JP2007515842A - 解像度を向上させるための光学的方法およびシステム - Google Patents

解像度を向上させるための光学的方法およびシステム Download PDF

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Abstract

物体の少なくとも一部に対して、検出器ピクセルアレイにより定められる幾何解像度を所定係数超える解像度で、物体を結像するための方法およびシステムが、提供される。所定の開口符号化が、向上した解像度で結像されるべき物体の少なくとも一部を示す光信号が検出器ピクセルアレイに向かって伝播するときに、光信号の波面に対し適用される。開口符号化は、検出器平面に生じるエイリアシングにしたがって、また、検出器のサンプル出力を示すスペクトルデータに直交性を与えるように、予め定められ、また、それにより、開口符号を用いて物体の少なくとも一部の像を当該係数だけ向上した解像度で再構成することを可能にする。

Description

本発明は、解像度を向上させるための光学的方法およびシステムに関する。
光学システムの解像度は、通常、回折効果により制限される。超解像達成のための技術では、光学素子の物理的な寸法より生じる回析により設定される解像度限界の拡張を行う。デジタル結像は、光検出器(例:CCD)の非ゼロピクセルサイズにより定められる限界、即ち、幾何解像度を超える。
通常の幾何超解像方式は、ミラーを用い、検出器に当たる像のサブピクセル変位に依存する。このような方式では、入力は、スキャン期間中、変化しないと仮定される。スキャン自体は、造語でいうマイクロスキャンである。その後、異なる複数の入力サンプルが演算により合成され、解像度の向上した像が、生成される。しかし、これらの方式は、出力の逆畳み込み演算を伴うため、幾つかの欠点がある。例えば、システムをより複雑または高価にさせたり誤作動させやすくしたりするような機械的要素の必要性や、出力の非自明な復元等がある。そのような例が、非特許文献1に開示されている。
明らかに、上述の方法は、光学システムの自由度を犠牲にする。上述のように、マイクロスキャンの行われる間、入力は変化しないと仮定される。したがって、システムの時間解像度は、空間解像度の向上という利益のために低下する。これらの超解像方法は、空間解像度等他の自由度を改善するために、1つ以上のシステム自由度を犠牲にする。このことが、非特許文献2に説明されている。
エイリアシング等の公知の効果は、通常、結像技術における1つの問題と考えられている。この効果は、以下に関連する。ナイキスト周波数(光検出器ピクセルアレイのナイキスト周波数)よりも僅かに高い空間周波数で像の細部を取り込もうとすると、当該細部の空間的、即ち、寸法的な歪みが生じる。即ち、個々の像の点が、ピクセルアレイに納まるように伸縮または変位し、そして、そのような微細な細部が認識可能範囲に及ぶ場合、目に見えるエイリアシングが生じる。実際には、解像度が、検出器の解像度の半分(ナイキストサンプリングレート)よりも大きい場合、エイリアシングが生じる。数学的には、2Δνimage>Δνの条件においてエイリアシングが生じる。ここで、1/Δνimageは、検出器平面で測定された解像度であり、1/Δνは検出器の解像度である。なお、Δν=1/Δxであり、Δxは検出器のピクセルピッチである。上に示したように、エイリアシング効果は、結像技術における1つの問題として考えられ、通常、種々の技術がこの効果を低減するために用いられる。
R.Riesenberg, Th.Seifert, A.Berka,U.Dillner,"Opto−micromechanical Super Resolution Detector System",Proc.SPIE3737,pp.367−383,1999 Z.Zalevsky, D.Mendelovic, A.W.Lohmann,"Understanding superresolution in Wigner space",J.Opt.Soc.Am.,Vol.17,No.12,pp.2422−2430,2000 J.Goodman,"Introduction to Fourier Optics",McGraw−Hill,Singapore,International 2nd Edition,pp.101−104,1996
当該技術においては、結像システム要素の置換を要しない、新しい結像方法および結像システムを提供し、(幾何解像度を超える)解像度向上を容易にすることが求められている。
本発明は、エイリアシング効果の抑制ではなく、エイリアシング効果を利用することで、上述の問題を解決する。より具体的には、本発明は、向上した解像度で結像すべき物体の少なくとも一部を示す光信号が検出器ピクセルアレイに向かって伝播するときに、当該光信号の波面に対して、検出器平面に生じるエイリアシングから得られる検出器ピクセルアレイのサンプル出力(sampled output)を開口符号を用いることで復号しそれにより向上した解像度で像を再構成することを可能にするような所定の開口符号化(aperture coding)を利用する。
ここで、「向上した解像度」とは、検出器のピクセルサイズにより定められる解像度(幾何解像度)よりも高い解像度を意味する。
本発明は、適切な開口符号化を利用して、物体の少なくとも一部の像の解像度を所要の係数kによって向上させる。開口符号化は、検出器平面に発生するエイリアシングにしたがって、また、検出器のサンプル出力を示すスペクトルデータに直交性を与えるように、所定の関数(符号)を用いた光信号の光学処理を含む。解像度向上度k(ズーム係数)の最大値は、検出器のピクセルピッチΔx、波長λ、および、結像システムのFナンバF、すなわち、
Figure 2007515842
により定められる。
開口符号化関数は、所要の解像度向上の係数k、検出器ピクセルアレイのパラメータ(検出器のピクセル数NおよびピクセルピッチΔx)、および、通常、結像レンズと検出器平面との間の距離Vにより決定される結像パラメータ、等の関数として決定される。コヒーレント光の場合には、この距離は、検出器と符号化を適用されるスペクトル平面との間の距離でもある。開口符号は、さらに、波長の関数であることが好ましい。
符号化は、光信号の波面に、実質的に、システムの結像レンズ装置の位置により規定される結像システムのスペクトル平面にあるときに、適用されるのが好ましい。これは、光学マスクを、スペクトル平面の近傍に設けることより、即ち、レンズ装置の上流または下流にてレンズ装置に対して光学マスクを近接配置することにより、または、このようなマスクをレンズ装置に一体化させることにより(例えば、光学マスクパターンを、レンズの表面または内部に設けることにより)、実施される。一般に、光学マスクの結像レンズからの距離に関し、マスク構成がこの距離を考慮に入れるものであるとすると、光学マスクは、結像レンズから任意の既知の距離に置いてもよいことに注意されたい。
開口符号化は、「直交符号化」、即ち、検出器からのサンプル出力を示すデータのスペクトルに直交性を与える符号化である。これは、直交光学マスク、または、フーリエ領域において検出器からのサンプル出力の正規化に直交性を与えるよう構成された光学マスクのいずれかを用いて実施できる。スペクトル平面で適用される開口符号化を考えると、その開口符号化は、物体から来る光信号の波面(即ち、物体のフーリエ変換)にマスク関数(パターン)を乗算することを含み、これにより、検出器からのサンプル出力を示すデータのスペクトルに直交性を与える。出器からのサンプル出力(または、その正規化)を、開口符号で処理することにより、物体の少なくとも一部の正しい(エイリアシングのない)像が、所定の係数倍向上した解像度で取得される。
光学マスクは、振幅符号化マスク、または位相のみの符号化マスクであってもよい。光学マスクは、離間配置され相異なる光学特性を持つ領域の、固定パターン(いわゆる「受動マスク」)または可変パターン(「能動マスク」)のいずれかの形態をとり、選択されるパターン(その周期)は、上記のパラメータの関数として決定される。したがって、光学マスクは、離間配置された光透過領域および光遮断領域のパターンの形態でもよく、位相格子(ダンマン格子等)の形態でもよく、離間配置され相異なる光学特性を有する領域の所望のパターンを選択的に規定するように動作可能な空間光変調器(SLM)の形態でもよい。SLMへの偏光入力を考えると、SLMは、出力偏光子を装備するか否かに応じて、それぞれ、振幅符号化または位相符号化を行うことができる。
本発明は、物体の所定の部分の解像度を向上させ、一方で、システムの幾何解像度で物体の他の部分を結像することができる。これは、検出器のサンプル出力に対する追加の処理により達成され、そして、如何なる可動機械部品の追加を、または、時間経過に伴う時間的変化を伴うことなく、単一の取り込み像(captured image)から達成可能である。
取得像全体が、一定の係数k倍向上した解像度を持つべき場合は、検出器の視野は、元の物体が、検出器の視野のほぼ1/kを占めることを理解されたい。この場合、物体の一部が向上した解像度で結像され、一方、物体の残りは幾何解像度で結像され、検出器視野内のピクセル数Nは、N=Mk+1(開口符号化マスクが設計された特定の波長において)である。ここで、Mは、この条件が、検出器のピクセル数にできるだけ近いNを与える整数である。
したがって、本発明の広い一態様によれば、物体の少なくとも一部に対して、検出器ピクセルアレイにより定められる幾何解像度を所定の係数超える解像度で、前記物体を結像するための方法であって、前記向上した解像度で結像されるべき前記物体の前記少なくとも一部を示す光信号が前記検出器ピクセルアレイに向かって伝播するときに、前記光信号の波面に対しモーションレス光学処理(motionless optical processing)を行なうステップを有し、当該処理が、当該波面に対し、解像度向上の当該係数の所定の関数を適用する方法が、提供される。
本発明の他の態様によれば、物体の少なくとも一部に対して、検出器ピクセルアレイにより定められる幾何解像度を所定係数超える解像度で、前記物体を結像するための方法であって、前記向上した解像度で結像されるべき前記物体の前記少なくとも一部を示す光信号が前記検出器ピクセルアレイに向かって伝播するときに、前記光信号の波面に対し静止光学処理を行なうステップを有し、当該光学処理が、解像度向上の当該係数と、前記検出器平面に生じるエイリアシング効果とを利用する方法が、提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、物体の少なくとも一部に対して、検出器ピクセルアレイにより定められる幾何解像度を所定係数超える解像度で、前記物体を結像するための方法であって、前記向上した解像度で結像されるべき前記物体の前記少なくとも一部を示す光信号が前記検出器ピクセルアレイに向かって伝播するときに、前記光信号の波面に対し光学処理を適用するステップを有し、当該光学処理が、前記検出器平面に生じるエイリアシングにしたがって、また、前記検出器のサンプル出力を示すスペクトルデータに直交性を与え、それにより、前記物体の当該少なくとも一部の前記像を当該係数倍向上した前記解像度で再構成するための、前記物体の単一の取り込み像に対応する前記サンプル出力のデジタル処理を可能にするように、予め定められている方法が、提供される。
