JP2008037091A - セルロースアシレートの溶融製膜方法、セルロースアシレートフィルム、偏光板、光学補償フィルム、反射防止フィルム、および、液晶表示装置 - Google Patents

セルロースアシレートの溶融製膜方法、セルロースアシレートフィルム、偏光板、光学補償フィルム、反射防止フィルム、および、液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】液晶表示装置に組み入れたときに画像のボケが発生しないセルロースアシレートを、再使用樹脂を使用して製膜する方法を提供する。
【解決手段】最大長20μm以上の異物が0個/10mg〜10個/10mgである未使用樹脂を50質量%〜99質量%と、最大長20μm以上の異物が0個/10mg〜10個/10mgである再使用樹脂を1質量%〜50質量%と、を使用することを特徴とするセルロースアシレートの溶融製膜方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学用フィルムに用いられるセルロースアシレートの溶融製膜方法、セルロースアシレートフィルム、並びに、これを用いた偏光板、光学補償フィルム、反射防止フィルム、および、液晶表示装置に関する。
従来、液晶表示装置に使用されるセルロースエステルフィルムを製造する際に、ジクロロメタンのような塩素系有機溶媒にセルロースエステルを溶解し、これを基材上に流延、乾燥して製膜する溶液流延法が主に実施されている。塩素系有機溶媒の中でもジクロロメタンは、セルロースエステルの良溶媒であるとともに、沸点が低く(約40℃)、製膜工程や乾燥工程において乾燥させ易いという利点を有することから好ましく使用されている。一方、近年になり環境保全の観点から塩素系有機溶媒を始めとする有機溶媒の排出を抑えることが、強く求められるようになっている。このため、より厳密なクローズドシステムを採用して製造工程から有機溶媒が漏れ出さないように努めたり、製膜工程から有機溶媒が漏れても外気に出す前にガス吸収塔を通して有機溶媒を吸着させたり、火力により燃焼させたり、電子線ビームにより分解させたりするなどの処理を行って、殆ど有機溶媒を排出することがないように対策が講じられている。しかしながら、これらの対策を行っても完全な非排出には至らないため、さらなる改良が必要とされていた。
そこで、有機溶媒を用いない製膜法として、セルロースエステルを溶融し、これを基材上に流延して製膜する溶融製膜方法が開発されている(特許文献1参照)。この方法は、セルロースエステルのエステル基の炭素鎖を長くすることで融点を下げ、溶融製膜しやすくしたものである。具体的には、従来から用いられていたセルロースアセテートを、セルロースプロピオネート等に変更することで溶融製膜を可能にしている。またこの文献中には、製膜後に切り落とされたフィルムの両端を破砕し、製膜原料として使用することが段落番号[0103]に記載されている。
特開2000−352620号公報
しかし、特許文献1にしたがって液晶表示板を作製すると、画像のボケがスポット的に発生してしまうことが判明した。特に製膜後スリットした端部を回収し、再度溶融製膜に使用した際に、画像のボケは顕著に発生した。
そこで本発明者らは、このような従来技術の問題を解決することを課題とし、再使用樹脂を使用しているにもかかわらず、液晶表示装置に組み入れたときに画像のボケが発生しないセルロースアシレートの溶融製膜方法、並びに、該製膜方法によって製膜されたセルロースアシレートフィルムを提供することを本発明の目的として設定した。また、そのセルロースアシレートフィルムを用いて、優れた機能を有する偏光板、光学補償フィルム、反射防止フィルム、および、液晶表示装置を提供することも本発明の目的として設定した。
本発明の前記目的は、以下の構成を有する本発明によってより達成された。
(1) 最大長が20μm以上の異物が0個/10mg〜10個/10mgである未使用樹脂を50質量%〜99質量%と、最大長が20μm以上の異物が0個/10mg〜10個/10mgである再使用樹脂を1質量%〜50質量%とを使用することを特徴とするセルロースアシレートの溶融製膜方法。
(2)製膜フィルム幅(WF)とダイリップ幅(WD)との比(WF/WD)が0.7〜0.99であることを特徴とする(1)に記載のセルロースアシレートの溶融製膜方法。
(3)タッチロール製膜法または静電印加法を用いてキャストすることを特徴とする(1)または(2)に記載のセルロースアシレートの溶融製膜方法。
(4)前記再使用樹脂が、製膜後1時間以内に破砕されたものであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のセルロースアシレートの溶融製膜方法。
(5)前記未使用樹脂と前記再使用樹脂とを分散ばらつき0.1%〜30%に混合し、該混合した樹脂を溶融製膜することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のセルロースアシレートの溶融製膜方法。
(6)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の方法で得られたセルロースアシレートフィルム。
(7)下記式(1)〜(3)を満たす組成からなるセルロースアシレートを含むことを特徴とする(6)に記載のセルロースアシレートフィルム。
式(1):2.0≦A+B<3.0
式(2):0.1≦B<3
式(3):300≦DPw≦500
(式中、Aはアセチル基の置換度を示し、Bはプロピオニル基、ブチチル基、ペンタノイル基の置換度の総和を示す。また、DPwは重量平均重合度を示す。)
(8)下記式(T−1)および(T−2)を満たす組成からなるセルロースアシレートを含むことを特徴とする(6)に記載のセルロースアシレートフィルム。
式(T−1):2.5≦A+C≦3.0
式(T−2):0.1≦C<2
式(T):180≦DPw≦700以下
(式中、Aは、アセテート基の置換度を示し、Cは置換もしくは無置換の芳香族アシル基を示す。また、DPwは重量平均重合度を示す。)
(9)少なくとも1軸に1%〜200%延伸したことを特徴とする(6)〜(8)のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
(10)縦横比L/Wが2を超え50以下、或いは0.01〜0.3で延伸したことを特徴とする(9)に記載のセルロースアシレートフィルム。
(11)横延伸前に延伸温度より1℃〜50℃高い温度で予熱したことを特徴とする(10)に記載のセルロースアシレートフィルム。
(12)横延伸後に延伸温度より1℃〜50℃低い温度で熱処理したことを特徴とする(10)または(11)に記載のセルロースアシレートフィルム。
(13)縦延伸および横延伸の少なくとも一方を行った後に、Tg−50℃〜Tg+30℃、0.1kg/m〜20kg/mの張力で搬送しながら熱緩和したことを特徴とする(10)〜(12)のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
(14)(6)〜(13)のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムを用いたことを特徴とする偏光板。
(15)(6)〜(13)のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムを用いたことを特徴とする光学補償フィルム。
(16)(6)〜(13)のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムを用いたことを特徴とする反射防止フィルム。
(17)(6)〜(13)のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム、(14)に記載の偏光板、(15)に記載の光学補償フィルム、および(16)に記載の反射防止フィルムの少なくとも一つを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
本発明の製膜方法によれば、再使用樹脂を使用しているにもかかわらず、液晶表示装置に組み入れたときに画像のボケが発生しないセルロースアシレートを製膜することができる。また、そのようにして製造したセルロースアシレートフィルムを用いれば、優れた光学的機能を有する偏光板、光学補償フィルム、反射防止フィルム、および、液晶表示装置を提供することができる。
以下において、本発明のセルロースアシレートの溶融製膜方法について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明のセルロースアシレートの溶融製膜方法は、最大長が20μm以上の異物が0個/10mg〜10個/10mgである未使用樹脂を50質量%〜99質量%と、最大長が20μm以上の異物が0個/10mg〜10個/10mgである再使用樹脂を1質量%〜50質量%と、を使用することを特徴とする。
ここで、「未使用樹脂」とは、樹脂合成後、初めて製膜に使用するものを意味する。また、「再使用樹脂」とは、一度以上製膜に使用した樹脂を意味する。
《異物》
本発明者らは鋭意検討を進めた結果、画像ボケは、セルロースアシレートフィルムを打ち抜いた際に樹脂の破断面に微細なひび割れ(クラック)が発生し、これが擦られて剥落しフィルム表面に付くことで画像ボケを引起すことが解った。
このようなクラックはフィルムを四角形に打ち抜いた際に角の部分で発生し易く、下記のような方法で検出できる。
《クラック検出方法》
(1)フィルムを10cm角の正方形のトムソン刃で打ち抜く(打ち抜きは、例えば、特公平6−73838号公報に記載の方法に準じて行う)。
(2)フィルムの4隅を、透過型光学顕微鏡を用い300倍で観察する。クラックは細いヒゲ状に観察され、これを検出した隅の数(n)を観察した隅の数(m)で割り、発生確率を下記のように百分率で示す。
クラック発生確率(%)=100×(n/m)
好ましいクラック発生確率は10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下である。
このようなクラックの発生は、特に製膜したフィルムの両端をトリミングしたものを再利用した再使用樹脂を用いた際に顕著に現れる。即ち、通常、製膜したフィルムの両端は厚く成りやすいため、スリットして製品から切り離す。この際、原料からの得率を上げるため、この切り離した端部を回収し溶融製膜に再利用することが行われている。しかし、このような再使用樹脂を使用した場合に、フィルムのクラックは顕著に発生する。
この対策として、本発明では原料と工程から以下のような改良を行うことができる。
《本発明における改良》
1.原料からの改良
再使用樹脂を使用した際に発生するクラックの原因を解析した結果、セルロースアシレート中に存在する異物がクラックの原因となることが解った。即ち、セルロースアシレート中に存在する異物が応力集中点となりクラックを発生し易いためである。異物には下記2種類のものが存在し、両者ともクラックの原因となる。このため、一方だけを抑制しても効果が得られない。
(i) 輝点異物:直交偏光板(クロスニコル)で輝点となって観察されるものであり、セルロースが主成分であり、セルロースアシレートを合成する際に発生する未反応セルロースに起因する。
(ii) 非輝点異物:通常の透過光観察で観察されるが、直交偏光板では輝点とならないものであり、黒色、黄変したものや、無着色のものがある。黒色のものは溶融製膜(混練溶融)中にセルロースアシレートが酸素と反応し炭化したものである。また、黄変したものは酸素不存在下でセルロースアシレートが熱分解したものであり、無着色のものはスクリューの剪断力や熱によりセルロースアシレートの分子鎖が切断を受け、これが再架橋することでゲルとなったものである。
溶融製膜機に濾過器を取り付けることで、原料に起因する輝点異物はある程度除去できるが、これに伴い非輝点異物は増加する。これは、原料中に輝点異物、非輝点異物(これらを「異物」と総称する。)が存在すると、これらが濾材を閉塞し、セルロースアシレートの濾過器中での滞留時間が増加する。この結果、濾過器下流の流速が低下し、さらに滞留時間が増加する。濾過器中での滞留時間が増加すると、セルロースアシレートは熱により分解し易いことから、熱分解物に起因する非輝点異物が生成する。また、濾過器下流のため、そのまま(濾過されずに)製膜されるため、フィルム中の異物が増加し、これがフィルム中で応力集中点となるためクラックを発生し易い。このため前述の特許文献1のように異物の多い原料を溶融製膜中に濾過した場合、非輝点異物を減少できず、クラックが発生し易くなる。
このため、セルロースアシレート中の異物は原料の段階で少なくしておくことが好ましい。本発明においては、未使用セルロースアシレート、再使用セルロースアシレートいずれも最大長が20μm以上の輝点異物および非輝点異物の総数が0個/10mg〜10個/10mg、より好ましくは0個/10mg〜8個/10mg、さらに好ましくは0個/10mg〜8個/10mgにしておくことが必要である。未使用樹脂および再使用樹脂のいずれかにおいて、異物の数が10個/10mgを超えると、光学フィルムを形成した場合に著しく画像のボケが発生してしまう。
ここで、異物の計数は後述する方法によって測定することができる。計数対象となる異物は、具体的には真上(x)、真横(y)、正面(z)の各直交する3軸から投影し、投影図の中で最長となる2点間の距離(最大横断長)を、x,y,z軸投影図で求め、その中の最大の長さのものが20μm以上であるものである。
また、原料中の異物は未使用セルロースアシレート、再使用セルロースアシレートの両方で少なくする必要があるが、例えば、下記の手段によって達成することができる。
(i)異物の少ない未使用セルロースアシレート
原料のセルロースアシレート中の異物を少なくする方法としては、下記方法が採用できるが、より好ましい方法は、下記イ)の方法である。
イ)合成過程で異物を減少させる
(a)アシル化反応前にセルロースを十分膨潤させ、アシル化剤を十分に浸透させることで未反応セルロースの発生を抑制する(活性化処理/詳細については後述する。)。
(b)アシル化反応後に貧溶剤中に異物を析出固化させるが、異物の析出前にアシル化反応液を濾過する(再沈殿前濾過/詳細については後述する。)。
ロ)合成後に異物を減少させる
合成の完了したセルロースアシレート(固形物)を溶剤(例えばジクロロメタン、アセトン、酢酸メチル)に1〜30質量%になるよう溶解した後、濾過することで異物を除去する。この際、好ましい濾過孔径は0.1μm〜30μmが好ましく、より好ましくは1μm〜20μm、さらに好ましくは3μm〜15μmである。このような濾過フィルターの主素材としては、ガラス繊維、セルロース繊維、濾紙、四フッ化エチレン樹脂などのフッ素樹脂等の従来公知である材料を好ましく用いることができ、特にセラミックス、金属等が好ましく用いられる。フィルター形状は、サーフェースタイプでもデプスタイプでも適用されるが、デプスタイプの方が目詰まりしにくいことからより好ましい。濾過溶液の粘度は0.1Pa・s〜200Pa・sが好ましく、より好ましくは1Pa・s〜100Pa・s、さらに好ましくは2Pa・s〜50Pa・sである。
濾液を乾燥、あるいは貧溶剤に析出させることでセルロースアシレート固形物を得る。乾燥は、例えばバットに濾液を流し込んだものを100℃〜180℃で残留溶剤が0.1%以下になるまで放置し、これを粉砕することで達成できる。貧溶剤への析出は、例えば勢いよく撹拌している水の中に濾液を混合させ析出させたものを回収し乾燥することで達成できる。
(ii)異物の少ない再使用セルロースアシレート
上述の異物の少ない未反応セルロースアシレート(未使用樹脂)を原料に用い、あるいは異物の少ない未反応セルロースアシレートから製膜したセルロースアシレートフィルムを破砕したものを原料(再使用樹脂)に用い、これを溶融製膜した後、破砕することで異物の少ない再使用セルロースアシレートを得ることができる。この際、溶融製膜の最高温度は240℃以下であることが好ましく、より好ましくは235℃以下、さらに好ましくは230℃以下である。
これらの未使用セルロースアシレート、再使用セルロースアシレートは混合して用いることが好ましい。未使用セルロースアシレートは全セルロースアシレート量(全量)の50質量%〜99質量%であり、好ましくは55質量%〜95質量%、さらに好ましくは60質量%〜90質量%使用する。また、再使用セルロースアシレートは1質量%〜50質量%使用し、より好ましくは5質量%〜45質量%使用し、さらに好ましくは10質量%〜40質量%使用する。この再使用セルロースアシレートの含有量が1質量%未満または50質量%を超えても経済的に好ましくない。即ちこの範囲を超えるためには製膜フィルムから再使用のために切り出す量が増加し肝心の製品得率が低下し好ましくない。一方、この範囲未満では再使用セルロースアシレートを用いるによるコストダウン効果を十分に達成できない。さらに再使用セルロースアシレートの含有率がこの範囲を超えると、クラック発生率が上昇し易くLCDでの画像ボケを増加させる。これは再使用中のセルロースアシレート中の熱分解物に起因すると推定される。即ち、再使用セルロースアシレートは2度以上の溶融製膜過程を経験しており、この間の剪断、熱で熱分解物が多く存在する。このような再使用セルロースアシレートの含有率の増加に伴い、全セルロースアシレート中の熱分解物の量が増加、これが力学強度を低下させ、クラック発生を増加させるものと思われる。また、このような熱分解物は非輝点異物となる。
2.工程からの改良
下記のように溶融製膜することにより、クラックの発生を抑制できる。即ち、(i)原料(未使用、再使用セルロースアシレート)の混合の均質化、(ii)製膜中の熱分解物生成の抑制、(iii)製膜フィルムの破砕方法の改良を行うことができる。
(i)原料の混合の均質化
セルロースアシレートは溶融製膜中に熱分解するため、再使用したものは重合度、アシル化度が低下している。この結果、未使用セルロースアシレートと均一に混合し難く、製膜フィルム中に、未使用セルロースアシレートの多い部分と再使用セルロースアシレートの多い部分が存在する。再使用セルロースアシレートの多い部分(低分子量成分の多い所)は、力学強度が低下し易く、クラックが発生し易い。このように溶融製膜中に熱分解で組成が変化するのは、アシル側鎖を有するセルロースアシレートの特徴であり、それ故十分な混合が必要となる。即ち、セルロースアシレート以外のポリマーでは、このような混合は必要なく、無造作に溶融製膜機の供給口(ホッパー)に入れるだけで問題はなかった。
一方、あまり均一に混合しようとすると撹拌に長時間を要し、この間に発生する摩擦熱や剪断力によりセルロースアシレートが低分子量化したり、組成が変化し好ましくない。
このため未使用セルロースアシレートと再使用セルロースアシレートとの混合物の分散ばらつきは、0.1%〜30%にすることが好ましく、より好ましくは0.3%〜20%、さらに好ましくは0.5%〜10%である。ここで云う分散ばらつきとは、混合物中の未使用セルロースアシレートの質量%を50サンプルで測定し、そのレンジ(最大値と最小値との差)を平均値で割り、百分率で示したものである。
このような分散ばらつきは、下記のようにして前記範囲にすることができるが、より好ましいのは連続法である
イ)連続法
未使用セルロースアシレート、再使用セルロースアシレートの各ストックタンクに定流量フィーダーを取り付け、その下にミキシングタンクを設置する。定流量フィーダーから、各混合比に対応させるようにフィード量を調整シミキシングタンクに供給する。ミキシングタンクには撹拌羽を用い、10rpm〜100rpmで撹拌する。このミキシングタンクから溶融製膜機のフィーダーに供給する。
ロ)バッチ法
未使用セルロースアシレート、再使用セルロースアシレートを所望の比率でタンク内に仕込み、これを十分撹拌する。撹拌法としては、例えば撹拌羽を用いる方法、タンクを密閉し、これを回転させる方法、タンク内を真空に排気させた後、急激に大気圧に解放し流入する空気で撹拌する方法などが挙げられる。
(ii)製膜中の熱分解物生成の抑制
本発明では製膜中の端部の熱分解を抑制することを特徴としている。溶融製膜ではダイから押出される際、幅方向中央部は真っ直ぐマニホルドからダイ出口に向かい樹脂が押出されるが、両端はダイの外周部にそって迂回するため滞留時間が長くなり熱分解し易く、これが非輝点異物の原因となるうえ、熱分解によるセルロースアシレートの分子量が低下と相まって、クラックの発生の原因となる。
このように両端部は熱分解を受けやすいため、ダイから出た後に放冷する間にも進行する熱分解を抑制することが好ましい。特にダイから出た後は、空気に触れるため酸化分解が起こり易く、ここでの急冷がポイントとなる。これには、製膜フィルム幅(WF)とダイリップ幅(WD)との制御と、キャスティングロール上での急冷が有効である。
イ)製膜フィルム幅(WF)とダイリップ幅(WD)との制御
本発明では、製膜フィルム幅(WF)とダイリップ幅(WD)との比(WF/WD)が0.7〜0.99であることが好ましく、より好ましくは0.75〜0.98、さらに好ましくは0.8〜0.97にする。このようなWF/WDにすることでダイから出た溶融樹脂(メルト)の幅方向の収縮を抑制できる。幅方向の収縮は、表面張力により端部が厚化することで発生するため、このWF/WD未満では端部は厚化し易く放熱し難くなり、熱分解が発生し易い。なお、従来のWF/WDはおよそ0.6以下である。
このように比(WF/WD)を上述の範囲内にするには、タッチロール製膜法あるいは静電印加法を用いてメルトをキャストすることが好ましい。ダイから出たメルトは空気中を放熱しながら進行し、キャスティングドラムに達する。しかし、これらの方法を用いるとメルトがキャスティングドラム上に固定されるため、幅方向の収縮を抑制する効果を有する。これらの方法はWF/WDを前記範囲にする以外にも、キャスティングドラムとメルトの密着を良化することで熱伝導を改善し、メルトを急冷し熱分解を抑制する効果もある。さらに本発明のWF/WDにするにはダイ出口とキャスティングロール上のメルトの着地点の距離を1cm〜50cmにすることが好ましく、より好ましくは2cm〜40cm、さらに好ましくは3cm〜30cmである。
ロ)キャスティングロール上での急冷
上述のように比(WF/WD)を上述の範囲内にするには、タッチロール法と静電印加法とが有効であるが、タッチロール法は、ダイから出たメルトをキャスティングドラムとタッチロールとで挟み込んで冷却固化するものである。これにより、幅方向の収縮を抑制できる上、タッチロール内部に熱媒を通し均一の温度にできるため、キャスティングドラム、タッチロールの両方から冷却でき、より効率的にメルトを冷却固化できる。
タッチロールは通常剛直な素材を用いるが、剛直すぎるとダイから出たメルトをロール間で挟む時に残留歪が発生し易く、一層部分的な歪を助長する。このためタッチロールの材質は、弾性を有するものが好ましい。これにより過剰な面圧はタッチロールが変形することでメルトとの密着を向上させることができる。即ち、両端の厚みは上述のように厚くなり易いが、このような変形し易い(低弾性を有する)タッチロールを用いることで、ロールがしなやかに変形し、メルトをより効果的に挟み込むことができる。
ロールに低弾性を付与するためには、ロールの外筒厚みを通常のロールよりも薄くすることが必要であり、外筒の肉厚Zは、0.05mm〜7.0mmが好ましく、より好ましくは0.2mm〜5.0mmである。さらに好ましくは0.3mm〜3.5mmである。タッチロールは金属シャフトの上に設置し、その間に熱媒(流体)を通しても良く、外筒と金属シャフトとの上に間に弾性体層を設け、外筒の間に熱媒(流体)を満たしたものがあげられる。
タッチロールはキャスティングロールに対し、押さえ圧0.1〜10MPaが好ましく、より好ましくは0.2〜8MPa、さらに好ましくは0.3〜5MPaである。ここで云う押さえ圧とは、タッチロールを押付ける力を、タッチロールとキャスティングロールの接触面積で割った値を指す。押さえ圧は前記範囲未満ではタッチロールの押し付けが弱く面内の不均一性を是正できず、一方前記を越えると全幅に亘り均一な押さえ圧を加えることができず(ロ−ルがたわみ両端もしくは中央に線圧が集中し易い)不均一性が増加しやすくなる。
タッチロールの表面温度は60℃〜160℃、より好ましくは70℃〜150℃、さらに好ましくは80℃〜140℃に設定するのが好ましい。この温度を超えると急冷の効果が薄れ、この温度を下回ると樹脂が急激に収縮するため皺が発生し易い。このような温度制御はこれらのロール内部に温調した液体、気体を通すことで達成できる。
タッチロール、キャスティングロールは、表面が鏡面であることが好ましく、算術平均高さRaが100nm以下、好ましくは50nm以下、さらに好ましくは25nm以下である。具体的には例えば特開平11−314263号公報、特開2002−36332号公報、特開平11−235747号公報、国際公開第97/28950号パンフレット、特開2004−216717号公報、特開2003−145609号公報に記載のものを利用できる。
