JP2007256388A - 短パルスレーザー光のパルス幅圧縮方法およびその装置ならびに中空導波路 - Google Patents

短パルスレーザー光のパルス幅圧縮方法およびその装置ならびに中空導波路 Download PDF

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Abstract

【課題】従来よりも高いエネルギー、例えば、従来の技術において取り扱うことのできる短パルスレーザー光のエネルギーの数10倍〜数100倍程度の高いエネルギー(具体的には、例えば、数10mJ〜数100mJである。)の短パルスレーザー光のパルス幅を圧縮する。
【解決手段】2枚の平板を所定の間隙を開けて平行に配置して2枚の平板間に中空コアを形成しかつ中空コア内に希ガスを存在させるとともに中空コア内を短パルスレーザー光が伝搬するようにした中空導波路の中空コア内に、線状に集光された短パルスレーザー光の線状の延長方向が、中空コアの線状に集光された短パルスレーザー光の入射側端面における間隙方向と直交する自由方向に沿うように、線状に集光された短パルスレーザー光を入射して、該入射した短パルスレーザー光を中空コア内で伝搬させて該入射した短パルスレーザー光のスペクトル幅を拡げる。
【選択図】図1

Description

本発明は、短パルスレーザー光のパルス幅圧縮方法およびその装置ならびに中空導波路に関し、さらに詳細には、パルス幅がおよそ10フェムト秒(10−14秒)台から100フェムト秒(10−13秒)台の短パルスレーザー光のパルス幅を圧縮する際に用いて有効である短パルスレーザー光のパルス幅圧縮方法およびその装置ならびに中空導波路に関し、例えば、X線顕微鏡の光源となる軟X線コヒーレント光を発生させるために必要となる励起用レーザーを高強度化・短パルス化させたり、あるいは、アブレーション作用を利用した難加工物質の加工において各種波長のレーザー光を短パルス化させたり、あるいは、超高速化学反応による新材料創成において高強度短パルスレーザー光を利用したりするなどの際に用いて好適な短パルスレーザー光のパルス幅圧縮方法およびその装置ならびに中空導波路に関するものであり、特に、エネルギーの高い高強度フェムト秒レーザー光などの高強度短パルスレーザー光のパルス幅の圧縮に用いて好適な短パルスレーザー光のパルス幅圧縮方法およびその装置ならびに中空導波路に関する。
なお、本明細書において「高強度短パルスレーザー光」とは、例えば、エネルギーが1mJ〜1J程度のものを意味するものとする。
従来より、チタンサファイアレーザーをはじめとする高強度短パルスレーザー光を利用する過程においては、そのパルス幅を圧縮する技術が重要な地位を占めている。
即ち、およそ10フェムト秒台から100フェムト秒台のパルス幅を持つ短パルスレーザー光は、パルス幅に反比例した広いスペクトル幅を有することが必要条件であり、短パルスレーザー光のパルス幅を10フェムト秒以下に圧縮するには、スペクトルの広帯域化と幅広いスペクトルの各波長成分の位相を制御する分散補償技術とが必要とされている。
このため、上記したように、短パルスレーザー光のパルス幅圧縮の手段として、様々な技術が提案されており、例えば、各種のガスを封入した円筒形状の中空ファイバーに短パルスレーザー光を入射して、中空ファイバー内の伝搬中に生じる自己位相変調と称される非線形現象により短パルスレーザー光のスペクトル幅を拡張し、中空ファイバーから出射後の短パルスレーザー光をチャープ鏡や2個のプリズムからなるプリズム対あるいは2個の回折格子からなる回折格子対などを用いて分散補償して位相制御を行うことにより、パルス幅を圧縮することが知られている(非特許文献1および非特許文献2を参照する。)。
