、などの問題を有する。また、特許文献2の方法は、性状の異なる細片(集合物)が混在している場合に、細片集合物の偏在を十分に解消することができない、との問題を有する。
また、測定精度を向上させる方法としては、特定の周波数のマイクロ波で測定するのではなく、マイクロ波の周波数を一定の時間内にその周波数範囲の下限周波数から上限周波数に変化させて測定する方法も提案されている(例えば、特許文献3、特許文献4参照。)。しかしながら、この方法も、装置の複雑化、操作の繁雑化という問題を有する。
さらに、測定精度を向上させる方法としては、細片集合物の大きさ、形、密度、かたさ等に関し多くの実験データを採り、この実験データに基づいて補正する方法や、マイクロ波の減衰量と位相変化量とを複雑に利用して測定する方法も提案されている(例えば、特許文献5参照。)が、装置の複雑化、操作の繁雑化という問題が残る。
特開昭63−180855号公報 特開平1−301152号公報 特開平2−238348号公報 特許第3026223号公報 特許第3631840号公報
本発明が解決しようとする主たる課題は、簡易にかつ正確に細片集合物の水分率を測定することができる装置及び方法を提供することにある。
この課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
水分率測定の対象となる細片集合物が供給される供給容器と、この供給容器内の細片集合物に向かってマイクロ波を発信するマイクロ波発信手段と、このマイクロ波発信手段から発信され前記細片集合物を透過したマイクロ波を受信するマイクロ波受信手段と、を有する細片集合物の水分率測定装置であって、
前記供給容器は、横方向が回転軸となるように回転する、ことを特徴とする細片集合物の水分率測定装置。
(作用効果)
細片集合物の供給容器が、横方向が回転軸となるように回転すると、供給容器内部で細片集合物が均一に混合されるため、水分率測定の精度が向上する。
〔請求項2記載の発明〕
前記供給容器は、断面略多角形状又は円形状の筒体とされ、この筒体の軸心部が回転軸となるようにされている、請求項1記載の細片集合物の水分率測定装置。
(作用効果)
供給容器が、断面略多角形状又は円形状の筒体とされ、この筒体の軸心部が回転軸となるようにされていると、供給容器の回転にともなう細片集合物と供給容器内面との衝突が緩和(緩衝)され、細片集合物が細分化しにくくなる。したがって、水分率測定後の細片集合物を、例えば、パルプの蒸解工程等の元の工程にそのまま戻すことができる。
〔請求項3記載の発明〕
前記供給容器の内面には、細片集合物の掻き揚げ部材が設けられている、請求項1又は請求項2記載の細片集合物の水分率測定装置。
(作用効果)
供給容器の内面に細片集合物の掻き揚げ部材が設けられていると、細片集合物の均一化効率が向上するため、混合に要する時間や水分率測定に要する時間が短縮化される。また、これらの時間の短縮化により、細片集合物がよりいっそう細分化しにくくなる。
〔請求項4記載の発明〕
水分率測定の対象となる細片集合物を供給容器内に供給し、この供給容器内の細片集合物にマイクロ波を透過させ、この透過させたマイクロ波の減衰量から前記細片集合物の水分率を測定する方法であって、
前記マイクロ波の透過は、前記供給容器を横方向が回転軸となるように回転させながら行う、ことを特徴とする細片集合物の水分率測定方法。
(作用効果)
マイクロ波の透過は、供給容器を横方向が回転軸となるように回転させながら行うと、供給容器内部で細片集合物が均一に混合されるため、水分率測定の精度が向上する。
本発明によると、簡易にかつ正確に細片集合物の水分率を測定することができる装置及び方法となる。
次に、本発明の実施の形態を説明する。
本形態の水分率測定装置及び水分率測定方法は、細片集合物を対象とする。この細片集合物の種類は、特に限定されず、例えば、木材チップ、穀類、石炭、茶葉、タバコ葉などを例示することができる。ただし、細片集合物が製紙用木材チップである場合は、本装置・方法による効果がいかんなく発揮される。製紙用木材チップは、さまざまな樹木がチップ化されてなり、細片の性状が大きく変化する場合があるためである。なお、細片集合物としての製紙用木材チップは、通常、長さ5〜30mm、幅5〜70mm、厚さ2〜10mm、質量0.5〜1g、密度0.5〜1.2g/cm3の細片(チップ)が集合してできている。
図1に模式的に示すように、本形態の装置1は、水分率測定の対象となる細片集合物Sが供給される供給容器10と、この供給容器10内の細片集合物Sに向かってマイクロ波αを発信するマイクロ波発信手段20と、このマイクロ波発信手段20から発信され細片集合物Sを透過したマイクロ波βを受信するマイクロ波受信手段30と、から主になる。この点に関しては、例えば、特開平1−301152号公報の図2に開示される従来の装置を参考にすることができる。しかしながら、本形態の装置1は、従来の装置と異なり、供給容器10が、水平方向等の横方向が回転軸となるように回転する。したがって、供給容器10の内部で細片集合物Sが均一に混合され、水分率測定精度が向上する。また、この供給容器10の回転は、特に複雑な装置・方法を必要とするものではなく、例えば、モーター等の駆動手段Mによって回転する軸材11を供給容器10に接続するというような、公知の技術を利用するだけで、実現することができる。したがって、極めて簡易である。
