JP2007502630A - 認知処理 - Google Patents
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- A61B5/4088—Diagnosing of monitoring cognitive diseases, e.g. Alzheimer, prion diseases or dementia
Abstract
【課題】個人又は個人の集団の認知処理を決定するための方法の提供。
【解決手段】認知処理の対照範囲からのずれは標準化タスクを参照して決定される。方法は、対照被験者の集団における標準化タスクを完了するための時間の測定、対照被験者によるタスクの実行中の時間的瞬き発生の測定、及び対照被験者に対する対照範囲の計算を含み、対照範囲は少なくとも対照被験者に対する標準化タスク内の共通フェーズ中の時間的瞬き発生から計算される。対象範囲からのずれは、試験被験者が対照被験者と比べて認知処理を変えたことを示唆する。
【解決手段】認知処理の対照範囲からのずれは標準化タスクを参照して決定される。方法は、対照被験者の集団における標準化タスクを完了するための時間の測定、対照被験者によるタスクの実行中の時間的瞬き発生の測定、及び対照被験者に対する対照範囲の計算を含み、対照範囲は少なくとも対照被験者に対する標準化タスク内の共通フェーズ中の時間的瞬き発生から計算される。対象範囲からのずれは、試験被験者が対照被験者と比べて認知処理を変えたことを示唆する。
Description
[発明の分野]
本発明は、包括的には、被験者の認知処理(認知処理能力、パフォーマンス、適性又は素質を含む)を測定する方法及び装置に関し、より具体的には、被験者の認知処理を測定するための瞬きパラメータを用いた方法及び装置に関する。
本発明は、包括的には、被験者の認知処理(認知処理能力、パフォーマンス、適性又は素質を含む)を測定する方法及び装置に関し、より具体的には、被験者の認知処理を測定するための瞬きパラメータを用いた方法及び装置に関する。
[発明の背景]
個人の認知パフォーマンスは、いかなる程度の客観性をもっても測定することが難しいパラメータである。それは、たとえば、疲労又はストレスによるなど、一過性に変化し得る。疲労又はストレスは、覚醒時及びリラックスしている時それぞれの能力の基礎的水準と比べて認知パフォーマンスを弱めると広く考えられている二種類の状況又は状態である。個人の認知能力の基礎的水準はそれ自体、トラウマ(心的外傷後ストレス障害(PTSD)など)又は疾病(アルツハイマー病(AD)に関連する痴呆など)それぞれの結果として一過性又はより体系的に弱められる。
個人の認知パフォーマンスは、いかなる程度の客観性をもっても測定することが難しいパラメータである。それは、たとえば、疲労又はストレスによるなど、一過性に変化し得る。疲労又はストレスは、覚醒時及びリラックスしている時それぞれの能力の基礎的水準と比べて認知パフォーマンスを弱めると広く考えられている二種類の状況又は状態である。個人の認知能力の基礎的水準はそれ自体、トラウマ(心的外傷後ストレス障害(PTSD)など)又は疾病(アルツハイマー病(AD)に関連する痴呆など)それぞれの結果として一過性又はより体系的に弱められる。
うつ状態など、認知パフォーマンスに関して客観的基準を医学的に定義することは、自己報告の主観的本質によって妨げられてきた。自己報告はしばしば、(a)時々の個人の特有の状態、(b)長い間の個人における状態(複数可)の経時的進展、及び(c)想定する他者との個人の比較、の唯一の直接証拠である。伝統的に、様々な種類の適性テストにおける被験者の採点法が認知能力の評価の基礎となってきたが、これらのテストは、固有の認知能力だけでなくその個人の以前の文化的、経済的及び教育的環境を反映するので、それ自体将来のパフォーマンスを予測する要素が、或る時間の固有の能力に関してテスト結果を混乱させる。
固有の認知能力を評価するために、精神医科学が基礎的脳処理能力の指標へのアクセスを求めている。残念ながら、そのような指標の進歩を導くために利用できる理論はない。経験的脳活動測度(脳波図(EEG)分析)及び構造的脳画像法(陽電子放出断層撮影法(PET)、機能的磁気共鳴画像法(fMRI))は、一連のコヒーレントな脳活動と思われるものの時間領域に及んでいる(前者は短すぎ、測定値は刺激に続く1秒間に集中しており;後者は単純な一次のタスクの繰り返しの統計的測定プロトコルによるが、少なくとも数十秒、あるいは数十分のデータ収集時間がかかる可能性もある)。認知活動は、数秒から数十秒のバースト期間にわたる処理のコヒーレントな形態として現れる傾向があり、EEG(時間が短すぎ、1,000msまでの事象関連電位(ERP)に集中している)の「範囲」外であり、fMRIに必要な複数の繰り返しの統計的サンプリングレートには合致せず、PETには速すぎる。
個人の瞬きは現在、眼生理学の単なるパラメータであり、また一般的な覚醒の指標として理解されている。たとえば、視覚刺激の知覚の主観的な体験は、一次視覚野(V1)における持続的活動、知覚処理の増幅、離れた領域にわたる相関、頭頂部、前頭部及び帯状回の連合活性化などの客観的なニューロンの活動パターンに付随して起こることが知られている。
しかしながら、認知フィットネスの評価における瞬きの価値は正当に評価されてきていない。たとえば、EEGの文献においては、瞬きは望ましくないノイズ値と考えられている。すなわち、瞬きは古典的EEGバンドのパワースペクトルを歪めるアーチファクト(ユング(Jung)他著「ブラインドソース分離による脳波アーチファクトの除去(Removal of electroencephalographic artifacts by blind source separation)」Psychophysiology、37巻、163〜179頁、2000年)を表している。これは、前頭葉に対して近傍の時に特に起こり、そこでは瞬き中の眼窩の容量の変化がEEGセンサー内に表れる電界の変化を作り出す。したがって、標準的な医学的試験手続きにおいて詳細な瞬きの情報に価値は与えられてきていない。以前の出版物は、認知負荷及び覚醒/疲労要因に敏感であるとして「平均的な」瞬き速度に単に言及しているだけである(NASA TP−2001−211018)。
したがって、本発明は、自然環境又はオフィス環境における認知タスクに関する瞬きパターン解析の方法を提供しようとするものであり、これらの方法は、集中した認知活動のコヒーレントな一連(又はこれらのより大きな連鎖)にわたる脳活動を客観的に特徴付けるように設計されている。これらの方法は、内部状態及び外部タスク設定にまたがって、それらの同じ状態又は設定に対する時間に経時的にまたがって、且つ個人間で、個人の認知パフォーマンスを弁別する手段を提供しようとするものである。
[発明の概要]
本発明の幅広い形態では、本発明は、標準化タスクを用いて少なくとも一人の試験被験者の認知処理を検出するのに適した対照範囲を作成する方法に関し、該方法は、
−対照被験者の集団において標準化タスクを完了するための時間の測定と、
−対照被験者によるタスクの実行中の時間的瞬き発生の測定と、
−対照被験者に対する対照範囲の計算であって、該対照範囲は少なくとも対照被験者に対する標準化タスク内の共通フェーズ中の時間的瞬き発生から計算される、対照被験者に対する対照範囲の計算と
を含み、対照範囲からのずれは試験被験者が対照被験者と比べて変化した認知処理を有することを示唆する。
本発明の幅広い形態では、本発明は、標準化タスクを用いて少なくとも一人の試験被験者の認知処理を検出するのに適した対照範囲を作成する方法に関し、該方法は、
−対照被験者の集団において標準化タスクを完了するための時間の測定と、
−対照被験者によるタスクの実行中の時間的瞬き発生の測定と、
−対照被験者に対する対照範囲の計算であって、該対照範囲は少なくとも対照被験者に対する標準化タスク内の共通フェーズ中の時間的瞬き発生から計算される、対照被験者に対する対照範囲の計算と
を含み、対照範囲からのずれは試験被験者が対照被験者と比べて変化した認知処理を有することを示唆する。
好ましくは、時間的瞬き発生が、複数の隣接した瞬きイベントにわたる瞬き間に経過したギャップ又は時間を導くために用いられる。
特に好ましい形態では、標準化タスクが構造化タスクであって、そこでの共通フェーズが、以下の
−タスクの開始時に生じる、第1のオリエンテーションフェーズ、
−試験被験者のタスク進行を示す第2の又は中間のフェーズ、及び
−タスクの共通タスク完了期間(CTCP)、
から選ばれる。
−タスクの開始時に生じる、第1のオリエンテーションフェーズ、
−試験被験者のタスク進行を示す第2の又は中間のフェーズ、及び
−タスクの共通タスク完了期間(CTCP)、
から選ばれる。
好ましくは、構造化タスクが、オリエンテーションフェーズ及び/又は中間のフェーズをタスクのより後のフェーズへ組み込むことによって、タスクのオリエンテーションフェーズ及び/又は中間のフェーズ中の対照被験者の知的処理を比重軽減するように選ばれる。
さらにより好ましくは、標準化タスクの共通フェーズがタスクの完了フェーズである。
さらに好ましい形態では、瞬き力Bの少なくとも1つの瞬き特性の測定も行われ、該瞬き特性は瞬き持続時間及び瞬き振幅から選ばれ、瞬き特性は標準化タスクの実行中に生じる。
別の好ましい形態では、タスクの共通フェーズにおける対照被験者のパフォーマンスの共通フェーズが、各瞬き間に経過した定量的ギャップ時間を、タスクの時間に対してプロットすることによって分析される。
好ましくは、瞬き力Bの少なくとも1つの瞬き特性の測定も、タスクの共通フェーズの時間に対してプロットされ、Bは瞬き持続時間、瞬き振幅、瞬き発生間の時間的ギャップ又はこれらの派生物から選ばれる。
特に好ましい形態では、個々の瞬きが、タスク内の共通フェーズにわたり発生するピークへクラスタリングすることによって平滑化及び重み付けされる。
さらに別の好ましい形態では、平滑化関数Fが、タスクの共通フェーズの時間に対する瞬き密度の二次元目盛り上の瞬きクラスタを比較するために用いられ、1クラスタ当たりの瞬きの数がバックグラウンド瞬き速度(BB)の推定値を超えるピーク面積によって評価され、逆の測度が、瞬き密度がそのバックグラウンド瞬き速度の基線を超えない時間の割合である。
好ましくは、個々の瞬きが、単位重み付け、絶対振幅値(a)、絶対持続時間値(d)、絶対ギャップ値(G)又はこれらの重み付け派生物から選ばれる変数を用いて重み付けを割り当てることによって重み付けされる。
別の形態では、本方法は、各対照被験者の追加のパラメータを用いた標準化タスクにおける対照被験者のパフォーマンスの解釈をさらに含み、追加のパラメータはタスクの共通フェーズから計算される少なくとも1つの示強パラメータ、及びタスク全体にわたる瞬きパターンの少なくとも1つの示量パラメータを含み、上記示強パラメータは、以下の
−瞬き密度が基線瞬き密度を超えているときの、CTCPにおける瞬き時間のパーセント(I1);
−平均クラスタサイズ(最後のCTCPにおけるピークの数で割った瞬き密度の高さの積分で、各集中解放時のクラスタ化した瞬きを表し、それにより瞬きクラスタが、局所的基線を越える各クラスタピークの面積を測定することによって決定される)(I2);
−最後のCTCPにおける平均基線瞬き密度(15秒の閾値又はCTCPの10%〜20%の閾値内の相対的密度関数における最小値の、引き続いて最大値の発生の計算により開始関数から導かれる)(I3);及び
−タスクに対する平均瞬き速度(タスク全体にかかる総時間におけるタスクにわたる瞬きの総数により計算される)(I4)、
を含む群から選ばれ、I1〜I3は各瞬きに対する平滑化された瞬き密度関数Fを用いて導かれ、上記示量パラメータは、以下の
−タスクの総持続時間(E1又はT);
−瞬きの総数(E2又はN);
−全タスク時間中のクラスタの数(瞬き密度におけるピーク)(E3);及び
−試み(A)=T^2/合計(ギャップ^2)の式を用いた、タスクにおける段階でのクラスタ/試みの数の間接的測度(E4);
を含む群から選ばれ、対照被験者に対して計算される1つ又は複数の示強パラメータ及び1つ又は複数の示量パラメータにおける変動が1つ又は複数の示強パラメータ又は示量パラメータに対する対照範囲に対するデータを提供する。
−瞬き密度が基線瞬き密度を超えているときの、CTCPにおける瞬き時間のパーセント(I1);
−平均クラスタサイズ(最後のCTCPにおけるピークの数で割った瞬き密度の高さの積分で、各集中解放時のクラスタ化した瞬きを表し、それにより瞬きクラスタが、局所的基線を越える各クラスタピークの面積を測定することによって決定される)(I2);
−最後のCTCPにおける平均基線瞬き密度(15秒の閾値又はCTCPの10%〜20%の閾値内の相対的密度関数における最小値の、引き続いて最大値の発生の計算により開始関数から導かれる)(I3);及び
−タスクに対する平均瞬き速度(タスク全体にかかる総時間におけるタスクにわたる瞬きの総数により計算される)(I4)、
を含む群から選ばれ、I1〜I3は各瞬きに対する平滑化された瞬き密度関数Fを用いて導かれ、上記示量パラメータは、以下の
−タスクの総持続時間(E1又はT);
−瞬きの総数(E2又はN);
−全タスク時間中のクラスタの数(瞬き密度におけるピーク)(E3);及び
−試み(A)=T^2/合計(ギャップ^2)の式を用いた、タスクにおける段階でのクラスタ/試みの数の間接的測度(E4);
を含む群から選ばれ、対照被験者に対して計算される1つ又は複数の示強パラメータ及び1つ又は複数の示量パラメータにおける変動が1つ又は複数の示強パラメータ又は示量パラメータに対する対照範囲に対するデータを提供する。
好ましくは、平滑化関数Fが正規ガウス関数である。
