JP2007301286A - 気泡検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】超音波を利用して高い精度で気泡を検出する。
【解決手段】周波数解析部24は、受信ビームに設定したウィンドウ内の受信信号に対してFFT処理を施して、その受信信号の周波数分布を求める。例えば、その受信信号に関するパワースペクトラム波形46を形成する。そして、パワースペクトラム波形46から、2次高調波に対応するピーク48を検出する。判定部26は、周波数解析部24によって求められたパワースペクトラム波形46内に、マイクロバブルの振動に対応した周波数分布パターンが含まれるか否かに基づいて、その受信信号がマイクロバブルに対応するものか否かを判定する。その際、判定部26は、パワースペクトラム波形46から検出されたピーク48に基づいて判定処理を実行する。
【選択図】図1
【解決手段】周波数解析部24は、受信ビームに設定したウィンドウ内の受信信号に対してFFT処理を施して、その受信信号の周波数分布を求める。例えば、その受信信号に関するパワースペクトラム波形46を形成する。そして、パワースペクトラム波形46から、2次高調波に対応するピーク48を検出する。判定部26は、周波数解析部24によって求められたパワースペクトラム波形46内に、マイクロバブルの振動に対応した周波数分布パターンが含まれるか否かに基づいて、その受信信号がマイクロバブルに対応するものか否かを判定する。その際、判定部26は、パワースペクトラム波形46から検出されたピーク48に基づいて判定処理を実行する。
【選択図】図1
Description
本発明は、超音波を利用して気泡を検出する技術に関する。
液体中に注入された微細な気泡であるマイクロバブルが多くの分野で利用されている。例えば、医療分野への応用として、マイクロバブルが超音波の好適な反射体となることから、超音波画像を取得する際の血管造影剤として利用されている。
近年では、マイクロバブルの表面にたんぱく質(抗原、抗体など)や核酸(DNA、RNAなど)を標識する技術が注目を集めている。例えば、マイクロバブルの表面に特異的にたんぱく質を認識する抗体などを修飾し、血管内などでマイクロバブルを目的のたんぱく質に集積させ、そのマイクロバブルを介して、血管内の目的たんぱく質およびそのたんぱく質を発現している細胞の量や分布などを診断する技術である。
一般的なマイクロバブルの検出方法として、強い超音波を照射してバブルを破砕し、その時発生する信号を検出する方法が知られている。しかし、この方法では、一度超音波を照射し画像化するとバブルが破壊されてしまうため、操作性、再現性に関する問題が指摘されている。
また、バブルに比較的弱い超音波を与え、その時発生するバブルの非線形振動に伴う高調波(主に、第2高調波:セカンドハーモニック)を検出する方法が知られている。しかし、マイクロバブル以外からの反射エコーにも、組織内を超音波が伝搬するときに発生する高調波(ティッシュハーモニック)が含まれるため、マイクロバブルの高調波のみを高い精度で抽出することは難しい。
ちなみに、マイクロバブルと組織からの反射エコーを識別する方法として、位相の異なる2つの信号を送信し、受信信号に含まれる周波数シフトを検出する方法などが提案されている(非特許文献1参照)。
また、バブルからの信号を強める方法として、共振運動する基本波と非線形応答を増強する第2波との組合わせからなる送信方法(特許文献1参照)や、パルスインバージョンの2つの送信の中間に、マイクロバブルの非線形振動を増強するための送信を行う方法(特許文献2参照)なども提案されている。
Karen E.Morgan, John S.Allen, Paul A.Dayton, James E.Chomas, Alexander L.Klibanov, and Katherine W.Ferrara, Menber,IEEE, "Experimental and Theoretical Evaluation of Microbubble Behavior," IEEE TRANSACTIONS ON ULTRASONICS, FERROELECTRICS, AND FREQUENCY CONTROL, VOL.47, No.6, NOVEMBER 2000
特開2004−113788号公報
特開2005−342512号公報
このような状況のもと、本願の発明者らは、マイクロバブルなどの気泡を検出する技術について研究を重ねてきた。
