JP2007536937A - 霊長類ポリオーマウイルス遺伝子のsiRNA干渉用組成物および方法 - Google Patents

霊長類ポリオーマウイルス遺伝子のsiRNA干渉用組成物および方法 Download PDF

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Abstract

JCVのagnoproteinおよびラージT抗原の遺伝子から生成されるmRNAに対して特異的であるスモール干渉RNAを用いたRNA干渉によって、これらのポリオーマウイルスおよび他のポリオーマウイルスの遺伝子の発現を阻害する。霊長類ポリオーマウイルスによる感染および霊長類ポリオーマウイルス感染に付随する疾患に対して、スモール干渉RNAを投与することによる処置が可能となる。

Description

本発明は、siRNA(small interfering RNA)干渉による、ヒト向神経性ポリオーマJCV発現等の霊長類ポリオーマウイルス遺伝子発現の抑制に関する。
進行性多病巣性白質脳症(PML)は、潜在するポリオーマウイルスJCVの再活性化およびヒト脳のグリア細胞におけるその増殖的複製に起因する中枢神経系(CNS)の致死性脱髄性疾患である(Berger and Concha, 1995; Clifford and Major, 2001)。PMLは主にリンパ球増殖性疾患及び骨髄増殖性疾患による免疫系障害の患者に見られる稀な病気であったが、後天性免疫不全症候群(エイズ)患者の主な神経系疾患の1つになってきている(Cinque et al, 2003)。エイズ患者の4〜8%にPMLの兆候が見られ、これに冒された患者の髄液(CSF)からはJCVが検出されており、これは脳内におけるウイルスの活性的複製を示唆するものである。
PMLの組織学的特徴は、乏突起神経膠芽細胞中の肥大した過染色性核を有する多巣性脱髄病変および脳の白質路内の肥大した異様な星状膠細胞を含む(Walker and Padgett, 1983; Clinque et al, 2003)。幾つかのケースにおいては、脱髄の単巣性パターンおよび灰白質の関与を伴う異型的特徴も報告されている(Sweeney et al., 1994; Cinque et al., 2003 JNV参照)。初期の観察においては、インビトロでの細胞培養による研究および臨床サンプル中のJCVのインビボ検査によって、乏突起神経膠芽細胞および星状膠細胞のみが増殖性のウイルス感染を補助する細胞であると仮定された(Frisque and White, 1992; Gordon and Khalili, 1998)。従って、CNS由来の細胞中のウイルス性初期ゲノムの細胞種に特異な転写の証拠が分子的研究により提供されたことになる(Raj and Khalili, 1995)。しかしながら、それ以降の研究によって、B細胞を含む非神経細胞中の僅かではあるが検出可能なレベルのJCV遺伝子発現およびヒトの幾つかの神経および非神経腫瘍細胞におけるウイルス性初期タンパク質の顕著に高レベルな生成が示されている(Gordon and Khalili, 1998; Khalili et al, 2003)。
JCVは、他のポリオーマウイルスと同様に、ゲノムを転写制御部位を含む3つの部位に分けることが可能な小さなDNAウイルスであり、その遺伝子はウイルス初期タンパク質であるT抗原、およびウイルス後期タンパク質であるVP1、VP2、VP3、の発現に必要である。加えて、後期ゲノムもウイルス補助タンパク質であるAgnoproteinの生成に関与するものである。T抗原の発現はウイルス溶菌サイクルの開始に重要なものであり、それはこのタンパク質が後期遺伝子の転写を誘発し、ウイルスDNAの複製工程を誘導するという理由による(Frisque and White, 1992)。最近の研究では、その生成を抑制するとウイルス遺伝子発現および複製の相当の減少が見られることから、AgnoproteinがJCVの転写および複製に重要な役割を果たすものと考えられている(Safak et al, 非公開の観察)。更に、agnoproteinは幾種のサイクリンおよびそれらに付随するキナーゼの発現を変化させることによって細胞サイクルを不規則なものにする(Darbinyan et al, 2002)。
現在に至るまで、JCV複製の抑制およびPMLの治療について有効な手段はない。PML患者の治療にシトシンアラビノシド(AraC)がテストされ、幾つかのケースにおいてJCV付随の脱髄を緩和するという結果が得られた(Aksami et al., 2001 JNV 7:386 およびその中の引用文献を参照)。しかしながら、エイズ・クリニカル・トライアル・グループ(ACTG)のオーガナイズド・トライアル243からのレポートでは、PMLに冒されたHIV患者の生存率は対照群との比較において差異がないとの示唆がなされている(Hall et al., 1998)。但し、他のレポートでは、ACTGトライアルにおけるAraCの失敗は静脈および鞘内のルートを経たAraCの到達が不十分であった可能性が示唆されている(Levy et al)。JCVのDNA複製を抑制するトポイソメラーゼ・インヒビターの効力を示すインビトロ研究(Kerr et al., 1993)に基づき、トポイソメラーゼ・インヒビターであるトポテカンがAIDS/PML患者の治療に用いられ、その結果はトポテカン治療により病巣の大きさが縮小し、生存率が伸びる可能性を示唆するものである(Royal et al., 2003)。
加えて、JCV感染は、脊髄芽腫、グリア芽腫等を含む中枢神経系(CNS)を発生源とする様々な腫瘍に関連づけられている(上記Del Valle L et al., (2001a)、Khalili K (1999))。CNS腫瘍組織中のT抗原発現試験により、全ての腫瘍細胞がT抗原を発現するわけではないことが明らかになった。これらの腫瘍の他のウイルスタンパク質についての評価は、JCVゲノムを含有する腫瘍中のagnoproteinの相当なレベルを示すものである。DeValle L et al. (2002), J. Nat. Cancer Inst. 94(4): 267-273。
脳腫瘍細胞におけるagnogene発現の重要性については未知数である。1つの仮説は、T抗原とagnoproteinの相互作用、および内在細胞タンパク質との相互作用により、腫瘍細胞の成長速度を調節できるというものである。しかしながら、上述の研究からは、JCVのagnoproteinが幾つかのCNS新生物の発達および生長に関与すると考えられる。
RNA干渉(以下、「RNAi」は多くの真核生物種で保存されている転写後の遺伝子調節方法である。RNAiは細胞中に存在する短い(即ち、<30ヌクレオチド)二本鎖RNA(「dsRNA」)分子によって誘発される(Fire A et al. (1998), Nature 391: 806-811)。「short干渉RNA」または「siRNA」と呼ばれるこれらの短いdsRNA分子は、siRNAと1つのヌクレオチド範囲内の配列相同性を有するメッセンジャーRNA(「mRNA」)の破壊を引き起こす(Elbashir SM et al. (2001), Genes Dev, 15: 188-200)。siRNAとターゲットmRNAは結合して、ターゲットmRNAを切断する「RNA-induced silencing complex」または「RISC」となると考えられている。siRNAは複数ターンオーバー型酵素のよう再利用され、1つのsiRNAは約1000のmRNA分子を切断することができる。従って、mRNAのsiRNA介在型RNAi分解は、ターゲット遺伝子の発現を抑制する現存の技術よりも効果的なものである。
上述のElbashir SM et al. (2001)は、21〜22ヌクレオチド長であって、短い3’オーバーハングを有する合成siRNAが、ショウジョウバエ細胞可溶化物中のターゲットmRNAのRNAiを誘発可能であることを示した。培養された哺乳類の細胞も合成siRNAによるRNAi分解を示すものであり(Elbashir SM et al. (2001) Nature, 411: 494-498)、合成siRNAによって誘発されるRNAi分解については、生きたマウスにおいて最近証明されている(McCaffrey AP et al. (2002), Nature, 418: 38-39; Xia H et al. (2002), Nat. Biotech. 20: 1006-1010)。siRNA誘発RNAi分解による治療可能性については、HIV-1感染のsiRNA特異的抑制 (Novina CD et al. (2002), Nat Med. 8: 681-686)および神経毒性ポリグルタミン病タンパク質発現の減少(上述のXia H et al. (2002))を含む最近の幾つかのインビトロ研究によって証明されている。
従って、JCV感染および複製を効果的に減少または停止させ、JCV感染に伴う病気を治療するために必要なのは、霊長類ポリオーマウイルスの遺伝子、特にagnoproteinおよびラージT抗原遺伝子、の発現を特異的に阻害する、触媒量またはほぼ理論量の薬剤および方法である
本発明は、霊長類ポリオーマウイルスの遺伝子からのmRNA、特にJCVのagnoproteinおよびラージT抗原遺伝子からのmRNA、を特異的標的としそのRNAi誘発分解を生じるsiRNAを指向するものである。これらのsiRNAはほぼ理論量のagnoproteinおよびラージT抗原のmRNAを分解するものである。本発明のsiRNA化合物および組成物を、JCV、BKVおよび/またはSV40感染および複製の阻害、並びにJCV、BKVおよび/またはSV40感染に伴う疾患の治療に用いることができる。本発明のsiRNAは、特に、癌または進行性多巣性白質脳症(PLM)の治療に有用である。
従って、本発明は、JCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子のmRNA或いはそれらの選択的スプライス形態または変異体を標的とする単離されたsiRNAを提供するものである。このsiRNAは、RNAデュプレックスを形成するセンスRNA鎖とアンチセンスRNA鎖とを含むものである。センスRNA鎖は、標的mRNA中の約19〜約25の連続するヌクレオチドである標的配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を有する。BKVおよび/またはSV40遺伝子から生成されるmRNAはJCVのmRNAと共通の配列を有することができ、従って、JCVのmRNAを標的とし分解する本発明のsiRNAは、BKVおよび/またはSV40のmRNAがJCVのmRNAと共通の標的配列を含む場合に、BKVおよび/またはSV40のmRNAも標的とし分解するものである。
また、本発明は、本発明のsiRNAを発現する組換えプラスミドおよびウイルスベクター並びに本発明のsiRNAおよび薬理学的に許容されるキャリヤを含む薬学的組成物を提供するものである。
更に、本発明は、標的mRNAが分解するように1種またはそれ以上の効果量のsiRNAを被験者に投与することを含む、JCVのagnoprotein遺伝子および/またはラージT抗原遺伝子のmRNA、或いはそれらの選択的スプライス形態または変異体の発現を阻害する方法を提供するものである。
また、本発明は、JCVのagnoprotein遺伝子および/またはラージT抗原遺伝子のmRNA、或いはそれらの選択的スプライス形態または変異体を標的とする1種またはそれ以上の効果量のsiRNAを被験者に投与することを含む、JCVのVP1タンパク質の発現を阻害する方法を提供するものである。
更に、本発明は、JCVのagnoprotein遺伝子および/またはラージT抗原遺伝子のmRNA、或いはそれらの選択的スプライス形態または変異体を標的とする効果量のsiRNAを被験者に投与することを含む、JCVの感染または複製を阻害する方法を提供するものである。