本発明のさらに他の広い一態様によれば、物体の少なくとも一部に対して、検出器ピクセルアレイにより定められる幾何解像度を所定係数超える解像度で、前記物体を結像するための方法であって、前記向上した解像度で結像されるべき前記物体の前記少なくとも一部を示す光信号の波面に、前記検出器ピクセルアレイに向かって伝播する間に、所定の開口符号化を適用するステップを有する方法において、前記開口符号化が、前記検出器平面に生じるエイリアシングにしたがって、また、前記検出器からのサンプル出力を示すスペクトルデータに直交性を与えるように、また、それにより、前記開口符号化を用いて、前記物体の当該少なくとも一部の前記像を再構成することを可能にするように、予め定められている方法が、提供される。
本発明のさらに他の広い態様によれば、物体の少なくとも一部に対して、検出器ピクセルアレイにより定められる幾何解像度を所定係数超える解像度で、前記物体を結像するための方法であって、前記向上した解像度で結像されるべき前記物体の前記少なくとも一部を示す光信号が前記検出器ピクセルアレイに向かって伝播するときに、前記光信号の波面に対し所定の開口符号化を適用するステップを有し、前記開口符号化が、前記検出器平面に生じるエイリアシングから得られる前記検出器のサンプル出力を開口符号を用いることで復号しそれにより当該係数倍向上した解像度で前記物体の当該少なくとも一部の前記像を再構成することを可能にするように、前記検出器平面上に当該波面の空間拡散スペクトル(spatial spread spectrum)を生成する方法が、提供される。
本発明のさらに他の広い態様によれば、物体の少なくとも一部に対して、検出器ピクセルアレイのパラメータにより定められる幾何解像度を所定係数k超える解像度で、前記物体を結像するための方法であって、前記向上した解像度で結像されるべき前記物体の前記少なくとも一部を示す光信号が前記検出器ピクセルアレイに向かって伝播するときに、前記光信号の波面に対し所定の開口符号を適用するステップを有し、当該所定の開口符号が、実質的に結像システムのスペクトル平面において前記光信号の前記波面に適用されるとともに、解像度向上の当該係数k、前記検出器の視野内のピクセル数N、前記検出器のピクセルピッチΔx、ならびに結像レンズおよび前記検出器平面の間の距離Vの関数であり、それにより、符号化が、前記検出器平面に生じるエイリアシングから得られる前記検出器のサンプル出力を復号し当該係数倍向上した解像度で前記物体の当該少なくとも一部の前記像を再構成することを可能にする方法が、提供される。
本発明のさらに他の広い態様によれば、物体の少なくとも一部に対して、検出器ピクセルアレイのパラメータにより定められる幾何解像度を所定係数超える解像度で、前記物体を結像するための方法であって、前記向上した解像度で結像されるべき前記物体の前記少なくとも一部を示す光信号が前記検出器ピクセルアレイに向かって伝播するときに、前記光信号の波面に対し所定の開口符号化を適用するステップを有し、当該所定の開口符号化が、実質的に結像システムのスペクトル平面において前記光信号の前記波面に適用されるとともに、前記検出器のサンプル出力を示すデータに直交性を与える関数であり、また、前記検出器平面に生じるエイリアシングから得られる前記検出器の前記サンプル出力を復号しそれにより当該係数倍向上した前記解像度で前記物体の当該少なくとも一部の前記像を再構成することを可能にする方法が、提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、物体の少なくとも一部に対して、検出器ピクセルアレイのパラメータにより定められる幾何解像度を所定係数k超える解像度で、前記物体を結像するための方法であって、
前記向上した解像度で結像されるべき前記物体の前記少なくとも一部を示す光信号が前記検出器ピクセルアレイに向かって伝播するときに、前記光信号の波面に対し光学処理を適用するステップを有し、当該光学処理が、実質的に、結像レンズ装置の位置により定められる結像システムのスペクトル平面において前記光信号に適用され、
当該光学処理が、
当該波面に、解像度向上の当該係数k、前記検出器の視野内のピクセル数N、前記検出器のピクセルピッチΔx、ならびに前記結像レンズ装置および前記検出器平面の間の距離Vの所定の関数を乗算するステップと、
前記検出器のサンプル出力の逆フーリエ変換に所定の符号関数を乗算することにより前記サンプル出力を復号し、それにより、当該係数倍向上した解像度で前記物体の当該少なくとも一部の前記像を再構成するステップと、を有する方法が、提供される。
本発明は、さらに、波長不感応性(wavelength insensitive)の回折光学素子を生成する。これは、結像システム中を伝播する光の光路に、適切に設計された波長マスクを配置することで実施される。その波長マスクは、検出器の一部であってもよく、結像装置の一部(例えば、この回折素子を本発明の上述の態様の光学ズームシステムにおいて用いることを考えた場合には、開口符号化器の一部)であってもよい。波長マスクは、各々がスペクトル幅Δλを有し所定のスペクトル位置λ、λ、…、λをそれぞれ有するH個の波長遮断スロットのアレイにより形成されるパターンである。これらのパターンパラメータは、波長マスク関数のフーリエ変換の絶対値がゼロからできるだけ離れて有界であるという条件を満足するように、また、他方では、できるだけ多くの光エネルギーがそこを透過するように、選択される。
したがって、本発明のさらに他の広い態様によれば、物体の結像に用いられる方法であって、相異なる波長に対して相異なる透過領域のパターンを有する波長マスクに光信号を通し、当該パターンが、前記マスクの出力に最大エネルギーおよび最大コントラストを与えるステップと、前記マスク出力を、ピクセルアレイ検出器で検出するステップと、前記検出器のサンプル出力を示すデータを処理し、それにより、波長不感応性の回折光学素子を生成するステップと、を有する方法が、提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、結像の超解像を与える結像システムにおいて用いるための光学マスクであって、当該マスクが、相異なる光学特性を備えた領域のパターンを有し、当該パターンが、そこを通過する光信号に、解像度向上の所定の係数および結像用の検出器ピクセルアレイのパラメータの所定の関数を適用するよう構成されており、それにより、前記検出器のサンプル出力の処理に前記マスク関数を用いることで当該係数倍向上した解像度を有する像を得ることを可能にするマスクが提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、結像の超解像を与える結像システムにおいて用いるための開口符号化器であって、当該開口符号化器は、相異なる光学特性を備えた領域の所定のパターンを規定するように動作可能であり器、当該パターンが、そこを通過する光信号に、解像度向上の所定の係数および検出器のパラメータの符号化関数を適用するよう構成されており、それにより、前記検出器のサンプル出力の復号に当該関数を用いることで当該係数倍向上した解像度を有する像を再構成することを可能にする開口符号化器が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、検出器ピクセルアレイを備え物体を結像するためのシステムであって、当該システムが、前記物体の少なくとも一部に対して、前記検出器ピクセルアレイにより定められる幾何解像度を所定係数倍超える解像度を与えるよう構成されており、前記検出器平面に前記物体の実かつ非負の像を形成するよう構成された結像レンズアセンブリおよび開口符号化器を有し、前記開口符号化器が、前記結像レンズアセンブリに対して所定の場所に位置し、離間配置され相異なる光学特性を有する領域の所定のパターンを規定するよう構成されており、当該パターンが、解像度向上の前記係数および前記検出器平面に生じるエイリアシングにしたがって、また、前記検出器のサンプル出力を示すスペクトルデータに直交性を与え、それにより、前記サンプル出力の復号に前記開口符号を用いることで前記物体の当該少なくとも一部の前記像を当該係数倍向上した前記解像度で再構成することを可能にするよう構成されているシステムが提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
結像システムの幾何解像度を定め、また、前記検出器の視野内のピクセル数Nを定める検出器ピクセルアレイと、
検出器平面に、前記物体の実かつ非負の像を形成するよう構成されていて、レンズ装置と、実質的に、前記レンズ装置の位置により定められるスペクトル平面に位置する開口符号化器と、を有し、当該開口符号化器が、離間配置され相異なる光学特性を有する領域のパターンを規定するよう構成された光学マスクであり、当該パターンが、前記検出器のサンプル出力を示すスペクトルデータに直交性を与えるように、所定の係数k、前記検出器視野内の前記ピクセル数N、ピクセルピッチΔx、ならびに前記結像レンズ装置および前記検出器平面の間の距離Vの関数であり、前記開口符号化器が、前記検出器平面に生じるエイリアシングから得られる前記検出器の前記サンプル出力の復号化を可能にするように、そこを通過する光信号の波面を光学的に処理して前記検出器平面上に、当該波面の所定の空間拡散スペクトルを生成する結像装置と、
当該所定の開口符号を、前記検出器の前記サンプル出力を示すデータに適用するよう構成されており、それにより、当該係数倍向上した解像度で前記物体の少なくとも一部の前記像を再構成する、前記検出器に接続可能な処理ユニットと、を有する結像システムが提供される。
本発明は、さらに他の態様において、結像システムにおいて用いるための回折光学装置であって、当該回折光学装置が、ピクセルアレイ検出器に結像するべき物体から来る光の光路に収容された波長マスクを有し、前記波長マスクが、各々がスペクトル幅δλを有しスペクトル位置λ、λ、…、λをそれぞれ有するH個の波長遮断スロットのアレイにより形成されたパターンを有し、前記パターンのパラメータが、前記マスクの出力に最大エネルギーおよび最大コントラストを与えるように選択され、それにより、前記回折光学装置が波長不感応性となる回折光学装置を提供する。
本発明を理解し、また、それをどのように実際に実行することができるかを確かめるために、ここで、添付する図面を参照して、好適な実施の形態を、それに制限しない例として説明する。
図1を参照すると、入力光12と称される物体を結像するための、本発明による結像システム10が、概略的に例示されている。システム10は、結像アセンブリ14およびピクセルアレイ検出器(例えば、CCD)16を具備する。処理ユニット(プロセッサ)18は、その検出器に接続可能である。検出器(そのピクセルサイズ)は、システムの幾何解像度を決める。システム10は、物体の少なくとも一部の像に、幾何解像度よりも所定係数kだけ高い解像度を与えるよう構成されている。