本発明は、このような背景において成されたものであり、その目的は、超音波を利用して高い精度で気泡を検出する技術を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の好適な態様である気泡検出装置は、気泡を含む空間内に超音波を送受波して受信信号を取得する送受波部と、受信信号に含まれる周波数成分を解析して受信信号の周波数分布を求める周波数解析部と、受信信号の周波数分布内に、気泡の振動に対応した周波数分布パターンが含まれるか否かに基づいて、その受信信号が気泡に対応するものか否かを判定する気泡判定部と、を有することを特徴とする。
上記態様により、超音波を利用して高い精度で気泡を検出することが可能になる。なお、上記態様の気泡検出装置や以下に示す態様の気泡検出装置は、例えば、超音波診断装置として実現することができる。例えば、気泡として機能するマイクロバブルを血管内に投与し、血管を含む空間内に超音波を送受波して得られる受信信号の周波数分布を求めて、その分布内にマイクロバブルの振動に対応した周波数分布パターンが含まれるか否かに基づいて、その受信信号がマイクロバブルに対応するものか否かを判定する。これにより、受信信号が血管内から得られたものか否かを高い精度で検出することが可能となり、血管をさらに明瞭に画像化することができる。
また、上記態様の気泡検出装置や以下に示す態様の気泡検出装置は、超音波分析装置として実現することができる。例えば、分注装置をベースとして、分注装置に気泡検出装置の機能を取り込むことによって超音波分析装置を構成してもよい。そして、例えば、対象物を捕捉するための物質を表面に修飾したマイクロバブルを利用して、その超音波分析装置によって超音波分析を行う。例えば、分注装置の機能によって試験管内やノズルチップ内でマイクロバブルに対象物を捕捉させ、気泡検出装置の機能によって対象物を捕捉したマイクロバブルの量を測定することなどが可能となる。
望ましい態様において、前記送受波部は、気泡を検出するための検出パルスを送波することにより、その検出パルスによって気泡に振動を発生させることを特徴とする。望ましい態様において、前記気泡の振動に対応した周波数分布パターンは、前記検出パルスに関する高調波成分が周波数の低い方へシフトした周波数分布パターンであることを特徴とする。望ましい態様において、前記検出パルスは、パルスに含まれる波の数とパルスの振幅とパルスの中心周波数とに基づいて設定されることを特徴とする。例えば、検出パルスは、パルスに含まれる波の数が3波または4波、パルスの振幅が300KPa〜700KPa、パルスの中心周波数が3〜4MHzなどが好適である。望ましい態様において、前記高調波成分は、第2高調波成分であることを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明の好適な態様である気泡検出装置は、気泡を検出するための第1検出パルスと第2検出パルスを送波して各パルスに対応した受信信号を取得する送受波部と、各受信信号に含まれる周波数成分を解析して、第1検出パルスに対応した第1周波数分布と第2検出パルスに対応した第2周波数分布とを求める周波数解析部と、第1周波数分布と第2周波数分布とを比較することにより、各パルスに対応した受信信号が気泡に対応するものか否かを判定する気泡判定部と、を有することを特徴とする。
望ましい態様において、前記送受波部は、中心周波数が互いに実質的に等しい第1検出パルスと第2検出パルスを送波し、前記気泡判定部は、前記第1周波数分布に含まれる高調波成分と前記第2周波数分布に含まれる高調波成分との周波数差に基づいて、各パルスに対応した受信信号が気泡に対応するものか否かを判定することを特徴とする。望ましい態様において、前記送受波部は、互いに波の数が異なる第1検出パルスと第2検出パルスを送波することを特徴とする。望ましい態様において、前記送受波部は、互いに振幅が異なる第1検出パルスと第2検出パルスを送波することを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明の好適な態様である気泡検出方法は、気泡を含む空間内に超音波を送受波して受信信号を取得し、受信信号に含まれる周波数成分を解析して受信信号の周波数分布を求め、受信信号の周波数分布内に、気泡の振動に対応した周波数分布パターンが含まれるか否かに基づいて、その受信信号が気泡に対応するものか否かを判定することを特徴とする。
望ましい態様において、前記気泡は、所定の粒径よりも大きいマイクロバブルが取り除かれた複数のマイクロバブルであることを特徴とする。望ましい態様において、前記複数のマイクロバブルは、最大粒径の個数が最多となる個数分布であることを特徴とする。