また、本発明は、JCVのagnoprotein遺伝子および/またはラージT抗原遺伝子のmRNA、或いはそれらの選択的スプライス形態または変異体を標的とする効果量のsiRNAをそのような治療が必要な被験者に投与することを含む、癌またはPML等のJCV感染に付随する疾患の処置方法を提供するものである。
本明細書中の全ての核酸配列は、それに反する記載がない限り、5’から3’方向に記載される。また、核酸配列中の全てのデオキシリボヌクレオチドは大文字(例えば、デオキシチミジンは「T」)で標記され、核酸配列中のリボヌクレオチドは小文字(例えば、ウリジンは「u」)で標記される。
ヒトポリオーマウイルスであるJCVは、2つの制御タンパク質をウイルス感染の初期(T抗原)および後期(agnoprotein)においてエンコードし、それらの活性はウイルスカプシドタンパク質の生成並びに幾つかのホスト・ファクターおよびそれらの機能を不規則なものにするために重要である。そこで我々はヒトの星状膠細胞中においてT抗原およびagnoproteinの発現を標的とするsiRNAによるRNA干渉方法を設計し、利用した。T抗原の保存された部位であるnt4256〜4276(Mad−1株)を標的とする特定のsiRNAによる細胞の処置は、T抗原のレベルおよびそのウイルスカプシド遺伝子についての転写活性を50%以上減少させた。同様に、agnoproteinのnt324〜342を標的とする単一のsiRNAは、ウイルスの初期および後期タンパク質の生産を顕著に減少させた。T抗原およびagnoproteinのsiRNAを組み合わせて感染細胞を処置することにより、ウイルスカプシドタンパク質の生成が完全に抑止され、これは感染細胞内におけるウイルスの増幅を効果的に停止させることができることを示すものである。これらの観察は、JCVに誘発される脱髄性疾患である進行性多病巣性白質脳症(PML)に冒された患者の新規な治療方法の可能性を提供するものである。
JCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子のmRNAを標的とするsiRNAを含む組成物および方法は、JCVの感染および増幅を阻害するために、特にJCVに付随する疾患を治療するために、好都合に用いられる。本発明のsiRNAはRNAiを媒介とするこれらのmRNAの分解を誘発し、それによってJCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子によるタンパク質生成物が生成されなくなるか、量が減少して生成されるようになると考えられる。JCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子はJCVのライフサイクルに必要であるので、siRNAを媒介とするJCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子のmRNAの分解は、JCV感染および、例えばJCVに関連する脱髄性疾患といった、そのような感染に関連する全ての病状を抑制する。
ここで用いられる、「JCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子のmRNAを標的とする」siRNAとは、二本鎖の第一鎖がJCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子のmRNA配列の一部のヌクレオチド配列と実質的に同一であるsiRNAを意味する。siRNAの二本鎖の第二鎖は、siRNAの二本鎖の第一鎖とJCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子のmRNAの同一部分の双方に対して相補的ということになる。
本発明は、従って、標的mRNAを標的とする長さが約17ヌクレオチドから約29ヌクレオチド、好ましくは約19から約25ヌクレオチド、である短い二本鎖RNAを含む単離されたsiRNAを提供するものである。このsiRNAは、標準的なワトソン−クリック塩基ペア相互作用によってアニールされたセンスRNA鎖および相補的なアンチセンスRNA鎖(今後は「塩基ペア」と記す)を含むものである。以下に詳細に示されるように、センス鎖は標的mRNA中に含まれる標的配列と実質的に同一の核酸配列を含むものである。
ここで用いられる、標的mRNA中に含まれる標的配列と「実質的に同一」の核酸配列とは、標的配列と同一の或いはヌクレオチドの1つまたはそれ以上が標的配列と異なる核酸配列のことである。標的配列と実質的に同一の配列を含む本発明のセンス鎖は、そのようなセンス鎖を含むsiRNAが標的配列を含むmRNAのRNAiを媒介とした分解を誘発することに特徴付けられる。例えば、本発明のsiRNAは、そのsiRNAによって標的mRNAのRNAiを媒介とした分解が誘発される限り、標的配列と1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のヌクレオチドが異なる核酸配列を含むセンス鎖を含むことができる。
本発明のsiRNAのセンスおよびアンチセンス鎖は、2つの相補的な1本鎖RNA分子を含むことができ、またはその中で2つの相補部分が塩基ペアであり、1本鎖の「ヘアピン」エリアによって共有結合されている単一分子を含むことができる。如何なる理論にとらわれることを望むものではなく、後者のタイプのsiRNA分子のヘアピンエリアは「ダイサー」タンパク質(またはその均等物)によって細胞内で切断され、2つの個別の塩基ペアRNA分子を含むsiRNAを形成すると考えられている(上述のTuschi, T. (2002)を参照のこと)。以下に説明されるように、このsiRNAは1つまたはそれ以上のリボヌクレオチドの変性体、置換体、または改質体を含むことができる。例えば、本発明のsiRNAを変性、置換、または改質して1つ以上のデオキシリボヌクレオチド塩基を含むようにすることが可能である。
ここで用いられる「単離された」とは、合成された、または自然の状態から人の手によって変性または取り出されたことを意味する。例えば、生きた動物中に自然に存在するsiRNAは「単離された」ものではないが、合成siRNA、或いはその自然の状態における共存物質から部分的または完全に切り離されたsiRNAは「単離された」ものである。単離されたsiRNAは実質的に精製された形態、または例えばsiRNAを導入された細胞のような非自然的な環境、で存在することが可能である。一例として、自然のプロセスによって細胞内に精製されたsiRNAであるが、「単離された」前駆体分子から生成されたものはそれ自体「単離された」分子である。従って、単離されたdsRNAを標的細胞中に導入することができ、そこでそれがダイサータンパク質(またはその均等物)によって操作され単離されたsiRNAとなる。
ここで用いられる「標的mRNA」とは、JCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子のmRNA或いはJCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子のmRNAの変異体または選択的スプライス形態である。他の霊長類のポリオーマウイルス(BKVまたはSV40等)からの遺伝子がJCVの遺伝子と共通のヌクレオチド配列を含むものであることは理解される。従って、JCVのmRNAと共通のヌクレオチド配列を含むこれらの他の霊長類のポリオーマウイルスの遺伝子から生成されるmRNA(例えば、図5および6を参照のこと)は、本発明の目的において「標的mRNA」である。ここで用いられる「霊長類のポリオーマウイルス」とは、霊長類、特にヒト、に感染する全てのポリオーマウイルスであり、JCV、BKV、およびSV40を含むものである。
霊長類のポリオーマウイルスの全ての種および株(strain)からのagnoprotein遺伝子mRNAおよびラージT抗原遺伝子mRNAを本発明の実施に用いることができる。好ましいagnoprotein遺伝子およびラージT抗原遺伝子のmRNAは、JCV由来のものである。JCVのagnoprotein遺伝子のmRNAをエンコードする核酸配列は、cDNA均等物としてSEQ ID NO:1に与えられている。
斯界に知られている他のJCVのagnoprotein遺伝子のmRNAは、GenBank records Accession No. AF187236 (SEQ ID NO: 2)、Accession No. AF281599 (SEQ ID NO: 3)、Accession No. AF187234 (SEQ ID NO: 4)、Accession No. AF295737 (SEQ ID NO: 5)、およびAccession No. AF295739 (SEQ ID NO: 6)に(cDNA均等物として)開示されているものを含み、その開示全体がここに援用される。
ヒトBKポリオーマウイルス(BKV)株またはSV40ポリオーマウイルスからのagnoproteinも知られている。BKVのagnoprotein遺伝子のmRNAの例は、GenBank record Accession No. M23122 (SEQ ID NO: 7)、およびD00678 (SEQ ID NO: 8)に(cDNA均等物として)与えられており、その開示はここに援用される。SV40のagnoproteinの例は、GenBank record Accession No. M99359 (SEQ ID NO: 9)に(cDNA配列として)与えられており、その開示はここに援用される。
JCVのagnoproteinおよびラージT抗原の遺伝子から転写されるmRNAについても、斯界に広く知られる技術を用いて選択的スプライス形態について分析することが可能である。そのような技術には、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(PT−PCR)、ノーザンブロット法、およびインサイチュ・ハイブリダイゼーションが含まれる。mRNA配列の分析技術については、例えばBusting SA (2000)のJ. Mol. Endocrinol. 25: 169-193に記載されており、その開示はここに援用される。選択的スプライス形態のmRNAを確認する代表的方法については以下にも記載される。
例えば、ある病原遺伝子に関するヌクレオチド配列を含むデータベースを、選択的スプライス形態を確認するために用いることができる。そのようなデータベースはGenBankおよびEmbaseを含む。mRNAまたはJCVのagnoproteinおよびラージT抗原の遺伝子からの遺伝子配列をそのようなデータベースに問い合わせるために用いて、選択的スプライス形態を代表するESTが検出されたかについて決定することが可能である。
「RNAseプロテクション」と呼ばれる技術も、JCVのagnoproteinおよびラージT抗原の遺伝子のmRNAの選択的スプライスを確認するために用いることができる。RNAseプロテクションは遺伝子配列を合成RNAに翻訳することを含み、その合成RNAは他の細胞、例えば、agnoproteinおよびラージT抗原を発現するように誘発される細胞、に由来するRNAにハイブリダイズされる。次に、ハイブリダイズされたRNAは、RNA:RNAハイブリッド不適正を認識する酵素と共に培養される。予想されるものよりも小さなフラグメントは選択的にスプライスされたmRNAの存在を示唆するものである。選択的スプライスと推定されるmRNAは、斯界の当業者に良く知られている方法を用いてクローン化し、配列することができる。
RT−PCRも、選択的にスプライスされたJCVのagnoproteinおよびラージT抗原の遺伝子のmRNAを確認するために用いることができる。RT−PCRにおいては、斯界の当業者の範疇にある方法を用いて、既知の細胞またはJCVのagnoproteinおよびラージT抗原を発現するように誘発された細胞からのmRNAが逆転写酵素によってcDNAに転換される。次に、cDNAの全コード配列が、3’未翻訳部位に位置する順方向プライマーおよび5’未翻訳部位に位置する逆方向プライマーを用いるPCRによって増幅される。増幅された生成物は、例えばその大きさを通常にスプライスされたmRNAから予想される生成物のそれと、例えばアガロースゲル電気泳動法を用いて、比較することによって分析することが可能である。増幅された生成物の大きさにおける如何なる変化も選択的スプライスを示唆する可能性がある。
