JP2007250309A - 自発光平面表示装置における電子源の評価方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】隣接するピクセルあるいはサブピクセル間の輝度ばらつきが5%以下、さらに望ましくは1%以下にするために必要な、ピクセルあるいはサブピクセル当たりのエミッションサイト数を、統計的手法を用いて明確にし、それを実現するための手法を確立することを課題とする。
【解決手段】エミッション電流密度の分布特性を測定し、その平均値avと標準偏差divから統計的手法を用いて、ピクセルあるいはサブピクセル当たりに必要なエミッションサイト数を見積もる。
【選択図】図7
【解決手段】エミッション電流密度の分布特性を測定し、その平均値avと標準偏差divから統計的手法を用いて、ピクセルあるいはサブピクセル当たりに必要なエミッションサイト数を見積もる。
【選択図】図7
Description
本発明は、ナノチューブ等のナノ材料を電子源として用いた自発光平面表示装置における電子源の評価方法に関する。
カーボンナノチューブの電子放出特性の面内均一化について、研究開発が盛んに行われている。たとえば、カーボンナノチューブペーストを印刷し、その表面に粘着性テープを接触させることにより、カーボンナノチューブを起毛させた例が、非特許文献に報告されている。この例では、エミッションサイト密度が10,000個/cm2と見積もられている。これ以外の例においても、エミッションサイト密度は10,000個/cm2程度に留まっており、これを増やすための研究開発が盛んに行われている。
表示装置においては、隣接するピクセルあるいはサブピクセル間の輝度ばらつきが5%以下、さらに望ましくは1%以下にする必要がある。この性能を満足するためには、ひとつのピクセルあるいはサブピクセル内に何個以上のエミッションサイトが必要であるかは、明確ではなかった。また、ナノチューブ等のナノ材料を電子源として用いた自発光平面表示装置における電子源の評価方法が確立していなかった。
アプライド フィジクス レターズ (Applied Physics Letters),vol.83(17), pp. 3552-3554 (2003)
本発明では、隣接するピクセルあるいはサブピクセル間の輝度ばらつきが5%以下、さらに望ましくは1%以下にするために必要な、ピクセルあるいはサブピクセル当たりのエミッションサイト数を、統計的手法を用いて明確にし、それを実現するための手法を確立することを課題とする。
各々のカーボンナノチューブからのエミッション電流密度は、ある分布を持っている。エミッション電流密度が均一でないのは、カーボンナノチューブの直径や長さにばらつきがあるため、各々のナノチューブに対する電界集中係数が異なっているためである。このエミッション電流密度の分布特性を測定し、その平均値avと標準偏差divから統計的手法を用いて、ピクセルあるいはサブピクセル当たりに必要なエミッションサイト数を見積もることができる。
このようにして、隣接するピクセルあるいはサブピクセル間の輝度ばらつきが5%以下、さらに望ましくは1%以下にするための必要条件を明確にすることができる。さらに、この必要条件を満足するためには、各々のカーボンナノチューブからのエミッション電流密度のばらつきを低く押さえ、そのばらつき値によって決まる値以上のエミッションサイト数を各ピクセルあるいはサブピクセルに対して実現する必要がある。エミッション電流密度のばらつきを低く押さえるためには、ナノチューブの直径および長さを均一にすることが有効である。また、エミッションサイト数を増やすためにもナノチューブの直径および長さを均一にすることが有効である。
本書において開示される発明のうち、代表的なものの概要を説明すれば、下記のとおりである。
(1) 複数のカソード電極と、該カソード電極の表面に形成された,ナノ材料からなる複数の電子源と、前記カソード電極とは電気的に絶縁されて形成され,前記電子源から放出される電子の量を制御するための電位が印加される複数のゲート電極とを備え、かつ複数の電子源がマトリックス状に配置されてなり、前記複数のカソード電極を複数組に分割して各組ごとのカソード電極を電気的に接続する複数のカソードラインと、前記複数のゲート電極を複数組に分割して各組ごとのゲート電極を電気的に接続する複数のゲートラインとを有し、前記複数のカソードラインおよび前記複数のゲートラインの内の一部分をそれぞれ選択することにより、前記複数の電子源の中の所望の電子源から電子を放出させるよう構成された自発光平面表示装置における電子源の評価方法において、自発光平面表示装置の一つのピクセル内のエミッションサイト数を、自発光平面表示装置の動作時における,その表示パネル全体の個々のナノ材料からのエミッション電流値の平均値又は平均値の不偏推定値をav、標準偏差又は標準偏差の不偏推定値をdevとし、その比dev/avの二乗の値と対比して評価することを特徴とする自発光平面表示装置における電子源の評価方法。
