JP2007254810A - 硼素炭素窒素酸素化合物の成膜方法並びに前記方法で得られた膜、基板、デバイス - Google Patents

硼素炭素窒素酸素化合物の成膜方法並びに前記方法で得られた膜、基板、デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】バンドギャップ、絶縁性等の電気的特性に優れると共に、可視光の高い透過率など光学的特性にも優れた化合物を、フレキシブル有機材料製基板やガラス製基板等が耐えられる250℃未満の温度で成膜する。
【解決手段】プラズマを利用して窒素原子を主に励起し、励起した窒素原子を硼素原子、炭素原子および酸素原子と反応させて、成膜室内の250℃未満の基板上に硼素炭素窒素酸素化合物を成膜させることを特徴とする硼素炭素窒素酸素化合物の成膜方法。前記硼素炭素窒素酸素化合物は、酸素が20at%以上含まれていることを特徴とする硼素炭素窒素酸素化合物の成膜方法。前記基板は、紙製基板、合成樹脂製基板、フレキシブル有機材料製基板またはガラス製基板であることを特徴とする硼素炭素窒素酸素化合物の成膜方法。
【選択図】図1

Description

本発明は電気的特性や光学的特性に優れた化合物の低温下での成膜方法並びに前記成膜方法で得られた膜に関し、具体的には硼素炭素窒素酸素化合物を低い温度で成膜する方法、前記成膜方法で得られた硼素炭素窒素酸素化合物膜を有する基板、デバイスに関する。
近年の産業、技術の高度化の下、何らかの目的を達成するための手段として優れた性質を有する材料(あるいは物質)を開発する研究、すなわち当該優れた性質を一層発揮させる様にしたり、短所を改善したりする材料を開発したり、当該材料を低コストで製造したりする研究が盛んに行われている。
具体的には、例えば近年特に注目されている信号伝播速度が速い超大規模集積回路(ULSI)を実用化するためには、配線間を埋める絶縁膜に用いることが可能な低誘電率の材料の開発が不可欠であり、かかる材料として、誘電率に寄与する電子分極が小さい化合物、例えば窒化硼素炭素等の研究が行われている(特許文献1)。
また、現在知られている材料を、その優れた性質に着目して、従来用いられていなかった新規な用途に用いる研究も盛んに行われている。具体的には、例えば前記窒化硼素炭素は電位窓が広く、電界電子放出特性が良好であり、化学的に安定である等の優れた特性を有するため、フィールドエミッター、センサー、集積回路作製時の電子描画(ナノリソグラフィ)等の各種の技術分野へ応用する研究がなされている(特許文献2、同3)。
特開2005−210136号公報 特開2003−185617号公報 特開2004−103259号公報
しかしながら、前記2つの研究はいずれも、基本的には現在ある材料の改良や新しい用途の開拓である。一方、産業を一層発展させるためには、新しい材料、特に幅広い用途を有する材料を見出す(発見する)ことも不可欠である。
しかし、かかる材料を見出すことに対する要望は強いものの、前記2つの研究と異なり予測し難い面が多々あるため、具体的な成果を挙げることはなかなか困難であり、研究はあまりなされていないのが実情である。
本願発明者は、以上の困難性にも関わらず鋭意研究を行った結果、電気的特性や光学的特性に優れた硼素炭素窒素酸素化合物を見出し、併せて低コストで応用範囲を拡げることが容易な製造方法を見出し、本願発明をなしたものである。
以下、各請求項の発明を説明する。
請求項1に記載の発明は、
プラズマを利用して窒素原子を主に励起し、励起した窒素原子を硼素原子、炭素原子および酸素原子と反応させて、成膜室内の250℃未満の基板上に硼素炭素窒素酸素化合物を成膜させることを特徴とする硼素炭素窒素酸素化合物の成膜方法である。
本請求項の成膜方法によって得られる硼素炭素窒素酸素化合物は、絶縁性等の電気的特性に優れると共に、広いバンドギャップを有し、可視光の高い透過率など光学的特性にも優れる。
そして、このような硼素炭素窒素酸素化合物を、250℃未満はもとより室温においても基板上に成膜することができるため、従来の窒化硼素炭素等の成膜において見られた基板温度からの制約に拘束されることがなく、広い用途に使用することが可能であり、さらに低コストで成膜できる。