JCVのagnoproteinおよびラージT抗原の遺伝子の変異体から生成されたmRNAについても、JCVのagnoproteinおよびラージT抗原の遺伝子のmRNAスプライス形態を識別するための上記の技術により容易に確認することができる。ここで用いられるJCVのagnoproteinおよびラージT抗原の遺伝子またはmRNAの「変異体」は、ここで説明されるJCVのagnoproteinおよびラージT抗原の遺伝子とは配列の異なるJCVのagnoproteinおよびラージT抗原の遺伝子またはmRNAを含む。従って、JCVのagnoproteinおよびラージT抗原の遺伝子の対立形態、並びにそれらから生成されるmRNA、は本発明の目的において「変異体」と考えられる。例えば、その開示がここに援用されるJobes DV et al. (1999), J. Human Virol. 2(6): 350-358に記載されるC末端部位において7−アミノ酸欠失を有するagnoproteinをエンコードするJCVのagnoprotein遺伝子のmRNAを参照のこと。
JCVのagnoproteinの遺伝子およびラージT抗原の遺伝子のmRNAが、その各々の選択的スプライス形態または変異体と共通の標的配列、或いは霊長類ポリオーマウイルスの異なる株または種に由来する類似の遺伝子と共通の標的配列、を含む場合があるというのは理解される。従って、そのような共通の標的配列を含む単一のsiRNAは、共通の標的配列を含むこれらの異なるmRNAのRNAiを媒介した分解を誘発することができる。例えば、JCV遺伝子配列を標的とする本発明のあるsiRNAは、BKVおよびSV40遺伝子配列についても標的とすることができる。BKV配列を標的とする本発明のsiRNAを、腎臓移植者に発生するポリオーマウイルス付随の腎障害(PVN)を治療するために用いることが可能である。PVNはgraft lossの主要な原因であり、現在のところその治療法はない。SV40遺伝子配列を標的とする本発明のsiRNAを、中皮腫を含むSV40に誘発される癌の治療に用いることが可能である。
例えば、塩基配列の同一性および非同一性部位を示すJCV、BKV、およびSV40のagnoprotein遺伝子の核酸配列のアライメントは、図5に示されている。同様に、塩基配列の同一性および非同一性部位を示すJCV、BKV、およびSV40のラージT抗原遺伝子の核酸配列のアライメントは、図6に示されている。
本発明のsiRNAは、部分的に精製されたRNA、実質的に純粋なRNA、合成RNA、または組換えにより生成されたRNA、並びに1つまたはそれ以上のヌクレオチドの付加、除去、置換および/または変性によって自然発生によるRNAとは異なる改質RNA、を含むことができる。そのような改質には、siRNAの(両)端またはsiRNAの1つまたはそれ以上の内部ヌクレオチド等へ非ヌクレオチド物質を付加すること;siRNAをヌクレアーゼによる分解に抵抗性を持たせるように改質すること(例えば、2’−置換リボヌクレオチドの使用または糖−リン酸塩主鎖の改質);或いはsiRNA中の1つまたはそれ以上のヌクレオチドをデオキシリボヌクレオチドによって置換すること、が含まれる。血清、涙液、または他のヌクリアーゼ・リッチな環境に晒されるsiRNA、或いは(例えば、点眼器によって)局所的に供給されるsiRNAが、そのヌクレアーゼに対する抵抗性を増加させるために改質されることが好ましい。例えば、血管を経てまたは局所的に目に投与されるsiRNAは、1つまたはそれ以上のホスホロチオエート結合を含むことができる。
本発明のsiRNAの片方または両方の鎖は、3’オーバーハングを含むこともできる。ここで用いられる「3’オーバーハング」とは、RNA鎖の3’末端から延びる少なくとも1つの不対ヌクレオチドを指す。
従って、1つの実施例において、本発明のsiRNAは、(リボヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチドを含む)長さが1から約6のヌクレオチド、好ましくは長さが1から約5のヌクレオチド、より好ましくは長さが1から約4のヌクレオチド、特に好ましくは長さが約2から約4のヌクレオチド、の少なくとも1つの3’オーバーハングを含むものである。
siRNA分子の両鎖が3’オーバーハングを含む実施例においては、オーバーハングの長さはそれぞれの鎖について同一でも異なっていてもよい。最も好ましい実施例においては、3’オーバーハングがsiRNAの両方の鎖に存在しており、その長さは2ヌクレオチドである。例えば、本発明のsiRNAのそれぞれの鎖は、ジチミジル酸(「TT」)またはジウリジル酸(「uu」)の3’オーバーハングを含むことができる。
本願のsiRNAの安定性を高めるために、3’オーバーハングについても分解に対して安定化させることが可能である。一つの実施例において、オーバーハングはアデノシンまたはグアノシンのヌクレオチド等のプリンのヌクレオチドを包含させることによって安定化させられる。その代わりに、例えば3’オーバーハング中のウリジンヌクレオチドを2’−デオキシチミジンにより置換する等によって改質された類似物によってピリミジンヌクレオチドを置換することは許容され、RNAi分解の効率に影響するものではない。特に、2’−デオキシチミジンに2’−ヒドロキシル基がない場合には、組織培養媒体中の3’オーバーハングのヌクレアーゼ抵抗を相当増加させる。
ある実施例においては、本発明のsiRNAは、AA(N19)TTまたはNA(N21)配列を含み、Nはどのヌクレオチドであってもよい。これらのsiRNAは約30〜70%のGCを含むものであり、約50%のG/Cを含むことが好ましい。このセンスsiRNA鎖の配列は(N19)TTまたはN21(即ち、3〜23位置)にそれぞれ対応するものである。後者の場合、センスsiRNAの3’末端はTTに転換される。この配列転換の原理は、センスおよびアンチセンス鎖の3’オーバーハングの配列組成に対して対称的な二重鎖を生成するということである。次に、アンチセンスRNA鎖は、センス鎖の1〜21位置に対する相補鎖として合成される。
これらの実施例における23−ヌクレオチドセンス鎖の1位置はアンチセンス鎖によって配列特異的には認識されないため、アンチセンス鎖の3’最端残基を慎重に選択することができる。しかしながら、アンチセンス鎖の最後から2番目のヌクレオチド(何れの実施例においても23−ヌクレオチドセンス鎖の2位置に相補的である)は、一般的に標的配列に相補的である。
他の実施例において、本発明のsiRNAはNAR(N17)YNN配列を含み、Rはプリン(例えば、AまたはG)であり、Yはピリミジン(例えば、Cまたはu/T)である。従って、この実施例の21−ヌクレオチドセンスおよびアンチセンスRNAのそれぞれは、一般的にプリンヌクレオチドから始まる。そのようなsiRNAは標的サイトを変更することなくpol III発現ベクターにより発現させることが可能であり、この理由は最初に転写されるヌクレオチドがプリンの場合にのみpol IIIプロモーターからのRNAの発現が有効であると考えられているということによる。
本発明のsiRNAは、全ての標的mRNA配列(「標的配列」)中の約19〜25の連続するヌクレオチドの如何なるストレッチをも標的とすることができる。siRNAの標的配列を選択するための技術は、例えば、2002年10月11日に改訂されたTuschl T et al.による「siRNAユーザーガイド」に掲載されており、その全開示がここに援用される。「siRNAユーザーガイド」はDepartment of Cellular Biochemistry, AG 105, Max-Planck-Institute for Biophysical Chemistry, 37077 Goettingen, GermanyのDr. Thomas Tuschlによって管理されるワールドワイドウェブのウェブサイトで閲覧することができ、Max Planck Instituteのウェブサイトにアクセスして「siRNA」をキーワードとして検索することによって検出することが可能である。従って、本願のsiRNAのセンス鎖は、標的mRNA中の約19〜約25のヌクレオチドの全ての連続ストレッチと実質的に同一のヌクレオチド配列を含んでいる。
一般的に、標的mRNAの標的配列は標的mRNAに対応する与えられたcDNA配列から選択することができ、(3’方向からみて)開始コドンから50〜100nt下流から始まるものであることが好ましい。しかしながら、標的配列は、5’または3’未翻訳部分、或いは開始コドンに近い部位に位置していてもよい。適切な標的配列は表1に与えられている。表1には、AAおよびTTジヌクレオチドも示されており、それらはそれぞれ標的配列の5’−および/3’−最末端に位置している。表1中の標的配列および標的鎖は、本発明の好ましいsiRNAのセンス鎖を含むものである。
Figure 2007536937
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表1に記載されている標的配列はagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子のcDNAについてのものであることは理解され、従って、これらの配列は「T」によって示されるデオキシチミジンを含んでいる。斯界の当業者は、実際のmRNAの標的配列においては、デオキシチミジンはウリジン(「u」)によって置き換えられることを理解するであろう。同様に、本発明のsiRNAに含まれる標的配列も、siRNAがジチミジル酸3’−オーバーハングを含む場合を除いて、デオキシチミジンの代わりにウリジンを含むものである。
本発明のsiRNAは、斯界の当業者に知られる数多くの技術を用いて得ることができる。例えば、ここにその全開示が援用されるTuschl et al.による米国公開公報2002/0086356に記載されるショウジョウバエ・インビトロシステム等の斯界に知られる方法を用いて、siRNAを化学的に合成または組換え生成することが可能である。
本発明のsiRNAは、適切に保護されたリボヌクオシドホスホラミダイトおよび慣習的DNA/RNA合成装置を用いて化学的に合成されることが好ましい。siRNAは、2つの分離した相補的RNA分子、または2つの相補的部位を有する1つのRNA分子として合成することが可能である。合成RNA分子または合成薬剤の市販先には、Proligo社 (ハンブルグ,ドイツ)、Dharmacon Research社 (Lafayete, コロラド州,米国)、Pierce Chemical社 (Perbio Science社の一部, Rockford, イリノイ州,米国)、Glen Research社 (Sterling, バージニア州, 米国)、ChemGenes社 (Ashland, マサチューセッツ州, 米国)、およびCruachem社 (グラスゴー, 英国)が含まれる。
その代わりに、siRNAを適切なプロモーターを用いて、組換え環状または直鎖DNAプラスミドから発現することが可能である。プラスミドから本発明のsiRNAを発現するのに適切なプロモーターには、例えば、U6またはH1 RNA pol IIIプロモーター配列およびサイトメガロスウイルス・プロモーターが含まれる。他の適切なプロモータの選択については視界の当業者の範疇にある。本発明の組換えプラスミドは、特定の組織または特定の細胞内環境におけるsiRNAの発現を誘発可能なまたは調節可能なプロモーターも包含することが可能である。
組換えプラスミドから発現されたsiRNAは、標準的な方法によって培養細胞発現システムから単離させるか、細胞内で発現させることが可能である。本発明のsiRNAをインビボで細胞に送るための組換えプラスミドの使用については、以下に詳細に説明される。
本発明のsiRNAは、2つの分離した相補的RNA分子、または2つの相補的部位を有する1つのRNA分子として組換えプラスミドから発現することが可能である。
