JP2007525449A - リゾホスファチジン酸アナログおよび新生内膜形成の阻害方法 - Google Patents

リゾホスファチジン酸アナログおよび新生内膜形成の阻害方法 Download PDF

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Abstract

不飽和脂肪酸(18:1、18:2および20:4)を含むリン脂質増殖因子リゾホスファチジン酸(LPA)ならびに4個より多い炭素を有する炭化水素鎖を含む脂肪族アルコールは、これはアテローム硬化性斑の発生における最初の工程である、新生内膜の迅速な形成を誘導することが可能である。飽和脂肪酸を有するLPAは、新生内膜形成を誘導しない。ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)特異的アゴニストであるロシグリタゾンも、新生内膜の突出した形成を誘導した。PPARγの選択的および不可逆的アンタゴニストであるGW9662は、LPAおよびロシグリタゾンにより誘導した新生内膜形成を止め、このことはLPAにより誘導された新生内膜形成は、PPARγの活性化を必要とすることを示唆している。これらのデータは、PPARγに結合するがその下流のシグナル伝達を活性化しないLPAアナログ、またはPPARγシグナル伝達を阻害するPPARγのアンタゴニストは、新生内膜形成およびアテローム性動脈硬化症の予防および/または治療において有用であることを示唆している。

Description

発明の分野
本発明は概して、血管生物学の分野に関する。より詳細に述べると、本発明は、新生内膜形成およびアテローム発生におけるリゾホスファチジン酸およびPPARg(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ)の役割に関する。
関連技術の説明
アテローム性動脈硬化症は、米国における主な死因であり、開発途上国においては全死亡数の過半数の原因となっている。新生内膜形成は、アテローム硬化性斑(atherosclerotic plaque)発生の最初の工程である。血小板活性化および血栓形成、内皮細胞活性化および損傷、炎症細胞浸潤、ならびに血管平滑筋細胞の活性化、遊走、表現型の調整および増殖を含む、いくつかの細胞機構が、新生内膜形成に関与している。新生内膜の増殖は、最終的には新生内膜斑形成、脂質蓄積および石灰化につながる。炎症を起こしたアテローム斑(atheromatous plaque)は、心臓麻痺および発作を直接引き起こす急性血栓性(thrombembolic)事象の引き金となる。
血管生物学におけるリゾホスファチジン酸
リゾホスファチジン酸(LPA)は、内皮分化遺伝子ファミリーによりコードされたGタンパク質共役型細胞膜受容体LPA1、LPA2、およびLPA3を介して作用する増殖因子様リン脂質メディエーターである。リゾホスファチジン酸により誘発された細胞反応は、増殖、遊走、脱分化および抗アポトーシス作用を含み、これらの反応は全て新生内膜形成に関与している。リゾホスファチジン酸の生成は、血小板活性化と結び付けられており、二つの酵素的段階に関与している。第一に、活性化された血小板は、ホスホリパーゼA1およびA2酵素を放出し、これらの酵素は、血漿および膜のリン脂質を加水分解し、リゾリン脂質を形成する。引き続き、新規に(de novo)生成されたリゾリン脂質は、リン酸頭部基の切断によりリゾホスファチジン酸を生成するリゾホスホリパーゼDの基質となる。この代謝経路により生成されたリゾホスファチジン酸は、18:2および20:4の多不飽和脂肪酸アシル型で濃縮される。
血小板活性化は、血中のリゾホスファチジン酸形成の引き金である。血漿中のリゾホスファチジン酸濃度はナノモル範囲であるのに対し、血清中では血小板活性化の結果として、これは10μMほどの高さまで100倍増加する。この血小板に関連した機構に加え、最小に酸化されたLDL(mox-LDL)も、リゾホスファチジン酸様活性を含む。脂質が豊富なアテローム斑は、mox-LDLを含む酸化された脂質を蓄積するが、これはリゾホスファチジン酸のいくつかのアシル種およびアルキル種を含む。リゾホスファチジン酸は、血小板凝集の強力なアクチベーターである。LDLの軽度の酸化時に形成されたリゾホスファチジン酸は、最小に酸化されたLDLにより誘導された血小板活性化の原因となる重要なメディエーターのひとつである。斑が破裂する事象において、循環血中血小板は、この高度に血栓形成性の物質と接触し始める。実際ヒトアテローム硬化性斑の酸化的に修飾されたLDLおよび脂質抽出物は、血小板を刺激することが示されている。
リゾホスファチジン酸、最小に酸化されたLDLおよび斑脂質により誘発された血小板活性化は、LPA1およびLPA3の選択的アンタゴニストであるジアシルグリセロールピロリン酸(DGPP)により阻止することができる。酸化LDLは、循環血中にも存在し、かつ心臓血管系疾患の患者において観察されることが多い血小板の増強された凝集およびプロトロンビン状態に寄与することがある。リゾホスファチジン酸および最小に酸化されたLDLは、内皮細胞、マクロファージを活性化し、内皮/白血球の相互作用を調整することが可能である。DGPPおよび他のリゾホスファチジン酸受容体アンタゴニストであるN-パルミトイル-セリンリン酸(NPSerPA)は、血小板および内皮細胞に対するリゾホスファチジン酸の作用を阻害する。
リゾホスファチジン酸は、強力な分裂促進因子および平滑筋細胞(VSMC)の運動性因子として同定されている。リゾホスファチジン酸は、インビトロにおいて血管平滑筋細胞の脱分化を誘導することが報告されている。不飽和脂肪酸(例として18:1、18:2および20:4があるが、これらに限定されるものではない)および4個を超える炭化水素鎖を伴う脂肪族アルコールを含むが、飽和脂肪酸(16:0、18:0)は含まないリゾホスファチジン酸のみが、血管平滑筋細胞の脱分化を誘導することが可能である。この不飽和リゾホスファチジン酸種に関する選択性は、任意の公知のリゾホスファチジン酸細胞膜受容体の選択性とは合致せず、これらの受容体は、飽和および不飽和の両リゾホスファチジン酸アナログにより活性化される。従って、新規リゾホスファチジン酸受容体は、脱分化作用を媒介するはずであると仮定される。
リゾホスファチジン酸の細胞内受容体
最近ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体-g(PPARγ)は、リゾホスファチジン酸の細胞内受容体であることが報告された。ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)は、核受容体スーパーファミリーの転写因子である。ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ファミリーは、以下の3種のイソ型からなる:PPARα、PPARδ、およびPPARγ。ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体リガンドの結合は、9-cis-レチノイン酸の受容体であるレチノイン酸X受容体(RXR)の活性化およびヘテロ二量体化につながる。PPAR/RXRヘテロ二量体は、反応性遺伝子の上流に位置した特異的ペルオキシソーム増殖因子反応エレメント(PPRE)に結合する。これら3種のイソ型は同じスーパーファミリーに属するが、それらの生物学的作用は異なる。
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体は、ロシグリタゾン(Rosiglitazone)およびトログリダゾン(Troglitazone)などの合成薬、酸化されたリン脂質、脂肪酸、エイコサノイド、および酸化LDLを含む膨大な数の化合物により活性化され得る。ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体の作用は、当初は、脂質代謝の制御およびホメオシタシスに限定されると考えられていた。しかし最近の研究は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体の活性化は、炎症反応、細胞増殖、分化およびアポトーシスを調節することを示した。興味深いことに、不飽和型18:1リゾホスファチジン酸は、PPARγに結合し、ペルオキシソーム増殖因子反応性エレメントをトランス活性化するが、飽和型18:0はそうしない。PPARγは、単球/マクロファージ、血管平滑筋細胞、内皮細胞において発現され、かつアテローム性動脈硬化巣および高血圧患者の血管壁において高度に発現される。血管疾患におけるPPARγの役割は、依然不明である。