静電印加を行うことでも本発明を実施できる。静電印加はメルトに静電気を与え、これによりキャスティングロールとの密着を改良するものである。静電印加はメルト全面に付与してもよく、両端あるいは片端に付与しても良い。具体的には、例えば、特開平7−52232号公報、特開平8−111347号公報、特開平10−315306号公報、特開平10−323881号公報などに記載の方法を使用することができる。
本発明では、両端に静電印加するエッジピニング法を用いるほうが、全幅に渡り静電印加する方法より好ましい。静電印加する幅は一端あたり全幅の1%〜20%が好ましく、より好ましくは2%〜15%、さらに好ましくは3%〜12%である。すなわち、全面に渡って静電印加を行うと幅全面に渡り急冷され大きな熱収縮応力が発生するため皺が発生し易いが、両端のみを静電印加する方法では必要な端部のみを効率的に冷却するため熱収縮応力も小さく皺が発生し難くより好ましい。幅静電印加はメルトが接触する直上1cm〜30cmのところに3kV〜15kV、より好ましくは4kV〜12kVの、さらに好ましくは5kV〜9kVの電圧を電極に加えることが好ましい。電極は針状のものを使用することができ、この本数を増やすことで静電印加の幅を調整できる。このようなエッジピニングの方法は例えば特開2003−94509号公報、特開2004−91619号公報、特開2004−160819号公報、特開2005−14522号公報などに記載の方法を用いることができる。
(iii)製膜フィルムの破砕方法の改良
再使用樹脂は、フィルムをトリミングした端部を製膜後1時間以内に破砕することで調製することが好ましい。
本発明で使用するセルロースアシレート、中でもプロピオニル基、ブチリル基を含むものは、アセチル基のみからなるものに比べ結晶化速度が遅いのが特徴である。このため溶融製膜直後は非晶であるが、経時で結晶が形成されてゆく。これに伴い脆化が進むため、製膜後経時したものを破砕した際に微細な破砕屑が発生し易い。
破砕したセルロースアシレート即ち再使用セルロースアシレートは、未使用セルロースアシレートと混合して、混練押出し機のホッパーに投入され製膜原料となる。しかし上述の破砕屑が存在すると静電気などでホッパーの外壁に付着する。ホッパーは混練押出し機からの熱伝達を受け温度上昇しているため、ここでさらに結晶化が進行する。これがホッパーから落ちて混練押出し機内に入ると、高結晶化度のため溶融しきれず、濾材を閉塞し、熱分解による非輝点異物を発生し易い。
このため、製膜後直ちに破砕して再使用セルロースアシレートにすることが好ましく、製膜後1時間以内に破砕することが好ましく、より好ましくは30分間以内、さらに好ましくは10分間以内である。このような短時間での破砕は、例えば端部をスリットしたものを直接クラッシャーに導入(例えば風送)することで達成できる。好ましい破砕後の大きさは、一辺が1mm〜10cm、より好ましくは2mm〜5cm、さらに好ましくは3mm〜3cmである。
これらによって、輝点異物、黒色の非輝点異物以外に黄変および無着色の非輝点異物まで除去できる。黒色の非輝点異物は比較的低下させやすいが、黄変および無着色の非輝点異物はなかなか除去し難く、前記を実施することで初めて除去が可能となった。
以下に本発明を手順に沿って説明を加える。
《セルロースアシレート》
(組成)
本発明で用いるセルロースアシレートは以下の特徴を有するものが好ましい。下記式中、Aはアセチル基の置換度を示し、Bはプロピオニル基、ブチチル基、ペンタノイル基の置換度の総和を示す。また、DPnは重量平均重合度を示す。
式(1):2.0≦A+B<3.0
式(2):0.1≦B<3
式(3):300≦DPw≦500
より好ましくは、
Bの1/2以上がプロピオニル基の場合
2.6≦A+B≦2.95
2.0≦B≦2.95
Bの1/2未満がプロピオニル基の場合
2.6≦A+B≦2.95
1.3≦B≦2.5
である。さらに好ましくは、
Bの1/2以上がプロピオニル基の場合
2.7≦A+B≦2.95
2.4≦B≦2.9
Bの1/2未満がプロピオニル基の場合
2.7≦A+B≦2.95
1.3≦B≦2.0
である。
本明細書でいう「置換度」とは、セルロースの2位、3位および6位のぞれぞれの水酸基の水素原子が置換されている割合の合計を意味する。2位、3位および6位の全ての水酸基の水素原子がアシル基で置換された場合は置換度が3となる。
本発明では、アシル基の中に占めるアセチル基の置換度を少なくし、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基の置換度の総和を多くすることが好ましい。これにより、溶融粘度を下げやすくなり、前記粘度範囲にしやすくなる。これはアセチル基より長いこれらの基を多くすることで分子間の自由体積を大きくし、絡み合いによる粘度の増加を抑制することができるようになるためである。しかし、アシル基をあまり長くし過ぎると、ガラス転移温度(Tg)や弾性率を過度に低下させてしまうため好ましくない。このためアセチル基より大きなアシル基としては、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基が好ましく、より好ましくはプロピオニル基、ブチリル基であり、さらに好ましくはプロピオニル基である。
(重合度)
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重量平均重合度DPwは前記式(3)にあるように、300〜500が好ましく、さらに好ましくは330〜480、特に好ましくは350〜450である。重量平均重合度は、本発明では後述のゲル浸透クロマトグラフィー (GPC)を用い、単分散ポリスチレンを標品として使用し測定される。
本発明においては、セルロースアシレートのGPCによる重量平均重合度/数平均重合度が1.6〜3.6であることが好ましく、1.7〜3.3であることがさらに好ましく、1.8〜3.2であることが特に好ましい。
これらのセルロースアシレートは1種類のみを用いてもよく、2種以上混合しても良い。また、セルロースアシレート以外の高分子成分を適宜混合したものでもよい。混合される高分子成分はセルロースエステルと相溶性に優れるものが好ましく、フィルムにしたときの透過率が80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは92%以上である。
本発明のセルロースアシレートの溶融製膜方法について詳細に説明する。本発明のセルロースアシレートの、原料綿や合成方法については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)7頁〜12頁にも詳細に記載されている。
(原料)
セルロース原料としては、広葉樹パルプ、針葉樹パルプ、綿花リンター由来のものが好ましく用いられる。セルロース原料としては、α−セルロース含量が92質量%〜99.9質量%の高純度のものを用いることが好ましい。
セルロース原料がフィルム状や塊状である場合は、あらかじめ解砕しておくことが好ましく、セルロースの形態は微細粉末から羽毛状になるまで解砕が進行していることが好ましい。
(活性化処理)
セルロース原料はアシル化に先立って、活性化剤と接触させる処理(活性化)を行うことが好ましい。活性化剤としては、カルボン酸または水を用いることができるが、水を用いた場合には、活性化の後に酸無水物を過剰に添加して脱水を行ったり、水を置換するためにカルボン酸で洗浄したり、アシル化の条件を調節したりするといった工程を含むことが好ましい。活性化剤はいかなる温度に調節して添加してもよく、添加方法としては噴霧、滴下、浸漬などの方法から選択することができる。
活性化剤として好ましいカルボン酸は、炭素数2〜7のカルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、2−メチルプロピオン酸、吉草酸、3−メチル酪酸、2−メチル酪酸、2,2−ジメチルプロピオン酸(ピバル酸)、ヘキサン酸、2−メチル吉草酸、3−メチル吉草酸、4−メチル吉草酸、2,2−ジメチル酪酸、2,3−ジメチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、シクロペンタンカルボン酸、ヘプタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸など)であり、より好ましくは、酢酸、プロピオン酸、または酪酸であり、特に好ましくは酢酸である。
活性化の際は、必要に応じてさらに硫酸などのアシル化の触媒を加えることもできる。しかし、硫酸のような強酸を添加すると、解重合が促進されることがあるため、その添加量はセルロースに対して0.1質量%〜10質量%程度に留めることが好ましい。また、2種類以上の活性化剤を併用したり、炭素数2〜7のカルボン酸の酸無水物を添加したりしてもよい。
活性化剤の添加量は、セルロースに対して5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが特に好ましい。活性化剤の量が該下限値以上であれば、セルロースの活性化の程度が低下するなどの不具合が生じないので好ましい。活性化剤の添加量の上限は生産性を低下させない限りにおいて特に制限はないが、セルロースに対して質量で100倍以下であることが好ましく、20倍以下であることがより好ましく、10倍以下であることが特に好ましい。活性化剤をセルロースに対して大過剰加えて活性化を行い、その後、ろ過、送風乾燥、加熱乾燥、減圧留去、溶媒置換などの操作を行って活性剤の量を減少させてもよい。
活性化の時間は20分間以上であることが好ましく、上限については生産性に影響を及ぼさない範囲であれば特に制限はないが、好ましくは72時間以下、さらに好ましくは24時間以下、特に好ましくは12時間以下である。また、活性化の温度は0℃〜90℃が好ましく、15℃〜80℃がさらに好ましく、20℃〜60℃が特に好ましい。セルロースの活性化の工程は加圧または減圧条件下で行うこともできる。また、加熱の手段として、マイクロ波や赤外線などの電磁波を用いてもよい。
このような活性化処理により輝点異物を低減することができる。即ちアシル化剤がセルロース内部まで浸透しないため、未反応のセルロースが残ることに起因しており、上述ように活性化処理によりセルロース内部まで十分に膨潤させアシル化剤を浸透させ易くすることで、輝点を減少させることができる。輝点は元のセルロースが繊維状であることに由来し、細長い針状である。このため、濾過では濾材の目の間をすり抜け十分に取りきれず、本発明のように反応段階から除去することが好ましい。
(アシル化)
本発明におけるセルロースアシレートを製造する方法においては、セルロースにカルボン酸の酸無水物を加え、ブレンステッド酸またはルイス酸を触媒として反応させることで、セルロースの水酸基をアシル化することが好ましい。
セルロース混合アシレートを得る方法としては、アシル化剤として2種のカルボン酸無水物を混合または逐次添加により反応させる方法、2種のカルボン酸の混合酸無水物(例えば、酢酸・プロピオン酸混合酸無水物)を用いる方法、カルボン酸と別のカルボン酸の酸無水物(例えば、酢酸とプロピオン酸無水物)を原料として反応系内で混合酸無水物(例えば、酢酸・プロピオン酸混合酸無水物)を合成してセルロースと反応させる方法、置換度が3に満たないセルロースアシレートを一旦合成し、酸無水物や酸ハライドを用いて、残存する水酸基をさらにアシル化する方法などを用いることができる。
(酸無水物)
カルボン酸の酸無水物として、好ましくはカルボン酸としての炭素数が2〜7であり、例えば、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、2−メチルプロピオン酸無水物、吉草酸無水物、3−メチル酪酸無水物、2−メチル酪酸無水物、2,2−ジメチルプロピオン酸無水物(ピバル酸無水物)、ヘキサン酸無水物、2−メチル吉草酸無水物、3−メチル吉草酸無水物、4−メチル吉草酸無水物、2,2−ジメチル酪酸無水物、2,3−ジメチル酪酸無水物、3,3−ジメチル酪酸無水物、シクロペンタンカルボン酸無水物、ヘプタン酸無水物、シクロヘキサンカルボン酸無水物、安息香酸無水物などを挙げることができる。
より好ましくは、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、吉草酸無水物、ヘキサン酸無水物、ヘプタン酸無水物などの無水物であり、特に好ましくは、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物である。
混合エステルを調製する目的で、これらの酸無水物を併用して使用することが好ましく行われる。その混合比は目的とする混合エステルの置換比に応じて決定することが好ましい。酸無水物は、セルロースに対して、通常は過剰当量添加する。すなわち、セルロースの水酸基に対して1.2〜50当量添加することが好ましく、1.5〜30当量添加することがより好ましく、2〜10当量添加することが特に好ましい。
(触媒)
本発明におけるセルロースアシレートの製造に用いるアシル化の触媒には、ブレンステッド酸またはルイス酸を使用することが好ましい。ブレンステッド酸およびルイス酸の定義については、例えば、「理化学辞典」第五版(2000年)に記載されている。好ましいブレンステッド酸の例としては、硫酸、過塩素酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などを挙げることができる。好ましいルイス酸の例としては、塩化亜鉛、塩化スズ、塩化アンチモン、塩化マグネシウムなどを挙げることができる。
触媒としては、硫酸または過塩素酸がより好ましく、硫酸が特に好ましい。触媒の好ましい添加量は、セルロースに対して0.1〜30質量%であり、より好ましくは1〜15質量%であり、特に好ましくは3〜12質量%である。
(溶媒)
アシル化を行う際には、粘度、反応速度、攪拌性、アシル置換比などを調整する目的で、溶媒を添加してもよい。このような溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、カルボン酸、アセトン、エチルメチルケトン、トルエン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどを用いることもできるが、好ましくはカルボン酸であり、例えば、炭素数2〜7のカルボン酸{例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、2−メチルプロピオン酸、吉草酸、3−メチル酪酸、2−メチル酪酸、2,2−ジメチルプロピオン酸(ピバル酸)、ヘキサン酸、2−メチル吉草酸、3−メチル吉草酸、4−メチル吉草酸、2,2−ジメチル酪酸、2,3−ジメチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、シクロペンタンカルボン酸}などを挙げることができる。さらに好ましくは、酢酸、プロピオン酸、酪酸などを挙げることができる。これらの溶媒は混合して用いてもよい。
(アシル化の条件)
アシル化を行う際には、酸無水物と触媒、さらに、必要に応じて溶媒を混合してからセルロースと混合してもよく、またこれらを別々に逐次セルロースと混合してもよいが、通常は、酸無水物と触媒との混合物、または、酸無水物と触媒と溶媒との混合物をアシル化剤として調整してからセルロースと反応させることが好ましい。アシル化の際の反応熱による反応容器内の温度上昇を抑制するために、アシル化剤は予め冷却しておくことが好ましい。冷却温度としては、−50℃〜20℃が好ましく、−35℃〜10℃がより好ましく、−25℃〜5℃が特に好ましい。アシル化剤は液状で添加しても、凍結させて結晶、フレーク、またはブロック状の固体として添加してもよい。
アシル化剤はさらに、セルロースに対して一度に添加しても、分割して添加してもよい。また、アシル化剤に対してセルロースを一度に添加しても、分割して添加してもよい。アシル化剤を分割して添加する場合は、同一組成のアシル化剤を用いても、複数の組成の異なるアシル化剤を用いても良い。好ましい例として、1)酸無水物と溶媒との混合物をまず添加し、次いで、触媒を添加する、2)酸無水物、溶媒と触媒の一部との混合物をまず添加し、次いで、触媒の残りと溶媒との混合物を添加する、3)酸無水物と溶媒との混合物をまず添加し、次いで、触媒と溶媒との混合物を添加する、4)溶媒をまず添加し、酸無水物と触媒との混合物あるいは酸無水物と触媒と溶媒との混合物を添加する、などを挙げることができる。
セルロースのアシル化は発熱反応であるが、本発明のセルロースアシレートを製造する方法においては、アシル化の際の最高到達温度が50℃以下であることが好ましい。反応温度がこの温度以下であれば、解重合が進行して本発明の用途に適した重合度のセルロースアシレートを得難くなるなどの不都合が生じないため好ましい。アシル化の際の最高到達温度は、好ましくは45℃以下であり、より好ましくは40℃以下であり、特に好ましくは35℃以下である。反応温度は温度調節装置を用いて制御しても、アシル化剤の初期温度で制御してもよい。反応容器を減圧して、反応系中の液体成分の気化熱で反応温度を制御することもできる。アシル化の際の発熱は反応初期が大きいため、反応初期には冷却し、その後は加熱するなどの制御を行うこともできる。アシル化の終点は、光線透過率、溶液粘度、反応系の温度変化、反応物の有機溶媒に対する溶解性、偏光顕微鏡観察などの手段により決定することができる。
反応の最低温度は−50℃以上が好ましく、−30℃以上がより好ましく、−20℃以上が特に好ましい。好ましいアシル化時間は0.5時間〜24時間であり、1時間〜12時間がより好ましく、1.5時間〜6時間が特に好ましい。0.5時間未満では通常の反応条件では反応が十分に進行しない場合があり、24時間を越えると、工業的な製造のために好ましくない。
(反応停止剤)
本発明に用いられるセルロースアシレートを製造する方法においては、アシル化反応の後に、反応停止剤を加えることが好ましい。
反応停止剤としては、酸無水物を分解するものであればいかなるものでもよく、好ましい例として、水、アルコール(例えばエタノール、メタノール、プロパノール、イソプロピルアルコールなど)またはこれらを含有する組成物などを挙げることができる。また、反応停止剤には、後述の中和剤を含んでいても良い。反応停止剤の添加に際しては、反応装置の冷却能力を超える大きな発熱が生じて、セルロースアシレートの重合度を低下させる原因となったり、セルロースアシレートが望まない形態で沈殿したりする場合があるなどの不都合を避けるため、水やアルコールを直接添加するよりも、酢酸、プロピオン酸、酪酸等のカルボン酸と水との混合物を添加することが好ましく、カルボン酸としては酢酸が特に好ましい。カルボン酸と水との組成比は任意の割合で用いることができるが、水の含有量が5質量%〜80質量%、さらには10質量%〜60質量%、特には15質量%〜50質量%の範囲であることが好ましい。
反応停止剤は、アシル化の反応容器に添加しても、反応停止剤の容器に反応物を添加してもよい。反応停止剤は3分間〜3時間かけて添加することが好ましい。反応停止剤の添加時間が3分間以上であれば、発熱が大きくなりすぎて重合度低下の原因となったり、酸無水物の加水分解が不十分になったり、セルロースアシレートの安定性を低下させたりするなどの不都合が生じないので好ましい。また反応停止剤の添加時間が3時間以下であれば、工業的な生産性の低下などの問題も生じないので好ましい。反応停止剤の添加時間として、好ましくは4分間〜2時間であり、より好ましくは5分間〜1時間であり、特に好ましくは10分間〜45分間である。反応停止剤を添加する際には反応容器を冷却しても冷却しなくてもよいが、解重合を抑制する目的から、反応容器を冷却して温度上昇を抑制することが好ましい。また、反応停止剤を冷却しておくことも好ましい。
(中和剤)
アシル化の反応停止工程あるいはアシル化の反応停止工程後に、系内に残存している過剰の無水カルボン酸の加水分解、カルボン酸およびエステル化触媒の一部または全部の中和のために、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムまたは亜鉛の炭酸塩、酢酸塩、水酸化物または酸化物)またはその溶液を添加してもよい。中和剤の溶媒としては、水、アルコール(例えばエタノール、メタノール、プロパノール、イソプロピルアルコールなど)、カルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸など)、ケトン(例えば、アセトン、エチルメチルケトンなど)、ジメチルスルホキシドなどの極性溶媒、およびこれらの混合溶媒を好ましい例として挙げることができる。
(部分加水分解)
このようにして得られたセルロースアシレートは、全置換度がほぼ3に近いものであるが、所望の置換度のものを得る目的で、少量の触媒(一般には、残存する硫酸などのアシル化触媒)と水との存在下で、20〜90℃に数分〜数日間保つことによりエステル結合を部分的に加水分解し、セルロースアシレートのアシル置換度を所望の程度まで減少させること(いわゆる熟成)が一般的に行われる。部分加水分解の過程でセルロースの硫酸エステルも加水分解されることから、加水分解の条件を調節することにより、セルロースに結合した硫酸エステルの量を削減することができる。
所望のセルロースアシレートが得られた時点で、系内に残存している触媒を、前記のような中和剤またはその溶液を用いて完全に中和し、部分加水分解を停止させることが好ましい。反応溶液に対して溶解性が低い塩を生成する中和剤(例えば、炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウムなど)を添加することにより、溶液中あるいはセルロースに結合した触媒(例えば、硫酸エステル)を効果的に除去することも好ましい。
(再沈殿前濾過)
セルロースアシレート中の未反応物、難溶解性塩、その他の異物などを除去または削減する目的として、反応混合物(ドープ)の濾過を行うことが好ましい。濾過は、アシル化の完了から再沈殿までの間のいかなる工程において行ってもよい。濾過圧や取り扱い性の制御の目的から、濾過に先立って適切な溶媒で希釈することも好ましい。
好ましい濾過の孔径は0.1μm〜30μmが好ましく、より好ましくは1μm〜20μm、さらに好ましくは3μm〜15μmである。このような濾過フィルターの主素材としては、ガラス繊維、セルロース繊維、濾紙、四フッ化エチレン樹脂などのフッ素樹脂等の従来公知である材料を好ましく用いることができ、特にセラミックス、金属等が好ましく用いられる。フィルター形状は、サーフェースタイプでもデプスタイプでも適用されるが、デプスタイプの方が目詰まりしにくいことからより好ましい。
濾過溶液の粘度は1Pa・s〜1000Pa・sが好ましく、より好ましくは3Pa・s〜100Pa・s、さらに好ましくは5Pa・s〜50Pa・sである。
(再沈殿)
このようにして得られたセルロースアシレート溶液を、水もしくはカルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸など)水溶液のような貧溶媒中に混合するか、セルロースアシレート溶液中に、貧溶媒を混合することにより、セルロースアシレートを再沈殿させ、洗浄および安定化処理により目的のセルロースアシレートを得ることができる。再沈殿は連続的に行っても、一定量ずつバッチ式で行ってもよい。セルロースアシレート溶液の濃度および貧溶媒の組成をセルロースアシレートの置換様式あるいは重合度により調整することで、再沈殿したセルロースアシレートの形態や分子量分布を制御することも好ましい。
(洗浄)
生成したセルロースアシレートは洗浄処理することが好ましい。洗浄溶媒はセルロースアシレートの溶解性が低く、かつ、不純物を除去することができるものであればいかなるものでも良いが、通常は水または温水が用いられる。洗浄水の温度は、好ましくは25℃〜100℃であり、さらに好ましくは30℃〜90℃であり、特に好ましくは40℃〜80℃である。洗浄処理はろ過と洗浄液の交換を繰り返すいわゆるバッチ式で行っても、連続洗浄装置を用いて行ってもよい。再沈殿および洗浄の工程で発生した廃液を再沈殿工程の貧溶媒として再利用したり、蒸留などの手段によりカルボン酸などの溶媒を回収して再利用することも好ましい。
洗浄の進行はいかなる手段で追跡を行ってよいが、水素イオン濃度、イオンクロマトグラフィー、電気伝導度、ICP、元素分析、原子吸光スペクトルなどの方法を好ましい例として挙げることができる。
このような処理により、セルロースアシレート中の触媒(硫酸、過塩素酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、塩化亜鉛など)、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムまたは亜鉛の炭酸塩、酢酸塩、水酸化物または酸化物など)、中和剤と触媒との反応物、カルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸など)、中和剤とカルボン酸との反応物などを除去することができ、このことはセルロースアシレートの安定性を高めるために有効である。