本発明のsiRNAを発現するのに適したプラスミドの選択、siRNAを発現するための核酸配列をプラスミドに導入する方法、目的とする細胞へ組換えプラスミドを到達させるための方法、については斯界の当業者の範疇にある。例えば、ここにその全開示が援用される、Tuschl, T. (2002), Nat. Biotechnol, 20: 446-448; Brummelkamp TR et al. (2002), Science 296: 550-553; Miyagishi M et al. (2002), Nat. Biotechnol. 20: 497-500; Paddison PJ et al. (2002), Genes Dev. 16: 948-958; Lee NS et al. (2002), Nat. Biotechnol. 20: 500-505;およびPaul CP et al. (2002), Nat. Biotechnol. 20: 505-508を参照のこと。
1つの実施例において、本発明のsiRNAを発現するプラスミドは、ヒトU6 RNAプロモーターの制御下でポリT終止配列と操作可能に連結するセンスRNA鎖コード配列、およびヒトU6 RNAプロモーターの制御下でポリT終止配列と操作可能に連結するアンチセンスRNA鎖コード配列を含むものである。そのようなプラスミドを、本発明のsiRNAを発現するための組換えアデノ随伴ウイルスベクターを生成するために用いることが可能である。
ここで用いられる「ポリT終止配列と操作可能に連結する」とは、センスまたはアンチセンス鎖をコード化する核酸配列が、ポリT終止信号に対して5’方向に直接隣接するということを意味する。プラスミドからのセンスまたはアンチセンス配列の転写において、ポリT終止信号が転写を終結させるように作用する。
ここで用いられるプロモーターの「制御下」とは、センスまたはアンチセンス鎖をコード化する核酸配列がプロモーターの3’に位置していることを意味し、それによってプロモーターがセンスまたはアンチセンス・コード配列の転写を開始できる。
本発明のsiRNAは、インビボの細胞内において組換えウイルスベクターから発現させることも可能である。本発明の組換えウイルスベクターは、本発明のsiRNAをコード化する配列およびsiRNA配列を発現するのに適したプロモーターを含むものである。適切なプロモータには、例えば、U6またはH1 RNA pol IIIプロモーター配列およびサイトメガロウイルスプロモーターが含まれる。他の適切なプロモーターの選択は視界の当業者の範疇にある。本発明の組換えウイルスベクターは、特定の組織または特定の細胞内環境におけるsiRNAの発現を誘発可能なまたは調節可能なプロモーターも包含することが可能である。本発明のsiRNAをインビボの細胞に到達させるための組換えウイルスベクターの使用については以下により詳細に説明される。
本発明のsiRNAは、2つの分離した相補的RNA分子、または2つの相補的部位を有する1つのRNA分子として組換えウイルスベクターから発現することが可能である。
発現されるsiRNA分子のためのコード配列を受け入れることのできる全てのウイルスベクター、例えば、アデノウイルス(AV)、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス(例えば、レンチウイルス(LV)、ラブドウイルス、マウス白血病ウイルス)、ヘルペスウイルス等、を用いることができる。ウイルスベクターの親和性については、エンベロープたんぱく質または他のウイルスからの別の表面抗原を用いてベクターを偽型にすることによって、或いは異なるウイルスカプシドタンパク質を適切に置換することによって、改質することが可能である。
例えば、本発明のレンチウイルスを、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、狂犬病ウイルス、エボラウイルス、モコラウイルス等からの表面タンパク質によって偽型とすることができる。本発明のAAVベクターは、異なるカプシドタンパク質セロタイプを発現するように操作することによって、他の細胞を標的とするように作り変えることが可能である。例えば、セロタイプ2ゲノム上のセロタイプ2カプシドを発現するAAVベクターは、AAV2/2と呼ばれる。AAV2/2ベクター中のこのセロタイプ2カブシド遺伝子を、AAV2/5ベクターを生成するために、セロタイプ5カブシド遺伝子と置き換えることが可能である。異なるカプシドタンパク質セロタイプを発現するAAVベクターを作る技術は斯界の当業者の範疇にあり、例えばその全開示がここに援用されるRabinowitz JE et al. (2002), J Virol 76: 791-801を参照のこと。
本発明において適切に用いられる組換えウイルスベクターの選択、siRNAを発現するための核酸配列をベクターに導入する方法、目的とする細胞へ組換えウイルスベクターを到達させるための方法、については斯界の当業者の範疇にある。例えば、ここにその全開示が援用される、Dornburg R (1995), Gene Therap. 2: 301-310; Eglitis MA (1988), Biotechniques 6: 608-614; Miller AD (1990), Hum Gene Therap. 1: 5-14; Anderson WF (1988), Nature 392: 25-30;およびRubinson DA et al., Nat. Genet. 33: 401-406を参照のこと。
好ましいウイルスベクターはAVおよびAAV由来のものである。特に好ましい実施例において、本発明のsiRNAは、例えば、U6またはH1 RNAプロモーターの何れか、或いはサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターを含む組換えAAVベクターからの2つの分離した相補的単一鎖RNA分子として発現される。
本発明のsiRNAを発現するのに適したAVベクター、組換えAVベクターを作る方法、標的細胞にベクターを到達させる方法、については、Xia H et al. (2002), Nat. Biotech. 20: 1006-1010に記載されている。
本発明のsiRNAを発現するのに適したAAVベクター、組換えAVベクターを作る方法、標的細胞にベクターを到達させる方法、については、その全開示が援用されるSamulski R et al. (1987), J. Virol. 61: 3096-3101; Fisher KJ et al. (1996), J. Virol., 70: 520-532; Samulski R et al. (1989), J. Virol. 63: 3822-3826; U.S. Pat. No. 5,252,479; U.S. Pat. No. 5,139,941; International Patent Application No. WO 94/13788およびInternational Patent Application No. WO 93/24641に記載されている。
与えられた標的配列を含有するsiRNAの標的mRNAのRNAiを媒介とする分解能は、細胞中のRNAまたはタンパク質のレベルを測定する標準的な技術を用いて評価することが可能である。例えば、本発明のsiRNAをJCVに感染した培養細胞に導入することができ、標的mRNAのレベルをノーザンプロット法またはドットブロット法、或いは量的RT−PCRによって測定することができる。その代わりに、培養細胞中のagnoproteinまたはラージT抗原のレベルをELISAまたはウエスタンプロット法により測定することもできる。培養細胞をJCVに感染させる適切なプロトコール、培養細胞へのsiRNAの導入、培養細胞中のタンパク質およびmRNAレベルの検出法については斯界の当業者の範疇である(例えば、下記の実施例を参照のこと)。
上述のように、本発明の目的であるsiRNAは、JCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子のmRNA或いはそれらの選択的スプライス形態または変異体のRNAiを媒介とする分解を起こすことができる。本発明のsiRNAが他の霊長類ポリオーマウイルス遺伝子(例えば、BKVおよび/またはSV40の遺伝子)と共通の標的配列を含む場合には、当該siRNAはこれらの他の霊長類ポリオーマウイルス遺伝子から生成されるmRNAについても同様に分解することが可能である。本願のsiRNAによる標的mRNAの分解は、これらの遺伝子からの機能的遺伝子生成物の生成を減少させ、他のJCV遺伝子(VP1遺伝子等)の発現についてもこれを妨げるか減少させる。従って、本発明は、標的とするmRNAを分解するように被験者に対して効果量のsiRNAを投与することを含む、被験者中のagnoprotein遺伝子、ラージT抗原遺伝子、またはその他のJCV遺伝子(VP1等)の発現を抑制する方法を提供するものである。また、本発明は、本願のsiRNAによるRNAiを媒介とする分解によって被験者中のJCVウイルス感染および/または複製を抑制する方法を提供するものである。
本発明のsiRNAを、斯界に知られるJCVに付随の疾患または他の霊長類ポリオーマウイルスによる疾患の治療に用いることも可能である。例えば、JCV感染は、脱髄性疾患であるPMLを起源とする(脊髄芽腫、グリア芽腫を含む)中枢神経系(CNS)の癌に付随するものである。従って、本願は、被験者に本発明の1種以上の効果量のsiRNAを投与することを含む、JCV、BKVおよび/またはSV40感染に付随する疾患の処置方法を提供するものである。
ここで用いられる「JCV感染に付随する疾患」とは、活性的または潜在的JCV感染の存在に関連する全ての疾患および障害を意味する。JCV感染に付随する疾患の例は、脊髄芽腫、グリア芽腫等のCNS癌、およびPML等の脱髄性疾患である。ここで用いられる「BKV感染に付随する疾患」とは、活性的または潜在的BKV感染の存在に関連する全ての疾患および障害を意味し、ポリオーマウイルス付随の神経障害を含む。ここで用いられる「SV40感染に付随する疾患」とは、活性的または潜在的SV40感染の存在に関連する全ての疾患および障害を意味し、中皮腫等のSV40誘発性癌を含む。
ここで用いられるJCV感染に付随する疾患を「処置する」とは、疾患に付随する症状が悪化せず、これを軽減するか防止することを意味する。JCVに付随する疾患の症状についての評価は斯界の当業者の範疇にある。
本発明の実施において、JCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子のmRNA中の異なる標的配列を含む2種以上のsiRNAを被験者に投与することが可能である。好ましい実施例においては、そのそれぞれがJCVのagnoprotein遺伝子およびラージT抗原遺伝子mRNAからの標的配列を含む2種以上のsiRNAが被験者に投与される。
ここで用いられる「被験者」には、ヒトおよびヒト以外の動物が含まれる。被験者は、好ましくはヒトである。
ここで用いられるsiRNAの「効果量」とは、標的とするmRNAのRNAiを媒介とする分解を起こすのに十分な量、または被験者のJCV、BKV、および/またはSV40感染に付随する疾患を処置するのに十分な量である。
標的mRNAのRNAiを媒介とする分解は、上述のようにmRNAまたはタンパク質を単離し定量化する標準的な技術を用いて、被験者の細胞中の標的mRNAまたはタンパク質のレベルを測定することによって検出することが可能である。
本発明のsiRNAが亜当量のRNA干渉を媒介することができることは理解される。如何なる理論にも拘束されることを望むものではなく、本発明のsiRNAは標的mRNAを分解するためのRISCを触媒的手段で誘発するものと考えられる。従って、霊長類のポリオーマウイルス(例えば、JCV、BKVおよび/またはSV40)の複製または感染を阻害する標準的な技術と比較して、相当に少ないsiRNAを被験者に投与しても治療効果を得ることができる。