アテローム発生におけるリゾホスファチジン酸の役割に関する新たな仮説
血行力学的に障害がある部位での血小板の局所的活性化は、血小板活性化につながり、かつ血小板で運ばれたメディエーターを放出することが提唱されている。活性化された血小板は、リゾホスファチジン酸生合成に関連した酵素活性を放出する。局所的に生成されたリゾホスファチジン酸は、E-セレクチンおよびVCAMを含む接着分子の発現を活性化し、これは次に血小板接着の増大につながる。リゾホスファチジン酸も血小板を活性化するので、この正のフィードバック機構は、より多くの血小板を動員し、更には不飽和脂肪酸種において濃縮されたリゾホスファチジン酸の生成を刺激する可能性が高い。
多くの脂質はPPARγを活性化するが、リゾホスファチジン酸の濃度は、血清中10μMまで上昇することができ、かつ血管壁近傍の濃度は更に高い可能性があるので、これは突出している。局所的に生成されたリゾホスファチジン酸は、その親油性の特徴のために、細胞膜を横断し、かつ細胞質においてPPARγと結合することが可能である。リゾホスファチジン酸-PPARγ複合体は核に移行し、かつそれらのプロモーター内のペルオキシソーム増殖因子反応エレメントを伴う遺伝子をトランス活性化する。これらの遺伝子のスカベンジャー受容体遺伝子であるCD36は、最小に酸化されたLDLの取込みを含む細胞への脂質輸送に関連しているので、これが恐らく最も興味深い。アテローム斑部位でのCD36の発現増加は十分証明されている。リゾホスファチジン酸は、CD36転写を上方制御することがわかっている。増加した最小の酸化されたLDLの細胞への取込みにつながる増加したCD36発現は、リゾホスファチジン酸および他のPPARγの活性化脂質の供給源を持続して提供することができる。
前記データおよび仮説は、リゾホスファチジン酸はアテローム性動脈硬化症の病理発生において重要な役割を果たすことを示唆している。しかし先行技術は、アテローム性動脈硬化症におけるリゾホスファチジン酸の役割の記載を欠いている。本発明は、前述の仮説の様々な重要な局面を試験することにより、当該技術分野におけるこの突出した必要性を満たし、かつアテローム発生においてリゾホスファチジン酸に中心的役割を割当てている。
発明の概要
本明細書において開示された実験は、マウスおよびラットにおいてPPARγのリゾホスファチジン酸(LPA)が誘導した活性化は、新生内膜形成の主な原因となるかどうかを調べた。雄のSprague-DawleyラットまたはC57B6マウスの外頚動脈にカニューレ挿管し、元の総頸動脈および内頚動脈をクリップ止めした。LPAまたは溶媒を、30〜60分間かけてこの血管に注入した。循環を回復し、動物を、術後7〜56日間生存させ、その後処理した血管の組織を評価した。
結果は、不飽和脂肪酸(18:1、18:2および20:4)を伴うリゾホスファチジン酸(LPA)は低いマイクロモル濃度(1〜10μM)で新生内膜の迅速な形成を誘導することが可能であることを示した。EDG受容体リガンド18:0 LPA、16:0リゾホスファチジン酸、18:1環状ホスファチジン酸およびLPA3受容体選択性リガンド[1-フルオロ-3(S)-ヒドロキシル-4-(オレオイルオキシ)ブチル]リン酸は、不活性であった。対照的に、リゾホスファチジン酸のフッ素化されたアナログは、低マイクロモル濃度のEDG受容体を活性化せず、かつPPARγ受容体特異性アゴニスト、ロシグリタゾン(3〜10μM)は、新生内膜の突出した形成を誘導した。ポリペプチド増殖因子PDGF(10ng/ml)、EGF(100ng/ml)、およびVEGF(10ng/ml)は、新生内膜形成の誘導においては無効であった。PPARγの選択的および不可逆的アンタゴニストであるGW9662は、LPAおよびロシグリタゾンが誘導した新生内膜形成を止め、このことはリゾホスファチジン酸が誘導した新生内膜形成は、PPARγの活性化を必要とすることを指摘している。まとめると、これらのデータは、PPARγに結合するがその下流のシグナル伝達を活性化しないリゾホスファチジン酸アナログまたはPPARγシグナル伝達を阻害するPPARγアンタゴニストは、新生内膜形成およびアテローム性動脈硬化症の予防および/または治療において有用であることを示唆している。
本発明の他の局面、特徴、および利点は、下記の本発明の現在好ましい態様の説明から明らかである。これらの態様は、開示を目的として示されている。
発明の詳細な説明
本発明において使用した略号は以下である:1AGP、1-オクタデセニル-グリセロリン酸;3AGP、3-O-オクタデセニル-グリセロリン酸;Acox、アシル-CoAオキシダーゼ;アルキル-GP、アルキルエーテルグリセロリン酸;AZ-PC、1-O-ヘキサデシル-2-アザレオイル-ホスファチジルコリン;CCA、総頸動脈;cPA、2,3-環状ホスファチジル酸;DGPP、ジオクチルグリセロールピロリン酸;EGF、表皮増殖因子;GPCR、Gタンパク質共役型受容体;hCAD、高分子(heavy)カルデスモン;IGF、インスリン様増殖因子;LDL、低密度リポタンパク質;LPA、リゾホスファチジン酸;moxLDL、最小に酸化されたLDL;nLDL、未変性のLDL;PAF、血小板活性化因子;PDGF、血小板由来増殖因子;PPAR、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体;PPRE、PPAR応答性エレメント;PTX、百日咳毒素;Rluc、ウミシイタケルシフェラーゼ;Rosi、ロシグリタゾン;S1P、スフィンゴシン1-リン酸;SOV-PC、ステアロイル-オキソバレリルホスファチジルコリン;TZD、チアゾリジンジオン;VEGF、血管上皮増殖因子;VSMC、血管平滑筋細胞;XY4、1,1-ジフルオロデオキシ-(2R)-パルミトイル-sn-グリセロ-3-リン酸;XY8、1-パルミトイル-(2R)-フルオロデオキシ-sn-グリセロ-3-リン酸。
本発明の焦点は、リン脂質増殖因子リゾホスファチジン酸(LPA)である。本出願に提示されたデータは、リゾホスファチジン酸は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体-γ(PPARγ)の活性化を介し、新生内膜形成を誘発することを示している。これらの結果は、リゾホスファチジン酸は、PPARγに関連する機構を介し、アテローム発生のメディエーターとして作用することを強力に示している。これらのデータは、PPARγに結合するが下流のシグナル伝達を活性化しないリゾホスファチジン酸アナログまたはPPARγシグナル伝達を阻害するPPARγアンタゴニストは、新生内膜形成およびアテローム性動脈硬化症の予防および/または治療に有用であることも示唆している。例えば本発明は、PPARγの選択的および不可逆的アンタゴニストであるGW9662は、リゾホスファチジン酸またはPPARγ受容体特異性アゴニストであるロシグリタゾンにより誘導された新生内膜形成を止めることを明らかにしている。
当業者は、本発明が、確立された疾患または症状の治療と同様に、予防へと拡大されることを理解する。更に治療における使用に必要なPPARγまたはリゾホスファチジン酸アナログの量は、治療される状態の性質、ならびに患者の年齢および状態に応じて変動することも理解される。用量は、担当の医師または獣医師の裁量で最終的には決定される。一般に、成人の治療に使用される投与量は、典型的には0.02〜5000mg/日の、好ましくは1〜1500mg/日の範囲である。望ましい投与量は、都合の良いことに、単回投与量でまたは適当な間隔で投与される分割量として、例えば、1日2、3、4回またはそれよりも多い部分用量(sub-dose)として示すことができる。