具体的には、高強度フェムト秒レーザー光のパルス幅の圧縮においては、フェムト秒パルスが媒質中を伝搬する際に生じる自己位相変調を利用してフェムト秒パルスのスペクトル幅を拡げ、その後にチャープ鏡やプリズム対で分散補償を行って10フェムト秒以下にパルス幅を圧縮するようになされている。
即ち、フェムト秒パルスのスペクトル幅を拡げるにあたっては、一般に、円筒形状の中空ファイバーに希ガスを封入しておき、この中空ファイバー内に高強度フェムト秒レーザー光を入射し、当該高強度フェムト秒レーザー光の中空ファイバー内の伝搬中に生じる自己位相変調により高強度フェムト秒レーザー光のスペクトル幅を拡張していた。
しかしながら、中空ファイバーのような、所謂、一次元素子においては、入射する短パルスレーザー光のエネルギーが当該中空ファイバーの中空部分の円形の断面積に制限されてしまうことになり、高強度短パルスレーザー光とはいっても取り扱うことのできる高強度短パルスレーザー光のエネルギーは数mJ程度に制限されていて、高いエネルギー、例えば、10mJ〜1J程度のフェムト秒レーザー光などの短パルスレーザー光に対応することができないという問題点があった。
即ち、中空ファイバーを用いたスペクトル幅の拡張の手法では、中空ファイバーへ入射する短パルスレーザー光のエネルギーが中空コアの断面積により制限をされてしまうため、短パルスレーザー光の高強度化には限界があるという問題点があった。
なお、従来のプラナー導波路(スラブ導波路)を用いて短パルスレーザー光のスペクトル幅を広帯域化した例はあるが(非特許文献3を参照する。)、そのエネルギーはμJオーダーに過ぎないものであった。
M.Nisoli et al., Appl.Phys.Lett., vol.68, pp.2793−2795, 1996 A.Suda et al., Appl.Phys.Lett., vol.86, pp.111116/1−3, 2005 B.Marx, Laser Focus World, No.1, 2004
本発明は、上記したような従来の技術の有する種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来よりも高いエネルギー、例えば、従来の技術において取り扱うことのできる短パルスレーザー光のエネルギーの数10倍〜数100倍程度の高いエネルギー(具体的には、例えば、数10mJ〜数100mJである。)の短パルスレーザー光のパルス幅を圧縮することを可能にした短パルスレーザー光のパルス幅圧縮方法およびその装置ならびに中空導波路を提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、本発明による中空導波路は、2枚の平板を所定の間隔を開けて平行に配置して当該2枚の平板間に中空部分を形成し、短パルスレーザー光が当該中空部分内を伝搬するようにしたものである。本願発明者は、この本発明による中空導波路を「中空プラナー導波路」または「中空スラブ導波路」と称することを提唱する。
また、本発明による短パルスレーザー光のパルス幅圧縮方法およびその装置は、従来の中空ファイバーに代えて、上記した2枚の平行平板により構成される本発明による中空導波路(中空プラナー導波路または中空スラブ導波路)を用いるようにして、従来の技術において取り扱い可能であったエネルギーよりも数10倍〜数100倍高いエネルギーの高強度フェムト秒レーザー光などの短パルスレーザー光のパルス幅を、例えば、10フェムト秒以下に圧縮することができるようにしたものである。

