JP2007303836A - 担持金属触媒の活性評価方法及び担持金属触媒のスクリーニング方法 - Google Patents

担持金属触媒の活性評価方法及び担持金属触媒のスクリーニング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】担体に活性金属を担持してなる担持金属触媒の活性、特に脱硫触媒の脱硫活性を、よりその実情に即して正確かつ迅速に評価することができる担持金属触媒の活性評価方法と、該方法を用いる担持金属触媒のスクリーニング方法を提供すること。
【解決手段】担持金属触媒を、作用時の状態になるように前処理した後、少なくとも3点の異なる吸着圧でキセノンを担持金属触媒に吸着させ、該異なる吸着圧でキセノンを吸着させた各々の担持金属触媒の129XeNMRスペクトルにおけるピークの化学シフトをyとし、キセノン吸着量をxとして、理論式y=a/x+bx+cにフィッティングして求められる該理論式のaの値から担持金属触媒の活性を評価する担持金属触媒の活性評価方法と、該方法を用いる担持金属触媒のスクリーニング方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、担体に活性金属種を担持してなる担持金属触媒の活性評価方法に関し、より詳しくは、作用時の状態になるように前処理を施した担持金属触媒に、少なくとも3点の異なる吸着圧でキセノンを吸着させ、それらの129キセノン(129Xe)核磁気共鳴(NMR)スペクトルにおけるピークの化学シフトをyとし、キセノン吸着量をxとして、理論式y=a/x+bx+cにフィッティングして求めたaの値から担持金属触媒の活性を評価する方法に関する。更に本発明は、担持金属触媒の開発の際に有用である、正確かつ迅速な担持金属触媒のスクリーニング方法に関する。
各種脱硫装置、接触改質装置、FT合成装置などの石油精製関連プロセスでは、アルミナなどの担体に活性金属種を担持した担持金属触媒がよく用いられている。例えば、石油精製プロセスにおいて、灯油、軽油などの石油留分を脱硫する場合、アルミナ担持モリブデン系触媒が一般に使用されている。このアルミナ担持モリブデン系触媒は、通常反応装置内において硫化処理された後、脱硫反応に供せられる。この硫化処理によって、脱硫反応の活性サイトとなる二硫化モリブデンの層状構造がアルミナ担体上に形成される。
また、このモリブデン系脱硫触媒に、助触媒としてコバルト、ニッケルなどのVIII族金属を添加することによって、脱硫活性が大幅に向上することもよく知られている。これは、触媒の硫化処理にともなって、これらの金属が二硫化モリブデンの層状構造の近傍に配位する特異な活性サイト構造(Co−Mo−S相)を形成するためと一般に考えられている。すなわち、このCo−Mo−S相の分散性が触媒の脱硫活性に大きな影響を及ぼしているといえる。
従来、上記の如き脱硫触媒のCo−Mo−S相を分析する方法としては、その一つとして、一酸化窒素をプローブとして触媒に化学吸着させ、その吸着量を測定する方法がよく用いられている(例えば、非特許文献1参照)。この方法は、一酸化窒素が二硫化モリブデンの配位不飽和サイトに選択的に吸着しやすいという原理に基づいている。また、他の一つとして、一酸化窒素を化学吸着させた後、拡散反射赤外吸収スペクトルを測定することによって、コバルトなどの金属が配位不飽和サイトに近接しているか否かを判別する方法がある(例えば、非特許文献2参照)。しかし、これらの方法では、Co−Mo−S相の分散性を正確に見積もることが困難であることから、触媒の脱硫活性を正確かつ迅速に評価し、触媒のスクリーニングに資するには十分ではない。
一方最近では、キセノンを吸着させ、その129XeNMRスペクトルを測定・解析することによって、触媒の脱硫活性を評価する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、活性サイトの構造変化がキセノンの電子状態に反映され、その結果としてNMRスペクトルのピークの化学シフト変化として検出される原理に基づいている。具体的には、硫化処理を施した担持金属触媒に、少なくとも3点の異なる吸着圧でキセノンを吸着させ、それらの129XeNMRスペクトルにおけるピークの化学シフトをyとし、キセノン吸着量をxとして、理論式y=a/x+bx+cにフィッティングして求めたcの値から担持金属触媒の活性を評価する方法である。