JP2007323852A - 燃料電池触媒層解析装置及び燃料電池触媒層解析用の触媒幾何形状モデル - Google Patents
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Abstract
【課題】触媒層の実際の物理的構造に基づき、触媒層の解析を行うことである。
【解決手段】数値解析に適するように、触媒層の物理的構造が以下のように2次元幾何形状モデル化される。触媒層を構成する要素は、円形のカーボン担体40と、バインダ42とにモデル化される。ここで、カーボン担体40は、触媒合金を担持するものであり、バインダ42は、カーボン担体40が凝集、連結する機能を表すものである。隣接するカーボン担体40は、バインダ42を介して連結されるとしてモデル化される。そして、バインダ42を介して連結したカーボン担体40によって囲まれた部分が、気体及び液体が自由に出入りできる気孔44としてモデル化される。この幾何形状モデルに境界条件を適用し、有限要素法により、触媒層の変形解析が行われる。
【選択図】図3
【解決手段】数値解析に適するように、触媒層の物理的構造が以下のように2次元幾何形状モデル化される。触媒層を構成する要素は、円形のカーボン担体40と、バインダ42とにモデル化される。ここで、カーボン担体40は、触媒合金を担持するものであり、バインダ42は、カーボン担体40が凝集、連結する機能を表すものである。隣接するカーボン担体40は、バインダ42を介して連結されるとしてモデル化される。そして、バインダ42を介して連結したカーボン担体40によって囲まれた部分が、気体及び液体が自由に出入りできる気孔44としてモデル化される。この幾何形状モデルに境界条件を適用し、有限要素法により、触媒層の変形解析が行われる。
【選択図】図3
Description
本発明は、燃料電池触媒層解析装置及び燃料電池触媒層解析用の触媒幾何形状モデルに係り、特に、触媒の幾何形状モデルに、入力された境界条件を適用し、強度計算に関する解析を行う装置及びその装置に用いられる触媒幾何形状モデルに関する。
固体高分子型の燃料電池は、電解質膜を挟んでその両側にそれぞれ触媒層とカーボン拡散層とが積層され、その外の両側にセパレータが配置されて構成される。燃料電池の特性は、電解質膜・触媒層とカーボン拡散層が積層されたいわゆる膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)の構造等によって支配されるので、これらに関する解析が行われている。
例えば、特許文献1には、固体酸化物形燃料電池(SOFC)の発電時の3次元温度分布及び応力分布を計算機シミュレーションによって行う方法が開示されている。ここでは、SPFCの反応が電解質と燃料極の界面というz方向に狭い領域に生じることに着目し、2次元で近似される反応面(熱源面)でSOFCの発熱発電反応を記述して2次元温度分布を求め、これを温度解析の境界条件として基板の熱伝導係数を持ってz方向に熱を伝導させ、3次元温度分布を導くことが述べられている。そして、熱応力分布解析については、力学的拘束条件はないものとして、SOFC上部の発電反応面を2次元熱源とし、それ以外の面を雰囲気温度とする温度境界条件を設定し、応力評価のための3次元温度分布を、最も支配的な強度因子である基板に対する単純な熱伝導に置き換えることが述べられている。
また、特許文献2には、固体高分子型燃料電池について、膜・電極接合体中の電流密度や水蒸気濃度のシミュレーションを行うと、膜・電極接合体のすべての面で均一な電流密度分布、温度分布や水蒸気分布にはなっておらず、局所的な発熱が起こり部分的に膜又は触媒層中の触媒層樹脂が乾燥し、不均一で局所的な収縮又は膨潤が起こっている可能性が高いことが述べられている。なお、ここではシミュレーションについて具体的内容の開示はされていない。
