JP2007270621A - 内燃エンジンシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】エネルギー効率の向上に有利な内燃エンジンシステムを提供する。
【解決手段】内燃エンジンシステム10は、第1ピストン41が移動しかつガスが圧縮される第1圧縮室51と、第2ピストン42が移動しかつ第1圧縮室51からのガスがさらに圧縮される第2圧縮室52と、第3ピストン43,44が移動しかつ第2圧縮室52からのガスが燃焼及び膨張される膨張室53,54と、膨張室53,54で燃焼する燃料の燃料源60と、第3ピストン43,44に機能的につながった出力軸49とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃エンジンシステムに関する。
発電用のエンジンシステムとして、Wartsila社のガスエンジンシステムが知られている。その発電効率は、44.8%(LHV)、41.6%(HHV)程度とされている。このエンジンシステムでは、過給機で予圧されたガス燃料が、4サイクル機関(Four-stroke cycle engine)に導入される。
他の発電用のエンジンシステムとして、吸入・圧縮過程と燃焼・膨張過程とが互いに異なるシリンダで行われるものがある(例えば、特許文献1参照)。この分割型エンジンシステムでは、冷却液の噴霧による等温的なガス圧縮と、再生サイクルの適用とが試みられている。
特許第3544377号公報
シリンダ内をピストンが往復動するレシプロ式の内燃エンジンは、圧力漏れが少ないことから、圧縮効率が高いという利点を有する。上記の2つのエンジンシステムは、いずれもガス予圧用として過給機を用いており、これはエネルギー効率の面から見ると不利である。
本発明は、エネルギー効率の向上に有利な内燃エンジンシステムを提供することを目的とする。
本発明の内燃エンジンシステムは、第1ピストンが移動しかつガスが圧縮される第1圧縮室と、第2ピストンが移動しかつ前記第1圧縮室からの前記ガスがさらに圧縮される第2圧縮室と、第3ピストンが移動しかつ前記第2圧縮室からの前記ガスが燃焼及び膨張される膨張室と、前記膨張室で燃焼する燃料の燃料源と、前記第3ピストンに機能的につながった出力軸とを備えることを特徴とする。
この内燃エンジンシステムによれば、第1吸入・圧縮過程と、第2吸入・圧縮過程と、燃焼・膨張過程とが互いに異なるシリンダで行われる。これは、圧縮動力の削減に加え、圧縮ガスの低温度化に有利である。レシプロ圧縮機を直列に複数段配置することにより、これらの有利性がさらに増す。また、高い圧縮効率を有するレシプロ圧縮機だけで高い圧縮比が達成され、これは省エネルギー化に有利である。
この内燃エンジンシステムにおいて、前記ガスの温度上昇を抑える液体を、前記第1圧縮室の前記ガス及び前記第2圧縮室の前記ガスの少なくとも一方に吹き付ける液体供給装置をさらに備える構成にできる。
この具体例において、前記第1及び第2圧縮室の少なくとも一方で前記ガスがほぼ等温的に圧縮される構成にできる。
また、この具体例において、前記液体供給装置は、前記第1圧縮室からの前記ガスから前記液体を分離する第1分離器を有し、前記第1分離器で分離された前記液体が前記第1圧縮室に向けて流れ、前記第1分離器で分離された前記ガスが前記第2圧縮室に向けて流れる構成にできる。
また、この具体例において、前記液体供給装置は、前記第2圧縮室からの前記ガスから前記液体を分離する第2分離器を有し、前記第1分離器で分離された前記液体が前記第1圧縮室に向けて流れ、前記第2分離器で分離された前記ガスが次の圧縮室または前記膨張室に向けて流れる構成にできる。
また、この内燃エンジンシステムにおいて、前記第1圧縮室の前記ガスの出口温度及び前記第2圧縮室の前記ガスの出口温度のそれぞれが前記燃料の最低着火温度より低い構成にできる。
また、この内燃エンジンシステムにおいて、前記燃料源が前記第1圧縮室に流体的につながっている構成にできる。
また、この内燃エンジンシステムにおいて、前記燃料がガス燃料である構成にできる。
また、この内燃エンジンシステムにおいて、前記第2圧縮室または別の最終圧縮室からの前記ガスと前記膨張室からの排ガスとが熱交換する熱交換器をさらに備える構成にできる。
この具体例において、前記熱交換器で加熱された後の前記第2圧縮室または前記別の最終圧縮室からの前記ガスの温度が、前記燃料の最低着火温度より低い構成にできる。
また、この内燃エンジンシステムにおいて、前記出力軸につながった発電機をさらに備える構成にできる。
また、この内燃エンジンシステムにおいて、前記ガスの圧縮及び/又は前記ガスの燃焼によって発生した熱を使って蒸気を発生させる蒸気発生装置をさらに備える構成にできる。
図1は、本発明の特徴を有するエンジンシステム10の概略図である。エンジンシステム10は、内燃エンジン12、及び第1発電機14を備える。エンジンシステム10の構成は、エンジンシステム10の設計要求に応じて様々に変更可能である。
