JP2007320929A - 歯科矯正用接着剤及び歯科矯正用ブラケット - Google Patents
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Abstract
【課題】ブラケットを歯面から撤去するときに接着強度を弱くすることができる歯科矯正用接着剤を提供する。
【解決手段】歯面5に対しブラケットなどの矯正用治具を接着する歯科矯正用接着剤4である。その接着剤4中に、膨脹開始温度が70℃〜100℃の熱膨張性マイクロカプセル6を混入する。
【選択図】 図1
【解決手段】歯面5に対しブラケットなどの矯正用治具を接着する歯科矯正用接着剤4である。その接着剤4中に、膨脹開始温度が70℃〜100℃の熱膨張性マイクロカプセル6を混入する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、歯科矯正のために、エナメル質などからなる歯の表面(歯面)に対してブラケットなどの矯正用治具を接着するための接着剤及びブラケットに係り、特に接着した矯正治具を撤去する際に特徴を有する歯科矯正用接着剤及び歯科矯正用ブラケットに関するものである。
歯面に矯正用ブラケットを接着する歯科矯正用接着剤(以下、単に接着剤とも呼ぶ)としては、一般に次のようなことが要求される。
1)咀嚼や矯正力に耐える接着力を有する。
2) 接着力が矯正治療期間中(およそ2〜3年間)持続する。
3)唾液や血液等の汚染により接着力が低下しない。
4)口腔内環境の変化(pHや急激な温度、湿度の変化)に影響を受けない。
5)歯面(被接着体)の種類(エナメル質、金属、セラミック等)を問わず接着が可能である。
6)人体にとって無害である。
そして、このような条件を満たした接着剤が使用されるが、これらの条件を満たすためには、接着剤に強力な接着力を必要とする。
1)咀嚼や矯正力に耐える接着力を有する。
2) 接着力が矯正治療期間中(およそ2〜3年間)持続する。
3)唾液や血液等の汚染により接着力が低下しない。
4)口腔内環境の変化(pHや急激な温度、湿度の変化)に影響を受けない。
5)歯面(被接着体)の種類(エナメル質、金属、セラミック等)を問わず接着が可能である。
6)人体にとって無害である。
そして、このような条件を満たした接着剤が使用されるが、これらの条件を満たすためには、接着剤に強力な接着力を必要とする。
しかし、矯正治療のために、歯面に矯正用ブラケットを接着した後、治療終了時(通常接着してから1〜2年以上後)には、歯面に接着されたブラケットを当該歯面から撤去する必要がある。強力に接着されたブラケット撤去は、ブラケットに外力を加えることにより、接着剤の破壊あるいは接着歯面と接着剤の界面破壊を行うが、歯の移動直後では、歯周組織に炎症が存在するため、ブラケット撤去時に外力を加えると顕著な疼痛を生じ、患者の大きな負担となっている。さらに、外力によって歯面エナメル質の破折や損傷を与えることもあり、過大な外力を加えずブラケットの撤去を行う方法が求められている。
また近年、審美ブラケットとして多用されているセラミック製の矯正用ブラケットにおいては、セラミック材がエナメル質より硬く脆いため、ブラケット撤去時にブラケットの破折が生じることが多く、歯面に残存したセラミックブラケット破折片の撤去は著しく困難である。この歯面に残存したセラミックブラケット破折片の除去を考えた場合に、歯科用切削機では透明で硬いセラミック破折片と共に歯質を切削する恐れがあり使用が難しい。そのため専用プライヤーやスケーラーを用いて破折片を撤去することになり、大きな外力による疼痛や歯の破折を起こしやすく、多大な時間を費やすことになる。
ここで、口腔内に使用している既存の接着剤としては、メタクリレート系レジン(コンポジット系レジンを含む)やグラスアイオノマーセメント(レジン添加型を含む)などがある。
ここで、口腔内に使用している既存の接着剤としては、メタクリレート系レジン(コンポジット系レジンを含む)やグラスアイオノマーセメント(レジン添加型を含む)などがある。
上述のような課題に対する従来技術としては、例えば特許文献1に記載される技術がある。この特許文献1に記載される技術では、ブラケット本体の接着面に対して塗布されるシランカップリング剤を、接着剤と反応する有機基を有する有機官能性シランと、接着剤と反応しない有機基を有する有機シランとの混合物で構成し、その混合比を適宜選択することで結合強度を弱くしている(段落番号0004参照)。または、有機シラン層の表面の所定部位を、接着剤と化学結合しにくいコントロール膜で被覆することで結合強度を弱くしている(請求項1参照)。