また、供給容器10は、断面略多角形状、望ましくは円形状の筒体とされ、この筒体の軸心部が回転軸となるようにされているのが好ましい。この形態によると、供給容器10の回転にともなう細片集合物Sと供給容器10内面との衝突が緩和され、細片集合物Sが細分化しにくくなる。したがって、水分率測定後の細片集合物を、例えば、パルプの蒸解工程等の元の工程にそのまま戻すことができる。ここで、多角形状とは、三角形状、四角形状、五角形状又はそれ以上の複数角形状を意味し、いずれも本形態に含まれるが、角の数が増えるとその分衝突緩和効果が大きくなるので、角の数が多い方が好ましい。故に、もっとも好ましいのは、図示例のような円形状である。図示例では、供給容器10が断面略円形状の筒体とされ、この筒体の軸心部に軸材11が貫通されている。供給容器10は、駆動手段Mから軸材11を介して駆動力を受けて回転する。
さらに、例えば、図2や図3に示すように、供給容器10の内面には、細片集合物Sの掻き揚げ部材12〜15等が設けられているのが好ましい。この形態によると、細片集合物Sの均一化効率が向上するため、混合に要する時間や水分率測定に要する時間が短縮化される。また、これらの時間の短縮化により、細片集合物がよりいっそう細分化しにくくなる。この形態において、掻き揚げ部材の配置位置、数、形状などは、特に限定されない。細片集合物Sの大きさや形状などに基づいて、適宜設計することができる。具体的には、例えば、図2の(1)に示すように、掻き揚げ部材12を、軸方向一端面10aから軸方向他端面10bまでの全長にわたって設けることのほか、図2の(2)に示すように、掻き揚げ部材13を、軸方向一端面10aから軸方向他端面10bに至らない途中まで、あるいは軸方向他端面10bから軸方向一端面10aに至らない途中まで、互い違いとなるように設けることなどもできる。また、例えば、図3の(1)に示すように、掻き揚げ部材14を板状とすることのほか、図3の(2)に示すように、掻き揚げ部材15を断面略三角形状とすることなどもできる。この断面略三角形状とする形態は、供給容器10の回転にともなう細片集合物Sと掻き揚げ部材15との衝突が緩和されるとの利点を有する。そこで、細片集合物Sの細分化防止や均一化効率向上などの観点から、表面(掻き揚げ部材15の内方を向く面)の傾斜角を適宜設計することもできる。同様に、掻き揚げ部材12〜15の数も、例えば、供給容器10の1周当り2〜20、好ましくは4〜12設けるなど、適宜設計することができる。
ところで、本形態の装置1を用いて、細片集合物Sの水分率を測定するにあたっては、まず、細片集合物Sを供給容器10内に供給する。この細片集合物Sの供給方法は、特に限定されない。例えば、エアーシューターやベルトコンベヤー等の搬送手段を利用することのほか、手供給によることもできる。ただし、細片集合物Sの供給は、細片集合物Sがマイクロ波の照射領域全面に存在することになるように、本形態では、供給容器10の40〜80容量%となるように、行うのが好ましい。細片集合物Sの供給量が40容量%を下回ると、測定領域における細片集合物Sの密度が不均一となったり、細片集合物Sが存在しない領域にマイクロ波が照射されて、測定精度が低下したりするおそれがある。他方、細片集合物Sの供給量が80容量%を上回ると、供給容器10の内部で細片集合物Sが均一に混合されなくなり、測定精度向上効果が得られなくなるおそれがある。
次いで、供給容器10内の細片集合物Sには、マイクロ波を透過させ、この透過させたマイクロ波の減衰量から細片集合物Sの水分率を測定する。ここでマイクロ波の減衰量は、マイクロ波発信手段20から供給容器10内の細片集合物Sに向かってマイクロ波αを発信し、マイクロ波発信手段20から発信され細片集合物Sを透過したマイクロ波βをマイクロ波受信手段30で受信し、透過前後のマイクロ波α及びβの差を算出することにより、知ることができる。したがって、本形態のような装置構成においては、マイクロ波発信手段20、供給容器10及びマイクロ波受信手段30を供給容器10の軸方向に並列させ、マイクロ波αをマイクロ波発信手段20から供給容器10の軸方向に向かって発信するようにするのが好ましい。