本発明のプラズマを利用して窒素原子を主に励起し、励起した窒素原子を硼素原子等と反応させて基板上に硼素炭素窒素酸素化合物を成膜させる方法とは、例えば前記特許文献1に開示されている如き方法を指し、プラズマを利用した物理化学的蒸着である限り原料やプラズマ発生手段に相違があっても良い。
また、「プラズマを利用して」とは、例えば窒素原子を直接プラズマ化して励起するのではなく、スパッタリング法等のように、BN等の窒素化合物にアルゴンのプラズマを衝突させる方法等の間接的に励起させることをも含める趣旨である。
具体的な成膜方法としてはプラズマ化学気相法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などが挙げられるが、特に、好ましい成膜方法として、従来の平行平板電極間のプラズマ内部に基板が入ったプラズマ化学気相法の方式とは異なり、基板がプラズマ内部に入っていないプラズマアシスト化学気相法が挙げられる。
また、「窒素原子を主に励起し」とは、窒素原子を励起することが不可欠であることを指す。炭素原子および酸素原子は、励起させても良いし、励起させなくても良い。また、炭素原子は好ましくはメタン等の水素化合物として供給するが、この場合において炭素を励起させる場合には、水素原子も励起されることとなる。
ただし、硼素原子を励起させることは、一般的には好ましくないと思われる。なお、硼素元素は、水素ガスで希釈した塩化硼素ガス(三塩化硼素ガス)として供給することが好ましい。
また、供給する各原料ガスの割合は、窒素ガスを1.0sccm供給する場合を基準にして、水素ガスは1.0sccm程度(±20%)、メタンガスは0.3sccm以下、塩化硼素ガスは0.8sccm程度であるのが好ましい。
なお、酸素原子は、原料ガスとして積極的に酸素、水等の酸化物を供給しても良いし、成膜室内へ窒素元素の原料ガスとして積極的に供給する窒素ガス、あるいは炭素元素の原料ガスとして積極的に供給するメタン中に混在する酸素(いずれにおいても、通常100ppm〜1000ppm程度)、さらには成膜厚さ等の他の条件にもよるが成膜室内に残っている酸素等を使用してもよい。
この様な酸素でも、適切な量が膜中に化合されるのは、基板温度が250℃未満と低いからである。
さらに、主に窒素ガスを対象として行う励起電力は、前記の窒素ガスを1.0sccm供給する場合において40W以上が好ましく、絶縁性の観点から成膜された硼素炭素窒素酸素化合物の電気抵抗をより高くするためには80W以上とすることが好ましい。
また、成膜室の真空度は、最初1×10−6Torr程度とし、成膜中は1.0Torr程度に保持しておくことが好ましい。
請求項2に記載の発明は、前記の硼素炭素窒素酸素化合物の成膜方法であって、
前記硼素炭素窒素酸素化合物は、酸素が20at(アトミック)%以上含まれていることを特徴とする硼素炭素窒素酸素化合物の成膜方法である。
本請求項の発明により得られる硼素炭素窒素酸素化合物は、酸素が20at%以上含まれているため、特にバンドギャップが顕著に増加するという光学的特性に優れた性質を有する。
なお、酸素は、43at%以下であることが好ましい。
請求項3に記載の発明は、前記の硼素炭素窒素酸素化合物の成膜方法であって、
硼素が30〜43at%、炭素が8〜30at%、窒素が15〜25at%、酸素が20〜43at%含まれていることを特徴とする硼素炭素窒素酸素化合物の成膜方法である。
前記の範囲の硼素炭素窒素酸素化合物は、絶縁性等の電気的特性やバンドギャップ、可視光の高い透過率等の光学的特性が顕著に優れており、物理的化学的性質も安定している。
なお、炭素は9at%〜10at%であるのが、好ましい。
請求項4に記載の発明は、前記の硼素炭素窒素酸素化合物の成膜方法であって、
前記基板は、紙製基板、合成樹脂製基板、フレキシブル有機材料製基板またはガラス製基板であることを特徴とする硼素炭素窒素酸素化合物の成膜方法である。
