JP2007251311A - 無線通信システムおよびそれに用いる無線装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】秘密鍵の盗聴を抑制可能な無線通信システムを提供する。
【解決手段】 アレーアンテナ20の指向性が複数の指向性A1〜Anに切換えられ、アレーアンテナ40の指向性が複数の指向性B1〜Bnに切換えられながら無線装置10,30間でn個の電波が送受信される。そして、無線装置10は、無線装置30から受信したn個の第1の電波に対応するn個の第1の電波強度を検出し、その検出したn個の第1の電波強度に基づいてビット列からなる秘密鍵Ks1を生成する。また、無線装置30は、無線装置10から受信したn個の第2の電波に対応するn個の第2の電波強度を検出し、その検出したn個の第2の電波強度に基づいて秘密鍵Ks1と同じビット列からなる秘密鍵Ks2を生成する。
【選択図】図1

Description

この発明は、無線通信システムおよびそれに用いる無線装置に関し、特に、暗号化した情報を無線により通信する無線通信システムおよびそれに用いる無線装置に関するものである。
最近、情報化社会の発展に伴い情報通信が益々重要になるとともに、情報の盗聴または不正利用がより深刻な問題となっている。このような情報の盗聴を防止するために従来から情報を暗号化して送信することが行なわれている。
情報を暗号化して端末装置間で通信を行なう方式として公開鍵暗号方式と秘密鍵暗号方式とがある。公開鍵暗号方式は、安全性が高いが、大容量のデータの暗号化には向かない。
一方、秘密鍵暗号方式は、処理が比較的簡単であり、大容量のデータの高速暗号化も可能であるが、秘密鍵を通信の相手方に送信する必要がある。また、秘密鍵暗号方式は、同一の秘密鍵を使用し続けると、暗号解読の攻撃を受けやすく、安全性が損なわれる可能性がある。
そこで、秘密鍵を相手方に送信せずに秘密鍵を共有する方法として、2つの端末装置間の伝送路の特性を測定し、その測定した特性に基づいて各端末装置で秘密鍵を生成する方法が提案されている(非特許文献1)。
この方法は、2つの端末装置間でデータを送受信したときの遅延プロファイルを各端末装置で測定し、その測定した遅延プロファイルをアナログ信号からデジタル信号に変換して各端末装置で秘密鍵を生成する方法である。即ち、伝送路を伝搬する電波は可逆性を示すために、一方の端末装置から他方の端末装置へデータを送信したときの遅延プロファイルは、他方の端末装置から一方の端末装置へ同じデータを送信したときの遅延プロファイルと同じになる。従って、一方の端末装置で測定した遅延プロファイルに基づいて生成された秘密鍵は、他方の端末装置で測定した遅延プロファイルに基づいて作成された秘密鍵と同じになる。
このように、伝送路特性を用いて秘密鍵を生成する方法は、同じデータを2つの端末装置間で相互に送受信するだけで同じ秘密鍵を共有することができる。
堀池 元樹、笹岡 秀一,「陸上移動通信路の不規則変動に基づく秘密鍵共有方式」,信学技報,社団法人 電子情報通信学会,2002年10月,TECHNICAL REPORT OF IEICE RCS2002-173,p.7−12. 特開2005−333438号公報
しかし、2つの端末装置間で送受信される複数の電波を盗聴者が各端末装置の近傍で傍受して強度プロファイルを測定すれば、盗聴者は、各端末装置で測定した強度プロファイルに近い強度プロファイルを取得することができる。その結果、秘密鍵が解読される可能性がある。
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、秘密鍵の盗聴を抑制可能な無線通信システムを提供することである。
また、この発明の別の目的は、秘密鍵の盗聴を抑制可能な無線通信システムに用いる無線装置を提供することである。
この発明によれば、無線通信システムは、第1および第2のアンテナと、第1および第2の無線装置とを備える。第1および第2のアンテナの各々は、指向性を電気的に切換え可能なアンテナからなる。第1および第2の無線装置は、第1および第2のアンテナを介して無線伝送路により電波を相互に送受信する。そして、第1の無線装置は、第2の無線装置が第2のアンテナの指向性を複数の第1の指向性に順次切換えながら送信した複数の第1の電波を第1のアンテナの指向性を複数の第1の指向性と異なる複数の第2の指向性に順次切換えながら受信し、その受信した複数の第1の電波に対応する複数の第1の電波強度を検出し、その検出した複数の第1の電波強度に基づいて第1の秘密鍵を生成する。また、第2の無線装置は、第1の無線装置が第1のアンテナの指向性を複数の第2の指向性に順次切換えながら送信した複数の第2の電波を第2のアンテナの指向性を複数の第1の指向性に順次切換えながら受信し、その受信した複数の第2の電波に対応する複数の第2の電波強度を検出し、その検出した複数の第2の電波強度に基づいて第1の秘密鍵と同じビット列からなる第2の秘密鍵を生成する。
好ましくは、第1のアンテナは、1本の第1の給電素子と、p(pは正の整数)本の第1の無給電素子と、p本の第1の無給電素子に装荷されたr(rはpの整数倍)個の第1の可変容量素子とを含む。第2のアンテナは、1本の第2の給電素子と、q(qは正の整数)本の第2の無給電素子と、q本の第2の無給電素子に装荷されたs(sはqの整数倍)個の第2の可変容量素子とを含む。そして、第1の無線装置は、第1のアンテナのr個の第1の可変容量素子の少なくとも1つの容量を変化させて第1のアンテナの指向性を複数の第2の指向性に順次切換える。第2の無線装置は、第2のアンテナのs個の第2の可変容量素子の少なくとも1つの容量を変化させて第2のアンテナの指向性を複数の第1の指向性に順次切換える。
好ましくは、第1の無線装置は、複数の第1の電波強度のうち、所定数の第1の電波強度を削除し、残りの第1の電波強度を多値化して第1の秘密鍵を生成する。第2の無線装置は、複数の第2の電波強度のうち、所定数の第2の電波強度を削除し、残りの第2の電波強度を多値化して第2の秘密鍵を生成する。
また、この発明によれば、無線装置は、無線装置間で暗号通信を行なう無線通信システムに用いられる無線装置であって、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の第1の無線装置または第2の無線装置からなる。
この発明においては、電気的に指向性を切換え可能な2つのアレーアンテナの指向性をそれぞれ異なる複数の指向性に順次切換えて複数の電波を2つの無線装置間で送受信し、各無線装置において受信した受信信号強度に基づいて秘密鍵を生成する。つまり、各無線装置は、相手の無線装置からの電波を自己に独自の強度で検出して秘密鍵を生成する。
従って、この発明によれば、各無線装置で生成される秘密鍵の盗聴を抑制できる。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態による無線通信システムの概略図である。無線通信システム100は、無線装置10,30と、アレーアンテナ20,40とを備える。
アレーアンテナ20,40の各々は、電気的に指向性を切換え可能なアンテナである。そして、アレーアンテナ20は、無線装置10に装着され、アレーアンテナ40は、無線装置30に装着される。
無線装置10と無線装置30との間で通信が行われる場合、電波は、無線装置10のアレーアンテナ20と無線装置30のアレーアンテナ40との間を直接伝搬したり、中間物50による影響を受けて伝搬する。中間物50としては、反射物及び障害物が想定される。中間物50が反射物である場合、無線装置10のアレーアンテナ20または無線装置30のアレーアンテナ40から出射した電波は、中間物50によって反射されて無線装置30のアレーアンテナ40または無線装置10のアレーアンテナ20へ伝搬する。また、中間物50が障害物である場合、無線装置10のアレーアンテナ20または無線装置30のアレーアンテナ40から出射した電波は、中間物50によって回折されて無線装置30のアレーアンテナ40または無線装置10のアレーアンテナ20へ伝搬する。
このように、電波は、無線装置10のアレーアンテナ20と無線装置30のアレーアンテナ40との間を直接伝搬したり、中間物50による反射を受けて反射波として伝搬したり、中間物50による回折を受けて回折波として伝搬したりする。そして、電波は、無線装置10のアレーアンテナ20から無線装置30のアレーアンテナ40(または無線装置30のアレーアンテナ40から無線装置10のアレーアンテナ20)へ伝搬する場合、直接伝搬成分、反射波成分及び回折波成分が混在しており、無線装置10のアレーアンテナ20から無線装置30のアレーアンテナ40(または無線装置30のアレーアンテナ40から無線装置10のアレーアンテナ20)へ伝搬した電波がどのような成分により構成されるかによって無線装置10と無線装置30との間の伝送路の特性が決定される。
