JP2007535300A - エクスパンシンポリペプチド - Google Patents

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Abstract

本発明者等は、エクスパンシンポリペプチドをコードする核酸分子で遺伝子的に改変されたトランスジェニック植物細胞と植物、植物細胞壁の組成を変化させる方法、及び上記トランスジェニック植物に由来する植物組織を含む製品に関して記載した。

Description

本発明は、エクスパンシンポリペプチドをコードする核酸分子で遺伝子的に改変されたトランスジェニック植物細胞に関し、植物細胞壁の組成を変更させる方法、及び該トランスジェニック植物に由来する植物組織を含む製品(例えば、食品及び紙)を包含する。
植物細胞壁は、多くの工業及び商品製品の基礎を成す。セルロースは、天然に見出される最も豊富なポリマーであり、製紙産業で使用され、また食料品において凝結防止剤、乳化剤、安定剤、分散剤及び増粘/ゲル化剤として使用される。セルロースはまた、セルロースを軟化及び可動化させる水の吸収に対して優れた特性を有する。
植物の主要な細胞壁は、他の分子構造要素(例えば、ペクチン)と相互作用するヘミセルロース多糖マトリックス中に包埋されたセルロースミクロフィブリルのネットワークである。細胞壁は、細胞形状を決定し、また主として不浸透性であり(例えば、植物病原体に対して)、且つ多様な強度及び剛性を有する構造を形成するように互いに細胞を付着するように機能する構造である。成長中の植物細胞壁の多糖は、細胞壁に対してある程度の構造的可動性を付与する非共有結合のネットワークを形成する別個の長鎖ポリマーである。この可動性により、植物細胞が、例えば細胞内の膨圧の結果として生じる相当な機械的応力に抵抗することを可能となる。この万能性は主として、マトリックスポリマーの移動又は転位に起因する。この再構築に関わる細胞壁タンパク質の種類がエクスパンシンである。
植物細胞は、茎及び根のような成長領域に見られる成長点と称される分裂細胞の小集合体から生じる。成長点細胞は、非常に小さく、およそ5μmである。成長由来の細胞は、水及び他の溶質のシンクとして機能する液胞の形成に主として起因する細胞容積の増加をもたらす広範囲な成長期を引き起こす。上記形質転換を引き起こす植物細胞の特性は、細胞壁の順応性が一つの要因となっている。エクスパンシンが上記プロセスにおいて密接に関与している。
エクスパンシンは、およそ26kDaの分子量を有するタンパク質群であり、最初はキュウリの苗から単離された。エクスパンシンは、細胞外酵素の大きな群として存在し、続いて広範囲の植物種において同定されている(Lee他、2001年)。エクスパンシンは、現在一般的に、α−エクスパンシン及びβ−エクスパンシンと称される2つの主要な群に分けられる(Cosgrove他、2002年)が、第3の少数群であるγ−エクスパンシンもまた、シロイヌナズナ(Arabidopsis)で現在同定されている(Li他、2002年)。ほとんどの研究は、α−エクスパンシンが最初に特性化されたことからα−エクスパンシンに焦点を当てており、α−エクスパンシンは、群I植物花粉アレルゲンとも称されるβ−エクスパンシンに対して、弱いが重要な配列類似性を示す(Darley他、2001年)。これらの2つの群のエクスパンシンの正確な生化学的性質及び役割は、依然として完全に解明されていないが、異なる基質特異性が十分に重要な因子であり得る。
pH依存性細胞壁伸長の媒介による細胞成長におけるα−エクスパンシンの役割は、現在堅固に確立されている。エクスパンシン活性の初期の同定は、熱失活させた細胞壁に対してpH依存性細胞壁伸長性を回復させるエクスパンシンの能力を実証した(McQueen-Mason他、1992年)。より最近では、多数の研究により、成長とエクスパンシン発現との相関が確証されている(Cho及びCosgrove、2000年、Im他、2000年、Lee他、2003年)。エクスパンシン作用のメカニズムは、細胞壁多糖、すなわちセルロース及びキシログルカン間の非共有結合の崩壊に関与すると考えられ(whitney他、2000年)、ポリマーが別々にスライドして、伸長が起きることを可能にする。成長におけるエクスパンシンの役割のほかに、形態形成(Cleland、2001年、Pien他、2001年、Reinhardt他、1998年)、発芽(Chen及びBradford)及び果実軟化(Brummell他、1999年)に関与していることが示されている。
エクスパンシン発現はまた、発達的、ホルモン的及び環境的要因において差次的に調節される(Cho及びCosgrove、2002年)。エクスパンシンの差次的発現に影響を及ぼす1つの環境的態様は、水の有効利用である。例えば、水没することを回避するために、半水生植物は、多くの場合生存の手段として水中に沈むと急速に成長するように誘導される。深水イネ(Cho及びKende、1997年)及び冠水耐性ルメックス・パルストリス(Rumex palustris)(Vriezen他、2000年)の両方では、浸水もまた、幾つかのエクスパンシン遺伝子の発現の増加をもたらし、このことは、観察される成長の増加と直接的に関連がある。対照的に、水が制限されている条件下では、低い水ポテンシャルが主流である環境に適応した根は、それらの細胞壁の伸長性を増加させることにより成長を継続することが可能である(Wu他、1996年)。この亢進された伸長性は、エクスパンシン活性の増加及び転写物蓄積と関連がある(Wu他、2001年)。
テマリカタヒバは、それらの植物性組織全体にわたって乾燥に対して相当レベルの耐性を示す維管束植物の小さいが特有の群である(Scott、2000年)。テマリカタヒバ植物であるクラテロスチグマ・プランタギネウム(Craterostigma plantagineum)は、乾燥耐性の分子的研究用のモデル種として役割を果たしている(Ingram及びBartels、1996年、Ramanjulu及びBartels、2002年)。テマリカタヒバは通常、それらの本来の含水量の95%が欠乏しても生き延び、続いて散水の数時間以内に完全に再水和して、完全な生理学的活性が復活する。
干ばつストレスは概して、代謝に対する悪影響、膜及びタンパク質構造並びに細胞内組織に対する修復不可能な損傷の結果として植物の健康状態に対して有害である。したがって、いずれの前記障害は、テマリカタヒバにおいて防御され、或いは修復される。これらのメカニズムの例としては、糖(例えば、ショ糖)及び抗体(例えば、LEA(late emboryogenesis-abundant)タンパク質)の蓄積が挙げられ、脱水中に高分子の構造的完全性を安定化すると考えられる(Bartels及びSalamini、2001年、Hoekstra他、2001年)。葉の形状の物理的変化(例えば、萎縮)、アントシアニン生合成及びクロロフィルの可逆的損失による光合成装置の防御もまた起こり得る(Alpert、2000年)。
クラテロスチグマ・プランタギネウム(Craterostigma plantagineum)を含む少数のテマリタカヒバはまた、脱水中に広範囲の細胞壁フォールディング(folding)を示す(Hartung他、1998年、Farrant、2000年)。細胞壁のフォールディングプロセスは、張力及び潜在的損傷を軽減すると考えられ、原形質連絡を介して細胞壁へ付着された状態のまま、細胞が脱水中に収縮する場合に原形質膜収縮の結果ととして生じる。細胞壁と原形質膜との間の密接な結合を維持することはまた、再水和及び水の取り込み中に不可欠であると予想される。従来の研究により、クラテロスチグマ属(Craterostigma)における細胞壁フォールディングのこのメカニズムは、壁構造及び組成における変化を伴うことが示唆されている(Vicre他、1999年)。