特開平5−245167号公報
しかし、上記従来技術では、ブラケットの接着当初から所定以下の接着強度にコントロールする必要がある。
本発明は、上記のような点を考慮してなされたもので、ブラケットなどの矯正用治具を歯面から撤去するときに接着強度を弱くすることができる歯科矯正用接着剤及び歯科矯正用ブラケットを提供することを課題としている。
本発明は、上記のような点を考慮してなされたもので、ブラケットなどの矯正用治具を歯面から撤去するときに接着強度を弱くすることができる歯科矯正用接着剤及び歯科矯正用ブラケットを提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、歯面に対しブラケットなどの矯正用治具を接着する歯科矯正用接着剤であって、膨脹開始温度が70℃〜100℃の熱膨張性マイクロカプセルを混入したことを特徴とするものである。
次に、請求項2に記載した発明は、請求項2に記載した構成に対し、上記熱膨張性マイクロカプセルの混入率を17〜40wt%の範囲にしたことを特徴とするものである。
次に、請求項3に記載した発明は、ブラケット本体の接着面にカップリング剤を介して接着剤が付着される歯科矯正用ブラケットにおいて、上記カップリング剤若しくは接着剤内の少なくとも一方に対し、膨脹開始温度が70℃〜100℃の熱膨張性マイクロカプセルを混入したことを特徴とするものである。
次に、請求項2に記載した発明は、請求項2に記載した構成に対し、上記熱膨張性マイクロカプセルの混入率を17〜40wt%の範囲にしたことを特徴とするものである。
次に、請求項3に記載した発明は、ブラケット本体の接着面にカップリング剤を介して接着剤が付着される歯科矯正用ブラケットにおいて、上記カップリング剤若しくは接着剤内の少なくとも一方に対し、膨脹開始温度が70℃〜100℃の熱膨張性マイクロカプセルを混入したことを特徴とするものである。
次に、請求項4に記載した発明は、請求項3に記載した構成に対し、上記熱膨張性マイクロカプセルの混入率を17〜40wt%の範囲にしたことを特徴とするものである。
ここで、本発明では、カップリング剤自体や接着剤自体とマイクロカプセルとの間で化学的な反応を期待していないので、カップリング剤自体や接着剤自体について特に限定はない。
カップリング剤としては、シランカップリング剤などが例示できる。
また、接着剤自体としては、アクリルまたはメタクリル樹脂などの有機接着剤を例示できる。
ここで、本発明では、カップリング剤自体や接着剤自体とマイクロカプセルとの間で化学的な反応を期待していないので、カップリング剤自体や接着剤自体について特に限定はない。
カップリング剤としては、シランカップリング剤などが例示できる。
また、接着剤自体としては、アクリルまたはメタクリル樹脂などの有機接着剤を例示できる。
本発明によれば、ブラケットなどの矯正用治具を歯面から撤去する際には、加熱してマイクロカプセルを膨脹させることで、膨脹という物理的な作用で接着強度を弱くできて歯への負担を小さくすることが出来る。
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では矯正治具として矯正用ブラケットを例示するが、他の歯面に接着する矯正治具の接着であっても適用可能である。
図1に示すように、矯正用ブラケットの本体1は、例えばセラミック製であって、表面に矯正用ワイヤ2を差し込むための溝1aが設けられていると共にその左右に結紮具を掛止するためのウイング1bが形成されている。
本実施形態では矯正治具として矯正用ブラケットを例示するが、他の歯面に接着する矯正治具の接着であっても適用可能である。
図1に示すように、矯正用ブラケットの本体1は、例えばセラミック製であって、表面に矯正用ワイヤ2を差し込むための溝1aが設けられていると共にその左右に結紮具を掛止するためのウイング1bが形成されている。
そのブラケット本体1の背面である接着面1cには、ガンマメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤3が塗布されている。このカップリング剤3は、有機系の歯科矯正用接着剤4と強固に化学結合するものである。