この発明においては、無線装置10と無線装置30との間で通信が行なわれる場合、アレーアンテナ20,40の指向性を複数の指向性に変えて時分割複信(TDD:Time Division Duplex)等により所定のデータが無線装置10,30間で送受信される。そして、無線装置10,30は、アレーアンテナ20,40の指向性を複数の指向性に変えたときの複数の電波の強度を示す受信信号プロファイルRSSIを後述する方法によって生成し、その生成した受信信号プロファイルRSSIに基づいて後述する方法によって秘密鍵を生成する。
秘密鍵が無線装置10,30において生成されると、無線装置10,30は、生成した秘密鍵により情報を暗号化して相手方へ送信し、相手方から受信した暗号化情報を秘密鍵によって復号して情報を取得する。この場合、盗聴装置60は、無線装置30の近傍に存在していても、無線装置30において生成された秘密鍵を盗聴することができない。
図2は、図1に示すアレーアンテナ20の平面図である。アレーアンテナ20は、基板1と、給電素子2と、無給電素子3,4と、バラクタダイオード6〜9とを含む。
基板1は、例えば、プリント基板からなる。給電素子2および無給電素子3,4は、基板1上に略平行に配置される。そして、無給電素子3,4は、給電素子2を中心にして対称に配置される。
給電素子2は、ダイポール素子からなり、230mmの長さL1を有する。そして、給電素子2においては、その略中央に給電部5が設けられる。無給電素子3,4は、330mmの長さL2を有する。また、給電素子2および無給電素子3,4の各々は、10mmの幅Wを有する。
このように、アレーアンテナ20においては、無給電素子3,4は、給電素子2よりも長い。そして、無給電素子3,4は、給電素子2の長さ方向において給電素子2の両側に長くなるように配置される。
給電素子2と無給電素子3,4との間隔dは、30mmであり、この30mmは、アレーアンテナ20が送受信する電波の波長をλとした場合、0.05λに相当する。
バラクタダイオード6,7は、無給電素子3に装荷される。そして、バラクタダイオード6は、無給電素子3の一方端3AからL4=115mmの位置に装荷され、バラクタダイオード7は、無給電素子3の他方端3BからL5=115mmの位置に装荷される。その結果、バラクタダイオード6,7間の間隔L3は、100mmとなる。
バラクタダイオード8,9は、無給電素子4に装荷される。そして、バラクタダイオード8,9の無給電素子4への装荷位置およびバラクタダイオード8,9間の間隔は、バラクタダイオード6,7の場合と同じである。
このように、アレーアンテナ20においては、無給電素子3,4の各々に2個のバラクタダイオード6,7;8,9が装荷される。
このような構成のアレーアンテナ20に対して無線装置10は、制御電圧CV1〜CV4をそれぞれバラクタダイオード6〜9へ供給し、バラクタダイオード6〜9の容量を変化させる。この場合、無線装置10は、無給電素子3に装荷された2個のバラクタダイオード6,7の容量が同じになるように制御電圧CV1,CV2をそれぞれバラクタダイオード6,7へ供給し、無給電素子4に装荷された2個のバラクタダイオード8,9の容量が同じになるように制御電圧CV3,CV4をそれぞれバラクタダイオード8,9へ供給する。
また、無線装置10は、バラクタダイオード6〜9の容量を相対的に小さくする場合、負の方向に相対的に高い制御電圧CV1〜CV4をそれぞれバラクタダイオード6〜9へ供給し、バラクタダイオード6〜9の容量を相対的に大きくする場合、相対的に低い制御電圧CV1〜CV4をそれぞれバラクタダイオード6〜9へ供給する。
例えば、無線装置10は、バラクタダイオード6〜9の容量を0.8pFに設定する場合、約−20Vからなる制御電圧CV1〜CV4をそれぞれバラクタダイオード6〜9へ供給し、バラクタダイオード6〜9の容量を8.0pFに設定する場合、約0Vからなる制御電圧CV1〜CV4をそれぞれバラクタダイオード6〜9へ供給する。
図3は、図2に示す無給電素子3および2個のバラクタダイオード6,7の装荷状態の詳細を示す平面図である。無給電素子3は、3個の導体31〜33からなる。バラクタダイオード6は、導体31と導体32との間に接続される。また、バラクタダイオード7は、導体32と導体33との間に接続される。
そして、制御電圧CV1は、バラクタダイオード6に逆バイアスが印加されるようにノードN1,N2間に印加され、制御電圧CV2は、バラクタダイオード7に逆バイアスが印加されるようにノードN3,N4間に印加される。
即ち、制御電圧CV1は、バラクタダイオード6のカソード側のノードN1が正になり、バラクタダイオード6のアノード側のノードN2が負になるようにノードN1,N2間に印加され、制御電圧CV2は、バラクタダイオード7のカソード側のノードN3が正になり、バラクタダイオード7のアノード側のノードN4が負になるようにノードN3,N4間に印加される。
バラクタダイオード6,7は、図3に示す接続方向と逆向きにそれぞれ導体31,32間および導体32,33間に接続されてもよい。この場合、制御電圧CV1は、ノードN1が負になり、ノードN2が正になるようにノードN1,N2間に印加され、制御電圧CV2は、ノードN3が負になり、ノードN4が正になるようにノードN3,N4間に印加される。
無給電素子4は、無給電素子3と同じ構成からなり、バラクタダイオード8,9の無給電素子4への装荷方法は、バラクタダイオード6,7の無給電素子3への装荷方法と同じである。
バラクタダイオード6〜9は、制御電圧セットCLV1を受けると、その受けた制御電圧セットCLV1に応じて、無給電素子3,4に装荷される容量を所定の容量に設定し、アレーアンテナ20の指向性を1つの指向性に設定する。また、バラクタダイオード6〜9は、制御電圧セットCLV2を受けると、その受けた制御電圧セットCLV2に応じて、無給電素子3,4に装荷される容量を所定の容量に設定し、アレーアンテナ20の指向性を別の指向性に設定する。従って、バラクタダイオード6〜9は、指向性設定部220から受けた制御電圧セットCLV1〜CLVnに応じて無給電素子3,4に装荷される容量を順次変え、アレーアンテナ20の指向性をn個の指向性に順次変える。
図4は図2に示すアレーアンテナ20における(反射電力/入力電力)1/2と周波数との関係を示す図である。図4において、縦軸は、(反射電力/入力電力)1/2を表し、横軸は、周波数を表す。(反射電力/入力電力)1/2は、給電素子2に電力を供給したときの入力電力に対する反射電力の比を表す。
図4に示す(反射電力/入力電力)1/2と周波数との関係は、無給電素子4に装荷されたバラクタダイオード8,9の容量を8.0pFに設定し、無給電素子3に装荷されたバラクタダイオード6,7の両方の容量を0.8pF,0,9pF,1.0pF,1.25pF,1.5pF,2.0pF,2.5pF,4.0pF,8.0pFと変化させたときの(反射電力/入力電力)1/2と周波数との関係を示すシミュレーション結果である。
曲線k1〜k9は、それぞれ、バラクタダイオード6,7の両方の容量が8.0pF,4.0pF,2.5pF,2.0pF,1.5pF,1.25pF,1.0pF,0.9pF,0.8pFである場合の(反射電力/入力電力)1/2と周波数との関係を示す。
バラクタダイオード6,7の容量が変化した場合、(反射電力/入力電力)1/2は、約440MHz〜約680MHzの範囲で低下する。(反射電力/入力電力)1/2が低下することは、給電素子2の給電部5から反射する電力が減少し、約440MHz〜約680MHzの範囲の周波数を有する交流電流が給電素子2に流れることを意味する。
従って、アレーアンテナ20は、約440MHz〜約680MHzの範囲の電波を送受信できる。つまり、アレーアンテナ20は、約440MHz〜約680MHzの範囲の周波数帯域を有する。
そして、図4から明らかなように、バラクタダイオード6,7の両方の容量を8.0pFから0.8pFへ小さくすることにより、アレーアンテナ20の周波数帯域が広くなる。
これは、バラクタダイオード6,7の両方の容量を変化させることにより、給電素子2の給電部5に給電されることに起因して励振する無給電素子3の電気長が変化し、無給電素子3,4は、給電素子2よりも長いので、給電素子2に流れる交流電流の周期、即ち、周波数がより多くの周波数に変化するからである。
このように、バラクタダイオード8,9の容量を一定に保持しながら、バラクタダイオード6,7の両方の容量を変化させることにより、アレーアンテナ20の周波数帯域を制御できる。
なお、バラクタダイオード6,7の容量を8.0pFに設定し、バラクタダイオード8,9の容量を8.0pF〜0.8pFの範囲で変化させても、図4に示す(反射電力/入力出力)1/2と周波数との関係が得られる。
また、アレーアンテナ40は、上述したアレーアンテナ20と同じ構成からなり、上述したアレーアンテナ20と同じ特性を有する。