幾つかのテマリカタヒバの、脱水及び再水和中に明らかな増大された伸長性並びに可動性を可能とするそれらの細胞壁の機械的特性を変更する能力は、特有の特徴であり、それらの生存に不可欠である。
本発明者等は、クラテロスチグマ・プランタギネウム(Craterostigma plantagineum)における乾燥耐性のこの態様に関して、エクスパンシンに関する潜在的役割を検査してきた。本発明者等は、C.プランタギネウム(C. plantagineum)由来の3つのエクスパンシン遺伝子の単離について記載し、エクスパンシン遺伝子の発現と、乾燥耐性を可能にする脱水及び再水和現象との間の明瞭な関連性を実証する。
本発明の一態様によれば、トランスジェニック植物細胞であって、以下の:
i)図6に表されるような核酸配列を含む核酸分子、
ii)(i)で定義されるような前記核酸分子にハイブリダイズし、且つエクスパンシンに関連する比活性を有するポリペプチドをコードする核酸分子、
iii)アミノ酸配列モチーフASSISGGGを特徴とするエクスパンシンをコードする核酸分子、
iv)(i)、(ii)で定義された配列に対する遺伝コードの結果として縮重している核酸配列を含む核酸分子
から成る群から選択される核酸分子とともに形質転換により遺伝子的に改変された前記植物細胞。
本発明の好ましい一実施形態では、前記細胞は、前記核酸分子の過剰発現に適応される。
本発明の好ましい一実施形態では、前記核酸分子は、図6a、図6b又は図6cに表されるような核酸分子に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする、請求項1又は2に記載の細胞。
さらに好ましくは、前記核酸分子は、図6a、図6b又は図6cに表される核酸配列から構成される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の細胞。
ストリンジェントなハイブリダイゼーション/洗浄条件は、当該技術分野で既知である。例えば、核酸は、0.1×SSC、0.1%SDS中で60℃での洗浄後に安定な核酸ハイブリッド。最適なハイブリダイゼーション条件は、核酸の配列が既知である場合に算出可能であることは、当該技術分野で既知である。例えば、ハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーションに用いる核酸のGC含有量により決定することができる。Sambrook et al (1989) Molecular Cloning; A Laboratory Approachを参照されたい。特定化された相同性を有する核酸分子間のハイブリダイゼーションを達成するのに必要とされるストリンジェントな条件を算出するための一般式は、以下である:
Tm=81.5℃+16.6Log[Na+]+0.41[%G+C]−0.63(%ホルムアミド)。
通常、ハイブリダイゼーション条件は、4〜6×SSPE(20×SSPEは、1リットルに溶解させたNaCl 175.3g、NaHPOO 88.2g及びEDTA 7.4gを含有する、pHは、7.4に調節)、5〜10×デンハルト溶液(50×デンハルト溶液は、フィコール400 5gを含有する、Pharmacia)、ポリビニルピロリドン5g及びウシ血清アルブミン5g、超音波処理したサケ/ニシンDNA100μg〜1.0mg/ml、0.1〜1.0% ドデシル硫酸ナトリウム、任意に40〜60%脱イオンホルムアミドを使用する。ハイブリダイゼーション温度は、核酸標的配列のGC含有量に応じて様々であるが、通常42℃〜65℃である。
本発明の好ましい実施形態では、上記核酸分子は、図6a、図6b又は図6cに表される核酸配列に対して少なくとも60%相同性を有する核酸配列を含む。好ましくは、上記相同性は、図6a、図6b又は図6cに表される核酸配列と少なくとも70%、80%、90%又は少なくとも99%同一性である。
本発明のさらに好ましい実施形態では、上記細胞は、図7a、図7b又は図7cにおけるアミノ酸配列により表されるようなポリペプチド、或いは変異ポリペプチドをコードする核酸分子で形質転換され、ここで上記変異体は、少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失又は置換により修飾される。
本発明の好ましい実施形態では、上記植物細胞は、エクスパンシンポリペプチドをコードする核酸分子で形質転換され、ここで上記核酸分子は、テマリカタヒバ植物のゲノムから単離される。好ましくは、上記テマリカタヒバ植物は、クラテロスチグマ種(Craterostigma spp)、好ましくはC.プランタギネウム(C. plantagineum)である。
本発明のさらに好ましい実施形態では、上記核酸分子は、基本レベル発現と比較した場合に、少なくとも2倍過剰発現される。
「基本レベル発現」は、同じ種の非トランスジェニック対照細胞、或いは所定の遺伝子又はcDNAの非機能的コピーを含有するトランスジェニック対照細胞により示される発現のレベルとして解釈され得る。
本発明のかなり好ましい一実施形態では、前記細胞は、前記核酸分子を少なくとも5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍過剰発現する。
前記細胞は、前記核酸分子を少なくとも100倍過剰発現する。
核酸分子によりコードされるポリペプチドの活性を増大させるための手段は、当業者に既知であることが明らかである。例えば、且つ限定されないが、細胞に上記遺伝子の多重コピーを供給することにより遺伝子投与量を増大させること。あるいは、又はさらに、遺伝子(複数可)は、上記遺伝子によりコードされるmRNAの発現を上げるために、強力なプロモーター配列又は誘導性プロモーター配列の制御下に配置可能である。mRNA安定性の調節はまた、通常mRNAの5’側又は3’側の非翻訳領域に対する変化により、mRNA分子の定常状態レベルを変化させるのに使用されるメカニズムである。
本発明のさらに好ましい一実施形態では、前記細胞は、以下の:
i)図6a、図6b又は図6cに表されるような核酸配列を含む核酸分子、
ii)(i)で定義されるような前記核酸分子にハイブリダイズし、且つエクスパンシンに関連する比活性を有するポリペプチドをコードする核酸分子、
iii)アミノ酸配列モチーフASSISGGGを特徴とするエクスパンシンをコードする核酸分子、
iv)(i)、(ii)で定義される配列に対する遺伝コードの結果として縮重している核酸配列を含む核酸分子
から成る群から選択される核酸分子を含むベクターでトランスフェクトされる。
好ましくは、ベクター中の核酸は、原核(例えば細菌)又は植物細胞のような宿主細胞における転写用の適切なプロモーター又は他の調節エレメントへ操作可能に連結される。ベクターは、多重宿主において機能する二官能性発現ベクターであってもよい。本発明によるポリペプチドをコードする核酸の例では、これは、その自然プロモーター又は他の調節要素を含有してもよく、cDNAの場合では、これは、宿主細胞における発現のための適切なプロモーター又は他の調節エレメントの制御下であってもよい。
「プロモーター」とは、転写開始部位の上流にあり、且つ転写に必要とされる調節領域すべてを含有するヌクレオチド配列を意味する。適切なプロモーターとしては、設計に応じて植物体に含まれる植物細胞における発現のための構成的、組織特異的、誘導性、発生的又は他のプロモーターが挙げられる。上記プロモーターとしては、植物細胞で機能可能なウイルス、真菌、細菌、動物及び植物由来のプロモーターが挙げられる。