紙、合成樹脂等の耐熱性の低い物質製の基板に硼素炭素窒素酸素化合物層を成膜させることにより、優れた性能を有する電子ペーパ、リトマス試験紙の様な使い捨て型のイオンの検査用紙等を提供することが可能となる。
なお、ここに「紙」とは、樹脂等を含浸させた合成紙等を含む。
また、基板上に硼素炭素窒素酸素化合物が形成された構造が複数回繰返して重なっているいわゆるサンドウィッチ構造の場合には、そのうちの1の構造(繰返し)の基板が紙、合成樹脂等の250℃以上の耐熱性を有しない物質製であれば、本請求項の発明に含まれる。
また、フレキシブル有機材料製またはガラス製の基板に硼素炭素窒素酸素化合物層を成膜させることにより、優れた性能を有する電子ペーパ、ディスプレーボード、機能つき窓ガラス等を提供することが可能となる。
また、硼素炭素窒素酸素化合物は高い透明性を有するため、ガラス製基板に成膜して画期的な製品が開発される可能性が大きい。
ここに、「フレキシブル有機材料」とは、屈曲や折り曲げが可能なプラスチックの薄板や薄膜のみならず、ゴム、皮やそれらの化学的処理品等をも含む。
請求項5に記載の発明は、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の成膜方法により作製されたことを特徴とする硼素炭素窒素酸素化合物膜である。
本請求項の発明は、製造方法の発明である請求項1から請求項4を、物の発明として捉えたものである。
請求項6に記載の発明は、
請求項5に記載の硼素炭素窒素酸素化合物膜を有していることを特徴とする基板である。
本請求項の発明は、製造方法の発明である請求項1から請求項4の発明を、製造物である硼素炭素窒素酸素化合物膜を有している基板から捉えたものである。
請求項7に記載の発明は、
請求項5に記載の硼素炭素窒素酸素化合物膜を有していることを特徴とするデバイスである。
本請求項の発明は、製造方法の発明である請求項1から請求項4を、製造物である硼素炭素窒素酸素化合物膜を有しているデバイスから捉えたものである。
ここに、「デバイス」とは、ガスセンサー、イオンセンサー、電子ペーパ、ULSI、フィールドエミッター、ディスプレー、機能つき窓ガラス等の各種の機能を有する物質や物品の部品や一部という意味であり、半導体デバイスに限定されない。また、基板表面に形成されている層等の機能物質、物品層の保護膜や絶縁膜に使用されている等の付属的要素として使用されている場合も含まれる。
本発明においては、絶縁性等の電気的特性に優れると共に、広いバンドギャップを有し、可視光の高い透過率など光学的特性にも優れた硼素炭素窒素酸素化合物を、250℃未満、特に室温においても製造することが出来る。
この結果、この様に優れた硼素炭素窒素酸素化合物を、紙製、合成樹脂製、フレキシブル有機材料製基板やガラス製基板等の様に、耐熱性が低い材料からなる基板上に成膜することが可能であり、幅広い用途に利用することが出来る。
特に、近年ユーザからの要望が高い、表面に優れた性質を有する機能膜が形成された、そして新しいタイプのフレキシブル有機材料基板やガラス基板等を提供することが可能になる。
また、各種のセンサー、電子ペーパ、ディスプレーボード、機能つき窓ガラス、フィールドエミッター、ULSI、ディスプレー等に優れたデバイスを提供することが可能になる。
以下、本発明をその最良の実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
(第1の実施の形態)
本実施の形態は、原料ガスのうち窒素ガスを励起し、炭素を含むガスは励起しないものである。以下、図1を参照しつつ本実施の形態を説明する。
(1)硼素炭素窒素酸素化合物を成膜する装置
図1は、本実施の形態の硼素炭素窒素酸素化合物を成膜する装置100の構成を、概念的に示す図である。図1において、101は円筒状の容器であり、102は誘導結合プラズマ生成部であり、103は整合器であり、104は高周波電源であり、105は窒素導入部であり、106は基板保持部であり、107はヒータであり、108はバイアス印加部であり、109は塩化硼素導入部であり、110はメタン導入部であり、111は排気孔である。