斯界の当業者は、被験者の身長および体重、JCV感染または疾患の程度、年齢、被験者の健康状態および性別、投与のルート、投与が部分的なものか全身的なものか、等の要素を考慮して、被験者に投与される本発明のsiRNAの効果量を容易に決定することができる。一般的に、本発明のsiRNAの効果量は、新血管形成部位またはその近辺の細胞間濃度にして約1ナノモル(nM)から約100nM、好ましくは約2nMから約50nM、より好ましくは約2.5nMから約10nMである。本発明のsiRNAの特に好ましい効果量は、新血管形成部位またはその近辺の細胞間濃度にして約1nM、約5nM、または約25nMである。それ以上または以下の効果量のsiRNAを投与することも考慮される。
JCV、BKVおよび/またはSV40感染に付随する疾患を治療するために、本発明のsiRNAを本願のsiRNAとは異なる薬剤と組み合わせて被験者に投与することが可能である。例えば、本発明のsiRNAの投与を、癌の治療または腫瘍の転移防止のために現在用いられている治療方法(放射線療法、化学療法、外科手術等)と組み合わせて行うことが可能である。腫瘍の治療に関して、放射線治療、またはシスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、5−フルオロウラシル、アドリアマイシン、ダウノルビシン、タモキシフェン等の化学療法剤と組み合わせて本発明のsiRNAを被験者に投与することが好ましい。
本発明の方法において、siRNAをそのままの形態、または導入剤と組み合わせて、あるいはsiRNAを発現する組換えプラスミドまたはウイルスベクターとして被験者に投与することが可能である。
本願のsiRNAと組み合わせての投与に適した導入剤には、Mirus Transit TKO 親油性剤、リポフェクチン、リポフェクタミン、セルフェクチン、ポリカチオン(ポリリシン等)、リポソームが含まれる。好ましい導入剤はリポソームである。
リポソームはsiRNAを網膜または腫瘍組織等の特定の組織に導入する補助となり、siRNAの血中半減期を増加させることができる。本発明において使用に適したリポソームは、中性または負電荷のリン脂質およびコレステロール等のステロールを一般的に含む標準的なベシクル形成脂質から形成される。脂質については、通常は、所望されるリポソームの大きさ、血流中でのリポソームの半減期等の要素を考慮することによって選択される。リポソームを調製するための様々な方法が知られており、例えば、ここにその全開示が援用されるSzoka et al. (1980), Ann. Rev. Biophys. Bioeng. 9: 467および米国特許第4,235,871号、第4,501,728号、第4,837,028号、第5,019,369号に記載されている。
本発明のsiRNAを包むリポソームは、JCV、BKVおよび/またはSV40等の霊長類ポリオーマウイルスに感染した細胞を当該リポソームの標的とすることができるリガンド分子を含むものであることが好ましい。
本発明のsiRNAを包むリポソームは、例えば、その構造表面にオプソニン化阻害部分を結合させることによって、単核マクロファージおよび細網内皮系による排除を避けるように改質されることが特に好ましい。1つの実施例において、本発明のリポソームはオプソニン化阻害部分とリガンドの両方を有することが可能である。
本発明のリポソームの調製に用いられるオプソニン化阻害部分は、典型的には、リポソーム膜に結合するラージ親水性ポリマーである。ここで用いられるように、例えば、膜自体との相互作用によって、または膜脂質の活性基へ直接結合することによって、脂溶性アンカーが化学的または物理的に膜に付着したときに、オプソニン化阻害部分はリポソーム膜に「結合する」。これらのオプソニン化阻害親水性ポリマーは、例えばここにその全開示が援用される米国特許第4,920,016号に記述されているように、マクロファージ-単球系(MMS)および細網内皮系(RES)によるリポソームの摂取を相当減少させる保護表面を形成する。従って、オプソニン化阻害部分によって改質されたリポソームは、未改質のリポソームに比較して遥かに長く循環に留まる。この理由により、そのようなリポソームはときに「ステルス」リポソームと呼ばれる。
ステルスリポソームは、多孔性または「漏出性」微小血管系により栄養を与えられる組織に蓄積することが知られている。従って、そのような微小血管系の欠陥によって特徴付けられる組織、例えば、固形腫瘍は、これらのリポソームを十分に蓄積する(Gabizon, et al. (1988), P.N.A.S., USA, 18: 6949-53参照)。加えて、RESによる摂取の減少は、肝臓および脾臓への過剰な蓄積を妨げることによってステルスリポソームの毒性を低下させる。従って、オプソニン化阻害部分によって改質された本発明のリポソームは、本発明のsiRNAを腫瘍細胞に移送するのに特に適している。
リポソームの改質に適したオプソニン化阻害部分は、数平均分子量が約500〜約40000ダルトン、より好ましくは約2000〜約20000ダルトン、である水溶性ポリマーであることが好ましい。そのようなポリマーには、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコール(PPG)、例えば、メトキシPEGまたはメトキシPPG、およびPEGステアレートまたはPPGステアレート;合成ポリマー、例えば、ポリアクリルアミドまたはポリN−ビニルピロリドン;直鎖、分枝、またはデンドリマー、ポリアミドアミン;ポリアクリル酸;ポリアルコール、例えば、カルボキシル基またはアミノ基とガングリオシドGM等のガングリオシドとが化学的に結合したポリビニルアルコールおよびポリキシリトール、が含まれる。PEGコポリマー、メトキシPEGコポリマー、またはメトキシPPGコポリマー、或いはそれらの誘導体も適している。加えて、オプソニン化阻害ポリマーは、PEGとポリアミノ酸、ポリサッカリド、ポリアミドアミン、ポリエチレンアミン、またはポリヌクレオチドの何れかとのブロックコポリマーであることができる。また、オプソニン化阻害ポリマーは、例えば、ガラクツロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、ヒアルロン酸、ペクチン酸、ノイラミン酸、アルギン酸、カラギナン酸等のアミノ酸またはカルボン酸を含む天然ポリサッカリド;アミノ化ポリサッカリドまたはオリゴサッカリド(直鎖または分枝);例えば、カルボン酸の誘導体と反応し生じたカルボキシル基と結合したカルボキシル化ポリサッカリドまたはオリゴサッカリド、であることができる。
オプソニン化阻害部分は、PEG、PPG、またはそれらの誘導体であることが好ましい。PEGまたはPEG誘導体によって改質されたリポソームはときに「PEG化リポソーム」と呼ばれる。
オプソニン化阻害部分は、数多くの良く知られた技術の何れかを用いてリポソーム膜に結合させることができる。例えば、PEGのN-ヒドロキシスクシンイミドエステルをホスファチジル-エタノールアミン脂溶性アンカーに結合させた後、膜に結合させることが可能である。同様に、Na(CN)BH3とテトラヒドロフラン及び水の30:12混合溶媒とを60℃で用いて、デキストランポリマーをステアリルアミン脂溶性アンカーとの還元的アミノ化によって誘導体化することが可能である。
本発明のsiRNAを発現する組換えプラスミドは上述されている。そのような組換えプラスミドについても、直接、またはMirus Transit LT1 親油性剤、リポフェクチン、リポフェクタミン、セルフェクチン、ポリカチオン(ポリリシン等)、またはリポソーム等の適切な導入剤と組み合わせて、投与することが可能である。本発明のsiRNAを発現する組換えウイルスベクターについても上述されており、そのようなベクターをJCVに感染した被験者の細胞に導入する方法は斯界の当業者の範疇にある。
本発明のsiRNAを、例えば、JCV、BKVおよび/またはSV40等の霊長類ポリオーマウイルスに感染した細胞にsiRNAを導入するのに適した全ての手段により被験者に投与することが可能である。例えば、遺伝子ガン、エレクトロポレーション、或いは他の適切な非経口的または経腸的投与ルートによってsiRNAを投与することができる。
適切な経腸的投与ルートには、口、直腸、鼻腔が含まれる。
適切な非経口的投与ルートには、血管内投与(例えば、静脈内ボーラス注射、静脈内注入、動脈内ボーラス注射、動脈内注入、および血管系へのカテーテル点滴);組織周囲または組織内投与(例えば、腫瘍周囲および腫瘍内注射、網膜内注射または網膜下注射)、皮下注射または(浸透圧ポンプによる)皮下注入を含む皮下デポジション;例えば、カテーテルまたは(角膜ペレットまたは座薬、点眼剤、或いは多孔性、非多孔性、またはゼラチン状物質を含むインプラント等の)他のプレースメント機器による、新血管形成箇所またはその近辺部位への直接(局所的)塗布;および吸入が含まれる。適切なプレースメント機器には、ここにその全開示が援用される米国特許第5,902,598号および第6,375,972号に記載される眼内インプラント、並びに米国特許第6,331,313号に記載される生分解性眼内インプラントが含まれる。そのような眼内インプラントは、Control Delivery Systems, Inc. (Watertown、マサチューセッツ州)およびOculex Pharmaceuticals, Inc. (Sunnyvale、カリフォルニア州)から入手可能である。
好ましい実施例において、siRNAの注射または注入は、霊長類ポリオーマウイルスの感染部位またはその近辺に対して行われる。
本発明のsiRNAは単回投与されてもよいし、複数回投与されてもよい。本発明のsiRNAの投与が注入によるものである場合、注入は1回の徐放的投与であってもよいし、複数回の注入であってもよい。
斯界の当業者は、特定の被験者に対する本発明のsiRNAの投与についての適切な投与計画を容易に決定することができる。例えば、霊長類ポリオーマウイルスの感染部位またはその近辺に1回注射またはデポジションすることによって、本発明のsiRNAを被験者に対して1回投与することが可能である。その代わりに、被験者に対して本発明のsiRNAを、毎日または毎週、複数回投与することもできる。例えば、本発明のsiRNAを約3週間〜約28週間、より好ましくは約7週間〜約10週間、の期間に渡って週に1回被験者に投与することが可能である。好ましい投与計画において、本発明のsiRNAは週に1回、7週間に渡って霊長類ポリオーマウイルスの感染部位またはその近辺に注射される。PML等の脱髄性疾患を患っている被験者に対しては、本発明のsiRNAの期間投与が無期限にならざるを得ない場合があることは理解される。
投与計画がsiRNAの複数回の投与またはそれぞれが異なる標的配列を含む2種以上のsiRNAの投与である場合には、被験者に投与されるsiRNAの効果量は投与計画全体を通じて投与されたsiRNAの総量となり得ることは理解される。
本発明のsiRNAは、斯界に知られる技術に従って、被験者に投与される前に医薬組成物として配合されることが好ましい。本発明の医薬組成物は、少なくとも滅菌されていて発熱物質を含まないものであることに特徴付けられる。ここに用いられる「医薬的配合」とはヒトおよび動物に使用される配合を含むものである。本発明の医薬組成物を調製する方法は斯界の当業者の範疇にあり、例えば、その全開示がここに援用されるRemington’s Pharmaceutical Science, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa. (1985)に記載されている。
本発明の医薬的配合は、本願のsiRNA(例えば、0.1〜90重量%)または生理学的に許容されるキャリア媒体と混合された生理学的に許容されるその塩を含むものである。好ましい生理学的に許容されるキャリア媒体は、水、緩衝水、通常生理食塩水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシン、ヒアルロン酸、等である。