本実施形態において、内燃エンジン12は、少なくとも4つのシリンダ31,32,33,34を有する開放サイクル型のレシプロエンジンである。各シリンダ31,32,33,34には、ピストン41,42,43,44が設けられている。各ピストン41,42,43,44は、ロッド46、シャフト48などを介して出力軸49に機械的につながっている。出力軸49は、不図示のギアなどを介して第1発電機14に機械的につながっている。シリンダ31,32は、吸入・圧縮過程に用いられ、シリンダ33,34は、燃焼・膨張過程に用いられる。すなわち、燃焼サイクルのステージに応じて、シリンダ31,32(圧縮シリンダ)とシリンダ33,34(燃焼シリンダ)とが機能的にわかれている。
シリンダ31,32,33,34は、シャフト48、ギアなどを介して機能的に互いにつながっている。内燃エンジン12において、例えば、圧縮シリンダの数は2であり、燃焼シリンダの数は6である。シリンダの数は、内燃エンジン12の仕様、吸入・圧縮過程と燃焼・膨張過程との相対的なタイミング、及び振動モードなどの設計要素に基づいて適宜設定される。連続運動が実現されるよう、ピストン41,42,43,44間の作動サイクルの位相角差が設定され、必要に応じてフライホイールが設けられる。例えば、吸入・圧縮シリンダの数は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、あるいは10以上である。例えば、燃焼・膨張シリンダの数は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、あるいは10以上である。
吸入・圧縮用のシリンダ31とシリンダ32は、直列に配列されている。シリンダ31の内部に、ピストン41(圧縮ピストン)が移動する第1圧縮室51が形成され、シリンダ32の内部に、ピストン42(圧縮ピストン)が移動する第2圧縮室52が形成されている。第1及び第2圧縮室51,52は、不図示の制御バルブがそれぞれ配置された入口ポート61,62、及び出口ポート63,64を有する。内燃エンジン12において、ピストン41,42はそれぞれ、1の動作周期の間に1往復(2 stroke)する。第1圧縮室51の入口ポート61は、吸気ダクト57及び燃料ダクト58を介して燃料源60に流体的につながっている。燃料源60と入口ポート61との間に、燃料の供給量及び/又は混合比を制御する燃料制御器を配置してもよい。入口ポート61とは別に、燃料源60に流体的につながった燃料ポートを第1圧縮室51が有してもよい。本実施形態において、第1圧縮室51にはガス燃料が供給される。燃料源60からガス状の燃料が流れてもよく、第1圧縮室51の手前で液体燃料とガス(空気)とが混合されてもよい。第1圧縮室51の出口ポート63は、ダクト71,72を介して、第2圧縮室52の入口ポート62に流体的につながっている。出口ポート63,64における不図示のバルブが適切に制御されるなどにより、第1及び第2圧縮室51,52における高い圧縮率が達成される。内燃エンジン12が3以上の圧縮シリンダを有する場合、すべての圧縮シリンダが直列に配列されてもよく、圧縮シリンダが直列と並列とを有する配列にされてもよい。直列に配列された2つあるいはそれ以上のシリンダ群が互いに並列に配列されてもよい。
燃焼・膨張用のシリンダ33とシリンダ34は、並列に配列されている。シリンダ33,34の内部に、ピストン43,44(膨張ピストン)がそれぞれ移動する膨張室53,54が形成されている。内燃エンジン12において、ピストン42,44はそれぞれ、1の動作周期の間に1往復(2 stroke)する。一例として、各シリンダ33,34において、ピストン42,44の1往復ごとに、必要に応じて点火手段(点火プラグ69)が作動し、燃料が点火される。膨張室53,54は、不図示の制御バルブが配置された入口ポート65,66及び出口ポート67,68をそれぞれ有する。第2圧縮室52の出口ポート64は、ダクト73,74を介して、膨張室53,54の入口ポート65,66に流体的につながっている。膨張室53,54の出口ポート67,68は、例えば、排気ダクト75,76を介して、不図示の排気塔に接続されるなどにより外部に開放されている。
本実施形態において、エンジンシステム10はさらに、第1圧縮室51内のガス及び第2圧縮室52内のガスに冷却用の液体を吹き付ける液体供給装置16と、再生熱交換器18と、第2発電機20とを有する。
液体供給装置16は、第1及び第2圧縮室51,52に設けられたスプレーノズル81,82と、第1圧縮室51からのガスから液体を除去する第1分離器83と、第2圧縮室52からのガスから液体を除去する第2分離器84と、第1分離器83で分離された液体を冷却する第1冷却器85と、第2分離器84で分離された液体を冷却する第2冷却器86とを有する。本実施形態において、液体供給装置16は、ガス冷却用の液体を循環使用し、必要に応じて液体補充器が設けられる。
第1分離器83のガス入口部が、ダクト71を介して第1圧縮室51の出口ポート63に流体的につながり、第1分離器83のガス出口部が、ダクト72を介して第2圧縮室52の入口ポート62に流体的につながっている。第2分離器84のガス入口部が、ダクト73を介して第2圧縮室52の出口ポート64に流体的につながり、第2分離器84のガス出口部が、ダクト74を介して膨張室53,54の入口ポート65,66に流体的につながっている。また、第1分離器83とスプレーノズル81とがダクト77を介して流体的につながり、第1分離器83からの液体を冷却する第1冷却器85がダクト77の経路上に配置されている。第2分離器84とスプレーノズル82とがダクト78を介して流体的につながり、第2分離器84からの液体を冷却する第2冷却器86がダクト78の経路上に配置されている。