固体高分子型燃料電池のMEAにおいて、触媒層は、電解質膜及びカーボン拡散層と共に、燃料電池の特性を左右する重要な要素であるが、その強度計算は十分には行われていない。それは、固体高分子型燃料電池のMEAにおいて、触媒層がごく薄い膜であることが影響しているものと考えられる。例えば、固体高分子型燃料電池のMEAの膜厚の一例を上げると、電解質膜が数10μm、触媒層が数μm、カーボン拡散層が数100μmであり、触媒層が他の要素に比べ、格段に薄い。したがって、実際の物理的構造の解析が他の要素に比べ困難であり、MEAの解析においても、触媒層は電解質膜に含ませ、あるいは、一様な薄膜として取り扱われる等、実際の物理的構造を考慮せずに、簡単な近似で済ませることが多い。
このように、固体高分子型燃料電池の触媒層においては、その物理的構造の詳細が明らかでなく、したがって、強度計算や変形解析等においても簡単な近似が行われているため、実際の触媒層の特性及び挙動が把握されていない。
本発明の目的は、触媒層の実際の物理的構造に基づき、触媒層の解析を行うことができる燃料電池触媒層解析装置を提供することである。また、触媒層の実際の物理的構造に基づき、この燃料電池触媒層解析装置に用いられる触媒幾何形状モデルを提供することである。以下の手段は、これらの目的の少なくとも1つに貢献する。
本発明は、固体高分子型燃料電池の触媒層を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)で観察すると、カーボン担体の粒子がバインダによって連結され、バインダによって連結された複数のカーボン担体によって囲まれて、気孔が存在し、この気孔に水等が含まれることが見出されたことに基づいている。この観察された実際の物理的構造を元に、有限要素法による強度計算の解析に用いられる幾何形状モデルとしていくつかのモデルを検討し、実際に有限要素法による解析を試行し、その結果を実際の現象と比較した。そして、触媒層の強度計算に関する解析用の幾何形状モデルを見出した。本発明に係る燃料電池触媒層解析装置及び燃料電池触媒層解析用の触媒幾何形状モデルは、かかる知見に基づくものである。
本発明に係る燃料電池触媒層解析装置は、燃料電池の触媒層の有限要素解析を行う解析装置であって、触媒の幾何形状モデルを記憶するモデル記憶手段と、境界条件を入力する手段と、触媒の幾何形状モデルに、入力された境界条件を適用し、有限要素法により触媒層の変形を解析する手段と、を備え、モデル記憶手段は、任意の形状と大きさを有するカーボン担体と、隣接するカーボン担体の間を連結するバインダと、バインダによって連結された複数のカーボン担体によって囲まれる任意の大きさの空間を有して、液体が出入り自由な気孔と、を含む構成の触媒の幾何形状モデルを記憶することを特徴とする。
また、本発明に係る燃料電池触媒層解析装置は、燃料電池の触媒層の強度計算に関する解析を行う装置であって、触媒の幾何形状モデルを記憶するモデル記憶手段と、境界条件を入力する手段と、触媒の幾何形状モデルに、入力された境界条件を適用し、触媒層の強度計算を行う手段と、を備え、モデル記憶手段は、任意の形状と大きさを有するカーボン担体と、隣接するカーボン担体の間を連結するバインダと、バインダによって連結された複数のカーボン担体によって囲まれる任意の大きさの空間を有して、液体が出入り自由な気孔と、を含む構成の触媒の幾何形状モデルを記憶することを特徴とする。
また、本発明に係る燃料電池触媒層解析用の触媒幾何形状モデルは、燃料電池の触媒層の強度計算に関する解析を行う装置上において、境界条件を適用して触媒層の強度計算に関する解析を行うために用いられる触媒の幾何形状モデルであって、任意の形状と大きさを有するカーボン担体と、隣接するカーボン担体の間を連結するバインダと、バインダによって連結された複数のカーボン担体によって囲まれる任意の大きさの空間を有して、液体が出入り自由な気孔と、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る燃料電池触媒層解析用の触媒幾何形状モデルは、平面状に配置された複数のカーボン担体がバインダによって連結されて複数の気孔を形成する2次元的幾何形状モデルであることが好ましい。
また、本発明に係る燃料電池触媒層解析用の触媒幾何形状モデルにおいて、気孔は、その任意の大きさの空間に、液体又はその氷結体を任意の割合で保持することが好ましい。
また、本発明に係る燃料電池触媒層解析用の触媒幾何形状モデルにおいて、各気孔が有する空間の形状及び大きさは、複数種類に分類されることが好ましい。