結像アセンブリ14は、検出器平面に、物体の、実かつ非負の像(real and non-negative image)を生成するよう構成されている。結像アセンブリ14は、システムのスペクトル平面を規定するレンズ装置14Aと、開口符号化器14B(本例においては、実質的にスペクトル平面に位置する)と、を具備する。レンズ装置は、レンズ開口Dを規定する。本例においては、このレンズ装置は、単一の結像レンズ14Aにより形成されている。
開口符号化器14Bは、光学マスクである。本例においては、マスク14Bは、レンズ装置より上流側で、レンズに近接配置されているよう図示されているが、このマスクは、レンズ装置より上流側、下流側のいずれに位置してもよく(レンズの極めて近くに、または、ある既知の距離だけレンズから離間されて)、また、レンズ装置と一体でもよい。即ち、レンズ表面上に載置されていても、内部に組み込まれていてもよい、ということを理解されたい。
光学マスク14Bは、物体の少なくとも一部の像の解像度を所定の係数k倍向上させるよう動作する。開口符号化マスク14Bは、非負となるように、即ち、符号化関数のフーリエ変換が、実数かつ非負数となるように、選択される。マスク14Bは、像再構成を可能にするよう構成される。この目的のために、光学マスク14Bは、検出器平面で不可避的に生じるエイリアシング効果を考慮に入れるように、また、検出器のサンプル出力(sampled output)を示すスペクトルデータに直交性を与えるよう構成される。
光学マスク14Bは、離間配置され相異なる光学特性を有する領域のパターンを規定する。このパターンは、以下のパラメータ:解像度向上の所定の係数k;検出器パラメータ、即ち、検出器の視野内のピクセル数NおよびピクセルピッチΔx;および結像レンズ装置14Aと検出器平面との間の距離V、の関数である。さらには、波長λの関数であることが好ましい。
検出器の視野内のピクセル数Nに関して、それは、期待される解像度向上に等しい係数kにより制限されることを理解されたい。例えば、取得像全体(entire obtained image)が、係数k倍向上した解像度を持つことを考えると、Nの数は、元の入力(物体、または、その結像すべき部分)が、検出器の視野内のピクセルのほぼ1/k倍を占めるものである。以下により具体的に説明するように、物体の一部が、向上した解像度で結像され、その物体の残りが、検出器の幾何解像度で結像される場合には、検出器視野内のピクセル数Nは、条件N=Mk+1を満足しなければならない。ここで、Mは、この条件が、検出器のピクセル数にできるだけ近いNを与えるような整数である。この条件は、マスクが、設計される特定の波長に対して表わされている。種々の波長での作動に対するマスク設計を、式(44A)および(44B)を参照して、以下に説明する。
符号化関数は、一般に、
Figure 2007515842
で表わされる。ここで、座標νおよびインデックスは、フーリエ平面(開口平面)における信号を指す。符号化関数は、この関数を光信号の波面に適用する(この光信号をマスク14Bに通しながら)と、検出器平面上に生じるエイリアシング効果にしたがって、検出器平面上に入力光の(CDMAにおける拡散スペクトルアプローチに類似の)空間拡散分布(spatially spread distribution)が生成され、また、検出器出力を示すスペクトルデータに直交性が与えられる関数である。空間拡散スペクトル分布(spatial spread spectrum distribution)は、以下により具体的に説明するように、例えば、入力光信号の所望の数の複製を作成して実施してもよい。これは、検出器平面に生じるエイリアシングから得られる検出器のサンプル出力のデジタル処理に開口符号を用いて、それにより、物体の少なくとも一部の像を、係数kだけ向上した解像度で再構成することを可能にする。検出器の出力を示すデータの直交性は、検出器のサンプル出力において直接得ることができる(標準の直交振幅符号化マスクの場合)、または、サンプル出力を正規化することにより得ることができる(位相のみのマスクの場合)。
図1の本例においては、開口符号化器は、単一の光学マスク14Bを具備する。しかし、いくつかのマスクを用いて、同じことを実施することができることに注意されたい。図9を参照して、以下に説明するように、多色照射での動作のために、開口符号化器は、さらに、スペクトルマスクを具備することが好ましい。
光学マスク14Bは、振幅符号化マスクであってもよい。これは、離間配置された光透過領域および光遮断領域の所定の固定パターンであってもよく、偏光入出力のために構成されたSLMであってもよい。あるいは、その光学マスクは、位相符号化マスクであってもよい。これは、位相格子(例えば、ダンマン格子)、または、出力偏光子を持たないSLMであってもよい。
本発明の開口符号化の使用は、マイクロスキャンのために用いられるような、または、光学ズームの実行に用いられるような、機械要素の追加の必要性を排除する。本発明の結像システムにおいては、検出器、付加的な要素のいずれも、動かさない。本発明の結像システムは、以下に、より具体的に説明するように、コヒーレント照射またはインコヒーレント照射のどちらでの動作にも適す。
以下は、本発明の基礎をなす原理の理論的な説明である。
レンズが焦点距離Fおよび開口Dを有し、検出器平面から距離R(R≫F)に位置する従来の結像システム(結像レンズと検出器とにより構成される)を考えると、像の面において見られる解像度は、回析により制限されて、1.22λFに等しい。ここで、λは、波長であり、Fは、結像システムのFナンバであって、次のように決定される。
Figure 2007515842
この解像度限界を物体の面に転換すると、可視最小細部は、以下のサイズとなる。
Figure 2007515842
検出器は、Δdのサイズを有し、ゼロ個でないピクセルを有する。このピクセルサイズが、「幾何解像度」限界を決める。物体平面で表わされるこの限界は、次式をもたらす。
Figure 2007515842
ほとんどの場合、
Figure 2007515842
であり、光学システムでは、幾何解像度が障壁になっている。例えば、以下のパラメータ:F=2、F=300mm、λ=0.5μm、R=10kmを有す通常の結像システム(開口符号化なし)では、可視最小細部は、(δx)diff=0.04mのサイズである。Δd=10μmでは、物体の面における幾何解像度は、(δx)=0.33mである。したがって、システム全体の解像度を制限するのは、幾何解像度である。
「像」が、検出器平面に達すると、検出器は、その像を所定のピッチを有する有限のピクセルでサンプリングする。像のサンプリングは、周波数領域に、元の像スペクトルの複製を生成する。それらの複製は、スペクトル中に、検出器(例えば、CCD)の解像度Δxの逆数に比例する一定のオフセットΔν:Δν=1/Δxで離間される。ここで、Δxは、ピクセルのピッチ、即ち、その空間解像度である。複製間の距離が十分でないと、それらの複製は、重なり合う。その結果、その像は、劣化する。
図2Aおよび図2Bは、それぞれ、(CCDによりサンプリングされる前の)元の入力スペクトル、および、解像度がCCDの解像度の半分(ナイキストサンプリングレート)以上である場合に生じるエイリアシングの結果である劣化サンプルスペクトル(sampled corrupted spectrum)(CCDからのサンプル出力)を示す。数学的には、上に示したように、エイリアシングは、2Δνimage>Δνである場合に生じる。ここで、Δνimageは、CCD平面で測定された解像度である。幾何解像度限界が優位と仮定するので、回折効果は無視される。
したがって、CCDにより物理的な(実際の)像をサンプリングすることは、格子によって入力にピクセル間隔(pixel spacing)の周波数を乗算して、次にその結果を単一のCCDピクセルのサイズの幅の矩形関数(矩形窓)で畳み込み演算することと等価である。後者は、非ゼロのピクセルサイズの効果をシミュレートする。周波数平面では、これは、元の入力スペクトルを(ピクセル間隔による)パルス列で畳み込み、次に、その結果に、2/Δdの幅を持つシンク関数
Figure 2007515842
を乗算することと等価である。
上述のことが、図3A〜図3Dに例示されている。図3Aは、元の入力信号(入力光強度の空間分布)を示す。図3Bは、CCDのピクセルの物理的特性を例示す。図3Cは、サンプリングされた入力を示す。図3Dは、それぞれΔd幅で、Δx間隔のパルス列により表わされる、いわゆる「理想的な」CCDにおける、CCD出力(サンプリングされた入力の)のフーリエ変換を示す。
ピクセル間隔は、フーリエ変換にδ関数列を生成し、ピクセル幅は、シンク関数を生成する。それらの関数を乗算することにより、CCD出力の完全なフーリエ変換が発生する。したがって、シンク関数に関するδ関数の位置は、ピクセルフィールドファクタのデューティサイクルに対応する。
本発明の技術は、マイクロスキャンを行なって、エイリアシング効果を抑制するのではなく、エイリアシング効果を利用して、高解像化された像を再生する。これは、元の入力信号のスペクトルを、データ劣化を克服するように符号化することにより達成される。この符号化は、サンプリングに先立って実行されて、解像度向上を可能にする。
よって、CCDによる像のサンプリングから得られるエイリアシングは、像を歪ませる。これは、物理的な像のスペクトル帯幅が比較的広いという事実による。重なりあう領域のスペクトルにおいて異なる部分を区別することができないから、データ劣化が生じる。エイリアシングにより重なり合うスペクトル領域におけるデータ損失を回避するために、重なり合う可能性のあるスペクトル領域が、光学マスク(図1の14B)の相異なるパターン特性(スペクトルマスク領域)で符号化される。これらのマスク領域は、サンプル出力を示すデータに直交性を与える。上に示したように、これは、直交光学マスクを用いることにより、または、位相マスクとCCD出力の正規化とを用いて達成できる(以下に、より具体的に説明する)。サンプリングによる複製がフーリエ平面で生成されるため、符号化はフーリエ平面で実行される。スペクトルの異なる部分の正しい符号化は、データ劣化防止および取得像向上をもたらす。
図1に戻ると、レンズ開口14Aは、解像度減少の原因とはならないから、開口符号化マスク14Bをレンズ14Aに取り付けて、CCDにおけるサンプリングによって後にエイリアシングされる種々のスペクトル領域の所要の直交符号化を行うことができることに注意されたい。「直交符号化」は、CCDのサンプル出力を示すスペクトルデータに直交性を与えるような符号化、即ち、直交光学マスクによる符号化、または、サンプル出力の正規化に直交性を与えるようなマスクによる符号化のいずれかを意味するということを理解されたい。
ここで、システム10の主要動作ステップを、図4を参照して説明する。光信号の波面(物体のフーリエ変換)は、開口符号化器14B(光学マスク)を通る間に、開口符号化器14Bにより光学的に処理される。スペクトル平面で開口符号化を考えると、この処理は、この波面に、マスク関数(所定の符号)を乗算することを含む。上に示したように、これは、解像度向上係数k、視野内のピクセル数N、ピクセルピッチΔx、レンズ14Aと検出器平面16との間の距離V、および、好ましくは、さらに波長λ、の関数である。このように生成された符号化光信号は、この信号をサンプリングする検出器に受け取られる。検出器のサンプル出力は、処理ユニット18において電子的に処理される。この処理は、サンプル出力の逆フーリエ変換に、開口符号化関数を乗算することを含む。その結果、解像度が向上した、劣化のない像が取得される。