構成プロモーターとしては、例えば、CaMV 35Sプロモーター(Odell et al (1985) Nature 313, 9810-812)、イネアクチン(McElroy et al (1990) Plant Cell 2: 163-171)、ユビキチン(Christian et al. (1989) Plant Mol. Biol. 18(675-689)、pEMU(Last et al (1991) Theor Appl. Genet. 81: 581-588)、MAS(Velten et al (1984) EMBO J. 3. 2723-2730)、ALSプロモーター(米国特許出願第08/409,297号明細書)等が挙げられる。他の構成的プロモーターとしては、米国特許第5,608,149号明細書、同第5,608,144号明細書、同第5,604,121号明細書、同第5,569,597号明細書、同第5,466,785号明細書、同第5,399,680号明細書、同第5,268,463号明細書及び同第5,608,142号明細書におけるものが挙げられる。
化学物質調節プロモーターを使用して、外因性化学物質調節因子の適用により植物における遺伝子の発現を調節することができる。目的に応じて、プロモーターは、化学物質誘導性プロモーター(ここでは、化学物質の適用が遺伝子発現を誘導)又は化学物質抑制性プロモーター(ここでは、化学物質の適用が遺伝子発現を抑制する)であり得る。化学物質誘導性プロモーターは、当該技術分野で既知であり、トウモロコシIn2−2プロモーター(これは、ベンゼンスルホンアミド除草剤safenerにより活性化される)、トウモロコシGSTプロモーター(これは、発芽前除草剤として使用される疎水性求電子性化合物により活性化される)及びタバコPR−1aプロモーター(これは、サリチル酸により活性化される)が挙げられるが、これらに限定されない。所定の他の化学物質調節プロモーターとしては、ステロイド応答性プロモーター(例えば、Schena et al (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 10421-10425及びMcNellie et al. (1998) Plant J. 14(2):247-257におけるグルココルチコイド誘導性プロモーターを参照)並びにテトラサイクリン誘導性及びテトラサイクリン抑制プロモーター(例えば、Gatz et al., (1991) Mol. Gen. Genet. 227: 229-237、並びに米国特許第5,814,618号明細書及び同第5,789,156号明細書(参照されて本明細書中に援用される)を参照)が挙げられる。
特定の組織において亢進発現が望ましい場合、組織特異的プロモーターを利用することができる。組織特異的プロモーターとしては、Yamamoto et al. (1997) Plant J. 12(2): 255-265、Kawamata et al (1997) Plant Cell Physiol. 38(7): 792-803、Hansen et al (1997) Mol. Gen. Genet. 254(3): 337-343、Russell et al. (1997) Transgenic Res. 6(2): 157-168; Rinehart et al (1996) Plant Physiol. 112(3): 1331-1341、Van Camp et al (1996) Plant Physiol. 112(2): 525-535、Canevascni et al (1996) Plant Physiol. 112(2): 513-524、Yamamoto et al (1994) Plant Cell Physiol. 35(5): 773-778、Lam (1994) Results Probl. Cell Differ. 20: 181-196、Orozco et al (1993) Plant Mol. Biol. 23(6): 1129-1138、Mutsuoka et al (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90(20): 9586-9590及びGuevara-Garcia et al (1993) Plant J. 4(3): 495-50により記載されるものが挙げられる。
「操作可能に連結される」は、同じ核酸分子の一部として結合され、適切に位置されて、転写がプロモーターから開始されるように配向されることを意味する。プロモーターへ操作可能に連結されるDNAは、プロモーターの「転写開始調節下」にある。
好ましい実施形態では、プロモーターは、誘導性プロモーター又は発生的調節プロモーターである。
植物に関して幅広い成功とともに従来使用されている特定の手順及びベクターは、Guerineau and Mullineaux (1993)(植物形質転換及び発現ベクター(Plant transformation and expression vectors)). In: Plant Molecular Biology Labfax (Croy RRD ed) Oxford, BIOS Scientific Publishers, pp 121-148により記載されている。適切なベクターとしては、植物ウイルス由来のベクターが挙げられ得る(例えば、EP−A−194809号を参照)。
ベクターはまた、除草剤に対する耐性のような選択可能な表現型を付与するような選択可能な遺伝マーカー(例えば、カナマイシン、ハイグロマイシン、ホスフィノトリシン、クロルスルフロン、メトトレキサート、ゲンタマイシン、スペクチノマイシン、イミダゾリノン及びグリホセート)を包含してもよい。
本発明のさらなる態様によれば、本発明による細胞を含む植物が提供される。
本発明の好ましい一実施形態において、上記植物は、以下の:トウモロコシ(Zea mays)、アブラナ(Brassica napus, Brassica rapa ssp.)、アマ(Linum usitatissimum)、アルファルファ(Medicago sativa)、イネ(Oryza sativa)、ライムギ(Secale cerale)、モロコシ(Sorghum bicolor, Sorghum vulgare)、ヒマワリ(Helianthus annus)、コムギ(Tritium aestivum)、ダイズ(Glycine max)、タバコ(Nicotiana tabacum)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、落花生(Arachis hypogaea)、綿(Gossypium hirsutum)、サツマイモ(Iopmoea batatus)、キャッサバ(Manihot esculenta)、コーヒー(Cofea spp.)、ココナッツ(Cocos nucifera)、パイナップル(Anana comosus)、柑橘類の木(Citrus spp.)、カカオ(Theobroma cacao)、茶(Camellia senensis)、バナナ(Musa spp.)、アボカド(Persea americana)、イチジク(Ficus casica)、グアバ(Psidium guajava)、マンゴー(Mangifer indica)、オリーブ(Olea europaea)、パパイア(Carica papaya)、カシュー(Anacardium occidnetale)、マカダミア(Macadamia intergrifolia)、アーモンド(Prunus amygdalus)、テンサイ(Beta vulgaris)、カラスムギ、オオムギ、野菜及び観賞用植物から選択される。