(安定化)
温水処理による洗浄後のセルロースアシレートは、安定性をさらに向上させたり、カルボン酸臭を低下させるために、弱アルカリ(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどの炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物、酸化物など)の水溶液などで処理することも好ましい。
残存不純物の量は、洗浄液の量、洗浄の温度、時間、攪拌方法、洗浄容器の形態、安定化剤の組成や濃度により制御できる。本発明においては、残留硫酸根量(硫黄原子の含有量として)が0〜500ppmになるようにアシル化、部分加水分解および洗浄の条件を設定する。
(乾燥)
本発明においてセルロースアシレートの含水率を好ましい量に調整するためには、セルロースアシレートを乾燥することが好ましい。乾燥の方法については、目的とする含水率が得られるのであれば特に限定されないが、加熱、送風、減圧、攪拌などの手段を単独または組み合わせで用いることで効率的に行うことが好ましい。乾燥温度として好ましくは0〜200℃であり、さらに好ましくは40〜180℃であり、特に好ましくは50〜160℃である。本発明のセルロースアシレートは、その含水率が2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、0.7質量%以下であることが特には好ましい。
(形状)
本発明のセルロースアシレートは粒子状、粉末状、繊維状、塊状など種々の形状を取ることができるが、フィルム製造の原料としては粒子状または粉末状であることが好ましいことから、乾燥後のセルロースアシレートは、粒子サイズの均一化や取り扱い性の改善のために、粉砕や篩がけを行っても良い。セルロースアシレートが粒子状であるとき、使用する粒子の90質量%以上は、0.5〜5mmの粒子サイズを有することが好ましい。また、使用する粒子の50質量%以上が1〜4mmの粒子サイズを有することが好ましい。セルロースアシレート粒子は、なるべく球形に近い形状を有することが好ましい。また、本発明のセルロースアシレート粒子は、見かけ密度が好ましくは0.5〜1.3、さらに好ましくは0.7〜1.2、特に好ましくは0.8〜1.15である。見かけ密度の測定法に関しては、JIS K−7365に規定されている。
本発明のセルロースアシレート粒子は安息角が10〜70°であることが好ましく、15〜60°であることがさらに好ましく、20〜50°であることが特に好ましい。
(結晶性)
このようにして得たセルロースアシレートは結晶性を示し、結晶融解熱が3J/g〜50J/gが好ましく、より好ましくは5J/g〜30J/gが好ましく、さらに好ましくは7J/g〜22J/gである。結晶融解熱がこの範囲以下(非晶性)では延性が高く、打ち抜き加工した際に切断面が伸ばされ髭状となりやすく、これがフィルムに付着し画像ボケを引き起こす。また結晶融解熱がこの範囲以上では脆性が高く、打ち抜き加工を行った際裁断面がひび割れやすく、これがフィルムに付着し画像ボケを引き起こす。ここで云う「結晶融解熱」とは下記の方法で測定される。
・まず、サンプルを180℃で3時間熱処理する。これを約10mg精秤し測定パンに入れる。
・DSCを用いて30℃から250℃まで10℃/分で昇温測定する。
・170℃から240℃の間に現れる吸熱ピークの面積(吸熱量)から結晶融解熱を求める。
(芳香族アシル化セルロースアシレート)
本発明では、下記式(T−1)および(T−2)を満たす組成を有するセルロースアシレートを用いることも好ましい。
式(T−1):2.5≦A+C≦3.0
式(T−2):0.1≦C<2
より好ましくは
式(T−3):2.6≦A+C≦2.95
式(T−4):0.1≦C<1.5
さらに好ましくは
式(T−5):2.7≦A+C≦2.95
式(T−6):0.1≦C<1.0
である。尚、式中Aは、アセテート基の置換度を示し、Cは置換もしくは無置換の芳香族アシル基を示す。
また、重量平均重合度(DPW)は、
式(T):180≦DPw≦700以下
を満たすことが好ましい。
ここで置換もしくは無置換の芳香族アシル基としては下記一般式(I)で表される基があげられる。
Figure 2008037091
まず、一般式(I)について説明する。Xは置換基で、置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、アラルキル基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基およびアリールオキシスルホニル基、−S−R、−NH−CO−OR、−PH−R、−P(−R)2、−PH−O−R、−P(−R)(−O−R)、−P(−O−R)2、−PH(=O)−R−P(=O)(−R)2、−PH(=O)−O−R、−P(=O)(−R)(−O−R)、−P(=O)(−O−R)2、−O−PH(=O)−R、−O−P(=O)(−R)2−O−PH(=O)−O−R、−O−P(=O)(−R)(−O−R)、−O−P(=O)(−O−R)2、−NH−PH(=O)−R、−NH−P(=O)(−R)(−O−R)、−NH−P(=O)(−O−R)2、−SiH2−R、−SiH(−R)2、−Si(−R)3、−O−SiH2−R、−O−SiH(−R)2および−O−Si(−R)3が含まれる。上記Rは脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基である。置換基の数は、1〜5個であることが好ましく、1〜4個であることがより好ましく、1〜3個であることがさらに好ましく、1または2個であることが最も好ましい。置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基およびウレイド基が好ましく、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基およびカルボンアミド基がより好ましく、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基およびアリールオキシ基がさらに好ましく、ハロゲン原子、アルキル基およびアルコキシ基が最も好ましい。
上記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が含まれる。
上記アルキル基は、環状構造または分岐構造を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルキル基が置換基を有する場合は、該置換基の炭素原子数も含めた数が、前記炭素原子数であることが好ましい(以下、他の基についても同じ)。アルキル基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基および2−エチルヘキシル基が含まれる。
上記アルコキシ基は、環状構造または分岐を有していてもよい。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルコキシ基は、さらに別のアルコキシ基で置換されていてもよい。アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−メトキシ−2−エトキシエトキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基およびオクチルオキシ基が含まれる。
上記アリール基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがより好ましい。アリール基の例には、フェニル基およびナフチル基が含まれる。上記アリールオキシ基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。
上記アリールオキシ基の例には、フェノキシ基およびナフトキシ基が含まれる。上記アシル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。
上記アシル基の例には、ホルミル基、アセチル基およびベンゾイル基が含まれる。
上記カルボンアミド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましい。カルボンアミド基の例には、アセトアミド基およびベンズアミド基が含まれる。上記スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。
上記スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基およびp−トルエンスルホンアミド基が含まれる。
上記ウレイド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。ウレイド基の例には、(無置換)ウレイド基が含まれる。
上記アラルキル基の炭素原子数は、7〜20であることが好ましく、7〜12であることがさらに好ましい。アラルキル基の例には、ベンジル基、フェネチル基およびナフチルメチル基が含まれる。上記アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。
上記アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基が含まれる。上記アリールオキシカルボニル基の炭素原子数は、7〜20であることが好ましく、7〜12であることがより好ましい。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル基が含まれる。上記アラルキルオキシカルボニル基の炭素原子数は、8〜20であることが好ましく、8〜12であることがより好ましい。アラルキルオキシカルボニル基の例には、ベンジルオキシカルボニル基が含まれる。上記カルバモイル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましい。カルバモイル基の例には、(無置換)カルバモイル基およびN−メチルカルバモイル基が含まれる。上記スルファモイル基の炭素原子数は、20以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましい。スルファモイル基の例には、(無置換)スルファモイル基およびN−メチルスルファモイル基が含まれる。
上記アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アシルオキシ基の例には、アセトキシ基およびベンゾイルオキシ基が含まれる。
このような化合物の重量平均重合度180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。
上記アルケニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルケニル基の例には、ビニル基、アリル基およびイソプロペニル基が含まれる。上記アルキニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましい。
上記アルキニル基の例には、チエニル基が含まれる。上記アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。上記アリールスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。
上記アルキルオキシスルホニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましい。
上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがより好ましい。
上記アルキルスルホニルオキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましい。上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがより好ましい。
このような化合物は、セルロースの水酸基への芳香族アシル基の置換によって得られ、一般的には芳香族カルボン酸クラロイドあるいは芳香族カルボン酸から誘導される対称酸無水物および混合酸無水物を用いる方法等が挙げられる。特に好ましいのは芳香族カルボン酸から誘導した酸無水物を用いる方法(Journal of AppliedPolymer Science、Vol.29、3981-3990(1984)記載)が挙げられる。上記の方法として本発明のセルロース混合酸エステル化合物の製造方法としては、(1)セルロース脂肪酸モノエステルまたはジエステルを一旦製造したのち、残りの水酸基に前記一般式(I)で表される芳香族アシル基を導入する方法、(2)セルロースに直接に、脂肪族カルボン酸と芳香族カルボン酸の混合酸無水物を反応させる方法などが挙げられる。前記(1)の方法では、セルロース脂肪酸エステルまたはジエステルの製造方法自体は周知の方法を採用でき、これにさらに芳香族アシル基を導入する後段の反応は、該芳香族アシル基の種類によって適宜定めることができるが、反応温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜50℃で、反応時間は、好ましくは30分以上、より好ましくは30〜300分で行われる。また、前記(2)の混合酸無水物を用いる方法も、反応条件は混合酸無水物の種類によって適宜定めることができるが、反応温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜50℃、反応時間は、好ましくは30〜300分、より好ましくは60〜200分である。上記のいずれの反応も、反応を無溶媒または溶媒中のいずれで行ってもよいが、好ましくは溶媒を用いて行われる。溶媒としてはジクロロメタン、クロロホルム、ジオキサンなどを用いることができる。
以下に一般式(I)で表わされる芳香族アシル基の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2008037091
Figure 2008037091
Figure 2008037091
Figure 2008037091
これらの置換基の中でも、1〜9、18〜19、27〜28の置換基が好ましく、より好ましく1〜3の置換基であり、最も好ましいのが1の置換基である。
《添加剤》
(可塑剤)
さらに本発明ではセルロースアシレートに可塑剤を添加することで、延伸歪を軽減しやすく好ましい。可塑剤としては、例えば、アルキルフタリルアルキルグリコレート類、リン酸エステルやカルボン酸エステル等が挙げられる。
アルキルフタリルアルキルグリコレート類として例えばメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
前記リン酸エステルとしては、例えばトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、フェニルジフェニルホスフェート等を挙げることができる。さらに特表平6−501040号公報の請求項3〜7に記載のリン酸エステル系可塑剤を用いることが好ましい。
前記カルボン酸エステルとしては、例えばジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートおよびジエチルヘキシルフタレート等のフタル酸エステル類、およびクエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等のクエン酸エステル類、ジメチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ビス(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ビス(ブチルジグリコールアジペート)等のアジピン酸エステルを挙げることができる。またその他、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、トリアセチン等を単独あるいは併用するのが好ましい。
これらの可塑剤はセルロースアシレートフィルムに対し0質量%〜20質量%が好ましく、より好ましくは1質量%〜20質量%、さらに好ましくは2質量%〜15質量%である。これらの可塑剤は必要に応じて、2種類以上を併用して用いてもよい。
これら以外に多価アルコール系可塑剤を添加するのも好ましい。本発明で具体的に用いることができる多価アルコール系可塑剤は、セルロース脂肪酸エステルとの相溶性が良く、また熱可塑化効果が顕著に現れるグリセリンエステル、ジグリセリンエステルなどグリセリン系のエステル化合物やポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールの水酸基にアシル基が結合した化合物などである。
具体的なグリセリンエステルとして、グリセリンジアセテートステアレート、グリセリンジアセテートパルミテート、グリセリンジアセテートミスチレート、グリセリンジアセテートラウレート、グリセリンジアセテートカプレート、グリセリンジアセテートノナネート、グリセリンジアセテートオクタノエート、グリセリンジアセテートヘプタノエート、グリセリンジアセテートヘキサノエート、グリセリンジアセテートペンタノエート、グリセリンジアセテートオレート、グリセリンアセテートジカプレート、グリセリンアセテートジノナネート、グリセリンアセテートジオクタノエート、グリセリンアセテートジヘプタノエート、グリセリンアセテートジカプロエート、グリセリンアセテートジバレレート、グリセリンアセテートジブチレート、グリセリンジプロピオネートカプレート、グリセリンジプロピオネートラウレート、グリセリンジプロピオネートミスチレート、グリセリンジプロピオネートパルミテート、グリセリンジプロピオネートステアレート、グリセリンジプロピオネートオレート、グリセリントリブチレート、グリセリントリペンタノエート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリンプロピオネートラウレート、グリセリンオレートプロピオネートなどが挙げられるがこれに限定されず、これらを単独もしくは併用して使用することができる。
この中でも、グリセリンジアセテートカプリレート、グリセリンジアセテートペラルゴネート、グリセリンジアセテートカプレート、グリセリンジアセテートラウレート、グリセリンジアセテートミリステート、グリセリンジアセテートパルミテート、グリセリンジアセテートステアレート、グリセリンジアセテートオレートが好ましい。
ジグリセリンエステルの具体的な例としては、ジグリセリンテトラアセテート、ジグリセリンテトラプロピオネート、ジグリセリンテトラブチレート、ジグリセリンテトラバレレート、ジグリセリンテトラヘキサノエート、ジグリセリンテトラヘプタノエート、ジグリセリンテトラカプリレート、ジグリセリンテトラペラルゴネート、ジグリセリンテトラカプレート、ジグリセリンテトララウレート、ジグリセリンテトラミスチレート、ジグリセリンテトラパルミテート、ジグリセリントリアセテートプロピオネート、ジグリセリントリアセテートブチレート、ジグリセリントリアセテートバレレート、ジグリセリントリアセテートヘキサノエート、ジグリセリントリアセテートヘプタノエート、ジグリセリントリアセテートカプリレート、ジグリセリントリアセテートペラルゴネート、ジグリセリントリアセテートカプレート、ジグリセリントリアセテートラウレート、ジグリセリントリアセテートミスチレート、ジグリセリントリアセテートパルミテート、ジグリセリントリアセテートステアレート、ジグリセリントリアセテートオレート、ジグリセリンジアセテートジプロピオネート、ジグリセリンジアセテートジブチレート、ジグリセリンジアセテートジバレレート、ジグリセリンジアセテートジヘキサノエート、ジグリセリンジアセテートジヘプタノエート、ジグリセリンジアセテートジカプリレート、ジグリセリンジアセテートジペラルゴネート、ジグリセリンジアセテートジカプレート、ジグリセリンジアセテートジラウレート、ジグリセリンジアセテートジミスチレート、ジグリセリンジアセテートジパルミテート、ジグリセリンジアセテートジステアレート、ジグリセリンジアセテートジオレート、ジグリセリンアセテートトリプロピオネート、ジグリセリンアセテートトリブチレート、ジグリセリンアセテートトリバレレート、ジグリセリンアセテートトリヘキサノエート、ジグリセリンアセテートトリヘプタノエート、ジグリセリンアセテートトリカプリレート、ジグリセリンアセテートトリペラルゴネート、ジグリセリンアセテートトリカプレート、ジグリセリンアセテートトリラウレート、ジグリセリンアセテートトリミスチレート、ジグリセリンアセテートトリパルミテート、ジグリセリンアセテートトリステアレート、ジグリセリンアセテートトリオレート、ジグリセリンラウレート、ジグリセリンステアレート、ジグリセリンカプリレート、ジグリセリンミリステート、ジグリセリンオレートなどのジグリセリンの混酸エステルなどが挙げられるがこれらに限定されず、これらを単独もしくは併用して使用することができる。
この中でも、ジグリセリンテトラアセテート、ジグリセリンテトラプロピオネート、ジグリセリンテトラブチレート、ジグリセリンテトラカプリレート、ジグリセリンテトララウレートが好ましい。
ポリアルキレングリコールの具体的な例としては、平均分子量が200〜1000のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられるがこれらに限定されず、これらを単独もしくは併用して使用することができる。
ポリアルキレングリコールの水酸基にアシル基が結合した化合物の具体的な例として、ポリオキシエチレンアセテート、ポリオキシエチレンプロピオネート、ポリオキシエチレンブチレート、ポリオキシエチレンバリレート、ポリオキシエチレンカプロエート、ポリオキシエチレンヘプタノエート、ポリオキシエチレンオクタノエート、ポリオキシエチレンノナネート、ポリオキシエチレンカプレート、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンミリスチレート、ポリオキシエチレンパルミテート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレート、ポリオキシエチレンリノレート、ポリオキシプロピレンアセテート、ポリオキシプロピレンプロピオネート、ポリオキシプロピレンブチレート、ポリオキシプロピレンバリレート、ポリオキシプロピレンカプロエート、ポリオキシプロピレンヘプタノエート、ポリオキシプロピレンオクタノエート、ポリオキシプロピレンノナネート、ポリオキシプロピレンカプレート、ポリオキシプロピレンラウレート、ポリオキシプロピレンミリスチレート、ポリオキシプロピレンパルミテート、ポリオキシプロピレンステアレート、ポリオキシプロピレンオレート、ポリオキシプロピレンリノレートなどが挙げられるがこられに限定されず、これらを単独もしくは併用して使用することができる。
(安定剤)
本発明では、安定剤としてホスファイト系化合物、亜リン酸エステル系化合物のいずれか、もしくは両方を用いることが好ましい。これらの安定剤の配合量は、0.005〜0.5質量%であるのが好ましく、より好ましくは0.01〜0.4質量%であり、さらに好ましくは0.02〜0.3質量%である。
(i)ホスファイト系安定剤
具体的なホスファイト系安定剤は、特に限定されないが、下記一般式(2)〜(4)で示されるホスファイト系安定剤が好ましい。
Figure 2008037091
(ここで、R1、R2,R3、R4、R5、R6、R'1、R'2、R'3・・・R'n、R'n+1は水素または炭素数4〜23のアルキル、アリール、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、アルコキシアリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ポリアリールオキシアルキル、ポリアルコキシアルキルおよびポリアルコキシアリール基からなる群から選択された基を示す。但し、一般式(2)(3)(4)の各同一式中で全てが水素になることはない。一般式(3)中で示されるホスファイト系安定剤中のXは脂肪族鎖、芳香核を側鎖に有する脂肪族鎖、芳香核を鎖中に有する脂肪族鎖および前記鎖中に2個以上連続しない酸素原子を包含する鎖からなる群から選択された基を示す。また、k、qは1以上の整数、pは3以上の整数を示す。)
これらのホスファイト系安定剤のk、qの数は好ましくは1〜10である。k、qの数が1以上にすることで加熱時の揮発性が小さくなり、10以下にすることでセルロースアセテートプロピオネートとの相溶性が向上するため好ましい。また、pの値は3〜10が好ましい。3以上のすることで加熱時の揮発性が小さくなり、10以下にすることでセルロースアセテートプロピオネートとの相溶性が向上するため好ましい。
一般式(2)で表されるホスファイト系安定剤の具体例としては、下記一般式(5)〜(8)で表されるものが好ましい。
Figure 2008037091