図5は、図1に示す一方の無線装置10の概略ブロック図である。無線装置10は、信号発生部110と、送信処理部120と、アンテナ部130と、受信処理部140と、プロファイル生成部150と、鍵作成部160と、鍵一致確認部170と、鍵記憶部180と、鍵一致化部190と、暗号部200と、復号部210と、指向性設定部220とを含む。
信号発生部110は、秘密鍵を生成するときに無線装置30へ送信するための所定のデータからなるパケットを発生し、その発生したパケットを送信処理部120へ出力する。
送信処理部120は、変調、周波数変換、多元接続及び送信信号の増幅等の送信系の処理を行なう。アンテナ部130は、図1に示すアレーアンテナ20からなり、送信処理部120からのパケットを指向性設定部220によって設定された指向性で無線装置30へ送信し、無線装置30からのパケットを指向性設定部220によって設定された指向性で受信して受信処理部140またはプロファイル生成部150へ供給する。
受信処理部140は、受信信号の増幅、多元接続、周波数変換及び復調等の受信系の処理を行なう。そして、受信処理部140は、受信処理を行なったデータまたは信号を必要に応じて鍵一致確認部170、鍵一致化部190及び復号部210へ出力する。
プロファイル生成部150は、アレーアンテナ20の指向性が複数の指向性に切換えられたときの複数の電波をアンテナ部130から順次受け、その受けた複数の電波の強度を後述する方法によって検出する。そして、プロファイル生成部150は、検出した複数の電波強度からなる受信信号プロファイルRSSIを生成し、その生成した受信信号プロファイルRSSIを鍵作成部160へ出力する。
鍵作成部160は、プロファイル生成部150からの受信信号プロファイルRSSIに基づいて後述する方法によって秘密鍵Ks1を作成する。そして、鍵作成部160は、作成した秘密鍵Ks1を鍵一致確認部170及び鍵一致化部190へ出力する。
鍵一致確認部170は、所定のデータからなるパケットを送信処理部120、アンテナ部130及び受信処理部140を介して無線装置30と送受信し、鍵作成部160によって作成された秘密鍵Ks1が無線装置30において作成された秘密鍵Ks2に一致するか否かを後述する方法によって確認する。そして、鍵一致確認部170は、秘密鍵Ks1が秘密鍵Ks2に一致することを確認したとき、秘密鍵Ks1を鍵記憶部180に記憶する。また、鍵一致確認部170は、秘密鍵Ks1が秘密鍵Ks2に不一致であることを確認したとき、不一致信号NMTHを生成して送信処理部120および鍵一致化部190へ出力する。
鍵記憶部180は、鍵一致確認部170及び鍵一致化部190からの秘密鍵Ks1を記憶する。また、鍵記憶部180は、記憶した秘密鍵Ks1を暗号部200及び復号部210へ出力する。なお、鍵記憶部180は、秘密鍵Ks1を一時的、例えば、無線装置30との通信の間だけ記憶するようにしてもよい。
鍵一致化部190は、鍵一致確認部170から不一致信号NMTHを受けると、後述する方法によって秘密鍵Ks1を秘密鍵Ks2に一致させる。そして、鍵一致化部190は、一致させた秘密鍵が秘密鍵Ks2に一致することを鍵一致確認部170における方法と同じ方法によって確認する。鍵一致化部190は、秘密鍵Ks1が秘密鍵Ks2に一致することを確認すると、秘密鍵Ks1を鍵記憶部180に記憶する。
暗号部200は、送信データを鍵記憶部180に記憶された秘密鍵Ks1によって暗号化して送信処理部120へ出力する。復号部210は、受信処理部140からの信号を鍵記憶部180からの秘密鍵Ks1によって復号して受信データを生成する。
指向性設定部220は、制御電圧セットCLV1〜CLVn(nは2以上の整数)を生成し、その生成した制御電圧セットCLV1〜CLVnをアンテナ部130へ順次出力する。この場合、制御電圧セットCLV1〜CLVnの各々は、制御電圧CV1〜CV4からなる。
なお、図1に示す無線装置30は、図5に示す無線装置10と同じ構成からなる。
図6は、図5に示す鍵一致確認部170の概略ブロック図である。鍵一致確認部170は、データ発生部171と、データ比較部172と、結果処理部173とを含む。なお、無線装置10,30の鍵一致確認部170は、同じ構成からなるが、図6においては、秘密鍵Ks1が秘密鍵Ks2に一致することを確認する動作を説明するために、無線装置30においてはデータ発生部171のみを示す。
データ発生部171は、鍵作成部160から秘密鍵Ks1を受けると、秘密鍵Ks1が秘密鍵Ks2に一致することを確認するための鍵確認用データDCFM1を発生し、その発生した鍵確認用データDCFM1を送信処理部120及びデータ比較部172へ出力する。
この場合、データ発生部171は、秘密鍵Ks1から非可逆的な演算及び一方向的な演算等により、鍵確認用データDCFM1を発生する。より具体的には、データ発生部171は、秘密鍵Ks1またはKs2のハッシュ値を演算することにより、鍵確認用データDCFM1を発生する。
データ比較部172は、データ発生部171から鍵確認用データDCFM1を受け、無線装置30のデータ発生部171で発生された鍵確認用データDCFM2を受信処理部140から受ける。そして、データ比較部172は、鍵確認用データDCFM1を鍵確認用データDCFM2と比較する。データ比較部172は、鍵確認用データDCFM1が鍵確認用データDCFM2に一致するとき、一致信号MTHを生成して結果処理部173へ出力する。
また、データ比較部172は、鍵確認用データDCFM1が鍵確認用データDCFM2に不一致であるとき、不一致信号NMTHを生成する。そして、データ比較部172は、不一致信号NMTHを鍵一致化部190へ出力し、不一致信号NMTHを送信処理部120及びアンテナ部130を介して無線装置30へ送信する。
結果処理部173は、データ比較部172から一致信号MTHを受けると、鍵作成部160から受けた秘密鍵Ks1を鍵記憶部180へ記憶する。
図7は、図5に示す鍵一致化部190の概略ブロック図である。鍵一致化部190は、擬似シンドローム作成部191と、不一致ビット検出部192と、鍵不一致訂正部193と、データ発生部194と、データ比較部195と、結果処理部196とを含む。
なお、無線装置10,30の鍵一致化部190は、同じ構成からなるが、図7においては、秘密鍵Ks1を秘密鍵Ks2に一致させる動作を説明するために、無線装置30においては擬似シンドローム作成部191のみを示す。
擬似シンドローム作成部191は、鍵一致確認部170のデータ比較部172から不一致信号NMTHを受けると、鍵作成部160から受けた秘密鍵Ks1のシンドロームs1を演算する。より具体的には、擬似シンドローム作成部191は、秘密鍵Ks1のビットパターンx1を検出し、ビットパターンx1に対して検査行列Hを乗算してシンドロームs1=x1Hを演算する。そして、擬似シンドローム作成部191は、ビットパターンx1を鍵不一致訂正部193へ出力し、演算したシンドロームs1=x1Hを不一致ビット検出部192へ出力する。
なお、これらの演算は、mod2の演算であり、Hは、検査行列Hの転置行列である。
不一致ビット検出部192は、擬似シンドローム作成部191からシンドロームs1を受け、無線装置30の擬似シンドローム作成部191によって演算されたシンドロームs2=x2Hを受信処理部140から受ける。そして、不一致ビット検出部192は、シンドロームs1とシンドロームs2との差分s=s1−s2を演算する。
なお、秘密鍵Ks1,Ks2のビットパターンの差分(鍵不一致のビットパターン)をe=x1−x2とすると、s=eHの関係が成立する。s=0の場合、e=0となり、秘密鍵Ks1のビットパターンは、秘密鍵Ks2のビットパターンに一致する。
不一致ビット検出部192は、演算した差分sが0でないとき(即ち、e≠0のとき)、鍵不一致のビットパターンeをs=eHから導出し、その導出したビットパターンeを鍵不一致訂正部193へ出力する。
鍵不一致訂正部193は、擬似シンドローム作成部191からビットパターンx1を受け、不一致ビット検出部192から鍵不一致のビットパターンeを受ける。そして、鍵不一致訂正部193は、ビットパターンx1から鍵不一致のビットパターンeを減算することにより相手方の秘密鍵のビットパターンx2=x1−eを演算する。
このように、鍵一致化部190は、秘密鍵Ks1,Ks2の不一致を誤りと見なして誤り訂正の応用により秘密鍵Ks1,Ks2の不一致を解消する。
この秘密鍵を一致させる方法は、鍵不一致のビット数が誤り訂正能力以上である場合に鍵の一致化に失敗する可能性があるので、鍵一致化の動作を行なった後に鍵一致の確認を行なう必要がある。
データ発生部194は、一致化後のビットパターン(鍵)x2=x1−eを鍵不一致訂正部193から受けると、ビットパターン(鍵)x2に基づいて鍵確認用データDCFM3を発生させ、その発生させた鍵確認用データDCFM3をデータ比較部195へ出力する。また、データ発生部194は、発生させた鍵確認用データDCFM3を送信処理部120及びアンテナ部130を介して無線装置30へ送信する。