PPARγアンタゴニストまたはリゾホスファチジン酸アナログは、粗化学物質として治療用に投与されることは可能であるが、活性成分は薬学的製剤として提供されることが好ましい。本発明の製剤は、活性成分0.1〜99%、都合良くは30〜95%を含有することができる。従って本発明は更に、PPARγアンタゴニストまたはリゾホスファチジン酸アナログおよび薬学的に許容できる塩または溶媒を、好ましくは1つまたは複数の薬学的に許容できる担体ならびに任意に他の治療的および/または予防的成分と共に含有する薬学的製剤を提供する。
本発明の製剤は、経口、口腔内、非経口、経皮、吸入、点鼻、経粘膜、インプラントまたは経直腸投与のために特に製剤化されたものを含む。しかし経口投与が好ましい。口腔内投与について、この製剤は、通常の様式で製剤化された錠剤または舌下錠の形をとることができる。経口投与のための錠剤およびカプセル剤は、結合剤(例えば、シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカントガム、デンプンの粘質物またはポリビニルピロリドン)、充填剤(例えば、乳糖、糖、微晶質セルロース、トウモロコシ-デンプン、リン酸カルシウムまたはソルビトール)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコールまたはシリカ)、崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはスターチグリコレートナトリウム)または湿潤剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムなどの、通常の賦形剤を含有してもよい。これらの錠剤は、当該技術分野において周知の方法に従いコーティングすることができる。
または、PPARγアンタゴニストまたはリゾホスファチジン酸アナログは、水性または油性の懸濁剤、液剤、乳剤、シロップ剤またはエリキシル剤などの経口液体調製物に混入することができる。更にこれらの化合物を含有する製剤は、使用前に水または他の適当な溶剤により構成するための乾燥製品または散剤として提供することもできる。このような液体調製物は、通常の添加剤(例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/糖シロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルまたは水素化された食用脂肪などの、懸濁化剤)、乳化剤(例えば、レシチン、ソルビタンモノオレアートまたはアラビアゴム)、非水性溶剤(これは食用油、例えばアーモンド油、分留されたココナツ油、油性エステル、プロピレングリコールまたはエチルアルコール)およびp-ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピルまたはソルビン酸などの保存剤を含有しても良い。このような調製物は、例えばココアバターまたは他のグリセリドなどの通常の坐剤用基剤を含有する、坐剤として製剤化することもできる。加えて、本発明の製剤は、注射または連続点滴による非経口投与のために製剤化してもよい。注射用製剤は、油性または水性の溶剤中に懸濁剤、液剤、または乳剤の形をとることができ、かつ懸濁化剤、安定剤および/または分散剤のような製剤用物質を含むことができる。
PPARγアンタゴニストまたはリゾホスファチジン酸アナログを含有する製剤は、デポー剤調製物として製剤化してもよい。このような長期作用製剤は、植込み(例えば、皮下もしくは筋肉内)または筋肉内注射により投与することができる。従って本発明の化合物は、適当な高分子材料または疎水性材料(例えば、許容できる油中の乳剤として)、イオン交換樹脂またはわずかに可溶性の誘導体、例えばわずかに可溶性塩などと共に製剤化することができる。
下記実施例は、本発明の様々な態様を例示することを目的として示されており、いかなる様式においても本発明を限定する意味はない。当業者は、本発明は、目的を実行し、かつ言及された結果および利点に加え、本明細書の固有の目的、結果および利点を得るためによく適合されていることを容易に理解する。「特許請求の範囲」により限定された本発明の真意に包含されるそれらの変更および他の使用は、当業者に明らかである。
実施例1
材料および試薬
リゾホスファチジン酸(LPA)およびスフィンゴシン-1-リン酸(S1P)は、Avanti Polar Lipidsから得た。GW9662は、Tocris Cookson Inc.から得た。Rosiは、ARC Inc.から得た。アルキル-グリセロリン酸(アルキル-GP)の立体異性体LPA 18:2、18:3、20:0、20:4、1,1-ジフルオロデオキシ-(2R)-パルミトイル-sn-グリセロ-3-リン酸(XY4)を含むフッ素化されたリゾホスファチジン酸アナログ、その位置異性体1-パルミトイル-(2R)-フルオロデオキシ-sn-グリセロ-3-リン酸(XY8;図1)、および1-O-ヘキサデシル-2-アザレ-オリ-ホスファチジルコリン(AZ-PC)(図1)は、既報(Davies et al., 2001;Yokoyama et al., 2002;Xu and Prestwich, 2002)のように合成し、かつEchelon Biosciences Inc.から提供された。ステアロイル-オキソバレリルホスファチジルコリン(SOV-PC)(図1)は、Dr. Judy Berliner(University of California, Los Angeles, ロスアンジェルス, CA)から得た。
未変性の低密度リポタンパク質(nLDL)は、Sigma-Aldrichから購入し、PD10カラム(Amersham Biosciences)上での脱塩により、EDTAを除去し、かつ触媒としてCu2+を用い酸化した。タンパク質濃度は、BCAタンパク質アッセイキット(Pierce Chemical Co.)を用いて測定した。最終LDL濃度は、使用前に5mg/mlに調節した。血漿LDL濃度は1.6mg/mlであったが、患者では8±6mg/mlと高かった。
実施例2
ラットにおける新生内膜形成の誘導
被験化合物の局所適用は、最近Yoshidaら(2003)により開発されかつ特徴付けられたモデルを用い行った。簡単に述べると、麻酔をかけた成体雄Sprague-Dawleyラット(250〜300g)の右頸動脈を、手術により露出した。総頸動脈の尾側起源を、血管クリップを用いて結紮し、その後分岐部上の内頸動脈を露出しかつ結紮した。外頸動脈を露出し、かつポリエチレン製カテーテルを決して総頸動脈には到達しないように挿管し、これにより血管への機械的損傷を避けた。総頸動脈を閉塞しているクリップを、一時的に開放し、血管を生理食塩水500mlの逆行注射によりすすぎ、残留している血液を除去した。この血管を再度クリップ止めし、処理液100mlを注射した。60分間インキュベーションした後、カニューレを抜管し、外頸動脈を結紮し、血流を回復させた。動物を回復させ、7〜56日後に、10%緩衝したホルムアルデヒド(pH7.4)の心臓内還流により屠殺した。頚静脈弓(jugular arch)から分岐部までの総頸動脈を切除し、パラフィン中に包埋し、かつ組織学的分析のために処理した。厚さ5mm切片を切断し、ヘマトキシリンおよびエオシンまたはマッソン三色染料で染色した。内膜の中膜に対する比は、画像解析システム(Scion Image CMS-800)を用い定量した。
実施例3
酸化的に修飾された低密度リポタンパク質の血管再建に対する作用
未変性の低密度リポタンパク質(nLDL)は、血中のリン脂質およびコレステロールの輸送体である。タバコの煙への曝露などのストレスによる、未変性の低密度リポタンパク質の酸化的修飾は、新規脂質メディエーターの生成を生じる。このプロセスは、得られる最小に酸化されたLDL(moxLDL)を高度のアテローム発生性とする。