(2) (1)に記載の自発光型平面表示装置における電子源の評価方法において、自発光型平面表示装置の複数のピクセルにおいて、ピクセル内の面内エミッション電流値を、10ミクロンあるいはそれ以下の空間分解能をもって測定し、その局所最大値を前記ナノ材料のある一つからのエミッションとみなして、その平均値と標準偏差を求め、さらに複数個のピクセルのデータから統計的に推定した平均値と標準偏差をそれぞれ前記avおよび前記devとし、また前記局所最大値の個数を前記エミッションサイト数としたことを特徴とする自発光型平面表示装置における電子源の評価方法。
(3) (1)に記載の自発光型平面表示装置における電子源の評価方法において、前記一つのピクセル内のエミッションサイト数の許容最低値を、(120×dev/av)の二乗の値とすることを特徴とする自発光型平面表示装置における電子源の評価方法。
(4) (1)に記載の自発光型平面表示装置における電子源の評価方法において、前記一つのピクセル内のエミッションサイト数の許容最低値を、(600×dev/av)の二乗の値とすることを特徴とする自発光型平面表示装置における電子源の評価方法。
(5) (2)に記載の自発光型平面表示装置における電子源の評価方法において、自発光型平面表示装置の10個以上のピクセルにおいて、ピクセル内の面内エミッション電流値を、10ミクロンあるいはそれ以下の空間分解能をもって測定し、その局所最大値を前記ナノ材料のある一つからのエミッションとみなして、その平均値と標準偏差を求め、さらに複数個のピクセルのデータから統計的に推定した平均値と標準偏差をそれぞれ前記avおよび前記devとし、また前記局所最大値の個数を前記エミッションサイト数としたことを特徴とする自発光型平面表示装置における電子源の評価方法。
(6) 複数のカソード電極と、該カソード電極の表面に形成された,ナノ材料からなる複数の電子源と、前記カソード電極とは電気的に絶縁されて形成され,前記電子源から放出される電子の量を制御するための電位が印加される複数のゲート電極とを備え、かつ複数の電子源がマトリックス状に配置されてなり、前記複数のカソード電極を複数組に分割して各組ごとのカソード電極を電気的に接続する複数のカソードラインと、前記複数のゲート電極を複数組に分割して各組ごとのゲート電極を電気的に接続する複数のゲートラインとを有し、前記複数のカソードラインおよび前記複数のゲートラインの内の一部分をそれぞれ選択することにより、前記複数の電子源の中の所望の電子源から電子を放出させるよう構成された自発光平面表示装置における電子源の評価方法において、自発光平面表示装置の一つのピクセルを構成する複数個のサブピクセルの中の一つのサブピクセルのエミッションサイト数を、自発光平面表示装置の動作時における,その表示パネル全体の個々のナノ材料からのエミッション電流値の平均値又は平均値の不偏推定値をav、標準偏差又は標準偏差の不偏推定値をdevとし、その比dev/avの二乗の値と対比して評価することを特徴とする自発光平面表示装置における電子源の評価方法。
(7) (6)に記載の自発光型平面表示装置における電子源の評価方法において、自発光型平面表示装置の複数のサブピクセルにおいて、サブピクセル内の面内エミッション電流値を、10ミクロンあるいはそれ以下の空間分解能をもって測定し、その局所最大値を前記ナノ材料のある一つからのエミッションとみなして、その平均値と標準偏差を求め、さらに複数個のサブピクセルのデータから統計的に推定した平均値と標準偏差をそれぞれ前記avおよび前記devとし、また前記局所最大値の個数を前記エミッションサイト数としたことを特徴とする自発光型平面表示装置における電子源の評価方法。
(8) (6)に記載の自発光型平面表示装置における電子源の評価方法において、前記一つのサブピクセルのエミッションサイト数の許容最低値を、(120×dev/av)の二乗の値とすることを特徴とする自発光型平面表示装置における電子源の評価方法。
(9) (6)に記載の自発光型平面表示装置における電子源の評価方法において、前記一つのサブピクセルのエミッションサイト数の許容最低値を、(600×dev/av)の二乗の値とすることを特徴とする自発光型平面表示装置における電子源の評価方法。