本発明により、超音波を利用して高い精度で気泡を検出することが可能になる。
図1は、本発明の好適な実施形態を説明するための図であり、図1には、本発明に係る気泡検出装置の全体構成を示す機能ブロック図が示されている。図1に示す気泡検出装置は、超音波を利用して気泡であるマイクロバブルを検出する装置である。
信号発生器10は、送信パルスを形成するための駆動信号を生成して送信ビームフォーマ12へ出力する。送信ビームフォーマ12は、マイクロバブルを含んだ液体内のどの位置に超音波を照射するかを制御する。つまり、送信ビームフォーマ12は、超音波プローブ16に含まれる図示しない複数の振動素子を制御して送信ビームを形成し、また、形成した送信ビームを必要に応じて電子的に走査する。送信アンプ14は、送信ビームフォーマ12から供給される信号に対して増幅処理を施す。そして、増幅処理された送信信号42が、送受信切替部(T/R)15を介して、超音波プローブ16へ出力される。
超音波プローブ16は、送信信号42に基づいて、マイクロバブルを含んだ液体に対して超音波を照射するとともに、液体内からの反射エコーと、マイクロバブルが振動することによって発生する放射エコーを受信する。受信された受信信号44は、送受信切替部(T/R)15を介して、受信アンプ18へ供給されて増幅処理される。
受信ビームフォーマ20は、超音波プローブ16に含まれる複数の振動素子から得られる受信信号44を整相加算処理して受信ビームを形成する。これにより、受信ビームフォーマ20から整相加算後の受信信号が出力される。こうして、複数の受信ビームに関する受信信号が、受信ビームごとにメモリ22に記憶される。
周波数解析部24は、受信信号に含まれる周波数成分を解析して受信信号の周波数分布を求める。つまり、メモリ22から各受信ビームごとに受信信号を読み出し、各受信ビームごとに受信信号を解析する。受信信号の解析は、例えば、1本の受信ビームに対して所定の大きさのウィンドウを設定し、そのウィンドウ内の受信信号に対して実施される。
周波数解析部24は、受信ビームに設定したウィンドウ内の受信信号に対してFFT処理を施して、その受信信号の周波数分布を求める。例えば、その受信信号に関するパワースペクトラム波形46を形成する。そして、パワースペクトラム波形46から、2次高調波に対応するピーク48を検出する。
判定部26は、周波数解析部24によって求められた周波数分布(パワースペクトラム波形46)内に、マイクロバブルの振動に対応した周波数分布パターンが含まれるか否かに基づいて、その受信信号がマイクロバブルに対応するものか否かを判定する。その際、判定部26は、パワースペクトラム波形46から検出されたピーク48に基づいて判定処理を実行する。なお、本実施形態によるマイクロバブルの判定原理については、後に詳述する。
各受信ビームに設定されるウィンドウは、その受信ビーム内で深さ方向に移動される。そして、移動されるウィンドウの各位置(深さ)で、その位置の受信信号がマイクロバブルに対応するものか否かの判定が行われる。これにより、各受信ビームごとに、その受信ビームのどの位置(深さ)にマイクロバブルが存在するのかが判定される。
画像形成部28は、判定部26の判定結果を参照して、メモリ22内に記憶された複数の受信ビームの受信信号に基づいて超音波画像を形成する。例えば、血管内に投与されたマイクロバブルが検出され、マイクロバブルが存在する位置(深さ)において輝度等を適宜調整した超音波画像を形成することにより、血管が強調された(造影された)画像を形成することが可能になる。
また、マイクロバブルが存在する位置(深さ)の受信信号の振幅などに基づいて、その位置におけるマイクロバブルの数量などが測定されてもよい。さらに、画像形成部28が、その測定量を示す数値やグラフなどの表示態様を形成してもよい。
画像形成部28で形成された画像は、表示器30に表示される。表示器30としては、例えば、CRTモニタや液晶モニタなどが好適である。もちろん、他の表示デバイスを利用してもよい。
次に、本実施形態によるマイクロバブルの判定原理について説明する。本実施形態においては、マイクロバブルを検出するための送信パルス(検出パルス)として、パルスの振幅が最大音圧500Kpa、パルスの中心周波数が3MHz、パルス内の波の数が3波である送信パルスを利用することが望ましい。
図2は、最大音圧500Kpa,中心周波数3MHz,3波の送信パルスを利用した場合のシミュレーション結果を示している。