また、一般式(3)で表されるホスファイト系安定剤の具体例としては、下記式(9)(10)(11)で表されるものが好ましい。
Figure 2008037091
(ii)亜リン酸エステル系安定剤
亜リン酸エステル系安定剤は、例えばサイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト等が挙げられる。
(iii)その他の安定剤
弱有機酸、チオエーテル系化合物、エポキシ化合物等を安定剤として配合しても良い。
弱有機酸とは、pKaが1以上のものであり、本発明の作用を妨害せず、着色防止性、物性劣化防止性を有するものであれば特に限定されない。例えば酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸などが挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用して用いても良い。
チオエーテル系化合物としては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、パルミチルステアリルチオジプロピオネートが挙げられ、これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用して用いても良い。
エポキシ化合物としては、例えばエピクロロヒドリンとビスフェノールAより誘導されるものが挙げられ、エピクロロヒドリンとグリセリンからの誘導体やビニルシクロヘキセンジオキサイドや3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレートの如き環状のものも用いることができる。また、エポキシ化大豆油、エポキシ化ヒマシ油や長鎖−α−オレフィンオキサイド類なども用いることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用して用いても良い。
(マット剤)
マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムおよびリン酸カルシウムを挙げることができる。
これらの微粒子は、通常平均粒子サイズが0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次平均粒子サイズは0.2μm〜1.5μmが好ましく、0.4μm〜1.2μmがさらに好ましく、0.6μm〜1.1μmが最も好ましい。1次、2次粒子サイズはフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒子サイズとした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子サイズとした。
好ましい微粒子の量はセルロースアシレートに対し質量比で1ppm〜5000ppmが好ましく、より好ましくは5ppm〜1000ppm、さらに好ましくは10ppm〜500ppmである。
微粒子はケイ素を含むものが濁度を低くでき好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子サイズが20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976およびR811(以上、日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが、1次平均粒子サイズが20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
(その他の添加剤)
そのほかの添加剤としては、赤外吸収染料、紫外線吸収剤、光学調整剤、界面活性剤および臭気トラップ剤(アミン等)など)を加えることができる。これらの詳細は、発明協会公開技法(公技番号2001−1745号、2001年3月15日発行、発明協会)17〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
赤外吸収染料としては例えば特開平2001−194522号公報のものが使用でき、紫外線吸収剤としては例えば特開平2001−151901号公報に記載のものが使用でき、それぞれセルロースアシレートに対して0.001〜5質量%含有させることが好ましい。
光学調整剤としてはレターデーション調整剤を挙げることができ、例えば特開2001−166144号公報、特開2003−344655号公報、特開2003−248117号公報、特開2003−66230号公報に記載のものを使用することができ、これにより面内のレターデーション(Re),厚み方向のレターデーション(Rth)を制御できる。好ましい添加量は0〜10質量%であり、より好ましくは0〜8質量%、さらに好ましくは0〜6質量%である。
《製膜》
本発明ではフィルム中の残留溶剤が0.01質量%以下、さらに好ましくは0質量%であることが好ましい。残留溶剤は溶融製膜中に微細な気泡となり、クラックが発生し易くなる。このため残留溶剤の発生しない溶融製膜が好ましい。なお、残留溶剤は下記の方法で測定される。
・サンプルフィルム300mgを酢酸メチル30mlに溶解したもの(サンプルA)、およびジクロロメタン30mlに溶解したもの(サンプルB)を作製する。
・次いで、これらをガスクロマトグラフィー(GC)を用い、下記条件で測定する。
カラム:DB−WAX(0.25mmφ×30m、膜厚0.25μm)
カラム温度:50℃
キャリアーガス:窒素
分析時間:15分間
サンプル注入量:1μml
・サンプルAで溶剤(酢酸メチル)以外の各ピークについて検量線を用い含率を求め、その総和をSaとする。サンプルBで、サンプルAにおいて溶剤ピークで隠れていた領域の各ピークについて検量線を用い含率を求め、その総和をSbとし、SaとSbとの和を残留溶剤量とする。
本発明における溶融製膜は以下のように実施することができる。
(i)ペレット化
前記の方法で調製した未使用セルロースアシレートと添加物は溶融製膜に先立ち混合しペレット化するのが好ましい。また、再使用セルロースアシレートと未使用セルロースアシレートおよび添加剤と一緒にペレット化することがより好ましい。この時、上述の方法に従い混合の均質化を行うことが好ましい。なお、未使用セルロースアシレートと再使用セルロースアシレートの混合物の分散ばらつきは、この時に求める。
ペレット化を行うにあたりセルロースアシレートおよび添加物は事前に乾燥を行うことが好ましいが、ベント式押出機を用いることで、これを代用することもできる。乾燥を行う場合は、乾燥方法として、加熱炉内にて90℃で8時間以上加熱する方法等を用いることができるが、この限りではない。ペレット化は前記透明熱可塑性樹脂と添加物を2軸混練押出機を用い150℃〜250℃で溶融後、ヌードル状に押出したものを水中で固化し裁断することで作製することができる。また、押出機による溶融後水中に口金より直接押出ながらカットする、アンダーウオーターカット法等によりペレット化を行ってもかまわない。
押出機は十分な溶融混練が得られる限り、任意の公知の単軸スクリュー押出機、非かみ合い型異方向回転二軸スクリュー押出機、かみ合い型異方向回転二軸スクリュー押出機、かみ合い型同方向回転二軸スクリュー押出機などを用いることができる。
好ましいペレットの大きさは断面積が1mm2〜300mm2、長さが1mm〜30mmがこのましく、より好ましくは断面積が2mm2〜100mm2、長さが1.5mm〜10mmである。またペレット化を行う時に、前記添加物は押出機の途中にある原料投入口やベント口から投入することもできる。
押出機の回転数は10rpm〜1000rpmが好ましく、より好ましくは、20rpm〜700rpm、さらにより好ましくは30rpm〜500rpmである。これより、回転速度が遅くなると滞留時間が長くなり、熱劣化により分子量が低下したり、黄色味が悪化しやすくなるため、好ましくない。また回転速度が速すぎると剪断により分子の切断がおきやすくなり、分子量低下を招いたり、架橋ゲルの発生は増加するなどの問題が生じやすくなる。
ペレット化における押出滞留時間は10秒間以上、30分間以内、より好ましくは、15秒間〜10分間以内、さらに好ましくは30秒間〜3分間以内である。十分に溶融ができれば、滞留時間は短い方が、樹脂劣化、黄色み発生を抑えることができる点で好ましい。
(ii)乾燥
溶融製膜に先立ち原料中(ペレットや破砕した再使用セルロースアシレート)の水分を減少させることが好ましい。乾燥の方法については、除湿風乾燥機を用いて乾燥する事が多いが、目的とする含水率が得られるのであれば特に限定されない(加熱、送風、減圧、攪拌などの手段を単独または組み合わせで用いることで効率的に行うことが好ましい、さらに好ましくは、乾燥ホッパーを断熱構造にする事が好ましい)。乾燥温度として好ましくは0〜200℃であり、さらに好ましくは40〜180℃であり、特に好ましくは60〜150℃である。乾燥温度が低過ぎると乾燥に時間がかかるだけでなく、含有水分率が目標値以下にならず好ましくない。一方、乾燥温度が高過ぎると樹脂が粘着してブロッキングして好ましくない。乾燥風量として好ましくは20〜400m3/時間で有り、さらに好ましくは50〜300m3/時間、特に好ましくは100〜250m3/時間である。乾燥風量が少ないと乾燥効率が悪く好ましくない。一方、風量を多くしても一定量以上あれば乾燥効果の更なる向上は小さく経済的でない。エアーの露点として、好ましくは0〜−60℃で有り、さらに好ましくは−10〜−50℃、特に好ましくは−20〜−40℃である。乾燥時間は少なくとも15分間以上必要で有り、さらに好ましくは、1時間以上、特に好ましくは2時間以上である。一方、50時間を超えて乾燥させても更なる水分率の低減効果は少なく、樹脂の熱劣化の懸念が発生するため乾燥時間を不必要に長くすることは好ましくない。本発明のセルロースアシレートは、その含水率が1.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましく、0.01質量%以下であることが特に好ましい。
(iii)溶融押出し
原料のセルロースアシレートは押出機の供給口を介してシリンダー内に供給されるが、下記の方法のいずれを選択しても良い。
イ)未使用セルロースアシレートペレットおよび破砕した再使用セルロースアシレート
ロ)未使用のセルロースアシレートと再使用のセルロースアシレートとを混合したペレット
ハ)未使用のセルロースアシレートから作製したペレットおよび再使用のセルロースアシレートから作製したペレット
前記イ)、ハ)については、これらをブレンドする際に上述の方法に従い混合の均質化を行うことが好ましい。未使用セルロースアシレートと再使用セルロースアシレートとの混合物の分散ばらつきは、この時に求める。
押出し機のシリンダー内は供給口側から順に、供給口から供給した透明熱可塑性樹脂を定量輸送する供給部(領域A)と透明熱可塑性樹脂を溶融混練・圧縮する圧縮部(領域B)と溶融混練・圧縮された透明熱可塑性樹脂を計量する計量部(領域C)とで構成される。樹脂は上述の方法により水分量を低減させるために、乾燥することが好ましいが、残存する酸素による溶融樹脂の酸化を防止するために、押出機内を不活性(窒素等)気流中、あるいはベント付き押出し機を用い真空排気しながら実施するのがより好ましい。押出機のスクリュー圧縮比は2.5〜4.5に設定され、L/Dは20〜70に設定されている。ここでスクリュー圧縮比とは供給部Aと計量部Cとの容積比、即ち供給部Aの単位長さあたりの容積÷計量部Cの単位長さあたりの容積で表され、供給部Aのスクリュー軸の外径d1、計量部Cのスクリュー軸の外径d2、供給部Aの溝部径a1、および計量部Cの溝部径a2とを使用して算出される。また、L/Dとはシリンダー内径に対するシリンダー長さの比である。また、押出温度は190〜240℃に設定される。より好ましくは200℃〜235℃、さらに好ましくは210℃〜230℃である。
スクリュー圧縮比が2.5を下回って小さ過ぎると、十分に溶融混練されず、未溶解部分が発生し、製造後の透明熱可塑性フィルムに未溶解異物が残存し易くなり、さらに、気泡が混入し易くなる。これにより、透明熱可塑性フィルムの強度が低下したり、あるいはフィルムを延伸する場合に破断し易くなり、配向を十分に上げることができなくなる。逆に、スクリュー圧縮比が4.5を上回って大き過ぎると、せん断応力がかかり過ぎて発熱により樹脂が劣化し易くなるので、製造後の透明熱可塑性フィルムに黄色味が出易くなる。また、せん断応力がかかり過ぎると分子の切断が起こり分子量が低下してフィルムの機械的強度が低下する。したがって、製造後の透明熱可塑性フィルムに黄色味が出にくく且つフィルム強度が強くさらに延伸破断しにくくするためには、スクリュー圧縮比は2.5〜4.5の範囲が良く、より好ましくは2.8〜4.2、特に好ましいのは3.0〜4.0の範囲である。
また、L/Dが20を下回って小さ過ぎると、溶融不足や混練不足となり、圧縮比が小さい場合と同様に製造後の透明熱可塑性フィルムに未溶解異物が発生し易くなる。逆に、L/Dが70を上回って大き過ぎると、押出機内での透明熱可塑性樹脂の滞留時間が長くなり過ぎ、樹脂の劣化を引き起こし易くなる。また、滞留時間が長くなると分子の切断が起こったり分子量が低下して透明熱可塑性フィルムの機械的強度が低下する。したがって、製造後の透明熱可塑性フィルムに黄色味が出にくく且つフィルム強度が強くさらに延伸破断しにくくするためには、L/Dは20〜70の範囲が好ましく、より好ましくは22〜65の範囲、特に好ましくは24〜50の範囲である。
また、押出温度は上述の温度範囲にすることが好ましい。このようにして得た透明熱可塑性フィルムは、ヘイズが2.0%以下、イエローインデックス(YI値)が10以下である特性値を有している。
ここで、ヘイズは押出温度が低過ぎないかの指標、換言すると製造後の透明熱可塑性フィルムに残存する未溶解異物の多少を知る指標になり、ヘイズが2.0%を超えると、製造後の透明熱可塑性フィルムの強度低下と延伸時の破断が発生し易くなる。また、イエローインデックス(YI値)は押出温度が高過ぎないかを知る指標となり、イエローインデックス(YI値)が10以下であれば、黄色味の点で問題無い。
押し出し機の種類として、一般的には設備コストの比較的安い単軸押し出し機が用いられることが多く、フルフライト、マドック、ダルメージ等のスクリュータイプがあるが、熱安定性の比較的悪いセルロースアシレート樹脂には、フルフライトタイプが好ましい。また、設備コストは効果であるが、スクリューセグメントを変更することにより、途中でベント口を設けて不要な揮発成分を脱揮させながら押出ができる二軸押出機を用いることが可能である、二軸押し出し機には大きく分類して同方向と異方向のタイプがありどちらも用いることが可能であるが、滞留部分が発生し難くセルフクリーニング性能の高い同方向回転のタイプが好ましい。二軸押出機は設備が効果であるが、混練性が高く、樹脂の供給性能が高いため、低温での押出が可能となるため、熱分解し易いセルロースアセテート樹脂の製膜に適している。ベント口を適正に配置することにより、未乾燥状態でのセルロールアシレートペレットやパウダーをそのまま使用することも可能である。また、製膜途中で出たフィルムのミミ等も乾燥させることなしにそのまま再利用することもできる。
なお、好ましいスクリューの直径は目標とする単位時間あたりの押出量によってことなるが、10mm〜300mm、より好ましくは20mm〜250mm、さらに好ましくは30mm〜150mmである。
(iv)濾過
樹脂中の異物濾過のためや異物によるギアポンプ損傷を避けるため押し出し機出口にフィルター濾材を設けるいわゆるブレーカープレート式の濾過を行うことが好ましい。またさらに精度高く異物濾過をするために、ギアポンプ通過後にいわゆるリーフ型ディスクフィルターを組み込んだ濾過装置を設けることが好ましい。本発明では再使用セルロースアシレート中の異物を少なくするために、このような濾過工程を入れることが好ましく、なかでも精密濾過の可能なリーフ型ディスクフィルターを用いることが好ましく、耐圧,フィルターライフの適性を確保するために1枚〜300枚、より好ましくは5枚〜120枚、さらに好ましくは10枚〜80枚使用することが好ましい。
濾過は、1段で行ってもよく、多段濾過でも良い。濾過精度は3μm〜20μmが好ましく、さらに好ましくは5μm〜15μmである。
濾材の種類は、高温高圧下で使用される点から鉄鋼材料を用いることが好ましく、鉄鋼材料の中でも特にステンレス鋼,スチールなどを用いることが好ましく、腐食の点から特にステンレス鋼を用いることが望ましい。濾材の構成としては、線材を編んだものの他に、例えば金属長繊維あるいは金属粉末を焼結し形成する焼結濾材が使用でき、濾過精度,フィルターライフの点から焼結濾材が好ましい。
(v)ギアポンプ
厚み精度を向上させるためには、吐出量の変動を減少させることが重要であり、押出機出機とダイスの間にギアポンプを設けて、ギアポンプから一定量のセルロースアシレート樹脂を供給することは効果がある。ギアポンプとは、ドライブギアとドリブンギアとからなる一対のギアが互いに噛み合った状態で収容され、ドライブギアを駆動して両ギアを噛み合い回転させることにより、ハウジングに形成された吸引口から溶融状態の樹脂をキャビティ内に吸引し、同じくハウジングに形成された吐出口からその樹脂を一定量吐出するものである。押出機先端部分の樹脂圧力が若干の変動があっても、ギアポンプを用いることにより変動を吸収し、製膜装置下流の樹脂圧力の変動は非常に小さなものとなり、厚み変動が改善される。ギアポンプを用いることにより、ダイ部分の樹脂圧力の変動巾を±1%以内にすることが可能である。
ギアポンプによる定量供給性能を向上させるために、スクリューの回転数を変化させて、ギアポンプ前の圧力を一定に制御する方法も用いることができる。また、ギアポンプのギアの変動を解消した3枚以上のギアを用いた高精度ギアポンプも有効である。
ギアポンプを用いるその他のメリットとしては、スクリュー先端部の圧力を下げて製膜できることから、エネルギー消費の軽減・樹脂温上昇の防止・輸送効率の向上・押出機内での滞留時間の短縮・押出機のL/Dを短縮が期待できる。また、異物除去のために、フィルターを用いる場合には、ギアポンプが無いと、ろ圧の上昇と共に、スクリューから供給される樹脂量が変動したりすることがあるが、ギアポンプを組み合わせて用いることにより解消が可能である。一方、ギアポンプのデメリットとしては、設備の選定方法によっては、設備の長さが長くなり、樹脂の滞留時間が長くなることと、ギアポンプ部のせん断応力によって分子鎖の切断を引き起こすことがあり、注意が必要である。
樹脂が供給口から押出機に入ってからダイスから出るまでの樹脂の好ましい滞留時間は2分間〜60分間であり、より好ましくは3分間〜40分間であり、さらに好ましくは4分間〜30分間である。
ギアポンプの軸受循環用ポリマーの流れが悪くなることにより、駆動部と軸受部におけるポリマーによるシールが悪くなり、計量および送液押し出し圧力の変動が大きくなったりする問題が発生するため、透明熱可塑性樹脂の溶融粘度に合わせたギアポンプの設計(特にクリアランス)が必要である。また、場合によっては、ギアポンプの滞留部分が透明熱可塑性樹脂の劣化の原因となるため、滞留のできるだけ少ない構造が好ましい。押出機とギアポンプあるいはギアポンプとダイ等をつなぐポリマー管やアダプタについても、できるだけ滞留の少ない設計が必要であり、且つ溶融粘度の温度依存性の高い透明熱可塑性樹脂の押出圧力安定化のためには、温度の変動をできるだけ小さくすることが好ましい。一般的には、ポリマー管の加熱には設備コストの安価なバンドヒーターが用いられることが多いが、温度変動のより少ないアルミ鋳込みヒーターを用いることがより好ましい。さらに上述のように押出し機内で、押出し機のバレルを3〜20に分割したヒーターで加熱し溶融することが好ましい。
(vi)ダイ
前記の如く構成された押出機によって透明熱可塑性樹脂が溶融され、必要に応じ濾過機、ギアポンプを経由して溶融樹脂がダイに連続的に送られる。ダイはダイス内の溶融樹脂の滞留が少ない設計であれば、一般的に用いられるTダイ、フィッシュテールダイ、ハンガーコートダイの何れのタイプでも構わない。また、Tダイの直前に樹脂温度の均一性アップのためのスタティックミキサーを入れることも問題ない。Tダイ出口部分のクリアランスは一般的にフィルム厚みの1.0〜5.0倍が良く、好ましくは1.2〜3倍、さらに好ましくは1.3〜2倍である。リップクリアランスがフィルム厚みの1.0倍小さい場合には製膜により面状の良好なシートを得ることが困難である。また、リップクリアランスがフィルム厚みの5.0倍を超えて大きい場合にはシートの厚み精度が低下するため好ましくない。ダイはフィルムの厚み精度を決定する非常に重要な設備であり、厚み調整がシビアにコントロールできるものが好ましい。通常厚み調整は40〜50mm間隔で調整可能であるが、好ましくは35mm間隔以下、さらに好ましくは25mm間隔以下でフィルム厚み調整が可能なタイプが好ましい。また、製膜フィルムの均一性を向上するために、ダイの温度ムラや巾方向の流速ムラのできるだけ少ない設計が重要である。また、下流のフィルム厚みを計測して、厚み偏差を計算し、その結果をダイの厚み調整にフィードバックさせる自動厚み調整ダイも長期連続生産の厚み変動の低減に有効である。
フィルムの製造は設備コストの安い単層製膜装置が一般的に用いられるが、場合によっては機能層を外層に設けために多層製膜装置を用いて2種以上の構造を有するフィルムの製造も可能である。一般的には機能層を表層に薄く積層することが好ましいが、特に層比を限定するものではない。
(vii)キャスト
上述の方法でダイからキャスティングロール上にメルトを押出したあと、キャスティングロール上で固化する。この時、上述のように静電印加法、タッチロール法を用いるのがより好ましい。
このキャスティングロールの直ぐ後に1本以上のキャスティングロールを直列に並べ、固化したフィルムを徐冷することがより好ましい。好ましいキャスティングロールの総数は1本〜6本、より好ましくは2本〜5本である。キャスティングロールの直径は50mm〜5000mmが好ましくより好ましくは、100mm〜2000mm、さらに好ましくは150mm〜1000mmである。キャスティングロールの間隔は、面間で0.3mm〜300mmが好ましく、より好ましくは、1mm〜100mm、さらに好ましくは3mm〜30mmである。キャスティングドラムの表面温度は60℃〜160℃が好ましく、より好ましくは70℃〜150℃、さらに好ましくは80℃〜140℃である。
この後、固化したフィルムをキャスティングドラムから剥ぎ取り、ニップロールを経た後巻き取る。巻き取り速度は10m/分〜100m/分が好ましく、より好ましくは15m/分〜80m/分、さらに好ましくは20m/分〜70m/分である。
製膜幅は0.7m〜5m、さらに好ましくは1m〜4m、さらに好ましくは1.3m〜3mが好ましい。このようにして得られた未延伸フィルムの厚みは30μm〜400μmが好ましく、より好ましくは40μm〜300μm、さらに好ましくは50μm〜200μmである。
(viii)トリミング
キャスティングロールの後で少なくとも片端をスリット(トリミング)する。トリミングはロータリーカッター、シャー刃、ナイフ等何れのタイプの物を用いても構わない。材質についても、炭素鋼、ステンレス鋼何れを用いても構わない。一般的には、超硬刃、セラミック刃を用いると刃物の寿命が長く、また切り粉の発生が抑えられて好ましい。トリミング幅は、各々膳幅の1%〜20%が好ましく、より好ましくは2%〜15%、さらに好ましくは3%〜12%である。トリミングで切り落とした部分は上述のように直ちに破砕し再使用セルロースアシレートにすることが好ましい。
(ix)巻き取り
巻き取り前に、片端あるいは両端に厚みだし加工(ナーリング処理)を行うことも好ましい。厚みだし加工による凹凸の高さは1μm〜200μmが好ましく、より好ましくは10μm〜150μm、さらに好ましくは20μm〜100μmである。厚みだし加工は両面に凸になるようにしても、片面に凸になるようにしても構わない。厚みだし加工の幅は1mm〜50mmが好ましく、より好ましくは3mm〜30mm、さらに好ましくは5mm〜20mmである。押出し加工は室温〜300℃で実施できる。
また、巻き取り前に、少なくとも片面にラミフィルムを付けることも、傷防止の観点から好ましい。ラミフィルムの厚みは5μm〜200μmが好ましく10μm〜150μmが好ましく、15μm〜100μmが好ましい。材質はポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン等、特に限定されない。
これらの後巻き取るが、好ましい巻き取り張力は1kg/m幅〜50kg/幅、より好ましくは2kg/m幅〜40kg/幅、さらに好ましくは3kg/m幅〜20kg/幅である。巻き取り張力が1kg/m幅より小さい場合には、フィルムを均一に巻き取ることが困難である。逆に、巻き取り張力が50kg/幅を超える場合には、フィルムが堅巻きになってしまい、巻き外観が悪化するのみでなく、フィルムのコブの部分がクリープ現象により延びてフィルムの波うちの原因になったり、あるいはフィルムの伸びによる残留複屈折が生じるため好ましくない。巻き取り張力は、ラインの途中のテンションコントロールにより検知し、一定の巻き取り張力になるようにコントロールされながら巻き取ることが好ましい。製膜ラインの場所により、フィルム温度に差がある場合には熱膨張により、フィルムの長さが僅かに異なる場合があるため、ニップロール間のドロー比率を調整し、ライン途中でフィルムに規定以上の張力がかからない様にすることが必要である。