なお、データ発生部194は、鍵一致確認部170のデータ発生部171による鍵確認用データDCFM1の発生方法と同じ方法により鍵確認用データDCFM3を発生する。
データ比較部195は、データ発生部194から鍵確認用データDCFM3を受け、無線装置30で発生された鍵確認用データDCFM4を受信処理部140から受ける。そして、データ比較部195は、鍵確認用データDCFM3を鍵確認用データDCFM4と比較する。
データ比較部195は、鍵確認用データDCFM3が鍵確認用データDCFM4に一致するとき、一致信号MTHを生成して結果処理部196へ出力する。
また、データ比較部195は、鍵確認用データDCFM3が鍵確認用データDCFM4に不一致であるとき、不一致信号NMTHを生成する。そして、データ比較部195は、不一致信号NMTHを送信処理部120及びアンテナ部130を介して無線装置30へ送信する。
結果処理部196は、データ比較部195から一致信号MTHを受けると、鍵不一致訂正部193から受けたビットパターン(鍵)x2=x1−eを鍵記憶部180へ記憶する。
このように、データ発生部194、データ比較部195及び結果処理部196は、鍵一致確認部170における確認方法と同じ方法によって一致化が施された鍵の一致を確認する。
図8は、受信信号強度の概念図である。指向性設定部220は、各々が制御電圧CV1〜CV4からなる制御電圧セットCLV1〜CLVnを順次発生してバラクタダイオード6〜9へ出力する。この場合、制御電圧CV1〜CV4は、それぞれ、無給電素子3,4に装荷される容量を変えるための電圧であり、例えば、−20V〜0Vの範囲の直流電圧からなる。そして、指向性設定部220は、制御電圧CV1〜CV4の各々の電圧値を4ビットのデータにより変えることによって各制御電圧セットCLV1〜CLVnを決定し、その決定した各制御電圧セットCLV1〜CLVnをバラクタダイオード6〜9へ出力する。
バラクタダイオード6〜9は、[V11,V12,V13,V14]からなる制御電圧セットCLV1に応じてアレーアンテナ20,40の指向性をある1つの指向性に設定する。また、バラクタダイオード6〜9は、[V21,V22,V23,V24]からなる制御電圧セットCLV2に応じてアレーアンテナ20,40の指向性を別の指向性に設定する。以下、同様にして、バラクタダイオード6〜9は、それぞれ、制御電圧セットCLV3〜CLVnに応じてアレーアンテナ20,40の指向性を順次切換える。
このように、バラクタダイオード6〜9は、制御電圧セットCLV1〜CLVnに応じてアレーアンテナ20,40の指向性をn個の指向性に順次切換える。この場合、指向性設定部220は、各パケットPKTnごとにアレーアンテナ20,40の指向性が切換えられるように制御電圧セットCLV1〜CLVnをバラクタダイオード6〜9へ順次出力し、バラクタダイオード6〜9は、各パケットPKTnごとにアレーアンテナ20,40の指向性を切換える。
そして、アレーアンテナ20,40は、指向性をn個の指向性に順次切換えながら各指向性において1個のパケットを送受信する。
その結果、無線装置10のプロファイル生成部150は、アレーアンテナ20の指向性がn個の指向性に順次切換えられたときのn個の電波をアンテナ部130から受ける。
そして、無線装置10のプロファイル生成部150は、アレーアンテナ20の指向性がn個の指向性に切換えられたときのn個の電波に対応するn個の電波強度WI11〜WI1nを検出し、その検出したn個の電波強度WI11〜WI1nからなる受信信号プロファイルRSSI1を生成して鍵作成部160へ出力する。
無線装置30の指向性設定部220は、無線装置10の指向性設定部220と同じように制御電圧セットCVL1〜CVLnをアレーアンテナ40(アンテナ部130)へ順次出力し、アレーアンテナ40の指向性をn個の指向性に切換える。
そして、無線装置30のプロファイル生成部150は、無線装置10のプロファイル生成部150と同じ方法によって、アレーアンテナ40の指向性がn個の指向性に切換えられたときのn個の電波に対応するn個の電波強度WI21〜WI2nを検出し、その検出したn個の電波強度WI21〜WI2nからなる受信信号プロファイルRSSI2を生成して鍵作成部160へ出力する。
無線装置10の鍵作成部160は、受信信号プロファイルRSSI1をプロファイル生成部150から受けると、受信信号プロファイルRSSI1を構成するn個の電波強度WI11〜WI1nの平均値または中央値を演算し、その演算した平均値または中央値をしきい値Ithとする。そして、無線装置10の鍵作成部160は、n個の電波強度WI11〜WI1nのうち、しきい値Ithに近い所定個数の電波強度を削除し、残りのj(jは、2≦j<nを満たす整数)個の電波強度WI11〜WI1jをしきい値Ithによって多値化して秘密鍵Ks1を作成する。
より具体的には、無線装置10の鍵作成部160は、電波強度WI11〜WI1jがしきい値Ithよりも大きい場合、「1」とし、電波強度WI11〜WI1jがしきい値Ithよりも小さい場合、「0」としてj個の電波強度WI11〜WI1jを多値化する。そして、無線装置10の鍵作成部160は、j個の電波強度WI11〜WI1jを多値化したビット列を秘密鍵Ks1とする。
この場合、複数個のしきい値Ith1〜Ithd(dは2以上の整数)を求め、その求めたしきい値Ith1〜Ithdによって多値化してもよい。
無線装置30の鍵作成部160も、上述した方法によって秘密鍵Ks1と同じビット列からなる秘密鍵Ks2を作成する。
図9は、2つの無線装置10,30間における電波の送受信方法を示す図である。無線装置10は、アレーアンテナ20のビームパターンをビームパターンaに設定して所定のデータからなる電波を無線装置30へ送信する。
そして、無線装置30は、アレーアンテナ40のビームパターンをビームパターンbに設定して無線装置10からの電波を受信し、その受信した電波の受信信号強度WI2iを検出する。その後、無線装置30は、アレーアンテナ40のビームパターンをビームパターンbに設定したまま所定のデータからなる電波を無線装置10へ送信する。
そして、無線装置10は、アレーアンテナ20のビームパターンをビームパターンaに設定したまま無線装置30からの電波を受信し、その受信した電波の受信信号強度WI1iを検出する。
この場合、無線装置10は、アレーアンテナ20のビームパターンをビームパターンaに設定した状態で電波を無線装置30との間で送受信し、無線装置30は、アレーアンテナ40のビームパターンをビームパターンbに設定した状態で電波を無線装置10との間で送受信するので、無線装置10が検出した受信信号強度WI1iは、電波の可逆性により無線装置30が検出した受信信号強度WI2iと同じになる。
無線装置10は、受信信号強度WI1iを検出すると、アレーアンテナ20のビームパターンをビームパターンcに設定して所定のデータからなる電波を無線装置30へ送信する。
そして、無線装置30は、アレーアンテナ40のビームパターンをビームパターンdに設定して無線装置10からの電波を受信し、その受信した電波の受信信号強度WI2iを検出する。その後、無線装置30は、アレーアンテナ40のビームパターンをビームパターンdに設定したまま所定のデータからなる電波を無線装置10へ送信する。
そして、無線装置10は、アレーアンテナ20のビームパターンをビームパターンcに設定したまま無線装置30からの電波を受信し、その受信した電波の受信信号強度WI1iを検出する。
この場合、無線装置10は、アレーアンテナ20のビームパターンをビームパターンcに設定した状態で電波を無線装置30との間で送受信し、無線装置30は、アレーアンテナ40のビームパターンをビームパターンdに設定した状態で電波を無線装置10との間で送受信するので、無線装置10が検出した受信信号強度WI1iは、電波の可逆性により無線装置30が検出した受信信号強度WI2iと同じになる。
以後、無線装置10は、上述した方法によってアレーアンテナ20のビームパターンを順次切換えて無線装置30との間で電波を送受信し、無線装置30から受信した電波の受信信号強度WI1iを検出し、無線装置30は、上述した方法によってアレーアンテナ40のビームパターンを順次切換えて無線装置10との間で電波を送受信し、無線装置10から受信した電波の受信信号強度WI2iを検出する。
この場合、無線装置10は、アレーアンテナ20のビームパターンをアレーアンテナ40のビームパターンと異なるビームパターンに順次切換え、無線装置40は、アレーアンテナ40のビームパターンをアレーアンテナ20のビームパターンと異なるビームパターンに順次切換える。
このように、無線装置10,30は、アレーアンテナ20,40のビームパターンを相互に異なるビームパターンに設定して相互に電波を送受信する。