上記構成の少なくとも1つにより、触媒の幾何形状モデルとして、任意の形状と大きさを有するカーボン担体と、隣接するカーボン担体の間を連結するバインダと、バインダによって連結された複数のカーボン担体によって囲まれる任意の大きさの空間を有して、液体が出入り自由な気孔と、を含む構成を用いる。この幾何形状モデルは、上記のように、触媒層をSEMで観察して得られた実際の物理的構造に基づき、これを用いて強度計算に関する解析を行ったところ、実際の現象に適合する結果をえることができたものである。
また、燃料電池触媒層解析装置は、この触媒の幾何形状モデルに、入力された境界条件を適用し、有限要素法により触媒層の変形を解析するので、触媒層の実際の物理的構造に基づいた触媒層の解析を行うことができる。
また、燃料電池触媒層解析装置は、この触媒の幾何形状モデルに、入力された境界条件を適用し、燃料電池の触媒層の強度計算に関する解析を行うので、触媒層の実際の物理的構造に基づいた触媒層の強度計算に関する解析を行うことができる。
また、触媒幾何形状モデルは、平面状に配置された複数のカーボン担体がバインダによって連結されて複数の気孔を形成する2次元的幾何形状モデルとするので、複雑な3次元解析を行うことなく、触媒層の解析を行うことができる。
また、気孔は、その任意の大きさの空間に、液体又はその氷結体を任意の割合で保持することとする。これは、上記のSEM観察の結果を反映したもので、これにより、触媒層における水分等の液体、又はそれが凍った氷結体の含浸割合をパラメータとして、触媒層の強度計算等の解析を行うことができる。
また、各気孔が有する空間の形状及び大きさは、複数種類に分類されることとする。これは、上記のSEM観察の結果を反映したもので、これにより、実際の物理的構造に基づいた触媒層の解析を行うことができる。
以下に図面を用いて、本発明に係る実施の形態に付き、詳細に説明する。以下では、触媒層の解析装置を、有限要素法による強度計算、すなわち、変形として応力とひずみに関する解析を行う装置として説明するが、有限要素法による解析以外でも、触媒の幾何形状モデルに境界条件を適用して、解析を行う装置であればよい。例えば、触媒の幾何形状モデルをそのまま力学が適用される各要素で構成される物理モデルとして、これに境界条件を与えて、変形に関する解析を行うコンピュータ等であってもよい。
図1は、燃料電池触媒層解析装置10の構成を示す図である。燃料電池触媒層解析装置10は、有限要素法(Finite Element Method:FEM)による強度計算を実行するFEM解析部12と、触媒の幾何形状モデル20を記憶する記憶装置14と、触媒の幾何形状モデル20に適用される境界条件等が入力されるキーボード等の境界条件入力部16と、FEM解析部12において解析された結果を出力するディスプレイあるいはプリンタ等の出力部18で構成される。これらの要素は、相互に内部バスで接続される。かかる燃料電池触媒層解析装置10は、FEM解析に適したコンピュータで構成することができる。
FEM解析部12は、記憶装置14から触媒の幾何形状モデル20を読み出し、これに境界条件入力部16から入力された境界条件を適用し、有限要素法により触媒層の変形を解析する機能を有するもので、いわゆる中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。有限要素法により触媒層の変形を解析するには、周知のメッシュ化を含むFEM解析手順を用いることができる。具体的には、適当な市販のFEM解析プログラムを、必要があれば専用化して、触媒変形解析プログラムとして用い、これを実行することで触媒層の変形に関するFEM解析を実現することができる。
触媒幾何形状モデル20の内容は、物理的モデルとして詳細に後述するが、記憶装置14に記憶するには、実行されるFEM解析プログラムに適したフォーマットを用いることが好ましい。例えば、幾何形状モデルの各格子点を、XY座標系の(0,1)等のデータとしてテキストファイル形式で記述するフォーマット等を用いることができる。
