JP2007520220A - H.pyloriフコシルトランスフェラーゼ - Google Patents

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Abstract

本発明により、ピロリ菌(Helicobactor pylori)由来のフコシルトランスフェラーゼの核酸配列およびアミノ酸配列が提供される。本発明により、また、オリゴ糖、糖タンパク質、および糖脂質を合成するためにフコシルトランスフェラーゼを使用する方法も提供される。本発明は、また、配列番号1、3、または7から選択されるヌクレオチド配列に対して90%より大きい同一性を有しており、フコースをGluNAc残基に転移させるα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質をコードするα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼ核酸を提供する。

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2004年1月22日に出願された特許出願第10/764,212号の一部継続出願であり、これは、全ての目的で本明細書中に参考として援用される。
(発明の分野)
本発明により、ピロリ菌(Helicobactor pylori)由来のフコシルトランスフェラーゼの核酸配列およびアミノ酸配列が提供される。本発明により、また、オリゴ糖、糖タンパク質、および糖脂質を合成するためにフコシルトランスフェラーゼを使用する方法も提供される。
(発明の背景)
近年、炭水化物化学は著しく発展しているが、糖結合体、具体的には、哺乳動物のオリゴ糖において見られる偏在するβ−1,2−シス−マンノシド結合の形成を伴う糖結合体の化学合成には、なおも実質的な問題点が存在している。さらに、位置化学的および立体化学的障害を、炭水化物の新規合成の各工程において解決しなければならない。
糖結合体の化学合成に伴う問題点を考慮すると、所望されるオリゴ糖部分を有している糖タンパク質および糖脂質を酵素的に合成するためのグリコシルトランスフェラーゼの使用は、このような糖結合体を調製するための有望なアプローチである。酵素をベースとする合成には位置選択性および立体選択性の利点があり、保護されていない物質を使用して行うことができる。さらに、グリコシルトランスフェラーゼは、オリゴ糖部分を酵素的に修飾するために使用されており、うまく立体化学的および位置化学的に制御されている特異的産物を生じるために非常に有効であることが示されている。目的のグリコシルトランスフェラーゼとしては、フコシルトランスフェラーゼ、シアリルトランスフェラーゼ、ガラクトシルトランスフェラーゼ、およびN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼが挙げられる。一般的な評論については、非特許文献1および非特許文献2を参照のこと。
多くの糖タンパク質および糖脂質には、特定の生物学的活性を示すためには、特定の糖型の存在、または特定の糖型が存在しないことが必要である。例えば、多くの糖タンパク質および糖脂質には、生物学的活性を示すためには、特定のフコシル化構造の存在が必要である。細胞内認識機構には、多くの場合は、フコシル化されたオリゴ糖が必要である。例えば、細胞接着分子としての役割を担う、P−セレクチン、L−セレクチン、およびE−セレクチンを含む多数の糖タンパク質は、シアリルLewis−xおよびシアリルLewis−a構造のような、特異的細胞表面フコシル化炭水化物構造に結合する。さらに、ABO式血液型システムを形成する特異的炭水化物構造はフコシル化されている。3つの基のそれぞれの炭水化物構造は、共通のFucα1,2Galβ1−二糖単位を有している。O型血液の構造においては、この二糖は末端構造であり;一方、A型血液の構造は、この二糖に末端GalNAc残基を付加するα1,3GalNAcトランスフェラーゼによって形成され;そして、B型血液の構造は、末端ガラクトース残基を付加するα1,3ガラクトシルトランスフェラーゼによって形成される。
Lewisの血液型構造もまたフコシル化されている。例えば、Lewis−xおよびLewis−a構造は、それぞれ、Galβ1,4(Fucα1,3)GlcNacおよびGalβ1,3(Fucα1,4)GlcNacである。これらの構造はいずれも、対応するシアル化構造を形成するようにさらにシアル化(NeuAcα2,3−)することができる。目的の他のLewisの血液型構造は、Lewis−yおよびLewis−b構造であり、これらは、それぞれ、Fucα1,2Galβ1,4(Fucα1,3)GlcNAcβ−ORおよびFucα1,2Galβ1,3(Fucα1,4)GlcNAc−ORである。ABO構造とLewisの血液型構造、およびそれらの合成に関係している酵素については、非特許文献3を参照のこと。
詳細には、フコシルトランスフェラーゼは、フコース残基をグアノシン−5’−ジホスホフコースから糖アクセプターの特異的なヒドロキシルに転移させるための合成経路において使用されている。様々なドナー基質とアクセプター基質が知られている(非特許文献4を参照のこと)。例えば、Ichikawaは、クローン化されたフコシルトランスフェラーゼでのシアル化ラクトサミンのフコシル化を含む方法によって、シアリルLewis−xを調製した(非特許文献5)。Loweは、細胞中で自然界には存在しないフコシル化活性を発現させ、それによって、細胞表面上でフコシル化された糖タンパク質を生成するための方法などを記載した(特許文献1)。
米国特許第5,955,347号明細書 Croutら、「Curr.Opin.Chem.Biol.」、1998年、第2巻、p.98−111 Arsequellら、「Tetrahedon:Assymetry」、1997年、第10巻、p.2839 Varkiら編、「Essentials of Glycobiology」、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、NY、1999年、第16章 Guoら、「Applied Biochem.and Biotech.」、1997年、第68巻、p.1−20 Ichikawaら、「J.Am.Chem.Soc.」、1992年、第114巻、p.9283−9298
したがって、多くの市販されている重要な組み換えによって産生された、およびトランスジェニックによって産生された糖タンパク質および糖脂質の生物学的活性は、特定の糖型の存在、または特定の糖型が存在しないことに依存するので、所望されるフコシル化オリゴ糖部分を有している糖結合体を酵素的に合成するための効率的な方法が必要とされている。さらに、フコシル化オリゴ糖の効率のよい産生も必要とされている。本発明はこれらおよび多の必要性を満たす。
(発明の要旨)
本発明により、ピロリ菌(H.pylori)由来のα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質および核酸が提供される。α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質は、ドナー基質からアクセプター基質へのフコース残基の転移を触媒する。1つの実施形態においては、本発明により、配列番号1、3、または7から選択されるヌクレオチド配列に対して90%より大きい同一性を有しており、フコースをGluNAc残基に転移させるα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質をコードするα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼ核酸が提供される。別の実施形態においては、本発明により、配列番号5に対して90%を超える同一性を有しており、フコースをグルコース残基に転移させるα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質をコードするα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼ核酸が提供される。
別の実施形態においては、α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼ核酸は、配列番号1、3、5、または7から選択される。本発明によって、また、配列番号2、4、6、または8を含み、そしてフコースのN−アセチルグルコサミン残基へ、またはグルコース残基への転移を触媒する、α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼをコードする核酸配列も提供される。1つの態様においては、コードされるα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼには、アミノ酸タグもまた含まれる。
さらなる態様においては、本発明により、配列番号11を含み、ドナー基質からグルコース残基へのフコース残基の転移を触媒するα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質をコードする単離された核酸が提供される。別の態様においては、本発明により、配列番号12をコードする核酸が提供される。
別の態様においては、本発明により、上記α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼ核酸を含む発現ベクター、発現ベクターを含む宿主細胞、およびα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質の発現に適切な条件下で培養された宿主細胞を使用してα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質を生成するための方法が提供される。
別の実施形態においては、本発明により、配列番号2、4、または8に対して90%を超える同一性を有しているアミノ酸配列を含む、組換えフコシルトランスフェラーゼタンパク質が提供される。ここでは、フコシルトランスフェラーゼは、ドナー基質からN−アセチルグルコサミンへのフコース残基の転移を触媒する。別の実施形態においては、本発明により、配列番号6に対して90%を超える同一性を有しているアミノ酸配列を含む組換えフコシルトランスフェラーゼタンパク質が提供される。ここでは、フコシルトランスフェラーゼは、ドナー基質からグルコースへのフコース残基の転移を触媒する。1つの態様においては、フコシルトランスフェラーゼタンパク質には、配列番号2、4、6、または8が含まれる。別の態様においては、フコシルトランスフェラーゼタンパク質には、アミノ酸タグもまた含まれる。
別の実施形態においては、本発明により、配列番号12を含み、ドナー基質からグルコースへのフコース残基の転移を触媒する、組換えフコシルトランスフェラーゼタンパク質が提供される。別の態様においては、フコシルトランスフェラーゼタンパク質には、アミノ酸タグもまた含まれる。
本発明により、ドナー基質からアクセプター基質へのフコース残基の転移を触媒する、ピロリ菌(H.pylori)由来のさらなるα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質および核酸が提供される。1つの実施形態においては、本発明により、配列番号15、17、25、27、29、または31から選択されるヌクレオチド配列に対して90%を超える同一性を有しており、フコースをアクセプター基質へと転移させるα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質をコードする、α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼ核酸が提供される。
別の実施形態においては、α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼ核酸は、配列番号15、17、25、27、29、または31から選択される。本発明により、配列番号16、18、26、28、30、または32を含み、アクセプター基質(例えば、N−アセチルグルコサミン残基)へ、またはグルコース残基へのフコースの転移を触媒する、α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質をコードする核酸配列が提供される。1つの態様においては、コードされるα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼには、アミノ酸タグもまた含まれる。
さらなる態様においては、本発明により、配列番号19に対して90%を超える同一性を有している核酸配列を含み、ドナー基質からアクセプター基質へのフコース残基の転移を触媒するα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質をコードする、単離された核酸が提供される。本発明により、また、配列番号19である核酸配列を含む、単離された核酸も提供される。別の態様においては、本発明により、配列番号20をコードする核酸が提供される。
別の実施形態においては、本発明により、上記α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼ核酸を含む発現ベクター、発現ベクターを含む宿主細胞、およびα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質の発現に適切な条件下で培養された宿主細胞を使用してα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質を生成するための方法が提供される。
別の実施形態においては、本発明により、配列番号16、18、26、28、30、または32に対して90%を超える同一性を有しているアミノ酸配列を含む、組換えフコシルトランスフェラーゼタンパク質が提供される。ここでは、フコシルトランスフェラーゼは、ドナー基質からアクセプター基質(例えば、N−アセチルグルコサミン残基またはグルコース残基)へのフコース残基の転移を触媒する。別の実施形態においては、本発明により、配列番号20に対して93%を超える同一性を有しているアミノ酸配列を含む、組換えフコシルトランスフェラーゼタンパク質が提供される。ここでは、フコシルトランスフェラーゼは、ドナー基質からアクセプター基質(例えば、N−アセチルグルコサミン残基またはグルコース残基)へのフコース残基の転移を触媒する。1つの態様においては、フコシルトランスフェラーゼタンパク質には、配列番号16、18、20、26、28、30、または32が含まれる。別の態様においては、フコシルトランスフェラーゼタンパク質には、アミノ酸タグもまた含まれる。
本発明により、また、フコシル化オリゴ糖を産生するために上記α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼ、例えば、配列番号16、18、20、26、28、30、または32を使用するための方法も提供される。フコシル化オリゴ糖は、さらに精製することができる。アクセプター基質は、使用者の要望に応じて、N−アセチル化グルコサミンまたはグルコースのいずれかであり得る。1つの実施形態においては、アクセプター基質は、ラクト−N−ネオ−テトラオース(LNnT)であり、フコシル化産物は、ラクト−N−フコペンタオースIII(LNFP III)である。α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼは、フコシル化オリゴ糖を産生するために他のグリコシルトランスフェラーゼと組み合わせて使用することができる。例えば、出発物質として乳糖を使用すると、フコースをN−アセチルグルコサミンに転移させるα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼ、β−1,3−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、およびβ−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼの作用によってLNFPを産生することができる。β−1,3−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼおよびβ−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼは細菌の酵素であり、好ましい実施形態においては、淋菌(Neisseria gonococcus)由来の酵素である。
別の実施形態においては、本発明のα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質(例えば、配列番号16、18、20、26、28、30、または32)が、フコシル化糖脂質を産生するために使用される。アクセプター基質は、使用者の要望に応じて、N−アセチルグルコサミンまたはグルコースのいずれかであり得る。
別の実施形態においては、本発明により、本明細書中に記載されるα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼ(例えば、配列番号16、18、20、26、28、30、32、または34)を、適切なアクセプター基質を含む糖タンパク質と、フコシル化糖タンパク質を生成するために適切な条件下で混合することによって、フコシル化糖タンパク質を生成するための方法が提供される。アクセプター基質は、Galβ1−OR、Galβ,3/4GlcNAc−OR、NeuAcα2,3Galβ1,3/4GlcNAc−Orから選択することができる。ここでは、Rはアミノ酸、糖、オリゴ糖、または少なくとも1つの炭素原子を有しているアグリコン基である。アクセプター基質は、N−アセチルグルコサミン残基またはグルコース残基であり得る。α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼには、アミノ酸タグもまた含めることができる。
(定義)
他の場所に明確に定義されていない限りは、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、一般的に、本発明が属する分野の当業者が通常理解している意味と同じ意味を有する。一般的には、本明細書中で使用される学名、ならびに、以下に記載される細胞培養、分子遺伝学、有機化学、および核酸化学、およびハイブリダイゼーションにおける研究室手順は、当該分野で周知であり、一般的に使用されている。標準的な技術が、核酸とペプチドの合成のために使用される。一般的には、酵素反応および精製工程は、製造業者の説明書にしたがって行われる。技術および手順は、通常、当該分野での従来法と、種々の一般的な参考文献にしたがって行われる(一般的には、Sambrook et al.,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL、第2版(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(これは、本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)。これは、この文献全体を通じて提供される。以下に記載される分析化学および有機合成において本明細書中で使用される学名および研究室手順は、当該分野で周知であり、一般的に使用されている。標準的な技術またはその改変は、化学合成および化学分析のために使用される。
用語「α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼまたはフコシルトランスフェラーゼ」あるいは「α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼまたはフコシルトランスフェラーゼ」をコードする核酸は:(1)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、または配列番号33から選択される核酸配列によってコードされるポリペプチドに対して、あるいは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、または配列番号34のアミノ酸配列に対して、好ましくは、少なくとも約25個、50個、100個、200個、500個、1000個、またはそれ以上のアミノ酸の領域にわたって、約60%を超えるアミノ酸配列同一性、65%、70%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、好ましくは、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、あるいはそれ以上のアミノ酸配列同一性を有しているアミノ酸配列を有する;(2)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、または配列番号34のアミノ酸配列を含む免疫原;それらの免疫原性断片;およびそれらの保存的に修飾された変異体に対して惹起させられた抗体(例えば、ポリクローナル抗体)に特異的に結合する;(3)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、または配列番号34をコードする核酸;例えば、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、または配列番号33;あるいは、それらの相補物、およびそれらの保存的に修飾された変異体に対して、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズする;(4)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、または配列番号33;あるいは列挙された核酸配列の1つの相補物に対して、好ましくは、少なくとも約25個、50個、100個、200個、500個、1000個、またはそれ以上のヌクレオチドの領域にわたって、約60%を超えるヌクレオチド配列同一性、好ましくは、約65%、70%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいはそれ以上のヌクレオチド配列同一性を有している核酸配列を有する、核酸、およびポリペプチド多形変異体、対立遺伝子、突然変異体、ならびに種間ホモログを意味する。本発明の核酸およびタンパク質には、自然界に存在している分子、または組み換え分子の両方が含まれる。
本発明のα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼ酵素はまた、フコシルトランスフェラーゼタンパク質の1つのファミリーである、グリコシルトランスフェラーゼファミリー10において見られる高度に保存された触媒ドメインの存在によっても認識することができる。例えば、gnl|CDD|16836pfam00852,Glyco_transf_10を参照のこと。1182 futB、1111 futA、1218 futB、および19C2 futBの保存されている触媒ドメインと、グリコシルトランスフェラーゼファミリー10のメンバーの触媒ドメインによるコンセンサス配列との間でのアライメントがズ8〜11および図31に示される。同様のアライメントを、ピロリ菌(H.pylori)由来の他のα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質の保存されている触媒ドメインを決定するために行うことができることは当業者には明らかである。
本明細書中に記載される生物学的に活性なフコシルトランスフェラーゼは、ドナー基質(例えば、GDP−フコース)からα−1,3/4−結合中のアクセプター分子へのフコースの転移を触媒するフコシルトランスフェラーゼである。アクセプター分子は、N−アセチルグルコシルアミン(GlucNAc)またはグルコースのいずれかであり得る。例えば、以下のピロリ菌(H.pylori)株由来のフコシルトランスフェラーゼは、フコースをGlu−NAcに転移させる:915 FutA株、1111 FutA株、19C2 FutB株、および1182 FutB株。ピロリ菌(H.pylori)19C2 FutA株に由来するFutA遺伝子産物は、フコースをLNnTアクセプターの還元性グルコースに転移させる。ピロリ菌(H.pylori)1218株由来のFutB遺伝子産物、および新規の26695 FutAタンパク質も同様である。好ましい実施形態においては、フコシルトランスフェラーゼは、フコースをGlcNAcだけに転移させるか、またはグルコースだけに転移させる。アクセプター分子は、炭水化物、オリゴ糖、糖脂質、または糖タンパク質であり得る。
本発明のピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼタンパク質は、ドナー基質からアクセプター基質への糖の転移に有用である。この付加には、一般的には、オリゴ糖の非還元性末端、または生体分子上の炭水化物部分が利用される。しかし、いくつかの実施形態においては、フコース残基は、還元性グルコース残基に付加される。本明細書中で定義されるような生体分子としては、生物学的に有意な分子、例えば、炭水化物、オリゴ糖、タンパク質(例えば、糖タンパク質)、および脂質(例えば、糖脂質、リン脂質、スフィンゴ脂質、およびガングリオシド)が挙げられるが、これらに限定はされない。
以下の略記が本明細書中で使用される:
Ara=アラビノシル;
Fru=フルクトシル;
Fuc=フコシル;
Gal=ガラクトシル;
GalNAc=N−アセチルガラクトシルアミノ;
Glc=グルコシル;
GlcNAc=N−アセチルグルコシルアミノ;
Man=マンノシル;および
NeuAc=シアリル(N−アセチルノイラミニル)
FTまたはFut=フコシルトランスフェラーゼ
ST=シアリルトランスフェラーゼ
GalT=ガラクトシルトランスフェラーゼ
オリゴ糖は、還元性末端の糖が実際に還元糖であるかどうかにはかかわらず、還元性末端と非還元性末端を有していると考えられる。一般的に認められている命名法にしたがい、本明細書中では、オリゴ糖は、左側に非還元性末端を有し、右側に還元性末端を有するとして示される。
本明細書中に記載される全てのオリゴ糖は、非還元糖(例えば、Gal)の名称または略称、その後ろに、グリコシド結合の立体配置(αまたはβ)、環結合、結合に関係している還元糖の環位置、その後ろに、還元糖の名称または略称(例えば、GlcNAc)を用いて記載される。2つの糖の間の結合は、例えば、2,3、2→3、または(2,3)と表現することができる。それぞれ糖はピラノースまたはフラノースである。
用語「シアル酸」は、9個の炭素からなるカルボキシル化された糖のファミリーの任意のメンバーを意味する。シアル酸ファミリーの最も一般的なメンバーは、N−アセチル−ノイラミン酸(2−ケト−5−アセトアミド−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−D−ガラクトノヌロピラノース−1−オン酸(2− keto−5−acetamido−3,5−dideoxy−D−glycero−D−galactononulopyranos−l−onic acid)(多くの場合は、Neu5Ac、NeuAc、またはNANAと略される))である。このファミリーの第2のメンバーは、N−グリコリル−ノイラミン酸(Neu5Gc、またはNeuGc)である。ここでは、NeuAcのN−アセチル基が水酸化されている。シアリル酸ファミリーの第3のメンバーは、2−ケト−3−デオキシ−ノルロソン酸(2−keto−3−deoxy−nonulosonic acid)(KDN)である(Nadano et al.,(1986)J.Biol.Chem.261:11550−11557;Kanamori et al.,J.Biol.Chem.265:21811−21819(1990))。9−O−C−Cアシル−Neu5Ac様9−O−ラクチルーNeu5Acまたは9−O−アセチル−Neu5Ac、9−デオキシ−9−フルオロ−Neu5Acおよび9−アジド−9−デオキシ−Neu5Acのような9置換シアル酸もまた含まれる。シアル酸ファミリーの概要については、例えば、Varki,Glycobiology 2:25−40(1992);Sialic Acids:Chemistry,Metabolism and Function,R.Schauer編(Springer−Verlag,New York(1992)を参照のこと)。シアル化手順でのシアル酸化合物の合成および使用は、1992年10月1日に公開された国際出願WO92/16640に開示されている。
グリコシルトランスフェラーゼの「アクセプター基質」は、特定のグリコシルトランスフェラーゼについてアクセプターとして作用することができるオリゴ糖部分である。アクセプター基質が、対応するグリコシルトランスフェラーゼおよび糖ドナー基質、ならびに他の不可欠な反応混合物の成分と接触させられ、反応混合物が、十分な時間の間インキュベートされると、グリコシルトランスフェラーゼは、糖残基を糖ドナー基質からアクセプター基質へと転移させる。アクセプター基質は、多くの場合、特定のグリコシルトランスフェラーゼの種々のタイプに応じてそれぞれである
ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼの「アクセプター基質」は、ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼについてアクセプターとして作用することができるオリゴ糖部分である。アクセプター基質がピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼおよび糖ドナー基質(例えば、GDP−フコース)、ならびに他の不可欠な反応混合物の成分と接触させられ、反応混合物が十分な時間の間インキュベートされると、ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼは、フコース残基をGDP−フコースからアクセプター基質へと転移させる。アクセプター基質は、多くの場合、特定のフコシルトランスフェラーゼの種々のタイプに応じてそれぞれである。例えば、哺乳動物のガラクトシド2−L−フコシルトランスフェラーゼ(α1,2−フコシルトランスフェラーゼ)についてのアクセプター基質としては、オリゴ糖の非還元性末端にあるGalβ1,4−GlcNAc−Rが挙げられるであろう;このフコシルトランスフェラーゼは、α1,2結合を介してフコース残基をGalに結合させる。末端Galβ1,4−GlcNAc−RおよびGalβ1,3−GlcNAc−R、ならびにそれらのシアル化類似体は、それぞれ、α1,3−およびα1,4−フコシルトランスフェラーゼのアクセプター基質である。しかし、これらの酵素は、アクセプター基質のGlcNAc残基に対してフコース残基を結合させる。したがって、用語「アクセプター基質」は、特定の適用についての目的の特定のグリコシルトランスフェラーゼの状況において使用される。本明細書中に記載されるピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼは、シアル化されたアクセプター基質またはシアル化されていないアクセプター基質に対してフコースを転移させる。本明細書中に記載されるいくつかのピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼは、フコースをグルコース残基に転移させるであろう。
グリコシルトランスフェラーゼについての「ドナー基質」は、活性化されたヌクレオチド糖である。このような活性化された糖は、一般的には、糖の、ウリジン、グアノシン、およびシチジン一リン酸誘導体(それぞれ、UMP、GMP、およびCMP)、または、その中のヌクレオシド一リン酸または二リン酸が離脱基として作用する糖のニリン酸誘導体(それぞれ、UDP、GDP、およびCDP)から構成されている。例えば、フコシルトランスフェラーゼのドナー基質は、GDP−フコースである。シアリルトランスフェラーゼについてのドナー基質は、例えば、所望されるシアリル酸を含む活性化された糖ヌクレオチドである。例えば、NeuAcの場合には、活性化された糖はCMP−NeuAcである。
「実質的に均質な糖形態」または「実質的に均質なグリコシル化パターン」は、糖タンパク質種について言及する場合には、目的のグリコシルトランスフェラーゼ(例えば、フコシルトランスフェラーゼ)によってグリコシル化されたアクセプター基質の割合を意味する。例えば、上記のα1,3−またはα1,4−フコシルトランスフェラーゼの場合には、実質的に均質なフコシル化パターンは、実質的に全ての(以下に定義されるように)Galβ1,4−GlcNAc−Rおよび、シアル化されたその類似体またはシアル化されていないその類似体が、目的の糖タンパク質を含む組成物中でフコシルかされている場合に、存在する。出発物質にグリコシル化されているアクセプター基質(例えば、フコシル化Galβ1,4−GlcNAc−R物質)が含まれる場合があることは、当業者に理解されるであろう。したがって、計算されるグリコシル化の量には、本発明の方法によってグリコシル化されるアクセプター基質、さらには、出発物質中においてすでにグリコシル化されているアクセプター基質が含まれるであろう。
「実質的に均質な形態」の上記の定義における用語「実質的に」は、一般的には、特定のグリコシルトランスフェラーゼについてのアクセプター基質のうち、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、また、より好ましくは、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%がグリコシル化されている(例えば、フコシル化Galβ1,4−GlcNAc−R物質)ことを意味する。
用語「実質的に同一のフコシル化パターン」は、既知の糖タンパク質のフコシル化と、少なくとも約80%、より好ましくは、少なくとも約90%、なおさらに好ましくは、少なくとも約91%、92%、93%、94%、または95%、そしてなおさらに好ましくは、少なくとも約96%、97%、98%、または99%同一である、本発明の方法によって産生された糖タンパク質のグリコシル化パターンを意味する。「既知のフコシル化パターン」は、任意の既知のレベルのフコシル化を有している任意の供給源に由来する既知の糖タンパク質のフコシル化パターンを意味する。
用語「アミノ酸」は、自然界に存在しているアミノ酸、および合成のアミノ酸、ならびに、自然界に存在しているアミノ酸と同様の様式で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣物を意味する。自然界に存在しているアミノ酸は、遺伝子コードによってコードされるアミノ酸、さらには、後で修飾されるそのようなアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、およびO−ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、自然界に存在しているアミノ酸と同じ塩基性の化学構造(すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基(例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム)に結合しているα炭素)を有している化合物を意味する。このような類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、自然界に存在しているアミノ酸と同じ塩基性化学構造を保っている。アミノ酸模倣物は、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有しているが、自然界に存在しているアミノ酸と同様の様式で作用する化合物を意味する。
「タンパク質」、「ポリペプチド」、または「ペプチド」は、単量体がアミノ酸であり、アミド結合を解して互いに連結されている高分子を意味し、これは、あるいは、ポリペプチドと呼ばれる。アミノ酸がα−アミノ酸である場合には、L−光学異性体またはD−光学異性体のいずれかを使用することができる。さらに、自然界には存在しないアミノ酸、例えば、β−アラニン、フェニルグリシン、およびホモアルギニンもまた含まれる。遺伝子によってはコードされないアミノ酸もまた、本発明において使用することができる。さらに、反応基を含むように修飾されているアミノ酸もまた、本発明において使用される場合がある。本発明で使用される全てのアミノ酸は、D−異性体またはL−異性体のいずれかであり得る。L−異性体が一般的には好ましい。さらに、他のペプチド模倣物もまた、本発明において有用である。一般的な概要については、Spatola,A.F.,CHEMISTRY AND BIOCHEMISTRY OF AMINO ACIDS,PEPTIDES AND PROTEINS,B.Weinstein編,Marcel Dekker,New York,p.267(1983)を参照のこと。
用語「組換え」は、細胞に関して使用される場合には、細胞が異種核酸を複製するか、または異種核酸によってコードされるペプチドもしくはタンパク質を発現することを示す。組換え細胞には、細胞の自然界に存在している(組換えではない)形態においては見ることができない遺伝子を含めることができる。組換え細胞にはまた、自然界に存在している形態の細胞において見られる遺伝子もまた含めることができる。ここでは、このような遺伝子は、人工的な手段によって修飾され、細胞中に再度導入される。この用語にはまた、細胞から核酸を取り出すことなく修飾された、細胞にとって内因性である核酸を含む細胞も含まれる;このような修飾には、遺伝子置換、部位特異的突然変異、および関連技術によって得られる修飾が含まれる。「組換えタンパク質」は、組換え細胞によって産生されるものである。
「融合タンパク質」は、もともとの、または自然界に存在している全長のタンパク質またはその部分配列をコードするアミノ酸配列に加えて、そのようなアミノ酸配列の変わりに、そのようなアミノ酸には満たない、および/またはそのようなアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む、ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼタンパク質を意味する。
融合タンパク質の成分には、「アクセサリー酵素」および/または「精製またはアミノ酸タグ」が含まれる。「アクセサリー酵素」は、本明細書中で言及される場合には、例えば、フコシルトランスフェラーゼの基質を形成する触媒反応に関係している酵素である。アクセサリー酵素は、例えば、フコシルトランスフェラーゼによってドナー部分として使用されるヌクレオチド糖、例えば、GDP−フコースの形成を触媒する。アクセサリー酵素はまた、ヌクレオチド糖の形成に必要なヌクレオチド三リン酸の生成、またはヌクレオチド糖に取り込まれる糖(例えば、フコース)の生成において使用されるものでもあり得る。本発明の組換え融合タンパク質は、タンパク質の精製を容易にする分子「精製タグ」を一方の末端に有している融合タンパク質として構築し、発現させることができる。このようなタグもまた、グリコシル化反応の間に目的のタンパク質を固定するために使用することができる。適切なタグとしては、「エピトープタグ」が挙げられ、これは、抗体によって特異的に認識されるタンパク質配列である。エピトープタグは、一般的には、融合タンパク質を疑いなく検出または単離するために容易に入手できる抗体を使用することを可能にするために、融合タンパク質に組み込まれる。「FLAGタグ」は、モノクローナル抗FLAG抗体によって特異的に認識される、一般的に使用されているエピトープタグであり、配列AspTyrLysAspAspAspAspLys、またはその実質的に同じ変異体から構成されている。他の適切なタグが当業者には公知であり、例えば、ヘキサヒスチジンペプチド(これは、ニッケルまたはコバルトイオンのような金属イオンに結合する)のようなアフィニティータグが挙げられる。精製タグには、マルトース結合ドメインおよびデンプン結合ドメインも含まれる。マルトース結合ドメインタンパク質の精製は当業者に公知である。デンプン結合ドメインは、本明細書中に参考として援用されるWO99/15636に記載されている。β−シクロデキストリン(BCD)誘導樹脂を使用するデンプン結合ドメインを含む融合タンパク質の親和的精製は、2003年5月5日に提出された米国特許出願番号60/468,374(その全体が本明細書中に参考として援用される)に記載されている。
グリコシルトランスフェラーゼに関する用語「機能的ドメイン」は、酵素の活性(例えば、アクセプター基質特異性、触媒活性、結合親和力、または他の生物学的もしくは生化学的活性)を付与するかまたは調節する、グリコシルトランスフェラーゼのドメインを意味する。グリコシルトランスフェラーゼの機能的ドメインの例としては、触媒ドメインが挙げられるがこれに限定はされない。
タンパク質に関する用語「発現レベル」または「発現のレベル」は、細胞によって産生されるタンパク質の量を意味する。細胞によって産生されるタンパク質の量は、本明細書中に記載されるか、または当業者に公知であるアッセイと活性単位によって測定することができる。当業者は、種々のアッセイや単位を使用して細胞によって産生されたタンパク質の量を、それぞれ、測定し、記載するための方法を知っているであろう。したがって、タンパク質(例えば、ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼ)の発現のレベルの定量的および定性的記載は、タンパク質の活性または量を記載するために使用される酵素活性または単位を測定することによってアッセイすることができる。細胞によって産生されたタンパク質の量は、標準的な公知のアッセイ、例えば、Bradford(1976)によるタンパク質アッセイ、Pierceによるビシンコニン酸タンパク質アッセイ(Rockford,Illinois)によって、あるいは、米国特許第5,641,668号に記載されているように決定することができる。
用語「酵素活性」は酵素の活性を意味し、本明細書中に記載されるか、または当業者に公知であるアッセイと活性単位によって測定することができる。
用語「比活性」は、本明細書中で使用される場合は、酵素(例えば、本発明のピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼタンパク質)の触媒活性を意味し、そして、活性単位で表現することができる。本明細書中で使用される場合は、1活性単位によって、所定の温度(例えば、37℃)およびpH値(例えば、pH7.5)で、1分当たり1μmolの生成物の形成を触媒する。したがって、10単位の酵素は、10μmolの基質が、ある温度(例えば、37℃)およびあるpH値(例えば、pH7.5)で、1分間のうちに10μmolの生成物に変換される酵素の触媒量である。
「触媒ドメイン」は、酵素によって行われる酵素反応を触媒するタンパク質ドメイン、またはその部分配列を意味する。例えば、フコシルトランスフェラーゼの触媒ドメインには、ドナー糖からアクセプター糖へフコース残基を転移させるために十分なフコシルトランスフェラーゼの部分配列が含まれるであろう。触媒ドメインには、酵素全体、その部分配列が含まれ得、これには、自然界において見ることができる、酵素に結合されていないさらなるアミノ酸配列またはその部分配列を含めることができる。本発明のα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼ酵素はまた、フコシルトランスフェラーゼタンパク質の1つのファミリーである、グリコシルトランスフェラーゼファミリー10において見られる高度に保存された触媒ドメインの存在によっても認識することができる。例えば、gnl|CDD|16836pfam00852,Glyco_transf_10を参照のこと。1182 futB、1111 futA、1218 futB、および19C2 futBの保存されている触媒と、グリコシルトランスフェラーゼファミリー10のメンバーの触媒ドメインによるコンセンサス配列との間でのアライメントが、図8〜11に示される。1182 FutB、1111 FutA、1218 FutB、および19C2 FutBの保存されている触媒と、グリコシルトランスフェラーゼファミリー10のメンバーの触媒ドメインによるコンセンサス配列との間でのアライメントが、図8〜11に示される。グリコシルトランスフェラーゼファミリー10の触媒ドメインのコンセンサス配列の、約11位のアミノ酸で始まり、301位のアミノ酸で終わる領域と類似している、高度に保存されている領域が、上記に列挙されたピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼ酵素のそれぞれに見られ、例えば、1182 futBのアミノ酸23〜305;1111 futAのアミノ酸27〜304;1218 futBのアミノ酸23〜305;および19C2 futBのアミノ酸22〜277が、酵素の触媒ドメインであると考えられる。また、pfam00852,Glyco_transf_10コンセンサス配列に対するアライメントを使用して、図31に、複数のピロリ菌(H.pylori)株(111 FutB、802 FutA、948 FutA、UA955 FutB、UA763 FutB、全長の19C2 FutA、全長の19C2 FutB、および26695 FutB)に由来するα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼの触媒ドメインが提供される。図31に提供される触媒ドメインは、全て、pfam00852,Glyco_transf_10の残基238〜318の配列(すなわち、開示されるピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質の約226位の残基で始まり、約306位の残基で終わる)に密接に関係しており、これを含む。例えば、1111 FutBの触媒ドメインには、残基177〜306が含まれている;802 FutAの触媒ドメインには、残基226〜303が含まれている;948 FutAの触媒ドメインには、残基227〜304が含まれている。UA955 FutB(955 FutBとも呼ばれる)の触媒ドメインには、残基229〜306が含まれている;UA763 FutB(763 FutBとも呼ばれる)の触媒ドメインには、残基229〜306が含まれている。全長の19C2 FutAの触媒ドメインには、残基229〜306が含まれている。全長の19C2 FutBの触媒ドメインには、残基230〜307が含まれている;そして、全長の26695 FutBの触媒ドメインには、残基230〜307が含まれている。したがって、上記で同定されたフコシルトランスフェラーゼ触媒ドメインを含むポリペプチドは、例えば、オリゴ糖、糖タンパク質、および糖脂質をフコシル化するための本発明の方法において使用することができる。上記で同定されたフコシルトランスフェラーゼ触媒ドメインをコードする核酸もまた、例えば、オリゴ糖、糖タンパク質、および糖脂質をフコシル化するためのフコシルトランスフェラーゼタンパク質の産生のために、本発明の方法において使用することができる。本発明には、図31に開示される触媒ドメインを含む、任意のピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質が含まれる。
「部分配列」は、それぞれ、核酸またはアミノ酸(例えば、タンパク質)のより長い配列の一部を含む、核酸またはアミノ酸の配列を意味する。
用語「核酸」は、一本鎖または二本鎖の形態のいずれかであるデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドポリマーを意味し、これには、他の場所で限定されていない限りは、自然界に存在しているヌクレオチドと同様の様式で核酸にハイブリダイズする自然界に存在しているヌクレオチドの既知の類似体が含まれる。他の場所で明確に示されていない限りは、特定の核酸配列には、その相補配列が含まれる。
「組換え発現カセット」または簡単に「発現カセット」は、そのような配列と適合性である宿主の構造遺伝子の発現に影響を及ぼすことができる核酸エレメントを用いて、組み換えによって、または合成によって生成された核酸構築物である。発現カセットには、少なくともプロモーターと、状況に応じて転写終結シグナルが含まれる。通常は、組換え発現カセットには、転写される核酸(例えば、所望されるポリペプチドをコードする核酸)とプロモーターが含まれる。発現に不可欠であるか、または発現を助けるさらなる因子もまた、本明細書中に記載されるように使用される場合がある。例えば、発現カセットには、宿主細胞から発現されるタンパク質の分泌を指示するシグナル配列をコードするヌクレオチド配列も含めることができる。転写終結シグナル、エンハンサー、および遺伝子の発現に影響を与える他の核酸配列もまた、発現カセットに含めることができる。
「異種配列」または「異種核酸」は、本明細書中で使用される場合には、特定の宿主細胞に対して外来である供給源を起源とするもの、または、同じ供給源に由来する場合には、その元の形態から修飾されたものである。したがって、真核生物宿主細胞中の異種糖タンパク質遺伝子として、修飾されている特定の宿主細胞に対して内因性である、糖タンパク質をコードする遺伝子が挙げられる。異種配列の修飾は、例えば、プロモーターに作動可能であるように連結させることができるDNA断片を生じるように制限酵素でDNAを処理することによって、行うことができる。部位特異的突然変異誘発のような技術もまた、異種配列を修飾するために有用である。
用語「単離された」は、酵素の活性を妨害する成分を実質的または本質的に含まない材料を意味する。本発明の糖、タンパク質、または核酸については、用語「単離された」は、その自然界での状態において見られる通常その物質に付随している成分を実質的または本質的に含まない物質を意味する。一般的には、本発明の単離された糖、タンパク質、または核酸は、純度を決定するための銀染色ゲル上でのバンド強度によって、または他の方法によって測定した場合に、少なくとも約80%純粋であり、通常は、少なくとも約90%、そして好ましくは、少なくとも約95%純粋である。純度または均質性は、多数の当該分野で周知である多数の手法によって示すことができる。例えば、試料中のタンパク質または核酸は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分解することができ、その後、タンパク質または核酸を染色によって視覚化することができる。タンパク質または核酸の高解像度の分解が所望され得る特定の目的については、例えば、HPLCまたは同様の精製手法を利用することができる。
用語「作動可能であるように連結された」は、核酸発現制御配列(例えば、プロモーター、シグナル配列列、または転写因子結合部位の並び)と第2の核酸配列との間の機能的連結を意味する。ここでは、発現制御配列は、第2の配列に対応する核酸の転写および/または翻訳に影響を与える。
用語「同一」またはパーセント「同一性」は、2つ以上の核酸またはタンパク質配列の状況では、最大対応について比較しアライメントした場合に、以下の配列比較アルゴリズムの1つを使用して、または目視検査によって測定して、同じであるか、または同じであるアミノ酸残基またはヌクレオチドの特定の割合を有している2つ以上の配列またはその部分配列を意味する。
表現「実質的に同一」は、2つの核酸またはタンパク質の状況においては、最大対応について比較しアライメントした場合に、以下の配列比較アルゴリズムの1つを使用して、または目視検査によって測定して、約60%を超える核酸またはアミノ酸配列同一性、65%、70%、75%、80%、85%、90%、好ましくは、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、あるいはそれ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸残基同一性を有している、2つ以上の配列またはその部分配列を意味する。好ましくは、実質的同一性は、少なくとも約50残基の長さにわたる配列領域全体、より好ましくは、少なくとも約100残基の領域全体にわたって存在し、そして配列が、少なくとも約150残基の領域にわたって実質的に同一であることが最も好ましい。最も好ましい実施形態においては、配列は、コード領域の全長にわたって実質的に同一である。
配列比較については、通常、1つの配列が、比較される試験配列に対して参照配列とされる。配列比較アルゴリズムが使用される場合は、試験配列と参照配列がコンピューターに入力され、その後、必要に応じて座標が設計され、配列アルゴリズムプログラムのパラメーターが設計される。次いで、配列比較アルゴリズムが、設計されたプログラムパラメーターに基づいて、参照配列に対する試験配列(単数または複数)のパーセント配列同一性を計算する。
比較のための配列の最適なアライメントは、例えば、Smith & Waterman,Adv,Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズムによって、Needleman & Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アライメントアルゴリズムによって、Pearson & Lipman,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA,85:2444(1988)の類似性の検索方法によって、これらのアルゴリズム(GAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)のコンピューターによる履行によって(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WI)、あるいは視覚試験によって(一般的には、Current Protocols in Molecular Biology,F.M.,Ausubel et al.,編、Current Protocols、Greene Publishing Associates,Inc.とJohn Wiley & Sons,Incとの間での共同事業(1995年,補完)(Ausubel))行うことができる。
パーセント配列同一性および配列類似性を決定するために適しているアルゴリズムの例は、BLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズムであり、これらは、それぞれ、Altschul et al.,(1990)J.Mol.Biol.215:403−410、およびAltschuel et al.,(1977)Nucleic Acids Res.25:3389−3402に記載されている。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通じて公に入手することができる。このアルゴリズムには、最初に、検索配列の長さWのショートワードを同定することによって高スコアの配列対(HSP)を同定することが含まれる。これは、データベース中の同じ長さのワードとアライメントされた場合に、いくつかのポジティブ値閾値スコアTに適合するかまたはそれらを満たすかのいずれかである。Tは、文字列スコア閾値と呼ばれる(Altschul et al.,前出)。これらの最初の文字列のヒットは、それらを含むより長いHSPを見つけるための検索を開始するための種子として作用する。文字のヒットは、その後、累積するアルゴリズムスコアを増加させることができる限りは、それぞれの配列に沿って両方向に伸ばされる。累積スコアは、ヌクレオチド配列については、パラメーターM(適合している残基の対についての褒章スコア;常に>0)とN(適合していない残基についてのペナルティースコア;常に<0)を使用して計算される。アミノ酸配列については、スコアリングマトリックスが、累積スコアを計算するために使用される。各方向へと文字のヒットを延ばすことは:検索Xによる累積アルゴリズムスコアが最大達成値から落ちた場合;1つ以上のネガティブにスコアされる残基のアライメントの蓄積が原因で、累積スコアがゼロまたはそれ未満になった場合;または、いずれかの配列の末端に到達した場合に、停止される。BLASTアルゴリズムパラメーターW、T、およびXによって、アライメントの感度および速度が決定される。(ヌクレオチド配列についての)BLASTNプログラムでは、11の文字長(W)、10の期待値(E)、M=5、N=−4、および両方の鎖の比較が、デフォルトとして使用される。アミノ酸配列については、BLASTPプログラムでは、3の文字長(W)、10の期待値(E)、およびBLOSUM62スコアリングマトリックスが、デフォルトとして使用される(Henikoff & Heinkoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:10915(1989)を参照のこと)。
パーセント配列同一性を計算することに加えて、BLASTアルゴリズムではまた、2つの配列の間の類似性の統計学的分析も行われる(例えば、Karlin & Altschul,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA,90:5873−5787(1993)を参照のこと)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの測定方法は、最小額確率(P(N))である。これにより、2つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の間で適合が偶然に生じる確率の指標が提供される。例えば、核酸は、参照核酸に対する試験核酸の比較において、最小額確率が約0.1未満、より好ましくは、約0.01未満、そして最も好ましくは、約0.001未満である場合に、参照配列に対して類似していると考えられる。
2つの核酸配列またはタンパク質が実質的に同一であることをさらに示すものは、以下に記載されるように、第1の核酸によってコードされるタンパク質が第2の核酸によってコードされるタンパク質と免疫学的に交差反応性であることである。したがって、タンパク質は、通常、第2のタンパク質と実質的に同一であり、例えば、2つのペプチドは、保存的置換だけによって異なる。2つの核酸配列が実質的に同一であることを示す別の指標は、以下に記載されるように、2つの分子がストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズすることである。