この方法によれば、触媒の脱硫活性を正確かつ迅速に評価することが概ね可能となる。ただし、担持金属触媒では、活性サイトを構成する二硫化モリブデンの積層構造に差異が無いなど、活性サイトの形成状態によっては、c値がほぼ等しいにもかかわらず、脱硫活性が異なる場合もある。かかる場合には、上記の提案された方法では、触媒の脱硫活性を正確かつ迅速に評価することが困難である。したがって、かかる場合にも正確かつ迅速に触媒の脱硫活性の評価が可能であって、より触媒の脱硫活性の実情に即して正確かつ迅速に触媒の脱硫活性を評価し得て、より正確かつ迅速に触媒のスクリーニングに資することができる方法が現在要望されている。
H. Topsoe, R. Candia, N. Y. Topsoe, B. S. Clausen, Bull. Soc. Chim. Belg., 93 (1984) 783. N. Y. Topsoe, H. Topsoe, J. Catal., 84 (1983) 386. 特開2006−17525号公報
本発明の目的は、上記要望に鑑み、担体に活性金属種を担持してなる担持金属触媒の活性、特に脱硫触媒の脱硫活性を、よりその実情に即して正確かつ迅速に評価することができ、担持金属触媒の開発の際などに、より正確かつ迅速に担持金属触媒をスクリーニングするに大きく貢献し得る担持金属触媒の活性評価方法を提供することである。更に該担持金属触媒の活性評価方法を用いた担持金属触媒のスクリーニング方法を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を行った。その結果、キセノンをプローブとして用い、作用時の状態になるように前処理した触媒、例えば脱硫触媒の場合であれば前処理として硫化処理した触媒にキセノンを吸着させ、その同位元素の129キセノンの核磁気共鳴(129XeNMR)スペクトルを測定すると、該スペクトルのピークの化学シフトyをキセノン吸着量xに対してプロットした時の理論式y=a/x+bx+cにおけるaの値が、触媒の活性サイトの分散性に依存しており、活性サイトの構造をより詳細に分析し得て、触媒の活性をよりその実情に即して正確かつ迅速に評価できることを見出して本発明を完成した。本発明は、上記理論式のaの値が活性サイトの分散性を反映しており、活性サイトの分散性が向上することによってaの値が増大するという原理に基づくものである。
すなわち、本発明は、上記目的を達成するために、次の担持金属触媒の活性評価方法、及び担持金属触媒のスクリーニング方法を提供するものである。
(1)担体に活性金属種を担持してなる担持金属触媒を、作用時の状態になるように前処理した後、少なくとも3点の異なる吸着圧でキセノンを担持金属触媒に吸着させ、該異なる吸着圧でキセノンを吸着させた各々の担持金属触媒の129XeNMRスペクトルにおけるピークの化学シフトをyとし、キセノン吸着量をxとして、理論式y=a/x+bx+cにフィッティングして求められる該理論式のaの値から担持金属触媒の活性を評価することを特徴とする担持金属触媒の活性評価方法。
(2)前記担持金属触媒が脱硫触媒であり、前記前処理が硫化処理であることを特徴とする上記(1)に記載の担持金属触媒の活性評価方法。
(3)上記(1)又は(2)に記載の担持金属触媒の活性評価方法を用いたことを特徴とする担持金属触媒のスクリーニング方法。
本発明によれば、担体に活性金属種を担持した担持金属触媒の活性点を詳細に分析することができ、担持金属触媒の活性をよりその実情に即して正確かつ迅速に評価することができる。例えば、モリブデン系脱硫触媒の場合、129XeNMRスペクトルのピークの化学シフトyをキセノン吸着量xに対してプロットした時の理論式y=a/x+bx+cにおけるaの値が、二硫化モリブデンの配位不飽和サイトの分散性に依存することから、脱硫活性を正確に見積もることができる。また、コバルト−モリブデン系脱硫触媒の場合も、同様に上記理論式のaの値が活性サイトであるCo−Mo−S相の分散性に依存することから、脱硫活性を正確に類推することができる。これは、担体上における活性サイトの分散性が向上すると、活性サイトと相互作用するキセノンの単位時間当たりの数が多くなり、結果として上記理論式におけるaの値が増加するという原理に基づいている。したがって、本発明の担持金属触媒の活性評価方法により、脱硫触媒の開発の際などに、脱硫触媒を従来に比しより正確かつ迅速にスクリーニングすることが可能となる。