(10) (7)に記載の自発光型平面表示装置における電子源の評価方法において、自発光型平面表示装置の10個以上のサブピクセルにおいて、サブピクセル内の面内エミッション電流値を、10ミクロンあるいはそれ以下の空間分解能をもって測定し、その局所最大値を前記ナノ材料のある一つからのエミッションとみなして、その平均値と標準偏差を求め、さらに複数個のサブピクセルのデータから統計的に推定した平均値と標準偏差をそれぞれ前記avおよび前記devとし、また前記局所最大値の個数を前記エミッションサイト数としたことを特徴とする自発光型平面表示装置における電子源の評価方法。
(1) 複数のカソード電極と、該カソード電極の表面に形成された,ナノ材料からなる複数の電子源と、前記カソード電極とは電気的に絶縁されて形成され,前記電子源から放出される電子の量を制御するための電位が印加される複数のゲート電極とを備え、かつ複数の電子源がマトリックス状に配置されてなり、前記複数のカソード電極を複数組に分割して各組ごとのカソード電極を電気的に接続する複数のカソードラインと、前記複数のゲート電極を複数組に分割して各組ごとのゲート電極を電気的に接続する複数のゲートラインとを有し、前記複数のカソードラインおよび前記複数のゲートラインの内の一部分をそれぞれ選択することにより、前記複数の電子源の中の所望の電子源から電子を放出させるよう構成された自発光平面表示装置における電子源の評価方法において、自発光平面表示装置の一つのピクセル内のエミッションサイト数を、自発光平面表示装置の動作時における,その表示パネル全体の個々のナノ材料からのエミッション電流値の平均値又は平均値の不偏推定値をav、標準偏差又は標準偏差の不偏推定値をdevとし、その比dev/avの二乗の値と対比して評価することを特徴とする自発光平面表示装置における電子源の評価方法。
(2) (1)に記載の自発光型平面表示装置における電子源の評価方法において、自発光型平面表示装置の複数のピクセルにおいて、ピクセル内の面内エミッション電流値を、10ミクロンあるいはそれ以下の空間分解能をもって測定し、その局所最大値を前記ナノ材料のある一つからのエミッションとみなして、その平均値と標準偏差を求め、さらに複数個のピクセルのデータから統計的に推定した平均値と標準偏差をそれぞれ前記avおよび前記devとし、また前記局所最大値の個数を前記エミッションサイト数としたことを特徴とする自発光型平面表示装置における電子源の評価方法。
(3) (1)に記載の自発光型平面表示装置における電子源の評価方法において、前記一つのピクセル内のエミッションサイト数の許容最低値を、(120×dev/av)の二乗の値とすることを特徴とする自発光型平面表示装置における電子源の評価方法。
(4) (1)に記載の自発光型平面表示装置における電子源の評価方法において、前記一つのピクセル内のエミッションサイト数の許容最低値を、(600×dev/av)の二乗の値とすることを特徴とする自発光型平面表示装置における電子源の評価方法。
(5) (2)に記載の自発光型平面表示装置における電子源の評価方法において、自発光型平面表示装置の10個以上のピクセルにおいて、ピクセル内の面内エミッション電流値を、10ミクロンあるいはそれ以下の空間分解能をもって測定し、その局所最大値を前記ナノ材料のある一つからのエミッションとみなして、その平均値と標準偏差を求め、さらに複数個のピクセルのデータから統計的に推定した平均値と標準偏差をそれぞれ前記avおよび前記devとし、また前記局所最大値の個数を前記エミッションサイト数としたことを特徴とする自発光型平面表示装置における電子源の評価方法。
(6) 複数のカソード電極と、該カソード電極の表面に形成された,ナノ材料からなる複数の電子源と、前記カソード電極とは電気的に絶縁されて形成され,前記電子源から放出される電子の量を制御するための電位が印加される複数のゲート電極とを備え、かつ複数の電子源がマトリックス状に配置されてなり、前記複数のカソード電極を複数組に分割して各組ごとのカソード電極を電気的に接続する複数のカソードラインと、前記複数のゲート電極を複数組に分割して各組ごとのゲート電極を電気的に接続する複数のゲートラインとを有し、前記複数のカソードラインおよび前記複数のゲートラインの内の一部分をそれぞれ選択することにより、前記複数の電子源の中の所望の電子源から電子を放出させるよう構成された自発光平面表示装置における電子源の評価方法において、自発光平面表示装置の一つのピクセルを構成する複数個のサブピクセルの中の一つのサブピクセルのエミッションサイト数を、自発光平面表示装置の動作時における,その表示パネル全体の個々のナノ材料からのエミッション電流値の平均値又は平均値の不偏推定値をav、標準偏差又は標準偏差の不偏推定値をdevとし、その比dev/avの二乗の値と対比して評価することを特徴とする自発光平面表示装置における電子源の評価方法。