表現「特異的にハイブリダイズする」は、配列が複雑な混合物(例えば、全細胞)DNAまたはRNA中に存在する場合に、ストリンジェントな条件下で特定のヌクレオチド配列にだけ分子が結合する、二本鎖を形成する、またはハイブリダイズすることを意味する。
用語「ストリンジェントな条件」は、プローブがその標的の部分配列にハイブリダイズするが、他の配列にはハイブリダイズしない条件を意味する。ストリンジェントな条件は配列依存性であり、種々の状況において異なる。配列が長ければ長いほど、より高温で特異的にハイブリダイズする。一般的には、ストリンジェントな条件は、定義されたイオン強度およびpHでの特異的配列についての熱融解点(Tm)よりも約15℃低くなるように選択される。Tmは、(定義されたイオン強度、pH、および核酸濃度下で)標的配列に相補的であるプローブの50%が平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度である。(標的配列が、通常、過剰に存在するので、Tmでは、プローブの50%が平衡状態で占有されている)。通常、ストリンジェントな条件は、塩濃度が、pH7.0から8.3で約1.0MのNaイオン未満、通常は、約0.01Mから1.0MのNaイオン濃度(または他の塩)であり、温度は、短いプローブ(例えば、10から50ヌクレオチド)については少なくとも約30℃、そして長いプローブ(例えば、50よりも長いヌクレオチド)については少なくとも約60℃である条件である。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドのような不安定剤の添加によって得られる場合もある。選択的または特異的ハイブリダイゼーションについては、ポジティブシグナルは、通常、少なくともバックグラウンドの2倍であり、好ましくは、バックグラウンドの10倍のハイブリダイゼーションである。例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、以下であり得る:50%のホルムアミド、5×SSC、および1%のSDS、42℃でのインキュベーション、あるいは、5×SSC、1%のSDS、65℃でのインキュベーションと、0.2×SSCおよび0.1%のSDS中で65℃での洗浄。PCRについては、約36℃の温度が、低いストリンジェンシーでの増幅について一般的であるが、アニーリング温度は、プライマーの長さに応じて、約32〜48℃の間で変化する。高いストリンジェンシーでのPCR増幅については、約62℃の温度が一般的であるが、高いストリンジェンシーでのアニーリング温度は、プライマーの長さおよび特異性に応じて、約50℃から約65℃の範囲であり得る。高いストリンジェンシーでの増幅および低いストリンジェンシーでの増幅の両方についての一般的なサイクル条件には、90〜95℃で30〜120秒間の変性期、30〜120秒間続くアニーリング期と、1〜2分間の約72℃での伸張期が含まれる。高いストリンジェンシーでの増幅反応および低いストリンジェンシーでの増幅反応についてのプロトコールおよび指針は、例えば、Innis,et al.,(1990)PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications Academic Press,N.Y.において入手することができる。
表現「タンパク質に特異的に結合する」または「〜と特異的に免疫反応する」は、抗体に関して使用される場合は、異種であるタンパク質の集団および他の生物製剤の存在下においてそのタンパク質の存在を決定する結合反応を意味する。したがって、記載される免疫アッセイ条件下では、特定の抗体は特定のタンパク質に優先的に結合し、試料中に存在する他のタンパク質に対しては有意な量では結合しない。このような条件下でのタンパク質に対する特異的な結合には、特定のタンパク質に対するその特異性について選択される抗体が必要である。種々の免疫アッセイ形式を、特定のタンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選択するために使用することができる。例えば、固相ELISA免疫アッセイは、タンパク質と特異的に免疫反応するモノクローナル抗体を選択するために日常的に使用されている。特異的免疫反応性を決定するために使用することができる免疫アッセイ形式および条件の記載については、Harlow and Lane(1988)Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Publicatios,New Yorkを参照のこと。
特定のポリヌクレオチド配列の「保存的に修飾されたバリエーション」は、同一であるかまたは本質的に同一であるアミノ酸配列をコードするそのようなポリヌクレオチドを意味するか、あるいは、ポリヌクレオチドがアミノ酸配列をコードしない場合には、本質的に同一である配列を意味する。遺伝子コードの縮重が原因で、多数の機能的に同一である核酸によって、任意の所定のタンパク質がコードされる。例えば、コドンCGU、CGC、CGA、CGG、AGA、およびAGGは全て、アミノ酸アルギニンをコードする。したがって、アルギニンがコドンによって特定されるそれぞれの位置では、コドンを、コードされるタンパク質を変化させることなく、記載される対応するコドンのいずれかに変更することができる。このような核酸のバリエーションは、「サイレントバリエーション」であり、これは、「保存的に修飾されたバリエーション」の一種である。タンパク質をコードする本明細書中に記載されるそれぞれのポリヌクレオチド配列についてもまた、他の場所で明記されていない限りは、それぞれ可能なサイレントバリエーションを記載することができる。当業者は、(AUG(これは、通常は、メチオニンについての唯一のコドンである)およびUGG(これは、通常、トリプトファンについての唯一のコドンである)を除く)核酸中のそれぞれのコドンを、標準的な技術によって機能的に同一である分子を生じるように修飾できることを認識している。したがって、タンパク質をコードする核酸のそれぞれの「サイレントなバリエーション」は、それぞれの記載される配列に暗黙的に含まれる。
さらに、当業者は、コードされる配列中の1つのアミノ酸または小さい割合のアミノ酸(通常は、5%未満、より一般的には、1%未満)を変化させる、付加する、または欠失させる、個々の置換、欠失、または付加が、変更によって化学的に類似しているアミノ酸でのアミノ酸の置換を生じる場合には、「保存的に修飾されたバリエーション」であることを認識するであろう。機能的に類似しているアミノ酸を提供する保存的置換の表は、当業者に周知である。
当業者は、融合タンパク質および融合タンパク質をコードする核酸の多くの保存的なバリエーションによって本質的には同一の産物が生じることを理解しているであろう。例えば、遺伝子コードの縮重が原因で、「サイレントな置換」(すなわち、コードされるタンパク質には変更を生じない核酸配列の置換)が、アミノ酸をコードする全ての核酸配列の適合性の特徴である。本明細書中で記載される場合は、配列は好ましくは、キメラグリコシルトランスフェラーゼを産生する特定の宿主細胞(例えば、酵母、ヒトなど)の中での発現のために最適化される。同様に、アミノ酸配列中の1つまたは数個のアミノ酸が高度に類似している特性を有している別のアミノ酸で置換される、「保存的アミノ酸置換」(上記の定義のセクションを参照のこと)もまた、特定のアミノ酸配列、またはアミノ酸配列をコードする特定の核酸配列に対して高度に類似しているとして容易に同定される。任意の特定の配列のそのような保存的に置換されたバリエーションは、本発明の1つの特徴である。Creighton(1984)Proteins,W.H.Freeman and Companyもまた参照のこと。さらに、コードされる配列中の1つのアミノ酸または少数のアミノ酸を変更する、コードされる配列に1つのアミノ酸または少数のアミノ酸を付加する、コードされる配列中の1つのアミノ酸または少数のアミノ酸を欠失させる個々の置換、欠失、または付加もまた、「保存的に修飾されたバリエーション」である。
本発明の実施には、組み換え核酸の構築、およびトランスフェクトされた宿主細胞中での遺伝子の発現が含まれ得る。これらの目的を達成するための分子クローニング技術は当該分野で公知である。発現ベクターのような組み換え核酸の構築に適している広範な種々のクローニングおよびインビトロ増幅方法は、当業者に周知である。多くのクローニングの実行へと当業者を導くに十分なこれらの技術の例および説明書は、Berger and Kimmel,Guide to Molecular Cloning Techniques,Methods in Enzymology,152巻,Academic Press Inc.,San Diego,CA(Berger);およびCurrent Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubel et al.,編、Current Protocols,Greene Publishing Associates,Inc.とJohn Wiley & Sons,Incとの間での共同事業(1995年,補完)(Ausubel)に見ることができる。組換えピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼの発現に適している宿主細胞は当業者に公知であり、例えば、大腸菌(E.coli)を含む細菌細胞が挙げられる。例えば、Sf9細胞を含む昆虫細胞、ならびに酵母細胞または真菌細胞(例えば、放線菌(Aspergillus niger)または酵母)のような真核生物細胞もまた、本発明において使用することができる。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、Qβ−レプリカーゼ増幅、および他のRNAポリメラーゼによって媒介される技術を含む、インビトロでの増幅方法へと当業者を導くに十分なプロトコールの例は、Berger、Sambrook、およびAusubel、ならびにMullis et al.,(1987)、米国特許第4,683,202号;PCR Protocols A Guide to Methods and Applications(Innis et al.編)Academic Press Inc.San Diego,CA(1990)(Innis);Arnheim & Levinson(1990年10月1日)C&EN 36−47;The Journal Of NIH Research(1991)3:81−94;(Kwoh et al.,(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:1173;Guatelli et al.,(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:1874;Lomell et al.,(1989)J.Clin.Chem.35:1826;Landegren et al.,(1988)Science 241:1077−1080;Van Brunt(1990)Biotechnology 8:291−294;Wu and Wallace(1989)Gene 4:560;およびBarringer et al.,(1990)Gene 89:117に見ることができる。インビトロで増幅された核酸をクローニングするための改良された方法は、Wallace et al.,米国特許第5,426,039号に記載されている。
(発明の詳細な説明)
本発明により、細菌のα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼ、すなわち、ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼが最初に提供される。これは、フコースを、ドナー基質から糖タンパク質上のアクセプター基質へと転移させる。さらに、フコシルトランスフェラーゼは、フコシル化されたオリゴ糖および糖脂質を産生するために有用である。
具体的には、以下のピロリ菌(H.pylori)株由来のα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼがクローン化され、分析された:915A2、1111A2、19C2B1、1182B3、19C2A5、26695、1218、955、802、763 04 NCTC11639,948、およびJ99。ピロリ菌(H.pylori)株に由来する他のα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼが同定されている。例えば、2003年7月23日に提出された、国際出願番号PCT/US/2003/023155;2003年7月23日に提出された、国際出願番号PCT/US/2003/023057;Ge,et al.,J.Biol.Chem.272:21357−21363(1997);Rasko et al.,J.Biol.Chem.275:4988−4994(2000);およびRasko et al.,Eur.J.Biochem.267:6059−6066(2000)を参照のこと;これらのそれぞれが、全ての目的のために本明細書中に参考として援用される。
哺乳動物のα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼを上回るピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼの主要な利点は、ピロリ菌(H.pylori)酵素がアクセプターのシアル化状態による影響は受けないことである。加えて、いくつかのピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼは、グルコースとglcNac残基の両方を含むアクセプター糖の中のN−アセチルグルコサミン(glcNAc)だけに対してフコースを付加する。対照的に、哺乳動物のα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼは、アクセプターのシアル化の程度に敏感であり、いくつかの哺乳動物の酵素は、同じアクセプター中のグルコースおよびglcNAc残基の両方に対して付加する。さらに、細菌によって発現される酵素は、Sf9またはCHOシステム中の哺乳動物遺伝子産物の発現と比較して大幅なコスト削減をもたらす。
(A.ピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質のクローニング)
グリコシルトランスフェラーゼ、例えば、ピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼをコードする核酸、およびそのような核酸を得るための方法は、当業者に公知である。適切な核酸(例えば、cDNA、ゲノム、または部分配列(プローブ))は、クローニングすることができ、また、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、転写をベースとする増幅システム(TAS)、または自己配列複製システム(SSR)のようなインビトロ方法によって増幅することもできる。広範囲の種々のクローニングおよびインビトロでの増幅方法が当業者に周知である。これらの技術の例と、多くのクローニングの実行へと当業者を導くに十分な説明は、Berger and Kimmel,Guide to Melecular Cloning Techniques,Methods in Enzymology 152 Academic Press,Inc.,San Diego,CA(Berger);Sambrook et al.,(1989)Molecular Cloning − A Laboratory Manual(第2版)1巻〜3巻、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Press,NY,(Sambrook et al.,);Current Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubel et al.,編、Current Protocols,Greene Publishing Associates,Inc.とJohn Wiley & Sons,Incとの間での共同事業(1994年,補完)(Ausubel);Cashion et al.,米国特許第5,017,478号;およびCarr,欧州特許第0,246,864号を参照に見られる。
ピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼをコードするDNA、またはその部分配列は、上記の任意の適切な方法によって調製することができ、これには、例えば、制限酵素での適切な配列のクローニングおよび制限が含まれる。1つの好ましい実施形態においては、ピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼをコードする核酸が、日常的に行われているクローニング方法によって単離される。例えば、GenBankまたは他の配列データベース(上記を参照のこと)に提供されているような、ピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼのヌクレオチド配列を、(例えば、サザンブロットまたはノーザンブロットにおいて)ゲノムDNA試料中のピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼに、または全RNA試料中のピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼをコードするmRNAに特異的にハイブリダイズするプローブを提供するために使用することができる。一旦、ピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼをコードする標的核酸が同定されると、これを、当業者に公知の標準的な方法にしたがって単離することができる(例えば、Sambrook et al.,(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版)第1巻〜3巻、Cold Spring Harbor Laboratory;Berger and Kimmel(1987),Methods in Enzymology,第152巻:Guide to Molecular Cloning Techniques,San Diego:Academic Press、Inc.;あるいは、Ausubel et al.(1987)Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing and Wiley−Interscience,New York)を参照のこと)。さらに、単離された核酸は、全長のピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼをコードする核酸、またはその部分配列(例えば、ピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼの触媒ドメインの部分配列を少なくともコードする部分配列を含むもの)を生成するために、制限酵素で切断することができる。ピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼまたはその部分配列をコードするこれらの制限酵素断片は、その後、例えば、ピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質をコードする核酸を生じるように、連結させることができる。
ピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼまたはその部分配列はコードする核酸は、発現産物についてアッセイすることによって特徴付けることができる。発現させられたタンパク質の物理的、化学的、または免疫学的特性の検出に基づくアッセイを使用することができる。例えば、当業者は、クローン化されたピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼを、ドナー基質からアクセプター基質へのフコース残基の転移を触媒する、核酸によってコードされるタンパク質の能力によって同定することができる。1つの方法においては、キャピラリー電気泳動が、反応産物を検出するために使用される。この高感度のアッセイには、Wakarchuk et al.,(1996)J.Biol.Chem.271(45):28271−276に記載されているような、フルオレセインで標識された、単糖類または二糖類アミノフェニル誘導体のいずれかを使用することが含まれる。例えば、ナイセリア(Neisseria)lgtC酵素についてアッセイするためには、FCHASE−AP−LacまたはFCHASE−AP−Galのいずれかを使用することができ、一方、ナイセリア(Neisseria)lgtB酵素については、適切な試薬はFCHASE−AP−GlcNAc(Id.)である。フコシル化された反応産物の検出のための他の方法には、薄層クロマトグラフィーおよびGC/MSが含まれる。
また、ピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼをコードする核酸、またはその部分配列は、化学合成することもできる。適切な方法としては、Narang et al.,(1979)Meth.Enzymol.68:90−99のホスホトリエステル法;Brown et al.,(1979)Meth.Enzymol.68:109−151のホスホジエステル法;Beaucage et al.,(1981)Tetra.Lett.,22:1859−1862のジエチルホスホルアミダイト法;および米国特許第4,458,066号の固体支持法が挙げられる。化学合成により、一本鎖のオリゴヌクレオチドが得られる。これを、相補配列とのハイブリダイゼーションによって、または鋳型として一本鎖を使用するDNAポリメラーゼでの重合によって、二本鎖DNAへと変換させることができる。当業者は、DNAの化学合成は多くの場合には約100塩基の配列に限定されるが、さらに長い配列をより短い配列の連結によって得ることができる場合があることを理解している。
ピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼをコードする核酸、またはその部分配列は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のようなDNA増幅方法を使用してクローニングすることができる。したがって、例えば、核酸配列または部分配列は、1つの制限酵素部位(例えば、NdeI)を含むセンスプライマーと別の制限酵素部位(例えば、HindIII)を含むアンチセンスプライマーを使用して、PCR増幅される。これにより、所望されるピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼまたは部分配列をコードし、そして末端に制限酵素部位を有している核酸が得られる。次いで、この核酸を、第2の分子をコードする核酸を含み、適切な対応する制限酵素部位を有しているベクター中に容易に連結させることができる。適切なPCRプライマーは、GenBankまたは他の供給源に提供されている配列情報を使用して、当業者によって決定することができる。適切な制限酵素部位を、また、部位特異的突然変異誘発によって、ピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質またはタンパク質部分配列をコードする核酸に付加することもできる。ピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列または部分配列を含むプラスミドは、適切な制限エンドヌクレアーゼで切断され、その後、標準的な方法にしたがって増幅および/または発現のための適切なベクターに連結される。当業者をインビトロでの増幅方法に導くために十分な技術の例は、Berger,SambrookおよびAusubel、さらには、Mullis et al.,(1987)米国特許第4,683,202号;PCR Protocols A Guide to Methods and Applications(Innis et al.,編)、Academic Press Inc.San Diego,CA(1990)(Innis);Arnheim & Levinson(1990年10月1日)C&EN 36−47;The Journal Of NIH Research(1991)3:81−94(Kwoh et al.,(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:1173;Guatelli et al.,(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87,1874;Lomell et al.,(1989)J.Clin.Chem.,35:1826;Landegren et al.,(1988)Science 241:1077−1080;Van Brunt(1990)Biotechnology 8:291−294;Wu and Wallace(1989)Gene 4:560;ならびにBarringer et al.,(1990)Gene 89:117に見られる。
ピロリ菌(H.pylori)からα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子をクローニングするために使用することができるプライマーの例としては、以下が挙げられる:FutAについては、プライマー55(
Figure 2007520220
(BamHI制限酵素部位に下線、26695中のチトクロームc生合成タンパク質{遺伝子hp0378}配列ヌクレオチド388674−388694を大文字で並べた))およびプライマー56(
Figure 2007520220
(EcoRI制限酵素部位に下線、26695中のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ{遺伝子hp0380}ヌクレオチド390455−390473を大文字で並べた));または、FutBについては、プライマー53(
Figure 2007520220
(BamHI制限酵素部位に下線、26695中のホスホセリンホスファターゼ{遺伝子hp0652}配列ヌクレオチド698436−698453を大文字で並べた))およびプライマー54(
Figure 2007520220
(EcoRI制限酵素部位に下線、26695中の仮想タンパク質{遺伝子hp0650}ヌクレオチド696423−696440を大文字で並べた))。UA763株については、FutBを、プライマーBHISDFuc13(
Figure 2007520220
(BamHI制限酵素部位に下線、最適なシャインダルガノ配列をイタリックで、そしてα1,3−フコシルトランスフェラーゼを大文字で並べた))とプライマー54を使用してPCR増幅した。開示されるプライマー対は、また、他のピロリ菌(H.pylori)株からα1,3−フコシルトランスフェラーゼをコードする核酸をクローニングするために使用することもできる。したがって、本発明には、活性なフコシルトランスフェラーゼタンパク質をコードし、プライマー55(5’cgggatcccgGCGTGAATTACTACCTTTCTG3’)とプライマー56(5’cggaattccgCAAAACCCTCCTTTCTACTAATG3’)を使用して増幅することができる、ピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼFutA核酸、ならびに、プライマー53(
Figure 2007520220
)またはプライマーBHISDFuc13(
Figure 2007520220
)とプライマー54(
Figure 2007520220
)、あるいは、図33より選択されるプライマー対を使用して増幅することができるピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼFutB核酸が含まれる(ただし、以下のピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼ核酸は、このグループから除外される:1182株由来のFutB、1111株由来のFutA、1218株由来のFutB、19C2株由来のFucB、26695株由来のFutA、および19C2株由来のFutAの短縮型(これらの配列のそれぞれは、2003年7月23日に提出された国際出願番号PCT/US/2003/023155;2003年7月23日に提出された国際出願番号PCT/US/2003/023057に開示されている))。アクセス番号 NC_000915.1、AF194963、AF006039、AY450598、NC_000921、およびAF008596による核酸もまた、このグループから除外される。本発明には、また、プライマー55とプライマー56によって、そしてプライマー53またはプライマーBHISDFuc13とプライマー54によって増幅することができる核酸によってコードされる活性なピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質もまた含まれる(ただし、以下のピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼタンパク質はこのグループから除外される:1182株由来のFutB、1111株由来のFutA、1218株由来のFutB、19C2株由来のFutBの短縮型、26695株由来のFutA、および19C2株由来のFutAの短縮型(これらの配列のそれぞれは、2003年7月23日に提出された国際出願番号PCT/US/2003/023155;2003年7月23日に提出された国際出願番号PCT/US/2003/023057に開示されている))。アクセス番号NP_207445、NP_207177、AAF35291、AAB93985、AAR88243、NP_223719、NP_223314、およびAAB81031による核酸もまた、このグループから除外される。