そして、上記ブラケットの接着面1cに上記カップリング剤3を介して若しくは直接に接着剤4を固定した状態で、目的とする歯の表面5に押し付けることで、ブラケット本体1は、歯面5に接着固定される。
そして、上記ブラケットの接着面1cに上記カップリング剤3を介して若しくは直接に接着剤4を固定した状態で、目的とする歯の表面5に押し付けることで、ブラケット本体1は、歯面5に接着固定される。
ブラケット本体1を撤去する場合には、例えば、ブラケット本体1にヒーターを当てて伝熱で接着剤中のマイクロカプセルを加熱して膨脹させて接着強度を低下させる。
ここで、上記接着剤4は、メタクリレート系レジン(コンポジット系レジンを含む)やグラスアイオノマーセメント(レジン添加型を含む)などからなる接着剤4中に、熱膨張性マイクロカプセル6を混入させて構成されるものである。
ここで、上記接着剤4は、メタクリレート系レジン(コンポジット系レジンを含む)やグラスアイオノマーセメント(レジン添加型を含む)などからなる接着剤4中に、熱膨張性マイクロカプセル6を混入させて構成されるものである。
また、上記熱膨張性マイクロカプセル6は、例えば80℃に加熱すると体積が約70倍に膨張する気体を有した直径10〜20μmの熱膨張性マイクロカプセルである。
ここで、過去の論文によると、Plant らは、68℃以上のコーヒーは摂取不可能であったと報告しており、Longman らは、被験者が摂取したコーヒーの温度は55℃〜67℃であったと報告している。また、嶺崎らは、通常、コーヒーなどを摂取して嚥下するまでの時間は長くても3秒程度であるとしている。
ここで、過去の論文によると、Plant らは、68℃以上のコーヒーは摂取不可能であったと報告しており、Longman らは、被験者が摂取したコーヒーの温度は55℃〜67℃であったと報告している。また、嶺崎らは、通常、コーヒーなどを摂取して嚥下するまでの時間は長くても3秒程度であるとしている。
このことから、日常生活においての口腔内の温度変化による接着力の低下を防ぐためには、熱膨張性マイクロカプセル6の膨張開始温度は70℃以上で膨張が開始されるのに3秒以上かかることが望ましいと思われる。
しかし、ヒーターによる加熱温度が必要以上に高いと、歯髄腔内の温度の上昇も急激となり、歯髄の重篤な炎症を防ぐためにはシビアな加熱時間のコントロールが必要となることが懸念される。また、口腔内での加熱処置となるため、ヒーターの設定温度もできるかぎり低いことが望ましいと思われる。
以上のことから、熱膨張性マイクロカプセル6の膨張開始温度は70℃〜100℃、好ましくは75℃〜85℃が妥当であると判断し、本実施形態では、膨張開始温度が80℃の熱膨張性マイクロカプセル6を使用している。
しかし、ヒーターによる加熱温度が必要以上に高いと、歯髄腔内の温度の上昇も急激となり、歯髄の重篤な炎症を防ぐためにはシビアな加熱時間のコントロールが必要となることが懸念される。また、口腔内での加熱処置となるため、ヒーターの設定温度もできるかぎり低いことが望ましいと思われる。
以上のことから、熱膨張性マイクロカプセル6の膨張開始温度は70℃〜100℃、好ましくは75℃〜85℃が妥当であると判断し、本実施形態では、膨張開始温度が80℃の熱膨張性マイクロカプセル6を使用している。
ここで、熱膨張性マイクロカプセル6は、一般に、所定温度以上で、短時間の加熱により、直径で4〜5倍、体積で50〜100倍に膨脹する平均粒径10〜30μmのマイクロカプセル6である。これはイソブタン、ペンタン、石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、低沸点ハロゲン化炭化水素、メチルシラン等の揮発性有機剤(膨張剤)を塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどの共重合体からなる熱可塑性樹脂からなる膜ポリマーで包み込んだものである。マイクロカプセル6が膜ポリマーの軟化点以上に加熱されると膜ポリマーが軟化を始め、同時に内包されている膨張剤の蒸気圧が上昇し膜が押し広げ、カプセルが膨脹するといった機序となっている。このように、熱膨張性カプセルは、芯物質(膨張剤)と膜ポリマーとの組み合わせにより形成され、熱膨張剤の沸点や膜ポリマーの軟化点などを考慮することで、膨脹開始温度を70〜100℃に設定可能である。また、熱膨張性カプセルは、小さいので、薄い膜状な接着剤4中であっても混入分散させることが可能である。