巻き取り張力はテンションコントロールの制御により、一定張力で巻き取ることもできるが、巻き取った直径に応じてテーパーをつけ、適正な巻き取り張力にすることがより好ましい。一般的には巻き径が大きくなるにつれて張力を少しずつ小さくするが、場合によっては、巻き径が大きくなるにしたがって張力を大きくする方が好ましい場合もある。
《延伸》
上述のように製膜したセルロースアシレートフィルムを、縦延伸、横延伸することも好ましい。縦延伸、横延伸はいずれか一方でも良く、両方実施しても良い。また縦延伸、横延伸は各々1回で行っても良く、複数回に亘って実施しても良く、同時に縦、横に延伸しても良い。
ここで云う延伸倍率は、以下の式を用いて求めたものである。
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/(延伸前の長さ)
このような延伸は出口側の周速を速くした2対以上のニップロールを用いて、長手方向に延伸してもよく(縦延伸)、フィルムの両端をチャックで把持しこれを直交方向(長手方向と直角方向)に広げてもよい(横延伸)。また、特開2000−37772号公報、特開2001−113591号公報、特開2002−103445号公報に記載の同時2軸延伸法を用いてもよい。
具体的には下記のような延伸法を用いるのが好ましい。
(1)縦延伸
縦延伸は、2対のニップロールを設置し、この間を加熱しながら出口側のニップロールの周速を入口側のニップロールの周速より速くすることで達成できる。この際、ニップロール間の間隔(L)と延伸前のフィルム幅(W)を変えることで厚み方向のレターデーション(Rth)の発現性を変えることができる。L/W(縦横比と称する)が2を超え50以下(長スパン延伸)ではRthを小さくでき、縦横比が0.01〜0.3(短スパン延伸)ではRthを大きくできる。これらを目的(Rthの目標値)に応じて適宜使用する。以下に詳細を説明する。
(1−1)長スパン延伸
延伸に伴いフィルムは伸張されるが、この時フィルムは体積変化を小さくしようと厚み、幅を減少させる。このときニップロールとフィルム間の摩擦により幅方向の収縮が制限される。このためニップロール間隔を大きくすると幅方向に収縮しやすくなり厚み減少を抑制できる。厚み減少が大きいとフィルムが厚み方向に圧縮されたことと同じ効果があり、フィルム面内に分子配向が進みRthが大きくなり易い。縦横比が大きく厚み減少が少ないとこの逆でRthは発現し難く低いRthを実現できる。
さらに縦横比が長いと幅方向の均一性を向上することができる。これは以下の理由による。
・縦延伸に伴いフィルムは幅方向に収縮しようとする。幅方向中央部では、その両側も幅方向に収縮しようとするため、綱引き状態となり自由に収縮できない。
・一方、フィルム幅方向端部は片側としか綱引き状態とならず、比較的自由に収縮できる。
・この両端と中央部の延伸に伴う収縮挙動の差が幅方向の延伸ムラとなる。
このような両端と中央部の不均一性により、幅方向のレターデーションむら、軸ズレ(遅相軸の配向角分布)が発生する。これに対し、長スパン延伸は長い2本のニップロール間でゆっくり延伸されるため、延伸中にこれらの不均一性の均一化(分子配向が均一になる)が進行する。これに対し、通常の縦延伸(縦横比=0.3を超え2未満)では、このような均一化は発生しない。
縦横比は、2を越え50以下が好ましく、3〜40がより好ましく、4〜20がさらに好ましい。延伸温度は、好ましくは(Tg−5℃)〜(Tg+100)℃であり、より好ましくは(Tg)〜(Tg+50)℃であり、さらに好ましくは(Tg+5)〜(Tg+30)℃である。延伸倍率は、好ましくは1.05〜3倍であり、より好ましくは1.05〜1.7倍であり、さらに好ましくは1.05〜1.4倍である。このような長スパン延伸は3対以上ニップロールで多段延伸しても良く、多段のうち最も長い縦横比が上記範囲に入っていればよい。
このような長スパン延伸は所定の距離離した2対のニップロールの間でフィルムを加熱して延伸すればよく、加熱方法はヒーター加熱法(赤外線ヒーター、ハロゲンヒーター、パネルヒーター等をフィルム上や下に設置し輻射熱で加熱)でも良く、ゾーン加熱法(熱風等を吹き込み所定の温度に調温したゾーン内で加熱)でもよい。本発明では延伸温度の均一性の観点からゾーン加熱法が好ましい。この時、ニップロールは延伸ゾーン内に設置してもよく、ゾーンの外に出してもよいが、フィルムとニップロールの粘着を防止するためにはゾーンの外に出すのが好ましい。このような延伸の前にフィルムを予熱することも好ましく、この場合の予熱温度は、(Tg−80℃)〜(Tg+100℃)が好ましい。
このような延伸により、Re値が、好ましくは0〜200nmの、より好ましくは10〜200nmの、さらに好ましくは15nm〜100nmのフィルムが得られる。また、このような延伸により、Rth値が、好ましくは30〜500nmの、より好ましくは50〜400nmの、さらに好ましくは70〜350nmのフィルムが得られる。この延伸法により、RthとReの比(Rth/Re)を、例えば、0.4〜0.6、好ましくは0.45〜0.55とすることができる。さらに、このような延伸により、Re値およびRth値の変動がいずれも、例えば5%以下、好ましくは4%以下、より好ましくは3%以下にすることができる。
このような延伸により、延伸前後のフィルム幅の比(延伸後のフィルム幅/延伸前のフィルム幅)は、例えば0.5〜0.9、好ましくは0.6〜0.85、より好ましくは0.65〜0.83とすることができる。
(1−2)短スパン延伸
縦横比(L/W)を、例えば、0.01を越え0.3未満、好ましくは0.03〜0.25、より好ましくは0.05〜0.2で縦延伸(短スパン延伸)を行う。このような範囲の縦横比(L/W)で延伸を行うことで、ネックイン(延伸に伴う延伸と直行する方向の収縮)を小さくすることができる。延伸方向の伸張を補うため幅、厚みが減少するが、このような短スパン延伸では幅収縮が抑制され厚み減少が優先的に進む。この結果、厚み方向に圧縮されたようになり、厚み方向の配向(面配向)が進む。この結果、厚み方向の異方性の尺度であるRth値が増大し易い。一方、従来は縦横比(L/W)が1前後(0.7〜1.5)で行われるのが一般的であった。これは、通常ニップロール間に加熱用ヒーターを設置して延伸するが、L/Wが大きくなりすぎるとヒーターでフィルムを均一に加熱できず、延伸むらが発生し易く、L/Wが小さすぎるとヒーターが設置しにくく加熱が十分に行えないためである。
上述の短スパン延伸は、2対以上のニップロール間で搬送速度を変えることにより実施できるが、通常のロール配置と異なり、2対のニップロールを斜めに(前後のニップロールの回転軸を上下にずらす)配置することで達成できる。
これに伴いニップロール間に加熱用ヒーターは設置できないため、ニップロール中に熱媒を流しフィルムを昇温することが好ましい。さらに、入口側ニップロールの前に内部に熱媒を流した予熱ロールを設け、フィルムを延伸前に加熱することも好ましい。延伸温度は、好ましくは、(Tg-5℃)〜(Tg+100)℃、より好ましくは(Tg)〜(Tg+50)℃、さらに好ましくは(Tg+5)〜(Tg+30)℃であり、好ましい予熱温度はTg−80℃〜Tg+100℃である。
ここで、長スパン延伸および短スパン延伸ついて詳細に説明する。
図1は、長スパン延伸を行う場合の、熱可塑性フィルムを溶融製膜で製造する場合のフィルム製造装置10の構成概略図である。
フィルム製造装置10は、液晶表示装置等に使用できる熱可塑性フィルムFを製造する装置である。熱可塑性フィルムFの原材料であるペレット状のセルロースアシレート樹脂またはシクロオレフィン樹脂を乾燥機12に導入して乾燥させた後、このペレットを押出機14によって押し出し、ギアポンプ16によりフィルタ18に供給する。次いで、フィルタ18により異物が濾過され、ダイ20から押し出される。その後、キャスティングドラム28とタッチロール24で挟まれ、キャスティングドラム28とロール26の間を通過して固化し、所定の表面粗さの未延伸フィルムFaが形成される。そして、この未延伸フィルムFaが長スパン延伸を行う縦延伸部30に供給される。
縦延伸部30では、未延伸フィルムFaが入口側ニップロール32及び出口側ニップローラ34間で搬送方向に延伸され、縦延伸フィルムFbとされる。なお、図2は、縦延伸部30の斜視説明図であり、縦延伸の縦/横比(L/W)は、入口側ニップロール32及び出口側ニップローラ34間の距離Lと、入口側ニップロール32及び出口側ニップローラ34の長さ方向の幅Wとによって規定される。次いで、縦延伸フィルムFbは、予熱部36を通過することで所定の予熱温度に調整された後、横延伸部42に供給される。
横延伸部42では、縦延伸フィルムFbが搬送方向と直交する幅方向に延伸され、横延伸フィルムFcとされる。そして、横延伸フィルムFcは、熱固定部44に供給され、巻取部46によって巻き取られることで、配向角、レターデーションが調整された最終製品である熱可塑性フィルムFが製造される。なお、横延伸フィルムFcには熱固定部44を通過した後、さらに熱緩和処理を施してもよい。
一方、図3は、図1および図2に示す長スパン延伸を行う縦延伸部30に代えて、短スパン延伸を行う縦延伸部30aとしたフィルム製造装置10aの概略構成図である。
このフィルム製造装置10aでは、未延伸フィルムFaが予熱ロール33、35によって所定の温度まで予熱された後、二組のニップロール37、39間に供給されて縦延伸が行われる。この場合、ニップロール37、39は、未延伸フィルムFaの搬送方向に近接して配置されるとともに、上下方向に所定距離だけ高さが異なるように配置されている。ニップロール37、39をこのように配置することにより、縦延伸部30aにおける未延伸フィルムFaの搬送距離を確保できるとともに、縦延伸部30aの前後に配置される機構間の距離を短縮して、フィルム製造装置10aの小型化を図ることができる。
なお、図4は、縦延伸部30aの斜視説明図であり、縦延伸の縦/横比(L/W)は、ニップロール37、39によってニップされる未延伸フィルムFaの搬送方向の距離Lと、ニップロール37、39の長さ方向の幅Wとによって規定される。
(2)横延伸
縦延伸と横延伸を組み合わせることで、ReおよびRthを調整できる。縦延伸および横いずれか1軸延伸のみでもよいが、両方向の延伸を組み合わせることにより、延伸方向の配向が進みReの絶対値が増加し過ぎるのを調整しやすい。また、縦延伸と横延伸を組み合わせることで縦方向の配向と横方向の配向が相殺されReを小さくできる利点もある。さらに、縦および横の両方向に伸張されるため、厚み減少が大きくなり面配向が進みRthを大きくすることができる。
縦延伸および横延伸は、どちらを先に実施してもよく、同時に延伸しても良いが、より好ましいのは縦延伸後に横延伸を行う方法である。これにより設備をコンパクトにすることができる。縦延伸および横延伸は各々独立に実施しても、連続して実施しても良いが、連続して実施することがより好ましい。
横延伸は、例えば、テンターを用い実施することができる。即ちフィルムの幅方向の両端部をクリップで把持し、横方向に拡幅することで延伸する。この時、テンター内に所望の温度の風を送ることで延伸温度を制御できる。延伸温度は、(Tg−10)℃〜(Tg+60)℃が好ましく、(Tg−5)℃〜(Tg+45)℃がより好ましく、(Tg)〜(Tg+30)℃がさらに好ましい。好ましい延伸倍率は1.01倍〜4倍、より好ましく1.03倍〜3.5倍、さらに好ましくは1.05倍〜2.5倍である。横延伸と縦延伸の倍率比(横延伸倍率/縦延伸倍率)は、1.1〜100若しくは0.9〜0.01が好ましく、より好ましく2〜60若しくは0.5〜0.017、さらに好ましくは4〜40若しくは0.25〜0.025である。
このような延伸の前に予熱、および、延伸の後に熱処理を行うことができる。このような手段を採用することにより、延伸後のReおよびRth分布を小さくし、ボーイングに伴う配向角のばらつきを小さくできる。予熱および熱処理はどちらか一方であってもよいが、両方行うのがより好ましい。これらの予熱、熱処理はクリップで把持して行うのが好ましく、即ち延伸と連続して行うのが好ましい。
予熱は、延伸温度より、好ましくは1℃〜50℃、より好ましく2℃〜40℃、さらに好ましくは3℃〜30℃高くする。予熱時間は、好ましくは1秒〜10分であり、より好ましくは5秒〜4分であり、さらに好ましくは10秒〜2分である。
熱処理は、延伸温度より、好ましくは1℃〜50℃、より好ましく2℃〜40℃、さらに好ましくは3℃〜30℃低くする。さらに好ましくは延伸温度以下かつTg以下にするのが好ましい。予熱時間は、好ましくは1秒〜10分であり、より好ましくは5秒〜4分であり、さらに好ましくは10秒〜2分である。
このような予熱、熱処理により配向角やReおよびRthのバラツキを小さくできるのは下記理由による。
・フィルムは幅方向に延伸され、直行方向(長手方向)に細くなろうとする(ネックイン)。
・このため横延伸前後のフィルムが引っ張られ応力が発生する。しかし幅方向両端はチャックで固定されており応力により変形を受けにくく、幅方向の中央部は変形を受け易い。この結果、ネックインによる応力は弓(bow)状に変形しボーイングが発生する。これにより面内のReおよびRthむらや配向軸の分布が発生する。
・これを抑制するために、予熱側(延伸前)の温度を高くし、熱処理(延伸後)の温度を低くすると、ネックインはより弾性率の低い高温側(予熱)で発生し、熱処理(延伸後)では発生しにくくなる。即ち、熱固定を行わない場合には、図5に示すように、横延伸後のフィルムFの横延伸ゾーン出口付近で、搬送方向上流側に凹なボーイングが発生するが、本発明では、横延伸部42の直後の熱固定部44において熱固定を行うことで、図6に示すように、搬送方向上流側に凹なボーイングの発生が抑制できる。また、横延伸で上流側(予熱部)、下流側(熱固定部)がネックインしボーイングが発生するが、横延伸部42の直前の予熱部36において予熱を行った場合には、入口側のフィルムの弾性率が低下し、横延伸によるネックインを受けやすくなり、この分、横延伸出口部でのネックインが発生し難くなる。この結果、横延伸部42の出口付近で搬送方向上流側に凹なボーイングが発生し難くなる。この結果、延伸後のボーイングを抑制できる。
このような延伸によりさらに、Re、Rthの幅方向、長手方向の場所による変動をいずれも好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下にする。さらに、配向角を90°±5°以下または0°±5°以下とすることが好ましく、90°±3°以下または0°±3°以下とすることがより好ましく、90°±1°以下または0°±1°以下とすることがさらに好ましい。
(3)緩和
さらにこれらの延伸の後に緩和処理を行うことで寸法安定性を改良できる。熱緩和は縦延伸後、横延伸後のいずれか、あるいは両方で行うことが好ましく、より好ましく横延伸後である。緩和処理は延伸後に連続してオンラインで行ってもよく、延伸後巻き取った後、オフラインで行ってもよい。
熱緩和は、好ましくは(Tg−50)℃〜(Tg+30)℃、より好ましく(Tg−30)℃〜(Tg+20)℃、さらに好ましくは(Tg−15)℃〜(Tg+10)℃で、好ましくは1秒〜10分、より好ましくは5秒〜4分、さらに好ましくは10秒〜2分、好ましくは0.1kg/m〜20kg/m、より好ましく1kg/m〜16kg/m、さらに好ましくは2kg/m〜12kg/mの張力で搬送しながら実施する。
このような緩和処理を行うと延伸中に発生した内部歪を緩和し、この結果フィルムを打ち抜いた際に発生するひび割れや、これにより発生した裁断屑に起因する画像のボケを効果的に抑制でき、本発明の製造方法と組み合わせることで相乗的な効果をもたらす。
このようにして延伸したセルロースアシレートフィルムのRe、Rthは下式を満足することが好ましい。
400≧Re≧0
300≧Rth≧0
より好ましくは
Rth≧Re×1.1
120≧Re≧10
280≧Rth≧50
さらに好ましくは
Rth≧Re×1.2
100≧Re≧20
260≧Rth≧100
また製膜方向(長手方向)と、フィルムのReの遅相軸とのなす角度θが0°、+90°もしくは−90°に近いほど好ましい。即ち、縦延伸の場合は0°に近いほど好ましく、0±3°が好ましく、より好ましくは0±2°、さらに好ましくは0±1°である。横延伸の場合は、90±3°あるいは−90±3°が好ましく、より好ましくは90±2°あるいは−90±2°、さらに好ましくは90±1°あるいは−90±1°である。
延伸後のセルロースアシレートフィルムの厚みはいずれも15μm〜200μmが好ましく、より好ましくは30μm〜170μm、さらに好ましくは40μm〜140μmである。厚みムラは長手方向、幅方向いずれも0%〜3%が好ましく、より好ましくは0%〜2%、さらに好ましくは0%〜1%である。
本明細書において、Re、Rthは各々、波長590nmにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。ReはKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において、特に断りがない限り波長590nmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが一軸または二軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRthは算出される。
Rthは前記Reを、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から−50°から+50°まで10°ステップで各々その傾斜した方向から波長590nmの光を入射させて全部で11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率および入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
また、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率および入力された膜厚値を基に、以下の式(b)および式(c)よりRthを算出することもできる。
Figure 2008037091
[式中、Re(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレタ−デーション値をあらわす。また、nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnxおよびnyに直交する方向の屈折率を表す。]
式(c): Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
測定されるフィルムが一軸や二軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRthは算出される。
Rthは前記Reを、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長590nmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率および入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
これら平均屈折率と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)がさらに算出される。
《セルロースアシレートフィルムの加工》
このようにして得た透明熱可塑性フィルム単独で使用してもよく、これらと偏光板と組み合わせて使用してもよく、これらの上に液晶層や屈折率を制御した層(低反射層)やハードコート層を設けて使用しても良い。これらは以下の工程により達成できる。
(1)表面処理
表面処理を行うことによって、各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上させることができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいう「グロー放電処理」とは、プラズマ励起性気体存在下でフィルム表面にプラズマ処理を施す処理である。
前記グロー放電処理とは、10-3〜20Torr(0.13〜2700Pa)の低圧ガス下でおこる低温プラズマ処理を含む。また、大気圧下でのプラズマ処理も好ましいグロー放電処理である。前記プラズマ励起性気体とは前記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類およびそれらの混合物などが挙げられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)30頁〜32頁に詳細に記載されている。なお、近年注目されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1000keV下で20〜500kGyの照射エネルギーが用いられ、より好ましくは30〜500keV下で20〜300kGyの照射エネルギーが用いられる。
これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理である。
アルカリ鹸化処理は、鹸化液に浸漬しても良く(浸漬法)、鹸化液を塗布しても良い(塗布法)。浸漬法の場合は、NaOHやKOH等のpH10〜14の水溶液を20℃〜80℃に加温した槽を0.1分から10分通過させたあと、中和、水洗、乾燥することで達成できる。
塗布方法の場合、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法およびE型塗布法を用いることができる。アルカリ鹸化処理塗布液の溶媒は、鹸化液の透明支持体に対して塗布するために濡れ性が良く、また鹸化液溶媒によって透明支持体表面に凹凸を形成させずに、面状を良好なまま保つ溶媒を選択することが好ましい。具体的には、アルコール系溶媒が好ましく、イソプロピルアルコールが特に好ましい。また、界面活性剤の水溶液を溶媒として使用することもできる。アルカリ鹸化塗布液のアルカリは、前記溶媒に溶解するアルカリが好ましく、KOH、NaOHがさらに好ましい。鹸化塗布液のpHは10以上が好ましく、12以上がさらに好ましい。アルカリ鹸化時の反応条件は、室温で1秒間〜5分間が好ましく、5秒間〜5分間がさらに好ましく、20秒間〜3分間が特に好ましい。アルカリ鹸化反応後、鹸化液塗布面を水洗あるいは酸で洗浄したあと水洗することが好ましい。また、塗布式鹸化処理と後述の配向膜解塗設を、連続して行うことができ、工程数を減少できる。これらの鹸化方法は、具体的には、例えば、特開2002−82226号公報、国際公開第02/46809号パンフレットに内容の記載が挙げられる。
機能層との接着のため下塗り層を設けることも好ましい。この層は前記表面処理をした後、塗設しても良く、表面処理なしで塗設しても良い。下塗層についての詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)32頁に記載されている。
これらの表面処理、下塗り工程は、製膜工程の最後に組み込むこともでき、単独で実施することもでき、後述の機能層付与工程の中で実施することもできる。
(2)機能層の付与
本発明の透明熱可塑性フィルムに、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)32頁〜45頁に詳細に記載されている機能性層を組み合わせることが好ましい。中でも好ましいのが、偏光膜の付与(偏光板)、光学補償層の付与(光学補償シート)、反射防止層の付与(反射防止フィルム)である。
(イ)偏光膜の付与(偏光板の作製)
本発明の偏光板は、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いたことを特徴とする。本発明の偏光板には、本発明のセルロースアシレートフィルムを少なくとも2層以上積層したものであってもよい。
(イ−1)使用素材
現在、市販の偏光膜は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素を浸透させることで作製されるのが一般的である。偏光膜は、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光膜も利用できる。偏光膜におけるヨウ素および二色性色素は、バインダー中で配向することで偏光性能を発現する。二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素あるいはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例えば、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。例えば、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)に記載の化合物が挙げられる。