こうした本発明のうち請求項1に記載に発明は、短パルスレーザー光のパルス幅を圧縮する短パルスレーザー光のパルス幅圧縮方法において、短パルスレーザー光を線状に集光し、2枚の平板を所定の間隙を開けて平行に配置して上記2枚の平板間に中空コアを形成しかつ上記中空コア内に希ガスを存在させるとともに上記中空コア内を短パルスレーザー光が伝搬するようにした中空導波路の上記中空コア内に、線状に集光された短パルスレーザー光の線状の延長方向が、上記中空コアの上記線状に集光された短パルスレーザー光の入射側端面における上記間隙方向と直交する自由方向に沿うように、線状に集光された短パルスレーザー光を入射して、該入射した短パルスレーザー光を上記中空コア内で伝搬させて該入射した短パルスレーザー光のスペクトル幅を拡げ、上記中空コア内を伝搬して出射されたスペクトル幅を拡げられた短パルスレーザー光を分散補償して位相制御を行うことによりパルス幅を圧縮して出力するようにしたものである。
また、本発明のうち請求項2に記載に発明は、本発明のうち請求項1に記載に発明において、上記間隙の距離を100μm〜500μmとしたものである。
また、本発明のうち請求項3に記載に発明は、本発明のうち請求項1または2のいずれか1項に記載の発明において、上記中空導波路の上記中空コア内に入射される短パルスレーザー光は、エネルギーが1mJ〜1Jのフェムト秒レーザー光であるようにしたものである。
また、本発明のうち請求項4に記載に発明は、短パルスレーザー光のパルス幅を圧縮する短パルスレーザー光のパルス幅圧縮装置において、短パルスレーザー光を線状に集光するビーム集光手段と、2枚の平板を所定の間隙を開けて平行に配置して上記2枚の平板間に中空コアを形成しかつ上記中空コア内に希ガスを存在させるとともに上記中空コア内を短パルスレーザー光が伝搬するようにした中空導波路であって、上記中空コア内に上記ビーム集光手段により線状に集光された短パルスレーザー光が入射され該入射された短パルスレーザー光を伝搬する中空導波路と、上記中空導波路を伝搬して出射された短パルスレーザー光を分散補償して位相制御を行うことによりパルス幅を圧縮して出力するパルス幅圧縮手段とを有し、上記ビーム集光手段により線状に集光された短パルスレーザー光を上記中空コアへ入射する際に、上記線状に集光された短パルスレーザー光の線状の延長方向が、上記中空コアの上記線状に集光された短パルスレーザー光の入射側端面における上記間隙方向と直交する自由方向に沿うように入射するようにしたものである。
また、本発明のうち請求項5に記載に発明は、本発明のうち請求項4に記載に発明において、上記間隙の距離を100μm〜500μmとしたものである。
また、本発明のうち請求項6に記載に発明は、本発明のうち請求項4または5のいずれか1項に記載の発明において、上記中空導波路の上記中空コア内に入射される短パルスレーザー光は、エネルギーが1mJ〜1Jのフェムト秒レーザー光であるようにしたものである。
また、本発明のうち請求項7に記載に発明は、短パルスレーザー光のスペクトル幅を拡げるための中空導波路において、2枚の平板を所定の間隙を開けて平行に配置して上記2枚の平板間に中空コアを形成しかつ上記中空コア内に希ガスを存在させるとともに上記中空コア内を短パルスレーザー光が伝搬するようにした中空導波路であって、上記コア内に短パルスレーザー光を入射し、該入射した短パルスレーザー光を上記中空コア内で伝搬させて該入射した短パルスレーザー光のスペクトル幅を拡げるようにしたものである。

上記した本発明によれば、従来の円筒形の中空ファイバーに代えて、2枚の平行な平板により構成される本発明による中空導波路(中空プラナー導波路または中空スラブ導波路)を用いるようにしたので、短パルスレーザー光の閉じこめ効果を損なうことなく、短パルスレーザー光が入射される中空導波路の中空コアの入射側端面の面積ならびに中空コアの断面積を拡げることができるようになる。
これにより、従来の円筒形の中空ファイバーを用いた場合と比較すると、数10倍〜数100倍の高いエネルギーのフェムト秒レーザー光に対しても、自己位相変調によるスペクトル幅の広帯域化が可能となり、チャープ鏡などのパルス幅圧縮手段を用いて分散補償して位相制御を行うことによるパルス幅圧縮後の10フェムト秒以下のパルス幅の超短パルスのエネルギーも、従来の場合と比較すると数10倍〜数100倍高くなる。
本発明によれば、従来よりも高いエネルギー、例えば、従来の技術において取り扱うことのできる短パルスレーザー光のエネルギーの数10倍〜数100倍の高いエネルギーの短パルスレーザー光のパルス幅を圧縮することが可能になるという優れた効果が奏される。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による短パルスレーザー光のパルス幅圧縮方法およびその装置ならびにそれらに用いる中空導波路の実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。