以下は、単純な状虚における本発明の概念の理論的解析である。ここでは、解像度が3倍向上する。本例においては一次の計算のみ実行する。本例においては、ピクセルが無制限に小さく、ピッチΔxで配列されているという、理想CCDを考える。有限のサイズのピクセルの場合は、さらに、以下に説明される。
ここで、フーリエ平面(開口平面)における信号の座標をνで表示し、そして、インデックスで識別する。また、CCD平面における信号の座標を、xで表示する。
CCDは、理想的である、即ち、離散した点に像フィールドをサンプリングすることができる、と仮定する。したがって、CCDは、次式のように、無限のインパルス列としてモデル化される。
Figure 2007515842
ここで、nは整数である。
図5のグラフに示すように、開口符号化マスクは、以下の3つのサブ関数に分割される。
Figure 2007515842
ここで、gは、マスクサブ関数の直交性を保証する次の特性を持つ。
Figure 2007515842
または、解像度向上の係数kの一般的な場合には、次のようになる。
Figure 2007515842
開口符号化マスクは、非負となるように、即ち、マスク関数のフーリエ変換が、実数かつ非負数となるように選択される。マスクは、サイズΔηのピクセルから成る。各ピクセルは、ΔWのサイズを持つチップに分割される。開口符号化マスク関数には、フーリエ平面において、フィールド量を表わす入力光スペクトルIが乗算される。したがって、フーリエ平面における出力は、次のようになる。
Figure 2007515842
CCDが、この出力をサンプリングし、CCDのサンプル出力S(x)は、次式で与えられる。
Figure 2007515842
式(8)を、フーリエ平面で表わして、式(4)、(5)、(7)を用いると、次式が与えられる。
Figure 2007515842
ここで、符号*は、畳み込み演算を表わす。
Δν=1/Δxであるから、最後の式は、次のように単純化することができる。
Figure 2007515842
ここで、n、mは整数である。
解像度の向上した像の復元は、CCDから取り込まれた出力をフーリエ変換して、その結果に、元の開口符号化(マスク関数)を乗算することにより、以下のように達成される。
Figure 2007515842
与えられた開口符号化マスクに対する各ピクセルの非ゼロのチップ内部の出力フィールド量のみを選択することで、所望の出力であるダウンサンプル出力(downsampled output)
Figure 2007515842
が生成される。
したがって、入力スペクトルを(開口符号化によって)正しく変調することで、エイリアシングによるデータ劣化が回避される。
物理的な結像システムを考えると、光学システムの入力は、実数かつ非負数であることが前提となる。この入力は、開口符号化マスクのフーリエ変換で畳み込まれる。開口符号化マスクのフーリエ変換は、元々フーリエ平面において対称であるから、やはり実数である。開口符号化マスクは、像の平面において負の値を持たないよう選択される。このことについて、様々なタイプの照射を以下に詳細に説明する。
上記の理論的解析は、「理想」CCDに関する。現実のCCDにおいては、ピクセルは、有限の寸法を持つ。上で説明したように、出力スペクトルは、スペクトルにシンク関数を乗算することで生じるから、このことは、出力スペクトルに影響する。これは、スペクトルの直交性に何らの効果も持たない。これは、サンプリングされたスペクトルを再較正する必要性を導入するのみであって、如何なる困難も導入しない。
CCDは、理想サンプリングを行うと仮定されるが、物理的には、それは、サンプリングされた信号の絶対値を測定するのみである。開口符号化マスクを正しく選べば、以下により具体的に説明するように、この限界を克服することができる。
以下は、雑音低減に関する本発明の技術の説明である。元の像が、ある雑音を有する場合、その再構成物は、同じ雑音を有する。本発明の技術は、CCDによるサンプリングのときのように、像が符号化された後に蓄積される雑音の低減に関して利点を有する。CCDが傷ついていたり汚れていたりする場合、入力関数が乗算された非常に少量の干渉が発生する。CCDにより測定される信号S’(x)は、
Figure 2007515842
に等しい。ここで、P(x)は、干渉関数(雑音関数)である。
(フーリエ領域における)復元された出力
Figure 2007515842
は、次のように決定される。
Figure 2007515842
式(11)を考慮にいれると、復元出力は、次式のように書き換えることができる。
Figure 2007515842
空間領域では、これは次式に等しい。
Figure 2007515842
開口符号化関数は、物体平面における擬似白色雑音であると仮定し、また、雑音関数P(x)は非常に狭いため、次の仮定が可能である。
Figure 2007515842
ここで、const≫εである。
式(14)を用いると、復元された像は、次式で与えられる。
Figure 2007515842
雑音係数が、一定で、相対的に無視できるから、復元された像は、次式で表わすことができる。
Figure 2007515842
この復元は、干渉のない信号の復元と同じである。したがって、開口符号化は、非常に空間が制限された干渉を克服するのに有利であることが明らかである。
以下は、様々なタイプの照射における本発明の技術の理論的解析である。
コヒーレント照射
コヒーレント照射を用いる場合、コヒーレント伝達関数
Figure 2007515842
は、システム内の回析および付加的要素による解像度限界を表わす。この
Figure 2007515842
は、結像レンズに取り付けられた、結像レンズに近接配置された、または、結像レンズに一体化された開口符号化マスク
Figure 2007515842
を乗算された、結像レンズの開口Dに等しい。
CCD平面における出力像Oは、次のように決めることができる。
Figure 2007515842
ここで、gは、(他の如何なる収差のない)理想システムにおけるCCD平面で取得する物体を示す。
CCDは、像の振幅のみサンプリングする。したがって、サンプリングされた像Iは、次のようになる。
Figure 2007515842
情報の損失を防ぐためには、システム出力Oは実数かつ非負数である必要がある。これは、サンプル像I(実際には、Oの絶対値の二乗である)から、直接出力を復元することができる。全解像度で、物体gの直接復元を確実にするためには、開口符号化マスクと像との両方が、実かつ非負である必要がある。負の値を持たない実像を仮定すれば、開口符号化マスクのみを、扱えばよい。開口符号化マスクは、実数かつ非負数のフーリエ変換を有する必要がある。さらに、直交開口符号化マスクを考慮にいれると、それは、上述の式(6B)を満足する必要がある。適切な開口符号化マスクの一例を、以下に示す。
開口符号化マスクは、空間領域においてデルタ関数の無限列を有するマスクとして選択される。各2つの局所的に隣接したインパルスは、互いに距離Δηだけ離間されている。この信号は、正のスペクトルを持つ。このスペクトルは、符号化マスクチップ幅ΔWを有するガウス分布で畳み込みされる。このチップ幅は、検出器の全体寸法に対応する(CCDの視野に対応する)。マスクは、有限の寸法を持つという事実により、この畳み込みの結果に、マスクのサイズを有限のサイズΔBWに設定する矩形関数が乗算される。したがって、このパラメータΔBWは、結像レンズの開口の寸法(図1のD)に対応する。このようなマスクのスペクトルは、次のように計算することができる。
Figure 2007515842
ΔBW≫ΔWと仮定すると、所望の実かつ非負のスペクトルが取得される。次式が実現すれば、このマスクが、さらに、開口符号化に対する条件も満たすことを、容易に示すことができる。
Figure 2007515842
これが、図6Aおよび図6Bに、グラフで例示されている。図6Aは、開口符号化マスク関数の一例を示し、図6Bは、その結果である符号化された信号へのCCDによるサンプリングの効果を示す。マスク関数は、サンプル出力を表わすデータに直交性を与えるため、データ復元が可能である。図示のように、CCDからのサンプル出力に、重なり合いは生じない。
インコヒーレント照射
インコヒーレント照射を考えると、CCDによりサンプリングされた強度分布は、次のように決定される。
Figure 2007515842
ここで、
Figure 2007515842
は、インコヒーレント光伝達関数であり、
Figure 2007515842
は、相関演算を表わす。これらの関係式の、より詳細な導出は、非特許文献3に説明されている。
インコヒーレント照射による動作は、システムの出力に影響を与える。これは、自己相関の結果が、直交性を保存するような開口符号化マスクを必要とする。
インコヒーレント光伝達関数は、コヒーレント伝達関数の自己相関として、次のように表される。
Figure 2007515842
CCD平面では、これは、次のように表される。
Figure 2007515842
ここで、
Figure 2007515842
は、空間領域におけるOTF(x)のフーリエ変換であり、また、
Figure 2007515842
は、空間領域におけるCTF(x)のフーリエ変換である。その定義により、
Figure 2007515842
は、次の数学的条件を満たす。
Figure 2007515842
さらに、本発明の目的のために、関数
Figure 2007515842
は、上述の式(6B)の条件を満たす必要があり(直交性を保証するために)、また、実かつ非負のスペクトルを有する必要がある。上述の理論的解析に照らして、全ての要求を満たす
Figure 2007515842
を構築することができるため、最終的なマスク
Figure 2007515842
を、容易に導出することができる。結像システムに設けられるマスクは、
Figure 2007515842
である。それは、実かつ非負であるから、式(24)から、以下のように、直接導出される。
Figure 2007515842
像のスペクトルが、高解像度開口符号化マスクを乗算されるから、その像は、像平面において空間的に拡散することに注意されたい。この拡散した像が他の像と重なり合わないよう、システムの視野を制限しなければならない(そうしなければ、元の入力が歪む)。したがって、視野を、期待される解像度改善に等しい係数だけ制限しなければならない。例えば、解像度を3倍向上させる場合には、元の像は、CCDの3分の1以上をカバーしてはならない。考えられるエネルギー損失は、開口符号化マスクが結像レンズ上に置かれているという事実により生じるかもしれないということのみである。以下に説明する、より一般的な場合には、物体は、視野の3分の1に制限されずに、ダイナミックレンジが、情報容量を維持するために減少される(即ち、エネルギー損失がもたらされる)。上述の解析は、一次元の場合に対して実行された。この技術の二次元像への拡張は、直接的である。開口符号化マスクは、両軸において直交性を有さなければならない。上述の光学的構成のレンズ上に置かれた(または、その内部に組み込まれた)マスクは、第1の軸においてk1の解像度向上、それに直交する第2の軸においてk2の解像度向上(各軸に関するマスク属性に応じて)を可能にする。これは、kl・k2の総視野損失をもたらす。二次元のフーリエ変換は、各軸に対して別々に行なうことができるから、像復元も、一次元の場合と同様になる。