(7) (6)に記載の自発光型平面表示装置における電子源の評価方法において、自発光型平面表示装置の複数のサブピクセルにおいて、サブピクセル内の面内エミッション電流値を、10ミクロンあるいはそれ以下の空間分解能をもって測定し、その局所最大値を前記ナノ材料のある一つからのエミッションとみなして、その平均値と標準偏差を求め、さらに複数個のサブピクセルのデータから統計的に推定した平均値と標準偏差をそれぞれ前記avおよび前記devとし、また前記局所最大値の個数を前記エミッションサイト数としたことを特徴とする自発光型平面表示装置における電子源の評価方法。
(8) (6)に記載の自発光型平面表示装置における電子源の評価方法において、前記一つのサブピクセルのエミッションサイト数の許容最低値を、(120×dev/av)の二乗の値とすることを特徴とする自発光型平面表示装置における電子源の評価方法。
(9) (6)に記載の自発光型平面表示装置における電子源の評価方法において、前記一つのサブピクセルのエミッションサイト数の許容最低値を、(600×dev/av)の二乗の値とすることを特徴とする自発光型平面表示装置における電子源の評価方法。
(10) (7)に記載の自発光型平面表示装置における電子源の評価方法において、自発光型平面表示装置の10個以上のサブピクセルにおいて、サブピクセル内の面内エミッション電流値を、10ミクロンあるいはそれ以下の空間分解能をもって測定し、その局所最大値を前記ナノ材料のある一つからのエミッションとみなして、その平均値と標準偏差を求め、さらに複数個のサブピクセルのデータから統計的に推定した平均値と標準偏差をそれぞれ前記avおよび前記devとし、また前記局所最大値の個数を前記エミッションサイト数としたことを特徴とする自発光型平面表示装置における電子源の評価方法。
本発明の電子源の評価方法により、カーボンナノチューブ等のナノ材料を電子源とする自発光平面表示装置において、隣接するピクセルあるいはサブピクセル間の輝度ばらつきを5%以下、さらに望ましくは1%以下にすることができる。これにより、均質な表示性能を有する自発光平面表示装置を実現することができる。
まず、本発明で用いる統計的手法について、図6を用いて説明する。
自発光平面表示装置全体における各々のエミッションサイトからのエミッション電流密度を母集団と考え、母集団の平均値、標準偏差、および分散を、それぞれ図6の(1), (2), (3)に表示した記号を用いて表わす。
また、装置内の複数(望ましくは10個以上)のピクセルあるいはサブピクセル内の各々のエミッションサイトからの電流密度を標本と考え、標本の平均値、標準偏差、および分散を、それぞれ図6の(4), (5), (6) に表示した記号を用いて表わす。
統計学によると、標本の平均値に対する期待値は図6の(7)に示すように、母集団の平均値に集束する。また、標本の分散に対する期待値は、標本の個数をnとすると、図6の(8)で与えられた値に集束する。
母集団の平均値と分散を求めることは、事実上不可能であるので、図6の(7)およぼ(8)の関係を用いて推定する方法が、一般に用いられている。図6の(7)および(8)により推定した母集団の平均値および分散を不偏推定値と呼ぶ。
標本の平均値の標準偏差は、図6の(9)で与えられるため、その標準偏差の6倍が、平均値の1%以内とすることにより、ピクセルあるいはサブピクセル間の輝度ばらつきを1%以内に押さえるために必要なエミッションサイト数を見積もることができる。すなわち、ピクセル間輝度ばらつきを図6の(10)、母集団の標準偏差と平均値の比を図6の(11)で表わすと、図6の(12)が求める式である。この(12)を整理することにより、ピクセルあるいはサブピクセル当たりに必要なエミッションサイト数nの条件を表わす、図6の式(13)を得ることができる。
なお、以下の説明においては、簡単のため、「ピクセルあるいはサブピクセル」と表記する代わりに「(サブ)ピクセル」と表記する。
図6の式(13)を用いて、(サブ)ピクセル当たりに必要なエミッションサイト数を、(サブ)ピクセル間の輝度ばらつきの関数としてグラフ化したのが図7である。なお、図7にはR(母集団の標準偏差を平均値で割った値)が0.4の場合と0.04の場合について示した。たとえば、R = 0.04の場合に、(サブ)ピクセル間の輝度ばらつきを1%以下に押さえるためには、(サブ)ピクセル当たり約600個のエミッションサイトが必要である。