好ましい一形態では、対照群が正常認知機能を有する被験者からなる。
さらに好ましい形態では、対照群は、ADD、ADHD、失読症、痴呆、統合失調症、うつ病、学習障害、睡眠障害、ストレス障害、人格障害、境界性人格障害などの障害に関連した認知機能障害、又はアルコール若しくは薬物摂取により損なわれた若しくは強められた認知機能などの、認知機能障害を有する被験者からなる。
さらに別の好ましい形態では、対照群が強められた認知機能を有する被験者からなる。
別の形態では、本発明は、少なくとも1つの標準化タスクを用いて少なくとも一人の試験被験者の認知処理を検出する方法に関し、該方法は、
−標準化タスクを完了するための被験者の時間の測定と、
−時間的瞬き発生の測定と、
−標準化タスク内の共通フェーズ中の時間的瞬き発生又はそれから導かれる値の、対照範囲との比較であって、該対照範囲は少なくとも対照群に対する標準化タスク内の共通フェーズ中の時間的瞬き発生から計算される、比較と
を含み、対照範囲からのずれは試験被験者が対照群と比べて変化した認知処理を有することを示唆する。
−標準化タスクを完了するための被験者の時間の測定と、
−時間的瞬き発生の測定と、
−標準化タスク内の共通フェーズ中の時間的瞬き発生又はそれから導かれる値の、対照範囲との比較であって、該対照範囲は少なくとも対照群に対する標準化タスク内の共通フェーズ中の時間的瞬き発生から計算される、比較と
を含み、対照範囲からのずれは試験被験者が対照群と比べて変化した認知処理を有することを示唆する。
好ましくは、対照範囲が本発明の方法に従って計算される。
さらにより好ましくは、試験被験者の認知処理が1つ又は複数の示強値の対照範囲及び1つ又は複数の示量値の対照範囲と比較される。
特に好ましい形態では、示強値がI4であり、且つ示量値がE3である。
好ましくは、試験被験者の認知処理が、ADD、ADHD、失読症、痴呆、統合失調症、うつ病、学習障害、心的外傷後ストレス障害、睡眠障害、人格障害、境界性人格障害からなる群から選ばれる認知障害、又はアルコール若しくは薬物摂取により損なわれた若しくは強められた認知機能を検出するために検査される。
さらなる形態では、本発明は、標準化タスクを用いて少なくとも一人の試験被験者の認知処理を検出するための対照範囲を作成する方法に関し、該方法は、
−対照被験者に対する、対照被験者の集団のメンバーにおける標準化タスクを完了するための時間の測定、並びに時間的瞬き発生及び総瞬き回数Nの測定;並びに
−タスクを完了するための時間が最短だった者から最長だった者の順に対照被験者を並べ替えること及び同様のタスク完了時間を有する各対照被験者を各自のN値について分析すること;
−タスクを完了するための時間に従ってN値の少なくとも1つの対照範囲を作成すること、
を含み、対照範囲からのずれは同様のタスク完了時間を有する対照被験者と比べて変化した認知処理を有する試験被験者を示唆する。
−対照被験者に対する、対照被験者の集団のメンバーにおける標準化タスクを完了するための時間の測定、並びに時間的瞬き発生及び総瞬き回数Nの測定;並びに
−タスクを完了するための時間が最短だった者から最長だった者の順に対照被験者を並べ替えること及び同様のタスク完了時間を有する各対照被験者を各自のN値について分析すること;
−タスクを完了するための時間に従ってN値の少なくとも1つの対照範囲を作成すること、
を含み、対照範囲からのずれは同様のタスク完了時間を有する対照被験者と比べて変化した認知処理を有する試験被験者を示唆する。
好ましくは、標準化タスクが構造化タスクであって、そこでの共通フェーズが、以下の
−タスクの開始時に生じる、第1のオリエンテーションフェーズ、
−試験被験者のタスク進行を示す第2の又は中間のフェーズ、及び
−タスクの共通タスク完了期間(CTCP)、
から選ばれる。
−タスクの開始時に生じる、第1のオリエンテーションフェーズ、
−試験被験者のタスク進行を示す第2の又は中間のフェーズ、及び
−タスクの共通タスク完了期間(CTCP)、
から選ばれる。
さらにより好ましくは、構造化タスクが、オリエンテーションフェーズ及び/又は中間のフェーズをタスクのより後のフェーズへ組み込むことによって、タスクのオリエンテーションフェーズ及び/又は中間のフェーズ中の試験被験者の知的処理を比重軽減するように選ばれる。
好ましくは、タスクの共通フェーズがタスクの共通タスク完了期間(CTCP)である。
好ましい形態では、対照被験者のタスクを完了するための時間は、同様のタスク完了時間を有する対照のコホート(cohort)メンバーをタスクの共通フェーズ中の各自のN値について比較するのに先立って、タスクの共通完了フェーズを整列するために瞬きパターンを調整することにより最初に並び替えられる。
好ましくは、瞬き力Bの少なくとも1つの瞬き特性の測定も行われ、該瞬き特性は瞬き持続時間及び瞬き振幅から選ばれ、瞬き特性は標準化タスクの実行中に生じる。
さらにより好ましくは、本方法は、各対照被験者の追加のパラメータを用いた線形回帰による標準化タスクにおける対照被験者のパフォーマンスの解釈をさらに含み、上記追加のパラメータはタスクの共通フェーズから計算される少なくとも1つの示強パラメータ、及びタスク全体にわたって計算される少なくとも1つの示量パラメータを含み、上記示強パラメータは、以下の
−瞬き密度が基線瞬き密度を超えているときの、最後の又は共通タスク完了期間(CTCP)における瞬き時間のパーセント(I1);
−平均クラスタサイズ(最後のCTCPにおけるピークの数で割った密度の高さの積分で、各集中解放時のクラスタ化した瞬きを表し、それにより瞬きクラスタが、局所的基線を越える各クラスタピークの面積を測定することによって決定される)(I2);
−最後のCTCPにおける平均基線瞬き密度(15秒の閾値又はCTCPの10%〜20%の閾値内の相対的密度関数における最小値の、引き続いて最大値の発生の計算により開始関数から推定される)(I3);及び
−タスクに対する平均瞬き速度(タスク全体にかかる総時間におけるタスクにわたる瞬きの総数により計算される)(I4)、
を含む群から選ばれ、I1〜I3は各瞬きに対する平滑化された瞬き密度関数Fを用いて導かれ、上記示量パラメータは、以下の
−タスクの総持続時間(E1又はT);
−瞬きの総数(E2又はN);
−全タスク時間中のクラスタの数(瞬き密度におけるピーク)(E3);及び
−試み(A)=T^2/合計(ギャップ^2)の式を用いた、タスクにおける段階でのクラスタ/試みの数の間接的測度(E4);
からなる群から選ばれ、さらに線形回帰が対照群における瞬きパターンの構造を最もよく表すI1からI4の少なくとも1つ及びE1からE4の少なくとも1つの一次結合を確立するために用いられ、対照被験者に対して計算される1つ又は複数の示強パラメータ又は示量パラメータにおける変動が線形回帰により導かれるパラメータに対する対照範囲に対するデータを提供する。
−瞬き密度が基線瞬き密度を超えているときの、最後の又は共通タスク完了期間(CTCP)における瞬き時間のパーセント(I1);
−平均クラスタサイズ(最後のCTCPにおけるピークの数で割った密度の高さの積分で、各集中解放時のクラスタ化した瞬きを表し、それにより瞬きクラスタが、局所的基線を越える各クラスタピークの面積を測定することによって決定される)(I2);
−最後のCTCPにおける平均基線瞬き密度(15秒の閾値又はCTCPの10%〜20%の閾値内の相対的密度関数における最小値の、引き続いて最大値の発生の計算により開始関数から推定される)(I3);及び
−タスクに対する平均瞬き速度(タスク全体にかかる総時間におけるタスクにわたる瞬きの総数により計算される)(I4)、
を含む群から選ばれ、I1〜I3は各瞬きに対する平滑化された瞬き密度関数Fを用いて導かれ、上記示量パラメータは、以下の
−タスクの総持続時間(E1又はT);
−瞬きの総数(E2又はN);
−全タスク時間中のクラスタの数(瞬き密度におけるピーク)(E3);及び
−試み(A)=T^2/合計(ギャップ^2)の式を用いた、タスクにおける段階でのクラスタ/試みの数の間接的測度(E4);
からなる群から選ばれ、さらに線形回帰が対照群における瞬きパターンの構造を最もよく表すI1からI4の少なくとも1つ及びE1からE4の少なくとも1つの一次結合を確立するために用いられ、対照被験者に対して計算される1つ又は複数の示強パラメータ又は示量パラメータにおける変動が線形回帰により導かれるパラメータに対する対照範囲に対するデータを提供する。
好ましくは、平滑化関数Fが正規ガウス関数である。
特に好ましい形態では、対照群における瞬きパターンの構造は、1から3の間の値を割り当てた3つの範囲に従って被験者を順位付けることにより分類される。ここで、1は高度に構造化された、又はまばらな瞬きを表し、3は低い構造の瞬きパターンを有する努力性瞬き又は密な瞬きを表し、且つ2は同様のタスク完了時間に対する又はタスクの共通フェーズに対する、瞬きの中間的の構造を表す。
好ましい形態では、対照群が正常認知機能を有する被験者からなる。
さらに好ましい形態では、対照群が強められた認知機能を有する被験者からなる。
さらに別の好ましい形態では、対照群は、ADD、ADHD、失読症、痴呆、統合失調症、うつ病、学習障害、心的外傷後ストレス障害、睡眠障害、人格障害、境界性人格障害からなる群より選ばれる障害に関連した認知機能障害、又はアルコール若しくは薬物摂取により損なわれた若しくは強められた認知機能などの、認知機能障害を有する被験者からなる。
さらに別の形態では、本発明は、少なくとも1つの標準化タスクを用いて少なくとも一人の試験被験者の認知処理を検出する方法に関し、該方法は、
−対照被験者に対する、対照被験者の集団のメンバーにおける標準化タスクを完了するための時間の測定、並びに時間的瞬き発生及び総瞬き回数Nの測定;
−試験被験者の、各自のN値についての分析;並びに
−タスク及びN値を完了するための時間に対する対照範囲とのタスクを完了するための試験被験者の時間及びN値の比較、
を含み、対照範囲からのずれは対照範囲と比べて変化した認知処理を有する試験被験者を示唆する。
−対照被験者に対する、対照被験者の集団のメンバーにおける標準化タスクを完了するための時間の測定、並びに時間的瞬き発生及び総瞬き回数Nの測定;
−試験被験者の、各自のN値についての分析;並びに
−タスク及びN値を完了するための時間に対する対照範囲とのタスクを完了するための試験被験者の時間及びN値の比較、
を含み、対照範囲からのずれは対照範囲と比べて変化した認知処理を有する試験被験者を示唆する。
好ましくは、対照範囲が本発明の方法に従って計算される。
さらに好ましくは、試験被験者の認知処理が、示強値及び示量値から選ばれる対照範囲と比較される。
好ましくは、示強値がI4であり、且つ示量値がE3である。
特に好ましい形態では、示強値がI4及びE3から導かれる。
一形態では、対照群における各被験者に対する一組の順位付け値は、各被験者に対して計算された一組の示強パラメータ及び示量パラメータから線形回帰により客観的構造指数を計算するために用いられる。ここで、得られる試験被験者に対する線形化された客観的構造指数値は、対照群に対する範囲に対して示強変数としてプロットされ、さらに、この一次元におけるプロットは、示量変数を表す第2の次元における対応するプロットに対して表示される。ここで示量変数はT又はN若しくはT又はNの関数である。
好ましくは、試験被験者の認知処理が、ADD、ADHD、失読症、痴呆、統合失調症、うつ病、学習障害、心的外傷後ストレス障害、睡眠障害、人格障害、境界性人格障害からなる群から選ばれる認知障害、又はアルコール若しくは薬物摂取により損なわれた若しくは強められた認知機能を検出するために検査される。
さらに別の形態では、本発明は、本発明の方法に従って、被験者が標準化タスクを完了するのにかかる時間中の瞬きの時間的発生を記録するのに適した装置に関する。
さらなる形態では、本発明は、本発明のいずれかの方法に従って、被験者が標準化タスクを完了するのにかかる時間中の瞬きの時間的発生、並びに瞬き持続時間及び瞬き振幅の瞬き特性を記録するのに適した装置に関する。
別の形態では、本発明は、本発明のいずれかの方法に従って、被験者が標準化タスクを完了するのにかかる時間中の瞬きの時間的発生を表示するのに適した装置に関する。
さらなる形態では、本発明は、本発明のいずれかの方法に従って、被験者が標準化タスクを完了するのにかかる時間中の瞬きの時間的発生、並びに瞬き持続時間及び瞬き振幅の瞬き特性を表示するのに適した装置に関する。
別の形態では、本発明は、本発明のいずれかの方法を実行するための、被験者が標準化タスクを完了するのにかかる時間中の瞬きの時間的発生を記録するのに適した装置の使用に関する。
さらに別の形態では、本発明は、本発明のいずれかの方法を実行するための、被験者が標準化タスクを完了するのにかかる時間中の瞬きの時間的発生、並びに瞬き持続時間及び瞬き振幅の瞬き特性を記録するのに適した装置の使用に関する。
さらなる形態では、本発明は、本発明のいずれかの方法を実行するための、被験者が標準化タスクを完了するのにかかる時間中の瞬きの時間的発生を表示するのに適した装置の使用に関する。
別の形態では、本発明は、本発明のいずれかの方法を実行するための、被験者が標準化タスクを完了するのにかかる時間中の瞬きの時間的発生、並びに瞬き持続時間及び瞬き振幅の瞬き特性を表示するのに適した装置の使用に関する。
さらに別の形態では、本発明は、本発明のいずれか1つの方法に従って、認知処理に対する対照範囲を作成する及び/又は試験被験者の認知処理を検出するために、瞬きデータを分析するためのコンピュータ分析の方法に関する。
別の態様では、本発明は、標準化タスクにおける瞬きのパターンにより認知処理を評価することに関係する。したがって、この態様における本発明は、標準化タスクにおける瞬きパターンの分析により被験者の認知処理を評価する方法へ広がる。