以下、本発明の内容を詳細に説明する。
〔評価対象触媒〕
本発明における評価対象は、担体に活性金属種を担持してなる担持金属触媒であって、かかる担持金属触媒であれば種々の機能の触媒を評価対象とすることができ、例えば、灯油や軽油などを脱硫する場合に用いられる脱硫触媒、重質ナフサの接触改質触媒、合成ガスから液状炭化水素を合成するFT(フィッシャー・トロプシュ) 合成触媒などが挙げられる。中でも、脱硫触媒の評価に本発明は好適である。以下、脱硫触媒の活性評価を例にとって詳しく述べる。
脱硫触媒としては、モリブデン系脱硫触媒、タングステン系脱硫触媒など種々の脱硫触媒がある。また、脱硫触媒は、一般に、アルミナ、シリカ、ボリア、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、ゼオライト、モレキュラーシーブなどの無機酸化物や活性炭を担体として用い、これに活性金属であるモリブデン、タングステンなどの周期律表第6族金属を、含浸法やイオン交換法、化学気相蒸着法などの手法を用いて担持したものである。また、更にこれらにコバルトやニッケルなどの周期律表第8族金属を添加した触媒もある。本発明は、これらの種々の脱硫触媒に好適に適用することができる。
〔前処理〕
本発明では、これらの脱硫触媒を、作用時の状態になるように十分に前処理をした後、キセノンを吸着させてNMRスペクトルを測定する。ここで、評価する触媒が脱硫触媒である場合の前処理とは、硫化処理を意味する。また、作用時の状態とは、モリブデンなどの活性金属が硫化物となって担体表面に分散し、反応の活性点として機能している状態である。
硫化処理の方法としては、硫黄化合物を含む流体に触媒を接触させながら加熱するのが一般的である。流体として気体を用いる場合は、水素ガスもしくはアルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを混合した水素ガスをキャリアガスとし、それに硫化水素を添加して流通させる方法がある。また、流体として液体を用いる場合は、灯油、もしくはジメチルジスルフィドなどを添加した灯油、二硫化炭素などを水素ガスとともに流通させる方法がある。本発明の場合、触媒を硫化した後にNMR測定を行う必要があるため、硫化の方法としては、硫化水素ガスを含む水素ガスを流通させながら加熱するのが最も好ましい。触媒の硫化条件は、必要に応じて適宜設定することができるが、一般に、5体積%以上の硫化水素を含む水素ガスを50ml/min 以上の流速で触媒1gに流通させ、350℃以上で3時間以上加熱することが好ましい。
なお、評価する触媒が、接触改質触媒やFT合成触媒などである場合は、前処理として還元処理が行われる。この還元処理は、接触改質触媒やFT合成触媒などで前処理として行われる周知の還元処理で良い。
上記のようにして硫化した脱硫触媒は、大気に触れないようにNMR測定管に移すことが非常に重要である。それは、大気に触れた場合、触媒上の活性点の状態が酸化などによって大きく変化するからである。したがって、硫化した触媒を、真空や不活性ガス雰囲気下でNMR測定管に移す必要がある。硫化した触媒を大気に触れさせることなくNMR測定管に移し得る触媒前処理具の一例の概略を模式的に図1に示す。図1の触媒前処理具Aは、ヒーター1及び導入口(触媒導入兼硫化用ガス導入)2を有する硫化処理管3、NMR測定管4、硫化処理管3とNMR測定管4との間に介在する連結管5、及びNMR測定管4の端部を大気に曝すことなく着脱可能とする連結部6を備えて構成されている。図1の触媒前処理具Aでは、まず、硫化処理管3の中に導入口2から触媒7を入れ、次いで硫化水素含有ガスを流通させ、ヒーター1で所定温度に加熱して触媒7の硫化が行われる。触媒7の硫化終了後、硫化した触媒7を連結管5及び連結部6を経由して、NMR測定管4の中に移送する(図示省略)。その後、NMR測定管4に付属しているコックを閉じて触媒前処理具Aから取り外し、別途用意したキセノンガス吸着装置に接続する(図示省略)。続いて、硫化した触媒7の入ったNMR測定管4にキセノンガスを導入し、硫化した触媒7にキセノンガスを吸着させ、この触媒7へのキセノンガスの吸着が平衡に達した後、NMR測定管4をNMR測定装置の所定位置にセットする(図示省略)。そして、キセノンガスが吸着した触媒7の129XeNMRスペクトルを測定する。NMR測定装置としては、公知のNMR測定装置を適宜用いることができる。