図2(A)は、送信パルスの波形を示しており、横軸に時間を示し縦軸に振幅を示している。図2(A)に示す送信パルスは、パルスの振幅が最大音圧500Kpa、パルスの中心周波数が3MHz、パルス内の波の数が3波である。
図2(B)は、図2(A)の送信パルスを与えた場合のマイクロバブルの半径の時間的な変化を示しており、横軸に時間を示し縦軸にバブル半径を示している。図2(B)は、例えば、半径1μm、膜厚1nm、膜粘性0.6Pa・sのマイクロバブルの半径の時間的な変位をシミュレーションによって求めたものである。
図2(C)は、図2(B)に示すマイクロバブルの振動に伴い発生する放射エコーを、バブルから1mmの位置で観測した場合に、トランデューサーの帯域を考慮して得られる受信信号である。なお、図2(C)は、横軸に時間を示し縦軸に振幅を示している。
図2(D)は、図2(C)に示す放射エコーの受信信号から得られたパワースペクトラムである。中心周波数3MHzの基本波の信号に対し、受信信号に含まれるセカンドハーモニックの中心周波数(ピーク周波数48)は5.3 MHzである。つまり、送信パルスの中心周波数3MHzの2倍の周波数(=6MHz)50よりも、周波数の低い方に0.7MHzシフトすることが示されている。
マイクロバブル以外の単純な反射体では、このような中心周波数のシフトはほとんど発生しない。したがって、例えば、上記のような条件で送信パルスを送信し、その受信信号に含まれる第2高調波の中心周波数を検出することで、マイクロバブルからの信号か否かの判定を行うことが可能になる。
ちなみに、上記条件の送信パルス以外のパルスについて検討すると次のようになる。
図3は、最大音圧500Kpa,中心周波数3MHz,6波の送信パルスを利用した場合のシミュレーション結果を示している。図2と同様に、図3には、送信パルスの波形(A)、マイクロバブルの半径の時間的な変化(B)、放射エコー(C)、パワースペクトラム(D)が示されている。最大音圧500Kpa,中心周波数3MHzを同じ条件として、波の数を6波にした送信パルスを利用すると、図3(D)に示すように、受信信号に含まれるセカンドハーモニックの中心周波数はほぼ6MHzとなり、送信パルスの中心周波数3MHzの2倍の周波数(=6MHz)から、ほどんどシフトしていない。つまり、波の数を3波から6波に変更すると、第2高調波の周波数のシフトが発生しない。
図4は、送信パルスの中心周波数と周波数シフト量との関係を示す図であり、図4には、最大音圧500Kpa,3波の送信パルスを様々な中心周波数で送信した場合のパワースペクトラムが示されている。
図4(A)は、中心周波数が2MHz,最大音圧500Kpa,3波の送信パルスを利用した場合にマイクロバブルから得られる放射エコー(受信信号)のパワースペクトラムを示しており、同様に、図4(B)は中心周波数が4MHzの場合のパワースペクトラムであり、図4(C)は中心周波数が5MHzの場合のパワースペクトラムである。
これらの結果からわかるように、中心周波数が2MHzでは中心周波数のシフト量は0.27MHzと小さく、また、5MHzではピーク周波数の検出が難しい。そして、4MHzでは0.93MHzのシフト量が測定される。これらの結果から、第2高調波の周波数のシフトは、マイクロバブルの特性によって決まる特定の周波数によって発生するものであり、例えば、図3に示した3MHzの場合や、図4(B)に示した4MHzの場合に特に顕著に現れる。
図5は、送信パルスの最大音圧と周波数シフト量との関係を示す図である。図5は、半径1μm、膜厚1nm、膜の粘性0.6Pa・sのマイクロバブルに対して、中心周波数が3MHzで、波の数が3波の送信パルスを最大音圧を100〜600Kpaの条件で変えて送信した場合のセカンドハーモニック(第2高調波)の周波数シフトをシミュレーションによって求めたものである。図5に示すように、最大音圧の変化に応じて周波数シフト量も変化しており、最大音圧500Kpa付近の音圧で最大シフト量が得られている。
次に、本実施形態で利用されるマイクロバブルについて説明する。本実施形態においては、粒径が2μmよりも大きいバブルが取り除かれた複数のマイクロバブルを利用することが望ましい。また、最大粒径(2μm)の個数が最多となる個数分布のマイクロバブルを利用することが望ましい。
図6は、マイクロバブルの半径と周波数シフト量との関係を示す図である。図6は、中心周波数3MHz,最大音圧500Kpa,3波の送信パルスを送信した場合のバブルの半径による第2高調波の中心周波数シフトをシミュレーションによって求めたものである。図6に示すように、マイクロバブルの半径の変化に応じて周波数シフト量も変化しており、半径1μm付近のバブルで最大のシフト量が得られている。なお、バブルの膜の特性は膜厚1nm、膜の粘性0.6Pa・sとしてシミュレーションしている。