[詳細な説明]
本発明は、認知に関する高度な情報を、瞬き間隔の相関及び/又は瞬き持続時間により示される情報によってなど、管理された設定における瞬きパターンの分析により得ることができるという認識を前提とする。この有益な情報は、局所的な認知作用を検出するために利用することができる。特に、本発明は、瞬きを試験時の個人の認知状態の測度として用いることができるという発見に基づく。この状態は時間によって及び個人個人で変化するかもしれないが、瞬きデータの豊富さゆえ、この状態は内部処理の変化を反映する経時的な体系的変化と見做され得る。なぜなら、瞬きの大部分は意識下のイベントだからである。
本発明は、認知に関する高度な情報を、瞬き間隔の相関及び/又は瞬き持続時間により示される情報によってなど、管理された設定における瞬きパターンの分析により得ることができるという認識を前提とする。この有益な情報は、局所的な認知作用を検出するために利用することができる。特に、本発明は、瞬きを試験時の個人の認知状態の測度として用いることができるという発見に基づく。この状態は時間によって及び個人個人で変化するかもしれないが、瞬きデータの豊富さゆえ、この状態は内部処理の変化を反映する経時的な体系的変化と見做され得る。なぜなら、瞬きの大部分は意識下のイベントだからである。
したがって、瞬き、特に瞬きパターン及びクラスタリングを、タスクを施行中の脳においてアクティブなリアルタイム処理の実際の時間的経過を明らかにするために用いることができる。
[瞬き一般]
瞬きは様々な理由で起こるが、本発明の中心点は、瞬きのなかには、中枢の脳内神経伝達物質活動がゲーティングイベントに至るとき時々起こるものがあるということである。ゲーティングとは、視床周囲の神経活動を意味するために用いられてきた用語であり、知覚における異なる感覚からのデータの評価(時にバインディングとして知られている)と関連していると考えられる。瞬きは、好ましくはゲーティングイベントの不感時間内に起こるように調節し、瞬きの視覚入力損失を最小限にするために、学習現象としてのゲーティング活動と関連するようになる。しかしながら、脳の視覚回路における活動のみを反映するというよりはむしろ、瞬きは脳におけるタスク全体の処理の側面を反映するようになる。ゲーティングという用語の我々の使用は、知覚入力、中央処理又は行動出力の調節に関係していようと、全ての処理の中断を意味する。このように、順次起こるサブタスクへの脳処理の分割を反映するために用いられる一般的用語を、本明細書中では「ゲーティング」と称する。
瞬きは様々な理由で起こるが、本発明の中心点は、瞬きのなかには、中枢の脳内神経伝達物質活動がゲーティングイベントに至るとき時々起こるものがあるということである。ゲーティングとは、視床周囲の神経活動を意味するために用いられてきた用語であり、知覚における異なる感覚からのデータの評価(時にバインディングとして知られている)と関連していると考えられる。瞬きは、好ましくはゲーティングイベントの不感時間内に起こるように調節し、瞬きの視覚入力損失を最小限にするために、学習現象としてのゲーティング活動と関連するようになる。しかしながら、脳の視覚回路における活動のみを反映するというよりはむしろ、瞬きは脳におけるタスク全体の処理の側面を反映するようになる。ゲーティングという用語の我々の使用は、知覚入力、中央処理又は行動出力の調節に関係していようと、全ての処理の中断を意味する。このように、順次起こるサブタスクへの脳処理の分割を反映するために用いられる一般的用語を、本明細書中では「ゲーティング」と称する。
思考(能動的知覚でも行動出力でもない)に関連したゲーティングは、目を閉じたままの間でも、処理中断を反映するために起こる、知覚される瞬き残存活動において明らかにされる。
したがって、瞬き分析は、何を脳が時間によって処理しているのかではなく、どのように脳が時間内にタスクを処理するのかを反映する。意識的なタスク処理は内容の別々のサブユニットにおいて起こるという概念は、しばらくの間一部の分野において理解されてきたが、この処理が実時間においてどのように分割されるかという概念は、本発明にとって新しい。
[瞬きの種類]
ある種類の瞬きは、外部の識別可能な刺激(たとえば、被験者の驚き、眼球への空気の一吹きなど)によって誘発される。これらの瞬きは非自発的な傾向がある。
ある種類の瞬きは、外部の識別可能な刺激(たとえば、被験者の驚き、眼球への空気の一吹きなど)によって誘発される。これらの瞬きは非自発的な傾向がある。
本明細書中で用いられているように、「刺激を受けた瞬き」若しくは「外因性瞬き」、又はこれらの複数形の用語は、上述の眼球への空気の一吹き、眼の表面を滑らかにすること/湿らせること、又は刺激への反射瞬きのような、識別可能な外部の刺激又は眼の解剖学的要求と関連した基本的な生理学的要求により誘発される瞬きを意味する。このような刺激を受けた瞬き又は外因性瞬きは、認知処理に関連するものを排除する。
瞬きのもう1つのクラスは、注意が、ある注意の領域又は状況から別のところへ向けられる時に起こるような、又はあるタスクから別のタスクへ移動しようと決めるときに起こるような、自発的又は意識的瞬きである。これらは、被験者の注意を十分に保持する、所与のタスクでの瞬きを調査することにより最小限にすることができる。若しくは、好ましくは、構造化タスク(下記参照)の定義にプログラムすることができる。
「瞬き」という語句は、「認知処理」又は「認知処理瞬き」又は「内因性瞬き」(Stern、Walrath及びGoldstein、「内因性瞬き」、Psychophysiology、21巻、22〜33頁、1984年)に関連する。この出版物は、自発的な、驚きの及び反射の瞬きを中枢性又は内因性の瞬きと区別しており、何の識別可能な誘発刺激もなしに起こる瞬きイベントを記述するが、単一のタスクを処理する際に起こるものであり、典型的には非自発的である。1つの例は、視覚における固視点に向かう一連のサッカードの終了時に起こる傾向がある瞬きである。
被験者における認知処理瞬きは、被験者のタスクのパフォーマンス内の段階、すなわち、a)新規な情報の登録、b)高レベルの認知処理、c)タスク熟達、及びd)疲労又は倦怠を示すことができる。被験者が標準化タスクを行うとき、前述のタスク処理の段階は、本出願の発明者によって、異なる及び区別できる瞬きパターンにより特徴付けられることが分かった。大きな瞬きは、より長くより深い瞬き(完全な閉眼)であるのに対して、小瞬きとして分類される瞬きの種類は、より短くより浅い瞬き(不完全な閉眼)を表す。単独の瞬きそのままでも、多くの瞬きの平均測度(瞬き速度など)そのままでも、脳の認知処理の情報を与えるものではないが、本発明者は、タスクの経過中の大きな瞬き及び小瞬きの発生パターンが、脳の認知処理の重要且つ有益な側面を明らかにするということを見出した。
大きな瞬きはコヒーレントな中央のタスク処理の期間を区切る傾向があるのに対して、小瞬きはコヒーレントなタスク処理のバースト中に起こる傾向がある。逆に、小瞬きは持続的注意の期間中に起こる傾向がある一方で、大きなより深い瞬きは持続的注意の二つの期間の間で起こる傾向がある。
本明細書中で用いられているように、「小瞬き」という用語は、このように、大きな瞬きに対して、より短い持続時間及びより浅い深さを含む、識別可能な生理学的特性を示す瞬きの種類を意味し、標準化タスクの1つ又は複数のフェーズの施行における被験者の内部処理の指標である。
大きな瞬きは、相対的に大きな瞬き振幅及び持続時間の値を示して、被験者の注意の変化点で起こる傾向があるのに対して、小瞬きは、比較的小さな振幅及び持続時間の値で持続的注意の期間内に起こる傾向がある。このように、大きな瞬きはタスクの精神的処理のフェーズ間で起こる傾向があるのに対して、小瞬きはタスクの所与のフェーズ内に起こる傾向がある。したがって、瞬きの種類の特徴付けにより、タスク記録を持続的精神的努力の期間へ分離する手段が提供される。これらの期間は大きな瞬き又は瞬きクラスタによって区切られる傾向がある。瞬きクラスタは、タスクのフェーズの終点に近づいているとき、又はタスクの達成後、集中力としての瞬きの動揺が消えるときに、素早く起こる。このように、試験中の瞬き記録は、標準化タスクを完了するために被験者によって用いられる精神的処理のフェーズを解釈する手段となる。
好ましくは、精神的処理のこれらのフェーズを、タスクのより早いフェーズの経過をタスク(本明細書中では「構造化タスク」と呼ぶ)のその後のフェーズの実行に組み込むフェーズを有する標準化タスクの選択によって、異なる被験者を比較する目的で強調することができる。ここで記憶はタスクを進行するのに用いられるために必要である。
本発明の方法にとって、構造化タスクは被験者において外因性瞬き、すなわち上述した、認識可能な刺激によって誘発される瞬きを減らすように選ばれた及び/又は設計された環境において行われることが好ましい。概して、実験室又は研究の設定において典型的であるように、これは注意をそらすものをタスクパフォーマンスから最低限に抑えることを含んでいる。
[瞬きの測定]
タスク中の詳しい瞬き特性の測定は、認知処理を反映している時間構造、すなわち、どのように脳がタスクの完了をサブタスクに分割するかを示す。
タスク中の詳しい瞬き特性の測定は、認知処理を反映している時間構造、すなわち、どのように脳がタスクの完了をサブタスクに分割するかを示す。
本明細書中で用いられる「認知処理」という用語は、このように、ある活動又はタスクを行うための被験者の固有の素質を言い、ここで活動又はタスクは、認知処理が被験者の神経化学的構造及び神経化学的ゲーティングを示すように、脳が一連の要求を満たすことを必要とする。
この神経化学的ゲーティング現象は、書かれた文章を意味のある語句に分割するときの句読点により果たされる役割に似ているものとして考えられる。脳による意識的処理において注意が向けられる連続した(サブ)タスクは、このように、それぞれがコヒーレントな注意のサブユニットとみなされる、一連の「エピソード」とみなされる。この注意は外部世界(知覚処理又はそれに基づく行動)に向けられ得るか、又は心の内部(すなわち思考)であり得る。
各「エピソード」は、二つのゲーティングシグナルの分界内で起こり、したがってコヒーレントな処理の単一の集中したバーストを意味する。1つのエピソード中で、入力処理、中央処理及び出力処理は、典型的にはある程度重なって起こるであろう。
本発明は、ちょうど言語発声中の吸息が発声のコヒーレントなバーストの間の自然な句読点を形成するように、コヒーレントな認知処理が大きな注意の変化及び変わらない瞬きによって区切られる短いバースト中に起こるということを認識する。注意の変化を平均化することは、入力中の認知処理のコヒーレントなバーストを反映するいかなるデータもだめにしてしまうであろう。したがって、それは短期の命令であり、瞬き間隔と次の瞬き持続時間との間の局所的な時間内の相互相関であり、内部認知処理様式に関連した規則性を認識するために追跡されなければならない。この時間内の瞬きの追跡、及び瞬き間隔の時間の局所的相関は、本発明の方法にとって必要な分析の第1の次元を表す。
本発明の一実施形態において、瞬きはまた、独立した測度として、性質(深さ/持続時間)及び相対的局所発生(間隔、直近の隣接する間隔など)の両者を特徴付けるために、時間内に正確に追跡される。その結果、これらの二つの次元から取られた統合測度は、認知処理(持続時間約2〜5秒)の時期を区別できる。
本発明の方法は、時間領域において情報を収集し、EEG報告に特有の周波数領域(その逆)では収集しない。瞬きの直接の測定は、好ましくは電気眼球図装置(角膜及び網膜又は眼底間の電位差を表すEOG電圧を記録する)を介して生じる。EOG電圧はまぶたの動きにより作られ、眼底に対し、角膜において正電荷を作る。EOG測定によって、瞬き中のまぶたの位置を記録することができる。しかしながら、EMG(筋電計)も、これらの装置はまぶたを閉じるのを始める筋肉(たとえば眼輪筋)からの電気的活動を記録できるので、本発明の方法のために用いることができる。まぶたにひもを直接付けて、目の開閉を測定する電位差計を用いたりするような、より簡単な装置でも用いることができる。オフラインで分析し得るフィルム、ビデオ及びCCDイメージ記録を含む、強膜反射又は目からの他の反射の光電子記録のような他の技術も、各瞬きの発生の時間的経過及び形を検出する手段として、本発明の方法のために用いることができる。
瞬き時間パラメータの測定はデータ収集装置を簡素化するので、測定は、(脳波図)EEG測定ができるより広い一群の設定において行うことができる。
さらに、本発明は、瞬き深さパラメータ(a)(又は瞬き深さ閉眼、パークロス(perclos)、まぶたにより覆われた虹彩のパーセント)を測定するだけでは、疲労又は覚醒に関係した情報、実験被験者の活性化のみをもたらすということを認識する。しかしながら、瞬きの持続時間(d)と組み合わされたときには、瞬き深さ又は振幅は各瞬きについての有益な情報をもたらす。一回の瞬きに対する大きな振幅及び持続時間の組み合わせは、タスクのサブタスクフェーズ間の非自発的であるかもしれない大きな瞬き、又はタスクの新しいフェーズに先立って処理資源をリフレッシュするための自発的であるかもしれない大きな瞬きを示す。後者は、注意の1つの領域内の処理ポイントを示すこのような文章の段落内の、終止符又はコンマに特有のより小さな中断と比べて、注意の大きな変化を示す書かれた文章における段落中断にたとえることができる。
データセットの各瞬きを特徴付けるための二つの次元(a及びd)が被験者について集められるとき、これらは、大きな瞬きを通じた小瞬きから延長された自発的瞬きへの連続線上に瞬きを置くことを支援する瞬き跡(「瞬き力」パラメータB=a*dにより近似されるτ)下の領域のように、瞬き重要性の一般的測度(τ)をもたらすように組み合わされることができる。