図1には、本発明による短パルスレーザー光のパルス幅圧縮装置の実施の形態の一例の概念構成説明図が示されている。また、図2には、図1のII−II線による概略断面説明図が示されている。
この本発明による短パルスレーザー光のパルス幅圧縮装置(以下、単に「パルス幅圧縮装置」と称する。)10は、フェムト秒レーザーやピコ秒レーザーなどの短パルスレーザー(図示せず。)により生成されたフェムト秒レーザー光やピコ秒レーザー光などの短パルスレーザー光のビーム形状を線状に集光するビーム集光手段としてのビーム集光部12と、ビーム集光部12から出射された線状の短パルスレーザー光が入射され当該入射された短パルスレーザー光のスペクトル幅を拡げるスペクトル幅拡張手段としてのスペクトル幅拡張部14と、スペクトル幅拡張部14によりスペクトル幅を拡げられた短パルスレーザー光を分散補償して位相制御を行うことによりパルス幅を圧縮して出力するパルス幅圧縮手段としてのパルス幅圧縮部16とを有して構成されている。
ここで、ビーム集光部12は、例えば、円筒面レンズや円筒面反射鏡などにより構成することができる。
次に、スペクトル幅拡張部14は、短パルスレーザー光を透過して内部に入射するための入射窓(図示せず。)と短パルスレーザー光を透過して外部へ出射するための出射窓(図示せず。)とを有した矩形断面を備えたガスセル20と、ガスセル20内に配設された中空導波路22とを有して構成されている。なお、ガスセル20内には、短パルスレーザー光の自己位相変調を引き起こす媒質として、アルゴンやネオンなどの希ガスが封入されている。
中空導波路22は、2枚の平板24a、24bを所定の間隔Gを開けて平行に配置して、2枚の平板24a、24b間に中空部分の中空コア24cを形成したものであり、短パルスレーザー光が中空コア24c内を伝搬するように構成されている。
また、中空導波路22においては、2枚の平板24a、24bを所定の間隔Gを開けて一様に精度よく平行に配置するために、平板24aと平板24bとの間に間隔Gと一致する長さを備えたスペーサー26を配置している。
ここで、中空導波路22の寸法は、平板24a、24bの材質や入射する短パルスレーザー光の波長などの設計条件に応じて任意に設定できるものであるが、間隙Gの距離は、例えば、100μm〜500μm程度に設定することができ、中空コア24cの幅Wの大きさは、例えば、5cm〜10cm程度に設定することができ、また、中空コア24cの長さLは、例えば、50cm〜2m程度に設定することができ、また、平板24a、24bの厚さTは、例えば、1cm〜5cm程度に設定することができる。
さらに、平板24a、24bの材質としては、ソーダガラス、合成石英ガラスあるいはシリコンなどを適宜に選択して用いることができる。
次に、パルス幅圧縮部16は、例えば、チャープ鏡や2個のプリズムからなるプリズム対あるいは2個の回折格子からなる回折格子対などにより構成することができる。