偏光膜のバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができ、これらの組み合わせを複数使用することができる。バインダーには、例えば特開平8−338913号公報段落番号[0022]記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例えば、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。重合度が異なるポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールを2種類併用することが特に好ましい。ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がさらに好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5000であることが好ましい。変性ポリビニルアルコールについては、特開平8−338913号公報、同9−152509号公報および同9−316127号公報に記載がある。ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールは、二種以上を併用してもよい。
偏光膜のバインダー厚みの下限は、10μmであることが好ましい。厚みの上限は、液晶表示装置の光漏れの観点からは、薄ければ薄い程よい。現在市販の偏光板(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下がさらに好ましく、20μm以下が特に好ましい。
偏光膜のバインダーは架橋していてもよい。架橋性の官能基を有するポリマー、モノマーをバインダー中に混合しても良く、バインダーポリマー自身に架橋性官能基を付与しても良い。架橋は、光、熱あるいはpH変化により行うことができ、架橋構造をもったバインダーを形成することができる。架橋剤については、米国再発行特許第23297号明細書に記載がある。また、ホウ素化合物(例えば、ホウ酸、硼砂)も、架橋剤として用いることができる。バインダーの架橋剤の添加量は、バインダーに対して、0.1〜20質量%が好ましい。偏光素子の配向性、偏光膜の耐湿熱性が良好となる。
架橋反応が終了後でも、未反応の架橋剤は1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このようにすることで、耐候性が向上する。
(イ−2)偏光膜の延伸
偏光膜は、偏光膜を延伸するか(延伸法)、もしくはラビングした(ラビング法)後に、ヨウ素、二色性染料で染色することが好ましい。
延伸法の場合、延伸倍率は2.5〜30.0倍が好ましく、3.0〜10.0倍がさらに好ましい。延伸は、空気中でのドライ延伸で実施できる。また、水に浸漬した状態でのウェット延伸を実施してもよい。ドライ延伸の延伸倍率は、2.5〜5.0倍が好ましく、ウェット延伸の延伸倍率は、3.0〜10.0倍が好ましい。延伸は、1回で行っても、数回に分けて行ってもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。
延伸に先立ち、PVAフィルムを膨潤させる。膨潤度は1.2〜2.0倍(膨潤前と膨潤後との質量比)である。この後、ガイドロール等を介して連続搬送しつつ、水系媒体浴内や二色性物質溶解の染色浴内で、15〜50℃、就中17〜40℃の浴温で延伸する。延伸は2対のニップロールで把持し、後段のニップロールの搬送速度を前段のそれより大きくすることで達成できる。延伸倍率は、延伸後/初期状態の長さ比(以下同じ)に基づくが前記作用効果の点より好ましい延伸倍率は1.2〜3.5倍、就中1.5〜3.0倍である。この後、50℃から90℃において乾燥させて偏光膜を得る。
(イ−3)貼り合せ
前記表面処理後のセルロースアシレートフィルムと、延伸して調製した偏光膜を貼り合わせ偏光板を調製する。張り合わせる方向は、透明熱可塑性フィルムの流延軸方向と偏光板との延伸軸方向が45°になるように行うのが好ましい。
貼り合わせの接着剤は特に限定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等の変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げられ、中でもPVA系樹脂が好ましい。接着剤層厚みは乾燥後に0.01〜10μmが好ましく、0.05〜5μmが特に好ましい。
このようにして得た偏光板の光線透過率は高い方が好ましく、偏光度も高い方が好ましい。偏光板の透過率は、波長550nmの光において、30〜50%の範囲にあることが好ましく、35〜50%の範囲にあることがさらに好ましく、40〜50%の範囲にあることが最も好ましい。偏光度は、波長550nmの光において、90〜100%の範囲にあることが好ましく、95〜100%の範囲にあることがさらに好ましく、99〜100%の範囲にあることが最も好ましい。
さらに、このようにして得た偏光板はλ/4板と積層し、円偏光を作製することができる。この場合λ/4の遅相軸と偏光板との吸収軸を45°になるように積層する。この時、λ/4は特に限定されないが、より好ましくは低波長ほどレターデーションが小さくなるような波長依存性を有するものがより好ましい。さらには長手方向に対し20°〜70°傾いた吸収軸を有する偏光膜、および液晶性化合物からなる光学異方性層からなるλ/4板を用いることが好ましい。
(ロ)光学補償層の付与(光学補償シートの作製)
本発明の光学補償フィルムは、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いたことを特徴とする。本発明の光学補償フィルムは、例えば本発明のセルロースアシレートフィルムを基材に用い、その基材上に光学異方性層を有するものを好ましい例として挙げることができる。
前記光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶化合物を補償するためのものであり、透明熱可塑性フィルムの上に配向膜を形成し、さらに光学異方性層を付与することで形成される。
(ロ−1)配向膜
前記表面処理した透明熱可塑性フィルム上に配向膜を設ける。この膜は、液晶性分子の配向方向を規定する機能を有する。しかし、液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、本発明の構成要素としては必ずしも必須のものではない。即ち、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを偏光子上に転写して本発明の偏光板を作製することも可能である。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。配向膜に使用するポリマーは、原則として、液晶性分子を配向させる機能のある分子構造を有する。
本発明では、液晶性分子を配向させる機能に加えて、架橋性官能基(例えば、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性分子を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができし、これらの組み合わせを複数使用することができる。ポリマーの例には、例えば特開平8−338913号公報段落番号[0022]記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例えば、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。重合度が異なるポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールを2種類併用することが特に好ましい。ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がさらに好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5000であることが好ましい。
液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖は、一般に疎水性基を官能基として有する。具体的な官能基の種類は、液晶性分子の種類および必要とする配向状態に応じて決定する。例えば、変性ポリビニルアルコールの変性基としては、共重合変性、連鎖移動変性またはブロック重合変性により導入できる。変性基の例には、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオール基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば特開2000−155216号公報段落番号[0022]〜[0145]、同2002−62426号公報段落番号[0018]〜[0022]に記載のもの等が挙げられる。
架橋性官能基を有する側鎖を配向膜ポリマーの主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖に架橋性官能基を導入すると、配向膜のポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを共重合させることができる。その結果、多官能モノマーと多官能モノマーとの間だけではなく、配向膜ポリマーと配向膜ポリマーとの間、そして多官能モノマーと配向膜ポリマーとの間も共有結合で強固に結合される。従って、架橋性官能基を配向膜ポリマーに導入することで、光学補償シートの強度を著しく改善することができる。
配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000−155216号公報段落番号[0080]〜[0100]記載のもの等が挙げられる。配向膜ポリマーは、前記の架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させることもできる。
架橋剤としては、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾールおよびジアルデヒド澱粉が含まれる。二種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報段落番号[0023]〜[0024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このように調節することで、配向膜を液晶表示装置に長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られる。
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である前記ポリマー、架橋剤を含む透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行って良い。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例えば、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で水:メタノールが0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、さらには光学異方層の層表面の欠陥が著しく減少する。
配向膜の塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法またはロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1〜10μmが好ましい。加熱乾燥は、20℃〜110℃で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、特に80℃〜100℃が好ましい。乾燥時間は1分間〜36時間で行なうことができるが、好ましくは1分間〜30分間である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、pH4.5〜5.5で、特に5が好ましい。
配向膜は、透明支持体(セルロースアシレートフィルム)上または前記下塗層上に設けることができる。配向膜は、前記のようにポリマー層を架橋したのち、表面をラビング処理することにより得ることができる。
前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
工業的に実施する場合、搬送している偏光膜のついたフィルムに対し、回転するラビングロールを接触させることで達成するが、ラビングロールの真円度、円筒度、振れ(偏芯)はいずれも30μm以下であることが好ましい。ラビングロールへのフィルムのラップ角度は、0.1〜90°が好ましい。ただし、特開平8−160430号公報に記載されているように、360°以上巻き付けることで、安定なラビング処理を得ることもできる。フィルムの搬送速度は1〜100m/minが好ましい。ラビング角は0〜60°の範囲で適切なラビング角度を選択することが好ましい。液晶表示装置に使用する場合は、40〜50°が好ましい。45°が特に好ましい。
このようにして得た配向膜の膜厚は、0.1〜10μmの範囲にあることが好ましい。
次に、配向膜の上に光学異方性層の液晶性分子を配向させる。その後、必要に応じて、配向膜ポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、あるいは、架橋剤を用いて配向膜ポリマーを架橋させる。
光学異方性層に用いる液晶性分子には、棒状液晶性分子および円盤状液晶性分子が含まれる。棒状液晶性分子および円盤状液晶性分子は、高分子液晶でも低分子液晶でもよく、さらに、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。
(ロ−2)棒状液晶性分子
棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
なお、棒状液晶性分子には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶性分子を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、棒状液晶性分子として用いることができる。言い換えると、棒状液晶性分子は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。
棒状液晶性分子については、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
棒状液晶性分子の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。
棒状液晶性分子は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、ラジカル重合性不飽基或はカチオン重合性基が好ましく、具体的には、例えば特開2002−62427号公報段落番号[0064]〜[0086]記載の重合性基、重合性液晶化合物が挙げられる。
(ロ−3)円盤状液晶性分子
円盤状(ディスコティック)液晶性分子には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体およびJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
円盤状液晶性分子としては、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造である液晶性を示す化合物も含まれる。分子または分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。円盤状液晶性分子から形成する光学異方性層は、最終的に光学異方性層に含まれる化合物が円盤状液晶性分子である必要はなく、例えば、低分子の円盤状液晶性分子が熱や光で反応する基を有しており、結果的に熱、光で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失った化合物も含まれる。円盤状液晶性分子の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、円盤状液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
円盤状液晶性分子を重合により固定するためには、円盤状液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。円盤状コアと重合性基は、連結基を介して結合する化合物が好ましく、これにより重合反応においても配向状態を保つことができる。例えば、特開2000−155216号公報段落番号[0151]〜[0168]記載の化合物等が挙げられる。
ハイブリッド配向では、円盤状液晶性分子の長軸(円盤面)と偏光膜の面との角度が、光学異方性層の深さ方向でかつ偏光膜の面からの距離の増加と共に増加または減少している。角度は、距離の増加と共に減少することが好ましい。さらに、角度の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、あるいは、増加および減少を含む間欠的変化が可能である。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。角度は、角度が変化しない領域を含んでいても、全体として増加または減少していればよい。さらに、角度は連続的に変化することが好ましい。
偏光膜側の円盤状液晶性分子の長軸の平均方向は、一般に円盤状液晶性分子あるいは配向膜の材料を選択することにより、またはラビング処理方法の選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)の円盤状液晶性分子の長軸(円盤面)方向は、一般に円盤状液晶性分子あるいは円盤状液晶性分子と共に使用する添加剤の種類を選択することにより調整することができる。円盤状液晶性分子と共に使用する添加剤の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマーおよびポリマーなどを挙げることができる。長軸の配向方向の変化の程度も、前記と同様に、液晶性分子と添加剤との選択により調整できる。
(ロ−4)光学異方性層の他の組成物
前記の液晶性分子と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶分子の配向性等を向上することができる。液晶性分子との相溶性を有し、液晶性分子の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないことが好ましい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性若しくはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、前記の重合性基含有の液晶化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報段落番号[0018]〜[0020]記載のものが挙げられる。前記化合物の添加量は、円盤状液晶性分子に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報段落番号[0028]〜[0056]記載の化合物が挙げられる。
円盤状液晶性分子とともに使用するポリマーは、円盤状液晶性分子に傾斜角の変化を与えられることが好ましい。
ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、特開2000−155216号公報段落番号[0178]記載のものが挙げられる。液晶性分子の配向を阻害しないように、前記ポリマーの添加量は、液晶性分子に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましい。
円盤状液晶性分子のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃がさらに好ましい。
(ロ−5)光学異方性層の形成
光学異方性層は、液晶性分子および必要に応じて後述の重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成できる。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例えば、ピリジン)、炭化水素(例えば、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例えば、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがさらに好ましく、1〜10μmであることが最も好ましい。
(ロ−6)液晶性分子の配向状態の固定
配向させた液晶性分子を、配向状態を維持して固定することができる。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2,367,661号明細書、同第2,367,670号明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2,448,828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2,722,512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3,046,127号明細書、同第2,951,758号明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3,549,367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4,239,850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4,212,970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2の範囲にあることが好ましく、20〜5000mJ/cm2の範囲にあることがより好ましく、100〜800mJ/cm2の範囲にあることがさらに好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
保護層を、光学異方性層の上に設けてもよい。
この光学補償フィルムと偏光膜とを組み合わせることも好ましい。具体的には、前記のような光学異方性層用塗布液を偏光膜の表面に塗布することにより光学異方性層を形成する。その結果、偏光膜と光学異方性層との間にポリマーフイルムを使用することなく、偏光膜の寸度変化にともなう応力(歪み×断面積×弾性率)が小さい薄い偏光板が作製される。本発明に従う偏光板を大型の液晶表示装置に取り付けると、光漏れなどの問題を生じることなく、表示品位の高い画像を表示することができる。
偏光膜と光学補償層との傾斜角度は、LCDを構成する液晶セルの両側に貼り合わされる2枚の偏光板の透過軸と液晶セルの縦または横方向のなす角度にあわせるように延伸することが好ましい。通常の傾斜角度は45°である。しかし、最近は、透過型、反射型および半透過型LCDにおいて必ずしも45°でない装置が開発されており、延伸方向はLCDの設計にあわせて任意に調整できることが好ましい。
(ハ)反射防止層の付与(反射防止フィルム)
本発明の反射防止フィルムは、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いたことを特徴とする。本発明の反射防止フィルムとして、本発明のセルロースアシレートフィルムを基材に用い、その基材上に反射防止層を有するものを好ましい例として挙げることができる。
反射防止層は、一般に、防汚性層でもある低屈折率層、および低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)とを本発明のセルロースアシレートフィルム上に設けてなる。
屈折率の異なる無機化合物(金属酸化物等)の透明薄膜を積層させた多層膜として、化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、金属アルコキシド等の金属化合物のゾルゲル方法でコロイド状金属酸化物粒子皮膜を形成後に後処理(紫外線照射:特開平9−157855号公報、プラズマ処理:特開2002−327310号公報)して薄膜を形成する方法が挙げられる。
一方、生産性が高い反射防止層として、無機粒子をマトリックスに分散されてなる薄膜を積層塗布してなる反射防止膜が各種提案されている。