タスク上の瞬きの時間的経過は、それ自体が認知処理の情報を与え得る隣接した瞬き間の最小不応期に瞬きが起こるという事実から、より容易に識別されることができる。このように、一連の隣接する瞬きのそれぞれの発生の時間的経過は、発生の時間したがって個々の瞬き間の間隔と共に用いられることができる。
したがって、本明細書中で用いられる「Gi」という用語は、前の瞬きから瞬きi(ここでiは個々の瞬きを言う)までの間隔又はギャップを意味する。
好ましくは、二つの独立したパラメータ(1つは前の瞬き間隔又は時間ギャップGi=ti−ti−1を反映し、及び1つは個々の瞬き重要性Bi=ai *diを反映する)間の相関が調べられ、より高次の相関データが、時間的瞬きパターン及びそれらの振幅内でのクラスタ分析のために調べられる。
本明細書中で用いられる「より高次の相関データ」という用語は、個々の瞬き発生データを計算したり、平滑化及び/又は重み付けしたりするために、又は瞬きクラスタを視覚化したり、数えたり、比較するために適用される数学関数を意味する。各イベントを最小瞬き間隔と釣り合った標準偏差を有する正規化ガウス関数Fで置換することによる瞬き発生の平滑化は、瞬きクラスタを自動的に検出する好ましい手段である。
本発明によると、比較的単独の個々の瞬き、同様の瞬きの隣接するペア、隣接する三つ組、及びさらに大きなクラスタは、認知処理の有益な診断及び識別に寄与するものである。これは、個人を特別な構造化タスクの同様なフェーズでのパフォーマンスを比較するときに明らかになる。互いに比較的近いタスク完了時間を有する二人の被験者を比較する場合であっても、我々はタスク中の瞬き記録における瞬きのまばら又はクラスタリングを通じて、個人間の個々の処理特性における大きな違いを観測することができる。
ギャップ時間及び瞬き重要性の二つのパラメータはまた、以下により詳しく議論するが(反復及び認知要求を用いて認知処理を評価するように設計される)、指示が被験者に与えられる期間を含み、標準化タスクの具体的側面に関して、認知処理の実際の時間的経過について有益性の高い様式で、集められたデータを表示されるようにする。これは、連続したデータが、ある種類の認知タスク、及び特にタスク内のフェーズに関連するバッチに細分されるようにする。
好ましくは、これらの測定は個人の認知処理構造の特性を定量化し、作業環境において期待されるタスクに関連した設定のように、ある実験的な設定内で個人のパフォーマンスを比較する。次に、学習パフォーマンスの比較は、提案されたタスク構造に最も適した個人の選択を可能にし、さらに各個人に対して、個人の最適なパフォーマンスの減損原因である要素の客観的同定を可能にする。
本発明の方法及び装置は、教育的設定だけでなく軍隊、安全、産業プロセス及び金融市場設定のような状況において、特に被験者スクリーニング手段としての使用に推薦される。特に、各個人の訓練速度は、その個人により持続的パフォーマンス目標を満足するかどうかを示すものとして有用である。そのような検出方法も、規定された主題を有する同等の人に対する個人の学習能力を客観的に評価するための、より一般的な教育的又は訓練的設定において価値があるであろうということが理解されるであろう。
個人について瞬きデータを追跡することの特別な有用性は、時々の自発的瞬き(又はその他の外因性瞬き)を除いて、ゲーティング及びサブタスク処理中断を反映する内因性瞬きは被験者にとって意識下のイベントであるので、それらは実験的状況におけるその個人の自然の処理スタイルを反映するということである。さらに、瞬きイベントの頻度に起因するデータの豊富さは、タスクの異なる例にわたり(短期に学習効果を示すこと、若しくはおそらくはより長期にパフォーマンス低下を示すこと)、又は一人の個人を別の個人若しくは想定する他者の集団と比較するために、タスクの異なるフェーズを通じて個人のパフォーマンスを追跡するために用いることができる。
本発明の方法及び装置はまた、DSM IV(米国精神医学会の診断・統計マニュアル、第4版、1994年)に現在記載されているような特別な神経学的及び精神医学的疾病並びに障害(及び続発症)の診断基準を補完するために提案される、正常及び異常の認知パフォーマンス評価指標を特徴付ける、特に検出するための体系的基礎を提供しようとするものである。したがって、本発明の方法及び装置はまた、そのような疾病又は障害の治療(特に薬理学的治療、栄養補助食品又は食事の変更、及びカウンセリング又は行動療法)の影響を測定するための客観的基礎を提供しようとするものである。このように、装置及び測定システムは、ADHD、うつ病、統合失調症、OCD、自閉症及びパーキンソン病を含むがこれらに限定されない精神疾患に対する、薬物及び他の治療の有効性を分析する際に主に用いられるだろう。
また、上記方法及び装置を、薬物又はアルコール摂取を含むがこれらに限定されない状況において起こり得る、被験者における集中力の変化又は他の種類の認知処理変化のような、精神測定パラメータを検出するために用いることができる。
モノアミン作動性神経伝達物質ドーパミン(DA)、ノルアドレナリン(NA)及びセロトニンの認知処理内での様々な役割は、異常な瞬きと精神病及び精神障害との間の精神生理学的関連をもたらす、瞬き活動のある側面への関係を示す。瞬きは脳内の一般的なモノアミン作動性神経伝達物質のゲーティング活動と位相的に関連があるので、モノアミン作動性又はカテコールアミン作動性(DA、NA)障害又は薬物は、この発明の主要な応用であると期待されている。本方法の利点は、測定技術がより高次の脳機能に直接関連した脳活動の客観的定量化をもたらすために非侵襲的であるということである。他の利点は、脳活動を調べる多くの他の方法と比べて、家庭の設定又は作業環境のような環境において、比較的簡素であること、低コスト及び使用の利便性である。
本発明はこのように、特により高次の認知活動に関して、脳活動を特徴付けるための受動的追跡及び客観的方法に関連する。この方法のための測定プロセスは、内因性瞬き活動(特に、この装置の好ましい例では、EOG活動を通じて)を、その単位構造が、脳の処理活動のある明確な種類を代表するパターンへの瞬き活動の追跡及びクラスタリングの分析的基礎をもたらす、ある瞬きの種類及び隣接する瞬き間の間隔に分析する。
本発明は、基礎的な脳の処理構造を正確に反映するような方法で、瞬きの種類及び瞬きの間隔を特徴付ける。基礎的な脳の処理構造のこの特徴付けは、標準化試験状況下の個人のパフォーマンスを比較する手段を提供するので、データ収集のための基礎及び個人の脳の処理パフォーマンスの比較分析をもたらす。
いかなる単一の様式又は行為理論に限定されずに、本出願の発明者は、脳内の注意の変化に関連した重要な神経伝達物質の活動と関連して起こる傾向がある瞬きの傾向が、脳処理のタイミングが注意のエピソードを特徴付けるということを意味するということを提案する。瞬きの時間における発生パターン及び各瞬きの大きさは共に、どのようにタスクが「中断された」サブタスクへと処理されるかを示唆している。さらに、小瞬きは、段落中断(大きな焦点変化)からプロセス内の停止やコンマ(小さい句切り標識)までの、書かれた文章における中断の種類に例えられることができるということが仮定される。このように、小瞬きは内部の脳処理中断様式を反映する。
[好ましい標準化タスク]
瞬きパターンにおける個人の違いは非常に幅広いので、標準化タスクは瞬き分析にとって好ましいフォーマットである。タスクのいくつかのフェーズの繰り返しを組み込むように設計されたタスクは、いくつかのフェーズが学習効果を遅くするので好ましい。そのような設計は主要なタスクの区切り点を強調する傾向があるので、ある程度の類似性を、異なる個人の瞬きパターンへ導入する。とても広い相違でさえも、同様のタスクに携わる二人の個人の瞬きパターンを特徴付ける傾向がある。これらの違いは、そこから個人の処理様式のサブタイプが同定され得る豊富なデータを提供する。
瞬きパターンにおける個人の違いは非常に幅広いので、標準化タスクは瞬き分析にとって好ましいフォーマットである。タスクのいくつかのフェーズの繰り返しを組み込むように設計されたタスクは、いくつかのフェーズが学習効果を遅くするので好ましい。そのような設計は主要なタスクの区切り点を強調する傾向があるので、ある程度の類似性を、異なる個人の瞬きパターンへ導入する。とても広い相違でさえも、同様のタスクに携わる二人の個人の瞬きパターンを特徴付ける傾向がある。これらの違いは、そこから個人の処理様式のサブタイプが同定され得る豊富なデータを提供する。
[被験者比較:選ばれた標準化タスク]
好ましくは、個人を本発明の方法を用いて比較するとき、その個人は同じ標準化タスクを行い、さらにより好ましくは、被験者は二つ以上の標準化タスクを行う。上述のように、特に好ましい形態では、タスクの少なくとも1つが構造化タスクであり、構造化タスクは進行性及び反復的(繰り返しの)タスク要素の両方を含む。構造化タスクは、タスクの以前のフェーズの経過をタスクの次のフェーズの実行に組み込むフェーズを有するので、記憶がタスクを進行するために用いられることが必要とされる。この方法論は、以下を含むがそれらに限定されない、分析されるべきタスク内のあるフェーズを可能にする。
a)タスクの開始のオリエンテーションフェーズ
b)進行の中間ステップ
c)すべての被験者に対する共通成果の完了
好ましくは、個人を本発明の方法を用いて比較するとき、その個人は同じ標準化タスクを行い、さらにより好ましくは、被験者は二つ以上の標準化タスクを行う。上述のように、特に好ましい形態では、タスクの少なくとも1つが構造化タスクであり、構造化タスクは進行性及び反復的(繰り返しの)タスク要素の両方を含む。構造化タスクは、タスクの以前のフェーズの経過をタスクの次のフェーズの実行に組み込むフェーズを有するので、記憶がタスクを進行するために用いられることが必要とされる。この方法論は、以下を含むがそれらに限定されない、分析されるべきタスク内のあるフェーズを可能にする。
a)タスクの開始のオリエンテーションフェーズ
b)進行の中間ステップ
c)すべての被験者に対する共通成果の完了
標準化タスクが徐々に学習される場合、及び完了又は熟達フェーズで終結する場合、被験者の学習速度の違いはそのような分析手法を用いた試験パフォーマンスの比較に対して与える影響が少ないので、完了フェーズの比較により異なる被験者のパフォーマンスを比べることは特に有用である。
[個人的要素]
所与のタスクのタスク要求への個人の処理反応を特徴付ける、瞬きパターンの広い範囲がある。これは、タスクが新規且つタスクの繰り返しから強い学習効果がある場合に特に顕著である。
所与のタスクのタスク要求への個人の処理反応を特徴付ける、瞬きパターンの広い範囲がある。これは、タスクが新規且つタスクの繰り返しから強い学習効果がある場合に特に顕著である。
同様のタスクを処理する場合においても、二人の個人の間に広い個人差がある。同じ又は同様のタスクを処理する個人間の比較によって、それらの個人差を明らかにすることができる。
個人の瞬きパターンは、学習及びタスクへの熟知の結果として変化する。
・いかなる新しいタスクも登録及び理解するのに時間がかかり、理解への個人のアプローチはタスクの瞬き中断を一般的に予測不可能にするが、このフェーズにおける瞬きの発生はより頻繁で、比較的深い瞬きを含む。
・構造化又は繰り返しタスクにおいては、瞬きパターンは一般にタスクの自然のフェーズを反映する。
・瞬き発生は、視野が知覚的明瞭さに関してスキャンされる時に、タスク内の注意の正常なサッカードにより刺激される。
・瞬きは、集中した精神的注意の期間中に抑制される傾向がある。集中が解放されると、瞬きの動揺が生じる傾向がある。
・タスク熟知度が増加するにつれて瞬き発生は減少し、より浅い瞬きが生じる。
・疲労又は倦怠とともに、より低い瞬き発生だがより深い瞬きが起こる。
・瞬きは、行動の出力決定(終点)、及び被験者が入力を処理している時の単語又は語句の終わりとともに同時に起こる傾向がある。
・いかなる新しいタスクも登録及び理解するのに時間がかかり、理解への個人のアプローチはタスクの瞬き中断を一般的に予測不可能にするが、このフェーズにおける瞬きの発生はより頻繁で、比較的深い瞬きを含む。
・構造化又は繰り返しタスクにおいては、瞬きパターンは一般にタスクの自然のフェーズを反映する。
・瞬き発生は、視野が知覚的明瞭さに関してスキャンされる時に、タスク内の注意の正常なサッカードにより刺激される。
・瞬きは、集中した精神的注意の期間中に抑制される傾向がある。集中が解放されると、瞬きの動揺が生じる傾向がある。
・タスク熟知度が増加するにつれて瞬き発生は減少し、より浅い瞬きが生じる。
・疲労又は倦怠とともに、より低い瞬き発生だがより深い瞬きが起こる。
・瞬きは、行動の出力決定(終点)、及び被験者が入力を処理している時の単語又は語句の終わりとともに同時に起こる傾向がある。
さらに、個々の被験者の比較は、以下を含む、瞬きにおける基礎的な類似点をさらに明らかにする:
a)成功した知覚時に瞬きする傾向;
b)行動の開始時に瞬きする傾向;
c)集中した注意中瞬きを抑える傾向;
d)集中した期間の終わりに1又は複数の瞬き(瞬きの動揺)を解放させる傾向;及び
e)タスクの内部処理フェーズを示すために起こる瞬きの傾向(小瞬き)。
a)成功した知覚時に瞬きする傾向;
b)行動の開始時に瞬きする傾向;
c)集中した注意中瞬きを抑える傾向;
d)集中した期間の終わりに1又は複数の瞬き(瞬きの動揺)を解放させる傾向;及び
e)タスクの内部処理フェーズを示すために起こる瞬きの傾向(小瞬き)。
[標準化タスクからのデータの分析]