以上の構成において、短パルスレーザー(図示せず。)により生成された短パルスレーザー光はビーム集光部12に入射され、ビーム集光部12によりそのビーム形状を線状に集光され、スペクトル幅拡張部14のガスセル20の入射窓(図示せず。)を透過して、中空導波路22における中空コア24cの入射側端面に集光される。
ここで、ビーム形状が線状の短パルスレーザー光を中空コア24cの入射側端面に集光する際には、ビーム形状の線状の延長方向が、中空コア24cの線状に集光された短パルスレーザー光の入射側端面において、間隙Gにより制限された間隙G方向と直交する自由方向である幅W方向に沿うように入射する。
そして、中空導波路22の中空コア24c内に入射されたビーム形状が線状の短パルスレーザー光のスペクトル幅は、中空導波路22の長手方向、即ち、中空コア24cの長さL方向へ当該短パルスレーザー光が伝搬する際に、ガスセル20内の希ガスなどとの相互作用により自己位相変調を引き起こし、数倍〜10倍程度拡げられる。
上記のようにしてスペクトル幅拡張部14によりスペクトル幅を拡げられた短パルスレーザー光は、ガスセル20の出射窓(図示せず。)を透過して外部へ出射された後にパルス幅圧縮部16へ入射され、パルス幅圧縮部16により分散補償を施されてパルス幅が圧縮される。そして、こうしてパルス幅が圧縮された短パルスレーザー光がパルス幅圧縮部16から外部へ出力され、それぞれの用途に用いられる。
こうしたパルス幅圧縮装置10によれば、例えば、ビーム集光部12に短パルスレーザー光としてエネルギーが50mJ〜100mJ程度のフェムト秒レーザー光が入射されると、パルス幅圧縮部16からはパルス幅を圧縮されたエネルギーが25mJ〜50mJ程度の短パルスレーザー光を出射することが可能となるものであり、概ね入射の際のエネルギーの50%程度のエネルギーが出射される。

ここで、本願発明者により行われたシミュレーションについて説明する。このシミュレーションにおいては、フェムト秒パルスの非線形伝播を取り扱ったモデル計算(「M.Nurhuda et al., JOSA B20, 2002(2003).」を参照する。)により、中空導波路22中のスペクトル広帯域化について検討した。
なお、このシミュレーションにおいては、ガスセル20内には0.7気圧のアルゴンが封入されているものとした。
また、中空導波路22については、長さが50cm、幅が15cmの寸法を備えた合成石英ガラス製の平板24a、24bを、間隔Gの距離を350μmにとって平行に対向させて構成するものとした。なお、このシミュレーションではスペーサー26は排除して計算しているため、中空コア24cの幅Wは15cmとなる。
また、上記した寸法の中空導波路22に入射する線状の短パルスレーザー光としては、中心波長を800nmとし、エネルギーは100mJであり、パルス幅が20fsのフェムト秒レーザー光を用いるようにした。
また、上記したフェムト秒レーザー光のビーム形状は、中空コア24cの幅W方向に沿った線状の延長方向の大きさを10cmとし、間隙G方向の大きさを270μmとした線状形状を備えるものとした。図3には、上記した中空導波路22に入射する線状の短パルスレーザー光のシミュレーションにより求められた間隙G方向のスペクトルの空間分布図が示されており、図4には、上記した中空導波路22に入射する線状の短パルスレーザー光のシミュレーションにより求められた幅W方向のスペクトルの空間分布図が示されている。
即ち、このシミュレーションは、エネルギー100mJ、パルス幅20fsのフェムト秒パルス(中心波長800nm)を0.7気圧のアルゴンを封入したガスセル20内に配置された中空導波路22に線状集光(間隙G方向270μm×幅W方向10cm)し、中空導波路22内を50cm伝搬させるようにしたものである。
図5および図6には、シミュレーションにより求められた中空導波路22内を50cm伝搬させた後の短パルスレーザー光のスペクトルの空間分布が示されている。
ここで、図5が中空導波路22の光の閉じ込め方向(間隙Gの方向)におけるスペクトルの空間分布を示し、図4が中空導波路22の自由方向(幅Wの方向)におけるスペクトルの空間分布を示している。
中空導波路22の光閉じ込め方向(図5参照)とこれに直交する自由方向(図6参照)とのいずれにおいても、ともに一様にスペクトル幅が拡がっていることがわかる。
また、図7は、このシミュレーションにおいて中空導波路22に入射する線状の短パルスレーザー光(Input)と中空導波路22から出射された線状の短パルスレーザー光(Output)とを比較して示したスペクトル図である。この図7からも、中空導波路22に入射された線状の短パルスレーザー光スペクトル幅が拡がっていることがわかる。
上記したシミュレーション結果からは、最終的にエネルギー50mJ、パルス幅5fsのパルスまで圧縮可能であることが示された。