スプレーノズル81は、不図示の制御バルブによって開閉制御され、ガスの圧縮中に、第1圧縮室51に液体を噴射する。液体噴射によって第1圧縮室51のガスがほぼ等温的に圧縮されるように、スプレーノズル81の形態、数、位置、及び噴射制御方法が設定される。例えば、特表2005−501996号公報(国際公開WO2003/021107)に記載のように、周方向に少なくとも2列の扇形スプレーノズルを圧縮室に配置することができ、あるいは、特表2001−502396号公報(国際公開WO98/16741号)に記載のように、周方向に並びかつ噴射中心方向がシリンダの径方向からそれぞれ傾く複数のノズルを圧縮室に配置することができる。
本実施形態において、スプレーノズル81の液体噴射は、第1圧縮室51の昇圧作用を利用して行われる。第1圧縮室51のピストン41の動きに応じて、第1圧縮室51とダクト77の内部空間との圧力差が不図示の制御バルブなどによって制御される。噴射用の液体は、第1圧縮室51、第1分離器83、及び第1冷却器85を有する経路を循環する。循環経路における液体流れは、第1圧縮室51の周期的な圧力変化により駆動される。例えば、特表2003−529720号公報(国際公開WO01/075308号)に記載のように、液体の循環経路上に、圧縮ガスによって加圧された液体の貯蔵器を配置することができる。第2圧縮室52のスプレーノズル82を含む噴射系の構成も、第1圧縮室51のスプレーノズル81のそれとほぼ同様とすることができ、スプレーノズル82の液体噴射は、第2圧縮室52の昇圧作用を利用して行われる。許容される範囲内において、上記の特表2005−501996号(国際公開WO2003/021107)、特表2001−502396号(国際公開WO98/16741号)、及び特表2003−529720号(国際公開WO01/075308号)を本出願に援用する。
第1及び第2分離器83,84はそれぞれ、シリンダ31,32の外部に設けられる。第1分離器83は、第1圧縮室51から出た気液二相流から液体と蒸気を分離する装置であり、目標性能が達成されかつガスの圧力低下が少なくなるよう、形態、数、位置、及び分離方法が設定される。また、液体の貯蔵所及びアキュムレータとして機能するように第1分離器83が設計されるのが好ましい。第1分離器83は、複数の分離器を有してもよく、液体と蒸気の粗分離を行う気液分離器と蒸気中の湿分をさらに分離する湿分分離器とを含む多段構造であってもよい。気液分離器としては、重力式、慣性力式、遠心力式、クーロン式などが適用可能である。例えば、遠心力式の分離器は、二相流の勢いで回転する旋回羽根によって二相流に旋回力を与え、遠心力で内壁に液体を付着させる。第2圧縮室52用の第2分離器84の構成も、第1圧縮室51用の第1分離器83のそれとほぼ同様とすることができる。第1及び第2分離器83,84をシリンダの内部に設ける構成も可能であるが、この場合、シリンダ31,32内に、分離器83,84のサイズに応じた死容積が生じる。
再生熱交換器18は、第2分離器84とシリンダ33,34との間にあって、膨張室53,54からの排ガスの熱を回収し、その熱を第2圧縮室52からの圧縮ガスに与える。再生熱交換器18において、第2圧縮室52からの圧縮ガスと膨張室53,54からの排ガスとが熱交換し、圧縮ガスが加熱され、排ガスが冷却される。本実施形態において、再生熱交換器18は、圧縮ガスに与えた残りの熱を蒸気発生装置22に与えることが可能である。例えば、排ガスの入口側に圧縮ガス用の第1熱交換器が設けられ、第1熱交換器の後流側に蒸気製造熱媒体用の第2熱交換器が設けられる。第1熱交換器と第2熱交換器とは一体構成でもよく、別体でもよい。熱交換器の構成としては、公知の様々な技術が適用可能である。本実施形態において、再生熱交換器18は、低温の流体と高温の流体とが対向して流れる向流型である。高温流体と低温流体とが並行して流れる並行流型を採用することもできる。本実施形態では、圧縮シリンダ31,32と燃焼シリンダ33,34とが機能的に分かれかつ圧縮シリンダ31,32が多段直列配置であるから、後述するように、再生熱交換器18を流れる物質の最高温度が抑制される。これは、熱交換器の製造コストの低減に有利である。
第2発電機20は、燃焼シリンダ33,34(膨張室53,54)と再生熱交換器18との間に配置されており、排ガスの流れに沿って再生熱交換器18の前段で、排ガスが有するエネルギーの一部を回収し、有効な動力に変換する。第2発電機20としては、排ガスのエネルギー回収可能な構成であればよく、例えばタービン発電機が適用される。タービン発電機は、排ガスの運動エネルギーから得られる回転力を電力変換する。
ここで、第1及び第2圧縮室51,52及び膨張室53,54のサイクルについて説明する。
圧縮シリンダ31において、ピストン41が往復動(reciprocate)する。ピストン41がストロークの上死点(シリンダ容積が最小になるピストン位置)から離れるに従い、入口ポート61を介して第1圧縮室51にガス(ガス燃料)が吸入される。下死点に達したピストン41は方向転換する。ピストン41がストロークの下死点(シリンダ容積が最大になるピストン位置)から離れて上死点に近づくに従い、第1圧縮室51のガスが圧縮される。