また、この際に使用するマイクロ波の周波数は、通常300MHz〜300GHzが可能であり、細片集合物Sの水分率や供給容器10内部の細片集合物Sの層の厚さなどにより設定できる。木材チップの測定においては、2.0GHz〜4.0GHzが好ましい。マイクロ波の周波数が高くなるほど減衰量に細片集合物Sの質量が影響する割合が小さくなる。したがって、この点からは、マイクロ波の周波数が高い方が好ましいが、例えば、特開昭60−18745号公報等に開示されるように、水分率を算出する際に、細片集合物Sの質量を、ロードセル等を利用して測定し、この測定値に応じて補正しても、好ましいものとなる。
このようにして知見した減衰量から水分率を知見する方法は、特に限定されない。例えば、マクロ波の減衰量を、あらかじめ試験するなどして得た減衰量と水分率との相関関係式に代入して水分率を算出する方法など、従来公知の方法によることができる。
ただし、本形態においては、以上のマイクロ波の透過処理を、供給容器10を横方向が回転軸となるように回転させながら行う。これにより、供給容器10の内部で細片集合物Sが均一に混合され、水分率測定の精度が向上するのは、先に装置の説明で述べたとおりである。
以上の水分率測定は、例えば、特開平1−301152号公報等に開示されるように、マイクロ波の減衰量を数回/秒の間隔で測定し、この時間よりも長い時間の減衰量平均値を求め、この平均値から水分率を算出する方法によることもできる。
〔その他〕
(1)本形態の水分率測定は、例えば、パルプ製造工程においてオンラインで行い、測定された水分率に応じて、木材チップの蒸解工程における薬液投入量を変化させるなどの運用方法がある。
(2)本形態の水分率測定は、マイクロ波の減衰量測定法に基づいたが、マイクロ波の位相シフト測定法に基づくことも可能である。ただし、位相シフト測定法は、例えば、製紙用木材チップ等のように、測定対象が厚層となってしまい、位相シフトが360゜を超える場合に測定困難であるとの問題点を有する。したがって、減衰量測定法に基づきつつ、供給容器10を、マイクロ波の吸収反射の少ない素材で形成するのが好ましい。マイクロ波の吸収反射の少ない素材としては、アクリル樹脂等の合成樹脂で硬質なものを例示することができる。また、この他、供給容器10を厚さ1mm程度のポリプロピレン製としつつも、マイクロ波照射域に孔を形成し、この孔を発泡スチロール(発泡倍率10倍)で埋めた形態なども採用することができる。この形態によっても、マイクロ波の反射による干渉が抑えられ、測定精度が向上する。
次に、本発明の実施例を説明する。
本発明者らは、供給容器10として、幅(軸方向一端面10aから軸方向他端面10bまでの距離)10cm、直径60cmのアクリル製円筒を用いて、試験を行った。供給容器10には、その容積の約70%を占める量の製紙用木材チップを供給(充填)することとした。供給容器10は、10回転/分の速度で回転させた。マイクロ波発信手段20及びマイクロ波受信手段30は、供給容器10の回転軸と下端縁との間のほぼ中央となる高さ位置に、配置した。マイクロ波の周波数は3GHzとし、2回/分の頻度で合計6回測定し、その平均値によることとした。木材チップの平均サイズ、原料樹種、混合された複数の樹種の混合率を、変化させて試験を行った。結果、オーブンを用いて乾燥させて測定した水分率と比べて、いずれも0.5%以内の精度で測定することができた。
本発明は、マイクロ波を利用して、例えば、製紙用木材チップ等の細片集合物の水分率を測定する装置及び方法として、適用可能である。
水分率測定装置の模式斜視図である。 供給容器の形態例である。 供給容器の形態例である。
符号の説明
1…水分率測定装置、10…供給容器、11…軸材、12〜15…掻き揚げ部材、20…マイクロ波発信手段、30…マイクロ波受信手段、M…駆動手段、S…細片集合物、α,β…マイクロ波。

Claims (4)

  1. 水分率測定の対象となる細片集合物が供給される供給容器と、この供給容器内の細片集合物に向かってマイクロ波を発信するマイクロ波発信手段と、このマイクロ波発信手段から発信され前記細片集合物を透過したマイクロ波を受信するマイクロ波受信手段と、を有する細片集合物の水分率測定装置であって、
    前記供給容器は、横方向が回転軸となるように回転する、ことを特徴とする細片集合物の水分率測定装置。
  2. 前記供給容器は、断面略多角形状又は円形状の筒体とされ、この筒体の軸心部が回転軸となるようにされている、請求項1記載の細片集合物の水分率測定装置。
  3. 前記供給容器の内面には、細片集合物の掻き揚げ部材が設けられている、請求項1又は請求項2記載の細片集合物の水分率測定装置。
  4. 水分率測定の対象となる細片集合物を供給容器内に供給し、この供給容器内の細片集合物にマイクロ波を透過させ、この透過させたマイクロ波の減衰量から前記細片集合物の水分率を測定する方法であって、
    前記マイクロ波の透過は、前記供給容器を横方向が回転軸となるように回転させながら行う、ことを特徴とする細片集合物の水分率測定方法。
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