好ましくは、選ばれた標準化タスクからのデータは、対照被験者のコホートから収集される。このコホートは、ADD、ADHD、失読症、痴呆、統合失調症、うつ病、学習障害、心的外傷後ストレス障害、睡眠障害、人格障害、境界性人格障害、又はアルコールにより損なわれた又は薬物摂取により損なわれた若しくは強められた認知機能の1つ又は複数が診断されていない被験者の集団からなることができる。
好ましくは、選ばれた標準化タスクからのデータは、対照被験者のコホートから収集される。このコホートは、ADD、ADHD、失読症、痴呆、統合失調症、うつ病、学習障害、心的外傷後ストレス障害、睡眠障害、人格障害、境界性人格障害、又はアルコールにより損なわれた又は薬物摂取により損なわれた若しくは強められた認知機能の1つ又は複数が診断されていない被験者の集団からなることができる。
あるいは、対照群は、前述の状態の少なくとも1つと診断された、及び/又は前述の状態の少なくとも1つの徴候又は症状を示している被験者のコホートを表すことができる。この種類の対照群は、変化した認知処理と関連する特定の状態のサブタイプの客観的測度を定義する際により優れた明瞭さが求められるときに、特に好ましい。
状態の「サブタイプ」という用語は、変化した認知処理と関連する又は変化した認知処理により特徴付けられる、特定の状態を有する被験者のグループ分けを言うために本明細書中で用いられる。これらのグループ分けは、瞬きデータ中に利用できる詳細によって本発明の方法から客観的に見分けがつく。この瞬きデータは、その状態を有する被験者によって提供される診断入力データの定性的な言語の性質によって、通常の診断基準だけ(たとえばDSM IV)を用いて同程度認識されることができない。被験者において観察される徴候の集合として、曖昧さをもって定義される神経学的症候群は、本発明によって提供される方法のように、データを分解するためのいくつかの関連した次元にある、十分な定量的データの利用可能性だけを有するサブタイプに分類されやすい。
さらに進んだ形態では、対照群は、平均知能指数(IQ)より高い知能指数、及び/又は向上した学習能力、記憶技術又は他の向上した認知機能を有する個人のコホートからなる。対照群のこの形態は、標準を越える認知能力の測定範囲を広げる、ある程度難しい標準化タスク、又は好ましくは構造化タスクを設計又は選択するときに、選択することができる。
選ばれたタスクの実行中の正規化タスク完了時間及び瞬き特性の範囲(複数可)を得るために、データは対照コホートの各メンバーに対して標準化タスクの実行中に収集される。
本明細書中で用いられる「対照範囲」という用語は、標準化タスクについて対照被験者の集団を特徴付けるために設定されるパラメータの限界を言い、パラメータはタスク完了時間及び瞬き特性又はそれらの派生物、並びにタスク完了時間Tの最小値及び最大値のような、タスクのタスク完了時間又は瞬きパラメータ特性における線形変化量だけでなく、特定のフェーズにわたる瞬きのパターン(空間パターン)における変化量のような、瞬き特性のパターンの非線形範囲を含む。したがって、「対照範囲」という用語は、たとえば、二つ以上のパラメータにわたる結合分布により最もよく表されるであろう、瞬きクラスタのパターン(すなわち、対照瞬きクラスタパターン)内の特定の変化量を言うことができる。
実施例と図によって本発明における対照範囲とその応用を記載する。
上述の対照範囲(複数可)を得るために、標準化タスクからのデータを多くの異なる技術を用いて分析することができる。当業者は、本発明の方法において用いるために、対照被験者のコホートに対する対照値及び/又は範囲を導くために、広い範囲の適した代替の技術が、上述した対照データのコンピュータ分析のためにあるということを理解するであろう。
たとえば、対照被験者を、標準化タスク内の1つ又は複数の選ばれたフェーズ中の、1つ又は複数の瞬き特性に照らして比較することができる。特に好ましい形態では、瞬きの時間的発生がタスクにわたって測定され、タスクの特定のフェーズが、タスクのそのフェーズ中の連続した瞬き間のギャップ(G)のサイズを示すことによる分析のために選ばれる。瞬き力(B)を表す第2の測度を表示することも好ましい。瞬き力は1つ又は複数の瞬き振幅及び瞬き持続時間から導かれる。B値は、(各瞬きに対する統一された重み付けよりむしろ)各瞬きの値への重み付けを導入するために用いられることができる。
様々な重み付けを、たとえば、各B値に割り当てることにより、各瞬きに対して用いることができる:
(i) 単位重み付け(w=1)
(ii) 相対的a値による重み(w=a)
(iii) 相対的d値による重み(w=d)
(iv) a×dによる重み(w=a×d)
又はB値は、下記のようなギャップGのサイズによりさらに重み付けられることができる:
(v) a×d×G又は
(vi) a×d/G
(i) 単位重み付け(w=1)
(ii) 相対的a値による重み(w=a)
(iii) 相対的d値による重み(w=d)
(iv) a×dによる重み(w=a×d)
又はB値は、下記のようなギャップGのサイズによりさらに重み付けられることができる:
(v) a×d×G又は
(vi) a×d/G
タスクの共通フェーズに関する時間に対して時間的瞬き振幅(瞬き間のギャップ、すなわちG)をプロット又は追跡することにより、被験者の共通フェーズデータの二次元的表現が可能である。このフェーズにわたる瞬き自体の特性、特に、各瞬きに対する瞬き力をプロット又は追跡することも好ましい。
個人の瞬きの分析のための方法の改良版において、我々は、別個のイベントとして自然に生じた隣接する瞬きが集まって平滑化された「密度関数」(D)を形成することができるように、平滑化関数を各瞬きの発生に適用することもできる。ここで密度関数においてグラフのピークは瞬きのクラスタの発生を表す。瞬き密度(本明細書中ではD値と呼ぶ)は、正規ガウス関数のような平滑化関数Fを各瞬きの発生点に適用することによって得ることができる。各瞬きの標準偏差パラメータ(bw=SD)は被験者個別に対する又は対照群に集合的に対する個人の瞬き間の最小不応期より大きい。個人のF値、そして集合したD値は、瞬き振幅、瞬き持続時間、G値、又はそれらの任意の派生物に従って重みを減らされるか重み付けられることができる。
構造化タスクの経過中に同定される瞬きのクラスタは、サブタスクの完了により被験者を整列する際に特に有用である。平滑化された密度関数Dにおけるピークの計数は、タスクの完了において被験者によって実行されるサブタスクの完了を表すクラスタの数の測度を提供する。
瞬きパターンのコンピュータ分析は、様々な方法を用いて行うことができる。たとえば、前述したが、タスクの具体的期間に対して計算される標準偏差として適したbw値とともに、ガウスカーネルFx(すなわち、可変関数を重み付けるために用いられる標準的な数学的方法論)を用いて瞬きデータを平滑化することによって、「示強」パラメータを計算することが可能である。好ましくは、これは、タスクを完了するのにかかる時間が最小である対照群における被験者によって前述のタスクの完了に対する期間として持続期間内に定義されるタスクの共通完了フェーズを含む。
この重み付け関数(w)は、瞬きクラスタが都合よく集められることができるように、瞬きシグナルを人工的に不明瞭にする(smear)ための平滑化関数と関連して各瞬きを重み付けるために用いられる。各瞬きに対して約1.5〜3秒の範囲内のバンド幅(bw)で、各瞬きは別々なのでそれら自体決して重ならない瞬きに対する密度関数におけるピークを示すために、我々は都合よく個々の瞬きをクラスタ化することができる。これは、示強分析におけるクラスタとして発生するピーク(BP)の数や、クラスタにおける瞬きの数に対応するそれらのピークの面積(BC)、及び何人かの被験者に対して起こり得るクラスタと無関係な(よりランダムな)バックグラウンド瞬き速度(BB)など、二次元的表示上のピークとしての瞬きクラスタリングの期間の評価及びタスクの共通フェーズにおける、関連した瞬きの示強特性の自動計数を可能にする。
本明細書中で用いられるように、「示強パラメータ」という用語は、示強パラメータがどのように被験者が標準化タスクの共通フェーズを完了するかを示すように、瞬きの種類及びタスク中に瞬きがクラスタ化される様式に従って計算されるところの、一人の被験者から導かれる値又は被験者の集団からの範囲を言う。
示強及び平滑化された分析のために標準化タスクの共通フェーズを選択することによって、各被験者に対する分析を補完することや、タスク完了時間T、タスクに対する瞬きの総数N、及び構造化タスクに適用できる試みAの総数など、タスクに対する従来の「示量」及び離散的瞬きパラメータの範囲を超えることが可能である。
共通タスク完了フェーズ中の各被験者を特徴付けるために計算され得る示強パラメータ及び全タスクに対する示量パラメータも各被験者を特徴付けるために測定される。詳細な瞬き分析の値の考慮なしに設計された心理試験は、タスクの示量パラメータ(タスク完了時間、試みの数、誤りの数)によって被験者を区別するように通常設計されるであろう。一方、設計される標準化タスクは、分析に示強パラメータを含めることによってどのように被験者が選択されたタスクの共通フェーズを完了するかを体系的に比較することを可能にさせる。
適した示強パラメータは以下を含む:
−共通タスク完了フェーズ(CTCP)における瞬き時間のパーセント、本明細書中で「I1」と呼ばれる値(タスクを完了するのに90秒から500秒かかる対照群における被験者がかかるタスクの最後の90秒に瞬き密度が基線密度を超えている時の時間のパーセントによって好ましくは計算される);
−本明細書中で「I2」と呼ばれる、各集中解放時にクラスタ化される瞬きの平均ピーク面積(タスクの最後の90秒における密度の高さの積分を用いて好ましくは計算され、タスク時間期間に対する密度関数におけるピークの数で割られ、各集中解放時にクラスタ化される瞬きを表し、それにより瞬きクラスタは局所の基線を越える各クラスタピークの面積を測定することによって決定される);
−最後の90秒における平均基線瞬き密度、すなわち本明細書中で「I3」と呼ばれる値(15秒の閾値又はCTCPの10%から20%の閾値内の相対的密度関数における最小値の、引き続いて最大値の発生の計算により開始関数から好ましくは導かれる);及び
−本明細書中で「I4」と呼ばれる、タスクに対する平均瞬き速度(タスク全体にかかる総時間Tにおけるタスクにわたる瞬きの総数Nにより計算される)。
−共通タスク完了フェーズ(CTCP)における瞬き時間のパーセント、本明細書中で「I1」と呼ばれる値(タスクを完了するのに90秒から500秒かかる対照群における被験者がかかるタスクの最後の90秒に瞬き密度が基線密度を超えている時の時間のパーセントによって好ましくは計算される);
−本明細書中で「I2」と呼ばれる、各集中解放時にクラスタ化される瞬きの平均ピーク面積(タスクの最後の90秒における密度の高さの積分を用いて好ましくは計算され、タスク時間期間に対する密度関数におけるピークの数で割られ、各集中解放時にクラスタ化される瞬きを表し、それにより瞬きクラスタは局所の基線を越える各クラスタピークの面積を測定することによって決定される);
−最後の90秒における平均基線瞬き密度、すなわち本明細書中で「I3」と呼ばれる値(15秒の閾値又はCTCPの10%から20%の閾値内の相対的密度関数における最小値の、引き続いて最大値の発生の計算により開始関数から好ましくは導かれる);及び
−本明細書中で「I4」と呼ばれる、タスクに対する平均瞬き速度(タスク全体にかかる総時間Tにおけるタスクにわたる瞬きの総数Nにより計算される)。
本明細書中で用いられる「相対的密度関数」Dという用語は、物理的に別々の瞬きイベントが、瞬き発生がすぐ近いときにはいつでも密度関数Dにおけるピークへと蓄積する重なり分布として表されるように、平滑化関数Fとともに瞬きの時間的発生において各瞬きの交代が生じるときに各瞬きの交代に由来する瞬き発生のトレースである。
対照範囲の示強パラメータ外の示強パラメータを有する試験被験者が対照群の被験者と異なる認知処理を有するように、上述の示強パラメータのいずれか1つが対照被験者に対する対照範囲を作成するために用いられることができる。
示強パラメータは、所与のタスク(たとえば、タスクの完了点を含む、タスクを完了するための時間)に対するすべての試験被験者に共通な時間の単一の期間にわたり好ましくは評価される。示強パラメータは、タスクにおける時間の共通期間中のバックグラウンド瞬き速度(BB);共通期間中の瞬き密度におけるピークの数(BP);タスク中の瞬きがない時間の割合、及び平均瞬き速度などの導かれた値を反映する。個々の瞬きは別々のイベントなので、瞬き密度は、以上で議論したように、所与の個人又は個人の集団に対する最小瞬き間間隔より広い、各瞬きに平滑化関数Fを適用することによって個々の瞬き記録から導かれなければならない。平滑化関数は、タスク中に瞬きが生じるときに瞬きのクラスタを強調するために選ばれる。
典型的には、瞬きクラスタは、タスク中のそれぞれの進行していく試みの終わりの集中が解放される点での瞬き密度におけるピークとして生じる。何回の瞬きが集まってそのようなクラスタを形成しているかは、被験者間で広く異なるであろう。また、このパラメータの矛盾のない推定は、同様のタスク完了時間を共有する個人を区別する際に重要な示強パラメータである。これらの示強パラメータは共に、瞬きのないタスク中の時間の割合、逆に瞬き密度において生じる瞬きのクラスタの数、及びこれらのクラスタの集合サイズ(クラスタ中の瞬きの数を表す)に関する情報を得るために選ばれる。
その示強パラメータは、(構造化)タスクの選択された共通フェーズ中の脳のサブタスク処理の集中的時計仕掛けを反映する。そのようなものとして、それらは基礎的な神経学的能力(又はタスクのチャンキングを反映する素質)を反映するように設計される。