ラットの総頸動脈を、未変性の低密度リポタンパク質および最小に酸化された低密度リポタンパク質により、前述のようにインサイチューで1時間処理した。処理の2週間後、頸動脈をひとまとめにして切除し、組織学的評価のために処理した。図2に例示したように、最小に酸化された低密度リポタンパク質は、突出しかつ有意な新生内膜形成を誘発したが、未変性の低密度リポタンパク質は誘発しなかった。
実施例4
アテローム発生性の最小に酸化された低密度リポタンパク質におけるリゾホスファチジン酸レベル
低密度リポタンパク質の最小の酸化は、リゾホスファチジン酸様生物学的活性を生じる。リゾホスファチジン酸は、心臓血管系の細胞に、血小板凝集の刺激、マクロファージおよび内皮細胞の活性化、ならびに血管平滑筋細胞の脱分化および増殖を含む多くの作用を誘発する。これらのリゾホスファチジン酸が誘発した細胞作用の多くは、新生内膜病巣の発生に関連している。従ってLDLの酸化的修飾は、アテローム発生性の最小に酸化されたLDLにおけるリゾホスファチジン酸レベルを増加させると仮定される。
5種のアシル-リゾホスファチジン酸(アシル-LPA)種の濃度は、スコッパー(scopper)-媒介型最小酸化後の未変性のLDLおよび最小に酸化されたLDLにおいて決定した(図3A)。驚くべきことに、最小に酸化されたLDLにおける総アシル-LPAレベル(180±19pmol/mg LDLタンパク質、n=4)は、未変性のLDL対照(190±13pmol/mg LDLタンパク質、n=4)とは有意差がなかった。しかし、最小に酸化されたLDLにおける多不飽和アシル-LPA種の濃度は有意に減少し、この知見は酸化的分解と一致した。
生物学的液体および組織において特徴付けられた主なリゾホスファチジン酸はアシル型であるが、アルキル-GPであるアルキルエーテルグリセロリン酸アナログも検出される。アルキル-GPは、アシル-LPAとは異なる生物学的特性を有する。例えばアルキル-GPは、血小板の活性化においてアシル-LPAよりも50倍強力である。アルキル-GPレベルは、LDL調製物において定量され、かつアルキル-GP含量は、最小に酸化されたLDLよりも6倍高いことがわかり、オクタデセネニル(18:1)種は、未変性のLDLよりも10倍増加することを示している(図1Eおよび図3B)。興味深いことに、最小に酸化されたLDLに存在するアルキル-GP種の順位序列は、ヒトアテローム硬化性斑の脂質コアについて報告されたものと同じであった。
実施例5
リゾホスファチジン酸のラットにおける新生内膜形成に対する役割
LDLの軽度の酸化は、プロトロンビン性およびプロアテローム発生性の最小に酸化されたLDLを生じる。リゾホスファチジン酸Gタンパク質共役型受容体アンタゴニストは、最小に酸化されたLDLにより誘発された血小板凝集を止め、このことはリゾホスファチジン酸は、最小に酸化されたLDLの血栓形成作用において本質的役割を果たすことを示している。最小に酸化されたLDLの新生内膜誘導能に対するリゾホスファチジン酸の貢献を定義するために、ラット頸動脈モデルにおいて新生内膜形成に対する様々なアルキルエーテルグリセロリン酸(アルキル-GP)およびアシル-LPA種の作用を決定した(図3C)。1-0-オクタデセニル-グリセロリン酸(1AGP;天然の立体異性体)は高度に有効であったのに対し、3-O-オクタデシルグリセロリン酸(3AGP;非天然の立体異性体)は、新生内膜の誘発においてやや有効であった。アルキル-GPのエーテル結合は、ホスホリパーゼAによる切断に対し抵抗性がある。結果的に、アルキル-GP由来の脂肪族アルコールの代謝転換は無視することができ、このことはA型の細胞内ホスホリパーゼは、アルキル-GPの生体活性代謝産物の生成に関係がないことを示唆している。2,3-環状ホスファチジン酸(cPA;18:1)は、環状リン酸塩を含む内因性不飽和アシル-LPAアナログであるが、これは不活性であった。アルキル-GPとは異なり、cPA18:1は、ホスホリパーゼAの基質である。
従って、その新生内膜誘導作用の欠如は、cPA 18:1の潜在的加水分解産物であるオレイン酸は、この反応を誘発するには十分でないことを示している。まとめると、これらの結果は、新生内膜形成を刺激するためのグリセロール骨格上の不飽和脂肪酸/脂肪族アルコール基および遊離のリン酸塩の両方に関する立体特異的要件を示している。
血小板の活性化は、リゾホスファチジン酸生成を生じ、これは多不飽和20:4(アラキドニル)および18:2(リノレノイル)アシル種により支配されている。不飽和脂肪族アシル群16:1、18:1および18:2を含むリゾホスファチジン酸種は、新生内膜病巣の形成を誘導するのに対し、飽和アシル-LPA種は不活性であることが、以前に示されている(Yoshida et al., 2003)。
ラットの頸動脈を、リゾホスファチジン酸20:4または20:0に1時間曝露し、かつ血管再建をその後8週間モニタリングした。リゾホスファチジン酸20:4は、ヒト血清中で濃度が最大2.5mMと最も豊富な種(合計の〜40%)であるため、これが選択された。対照的に、血漿中のアシル-LPAの総循環血濃度は、<0.1mMであった。この2.5mMリゾホスファチジン酸20:4に対する短期間の曝露は、進行性の新生内膜増殖を誘発したのに対し、2.5mMリゾホスファチジン酸20:0は、完全に不活性であった(図4A)。リゾホスファチジン酸18:1処理により誘発された新生内膜発生の程度は、試験した最高濃度である10mMまで濃度依存し、かつ5mMで統計学的有意性に達した(P<0.01;図4B)。この濃度は、ヒト血清中に認められた総LPA濃度と同等である。
実施例6
リゾホスファチジン酸で誘導された新生内膜形成におけるGタンパク質共役型受容体の役割
ラット頸動脈におけるリゾホスファチジン酸特異的Gタンパク質共役型細胞膜受容体の発現は、Wangら(2002)により先に説明されたRT-PCRにより試験した。高分子カルデスモンmRNAを定量するために、Sequence Detection System Model 7700(Applied Biosystems)装置を用い、リアルタイムSYBR Green PCR法を適用することにより、定量的PCRを行った。ラットの高分子カルデスモンおよびGAPDH(参照対照mRNA)特異的プライマーを、Primer Express Software(Applied Biosystems)により設計し、ならびにフォワードプライマーおよびリバースプライマーは以下であった:高分子カルデスモンについて、
Figure 2007525449
;GAPDHについて、
Figure 2007525449
。増幅反応は、SYBR Green PCR Master Mix(Applied Biosystems)により、製造業者のプロトコールに従い行った。mRNA存在量の計算は、先に説明されたCt値を元にした(Wang et al., 2002)。高分子カルデスモンmRNAの発現レベルは、GAPDH mRNAに対し標準化した。各PCR反応を少なくとも3回行い、結果を平均±SEMとして表した。mRNA発現の統計学的比較は、ANOVAにより評価し、かつP<0.05を統計学的に有意とみなした。
リゾホスファチジン酸は、内皮分化遺伝子ファミリーによりコードされた特異的Gタンパク質共役型細胞膜受容体LPA1、LPA2、およびLPA3ならびに遠い関係のLPA4を活性化する増殖因子様リン脂質メディエーターである。遺伝子特異的プライマーを使用するRT-PCR解析は、未処理のラット頸動脈において、LAPA1のドミナントな発現、LPA4の低レベルの発現を示し、およびLPA2またはLPA3の転写産物は示さなかった(図3Aおよび5A)。