図7は、マイクロバブルの粒径分布を示す図である。図7(A)には、典型的な陰イオン界面活性剤SDSに気体を混合しながら超音波を照射し、マイクロバブルを作製した時のバブル粒径(半径)の分布が示されている。そして、図7(A)に示す粒径分布のマイクロバブルを含んだ溶液を開口2μmのメッシュフィルターを通すことにより、図7(B)に示す粒径分布のマイクロバブルを得ることができる。つまり、図7(B)では、粒径2μm以上の大きさのバブルが除去されている。
図8は、マイクロバブルの半径と第2高調波の信号量(信号量差)との関係を示す図である。図8は、中心周波数3MHz,最大音圧500Kpa,3波の送信パルスを送信した場合の、バブルの半径による第2高調波の信号量(2次高調波が出現する量)をシミュレーションによって求めたものである。図8からわかるように、バブル半径が1μmよりも小さい領域では第2高調波の信号量が比較的小さいのに対して、バブル半径が1μmよりも大きい領域では第2高調波の信号量が比較的大きい。
このため、図7(B)に示すように、バブル半径が1μmよりも小さいマイクロバブルが存在しても、それらのバブルによる2次高調波への影響は、図8からわかるように比較的小さい。一方、図8に示すようにバブル半径が1μmよりも大きい領域では第2高調波の信号量が比較的大きいため、半径が1μmよりも大きいバブルによる2次高調波への影響も大きい。そのため、図7(B)に示すように、バブル半径が1μmよりも大きいマイクロバブルは取り除かれることが望ましい。
さらに、図6に示したように、半径が1μmのバブルの周波数シフト量が最大となるため、半径が1μmのマイクロバブルを利用することが望ましい。そのため、図7(B)に示すように、1μmの部分でバブル粒径が最大分布をもつようにマイクロバブルが作成されることが望ましい。
以上、本実施形態によるマイクロバブルの判定原理や本実施形態で利用されるマイクロバブルについて説明した。そこで、図1に戻り、周波数解析部24と判定部26において実行される処理について説明する。
周波数解析部24は、メモリ22から各受信ビームごとに受信信号を読み出し、各受信ビームごとに受信信号を解析する。受信ビームは、例えば50MHzのクロックでA/D変換されてメモリ22に記憶される。
図9は、1本の受信ビーム上(1走査線上)の受信信号の模式図である。メモリ22内には、図9に示した受信信号が50MHzのクロックでデジタル化されて(サンプリングされて)、例えば500個のデータとして記憶されている。なお、図9において、丸印(○)はマイクロバブルからの放射エコーを示しており、バツ印(×)は組織境界からの反射エコーを表している。
周波数解析部24は、メモリ22から、1本の受信ビーム上の1番目から50番目までの50個のデータ(3MHz,3波の送信条件であれば1μ秒間に相当する)を読み込み、これら50個のデータに対してFFT処理をしてパワースペクトラムを計算し、第2高調波の中心周波数を求める。次に、1本の受信ビーム上を深さ方向に移動して、例えば11番目から60番目までのデータを用いて同様な処理を行う。順次この処理を繰り返し、1本の受信ビーム上の全ての深さで、エコー信号に含まれる第2高調波の中心周波数を求める。
判定部26は、メイン制御部32から供給されるシフト量の基準値と、各深さにおける第2高調波の中心周波数を比較して、マイクロバブルからのエコー信号であるか否かを判定する。例えば、メイン制御部32は、シフト量の基準値として0.7MHz(図2参照)を設定し、判定部26は、各深さにおける第2高調波の中心周波数のシフト量が0.7MHz以上の場合に、その深さの受信信号がマイクロバブルからのエコー信号であると判定する。その結果、例えば、図9に示すように、各深さごとに、マイクロバブルからの放射エコーか否かが判定される。
なお、メイン制御部32が設定する基準値や、判定部26における判定処理については、マイクロバブルがより正確に判定できるように、適宜変更することが可能である。例えば、既知の量のマイクロバブルを検出してその検出結果などに基づいて、0.7MHz〜0.6MHz程度のうちのいずれかの周波数に基準値を設定するなどしてもよい。
図10は、本発明の他の実施形態を説明するための図であり、図10には、本発明に係る別の気泡検出装置の全体構成を示す機能ブロック図が示されている。図10に示す気泡検出装置は、2つの送信パルスを利用してマイクロバブルを検出する装置である。