上述したような塗布による反射防止フィルムに最上層表面が微細な凹凸の形状を有する防眩性を付与した反射防止層からなる反射防止フィルムも挙げられる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは前記いずれの方式にも適用できるが、特に好ましいのが塗布による方式(塗布型)である。
(ハ−1)塗布型反射防止フィルムの層構成
基体上に少なくとも中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順序の層構成からなる反射防止層は、以下の関係を満足する屈折率を有する様に設計される。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
また、透明支持体(セルロースアシレートフィルム)と中屈折率層の間に、ハードコート層を設けてもよい。さらには、中屈折率ハードコート層、高屈折率層および低屈折率層からなってもよい。
例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等が挙げられる。 また、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例えば、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等)等が挙げられる。
反射防止層のヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。また膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
(ハ−2)高屈折率層および中屈折率層
反射防止膜の高い屈折率を有する層は、平均粒子サイズ100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子およびマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化性膜からなる。
高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物が挙げられ、好ましくは屈折率1.9以上のものが挙げられる。例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等が挙げられる。
このような超微粒子とするには、粒子表面が表面処理剤で処理されること(例えば、シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造とすること(:特開2001−166104号公報等)、特定の分散剤併用(例えば、特開平11−153703号公報、米国特許第6,210,858B1号明細書、特開2002−2776069号公報等)等挙げられる。
マトリックスを形成する材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等が挙げられる。
さらに、ラジカル重合性および/またはカチオン重合性の重合性基を少なくとも2個以上含有の多官能性化合物含有組成物、加水分解性基を含有の有機金属化合物およびその部分縮合体組成物から選ばれる少なくとも1種の組成物が好ましい。例えば、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の化合物が挙げられる。
また、金属アルコキドの加水分解縮合物から得られるコロイド状金属酸化物と金属アルコキシド組成物から得られる硬化性膜も好ましい。例えば、特開2001−293818号公報等に記載されている。
高屈折率層の屈折率は、−般に1.70〜2.20である。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
(ハ−3)低屈折率層
低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層してなる。低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55である。好ましくは1.30〜1.50である。
耐擦傷性、防汚性を有する最外層として構築することが好ましい。耐擦傷性を大きく向上させる手段として表面への滑り性付与が有効で、従来公知のシリコーン化合物によるシリコーンを導入、含フッ素化合物によるフッ素の導入等からなる薄膜層の手段を適用できる。
前記含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含む架橋性若しくは重合性の官能基を含む化合物が好ましい。
例えば、特開平9−222503号公報段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報段落番号[0019]〜[0030]、特開2001−40284号公報段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物が挙げられる。
前記シリコーン化合物としてはポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に硬化性官能基あるいは重合性官能基を含有して、膜中で橋かけ構造を有するものが好ましい。例えば、反応性シリコーン(例えば、サイラプレーン(チッソ(株)製等)、両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報等)等が挙げられる。
架橋または重合性基を有する含フッ素および/またはシロキサンのポリマーの架橋または重合反応は、重合開始剤、増感剤等を含有する最外層を形成するための塗布組成物を塗布と同時または塗布後に光照射や加熱することにより実施することが好ましい。
また、シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化するゾルゲル硬化膜も好ましい。
例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物またはその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報記載等記載の化合物)、フッ素含有長鎖基であるポリ「パーフルオロアルキルエーテル」基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
低屈折率層は、前記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム,フッ化カルシウム,フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有することができる。
低屈折率層が最外層の下層に位置する場合、低屈折率層は気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されても良い。安価に製造できる点で、塗布法が好ましい。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
(ハ−4)ハードコート層
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理強度を付与するために、セルロースアシレートフィルムの表面に設ける。特に、セルロースアシレートフィルムと前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層は、光および/または熱の硬化性化合物の架橋反応、または、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、また加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。
これらの化合物の具体例としては、高屈折率層で例示したと同様のものが挙げられる。
ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第O0/46617号パンフレット等記載のものが挙げられる。
高屈折率層はハードコート層を兼ねることができる。このような場合、高屈折率層で記載した手法を用いて微粒子を微細に分散してハードコート層に含有させて形成することが好ましい。
ハードコート層は、平均粒子サイズ0.2〜10μmの粒子を含有させて防眩機能(アンチグレア機能)を付与した防眩層(後述)を兼ねることもできる。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7μmである。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
(ハ−5)前方散乱層
前方散乱層は、液晶表示装置に適用した場合の、上下左右方向に視角を傾斜させたときの視野角改良効果を付与するために設ける。前記ハードコート層中に屈折率の異なる微粒子を分散することで、ハードコート機能と兼ねることもできる。
例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等が挙げられる。
(ハ−6)その他の層
前記の層以外に、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
(ハ−7)塗布方法
反射防止フィルムの各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法やエクストルージョンコート法(米国特許第2,681,294号明細書)により、塗布により形成することができる。
(ハ−8)アンチグレア機能
反射防止膜は、外光を散乱させるアンチグレア機能を有していてもよい。アンチグレア機能は、反射防止膜の表面に凹凸を形成することにより得られる。反射防止膜がアンチグレア機能を有する場合、反射防止膜のヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
反射防止膜表面に凹凸を形成する方法は、これらの表面形状を充分に保持できる方法であればいずれの方法でも適用できる。例えば、低屈折率層中に微粒子を使用して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、低屈折率層の下層(高屈折率層、中屈折率層またはハードコート層)に比較的大きな粒子(粒子サイズ0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成し、その上にこれらの形状を維持して低屈折率層を設ける方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、最上層(防汚性層)を、塗設後の表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等が挙げられる。
《液晶表示装置》
本発明の液晶表示装置は、上記の本発明のセルロースアシレートフィルム、本発明の偏光板、本発明の光学補償フィルム、本発明の反射防止フィルムの少なくとも1つを有するものである。このような本発明の液晶表示装置に適用される各液晶モードについて以下において説明する。
(TNモード液晶表示装置)
TNモード液晶表示装置は、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
(OCBモード液晶表示装置)
OCBモード液晶表示装置は、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許第4,583,825号明細書、同第5,410,422号明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend) 液晶モードとも呼ばれる。
OCBモードの液晶セルもTNモード同様、黒表示においては、液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
(VAモード液晶表示装置)
VAモード液晶表示装置は、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向しているのが特徴であり、VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
(IPSモード液晶表示装置)
IPSモード液晶表示装置は、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に面内に水平に配向しているのが特徴であり、これが電圧印加の有無で液晶の配向方向を変えることでスイッチングするのが特徴である。具体的には特開2004−365941号公報、特開2004−12731号公報、特開2004−215620号公報、特開2002−221726号公報、特開2002−55341号公報、特開2003−195333号公報に記載のものなどを使用できる。
(その他液晶表示装置)
ECBモードおよびSTNモードに対しても、前記と同様の考え方で光学的に補償することができる。
なお、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、本発明と下記特許公報に開示の技術を組合わせて使用することができる。
実開平3−110418号公報、特開平5−119216号公報、特開平5−162261号公報、特開平5−182518号公報、特開平5−19115号公報、特開平5−196819号公報、特開平5−264811号公報、特開平5−281411号公報、特開平5−281417号公報、特開平5−281537号公報、特開平5−288921号公報、特開平5−288923号公報、特開平5−311119号公報、特開平5−339395号公報、特開平5−40204号公報、特開平5−45512号公報、特開平6−109922号公報、特開平6−123805号公報、特開平6−160626号公報、特開平6−214107号公報、特開平6−214108号公報、特開平6−214109号公報、特開平6−222209号公報、特開平6−222353号公報、特開平6−234175号公報、特開平6−235810号公報、特開平6−258520号公報、特開平6−264030号公報、特開平6−305270号公報、特開平6−331826号公報、特開平6−347641号公報、特開平6−75110号公報、特開平6−75111号公報、特開平6−82779号公報、特開平6−93133号公報、特開平7−104126号公報、特開平7−134212号公報、特開平7−181322号公報、特開平7−188383号公報、特開平7−230086号公報、特開平7−290652号公報、特開平7−294903号公報、特開平7−294904号公報、特開平7−294905号公報、特開平7−325219号公報、特開平7−56014号公報、特開平7−56017号公報、特開平7−92321号公報、特開平8−122525号公報、特開平8−146220号公報、特開平8−171016号公報、特開平8−188661号公報、特開平8−21999号公報、特開平8−240712号公報、特開平8−25575号公報、特開平8−286179号公報、特開平8−292322号公報、特開平8−297211号公報、特開平8−304624号公報、特開平8−313881号公報、特開平8−43812号公報、特開平8−62419号公報、特開平8−62422号公報、特開平8−76112号公報、特開平8−94834号公報、特開平9−137143号公報、特開平9−197127号公報、特開平9−251110号公報、特開平9−258023号公報、特開平9−269413号公報、特開平9−269414号公報、特開平9−281483号公報、特開平9−288212号公報、特開平9−288213号公報、特開平9−292525号公報、特開平9−292526号公報、特開平9−294959号公報、特開平9−318817号公報、特開平9−80233号公報、特開平10−10320号公報、特開平10−104428号公報、特開平10−111403号公報、特開平10−111507号公報、特開平10−123302号公報、特開平10−123322号公報、特開平10−123323号公報、特開平10−176118号公報、特開平10−186133号公報、特開平10−264322号公報、特開平10−268133号公報、特開平10−268134号公報、特開平10−319408号公報、特開平10−332933号公報、特開平10−39137号公報、特開平10−39140号公報、特開平10−68821号公報、特開平10−68824号公報、特開平10−90517号公報、特開平11−116903号公報、特開平11−181131号公報、特開平11−211901号公報、特開平11−211914号公報、特開平11−242119号公報、特開平11−246693号公報、特開平11−246694号公報、特開平11−256117号公報、特開平11−258425号公報、特開平11−263861号公報、特開平11−287902号公報、特開平11−295525号公報、特開平11−295527号公報、特開平11−302423号公報、特開平11−309830号公報、特開平11−323552号公報、特開平11−335641号公報、特開平11−344700号公報、特開平11−349947号公報、特開平11−95011号公報、特開平11−95030号公報、特開平11−95208号公報、特開2000−109780号公報、特開2000−110070号公報、特開2000−119657号公報、特開2000−141556号公報、特開2000−147208号公報、特開2000−17099号公報、特開2000−171603号公報、特開2000−171618号公報、特開2000−180615号公報、特開2000−187102号公報、特開2000−187106号公報、特開2000−191819号公報、特開2000−191821号公報、特開2000−193804号公報、特開2000−204189号公報、特開2000−206306号公報、特開2000−214323号公報、特開2000−214329号公報、特開2000−230159号公報、特開2000−235107号公報、特開2000−241626号公報、特開2000−250038号公報、特開2000−267095号公報、特開2000−284122号公報、特開2000−304927号公報、特開2000−304928号公報、特開2000−304929号公報、特開2000−309195号公報、特開2000−309196号公報、特開2000−309198号公報、特開2000−309642号公報、特開2000−310704号公報、特開2000−310708号公報、特開2000−310709号公報、特開2000−310710号公報、特開2000−310711号公報、特開2000−310712号公報、特開2000−310713号公報、特開2000−310714号公報、特開2000−310715号公報、特開2000−310716号公報、特開2000−310717号公報、特開2000−321560号公報、特開2000−321567号公報、特開2000−338309号公報、特開2000−338329号公報、特開2000−344905号公報、特開2000−347016号公報、特開2000−347017号公報、特開2000−347026号公報、特開2000−347027号公報、特開2000−347029号公報、特開2000−347030号公報、特開2000−347031号公報、特開2000−347032号公報、特開2000−347033号公報、特開2000−347034号公報、特開2000−347035号公報、特開2000−347037号公報、特開2000−347038号公報、特開2000−86989号公報、特開2000−98392号公報、特開2001−100012号公報、特開2001−108805号公報、特開2001−108806号公報、特開2001−133627号公報、特開2001−133628号公報、特開2001−142062号公報、特開2001−142072号公報、特開2001−174630号公報、特開2001−174634号公報、特開2001−174637号公報、特開2001−179902号公報、特開2001−183526号公報、特開2001−188103号公報、特開2001−188124号公報、特開2001−188125号公報、特開2001−188225号公報、特開2001−188231号公報、特開2001−194505号公報、特開2001−228311号公報、特開2001−228333号公報、特開2001−242461号公報、特開2001−242546号公報、特開2001−247834号公報、特開2001−26061号公報、特開2001−264517号公報、特開2001−272535号公報、特開2001−278924号公報、特開2001−2797号公報、特開2001−287308号公報、特開2001−305345号公報、特開2001−311827号公報、特開2001−350005号公報、特開2001−356207号公報、特開2001−356213号公報、特開2001−42122号公報、特開2001−42323号公報、特開2001−42325号公報、特開2001−4819号公報、特開2001−4829号公報、特開2001−4830号公報、特開2001−4831号公報、特開2001−4832号公報、特開2001−4834号公報、特開2001−4835号公報、特開2001−4836号公報、特開2001−4838号公報、特開2001−4839号公報、特開2001−51118号公報、特開2001−51119号公報、特開2001−51120号公報、特開2001−51273号公報、特開2001−51274号公報、特開2001−55573号公報、特開2001−66431号公報、特開2001−66597号公報、特開2001−74920号公報、特開2001−81469号公報、特開2001−83329号公報、特開2001−83515号公報、特開2002−162628号公報、特開2002−169024号公報、特開2002−189421号公報、特開2002−201367号公報、特開2002−20410号公報、特開2002−258046号公報、特開2002−275391号公報、特開2002−294174号公報、特開2002−311214号公報、特開2002−311246号公報、特開2002−328233号公報、特開2002−338703号公報、特開2002−363266号公報、特開2002−365164号公報、特開2002−370303号公報、特開2002−40209号公報、特開2002−48917号公報、特開2002−6109号公報、特開2002−71950号公報、特開2003−105540号公報、特開2003−114331号公報、特開2003−131036号公報、特開2003−139952号公報、特開2003−172819号公報、特開2003−35819号公報、特開2003−43252号公報、特開2003−50318号公報、特開2003−96066号公報、特開2006−45501号公報、特開2006−45502号公報、特開2006−45499号公報、特開2006−45500号公報、特開2006−182008号公報、特開2006−241433号公報、特開2006−348123号公報、特開2005−325258、特開2006−2026、特開2006−2025、特開2006−183005号公報、特開2006−183004号公報、特開2006−143873号公報、特開2006−257204号公報、特開2006−205472号公報、特開2006−241428号公報、特開2006−251746号公報、特開2007−1198号公報、特開2007−1238号公報、国際公開WO2005/103122号公報、特開2006−176736号公報、特開2006−243688号公報、特開2006−327105号公報、特開2006−124642号公報、特開2006−205708号公報、特開2006−341443号公報、特開2006−199913号公報、特開2006−335050号公報、特開2007−8154号公報、特開2006−334840号公報、特開2006−341450号公報、特開2006−327162号公報、特開2006−341510号公報、特開2006−327161号公報、特開2006−327107号公報、特開2006−327160号公報、特開2006−328316号公報、特開2006−334839号公報、特開2007−8151号公報、特開2007−1286号公報、特開2006−327106号公報、特開2006−334841号公報、特開2006−334842号公報、特開2005−330411号公報、特開2006−116945号公報、特開2005−301225号公報、特開2007−1287号公報、特開2006−348268号公報、国際公開WO2006/132367号パンフレット、国際公開WO20



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《測定法》
以下に本発明で使用した測定法について記載する。
(1)異物の数
(i)まず、サンプルを230℃で3分間ホットプレスして厚さ100μm以下の板にした(顕微鏡で観察する際、表面から裏面まで焦点深度の範囲内とするため)。