第1圧縮室51におけるガスの圧縮過程において、第1分離器83からの低温液体がスプレーノズル81を介して第1圧縮室51内のガスに吹き付けられる。低温液体の供給によって第1圧縮室51のガスの温度上昇が抑制され、第1圧縮室51のガスがほぼ等温的に圧縮される。スプレーノズル81と、入口ポート61及び出口ポート63における不図示の制御バルブとはそれぞれ、ピストン41の動きに応じて開閉制御される。また、第1圧縮室51とダクト77の内部空間との圧力差を利用して、第1圧縮室51内に液体がスプレーされる。ピストン41の動きに応じたスプレーノズル81の開閉制御により、その圧力差の制御が可能である。内部動力を利用した液体供給は、外部動力を利用するものに比べて、動力及び装置コストの削減に有利である。
第1圧縮室51において、ガスに対する液体の重量比(液体/ガス)は、例えば、0.1〜100である。この重量比は、ガス流量、及び圧力比(圧縮比)などの内燃エンジン12の仕様に応じて設定される。第1圧縮室51におけるプロセスは、ほぼ等温的な圧縮(擬似的な等温圧縮)であればよく、ある程度のガス温度変化が許容される。等温的な圧縮によって、圧縮動力が大幅に低減される。例えば、圧力比(圧縮後のガス圧力/圧縮前のガス圧力)が20、空気流量が2.7kg/s、ガスに対する冷却水の重量比(液体/ガス)が1〜10であるとき、非等温圧縮に比べて、30〜35%程度の圧縮動力が削減される。
出口ポート63を介して第1圧縮室51から出た圧縮ガスに含まれる液体が、第1分離器83で除去される。この液体は、第1冷却器85で冷却され、第1圧縮室51のスプレーノズル81に供給される。その結果、第1圧縮室51、第1分離器83、及び第1冷却器85を有する経路を液体(液体、霧、蒸気)が循環する。必要に応じて、この循環経路内に新たな液体が補充されるが、必要補充量はわずかである。圧縮工程で循環液体に吸収された熱は、第1冷却器85によって大気中に放出され又は別の媒体に回収される。
他の圧縮シリンダ32において、ピストン42が往復動する。ピストン42が上死点から離れるに従い、入口ポート62を介して、第1圧縮室51からの圧縮ガスが第2圧縮室52に吸入される。一方、下死点で方向転換したピストン42が上死点に近づくに従い、第2圧縮室52のガスがさらに圧縮される。
第2圧縮室52においても、第1圧縮室51とほぼ同様の等温圧縮が行われる。すなわち、第2圧縮室52におけるガスの圧縮過程において、第2分離器84からの低温液体がスプレーノズル82を介して第2圧縮室52内のガスに吹き付けられる。低温液体の供給によって第2圧縮室52のガスの温度上昇が抑制され、第2圧縮室52のガスがほぼ等温的に圧縮される。スプレーノズル82と、入口ポート62及び出口ポート64とにおける不図示の制御バルブはそれぞれ、ピストン42の動きに応じて開閉制御される。また、第2圧縮室52の圧力とダクト78内の圧力との差を利用して、第2圧縮室52内に液体がスプレーされる。ピストン42の動きに応じたスプレーノズル82の開閉制御により、その圧力差の制御が可能である。
第2圧縮室52において、ガスに対する液体の重量比(液体/ガス)は、例えば、第1圧縮室51と同様に、0.1〜100である。この重量比は、ガス流量、及び圧力比(圧縮比)などの内燃エンジン12の仕様に応じて設定される。第2圧縮室52におけるプロセスは、ほぼ等温的な圧縮(擬似的な等温圧縮)であればよく、ある程度のガス温度変化が許容される。等温的な圧縮によって、圧縮動力が大幅に低減される。第2圧縮室52の圧力比は、第1圧縮室51のそれとほぼ同等でもよく、第1圧縮室51のそれと異なってもよい。第2圧縮室52の重量比(液体/ガス)は、第1圧縮室51のそれとほぼ同等でもよく、第1圧縮室51のそれと異なってもよい。
出口ポート64を介して第2圧縮室52から出た圧縮ガスに含まれる液体が、第2分離器84で除去される。この液体は、第2冷却器86で冷却され、第2圧縮室52のスプレーノズル82に供給される。その結果、第2圧縮室52、第2分離器84、及び第2冷却器86を含む経路を液体(液体、霧、蒸気)が循環する。必要に応じて、この循環経路内に新たな液体が補充されるが、必要補充量はわずかである。圧縮工程で循環液体に吸収された熱は、第2冷却器86によって大気中に放出され又は別の媒体に回収される。
第2分離器84を通過した第2圧縮室52からの圧縮ガスは、再生熱交換器18に入り、ここで、排ガスの熱により予め加熱(予熱)される。予熱された圧縮ガスの流れは、例えば、シリンダ33,34の数に応じて分岐される。圧縮ガスの流れの分岐位置は、再生熱交換器18とシリンダ33,34との間に限らず、第2分離器84と再生熱交換器18との間でもよい。
燃焼シリンダ33,34において、入口ポート65,66を介して、膨張室53,54に第2圧縮室52からの圧縮ガスが流入する。膨張室53,54内のガスが着火すると、燃焼ガスが膨張し、そのエネルギーによってピストン43,44が駆動される。ピストン43,44の動きに応じて、シャフト48、ギアなどを介し、第1及び第2圧縮室51,52のピストン41,42が駆動される。ピストン41,42,43,44の間に適切な位相角差が設定されていることにより、連続運動が実現される。
このようにして、上記サイクルが繰り返される。
