JP2007234771A - 量子型赤外線センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】高度な量子効果により高感度で赤外線を検知することができ、室温近くの温度条件下においても動作させることが可能な量子型赤外線センサを提供すること。
【解決手段】中心細孔直径が1.5〜5.0nmであるメソ多孔体11と、メソ多孔体11の細孔内に配列された波長3〜15μmの光に対する屈折率が1.7〜2.1の範囲にある金属酸化物12と、金属酸化物12に電気的に接続されている電極13とを備えること特徴とする量子型赤外線センサ。
【選択図】図1

Description

本発明は、量子型赤外線センサに関し、より詳しくは、波長3〜15μm程度の赤外線を検知する量子型赤外線センサに関する。
従来から波長3〜15μm程度の赤外線を検知するために様々なタイプの量子型赤外線センサが研究されてきた。例えば、特開平10−256594号公報(特許文献1)には、光を吸収する非熱平衡層と、前記非熱平衡層に隣接して電位障壁を構成する光検知層を設けた量子型赤外線センサが開示されている。しかしながら、特許文献1に記載されているような従来の量子型赤外線センサは、いずれも赤外線と同じエネルギーバンド幅を有する半導体を用いる直接遷移量子型赤外線センサであり、室温における熱擾乱エネルギーが赤外線とほぼ等しいために液体窒素温度(絶対温度77K)まで冷却しなければその性能を十分に発揮することができなかった。
また、特開平10−190021号公報(特許文献2)においては、電磁波検出ゾーンを有する基板上の半導体材料の積層体を含む、量子構造を有する光波検出器であって、該積層体が検出ゾーンを構成するギャップエネルギーの低い半導体材料の層を、ギャップエネルギーの高い半導体材料の二つの層の間に含み、検出すべき光波と前記検出ゾーンの間の効率的な結合を得るために前記積層体の上に結合格子を含む量子型赤外線センサが開示されている。しかしながら、特許文献2に記載されているような量子型赤外線センサは、冷却を必要としない熱型のセンサであるが、上述の特許文献1に記載のような従来型の量子型赤外線センサと比較すると同一のセンサ面積における性能が低いものであった。
また、特開平10−256588号公報(特許文献3)には、障壁層と、前記障壁層よりバンドギャップが狭い複数の量子ドットを有する量子ドット層とが交互に積層されてなる積層体を有し、前記積層体に赤外線を照射した際に前記量子ドット内の電子又は正孔の励起によって生じる光電流を検出することにより赤外線を検出する量子型赤外線センサが開示されている。しかしながら、特許文献3に記載のような量子型赤外線センサにおいては、未だ暗電流と量子効率とを同時に制御することができず、量子井戸型の量子型赤外線センサと比較すると性能が低いものしか得られていなかった。
特開平10−256594号公報 特開平10−190021号公報 特開平10−256588号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、高度な量子効果により高感度で赤外線を検知することができ、室温近くの温度条件下においても動作させることが可能な量子型赤外線センサを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、中心細孔直径が1.5〜5.0nmであるメソ多孔体と、前記メソ多孔体の細孔内に配列された特定の金属酸化物と、前記金属酸化物に電気的に接続されている電極とを備えることにより、高度な量子効果により高感度で赤外線を検知することができ、室温近くの温度条件下においても動作させることが可能な量子型赤外線センサが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の量子型赤外線センサは、中心細孔直径が1.5〜5.0nmであるメソ多孔体と、該メソ多孔体の細孔内に配列された波長3〜15μmの光に対する屈折率が1.7〜2.1の範囲にある金属酸化物と、前記金属酸化物に電気的に接続されている電極とを備えること特徴とするものである。
また、本発明の量子型赤外線センサとしては、前記金属酸化物により形成される量子ドットが前記メソ多孔体の細孔の周期構造と同様の周期で配列された超格子構造を形成していることが好ましい。
また、上記本発明にかかる前記金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化銅、酸化ニッケル及び酸化鉄からなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