図2は、固体高分子型燃料電池における触媒層の様子を模式的に説明する図である。図2(a)は、固体高分子型燃料電池30の断面図、(b)はその一部拡大図、(c)は触媒層をSEMで観察される様子の模式図である。図2(a)に示されるように、固体高分子型燃料電池30は、薄膜積層体である電解質膜32と触媒層34の両側を挟んでカーボン拡散層36が配置され、その外側にセパレータ38が設けられる。セパレータ38は、金属薄板を加工し、燃料ガスである水素、酸化ガスである空気、冷却水等の流路39がそれぞれ分離して設けられる。カーボン拡散層36は、燃料ガス、酸化ガスを拡散させて触媒層34及び電解質膜32に運びこみ、燃料電池反応で生成される水等を運び出し、また、電気エネルギを取り出す機能を有する膜である。カーボン拡散層36の膜厚は例えば数100μmである。
電解質膜32は、プロトン伝導性ポリマーで、例えば商品名ナフィオン等を用いることができる。電解質膜32の膜厚は、例えば数10μm程度である。
触媒層34は、電解質膜32の両面に積層される薄膜である。触媒層34を電解質膜32に積層するにはいくつかの方法を用いることができる。例えば、触媒合金を担持したカーボン粉末をバインダと共に適当な溶媒等に混合した触媒層インクを用い、ダイコート法による塗布、スプレー法による噴霧等の後乾燥加熱処理によって電解質膜32の両面に形成することができる。触媒合金を担持したカーボン粉末としては、例えばPt/C、PtCo/C、PtRu/C、PtCoIr/C等を用いることができる。材料段階の触媒合金を担持したカーボン粉末の粒径は、例えば数nmから数10nm程度である。触媒層34の膜厚は、例えば数μm程度である。
このように、触媒層34は、触媒合金を担持したカーボン粉末を材料とし、電解質膜32上に形成されるものであるが、その構造は、気孔を有するポーラス状であり、ポーラス度等が燃料電池の特性に影響を与えること等が知られている。
図2(c)は触媒層34をSEMで観察した様子を示す図で、触媒合金を担持したカーボン粒子Aが凝集し、凝集したカーボン粒子Aに囲まれて気孔Bがあることが分かる。この気孔Bに、反応生成物である水等が含まれていることも観察される。
数多くのSEM観察の結果をまとめると、触媒層34は、次のような物理的構造を有することが分かった。第一に、触媒層34は、粒子状のカーボン担体がバインダによって隣接するもの同士が凝集して構成される。第二に、凝集は、団子状になるのではなく、隣接するカーボン担体が環状に連結されている。第三に、環状に連結されたカーボン担体に囲まれて気孔が存在する。第四に、気孔の大きさは複数種類ある。第五に、気孔に水等の液体が含まれる。なお、カーボン担体の連結は、必ずしも閉鎖した環状のみならず、一部連結が外れて開口を有するものもある。また、すべての気孔に水等が含まれるものでもない。これら気孔に含まれる水等は、低温下で凍り、これにより触媒層34に変形が生じる。
図3は、数値解析に適するように、これらの触媒層34の物理的構造をモデル化する様子を示す図である。図3(a)において、触媒層34を構成する要素は、カーボン担体40と、バインダ42であるとモデル化できる。カーボン担体40は、触媒合金を担持するものである。バインダ42は、カーボン担体40が凝集、連結する機能を表すものである。図3(a)に示すように、触媒層34を構成する要素のモデル化は、カーボン担体40を球状の粒子とし、バインダ42はその表面にある層とすることができる。
図3(b)は、バインダ42を介して、隣接するカーボン担体40が連結する様子のモデル化を示す。図3(c)は、バインダ42を介して連結したカーボン担体40によって囲まれた気孔44の形成の様子のモデル化を示す。気孔44の大きさは、カーボン担体40の連結する数を変更することで任意に変えることができる。また、気孔44は、周囲がカーボン担体40及びバインダ42で囲まれていても、気体及び液体が自由に出入りできるものとする。
実際の触媒層34は3次元的広がりを有するが、固体高分子型燃料電池30における触媒層34を構成するカーボン担体40の大きさも、気孔44の大きさも、触媒層34の厚さ、及びその平面的面積に比較してきわめて小さい。したがって、図3(c)のモデルに基づく解析が実行される領域も触媒層34の厚さ及びその平面的面積に比べきわめて小さいので、解析に用いる幾何形状のモデルとしては、2次元モデルを用いることができる。