本発明の植物は、好ましくは、作物(例えば、穀物(cereals)及び豆類(pulses)、トウモロコシ、コムギ、ジャガイモ、タピオカ、イネ、モロコシ、キビ、キャッサバ、オオムギ及びエンドウマメ)、その他の根菜類、塊茎又は種子(seed crop)である。重要な種子は、採油用ナタネ種子(oil-seed rape)、テンサイ、トウモロコシ、ヒマワリ、ダイズ、モロコシ及びアマ(アマニ)である。本発明を適用し得る園芸植物には、レタス、エンダイブ及びアブラナ科の野菜(キャベツ、ブロッコリ及びカリフラワーを含む)が挙げられる。本発明は、タバコ、ウリ類、ニンジン、イチゴ、ヒマワリ、トマト及びトウガラシに適用し得る。
当該目的の種子を作る穀類植物には、採油用種子の植物及びマメ科植物が挙げられる。当該目的の種子には、穀類の種子、例えばトウモロコシ、コムギ、オオムギ、イネ、モロコシ及びライムギ等が挙げられる。採油用種子の植物には、綿、ダイズ、サフラワー、ヒマワリ、アブラナ属、トウモロコシ、アルファルファ、ヤシ及びココナッツ等が挙げられる。マメ科植物には、豆類(beans)及びエンドウマメが挙げられる。豆類には、グアー、ローカストビーン、コロハ、ダイズ、インゲンマメ(garden beans)、ササゲ、リョクトウ、リママメ、ソラマメ、レンズマメ及びヒヨコマメ等が挙げられる。
本発明のさらなる態様によれば、本発明による植物に由来する植物細胞又は植物組織を含む製品である。
本発明の好ましい実施形態によれば、上記製品は食料品である。
多くの食品は、使用前に再水和される乾燥形態(例えば、乾燥スープ及び果実)で保管及び販売される。食品が口当たりを良くなるように食品の品質/質感を高めるように改善された再水和特性を有する食料品の提供は、消費者によって明らかな有益性を有する。
本発明の代替的な好ましい実施形態では、上記製品は紙である。
紙の再生利用は、特定の問題を提示する。再生利用されるべき紙からのパルプ生産は、化学的変性剤及び酵素を利用する。化学的な方法は、例えばリグニンをパルプから除去するための効率的な手段であるが、化学的処理は、多糖の分解をもたらし、且つ高価であることが既知されている。さらに、パルプから残留リグニンを除去するために、パルプが紙に加工される前に、除去を要する強力な漂白剤を使用する必要がある。これらの媒介物はまた、環境に対して害を与える。リグニンを除去するための生物学的手法が既知されている。しかしながら、かかる方法に付随する不利点が存在する。例えば、セルロース繊維に影響を及ぼさないリグニン分解(ligninolytic)酵素を唯一分泌する微生物(例えば、細菌及び/又は真菌)を提供することが重要である。この手法はまた、非常に時間がかかり(3−4週間要する)、バイオリアクタを提供する必要性に起因して高価である。生物学的処理はまた、木材チップをさらなる生物学的又は化学的パルプ化をより受け易くさせるための木材チップの前処理を包含し得る。
変化された機械的特性を有するセルロースを含有する本明細書中に開示するトランスジェニック植物に由来する紙製品は、リグニン抽出を容易とし、化学的/生物学的作用物質の使用が低減されるという事実に起因して、より高い品質の紙製品を提供する。
本発明の一態様によれば、植物細胞壁の機械的特性を変化させる方法であって、以下の:
i)本発明による細胞を供給する工程、及び
ii)前記細胞から植物を栽培する工程
を含む方法。
本発明の好ましい方法では、前記植物又はその一部は脱水される。
本発明の一態様によれば、細胞壁抽出物を調製する方法であって、以下の:
i)本発明による細胞を供給する工程、
ii)前記細胞を植物へと栽培する工程、及び
iii)前記植物から細胞壁抽出物を調製する工程
を含み、ここで前記細胞壁は変更された機械的特性を有する。
本発明の好ましい方法では、上記抽出物は脱水される。
本発明のさらなる態様によれば、本発明による方法により調製される細胞壁抽出物が提供される。
本発明の一態様によれば、以下の:
i)図6a及び/又は図6b及び/又は図6cに表されるような核酸配列を含む核酸分子、
ii)(i)で定義されるような前記核酸分子にハイブリダイズし、且つエクスパンシンに関連する比活性を有するポリペプチドをコードする核酸分子、
iii)アミノ酸配列モチーフASSISGGGを特徴とするエクスパンシンをコードする核酸分子、
iv)(i)、(ii)又は(iii)で定義される配列に対する遺伝コードの結果として縮重している核酸配列を含む核酸分子
から成る群から選択される核酸分子によりコードされるポリペプチドを含む組成物である。
本発明の好ましい一実施形態では、脱水された植物材料の再水和のための作用物質としての組成物の使用である。
本発明の実施形態は、ここでは単なる例として、及び以下の図面を参照して記載される:
材料及び方法
植物材料
クラテロスチグマ・プランタギネウム(Craterostigma plantagineum)植物は、16時間の日照時間で20℃に設定した成長部屋中で成長させた。脱水及び再水和実験は、成長部屋条件下で、およそ10週齢の成熟植物から切り取った葉で実施した。
顕微鏡法
未処理の葉組織(およそ5mmの切片)、48時間脱水した葉材料及び24時間再水和させた葉組織(48時間の脱水後に)を、0.1Mリン酸緩衝液中の4%パラホルムアルデヒドで真空浸潤させて、固定液中で一晩インキュベートした。続いて、葉材料を0.1Mリン酸緩衝液中で洗浄して、段階的に一連のエタノールで脱水させ、最終的にLRホワイトレジン(Agar scientific)中に包埋した。半薄0.5μm切片をLeica Ultracut UCTで切断して、0.3%炭酸ナトリウム中の0.6%トルイジンブルーで染色した。
エクスパンシン活性アッセイ
切り取った葉を0、3、8、24時間脱水した後、さらに3、5及び24時間再水和させた。葉を液体窒素中で凍結させて、−80℃で保管した。凍結させた葉材料5gを、150mlのカップを用いて家庭用食品ホモジナイザー(Philips Cucina)中で、均質化緩衝液(25mM ヘペス、2mM EDTA、3mM メタ重亜硫酸ナトリウム、3mM ジチオスレイトール、pH 6.8)50ml中で全出力で1分間混ぜ合わせることにより崩壊させた。葉フラグメントは、50μm孔径のナイロン膜上に捕捉され、液体は廃棄した。続いて、膜において圧搾乾燥させる前に、フラグメントを均質化緩衝液50ml中で3回洗浄した。洗浄した葉フラグメントを、1M NaCl、25mM ヘペス、2mM EDTA、3mM メタ重亜硫酸ナトリウム、3mM ジチオスレイトール、pH6.8 10ml中に懸濁させて、室温で1時間穏やかに振動させた。抽出物をナイロンメッシュに通して、浄化した抽出物中に0.39g/mlの固形硫酸アンモニウムを徐々に溶解させることにより、タンパク質を沈降させた。10,000gで4℃にて10分間遠心分離することにより、沈降物を収集して、50mM 酢酸ナトリウム(pH4.5)1ml中に再懸濁させて、セファデックスG25(Amersham Pharmacia Biotech)の5mlカラム上で脱塩した。タンパク質濃度は、Coomassi Plusタンパク質アッセイ試薬(Pierce)を使用して、製造業者の指示書に従って算出した。
タンパク質抽出物は、Whitney他(2000年)に記載されているように、エクスパンシン活性に関してアッセイした。簡潔に述べると、アセトバクター・キシリヌス(Acetobacter xylinus)の培養物により生産されるセルロース/キシログルカン複合体の2mmの幅広い片を切断して、クランプ間に材料3mmを載せる特注の伸び計の2つのクランプ間に保持した。複合体を50mM 酢酸ナトリウム(pH4.5)中に浸し、5gの印加力下で15分間伸長させた。15分後、浴用溶液を、同じ緩衝用溶液中の脱塩抽出タンパク質を含有するものと取り換えた。伸長をさらに15分間モニタリングした。エクスパンシン活性は、タンパク質添加後の10分間における複合体の伸長速度からタンパク質添加前の10分間における伸長の速度を減算したものとして算出した。