また、ピストン43,44につながった出力軸49が回転し、第1発電機14が駆動される。入口ポート65,66及び出口ポート67,68における不図示の制御バルブは、ピストン43,44の動きに応じて開閉制御される。下死点に達したピストン43,44は方向転換する。ピストン43,44が上死点に近づくに従い、出口ポート67,68を介して膨張室53,54から燃焼ガスが排出される。各膨張室53,54からの燃焼ガスは合流した後に、第2発電機20に入る。燃焼ガスの合流によって燃焼ガスの圧力変動が軽減される。膨張室53,54から排出された排ガスのエネルギーによって、第2発電機20が駆動される。第2発電機20によってシステムの廃エネルギー又は余剰エネルギーが回収され、有効な動力に変換される。第2発電機20を通過すると、排ガスの温度及び圧力が下がる。第2発電機20から出たガスは、再生熱交換器18を通ってさらに熱回収される。還元処理などの排出処理の後、外部に排ガスが排出される。
このように、本実施形態においては、吸入・圧縮過程と燃焼・膨張過程とが互いに異なるシリンダで行われ、圧縮シリンダ31,32では等温的圧縮が行われることにより、圧縮動力の低減が達成される。また、等温的圧縮に伴って圧縮ガスの出口温度が低いから、再生熱交換器18を介した再生サイクルにより、高い発電効率が達成される。再生サイクルは、圧縮後のガス温度が低いほど再生効率が高い。
また、本実施形態においては、複数段の等温的圧縮を行うことから、高い圧縮効率(87〜92%)を有するレシプロ圧縮機だけで高い圧力比(例えば、20〜200)が達成される。すなわち、ターボ過給機(圧縮効率:80〜85%)などの予圧装置をシリンダの手前に設置する必要がない。レシプロ式は、軸流式などに比べて、高い燃焼温度の設定が可能であり、また、燃焼空気量が少なく、圧縮動力が少ない。
また、本実施形態においては、複数段の等温的圧縮を行うことから、圧縮室への多量の液体スプレーが可能である。例えば、2段の等温的圧縮プロセスは、実質的同条件の1段に比べて、スプレー量を少なくとも2倍にできる。すなわち、1段の等温的圧縮プロセスにおけるガス・液体比(液体/ガス)が2〜3であるとき、2段の等温的圧縮プロセスにおけるガス・液体比を4〜6にできる。湿分を多量にガスに添加することにより、質量流量が増加し、高い発電効率かつ優れた運用性を有するサイクル(HATサイクル)が実現される。
また、本実施形態においては、複数段の等温的圧縮を行うことにより、1段の等温的圧縮に比べて、圧縮シリンダ32の出口温度(第2圧縮室52の出口温度)が低く設定される。圧縮シリンダ32の出口温度は、例えば、60℃、55℃、50℃、45℃、40℃、35℃、30℃のいずれかの温度に比べて同程度あるいは低く設定される。圧縮シリンダ32における圧縮ガス出口温度が30〜60℃程度であるとき、例えば、再生熱交換器18における排ガス出口温度(排ガスの最終温度)が110〜140℃程度以下になるまで、熱回収が可能である。したがって、省エネルギー性が高い。
また、本実施形態においては、排ガスの流れに沿って再生熱交換器18の前段で、排ガスのエネルギーの一部が第2発電機20によって回収されるから、再生熱交換器18における排ガスの入口温度が低く設定される。そのため、比較的低温度下における信頼性の高い再生熱交換が実施される。圧縮シリンダと燃焼シリンダとが分けて配されかつそれらの間に再生熱交換器を配した構成においては、その再生熱交換器の高温仕様が回避されることにより、耐久性、信頼性及び経済性向上に有利である。例えば、高温耐熱材料の使用、及び高温設計が緩和される。再生熱交換器の前段で排ガスのエネルギーを回収する構成は、後段のそれに比べて、温度環境が大幅に改善される。
また、本実施形態においては、圧縮後のガス温度が燃料の最低着火温度より低く設定されるから、第1及び第2圧縮室51,52における圧縮過程で燃料が着火しない。すなわち、燃料と空気との予混合気を圧縮しても着火することがない。したがって、圧縮前の流れに、常圧での燃料供給が可能であり、燃料圧縮機を必ずしも必要としない。
また、本実施形態においては、第2発電機20によるエネルギー回収に伴って再生熱交換器18における排ガスの入口温度が低く設定されるから、再生熱交換器18における圧縮ガスの出口温度、すなわち燃焼シリンダ33,34(膨張室53,54)における圧縮ガスの入口温度が低く設定される。そのため、再生熱交換器18における圧縮ガス出口温度(燃焼シリンダ33,34における圧縮ガス入口温度)を、燃料の最低着火温度に比べて低く設定することが可能である。燃焼シリンダ33,34における圧縮ガス入口温度は、例えば、450℃、400℃、350℃、300℃、250℃のいずれかの温度に比べて同程度あるいは低く設定される。燃料シリンダ33,34への流入ガス温度が低く設定されることにより、燃焼シリンダ33,34における弁類、循環系などの耐熱性が緩和され、装置コストの低減に有利である。耐熱性の緩和によって、燃焼シリンダ33,34が高温高圧雰囲気に晒される場合の、バルブの高温融着(バルブスティック)などの機械的不具合、及び高温潤滑設計などが回避される。
このように、本実施形態では、多段圧縮シリンダと燃焼シリンダとの分割配置、及び/又は再生熱交換器の前段での第2発電機20の配置とによって、圧縮動力の削減とともに、エンジンシステム10全体の温度環境を経済的レベルに設定することができる。適正な温度環境の設定は、次に説明するように、回収熱を利用した蒸気製造に有利である。