本明細書中で用いられるように、「示量パラメータ」という用語は、被験者の才能(若しくは能力、又はそのようなタスクに対する基礎的な知識及び経験)を反映する値を言う。
標準化タスクの全体に対して、いくつかの示量パラメータを計算することが可能である。示量パラメータは以下を含む:
タスクの全長(本明細書中では「E1」と呼ばれ、「T」という用語と代替できる)
瞬きの総数(本明細書中では「E2」と呼ばれ、「N」という用語と代替できる)
全タスク時間中のクラスタの数(瞬き密度におけるピーク)(本明細書中では「E3」と呼ばれる);及び
試み(A)=T^2/合計(ギャップ^2)の式を用いて計算され得る、瞬き発生が相対的に希少な期間により計算される、タスクにおける段階でのクラスタ/試みの数の間接的測度(本明細書中では「E4」と呼ばれる)
タスクの全長(本明細書中では「E1」と呼ばれ、「T」という用語と代替できる)
瞬きの総数(本明細書中では「E2」と呼ばれ、「N」という用語と代替できる)
全タスク時間中のクラスタの数(瞬き密度におけるピーク)(本明細書中では「E3」と呼ばれる);及び
試み(A)=T^2/合計(ギャップ^2)の式を用いて計算され得る、瞬き発生が相対的に希少な期間により計算される、タスクにおける段階でのクラスタ/試みの数の間接的測度(本明細書中では「E4」と呼ばれる)
対照範囲の示量パラメータ外の示量パラメータを有する試験被験者が対照群における被験者と異なる認知才能を有するように、これらの示量パラメータのいずれか1つが対照被験者に対する対照範囲を作成するために用いられることができる。
すでに議論したように、対照群は、認知処理において立証された/診断された障害を有する被験者を表すことができる。このように、対照範囲外の示量又は示強パラメータを有する試験被験者は損なわれた認知機能を必ずしも有しない。むしろ、試験被験者の認知機能は対照群の認知機能と比べて変化させられていると言われる。
本明細書中で用いられているように、「変化した認知機能」という用語は、対照範囲と比べて強められているか、又は損なわれている認知機能を言う。二つ以上のパラメータに対する対照範囲の使用は、対照群と比べて試験被験者を位置付けるために必要であり得る。
このように、本発明の方法は、試験被験者の認知機能が対照群のそれと比べて変化させられているかどうか確かめるために、対照群内の被験者を比較するための及び/又は対照群と比べて試験被験者の認知才能を分析するためのこれらの示強及び/又は示量パラメータのいずれか1つ又は複数の使用を包含する。
被験者間の比較の別の形態では、対照被験者におけるタスクを完了するための時間に従って標準化タスクにおけるパフォーマンスを並び替えることによって、且つタスクの特定のフェーズ(たとえば完了フェーズ)の実行中の瞬き機能の1つ又は複数の測度を対照被験者のそれと比較することによって、対照被験者のコホートを用いて対照範囲を作成すること、及び/又はその対照範囲と比べて試験被験者の認知処理を分析することが可能である。
あるいは又はさらに、被験者は、タスク完了時間に従って、特に同様の全体的なタスク完了時間を有する被験者を比較することによって、分析されることができる。
いったん対照範囲(複数可)が確立されたら、試験被験者は、試験被験者が標準化試験を完了したらすぐに対照群と比較されることができ、試験被験者のパフォーマンス(すなわち、タスクを完了するための時間、瞬き特性、及び任意のこれらの派生物)を対照群のそれと比較する。
特に好ましい形態では、上述の示強パラメータのいずれか1つ又は複数の計算のために、対照被験者は、標準化タスクの完了フェーズを整列することによって分析される。その後被験者は標準化タスクに対する完了時間の最小時間から最長時間に並べ替えられ、被験者ごとの瞬きの総数(N)もこの並び替えられた完了時間グラフにおいて表示される。
1から3の範囲内の値のように、値は対照範囲内の被験者を順位付けるために割り当てられることができる。1は高い構造の瞬き(他の被験者と比べてタスクを完了するための同様の時間の間の相対的にまばらな瞬き)に対応し、3は低い構造の瞬き(他の被験者と比べてタスクを完了するための同様の時間の間の相対的に密な瞬き)に対応する。タスクを完了するのに同様の時間を共有する被験者、またタスク中の瞬きの回数が中間を示す被験者は、中間の構造の瞬きとして分類され、瞬き構造に対する値2が割り当てられる。
次に、対照群内の瞬きの相対的構造を最もよく表す上述のパラメータ、I1からI4及びE1からE4の一次結合を見つけるために、線形回帰は用いられることができる。この分析は、もともとの順位付け(すなわちタスクを完了するための被験者の時間)からの1つ又は複数の示量的測度と対比され得る、被験者のパフォーマンスの単一の示強測度として、各被験者に対する「客観的構造指数」の割り当てを認める。この客観的構造指数値は、対照群内の各被験者に対する第2の座標(たとえば完了値までの時間)に対して図にプロットされ得る。好ましくは、1つの示強測度及び1つの示量測度が、対照群における全ての被験者を最もよく区別するために選ばれるであろう。
客観的構造指数は瞬きパターンの示強測度を表すので、示量変数(たとえばタスク完了時間)としての第2の座標の選択は、グループ内の被験者が、処理特性又は素質(客観的構造指数を通じて)及び個人のタスク才能(各被験者に対するタスクを完了するための時間を通じて)を反映する図的広がり又は地図に表されることを可能にする。
[発明の方法を行う装置]
当業者は、本発明の方法の実行に必要な瞬き及び時間情報を集めるための広く様々な適した装置が存在するということを容易に認識するであろう。適した装置は、周波数領域ではなく時間領域において瞬き情報を収集するものを含む。そのようなものとして、必要な瞬き情報は、EEGデータ内の瞬きアーチファクトを特徴付けるために用いられる同じ数学的手順によって標準的EEG装置から導かれることができる。
当業者は、本発明の方法の実行に必要な瞬き及び時間情報を集めるための広く様々な適した装置が存在するということを容易に認識するであろう。適した装置は、周波数領域ではなく時間領域において瞬き情報を収集するものを含む。そのようなものとして、必要な瞬き情報は、EEGデータ内の瞬きアーチファクトを特徴付けるために用いられる同じ数学的手順によって標準的EEG装置から導かれることができる。
好ましくは、瞬き情報は、瞬きパラメータデータのEOG(眼電図)電圧を用いて直接測定される。そのような直接的測定の使用は、タスク実行中の被験者の瞬きパターンの測定が、EEG測定が可能である場合よりも広い範囲の設定において行われるようなデータ収集を単純化する。
したがって、本発明の方法に最も適した装置はタスク開始の時間及び瞬きの時間的発生からデータを収集する。好ましくは、その装置は、瞬き持続時間及び振幅(瞬きの深さ、又はパークロス)を含む、各瞬きに対するパラメータも測定する。その装置は、標準化タスクの具体的側面に関して認知処理の実際の時間的経過の情報をとても与えるパラメータを測定するために必要とされるであろう。
本発明の装置に最低必要なものは、このように、標準化タスク中の瞬き特性の少なくとも1つの独立したパラメータの、被験者における物理的検出の手段であり、この特性は瞬きの時間的発生である。
すなわち、各瞬きに対して、これらのパラメータの最初は、瞬きが起こる時の時間tを同定する。
好ましくは、第2のパラメータの検出も行われ、これは第2のパラメータのサイズ、深さ、振幅及び/又は持続時間について瞬きを特徴付ける。
別の形態では、本発明による装置は、タスク中の被験者の瞬きの時間的発生を表示する手段を含む。そのような表示装置は、上述した、瞬きサイズ、深さ、振幅又は持続時間の第2のパラメータも表示できる。
当業者は、多数の変形や変更が自明になるであろうということを理解するであろう。当業者に自明となる全てのこのような変形や変更は、記載される前に本発明が大まかに挙げている精神及び範囲内に含まれると考えるべきである。
本発明がよりよく理解され、且つ実現されるために、本発明のいくつかの実施形態が以下の非限定的な実施例を通じて記載される。
[材料及び方法]
認知処理において診断された障害(たとえば学習障害、ADDなど)がない被験者からなる、対照被験者のコホートが募集された。薬物治療中及び非治療中の被験者両方からなる、ADHDと診断された被験者を含む第2の集団も試験のために募集された。
認知処理において診断された障害(たとえば学習障害、ADDなど)がない被験者からなる、対照被験者のコホートが募集された。薬物治療中及び非治療中の被験者両方からなる、ADHDと診断された被験者を含む第2の集団も試験のために募集された。
全ての被験者は、標準化タスクとして迷路通り抜け試験を受けることを求められた。この特別なタスクは、図1に概略的に図示されるように、迷路を通って隠された進路を見つけるために、コンピュータの方向指示(上、左、右)を用いて迷路を通り抜けるように被験者に求める反復的タスクである。
誤りなしに迷路を完了することは、記憶及び集中力、並びに誤りなしの通り抜け選択のコヒーレントな順序を要求する。したがって、迷路通り抜けタスクの最終フェーズは、タスクの終結が認知処理要求の最大の類似性が見られるところであると期待されたように、できるだけ全ての被験者に共通であることが期待される。すなわち、被験者は、タスクの以前のフェーズを通じて、迷路の最終段階を通ってうまく通り抜ける方法をすでに学習したであろう。
EEG測定はタスク中の各瞬きに対する以下の値を収集するために用いられた:
t、タスク開始からの時間;
a、完全な瞬き深さ閉眼(「パークロス」)の瞬き深さ又は振幅(たとえば覆われた虹彩のパーセント);及び
d、瞬きの持続時間。
t、タスク開始からの時間;
a、完全な瞬き深さ閉眼(「パークロス」)の瞬き深さ又は振幅(たとえば覆われた虹彩のパーセント);及び
d、瞬きの持続時間。
EEG測定は、ニューロン活動のある周波数帯域の相対的パワースペクトルを明らかにするように設計されている。これらはタスク中の頭皮上に置かれた複数の電極を含む。瞬きの特徴的なEOGシグナルは、前頭部の電極及び目に近い前頭部脳領域(すなわち、従来アーチファクトとして扱われたEEGシグナルの部分)に特に近いパワースペクトル計算のゆがみから得ることができた。しかしながら、電極跡から、又は定義済みの数学的アーチファクト除去プロセスを介して、直接瞬き記録を得ることが可能である。
[結果]
広いバリエーションがタスクの経過中の瞬きパターンに見られた。しかしながら、個人の比較は、以下を含む、全ての被験者に対する瞬きにおける基礎的類似性を明らかにした:
連続した知覚時に瞬きする傾向
行動の開始時に瞬きする傾向
集中した注意中に瞬きを抑える傾向
集中期間の終わりに瞬きの1つ又は複数(動揺)が解放される傾向。
広いバリエーションがタスクの経過中の瞬きパターンに見られた。しかしながら、個人の比較は、以下を含む、全ての被験者に対する瞬きにおける基礎的類似性を明らかにした:
連続した知覚時に瞬きする傾向
行動の開始時に瞬きする傾向
集中した注意中に瞬きを抑える傾向
集中期間の終わりに瞬きの1つ又は複数(動揺)が解放される傾向。
さらに、タスクの内部処理フェーズを示す小瞬きが生じるのが見られた。
年齢、以前の教育経験及びスキルがタスク完了時間に影響するので、瞬きパターンが、(a)タスクを完了するのに同様の時間を要した被験者での、又は(b)タスクの同じ完了フェーズを比較した場合の個人差に対して調べられた。迷路通り抜けタスクは、被験者の集団が完了するのに約90〜500秒を要した。これは、タスクの最後の共通の90秒を見ることによって、及び同様のタスク完了時間を有する被験者を比較することによって、より集中的に調べられた。
[詳しい瞬きデータの表示]
CTCPフェーズによる順序付け
実施例1において概説された手順に従って試験された各被験者に対して、瞬きのパターンが、タスク中の各瞬き発生に対する順序付けられた一組のアイコンとして表示された。瞬き間の間隔はタスク中で大きく変化したので、瞬き間のギャップ(G)が、瞬きが生じた時の時間(t)における点での二次元表示の縦軸上にプロットされた。
CTCPフェーズによる順序付け
実施例1において概説された手順に従って試験された各被験者に対して、瞬きのパターンが、タスク中の各瞬き発生に対する順序付けられた一組のアイコンとして表示された。瞬き間の間隔はタスク中で大きく変化したので、瞬き間のギャップ(G)が、瞬きが生じた時の時間(t)における点での二次元表示の縦軸上にプロットされた。
タスクが構造化されている場合、サブタスクに局所的なG値の対照範囲が、タスクの異なるフェーズに対する瞬きデータから得られることができる。したがって、瞬きの相対的不在期間を、瞬きの相対的高発生期間(本明細書中ではクラスタと示される)から体系的に識別することが可能である。瞬きの相対的不在はバックグラウンド瞬き速度を表し、クラスタは高い瞬き発生の期間を表す。瞬き間隔からの最大の情報は、タスクの1つの段階から別の段階までのG値における局所的変動を比較することからくる。したがって、全ての変動を単数に平均することによって可能であるより正確な処理行動の指標を提供するのは、タスク中の瞬き速度における変動の範囲である。
したがって、タスクの選択されたフェーズ又はフェーズ内の段階にわたって、認知障害がない被験者に対するG値の対照範囲における変動は、対照群に対する瞬き間間隔(G)のパターンにおける変動を比較することにより得られる。この対照G範囲は、その後、タスクの同様のフェーズ/フェーズ内の段階で認知障害と診断された被験者と比較されることができる。
CTCPフェーズに対して、直接比較(図2)のためにタスクのCTCPフェーズを整列することによって表示の比較が行われた。