RT−PCR
総RNAは、標準的なプロトコルに従って、3時間脱水したクラテロスチグマ属(Craterostigma)の葉組織から抽出した。逆転写(RT)は、製造業者の指示書に沿って、総RNA 1μg、オリゴ(dT)12−18プライマー(Invitrogen)及びSuperscriptII RNアーゼ H−逆転写酵素(Invitogen)を用いて、最終容量20μl中で42℃にて1時間実施した。対照反応は、逆転写酵素の非存在下で実施した。
PCRは、合成したcDNA、Taq DNAポリメラーゼ(Invitrogen)及びコンセンサスエクスパンシンプライマーを用いて実施した。使用したプライマー配列は、5’−GSNCAYGCNACNTTYTAYGGNG−3’(順方向プライマー)及び5’−YTGCCARTTYTGNCCCCARTT−3’(逆方向プライマー)であった。PCRサイクリングパラメータは、以下の通りであった:92℃で2分間、続いて92℃で30秒間、50℃で30秒間、72℃で1分間を35サイクル、最終的に72℃で5分間。
PCR産物は、製造業者の指示書に従って、pCR2.1−TOPOベクター(Invitrogen)へクローニングし、シーケンシングした。
3’及び5’ RACE
CplExp1に関する完全長コード配列は、cDNA末端の3’及び5’迅速増幅(RACE)により得られた。3’RACEに関して、逆転写は、アダプターオリゴ(dT)3’プライマー(5’−GACCACGCGTATCGATGTCGACTTTTTTTTTTTTTTTTV−3’)を使用して上述のように実施した。続いて、PCRは、遺伝子特異的5’プライマー(5’−GTCACAGCCTGTTTTCCAACAC−3’)、アダプタープライマー及びTaq DNAポリメラーゼ(Invitrogen)を使用して実施した。さらなるPCR増幅は、ネステッド5’遺伝子特異的プライマー(5’−ACTAACGTGGGCGGTGCT−3’)を使用して実施した。続いて、最終的な生成物を、pCR2.1−TOPOへクローニングして、シーケンシングした。
5’RACEに関して、逆転写は、3’遺伝子特異的プライマー(5’−GCCTCCTCTTCTACGGCATGGTACC−3’)及び5’アダプターオリゴヌクレオチド(5’−AAGCAGTGGTATCAACGCAGAGTGGCCATTATGGCCGGG−3’)を用いて実施された。PCRは、同じ3’遺伝子特異的プライマー及び5’アダプター(5’−AAGCAGTGGTATCAACGCAGAGT−3’)を用いて実施した。特異性を改善するために、さらなるラウンドのPCRを、ネステッド3’遺伝子特異的プライマー(5'-CTGTAAGAAACGGGCACAATCCCAGC−3’)を用いて実施された。上述のように、生成物をクローニングして、シーケンシングした。
リアルタイムPCR
逆転写(RT)反応は、0、1、3、8、24及び48時間脱水させた後、さらみ1、3、8及び24時間再水和させたクラテロスチグマ(Craterostigma)の葉組織から抽出したRNA 2μgを用いて、上述のように実施した。RNAサンプルはすべて、cDNA合成前にDNA分解酵素処理した。逆転写後に、Qiagen QIAquick PCR精製キットを用いて各反応物を精製した。
リアルタイムPCRは、内因性対照、この場合tkt3(トランスケトラーゼ3)に対して大量に発現されるように、標準曲線法に基づいた相対定量化を用いて実施した。プライマー対は、PrimerExpress(Applied Biosystems)を用いて、各エクスパンシン配列及びtkt3遺伝子に対して設計された。PCR反応それぞれで使用されるプライマー配列及び最適化した濃度は以下の通りであった:CplExp1Foward(100nM)5’−GCTCAGTATACAGCTGGGATTGTG−3’、CplExp1Reverse(200nM)5’−TTGAAGTAAGAGTGTCCGTTTATTGTG−3’、CplExp2Forward(300nM)5'−GTGCCTCTCGGGAACCATAAT−3’、CplExp2Reverse(300nM)5’−TTGTACTGCGCTATCTGCAAGAA−3’、CplExp3Forward(300nM)5'−CGCTGAGTACAACGCTGTTCA−3’、CplExp3Reverse(50nM)5’−GTAATTGGGAGGACAGAAATTTGTG−3’、tkt3Forward(300nM)5’−CATCTGGGTTAAGAACGGAAACA−3’及びtkt3Reverse(50nM)5’−CAAAACCGATCGTTGTGGTAATC−3’。
25μlのPCR反応は、ABI Prism 7000配列検出システムにより光学96ウェル反応プレート(Applied Biosystems)においてSYBR Green PCRマスターミックス(Appled Biosystems)を用いて実施した。サイクリングパラメータは、以下の通りであった:50℃を2分間、95℃を10分間、続いて95℃を15秒間、60℃で1分間を40サイクル。反応はすべて、三重反復又はそれ以上で行った。
[実施例]
脱水中の形態学的変化
脱水中のクラテロスチグマ・プランタギネウム(Craterostigma plantagineum)の葉の細胞構造で観察される劇的な変化は、図1で明らかに実証される。典型的な水和された葉における葉肉及び維管束細胞の正常な外観(図1a、図1b)は、48時間の脱水後に大幅に崩壊された(図1c、図1d)。予想通り、水の損失は、葉肉細胞の著しい収縮をもたらし、広範囲の細胞壁フォールディングを伴った。木部導管もまた、脱水により影響を受けたが、この細胞型に特徴的な二次細胞壁肥厚の存在に起因して、接平面ではなく縦断面において主に収縮を示した(図1d)。二次肥厚が単独で、開口状態で導管を維持するようであった。しかしながら、細胞壁フォールディングは、木部内、及び導管と葉肉細胞との間の接合点で特に顕著であった。48時間の脱水後の葉組織の再水和は、完全な回復、及び葉内で正常な細胞形態への復帰をもたらした。
脱水及び再水和中のエクスパンシン活性
エクスパンシン活性は、0、3、8、24及び48時間脱水させ、続いて3、5及び24時間再水和させたクラテロスチグマ属(Craterostigma)の葉材料から単離した粗製細胞壁タンパク質抽出物において測定した。活性は、一定荷重下で、セルロース/キシログルカン複合体へのタンパク質の添加後の伸長速度の増加により測定した。
特定時間の長さで脱水及び再水和させたクラテロスチグマ属(Craterostigma)の切り取った葉におけるエクスパンシン活性の結果は、活性が組織の含水量に応じて著しく変化することを示した(図2)。また、エクスパンシン活性のアッセイに使用したものと同じ特定時点での切り取った葉の代表的な画像が、この図中に示される。
このデータにより、エクスパンシン活性は、脱水の初期の間に確実に増加して、8時間後に対照水和葉に対しておよそ3倍増加のピークに到達することが実証された。続いて、活性のレベルは、脱水の後期段階にわたって減少し、活性は、24時間までに新鮮な水和葉で検出される活性レベルと同様のレベルにまで低減した。続く水なしでの48時間では、エクスパンシン活性は、対照のレベル以下のレベルにまで低減した。この脱水期間中の切り取った葉の形態学的変化の検査は、8時間までの水欠乏の初期段階が、葉形状の比較的わずかな変化をもたらすが、葉のサイズに関しては、減少が顕著に観られた。大きさの減少が明白であることを明らかにした。水なしでの24時間後に、葉は、サイズが著しく収縮し、48時間までに、葉はさらに小さくなり、広範囲の萎縮を受けた。