さらに、上記本発明にかかる前記メソ多孔体としては、シリカ系メソ多孔体であることが好ましい。
なお、本発明の量子型赤外線センサによって高度な量子効果により高感度で赤外線を検知することができ、室温近くの温度条件下においても動作させることが可能となる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、先ず、本発明の量子型赤外線センサにおいては、メソ多孔体を母体とし、前記メソ多孔体の細孔内において特定の金属酸化物を生成してその細孔内に金属酸化物(量子ドット)を配列させるため、前記メソ多孔体と前記金属酸化物の屈折率の差によってメソ多孔体の細孔の周期構造に依存した特有の吸収バンドを有する赤外線センサの設計が可能である。更に、本発明の量子型赤外線センサにおいては、前記細孔内に配列される金属酸化物が適度な粒子径のものであるため、このような吸収バンドに対して十分な電場の増大効果が得られ、量子効率が増大させることができる。例えば、前記金属酸化物が酸化亜鉛(ZnO)である場合、3nmの粒子径のZnO量子ドットは通常のバルク体に比べて1000倍程度量子効率が増大されたものとなる。また、前記量子ドットが前記メソ多孔体の細孔の周期構造と同様の周期で配列された超格子構造を形成している場合には、量子効率が更に増大する。
また、量子型赤外線センサの性能を決めるもう一つの因子であるノイズの防止に関しても、本発明においては前記メソ多孔体として基本的には絶縁性のものを用いることから、各量子ドット間の電子移動がメソ多孔体により形成される障壁層の厚みによって制御されるため、熱エネルギーによって生じる暗電流を十分に抑え、ノイズを防止して高い性能を発揮することができる。また、本発明においては、このような障壁層の厚みを、暗電流を十分に抑えつつ信号電子を捕らえやすい最適値に制御することによって、より高い性能を発揮させることも可能となる。
このように、本発明の量子型赤外線センサにおいては、量子型赤外線センサの性能を決める量子効率とノイズとを、量子ドットのサイズ及び量子ドット間の障壁層という別々の因子で個別に制御することができるため、高感度で赤外線を検知することができ、その用途によっては室温近くの温度条件下においても動作させることが可能となるものと本発明者らは推察する。
本発明によれば、量子効果により高感度で赤外線を検知することができ、室温近くの温度条件下においても動作させることが可能な量子型赤外線センサを提供することが可能となる。
そして、本発明の量子型赤外線センサは、前記メソ多孔体の細孔を鋳型として金属酸化物により量子ドットを形成することができるため、高価な微細加工装置が不要であり、製造コストを低廉に抑えることもできる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明の量子型赤外線センサについて説明する。すなわち、本発明の量子型赤外線センサは、中心細孔直径が1.5〜5.0nmであるメソ多孔体と、該メソ多孔体の細孔内に配列された波長3〜15μmの光に対する屈折率が1.7〜2.1の範囲にある金属酸化物と、前記金属酸化物に電気的に接続されている電極とを備えること特徴とするものである。
(メソ多孔体)
本発明で用いるメソ多孔体は、中心細孔直径が1.5〜5.0nm(より好ましくは2.5〜3.5nm)である細孔(メソポアともいう)を有する多孔体である。したがって、かかるメソポアを有する多孔体であれば用いることができる。
このようなメソ多孔体の細孔の中心細孔直径が1.5nm未満ではメソポア内部で結晶成長が行えなくなり、他方、5.0nmを超えるとメソポアの周期性が劣化するため赤外吸収バンドが形成されにくくなる。
本発明で用いるメソ多孔体としては、細孔径分布曲線における最大のピークを示す細孔直径(中心細孔直径)の±40%の直径範囲に全細孔容積の60%以上が含まれているメソ多孔体を用いることが好ましい。メソ多孔体の細孔径分布曲線は、細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対しプロットした曲線をいう。細孔径分布曲線は、例えば、以下に示す気体吸着法により作成される。この方法において最もよく用いられる気体は窒素である。まず、吸着材である試料に、液体窒素温度(−196℃)で窒素ガスを導入し、その吸着量を定容量法あるいは重量法で求める。導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットすることにより吸着等温線を作成する。この吸着等温線から、例えばCranston−Inklay法、Pollimore−Heal法の計算法を用いて、上記細孔径分布を求める。