本実施形態において、エンジンシステム10はさらに、蒸気発生装置22を有する。
蒸気発生装置22は、排ガスから回収した熱、及び燃焼・膨張用のシリンダ33,34から回収した熱を利用して蒸気を製造するものであり、被加熱媒体である水を貯溜するタンク110と、ジャケット冷却回路112と、排熱回収回路114と、蒸気圧縮機116とを有する。本実施形態において、蒸気発生装置22は、減圧沸騰により低圧蒸気を発生させ、その後の昇圧により高圧蒸気を得る。
タンク110には、伝熱管121,122(加熱部)と、水の供給ポート124と、蒸気の排出ポート126とが設けられている。供給ポート124は、ダクト128を介して給水源130に流体的につながっている。排出ポート126は、ダクト132を介して蒸気圧縮機116に流体的につながっている。
ジャケット冷却回路112は、燃焼・膨張用のシリンダ33,34を覆うジャケット141と、シリンダ33,34から回収した熱を放出する熱交換器142と、熱交換器142とタンク110との間にある循環配管143とを有する。本実施形態では、ジャケット141を流れる媒体として水が用いられる。冷却媒体として、水と他の成分(エチレングリコールなど)との混合物、水以外の液体、又はガスなどを用いることも可能である。ジャケット冷却水は、ジャケット141を通ってシリンダ33,34(膨張室53,54)の熱を吸収する。ジャケット冷却水用の配管には、バルブ及び冷却水輸送のための不図示のポンプが必要に応じて設けられる。熱交換器142において、シリンダ33,34から回収した熱が循環配管143を流れる中間媒体に伝わる。熱交換器142で冷却されたジャケット冷却水が再びジャケット141に入る。このようにして、ジャケット冷却水がシリンダ33,34の冷却に繰り返し用いられる。
本実施形態において、ジャケット冷却回路112はさらに、バイパス回路145と、バイパス回路145上に配置された冷却器146と、制御弁147とを有する。制御弁147は、例えば、不図示のセンサで計測されたジャケット冷却水の温度計測結果に基づいて、バイパス流量(バイパス回路145を流れるジャケット冷却水の流量)を制御する。バイパス回路145を流れる液体の熱は、冷却器146によって例えば温水として回収される。蒸気需要の変動に応じてバイパス流量が制御されることにより、安定的にジャケット141が冷却される。蒸気需要の変動が少ない場合には、こうしたバイパス回路を省くことも可能である。
循環配管143を流れる中間媒体は、ジャケット冷却水から受けた熱をタンク110に輸送する。中間媒体としては、例えば、水、水と他の成分(エチレングリコールなど)との混合物、水以外の液体、又はガスなどが用いられる。循環配管143には、バルブ及び中間媒体輸送のための不図示のポンプが必要に応じて設けられる。循環配管143は、タンク110に設けられた伝熱管121を含む。
排熱回収回路114は、再生熱交換器18とタンク110との間にある循環配管150を有する。循環配管150は、タンク110に設けられた伝熱管122を含む。再生熱交換器18において、循環配管150を流れる中間媒体が、膨張室53,54からの排ガスの熱を吸収する。中間媒体は、排ガスから回収した熱をタンク110に輸送する。循環配管150には、バルブ及び中間媒体輸送のための不図示のポンプが必要に応じて設けられる。
タンク110において、供給ポート124を介して給水源から水が供給される。タンク110内に貯溜された水の液面が所定範囲内になるように、タンク110への水の供給量が制御される。例えば、タンク110内の液面を計測する不図示のセンサの計測結果に基づいて、水の供給量が制御される。伝熱管121を流れる中間媒体の熱、及び伝熱管122を流れる中間媒体の熱がタンク110内の水に伝わる。タンク110の内部空間は、タンク110の排出ポート126及びダクト132を介して蒸気圧縮機116によって吸引される。
蒸気圧縮機116による吸引作用により、タンク110の内部空間が減圧される。本実施形態では、タンク110の内部圧力が大気圧に比べて低い負圧(陰圧)となるように、ダクト132,133上の不図示の制御弁(流量制御弁など)及び蒸気圧縮機116が制御される。例えば、この制御は、タンク110の内部圧力を計測する不図示のセンサの計測結果に基づいて行われる。タンク110において、伝熱管121,122によって加熱された温水が減圧沸騰する。タンク110の温水温度は、例えば、90℃〜130℃である。タンク110内で発生した低圧蒸気は、ダクト132内を蒸気圧縮機116に向けて流れる。
蒸気圧縮機116は、タンク110の下流に配置される。蒸気圧縮機116としては、軸流圧縮機、遠心圧縮機、レシプロ式圧縮機、ロータリー式圧縮機などの様々な圧縮機が適用可能である。蒸気圧縮機116は、タンク110からの蒸気を圧縮し、高圧蒸気を下流のダクト133に流す。こうした蒸気は、外部の所定施設、例えば製造プラント、調理施設、空調設備、発電プラントなどに供給される。
このように、蒸気発生装置22においては、ジャケット141及び/又は排ガスから回収した熱によって比較的低圧力かつ低温度の蒸気を発生させ、蒸気圧縮機116による圧縮で比較的高圧力かつ高温度の蒸気を得る。タンク110の内部空間が負圧であることにより、熱交換器による直接的な蒸気製造に比べて、全体としての一次エネルギーの節減(動力の節減)が期待される。