以下のCCDピクセルサイズおよびピクセル間隔(ピッチ)の実際の寸法を持つ場合に対応するシミュレーション結果を例示する図7A〜図7Dについて説明する。
Figure 2007515842
簡単のため、シミュレーションは、一次元である。さらに、シミュレーションは、コヒーレントシステムを扱う。図7Aに示されているように、余弦格子の入力像が選ばれている。全ての図は、一次元であるが、結果のスケールは、それらの結果の正しい理解を促すために変更されていることに注意されたい。この余弦格子は、CCDサンプリングが明らかなエイリアシングをもたらす周波数を持っている。開口符号化マスク(上述のように構築された)を、図7Bに示す。マスクは、レンズ開口(図1のD)のサイズの3分の1である。
シミュレーションにおいて、元の入力が、フーリエ変換され、開口符号化マスクを乗算され、そして、逆フーリエ変換されている。これは、結像レンズに取り付けられた開口符号化マスクをシミュレートしたものである。このように生成された符号化信号量は、CCDの属性にしたがってサンプリングされている。信号復元は、以下のように行なわれている。サンプリングされたデータ(CCD出力)が、逆フーリエ変換され、開口符号化マスクを乗算され、そして、フーリエ変換されて、所望の出力が、生成されている。
シミュレーションの結果を図7Cに示す。図7Cには以下のことが示されている。(1)実際には、元の入力像、即ち、システムにより結像される物体(図7Aの余弦格子)である、システムの理想出力。(2)解像度の完全な損失が観察され、そして、明らかなエイリアシングが、元の物体の周波数よりもはるかに低い像周波数として現れている、本発明の超解像法を適用していない、CCDサンプル出力。(3)像が正確に再構成されたことを示す、開口符号化超解像を用いた再構成後の入力。
図7Dは、システムのフーリエ平面を示す。図7Dには、以下のことが示されている。
(1)元の入力スペクトル(余弦格子入力)のスペクトル。(2)サンプル出力のスペクトル(開口符号化マスクを用いながら、CCDによりサンプルした後の入力スペクトル)。(3)開口符号化超解像を用いて復元された信号(サンプリングおよび開口符号化超解像の後の入力スペクトル)。元の入力スペクトル(1)において、矩形は、CCDによるサンプリングのために許容される帯域幅を例示する。サンプル出力のスペクトル(2)に、多くのアーチファクトが、開口符号化マスクを乗算することにより加えられている。復元信号に関しては、スペクトルに開口符号化マスクを乗算すると、全てのエイリアシングされた周波数が除去され、元の入力が取得される、即ち、完全な再構成が取得されることに注意されたい。
図8A〜図8Cは、単一の結像レンズと、その焦点平面に配置された開口(システム帯域幅を制限するために用いた)と、CCD検出器と、を含む単純な結像システムの形態の実験的構成で得られた実験結果を例示する。開口符号化マスクは、レンズに取り付けて用いられている。上述の表に示す属性を有するCCDを用いて、出力をサンプリングしている。シミュレーションにおいて表わされたのと同じ余弦入力格子および開口符号化マスクが、本実験のために用いられている。
図8Aおよび図8Bは、それぞれ、開口符号化マスクにより処理された余弦入力のサンプル出力(サンプル出力を処理する前の)、および、開口符号化マスクなしでCCDによりサンプリングされた余弦入力を示す。開口符号化マスクの使用による像の拡大は、マスクなしの場合の出力幅に比較すると明らかである。
図8Cでは以下のことが示されている。(1)所望の(理想)余弦出力。より低い周波数の出現により、明らかなエイリアシングを実証する、開口符号化のない場合の余弦入力のサンプル出力(これは、図7Dの(3)と同じであるが、規模が異なる)。(3)開口符号化超解像を用いて復元された出力。この開口符号化技術は、再構成のための満足な結果を生成している。復元された像(3)に現われている、より低い周波数の若干の劣化は、サンプリングされた像と開口符号化マスクとの間のわずかのアライメントエラーの結果であり得ることに注意されたい。
したがって、本発明の技術は、検出器のピクセルサイズにより設定される幾何限界を克服する超解像アプローチを提供する。このアプローチによれば、開口符号化が、幾何解像度限界を超えるために用いられる。この解決法は、如何なる付随的な機械要素も含んでおらず、非常に簡単な光学的実装を持ち、そして、コヒーレント光、インコヒーレント光のいずれにおける動作も提供する。本発明の技術は、デジタルカメラ、スキャナ、および、その他の結像に関連するプラットフォームの解像度を向上させるために用いることができる。本技術は、如何なる可動要素も用いない光学ズームを備えている。開口符号化マスクは、係数kによって視野を犠牲にしつつ同係数kによって解像度を向上するのに用いることができる。
以下は、入力物体の視野が中央に位置する3分の1に制限されない、光学的連続ズーム動作の全てを示す、本発明の一例である。本例において、開口直交符号化は、CCD平面上に入力物体の複製を発生させるようなものであり、3倍の解像度向上(x3ズーム)を与えるよう構成されている。如何なる他の解像度向上係数に対しても、同様の導出を適用することができるということを理解されたい。
開口径およびFナンバFは、Fに合致する高解像度結像が、CCDにより取り込まれる像の視野の中央に位置する3分の1においてのみ得られると仮定する。一方、他の3分の2では、光学的解像度低下が3倍である、即ち、光学素子による解像度遷移(OTF)は、検出器の幾何形状に等しい。したがって、光学的解像度は、視野の中央に位置する3分の1においてのみ、幾何解像度より3倍高い。像の中央領域におけるより高い解像度の一般的な効果は、ほとんどの結像システムにおいて容易に達成される。結像レンズは球面上に結像を行う一方、CCDは平面である。したがって、高解像度の結像は、中央部のみで得られる一方、端部では、像が非合焦となり解像度が下がる。CCD平面上の開口(レンズ)の点広がり関数(point spread function)は、シフトバリアントになる。
視野の3つの領域を、S−1(x)、S(x)、S(x)で表示する。超解像状態(即ち、直交符号化の達成)を実現するには、3つの複製間の距離がピクセルピッチを乗算された非整数である必要がある、即ち、サブピクセルシフトが必要である。したがって、3つの複製において生成される像は、基本的に同一ではない(それらの減算は、ゼロにならない)。
レンズの開口サイズを、Dで表示し、CCD平面のピクセルピッチを、Δxで表示する。
上に示したように、領域g(x)だけが、検出器の幾何解像度の3倍の解像度を有し、したがって、次式が成り立つ。
Figure 2007515842
ここで、λは、波長であり、Fは、結像レンズの焦点距離であり、
Figure 2007515842
は、視野のm番目(m=−l、0、1)の領域のn番目(n=−l、0、1)のスペクトルスロット分布であり、μは、フーリエ領域における座標、即ち、
Figure 2007515842
であり、大文字による関数の識別は、その関数のフーリエ変換を意味する。
視野の中央領域において検出器の幾何形状の3倍の解像度を得るためには、以下の条件を、満たさなければならない。
Figure 2007515842
開口符号化マスクを通るとき、各スペクトルスロットは、その符号化マスクの適切なスロットにより、次のように符号化される。
Figure 2007515842
ここで、
Figure 2007515842
は、(フーリエ領域における)符号化マスクサブ関数であり、Mは、符号化マスク関数の逆フーリエである。
マスクも、スペクトルの複製が所望の直交性を生じるように3つのスロットを含んでいる。
CCD平面での、複製処理およびサンプリングの後に取得する信号の形は、以下のようになる。
Figure 2007515842
このとき、CCD平面における視野のm番目の領域で取得する像をfで表わすと、以下の式が得られる。
Figure 2007515842
ここで、
Figure 2007515842
は、ピクセルアレイのサンプリングを示し、
Figure 2007515842
は、畳み込み処理を意味する。
式(30)の各式にフーリエ変換を実行して、それを、幾何帯域幅(即ち、D/3)に対応するスペクトル領域内で観察することにより、以下の式が与えられる。
Figure 2007515842
マスク
Figure 2007515842
の3つのスロットの直交性により、次式が得られる。
Figure 2007515842
解像度が直交符号化により3倍増加されているから、1という乗算結果は、3倍のダウンサンプリングの後に取得されるものと考えられることに注意されたい。本明細書では具体的に示さないが、ダウンサンプリング動作も、符号化された情報を元に戻すために必要であるということにも注意されたい。
したがって、視野の中央領域の−1および1のスペクトルスロットに対して、以下の解が得られる。
Figure 2007515842
また、視野の全3領域の0スペクトルスロットに対して、以下が設定される。
Figure 2007515842
これらの式の解は、以下を与える。
Figure 2007515842
したがって、全ての必要な情報、即ち、中央領域におけるx3ズームを実現するために必要な情報の全てが抽出され、そして、視野の残りの領域のズームしない情報も、利用可能である。したがって、ズームをデジタル処理によって変えることにより、視野の中央の1/3においてのみ、最大ズーム係数3を得ることができるようにしながら、連続的なズームを得ることができる。
本発明は、全ての光学ズーム技術の波長感応性に対する解決を与える。本技術は、全ての回折光学素子(DOE)の波長感応性の解決に有効である。
上述の例を考えると、符号化マスクがCCD平面上に複製を発生させるから、それは照射波長に対し感応性を有する。異なる波長は、複製間に、異なる間隔(spacing)を発生させる。結像レンズの開口に取り付けられた、周期μの格子を考えると、複製間の距離は、λF/μとなる。これは波長λに対し線形性を有するから、また、波長のスペクトル帯域幅がΔλであると仮定すると、視野の左側および右側の3分の1における取得像は、照射スペクトルL(λ)で畳み込みされる。つまり、空間スペクトルは、次のように、照射スペクトルL(λ)のフーリエ変換によって乗算されるということである。
Figure 2007515842
ここで、
Figure 2007515842
は、多色照射により取得される、視野の左側および右側の3分の1の空間スペクトル分布である。単色照射の場合には、それらはそれぞれ、
Figure 2007515842
に等しい。
このスペクトル幅はΔλである。よって、像は不鮮明になり、空間解像度は、(Δλ)F/μに低下する。(Δλ)F/μ>Δxである全ての場合において、全ての光学ズームは損なわれる。λF/μ=100Δx=lmm、λ=532nm、Δλ=200nmと考えると、(Δλ)F/μ=37.5Δx>Δxが、得られる。