また、本発明で用いるメソ多孔体は、そのX線回折パターンにおいて、1nm以上(より好ましくは2.0〜5.0nm)のd値に相当する回折角度に1本以上のピークを持つことが好ましい。X線回折ピークはそのピーク角度に相当するd値の周期構造が試料中にあることを意味する。上記X線回折パターンは、直径1.5〜5.0nmの細孔が1nm以上の間隔で規則的に配列した構造を反映したものである。すなわち、かかる回折パターンを有するメソ多孔体は、その回折パターンの示す構造の規則性から、細孔径に均一性があるといえる。このようなd値が前記下限未満では、得られる量子型赤外線センサにおける量子ドット間の障壁層の厚みが小さくなって、暗電流を十分に制御することができず、ノイズが発生し易くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると暗電流を十分に制御することができるものの信号電子を捕らえづらくなって得られる量子型赤外線センサの性能が低下する傾向にある。
本発明で用いるメソ多孔体の細孔の形状は、3次元的に箱状の細孔が結合したものである。このような細孔の形状のメソ多孔体を用いることで、細孔内において金属酸化物を生成せしめることで量子ドットを形成させることができ、これによって高性能の量子型赤外線センサが得られる。
また、本発明で用いるメソ多孔体における細孔の配列状態(細孔配列構造)は特に制限されず、例えば、2D−ヘキサゴナルや3D−ヘキサゴナル等のヘキサゴナルの細孔配列構造を有するものであっても、キュービックやディスオーダの細孔配列構造を有するものであってもよい。ここで、シリカ系メソ多孔体がヘキサゴナルの細孔配列構造を有するとは、シリカ系メソ多孔体の細孔の配置が六方構造であることを意味する(S.Inagaki et al.,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,680,1993; S.Inagaki et al.,Bull.Chem.Soc.Jpn.,69,1449,1996; Q.Huo et al.,Science,268,1324,1995参照)。
また、メソ多孔体がキュービックの細孔配列構造を有するとは、メソ多孔体中の細孔の配置が立方構造であることを意味する(J.C.Vartuli et al.,Chem.Mater.,6,2317,1994; Q.Huo et al.,Nature,368,317,1994参照)。そして、メソ多孔体がディスオーダの細孔配列構造を有するとは、細孔の配置が不規則であることを意味する(P.T.Tanev et al.,Science,267,865,1995; S.A.Bagshaw et al.,Science,269,1242,1995; R.Ryoo et al.,J.Phys.Chem.,100,17718,1996参照)。
なお、メソ多孔体が、ヘキサゴナルやキュービック等の規則的細孔配列構造を有する場合は、細孔の全てがこれらの規則的細孔配列構造である必要はない。すなわち、メソ多孔体は、ヘキサゴナルやキュービック等の規則的細孔配列構造とディスオーダの不規則的細孔配列構造の両方を有していてもよい。しかしながら、全ての細孔のうち80%以上はヘキサゴナルやキュービック等の規則的細孔配列構造となっていることが好ましい。
また、このようなメソ多孔体としては、Si−LSI製造プロセスとの親和性の観点から、シリカ系メソ多孔体が好ましい。また、このようなメソ多孔体の組成には、シリカの他、シリカ−アルミニウム(Al)、チタニウム(Ti)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ガリウム(Ga)、ベリリウム(Be)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、バナジウム(V)、ホウ素(B)等が含まれていてもよい。
さらに、このようなメソ多孔体としては、波長3〜15μmの光に対する屈折率が1.1〜1.5のメソ多孔体を用いることが好ましい。このような屈折率が前記下限未満では、赤外域の吸収バンド形成のために5.0nm以上のナノ細孔が必要となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると1.5nm以下の細孔に量子ドットを生成することが必要となる傾向にある。
また、このようなメソ多孔体の形状は特に制限されないが、膜状のものを用いることが好ましい。以下において、このような膜状のメソ多孔体を製造するための好適な製造方法について説明する。