なお、アレーアンテナ20,40におけるビームパターンの切換は、バラクタダイオード6〜9に供給する制御電圧CV1〜CV4を切換えることによって行なわれ、バラクタダイオード6〜9に供給される制御電圧CV1〜CV4が切換えられれば、無給電素子3,4の電気長が変化し、アレーアンテナ20,40から放射されるビームの方向が変わるので、アレーアンテナ20,40のビームパターンを切換えることは、アレーアンテナ20,40の指向性を切換えることに相当する。
この発明においては、アレーアンテナ20,40の指向性を切換えながら384個のパケットPKT1〜PKT384を無線装置10,30間で送受信して384個の電波強度WI1〜WI384を検出し、その検出した384個の電波強度WI1〜WI384からなる受信信号プロファイルRSSIを作成する。従って、アレーアンテナ20,40の指向性は、384個の指向性に切換えられる。
無線装置10,30は、384個の電波強度WI1〜WI384を検出すると、384個の電波強度WI1〜WI384のうち、しきい値Ithに近い256個の電波強度を削除し、残りの128個の電波強度WI1〜WI128をしきい値Ithによって多値化して秘密鍵Ks1,Ks2を生成する。この場合、256個の電波強度は、しきい値Ithに近い順番に384個の電波強度WI1〜WI384から選択され、削除される。
このように、しきい値Ithに近い256個の電波強度を削除して秘密鍵Ks1,Ks2を生成することにより、同じビット列からなる秘密鍵Ks1,Ks2を容易に作成できる。しきい値Ithに近い256個の電波強度を削除するので、残りの128個の電波強度は、しきい値Ithとの大小関係が明確である電波強度からなる。その結果、128個の電波強度をしきい値Ithによって正確に2値化でき、秘密鍵Ks1のビット列を秘密鍵Ks2のビット列に容易に一致させることができる。
図10は、図1に示す2つの無線装置10,30間で秘密鍵Ks1,Ks2を生成して暗号通信を行なう動作を説明するためのフローチャートである。一連の動作が開始されると、無線装置10の送信処理部120は、i=1を設定する(ステップS1)。そして、無線装置10の指向性設定部220は、制御電圧セットCLV1によってアレーアンテナ20の指向性を1つの指向性Aiに設定し(ステップS2)、それと同時に、無線装置30の指向性設定部220は、制御電圧セットCLV1によってアレーアンテナ40の指向性を1つの指向性Bi(指向性Aiと異なる)に設定する(ステップS3)。
その後、無線装置10の信号発生部110は、所定のデータからなるパケットPKT1を発生して送信処理部120へ供給し、その送信処理部120は、パケットPKT1に周波数変換および変調等の処理を施し、指向性Aiに設定されたアレーアンテナ20(アンテナ部130)を介して無線装置30へ所定のデータを構成する電波を送信する(ステップS4)。
無線装置30において、アレーアンテナ40(アンテナ部130)は、指向性を指向性Biに設定して無線装置10からの電波を受信し、その受信した電波をプロファイル生成部150へ出力し、そのプロファイル生成部150は、アレーアンテナ40から受けた電波の強度WI2iを検出する(ステップS5)。
その後、無線装置30の信号発生部110は、所定のデータからなるパケットPKT1を発生して送信処理部120へ出力する。無線装置30の送信処理部120は、パケットPKT1に周波数変換および変調等の処理を施し、指向性Biに設定されたアレーアンテナ40を介して無線装置10へ所定のデータを構成する電波を送信する(ステップS6)。
一方、無線装置10において、アレーアンテナ20(アンテナ部130)は、指向性を指向性Aiに設定して無線装置30からの電波を受信し、その受信した電波をプロファイル生成部150へ出力する。無線装置10のプロファイル生成部150は、アレーアンテナ20から受けた電波の強度WI1iを検出する(ステップS7)。
その後、無線装置10の送信処理部120は、i=n(=384)であるか否かを判定する(ステップS8)。そして、i=nでないとき、無線装置10の送信処理部120は、i=i+1を設定し(ステップS9)、ステップS8においてi=nであると判定されるまで、上述したステップS2〜S9が繰返し実行される。即ち、アレーアンテナ20,40の指向性が制御電圧セットCLV1〜CLVnによってn個の指向性に変えられて、無線装置10のアレーアンテナ20と無線装置30のアレーアンテナ40との間で所定のデータを構成する電波が送受信され、電波強度WI11〜WI1n及びWI21〜WI2nが検出されるまで、ステップS2〜S9が繰返し実行される。
そして、ステップS8において、i=nであると判定されると、無線装置10において、プロファイル生成部150は、n個の電波強度WI11〜WI1nからなる受信信号プロファイルRSSI1を作成して鍵作成部160へ出力し、その鍵作成部160は、受信信号プロファイルRSSI1から平均値または中央値を元にしきい値thを演算し、その演算したしきい値thに近い強度を有する所定数(=256個)の電波強度を削除し、j個(128個)の電波強度WI11〜WI1jを選択すると共に、その鍵作成部160は、j個の電波強度WI11〜WI1jをしきい値thによって多値化し、その多値化した各値をビットパターンとする秘密鍵Ks1を生成する(ステップS10)。
また、無線装置30のプロファイル生成部150は、n個の電波強度WI21〜WI2nからなる受信信号プロファイルRSSI2を作成して鍵作成部160へ出力する。無線装置30の鍵作成部160は、受信信号プロファイルRSSI2から平均値または中央値を元にしきい値thを演算し、その演算したしきい値thに近い強度を有する所定数(=256個)の電波強度を削除し、j(=128)個の電波強度WI21〜WI2jを選択すると共に、その鍵作成ぶ160は、j個の電波強度WI21〜WI2jをしきい値thによって多値化し、その多値化した各値をビットパターンとする秘密鍵Ks2を生成する(ステップS11)。
次に、鍵ふいっちの確認ステップS12について説明する。無線装置10において、鍵作成部160は、秘密鍵Ks1を鍵一致確認部170へ出力する。鍵一致確認部170のデータ発生部171は、上述した方法によって鍵確認用データDCFM1を発生して送信処理部120及びデータ比較部172へ出力する。無線装置10の送信処理部120は、鍵確認用データDCFM1に変調等の処理を施し、アレーアンテナ20(アンテナ部130)を介して無線装置30へ鍵確認用データDCFM1を送信する。
そして、無線装置10において、アレーアンテナ20(アンテナ部130)は、無線装置30において発生された鍵確認用データDCFM2を無線装置30から受信し、その受信した鍵確認用データDCFM2を受信処理部140へ出力する。無線装置10の受信処理部140は、鍵確認用データDCFM2に所定の処理を施し、鍵一致確認部170のデータ比較部172へ鍵確認用データDCFM2を出力する。
無線装置10のデータ比較部172は、データ発生部171からの鍵確認用データDCFM1を受信処理部140からの鍵確認用データDCFM2と比較する。そして、無線装置10のデータ比較部172は、鍵確認用データDCFM1が鍵確認用データDCFM2に一致しているとき、一致信号MTHを生成して結果処理部173へ出力する。無線装置10の結果処理部173は、一致信号MTHに応じて、鍵作成部160からの秘密鍵Ks1を鍵記憶部180に記憶する。
一方、鍵確認用データDCFM1が鍵確認用データDCFM2に不一致であるとき、無線装置10のデータ比較部172は、不一致信号NMTHを生成して送信処理部120及び鍵一致化部190へ出力する。無線装置10の送信処理部120は、不一致信号NMTHをアレーアンテナ20(アンテナ部130)を介して無線装置30へ送信する。そして、無線装置30は、無線装置10において秘密鍵Ks1,Ks2の不一致が確認されたことを検知する。
これにより、無線装置10における鍵不一致の確認が終了する(ステップS12)。
なお、無線装置10における鍵不一致確認に代えて、無線装置30において鍵不一致確認をしてもよい(ステップS13)。次に、鍵不一致対策のステップS14について説明する。ステップS12において、秘密鍵Ks1,Ks2の不一致が確認されたとき、無線装置10において、鍵一致化部190の擬似シンドローム作成部191は、鍵一致確認部170から不一致信号NMTHを受ける。そして、無線装置10の擬似シンドローム作成部191は、不一致信号NMTHに応じて、鍵作成部160から受けた秘密鍵Ks1のビットパターンx1を検出し、その検出したビットパターンx1のシンドロームs1=x1Hを演算する。
無線装置10の擬似シンドローム作成部191は、演算したシンドロームs1=x1Hを不一致ビット検出部192へ出力し、ビットパターンx1を鍵不一致訂正部193へ出力する。