〔NMR測定条件〕
硫化後の触媒にキセノンを吸着させ、NMRを測定する条件は以下の通りである。すなわち、キセノンの吸着圧は、吸着したキセノンのNMRスペクトル(129XeNMRスペクトル)のピークが十分に検出できれば特に制限されないが、一般に0.005MPa以上で吸着させることが好ましい。また、少なくとも3点の異なる吸着圧で担持金属触媒にキセノンを吸着させて、各触媒の129XeNMRスペクトルを測定する。これは、測定されたピークの化学シフトを理論式y=a/x+bx+cにフィッティングするためである。キセノンの吸着圧とは、硫化後の触媒が入ったNMR測定管内におけるキセノンガスの吸着平衡に達した後の圧力である。
また、NMRを測定する条件は、NMR装置の磁場強度に依存するため一概にはいえないが、観測周波数を129キセノン(129Xe)核に合わせ、測定結果のS/Nが最も良くなる条件を選択すべきである。すなわち、通常はパルス幅を45°、パルスの繰り返し時間を1秒以上、積算回数を1000回以上、パルスシークエンスをシングルパルスとすることが望ましい。なお、化学シフトの基準には、0.5MPaのキセノンのガスを2.32ppmとすることが適当である。
本発明においてNMRスペクトルを表記する場合は、基準に対して化学シフトが増加する方向を「低磁場側」、化学シフトが減少する方向を「高磁場側」として示す。
測定された129XeNMRスペクトルのピークの化学シフトをyとし、その時のキセノン吸着量をxとすると、該NMRスペクトルのピークの化学シフトyは一般に理論式y=a/x+bx+cに従う。この理論式において、aは活性サイトの分散性に依存する。評価対象の触媒が硫化処理された脱硫触媒の場合、層状硫化物やCo−Mo−S相の分散性に依存するパラメータである。bは触媒担体に含まれるミクロ孔でのキセノン同士の衝突頻度に依存する。また、cは担体上の活性サイトとキセノンとの衝突頻度や活性サイトの磁気的性質に依存し、脱硫触媒の場合、硫化物の層状構造の層数やCo−Mo−S相の数・性質に依存すると考えられる。なお、触媒担体がアルミナなどミクロ孔の容積が極めて少ない物質の場合、bxは無視できるため、yはy=a/x+cに従う。ミクロ孔の容積が極めて少ない触媒担体としては、アルミナの他、シリカ、ボリア、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛等が挙げられる。
実際の実験方法は以下のようになる。まず、触媒のキセノン吸着等温線をNMR測定時の温度で予め測定する。その後、少なくとも異なる3点の吸着圧でキセノンを担持金属触媒に吸着させ、それらのNMRスペクトルを測定する。そして、測定されたピークの化学シフトをy軸に、キセノン吸着量をx軸にプロットし、曲線を得る。最後に、プロットした曲線を理論式y=a/x+bx+c(もしくはy=a/x+c)にフィッティングし、a〜c値を求める。得られたa値は、その値が大きいほど活性サイトである積層硫化物やCo−Mo−S相の分散性が高くて、脱硫活性が高いことを示すため、これにより触媒の活性を評価することができる。また、c値が大きいほど硫化物の積層数もしくはCo−Mo−S相の数が多いため、脱硫活性が高いことを示す。触媒の活性評価は、c値によってある程度は可能であるが、特に、触媒間においてcの値がほぼ等しい場合、aの値を比較することによって、触媒の活性をよりその実情に即して正確かつ迅速に評価することができる。したがって、a値およびc値により評価することがより好ましい。
硫化後の触媒への吸着に用いるキセノンは、特に制限されない。129Xeは、26.4 %の自然存在比を有するが、本発明に使用するキセノンは、天然に存在するものであっても、又は人為的に129Xeを富化したものであってもよい。129Xeの好ましい富化度は40%以上であり、より好ましい富化度は50%以上、特に好ましくは90%以上である。129Xeを富化して高度に過分極化したキセノンは、各種市販されており、これらの市販品を適宜利用することができるが、通常は天然に存在するキセノンを用いても十分な感度で測定可能であり、またコスト面でも有利である。