この問題を解決するために、(フーリエ領域における)照射スペクトル
Figure 2007515842
がゼロを示さないように、そして、逆フィルタリングの定理の使用が可能となるように、即ち、
Figure 2007515842

Figure 2007515842
で除算して
Figure 2007515842
を得るために、波長のスペクトルの一部を遮断するスペクトルフィルタを用いる。
このことは、図9において、全体として参照番号100で表された結像システムにおいて示されている。この結像システムは、全般的には図1のシステムと同様に構成されているが、スペクトルマスク22(カラーフィルタリングマスク)が用いられているという点で相違する。マスク22は、物体から検出器まで伝播する光の光路の如何なる場所に配置してもよい。例えば、それは、開口符号化マスク14Bの一部、または、検出器16の一部であってもよい。本例においては、マスク22は、開口符号化マスク14Bの上流側に配置されている。マスク22は、基本的には、波長の一部を遮断し残りを透過させるスペクトルフィルタである。マスク22は、そのシステム動作(検出器のサンプル出力のデジタル処理を含む)が、波長不感応性の回折光学素子を生成するよう構成された波長遮断スロットを有している。
最適スペクトルマスクを設計するためのアルゴリズムは、概して、マスク出力に最大エネルギーおよび最大コントラストを与えることを目的としている。ここで、最大コントラストとは、遮断マスク関数のフーリエ変換が、ゼロからできるだけ離れ有界である(bounded away from zero as much as possible)ことを意味する。したがって、マスク22の設計に用いるのに適切なアルゴリズムの主要なステップは、以下のとおりである。マスク22は、各々がスペクトル幅δλを有しスペクトル位置λ、λ、…、λをそれぞれ有するH個のスペクトル遮断スロットで形成される必要がある。所定のHの値が選択され、そして、遮断マスクのフーリエ変換の絶対値(|W(ν)|により表わされる)がゼロからできるだけ離れ有界となるような位置の値λ、λ、…、λおよび遮断幅δλが探索される。その探索は、ランダムであってもよい。即ち、対象のスペクトル領域における|W(ν)|の極小値を、種々のパラメータδλおよびλのあらゆる可能性に対して計算してもよいし、または、より系統的な探索アルゴリズムを適用してもよい。発明者らは、全ての可能性を適度にカバーするランダム探索を利用するシミュレーションを実行して、最適なパラメータのセットを選んでいる。エネルギーの考察から、δλおよびHは、マスクにより遮断されるエネルギーに比例するから、幅δλおよび遮断区間数Hは各々、できるだけ小さいことが望ましいが、一方、|W(ν)|はゼロからできるだけ離れ有界であるという条件とのトレードオフを考慮する必要がある。
簡単のため、遮断マスクの長さは8つのセグメントを持つと仮定する。各セグメントは、エネルギーを遮断することができるか、または、透過させることができる。そのフーリエ変換の極小値がゼロからできるだけ離れ有界となるように、全ての可能なマスクの組合せ(2=256個の可能性)の探索がなされる。エネルギー考察を採り入れることにより、フィルタにより遮断される最大エネルギーは、35%を超えてはならない(明らかに、これは、可能な場合の数を制限する)。これは、遮断マスクが、少なくとも5つの透過セグメントを持たなければならないということ(そして、残りは、遮断セグメントであってもよい)を意味する。「透過」は、マスクが、それらのセグメントにおいて1に等しいことを表し、また、「遮断」は、それが、0に等しいことを意味する。透過領域の位置は、最適マスキングを探索するアルゴリズムの一部である。
照射の波長分布L(λ)を予測することができるであろうから、遮断マスクの適切な最適化および適切な後処理を実現することができるであろう。最適なスペクトル波長遮断セグメントを選択すると、ぼやけ修正(de-blurring)動作は、以下のようになる。
歪んで不鮮明になった像が、波長遮断読み出し処理の適用後に取り込まれる。この像が、フーリエ変換され、そして、波長遮断マスクのフーリエ変換[W(ν)]で除算される。これは、逆フィルタリング処理である。雑音が存在する場合には、ウィーナフィルタを構築してもよい。歪んでいない空間像を得る逆フーリエ変換が、計算される。
実験結果を例示している図10A〜図10Eを参照する。図10Aは、元の入力像を示す。図10Bでは、像は、多色照射の使用により、ぼやけている。不鮮明幅(Δλ)F/μは、16Δxである。図10Cは、1%(雑音のために不可能であったかもしれない)の閾値での逆フィルタリング(マスキングなしの逆畳み込み演算)の結果を示す。図10Dは、比較のために、10%の閾値での同じものを例示する。図10Eは、適切な遮断マスク(図9の参照番号22)を用い、また、20%(この場合は、雑音があっても問題はない)までの閾値を可能にしながら、逆畳み込み演算を適用した場合に得られた結果を示す。本明細書において用いられる用語「閾値」は、逆フィルタリング計算の実行を可能にするために、分母に加えられる相対値(最大値に比しての)を表わすことに注意されたい。
図11Aおよび図11Bは、マスクが、それぞれエネルギーの62.5%および87.5%を透過させる場合の(フーリエ領域中の)照射関数
Figure 2007515842
を示す。グラフGおよびG’は、それぞれ、62.5%透過マスクおよび87.5%透過マスクで取得するスペクトル応答に対応し、また、グラフGは、マスクなしで取得するスペクトル応答に対応する。グラフG(62.5%透過マスク)におけるスペクトル極小値の方が高い(20%)が、87.5%透過マスクにおいても、この値は、マスクなしの値に比して十分に高くなる(10%より高い)。この値が、逆フィルタリング計算における閾値に対応する。
以下は、本発明のさらに他の一例であり、開口符号化は、直交ダンマン符号化である。ダンマン格子は、2値位相のみの格子を用いることによってフーリエ平面に所望のスポット分布を実現するための解析的アプローチである。透過値−1から透過値1への間の遷移点が、所要のスポット構造を算出するように設定された式を解くことにより計算される。ダンマン格子は、対称性のある基本区間を持つ周期的構造である。間隔[0÷0.5]内に1つの区間を持つ格子に対する解は、以下のように得られる。
図12を参照すると、格子関数G(x)が、次のように、矩形関数の組み合わせとして例示されている。
Figure 2007515842
ここで、Jは、G(x)が、−1と1との間で変わる遷移数([0÷0.5]内)である。
格子関数G(x)が、無制限に周期的であると仮定すると、それを、次式のように、フーリエ級数として表現することが可能となる。
Figure 2007515842
ここで、係数Aは、フーリエ平面における各回析次数の複素振幅を成し、次式で与えられる。
Figure 2007515842
式(39)に式(37)を代入すると、次式が算出される。
Figure 2007515842
ここで、Aは、係数であり、xは、図12に示されているようなダンマン格子の遷移点である。反復遷移点等式セットを解くことにより、フーリエ平面における所望のスポット分布が算出される。
上述のように、単純化した直交符号化マスクが、CCD平面上に、像の複製を生成する。2−Dの場合で、かつ、伝統的な直交マスクにおいては、x3ズームの場合に、中央部の複製は、視野の1および−1の領域(回析次数)の複製より9倍強い。位相のみのダンマン格子が符号化マスクとして用いられた場合には、それは、位相のみのマスクであるから、より高いエネルギー効率を与える。本例においては、ダンマン格子(符号化マスク)は、3×3個のエネルギー的に等しい複製を生成するよう設計されている。CCDによる像の取り込み後、各複製は、フーリエ領域において、上述の標準的な直交マスクの場合と全く同様に所望の直交性が達成されるように、適切な定数により正規化される。したがって、ダンマン格子は、高いエネルギースループットを得るために用いられる。次いで、像の取り込み後、所要の正規化が各複製に対して実行される。この正規化は、元の直交符号化マスクが得られ、(上述の)復号化アルゴリズムが変わらないように、実行される。
複製は、正であるから、位相のみのダンマンマスクは、空間的にインコヒーレントなタイプの照射と同様に、コヒーレントなタイプにおいても、良好に動作することに注意されたい。
適切なダンマン格子の設計は、標準的な直交マスクの設計と同様に、即ち、解像度向上係数k、CCD視野内のピクセル数N、ピクセルピッチΔx、レンズとCCD面との間の距離V、そして、好ましくは波長λ、の関数としてなされるべきである。ダンマンの基本区間は、次のとおりである。
Figure 2007515842
そして、結像条件も満たされることに注意されたい。
Figure 2007515842
ここで、uは、物体と結像レンズとの間の距離であり、Fは、レンズの焦点距離である。ほとんどの結像の場合において、Vは、Fに、ほぼ等しい。
上に示したように、視野内のピクセル数Nは、正確には、CCDのピクセル数ではない。
Figure 2007515842
ここで、Mは、式(43)がCCDのピクセル数にできるだけ近いNを与えるような整数である。
視野は、期待される解像度改善と同じである係数kにより制限される。
視野(N)の条件は、上の式(41)により説明されるように、波長にも関係することに注意されたい。したがって、3つの個別の波長:λ=633nm、λ=532nm、λ=450nmを用いると仮定すると、式(43)の条件は、次のようになる。
Figure 2007515842
ここで、M、M、Mは、整数である。
上述は、3つの波長の一例であって、λが、光学マスクを設計する、即ち、最適マスク動作(空間拡散)が最適になる「基準」波長であるということを理解されたい。n個の波長λ、…、λ(λを基準波長とする)の最も一般的な場合は、次式が得られる。
Figure 2007515842
さらに、k=3で、Nはほぼ490ピクセルであると仮定する。式(44)を解く整数M(i=1、2、3)の探索後に得られる最適解は、N=487をもたらすM=162、M=136、M=115である。このように、式(44)による整数Mの数値探索は、同時にいくつかの波長のための最適解(符号化の直交性に関して)を提供することができる。
ここで示したアルゴリズムは、単一の像および適切なデジタル復号化アルゴリズムを用いるために、x1から始まり、マスクが設計された最大係数kまでの連続的な光学ズームを得ることを与える。視野内でのトレードオフがない場合には(式(27)〜(36)により証明されているように)、空間ピクセル量の増加は、チャネル容量が維持されるようエネルギー損失またはダイナミックレンジ低下の大きさに応じて現れるから、ここで示した従来のズームに対する改善は、情報理論(チャネル容量)と矛盾しない。入力物体が、視野の1/kを占める(補償が、視野内で行なわれる)場合には、ダイナミックレンジまたはエネルギーの損失は、起きない。
したがって、提案したアプローチは、単一の像から所望のズームを与えることにより、既存のズーム装置を実際に一般化する。発生する空間的なピクセル数の増加は、決して2よりも多くないから、ダイナミックレンジによる補償は、決して1ビットよりも多くないことに注意されたい。