一方、無線装置30は、ステップS12において無線装置10から不一致信号NMTHを受信し、その受信した不一致信号NMTHに応じて、シンドロームs2=x2Hを演算して無線装置10へ送信する。
無線装置10のアレーアンテナ20(アンテナ部130)は、無線装置30からシンドロームs2=x2Hを受信して受信処理部140へ出力する。無線装置10の受信処理部140は、シンドロームs2=x2Hに対して所定の処理を施し、シンドロームs2=x2Hを鍵一致化部190へ出力する。
無線装置10において、鍵一致化部190の不一致ビット検出部192は、受信処理部140から無線装置30において作成されたシンドロームs2=x2Hを受ける。そして、無線装置10の不一致ビット検出部192は、無線装置10で作成されたシンドロームs1=x1Hと無線装置30において作成されたシンドロームs2=x2Hとの差分s=s1−s2を演算する。
その後、不一致ビット検出部192は、s≠0であることを確認し、鍵不一致のビットパターンe=x1−x2をs=eHに基づいて演算し、その演算した鍵不一致のビットパターンeを鍵不一致訂正部193へ出力する。
無線装置10の鍵不一致訂正部193は、擬似シンドローム作成部191からのビットパターンx1と、不一致ビット検出部192からの鍵不一致のビットパターンeとに基づいて、無線装置30において作成された秘密鍵Ks2のビットパターンx2=x1−eを演算する。
そして、無線装置10のデータ発生部194、データ比較部195及び結果処理部196は、鍵一致確認部170における鍵一致確認の動作と同じ動作によって、一致化された鍵x2=x1−eの一致を確認する。
これにより、鍵不一致対策が終了する(ステップS14)。
なお、無線装置10における鍵不一致対策に代えて、無線装置30において鍵不一致対策をしてもよい(ステップS15)。続いて、秘密鍵Ks1による暗号・復号のステップS16について説明する。ステップS12において、秘密鍵Ks1が秘密鍵Ks2に一致することが確認されたとき、またはステップS14において鍵不一致対策がなされたとき、無線装置10の暗号部200は、鍵記憶部180から秘密鍵Ks1を読出して送信データを暗号化し、その暗号化した送信データを送信処理部120へ出力する。そして、無線装置10の送信処理部120は、暗号化された送信データに変調等を施し、アレーアンテナ20(アンテナ部130)を介して暗号化された送信データを無線装置30へ送信する。
また、無線装置10のアレーアンテナ20(アンテナ部130)は、暗号化された送信データを無線装置30から受信し、その受信した暗号化された送信データを受信処理部140へ出力する。無線装置10の受信処理部140は、暗号化された送信データに所定の処理を施し、暗号化された送信データを復号部210へ出力する。
無線装置10の復号部210は、受信処理部140からの暗号化された送信データを秘密鍵Ks1によって復号して受信データを取得する。
これにより、秘密鍵Ks1による暗号・復号が終了する(ステップS16)。
無線装置30においても、無線装置10と同じ動作によって秘密鍵Ks2による暗号・復号が行なわれる(ステップS17)。そして、一連の動作が終了する。
図10に示すステップS4,S5の動作は、無線装置30において受信信号プロファイルRSSI2を生成するための電波を無線装置10のアレーアンテナ20から無線装置30のアレーアンテナ40へ送信し、かつ、無線装置30において電波の強度WI2iを検出する動作であり、ステップS6,S7に示す動作は、無線装置10において受信信号プロファイルRSSI1を生成するための電波を無線装置30のアレーアンテナ40から無線装置10のアレーアンテナ20へ送信し、かつ、無線装置10において電波の強度WI1iを検出する動作である。そして、所定のデータを構成する電波の無線装置10のアレーアンテナ20から無線装置30のアレーアンテナ40への送信及び所定のデータを構成する電波の無線装置30のアレーアンテナ40から無線装置10のアレーアンテナ20への送信は、アレーアンテナ20の指向性を1つの指向性Aiに設定し、かつ、アレーアンテナ40の指向性を1つの指向性Biに設定して交互に行なわれる。つまり、所定のデータを構成する電波は、無線装置10のアレーアンテナ20と無線装置30のアレーアンテナ40との間で時分割複信(TDD)等により送受信される。
従って、アレーアンテナ20,40の指向性を1つの指向性に設定して無線装置10のアレーアンテナ20から無線装置30のアレーアンテナ40へ所定のデータを構成する電波を送信し、無線装置30において電波強度WI2iを検出した直後に、同じ所定のデータを構成する電波を無線装置30のアレーアンテナ40から無線装置10のアレーアンテナ20へ送信し、無線装置10において電波強度WI1iを検出することができる。その結果、無線装置10,30間において同じ伝送路特性を確保して所定のデータを構成する電波を無線装置10,30間で送受信でき、電波の可逆性によりn個の電波強度WI11〜WI1nをそれぞれn個の電波強度WI21〜WI2nに一致させることができる。その結果、j個の電波強度WI11〜WI1jをそれぞれj個の電波強度WI21〜WI2jに一致させることができる。そして、無線装置10において作成される秘密鍵Ks1を無線装置30において作成される秘密鍵Ks2に容易に一致させることができる。
また、所定のデータを構成する電波は、無線装置10,30間で時分割複信(TDD)等により送受信されるので、電波の干渉を抑制してアレーアンテナ20,40を介して所定のデータを構成する電波を無線装置10,30間で送受信できる。
更に、n個の電波強度WI11〜WI1n,WI21〜WI2nは、アレーアンテナ20,40の両方の指向性をn個の指向性に順次切換えて無線装置10,30間で送受信されたn個の電波に基づいて検出されるので、無線装置30の近傍に存在する盗聴装置60による電波の強度WI11〜WI1n,WI21〜WI2nの盗聴を抑制できる。
図1に示すように、盗聴装置60は、無線装置30の近傍に存在しているので、アレーアンテナ40から送信された電波の強度を検出しても、その検出した電波の強度は、無線装置10において検出される電波の強度WI11〜WI1nとは全く異なったものとなる。
また、無線装置30は、指向性Aiに設定されたアレーアンテナ20から送信された電波を指向性Biに設定されたアレーアンテナ40を介して受信するので、盗聴装置60は、アレーアンテナ20から送信された電波の強度を検出しても、その検出した電波の強度は、電波の強度WI21〜Wi2nとは全く異なったものとなる。
盗聴装置60に装着されたアンテナ61が全方位性のアンテナである場合、アンテナ61がアレーアンテナ20から送信された電波を受信したときの電波の強度は、アレーアンテナ40が指向性を指向性Biに設定してアレーアンテナ20から送信された電波を受信したときの電波の強度と異なる。また、アンテナ61が指向性を切換え可能なアンテナである場合、アンテナ61の指向性をアレーアンテナ40の指向性Biと同じに設定することは困難であり、アンテナ61における指向性の切換パターンをアレーアンテナ40における指向性の切換パターンに一致させるのは、更に困難である。
従って、アンテナ61が全方位性のアンテナおよび指向性のアンテナのいずれに関わらず、アンテナ61がアレーアンテナ20から受信した電波の強度は、アレーアンテナ40が指向性を指向性Biに設定してアレーアンテナ20から受信した電波の強度に一致させるのは困難である。特に、無線装置10は、アレーアンテナ20の指向性をアレーアンテナ40の指向性Biと異なる指向性Aiに設定するので、アンテナ61がアレーアンテナ20から受信した電波の強度は、アレーアンテナ40が指向性を指向性Biに設定してアレーアンテナ20から受信した電波の強度と全く異なったものとなる。
その結果、盗聴装置60による電波の強度WI11〜WI1n,WI21〜WI2nの盗聴を抑制できる。
更に、鍵確認用データDCFM1〜4は、秘密鍵Ks1,Ks2に非可逆的な演算、または一方向的な演算を施して発生されるので、鍵確認用データDCFM1〜4が盗聴されても秘密鍵Ks1,Ks2が解読される危険性を極めて低くできる。
更に、シンドロームs1,s2は、秘密鍵Ks1,Ks2のビットパターンを示す鍵x1,x2に検査行列Hの転置行列Hを乗算して得られるので、シンドロームs1,s2が盗聴されても直ちに情報のビットパターンが推測されることは特殊な符号化を想定しない限り起こらない。従って、盗聴を抑制して秘密鍵を一致させることができる。