エクスパンシン活性はまた、脱水の48時間後に葉を再水和させる際にも測定した(図2)。これらの測定は、水取り込みの最初の5時間の間にエクスパンシンの顕著な増加を実証した。水の添加のわずか3時間後に、活性レベルは、水和葉に対して4倍を上回って増加した。対照と比較して5倍を上回る増加である活性の最高レベルは、再水和の5時間後に検出された。続いて、活性は低下して、最水和の24時間後には新鮮な葉で観察されるレベルと同様のレベルにまで戻った。再水和中の葉形状変化は、相当なアンフォールディングを伴って迅速に起こり、水の添加後の最初の3時間のうちに起きた。上記エクスパンシンとアンファーリング(furling)は、5時間までにさらに増加して、再水和の24時間後に、葉は、それらの本来の形態学的状態に戻った。
クラテロスチグマ・プランタギネウム(Craterostigma plantagineum)由来のエクスパンシンcDNAの単離
エクスパンシン配列は、シロイヌナズナ(Arabidopsis)エクスパンシンのα亜群に対して設計されたコンセンサスプライマーを使用して、3時間脱水した葉材料から抽出したC.プランタギネウム(C. plantagineum)RNAに由来するcDNAから、PCRにより増幅した。RT−PCR産物をクローニングし、シーケンシングして、エクスパンシンcDNA配列の数を同定した。さらなる分析により、これらの配列が、3つの別個の群へ分類され、クラテロスチグマ属(Craterostigma)の葉を脱水する際に3つの別個のエクスパンシンcDNAの存在を実証した。これらの遺伝子は、CplExp1、CplExp2及びCplExp3と称した。
完全長コード配列は、cDNAの5’及び3’末端迅速増幅により、これらの遺伝子の1つであるCplExp1に関して得られ、α−エクスパンシンに特有の特徴的なシグナルペプチド及びモチーフを保有する261個のアミノ酸から構成されるタンパク質を示した(図3)。コンセンサスプライマーを用いて増幅した配列の他に、3’末端のみが、CplExp2(216個のアミノ酸)及びCplExp3(224個のアミノ酸)に関して得られた。このため、これらの配列は、5’末端にあるシグナルペプチドを欠如するが、α−エクスパンシンモチーフを識別する他のすべては存在している。ヌクレオチドレベルで、3つのクラテロスチグマ属(Craterostigma)α−エクスパンシンは、およそ70%の配列同一性を共有する。シロイヌナズナ(Arabidopsis)由来の3つの代表的なα−エクスパンシン(AthExpα1.2、GenBankアクセッション番号AAG60095、AthExpα1.5、GenBankアクセッション番号BAB11259及びAthExpα1.6、GenBankアクセッション番号AAB97125)並びにトウモロコシ由来の1つの代表的なα−エクスパンシン(ZmaExp2、GenBankアクセッション番号AAK56120)とのこれらの配列のアラインメントを図3に示す。このデータは、本発明で単離したC.プランタギネウム(C. plantagineum)エクスパンシンと他の従来規定されたα−エクスパンシンとの間に相同の有意性を明らかに実証する。上述のように、大きな度合いの異種性が、これらのタンパク質に関するシグナルペプチドをコードするこれらの配列の5’末端に存在する。これらのα−エクスパンシンの他のすべてのドメインは、高度に保存される。1つの顕著な例外が、2つの高度に保存されるシステイン間の短領域に存在し、ここでは、CplExp1は、短い3個又は4個のアミノ酸挿入を示す(図3において配列上のアステリスクにより示される)。典型的なα−エクスパンシンでは、この領域は、およそ6アミノ酸長であり、概して一連の2〜5個の荷電アミノアシル残基及び保存トリプトファンを特徴とする。しかしながら、CplExp1では、タンパク質配列のこの伸長は、10アミノ酸長であり、主として非荷電アミノ酸から構成される(CASSISGGGKWC)。この領域は、CplExp2又はCplExp3のいずれにも存在せず、配列アラインメントは、唯一の他の既知のエクスパンシン配列、すなわちトウモロコシ由来のエクスパンシン2の配列がこの位置で間接的に類似したモチーフを含有することを示す。
シロイヌナズナ(Arabidopsis)及びイネのものと一緒のクラテロスチグマ属(Craterostigma)α−エクスパンシンの系統学的分析は、3つのすべての配列が、シロイヌナズナ(Arabidopsis)及びイネエクスパンシンファミリーから従来規定されたサブファミリー及びサブグループへ分類されることを実証した。3つのタンパク質配列のうち、CplExp2のみが、種のいずれかにおける直接的なオルソログであるAthExpα1.11を有するようであった。CplExp3は、主にイネα−エクスパンシンにより密接に関連されたのに対して、CplExp1は、主としてシロイヌナズナ(Arabidopsis)α−エクスパンシンとともに分類された。また、CplExp1は、CplExp2及びCplExp3と比較して別個の亜群内に存在することにも注目すべきである。
脱水及び再水和中のエクスパンシン発現
脱水及び再水和のプロセス全体にわたって同定される3つのα−エクスパンシン転写物それぞれの存在量を測定するために、特定の時点で、C.プランタギネウム(C. plantagineum)の切り取った葉からRNAを単離した。リアルタイムPCRは、各エクスパンシン及びトランスケトラーゼ3(tkt3)遺伝子に対して設計された特定のプライマーを使用して実施した。相対定量は、各プライマー対に関して標準曲線を作成することにより実施され、相対量は、内因性対照に対して表された。tkt3遺伝子(GenBankアクセッション番号Z46646)は、この遺伝子が常時発現され、且つ脱水又は再水和現象により影響を受けないことがこれまでに示されている(Bernacchia他、1995年)ことから、内因性対照として使用した。脱水及び再水和全体にわたる各エクスパンシンの転写物レベルは、水和(0時間の脱水)組織に関して示される。
リアルタイムPCR実験からのデータを図5に示し、3つのエクスパンシンのうち2つ(CplExp1及びCplExp3)が、48時間の脱水全体にわたって、発現の有意な変化を受けたことを明らかとにする。CplExp1、及びより程度は低いが、CplExp3は、脱水の初期段階中にtkt3に対して存在量が増加し、ともに8時間でピークに達した(図5a)。続いて、水なしでの48時間の最終時点まで、レベルは着実に低下した。再水和の24時間全体にわたって、CplExp3の発現は、大部分が変化されないままであったのに対して、CplExp1は、大量に増加して、再水和の3時間後には、収穫したての葉に対してほぼ300倍のピークに達した(図5b)。CplExp1に関する転写物レベルは、続く8時間の再水和の時点までに激しく減少した後、再水和の24時間後に、再度およそ30倍に増加した。対して、CplExp2発現レベルは、脱水又は再水和現象のいずれにおいても大規模な影響を受けなかった。
テマリカタヒバのクラテロスチグマ・プランタギネウム(Craterostigma plantagineum)は、その植物性組織の脱水中に、広範囲であるが可逆的な細胞壁フォールディングを受ける。48時間脱水した切り取った葉において、形態学的変化は著しく、葉の萎縮を伴う葉の大きさのかなりの減少を伴った。細胞レベルでは、細胞収縮及び壁フォールディングは、葉肉及び維管束細胞の両方全体にわたって明白であった。壁フォールディングは、木部内で特に顕著であったが、これらの細胞の崩壊は、二次肥厚(secondary thickenings)の存在により妨げられた。壁フォールディングのこのメカニズムは、脱水中に細胞が収縮した後、再水和全体にわたって膨張する際に被るストレスの幾つかを軽減する可能性が高い。したがって、これらの事象は、C.プランタギネウム(C. plantagineum)の、乾燥を生き延びる能力において有意な役割を果たすと考えられる。