(ii)2枚の偏光板を平行にした偏光顕微鏡を用い、100倍で観察し、少なくとも1辺が20μm以上の異物を数えた。これを100視野観察し、数えた異物の総数を下記式から求めた。
異物(個/10mg)={異物の総数/(観察総面積(cm)×厚み(cm)×比重)}/100
(iii)同じ視野、倍率で、2枚の偏光板を直交(クロスニコル)にして観察し、少なくとも1辺が20μm以上の輝点異物を数えた。これを100視野観察し、数えた輝点異物の総数を下記式から求めた。
輝点異物(個/10mg)={輝点異物の総数/(観察総面積(cm)×厚み(cm)×比重)}/100
(iv)輝点異物は(ii)でも(iii)でも観察されるが、非輝点異物は(ii)では観察されるが(iii)では観察されないため、非輝点異物の数は下記式で表される。
非輝点異物(個/10mg)={異物(個/10mg)−輝点異物(個/10mg)}
(2)未使用セルロースアシレートと再使用セルロースアシレートとの混合の分散ばらつき
(i)未使用セルロースアシレートと再使用セルロースアシレートの混合物から任意に50gずつ50サンプルとり出した。
(ii)各サンプルに含まれる未使用セルロースアシレートの質量%(WR)を求めた。
(通常未使用セルロースアシレートはペレットあるいは粉体で供給され、再使用セルロースアシレートは破砕体で供給されるため、両者は容易に区別できる)。
(iii)50点のWRの最大値と最小値の差を、50点のWRの平均値で割り、百分率で示したものを「分散ばらつき」とした。
(3)セルロースアシレートの置換度・重量平均分子量
(i)置換度
セルロースアシレートのアシル置換度は、Carbohydr.Res.273(1995)83−91(手塚他)に記載の方法で13C−NMRにより求めた。
(ii)重量平均分子量
セルロースアシレートの重合度はGPCを用いて次の手順で測定した。
THFを溶離液として、単分散ポリスチレンを標準分子量として、重量平均分子量(Mw)を求めた。次に、NMRで求めた組成から1セグメントあたりの分子量(m)を求めた。Mwをmで割り、重量平均重合度(DPw)を求めた。
(4)Tgの測定
DSCの測定パンにサンプルを20mg入れ、窒素気流中にて10℃/分で30℃から250℃まで昇温した後、30℃まで−10℃/分で冷却した。その後、再度30℃から250℃まで昇温した際にベースラインが低温側から偏奇し始める温度をガラス転移温度(Tg)とした。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(1)セルロースアシレート樹脂
(i)セルロースアセテートプロピオネート(CAP)の合成
セルロース(広葉樹パルプ)10質量部に酢酸0.1質量部、プロピオン酸2.7質量部を噴霧した後、室温で下記表1に記載の時間放置し活性化処理時間を変えることで未反応セルロースに由来する輝点の数を変えたサンプルを調製した。別途、無水酢酸3.9質量部、プロピオン酸無水物57質量部、硫酸0.7質量部の混合物を調整し、−10℃に冷却後に、前記前処理を行ったセルロースと反応容器内で混合した。30分経過後、外設温度を30℃まで上昇させ、4時間反応させた。反応容器に25%含水酢酸46質量部を添加し、内温を60℃に上昇させて、2時間攪拌した(熟成)。さらに、酢酸マグネシウム4水和物と酢酸と水とを等質量ずつ混合した溶液を6.2質量部添加し、30分間攪拌した。これを下記表1に記載の孔径の焼結金属フィルターでろ過し(再沈殿前濾過)、これを75%含水酢酸に濾過後の反応液を混合してセルロース アセテートプロピオネートを沈殿させた後、70℃の温水にて、洗浄液のpHが6〜7になるまで洗浄を行った。さらに、0.001%水酸化カルシウム水溶液中で0.5時間攪拌する処理を行った後に濾過した。得られたセルロースアセテートプロピオネートは、70℃で乾燥させた。
上述の方法で測定した結果、アセチル(Ac)化度0.45、プロピオニル(Pr)化度2.45、DPw=400であった。
(ii)セルロースアセテートブチレート(CAB)の合成
セルロース(綿花リンター)100質量部、酢酸135質量部を還流装置を付けた反応容器に取り、60℃に加熱しながら激しく攪拌した。このような活性化処理時間を下記表1に記載のように変えることで未反応セルロースに由来する輝点の数を変えたサンプルを調製した。この後、反応容器を5℃の氷水浴に60分間置き冷却した。
別途、アシル化剤として酪酸無水物1080質量部、硫酸10.0質量部の混合物を作製し、−20℃に冷却した後に、前処理を行ったセルロースを収容する反応容器に一度に加えた。30分経過後、外設温度を20℃まで上昇させ、5時間反応させた。反応容器を5℃の氷水浴にて冷却し、約5℃に冷却した12.5質量%含水酢酸2400質量部を1時間かけて添加した。内温を30℃に上昇させ1.5時間攪拌した(熟成)。次いで反応容器に、酢酸マグネシウム4水和物の50質量%水溶液を100質量部添加し、30分間攪拌した。これを表1に記載の孔径の焼結金属フィルターで濾過し(再沈殿前濾過)この濾液を、酢酸1000質量部、50質量%含水酢酸2500質量部を徐々に加え、セルロースアセテートブチレートを沈殿させた。得られたセルロースアセテートブチレートの沈殿は温水にて洗浄を行った。洗浄後、0.005質量%水酸化カルシウム水溶液中で0.5時間攪拌し、さらに、洗浄液のpHが7になるまで水で洗浄を行った後、70℃で乾燥させた。得られた各セルロースアセテートブチレートはアセチル(Ac)化度0.84、ブチリル(Bu)化度2.12、DPw=440であった。
(iii)その他のセルロースアシレートの合成
アシル化剤の種類、量を変えることで置換度を変え、活性化処理時間を変えることで輝点数を変え、熟成時間を変えることで重合度を変え、さらに表1に記載の再沈殿前濾過を行ない表1に記載のCAP、CAB以外のセルロースアシレートを合成した。
また、置換もしくは無置換の芳香族アシル基を結合したセルロースアシレートとして、特開2002−32201号公報の実施例1に準じて安息香酸と酢酸でエステル化したセルロースアシレートを合成した。但し原料のセルロースアシレートとして2.0置換、2.45置換のセルロースアセテートを用いた。この結果、酢酸置換度=2.0、安息香酸置換度=1.0(実施例48)、および、酢酸置換度=2.45、安息香酸置換度=0.55(実施例49)の芳香族アシル基置換セルロースアシレートをぞれぞれ得た。
これ以外に特開2002−32201号公報の実施例2〜7の芳香族アシル基を結合したセルロースアシレートを合成し、表1の実施例48および49と同様に製膜し、表2の延伸フィルム11〜15と同様にして延伸したが、いずれも上記安息香酸置換したセルロースアシレートと同様に良好な結果を得た。
(2)セルロースアシレートの合成後の濾過
上記の手順にしたがって合成し、再沈殿、乾燥まで行ったセルロースアシレートを、表1に記載の条件で以下の手順にしたがって溶解し、濾過した。
まず、ジクロロメタンに20質量%となるようにセルロースアシレートを溶解した。その後、表1に記載の孔径の金属焼結フィルターを用い、濾別した。このとき、濾液を水中に撹拌しながら添加し沈殿した。0.005質量%水酸化カルシウム水溶液中で0.5時間攪拌し、さらに、洗浄液のpHが7になるまで水で洗浄を行った後、70℃で乾燥させた。このようにして得たセルロースアシレートに対し、再沈殿前、合成後、いずれも濾過しなかたものは合成終了後に、再沈殿前、合成後いずれかの濾過したものは濾過終了後に、再沈殿前、合成後両方で濾過したものは合成後の濾過終了後に、上述の方法で異物の数を計測し表1に記載した。
(3)セルロースアシレートのペレット化
下記いずれかの方法でセルロースアシレートペレットを作製した。
(イ)未使用セルロースアシレートペレットの作製
未使用セルロースアシレート100質量部、安定剤(住友化学(株)製スミライザーGP)0.3質量部、二酸化珪素微粒子(アエロジルR972V)0.05質量部、紫外線吸収剤(2−(2'−ヒドロキシ−3'、5−ジ−tert−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール0.05質量部、2,4−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン0.1質量部)を混合した。
これらを100℃で3時間乾燥し含水率を0.1質量%以下にした後、2軸混練機を用い180℃で溶融した後、60℃の温水中に押し出しストランドとした後裁断し、直径3mm長さ5mmの円柱状のペレットに成形して「未使用ペレット」を得た。
(ロ)未使用セルロースアシレート+再使用セルロースアシレート混合ペレットの作製
未使用のセルロースアシレート(粉体)と再使用のセルロースアシレート(製膜フィルムを破砕したもの:後述の製膜後トリミングにより得たもの)を表1に記載の比で配合した。この時、各セルロースアシレートのストックタンクに定流量フィーダーを取り付け、その下に設置したミキシングタンクに、各混合比に対応させるようにフィード量を調整した。撹拌羽の回転数(10rpm〜100rpm)を変えることで表1に記載の分散ばらつき、混合比を達成した。上述の方法で混合物の分散ばらつきを求め表1に記載した。これを上述の条件でペレット化し、この際、安定剤、二酸化珪素部粒子、紫外線吸収剤を上述の種類、量だけ添加して「混合ペレット」を得た。
(ハ)再使用セルロースアシレートペレットの作製
再使用のセルロースアシレート(製膜フィルムを破砕したもの:後述の製膜後トリミングにより得たもの)に、上述の未使用セルロースアシレートペレットに添加したものと同じ安定剤を同量添加した。これを上述の条件でペレット化し「再使用ペレット」を得た。
(4)溶融製膜
前記ペレットおよび、製膜フィルムを破砕したセルロースアシレートを用い、下記組合せの中から原料セルロースアシレートの混合方式を選定し、混練押出し機のホッパーに投入した。なお下記の、原料#1、2、3は、いずれも同じ組成の未使用セルロースアシレート、再使用セルロースアシレートを使用した。即ち未使用セルロースアシレートを製膜したものを再使用セルロースアシレートの原料に用いた。但し、本発明の範囲内であれば組成の異なる未使用ペレット、破砕したセルロースアシレート、再使用ペレットを組み合わせて実施しても同様に良好な結果が得られた。
原料#1:未使用ペレット+破砕したセルロースアシレート(再使用セルロースアシレート)
原料#2:混合ペレット
原料#3:未使用ペレット+再使用ペレット
これらのうち、原料#1、3の中の未使用セルロースアシレートペレットと破砕したセルロースアシレート、再使用セルロースアシレートペレットの混合は、表1に記載の混合羽の攪拌回転数で混合しながら溶融製膜機のホッパーに供給した。このとき、前記の方法で分散ばらつきを求め、表1に記載した。なお、原料#1はペレットと破砕品のため未使用、破砕セルロースアシレートは容易に識別でき、原料#3は両者ともペレットであるが、両者のサイズを変えることで区別した。
これらの原料はいずれも、露点温度−40℃の脱湿風を用いて100℃で5時間乾燥し含水率を0.01質量%以下にした後、80℃のホッパーに投入し、180℃(入口温度)から230℃(出口温度)に調整した溶融押出し機で溶融した。なお、これに用いたスクリューの直径は60mm、L/D=50、圧縮比4とした。溶融押出機から押出された樹脂はギアポンプで一定量計量され送り出されるが、この時ギアポンプ前の樹脂圧力が10MPaの一定圧力で制御できる様に、押出機の回転数を変更させた。ギアポンプから送り出されたメルト樹脂は濾過精度5μmmのリーフディスクフィルターにて濾過し、スタティックミキサーを経由してスリット間隔0.8mm、230℃のハンガーコートダイから、キャスティングドラム(CD)上に表1に記載の条件でダイから押出した。これをTg−5℃、Tg、Tg−10℃の設定した3連のキャスティングロール上に押し出し、最上流側のキャスティングロールに表1に記載の条件でタッチロールを接触させ、あるいは静電印加し、未延伸フィルムを製膜した。なお、タッチロールは特開平11−235747号公報の実施例1に記載のもの(二重抑えロールと記載のあるもの)を用い、Tg−5℃に調温した(但し薄肉金属外筒厚みは3mmとした)。静電印加は5kVで、表1に記載の幅(両端の幅の和を全幅で割り百分率でしめしたもの)で両端に印加した。
固化したメルトをキャスティングドラムから剥ぎ取り、巻き取り直前に両端(全幅の各5%)をトリミングした。トリミングしたものは、室温で表1に記載の時間経過後、0.5〜10cm2の大きさに、裁断機を用い破砕した。これを上述の「破砕したセルロースアシレート」として使用した。
トリミング後、製膜フィルム両端に幅10mm、高さ50μmの厚みだし加工(ナーリング)をつけた後、30m/分で幅1.5m、長さ3000mの未延伸フィルムを得た。このTgを上記の方法にしたがってDSCを用いて測定した結果を表1に記載した。
また、これらフィルムの残留溶剤量を前記方法で測定したところ、残留溶剤は測定されなかった。
(5)製膜フィルムの評価
このようにして得られたフィルムを上述の方法に従い、25℃・相対湿度60%で、トムソン刃で打ち抜き、四辺に発生するクラックの発生率を上述の「クラック検出方法」に従い100点トムソン刃で打ち抜き、クラックの発生確率を求め、表1に記載した。
Figure 2008037091
表1中、比較例5および6は、特開2000−352620号公報の実施例1の試料3−2を示す。また、表1中の「−」は実施していないことを示す。
(6)偏光板の作製
(6−1)表面処理
前記の製膜したセルロースアシレートフィルムを、下記の浸漬法で鹸化した。なお、下記の塗布法による鹸化も実施したが、浸漬法で鹸化した場合と同様の結果が得られた。
(i) 浸漬法による鹸化
60℃に調温した1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(鹸化液)の中にセルロースアシレートフィルムを2分間浸漬した。その後、0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、水洗浴を通した。
(ii) 塗布法による鹸化
イソプロパノール80質量部に水20質量部を加え、これにKOHを1.5mol/Lとなるように溶解して60℃に調温したものを鹸化液として用いた。この鹸化液を60℃のセルロースアシレートフィルム上に10g/m2となるように塗布し、1分間鹸化した。その後、50℃の温水を10L/m2・分で1分間吹きかけて洗浄した。
(6−2)偏光膜の作製
特開2001−141926号公報の実施例1に従い、2対のニップロール間に周速差を与え、長手方向に延伸したで厚み20μmの偏光膜を調製した。
(6−3)貼り合わせ
このようにして得た偏光膜を、前記方法で鹸化処理したセルロースアシレートフィルムを用い、下記構成となるようにポリビニルアルコール((株)クラレ製、PVA−117H)の3%水溶液を接着剤として貼り合せて偏光板を作製した。なお、下記に記載したフジタック(富士写真フイルム製、TD80)も前記の方法で鹸化処理を行った。
偏光板A:セルロースアシレート/偏光膜/フジタック
偏光板B:セルロースアシレート/偏光膜/セルロースアシレート
(偏光板Bでは両面に同じ種類のセルロースアシレートを用いたが、異種のセルロースアシレートを用いたものでも、それらが本発明の条件を満たすものであれば良好な結果が得られることを確認した。)
(6−4)評価
このようにして得た偏光板をトムソン刃で打ち抜き、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載の20インチVA型液晶表示装置の偏光板に代えて取り付けた。これを20セット作製し、この画面上に縦、横5mm間隔の升目を表示し、この升目のゆがみの発生数を各20セットの液晶表示装置で数え単位面積(m2)あたりの発生数を求めた。その平均値を「画像ボケ」として表1に示した。本発明を実施したものは良好な性能が得られた。
一方、本発明の範囲外のものは、画像ボケが増加した。特に、特開2000−352620号公報の実施例1の試料3−2の未延伸フィルムに準じたもの(両端をスリットし原料として再使用しないもの:表1の比較例5)、さらにこれと同じ条件でかつ両端をスリット、破砕し原料として再使用したもの(表1の比較例6)に比べ、本発明の範囲内のものは液晶表示ムラが大幅に改善された。一方これに近い条件で本発明を実施したもの(表1の実施例37)は良好な性能を得た。
(7)光学補償フィルムの作製
特開平11−316378号公報の実施例1の液晶層を塗布したセルロースアセテートフィルムの代わりに、実施例のセルロースアシレートフィルムを使用した。特開平7−333433号公報の実施例1の液晶層を塗布したセルロースアセテートフィルムに代わって、実施例のセルロースアシレートフィルムに変更し光学補償フィルターフィルムを作製し、TN型液晶表示装置に使用したところ同様に良好な光学補償フィルムを作製できた。
(8)低反射フィルムの作製
実施例のセルロースアシレートフィルムを発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の実施例47に従い低反射フィルムを作製したところ、良好な光学性能が得られた。
(9)液晶表示素子の作製
前記実施例の偏光板を、特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開平9−26572号公報の実施例1に記載のディスコティック液晶分子を含む光学的異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載の20インチVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載の20インチOCB型液晶表示装置、特開2004−12731号公報の図11に記載のIPS型液晶表示装置に用いた。さらに、本発明の低反射フィルムをこれらの液晶表示装置の最表層に貼り評価を行ったところ、良好な液晶表示素子を得た。
(10)延伸フィルムの作製・評価
実施例1の記載の未延伸シートをTg+10℃で3000%/分で下記倍率延伸し、下記表2に記載のRe,Rthを持った延伸フィルム−1〜6を得た。ここでいうTgは各フィルムのガラス転移温度であり、延伸倍率は下記式で定義される。
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/(延伸前の長さ)
Figure 2008037091
これらの延伸フィルムを上述の方法で鹸化した後、上述のようにして下記組成の偏光板を作製した。
偏光板C:延伸セルロースアシレート/偏光膜/フジタック
偏光板D:延伸セルロースアシレート/偏光膜/セルロースアシレート
このようにして得られた偏光板を、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載の20インチVA型液晶表示装置の偏光板に代えて取り付けた。これを前記と同様にして「画像ボケ」を計測した。本発明を実施したものはいずれも良好な光学特性を示した。実施例1〜41を延伸したフィルムでも同様の良好な結果が得られた。
本発明の製膜方法によれば、再使用樹脂を使用しているにもかかわらず、液晶表示装置に組み入れたときに画像のボケが発生しないセルロースアシレートを製膜することができる。このため、本発明を用いれば、樹脂を効率よく高機能化して使用することができる。また、本発明にしたがって製造したセルロースアシレートフィルムを用いれば、優れた光学的機能を有する偏光板、光学補償フィルム、反射防止フィルム、および、液晶表示装置を提供することができる。したがって、本発明は産業上の利用可能性が高い。
長スパン延伸を行う場合の熱可塑性フィルムを製造するフィルム製造装置の概略構成図を示す。 図1の縦延伸部の斜視説明図を示す。 短スパン延伸を行う場合の熱可塑性フィルムを製造するフィルム製造装置の概略構成図を示す。 図3の縦延伸部の斜視説明図を示す。 予熱、熱固定を行わない製造方法によって発生するボーイングの説明図である。 予熱、熱固定による、ボーイングの発生の抑制を示す説明図である。
符号の説明
10、10a フィルム製造装置
12 乾燥機
14 押出機
16 ギアポンプ
18 フィルタ
20 ダイ
22 冷却部
24 タッチロール
26 タッチロール
28 キャスティングドラム
30、30a 縦延伸部
32 入口側ニップロール
33 予熱ロール
34 出口側ニップローラ
35 予熱ロール
36 予熱部
37 ニップロール
39 ニップロール
42 横延伸部
44 熱固定部
46 巻取部
Fa 未延伸フィルム
Fb 縦延伸フィルム
F 熱可塑性フィルム
Lb 曲線

Claims (17)

  1. 最大長が20μm以上の異物が0個/10mg〜10個/10mgである未使用樹脂を50質量%〜99質量%と、最大長が20μm以上の異物が0個/10mg〜10個/10mgである再使用樹脂を1質量%〜50質量%とを使用することを特徴とするセルロースアシレートの溶融製膜方法。
  2. 製膜フィルム幅(WF)とダイリップ幅(WD)との比(WF/WD)が0.7〜0.99であることを特徴とする請求項1に記載のセルロースアシレートの溶融製膜方法。
  3. タッチロール製膜法または静電印加法を用いてキャストすることを特徴とする請求項1または2に記載のセルロースアシレートの溶融製膜方法。
  4. 前記再使用樹脂が、製膜後1時間以内に破砕されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロースアシレートの溶融製膜方法。
  5. 前記未使用樹脂と前記再使用樹脂とを分散ばらつき0.1%〜30%に混合し、該混合した樹脂を溶融製膜することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のセルロースアシレートの溶融製膜方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法で得られたセルロースアシレートフィルム。
  7. 下記式(1)〜(3)を満たす組成からなるセルロースアシレートを含むことを特徴とする請求項6に記載のセルロースアシレートフィルム。
    式(1):2.0≦A+B<3.0
    式(2):0.1≦B<3
    式(3):300≦DPw≦500
    (式中、Aはアセチル基の置換度を示し、Bはプロピオニル基、ブチチル基、ペンタノイル基の置換度の総和を示す。また、DPwは重量平均重合度を示す。)
  8. 下記式(T−1)および(T−2)を満たす組成からなるセルロースアシレートを含むことを特徴とする請求項6に記載のセルロースアシレートフィルム。
    式(T−1):2.5≦A+C≦3.0
    式(T−2):0.1≦C<2
    式(T):180≦DPw≦700以下
    (式中、Aは、アセテート基の置換度を示し、Cは置換もしくは無置換の芳香族アシル基を示す。また、DPwは重量平均重合度を示す。)
  9. 少なくとも1軸に1%〜200%延伸したことを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
  10. 縦横比L/Wが2を超え50以下、或いは0.01〜0.3で延伸したことを特徴とする請求項9に記載のセルロースアシレートフィルム。
  11. 横延伸前に延伸温度より1℃〜50℃高い温度で予熱したことを特徴とする請求項10に記載のセルロースアシレートフィルム。
  12. 横延伸後に延伸温度より1℃〜50℃低い温度で熱処理したことを特徴とする請求項10または11に記載のセルロースアシレートフィルム。
  13. 縦延伸および横延伸の少なくとも一方を行った後に、Tg−50℃〜Tg+30℃、0.1kg/m〜20kg/mの張力で搬送しながら熱緩和したことを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
  14. 請求項6〜13のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムを用いたことを特徴とする偏光板。
  15. 請求項6〜13のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムを用いたことを特徴とする光学補償フィルム。
  16. 請求項6〜13のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムを用いたことを特徴とする反射防止フィルム。
  17. 請求項6〜13のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム、請求項14に記載の偏光板、請求項15に記載の光学補償フィルム、および請求項16に記載の反射防止フィルムの少なくとも一つを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
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