なお、上記した実施の形態は、以下の(1)〜(4)に示すように変形することができるものである。
(1)上記した実施の形態においては、ビーム集光部12により短パルスレーザー光のビーム形状を線状に集光した後にスペクトル幅拡張部14へ入射するようにしたが、短パルスレーザー光のビーム形状を線状に集光する際に、ビーム形状を整形するようにしてもよい。ビーム形状を整形しながら線状に集光する場合には、ビーム整形に用いるスリットやナイフエッジと線状集光に用いる円筒面レンズや円筒面反射鏡とを組みあわせて用いればよい。
(2)上記した実施の形態においては、ガスセル20として矩形断面を備えたものを用いるようにしたが、ガスセル20の断面形状は矩形に限られるものではないことは勿論である。例えば、図8に示すように、円筒断面を備えたガスセルを用いるようにしてもよい。
(3)上記した実施の形態においては、平板24aと平板24bとの間にスペーサー26を配置することにより、平板24aと平板24bとを所定の間隔Gを開けて一様に精度よく平行に配置したが、平板24aと平板24bとを所定の間隔Gを開けて一様に精度よく平行に配置する手法は、スペーサー26を用いた上記の手法に限られるものではないことは勿論である。例えば、図9に示すように、2枚の平板24a、24bをそれぞれホルダーに固定した後に、複数個(例えば、4個以上である。)のマイクロメーターヘッドを用いて、2枚の平板24a、24bの間の間隙Gおよび平行度を調整するようにしてもよい。
(4)上記した実施の形態ならびに上記した(1)〜(3)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
本発明は、X線顕微鏡の光源となる軟X線コヒーレント光を発生させるために必要となる励起用レーザーを高強度化・短パルス化させたり、あるいは、アブレーション作用を利用した難加工物質の加工において各種波長のレーザー光を短パルス化させたり、あるいは、超高速化学反応による新材料創成において高強度短パルスレーザー光を利用したりするなどの際に利用することができる。
図1は、本発明による短パルスレーザー光のパルス幅圧縮装置の実施の形態の一例の概念構成説明図である。 図2は、図1のII−II線による概略断面説明図である。 図3は、中空導波路に入射する線状の短パルスレーザー光のシミュレーションの入力に用いた間隙G方向のスペクトルの空間分布図である。 図4は、中空導波路に入射する線状の短パルスレーザー光のシミュレーションの入力に用いた幅W方向のスペクトルの空間分布図である。 図5は、中空導波路内を伝搬させた後の短パルスレーザー光のシミュレーションにより求められた間隙G方向のスペクトルの空間分布図である。 図6は、中空導波路内を伝搬させた後の短パルスレーザー光のシミュレーションにより求められた幅W方向のスペクトルの空間分布図である。 図7は、シミュレーションにおいて中空導波路に入射する線状の短パルスレーザー光(Input)と中空導波路から出射された線状の短パルスレーザー光(Output)とを比較して示したスペクトル図である。 図8は、本発明による短パルスレーザー光のパルス幅圧縮装置の他の実施の形態の概念構成説明図である。 図9は、本発明による短パルスレーザー光のパルス幅圧縮装置の他の実施の形態の概念構成説明図である。
符号の説明
10 パルス幅圧縮装置
12 ビーム集光部
14 スペクトル幅拡張部
16 パルス幅圧縮部
20 ガスセル
22 中空導波路
24a 平板
24b 平板
26 スペーサー

Claims (7)