細胞壁フォールディングのこのメカニズムは、テマリカタヒバ植物の中では稀であるが、それは、クラテロスチグマ・プランタギネウム(Craterostigma plantagineum)に限られず、かなりの細胞壁可動性を示唆する。このことが、特有の細胞壁組成、すなわち脱水及び再水和中の細胞壁構造の変化に起因するか、又はこのことは、新たな壁構成成分の合成及び他の代謝回転を包含する動的プロセスであるかどうかは、依然として確立されていない。しかしながら、従来の研究により、クラテロスチグマ・ウィルムシイ(Craterostigma wilmsii)における細胞壁フォールディングのメカニズムは、壁構造及び組成の変化を伴うことが示唆されている(Vicre他、1999年)。これらの変化は、脱水中に細胞壁においてキシログルカン及び非エステル化ペクチンの増加し、レベルは再水和中に下降することを伴うことを示した。
本発明者等は、クラテロスチグマ・プランタギネウム(Craterostigma plantagineum)の葉の脱水及び再水和中に細胞壁フォールディングのこのプロセスにおけるエクスパンシンに関する潜在的な役割を検査した。切り取った葉が乾燥を生き延び、且つ再水和後に生理学的活性を再開させることが可能であり、このことから全植物生理学の正確な描写として受け入れられる(Bartels他、1990年)ため、切り取った葉を使用することで実験を行った。エクスパンシン活性に関するアッセイにより、脱水及び再水和の両方の初期段階で起きる活性の増加に伴い、活性が組織の含水量に依存して著しく変化することが示された。C.プランタギネウム(C. plantagineum)由来の3つのα−エクスパンシンの引き続く単離により、リアルタイムPCRによる脱水及び再水和のプロセス全体にわたるこれらの遺伝子それぞれに関する転写物レベルの変化の分析が可能となった。これらの遺伝子の1つであるCplExp1は、脱水の初期段階中に、及び再水和全体にわたって、発現レベルの有意な変化を受けた。CplExp3は、唯一脱水の準備段階中に転写物レベルのわずかな変化を示したのに対して、CplExp2の発現は、ほんとんど影響を受けなかった。総括すると、これらの総合データは、エクスパンシン活性と発現と脱水及び再水和のプロセスとの間に明確な相関を示唆する。エクスパンシン活性と発現との間の関連性における1つの顕著な例外は、再水和の初期段階中のCplExp1に関する転写物レベルの増加及び相当するエクスパンシン活性の増加における明らかな相違がある。これは、これらの代替的アプローチに対する感受性の差異を反映し得る。しかしながら、より有望な説明は、干ばつストレスにより引き起こされる代謝に対する悪影響が、回復中に翻訳現象を決定的に弱めることであり得る。
エクスパンシンは、多数の発生プロセスに関与していることが示されており、発生プロセスでは、これらの酵素の作用により、例えば成長中の細胞壁伸長、又は細胞壁の崩壊若しくは軟化(例えば、果実熟成中)が可能となる。したがって、脱水及び再水和中のクラテロスチグマ属(Craterostigma)における細胞壁の修復におけるエクスパンシンに関する役割を予想することは困難ではない。これは、脱水中の壁構成成分の除去、及び細胞が再水和し、且つ膨張する際の新たなポリマーの合成を包含する動的役割であり得る。これは、細胞壁の崩壊及び細胞壁伸長の両方の態様を併用している。あるいは、乾燥耐性におけるエクスパンシンの役割は、潜在的にセルロース/キシログルカンネットワーク間の結合を崩壊することによるものであり得る。したがって、このことは、細胞壁の構造的完全性に影響を及ぼし、壁内のポリマーにより大きな運動の自由度を可能にすることにより可動性を増加させ得る。
従来の研究により、多数の脱水誘導性(Neale他、2000年、Kirch他、2001年)及び再水和誘導性(Oono他、2003年)遺伝子が同定されており、それらのうちの幾つかは、細胞壁関連性であり、他の種における乾燥耐性及びストレス防御を改善するための優れた候補物を提供している。Sunkar他(2003年)は、脱水誘導性であるとしてC.プランタギネウム(C. plantagineum)において同定されたシロイヌナズナ(Aradbidopsis)におけるアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子の過剰発現が、脱水、塩、重金属、パラコート及び過酸化水素に対する耐性を改善することを示している。明白なオルソログは、シロイヌナズナ(Arabidopsis)又はイネにおいてCplExp1又はCplExp3に関して存在しないが、主として非荷電性アミノ酸から構成されるCplExp1に対して特有の小挿入は、興味深いモチーフであり、さらなる研究を必要とする。
食品の脱水及び再水和に対するエクスパンシン処理の効果
乾燥果実及び野菜製品の再水和を妨害する主要な要因の1つは、細胞壁の硬化であり、これは、広範囲に水素結合された細胞壁のポリマー系を再水和することの困難性に幾分起因する可能性が高い。したがって、再水和は、水の可塑化効果に大いに依存する。エクスパンシンは、細胞壁ポリマー間の水素結合を崩壊し、本質的に細胞壁可塑化剤として機能すると考えられる。C.プランタギネウム(C. plantagineum)の脱水応答におけるエクスパンシンの明白な役割、及び細胞壁に対するそれらの可塑化効果を考慮すると、これらのタンパク質は、植物材料の、効率的に脱水及び再水和する能力を増強するのに有用であり得る。
本発明者等は、再水和アッセイにおけるC.プランタギネウム(C. plantagineum)由来のエクスパンシン及びタンパク質抽出物の有用性を検査するために初期実験を実施して、これらの試験からの実例結果を図8に提示する。本発明者等は、組換えキュウリエクスパンシン及びC.プランタギネウム(C. plantagineum)細胞壁タンパク質がともに、ジャガイモ及びニンジンの脱水円筒体による水の取り込みを有効に増加させることを見出した。これらの効果は、テマリカタヒバを研究することから得られる洞察が、特に乾燥食品の領域における産業上の利用において有用であり得るという本発明者等の仮説を強力に支持する。興味深いことに、C.プランタギネウム(C. plantagineum)由来の細胞壁抽出物は、この粗製抽出物において見られるような組み換えキュウリエクスパンシンよりも効果的であるようであった。C.プランタギネウム(C. plantagineum)エクスパンシンは、この粗製抽出物のほんのわずかな割合を示す可能性が高く、これは、C.プランタギネウム(C. plantagineum)エクスパンシンはいずれも、キュウリエクスパンシンよりもこれらのアッセイではより効果的であることを示唆し得る。
参考文献
Figure 2007535300
Figure 2007535300
Figure 2007535300