図2に示したように、最大音圧500Kpa,中心周波数3MHz,3波の送信パルスを利用した場合、マイクロバブルから得られる2次高調波は、周波数の低い方に0.7MHzシフトしている。これに対し、図3に示したように、最大音圧500Kpa,中心周波数3MHz,6波の送信パルスを利用した場合、マイクロバブルから得られる2次高調波は、ほとんどシフトしていない。
生体などの減衰の大きな媒体では、伝搬中に発生する媒体の非線形性によって発生する高調波は、高い周波数成分の減衰が大きいため中心周波数が低い方へシフトする可能性も考えられる。そのため、単純に中心周波数のシフト量のみでマイクロバブルか否かを判定すると、マイクロバブル以外の反射体による周波数のシフトが存在した場合に、マイクロバブルの検出精度が下がる可能性もある。
ところが、マイクロバブル以外の通常の反射体に対して、同じ周波数で波の数が互いに異なる2つの送信パルスを送信すると、一方の送信パルスによって得られる2次高調波の周波数と、他方の送信パルスによって得られる2次高調波の周波数との差は、ほとんど発生しない。つまり、図2および図3に示したように、3波の送信パルスを利用した場合にのみ2次高調波が大きくシフトするという現象は、マイクロバブルの振動に伴う固有の現象として抽出することができる。
図10に示す気泡検出装置は、このマイクロバブルの振動に伴う固有の現象を捉えることにより、マイクロバブルを検出する。なお、図10において、図1に示した構成と同じ構成部分については、図1に示した符号と同じ符号を利用して説明を簡略化する。
信号発生器10は、中心周波数3MHzの3波と6波の2つの送信パルスを作成する。そして、まず、6波の送信パルス42Aによる送信が行われ、これによって得られる受信信号44Aが受信アンプ18と受信ビームフォーマ20で処理されてメモリ22Aに記憶される。周波数解析部24は、メモリ22Aから各受信ビームごとに受信信号を読み出し、各受信ビームごとに受信信号を解析する。受信信号の解析は、例えば、図1で説明した動作と同様に、1本の受信ビームに対して所定の大きさのウィンドウを設定し、そのウィンドウ内の受信信号に対して実施される。
周波数解析部24は、受信ビームに設定したウィンドウ内の受信信号に対してFFT処理を施して、その受信信号の周波数分布を求める。例えば、その受信信号に関するパワースペクトラム波形46を形成する。そして、パワースペクトラム波形46から、2次高調波に対応するピーク48を検出する。こうして、各深さごとにピーク48の周波数が検出されて各深さごとにメモリ22Bに記憶される。
次に、3波の送信パルス42Bによる送信が行われ、これによって得られる受信信号44Bが受信アンプ18と受信ビームフォーマ20で処理されてメモリ22Aに記憶される。周波数解析部24は、メモリ22Aから各受信ビームごとに受信信号を読み出し、6波の場合と同様に、3波の送信パルス42Bから得られる受信信号に対して、各深さごとにピーク48の周波数を検出する。
差分検出部25は、周波数解析部24において検出された3波の場合のピーク48の周波数と、メモリ22Bに記憶されている6波の場合のピーク48の周波数との差分を検出する。差分の検出は、受信ビームの各深さごとに行われ、例えば、検出された差分量が所定量よりも大きい場合に、その深さの受信信号がマイクロバブルに対応する信号であると判断される。
そして、検出された差分量は、正規化処理部27において正規化処理され、画像形成部28において、メモリ22Aに記憶された受信ビームのデータ(各深さの強度信号)と正規化された差分量が合成され、画像データが構築される。
このように、図10に示す気泡検出装置では、互いに波の数が異なる2つの送信パルスを利用してマイクロバブルを検出している。なお、3波の送信パルスに換えて4波の送信パルスを利用して、4波の送信パルスと6波の送信パルスのペアを利用してもよい。
ちなみに、図5に示したように、送信パルスの最大音圧を変化させても周波数シフト量が変化する。第2高調波の中心周波数が振幅によってシフトすることは、バブル特有の現象である。つまり、単純な反射体では、基本的には第2高調波の中心周波数は、振幅によってシフトしない。
したがって、図10における6波の送信パルス42Aと3波の送信パルス42Bに換えて、中心周波数と波の数が互いに同じで、互いに振幅のみが異なる2つの送信パルスを利用することにより、それら2つの送信パルスから得られる第2高調波の中心周波数の差から、マイクロバブルに対応した受信信号を検出することも可能となる。互いに振幅が異なる2つの送信パルスを利用する場合、一方の送信パルスの振幅が、他方の送信パルスの振幅の1/2以下であることが望ましい。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