図4は、触媒層の2次元的幾何形状モデル35を用いて、触媒層に生じる変形を解析する様子を示す図である。触媒層の2次元的幾何形状モデル35は、図2(c)で説明した触媒層34のSEM観察に基づいて、図3で説明した物理的構造モデルを、数値解析に用いるために幾何形状としてモデル化したものである。この幾何形状を構成する各要素に、力学的なパラメータがそれぞれ付与された上で、幾何形状がメッシュ化され、周知の有限要素法の手法を用いて変形の解析が行われる。
図4において、カーボン担体40とバインダ42とは、それぞれ直径が異なる円として、幾何形状が与えられる。隣接するカーボン担体40の間の連結は、バインダの外径上における点接合条件として規定することができる。気孔44,45は、バインダの外形で囲まれた領域としてその幾何形状が与えられる。なお、気孔44,45は、形状及び大きさの異なる2種類として、図4では幾何形状のモデル化がされている。もちろん、2種類以上の形状及び大きさの気孔が存在するものとしてモデル化することもできる。
これらの幾何形状を与えるに際し、カーボン担体40の直径の大きさは、実際のSEM観察に基づき、任意の寸法に定めることができる。ただし、解析を単純化するには、カーボン担体40の直径は、すべて任意に定めた同じ値とすることがよい。バインダ42の直径あるいはその厚みは、実際のSEM観察に基づき、隣接するカーボン担体40の間の間隙で与えることができるが、きわめて微小で観察が困難な場合は、カーボン担体40の直径に比べ適当に小さな値を与えることとしてもよい。
このように、カーボン担体40とバインダ42は、2次元平面では円として幾何形状が与えられるので、有限要素法を適用するためのメッシュ化は、極座標メッシュ化が適している。
カーボン担体40及びバインダ42の力学的パラメータは、実際に触媒層34を形成するときに用いられる材料のヤング率、ポアソン比、線膨張係数等を用いることができる。気孔44,45は、燃料ガス、酸化ガス、水あるいは氷についての上記の各力学的パラメータを用いることができる。
図4においては、気孔44,45は閉鎖された環状形状とし、その形状が水50又は氷によって満たされているものとし、これらが2次元的に繰り返されて広がっているものとして、触媒層の2次元的幾何形状モデル35が示されている。そして、この2次元的幾何形状モデル35に境界条件を与えて圧縮力66が加えられるものとして、その変形を解析することができる。図4においては、圧縮力66が加えられる辺に垂直な辺を拘束辺62,64とする対称拘束の境界条件の下で、繰り返される幾何形状の単位領域が解析領域60として取られる。
図5は、対称拘束の境界条件の下で適当な圧縮力を与えるときの変形を、解析領域60について示す図である。ここでは、図1で説明した燃料電池触媒層解析装置10を用い、FEM解析部12が、記憶装置14に記憶されている触媒の幾何形状モデル20を読み出し、境界条件入力部16から入力される境界条件を取得し、対応する触媒変形解析プログラムを実行して、図5のような結果が出力部18に出力される。
上記では、すべての気孔44,45に水が含まれるものとしたが、気孔44,45には自由に気体又は液体が出入りできるので、気孔44,45に含まれる液体の割合、例えば含水率を変更して解析を行うこともできる。図6は、その様子を示すもので、図6(a)は、含水率100%の場合で、すべての気孔に水50が満たされている。(b)は、大きな寸法の気孔にのみ水50が含まれ、小さな寸法の気孔44は燃料ガス又は酸化ガス等の気体が含まれている場合で、含水率69.5%に対応する。(c)は、小さな寸法の気孔にのみ水50が含まれ、大きな寸法の気孔45は燃料ガス又は酸化ガス等の気体が含まれている場合で、含水率30.5%に対応する。なお、複数の気孔44,45の中で、水等が含まれるものを適当に指定する方法等により、これ以外の含水率をモデル化することもできる。