また、200は基板部であり、201は基板であり、210は基板の表面に成膜された硼素炭素窒素酸素化合物の層(膜)である。
なお、基板201の材料は、電気的特性、光学的特性、柔軟性等を評価するため、導電性があるn−Si、紫外線を透過するSiO、柔軟なPEN(ポリエチレンナフタレート)の3種を使用した。
容器101内は、図示しない真空ポンプにより1×10−6Torr程度の真空にすることが可能である。
高周波電源104は、0.5kw〜10kwまでの高周波電力を供給することが可能である。この際、負荷とのインピーダンスの整合は、整合器103によりなされる。なお、周波数は、13.56MHzである。
誘導結合プラズマ生成部102は、容器101の上部に設置されており、さらに上部から供給される窒素を、高周波によりプラズマ化する。
ヒータ107は、基板201を基板部200共々一定の温度に加熱し、保持しておくものであり、本装置のヒータは、基板201を最高650℃に加熱し、保持することが可能であるが、本発明においては基板温度を250℃未満に保持している。
バイアス印加部108は、基板保持部106上に設置された基板201にバイアス電圧を印加するものである。
(2)硼素炭素窒素酸素化合物を成膜する工程
塩化硼素(三塩化硼素)は、容器101内に水素をキャリアガスとして導入される。
窒素と塩化硼素の体積流量比(以下、「体積」は、省略する)(窒素/塩化硼素)は0.1〜10.0、メタンと塩化硼素の流量比(メタン/塩化硼素)は0.01〜5.0、水素と塩化硼素の流量比(水素/塩化硼素)は0.05〜5.0の間において設定を調節することが可能である。
これにより、基板201の温度に応じて、低誘電率を有する硼素炭素窒素酸素化合物膜が得られる最適の原料ガスの流量比とすることが可能である。
また、これらの原料ガスの比率を変更することにより、成膜させる硼素炭素窒素酸素化合物の組成を、ひいては性質をある程度調節することも可能である。
硼素炭素窒素酸素化合物膜の成膜は、容器101の内部を1×10−6Torr程度の真空にした後、容器101の上部から100ppm程度の酸素を含む窒素を、容器101の側部の上方かつ誘導結合プラズマ生成部102の下方の塩化硼素導入部109から塩化硼素を水素と共に、さらにその下方のメタン導入部110から100ppm程度の酸素を含むメタンをそれぞれ細い矢印で示す様に容器101の内部に導入し、併せて高周波電源104から誘導結合プラズマ生成部102に高周波を供給することによりなされる。
即ち、容器101の上部で窒素が酸素と共に高周波の作用でプラズマ化され、更にプラズマ化した窒素原子と酸素原子は太い矢印で示す様に、下方にある基板部200の方向に加速され、高速で移動するが、この際容器101側部から導入された三塩化硼素(BCl)分子と衝突して硼素原子と塩素原子を分離させ、またメタンの分子と衝突して炭素原子と水素原子を分離させ、併せて不純物の酸素分子も分離させる。
なお、図1において、容器101内の基板部200の上部の点線で囲んだ範囲内でプラズマが発生している。
発生した硼素原子と炭素原子と酸素原子は、プラズマ状の窒素原子と酸素原子の運動量の一部を受取って、プラズマ状の窒素、酸素と共に下方にある基板上に高速で降り注ぎ、基板上に硼素炭素窒素酸素化合物が成膜する。
また、衝突により発生した塩素原子は、塩化硼素のキャリアガスである水素、メタンが分解して発生した水素と速やかに反応して塩化水素となり、残りの水素と共に排気孔111から排出される。
なお、酸素は基板温度が250℃未満と低いため、膜中に取り込まれ易い。
各ガスの流量比は、窒素ガス1.0sccmに対して、メタンガスは0.3sccmであり、塩化硼素ガスは0.8sccmであり、塩化硼素ガスと共に供給する水素ガスは1.0sccmとした。なお、硼素供給用の原料ガスとして、塩化硼素ガス以外に、硼素を含有した有機化合物、例えばトリメチルボロン、トリエチルボロン等を使用することも出来る。
また、高周波の電力は、前記の窒素ガスを1.0sccm供給する際を基準にして40Wから80Wとした。