16 超音波プローブ、24 周波数解析部、25 差分検出部、26 判定部。
Claims (12)
- 気泡を含む空間内に超音波を送受波して受信信号を取得する送受波部と、
受信信号に含まれる周波数成分を解析して受信信号の周波数分布を求める周波数解析部と、
受信信号の周波数分布内に、気泡の振動に対応した周波数分布パターンが含まれるか否かに基づいて、その受信信号が気泡に対応するものか否かを判定する気泡判定部と、
を有する、
ことを特徴とする気泡検出装置。 - 請求項1に記載の気泡検出装置において、
前記送受波部は、気泡を検出するための検出パルスを送波することにより、その検出パルスによって気泡に振動を発生させる、
ことを特徴とする気泡検出装置。 - 請求項2に記載の気泡検出装置において、
前記気泡の振動に対応した周波数分布パターンは、前記検出パルスに関する高調波成分が周波数の低い方へシフトした周波数分布パターンである、
ことを特徴とする気泡検出装置。 - 請求項3に記載の気泡検出装置において、
前記検出パルスは、パルスに含まれる波の数とパルスの振幅とパルスの中心周波数とに基づいて設定される、
ことを特徴とする気泡検出装置。 - 請求項4に記載の気泡検出装置において、
前記高調波成分は、第2高調波成分である、
ことを特徴とする気泡検出装置。 - 気泡を検出するための第1検出パルスと第2検出パルスを送波して各パルスに対応した受信信号を取得する送受波部と、
各受信信号に含まれる周波数成分を解析して、第1検出パルスに対応した第1周波数分布と第2検出パルスに対応した第2周波数分布とを求める周波数解析部と、
第1周波数分布と第2周波数分布とを比較することにより、各パルスに対応した受信信号が気泡に対応するものか否かを判定する気泡判定部と、
を有する、
ことを特徴とする気泡検出装置。 - 請求項6に記載の気泡検出装置において、
前記送受波部は、中心周波数が互いに実質的に等しい第1検出パルスと第2検出パルスを送波し、
前記気泡判定部は、前記第1周波数分布に含まれる高調波成分と前記第2周波数分布に含まれる高調波成分との周波数差に基づいて、各パルスに対応した受信信号が気泡に対応するものか否かを判定する、
ことを特徴とする気泡検出装置。 - 請求項7に記載の気泡検出装置において、
前記送受波部は、互いに波の数が異なる第1検出パルスと第2検出パルスを送波する、
ことを特徴とする気泡検出装置。 - 請求項7に記載の気泡検出装置において、
前記送受波部は、互いに振幅が異なる第1検出パルスと第2検出パルスを送波する、
ことを特徴とする気泡検出装置。 - 気泡を含む空間内に超音波を送受波して受信信号を取得し、
受信信号に含まれる周波数成分を解析して受信信号の周波数分布を求め、
受信信号の周波数分布内に、気泡の振動に対応した周波数分布パターンが含まれるか否かに基づいて、その受信信号が気泡に対応するものか否かを判定する、
ことを特徴とする気泡検出方法。 - 請求項10に記載の気泡検出方法において、
前記気泡は、所定の粒径よりも大きいマイクロバブルが取り除かれた複数のマイクロバブルである、
ことを特徴とする気泡検出方法。 - 請求項11に記載の気泡検出方法において、
前記複数のマイクロバブルは、最大粒径の個数が最多となる個数分布である、
ことを特徴とする気泡検出方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010249637A (ja) * | 2009-04-15 | 2010-11-04 | Yokogawa Electric Corp | 流体の状態検出方法および状態検出装置 |
CN105307574A (zh) * | 2014-01-30 | 2016-02-03 | 皇家飞利浦有限公司 | 用于使用超声来探测气囊的方法和装置 |
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JP2017161499A (ja) * | 2015-12-21 | 2017-09-14 | ザ・ボーイング・カンパニーThe Boeing Company | 複合材検査 |
-
2006
- 2006-05-15 JP JP2006135178A patent/JP2007301286A/ja active Pending
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