特定の核酸から発現させられたクローン化されたピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質の他の物理的特性は、既知のピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼの特性と比較することができ、アクセプター基質特異性および/または触媒活性の決定要因であるピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼの適切な配列またはドメインを同定する別の方法を提供することができる。あるいは、推定されるピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子または組換えであるピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子を突然変異させることができ、α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼとしてのその役割、または特定の配列もしくはドメインの役割を、変異していないα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼ、自然界に存在しているα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼ、または対照α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼによって通常産生される炭水化物の構造のバリエーションを検出することによって確立することができる。
クローン化されたピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼの機能的ドメインは、本明細書中に記載されるように、ピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼを突然変異させるか修飾し、そしてアクセプター基質活性および/または触媒活性のような活性について修飾されたかまたは突然変異させられたタンパク質を試験するための標準的な方法を使用することによって同定することができる。種々のピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼの機能的ドメインを使用して、1つ以上のα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼの機能的ドメインを含むα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質をコードする核酸を構築することができる。これらの融合タンパク質を、その後、所望されるアクセプター基質活性または触媒活性について試験することができる。
α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質をコードする核酸をクローニングするための例示的なアプローチにおいては、クローン化されたグリコシルトランスフェラーゼの既知の核酸配列またはアミノ酸配列がアライメントされ、そして種々のグリコシルトランスフェラーゼ間での配列同一性の量を決定するために比較される。この情報は、例えば、目的のグリコシルトランスフェラーゼの間での配列同一性の量に基づくアクセプター基質活性および/または触媒活性のような、グリコシルトランスフェラーゼ活性を付与または調節するタンパク質ドメインを同定し、選択するために使用することができる。例えば、目的のフコシルトランスフェラーゼの間で配列同一性を有しており、既知の活性に関係しているドメインを、そのドメインを含み、そのドメインに関係している活性(例えば、アクセプター基質特異性および/または触媒活性)を有しているフコシルトランスフェラーゼタンパク質を構築するために使用することができる。
(B.ヌクレオチド糖の構造に関与しているアクセサリー酵素を含む融合タンパク質)
いくつかの実施形態においては、本発明の融合ポリペプチドには、α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼ触媒ドメイン(単数または複数)および/または他の機能的ドメインに加えて、アクセサリー酵素に由来する少なくとも1つの触媒ドメインが含まれる。アクセサリー酵素としては、例えば、ヌクレオチド糖の形成に関与している酵素が挙げられる。アクセサリー酵素は、ヌクレオチドへの糖の結合に関係している場合があり、また、例えば、糖またはヌクレオチドを生成することに関係している場合もある。ヌクレオチド糖は、一般的には、特定の融合ポリペプチドのグリコシルトランスフェラーゼ触媒ドメインにより糖ドナーとして利用されるものである。α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼは、糖ドナーとしてGDP−フコースを利用する。グリコシルトランスフェラーゼに由来する機能的ドメインとアクセサリー酵素を含む融合タンパク質、ならびに、そのような融合体を生成するための方法の例は、例えば、PCT/CA98/01180、1998年12月14日に提出された米国特許出願番号09/211,691に見ることができる(これらの両方が全ての目的のために本明細書中に参考として援用される)。
ヌクレオチド糖の合成に関与しているアクセサリー酵素は当業者に周知である。細菌による多糖の合成および遺伝子用語の概要については、例えば、Reeves et al.,Trends Microbiol.4:495−503(1996)を参照のこと。グリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸を得るための上記の方法はまた、ヌクレオチド糖の形成に関与している酵素をコードする核酸を得るために適用することもできる。例えば、当業者は、当該分野で公知の核酸の1つ(そのうちのいくつかは以下に列挙される)を、直接、または目的の他の生物体から対応する核酸を単離するためのプローブとして、使用することができる。
本発明によって提供される融合ポリペプチドの一例は、フコシル化された可溶性オリゴ糖を産生するために使用される。フコシルトランスフェラーゼについてのドナーヌクレオチド糖はGDP−フコースであり、これは、産生するには比較的費用がかかる。フコシル化されたオリゴ糖を産生するコストを削減するために、本発明によって、比較的安価にGDP−マンノースをGDP−フコースに変換させ、その後、フコースのアクセプター糖への転移を触媒することができる融合ポリペプチドが提供される。これらの融合ポリペプチドには、GDP−マンノースデヒドロゲナーゼ、GDP−4−ケト−6−デオキシ−D−マンノース3,5−エピメラーゼ、またはGDP−4−ケト−6−デオキシ−L−グルコース4−レダクターゼの少なくとも1つに由来する触媒ドメインが含まれる。これらの酵素活性のそれぞれが提供されると、GDP−マンノースをGDP−フコースへと変換させることができる。
GDP−フコースを合成する酵素をコードする大腸菌(E.coli)の遺伝子クラスターのヌクレオチド配列は、Stevenson et al.,(1996)J.Bacteriol.178:4885−4893;GenBank Accession No.U38473に記載されている。この遺伝子クラスターは、GDP−マンノースデヒドロゲナーゼのオープンリーディングフレーム(ヌクレオチド8633−9754;Stevenson et al.,前出)を含むことが報告されている。この遺伝子クラスターが3,5エピマー化と4−レダクターゼ活性の両方を有している酵素をコードするオープンリーディングフレームを含むこともまた最近になって報告されており(2002年12月31日に発行された同一出願人による米国特許第6,500,661号(これは、全ての目的につい本明細書中に参考として援用される))、したがって、GDP−マンノースデヒドラターゼ反応の産物(GDP−4−ケト−6−デオキシマンノース)をGDP−フコースへと変換することができる。このORF(これは、YEF Bと命名されている)は、ヌクレオチド9757〜10722の間に見ることができる。YEF Bが2つの活性を有している酵素をコードするというこの発見の以前には、1つまたは2つの酵素が、GDP−4−ケト−6−デオキシマンノースからGDP−フコースへの変換に必要であるかどうかは知られていなかった。ヒトFx酵素をコードする遺伝子のヌクレオチド配列は、GenBank Accession No.U58766に見ることができる。
マンノシルトランスフェラーゼ触媒ドメインとGDP−Manピロホスホリラーゼ(EC2.7.7.22)の触媒ドメインとを含む融合ポリペプチドもまた提供される。これは、Man−1−PをGDP−Manに変換する。多くの生物体に由来する適切な遺伝子が知られており、これには、大腸菌(E.coli):GenBank U13629、AB010294、D43637、D13231、Bastin et al.,Gene 164:17−23(1995)、Sugiyama et al.,J.Bacteriol.180:2775−2778(1998)、Sugiyama et al.,Microbiology 140(Pt1):59−71(1994)、Kido et al.,J.Bacteriol.177:2178−2187(1995);Klebsiella pneumoniae:GenBank AB010296、AB010295、Sugiyama et al.,J.Bacteriol.180:2775−2778(1998);Salmonella enterica:GenBank X56793 M29713、Stevenson et al.,J.Bacteriol.178:4885−4893(1996)が含まれる。
糖アクセプターをフコシル化するための本発明の融合ポリペプチドはまた、GDP−フコースの形成についての主要ではないか、または「除去」経路を提供する酵素も利用することができる。この経路においては、遊離のフコースは、フコキナーゼによってフコース1−リン酸を形成するようにリン酸化され、これは、グアノシン5’−三リン酸(GTP)とともに、GDP−フコースピロホスホリラーゼによって使用されて、GDP−フコースが形成される(Ginsburg et al.,J.Biol.Chem.,236:2389−2393(1961)およびReitman,J.Biol.Chem.,255:9900−9906(1980))。したがって、フコシルトランスフェラーゼ触媒ドメインは、GDP−フコースピロホスホリラーゼ由来の触媒ドメインに連結させることができ、そのために適切な核酸は、1997年4月9日に提出された同時係属中の同一出願人による米国特許出願番号08/826,964に記載されている。フコキナーゼをコードする核酸は、例えば、Haemophilus influenzae(Fleischmann et al.,(1995)Science 269:496−512)および大腸菌(E.coli)(Lu and Lin(1989)Nucleic Acids Res.17:4883−4884)について記載されている。
触媒ドメインを得ることができるさらなるアクセサリー酵素は、グリコシルトランスフェラーゼサイクルにおいて消費される反応物質を形成することに関与しているものである。例えば、任意のいくつかのリン酸キナーゼが、アクセサリー酵素として有用である。リン酸キナーゼ(EC 2.7.4.1)は、例えば、ATPの形成を触媒する;ヌクレオシドリン酸キナーゼ(EC 2.7.4.4)は、それぞれのヌクレオシドニリン酸を形成することができる;クレアチンリン酸キナーゼ(EC 2.7.3.2);ミオキナーゼ(EC2.7.4.3);N−アセチルグルコサミンアセチルキナーゼ(EC 2.7.1.59);アセチルリン酸キナーゼ;およびピルビン酸キナーゼ(EC 2.7.1.40)。
(C.組換えピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質を発現させるための発現カセットと宿主細胞)
本発明の融合タンパク質は、大腸菌(E.coli)、他の細菌宿主、および酵母を含む種々の宿主細胞中で発現させることができる。宿主細胞は好ましくは微生物であり、例えば、酵母細胞、細菌細胞、または糸状菌細胞である。適切な宿主細胞の例としては、他の多くのもののうち、例えば、Azotobacter sp. (例えば、A. vinelandii)、Pseudomonas sp.、Rhizobium sp.、Erwinia sp.、Escherichia sp. (例えば、E. coli)、Bacillus、Pseudomonas、Proteus、Salmonella、Serratia、Shigella、Rhizobia、Vitreoscilla、ParacoccusおよびKlebsiella sp.が挙げられる。これらの細胞は、いくつかの属のいずれかであり得る。その属としては、Saccharomyces (例えば、S. cerevisiae)、Candida (例えば、C. utilis、C. parapsilosis、C. krusei、C. versatilis、C. lipolytica、C. zeylanoides、C. guilliermondii、C. albicansおよびC. humicola)、Pichia (例えば、P. farinosaおよびP. ohmeri)、Torulopsis (例えば、T. candida、T. sphaerica、T. xylinus、T famataおよびT versatilis)、Debaryomyces (例えば、D. subglobosus、D. cantarellii、D. globosus、D. hanseniiおよびD. japonicus)、Zygosaccharomyces (例えば、Z. rouxiiおよびZ. bailii)、Kluyveromyces (例えば、K. marxianus)、Hansenula (例えば、H.anomalaおよびH. jadinii)およびBrettanomyces (例えば、B. lambicusおよびB. anomalus)が挙げられる。有用な最近の例としては、Escherichia、Enterobacter、Azotobacter、Erwinia、Klebsieliaが挙げられるがこれらに限定されない。
通常は、α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、所望される宿主細胞中で機能的であるプロモーターの制御下に配置される。極めて広い範囲の種々のプロモーターが周知であり、特定の用途に応じて本発明の発現ベクターにおいて使用することができる。通常は、選択されるプロモーターは、その中でプロモーターが活性化される細胞に応じて変化する。他の発現制御配列、例えば、リボソーム結合部位、転写終結部位などもまた、必要に応じて含められる。これらの制御配列の1つ以上を含む構築物は、「発現カセット」と呼ばれる。したがって、本発明によって、その中に融合タンパク質をコードする核酸が、所望される宿主細胞中での高レベルの発現のために組み入れられる発現カセットが提供される。
特定の宿主細胞中での使用に適している発現制御配列は、多くの場合、その細胞中で発現させられる遺伝子をクローニングすることによって得られる。一般的に使用される原核生物の制御配列(これは、転写の開始のためのプロモーターを、状況に応じてオペレーターとともに、リボソーム結合部位配列と一緒に含むと定義される)としては、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)およびラクトース(lac)プロモーターシステム(Change et al.,Nature(1977)198:1056)、トリプトファン(trp)プロモーターシステム(Goeddel et al.,Nucleic Acids Res.(1980)8:4057)、tacプロモーター(DeBoer et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、(1983)80:21−25);ならびに、λ由来のPプロモーターおよびN−遺伝子リボソーム結合部位(Shimatake et al.,Nature(1981)292:128)のような一般的に使用されているプロモーターが挙げられる。特定のプロモーターシステムは、本発明については重要ではなく、原核生物中で機能する任意の利用可能なプロモーターを使用することができる。
大腸菌(E.coli)以外の原核生物細胞中でのα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質の発現には、特定の真核生物種において機能するプロモーターが必要である。このようなプロモーターは、複数の種からクローン化されている遺伝子から得ることができ、また、異種プロモーターを使用することもできる。例えば、ハイブリッドtrp−lacプロモーターは、大腸菌(E.coli)に加えてバシラス属においても機能する。
リボソーム結合部位(RBS)は、本発明の発現カセットの中に通常含まれる。大腸菌(E.coli)のRBSは、例えば、開始コドンの3〜11ヌクレオチド上流にある3〜9個のヌクレオチド長のヌクレオチド配列から構成されている(Shine and Dalgarno,Nature(1975)254:34;Steitz,In Biological regulation and development:Gene expression(R.F.Goldberger編)第1巻、p.349,1979、Plenum Publishing,NY)。
酵母の中でのα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼの発現のための一般的なプロモーターとしては、GAL1〜10(Johnson and Davies(1984)Mol.Cell.Biol.4:1440−1448)、ADH2(Russell et al.,(1983)J.Biol.Chem.258:2674−2682)、PHO5(EMBO J.(1982)6:675−680)、およびMFα(Herskowitz and Oshima(1982)The Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces(Strathern,JonesおよびBroach編)Cold Spring Harbor Lab.,Cold Spring Harbor,N.Y.,pp.181−209)が挙げられる。酵母で使用される別の適切なプロモーターは、Cousens et al.,Gene 61:265−275(1987)に記載されているADH2/GAPDHハイブリッドプロモーターである。例えば、糸状菌、例えば、真菌であるAspergillus属(McKnight et al.,米国特許第4,935,349号)の株については、有用なプロモーターの例として、Aspergillus nidulans)解糖系遺伝子に由来するプロモーター、例えば、AHD3プロモーター(McKnight et al.,EMBO J.4:2093 2099(1985))およびtpiAプロモーターが挙げられる。適切なターミネーターの例は、AHD3ターミネーター(McKnight et al.)である。
構成性プロモーターまたは調節性プロモーターのいずれも、本発明において使用することができる。調節性プロモーターは、宿主細胞が融合タンパク質の発現が誘導される前に高密度に増殖することができるので、有利であり得る。異種タンパク質の高レベルの発現は、いくつかの状況においては細胞増殖を遅らせる。誘導性プロモーターは、発現レベルを、例えば、温度、pH、嫌気性または好気性条件、光、転写因子、および化学物質のような環境要因または発生的要因によって変化させることができる遺伝子の発現を指示するプロモーターである。このようなプロモーターは、本明細書中では「誘導性」プロモーターと呼ばれ、これによって、ヌクレオチド糖の合成に関係しているグリコシルトランスフェラーゼまたは酵素の発現のタイミングを制御することができる。大腸菌(E.coli)および他の細菌である宿主細胞については、誘導性プロモーターは当業者に公知である。これらには、例えば、lacプロモーター、バクテリオファージλPプロモーター、ハイブリッドtrp−lacプロモーターが含まれる(Amann et al.,(1983)Gene 25:167;de Boer et al.,(1983)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA,80:21)、およびバクテリオファージT7プロモーター(Studier et al.,(1986)J.Mol.Biol.;Tabor et al.,(1985)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA,82:1074−8)。これらのプロモーターとそれらの使用については、Sambrook et al.,(前出)において議論されている。原核生物中での発現に特に好ましい誘導性プロモーターは二重プロモーターであり、これにはガラクトースの代謝に関与している酵素をコードする遺伝子(単数または複数)から得られたプロモーター成分に連結されたtacプロモーター成分(例えば、UDPガラクトース−4−エピメラーゼ遺伝子(galE)由来のプロモーター)が含まれている。二重tac−galプロモーターは、PCT特許出願公開番号WO98/20111に記載されている。
適切な宿主細胞中におかれるとポリヌクレオチドの発現を駆動する、遺伝子発現制御シグナルに作動可能であるように連結された目的のポリヌクレオチドを含む構築物は、「発現カセット」と呼ばれる。本発明の融合タンパク質をコードする発現カセットは、多くの場合、宿主細胞への導入のために発現ベクター中におかれる。ベクターには、通常、発現カセットに加えて、ベクターが1つ以上の選択された宿主細胞中で独立して複製することを可能にする核酸配列が含まれる。一般的には、この配列は、ベクターが宿主染色体DNAとは無関係に複製することを可能にするものであり、これには、複製起点、または自律複製する配列が含まれる。このような配列は種々の細菌について周知である。例えば、プラスミドpBR322由来の複製起点は、ほとんどのグラム陰性細菌に適している。あるいは、ベクターは、宿主細胞のゲノム相補物の中に組み込まれ、そして細胞がDNA複製を受けると同時に複製されることによって、複製することができる。細菌細胞中での酵素の発現に好ましい発現ベクターはpTGKであり、これには、二重tac−galプロモーターが含まれる。これは、PCT特許出願公開番号WO98/20111に記載されている。
ポリヌクレオチド構築物の構築には、一般的には、細菌の中で複製することができるベクターの使用が必要である。細菌からプラスミドを精製するためには、大量の市販されているキットを利用することができる(例えば、EasyPrepJ、FlexiPrepJ(いずれも、Pharmacia Biotech社製);StrataCleanJ(Stratagene社製);およびQIAexpress Expression System(Qiagen社製)を参照のこと)。単離され、精製されたプラスミドは、その後、他のプラスミドを生じるようにさらに操作することができ、そして細胞をトランスフェクトするために使用される。Streptomyces属またはBacillus属の中でのクローニングもまた可能である。
選択マーカーもまた、多くの場合に、本発明のポリヌクレオチドを発現させるために使用される発現ベクター中に組み入れられる。これらの遺伝子は、選択培養培地中で増殖させられた形質転換された宿主細胞の生存または増殖に不可欠なタンパク質のような遺伝子産物をコードすることができる。選択遺伝子を含むベクターで形質転換されていない宿主細胞は培養培地中では生存することはできない。選択遺伝子を含むベクターで形質転換されていない宿主細胞は、この培養培地中では生存できない。通常の選択遺伝子は、抗生物質または他の毒素(例えば、アンピシリン、ネオマイシン、カナマイシン、クロラムフェニコール、またはテトラサイクリン)に対する耐性を付与するタンパク質をコードする。あるいは、選択マーカーは、栄養要求性の欠損を相補するか、または複合培地からは入手できない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする、例えば、バシラス属についてはD−アラニンラセミ化酵素をコードする遺伝子である場合もある。多くの場合は、ベクターは、その中にベクターが宿主細胞中に導入される前に複製される、例えば、大腸菌(E.coli)または他の細胞において機能する1つの選択マーカーを有する。多数の選択マーカーが当業者に公知であり、例えば、Sambrook et al.(前出)に記載されている。
上記に列挙された成分の1つ以上を含む適切なベクターの構築には、上記の参考文献に記載されているような標準的な連結技術が使用される。単離されたプラスミドまたはDNA断片は、必要とされるプラスミドを生成するために所望される形態に切断され、合わせられ、そして再度連結させられる。構築されたプラスミドにおいて配列が正確であることを確認するためには、プラスミドを、例えば、制限エンドヌクレアーゼ消化、および/または公知の方法による配列決定のような標準的な技術によって分析することができる。これらの目的を達成するための分子クローニング技術は当該分野で公知である。組み換え核酸の構築に適している広い範囲の種々のクローニング方法およびインビトロ増幅方法は、当業者に周知である。このような技術と、多くのクローニングの実行へと当業者を導くに十分な説明の例は、Berger and Kimmel,Guide to Molecular Cloning Techniques,Methods in Enzymology,第152巻,Academic Press,Inc.,San Diego,CA(Berger);およびCurrent Protocols in Molecular Biology,F.M.,Ausubel et al.,編、Current Protocols、Greene Publishing Associates,Inc.とJohn Wiley & Sons,Incとの間での共同事業(199年,補完)(Ausubel))に見ることができる。
本発明の発現ベクターを構築するための出発材料としての使用に適している種々の一般的なベクターは当該分野で周知である。細菌でのクローニングについての一般的なベクターとしては、pBLUESCRIPT(登録商標)のようなpBR322由来のベクター、およびλ−ファージ由来のベクターが挙げられる。酵母においては、ベクターとして、酵母組み込み用プラスミド(Yeast Integrating plasmid)(例えば、YIp5)および酵母複製プラスミド(Yeast Replicating plasmid)(YRpシリーズのプラスミド)およびpGPD−2が挙げられる。哺乳動物細胞中での発現は、pSV2、pBC12BI、およびp91023、さらには、溶解性ウイルスベクター(例えば、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、およびバキュロウイルス)、エピソームウイルスベクター(例えば、ウシパピローマウイルス)、ならびに、レトロウイルスベクター(例えば、マウスレトロウイルスベクター)を含む、種々の公に入手することができるプラスミドを使用して行うことができる。
選択された宿主細胞中に発現ベクターを導入するための方法は特に重要ではなく、このような方法は当業者に公知である。例えば、発現ベクターは、塩化カルシウム形質転換によって、大腸菌(E.coli)を含む原核生物細胞中に、そしてリン酸カルシウム処理または電気泳動によって真核生物細胞中に導入することができる。他の形質転換方法もまた適切である。
翻訳共役が、発現を増強させるために使用される場合もある。この方法では、翻訳システムに対してネイティブである、高度に発現される遺伝子に由来する短い上流のオープンリーディングフレームが使用される。これは、プロモーターの下流に配置され、終止コドンから数アミノ酸コドン後ろにリボソーム結合部位が続く。終止コドンのすぐ前には、第2のリボソーム結合部位があり、終止コドンの後には、翻訳の開始のための開始コドンがある。このシステムによりRNAの二次構造がときほどかれ、翻訳の効率のよい開始が可能である。Squires,et al.,(1988),J.Biol.Chem.263:16297−16302を参照のこと。