0時間の脱水(a、b)及び48時間の脱水(c、d)後の樹脂に包埋したクラテロスチグマ・プランタギネウム(Craterostigma plantagineum)の葉組織の0.5μmのトルイジンブルー染色した切片。mc、葉肉細胞、vc、維管束細胞、xy、木部。広範囲の細胞壁フォールディングを示す領域を示す()。 (a)クラテロスチグマ・プランタギネウム(Craterostigma plantagineum)の葉の脱水及び再水和におけるエクスパンシン活性。粗製細胞壁タンパク質抽出物は、脱水したクラテロスチグマ属(Craterostigma)の葉材料から単離され、続いて、特定の期間再水和させた。活性は、一定荷重下でセルロース/キシログルカン複合体へのエクスパンシン添加後に、伸長速度の増加に従って測定した。測定値は、標準化したタンパク質濃度に関連して表される。データは、6つのそれぞれにおける測定値からの平均値及び標準誤差である。実験全体は、3回繰り返され、同様の結果が得られた。(b)脱水及び再水和の様々な段階でのC.プランタギネウム(C. plantagineum)の葉の全体的な葉形態を表す画像。タイムポイントは、エクスパンシン活性をアッセイするのに使用したものと同じである。 クラテロスチグマ・プランタギネウム(Craterostigma plantagineum)(CplExp1、CplExp2及びCplExp3)、シロイヌナズナ(Arabidopsis)(AthExpα1.2、GenBankアクセッション番号AAG60095、AthExpα1.5、GenBankアクセッション番号BAB11259、AthExpα1.6、GenBankアクセッション番号AAB97125)及びトウモロコシ(ZmaExp2、GenBankアクセッション番号AAK56120)由来のα−エクスパンシンのタンパク質配列アラインメント。網掛け領域は、配列が整列する領域を表し、配色は、保存残基(黒)及び類似残基(灰色)を表す。 切り取ったクラテロスチグマ・プランタギネウム(Craterostigma plantagineum)の葉の脱水及び再水和中のエクスパンシン活性を示す図である。 リアルタイムPCRにより決定される場合の脱水及び再水和の特定段階でのクラテロスチグマ・プランタギネウム(Craterostigma plantagineum)由来の3つのα−エクスパンシン遺伝子の発現。転写物レベルは、標準物質又は内因性対照、この場合はトランスケトラーゼ3遺伝子に対して表される。この遺伝子の発現は、脱水又は再水和現象により影響を受けないことがこれまでに知られている。 図6a、図6b及び図6cは、クラテロスチグマ・プランタギネウム(Craterostigma plantagineum)エクスパンシンの核酸配列である。 図7a、図7b及び図7cは、クラテロスチグマ・プランタギネウム(Craterostigma plantagineum)エクスパンシンのアミノ酸配列である。 乾燥植物材料の再水和に対するエクスパンシンの影響を示す図である。

Claims (22)

  1. トランスジェニック植物細胞であって、以下の:
    i)図6a、図6b又は図6cに表されるような核酸配列を含む核酸分子、
    ii)(i)で定義されるような前記核酸分子にハイブリダイズし、且つエクスパンシンに関連する比活性を有するポリペプチドをコードする核酸分子、
    iii)アミノ酸配列モチーフASSISGGGを特徴とするエクスパンシンをコードする核酸分子、
    iv)(i)、(ii)又は(iii)で定義される配列に対する遺伝コードの結果として縮重している核酸配列を含む核酸分子
    から成る群から選択される核酸分子による形質転換により遺伝子的に改変される植物細胞。
  2. 前記細胞は、前記核酸分子の過剰発現に適応される、請求項1に記載の細胞。
  3. 前記核酸分子は、図6a、図6b又は図6cに表されるような核酸分子に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする、請求項1又は2に記載の細胞。
  4. 前記核酸分子は、図6a、図6b又は図6cに表される核酸配列から構成される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の細胞。
  5. 前記核酸分子は、図6a、図6b又は図6cに表される核酸配列に対して少なくとも60%相同性を有する核酸配列を含む、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の細胞。
  6. 前記細胞は、エクスパンシンポリペプチドをコードする核酸分子で形質転換され、該核酸分子は、テマリカタヒバのゲノムから単離される、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の細胞。
  7. 前記テマリカタヒバは、クラテロスチグマ種(Craterostigma spp)である、請求項6に記載の細胞。
  8. 前記核酸分子は、基礎レベル発現と比較した場合に、少なくとも2倍過剰発現される、請求項2ないし7のいずれか1項に記載の細胞。
  9. 前記細胞は、前記核酸分子を少なくとも5倍、10倍、20倍、30倍、40倍又は少なくとも50倍過剰発現する、請求項2ないし7のいずれか1項に記載の細胞。
  10. 前記細胞は、前記核酸分子を少なくとも100倍過剰発現する、請求項2ないし7のいずれか1項に記載の細胞。
  11. 前記細胞は、以下の:
    i)図6a、図6b又は図6cに表されるような核酸配列を含む核酸分子、
    ii)(i)で定義されるような前記核酸分子にハイブリダイズし、且つエクスパンシンに関連する比活性を有するポリペプチドをコードする核酸分子、
    iii)アミノ酸配列モチーフASSISGGGを特徴とするエクスパンシンをコードする核酸分子、
    iv)(i)、(ii)又は(iii)で定義される配列に対する遺伝コードの結果として縮重している核酸配列を含む核酸分子
    から成る群から選択される核酸分子を含むベクターでトランスフェクトされる、請求項1ないし10のいずれか1項に記載する細胞。
  12. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の細胞を含む植物。
  13. 請求項12に記載の植物に由来する植物細胞又は植物組織を含む製品。
  14. 前記製品は食料品である、請求項13に記載する製品。
  15. 前記製品は紙である、請求項13に記載の製品。
  16. 植物細胞壁の機械的特性を変更させる方法であって、以下の:
    i)本発明による細胞を供給する工程、及び
    ii)該細胞から植物を栽培する工程
    を含む方法。
  17. 前記植物又はその一部は脱水される、請求項16に記載の方法。
  18. 細胞壁抽出物を調製する方法であって、以下の:
    i)本発明による細胞を供給する工程、
    ii)該細胞を植物へと栽培する工程、及び
    iii)該植物から細胞壁抽出物を調製する工程
    を含み、該細胞壁は変更された機械的特性を有する、前記方法。
  19. 前記抽出物は脱水される、請求項18に記載の方法。
  20. 請求項18又は19に記載の方法により調製される細胞壁抽出物。
  21. 以下の:
    i)図6a及び/又は図6b及び/又は図6cに表されるような核酸配列を含む核酸分子、
    ii)(i)で定義されるような前記核酸分子にハイブリダイズし、且つエクスパンシンに関連する比活性を有するポリペプチドをコードする核酸分子、
    iii)アミノ酸配列モチーフASSISGGGを特徴とするエクスパンシンをコードする核酸分子、
    iv)(i)、(ii)又は(iii)で定義される配列に対する遺伝コードの結果として縮重している核酸配列を含む核酸分子
    から成る群から選択される核酸分子によりコードされるポリペプチドを含む組成物。
  22. 脱水された植物材料の再水和のための作用物質としての請求項21に記載の組成物の使用。
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