更に、n個の電波強度WI11〜WI1n,WI21〜WI2nから選択されたj個の電波強度WI11〜WI1j,WI21〜WI2jが多値化されて秘密鍵Ks1,Ks2が生成されるので、盗聴装置60は、無線装置10,30においてn個の電波強度WI11〜WI1n,WI21〜WI2nのうち、n−j個の電波強度が削除されてj個の電波強度WI11〜WI1j,WI21〜WI2jが選択され、jビットの秘密鍵Ks1,Ks2が生成されていることを検知できない。そうすると、秘密鍵Ks1,Ks2の鍵長が解っている場合でも、総当り方式で秘密鍵の解読を行なうと、実用的な期間内で秘密鍵の解読をできないので、秘密鍵Ks1,Ks2の鍵長が解らない状態では、秘密鍵Ks1,Ks2の解読を行なうことは殆どできない。従って、盗聴装置60による秘密鍵Ks1,Ks2の盗聴を抑制できる。
更に、無線通信システム100を構成する無線装置10,30の各々は、電気的に指向性を切換え可能なアレーアンテナ20,40を備えるので、無線装置10,30をネットワークが自律的に確立されるアドホックネットワークを構成する無線装置として用いても、無線装置10,30の各々は、自律的に確立されたアドホックネットワークにおいてアレーアンテナ20,40の指向性を複数の指向性に順次切換えながら他の無線装置と電波を送受信して秘密鍵Ks1,Ks2を生成できる。つまり、この発明による無線装置10,30は、自律的に確立されるアドホックネットワークに用いることができる無線装置である。
更に、アレーアンテナ20,40の各々は、1本の給電素子2と、2本の無給電素子3,4と、4個のバラクタダイオード6〜9とからなるので、アンテナ素子数を少なくして生産コストを抑制できる。
更に、無線装置10,30の各々は、電気的に指向性を切換え可能なアレーアンテナを備えるので、秘密鍵Ks1,Ks2を生成するための電波の送受信を無線装置10,30のいずれから開始してもよく、無線装置10,30によって構成される無線通信システム100の設計コストを低く抑えることができる。
なお、無線装置10,30間で通信を行なう動作は、実際には、CPU(Central Processing Unit)によって行なわれ、無線装置10に搭載されたCPUは、図10に示す各ステップS1,S2,S4,S7〜S10,S12,S14,S16を備えるプログラムをROM(Read Only Memory)から読出し、無線装置30に搭載されたCPUは、図10に示す各ステップS3,S5,S6,S11,S13,S15,S17を備えるプログラムをROMから読出し、無線装置10,30に搭載された2つのCPUは、その読出したプログラムを実行して図10に示すフローチャートに従って無線装置10,30間で通信を行なう。
従って、ROMは、無線装置10,30間で通信を行なう動作をコンピュータ(CPU)に実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ(CPU)読取り可能な記録媒体に相当する。
[変形例]
この発明においては、無線装置10,30の各々は、パーソナルコンピュータに装着されるUSB(Universal Serial Bus)メモリと同じ形状からなり、アレーアンテナ20,40は、それぞれ、USBメモリ形状からなる無線装置10,30の表面に装着される。そして、USBメモリ形状からなる無線装置10,30の各々は、USBプラグを備えており、パーソナルコンピュータに装着可能になっている。
これによって、USBメモリ形状からなる無線装置10,30を装着したパーソナルコンピュータは、無線装置10,30が上述した方法によって作成した秘密鍵Ks1,Ks2を用いて暗号通信を行なうことができる。
図11は、図1に示すアレーアンテナ20,40の変形例の平面図である。アレーアンテナ20,40の各々は、図11に示すアレーアンテナ20Aにより構成されていてもよい。
アレーアンテナ装置20Aは、基板101と、地板102と、給電素子103と、無給電素子104,105と、バラクタダイオード107〜112とを含む。
基板101は、例えば、プリント基板からなる。地板102は、略四角形の形状を有し、基板101の端部の近傍に配置される。給電素子103および無給電素子104,105は、基板101上に略平行に配置される。そして、給電素子103は、その一方端が給電部106を介して地板102に連結され、無給電素子104,105の各々は、その一方端が地板102に連結される。また、無給電素子104,105は、給電素子103を中心にして対称に配置される。
地板102は、70mmの幅W1と、45mmの長さL9とを有する。給電素子103は、モノポール素子からなり、125mmの長さL10を有する。無給電素子104,105の各々は、185mmの長さL11を有する。その結果、長さL12は、230mmになる。また、給電素子103および無給電素子104,105の各々は、10mmの幅Wを有する。
このように、アレーアンテナ20Aにおいては、無給電素子104,105は、給電素子103よりも長い。そして、無給電素子104,105は、給電素子103の長さ方向において給電素子103の一方側に長くなるように配置される。
給電素子103と無給電素子104,105との間隔dは、30mmであり、この30mmは、アレーアンテナ20Aが送受信する電波の波長をλとした場合、0.05λに相当する。
バラクタダイオード107〜109は、無給電素子104に装荷される。そして、バラクタダイオード107は、無給電素子104の一方端104AからL13=117.5mmの位置に装荷され、バラクタダイオード109は、地板102からL14=7.5mmの位置に装荷され、バラクタダイオード108は、バラクタダイオード107,109間の中央に配置される。その結果、バラクタダイオード107,108間の間隔L15およびバラクタダイオード108,109間の間隔L16の各々は、30mmとなる。
バラクタダイオード110〜112は、無給電素子105に装荷される。そして、バラクタダイオード110〜112の無給電素子105への装荷位置およびバラクタダイオード110〜112の相互の間隔は、バラクタダイオード107〜109の場合と同じである。
このように、アレーアンテナ20Aにおいては、給電素子103は、モノポール素子からなり、無給電素子104,105の各々に3個のバラクタダイオード107〜109;110〜112が装荷される。
無線装置10または30の指向性設定部220は、制御電圧CV1〜CV6をそれぞれバラクタダイオード107〜112へ供給し、バラクタダイオード107〜112の容量を変化させる。この場合、無線装置10または30の指向性設定部220は、無給電素子104に装荷された3個のバラクタダイオード107〜109の容量が同じになるように制御電圧CV1〜CV3をそれぞれバラクタダイオード107〜109へ供給し、無給電素子105に装荷された3個のバラクタダイオード110〜112の容量が同じになるように制御電圧CV4〜CV6をそれぞれバラクタダイオード110〜112へ供給する。
無線装置10または30の指向性設定部220がバラクタダイオード107〜112へそれぞれ制御電圧CV1〜CV6を供給する具体的な方法は、無線装置10または30の指向性設定部220がバラクタダイオード6〜9へそれぞれ制御電圧CV1〜CV4を供給する具体的な方法と同じである。
バラクタダイオード107〜109の無給電素子104への装荷方法およびバラクタダイオード110〜112の無給電素子105への装荷方法は、図3に示すバラクタダイオード6,7の無給電素子3への装荷方法と同じである。
そして、無線装置10または30の指向性設定部220は、バラクタダイオード107〜112に逆バイアスが印加されるように制御電圧CV1〜CV6をそれぞれバラクタダイオード107〜112へ供給する。従って、アレーアンテナ20,40としてアレーアンテナ20Aが用いられる場合、無線装置10,30の指向性設定部220は、各々が制御電圧CV1〜CV6からなる制御電圧セットCLV1〜CLVnをアレーアンテナ20Aのバラクタダイオード107から12へ供給する。
図12は、図11に示す給電部106の詳細を示す平面図である。給電部106は、同軸ケーブル1061と、リード線1064,1065とからなる。同軸ケーブル1061は、芯導体1062と、被覆導体1063とからなる。被覆導体1063は、接地電位に接続され、芯導体1062を覆う。
穴1011は、基板101を貫通するように設けられる。そして、同軸ケーブル1061は、基板101の裏面側から穴1011に挿入される。同軸ケーブル1061の芯導体1062は、リード線1064によって給電素子103に接続され、同軸ケーブル1061の被覆導体1063は、リード線1065によって地板102に接続される。従って、地板102は、接地電位に接続され、給電素子103は、同軸ケーブル1061の芯導体1062およびリード線1064を介して交流電力が給電される。
図13は、図11に示すアレーアンテナ20Aにおける(反射電力/入力電力)1/2と周波数との関係を示す図である。図13において、縦軸は、(反射電力/入力電力)1/2を表し、横軸は、周波数を表す。