α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質は細胞内で発現させることができ、また、細胞から分泌させることができる場合もある。細胞内発現は、多くの場合は、高い収量を生じる。必要な場合は、可溶性の活性のある融合タンパク質の量は、リフォールディング手順を行うことによって増大させることができる場合もある(例えば、Sambrook et al.,前出、Marston et al.,Bio/Technology(1984)2:800;Schoner et al.,Bio/Technology(1985)3:151を参照のこと)。α−1,3/4フコシルトランスフェラーゼタンパク質が細胞からペリプラズムまたは細胞外培地のいずれかに分泌される実施形態においては、DNA配列は切断することが可能なシグナルペプチド配列に連結される。シグナル配列は、細胞膜を介した融合タンパク質の転位を支持する。プロモーター−シグナル配列ユニットを含む、大腸菌(E.coli)での使用に適しているベクターの一例は、pTA1529である。これは、大腸菌(E.coli)phoAプロモーターとシグナル配列を有している(例えば、Sambrook et al.,前出;Oka et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,(1985)82:7212;Talmadge et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,(1980)77:3988;Takahara et al.,J.Biol.Chem.(1985)260:2670を参照のこと)。別の実施形態においては、例えば、精製を容易にするか、分泌、または安定性のために、融合タンパク質はプロテインAまたはウシ血清アルブミン(BSA)の部分配列に融合させられる。
本発明のα−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質はまた、他の細菌タンパク質にさらに連結させることができる。このアプローチは、多くの場合に高い収量をもたらす。なぜなら、正常な原核生物の制御配列が、転写および翻訳を指示するからである。大腸菌(E.coli)においては、lacZ融合体が、多くの場合に、異種タンパク質を発現させるために使用される。適切なベクターは容易に入手することができ、例えば、pUR、pEX、およびpMR100シリーズである(例えば、Sambrook et al.(前出)を参照のこと)。特定の用途については、精製後の融合タンパク質から、ノン−グリコシルトランスフェラーゼ、および/またはアクセサリー酵素のアミノ酸を切断することが望ましい場合もある。これは、当該分野で公知のいくつかの方法の任意のものによって行うことができ、これには、臭化シアン、プロテアーゼによるか、または第Xa因子による切断が含まれる(例えば、Sambrook et al.(前出);Itakura et al.,Science(1977)198:1056;Goeddel et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,(1979)76:106;Nagai et al.,Nature(1984)309:810;Sung et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,(1986)83:561を参照のこと)。切断部位は、所望される切断点で融合タンパク質の遺伝子を操作することを可能にする。
1つ以上の組換えタンパク質が、1つの発現ベクター中に複数の転写カセットをおくことによって、または、クローニングストラテジーにおいて使用される発現ベクターのそれぞれについて異なる選択マーカーを利用することによって、1つの宿主の中で発現させられる場合がある。
それらのN末端の完全性を維持する、大腸菌(E.coli)から組換えタンパク質を得るために適しているシステムは、Miller et al.,Biotechnology 7:698−704(1989)に記載されている。このシステムでは、目的の遺伝子は、ペプチダーゼ切断部位を含む酵母のユビキチン遺伝子の最初の76残基に対するC末端融合体として産生される。2つの部分の接続部での切断により、完全な正真正銘のN末端残基を有しているタンパク質の産生が生じる。
(D.α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質の精製)
本発明のピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼタンパク質は、細胞内タンパク質として、または細胞から分泌されるタンパク質として発現させることができ、そして本発明の方法においてはこの形態で使用することができる。例えば、発現させられた細胞内ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼタンパク質または分泌されたピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼタンパク質を含む粗細胞抽出物を、本発明の方法で使用することができる。
あるいは、ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼタンパク質は、当該分野で標準的である手順にしたがって精製することができ、これには、硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などが含まれる(一般的には、R.Scopes,Protein Purification,Springer−Verlag,N.Y.(1982),Deutscher,Methods in Enzymology、第182巻:Guide to Protein Purification.,Academic Press,Inc.N.Y.(1990)を参照のこと)。少なくとも約70〜90%の均質性である実質的に純粋な組成物が好ましく、98〜99%、またはそれ以上の均質性が最も好ましい。精製されたタンパク質もまた、例えば、抗体の産生のための免疫原として使用される場合もある。
本発明のピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質の精製を容易にするために、融合タンパク質をコードする核酸に、それに対する親和的結合試薬を利用することができるエピトープまたは「タグ」(すなわち、精製タグ)のコード配列を含めることもできる。適切なエピトープの例としては、mycおよびV−5レポーター遺伝子が挙げられる;これらのエピトープを有している融合タンパク質の組み換え産生に有用な発現ベクターは、市販により入手することができる(例えば、Invitrogen(Carlsbad CA)ベクターpcDNA3.1/Myc−HisおよびpcDNA3.1/V5−Hisが哺乳動物細胞の中での発現に適している)。本発明のピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質にタグをつけるために適しているさらなる発現ベクター、および対応する検出システムは当業者に公知であり、いくつかは市販により入手することができる(例えば、「FLAG」(Kodak,Rochester NY))。適切なタグの別の例は、ポリヒスチジン配列であり、これは、金属キレートアフィニティーリガンドに結合することができる。通常、6つの隣接しているヒスチジンが使用されるが、6個以上、または6個未満のものを使用することもできる。ポリヒスチジンタグについて結合部分としての役割を担うことができる適切な金属キレートアフィニティーリガンドとしては、ニトリロ三酢酸(NTA)が挙げられる(Hochuli,E.(1990)「Purification of recombinant proteins with metal chelating absorbents」In Genetic Engineering:Principles and Methods,J.K.Setlow編、Plenum Press,NY;Qiagen(Santa Clarita,CA)から市販により入手することができる))。
精製タグにはまた、マルトース結合ドメインとデンプン結合ドメインも含まれる。マルトース結合ドメインタンパク質の精製は当業者に公知である。デンプン結合ドメインは、本明細書中に参考として援用されるWO99/15636に記載されている。βシクロデキストリン(BCD)由来の樹脂を使用する、デンプ結合ドメインを含む融合タンパク質の精製は、2003年5月5日に提出され、その全体が本明細書中に参考として援用される米国特許出願番号60/468,374に記載されている。別の精製タグは、SUMOタグのカルボキシ末端半分(CTHS)である。CTHSを使用する発現システムは、例えば、LifeSensors,Inc.から市販により入手することができる。
タグとしての使用に適している他のハプテンが当業者に公知であり、例えば、Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(第6版、Molecular Probes,Inc.,Eugene OR)に記載されている。例えば、ジニトロフェノール(DNP)、ジゴキシゲニン、バルビツール酸塩(例えば、米国特許第5,414,085号を参照のこと)、およびいくつかのタイプの蛍光プローブはハプテンとして有用であり、これらの化合物の誘導体についても同様である。タンパク質および他の分子に対してハプテンおよび他の部分を連結させるためのキットは、市販によって入手することができる。例えば、ハプテンにチオールが含まれている場合は、ヘテロ二官能性リンカー(例えば、SMCC)を、捕捉試薬上に存在するリジン残基に対してタグを結合させるために使用することができる。
当業者は、α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼ触媒ドメインまたは機能的ドメインに対して、それらの生物学的活性を低下させることなく修飾を行うことができることを理解している。いくつかの修飾を、クローニング、発現を容易にする、または融合タンパク質中への触媒ドメインの組み込みのために行うことができる。このような修飾は当業者に周知であり、これには例えば、例えば、開始部位を提供するためにアミノ酸末端に付加されるメチオニンを提供するための、触媒ドメインをコードするコドンのポリヌクレオチドのいずれかの末端への付加、あるいは、便利であるように配置される制限酵素部位、または終止コドン、または精製配列を生成するためにいずれかの末端に配置されるさらなるアミノ酸(例えば、ポリHis)の付加が含まれる。
(E.ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼタンパク質の使用)
本発明により、ピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質と、糖タンパク質、糖脂質、およびオリゴ糖部分を酵素的に合成するためにピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質を使用する方法が提供される。本発明のグリコシルトランスフェラーゼ反応では、少なくとも1つのピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼ、アクセプター基質、およびドナー基質、ならびに通常は、可溶性の二価の金属陽イオンを含む反応媒体の中で行われる。いくつかの実施形態においては、アクセサリー酵素と、アクセサリー酵素の触媒部分の基質もまた存在し、その結果、アクセサリー酵素は、ピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼのドナー基質を合成することができる。
所望されるオリゴ糖部分を有している糖タンパク質および糖脂質を合成するためにグリコシルトランスフェラーゼを使用する多数の方法が公知である。例示的な方法は、例えば、WO96/32491、Ito et al.,(1993)Pure Appl.Chem.65:753、および米国特許第5,352,670号、同第5,374,541号、および同第5,545,553号に記載されている。
本明細書中に記載されるように調製されたピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼタンパク質は、別のグリコシルトランスフェラーゼと組み合わせて使用することができる。例えば、組換えシアリルトランスフェラーゼ融合タンパク質と、組換えピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼの組み合わせを使用することができる。2つのグリコシルトランスフェラーゼ反応を1つの容器の中で連続して行うことにより、中間体種が単離される手順よりも全体的な収率が改変される。さらに、過剰な溶媒および副生成物の除去および廃棄が減少する。同様に、組換えグリコシルトランスフェラーゼは、組換えアクセサリー酵素とともに使用することができ、これは、融合体として存在しても、またそうでなくてもよい。他の実施形態においては、ピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼと別のグリコシルトランスフェラーゼ、またはアクセサリー酵素が、同じ細胞中で産生され、そして所望される最終産物を合成するために使用される。
上記プロセスによって産生される産物は、精製することなく使用することができる。しかし、標準的な周知の技術、例えば、薄層クロマトグラフィーまたは厚層(thick layer)クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、あるいは、膜濾過を、グリコシル化された糖の回収に使用することができる。また、例えば、同一出願人によるオーストラリア国特許第735695号に記載されているような、ナノフィルトレーションまたは逆浸透圧膜を利用する膜濾過が使用される場合がある。さらなる例としては、約1000〜約10,000ダルトンの分子量カットオフを有している膜である、膜濾過を、タンパク質を除去するために使用することができる。別の例としては、ナノフィルトレーションまたは逆浸透が、その後、塩を除去するために使用され得る。ナノフィルター膜は、一価の塩は通過させるが、多価の塩と電荷を有していない、使用される膜に応じて約200ダルトンより大きく約1000ダルトンまでの大きさの溶質を保持する、逆浸透膜の1つのクラスである。したがって、例えば、本発明の組成物および方法によって産生されたオリゴ糖は膜の中に保持され、そして混入している塩を通過させて流すことができる。
(F.ドナー基質およびアクセプター基質)
本発明の方法においてピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼタンパク質および他のグリコシルトランスフェラーゼによって使用される適切なドナー基質としては、UDP−Glc、UDP−GlcNAc、UDP−Gal、UDP−GalNAc、GDP−Man、GDP−Fuc、UDP−GlcUA、およびCMP−シアル酸が挙げられるが、これらに限定はされない。Guo et al.,Applied Biochem.and Biotech.68:1−20(1997)。
ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼタンパク質および本発明の方法によって使用される適切なアクセプター基質としては、多糖類、オリゴ糖類、脂質、および糖脂質が挙げられるが、これらに限定はされない。例えば、オリゴ糖LNnTを、LNFIIIを形成するようにフコシル化することができる。本明細書中に記載されるフコシルトランスフェラーゼはまた、通常の出発物質から所望される生成物を生じさせるための多酵素システムにおいて使用することもできる。例えば、LNFIIIは、本明細書中に記載される1182株由来のピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼを、淋菌(Neisseria gonococcus)のβ−1,3N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(lgtA)および淋菌(Neisseria gonococcus)のβ−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ(lgtB)と組み合わせて使用することによって、乳糖から多グラム(multigram)のスケールで調製される。
ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼタンパク質および本発明の方法によって使用される適切なアクセプター基質としては、本発明の方法によって修飾することができるタンパク質、脂質、ガングリオシド、および他の生物学的構造(例えば、細胞全体)が挙げられるが、これらに限定はされない。本発明の方法によって修飾することができる例示的な構造としては、表1に示されるような、当業者に公知である多数の糖脂質、糖タンパク質、および炭水化物構造の任意のものが挙げられる。
Figure 2007520220
フコシルトランスフェラーゼによって触媒される反応において使用される適切なアクセプター基質の例と、シアリルトランスフェラーゼによって触媒される反応において使用される適切なアクセプター基質の例は、Guo et al.,Applied Biochem.and Biotech.68:1−20(1997)に記載されているが、それらに限定はされない。
本発明により、所望されるオリゴ糖部分を有している遊離のオリゴ糖、糖タンパク質、および糖脂質を生じるそれらの能力について選択される、ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼタンパク質(例えば、フコシルトランスフェラーゼ)が提供される。同様に、存在する場合には、アクセサリー酵素が、所望される活性化させられた糖物質、または生成物であるオリゴ糖上に見られる糖に基づいて選択される。
当業者は、種々の量の目的のピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質(例えば、0.01〜100mU/mgのタンパク質)を、目的の融合タンパク質によりグリコシル化される可能性があるアクセプター部位を有しているオリゴ糖が連結している、糖タンパク質、オリゴ糖の糖脂質と(1〜10mg/mlで)反応させることによって、適切なピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼタンパク質を容易に同定することができる。所望されるアクセプター部位に糖残基を付加する本発明の組換えグリコシルトランスフェラーゼ融合タンパク質の能力が比較され、所望される特性(例えば、アクセプター基質特異性または触媒活性)を有しているピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼタンパク質が選択される。
一般的には、所望されるオリゴ糖部分を有しているオリゴ糖、糖タンパク質、および糖脂質の酵素合成の効率は、本発明の組み換えによって産生されるピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼの使用により高めることができる。組み換え技術により、大規模なオリゴ等、糖タンパク質、および糖脂質の修飾に必要な大量のピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質の産生が可能である。
ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼおよび本発明の方法による使用に適している糖タンパク質および糖脂質は、グリコシル化反応の間に固体支持体上に固定された糖タンパク質および糖脂質である。用語「固体支持体」にはまた、半固体支持体も含まれる。好ましくは、標的糖タンパク質または糖脂質は可逆的に固定することができ、その結果、それぞれの糖タンパク質または糖脂質は、グリコシル化反応が完了した後に切り離すことができる。多くの適切なマトリックスが当業者に公知である。例えば、イオン交換を、グリコシル化反応が進行する間、適切な樹脂上に糖タンパク質または糖脂質を一時的に固定するために使用することができる。目的の糖タンパク質または糖脂質に特異的に結合するリガンドもまた、親和性に基づく固定のために使用することができる。例えば、糖タンパク質に特異的に結合する抗体が適している。また、目的の糖タンパク質自体が抗体であるか、またはその断片を含む場合には、親和性樹脂としてプロテインAまたはプロテインGを使用することができる。目的の糖タンパク質または糖脂質に特異的に結合する色素または他の分子もまた適切である。
本発明の組換え融合タンパク質は、一方の末端に、タンパク質の精製を容易にする分子「タグ」、すなわち、精製タグを有している融合タンパク質として構築し、発現させることができる。このようなタグはまた、グリコシル化反応の間の目的のタンパク質の固定のために使用することもできる。適切なタグとしては、抗体によって特異的に認識されるタンパク質配列である「エピトープタグ」が挙げられる。エピトープタグは、一般的には、融合タンパク質を明らかに検出または単離するために容易に入手することができる抗体を使用することができるようにするために、融合タンパク質中に組み込まれる。「FLAGタグ」が一般的に使用されるエピトープタグであり、これは、モノクローナル抗FLAG抗体によって特異的に認識され、配列AspTyrLysAspAspAspAspLysまたはその実質的に同一である変異体から構成される。mcyタグは、別の一般的に使用されているエピトープタグである。他の適切なタグが当業者に公知であり、これには、例えば、ヘキサヒスチジンペプチドのような親和性タグが含まれる。これは、ニッケルまたはコバルトイオンのような金属イオンに結合する。精製タグにはまた、マルトース結合ドメインおよびデンプン結合ドメインも含まれる。マルトース結合ドメインタンパク質の精製は当業者に公知である。デンプン結合ドメインは、本明細書中に参考として援用されるWO99/15636に記載されている。β−シクロデキストリン(BCD)誘導樹脂を使用するデンプン結合ドメインを含む融合タンパク質の親和的精製は、2003年5月5日に提出された米国特許出願番号60/468,374(その全体が本明細書中に参考として援用される)に記載されている。
好ましくは、糖タンパク質は、全長の糖タンパク質の短縮されたバージョンである場合には、これには、全長の糖タンパク質の生物学的に活性な部分配列が含まれることが好ましい。例示的な生物学的に活性な部分配列としては、酵素活性部位、レセプター結合部位、リガンド結合部位、抗体の相補性決定領域、および抗原の抗原性領域が挙げられるが、これらに限定はされない。
いくつかの実施形態においては、ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼおよび本発明の方法は、実質的に均一なグリコシル化パターンを有している糖タンパク質または糖脂質を酵素的に合成するために使用される。糖タンパク質および糖脂質には、それについて糖化形態の変更が所望される、タンパク質、糖タンパク質、脂質、または糖脂質に結合させられる糖類またはオリゴ糖が含まれる。これらの糖類またはオリゴ糖には、グリコシルトランスフェラーゼのアクセプター基質としての役割を担うことができる構造が含まれる。アクセプター基質がグリコシル化されている場合は、所望されるオリゴ糖部分が形成される。所望されるオリゴ糖部分は、それに対して結合させられる糖タンパク質または糖脂質に所望される生物学的活性を付与するものである。本発明の組成物においては、予め選択された糖残基が、目的の可能性のあるアクセプター部位の少なくとも約30%に対して連結させられる。より好ましくは、予め選択された糖残基が、目的の可能性のあるアクセプター基質の少なくとも約50%に対して連結させられ、そしてなおさらに好ましくは、目的の可能性のあるアクセプター基質の少なくとも70%に対して連結させられる。出発糖タンパク質または糖脂質が目的のオリゴ糖部分において不均質性を示す(例えば、出発糖タンパク質または糖脂質上のオリゴ糖のいくつかがすでに目的のアクセプター基質に対して結合させられた予め選択された糖を有している)状況では、示される割合に、このような予め結合させられている糖残基が含まれる。
用語「変化させられた」は、ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼタンパク質および本発明の方法の適用後、もともと産生された糖タンパク質上で観察されたものとは異なるグリコシル化パターンを有している目的の糖タンパク質または糖脂質を意味する。このような糖結合体の一例は、糖タンパク質の糖化形態が、糖タンパク質が自然な状態のままである生物の細胞によって産生された場合には、糖タンパク質について見られるものとは異なる糖タンパク質である。ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼ、ならびに、これらの糖結合体のグリコシル化パターンが、宿主細胞によってもともと産生された糖結合体のグリコシル化パターンと比較して修飾されている、糖タンパク質および糖脂質を酵素的に合成するためにそのような融合タンパク質を使用する方法もまた、提供される。宿主細胞は、同じ種である場合も、また自然界において糖結合体が産生される細胞とは異なる種である場合もある。
糖タンパク質および糖脂質の構造分析によってだけではなく、糖結合体の1つ以上の生物学的活性の比較によってもまた、グリコシル化パターンの差を評価することができる。例えば、「変更された糖形態」を有している糖タンパク質には、未修飾の糖タンパク質と比較して、グリコシル化反応後に糖タンパク質の1つ以上の生物学的活性において改変を示すものが含まれる。例えば、変更された糖結合体としては、ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼタンパク質および本発明の方法の適用後に、目的のリガンドまたはレセプターに対してより大きな結合親和性を示すもの、より長い治療半減期を有しているもの、抗原性が低下したもの、および特異的組織を標的化するものが挙げられる。観察される改変の量は、統計学的に有意であることが好ましく、より好ましくは、少なくとも約25%の改変、なおさらに好ましくは少なくとも約50%、60%、70%、そしてなおさらに好ましくは、少なくとも80%である。
(G.フコシルトランスフェラーゼ反応)
ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼタンパク質、アクセプター基質、ドナー基質、および他の反応混合物の成分(他のグリコシルトランスフェラーゼおよびアクセサリー酵素を含む)は、水性の反応媒体中への混合によって混合される。媒体は、一般的には、約5〜約8.5のpH値を有している。媒体の選択は、所望されるレベルのpHを維持する媒体の能力に基づく。したがって、いくつかの実施形態においては、媒体は、約7.5のpH値に緩衝化される。緩衝液が使用されない場合は、媒体のpHは、使用される特定のグリコシルトランスフェラーゼに応じて、約5〜8.5に維持されるべきである。フコシルトランスフェラーゼについては、pH範囲は、約6.0〜8.0に維持されることが好ましい。シアリルトランスフェラーゼについては、範囲は、好ましくは約5.5〜約7.5である。フコシルトランスフェラーゼ反応と反応条件は、例えば、2003年7月23日に提出された、国際出願番号PCT/US/2003/023155;2003年7月23日に提出された、国際出願番号PCT/US/2003/023057;Ge,et al.,J.Biol.Chem.272:21357−21363(1997);Rasko et al.,J.Biol.Chem.275:4988−4994(2000);およびRasko et al.,Eur.J.Biochem.267:6059−6066(2000)に教示されている;これらのそれぞれが、全ての目的のために本明細書中に参考として援用される。
酵素の量または濃度は活性単位で表現され、これは触媒反応の初速度の測定値である。1活性単位は、所定の温度(通常は、37℃)およびpH値(通常は、pH7.5)で、1分当たり1μmolの生成物の形成を触媒する。したがって、10単位の酵素は、10μmolの基質が、37℃の温度、および7.5のpH値で、1分間に10μmolの生成物に変換される酵素の触媒量である。
反応混合物に、二価の金属陽イオン(Mg2+、Mn2+)が含まれる場合がある。反応媒体には、可溶化界面活性剤(例えば、TritonまたはSDS)、およびメタノールまたはエタノールのような有機溶媒が、必要に応じて含まれる場合もある。酵素は、溶液中で自由に利用でき、また、高分子のような支持体に結合させることもできる。したがって、反応混合物は、最初は実質的に均質であるが、いくらかの沈殿物が反応の間に生じる可能性がある。