すなわち、比較的高温域の加熱に蒸気圧縮機116が利用されるから、熱伝達による加熱と比較して、昇温時間の短縮、及び熱損失の抑制に有利である。また、この蒸気発生装置22は、熱回収温度レベルが比較的低い(例えば、90℃〜130℃)から、エンジンシステム10の様々な箇所から熱回収することが可能である。蒸気発生装置22の熱回収温度レベルに応じて、再生熱交換器18における排ガスの出口温度(排ガスの最終温度)を低く設定することができ、これは、エンジンシステム10の動力回収及び省エネルギー性に有利である。例えば、排ガスの最終温度は、130℃、125℃、120℃、115℃、110℃、100℃のいずれかの温度に比べて同程度あるいは低く設定される。
また、この蒸気発生装置22は、製造コストが低く、また、重度の不具合が生じにくい。すなわち、タンク110が高圧容器である必要がないなど、大部分の機構が高圧設計である必要がない。また、蒸気圧縮機116に不具合が発生しても、タンク110内の水あるいは蒸気が過度に昇圧されない。また、複数の箇所で回収した熱をまとめて蒸気製造に利用するのに適しており、したがって、複数の熱源を用いた蒸気製造が比較的簡素な構成で実現される。
このように、この蒸気発生装置22を備えるエンジンシステム10においては、電力とともに蒸気を製造するコージェネレーションが実現される。また、このエンジンシステム10は、次に説明するように、必要に応じて蒸気を製造する、電熱可変型として使用することができる。
本実施形態において、蒸気発生装置22は、図1に示すように、膨張室53,54からの燃焼ガスが流れるダクト77に蒸気を導くバイパス管155と、バイパス管155を流れる蒸気量を制御する制御弁157とを有する構成にできる。制御弁157は、蒸気の需要量に応じて蒸気バイパス量(バイパス管155を流れる蒸気流量)を制御する。すなわち、蒸気需要量が少ない場合にはバイパス流量が多くなり、蒸気需要量が多い場合にはバイパス流量が少なくなる。バイパス管155を流れる蒸気は、燃焼ガスに混入され、燃焼排ガスとともに第2発電機20によってエネルギーが回収される。
また、蒸気発生装置22は、図1に示すように、蒸気圧縮機116の圧縮室に液体(水)を供給するノズル160を必要に応じて有する。ノズル160の配置位置は、例えば、蒸気圧縮機116の入口及び出口の少なくとも一方である。蒸気圧縮機116が多段式である場合には、ノズル160を蒸気圧縮機116の段間に配置することができる。ノズル160とタンク110の液相位置とが配管162を介して接続された構成にすることもでき、この配管構成では、比較的高温であるタンク110内の液体がノズル160への供給に有効利用される。ノズル160からの液体の噴出には、配管の入口と出口との圧力差などの内部動力を利用してもよく、ポンプなどの外部動力を用いてもよい。
蒸気の圧縮過程において、過熱蒸気から飽和蒸気への冷却に、水または温水を直接混入することにより、蒸気のボリュームが増加する。さらに、水または温水の供給量及びタイミングの最適化により、比較的低圧力かつ低温度の飽和蒸気を、比較的高圧力かつ高温度の飽和蒸気に直接的に変化させることができる。このように、蒸気圧縮機116の圧縮室に液体を供給する機構を設けた構成は、飽和蒸気及び過熱蒸気のいずれも容易に発生させることができるなど、蒸気仕様に対する柔軟性が高い。
なお、本実施形態においては、圧縮過程前の流れに燃料を供給しているが、これに限定されない。例えば、一般的なディーゼルエンジンと同様に、燃料圧縮機を用いて膨張室53,54に燃料を直接供給してもよい。この場合、燃料と空気とを予混合圧縮できない液体系燃料、あるいは着火温度の低い燃料の使用が可能である。
また、燃焼シリンダ33,34(膨張室53,54)においては、点火手段(点火プラグ69)によって燃料を点火する方式の他に、圧縮・予熱された空気に燃料が噴射されることによって燃料が着火する方式を採用することができる。
また、本実施形態においては、第1圧縮室51の周期的な圧力変化を利用した内部動力によってスプレーノズル81を介して第1圧縮室51に液体を噴射しているが、これに限定されない。例えば、ポンプによってスプレーノズル81から液体を噴射する方式を採用することができる。この場合、ポンプは、ピストンにつながった回転シャフトから内部動力を得る構成とすることができる。また、外部動力を用いてポンプを駆動してもよい。第2圧縮室52についても同様である。
また、液体供給装置16においては、第1及び第2圧縮室51,52のそれぞれに1ずつ分離器83,84及び冷却器85,86が配されているがこれに限定されない。圧縮室の数と分離器の数は、同じでもよく異なってもよい。複数の圧縮室が分離器及び/又は冷却器を共有することにより、装置の簡素化及び装置コスト削減が図られる。
また、圧縮シリンダ31,32と燃焼シリンダ33,34との間に回転速度差があってもよい。例えば、第1及び第2圧縮室51,52におけるガスと液体との間の熱伝達時間の確保のために、燃焼シリンダのサイクルに比べて、圧縮シリンダ31,32の単位時間当たりの数を少なくすることができる。これは、第1及び第2圧縮室51,52のクランク軸と膨張室53,54のクランク軸との間に、ギア装置を配置することにより実現される。