  1. 短パルスレーザー光のパルス幅を圧縮する短パルスレーザー光のパルス幅圧縮方法において、
    短パルスレーザー光を線状に集光し、
    2枚の平板を所定の間隙を開けて平行に配置して前記2枚の平板間に中空コアを形成しかつ前記中空コア内に希ガスを存在させるとともに前記中空コア内を短パルスレーザー光が伝搬するようにした中空導波路の前記中空コア内に、線状に集光された短パルスレーザー光の線状の延長方向が、前記中空コアの前記線状に集光された短パルスレーザー光の入射側端面における前記間隙方向と直交する自由方向に沿うように、線状に集光された短パルスレーザー光を入射して、該入射した短パルスレーザー光を前記中空コア内で伝搬させて該入射した短パルスレーザー光のスペクトル幅を拡げ、
    前記中空コア内を伝搬して出射されたスペクトル幅を拡げられた短パルスレーザー光を分散補償して位相制御を行うことによりパルス幅を圧縮して出力する
    ことを特徴とする短パルスレーザー光のパルス幅圧縮方法。
  2. 請求項1に記載の短パルスレーザー光のパルス幅圧縮方法において、
    前記間隙の距離は、100μm〜500μmである
    ことを特徴とする短パルスレーザー光のパルス幅圧縮方法。
  3. 請求項1または2のいずれか1項に記載の短パルスレーザー光のパルス幅圧縮方法において、
    前記中空導波路の前記中空コア内に入射される短パルスレーザー光は、エネルギーが1mJ〜1Jのフェムト秒レーザー光である
    ことを特徴とする短パルスレーザー光のパルス幅圧縮方法。
  4. 短パルスレーザー光のパルス幅を圧縮する短パルスレーザー光のパルス幅圧縮装置において、
    短パルスレーザー光を線状に集光するビーム集光手段と、
    2枚の平板を所定の間隙を開けて平行に配置して前記2枚の平板間に中空コアを形成しかつ前記中空コア内に希ガスを存在させるとともに前記中空コア内を短パルスレーザー光が伝搬するようにした中空導波路であって、前記中空コア内に前記ビーム集光手段により線状に集光された短パルスレーザー光が入射され該入射された短パルスレーザー光を伝搬する中空導波路と、
    前記中空導波路を伝搬して出射された短パルスレーザー光を分散補償して位相制御を行うことによりパルス幅を圧縮して出力するパルス幅圧縮手段と
    を有し、
    前記ビーム集光手段により線状に集光された短パルスレーザー光を前記中空コアへ入射する際に、前記線状に集光された短パルスレーザー光の線状の延長方向が、前記中空コアの前記線状に集光された短パルスレーザー光の入射側端面における前記間隙方向と直交する自由方向に沿うように入射する
    ことを特徴とする短パルスレーザー光のパルス幅圧縮装置。
  5. 請求項4に記載の短パルスレーザー光のパルス幅圧縮装置において、
    前記間隙の距離は、100μm〜500μmである
    ことを特徴とする短パルスレーザー光のパルス幅圧縮装置。
  6. 請求項4または5のいずれか1項に記載の短パルスレーザー光のパルス幅圧縮装置において、
    前記中空導波路の前記中空コア内に入射される短パルスレーザー光は、エネルギーが1mJ〜1Jのフェムト秒レーザー光である
    ことを特徴とする短パルスレーザー光のパルス幅圧縮装置。
  7. 短パルスレーザー光のスペクトル幅を拡げるための中空導波路において、
    2枚の平板を所定の間隙を開けて平行に配置して前記2枚の平板間に中空コアを形成しかつ前記中空コア内に希ガスを存在させるとともに前記中空コア内を短パルスレーザー光が伝搬するようにした中空導波路であって、
    前記コア内に短パルスレーザー光を入射し、該入射した短パルスレーザー光を前記中空コア内で伝搬させて該入射した短パルスレーザー光のスペクトル幅を拡げる
    ことを特徴とする中空導波路。
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