上記プロセスを実行することができる温度は、凍結温度よりも少し高い温度から、ほとんどの感度の高い酵素が変性する温度までの範囲であり得る。この温度範囲は、好ましくは、約0℃から約45℃であり、より好ましくは、約20℃から約37℃である。
このように形成させられた反応混合物は、グリコシル化される糖タンパク質に結合させられたオリゴ糖基上に存在している決定基を含む、所望される大量の所望されるオリゴ糖産物を得るに十分な時間の間維持される。大規模な調製のためには、反応は多くの場合、約0.5〜240時間の間進行させられ、より一般的には、約1〜18時間の間進行させられる。
1つ以上のグリコシルトランスフェラーゼがオリゴ糖産物を得るために使用される実施形態においては、第2のグリコシルトランスフェラーゼ反応のための酵素および試薬を、最初のグリコシルトランスフェラーゼ反応が完了に近づいた反応媒体に添加することができる。酵素のいくつかの組み合わせについては、グリコシルトランスフェラーゼと対応する基質を、1つの最初の反応混合物中で混合することができる。このような同時反応においては、酵素が、他の酵素についてアクセプターとしての役割を担うことができない産物は形成されないことが好ましい。1つの容器の中で2つのグリコシルトランスフェラーゼ反応を連続して行うことにより、中間体種が単離される手順よりも全体的な収率が改変される。さらに、過剰な溶媒および副生成物の除去および廃棄が減少する。さらに、いくつかの実施形態においては、フコシルトランスフェラーゼと別のグリコシルトランスフェラーゼ、またはアクセサリー酵素が同じ宿主細胞中で発現させられ、そして所望される産物が宿主細胞中で合成される。
1つ以上のグリコシルトランスフェラーゼ反応を、グリコシルトランスフェラーゼサイクルの一部として行うことができる。グリコシルトランスフェラーゼサイクルの好ましい条件および説明は記載されている。多数のグリコシルトランスフェラーゼサイクル(例えば、シアリルトランスフェラーゼサイクル、ガラクトシルトランスフェラーゼサイクル、およびフコシルトランスフェラーゼサイクル)が、米国特許第5,374,541号およびWO9425615Aに記載されている。他のグリコシルトランスフェラーゼサイクルは、Ichikawa et al.,J.Am.Chem.Soc.114:9283(1992)、Wong et al.,J.Org.Chem.57:4343(1992)、DeLuca et al.,J.Am.Chem.Soc.117:5869−5870(1995)、およびIchikawa et al.,Carbohydrates and Carbohydrate Polymers.Yaltami編(ATL Press,1993)に記載されている。
他のグリコシルトランスフェラーゼは、フコシルトランスフェラーゼおよびシアリルトランスフェラーゼについて詳細に記載されているように、同様のトランスフェラーゼサイクルに置き換えることができる。具体的には、グリコシルトランスフェラーゼは、例えば、グルコシルトランスフェラーゼ(例えば、Alg8(Stagljov et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91:5977(1994)またはAlg5(Heesen et al.,Eur.J.Biochem.224:71(1994))、N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ(例えば、α(1,3)N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ、β(1,4)N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ(Nagata et al.,J.Biol.Chem.267:12082−12089(1992)、およびSmith et al.,J.Biol.Chem.269:15162(1994))、ならびに、ポリペプチドN−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ(Homa et al.,J.Biol.Chem.268:12609(1993)))でもあり得る。適切なN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼとしては、GnTI(2.4.1.101、Hull et al.,BBRC 176:608(1991))、GnTII、およびGnTIII(Ihara et al.,J.Biochem.113:692(1993))、GnTV(Shoreiban et al.,J.Biol.Chem.268:15381(1993))、O結合N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(Bierhuizen et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:9326(1992))、N−アセチルグルコサミン−1−リン酸トランスフェラーゼ(Rajput et al.,Biochem J.285:985(1992)、およびヒアルロン酸合成酵素が挙げられる。適切なマンノシルトランスフェラーゼとしては、α(1,2)マンノシルトランスフェラーゼ、α(1,3)マンノシルトランスフェラーゼ、β(1,4)マンノシルトランスフェラーゼ、Dol−P−Manシンターゼ、OCh1、およびPmt1が挙げられる。
上記グリコシルトランスフェラーゼサイクルについては、プロセスにおいて使用される種々の反応物質の濃度または量は、温度およびpH値のような反応条件、ならびに、グリコシル化されるアクセプター糖の選択および量を含む多数の要因に応じて変化する。グリコシル化プロセスにより、活性化しているヌクレオチド、活性化されたドナー糖の調節、ならびに、触媒量の酵素の存在下で産生されたPPiの除去が可能であるので、このプロセスは、上記で議論されている化学量論的物質の濃度または量によって制限される。本発明の方法にしたがって使用することができる反応物質の濃度についての上限は、このような反応物質の可溶性によって決定される。
好ましくは、活性化しているヌクレオチド、リン酸ドナー、ドナー糖、および酵素の濃度は、アクセプターが消費されるまでグリコシル化が進行するように選択される。
各々の酵素は、触媒量で存在する。特定の酵素についての触媒量は、その酵素の基質の濃度、さらには、温度、時間、およびpH値のような反応条件にしたがって変化する。予め選択された基質濃度および反応条件下での所定の酵素についての触媒量を決定するための手段は当業者に周知である。
フコシルトランスフェラーゼ反応は、アクセプター分子のようなオリゴ糖類または多糖類を使用して行うことができる。ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼタンパク質および本発明の方法によって使用される適切なアクセプター基質としては、多糖類、オリゴ糖類、脂質、糖脂質、および糖タンパク質が挙げられるが、これらに限定はされない。例えば、オリゴ糖LNnTをフコシル化して、LNFIIIを形成させることができる。本明細書中に記載されるフコシルトランスフェラーゼはまた、便利な出発物質から所望される生成物を生じるように、多酵素システムにおいて使用することもできる。例えば、LNFIIIは、本明細書中に記載される1182株由来のピロリ菌(H.pylori)α−1.3/4−フコシルトランスフェラーゼを、淋菌(Neisseria gonococcus)のβ−1,3N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(lgtA)および淋菌(Neisseria gonococcus)のβ−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ(lgtB)と組み合わせて使用することによって、乳糖から多グラム(multigram)のスケールで調製された。
本発明の方法において使用される組換えフコシルトランスフェラーゼ融合タンパク質は、目的のフコシルトランスフェラーゼアクセプター基質をフコシル化するその能力に基づいて選択される。好ましくは、フコシルトランスフェラーゼは、可溶性の糖またはオリゴ糖に結合させられたフコシルトランスフェラーゼアクセプター基質を使用して適合性についてアッセイされる。可溶性の糖またはオリゴ糖アクセプター基質の、フコシルトランスフェラーゼ活性を決定するためのアッセイでの使用により、所望されるオリゴ糖産物を生じるフコシルトランスフェラーゼを選択することが可能である。
フコシルトランスフェラーゼ反応は、アクセプター分子として脂質または糖脂質を使用して行うことができる。多くの糖類には、生物学的活性を発揮するために特定のフコシル化された構造の存在が必要である。細胞内認識機構には、多くの場合、フコシル化オリゴ糖が必要である。例えば、細胞接着分子としての役割を担う多数のタンパク質(P−セレクチン、E−セレクチンを含む)は、例えば、シアリルLewis xおよびシアリルLewis a構造のような特異的細胞表面フコシル化炭水化物構造に結合する。さらに、ABO血液型システムを形成する特異的炭水化物構造がフコシル化される。3つの基のそれぞれの中の炭水化物構造は、Fucα1,2Galβ1−二糖単位を共有する。O型血液の構造においては、この二糖は末端構造である。A型構造は、この二糖に末端GalNAc残基が付加されている、α1,3GalNAcトランスフェラーゼによって形成される。B型構造は、末端ガラクトース残基が付加されているα1,3ガラクトシルトランスフェラーゼによって形成される。Lewis血液型構造もまたフコシル化される。例えば、Lewis xおよびLewis a構造は、それぞれ、Galβ1,4(Fucα1,3)GlcNacおよびGalβ1,4(Fucα1,4)GlcNacである。これらの構造はいずれも、対応するシアル化構造を形成するようにさらにシアル化(NeuAcα2,3−)することができる。目的の他のLewis血液型構造は、それぞれ、Fucα1,2Galβ1,4(Fucα1,3)GlcNAcβ−ORおよびFucα1,2Galβ1,3(Fucα1,4)GlcNAc−ORである、Lewis yおよびLewis b構造である。ABO構造およびLewis血液型構造、ならびに、それらの合成に関係している酵素の記載については、Essentials of Glycobiology,Varki et al.編,第16章(Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY,1999)を参照のこと。
本発明の方法において使用される組換え体フコシルトランスフェラーゼ融合タンパク質は、目的のフコシルトランスフェラーゼアクセプター基質をフコシル化するその能力に基づいて選択される。好ましくは、フコシルトランスフェラーゼは、脂質または糖脂質に結合させられるフコシルトランスフェラーゼアクセプター基質を使用して、適合性についてアッセイされる。可溶性のオリゴ糖の一部であるアクセプター基質ではなく、糖脂質に結合させられたアクセプター基質の、フコシルトランスフェラーゼ活性を決定するためのアッセイにおける使用により、糖脂質上に選択されたフコシル化パターンを生じるフコシルトランスフェラーゼを選択することができる。
フコシルトランスフェラーゼは、フコース単位をグアノシン−5’−ジホスホフコースから糖アクセプターの特異的ヒドロキシルに転移させる合成経路において使用されている。例えば、Ichikawaは、クローン化されたフコシルトランスフェラーゼでのシアル化ラクトサミンのフコシル化を含む方法によって、シアリルLewis−Xを調製した(Ichikawa et al.,J.Am.Chem.Soc.114:9283−9298(1992))。Loweは、細胞中で自然界には存在しないフコシル化活性を発現させ、それによって、細胞表面上でフコシル化糖タンパク質を生成するための方法などを記載した(米国特許第5,955,347号)。
1つの実施形態においては、本発明の方法は、フコシルトランスフェラーゼのアクセプター部分を有している物質を、フコースドナー部分、フコシルトランスフェラーゼ、およびフコシルトランスフェラーゼ活性に必要な他の試薬を含む反応混合物と接触させることによって行われる。この物質は、反応混合物中で、フコースドナー部分からフコシルトランスフェラーゼアクセプター部分へとフコースを転移させるために十分な時間の間、適切な条件下でインキュベートされる。好ましい実施形態においては、フコシルトランスフェラーゼは、組成物中のフコシルトランスフェラーゼのそれぞれのアクセプター部分の少なくとも60%のフコシル化を触媒する。
選択された物質についての特異性は、好ましいフコシルトランスフェラーゼが満たさなければならない唯一の第1の基準である。本発明の方法において使用されるフコシルトランスフェラーゼはまた、種々の物質を効率よくフコシル化し、少なくとも約500mgの物質のフコシル化することができるように反応のスケールアップをサポートすることが好ましい。より好ましくは、フコシルトランスフェラーゼは、少なくとも約1kgの合成、より好ましくは、比較的低コストおよびインフラ要求で少なくとも10kgの物質の合成を可能にするフコシル化反応のスケールをサポートする。
フコース残基のフコシルトランスフェラーゼによって触媒される結合に適しているアクセプター部分としては、GlcNAc−OR、Galβ1,3GlcNAc−OR、NeuAcα2,3Galβ1,3GlcNAc−OR、Galβ1,4GlcNAc−OR、およびNeuAcα2,3Galβ1,4GlcNAc−OR(ここでは、Rは、アミノ酸、糖、オリゴ糖、または少なくとも1つの炭素原子を有しているアグリコン基である)。Rは、基質または基質の一部に対して連結される。特定の反応に適切なフコシルトランスフェラーゼは、所望されるフコース結合のタイプ(例えば、α2、α3、またはα4)、目的の特定のアクセプター、および所望される高い収量のフコシル化を行うフコシルトランスフェラーゼの能力に基づいて選択される。適切なフコシルトランスフェラーゼおよびそれらの特性は、上記に記載されている。
組成物中の基質に連結させられたオリゴ糖のうちの十分な割合にフコシルトランスフェラーゼアクセプター部分が含まれない場合は、適切なアクセプターを合成することができる。例えば、フコシルトランスフェラーゼのアクセプターを合成するための1つの好ましい方法には、基質に連結させられたオリゴ糖上に存在するGlcNAc残基をGlcNAcトランスフェラーゼアクセプター部分に結合させるためにGlcNAcトランスフェラーゼを使用することが含まれる。好ましい実施形態においては、目的の可能性のあるアクセプター部分の大きな割合をグリコシル化する能力を有しているトランスフェラーゼが選択される。得られたGlcNAcβ−ORは、その後、フコシルトランスフェラーゼのアクセプターとして使用することができる。
得られたGlcNAcβ−OR部分は、フコシルトランスフェラーゼ反応の前にガラクトシル化することができ、これによって、例えば、Galβ1,3GlcNAc−ORまたはGalβ1,4GlcNAc−OR残基が生じる。いくつかの実施形態においては、ガラクシル化とフコシル化工程を同時に行うことができる。ガラクトシル化されたアクセプターを必要とするフコシルトランスフェラーゼを選択することにより、所望される生成物だけが形成される。したがって、この方法には:
(a)化合物Galβ1,4GlcNAcβ−ORまたはGalβ1,3GlcNAc−ORを形成させるために十分な条件下で、UDPガラクトースの存在下で、式GlcNAcβ−ORの化合物をガラクトシルトランスフェラーゼでガラクトシル化する工程;および
(b)以下から選択される化合物を形成させるために十分な条件下で、GDP−フコースの存在下で、フコシルトランスフェラーゼを使用して(a)で形成された化合物をフコシル化する工程:
Figure 2007520220
が含まれる。
所望される活性を有している別のフコシルトランスフェラーゼを含めることによって、上記の構造に対して別のフコース残基を付加することができる。例えば、この方法により、Fucα1,2Galβ1,4(Fucα1,3)GlcNAcβ−ORおよびFucα1,2Galβ1,3(Fucα1,4)GlcNAc−ORのようなオリゴ糖決定基を形成させることができる。したがって、別の好ましい実施形態においては、この方法には、少なくとも2つのフコシルトランスフェラーゼの使用が含まれる。複数のフコシルトランスフェラーゼは、同時に、または連続してのいずれかで使用される。フコシルトランスフェラーゼが連続して使用される場合は、一般的には、糖タンパク質が多数のフコシル化工程の間に精製されないことが好ましい。複数のフコシルトランスフェラーゼが同時に使用される場合は、酵素活性は、2つの別の酵素に由来する場合があり、また、1つ以上のフコシルトランスフェラーゼ活性を有している単一の酵素に由来する場合もある。
フコシルトランスフェラーゼ反応は、本発明の組換えフコシルトランスフェラーゼタンパク質を、例えば、多コピーの糖タンパク質種(その大部分は、好ましくは、フコシルトランスフェラーゼのアクセプター基質を含む1つ以上の連結させられたオリゴ糖基を有している);フコースドナー基質;およびフコシルトランスフェラーゼ活性に必要な他の試薬を含む混合物と接触させることによって行うことができる。糖タンパク質は、ドナー基質からフコシルトランスフェラーゼアクセプター基質へとフコースを転移させるために十分な時間の間、適切な条件下において反応混合物中でインキュベートされる。
本発明の方法において使用される組換えフコシルトランスフェラーゼ融合タンパク質は、目的のフコシルトランスフェラーゼアクセプター基質をフコシル化するその能力に基づいて選択される。好ましくは、フコシルトランスフェラーゼは、糖タンパク質に結合させられたフコシルトランスフェラーゼアクセプター基質を使用して適合性についてアッセイされる。可溶性のオリゴ糖類の一部であるアクセプター基質ではなく、糖タンパク質に連結させられたアクセプター基質の、フコシルトランスフェラーゼ活性を決定するためのアッセイでの使用により、糖タンパク質上に選択されたフコシル化パターンを生じるフコシルトランスフェラーゼを選択することが可能である。
好ましい実施形態においては、本発明の組換えフコシルトランスフェラーゼ融合タンパク質は、細胞中で高レベルの発現および/または高い酵素活性(例えば、選択された物質について高い特異性および/または高い触媒活性)を有している。別の好ましい実施形態においては、フコシルトランスフェラーゼは、商業上重要な組換えまたはトランスジェニック糖タンパク質をフコシル化するための方法において有用である。本発明の方法において使用されるフコシルトランスフェラーゼはまた、種々の糖タンパク質を効率よくフコシル化でき、そして少なくとも約500mgの糖タンパク質をフコシル化することができるように反応のスケールアップをサポートすることが好ましい。より好ましくは、フコシルトランスフェラーゼは、少なくとも約1kgの合成、より好ましくは、比較的低コストおよびインフラ要求で少なくとも10kgの物質の合成を可能にするフコシル化反応のスケールをサポートする。
例示的な実施形態においては、本発明の方法により、セレクチンの少なくとも1つのリガンドの糖タンパク質の形成が生じる。このリガンドの形成の確認は、セレクチンと相互作用する糖タンパク質の能力をプローブすることによって、作動可能な様式でアッセイされる。糖タンパク質と特異的なセレクチンとの間での相互作用は、当業者がよく知っている方法によって測定することができる(例えば、Jutila et al.,J.Immunol.153:3917−28(1994);Edwards et al.,Cytometry 43(3):211−6(2001);Stahn et al.,Glycobiology 8:311−319(1998);Luo et al.,J.Cell Biochem.80(4):522−31(2001);Dong et al.,J.Biomech.33(1):35−43(2000);Jung et al.,J.Immunol.162(11):6755−62(1999);Keramidaris et al.,J.Allergy Clin Immunol.107(4):734−8(2001);Fieger et al.,Biochim.Biophys.Acta 1524(1):75−85(2001);Bruehl et al.,J.Biol.Chem.275(42):32642−8(2000);Tangemann et al.,J.Exp.Med.190(7):935−42(1999);Scalia et al.,Circ.Res.84(1):93−102(1999);Alon et al.,J.Cell Biol.138(5):1169−80(1997);Steemaier et al.,Eur.J.Immunol.27(6):1339−45(1997);Stewart et al.,J.Med.Chem.44(6):988−1002(2001);Schurmann et al.,Gut 36(3):411−8(1995);Burrows et al.,J.Clin.Pathol.47(10):939−44(1994)を参照のこと)。
フコース残基のフコシルトランスフェラーゼによって触媒される結合についての適切なアクセプター基質としては、GlcNAc−OR、Galβ1,3GlcNAc−OR、NeuAcα2,3Galβ1,3GlcNAc−OR、Galβ1,4GlcNAc−OR、およびNeuAcα2,3Galβ1,4GlcNAc−OR(ここでは、Rは、アミノ酸、糖、オリゴ糖、または少なくとも1つの炭素原子を有しているアグリコン基である)。Rは、糖タンパク質または糖タンパク質の一部に対して連結される。特定の反応に適切なフコシルトランスフェラーゼは、所望されるフコース結合のタイプ(例えば、α2、α3、またはα4)、目的の特定のアクセプター、および所望される高い収量のフコシル化を行うフコシルトランスフェラーゼの能力に基づいて選択される。適切なフコシルトランスフェラーゼおよびそれらの特性は、上記に記載されている。
組成物中の物質に連結させられたオリゴ糖のうちの十分な割合にフコシルトランスフェラーゼアクセプター部分が含まれない場合は、適切なアクセプターを合成することができる。例えば、フコシルトランスフェラーゼのアクセプターを合成するための1つの好ましい方法には、GlcNAc残基をGlcNAcトランスフェラーゼアクセプター基質に結合させるためにGlcNAcトランスフェラーゼを使用することが含まれる。これは、糖タンパク質に連結させられたオリゴ糖上に存在する。好ましい実施形態においては、目的の可能性のあるアクセプター基質の大きな割合をグリコシル化する能力を有しているトランスフェラーゼが選択される。得られるGlcNAcβ−ORは、その後、フコシルトランスフェラーゼのアクセプターとして使用することができる。
得られるGlcNAcβ−OR部分は、フコシルトランスフェラーゼ反応の前にガラクトシル化することができ、これによって、例えば、Galβ1,3GlcNAc−ORまたはGalβ1,4GlcNAc−OR残基が生じる。いくつかの実施形態においては、ガラクシル化とフコシル化工程が同時に行われる。したがって、この方法には:
(a)化合物Galβ1,4GlcNAcβ−ORまたはGalβ1,3GlcNAc−ORを形成させるために十分な条件下で、UDPガラクトースの存在下で、式GlcNAcβ−ORの化合物をガラクトシルトランスフェラーゼでガラクトシル化する工程;および
(b)以下から選択される化合物を形成させるために十分な条件下で、GDP−フコースの存在下で、フコシルトランスフェラーゼを使用して(a)で形成された化合物をフコシル化する工程:
Figure 2007520220
が含まれる。
所望される活性を有しているフコシルトランスフェラーゼでフコシル化ペプチドを処理することによって、フコシル化糖タンパク質に対して別のフコース残基を付加することができる。例えば、この方法により、Fucα1,2Galβ1,4(Fucα1,3)GlcNAcβ−ORおよびFucα1,2Galβ1,3(Fucα1,4)GlcNAcβ−ORのようなオリゴ糖決定基を形成させることができる。したがって、別の好ましい実施形態においては、この方法には、少なくとも2つのフコシルトランスフェラーゼの使用が含まれる。複数のフコシルトランスフェラーゼは、同時に、または連続してのいずれかで使用される。フコシルトランスフェラーゼが連続して使用される場合は、一般的には、糖タンパク質が複数のフコシル化工程の間に精製されないことが好ましい。複数のフコシルトランスフェラーゼが同時に使用される場合は、酵素活性は、2つの別の酵素に由来する場合も、また、1つ以上のフコシルトランスフェラーゼ活性を有している単一の酵素に由来する場合もある。
(H.多酵素オリゴ糖合成)
上記のように、いくつかの実施形態においては、2つ以上の酵素が、糖タンパク質または糖脂質上に所望されるオリゴ糖またはオリゴ糖決定基を形成させるために使用される場合がある。例えば、特定のオリゴ糖決定基は、所望される活性を示すためには、ガラクトース、シアル酸、およびフコースの添加を必要とする場合がある。したがって、本発明により、2つ以上の酵素、例えば、グリコシルトランスフェラーゼ、トランスシアリダーゼ、またはスルホトランスフェラーゼが、所望されるオリゴ糖決定基の高収量の合成を得るために使用される方法が提供される。
1つの好ましい実施形態においては、LNFIIIが、本明細書中に記載される1182株由来のピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼを、淋菌(Neisseria gonococcus)のβ−1,3N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(lgtA)および淋菌(Neisseria gonococcus)のβ−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ(lgtB)と組み合わせて使用することによって、乳糖から調製される。当業者であれば、他のβ−1,3N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼおよびβ−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ酵素を本発明のこの実施形態で使用できることを理解するであろう。例えば、米国特許第6,503,744号;同第6,699,705号(いずれも、全ての目的のために本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。
いくつかの場合には、糖タンパク質に連結されたオリゴ糖または糖脂質に連結されたオリゴ糖は、糖タンパク質または糖脂質の生体内での生合成の際に、目的の特定のグリコシルトランスフェラーゼのアクセプター基質を含む。このような糖タンパク質または糖脂質は、糖タンパク質または糖脂質のそれぞれのグリコシル化パターンを事前に修飾することなく、ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼタンパク質と本発明の方法を使用してグリコシル化することができる。しかし、他の場合には、目的の糖タンパク質または糖脂質は、適切なアクセプター基質がない場合がある。このような場合には、本発明の方法は、糖タンパク質または糖脂質のグリコシル化パターンを、糖タンパク質または糖脂質に連結させられたオリゴ糖が次いで、所望されるオリゴ糖部分を形成させるために目的の予め選択された糖ユニットのグリコトランスフェラーゼによって触媒される結合のアクセプター基質を含むように、変更するために使用することができる。
糖タンパク質または糖脂質に連結させられたオリゴ糖は、必要に応じて、最初に全体をまたは部分的にのいずれかで「切り取って」、グリコシルトランスフェラーゼのアクセプター基質、またはそれに対して1つ以上の適切な残基を付加して適切なアクセプター基質を得ることができる部分のいずれかを露出させることができる。グリコシルトランスフェラーゼおよびエンドグリコシダーゼのような酵素は、結合反応および切り取り反応に有用である。例えば、「高マンノース」型オリゴ糖を提示する糖タンパク質については、1つ以上の予め選択された糖単位を結合すると所望されるオリゴ糖決定基を形成するアクセプター基質を得るために、マンノシダーゼによる切り取りを行うことができる。
この方法はまた、その自然界に存在している形態においてはグリコシル化されていないタンパク質または脂質上に、所望されるオリゴ糖部分を合成するためにも有用である。対応するグリコシルトランスフェラーゼに適切なアクセプター基質は、本発明の方法を使用して、グリコシル化の前にそのようなタンパク質または脂質に結合させることができる。例えば、グリコシル化に適しているアクセプターを有しているポリペプチドを得る方法については、米国特許第5,272,066号を参照のこと。
したがって、いくつかの実施形態においては、本発明により、適切なアクセプターを生成するために糖結合体を修飾することを最初に含む、糖結合体上に存在する糖基のインビトロでのシアル化のための方法が提供される。所望されるオリゴ糖部分の多酵素合成の好ましい方法の例は以下のとおりである。
(フコシル化され、かつシアル化されたオリゴ糖部分)