また、図6の式(13)を用いて、(サブ)ピクセル当たり必要なエミッションサイト数をRの関数としてグラフ化したものが図8である、なお、図8には、D((サブ)ピクセル間の輝度ばらつき)が1%と5%の場合について示した。たとえば、D = 5%を実現するために、R = 0.2の場合には、(サブ)ピクセル当たり約600個のエミッションサイトが必要である。
図9にはエミッション電流の面内分布の測定例を示す。これは直径10ミクロンの開口を有するファラデーカップを面内でスキャンして、面内電流密度の分布の密度グラフである。正方形の一辺は1mmであり、一辺に100個、全体で10,000個のデータをプロットしたものである。また、図9から局所最大値を検出し、そのエミッション電流密度をヒストグラムにしたものが、図10である。この分布を正規分布としてフィッティングすることにより、平均値と標準偏差を算出することができる。
上記の議論を概略すると、隣接するピクセルあるいはサブピクセル間の輝度ばらつきが5%以下、さらに望ましくは1%以下にするためには、各々のナノチューブからの電流密度のばらつきをできるだけ低く押さえ、(サブ)ピクセル当たりのエミッションサイト数をできるだけ多くすることが必要であり、具体的には図6の式(13)を満足する必要がある、ということである。
各々のナノチューブからのエミッション電流密度のばらつき、すなわち図6の式(11)のRを0.1以下にするためには、エミッションに寄与しているナノチューブの直径分布を平均の3%以内にする必要がある。また、エミッション中のナノチューブの高さ分布を平均値の3%以内に押さえる必要がある。また、(サブ)ピクセル内のエミッションサイト数を増加させるためには、ナノチューブの直径および高さ分布を上記程度に押さえることが必要であるとともに、カソード電極とナノチューブ間の接触抵抗を面内で均一化することが重要である。
次に、本発明が適用できる自発光平面表示装置の第1の実施例を図1(a),1(b)、図2、図3、および図4(a),4(b),4(c),4(d)を用いて説明する。まず、図1(a),1(b)を用いて、本発明の自発光平面表示装置の全体構成を説明する。図1(a)が上斜め方向から、また図1(b)が下斜め方向から眺めた形状を示している。本自発光平面表示装置は、電子源アレイを作製した電子源板101、電子源の位置に合わせて蛍光体ストライプあるいは蛍光体ドットを作製した蛍光表示板103、電子源板101と蛍光表示板103を一定間隔に保って固定するための枠ガラス102より構成される。また、図中には示さなかったが、画面サイズが大きくなると、枠ガラス内部にも電子源板101と蛍光表示板103を一定間隔に保つための、厚さの薄いスペーサが必要となる。
次に図2を用いて、電子源板101の構造を説明する。垂直方向に複数本のカソード電極ストライプ202を、水平方向に複数本のゲート電極ストライプ201を形成する。カソード電極ストライプ202とゲート電極ストライプ201は、絶縁膜(図示せず)を挿んで交差し、それぞれの交差点にカーボンナノチューブ電子源(図示せず)を形成する。
次に図3を用いて、蛍光表示板103の構造を説明する。電子源の位置に合わせて、赤色・緑色・青色の蛍光体ストライプを形成した構造になっている。まず、電子源の横方向のピッチに合わせて、電子源間の中央の位置にブラックマトリックス(図示せず)のストライプをリフトオフ法により作製する。次にスラリー法により赤色301、緑色302、青色303の蛍光体ストライプによる繰り返しストライプパターンを形成する。各々の蛍光体ストライプが、その両側のブラックストライプの中央に配置する。また、図には示さなかったが、蛍光体ストライプを作製した後、全面にアルミニウムを数十から数百nmの厚さに蒸着し、アノード電極を形成した。
以上のようにして作製した電子源板101と蛍光表示板103とを枠ガラス102を用いて一定間隔で対峙するように配置し、電子源と蛍光体ストライプ301, 302, 303の位置を合わせた後、内部を真空にして封止することにより、自発光型表示装置が完成する。
電子源板101、蛍光表示板103、および枠ガラス102の接着にはフリットガラスを用いた。接着面にフリットガラスを印刷し、450℃に加熱することにより接着し、図には示さなかったが、別途表示装置に取り付けた排気管から表示装置内部を排気して、排気管を封止切ることにより、封止を行った。そして、カソード電極にカソード信号を、ゲート電極にゲート信号を印加し、さらに蛍光表示板103のアノード電極に、カソード電極に対してプラスの加速電圧を印加することにより、所望の画像を表示させることができた。