本発明の医薬組成物は、従来の医薬賦形剤および/または添加剤も含むことができる。適切な医薬賦形剤には、安定剤、抗酸化剤、重量オスモル調整剤、緩衝剤、およびpH調整剤が含まれる。適切な添加剤には、生理学的に生体適合性の緩衝剤(例えば、塩酸トロメタミン)、chelantの付加物(例えば、DTPAまたはDTPA−ビスアミド等)、カルシウムキレート錯体(例えば、カルシウムDTPA、CaNaDTPA−ビスアミド)、或いは、任意に、カルシウムまたはナトリウム塩の付加物(例えば、塩化カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム)が含まれる。本発明の医薬組成物は、使用に際して液体形体で容器に入れることも、凍結乾燥させることも可能である。
固体の組成物に関しては、従来の無毒性固体キャリア、例えば、医薬レベルのマンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、グルコース、ショ糖、炭酸マグネシウム、等を用いることができる。
例えば、経口投与用の固体医薬組成物は、上述のリストにある全てのキャリアおよび賦形剤と10〜95%、好ましくは25%〜75%、の1種以上の本発明のsiRNAを含むことができる。エアロゾル(吸入用)投与のための医薬組成物は、上述のリポソームに包含された0.01〜20重量%、好ましくは1〜10重量%、の1種またはそれ以上の本発明のsiRNAと噴射剤とを含むことができる。例えば、鼻腔導入用のレシチンといったキャリアについても必要に応じて包含することが可能である。
次に、本発明を以下の非制限的実施例によって説明する。
実施例
PMLの治療においては、JCV遺伝子の発現と複製とを効果的に阻害することが第一のそして最も重要なステップであるので、初期(T抗原)および後期(Agnoprotein)ゲノムによって発現されるウイルス制御タンパク質の発現を標的とするためにRNA干渉を用いた。結果は、T抗原とagnoproteinとを標的とするsiRNAを組み合わせて感染細胞を処置することによって、神経膠細胞内のウイルス性カプシドタンパク質の生成が完全に抑止されたことを示した。
実験の第一段階において、私たちが設計したsiRNAがJCVのT抗原の発現を抑制する能力について評価を行った。ヒト胎児の一次星状膠細胞にT抗原(pCMV−T抗原)を発現するプラスミドを導入し、次に、細胞にT抗原を標的とするsiRNAオリゴヌクレオチドを導入した。図1に示すように、T抗原のsiRNAによる細胞の処置はT抗原のレベルを減少させたが、無関係の細胞タンパク質であるgrb−2の生成について減少させることはなかった。siRNAによるT抗原の抑制を更に証明するために、T抗原のsiRNAによる細胞の処置において、星状膠細胞内におけるT抗原によるJCV後期プロモーター(JCV)の活性化のレベルを試験する機能アッセイを行った。結果は、T抗原によるJCV転写活性が50%以上減少したことを示し、観察されたsiRNAによるT抗原レベルの減少は、ウイルス後期ゲノムの発現を誘発するその能力についての機能的帰結を示唆するものであった。感染の間にT抗原のsiRNAがウイルス遺伝子発現を抑制する能力を調べるために、ヒト胎児の一次星状膠細胞をJCVのMad−4株に感染させ、感染後1、5、10日目に、細胞にT抗原のsiRNAオリゴヌクレオチドを導入した。感染後15日目のウイルスタンパク質の分析結果は、対照の細胞と比較して、siRNA処置細胞におけるT抗原の劇的な抑制、agnoproteinの最低限の減少、ウイルスカプシドタンパク質であるVP1のレベルの顕著な減少を示した。ウイルス感染とsiRNA処置の何れもgrb-2の生成レベルに影響を与えるものではなかった。
siRNAによってT抗原を標的とする私たちの戦略が、agnoproteinおよび主要なカプシドタンパク質であるVP1の生成において部分的な効果しか有さなかったため、第二段階として、JCVのagnoproteinの発現を標的とするsiRNAを設計し、これを用いた。前回と同様、agnoproteinのサイレンシング発現におけるagnoproteinのsiRNAの有効性を導入アッセイにより最初にテストした。図2Aに示されるように、YFP−agnoproteinを発現する細胞にagnoproteinのsiRNAオリゴヌクレオチドを導入することによって細胞中のagnoproteinの生成が劇的に抑制された。興味深いことに、JCVゲノムの類似部位とは2つのヌクレオチドが異なるだけのポリオーマウイルスであるBKVからのagnoprotein用に設計されたsiRNAは、導入された細胞中でのJCVのagnoproteinの発現を抑制することができず、設計されたsiRNAの高い特異性レベルが証明された。同様に、JCVのagnoproteinのsiRNAであってBKVのagnoproteinのsiRNAではないものが、JCVに感染したヒト胎児星状膠細胞におけるJCVのagnoproteinの生成を劇的に抑制した。特筆すべきことは、siRNAによるagnoproteinの消滅がウイルス初期タンパク質であるT抗原の生成に影響を及ぼしたということである。この観察は、agnoproteinがT抗原の発現を促進させることを示唆するものである。また、VP1レベルの顕著な減少が、JCVのagnoproteinのsiRNAによって処置された細胞中に見出された。
次段階の実験において、T抗原およびagnoproteinの両方のsiRNAの組み合わせを、ウイルス初期および後期制御タンパク質の発現を阻止し、ウイルスの主要なカプシドタンパク質の発現レベルを試験するために用いた。T抗原およびYFP-agnoproteinを発現するプラスミドを導入した細胞から得られた結果は、両方のsiRNAによって処置された細胞におけるT細胞およびagnoproteinの双方のレベルの劇的な減少を示すものであった。感染後、処置された細胞からのタンパク質抽出物のウェスタンプロット分析によってはいずれのタンパク質に対応するバンドも検出されなかったことから、JCVに感染した細胞におけるsiRNAによる処置はT抗原およびVP1の発現を完全に抑止するものであった。両方のsiRNAによる細胞の処置によって、感染細胞におけるagnoproteinのレベルが減少した。T抗原およびagnoproteinのsiRNAによるT抗原およびVP1の完全な抑制は、ウイルス遺伝子発現およびタンパク質生成についての組み合わせ処置の有効性を示すものである。
代わりの手法として、ウイルス制御タンパク質の1方または両方を標的とするsiRNAによる処置において、感染細胞中のウイルスタンパク質のレベルおよび細胞下の位置を評価するために免疫細胞化学を用いた。図4に示されるように、高レベルのT抗原およびVP1が発現され、JCVに感染したヒト胎児一次星状膠細胞の核中に適正に集中した。また、前述のレポート(Del Valle et al, 2001b; Radhakrishnan et al, 2003; Okada et al, 2001)に一致して、JCV感染細胞において細胞質内の核周囲蓄積による高レベルのagnoproteinが観察された。これらの細胞をT抗原のsiRNAによって処置することにより、T抗原およびVP1の両方の発現が劇的に減少したが、agnoproteinの生成については最低限の効果しか得られなかった。AgnoproteinのsiRNAによる処置は、agnoproteinおよびVP1のレベルの大幅な減少を生じ、全部ではないが幾つかの感染細胞の核中でのT抗原の出現の抑制につながった。類似の条件下においてBKVのagnoproteinのsiRNAは、T抗原、VP1、またはagnoproteinの生成について何の効果も有さなかったことから、観察された現象は特異的なものであるといえる。JCVのT抗原およびagnoproteinを標的とするsiRNAによる感染細胞の処置は、ウイルス初期および後期遺伝子の双方の発現をサイレンシングし、2つのウイルス制御タンパク質用のsiRNAによる感染細胞の処置は、JCVに感染したヒト星状膠細胞中におけるウイルス遺伝子の発現を効果的に阻害することを示唆するものである。
哺乳類の細胞中におけるウイルス複製に対する細胞内免疫化は、ウイルス遺伝子の発現と効果的に干渉するタンパク質および/またはRNAの発現によって行うことが可能である。この点に関し、スモール干渉RNAおよびsiRNA等の小さな分子を用いることによって遺伝子の発現を干渉するRNAの使用は、近年、そのウイルス遺伝子発現に影響を与える能力によって特に注目されている(Gitlin et al, 2002; Jacque et al, 2002; Ying et al, 2003; Chang and Taylor, 2003)。一旦形成されると、siRNAは標的mRNAを認識して分解するタンパク質複合体中に組み込まれることができる(Gitlin and Andino, 2003)。この研究において、我々はウイルス初期制御タンパク質であるT抗原およびウイルス後期制御タンパク質であるagnoproteinに対応するJCVゲノムの2つの部位に対して、21ヌクレオチドのsiRNAデュプレックスを導入した。JCVの初期ゲノムを標的とする理論的根拠は、ウイルスDNAの複製およびカプシドタンパク質に責任を有するウイルス後期ゲノムの発現を含むウイルス溶解サイクルを開始するためにT抗原の発現が必須の初期イベントであるということを示す確立された情報に基づくものである。結果は、T抗原用の1種のsiRNAデュプレックスがT抗原のレベルを減少させることができる一方で、減少したレベル、即ち50%以上、であろうとも後期遺伝子発現およびカプシド生成を誘発するのに十分なT抗原が存在することを示した。T抗原のsiRNAが感染細胞中におけるより強い効果を示した一方で、一過性的な導入アッセイにおいてはsiRNAがT抗原プラスミドの24時間後に導入されたため、T抗原発現ベクターが導入されたのと同一の細胞に到達しなかった可能性について注意すべきである。更に、安定した細胞系の研究においては、このsiRNAがT抗原の発現を完全に抑止したことを示している(データ非表示)。
Agnoproteinの制御機能に帰する前述の結果に照らして、我々はagnoproteinの生成を標的とするsiRNAを発展させ、その使用によってウイルス初期および後期タンパク質の生成についても50%以上減少させることができることを示した。我々はagnoproteinのsiRNAが、RNAおよびタンパク質レベルの両方でT抗原の発現を相当抑制することについても観察した(Safak et al, 非公開の観察)。何れのsiRNAもJCVのカプシドタンパク質であるVP1を直接の標的とするものではなかったが、我々はそれらの組み合わせることによって当該タンパク質の生成を完全に停止させることに成功した。主要なカプシドタンパク質であるVP1が感染性ビリオンの生成に必須であるということに照らして、VP1の発現をT抗原およびagnoproteinを標的とすることを通して阻害することができ、増殖的感染を抑止することが可能になることは非常に興味深いことである。これらのデータは、RNA干渉技術によってJCVゲノムの発現を効果的に制御することができることを示すものである。JCV等の二重鎖DNAウイルスのゲノム安定性並びにT抗原およびagnoproteinの両方がウイルスの複製に必須であるという事実は、これらの2つのタンパク質を魅力的な医療用の標的とするものである。
〔参照文献〕
Figure 2007536937