リゾホスファチジン酸特異的Gタンパク質共役型細胞膜受容体は、アシル-LPA>アルキル-GP>cPAの効力の順位序列で、飽和および不飽和の両アシル-LPA種により活性化される。更にリゾホスファチジン酸特異的Gタンパク質共役型受容体は、アルキル-GPに対する立体選択性を示さなかった。リゾホスファチジン酸-誘導した新生内膜形成に関する構造-活性相関は、Gタンパク質共役型受容体について説明されたものとは顕著に異なった。第一に、新生内膜形成は、アルキル-GP>アシル-LPAの順位序列を示し、cPAは不活性であった。第二に、不飽和脂肪酸アシル種は、病巣形成を刺激したが、飽和脂肪酸アシルは刺激しなかった(図3C)。第三に、新生内膜の形成は、1-O-オクタデセニル-GPについて、3-O-オクタデセニル-GPに勝る立体選択的優先性を示す。第四に、アルキル-GPおよび不飽和アシル-LPAとは対照的に、EGF(50ng/ml)、VEGF(10ng/ml)およびPDGF(10ng/ml)は、2週間後にこのモデルにおける検出可能な新生内膜を誘導することに失敗した(図5B)。リゾホスファチジン酸Gタンパク質共役型受容体は、EGFおよびPDGF受容体をトランス活性化することが認められ;従って、これらのチロシンキナーゼ受容体の真のリガンドに対する新生内膜反応の欠損は、このような機構の関与を信用できないものにしている。第五に、リゾホスファチジン酸18:1よりもリゾホスファチジン酸Gタンパク質共役型受容体アゴニストとしての効力の大きさが4桁少ないフッ素化されたリゾホスファチジン酸様PPARgアゴニストは、ラットモデルにおける新生内膜形成の誘導時とほぼ同じ効力であった(図5B)。これらの結果は、公知のリゾホスファチジン酸Gタンパク質共役型受容体と異なる受容体が、新生内膜の病巣形成を媒介するという結論につながる。
Gタンパク質共役型受容体LPA1-誘導した細胞増殖は、百日咳毒素(PTX)により完全に阻止された。リゾホスファチジン酸により誘発された新生内膜反応における百日咳毒素-感受性Gタンパク質の役割を試験するために、血管をリゾホスファチジン酸20:4への曝露前および曝露期間に100ng/ml百日咳毒素で30分間処理した。百日咳毒素の前処理は、リゾホスファチジン酸20:4に対する反応を減弱させたが、止めなかった(図3Aおよび6A)。リゾホスファチジン酸Gタンパク質共役型受容体の中で、LPA3受容体は、不飽和リゾホスファチジン酸種への優先性が独特である。しかし正常な頸動脈組織のRT-PCR解析では、LPA3転写産物が検出不能であることが示された(図5A)。同様にLPA3およびLPA1受容体の競合的アンタゴニストであるジオクチルグリセロールピロリン酸(DGPP)は、わずかな阻害を生じた(図6A)。これらの知見は、新生内膜形成におけるリゾホスファチジン酸Gタンパク質共役型受容体の主要な役割を軽視したが、完全に排除することはなかった。
実施例7
リゾホスファチジン酸で誘導された新生内膜形成におけるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体-gの役割
リゾホスファチジン酸は最近、その細胞膜受容体に加え、アテローム発生に長く関連付けられてきた核転写因子ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体-g(PPARg)のアゴニストであることが示された。チアゾリジンジオン(TZD)ファミリーの合成薬Rosi、酸化されたリン脂質、脂肪酸、エイコサノイド、および酸化されたLDLを含む多くの化合物が、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体を活性化する。PPARgは、マクロファージ/単球、血管平滑筋細胞、内皮細胞において検出され、かつアテローム性動脈硬化巣および高血圧患者の血管壁において高度に発現されている。PPARgは、RT-PCRにより正常ラット頸動脈組織において検出された(図5C)。これが理由で、PPARgの特異的不可逆的アンタゴニストであるGW9662は、濃度5mMで先に30分間適用し、2.5mMリゾホスファチジン酸20:4と同時に適用した。GW9662は、リゾホスファチジン酸20:4により誘発された新生内膜形成を完全に止め、このことはPPARg活性化が、リゾホスファチジン酸で誘導された病巣発生の発達に必要であることを示している(図6B)。
PPARg活性化は新生内膜形成につながるという仮説の更なる評価のために、血管を、GW9662または溶剤対照で前処理し、引き続きPPARgアゴニストであるRosiを同時適用した。Rosiは、LPA 20:4の場合と同じ時間経過で新生内膜形成を誘導し、このことは、PPARgの活性化は、このモデルにおいて新生内膜形成を誘発するのに十分である事を示した(図6B)。Rosiによる病巣形成は、GW9662処理により完全に阻止された(図6B)。最小に酸化されたLDLの活性成分である内因性PPARgアゴニストである1-O-ヘキサデシル-2-アザレ-オリ-ホスファチジルコリン(AZ-PC)も、GW9662により阻害される新生内膜形成を引き起こした(図6B)。従って最小に酸化されたLDLであるLPA 20:4およびLPA 18:2に対し反応した新生内膜形成も、GW9662前処理により阻害された。対照的にPPARgアゴニストであるステアロイル-オキソバレリルホスファチジルコリン(SOV-PC)および飽和リゾホスファチジン酸種による処理は、新生内膜形成の刺激に失敗し、かつGW9662処理は、これらの物質により処理された動物から得た血管に作用を有さなかった(図6B)。これらの結果は、PPARgアゴニストであるXY4およびXY8(図5B)について得られたものと共に、ラットモデルの新生内膜形成におけるPPARg活性化の必須の役割を裏付けている。
リゾホスファチジン酸で誘発された新生内膜形成の構造的必要要件は、公知のリゾホスファチジン酸Gタンパク質共役型受容体のものとは異なる。従って本発明者らは、独自のインビボにおける新生内膜を誘発するリゾホスファチジン酸構造-活性相関を、PPARgの場合と、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体反応エレメントを含むアシル-コエンザイムAオキシダーゼ-ルシフェラーゼ(PPRE-Acox-Rluc)リポーター遺伝子構築体を使用するインビトロアッセイを用いて比較した。CV-1細胞を、10%FBSを補充したDME中で96-ウェルプレート(5×103個細胞/ウェル)に播種した。翌日、これらの細胞を、125ngのpGL3-PPRE-アシル-CoAオキシダーゼ(Acox)-ウミシイタケルシフェラーゼ、または125ngのpGL3-CD36(-273)もしくはpGL3-CD36(-261)、62.5ngのpcDNAI-PPARg、および12.5ngのpSV-b-ガラクトシダーゼ(Promega)により、LipofectAMINE(商標)2000(Invitrogen)を用い一過性にトランスフェクションした。トランスフェクションの24時間後、細胞を、DMSOまたはDMSO中の被験化合物(10mM)を含有する1%FBS-補充したOptiMEMI(商標)(Invitrogen)で、20時間処理した。ルシフェラーゼおよびb-ガラクトシダーゼ活性は、各々、Steady-Glo(登録商標)ルシフェラーゼアッセイシステム(Promega)およびGalacto-Light Plus(商標)System(Applied Biosystems)により測定した。試料は4つ組で試行し、平均±SEを算出した。データは、少なくとも3回の独立したトランスフェクションの代表である。帰無仮説の検定にはスチューデントt検定を用い、P<0.05を有意とみなした。
このアッセイ法の結果(図6C)は、インビボにおいて認められた構造-活性相関(図3C)と同じであった。Rosi、不飽和アシル-LPA種、およびアルキル-GPは全て、PPRE-Acox-Rlucリポーターの有意な活性を誘発したのに対し、飽和アシルLPA種、cPA、および関連した脂質メディエーターS1Pは不活性であった。興味深いことに、オクタデセニル-GPのみではなくオクタデシル-GPおよびヘキサデシル-GPも、このリポーター遺伝子を活性化し、これはPPARg活性化におけるアルキル-GPアナログの独自の特性を示している。更に、百日咳毒素およびDGPP処理は、PPRE-Acox-Rlucリポーターの活性化を低下させたが、止めず(図6D)、インビボ実験と結果は一致した(図6A)。リゾホスファチジン酸誘発およびRosi誘発したPPRE-Acox-Rlucリポーターの活性化の用量−反応相関(図6EおよびF)は、新生内膜反応のもの(図4B)に類似していた。しかし2種のPPARgアゴニストの高いナノモル濃度は、これらの受容体遺伝子の有意な活性化を引き起こすのに十分であったので、より低い閾値をともなった。