次に、電子源の構造およびその作製方法を図4(a),4(b),4(c),4(d)を用いて説明する。なお、図4(a),4(b),4(c),4(d)では、本表示装置の電子源アレイのサブピクセルについて詳細に示す。
まず、図4(a)に示すように、ガラス基板401の表面に、カソード電極402のストライプ構造を印刷法により形成する。印刷ペースト中の金属粒子の形状や平均粒径、およびペースト組成を最適化することにより、印刷カソード電極402の表面の凹凸を0.5ミクロン以下に押さえることができた。カソード電極402のストライプ構造の幅は30ミクロンであり、また隣のストライプとの間隔は240ミクロンである。カソード電極402の焼成後の膜厚は5ミクロンである。このようなカソード電極402のストライプ構造を1280×3本作製する(図4(a)には、簡単のため1本のみを示す。以下の図面においても同じ)。
次に、図4(b)に示すように、カソード電極402の上に、電子源層403を形成する。電子源層403は、本発明のナノチューブ含有ペーストをスクリーン印刷することにより形成した。
次に、図4(c)に示すように、絶縁層404を形成する。絶縁層404の焼成後の膜厚は5ミクロンである。絶縁層404は、電子源ホール405が開いた構造になっている。
次に、図4(d)に示すように、ゲート電極406を形成する。ゲート電極406の焼成後の膜厚は5ミクロンである。ゲート電極406には電子源ホール407が開いた構造になっている。このようなゲート電極406を720本作製する。
最後に、電子源層403に対して、カーボンナノチューブを起毛させるための表面処理を行う。これには、レーザ照射、プラズマ処理、機械的処理等の手法を用いることができる。この際、上記「課題を解決するための手段」及び「発明を実施するための最良の形態」の項で詳述した本発明による自発光平面表示装置における電子源の評価方法を適用することにより、所望の特性の電子源を得ることができる。
以上のようにして、ゲート動作が可能なカーボンナノチューブ電子源構造を作製することができた。
なお、本実施例において、カソード電極402およびゲート電極406は、銀、銅等の必要な電気伝導性を有するいかなる金属あるいは合金を用いることも可能である。
次に、本発明の第二の実施例を図5(a),5(b),5(c),5(d)を用いて説明する。まず、図5(a)に示すように、ガラス基板501の表面に、カソード電極502のストライプ構造とゲート電極503のストライプ構造を同時に形成する。カソード電極502のストライプ構造の幅は30ミクロンであり、また隣のストライプとの間隔は240ミクロンである。また、カソード電極502とゲート電極503との間隔は30ミクロンである。カソード電極502およびゲート電極503は、金属ペーストをスクリーン印刷することにより同時に形成した。印刷ペースト中の金属粒子の形状や平均粒径、およびペースト組成を最適化することにより、カソード電極502およびゲート電極503の表面の凹凸を0.5ミクロン以下に押さえることができた。カソード電極502およびゲート電極503ともに、焼成後の膜厚は5ミクロンである。このようなカソード電極502のストライプ構造を1280×3本作製する(図5(a)には、簡単のため1本のみを示す。以下の図面においても同じ)。
次に、図5(b)に示すように、カソード電極502の上に、電子源層504を形成する。電子源層504は、本発明のナノチューブ含有ペーストをスクリーン印刷することにより形成した。
次に、図5(c)に示すように、絶縁層505を形成する。絶縁層505には、電子源ホール506とゲート電極コンタクトホール507が形成されており、焼成後の膜厚は5ミクロンである。
次に、図5(d)に示すように、ゲート電極用バスライン508を形成する。ゲート電極用バスライン508は、金属ペーストをスクリーン印刷することにより形成した。焼成後の膜厚は5ミクロンである。このようなゲート電極用バスライン508を720本作製する。
最後に、電子源層504に対して、カーボンナノチューブを起毛させるための表面処理を行う。これには、レーザ照射、プラズマ処理、機械的処理等の手法を用いることができる。この際、上記「課題を解決するための手段」及び「発明を実施するための最良の形態」の項で詳述した本発明による自発光平面表示装置における電子源の評価方法を適用することにより、所望の特性の電子源を得ることができる。