キセノンは、希釈することなくそのまま用いてもよく、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスと混合し、希釈して使用することも可能である。但し、キセノンを他の不活性ガスと混合して使用した場合、吸着状態がより複雑になる点や、NMRの検出感度が著しく低下する点など、実験解析上不利な点が多い。従って、キセノンを不活性ガスと混合して使用する場合は、キセノンの濃度を95%以上とするのが適当である。
上記のように、作用時の状態になるように前処理した後の担持金属触媒の129XeNMR測定を行うと、NMRスペクトルのピークの化学シフトyを理論式y=a/x+bx+cにフィッティングして求めたa値から、担持金属触媒の活性サイトの分散性に関する情報が得られ、担持金属触媒の活性をよりその実情に即して正確かつ迅速に評価することができ、該評価により所望の担持金属触媒のスクリーニングをより正確かつ迅速に行うことができる。より好ましくはa値およびc値に基づく評価により、さらに正確なスクリーニングを行うことができる。
以下に本発明の内容を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
実施例1
まず、モリブデンを酸化物換算で15質量%、リンを酸化物換算で6質量%アルミナに含浸担持した触媒Aを調製した。この触媒Aを図1に示した触媒前処理具Aの硫化処理管に1g入れ、5体積%の硫化水素を含む水素ガスを流量50ml/minで流通させた。その後、ヒーターにより昇温速度2.5℃/minで400℃まで温度を上昇させ、400℃で3時間硫化処理した。その後、室温まで冷却し、触媒Aを硫化処理管からNMR測定管に移し、NMR測定管を触媒前処理具Aから取り外し、キセノンガス吸着装置に接続し、所定の吸着圧でキセノンを吸着させた。しかる後、NMR測定管をキセノン吸着装置から切り離してNMR測定装置にセットし、キセノンを吸着した触媒AのNMRスペクトルを以下の条件で測定した。
・測定装置:日本電子製JNM−CMX−400核磁気共鳴装置
・磁場強度: 9.4 テスラ
・129キセノンの観測周波数:110.723MHz
・パルス幅:45°
・パルスシークエンス:シングルパルス
・パルスの繰り返し時間:1秒
・積算回数:1000〜4000回
・キセノン吸着圧:0.01〜0.12MPaで吸着圧が異なる5点
このように測定して得られた129XeNMRスペクトルのピークの化学シフトを、キセノン吸着量に対してプロットした結果を図2に示す。このプロット曲線を理論式y=a/x+cにフィッティングしたところ、aは3.7,cは131であった。このときの触媒Aの4,6−ジメチルジベンゾチオフェンを用いた脱硫反応活性試験における相対的な脱硫活性は、後述する実施例3で用いた触媒Cでの脱硫活性を100%とした場合、7%であった。なお、4,6−ジメチルジベンゾチオフェンを用いた脱硫反応活性試験の条件は以下の通りである。
・反応装置:固定床高圧流通式反応装置
・前処理:大気圧、350℃の条件下で1時間、5体積%の硫化水素を含む水素ガスを反応装置内に流通させ硫化。
・原料:0.4質量%の4,6−ジメチルジベンゾチオフェンを含むデカヒドロナフタレン溶液
・反応温度:230〜270℃
・圧力:4.9MPa
・液空間速度(WHSV):10/h
・水素/原料比:700Nm3/kl
実施例2
まず、モリブデンを酸化物換算で15質量%、リンを酸化物換算で2質量%アルミナに含浸担持した触媒Bを調製した。この触媒Bを図1に示した触媒前処理具Aの硫化処理管に1g入れ、実施例1と同様の条件で400℃で硫化処理した後、実施例1と同様にキセノンを幾つかの吸着圧で吸着させ、NMRスペクトルを測定した。その後、測定されたピークの化学シフトをキセノン吸着量に対してプロットした。その結果を図3に示す。このプロット曲線を理論式y=a/x+cにフィッティングしたところ、aは4.6,cは132であった。このときの触媒Bの4,6−ジメチルジベンゾチオフェンを用いた脱硫反応活性試験における相対的な脱硫活性は、後述する実施例3で用いた触媒Cでの脱硫活性を100%とした場合、10%であった。なお、4,6−ジメチルジベンゾチオフェンを用いた脱硫反応活性試験は、実施例1と同様の条件で行った。