Rosi、LPA 20:4、およびアルキル-GPは、-273と-261の間にペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)反応エレメント(PPRE)を伴うまたは伴わない、2種のCD36-lucリポーター構築体の一つでトランスフェクションされた、CV1細胞を用いインビトロで試験した場合に、CD36-lucリポーター遺伝子の発現を上方制御したが、LPA 20:0は上方制御しなかった(図7E)。この活性化は、PPREの存在により左右され、その理由はRosiもリゾホスファチジン酸20:4もPPREが欠失したこのリポーター遺伝子を活性化しないからである。興味深いことにアルキル-GPによる活性化は、PPRE欠失変異体においてより大きく低下されるにもかかわらず、これは完全には消滅されず、このことはCV-1細胞において他のプロモーターエレメントも、このリガンドにより活性化され始めるが、リゾホスファチジン酸20:4によっては活性化されないことを示唆している。
実施例8
ラット頸動脈におけるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体-gの発現
PPARgタンパク質の発現は、リゾホスファチジン酸または最小に酸化されたLDLに曝露したラット頸動脈において試験した。PPARg抗原の免疫組織学的染色は、LPA 20:0(図7A)または未変性のLDL(データは示さず)で処理した動物由来の動脈においてごくわずかな染色された核を示した。対照的に、強度のPPARg免疫反応性が、 LPA 20:4(図7B)または最小に酸化されたLDL(データは示さず)処理群からの新生内膜病巣の頸動脈において観察され、これはアテローム性動脈硬化巣において先に報告されたものと非常に類似していた。
スカベンジャー受容体CD36、PPARg調節した遺伝子は、そのプロモーター内の塩基対-273と-261の間にPPAR反応エレメントを含む。CD36は、最小に酸化されたLDLを含む酸化された脂質の結合および輸送により、脂質取込みにおいて重要な役割を果たす。従ってこの経路は、PPARg活性化を維持するために、リゾホスファチジン酸、アルキル-GP、およびAZ-PCなどのリガンドの供給源を提供し得る。リゾホスファチジン酸のアシル型およびアルキル型は両方とも、ヒトのアテローム硬化性斑において蓄積する。リゾホスファチジン酸は、PPARg-PPRE依存した機構を介し、マクロファージへのCD36により媒介される脂質取込みを活性化する。CD36抗原の免疫染色は、リゾホスファチジン酸20:0(図3Fおよび図7C)または未変性のLDL(データは示さず)により処理された血管における免疫反応性の増加を示さなかった。しかし、リゾホスファチジン酸20:4(図7D)または最小に酸化されたLDL(データは示さず)による処理に由来した新生内膜組織は、強度のCD36免疫反応性を示した。CD36の上方制御された発現は、PPARgは、LPA 20:4誘発および最小に酸化されたLDL誘発された新生内膜病巣において活性化されることを示唆している。
実施例9
リゾホスファチジン酸で誘導された新生内膜形成に対する血清因子の作用
血漿中には0.1mM LPAが存在し、かつ現在チアゾリジンジオン(TZD)は糖尿病治療に使用されるが、今までのところ患者における血管合併症の増加は報告されていない。この明らかな矛盾を解明するために、本発明者らは、血漿因子は、Rosiおよび/またはリゾホスファチジン酸の新生内膜誘導作用を減弱させるかどうかを試験した。この仮説は、血漿中の希釈されたリゾホスファチジン酸および高濃度のアルブミンは、生物学的反応の減退を示すことを記している先の報告を基にしている。ヘパリン処理した同系の血漿または血清を、Rosiおよびリゾホスファチジン酸20:4送達の溶剤として、血清アルブミン(10mM)と比較した。10mMアルブミンと複合したRosiまたはリゾホスファチジン酸20:4を受け取った動物のみが、新生内膜病巣を発生したのに対し、血漿または血清中で送達されたこれらの化合物を受け取った動物は、有意な新生内膜形成を示さなかった(図7F)。血漿も血清も単独では、新生内膜を誘導する作用を有さなかった(図7F)。これらの結果は、血漿および血清因子は、新生内膜の形成を減弱させ、かつ内因性リゾホスファチジン酸の広範な作用の緩和に役立ち、かつRosiの作用を抑制することを示唆している。血清中のLPA存在は、LPA Gタンパク質共役型受容体(GPCR)が媒介する生物学的反応を容易に活性化する。従って、血清および血清により送達されたLPAの活性の欠如は、リゾホスファチジン酸GPCR対PPARgのリガンド認識の重要な差異を指摘している。更に、アルキル-GPの二重層貫通(transbilayer)型移動は、高濃度(2%)のアルブミンにより阻止されるのに対し、先に説明されたアッセイにおいて使用されたものに類似している低アルブミン濃度(0.05%)では、実質的移動が残ることが報告されている。
リゾホスファチジン酸およびRosiの二重層貫通型移動は、濃度依存的様式でアルブミンおよび血漿/血清因子により影響を受けるという情報を更に立証するために、PPRE-Acox-Rlucリポーターアッセイ法を用いた。アルブミン(0.04〜4%wt/vol;図7G)またはラット血清(1〜20%vol/vol;図7H)の添加は、PPRE-Acox-Rlucリポーター遺伝子のリゾホスファチジン酸およびRosiにより誘導した活性化を、濃度−依存的様式で阻害し、このことは担体タンパク質は、これらのリガンドの二重層貫通型移動に対する生理的障壁を提供し、その結果PPARg活性化を防止/減弱させるという仮説の更なる裏付けを提供している。
実施例10
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体-gアゴニストによる血管平滑筋細胞の表現型調整
不飽和リゾホスファチジン酸種は、培養された血管平滑筋細胞(VSMC)の表現型調整を誘導したことが報告されている。新生内膜反応およびPPARgは、不飽和リゾホスファチジン酸について同様の選択性を示すので、PPARgの活性化は、その表現型の脱分化において役割を果たすということが本明細書において仮定されている。この仮説は、IGF-1が高レベルの高分子カルデスモン(hCAD)mRNA発現により示されるような、血管平滑筋細胞の分化された紡錘体型を維持する培養システムにおいて試験された。2ng/ml IGF-1の存在下で2日間確立された血管平滑筋細胞を、1mMのRosi、LPA 20:4、またはLPA 20:0のいずれかに、200nM GW9662の存在または非存在下で、3日間曝露した。RosiおよびLPA 20:4に曝露したこれらの血管平滑筋細胞は、線維芽細胞様の平坦な形態を生じた(図8EおよびG)のに対し、リゾホスファチジン酸20:0に曝露した培養物(図8C)は、IGF-1処理した対照(図8A)において認められる紡錘体様の分化した形態を維持した。GW9662処理は、LPA 20:4およびRosiのこの作用を逆行した(図8FおよびH)。定量的RT-PCRを用い、hCAD mRNA発現は全ての処理により減少したが、LPA 20:4およびRosiに曝露された血管平滑筋細胞において最も顕著である(図8I)ことがわかった。GW処理は、hCAD mRNA発現の有意な増加を引き起こした。これらの結果は、PPARgは、血管平滑筋細胞の表現型調整において必須の役割を果たすという仮説を裏付けている。
実施例11
リゾホスファチジン酸アナログ、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体-gアゴニストおよびアンタゴニストのスクリーニング
以下の3種のアッセイを用いることができる:1)先に説明された(McIntyre et al., 2003)、[32P]-LPAに対する精製した組換えPPARγへの競合的結合;2)ペルオキシソーム増殖因子応答性エレメントによる、アシル-CoAオキシダーゼ-ルシフェラーゼリポーター遺伝子の、PPARγにより媒介される活性化(McIntyre et al., 2003);および3)先に説明したラットにおける新生内膜誘導。