以上のようにして、ゲート動作が可能なカーボンナノチューブ電子源構造を作製することができた。
なお、本実施例において、カソード電極およびゲート電極は、銀、銅等の必要な電気伝導性を有するいかなる金属あるいは合金を用いることも可能である。
なお、本実施例において、カソード電極およびゲート電極は、銀、銅等の必要な電気伝導性を有するいかなる金属あるいは合金を用いることも可能である。
101…電子源板、102…枠ガラス、103…蛍光表示板、201…ゲート電極ストライプ、202…カソード電極ストライプ、301…赤色蛍光体ストライプ、303…青色蛍光体ストライプ、401…ガラス基板、402…カソード電極、403…電子源層、404…絶縁層、405…絶縁層の電子源ホール、406…ゲート電極、407…ゲート電極の電子源ホール、501…ガラス基板、502…カソード電極、503…ゲート電極、504…電子源層、505…絶縁層、506…絶縁層の電子源ホール、507…絶縁層のゲート電極コンタクトホール、508…ゲートバス電極。
Claims (11)
- 複数のカソード電極と、該カソード電極の表面に形成された,ナノ材料からなる複数の電子源と、前記カソード電極とは電気的に絶縁されて形成され,前記電子源から放出される電子の量を制御するための電位が印加される複数のゲート電極とを備え、かつ複数の電子源がマトリックス状に配置されてなり、
前記複数のカソード電極を複数組に分割して各組ごとのカソード電極を電気的に接続する複数のカソードラインと、前記複数のゲート電極を複数組に分割して各組ごとのゲート電極を電気的に接続する複数のゲートラインとを有し、
前記複数のカソードラインおよび前記複数のゲートラインの内の一部分をそれぞれ選択することにより、前記複数の電子源の中の所望の電子源から電子を放出させるよう構成された自発光平面表示装置における電子源の評価方法において、
自発光平面表示装置の一つのピクセル内のエミッションサイト数を、自発光平面表示装置の動作時における,その表示パネル全体の個々のナノ材料からのエミッション電流値の平均値又は平均値の不偏推定値をav、標準偏差又は標準偏差の不偏推定値をdevとし、その比dev/avの二乗の値と対比して評価することを特徴とする自発光平面表示装置における電子源の評価方法。 - 請求項1に記載の自発光型平面表示装置における電子源の評価方法において、自発光型平面表示装置の複数のピクセルにおいて、ピクセル内の面内エミッション電流値を、10ミクロンあるいはそれ以下の空間分解能をもって測定し、その局所最大値を前記ナノ材料のある一つからのエミッションとみなして、その平均値と標準偏差を求め、さらに複数個のピクセルのデータから統計的に推定した平均値と標準偏差をそれぞれ前記avおよび前記devとし、また前記局所最大値の個数を前記エミッションサイト数としたことを特徴とする自発光型平面表示装置における電子源の評価方法。
- 請求項1に記載の自発光型平面表示装置における電子源の評価方法において、前記一つのピクセル内のエミッションサイト数の許容最低値を、(120×dev/av)の二乗の値とすることを特徴とする自発光型平面表示装置における電子源の評価方法。
- 請求項1に記載の自発光型平面表示装置における電子源の評価方法において、前記一つのピクセル内のエミッションサイト数の許容最低値を、(600×dev/av)の二乗の値とすることを特徴とする自発光型平面表示装置における電子源の評価方法。
- 請求項2に記載の自発光型平面表示装置における電子源の評価方法において、自発光型平面表示装置の10個以上のピクセルにおいて、ピクセル内の面内エミッション電流値を、10ミクロンあるいはそれ以下の空間分解能をもって測定し、その局所最大値を前記ナノ材料のある一つからのエミッションとみなして、その平均値と標準偏差を求め、さらに複数個のピクセルのデータから統計的に推定した平均値と標準偏差をそれぞれ前記avおよび前記devとし、また前記局所最大値の個数を前記エミッションサイト数としたことを特徴とする自発光型平面表示装置における電子源の評価方法。
- 複数のカソード電極と、該カソード電極の表面に形成された,ナノ材料からなる複数の電子源と、前記カソード電極とは電気的に絶縁されて形成され,前記電子源から放出される電子の量を制御するための電位が印加される複数のゲート電極とを備え、かつ複数の電子源がマトリックス状に配置されてなり、
前記複数のカソード電極を複数組に分割して各組ごとのカソード電極を電気的に接続する複数のカソードラインと、前記複数のゲート電極を複数組に分割して各組ごとのゲート電極を電気的に接続する複数のゲートラインとを有し、