なおこの際、容器101の内部は、1.0Torr程度に保持されている。
(3)基板温度による各元素の組成比の変化
原料ガスが前記の基準流量で高周波の電力が40Wで成膜する際に、基板の温度を50℃、350℃、650℃と変えて、硼素炭素窒素酸素化合物膜の組成比がどの様に変化するかを調べた。なお、成膜温度が350℃と650℃の資料は、実施例ではなく、比較例である。
その様子を、図2に示す。図2において、縦軸は各元素が組成に占める%(at%)であり、横軸は成膜時の基板温度(℃)であり、図中の黒丸は硼素を、白四角は炭素を、黒三角は窒素を、白逆三角は酸素を示す。
図2から、成膜温度が250℃未満では酸素は25%以上、少なくとも20%以上であり、50℃では43%程度、少なくとも40%程度であり、硼素と窒素は成膜温度の低下と共に低下し、炭素の濃度は成膜温度に拘らず9ないし10%程度であることが判る。
また、FTIRスペクトル(フーリエ変換赤外分光法)による測定結果より、基板温度が低ければ水分が取り込まれていることが判った。
更に、取り込まれた水分は650℃でアニールしても除去できなかった。このことから、材質的に非常に安定していることが確認できた。
基板温度が50℃の場合で、高周波電力を40Wから80Wにした時には、炭素の組成比は同じ10%であり、硼素と窒素は各々40%、19%に増加したが、酸素は31%に低下した。このことから、高周波電力の調整によっても、成膜時の酸素量を適切にコントロール出来ることが確認出来た。
(4)硼素炭素窒素酸素化合物膜の性能試験
a)可視光吸収特性
基板温度50℃で膜厚さ300nmに堆積させた硼素炭素窒素酸素化合物膜の可視光での吸収特性を、図3に示す。波長350nm〜700nmの可視光領域において、透過率が90%以上であり、非常に良好であった。
b)紫外光吸収特性(バンドギャップ)
基板温度を50℃、350℃、650℃に変化させ、さらに前記の窒素ガスを1.0sccm供給する際を基準にして高周波の電力をプラズマ40Wにして、堆積させた硼素炭素窒素酸素化合物膜の紫外光の吸収特性試験結果のTAUCプロットを、図4に示す。図4において、縦軸は吸収係数(α)と光子エネルギー(hν)の二乗であり、横軸は光子エネルギーであり、図中の四角は成膜時の温度が50℃で膜厚さが320nmの場合を示し、同じく三角は350℃で膜厚さが220nmの場合を示し、同じく丸は650℃で膜厚さが200nmの場合を示す。なお、成膜温度が350℃と650℃の試料は、実施例ではなく、比較例である。
図4より、成膜温度が50℃の場合には、光子エネルギーが6.5eVにおいても紫外光が良好に通過するため、バンドギャップが極めて高いことが判る。また、成膜温度が低くなるほど、バンドギャップが増加することも判る。なお、図2を参照しつつ説明した様に、炭素原子の組成比は3例とも同じ、約10%である。
なお、6.5eV以上の光子エネルギーの領域は、測定器の能力外となるため測定していない。
次に、前記の窒素ガスを1.0sccm供給する際を基準にして高周波電力を80Wにして、厚さ650nmに堆積させた硼素炭素窒素酸素化合物膜の紫外光の吸収特性を調べた。その結果、光子エネルギー6.5eVまで顕著な紫外光の吸収は見られず、バンドギャップが極めて大きいことが確認できた。
c)直流電圧特性
(i)高周波電力を40Wと固定し、基板温度が50℃と650℃の場合の硼素炭素窒素酸素化合物膜の電気抵抗を測定した。測定電圧は、直流1Vである。抵抗値は、50℃で成膜したものは1.5×10Ω・cmであり、650℃で成膜したものは9.9×1011Ω・cmであった。この結果、成膜温度が高いほど高い絶縁性が得られることがわかった。
(ii)高周波の電力を80Wと固定し、基板温度が50℃の場合の硼素炭素窒素酸素化合物膜の電気抵抗を測定した。測定電圧は、直流1Vである。抵抗値は、1.0×1011Ω・cmであった。この結果、たとえ成膜温度が低くても、高周波電力を増加させることにより、高い絶縁性が得られることが判った。
d)柔軟性試験