図7は、含水率を変化させて、触媒層34に生じる応力の大きさを解析した結果を示す図である。図7において横軸は含水率、縦軸は、含水率30.5%のときの触媒層34の応力の大きさを1として、解析結果の応力の大きさを力の規格化して示してある。この結果から、含水率と触媒層34に生じる応力との間に正方向の相関があることが示され、これは実際の現象と一致することが確認された。
このように、触媒層をSEM観察して得られる実際の物理的構造に基づいて、幾何形状モデル化を行い、境界条件を与えて、触媒層の変形の解析を行うことができ、その結果が実際の現象に対応することが確認された。
上記の燃料電池触媒層解析装置及び燃料電池触媒層解析用の触媒幾何形状モデルは、固体高分子型燃料電池において、例えば反応生成物である水等が含まれるときに、触媒層の変形解析を行うことに用いることができる。これにより、燃料電池の特性と構造の関係を解析でき、燃料電池の最適化設計等に利用できる。
10 燃料電池触媒層解析装置、12 FEM解析部、14 記憶装置、16 境界条件入力部、18 出力部、20 幾何形状モデル、30 固体高分子型燃料電池、32 電解質膜、34 触媒層、35 2次元的幾何形状モデル、36 カーボン拡散層、38 セパレータ、39 流路、40 カーボン担体、42 バインダ、44,45 気孔、50 水、60 解析領域、62,64 拘束辺、66 圧縮力。
Claims (6)
- 燃料電池の触媒層の有限要素解析を行う解析装置であって、
触媒の幾何形状モデルを記憶するモデル記憶手段と、
境界条件を入力する手段と、
触媒の幾何形状モデルに、入力された境界条件を適用し、有限要素法により触媒層の変形を解析する手段と、
を備え、
モデル記憶手段は、
任意の形状と大きさを有するカーボン担体と、
隣接するカーボン担体の間を連結するバインダと、
バインダによって連結された複数のカーボン担体によって囲まれる任意の大きさの空間を有して、液体が出入り自由な気孔と、
を含む構成の触媒の幾何形状モデルを記憶することを特徴とする燃料電池触媒層解析装置。 - 燃料電池の触媒層の強度計算に関する解析を行う装置であって、
触媒の幾何形状モデルを記憶するモデル記憶手段と、
境界条件を入力する手段と、
触媒の幾何形状モデルに、入力された境界条件を適用し、触媒層の強度計算を行う手段と、
を備え、
モデル記憶手段は、
任意の形状と大きさを有するカーボン担体と、
隣接するカーボン担体の間を連結するバインダと、
バインダによって連結された複数のカーボン担体によって囲まれる任意の大きさの空間を有して、液体が出入り自由な気孔と、
を含む構成の触媒の幾何形状モデルを記憶することを特徴とする燃料電池触媒層解析装置。 - 燃料電池の触媒層の強度計算に関する解析を行う装置上において、境界条件を適用して触媒層の強度計算に関する解析を行うために用いられる触媒の幾何形状モデルであって、
任意の形状と大きさを有するカーボン担体と、
隣接するカーボン担体の間を連結するバインダと、
バインダによって連結された複数のカーボン担体によって囲まれる任意の大きさの空間を有して、液体が出入り自由な気孔と、
を含むことを特徴とする燃料電池触媒層解析用の触媒幾何形状モデル。 - 請求項3に記載の燃料電池触媒層解析用の触媒幾何形状モデルは、
平面状に配置された複数のカーボン担体がバインダによって連結されて複数の気孔を形成する2次元的幾何形状モデルであることを特徴とする燃料電池触媒層解析用の触媒幾何形状モデル。 - 請求項3に記載の燃料電池触媒層解析用の触媒幾何形状モデルにおいて、
気孔は、その任意の大きさの空間に、液体又はその氷結体を任意の割合で保持することを特徴とする燃料電池触媒層解析用の触媒幾何形状モデル。 - 請求項3に記載の燃料電池触媒層解析用の触媒幾何形状モデルにおいて、
各気孔が有する空間の形状及び大きさは、複数種類に分類されることを特徴とする燃料電池触媒層解析用の触媒幾何形状モデル。
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2006
- 2006-05-30 JP JP2006150238A patent/JP2007323852A/ja active Pending
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