リゾホスファチジン酸Gタンパク質共役型受容体のアゴニストまたはアンタゴニストのいずれかとして先に同定された4種のリード構造(図9)を試験する。これらは以下のものである:1)ジアシルグリセロールピロリン酸(DGPP)(Fischer et al., 2001);2)セリンリン酸(SAP)(Bittman et al., 1996;Liliom et al., 1996);3)脂肪族アルコールリン酸(FAP)(Virag et al., 2003)、および4)モノアシルグリセロール二リン酸(MAGDP)。
短鎖ジアシルグリセロールピロリン酸は、LPA1よりもLPA3に10倍の優先性を有する競合的インヒビターであるが、LPA2には作用しない。セリンリン酸は、3種のリゾホスファチジン酸受容体を全て阻害するが、脂肪族アルコールリン酸12:0は、LPA3のアンタゴニストであり、かつLPA2の特異的アゴニストであり、LPA1には作用を有さない。モノアシルグリセロール二リン酸アナログは、LPA1を阻害する。本発明者らは、これらのリード構造の100種を超えるアナログを作製し、その多くはPPARγのリガンドの可能性がある不飽和脂肪族鎖を有した。
[32P]-LPAと異なる濃度の標識しないアナログの間の競合的結合は、Ni-セファロースビーズ上に固定されたHis6-PPARγへの結合により測定することができる(McIntyre et al., 2003)。PPARγ特異的リガンドであるロシグリタゾンは、リゾホスファチジン酸に対して競合する陽性対照として利用される。このリガンドのPPARγ-PPREシステムに対する機能活性を、リゾホスファチジン酸細胞膜受容体を保持しないRH7777細胞においてアッセイすることができる。RH7777細胞は、0.1μgのシミアンウイルス40-β-ガラクトシダーゼリポーターおよび1μgのアシル-CoAオキシダーゼ-ルシフェラーゼにより一過性にトランスフェクションすることができる。このアシル-CoAオキシダーゼ-ルシフェラーゼ構築体は、ペルオキシソーム増殖因子応答性エレメント(PPRE)を有し、かつPPARγ/RXR転写ヘテロ二量体によりトランス活性化することができる。β-ガラクトシダーゼ活性(転写効率の測定)とルシフェラーゼ発光(転写の上方制御により決定)の比は、標準化されたPPARγ活性化の測定値である。この競合的アッセイ法は、自動フィルタープロセッサーを備えたBrandel 96-ウェルハーベスターのようなハイスループットスクリーニング装置上で実行することができる(Fusion Alpha Plate蛍光/発光リーダー、Packard Inc.)。より多くのLPAアナログ、およびLPA Gタンパク質共役型受容体の活性化を伴わずにPPARγを活性化するsn2-ジフルオロメチル-リゾホスファチジン酸アナログを含む他のリード化合物が存在している。PPARγを活性化することがわかっているこれらのアナログも、ラットにおける新生内膜誘導についてインビボでアッセイされ、インビトロとインビボの間の活性の相関的測定を提供する。
これらの実験の結果は、所与のアナログが:1)PPARγに結合するか;2)PPARγのアゴニストであるか;および3)所与の化合物のインビトロPPARγ-リガンド活性は、そのインビボ活性と相関するかどうかを決定する。化合物がPPARγに結合するがPPARγ/PPRE活性化アッセイにおいては不活性である場合、これはアンタゴニストである可能性が示唆されるが、ロシグリタゾンに対する活性化アッセイ法において更に試験される。LPA Gタンパク質共役型受容体を発現しないがPPARα、PPARδおよびPPARγを発現しているRH7777細胞は、これらのアッセイ法について理想的である。
下記参考文献を、本明細書において引用した。
Figure 2007525449
本明細書において言及したあらゆる特許または刊行物は、本発明者が関係する当業者のレベルの指標である。更にこれらの特許および刊行物は、個々の刊行物が、具体的かつ個別に本明細書に参照として組入れられていることを記されるのと同程度に、本明細書に参照として組入れられている。
(図1)前記実験において使用された脂質メディエーターの構造式を示している。
(図2)A〜Cは、最小に酸化された低密度リポタンパク質(moxLDL)処理が、ラット頸動脈において新生内膜形成を誘導することを示している。これらの図は、5mg LDLタンパク質/mlによる1時間処理後、2週間で、未変性の低密度リポタンパク質(nLDL)(A)またはmoxLDL(B)で処理した動物から得たマッソン三色染色したパラフィン包埋した切片の代表図である。バーは500mm。内膜対中膜の比は、C(n=5)に定量化した。
(図3)A〜Bは、安定したアイソトープ希釈したエレクトロスプレーイオン化マススペクトルを用いる、未変性の低密度リポタンパク質(nLDL)および最小に酸化された低密度リポタンパク質(moxLDL)において定量された5種の最も豊富なアシル-リゾホスファチジン酸種(LPA)(A)およびアルキル-GP種(B)を示している。未変性の低密度リポタンパク質と最小に酸化された低密度リポタンパク質の間の総アシル-リゾホスファチジン酸含量の差異がない点は、最小に酸化された低密度リポタンパク質(n=4)におけるアルキル-GPレベルの6倍の増加とは際だって対照的である。図2および3において示された実験において使用した未変性の低密度リポタンパク質のバッチにおいて、アルキル-GP濃度は0.1mMであり、かつ不飽和リゾホスファチジン酸+アルキル-GPの総濃度は0.5mMであるのに対し、最小に酸化された低密度リポタンパク質においてこれらの濃度は各々0.7および0.9mMであった。
Cは、様々なアシル-リゾホスファチジン酸種(10mM)およびアルキル-GP種(AGP)(10mM)の新生内膜病巣誘導の構造-活性の関係を示している。唯一の選択のLPA種の作用は、1AGPについて3AGPよりも好ましい立体選択性であったので、これは新生内膜を誘発した。LPA 18:0およびcPA 18:1は、検出可能な新生内膜を誘起しなかった。
(図4)Aは、ラット頸動脈の、リゾホスファチジン酸20:0ではなく2.5mM LPA 20:4への1時間の曝露が、新生内膜の進行性増殖を誘発し、これは処理後最大8週間継続したことを示している。定量的形態学的分析のために、各5匹の動物群を使用した。
Bは、リゾホスファチジン酸18:1で誘発した新生内膜反応に関する用量-反応曲線を示している。内膜対中膜の比の平均(±SE)は、処理後2週間の動物5匹の群について決定した。
(図5)Aは、ラット頸動脈組織におけるリゾホスファチジン酸(LPA)特異的Gタンパク質共役型細胞膜受容体のRT-PCRを示している。LPA1、LPA4、およびS1P1は、全頸動脈組織から抽出したRNAにおいて検出した。
Bは、ポリペプチド増殖因子および非リゾホスファチジン酸Gタンパク質共役型受容体リガンド、フッ素化されたリゾホスファチジン酸アナログの新生内膜形成に対する作用を示している。10mMリゾホスファチジン酸18:1、XY4、およびその位置異性体XY8により処理した動物は新生内膜形成を示したが、EGF(50ng/ml)、VEGF(10ng/ml)、PDGF-BB(10ng/ml)、またはリゾホスファチジン酸18:0(10mM)で処理した動物は示さなかった。5匹の動物群を、これらの化合物で処理した。
Cは、正常な頸動脈組織のPPARa、PPARd、およびPPARg転写産物で検出したRT-PCR解析を示している。
(図6A)百日咳毒(PTX)およびジオクチルグリセロールピロリン酸(DGPP)、リゾホスファチジン酸Gタンパク質共役型受容体シグナル伝達のインヒビターは、リゾホスファチジン酸20:4により誘導された新生内膜形成を部分的に減弱させたのに対し、PPARg特異的アンタゴニストGW9662はこの作用を完全に止めたことを示している。