PENの薄膜に厚さ150nmに硼素炭素窒素酸素化合物を成膜させ、屈曲性を評価した。指先で容易に屈曲し、また半径1cmで180度屈曲させても膜の剥れも認められなかった。
e)その他の性質
原料元素組成から、電子親和力が弱いことが予想されるが、試験結果も予想された通りであった。
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、製造に際してメタンガスをも励起させるものである。図5に、本実施の形態の製造装置の構造を示す。本図において、115は窒素ガスとメタンガス導入部であり、120は高周波発生装置であり、121は高周波コイルであり、125は高周波カット用金属製パイプであり、131は熱伝対である。その他の、符号の意味は図1と同じである。
メタンガスをも励起させた場合にも、優れた性質を有する硼素炭素窒素酸素化合物膜が形成されることが確認できた。
以上より、本発明の成膜方法で得られた硼素炭素窒素酸素化合物は、低い温度で成膜しているため耐熱性の低い材料にも適用できる一方、絶縁性等の電気的特性に優れると共に、広いバンドギャップを有し、可視光の高い透過率など光学的特性にも優れていることが確認できた。
本発明により、電気的特性、光学的特性に優れた硼素炭素窒素酸素化合物膜が形成されたフレキシブル有機材料基板やガラス基板等を提供することが可能となるため、書込みと消去が自由な電子ペーパ、機能薄膜を張付けた使い捨て型のセンサー類、ブラインド機能を有する窓ガラス、ディスプレー等に優れた性質を有する硼素炭素窒素酸素化合物を応用することが可能となる。
またその結果、従来以上に性質、機能が優れた電子ペーパ、センサー類、窓ガラス、ディスプレー等を提供することが可能になる。
本発明の硼素炭素窒素酸素化合物を成膜する装置の構造を概念的に示す図である。 図1に示す装置を使用して成膜した際に、基板温度により各元素の組成比が変化する様子を示す図である。 50℃で堆積させた硼素炭素窒素酸素化合物膜の可視光領域の吸収測定結果を示す図である。 硼素炭素窒素酸素化合物膜の紫外光の吸収測定結果を示す図である。 本発明の硼素炭素窒素酸素化合物を成膜する他のタイプの装置の構造を示す図である。
符号の説明
101 円筒状の容器
102 誘導結合プラズマ生成部
103 整合器
104 高周波電源
105 窒素導入部
106 基板保持部
107 ヒータ
108 バイアス印加部
109 塩化硼素導入部
110 メタン導入部
111 排気孔
115 窒素ガスとメタンガス導入部
120 高周波発生装置
121 高周波コイル
125 金属製パイプ
131 熱伝対
200 基板部
201 基板
210 硼素炭素窒素酸素化合物の層

Claims (7)

  1. プラズマを利用して窒素原子を主に励起し、励起した窒素原子を硼素原子、炭素原子および酸素原子と反応させて、成膜室内の250℃未満の基板上に硼素炭素窒素酸素化合物を成膜させることを特徴とする硼素炭素窒素酸素化合物の成膜方法。
  2. 前記硼素炭素窒素酸素化合物は、酸素が20at%以上含まれていることを特徴とする請求項1に記載の硼素炭素窒素酸素化合物の成膜方法。
  3. 硼素が30〜43at%、炭素が8〜30at%、窒素が15〜25at%、酸素が20〜43at%含まれていることを特徴とする請求項2に記載の硼素炭素窒素酸素化合物の成膜方法。
  4. 前記基板は、紙製基板、合成樹脂製基板、フレキシブル有機材料製基板またはガラス製基板であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の硼素炭素窒素酸素化合物の成膜方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の成膜方法により作製されたことを特徴とする硼素炭素窒素酸素化合物膜。
  6. 請求項5に記載の硼素炭素窒素酸素化合物膜を有していることを特徴とする基板。
  7. 請求項5に記載の硼素炭素窒素酸素化合物膜を有していることを特徴とするデバイス。
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