CTCPフェーズに対して、以下を含む瞬きパターンの示強的測度の比較も行われた:
(i)I1=瞬き密度が基線瞬き密度を超えているときの、CTCPにおける瞬き時間のパーセント(I1);
(ii)I2=R、1クラスタ当たりの平均クラスタサイズ(最後のCTCPにおけるピークの数で割った瞬き密度の積分で、各集中解放時のクラスタ化した瞬きを表し、それにより瞬きクラスタが、局所的基線を越える各クラスタピークの面積を測定することによって決定される)(I2);
(iii)I3=BB、最後のCTCPにおける平均基線瞬き密度(15秒の閾値又はCTCPの10%〜20%の閾値内の相対的密度関数における最小値の、引き続いて最大値の発生の計算により開始関数から導かれる)(I3);及び
(iv)I4=N/T全体的タスク瞬き速度。
(i)I1=瞬き密度が基線瞬き密度を超えているときの、CTCPにおける瞬き時間のパーセント(I1);
(ii)I2=R、1クラスタ当たりの平均クラスタサイズ(最後のCTCPにおけるピークの数で割った瞬き密度の積分で、各集中解放時のクラスタ化した瞬きを表し、それにより瞬きクラスタが、局所的基線を越える各クラスタピークの面積を測定することによって決定される)(I2);
(iii)I3=BB、最後のCTCPにおける平均基線瞬き密度(15秒の閾値又はCTCPの10%〜20%の閾値内の相対的密度関数における最小値の、引き続いて最大値の発生の計算により開始関数から導かれる)(I3);及び
(iv)I4=N/T全体的タスク瞬き速度。
各瞬きに対して第2のアイコンが表示された。第2のアイコンは瞬き力(B)を示し、(i)瞬きの振幅(a)、(ii)瞬きの持続時間(d)、又は(iii)積:a×dなど、a及びdの関数として評価された(図3)。
図3に表示された瞬きデータの瞬き密度ピーク(タスクの選択されたフェーズ中のピークのクラスタリングを示す)への平滑化もCTCPフェーズ(タスクの最後の90秒)に対して行われた(図4)。
Bパラメータは、各瞬きの値の評価への重み付けを導入するために用いられた。この革新は、瞬き1つひとつに対する同じ重み(単位重み又はカウント)の初期値の割り当てと対照的である。瞬き速度(N/T)計算時に、それに反して各瞬きは同一(単位値)と評価される。
様々な重み付けが、各下記に割り当てることによって、各瞬きに対して用いられた:
(i) 単位重み付け(w=1)
(ii) 相対的a値による重み(w=a)
(iii) 相対的d値による重み(w=d)
(iv) a×dによる重み(w=a×d)
又は下記のようなギャップGのサイズによるさらなる重み:
(v) a×d×G又は
(vi) a×d/G
(図5)。
(i) 単位重み付け(w=1)
(ii) 相対的a値による重み(w=a)
(iii) 相対的d値による重み(w=d)
(iv) a×dによる重み(w=a×d)
又は下記のようなギャップGのサイズによるさらなる重み:
(v) a×d×G又は
(vi) a×d/G
(図5)。
この重み付け関数(w)は、瞬きクラスタが都合よく集められることができるように、瞬きシグナルを人工的に不明瞭にするための平滑化関数と関連して各瞬きを重み付けるために用いられた。各瞬きに対して1.5〜3秒のバンド幅(bw)で、それら自体決して重ならない(各瞬きは別々である)瞬きに対するピーク、二次元表示上のピークとして瞬きクラスタリングの期間を評価することが可能であった。図4及び図5に示すように、ピークは集中注意フェーズの終結時に起こる傾向があった。
非ADHD(対照)及びADHD被験者を区別するための別の有用な比較値は、タスクの特別な時間点、特にCTCPフェーズ中のピークのクラスタリングであるとわかった。対照被験者に対する特定のフェーズ点でのピーククラスタ数及び/又は密度は、それに対してADHD被験者が比較されることができる対照値の範囲を得るために用いられることができる。
バックグラウンド瞬き速度は、開始関数によってこのフェーズを通じて評価された(BB)。1クラスタ当たりの瞬きの数は、バックグラウンド瞬き速度、BBを超えるピーク面積によって評価された。
[タスクを完了するための時間による順序付け]
実施例1で概説された手順に従って得られたデータが、迷路通り抜けタスクを完了するための時間を比較することによって分析された。被験者の瞬きパターンは、パターンをタスクの共通完了フェーズに調整することによって整列された。その後被験者は、最短完了時間から最長完了時間へ並べ替えられた(図7)。
実施例1で概説された手順に従って得られたデータが、迷路通り抜けタスクを完了するための時間を比較することによって分析された。被験者の瞬きパターンは、パターンをタスクの共通完了フェーズに調整することによって整列された。その後被験者は、最短完了時間から最長完了時間へ並べ替えられた(図7)。
瞬き回数が一般にタスク完了時間と相関するということが観測されたが、広い個人的変動も、同様の完了時間を共有する被験者にわたる瞬きに観測された。
各被験者を最も近い隣の人と比較することによって、相対的に密な瞬き(たとえばN2>N1、N2>N3)及び相対的にまばらな瞬き(たとえばN3<N2、N3<N4)を含む、瞬きパターンが同定された(図6)。
タスクを完了するための所与の時間に対して、対照群(非ADHD)被験者に対する瞬き回数Nの範囲を得ることが可能であった。対照群のメンバーとしてタスクを完了するための同様の又は同一の時間を有するADHD被験者からのN値が、N値の対照範囲と比較されたときに、対照範囲からのずれが、ADHD被験者の数に対して観測されることができた。
同様のタスク完了時間に対する、相対的にまばらな瞬き(構造化された)又は相対的に密な瞬き(努力性の)の特性の客観的定量化もまた、以下の方法を用いて行われた:
i)相対的に大きな瞬きカウントd1、d2、d3....を有する被験者、一組の相対的に無秩序な被験者(3とランクされる)を同定するために同様のタスク完了時間を綿密にチェックすることによる無秩序な瞬き。
ii)相対的に小さな瞬きカウントo1、o2、o3...を有する被験者、一組の相対的に秩序ある被験者(1とランクされる)を同定するために同様のタスク完了時間を綿密にチェックすることによる構造化された瞬き。
i)相対的に大きな瞬きカウントd1、d2、d3....を有する被験者、一組の相対的に無秩序な被験者(3とランクされる)を同定するために同様のタスク完了時間を綿密にチェックすることによる無秩序な瞬き。
ii)相対的に小さな瞬きカウントo1、o2、o3...を有する被験者、一組の相対的に秩序ある被験者(1とランクされる)を同定するために同様のタスク完了時間を綿密にチェックすることによる構造化された瞬き。
Ni(被験者iに対する瞬きの数)対Ti(被験者iに対するかかった時間)の傾向線の近くに位置している被験者は、中間として特徴付けられる(2とランクされる)。
これらのランキングは、計算される示強及び示量変数の両方E1〜E4、I1〜I4と線形回帰によって相関させられたので、客観的に特徴付けられ、線形化した測度、客観的構造指数(SI)に変えられた。
このように、T(示量タスク指標)を各被験者に対する秩序/無秩序(構造指数の相対的示強指標)と区別すること及び全ての被験者をこれらの二つの次元に位置付けることが可能であった。
これらの二つの変数、1つの示強及び1つの示量は、各試験集団内のサブグループを区別するために重要となる。
同様の瞬き種類のクラスタを反映するサブタイプは、十分に多様性のある集団が(a)タスク完了時間及び(b)秩序/無秩序指数によって整列されるとき存在するとわかった(図8)。
様々な位置に同定される被験者のクラスタは、少なくとも
1つの示強変数(たとえば秩序/無秩序指数)に対する
1つの示量変数(たとえばタスク完了時間)
の表示であるが、瞬きパターンの一貫したサブタイプを示すものとして解釈されることができる。
1つの示強変数(たとえば秩序/無秩序指数)に対する
1つの示量変数(たとえばタスク完了時間)
の表示であるが、瞬きパターンの一貫したサブタイプを示すものとして解釈されることができる。
たとえば、より構造化された瞬き及びより短い完了時間を有する被験者は、正常な瞬きを代表し得るのに対して、より長いT及びより無秩序な瞬きを示す被験者は、注意欠陥多動性障害(ADHD)症候群により典型的であり、短い/通常のTだが無秩序な瞬きを有する被験者は、失読症症候群(一次理解又は視覚知覚の困難)を示し得る。治療されたADHD被験者は、対照に特有である正常の分析結果を示す。
[考察]
図8に示される種類の地図は、患者の小集団を特徴付けるために用いられることができる。広範性の症候群の神経学的な診断の曖昧で非特異的な性質が理解されるときに、これらの地図の有用性は明らかになる。このように、特許の所与のコホートに対して示量及び示強認知処理変数の両方を客観的に特徴付けるための能力は、以下のいずれかの基礎を提供する:
(i)潜在的な障害の明晰な診断、
(ii)以前に疑われた障害の有望な確認、又は
(iii)所与の症候群の客観的サブタイプを区別する手段。
図8に示される種類の地図は、患者の小集団を特徴付けるために用いられることができる。広範性の症候群の神経学的な診断の曖昧で非特異的な性質が理解されるときに、これらの地図の有用性は明らかになる。このように、特許の所与のコホートに対して示量及び示強認知処理変数の両方を客観的に特徴付けるための能力は、以下のいずれかの基礎を提供する:
(i)潜在的な障害の明晰な診断、
(ii)以前に疑われた障害の有望な確認、又は
(iii)所与の症候群の客観的サブタイプを区別する手段。
神経学的診断に詳しい人、及びADHD又は失読症などの学習困難を伴う人は、被験者を正確に特徴付けることの難しさを知っているだろう:
(a)面接/観察に基づいて;及び
(b)年齢(E)/スキル(I)/教育(E)/知能(I)変数からの広い変動を典型的に示す、心理試験バッテリーの使用。
(a)面接/観察に基づいて;及び
(b)年齢(E)/スキル(I)/教育(E)/知能(I)変数からの広い変動を典型的に示す、心理試験バッテリーの使用。
Claims (58)
- 標準化タスクを用いて少なくとも一人の試験被験者の認知処理を検出するのに適した対照範囲を作成する方法であって、
−対照被験者の集団において前記標準化タスクを完了するための時間の測定と、
−前記対照被験者による前記タスクの実行中の時間的瞬き発生の測定と、
−前記対照被験者に対する対照範囲の計算であって、該対照範囲は少なくとも前記対照被験者に対する前記標準化タスク内の共通フェーズ中の前記時間的瞬き発生から計算される、前記対照被験者に対する対照範囲の計算と、
を含み、前記対照範囲からのずれは前記試験被験者が前記対照被験者と比べて変化した認知処理を有することを示唆する、方法。 - 前記時間的瞬き発生が、複数の隣接した瞬きイベントにわたる瞬き間に経過したギャップ又は時間を導くために用いられる、請求項1に記載の方法。
- 前記標準化タスクが構造化タスクであって、そこでの前記共通フェーズが、以下の
−前記タスクの開始時に生じる、第1のオリエンテーションフェーズ、
−前記試験被験者のタスク進行を示す第2の又は中間のフェーズ、及び
−前記タスクの共通タスク完了期間(CTCP)、
から選ばれる、請求項1又は請求項2に記載の方法。 - 前記構造化タスクが、前記オリエンテーションフェーズ及び/又は前記中間のフェーズを前記タスクのより後のフェーズへ組み込むことによって、前記タスクの前記オリエンテーションフェーズ及び/又は前記中間のフェーズ中の前記対照被験者の知的処理を強調するために選ばれる、請求項3に記載の方法。
- 前記標準化タスクの前記共通フェーズが前記タスクの前記完了フェーズである、請求項3又は請求項4に記載の方法。
- 瞬き力Bの少なくとも1つの瞬き特性の測定も行われ、該瞬き特性は瞬き持続時間及び瞬き振幅から選ばれ、前記瞬き特性は前記標準化又は構造化タスクの実行中に生じる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- Bが瞬き振幅及び瞬き持続時間の数学的派生物である、請求項6に記載の方法。
- Bが瞬き持続時間、瞬き振幅及び瞬き発生間の時間的ギャップの数学的派生物である、請求項6に記載の方法。
- 前記タスクの前記共通フェーズにおける対照被験者のパフォーマンスの前記共通フェーズが、前記複数の瞬きイベント間に経過した定量的ギャップ時間を、前記タスクの時間に対してプロット又は追跡することによって分析される、請求項2に記載の方法。
- 瞬き力Bの少なくとも1つの瞬き特性の測定も、各瞬きについて少なくとも前記共通タスクの時間に対してプロット又は追跡され、Bは瞬き持続時間、瞬き振幅、瞬き発生間の時間的ギャップ又はこれらの派生物から選ばれる、請求項9に記載の方法。
- 個々の瞬きが、前記タスク内の前記共通フェーズにわたり発生するピークへクラスタリングすることによって平滑化及び重み付けされる、請求項10に記載の方法。
- 第1の対照被験者の認知処理が、同様のタスク完了時間をもつ第2の対照被験者の認知処理と、前記標準化タスク中に生じた瞬きのクラスタの比較により比較され、それによって、前記タスクを完了するのにかかる特定の時間の間の前記タスクの共通フェーズ中の瞬きのクラスタに対する対照範囲が作成される、請求項11に記載の方法。
- 平滑化関数Fが、前記タスクの前記共通フェーズの時間に対する瞬き密度Dの二次元目盛り上の瞬きクラスタを比較するために用いられ、1クラスタ当たりの瞬きの数がバックグラウンド瞬き速度(BB)の開始関数を超えるピーク面積によって評価され、逆の測度が、瞬き密度がそのバックグラウンド瞬き速度の基線を超えない時間の割合である、請求項11又は請求項12に記載の方法。