したがって、本発明の技術は、検出器のピクセルサイズにより設定される幾何制限を克服する超解像アプローチを提供する。本アプローチによれば、開口符号化が、幾何解像度限界を超えるために用いられる。この解決法は、如何なる機械要素の追加も伴わず、また、非常に単純な光学的実装を持つ。本技術は、数学的に証明され、シミュレートされ、そして、最終的に、実験で確認されている。本発明の技術は、デジタルカメラ、スキャナ、およびその他の結像に関連するプラットフォームの解像度を向上させるために用いることができる。本技術は、如何なる可動要素も用いない光学ズームを備えている。開口符号化マスクは、係数kによって視野を犠牲にしつつ同係数によって解像度を向上させるために用いることができる。
本発明の技術は、光CDMA(Code Division Multiple Access)方式(即ち、光通信)に用いることもできる。CDMA技術は、主として、拡散スペクトルの「直接拡散」方法に焦点を当てている。直接拡散は、各ビットを、いくつかのサブビット(「チップ」)に分割して、ビットデータレートを人為的に増大させることにより、信号の帯域幅を拡大する拡散スペクトル技術である。信号は、それに、疑似雑音(PN)符号を乗算することにより、より小さなビットに分割される。元の変調信号の各ビットに、この高データレートのPN符号を単に乗算することにより、信号の、より小さなビットへの分割が、もたらされる(それは、信号の帯域幅を増加させる)。「チップ」数の増加は、それに比例して、帯域幅を拡大する。図1に戻って、結像レンズ14Aの開口に取り付けられた符号化マスク14Bは、ここでは、時間的に変調された光信号の時間スペクトルにて動作される周期的フィルタ構造である。フィルタ14Bは、検出器の低速の時間サンプリングにより生成されるエイリアシングを用いて、高周波情報を分解する。よって、光通信方式(送信器/受信器)において、複数の送信器の各々が光信号を生成する。光信号は、データ変調され、次に、(それぞれのマスク14Bに通されて)一意的に符号化され、よって、それ自身のユニークな疑似雑音符号を乗算されて、その後、ネットワークを通して送信される。種々の信号が、相異なる送信器から同時に送信されるかもしれないから、それらの送信は、それらのスペクトルを単に加え合わせることにより表わすことができる。受信器側では、到来信号は、拡散スペクトル信号である。単一のデータメッセージを取り出すために、到来信号は、対応する符号を乗算される。与えられた符号に、それ自身を乗算すれば、1(unity)が得られる。したがって、信号にそのユニーク符号を乗算することにより、その特定のメッセージに対する拡散スペクトル効果が、除去される。それにより得られた信号は、そのキャリア周波数が中心周波数となっているバンドパスフィルタ(BPF)に通される。この動作は、希望信号のみを選択して、拡散スペクトル中の他のメッセージによる全ての周辺周波数を排除する。
この方式は、各ユーザがユニークPN符号を用いる、多ユーザアクセスを提供する通信において広く用いられている。この方法は、かなり重要な単音干渉耐性(single tone interference immunity)を提供し、それは、結像および普通の光学的実装(単純なバイナリマスク)において重要である。
当業者であれば、添付する請求項により定められる範囲から逸脱することなく、上文に例示されている本発明の実施の形態に種々の変更および変形を加えることができることを容易に認識するであろう。
本発明の結像システムの略図である。 図2Aおよび図2Bは、エイリアシング効果の一般的な原理を例示する。 検出器ピクセルアレイによる信号のサンプリングの原理を例示する。 検出器ピクセルアレイによる信号のサンプリングの原理を例示する。 検出器ピクセルアレイによる信号のサンプリングの原理を例示する。 検出器ピクセルアレイによる信号のサンプリングの原理を例示する。 解像度を向上させるための本発明の方法の主要動作ステップを示す。 解像度を3倍向上させるために、本発明に用いるのに適した開口符号化マスクを例示する。 コヒーレント照射の場合における本発明の原理を例示する。 コヒーレント照射の場合における本発明の原理を例示する。 検出器パラメータの特定の例におけるシミュレーション結果を例示し、余弦格子の入力像を示す。 検出器パラメータの特定の例におけるシミュレーション結果を例示し、シミュレーションにおいて用いられる開口符号化マスクを示す。 検出器パラメータの特定の例におけるシミュレーション結果を例示し、システムの理想的な出力の形態のシミュレーション結果、本発明の方法を適用されていない検出器のサンプル出力、本発明の開口符号化を用いた再構成後の入力を示す。 検出器パラメータの特定の例におけるシミュレーション結果を例示し、スペクトルの元の出力の形態におけるシステムのフーリエ平面、開口符号化マスクを用いて取得されたサンプル出力のスペクトル、本発明の開口符号化超解像を用いて取り込まれた信号を示す。 特定の検出器パラメータを利用して単純な結像システムで得られた実験結果を例示し、開口符号化マスクにより処理された入力信号のサンプル出力を示す。 特定の検出器パラメータを利用して単純な結像システムで得られた実験結果を例示し、開口符号化マスクなしで検出器によりサンプリングされた入力を例示する。 特定の検出器パラメータを利用して単純な結像システムで得られた実験結果を例示し、システムの所望の(理想的な)出力、開口符号化なしでの入力のサンプル出力、および開口符号化超解像を用いた取り込み出力を示す。 スペクトルフィルタリングおよび開口符号化を利用する、本発明の結像システムの他の例を概略的に示す。 図10A〜図10Eは、多色照射で動作するシステムにおいて本発明を用いて得られた実験結果を示し、図10Aは、元の入力像を示し、図10Bは、多色照射のためぼやけた像を示し、図10Cおよび図10Dは、スペクトルマスクなしでそれぞれ閾値1%、10%での逆フィルタリングの結果を示し、図10Eは、スペクトルマスクを用いて得られた結果を示す。 図11Aおよび図11Bは、エネルギーのそれぞれ62.5%、87.5%を透過するスペクトルマスクの照射関数(フーリエ領域における)を例示する。 位相のみの開口符号化マスクの格子関数を例示する。

Claims (69)

  1. 物体の少なくとも一部に対して、検出器ピクセルアレイにより定められる幾何解像度を所定係数超える解像度で、前記物体を結像するための方法であって、
    前記向上した解像度で結像されるべき前記物体の前記少なくとも一部を示す光信号が前記検出器ピクセルアレイに向かって伝播するときに、前記光信号の波面に対し光学処理を適用するステップを有し、
    前記光学処理は、
    解像度向上の前記所定の係数と前記検出器平面に生じるエイリアシング効果とにしたがって、また、前記検出器のサンプル出力を示すスペクトルデータに直交性を与えるように、予め定められており、また、それにより、単一の像に対応するサンプル出力に対しデジタル処理を施して前記物体の少なくとも一部の前記像を前記係数向上した前記解像度で再構成することを可能にする方法。
  2. 前記光学処理は、
    前記係数と、前記エイリアシング効果とにしたがって、また、前記検出器の前記サンプル出力を示す前記スペクトルデータに前記直交性を与えるように、所定の開口符号化を、前記波面に適用するステップを有する請求項1に記載の方法。
  3. 前記所定の開口符号化は、
    前記光信号に対して、結像システムの結像レンズ装置の位置により定められるスペクトル平面にあるときに適用される請求項2に記載の方法。
  4. 前記光学処理は、
    フーリエ変換が実数かつ非負数である関数を用いて前記波面を処理するステップを含む請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記光学処理は、
    次のパラメータ:前記解像度向上の前記係数k、前記検出器の視野内のピクセル数N、前記検出器のピクセルピッチΔx、および結像レンズと前記検出器平面との間の距離Vの関数を用いて前記波面を処理するステップを含む請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記視野内の前記検出器ピクセルの前記数Nは、
    前記解像度向上の前記係数kにより制限される請求項5に記載の方法。
  7. 前記検出器視野内の前記ピクセル数Nは、
    前記開口符号化が設計される特定波長に対してN=Mk+1という条件を満足するように選択され、Mは、前記検出器のピクセル数にできるだけ近いNの値を与える整数である請求項5に記載の方法。
  8. 前記関数は、
    波長の関数である請求項5に記載の方法。
  9. 前記検出器の視野内の前記ピクセル数Nは、
    n個の波長に対する以下の条件を満足するように選択され、
    Figure 2007515842
    前記波長の1つλは、前記開口符号化が最適になるように設計される基準波長であり、M、…、Mは、前記条件が前記検出器の前記ピクセル数にできるだけ近いNを与える整数である請求項8に記載の方法。
  10. 前記波面の前記光学処理は、
    前記検出器平面上に、前記光信号の前記少なくとも一部の空間拡散分布を生成する請求項1から9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記空間拡散分布は、
    前記光信号の前記波面の所定数の複製を提供することにより生成される請求項10に記載の方法。
  12. 前記所定の光学処理は、
    前記光信号を、直交光学マスクに通すステップを有する請求項1から11のいずれかに記載の方法。
  13. 前記所定の光学処理は、
    前記検出器の正規化サンプル出力に直交性を与えるよう構成された光学マスクに通すステップを有する請求項1から11のいずれかに記載の方法。
  14. 前記光学処理は、
    前記波面を位相符号化するステップを含む請求項13に記載の方法。
  15. 前記光学処理は、
    前記波面を振幅符号化するステップを含む請求項12に記載の方法。
  16. 前記所定の光学処理は、
    前記光信号の前記波面に所定の開口符号を乗算し、それにより、前記検出器平面上に前記光信号の空間拡散スペクトルを生成するステップを有する請求項3から15のいずれかに記載の方法。
  17. 前記所定の光学処理は、
    前記光信号の前記波面に所定の開口符号を乗算し、それにより、前記ピクセルアレイ平面上に前記物体の少なくとも一部の複製を生成するステップを有する請求項3から15のいずれかに記載の方法。
  18. 前記サンプル出力の復号化は、
    前記サンプル出力に前記所定の開口符号を乗算するステップを有する請求項16または17に記載の方法。
  19. 前記サンプル出力の復号化は、
    前記サンプル出力を、前記複製の各々について正規化するステップと、
    正規化された信号の逆フーリエ変換に、前記所定の開口符号を乗算するステップと、
    を有する請求項17に記載の方法。
  20. 前記光学処理は、
    前記解像度向上の前記係数に等しい数のサブ関数に分割された関数を規定する請求項1から19のいずれかに記載の方法。