なお、熱膨張性マイクロカプセル6としては、特開2005−29607号公報など多数公開されており、膨張開始温度は70℃〜100℃の熱膨張性マイクロカプセル6の製造は可能である。例えば、松本油脂製薬株式会社の銘柄F−30の熱膨張性マイクロカプセル6は膨脹温度が80〜85℃で本願発明に最適な温度帯内のマイクロカプセル6である。
また、熱膨張性マイクロカプセル6の接着剤4自体への混入率は、後述のように17〜40wt%とする。
また、熱膨張性マイクロカプセル6の接着剤4自体への混入率は、後述のように17〜40wt%とする。
上記のような接着剤4でブラケット本体1を接着すると、治療時のブラケット接着力の低下を最小限に抑えると共に、矯正治療後ブラケットを歯面5から撤去する際に、ブラケット表面から加熱することでマイクロカプセル6内の気体を膨張させ、接着剤4を破損させることで、接着力を顕著に低下させることができる。そのため、ブラケットに強い外力を与えることなくブラケット撤去を可能にし、それに伴い撤去時の疼痛を顕著に緩和し、撤去作業による歯の破折や亀裂を軽減することができ、撤去時間も顕著に短縮できる。
ここで、ブラケット用接着剤4にはさまざまなタイプの形態(粉体・液体混和タイプやペーストタイプ)や重合形式(化学重合および光重合)のものが存在するが、熱膨張性マイクロカプセル6の混和量や適用法を変えることで接着部分を膨張させてブラケットの撤去を容易にすることが可能である。また、サーマルサイクラーを用いて口腔内環境における接着強度の低下を検討したところ、接着強度は十分維持されていた。また、接着剤自体と熱膨張性マイクロカプセルとは化学的反応を起こすものではなく、マイクロカプセルの膨脹という物理的力で接着強度を低下させることから、接着剤としては既存のものであれば特に限定はされない。
一方、ブラケット加熱時の熱よる歯髄の損傷が懸念されるため、抜歯した新鮮中切歯及び小臼歯を用い歯髄腔内の温度上昇を検討したところ、加熱しマイクロカプセル6の発泡開始8秒後すぐに冷水により冷却することにより、髄腔内の温度上昇は5度以内に収まったため、歯髄への影響は少ないと判断できた。
なお、上記実施形態では、接着剤4に膨脹性マイクロカプセル6を混入する場合を例示しているが、カップリング剤3に混入しても良い。
なお、上記実施形態では、接着剤4に膨脹性マイクロカプセル6を混入する場合を例示しているが、カップリング剤3に混入しても良い。
アクリルレジンで包埋した牛歯の歯面5に試作接着剤4(実験群)を用いて矯正用ブラケットを接着した。
ここで、接着剤4としては、サンメディカル株式会社のスーパーボンド(商品名、医療用具承認番号:20700BZZ00882)のポリマー粉末を使用した。熱膨張性マイクロカプセル6としては、上述の松本油脂製薬株式会社の銘柄F−30の熱膨張性マイクロカプセルを使用した。そして、上記ポリマー粉末に対し熱膨張性マイクロカプセルを均一に混合し、上記スーパーボンドの使用方法にしたがって、つまりモノマー液とキャタリストを混合した活性化液を筆先に浸し、その筆先を上記混合した粉末でまとわせ玉を作り、ブラケットの接着面に塗布し、歯面に押し付けることで接着した。
ここで、接着剤4としては、サンメディカル株式会社のスーパーボンド(商品名、医療用具承認番号:20700BZZ00882)のポリマー粉末を使用した。熱膨張性マイクロカプセル6としては、上述の松本油脂製薬株式会社の銘柄F−30の熱膨張性マイクロカプセルを使用した。そして、上記ポリマー粉末に対し熱膨張性マイクロカプセルを均一に混合し、上記スーパーボンドの使用方法にしたがって、つまりモノマー液とキャタリストを混合した活性化液を筆先に浸し、その筆先を上記混合した粉末でまとわせ玉を作り、ブラケットの接着面に塗布し、歯面に押し付けることで接着した。
まず、マイクロカプセル6の混入率を変更し、初期における剪断接着強度測定し、各群間の統計分析を行った。
図2がその結果である。
この図2から分かるように、少なくとも混入率が40wt%以下であれば、接着初期において、実際の治療時に要求される10MPaを越えるせん断接着強度を確保できることが分かる。
なお、混入率とは、例えば10wt%は、マイクロカプセル10wt%で、その他は接着剤自体が90wt%であることを示す。