前記複数のカソードラインおよび前記複数のゲートラインの内の一部分をそれぞれ選択することにより、前記複数の電子源の中の所望の電子源から電子を放出させるよう構成された自発光平面表示装置における電子源の評価方法において、
自発光平面表示装置の一つのピクセルを構成する複数個のサブピクセルの中の一つのサブピクセルのエミッションサイト数を、自発光平面表示装置の動作時における,その表示パネル全体の個々のナノ材料からのエミッション電流値の平均値又は平均値の不偏推定値をav、標準偏差又は標準偏差の不偏推定値をdevとし、その比dev/avの二乗の値と対比して評価することを特徴とする自発光平面表示装置における電子源の評価方法。 - 請求項6に記載の自発光型平面表示装置における電子源の評価方法において、自発光型平面表示装置の複数のサブピクセルにおいて、サブピクセル内の面内エミッション電流値を、10ミクロンあるいはそれ以下の空間分解能をもって測定し、その局所最大値を前記ナノ材料のある一つからのエミッションとみなして、その平均値と標準偏差を求め、さらに複数個のサブピクセルのデータから統計的に推定した平均値と標準偏差をそれぞれ前記avおよび前記devとし、また前記局所最大値の個数を前記エミッションサイト数としたことを特徴とする自発光型平面表示装置における電子源の評価方法。
- 請求項6に記載の自発光型平面表示装置における電子源の評価方法において、前記一つのサブピクセルのエミッションサイト数の許容最低値を、(120×dev/av)の二乗の値とすることを特徴とする自発光型平面表示装置における電子源の評価方法。
- 請求項6に記載の自発光型平面表示装置における電子源の評価方法において、前記一つのサブピクセルのエミッションサイト数の許容最低値を、(600×dev/av)の二乗の値とすることを特徴とする自発光型平面表示装置における電子源の評価方法。
- 請求項7に記載の自発光型平面表示装置における電子源の評価方法において、自発光型平面表示装置の10個以上のサブピクセルにおいて、サブピクセル内の面内エミッション電流値を、10ミクロンあるいはそれ以下の空間分解能をもって測定し、その局所最大値を前記ナノ材料のある一つからのエミッションとみなして、その平均値と標準偏差を求め、さらに複数個のサブピクセルのデータから統計的に推定した平均値と標準偏差をそれぞれ前記avおよび前記devとし、また前記局所最大値の個数を前記エミッションサイト数としたことを特徴とする自発光型平面表示装置における電子源の評価方法。
- 請求項1〜10のうちの何れかに記載の自発光型平面表示装置における電子源の評価方法において、前記ナノ材料が、炭素から構成されたナノチューブ、ナノコイル若しくはナノサイズの形状を有する材料、又は炭素、ホウ素および窒素の3元素のうちの2元素以上を含むナノチューブ、ナノコイル若しくはナノサイズの形状を有する材料であることを特徴とする自発光平面表示装置における電子源の評価方法。
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JP2006070764A JP2007250309A (ja) | 2006-03-15 | 2006-03-15 | 自発光平面表示装置における電子源の評価方法 |
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CN109035225A (zh) * | 2018-07-12 | 2018-12-18 | 中国计量大学 | 一种汽车刹车片外观质量检验照明系统设计质量评价方法 |
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2006
- 2006-03-15 JP JP2006070764A patent/JP2007250309A/ja active Pending
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CN109035225A (zh) * | 2018-07-12 | 2018-12-18 | 中国计量大学 | 一种汽车刹车片外观质量检验照明系统设计质量评价方法 |
CN109035225B (zh) * | 2018-07-12 | 2021-04-20 | 中国计量大学 | 一种汽车刹车片外观质量检验照明系统设计质量评价方法 |
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