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一過性導入され感染したヒト一次星状膠細胞におけるJCVのT抗原のsiRNAによるJCVタンパク質発現の減少。 ヒト胎児の一次星状膠細胞を以前に記述されたように調製し、500000細胞/wellの密度で6個のウェル・プレートに接種した(Radhakrishnan et al, 2003)。一過性導入に関して、FuGENE6を用いてJCVのT抗原を発現するプラスミドを細胞に導入した(Kerr et al, 1993)。その翌日、JCVのMad−1株のnt4256-4276(センス鎖5’-AAGUCUUUAGGGUCUUCUACCUdTdT−3’)標的とするJCVのT抗原の二重鎖21bpのsiRNAを細胞に導入した。このsiRNAは、二重鎖、2’-脱保護、脱塩オリゴヌクレオチドとして調製され、製造元(Dharmacon社)の用法に基づいて使用された。siRNAの導入に関して、100pmolのsiRNAを3ulのオリゴフェクタミン(Invitrogen社)と混合し、OptiMEM(Invitrogen社)によって希釈し、血清および抗生物質のない状況下において細胞培養地と共に37℃で4時間培養した。導入の後、siRNA導入混合物を除去することなく、細胞に血清含有培地を与えた。A. siRNAの導入から24時間後に感染星状膠細胞から調製された全細胞抽出物について、T抗原(pAb416, Oncogene Science社)および無関係のタンパク質であるgrb-2の存在をウエスタンブロット法によって分析した(それぞれ上および下パネル)。B. 平行して、1.0ugのJCVT抗原発現プラスミドとJCV後期プロモーター(Mad−1株)を含む0.5ugのルシフェラーゼ・レポーター構成物とを導入した検体をsiRNAで処置した24時間後に取り出し、製造元の指示(Promega luciferase assay system)に従ってルシフェラーゼ活性を測定した。活性は、1〜4の実験において任意に設定されたJCVの後期プロモーターの背景活性に対する変化で示されている。標準偏差は誤差棒によって表されている。C. 一次星状膠細胞を血清を含まない培地中でM.O.Iが1においてJCVのMad-4株に37℃で3時間感染させた。次に、感染の1、5、10日後にT抗原のsiRNAを非感染および感染細胞に導入して15日目に取り出した。JCVの初期および後期タンパク質、T抗原(pAb416, Oncogene Research Products社)、agnoprotein(Del Valle et al, 2001a)、VP1(pAb597, Brown UniversityのWalter Atwood氏より提供)に加えて細胞タンパク質であるgrb-2(pAb81, BD Biosciences社)についてもその存在を全細胞抽出物についてウエスタンブロット法によって分析した。ホースラディッシュペルオキシダーゼを接合した二次抗体およびECL-Plusシステム(Amersham社)を用いてタンパク質を可視化した。 ヒト一次星状膠細胞におけるJCVのagnoproteinのsiRNAによるagnogeneの発現および他のウイルスタンパク質の減少。 ヒト胎児の一次星状膠細胞の調製、一過性導入、siRNA処置、およびウエスタンブロット法を明細書本文および図1の説明に記載されるように行った。YFPに融合させたJCVのagnoproteinを含むプラスミド(Darbinyan et al, 2002)を細胞に導入した。JCVのagnoproteinのsiRNAは、JCVのMad−1株のnt324-342(センス鎖5’-AACCUGGAUGGAACAAAdTdT−3’)を標的とし、一方、非特異性siRNA(ns siRNA)は、BKJのダンロップ株のnt435-453(センス鎖5’-AACCUGGAUGGAACAAAdTdT−3’)を標的とした。JCVとBKVのagnoprotein配列間の2つの塩基対の不一致はアンダーラインで示されている。A. 特異的または非特異的なsiRNAの導入から24時間後に感染星状膠細胞から調製された全細胞抽出物について、agnoproteinおよび無関係の細胞要素であるgrb-2の存在をウエスタンブロット法によって分析した(それぞれ上および下パネル)。B. 次に、JCVのMad-4株に感染/非感染の一次星状膠細胞にJCVのagnoproteinまたは非特異的なBKVのagnoproteinのsiRNAを感染の1、5、10日後に導入し、15日目に取り出した。JCVのT抗原、agnoprotein、VP1に加えて細胞タンパク質であるgrb-2についてもその存在を全細胞抽出物についてウエスタンブロット法によって分析した。 JCVのT抗原およびagnoproteinを標的とするsiRNAの処置によるヒト一次星状膠細胞におけるそれらの発現並びに感染細胞におけるJCV後期タンパク質であるVP1の発現の抑止。 ヒト胎児の一次星状膠細胞の調製、一過性導入、siRNA処置、およびウエスタンブロット法を明細書本文および図1の説明に記載されるように行った。A. JCVのT抗原、YFP-agnoprotein、またはその両方を発現するプラスミドを導入した星状膠細胞からの全細胞抽出物をsiRNAによる処置の24時間後の培養物から調製し、T抗原、agnoproteinに加えて無関係のgrb-2についてもその存在をウエスタンブロット法によって分析した。B. 星状膠細胞培養物をJCVのMad-4株に感染させ、感染の1、5、10日後にJCVのT抗原、agnoprotein、またはその両方を標的とするsiRNAを導入した。感染の15日後に取り出した全細胞抽出物について、JCVのT抗原、agnoprotein、に加えてウイルス後期タンパク質であるVP1と細胞タンパク質であるgrb-2についてもその存在をウエスタンブロット法によって分析した。 JCVに感染した一次星状膠細胞の免疫細胞化学により判明したJCVのT抗原およびagnoproteinのsiRNA処置によるJCVタンパク質のレベルの変化。 細胞をJCVに感染させ、感染の1、5、10日後にJCVのT抗原、agnoprotein、またはその両方を標的とするsiRNAで処置した。細胞をBKVのsiRNAによっても処置した。細胞を継代培養し、第13日目にポリ-L-リシンで被覆されたチャンバースライド(Falcon)に移植し、感染後15日目に氷で冷やしたアセトンを用いて3分間固定した。ウイルスタンパク質をウエスタンブロット法と同様の一次抗体を用いて以前に述べた免疫細胞化学(Radhakrishan et al, 2003)によって検出した。フルオレセインを接合した二次抗体を用いてタンパク質を可視化した。 JCV、BKウイルス(BKV)、およびSV40のagnoproteinの遺伝子からの核酸配列のアラインメントを示す。同一の塩基は灰色で示されており、非同一の塩基は白で示されている。 JCV、BKV、およびSV40のT抗原の遺伝子からの核酸配列のアラインメントを示す。同一の塩基は灰色で示されており、非同一の塩基は白で示されている。 JCV、BKV、およびSV40のT抗原の遺伝子からの核酸配列のアラインメントを示す。同一の塩基は灰色で示されており、非同一の塩基は白で示されている。 JCV、BKV、およびSV40のT抗原の遺伝子からの核酸配列のアラインメントを示す。同一の塩基は灰色で示されており、非同一の塩基は白で示されている。 JCV、BKV、およびSV40のT抗原の遺伝子からの核酸配列のアラインメントを示す。同一の塩基は灰色で示されており、非同一の塩基は白で示されている。 JCV、BKV、およびSV40のT抗原の遺伝子からの核酸配列のアラインメントを示す。同一の塩基は灰色で示されており、非同一の塩基は白で示されている。 JCV、BKV、およびSV40のT抗原の遺伝子からの核酸配列のアラインメントを示す。同一の塩基は灰色で示されており、非同一の塩基は白で示されている。 JCV、BKV、およびSV40のT抗原の遺伝子からの核酸配列のアラインメントを示す。同一の塩基は灰色で示されており、非同一の塩基は白で示されている。

Claims (63)

  1. センスRNA鎖とアンチセンスRNA鎖とがRNAデュプレックスを形成し、当該センスRNA鎖がJCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子のmRNA、或いはそれらの選択的スプライス形態または変異体中の約19〜約25の連続するヌクレオチドである標的配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列を含むものであることを特徴とするセンスRNA鎖とアンチセンスRNA鎖とを含む単離されたsiRNA。
  2. 当該JCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子の標的配列が、BKVまたはSV40遺伝子から生成されるmRNA中にも含まれることを特徴とする請求項1に記載のsiRNA。
  3. 当該センスRNA鎖が1つのRNA分子を含み、当該アンチセンスRNA鎖が1つのRNA分子を含むものであることを特徴とする請求項1に記載のsiRNA。
  4. 当該RNAデュプレックスを形成するセンスおよびアンチセンスRNA鎖が一本鎖のヘアピンによって共有結合されていることを特徴とする請求項1に記載のsiRNA。
  5. 当該siRNAが更に非ヌクレオチド物質を含むことを特徴とする請求項1に記載のsiRNA。
  6. 当該siRNAが、1つまたはそれ以上のヌクレオチドを付加、除去、置換または変性されたものであることを特徴とする請求項1に記載のsiRNA。
  7. 当該センスおよびアンチセンスRNA鎖がヌクレアーゼによる分解に対して安定化されたものであることを特徴とする請求項1に記載のsiRNA。
  8. 更に3’オーバーハングを含むことを特徴とする請求項1に記載のsiRNA。
  9. 当該3’オーバーハングが1〜約6のヌクレオチドを含むことを特徴とする請求項8に記載のsiRNA。
  10. 当該3’オーバーハングが約2のヌクレオチドを含むことを特徴とする請求項8に記載のsiRNA。
  11. 当該センスRNA鎖が第一の3’オーバーハングを含み、当該アンチセンスRNA鎖が第二の3’オーバーハングを含むことを特徴とする請求項3に記載のsiRNA。
  12. 当該第一および第二の3’オーバーハングが、それぞれ1〜約6のヌクレオチドを含むことを特徴とする請求項11に記載のsiRNA。
  13. 当該第一の3’オーバーハングがジヌクレオチドを含み、当該第二の3’オーバーハングもジヌクレオチドを含むことを特徴とする請求項12に記載のsiRNA。
  14. 当該第一および第二の3’オーバーハングに含まれるジヌクレオチドが、ジチミジル酸(「TT」)またはジウリジル酸(「uu」)であることを特徴とする請求項13に記載のsiRNA。
  15. 当該3’オーバーハングがヌクレアーゼによる分解に対して安定化されたものであることを特徴とする請求項8に記載のsiRNA。
  16. センスRNA鎖とアンチセンスRNA鎖とがRNAデュプレックスを形成し、当該センスRNA鎖がJCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子のmRNA、或いはそれらの選択的スプライス形態または変異体中の約19〜約25の連続するヌクレオチドである標的配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列を含むものであることを特徴とするセンスRNA鎖とアンチセンスRNA鎖とを含むsiRNAを発現する核酸配列を含む組換えプラスミド。
  17. 当該siRNAを発現する核酸配列が、誘導性または制御可能なプロモーターを含むものであることを特徴とする請求項16に記載の組換えプラスミド。
  18. 当該siRNAを発現する核酸配列が、ヒトU6 RNAプロモーターの制御下でポリT終止配列と操作可能に連結するセンスRNA鎖コード配列とヒトU6 RNAプロモーターの制御下でポリT終止配列と操作可能に連結するアンチセンスRNA鎖コード配列とを含むものであることを特徴とする請求項16に記載の組換えプラスミド。
  19. 当該プラスミドがCMVプロモーターを含むものであることを特徴とする請求項16に記載の組換えプラスミド。
  20. センスRNA鎖とアンチセンスRNA鎖とがRNAデュプレックスを形成し、当該センスRNA鎖がJCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子のmRNA、或いはそれらの選択的スプライス形態または変異体中の約19〜約25の連続するヌクレオチドである標的配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列を含むものであることを特徴とするセンスRNA鎖とアンチセンスRNA鎖とを含むsiRNAを発現する核酸配列を含む組換えウイルスベクター。