図13に示す(反射電力/入力電力)1/2と周波数との関係は、無給電素子105に装荷されたバラクタダイオード110〜112の容量を8.0pFに設定し、無給電素子104に装荷されたバラクタダイオード107〜109の容量を0.8pF,0,9pF,1.0pF,1.25pF,1.5pF,2.0pF,2.5pF,4.0pF,8.0pFと変化させたときの(反射電力/入力電力)1/2と周波数との関係を示すシミュレーション結果である。
曲線k10〜k18は、それぞれ、バラクタダイオードバラクタダイオード107〜109の容量が8.0pF,4.0pF,2.5pF,2.0pF,1.5pF,1.25pF,1.0pF,0.9pF,0.8pFである場合の(反射電力/入力電力)1/2と周波数との関係を示す。
(反射電力/入力電力)1/2は、約440MHz〜約900MHzの範囲で低下しており、アレーアンテナ20Aは、約440MHz〜約900MHzの範囲に周波数帯域を有する。
そして、バラクタダイオード107〜109の全ての容量を8.0pFから0.8pFへ小さくすることにより、アレーアンテナ20Aの周波数帯域が広くなる。この場合、バラクタダイオード107〜109の容量が4.0pF(曲線k11参照)から2.5pF,2.0pF,1.5pF,1.25pF,1.0pF,0.9pF,0.8pFへ順次小さくなるに従って(曲線k12〜k18参照)、(反射電力/入力電力)1/2が低下する領域は、高周波数側へ広くなる。従って、バラクタダイオード107〜109の容量を小さくすることに従って、(反射電力/入力電力)1/2が低下する領域が高周波数側へ広くなることによって、アレーアンテナ20Aの周波数帯域が広くなる。
また、バラクタダイオード107〜109の容量を8.0pFから0.8pFまで変化させることによりアレーアンテナ20Aの周波数帯域は、上述したように約440MHz〜約900MHzの範囲になり、アレーアンテナ20の周波数帯域よりも広くなる(図4および図13参照)。
このように、モノポール素子からなる給電素子103を用いることによって、ダイポール素子からなる給電素子2を用いた場合よりも周波数帯域を広くできる。その結果、アレーアンテナ20Aを用いて複数の電波を無線装置10,30間で送受信し、秘密鍵Ks1,Ks2を作成する場合、より広い周波数帯域を用いて秘密鍵Ks1,Ks2を作成できる。
なお、バラクタダイオード107〜109の容量を8.0pFに設定し、バラクタダイオード110〜112の容量を8.0pF〜0.8pFの範囲で変化させた場合も、図13に示す(反射電力/入力電力)1/2と周波数との関係が得られる。
上記においては、アレーアンテナ20,40,20Aの各々は、1本の給電素子と、2本の無給電素子とを含むと説明したが、この発明においては、これに限らず、アレーアンテナ20,40,20Aの各々は、1本の給電素子と、少なくとも1本以上の無給電素子とを含んでいればよい。無給電素子が1本である場合も、その無給電素子に装荷されたバラクタダイオードの容量を複数の容量に変化させることができ、それによってアレーアンテナ20,40,20Aの指向性を複数の指向性に切換えることができるからである。
また、この発明においては、無線装置10に装着されるアレーアンテナ20の無給電素子の素子数は、無線装置30に装着されるアレーアンテナ40の無給電素子の素子数と異なっていてもよい。
更に、この発明においては、無給電素子3,4;104,105の各々に装荷されるバラクタダイオードの数は、1個であってもよく、一般的には、アレーアンテナ20,40,20Aにおける無給電素子の素子数の整数倍であればよい。
更に、この発明においては、無給電素子3,4;104,105に装荷された複数のバラクタダイオードの少なくとも1つの容量を変化させてアレーアンテナ20,40,20Aの指向性を複数の指向性に切換えるようにしてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、秘密鍵の盗聴を抑制可能な無線通信システムに適用される。また、この発明は、秘密鍵の盗聴を抑制可能な無線通信システムに用いる無線装置に適用される。
この発明の実施の形態による無線通信システムの概略図である。 図1に示すアレーアンテナの平面図である。 図2に示す無給電素子および2個のバラクタダイオードの装荷状態の詳細を示す平面図である。 図2に示すアレーアンテナにおける(反射電力/入力電力)1/2と周波数との関係を示す図である。 図1に示す一方の無線装置の概略ブロック図である。 図5に示す鍵一致確認部の概略ブロック図である。 図5に示す鍵一致化部の概略ブロック図である。 受信信号強度の概念図である。 2つの無線装置間における電波の送受信方法を示す図である。 図1に示す2つの無線装置間で秘密鍵を生成して暗号通信を行なう動作を説明するためのフローチャートである。 図1に示すアレーアンテナの変形例の平面図である。 図11に示す給電部の詳細を示す平面図である。 図11に示すアレーアンテナにおける(反射電力/入力電力)1/2と周波数との関係を示す図である。
符号の説明
1,101 基板、2,103 給電素子、3,4,104,105 無給電素子、3A 一方端、3B 他方端、5,106 給電部、6〜9,107〜112 バラクタダイオード、10,30, 無線装置、20,20A,40 アレーアンテナ、31〜33 導体、50 障害物、60 盗聴装置、61 アンテナ、100 無線通信システム、110 信号発生部、120 送信処理部、130 アンテナ部、140 受信処理部、150 プロファイル生成部、160 鍵作成部、170 鍵一致確認部、171,194 データ発生部、172,195 データ比較部、173,196 結果処理部、180 鍵記憶部、190 鍵一致化部、191 擬似シンドローム作成部、192 不一致ビット検出部、193 鍵不一致訂正部、200 暗号部、210 復号部、220 指向性設定部、1011 穴、1061 同軸ケーブル、1062 芯導体、1063 被覆導体、1064,1065 リード線。

Claims (4)

  1. 各々が指向性を電気的に切換え可能なアンテナからなる第1および第2のアンテナと、
    前記第1および第2のアンテナを介して無線伝送路により電波を相互に送受信する第1および第2の無線装置とを備え、
    前記第1の無線装置は、前記第2の無線装置が前記第2のアンテナの指向性を複数の第1の指向性に順次切換えながら送信した複数の第1の電波を前記第1のアンテナの指向性を前記複数の第1の指向性と異なる複数の第2の指向性に順次切換えながら受信し、その受信した複数の第1の電波に対応する複数の第1の電波強度を検出し、その検出した複数の第1の電波強度に基づいて第1の秘密鍵を生成し、
    前記第2の無線装置は、前記第1の無線装置が前記第1のアンテナの指向性を前記複数の第2の指向性に順次切換えながら送信した複数の第2の電波を前記第2のアンテナの指向性を前記複数の第1の指向性に順次切換えながら受信し、その受信した複数の第2の電波に対応する複数の第2の電波強度を検出し、その検出した複数の第2の電波強度に基づいて前記第1の秘密鍵と同じビット列からなる第2の秘密鍵を生成する、無線通信システム。
  2. 前記第1のアンテナは、
    1本の第1の給電素子と、
    p(pは正の整数)本の第1の無給電素子と、
    前記p本の第1の無給電素子に装荷されたr(rはpの整数倍)個の第1の可変容量素子とを含み、
    前記第2のアンテナは、
    1本の第2の給電素子と、
    q(qは正の整数)本の第2の無給電素子と、
    前記q本の第2の無給電素子に装荷されたs(sはqの整数倍)個の第2の可変容量素子とを含み、
    前記第1の無線装置は、前記第1のアンテナの前記r個の第1の可変容量素子の少なくとも1つの容量を変化させて前記第1のアンテナの指向性を前記複数の第2の指向性に順次切換え、
    前記第2の無線装置は、前記第2のアンテナの前記s個の第2の可変容量素子の少なくとも1つの容量を変化させて前記第2のアンテナの指向性を前記複数の第1の指向性に順次切換える、請求項1に記載の無線通信システム。
  3. 前記第1の無線装置は、前記複数の第1の電波強度のうち、所定数の第1の電波強度を削除し、残りの第1の電波強度を多値化して前記第1の秘密鍵を生成し、
    前記第2の無線装置は、前記複数の第2の電波強度のうち、前記所定数の第2の電波強度を削除し、残りの第2の電波強度を多値化して前記第2の秘密鍵を生成する、請求項1または請求項2に記載の無線通信システム。
  4. 無線装置間で暗号通信を行なう無線通信システムに用いられる無線装置であって、
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の第1の無線装置または第2の無線装置からなる無線装置。
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