  21. 前記光学処理は、
    前記光信号を、デルタ関数の無限列を含むマスクに通すステップを有する請求項1から20のいずれかに記載の方法。
  22. スペクトルフィルタリングおよび前記検出器のサンプル出力の処理が、共同して、波長不感応性の回折光学素子を生成するように、前記スペクトルフィルタリングを前記光信号に適用するステップを有する請求項1から21のいずれかに記載の方法。
  23. 前記スペクトルフィルタリングは、
    前記光信号を、いくつかの波長を遮断し他の波長を透過させるよう構成された波長マスクに通すステップを有する請求項22に記載の方法。
  24. 前記波長マスクは、
    前記光学処理を実行する前記開口符号化マスクの一部である請求項22または23に記載の方法。
  25. 前記波長マスクは、
    ピクセルアレイ検出器の一部である請求項22または23に記載の方法。
  26. 前記波長マスクは、
    各々がスペクトル幅δλを有し所定のスペクトル位置λ、λ、…、λをそれぞれ有するH個の波長遮断スロットのアレイにより形成されるパターンを有する請求項22から25のいずれかに記載の方法。
  27. 前記遮断スロットの数H、それらの最適なスペクトル位置λ、λ、…、λ、および前記遮断スロットの幅δλは、
    前記波長マスクの出力に、最大エネルギーおよび最大光コントラストを与えるように選択される請求項26に記載の方法。
  28. 前記遮断スロットの数H、それらの最適なスペクトル位置λ、λ、…、λ、および前記遮断スロットの幅δλは、
    前記波長マスクの関数のフーリエ変換の絶対値が、ゼロからできるだけ離れ有界となるように選択される請求項27に記載の方法。
  29. 前記選択は、
    前記Hの選択値に応じて、前記スペクトル位置λ、λ、…、λ、および前記遮断スロットの幅δλを探索するステップを含む請求項27に記載の方法。
  30. 前記探索は、
    ランダムである請求項29に記載の方法。
  31. 前記探索は、
    δλおよびλhの値の全ての可能性に対して、対象のスペクトル領域内の前記波長マスクの関数のフーリエ変換の極小値を決定するステップを有する請求項29に記載の方法。
  32. 前記光学処理は、
    モーションレスである請求項1から31のいずれかに記載の方法。
  33. 検出器ピクセルアレイを備え物体を結像するためのシステムであって、
    前記物体の少なくとも一部に対して、前記検出器ピクセルアレイにより定められる幾何解像度を所定係数超える解像度を与えるよう構成され、前記検出器平面に前記物体の実かつ非負の像を形成するよう構成された結像レンズアセンブリおよび開口符号化器を有し、
    前記開口符号化器は、
    前記結像レンズアセンブリに対して所定の位置に配置され、離間配置され相異なる光学特性を有する領域の所定のパターンを規定するよう構成されており、
    前記パターンは、
    解像度向上の前記係数、および前記検出器平面に生じるエイリアシングにしたがって、前記検出器のサンプル出力を示すスペクトルデータに直交性を与えるように、また、それにより、前記サンプル出力の復号に開口符号を用いて前記物体の少なくとも一部の前記像を前記係数向上した前記解像度で再構成することを可能にするよう構成されているシステム。
  34. 前記開口符号化器の前記パターンは、
    前記解像度向上の前記所定の係数k、前記検出器の視野内のピクセル数N、前記検出器のピクセルピッチΔx、および前記結像レンズアセンブリと前記検出器平面との間の距離Vの関数である請求項33に記載のシステム。
  35. 前記開口符号化器は、
    前記物体から到来する光信号の光路に収容され、それにより、前記光信号の波面を処理して前記検出器平面上に前記光信号の少なくとも一部の空間拡散分布を生成する請求項33または34に記載のシステム。
  36. 前記検出器に接続可能であり、かつ、前記開口符号を用いて前記検出器の前記サンプル出力を示す前記データを処理することにより復号化を実行するように動作可能な処理ユニットを有する請求項33から35のいずれかに記載のシステム。
  37. 前記開口符号化器は、
    光学マスクとして動作可能である請求項33から36のいずれかに記載のシステム。
  38. 前記開口符号化器は、
    前記相異なる光学特性の領域の前記パターンを有する前記光学マスクを有する請求項37に記載のシステム。
  39. 前記光学マスクは、
    前記結像レンズアセンブリの上流側または下流側に収容されている請求項38に記載のシステム。
  40. 前記光学マスクは、
    前記結像レンズアセンブリと一体化している請求項39に記載のシステム。
  41. 前記光学マスクは、
    前記結像レンズアセンブリの表面上で前記パターンの形態をなす請求項38に記載のシステム。
  42. 前記開口符号化器は、
    前記光学マスクとして動作可能な空間光変調器(SLM)を有する請求項38に記載のシステム。
  43. 前記SLMは、
    前記結像レンズアセンブリの上流側または下流側に収容されている請求項42に記載のシステム。
  44. 前記SLMは、
    前記結像レンズアセンブリと一体化している請求項42に記載のシステム。
  45. 前記光学マスクは、
    振幅符号化マスクである請求項38から44のいずれかに記載のシステム。
  46. 前記光学マスクは、
    位相符号化マスクである請求項38から44のいずれかに記載のシステム。
  47. 前記位相符号化マスクは、
    ダンマン格子である請求項46に記載のシステム。
  48. 前記光学マスクは、
    前記光学マスクの関数のフーリエ変換が実数かつ非負数となるよう構成されている請求項38から47のいずれかに記載のシステム。
  49. 前記視野内の前記検出器のピクセルの前記数Nは、
    前記解像度向上の前記係数kにより制限される請求項34から48のいずれかに記載のシステム。
  50. 前記検出器の視野内の前記ピクセル数Nは、
    前記開口符号化器が設計される波長に対してN=Mk+1の条件を満足するように選択され、Mは、前記検出器のピクセル数にできるだけ近い前記Nの値を与える整数である請求項49に記載のシステム。
  51. 前記関数は、
    波長の関数である請求項34に記載のシステム。
  52. 前記検出器の視野内の前記ピクセル数Nは、
    n個の波長に対する以下の条件を満足するように選択され、
    Figure 2007515842
    前記波長の1つλは、前記開口符号化器が最適になるように設計される基準波長であり、M、…、Mは、前記条件が前記検出器の前記ピクセル数にできるだけ近いNを与える整数である請求項51に記載のシステム。
  53. 波長マスクを有する請求項33から52のいずれかに記載のシステム。
  54. 前記波長マスクは、
    前記結像レンズアセンブリの上流側または下流側に収容されている請求項53に記載のシステム。
  55. 前記波長マスクは、
    前記結像レンズアセンブリの一部である請求項53に記載のシステム。
  56. 前記波長マスクは、
    前記開口符号化器の一部である請求項53に記載のシステム。
  57. 前記波長マスクは、
    前記検出器の一部である請求項53に記載のシステム。
  58. 前記波長マスクは、
    前記波長マスク内の前記光信号の通過および前記サンプル出力の前記復号化は共同して、波長不感応性の回折光学素子を生成するよう構成されている請求項52から57のいずれかに記載のシステム。
  59. 前記波長マスクは、
    各々がスペクトル幅δλを有し所定のスペクトル位置λ、λ、…、λをそれぞれ有するH個の波長遮断スロットのアレイにより形成されるパターンを有する請求項58に記載のシステム。
  60. 前記遮断スロットの前記数H、それらの最適なスペクトル位置λ、λ、…、λ、および前記遮断スロットの幅δλは、
    前記波長マスク関数のフーリエ変換の絶対値が、ゼロからできるだけ離れ有界となるという条件を満足するように選択される請求項59に記載のシステム。
  61. 物体の結像に用いられる方法であって、
    相異なる波長に対する相異なる透過の領域のパターンであって前記マスクの出力に最大エネルギーおよび最大コントラストを与えるパターンを有する波長マスクに光信号を通すステップと、
    前記マスクの出力をピクセルアレイ検出器で検出するステップと、
    前記検出器のサンプル出力を示すデータを処理し、それにより、波長不感応性の回折光学素子を生成するステップと、
    を有する方法。
  62. 前記パターンは、
    各々がスペクトル幅δλを有し所定のスペクトル位置λ、λ、…、λをそれぞれ有するH個の波長遮断スロットのアレイにより形成されている請求項61に記載の方法。
  63. 前記遮断スロットの前記数H、それらの最適なスペクトル位置λ、λ、…、λ、および前記遮断スロットの幅δλは、
    前記波長マスクの前記出力に、前記最大エネルギーおよび前記最大光コントラストを与えるように選択される請求項61に記載の方法。
  64. 前記遮断スロットの前記数H、それらの最適なスペクトル位置λ、λ、…、λ、および前記遮断スロットの幅δλは、
    前記波長マスクの関数のフーリエ変換の絶対値が、ゼロからできるだけ離れ有界となるように選択される請求項63に記載の方法。
  65. 前記選択は、
    前記Hの選択値に応じて、前記スペクトル位置λ、λ、…、λ、および前記遮断スロットの幅δλを探索するステップを含む請求項64に記載の方法。
  66. 前記探索は、
    ランダムである請求項65に記載の方法。
  67. 前記探索は、
    δλおよびλhの値の全ての可能性に対して、対象のスペクトル領域内の前記波長マスクの関数のフーリエ変換の極小値を決定するステップを有する請求項65に記載の方法。
  68. 結像システムにおいて用いるための回折光学装置であって、
    ピクセルアレイ検出器に結像されるべき物体から到来する光の光路に収容された波長マスクを有し、
    前記波長マスクは、
    各々がスペクトル幅δλを有し所定のスペクトル位置λ、λ、…、λをそれぞれ有するH個の波長遮断スロットのアレイにより形成されたパターンを有し、
    前記パターンのパラメータは、
    前記マスクの出力に最大エネルギーおよび最大コントラストを与えるように選択され、それにより、前記回折光学装置が波長不感応性となる回折光学装置。
  69. 向上した解像度で物体を結像するための方法であって、
    前記向上し解像度で結像されるべき前記物体の少なくとも一部を示す光信号が検出器ピクセルアレイに向かって伝播するときに、前記光信号の波面に対しモーションレス光学処理を適用するステップを有し、
    前記光学処理は、
    解像度向上に必要な係数の所定の関数を前記波面に適用し、それにより、前記検出器ピクセルアレイにより定められる幾何解像度を前記係数超える解像度で前記物体の少なくとも一部を結像する方法。
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