さらに、80℃で8秒加熱したあとのせん断接着強度を求めてみたところ、図3のような結果を得た。
この図3から分かるように、混入率を17wt%以上とすることで、加熱後のせん断接着強度を10MPa以下にすることが出来ることから、混入率は17wt%以上であることが好ましい。
図2がその結果である。
この図2から分かるように、少なくとも混入率が40wt%以下であれば、接着初期において、実際の治療時に要求される10MPaを越えるせん断接着強度を確保できることが分かる。
なお、混入率とは、例えば10wt%は、マイクロカプセル10wt%で、その他は接着剤自体が90wt%であることを示す。
さらに、80℃で8秒加熱したあとのせん断接着強度を求めてみたところ、図3のような結果を得た。
この図3から分かるように、混入率を17wt%以上とすることで、加熱後のせん断接着強度を10MPa以下にすることが出来ることから、混入率は17wt%以上であることが好ましい。
また、10MPaの繰り返し荷重を1000回かけるサーマルサイクル試験後のせん断接着強度を求めたところ、図4のような結果となった。
図4から分かるように、混入率を40wt%以下に抑えることで経時的な強度劣化も抑えられることが分かる。この観点から混入率は40wt%以下が好ましい。
なお、新鮮なヒト抜去歯を用い、ブラケットの加熱による歯髄腔内の温度上昇を熱電対にて測定した。ブラケットをヒーターで8秒80℃に加熱した際の歯髄腔内の温度上昇は5℃以内であった。すなわち、歯髄への影響は小さいことが分かる。すなわち、接着剤4のせん断接着強度を下げる目的で70〜100℃程度に短時間加熱しても、歯髄への影響は小さく、十分実用性があることが分かる。
図4から分かるように、混入率を40wt%以下に抑えることで経時的な強度劣化も抑えられることが分かる。この観点から混入率は40wt%以下が好ましい。
なお、新鮮なヒト抜去歯を用い、ブラケットの加熱による歯髄腔内の温度上昇を熱電対にて測定した。ブラケットをヒーターで8秒80℃に加熱した際の歯髄腔内の温度上昇は5℃以内であった。すなわち、歯髄への影響は小さいことが分かる。すなわち、接着剤4のせん断接着強度を下げる目的で70〜100℃程度に短時間加熱しても、歯髄への影響は小さく、十分実用性があることが分かる。
1 ブラケット本体
1c 接着面
3 カップリング剤
4 接着剤
5 歯面
6 熱膨脹性マイクロカプセル
1c 接着面
3 カップリング剤
4 接着剤
5 歯面
6 熱膨脹性マイクロカプセル
Claims (4)
- 歯面に対しブラケットなどの矯正用治具を接着する歯科矯正用接着剤であって、膨脹開始温度が70℃〜100℃の熱膨張性マイクロカプセルを混入したことを特徴とする歯科矯正用接着剤。
- 上記熱膨張性マイクロカプセルの混入率を17〜40wt%の範囲にしたことを特徴とする請求項1に記載した歯科矯正用接着剤。
- ブラケット本体の接着面にカップリング剤を介して接着剤が付着される歯科矯正用ブラケットにおいて、上記カップリング剤若しくは接着剤内の少なくとも一方に対し、膨脹開始温度が70℃〜100℃の熱膨張性マイクロカプセルを混入したことを特徴とする歯科矯正用ブラケット。
- 上記熱膨張性マイクロカプセルの混入率を17〜40wt%の範囲にしたことを特徴とする請求項3に記載した歯科矯正用ブラケット。
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JP2006154997A JP2007320929A (ja) | 2006-06-02 | 2006-06-02 | 歯科矯正用接着剤及び歯科矯正用ブラケット |
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2006
- 2006-06-02 JP JP2006154997A patent/JP2007320929A/ja active Pending
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CN110769799A (zh) * | 2017-06-23 | 2020-02-07 | 皮埃尔·罗兰多牙科用品有限公司 | 牙用粘合剂 |
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