(図6B)Rosi、1-O-ヘキサデシル-2-アザレ-オリ-ホスファチジルコリン(AZ-PC)、最小に酸化されたLDL、およびリゾホスファチジン酸の不飽和アシル型は全て、新生内膜形成を誘導し、これはGW9662により完全に止められたことを示している。対照的に、ステアロイル-オキソバレリルホスファチジルコリン(SOV-PC)、PPARg選択性アゴニストは、2週間後の新生内膜の発生の刺激において無効であった。
(図6C)PPARgおよびPPRE-Acox-Rlucリポーター遺伝子でトランスフェクションされたCV1細胞を用いるインビトロアッセイは、インビボにおける新生内膜アッセイにおける同じセットのリガンドについて認められるような異なるリゾホスファチジン酸種に曝露した場合に、同じ構造-活性の関係を示したことを示す(図3C参照)。
(図6D)PPARgアンタゴニストGW9662(10mM)は止めたのに対し、PTX(100ng/ml、2時間)およびDGPP(10mM、2時間)の前処理およびリゾホスファチジン酸との同時適用は、リゾホスファチジン酸20:4-誘導したPPRE-Acox-Rlucリポーター遺伝子発現をインビトロにおいて阻害したことを示す。溶剤は、PBS中に1%DMSOおよび10mM BSAを含有し、Rosi(10mM)、リゾホスファチジン酸20:0(10mM)、またはリゾホスファチジン酸20:0(10mM)は、20時間適用した。ルシフェラーゼおよびb-ガラクトシダーゼ活性(平均±SEM)は、細胞溶解液中で測定した(n=4)。
(図6E〜F)インビトロにおけるPPRE-Acox-Rlucリポーター遺伝子発現のLPA 20:4およびRosiにより誘導した活性化の用量-反応相関を示している。*P>0.05および**P>0.01、溶剤対照についての有意差。
(図7A〜D)ラット頸動脈におけるPPARgの免疫組織学的染色を示している。わずか数個の核が、2.5mM LPA 20:0による処理後4週間の頸動脈のPPARg免疫反応性を示している(A)。対照的に、LPA 20:4により誘発された多層の新生内膜は、高レベルのPPARg免疫反応性を発現している(B)。LPA 20:4処理した頸動脈における新生内膜内のPPARgの活性化は、PPARgのそれに重複する分布におけるCD36の強力な発現により示された(D)。CD36に関する免疫反応性は、LPA 20:0処理した動物においてほとんどみられなかった(C)。抗PPARgおよび抗CD36は、Santa Cruz Biotechnology, Inc.から得た。バーは250mm。
(図7E)CV-1細胞におけるRosi、LPA、およびAGPによるCD36(-273)-RlucおよびCD36(-261)-Rlucリポーター遺伝子の刺激を示している。RosiおよびLPA 20:4は、bp-273と-261の間にPPREを含むCD36(-273)-Rlucの有意な刺激を誘発するが、LPA 20:0(全て10mM)は誘発しなかった。いずれの化合物も、CD36(-261)-Rlucの刺激を引き起こさなかった。1AGPは、3AGPと比べ、Rlucリポーターのより高い刺激を示した。
(図7F)血漿および血清因子は、ラット頸動脈において、Rosiおよびリゾホスファチジン酸20:4により誘導した新生内膜病巣形成を阻害することを示している。Rosi(10mM)およびリゾホスファチジン酸20:4(2.5mM)は、BSA複合体として送達した場合、処理後2週間で、新生内膜形成を誘発した。対照的に、この化合物がラット血漿または血清中を送達される場合、新生内膜形成は検出されなかった(n=5)。
(図7G〜H)アルブミン(0.04%〜4%、G)またはラット血清(1〜20%、H)は、PPRE-Acox-Rlucリポーター遺伝子のリゾホスファチジン酸およびRosiにより誘導した活性化を、濃度-依存的様式で阻害したことを示している。
(図8)A〜Iは、PPARgアゴニストは、インビトロにおけるVSMCの表現型調整および脱分化を誘起することを示している。2ng/ml IGF-1の存在下で確立されたVSMC培養物(A)は、リゾホスファチジン酸20:0(C)、リゾホスファチジン酸20:4(E)、およびRosi(G)の各1mMで3日間処理した。LPA 20:4およびRosi処理は、VSMCの形態の突出した変化につながる。これらの培養物の200nM GW9662による30分間の前処理は、IGF-1-(B)およびLPA 20:0処理した培養物(D)の紡錘体様形態に影響を及ぼさなかった。対照的に、LPA 20:4(F)およびRosi(H)により処理された培養物において、GW9662は、平坦な形態を紡錘体様形状に転換させた。較正バー=100mm。高分子カルデスモン(hCAD)mRNAの発現は、Rosiおよびリゾホスファチジン酸(I、白色バー)で処理したVSMCにおいて、IGF処理した対照培養物と比較して、5日目まで有意に減少した。PPARgアンタゴニストは、定量的RT-PCRにより測定された豊富なhCAD mRNAの有意な増加を引き起こしたので、この傾向は、200nM GW9662(I、黒色バー)で前処理した培養物において逆転した(P>0.01、ANOVA)。
(図9)PPARγリガンドスクリーニングのリード構造を示している (R=炭化水素鎖)。

Claims (18)

  1. 対象における新生内膜形成を阻害する方法であり、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)を介したシグナル伝達を阻害する化合物を、該対象に投与する工程を含む方法。
  2. 化合物が、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γアンタゴニストである、請求項1記載の方法。
  3. 化合物がGW9662である、請求項1記載の方法。
  4. GW9662が、対象の体重の約0.01mg/kg〜約500mg/kgの用量で投与される、請求項3記載の方法。
  5. 化合物が、リゾホスファチジン酸(LPA)のアナログであり、該アナログは、PPARγに結合するが活性化しない、請求項1記載の方法。
  6. LPAアナログが、1個もしくは2個の不飽和炭素鎖または1個もしくは2個の飽和炭素鎖またはそれらの組合せを含む、請求項5記載の方法。
  7. アナログが、ジアシルグリセロールピロリン酸、セリンリン酸、脂肪族アルコールリン酸、アルキルエーテルグリセロリン酸、およびモノアシルグリセロール二リン酸からなる群より選択される、請求項6記載の方法。
  8. アナログが、対象の体重の約0.01mg/kg〜約500mg/kgの用量で投与される、請求項5記載の方法。
  9. 対象が、動物またはヒトである、請求項1記載の方法。
  10. 対象におけるアテローム性動脈硬化症を予防または治療する方法であり、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)を介したシグナル伝達を阻害する化合物を該対象へ投与する工程を含む、方法。
  11. 化合物が、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γアンタゴニストである、請求項10記載の方法。
  12. 化合物がGW9662である、請求項10記載の方法。
  13. GW9662が、対象の体重の約0.01mg/kg〜約500mg/kgの用量で投与される、請求項12記載の方法。
  14. 化合物が、リゾホスファチジン酸(LPA)のアナログであり、該LPAアナログは、PPARγに結合するが活性化しない、請求項10記載の方法。
  15. LPAアナログが、1個もしくは2個の不飽和炭素鎖または1個もしくは2個の飽和炭素鎖またはそれらの組合せを含む、請求項14記載の方法。
  16. アナログが、ジアシルグリセロールピロリン酸、セリンリン酸、脂肪族アルコールリン酸、アルキルエーテルグリセロリン酸、およびモノアシルグリセロール二リン酸からなる群より選択される、請求項15記載の方法。
  17. アナログが、対象の体重の約0.01mg/kg〜約500mg/kgの用量で投与される、請求項14記載の方法。
  18. 対象が動物またはヒトである、請求項10記載の方法。
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