実施例3
まず、コバルトを酸化物換算で5質量%、モリブデンを酸化物換算で20質量%、リンを酸化物換算で3質量%アルミナに含浸担持した触媒Cを調製した。この触媒Cを図1に示した触媒前処理具Aの硫化処理管に1g入れ、実施例1と同様の条件で400℃で硫化処理した後、実施例1と同様にキセノンを幾つかの吸着圧で吸着させ、NMRスペクトルを測定した。その後、測定されたピークの化学シフトをキセノン吸着量に対してプロットした。その結果を図4に示す。このプロット曲線を理論式y=a/x+cにフィッティングしたところ、aは5.8,cは155であった。このときの触媒Cの4,6−ジメチルジベンゾチオフェンを用いた脱硫反応活性試験における相対的な脱硫活性は100%であった。なお、4,6−ジメチルジベンゾチオフェンを用いた脱硫反応活性試験は、実施例1と同様の条件で行った。
実施例4
まず、コバルトを酸化物換算で5質量%、モリブデンを酸化物換算で20質量%、リンを酸化物換算で3質量%アルミナに含浸担持し、さらにクエン酸を添加した触媒Dを調製した。この触媒Dを図1に示した触媒前処理具Aの硫化処理管に1g入れ、実施例1と同様の条件で400℃で硫化処理した後、実施例1と同様にキセノンを幾つかの吸着圧で吸着させ、NMRスペクトルを測定した。その後、測定されたピークの化学シフトをキセノン吸着量に対してプロットした。その結果を図5に示す。このプロット曲線を理論式y=a/x+cにフィッティングしたところ、aは7.1,cは156であった。このときの触媒Dの4,6−ジメチルジベンゾチオフェンを用いた脱硫反応活性試験における相対的な脱硫活性は、上述した実施例3における触媒Cでの脱硫活性を100%とした場合、109%であった。なお、4,6−ジメチルジベンゾチオフェンを用いた脱硫反応活性試験は、実施例1と同様の条件で行った。
上記実施例1〜4における触媒A〜Dの、理論式のa及びcの値、並びに相対的な脱硫活性を表1に纏めて示す。
Figure 2007303836
表1から明らかなように、cの値がほとんど違わない場合(触媒Aと触媒B、もしくは触媒Cと触媒D)でも、触媒の脱硫活性はaの値の上昇に伴って増大する。これは、活性サイトの分散性が向上することによってaの値が大きくなり、結果として触媒の脱硫活性が増大するためである。そして、特に触媒間においてcの値がほぼ等しい場合、aの値を比較することによって、触媒の活性をよりその実情に即して正確かつ迅速に評価することができ、触媒のスクリーニングをより正確かつ迅速に行うことが可能となる。
本発明の実施に用いる触媒前処理具の一例の概略を模式的に示す図である。 実施例1の触媒Aの129Xe NMRスペクトルのピークの化学シフトをキセノン吸着量に対してプロットしたグラフである。 実施例2の触媒Bの129Xe NMRスペクトルのピークの化学シフトをキセノン吸着量に対してプロットしたグラフである。 実施例3の触媒Cの129Xe NMRスペクトルのピークの化学シフトをキセノン吸着量に対してプロットしたグラフである。 実施例4の触媒Dの129Xe NMRスペクトルのピークの化学シフトをキセノン吸着量に対してプロットしたグラフである。
符号の説明
1 ヒーター
2 導入口
3 硫化処理管
4 NMR測定管
5 連結管
6 連結部
7 触媒
A 触媒前処理具

Claims (3)

  1. 担体に活性金属種を担持してなる担持金属触媒を、作用時の状態になるように前処理した後、少なくとも3点の異なる吸着圧でキセノンを担持金属触媒に吸着させ、該異なる吸着圧でキセノンを吸着させた各々の担持金属触媒の129XeNMRスペクトルにおけるピークの化学シフトをyとし、キセノン吸着量をxとして、理論式y=a/x+bx+cにフィッティングして求められる該理論式のaの値から担持金属触媒の活性を評価することを特徴とする担持金属触媒の活性評価方法。
  2. 前記担持金属触媒が脱硫触媒であり、前記前処理が硫化処理であることを特徴とする請求項1に記載の担持金属触媒の活性評価方法。
  3. 請求項1又は2に記載の担持金属触媒の活性評価方法を用いたことを特徴とする担持金属触媒のスクリーニング方法。
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