糖タンパク質に対して所望される生物学的活性を付与するオリゴ糖決定基は、多くの場合、フコシル化されることに加えて、シアル化もされる。したがって、本発明により、糖タンパク質に連結されたオリゴ糖が、高い収量でシアル化され、フコシル化される方法が提供される。
シアル化は、特定の部分にα2,6−結合シアル酸が必要である場合(シアリルトランスフェラーゼが使用される)を除き、トランス−シアリダーゼまたはシアリルトランスフェラーゼのいずれかを使用して行うことができる。それぞれのタイプの酵素の適切な例は、上記に記載されている。これらの方法には、適切なドナー基質の存在下で適切な酵素とアクセプターを接触させることにより、シアリルトランスフェラーゼまたはトランスシアリダーゼのアクセプターをシアル化することが含まれる。シアリルトランスフェラーゼについては、CMP−シアル酸が好ましいドナー基質である。しかし、トランス−シアリダーゼは、トランスシアリダーゼがそれに対してシアル酸を付加することができない脱離基を含むドナー基質を使用することが好ましい。
目的のアクセプター基質としては、例えば、Galβ−ORが挙げられる。いくつかの実施形態においては、アクセプター基質は、化合物NeuAcα2,3Galβ−ORまたはNeuAcα2,6Galβ−ORを形成するようにアクセプター基質の非還元性末端にシアル酸が転移させられる条件下で、CMP−シアル酸の存在下でシアリルトランスフェラーゼと接触させられる。この式中では、Rは、アミノ酸、糖、オリゴ糖、または少なくとも1つの炭素原子を有しているアグリコン基である。Rは、糖タンパク質または糖タンパク質の一部に対して連結される。α2,8−シアリルトランスフェラーゼもまた、上記構造に対して第2のシアル酸残基、または複数のシアル酸残基を結合させるために使用することができる。
シアル化されており、かつ、フコシル化もされているオリゴ糖部分を得るためには、シアル化アクセプターは、上記で議論されているようにフコシルトランスフェラーゼと接触させられる。シアリルトランスフェラーゼ反応とフコシルトランスフェラーゼ反応は、一般的には、連続して行われる。なぜなら、ほとんどのシアリルトランスフェラーゼは、フコシル化されたアクセプターに対しては活性がないからである。しかし、FT VIIは、シアル化されたアクセプター基質に対してのみ作用する。したがって、FTVIIは、シアリルトランスフェラーゼとの同時反応において使用することができる。
トランス−シアリダーゼがシアル化を行うために使用される場合は、フコシル化反応とシアル化反応は、同時に、またはいずれかの順序で連続してのいずれかで、行うことができる。修飾されるタンパク質は、適切な量のトランスシアリダーゼ、適切なシアル酸ドナー基質、フコシルトランスフェラーゼ(α1,3またはα1,4結合を生成することができる)および適切なフコシルドナー基質(例えば、GDP−フコース)を含む反応混合物とともにインキュベートされる。
(ガラクトシル化され、フコシル化され、かつシアル化されたオリゴ糖決定基)
本発明によってまた、ガラクトシル化され、フコシル化され、そしてシアル化される、オリゴヌクレオチド部分を酵素的に合成するための方法も提供される。シアリルトランスフェラーゼまたはトランス−シアリダーゼ(α2,3−結合シアル酸のみについて)のいずれかを、これらの方法において使用することができる。
トランス−シアリダーゼ反応には、適切な量のガラクトシルトランスフェラーゼ(galβ1,3またはgalβ1,4)、適切なガラクトシルドナー(例えば、UDP−ガラクトース)、トランス−シアリダーゼ、適切なシアル酸ドナー基質、フコシルトランスフェラーゼ(α1,3またはα1,4結合を生成することができる)、適切なフコシルドナー基質(例えば、GDP−フコース)、および二価の金属イオンを含む反応混合物とともに、修飾されるタンパク質をインキュベートすることが含まれる。これらの反応は、連続して、または同時のいずれかで行うことができる。
シアリルトランスフェラーゼが使用される場合は、この方法には、適切な量のガラクトシルトランスフェラーゼ(galβ1,3またはgalβ1,4)、適切なガラクトシルドナー(例えば、UDP−ガラクトース)、シアリルトランスフェラーゼ(α2,3またはα2,6)、および適切なシアル酸ドナー基質(例えば、CMPシアル酸)を含む反応混合物とともに、修飾されるタンパク質をインキュベートすることが含まれる。反応は、完了するまで連続して進行させられ、その後、フコシルトランスフェラーゼ(α1,3またはα1,4結合を生成することができる)と適切なフコシルドナー基質(例えば、GDP−フコース)が添加される。シアル化される物質(例えば、FT VII)を必要とするフコシルトランスフェラーゼが使用される場合は、反応を同時に行うことができる。
(シアリルトランスフェラーゼ反応)
上記のように、いくつかの実施形態においては、本発明により、ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼタンパク質と、糖タンパク質のシアル化の後に糖タンパク質をフコシル化するための方法が提供される。好ましい実施形態においては、本発明の融合タンパク質および方法によって、実質的に均一なシアル化パターンを有している糖タンパク質が合成される。シアル化された糖タンパク質は、その後、フコシル化され、それによって、その中のメンバーが実質的に均一なフコシル化パターンを有している、フコシル化された糖タンパク質の集団が得られる。
糖タンパク質を、シアル酸をシアル酸ドナー基質から糖基へと転移させるために十分な時間の間、適切な反応条件下で、シアリルトランスフェラーゼとシアル酸ドナー基質と接触させることができる。シアリルトランスフェラーゼには、ドナー基質であるCMP−シアル酸からアクセプターであるオリゴ糖物質へとシアル酸を転移させるグリコシルトランスフェラーゼのファミリーが含まれる。好ましい実施形態においては、シアリルトランスフェラーゼは、組換えであるシアリルトランスフェラーゼ融合タンパク質である。適切なシアリルトランスフェラーゼ反応は、1997年1月16日に提出された米国仮特許出願番号60/035,710、および1998年1月15日に提出された米国特許出願番号09/007,714に記載されている。
いくつかの実施形態においては、本発明のピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼによって変更されたシアル化パターンを有している糖タンパク質上の糖部分は、変更されていない糖タンパク質よりも高い割合のシアル化された末端ガラクトース残基を有する。好ましくは、糖タンパク質に連結させられたオリゴ糖上に存在する末端ガラクトース残基の約80%を超えるものが、この方法の使用後にシアル化される。より好ましくは、ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼタンパク質と本発明の方法の使用により、末端ガラクトース残基の約90%を超えるシアル化が、なおさらに好ましくは、約95%を超えるシアル化が生じる。最も好ましくは、組成物中の糖タンパク質上に存在する末端がラクトース残基の本質的に100%が、本発明の方法を用いた修飾後にシアル化される。本発明の融合タンパク質および方法は、通常は、約48時間以内、より好ましくは、約24時間以内に、所望されるシアル化のレベルを達成することができる。
少なくとも15種の異なる哺乳動物のシアリルトランスフェラーゼが報告されており、これらのうちの13個のcDNAが今日までにクローニングされている(本明細書中で使用される体系的な命名法については、Tsuji et al.,(1996)Glycobiology 6:v−xivを参照のこと)。これらのcDNAは、本発明の組換えシアリルトランスフェラーゼ融合タンパク質を生成するために使用することができる。
好ましくは、糖タンパク質のN−結合および/またはO−結合炭化水素のグリコシル化のためには、シアリルトランスフェラーゼによって、末端配列であるGalβ1,4−ORまたはGalNAc−ORに対してシアル酸が転移させられる。ここでは、Rは、アミノ酸、糖、オリゴ糖、または少なくとも1つの炭素原子を有しているアグリコン基であり、糖タンパク質または糖タンパク質の一部に対して連結されている。Galβ1,4−GlcNAcは、シアル化炭化水素構造全体の上の、末端シアル酸を基礎とする最も一般的な最後から2番目の配列である。クローン化されている哺乳動物のシアリルトランスフェラーゼのうち少なくとも3個は、このアクセプター特異性の要件を満たしており、これらのそれぞれは、糖タンパク質のN結合およびO結合炭化水素基に対してシアル酸を転移させることが明らかにされている。
いくつかの実施形態においては、本発明のシアル化方法は、組み換えによって産生されたか、または自然界に存在している細菌細胞中で産生されたかのいずれかである細菌のシアリルトランスフェラーゼの使用を通じて商業的実用性が高められる。2つの細菌のシアリルトランスフェラーゼが最近になって報告された;Photobacterium damsela由来のST6Gal II(Yamamoto et al.,(1996)J.Biochem.120:104−110)および淋菌(Neisseria meningitidis)由来のST3Gal V(Gilbert et al.,(1996)J.Biol.Chem.271:28271−28276)。2つの最近記載された最近の酵素は、オリゴ糖物質上のGalβ1,4GlcNAc配列にシアル酸を転移させる。他の細菌のシアリルトランスフェラーゼが公知であり、例えば、米国特許第6,503,744号;同第6,699,705号;同第6,096,529号;および、2004年9月17日に提出された米国特許出願番号第60/610807を参照のこと。
最近報告されたウイルスα2,3−シアリルトランスフェラーゼもまた、本発明のシアル化方法での試験に適しており、使用される可能性がある(Sujino et al.,(2000)Glycobiology B10:313−320)。この酵素v−ST3GalIは、粘液腫ウイルスに感染した細胞から得られ、それぞれのアミノ酸配列の比較によって示されるように、哺乳動物のST3Gal IVに関係しているようである。v−ST3Gal Iは、I型(Galβ1,3−GlcNAcβ1−R)、II型(Galβ1,4GlcNAc−β1−R)、およびIII型(Galβ1,3GalNAcβ1−R)アクセプターのシアル化を触媒する。この酵素はまた、フコシル化されたアクセプター基質(例えば、Lewis−xおよびLewis−a)に対してもシアル酸を転移させることができる。
特許請求される方法において有用なシアリルトランスフェラーゼの一例は、ST3Gal IIIであり、これは、α(2,3)シアリルトランスフェラーゼ(E.C 2.4.99.6)とも呼ばれている。この酵素は、Galβ1,3GlcNAc、Galβ1,3GalNAc、またはGalβ1,4GlcNAcグリコシドのGalに対するシアル酸の転移を触媒する(例えば、Wen et al.,(1992)J.Biol.Chem.267:21011;Van den Eijnden et al.,(1991)J.Biol.Chem.256:3159を参照のこと)。シアル酸は、2つの糖の間でα結合を形成して、Galに連結される。糖の間での結合(連結)は、NeuAcの2位とGalの3位の間である。この特定の酵素は、ラットの肝臓から単離することができ(Weinstein et al.,(1982)J.Biol.Chem.257:13845);ヒトのcDNA(Sasaki et al.,(1993)J.Biol.Chem.268:22782−22787;Kitagawa & Paulson(1994)J.Biol.Chem.269:1394−1401)、およびゲノム(Kitagawa et al.,(1996)J.Biol.Chem.271:931−938)DNA配列は公知であり、これによって組換えの発現によってこの酵素を産生することは容易である。好ましい実施形態においては、請求されるシアル化方法では、ラットのST3Gal IIIが使用される。
上記のものを含む他のシアリルトランスフェラーゼもまた、商業的に重要な糖タンパク質のシアル化のための、経済的で効率のよい大規模なプロセスにおいて有用である。上記のように、これらの他の酵素の有用性を見出すための簡単な試験は、種々の量の個々の酵素(1〜100mU/mgタンパク質)を、容易に入手することができる糖タンパク質(例えば、アシアロ−α−AGP(1〜10mg/ml))と反応させて、糖タンパク質をシアル化するように相互作用するシアリルトランスフェラーゼの能力を比較することである。結果は、例えば、所望される特定のシアル酸結合に応じて、ST6Gal IまたはST3Gal III(例えば、ウシの酵素またはヒトの酵素)のいずれかまたは両方と比較することができる。あるいは、他の糖タンパク質または糖タンパク質、あるいは、ペプチド骨格から酵素によって遊離させられたN−結合またはO−結合オリゴ糖を、この評価のためにアシアロ−αAGPの代わりに使用することができ、また、他の方法によって産生されたかまたは乳汁のような自然界の産物から精製された糖類を使用することもできる。しかし、シアリルトランスフェラーゼが、糖タンパク質に連結させられたオリゴ糖を使用してアッセイされることが好ましい。例えば、ST6Gal Iよりも効率よく糖タンパク質のN−結合またはO−結合オリゴ糖をシアル化する能力を示すシアリルトランスフェラーゼは、糖タンパク質のシアル化のための実際の大規模プロセスにおいて有用である。
いくつかの実施形態においては、細菌のシアリルトランスフェラーゼが、オリゴ糖、多糖、糖脂質、または糖タンパク質を修飾するために使用される。細菌のシアリルトランスフェラーゼの例は、例えば、米国特許第6,503,744号;同第6,096,529号;および同第6,210,933号;ならびに、1998年3月18日に提出された米国特許出願番号09/272960および2001年3月21日に提出された米国特許出願番号09/816028(これらのそれぞれは、全ての目的のために本明細書中に参考として援用される)に見ることができる。米国特許第6,503,744号と、2001年3月21日に提出された米国特許出願番号09/816028には、それぞれ、本発明において使用することができるさらなるグリコシルトランスフェラーゼの開示も含まれている。
本発明により、また、α2,6Gal結合、ならびにα2,3Gal結合(これらはいずれも、ヒト血漿の糖タンパク質のN結合オリゴ糖上に見られる)中にシアル酸を付加することによってフコシル化の前に糖タンパク質のシアル化パターンを変化させる方法も提供される。この実施形態においては、ST3Gal IIIおよびST6Gal Iシアリルトランスフェラーゼはいずれも反応中に存在し、シアル化反応において形成された再現可能な割合の2つの結合を有しているタンパク質が提供される。したがって、2つの酵素の混合物は、両方の結合が最終産物において所望される場合に価値がある場合がある。
シアリルトランスフェラーゼについてのアクセプター基質は、本明細書中に記載されるシアル化方法によって修飾される糖タンパク質上に存在する。適切なアクセプターとしては、例えば、Galβ1,4GlcNAc、Galβ1,4GalNAc、Galβ1,3GalNAc、Galβ1,3GlcNAc、Galβ1,3Ara、Galβ1,6GlcNAc、Galβ1,4Glc(乳糖)、GalNAc−O−Ser、GalNAc−O−Thrのようなガラクトシル化されたアクセプター、ならびに当業者に公知の他のアクセプター(例えば、Paulson et al.,(1978)J.Biol.Chem.253:5617−5624を参照のこと)が挙げられる。通常は、アクセプターには、タンパク質中に存在しているアスパラギン、セリン、またはスレオニン残基に結合させられたオリゴ糖鎖が含まれる。
以下の実施例は、特許請求される本発明を説明するために提供され、限定するためではない。
(実施例1:ピロリ菌(Helicobacter pylori)フコシルトランスフェラーゼのクローニング)
以下のピロリ菌(Helicobacter pylori)株に由来する推定されるフコシルトランスフェラーゼ遺伝子をPCR増幅し、大腸菌(E.coli)で発現させるためにベクターにクローニングした:915 FutA株、1111 FutA株、19C2 FutB株、1182 FutB株、19C2 FutA株、26695 FutA株、および1218 FutB株。核酸配列とアミノ酸配列を図1〜7に示す。アミノ酸配列のアライメントを、図12に提供し、核酸配列のアライメントを図13に提供する。
推定されるフコシルトランスフェラーゼタンパク質を、LNnTおよびGDP−フコース基質を使用して、α1,3/4−フコシルトランスフェラーゼ活性についてスクリーニングした。LNnTのオリゴ構造と、1つの産物であるLNFP IIIを図14に示す。
ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼで形質転換した大腸菌(E.coli)の100mLの培養液を、OD600が0.8になるまで増殖させ、IPTGとともにインキュベートし、回収した。細胞溶解物を、加圧型細胞破壊装置を使用して作製した。フコシルトランスフェラーゼ酵素を、基質LNnTを使用して、酵素活性とアクセプター特異性について試験した。反応には、3mMのGDP−フコース、3mMのLNnT、50mMのTris(pH7.5)、20mMのMnCl、および15%の細菌溶解物を含めた。反応液を37℃で24時間インキュベートした。
反応産物を、以下のTLC−緩衝液システムを使用して分離した:7 IPA:2 HO:1 酢酸。試料をメチル化し、加水分解し、重水素化ホウ酸ナトリウムで還元し、アセチル化し、そして、LNnTおよびLNF3の試料とともにGC/MSによって分析した。結果を図15に示す。1に近いGlc対Glc−NAc値は、Glc−NAcのフコシル化に好ましい。0に近いGlc対Glc−NAc値は、Glcのフコシル化に好ましい。以下のピロリ菌(H.pylori)株に由来するフコシルトランスフェラーゼを、フコースをGlc−NAcに転移させた:915 FutA株、1111 FutA株、19C2 FutB株、および1182 FutB株。ピロリ菌(H.pylori)19C2A株に由来するFutA遺伝子産物は、フコースをLNnTアクセプターの還元性グルコースに転移させた。ピロリ菌(H.pylori)1218 FutB株由来のFutB遺伝子産物も同様であった。ピロリ菌(H.pylori)26695株に由来する新規のFutAタンパク質もまた、グルコースへのフコースの転移を触媒した。
(実施例2:ピロリ菌(Helicobacter pylori)フコシルトランスフェラーゼを使用したオリゴ糖の産生)
ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼを発現する、1Lの大腸菌(E.coli)培養物を増殖させ、誘導し、回収した。溶解物を使用して、LNnTからLNFIIIを合成した。2種類のイオン交換樹脂を、LNFIIIの精製について試験した。反応混合物を、5,000RPMで30分間遠心分離した。その後、試料を、10kDの分子量カットオフの中空糸型限外濾過膜を使用して限外濾過によって処理した。イオン交換クロマトグラフィーを、1mlの合成についてMR3 NHHCOカラム1ml樹脂(70%)、または1mlの合成についてDowex1/Dowex50カラム2ml樹脂(82%)のいずれかを使用して行った。その後、試料を、P2サイズ排除カラム上に流し、その後凍結乾燥した。結果を図16に示す。Dowex樹脂を使用した場合の収率は、およそ50%であり、一方、MR3 NHHCOを使用した場合の収率は、およそ70%であった。
LNFIIIを、本明細書中に記載した1182株由来のピロリ菌(H.pylori)α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼを発現する大腸菌(E.coli)細胞由来の溶解物を、淋菌(Neisseria gonococcus)のβ−1,3N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(lgtA)および淋菌(Neisseria gonococcus)のβ−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ(lgtB)と組み合わせて使用して、多グラム(multigram)のスケールで乳糖から調製した。当業者であれば、他のβ−1,3N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼおよびβ−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ酵素を本発明のこの実施形態で使用できることを理解するであろう。
(実施例3:ピロリ菌(Helicobacter pylori)フコシルトランスフェラーゼを使用した糖タンパク質の産生)
ピロリ菌(H.pylori)1182B株由来のフコシルトランスフェラーゼが糖タンパク質上のアクセプター分子に対してフコースを付加する能力を、基質としてアシアリルトランスフェリンを使用して試験した。1182Bフコシルトランスフェラーゼを、上記のように大腸菌(E.coli)細胞中で産生させた。反応は、50mMのTris(pH7.5)、20mMのMnCl、200μgのアシアリルトランスフェリン、および5mMのGDP−フコースを含む緩衝液中で行った。反応を、15%v/vの細菌溶解液を添加することによって開始させた。反応物を37℃で一晩インキュベートした。試料を、GC/MSを使用して分析した。結果を図17に示す。
(実施例4:別のピロリ菌(Helicobacter pylori)フコシルトランスフェラーゼ遺伝子のクローニング)
以下のピロリ菌(Helicobacter pylori)株由来の追加のフコシルトランスフェラーゼ遺伝子をPCR増幅し、大腸菌(E.coli)で発現させるためにベクターにクローニングした:955株、19C2株、763株、1111株、948株、J99株、802株、および1218株。核酸配列とアミノ酸配列を、図18〜30に提供する。
UA763を除くピロリ菌(Helicobacter pylori)株由来のα1,3−フコシルトランスフェラーゼを、FutA(以前の技術用語−長い)については、プライマー55(
Figure 2007520220
(BamHI制限酵素部位に下線、26695中のチトクロームc生合成タンパク質{遺伝子hp0378}配列ヌクレオチド388674−388694を大文字で並べた))およびプライマー56(
Figure 2007520220
(EcoRI制限酵素部位に下線、26695中のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ{遺伝子hp0380}ヌクレオチド390455−390473を大文字で並べた))、また、FutBについては、プライマー53(
Figure 2007520220
(BamHI制限酵素部位に下線、26695中のホスホセリンホスファターゼ{遺伝子hp0652}配列ヌクレオチド698436−698453を大文字で並べた))およびプライマー54(
Figure 2007520220
(EcoRI制限酵素部位に下線、26695中の仮想タンパク質{遺伝子hp0650}ヌクレオチド696423−696440を大文字で並べた))のいずれかを使用してPCR増幅した。PCR産物を、BamHIとEcoRIで制限酵素処理し、pBluescript II KS+中に、T7プロモーターの制御下にクローニングした。プラスミドDNAを単離し、BamHIとEcoRIで消化して、挿入断片の大きさを決定し、配列決定反応を行って挿入断片が正確なものであることを確認した。UA763 FutBを、BHISDFuc13(
Figure 2007520220
(BamHI制限酵素部位に下線、最適なシャインダルガノ配列をイタリックで、そしてα1,3−フコシルトランスフェラーゼを大文字で並べた))とプライマー54を使用してPCR増幅した。PCR産物をBamHIとEcoRIで制限酵素処理し、pMS119HEにクローニングした。プラスミドDNAを単離し、BamHIとEcoRIで消化して、挿入断片の大きさを決定し、配列決定反応を行って挿入断片が正確なものであることを確認した。ピロリ菌(Helicobacter pylori)からフコシルトランスフェラーゼをクローニングするために有用な他のプライマーを図33に開示する。
本明細書中に記載されるフコシルトランスフェラーゼアッセイを、開示されるピロリ菌(Helicobacter pylori)由来のフコシルトランスフェラーゼ遺伝子によってコードされるタンパク質が、アクセプター分子(例えば、オリゴ糖、糖タンパク質、または糖脂質)に対して活性化されたフコースを転移させることを確認するために行った。
本明細書中で開示された実施例および実施形態は、説明の目的のためのものにすぎず、その範囲などの種々の改変または変更が当業者に示唆され、本出願および添付される特許請求の範囲の精神および範囲内に含まれることが理解される。本明細書中に記載される全ての刊行物、特許、および特許出願は、全ての目的についてそれらの全体が本明細書中に参考として援用される。