  21. 当該siRNAを発現する核酸配列が、誘導性または制御可能なプロモーターを含むものであることを特徴とする請求項20に記載の組換えウイルスベクター。
  22. 当該siRNAを発現する核酸配列が、ヒトU6 RNAプロモーターの制御下でポリT終止配列と操作可能に連結するセンスRNA鎖コード配列とヒトU6 RNAプロモーターの制御下でポリT終止配列と操作可能に連結するアンチセンスRNA鎖コード配列とを含むものであることを特徴とする請求項20に記載の組換えウイルスベクター。
  23. 当該組換えウイルスベクターが、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、およびヘルペスウイルスベクターからなる群から選択されることを特徴とする請求項20に記載の組換えウイルスベクター。
  24. 当該組換えウイルスベクターが、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス、エボラウイルス、またはモコラウイルスからの表面タンパク質によって偽型とされたことを特徴とする請求項20に記載の組換えウイルスベクター。
  25. 当該組換えウイルスベクターがアデノ随伴ウイルスベクターであることを特徴とする請求項23に記載の組換えウイルスベクター。
  26. siRNAがセンスRNA鎖とアンチセンスRNA鎖とを含み、当該センスRNA鎖とアンチセンスRNA鎖とがRNAデュプレックスを形成し、当該センスRNA鎖がJCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子のmRNA、或いはそれらの選択的スプライス形態または変異体中の約19〜約25の連続するヌクレオチドである標的配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列を含むものであることを特徴とする当該siRNAと薬理学的に許容されるキャリヤとを含む薬学的組成物。
  27. 当該JCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子の標的配列が、BKVまたはSV40遺伝子から生成されるmRNA中にも含まれることを特徴とする請求項26に記載の薬学的組成物。
  28. 更にリポフェクチン、リポフェクタミン、セルフェクチン、ポリカチオン、リポソームを含むことを特徴とする請求項26に記載の薬学的組成物。
  29. 請求項16に記載のプラスミドまたはその生理学的に許容される塩と薬理学的に許容されるキャリヤとを含むことを特徴とする薬学的組成物。
  30. 更にリポフェクチン、リポフェクタミン、セルフェクチン、ポリカチオン、リポソームを含むことを特徴とする請求項29に記載の薬学的組成物。
  31. 請求項20に記載のウイルスベクターと薬理学的に許容されるキャリヤとを含むことを特徴とする薬学的組成物。
  32. siRNAがセンスRNA鎖とアンチセンスRNA鎖とを含み、当該センスRNA鎖とアンチセンスRNA鎖とがRNAデュプレックスを形成し、当該センスRNA鎖がJCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子のmRNA、或いはそれらの選択的スプライス形態または変異体中の約19〜約25の連続するヌクレオチドである標的配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列を含むものである当該センスRNA鎖とアンチセンスRNA鎖とを含むsiRNAの効果量を被験者に投与する段階を含むことを特徴とする霊長類ポリオーマウイルス遺伝子の発現を阻害する方法。
  33. 当該霊長類ポリオーマウイルス遺伝子がJCVのVP1遺伝子であることを特徴とする請求項32に記載の方法。
  34. 当該JCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子の標的配列がBKVまたはSV40遺伝子から生成されるmRNAにも含まれ、当該霊長類のポリオーマウイルス遺伝子がBKVまたはSV40からの遺伝子であることを特徴とする請求項32に記載の方法。
  35. 当該siRNAが導入剤と共に投与されることを特徴とする請求項32に記載の方法。
  36. 当該導入剤が、リポフェクチン、リポフェクタミン、セルフェクチン、ポリカチオン、およびリポソームからなる群から選択されることを特徴とする請求項35に記載の方法。
  37. 当該導入剤がリポソームであることを特徴とする請求項36に記載の方法。
  38. 当該リポソームが、JCVに感染した細胞を当該リポソームの標的とするリガンドを含むものであることを特徴とする請求項37に記載の方法。
  39. 当該JCVに感染した細胞がヒト細胞であることを特徴とする請求項38に記載の方法。
  40. 当該リガンドが単クローン抗体を含むものであることを特徴とする請求項38に記載の方法。
  41. 当該リポソームがオプソニン化阻害部分によって改質されるものであることを特徴とする請求項37に記載の方法。
  42. 当該オプソニン化阻害部分がPEG、PPG、またはそれらの誘導体を含むものであることを特徴とする請求項41に記載の方法。
  43. 当該siRNAが組換えプラスミドから発現されるものであることを特徴とする請求項32に記載の方法。
  44. 当該siRNAが組換えウイルスベクターから発現されるものであることを特徴とする請求項32に記載の方法。
  45. 当該組換えウイルスベクターが、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、またはヘルペスウイルスベクターからなる群から選択されることを特徴とする請求項44に記載の方法。
  46. 当該組換えウイルスベクターが、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス、エボラウイルス、またはモコラウイルスからの表面タンパク質によって偽型とされたことを特徴とする請求項45に記載の方法。
  47. 当該組換えウイルスベクターがアデノ随伴ウイルスベクターであることを特徴とする請求項44に記載の方法。
  48. 2種以上のsiRNAが被験者に投与され、それぞれのsiRNAが異なるJCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子のmRNA標的配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
  49. 2種以上のsiRNAが被験者に投与され、投与されるそれぞれのsiRNAが異なる標的mRNAからの標的配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
  50. 当該siRNAが経腸投与ルートによって投与されることを特徴とする請求項32に記載の方法。
  51. 当該経腸投与ルートが、口、直腸、鼻腔からなる群から選択されることを特徴とする請求項50に記載の方法。
  52. 当該siRNAが非経口投与ルートによって投与されることを特徴とする請求項32に記載の方法。
  53. 当該非経口投与ルートが、血管内投与、組織周囲および組織内投与、皮下注射または皮下デポジション、皮下注入、眼内投与、およびJCV感染部位またはその近辺への直接塗布からなる群から選択されることを特徴とする請求項52に記載の方法。
  54. 当該血管内投与が、静脈内ボーラス注射、静脈内注入、動脈内ボーラス注射、動脈内注入、および血管系へのカテーテル点滴からなる群から選択されることを特徴とする請求項53に記載の方法。
  55. siRNAがセンスRNA鎖とアンチセンスRNA鎖とを含み、当該センスRNA鎖とアンチセンスRNA鎖とがRNAデュプレックスを形成し、当該センスRNA鎖がJCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子のmRNA、或いはそれらの選択的スプライス形態または変異体中の約19〜約25の連続するヌクレオチドである標的配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列を含むものである当該センスRNA鎖とアンチセンスRNA鎖とを含むsiRNAの効果量を被験者に投与する段階を含むことを特徴とする被験者におけるJCVの複製または感染を阻害する方法。
  56. siRNAがセンスRNA鎖とアンチセンスRNA鎖とを含み、当該センスRNA鎖とアンチセンスRNA鎖とがRNAデュプレックスを形成し、当該センスRNA鎖がJCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子のmRNA、或いはそれらの選択的スプライス形態または変異体中の約19〜約25の連続するヌクレオチドである標的配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列を含むものであり、当該JCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子の標的配列がBKVまたはSV40の遺伝子から生成されるmRNA中にも含まれるものである当該センスRNA鎖とアンチセンスRNA鎖とを含むsiRNAの効果量を被験者に投与する段階を含むことを特徴とする被験者におけるBKVまたはSV40の複製または感染を阻害する方法。
  57. siRNAがセンスRNA鎖とアンチセンスRNA鎖とを含み、当該センスRNA鎖とアンチセンスRNA鎖とがRNAデュプレックスを形成し、当該センスRNA鎖がJCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子のmRNA、或いはそれらの選択的スプライス形態または変異体中の約19〜約25の連続するヌクレオチドである標的配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列を含むものである当該センスRNA鎖とアンチセンスRNA鎖とを含むsiRNAの効果量をそのような処置が必要な被験者に投与する段階を含むことを特徴とする被験者におけるJCV感染に付随する疾患を処置する方法。
  58. 当該JCV感染に付随する疾患が癌または脱髄性疾患であることを特徴とする請求項57に記載の方法。
  59. 当該癌が脊髄芽腫またはグリア芽腫であることを特徴とする請求項58に記載の方法。
  60. siRNAがセンスRNA鎖とアンチセンスRNA鎖とを含み、当該センスRNA鎖とアンチセンスRNA鎖とがRNAデュプレックスを形成し、当該センスRNA鎖がJCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子のmRNA、或いはそれらの選択的スプライス形態または変異体中の約19〜約25の連続するヌクレオチドである標的配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列を含むものであり、当該JCVのagnoprotein遺伝子またはラージT抗原遺伝子の標的配列がBKVまたはSV40の遺伝子から生成されるmRNA中にも含まれるものである当該センスRNA鎖とアンチセンスRNA鎖とを含むsiRNAの効果量をそのような処置が必要な被験者に投与する段階を含むことを特徴とする被験者におけるBKVまたはSV40感染に付随する疾患を処置する方法。
  61. 当該BKV感染に付随する疾患がポリオーマウイルスに付随する腎障害であることを特徴とする請求項60に記載の方法。
  62. 当該SV40感染に付随する疾患がSV40に誘発される癌であることを特徴とする請求項60に記載の方法。
  63. 当該SV40に誘発される癌が中皮腫であることを特徴とする請求項62に記載の方法。
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