また、本実施形態においては、内燃エンジン12によって発電機を駆動する構成としているが、車両の車輪、あるいは船舶のプロペラなど、回転機械装置の駆動に使用することも可能である。
ここで提供されるエンジンシステム10は、発電システム、特に電力とともに蒸気を製造するコージェネレーションシステムに好ましく適用されるが、これに限定さない。例えば、エンジンシステム10は、車や船などの駆動エンジンとして適用可能である。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
エンジンシステムの一実施形態を示す全体構成図である。
符号の説明
10…エンジンシステム(内燃エンジンシステム)、12…内燃エンジン(熱機関)、14…第1発電機、16…液体供給装置、18…再生熱交換器(熱交換器)、20…第2発電機、22…蒸気発生装置、31,32…圧縮シリンダ、33,34…燃焼シリンダ、41,42,43,44…ピストン、49…出力軸、51…第1圧縮室、52…第2圧縮室、53,54…膨張室、57…吸気ダクト、58…燃料ダクト、60…燃料源、81,82…スプレーノズル、83…第1分離器、84…第2分離器、85…第1冷却器、86…第2冷却器、110…タンク、112…ジャケット冷却回路、114…排熱回収回路、116…蒸気圧縮機、121,122…伝熱管、141…ジャケット、142…熱交換器、143…循環配管、145…バイパス回路、146…冷却器、147…制御弁、150…循環配管、155…バイパス管、157…制御弁、160…ノズル、162…配管。

Claims (12)

  1. 第1ピストンが移動しかつガスが圧縮される第1圧縮室と、
    第2ピストンが移動しかつ前記第1圧縮室からの前記ガスがさらに圧縮される第2圧縮室と、
    第3ピストンが移動しかつ前記第2圧縮室からの前記ガスが燃焼及び膨張される膨張室と、
    前記膨張室で燃焼する燃料の燃料源と、
    前記第3ピストンに機能的につながった出力軸と
    を備えることを特徴とする内燃エンジンシステム。
  2. 前記ガスの温度上昇を抑える液体を、前記第1圧縮室の前記ガス及び前記第2圧縮室の前記ガスの少なくとも一方に吹き付ける液体供給装置をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の内燃エンジンシステム。
  3. 前記第1及び第2圧縮室の少なくとも一方で前記ガスがほぼ等温的に圧縮されることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃エンジンシステム。
  4. 前記液体供給装置は、前記第1圧縮室からの前記ガスから前記液体を分離する第1分離器を有し、前記第1分離器で分離された前記液体が前記第1圧縮室に向けて流れ、前記第1分離器で分離された前記ガスが前記第2圧縮室に向けて流れることを特徴とする請求項2または3に記載の内燃エンジンシステム。
  5. 前記液体供給装置は、前記第2圧縮室からの前記ガスから前記液体を分離する第2分離器を有し、前記第1分離器で分離された前記液体が前記第1圧縮室に向けて流れ、前記第2分離器で分離された前記ガスが次の圧縮室または前記膨張室に向けて流れることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の内燃エンジンシステム。
  6. 前記第1圧縮室の前記ガスの出口温度及び前記第2圧縮室の前記ガスの出口温度のそれぞれが前記燃料の最低着火温度より低いことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の内燃エンジンシステム。
  7. 前記燃料源が前記第1圧縮室に流体的につながっていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の内燃エンジンシステム。
  8. 前記燃料がガス燃料であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の内燃エンジンシステム。
  9. 前記第2圧縮室または別の最終圧縮室からの前記ガスと前記膨張室からの排ガスとが熱交換する熱交換器をさらに備えることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の内燃エンジンシステム。
  10. 前記熱交換器で加熱された後の前記第2圧縮室または前記別の最終圧縮室からの前記ガスの温度が、前記燃料の最低着火温度より低いことを特徴とする請求項9に記載の内燃エンジンシステム。
  11. 前記出力軸につながった発電機をさらに備えることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の内燃エンジンシステム。
  12. 前記ガスの圧縮及び/又は前記ガスの燃焼によって発生した熱を使って蒸気を発生させる蒸気発生装置をさらに備えることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の内燃エンジンシステム。
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