図1により、ピロリ菌(H.pylori)1182B株由来のフコシルトランスフェラーゼの核酸配列およびアミノ酸配列が提供される。 図2により、ピロリ菌(H.pylori)1111A株由来のフコシルトランスフェラーゼの核酸配列およびアミノ酸配列が提供される。 図3により、ピロリ菌(H.pylori)1218B株由来のフコシルトランスフェラーゼの核酸配列およびアミノ酸配列が提供される。 図4により、ピロリ菌(H.pylori)19C2B株由来のフコシルトランスフェラーゼの核酸配列およびアミノ酸配列が提供される。 図5により、ピロリ菌(H.pylori)915A株由来のフコシルトランスフェラーゼの核酸配列およびアミノ酸配列が提供される。 図6により、ピロリ菌(H.pylori)26695A株由来のフコシルトランスフェラーゼの核酸配列およびアミノ酸配列が提供される。 図7により、ピロリ菌(H.pylori)19C2A株由来のフコシルトランスフェラーゼの核酸配列およびアミノ酸配列が提供される。 図8により、1182 futBアミノ酸配列と、グリコシルトランスフェラーゼファミリー10(すなわち、フコシルトランスフェラーゼファミリー)に由来するコンセンサス配列との間でのアライメントが提供される。1182 futBのアミノ酸23から305が上段に示され、これは、タンパク質の最も保存されている領域、すなわち、フコシルトランスフェラーゼ触媒ドメインを示す。 図9により、1111 futAアミノ酸配列と、グリコシルトランスフェラーゼファミリー10(すなわち、フコシルトランスフェラーゼファミリー)に由来するコンセンサス配列との間でのアライメントが提供される。1111 futAのアミノ酸27から417が上段に示され、これは、タンパク質の最も保存されている領域、すなわち、フコシルトランスフェラーゼ触媒ドメインを示す。 図10により、1218 futBアミノ酸配列と、グリコシルトランスフェラーゼファミリー10(すなわち、フコシルトランスフェラーゼファミリー)に由来するコンセンサス配列との間でのアライメントが提供される。1218 futBのアミノ酸23から399が上段に示され、これは、タンパク質の最も保存されている領域、すなわち、フコシルトランスフェラーゼ触媒ドメインを示す。 図11により、19C2 futBアミノ酸配列と、グリコシルトランスフェラーゼファミリー10(すなわち、フコシルトランスフェラーゼファミリー)に由来するコンセンサス配列との間でのアライメントが提供される。19C2 futBのアミノ酸23から377が上段に示され、これは、タンパク質の最も保存されている領域、すなわち、フコシルトランスフェラーゼ触媒ドメインを示す。 図12により、ピロリ菌(H.pylori)のアミノ酸配列1182 FutB、1111 FutA、1218 FutB、19C2 FutB、915 FutA、19C2 FutA、および26695 FutAの間でのアライメントが提供される。最下段の配列はコンセンサス配列である。 図13により、ピロリ菌(H.pylori)の核酸配列1182 FutB、1111 FutA、1218 FutB、19C2 FutB、915 FutA、19C2 FutA、および26695 FutAの間でのアライメントが提供される。最下段の配列はコンセンサス配列である。 図13により、ピロリ菌(H.pylori)の核酸配列1182 FutB、1111 FutA、1218 FutB、19C2 FutB、915 FutA、19C2 FutA、および26695 FutAの間でのアライメントが提供される。最下段の配列はコンセンサス配列である。 図13により、ピロリ菌(H.pylori)の核酸配列1182 FutB、1111 FutA、1218 FutB、19C2 FutB、915 FutA、19C2 FutA、および26695 FutAの間でのアライメントが提供される。最下段の配列はコンセンサス配列である。 図13により、ピロリ菌(H.pylori)の核酸配列1182 FutB、1111 FutA、1218 FutB、19C2 FutB、915 FutA、19C2 FutA、および26695 FutAの間でのアライメントが提供される。最下段の配列はコンセンサス配列である。 図13により、ピロリ菌(H.pylori)の核酸配列1182 FutB、1111 FutA、1218 FutB、19C2 FutB、915 FutA、19C2 FutA、および26695 FutAの間でのアライメントが提供される。最下段の配列はコンセンサス配列である。 図14により、ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼの基質であるラクト−N−ネオ−テトラオース(LNnT)と、ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼの産物であるラクト−N−フコペンタオースIII(LNFP IIIまたはLNF III)のオリゴ糖構造が提供される。 図15により、ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼに対するアクセプター特異性の分析の結果が提供される。 図16により、ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼを使用するLNF III合成の収率が提供される。2つのイオン交換樹脂を試験した:MR3 NHHCOおよびDowex1/Dowex50樹脂。 図17により、フコースを糖タンパク質アシアリルトランスフェリンに変換するための、ピロリ菌(H.pylori)1182株由来のFutB α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼの使用が示される。上段のパネルには、シアル化トランスフェリンのGC/MS分析が示される。下段のパネルには、酵素的にシアル化され、その後、ピロリ菌(H.pylori)1182株FutB α−1,3/4−フコシルトランスフェラーゼを使用してフコシル化された、シアル化トランスフェリンのGC/MS分析が示される。糖構造についての記号:黒四角−GlcNAc;白丸−マンノース;黒菱形−ガラクトース;三角−フコース;星型−シアル酸。 図18により、ピロリ菌(H.pylori)1111 FutB株由来のフコシルトランスフェラーゼの核酸配列(上段)およびアミノ酸配列(下段)が提供される。核酸配列は、小文字のBamHI部位で始まる。コード配列もまた、小文字(すなわち、atg...taa)であり、配列は、小文字のEcoRI部位で終わる。 図19により、ピロリ菌(H.pylori)802 FutA株由来のフコシルトランスフェラーゼの核酸配列(上段)およびアミノ酸配列(下段)が提供される。核酸配列は、小文字のBamHI部位で始まる。コード配列は、小文字のatgで始まり、小文字の終止コドン(taa)で終わり、配列は小文字のEcoRI部位で終わる。 図20により、ピロリ菌(H.pylori)948 FutA株由来のフコシルトランスフェラーゼの核酸配列(上段)およびアミノ酸配列(下段)が提供される。核酸配列は、小文字のBamHI部位で始まる。コード配列もまた、小文字(すなわち、atg...taa)であり、配列は、小文字のEcoRI部位で終わる。 図21により、ピロリ菌(H.pylori)955 FutA株由来のフコシルトランスフェラーゼの核酸配列(上段)およびアミノ酸配列(下段)が提供される。核酸配列は、小文字のBamHI部位で始まる。開始コドン(すなわち、atg)は小文字であり、配列は小文字のEcoRI部位で終わる。 図22により、ピロリ菌(H.pylori)1218 FutA株由来のフコシルトランスフェラーゼの核酸配列(上段)およびアミノ酸配列(下段)が提供される。核酸配列は、小文字のBamHI部位で始まり、配列は、小文字のEcoRI部位で終わる。 図23により、ピロリ菌(H.pylori)UA955 FutB株由来のフコシルトランスフェラーゼの核酸配列(上段)およびアミノ酸配列(下段)が提供される。 図24により、ピロリ菌(H.pylori)UA763 FutB株由来のフコシルトランスフェラーゼの核酸配列(上段)およびアミノ酸配列(下段)が提供される。 図25により、ピロリ菌(H.pylori)19C2 FutA株由来の全長のフコシルトランスフェラーゼの核酸配列(上段)およびアミノ酸配列(下段)が提供される。 図26により、ピロリ菌(H.pylori)19C2 FutB株由来の全長のフコシルトランスフェラーゼの核酸配列(上段)およびアミノ酸配列(下段)が提供される。 図27により、ピロリ菌(H.pylori)26695 FutA株由来のフコシルトランスフェラーゼの核酸配列(上段)およびアミノ酸配列(下段)が提供される。 図28によりにより、ピロリ菌(H.pylori)802 FutB株由来のフコシルトランスフェラーゼの核酸配列(上段)およびアミノ酸配列(下段)が提供される。 図29により、ピロリ菌(H.pylori)UA948 FutB株由来のフコシルトランスフェラーゼの核酸配列(上段)およびアミノ酸配列(下段)が提供される。 図30により、ピロリ菌(H.pylori)UA915FutBフコシルトランスフェラーゼの核酸配列(上段)およびアミノ酸配列(下段)が提供される。 図31により、ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼ(111FutB、802FutA、948FutA、UA955FutB、UA763FutB、全長の19C2FutA、全長の19C2FutB、および26695FutB)の、pfam00852,Glyco_transf_10,グリコシルトランスフェラーゼファミリー10の配列とのアライメントが提供される。例えば、Marchler−Bauer et al.,Nucleic Acids Res.33:D192−6(2005)およびwww.ncbi.nlm.nih.gov/Structure/cdd/cdd.shtml.を参照のこと。保存されている残基と同じ残基は灰色の文字であり;保存されていない残基は黒色の文字である。 図31により、ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼ(111FutB、802FutA、948FutA、UA955FutB、UA763FutB、全長の19C2FutA、全長の19C2FutB、および26695FutB)の、pfam00852,Glyco_transf_10,グリコシルトランスフェラーゼファミリー10の配列とのアライメントが提供される。例えば、Marchler−Bauer et al.,Nucleic Acids Res.33:D192−6(2005)およびwww.ncbi.nlm.nih.gov/Structure/cdd/cdd.shtml.を参照のこと。保存されている残基と同じ残基は灰色の文字であり;保存されていない残基は黒色の文字である。 図31により、ピロリ菌(H.pylori)フコシルトランスフェラーゼ(111FutB、802FutA、948FutA、UA955FutB、UA763FutB、全長の19C2FutA、全長の19C2FutB、および26695FutB)の、pfam00852,Glyco_transf_10,グリコシルトランスフェラーゼファミリー10の配列とのアライメントが提供される。例えば、Marchler−Bauer et al.,Nucleic Acids Res.33:D192−6(2005)およびwww.ncbi.nlm.nih.gov/Structure/cdd/cdd.shtml.を参照のこと。保存されている残基と同じ残基は灰色の文字であり;保存されていない残基は黒色の文字である。 図32により、α1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質(例えば、19C2AFutA、19C2BFutB、763FutA、763FutB、802FutA、802FutB、915FutA、915FutB、948FutA、948FutB、955FutA、955FutB、1111FutA、1111FutB、1182FutA、1182FutB、1218FutA、1218FutB、26695FutA、および26695FutB)のアライメントが提供される。上段には、大多数であるか、またはコンセンサスである配列が示される。アライメントは、ClustalW(Slow/Accurate,Gonnet)を使用して行った。 図32により、α1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質(例えば、19C2AFutA、19C2BFutB、763FutA、763FutB、802FutA、802FutB、915FutA、915FutB、948FutA、948FutB、955FutA、955FutB、1111FutA、1111FutB、1182FutA、1182FutB、1218FutA、1218FutB、26695FutA、および26695FutB)のアライメントが提供される。上段には、大多数であるか、またはコンセンサスである配列が示される。アライメントは、ClustalW(Slow/Accurate,Gonnet)を使用して行った。 図32により、α1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質(例えば、19C2AFutA、19C2BFutB、763FutA、763FutB、802FutA、802FutB、915FutA、915FutB、948FutA、948FutB、955FutA、955FutB、1111FutA、1111FutB、1182FutA、1182FutB、1218FutA、1218FutB、26695FutA、および26695FutB)のアライメントが提供される。上段には、大多数であるか、またはコンセンサスである配列が示される。アライメントは、ClustalW(Slow/Accurate,Gonnet)を使用して行った。 図32により、α1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質(例えば、19C2AFutA、19C2BFutB、763FutA、763FutB、802FutA、802FutB、915FutA、915FutB、948FutA、948FutB、955FutA、955FutB、1111FutA、1111FutB、1182FutA、1182FutB、1218FutA、1218FutB、26695FutA、および26695FutB)のアライメントが提供される。上段には、大多数であるか、またはコンセンサスである配列が示される。アライメントは、ClustalW(Slow/Accurate,Gonnet)を使用して行った。 図32により、α1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質(例えば、19C2AFutA、19C2BFutB、763FutA、763FutB、802FutA、802FutB、915FutA、915FutB、948FutA、948FutB、955FutA、955FutB、1111FutA、1111FutB、1182FutA、1182FutB、1218FutA、1218FutB、26695FutA、および26695FutB)のアライメントが提供される。上段には、大多数であるか、またはコンセンサスである配列が示される。アライメントは、ClustalW(Slow/Accurate,Gonnet)を使用して行った。 図32により、α1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質(例えば、19C2AFutA、19C2BFutB、763FutA、763FutB、802FutA、802FutB、915FutA、915FutB、948FutA、948FutB、955FutA、955FutB、1111FutA、1111FutB、1182FutA、1182FutB、1218FutA、1218FutB、26695FutA、および26695FutB)のアライメントが提供される。上段には、大多数であるか、またはコンセンサスである配列が示される。アライメントは、ClustalW(Slow/Accurate,Gonnet)を使用して行った。 図32により、α1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質(例えば、19C2AFutA、19C2BFutB、763FutA、763FutB、802FutA、802FutB、915FutA、915FutB、948FutA、948FutB、955FutA、955FutB、1111FutA、1111FutB、1182FutA、1182FutB、1218FutA、1218FutB、26695FutA、および26695FutB)のアライメントが提供される。上段には、大多数であるか、またはコンセンサスである配列が示される。アライメントは、ClustalW(Slow/Accurate,Gonnet)を使用して行った。 図32により、α1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質(例えば、19C2AFutA、19C2BFutB、763FutA、763FutB、802FutA、802FutB、915FutA、915FutB、948FutA、948FutB、955FutA、955FutB、1111FutA、1111FutB、1182FutA、1182FutB、1218FutA、1218FutB、26695FutA、および26695FutB)のアライメントが提供される。上段には、大多数であるか、またはコンセンサスである配列が示される。アライメントは、ClustalW(Slow/Accurate,Gonnet)を使用して行った。 図32により、α1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質(例えば、19C2AFutA、19C2BFutB、763FutA、763FutB、802FutA、802FutB、915FutA、915FutB、948FutA、948FutB、955FutA、955FutB、1111FutA、1111FutB、1182FutA、1182FutB、1218FutA、1218FutB、26695FutA、および26695FutB)のアライメントが提供される。上段には、大多数であるか、またはコンセンサスである配列が示される。アライメントは、ClustalW(Slow/Accurate,Gonnet)を使用して行った。 図32により、α1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質(例えば、19C2AFutA、19C2BFutB、763FutA、763FutB、802FutA、802FutB、915FutA、915FutB、948FutA、948FutB、955FutA、955FutB、1111FutA、1111FutB、1182FutA、1182FutB、1218FutA、1218FutB、26695FutA、および26695FutB)のアライメントが提供される。上段には、大多数であるか、またはコンセンサスである配列が示される。アライメントは、ClustalW(Slow/Accurate,Gonnet)を使用して行った。 図32により、α1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質(例えば、19C2AFutA、19C2BFutB、763FutA、763FutB、802FutA、802FutB、915FutA、915FutB、948FutA、948FutB、955FutA、955FutB、1111FutA、1111FutB、1182FutA、1182FutB、1218FutA、1218FutB、26695FutA、および26695FutB)のアライメントが提供される。上段には、大多数であるか、またはコンセンサスである配列が示される。アライメントは、ClustalW(Slow/Accurate,Gonnet)を使用して行った。 図32により、α1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質(例えば、19C2AFutA、19C2BFutB、763FutA、763FutB、802FutA、802FutB、915FutA、915FutB、948FutA、948FutB、955FutA、955FutB、1111FutA、1111FutB、1182FutA、1182FutB、1218FutA、1218FutB、26695FutA、および26695FutB)のアライメントが提供される。上段には、大多数であるか、またはコンセンサスである配列が示される。アライメントは、ClustalW(Slow/Accurate,Gonnet)を使用して行った。 図32により、α1,3/4−フコシルトランスフェラーゼタンパク質(例えば、19C2AFutA、19C2BFutB、763FutA、763FutB、802FutA、802FutB、915FutA、915FutB、948FutA、948FutB、955FutA、955FutB、1111FutA、1111FutB、1182FutA、1182FutB、1218FutA、1218FutB、26695FutA、および26695FutB)のアライメントが提供される。上段には、大多数であるか、またはコンセンサスである配列が示される。アライメントは、ClustalW(Slow/Accurate,Gonnet)を使用して行った。 図33により、ピロリ菌(Helicobacter pylori)由来のフコシルトランスフェラーゼ遺伝子を配列決定し、クローニングするために有用なプライマーが提供される。 図33により、ピロリ菌(Helicobacter pylori)由来のフコシルトランスフェラーゼ遺伝子を配列決定し、クローニングするために有用なプライマーが提供される。 図33により、ピロリ菌(Helicobacter pylori)由来のフコシルトランスフェラーゼ遺伝子を配列決定し、クローニングするために有用なプライマーが提供される。

Claims (44)

  1. フコシル化された糖タンパク質を生成するための方法であって、該方法は:
    組換えフコシルトランスフェラーゼタンパク質を、フコース残基を含むドナー基質および糖タンパク質上のアクセプター基質を含む混合物と、該フコシルトランスフェラーゼがドナー基質から該糖タンパク質上の該アクセプター基質への該フコース残基の転移を触媒する条件下で接触させ、それによりフコシル化された糖タンパク質を生成する工程、
    を包含し、
    ここで、該組換えフコシルトランスフェラーゼタンパク質は、配列番号16、配列番号18、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32および配列番号34からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して90%を超える同一性を有しているポリペプチドを含む、
    方法。
  2. 前記ポリペプチドは、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32および配列番号34からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して95%を超える同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ポリペプチドが、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32および配列番号34からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記ポリペプチドがアミノ酸タグをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記方法が、前記フコシル化された糖タンパク質を精製する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  6. 前記アクセプター基質が、グルコース残基およびN−アセチルグルコサミン残基から選択される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記糖タンパク質上のアクセプター基質が、Galβ1−OR、Galβ,3/4GlcNAc−OR、NeuAcα2,3Galβ1,3/4GlcNAc−Orを含み、ここで、Rはアミノ酸、糖、オリゴ糖、または少なくとも1つの炭素原子を有するアグリコン基である、請求項1に記載の方法。
  8. 核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチドであって、該核酸配列は、配列番号15、配列番号17、配列番号25、配列番号27、配列番号29および配列番号31からなる群より選択されるヌクレオチド配列に対して90%を超える同一性を有し、該ヌクレオチド配列は、ドナー基質からアクセプター基質へのフコース残基の転移を触媒するフコシルトランスフェラーゼをコードする、単離されたポリヌクレオチド。
  9. 前記核酸配列が、配列番号15、配列番号17、配列番号25、配列番号27、配列番号29および配列番号31からなる群より選択される、請求項8に記載のポリヌクレオチド。
  10. 前記フコシルトランスフェラーゼが、N−アセチルグルコサミン残基およびグルコース残基から選択されるアクセプター分子へのフコースの転移を触媒する、請求項8に記載のポリヌクレオチド。
  11. 核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチドであって、該核酸配列が、ドナー基質からアクセプター基質へのフコース残基の転移を触媒するフコシルトランスフェラーゼをコードし、該フコシルトランスフェラーゼは、配列番号16、配列番号18、配列番号26、配列番号28、配列番号30および配列番号32からなる群より選択されるアミノ酸を含む、単離されたポリヌクレオチド。
  12. 前記フコシルトランスフェラーゼがアミノ酸タグを含む、請求項11に記載のポリヌクレオチド。
  13. 請求項8または請求項11に記載の単離されたポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
  14. 請求項13に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
  15. フコシルトランスフェラーゼタンパク質の発現に適切な条件下で、請求項14に記載の宿主細胞を培養する工程を包含する、フコシルトランスフェラーゼタンパク質を生成する方法。
  16. 核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチドであって、該核酸配列が、配列番号19に対して90%を超える同一性を有し、該ヌクレオチド配列が、ドナー基質からアクセプター基質へのフコース残基の転移を触媒するフコシルトランスフェラーゼをコードする、単離されたポリヌクレオチド。
  17. 前記核酸配列が配列番号19からなる、請求項16に記載のポリヌクレオチド。
  18. 前記フコシルトランスフェラーゼが、N−アセチルグルコサミン残基およびグルコース残基から選択されるアクセプター分子へのフコースの転移を触媒する、請求項16に記載のポリヌクレオチド。
  19. 核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチドであって、該核酸配列は、ドナー基質からアクセプター基質へのフコース残基の転移を触媒するフコシルトランスフェラーゼをコードし、該フコシルトランスフェラーゼは、配列番号20に対して93%を超える同一性を有する、単離されたポリヌクレオチド。
  20. 前記フコシルトランスフェラーゼが配列番号20からなる、請求項19に記載のポリヌクレオチド。
  21. 請求項16または請求項19に記載の単離されたポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
  22. 請求項21に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
  23. フコシルトランスフェラーゼタンパク質の発現に適切な条件下で、請求項22に記載の宿主細胞を培養する工程を包含する、フコシルトランスフェラーゼタンパク質を生成する方法。
  24. 配列番号16、配列番号18、配列番号26、配列番号28、配列番号30および配列番号32からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して90%を超える同一性を有するポリペプチドを含む組換えフコシルトランスフェラーゼタンパク質であって、該フコシルトランスフェラーゼが、ドナー基質からアクセプター基質へのフコース残基の転移を触媒する、組換えフコシルトランスフェラーゼタンパク質。
  25. アミノ酸タグをさらに含む、請求項24に記載の組換えフコシルトランスフェラーゼ。
  26. 前記ポリペプチドが、配列番号16、配列番号18、配列番号26、配列番号28、配列番号30および配列番号32からなる群より選択される、請求項24に記載の組換えフコシルトランスフェラーゼ。
  27. 前記フコシルトランスフェラーゼが、N−アセチルグルコサミン残基およびグルコース残基から選択されるアクセプター分子へのフコースの転移を触媒する、請求項24に記載の組換えフコシルトランスフェラーゼ。
  28. 配列番号20に対して93%を超える同一性を有するポリペプチドを含む組換えフコシルトランスフェラーゼタンパク質であって、該フコシルトランスフェラーゼが、ドナー基質からアクセプター基質へのフコース残基の転移を触媒する、組換えフコシルトランスフェラーゼタンパク質。
  29. 前記ポリペプチドが配列番号20からなる、請求項28に記載の組換えフコシルトランスフェラーゼタンパク質。
  30. 前記フコシルトランスフェラーゼが、N−アセチルグルコサミン残基およびグルコース残基から選択されるアクセプター分子へのフコースの転移を触媒する、請求項28に記載の組換えフコシルトランスフェラーゼ。
  31. フコシル化されたオリゴ糖を作製する方法であって、該方法は:
    請求項24に記載の組換えフコシルトランスフェラーゼを、フコース残基を含むドナー基質、および糖またはオリゴ糖を含むアクセプター基質を含む混合物と、融合タンパク質が該ドナー基質から該アクセプター基質へのフコース残基の転移を触媒する条件下で接触させ、それによりフコシル化されたオリゴ糖を生成する工程を包含する、
    方法。
  32. 前記方法が、前記フコシル化されたオリゴ糖を精製する工程をさらに包含する、請求項31に記載の方法。
  33. ドナー基質がGDP−フコースである、請求項31に記載の方法。
  34. 前記フコシルトランスフェラーゼがアミノ酸タグを含む、請求項31に記載の方法。
  35. アクセプター基質が、N−アセチルグルコサミンおよびグルコースから選択されるメンバーを含む、請求項31に記載の方法。
  36. 前記アクセプター基質が、ラクト−N−ネオ−テトラオース(LNnT)である、請求項31に記載の方法。
  37. 前記フコシル化されたオリゴ糖が、ラクト−N−フコペンタオースIII(LNFP III)である、請求項36に記載の方法。
  38. 前記混合物が、ラクトース、β−1,3−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼおよびβ−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼをさらに含む、請求項31に記載の方法。
  39. 前記β−1,3−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼが細菌の酵素である、請求項38に記載の方法。
  40. 前記β−1,3−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼがNeisseria gonococcus由来である、請求項39に記載の方法。
  41. 前記β−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼが細菌の酵素である、請求項38に記載の方法。
  42. 前記β−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼがNeisseria gonococcus由来である、請求項41に記載の方法。
  43. 前記フコシル化されたオリゴ糖が、ラクト−N−フコペンタオースIII(LNFP III)である、請求項38に記載の方法。
  44. フコシル化された糖脂質を生成するための方法であって、該方法は:
    請求項24に記載の組換えフコシルトランスフェラーゼタンパク質を、フコース残基を含むドナー基質および糖脂質上のアクセプター基質を含む混合物と、該フコシルトランスフェラーゼがドナー基質から該糖脂質上の該アクセプター基質への該フコース残基の転移を触媒する条件下で接触させ、それによってフコシル化された糖脂質を生成する工程を包含する、
    方法。
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