- 個々の瞬きが、単位重み付け、絶対振幅値(a)、絶対持続時間値(d)、絶対ギャップ値(G)又はこれらの重み付け派生物から選ばれる変数を用いて重み付けを割り当てることによって重み付けされる、請求項13に記載の方法。
- 前記重み付け派生物がa×dである、請求項14に記載の方法。
- 前記重み付け派生物がa×d×Gである、請求項14に記載の方法。
- 前記重み付け派生物がa×d/Gである、請求項14に記載の方法。
- 各対照被験者の追加のパラメータを用いた前記構造化タスクにおける前記対照被験者のパフォーマンスの解釈をさらに含み、前記追加のパラメータは前記タスクの前記共通フェーズから計算される少なくとも1つの示強パラメータ、及び前記タスク全体にわたる瞬きパターンから計算される少なくとも1つの示量パラメータを含み、前記示強パラメータは、以下の
−瞬き密度が基線瞬き密度を超えているときの、前記CTCPにおける瞬き時間のパーセント(I1);
−1クラスタ当たりの平均クラスタサイズ(最後のCTCPにおけるピークの数で割った瞬き密度の積分で、各集中解放時のクラスタ化した瞬きを表し、それにより瞬きクラスタが、前記局所的基線を越える各クラスタピークの面積を測定することによって決定される)(I2);
−最後のCTCPにおける平均基線瞬き密度(15秒の閾値又は前記CTCPの10%〜20%の閾値内の相対的密度関数における最小値の、引き続いて最大値の発生の計算により前記開始関数から導かれる)(I3);及び
−前記タスクに対する平均瞬き速度(前記タスク全体にかかる総時間における前記タスクにわたる瞬きの総数により計算される)(I4)、
を含む群から選ばれ、I1〜I3は各瞬きに対する平滑化された瞬き密度関数Fを用いて導かれ、前記示量パラメータは、以下の
−タスクの総持続時間(E1又はT);
−瞬きの総数(E2又はN);
−全タスク時間中のクラスタの数(瞬き密度におけるピーク)(E3);及び
−試み(A)=T^2/合計(ギャップ^2)の式を用いた、タスクにおける段階でのクラスタ/試みの数の間接的測度(E4);
を含む群から選ばれ、前記対照被験者に対して計算される1つ又は複数の示強パラメータ及び1つ又は複数の示量パラメータにおける変動が、前記1つ又は複数の示強パラメータ又は示量パラメータに対する前記対照範囲に対するデータを提供する、請求項3に記載の方法。 - 前記平滑化関数Fが正規ガウス関数である、請求項18に記載の方法。
- 前記対照群が正常認知機能を有する被験者からなる、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
- 前記対照群が弱められた認知機能を有する被験者からなる、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
- 前記対照群が強められた認知機能を有する被験者からなる、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
- 前記弱められた認知機能が、ADD、ADHD、失読症、痴呆、統合失調症、うつ病、学習障害、睡眠障害、ストレス障害、人格障害、境界性人格障害を含む群から選ばれる障害、又はアルコール若しくは薬物摂取により損なわれた若しくは強められた認知機能と関連する、請求項21に記載の方法。
- −少なくとも1つの標準化タスクを用いて少なくとも一人の試験被験者の認知処理を検出する方法であって、
−前記標準化タスクを完了するための前記被験者の時間の測定と、
−時間的瞬き発生の測定と、
−前記標準化タスク内の共通フェーズ中の前記時間的瞬き発生又はそれから導かれる値の、対照範囲との比較であって、該対照範囲は少なくとも対照群に対する前記標準化タスク内の前記共通フェーズ中の前記時間的瞬き発生から計算される、比較と、
を含み、前記対照範囲からのずれは前記試験被験者が前記対照群と比べて変化した認知処理を有することを示唆する、方法。 - 前記対照範囲が請求項1〜23の方法のいずれか1つに従って計算される、請求項24に記載の方法。
- 前記試験被験者の認知処理が1つ又は複数の示強値の対照範囲及び1つ又は複数の示量値の対照範囲と比較される、請求項25に記載の方法。
- 前記示強値がI4であり、且つ前記示量値がE3である、請求項26に記載の方法。
- 前記試験被験者の認知処理が、ADD、ADHD、失読症、痴呆、統合失調症、うつ病、学習障害、心的外傷後ストレス障害、睡眠障害、人格障害、境界性人格障害からなる群から選ばれる認知障害、又はアルコール若しくは薬物摂取により損なわれた若しくは強められた認知機能を検出するために検査される、請求項24〜27のいずれか1項に記載の方法。
- 標準化タスクを用いて少なくとも一人の試験被験者の認知処理を検出するための対照範囲を作成する方法であって、
−対照被験者に対する、該対照被験者の集団のメンバーにおける前記標準化タスクを完了するための時間の測定、並びに時間的瞬き発生及び総瞬き回数Nの測定;並びに
−前記タスクを完了するための時間が最短だった者から最長だった者の順に対照被験者を並べ替えること及び同様のタスク完了時間を有する各対照被験者を各自のN値について分析すること;
−前記タスクを完了するための前記時間に従ってN値の少なくとも1つの対照範囲を作成すること、
を含み、前記対照範囲からのずれは同様のタスク完了時間を有する前記対照被験者と比べて変化した認知処理を有する試験被験者を示唆する、方法。 - 前記標準化タスクが構造化タスクであって、そこでの前記共通フェーズが、以下の
−前記タスクの開始時に生じる、第1のオリエンテーションフェーズ;
−前記試験被験者のタスク進行を示す第2の又は中間のフェーズ;及び
−前記タスクの共通タスク完了期間(CTCP)、
から選ばれる、請求項29に記載の方法。 - 前記構造化タスクが、前記オリエンテーションフェーズ及び/又は前記中間のフェーズを前記タスクのより後のフェーズへ組み込むことによって前記タスクの前記オリエンテーションフェーズ及び/又は前記中間のフェーズ中の前記試験被験者の知的処理を強調するために選ばれる、請求項30に記載の方法。
- 前記タスクの前記共通フェーズが前記タスクの前記共通タスク完了期間(CTCP)である、請求項30又は31に記載の方法。
- 前記タスクを完了するための前記対照被験者の時間が、前記タスクの前記CTCP中の各自のN値に従って対照被験者を比較するのに先立って、前記タスクの前記CTCPを整列するために瞬きパターンを調整することによって最初に並び替えられる、請求項32に記載の方法。
- 瞬き力Bの少なくとも1つの瞬き特性の測定も行われ、該瞬き特性は瞬き持続時間及び瞬き振幅から選ばれ、前記瞬き特性は前記標準化タスクの実行中に生じる、請求項29に記載の方法。
- 各対照被験者の追加のパラメータを用いた線形回帰による前記標準化タスクにおける前記対照被験者のパフォーマンスの解釈をさらに含み、前記追加のパラメータは前記タスクの前記共通フェーズから計算される少なくとも1つの示強パラメータ、及び前記タスク全体にわたる瞬きパターンから計算される少なくとも1つの示量パラメータを含み、前記示強パラメータは、以下の
−瞬き密度が基線瞬き密度を超えているときの、最後の又は共通タスク完了期間(CTCP)における瞬き時間のパーセント(I1);
−平均クラスタサイズ(最後のCTCPにおけるピークの数で割った密度の高さの積分で、各集中解放時のクラスタ化した瞬きを表し、それにより瞬きクラスタが、前記局所的基線を越える各クラスタピークの面積を測定することによって決定される)(I2);
−最後のCTCPにおける平均基線瞬き密度(15秒の閾値又は前記CTCPの10%〜20%の閾値内の相対的密度関数における最小値の、引き続いて最大値の発生の計算により開始関数から導かれる)(I3);及び
−前記タスクに対する平均瞬き速度(前記タスク全体にかかる総時間における前記タスクにわたる瞬きの総数により計算される)(I4)、
を含む群から選ばれ、I1〜I3は各瞬きに対する平滑化された瞬き密度関数Fを用いて導かれ、前記示量パラメータは、
−タスクの総持続時間(E1又はT);
−瞬きの総数(E2又はN);
−全タスク時間中のクラスタの数(瞬き密度におけるピーク)(E3);及び
−試み(A)=T^2/合計(ギャップ^2)の式を用いた、タスクにおける段階でのクラスタ/試みの数の間接的測度(E4);
からなる群から選ばれ、さらに前記線形回帰が前記対照群における前記瞬きパターンの構造を最もよく表すI1からI4の少なくとも1つ及びE1からE4の少なくとも1つの一次結合を確立するために用いられ、前記対照被験者に対して計算される1つ又は複数の示強パラメータ又は示量パラメータにおける変動が線形回帰により導かれる前記パラメータに対する前記対照範囲に対するデータを提供する、請求項29〜34のいずれか1項に記載の方法。 - 前記平滑化関数Fが正規ガウス関数である、請求項35に記載の方法。
- 前記集団の瞬きパターンの構造が、前記タスクを完了するための同様の時間に対して及びN値から導かれる三つの範囲に従って分類又は順位付けされ、該範囲は1から3の間の値を割り当てられ、1は高度に構造化された、又はまばらな瞬きを表し、3は低い構造の瞬きパターンを有する努力性瞬き又は密な瞬きを表し、且つ2は瞬きの中間的構造を表す、請求項29に記載の方法。
- 前記対照群が正常認知機能を有する被験者からなる、請求項29〜37のいずれか1項に記載の方法。
- 前記対照群が強められた認知機能を有する被験者からなる、請求項29〜37のいずれか1項に記載の方法。
- 前記対照群が弱められた認知機能を有する被験者からなる、請求項29〜37のいずれか1項に記載の方法。
- 前記弱められた認知機能が、ADD、ADHD、失読症、痴呆、統合失調症、うつ病、学習障害、心的外傷後ストレス障害、睡眠障害、人格障害、境界性人格障害からなる群から選ばれる障害、又はアルコール若しくは薬物摂取により損なわれた若しくは強められた認知機能と関連する、請求項40に記載の方法。
- 少なくとも1つの標準化タスクを用いて少なくとも一人の試験被験者の認知処理を検出する方法であって、
−前記試験被験者に対する、前記標準化タスクを完了するための時間の測定、並びに時間的瞬き発生及び総瞬き回数Nの測定;並びに
−前記タスクを完了するための前記被験者の時間に対応するN値の対照範囲との前記試験被験者のN値の比較、
を含み、前記対照範囲からのずれは該対照範囲と比べて変化した認知処理を有する試験被験者を示唆する、方法。 - 前記対照範囲が請求項29〜41の方法のいずれか1つに従って計算される、請求項42に記載の方法。
- 前記試験被験者の認知処理が、請求項35又は請求項36に記載の示強値及び示量値から選ばれる対照範囲と比較される、請求項42に記載の方法。
- 前記示強値がI4であり、且つ前記示量値がE3である、請求項44に記載の方法。
- 前記示強値がI4及びE3から導かれる、請求項45に記載の方法。
- 請求項37の方法に従って割り当てられた、各対照被験者に対する一組の順位付け値が、各対照被験者に対して計算される一組の示強パラメータ及び示量パラメータから線形回帰によって客観的構造指数を計算するために用いられ、ここで、得られる線形化された客観的構造指数値が、各被験者に対する示強変数として各対照被験者に対する示量変数に対してプロットされ、前記示量変数はT若しくはN又はT若しくはNの関数であり、前記試験被験者は前記対照群に対する前記示強変数及び前記示量変数の結合分布と比較され得る、請求項42に記載の方法。
- 前記試験被験者の認知処理が、ADD、ADHD、失読症、痴呆、統合失調症、うつ病、学習障害、心的外傷後ストレス障害、睡眠障害、人格障害、境界性人格障害からなる群から選ばれる認知障害、又はアルコール若しくは薬物摂取により損なわれた若しくは強められた認知機能を検出するために検査される、請求項42〜47のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項1〜48のいずれか1項の方法に従って、被験者が標準化タスクを完了するのにかかる時間中の瞬きの時間的発生を記録するのに適した装置。
- 請求項1〜48のいずれか1項の方法に従って、被験者が標準化タスクを完了するのにかかる時間中の瞬きの時間的発生、並びに瞬き持続時間及び瞬き振幅の瞬き特性を記録するのに適した装置。
- 請求項1〜48のいずれか1項の方法に従って、被験者が標準化タスクを完了するのにかかる時間中の瞬きの時間的発生を表示するのに適した装置。
- 請求項1〜48のいずれか1項の方法に従って、被験者が標準化タスクを完了するのにかかる時間中の瞬きの時間的発生、並びに瞬き持続時間及び瞬き振幅の瞬き特性を表示するのに適した装置。
- 請求項1〜48のいずれか1項の方法を実行するための、被験者が標準化タスクを完了するのにかかる時間中の瞬きの時間的発生を記録するのに適した装置の使用。
- 請求項1〜48のいずれか1項の方法を実行するための、被験者が標準化タスクを完了するのにかかる時間中の瞬きの時間的発生、並びに瞬き持続時間及び瞬き振幅の瞬き特性を記録するのに適した装置の使用。
- 請求項1〜48のいずれか1項の方法を実行するための、被験者が標準化タスクを完了するのにかかる時間中の瞬きの時間的発生を表示するのに適した装置の使用。
- 請求項1〜48のいずれか1項の方法を実行するための、被験者が標準化タスクを完了するのにかかる時間中の瞬きの時間的発生、並びに瞬き持続時間及び瞬き振幅の瞬き特性を表示するのに適した装置の使用。
- 請求項1〜48のいずれか1項の方法に従って、認知処理に対する対照範囲を作成する及び/又は試験被験者の前記認知処理を検出するために、瞬きデータを分析するためのコンピュータ分析の方法。
- 標準化タスクにおける瞬きパターンの分析によって被験者の認知処理を評価する方法。
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