このような膜状のメソ多孔体を製造するための好適な製造方法としては、例えば、アルコキシシランを用いてメソ多孔体を製造する方法を挙げることができる。このようなアルコキシシランを用いる方法としては、アルコキシシランと界面活性剤の複合液を基板の上にコートし、固化せしめてメソ多孔体前駆体を形成せしめ、これを焼成する方法が挙げられる。
このようなアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランあるいは、メチルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン等が用いられる。これらの1種類あるいは2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
前記界面活性剤としては、アルキル基および親水基を有する化合物を使用する。アルキル基としては、炭素原子数2〜18のものが好ましい。親水基としては、例えば、N、NH、NO、OH、COOH、を挙げることができる。前記界面活性剤としては、具体的には、下記一般式(1)
2n+1N(CHX (1)
(式中、nは2〜18の整数であり、Xは塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化イオン、HSO又は酢酸イオン等の有機アニオンを示す。)
で表されるアルキルトリメチルアンモニウム、アルキルアルコール、脂肪酸等があるが、アルキルトリメチルアンモニウムが好ましい。
前記複合液の調製方法としては特に制限されないが、最初にアルコシキシランに少量の水(1モルのSiに対して0.5〜10モルの水)を添加し、室温で数分ないし3時間程度攪拌した後に界面活性剤を添加する調製方法を採用することが好ましい。また、この時にpH調整剤として少量の酸を添加することが好ましい。このようにして酸を添加することで各成分が溶解し、均一な溶液が調製できる傾向にある。また、前記複合液のpHは1〜4の範囲に調整することが好ましい。更に、前記酸としては希塩酸(例えば2規定)を好適に用いることができるが、硝酸や硫酸等の他の酸を用いてもよい。また、前記界面活性剤は、粉末のままで添加してもよいが、少量の水に溶解させて添加してもよい。
また、複合液中のHO/Siモル比が1〜10であることが好ましい。ここにおいて「原料中のHO/Siモル比」とは、複合液中に添加した水の総量に対するSi原料の比を示すものである。複合液中のHO/Siモル比が10を超えると、例えば、シランアルコキシドが加水分解・縮合して生成する金属酸化物の微粒子同士の隙間が大きくなり、結果として生成した金属酸化物の密度が低下する傾向にあり、他方、その比が1未満の場合には、シランアルコキシドの加水分解が起こらず、結果としてメソ多孔体が得られない傾向にある。
さらに、前記界面活性剤の添加量は、複合液中のSi1モルに対し、1〜10モルが好ましい。界面活性剤の添加量が前記上限を超えるとメソ多孔体の形成に寄与しない余剰の界面活性剤が試料中に混在する傾向にあり、他方、前記下限未満では、メソ多孔体の形成に寄与しない余剰のSiが混在し、また、シリカ層が厚くなり細孔容積が減少する傾向にある。このようにして調製された溶液を基板上にコートし、これを放置すると次第に全体が均一なまま固化し、メソ多孔体前駆体が得られる。
このような複合液を基板にコートする方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、スピンコート法、キャステイング法、ディップコート法等を採用することができる。
また、得られたメソ多孔体前駆体を焼成することで、界面活性剤を除去することができる。このような焼成による方法では、メソ多孔体前駆体を300℃から1000℃の範囲で、好ましくは400〜700℃の範囲に加熱する。加熱時間は30分以上あればよいが、完全に有機成分を除去するには1時間以上加熱するのが好ましい。また、加熱の際の雰囲気は空気を流通させればよいが、多量の燃焼ガスが発生するため、燃焼初期は窒素等の不活性ガスを流通してもよい。
また、前述のような膜状のメソ多孔体を製造するための好適な他の製造方法としては、層状シリケートを用いてメソ多孔体を合成する方法を挙げることができる。
このような合成法においては、先ず、層状シリケートを、界面活性剤を溶解させた溶媒に分散させて分散溶液を得る。
このような層状シリケートとしては、例えば、カネマイト(NaHSi・3HO)が好ましい。また、他の層状シリケートとしては、ジケイ酸ナトリウム結晶(α,β,γ,δ−NaSi)、マカタイト(NaSi 5HO)、アイアライト(NaSi17・xHO)、マガディアイト(NaSi1429・xHO)、ケニヤイト(NaSi2041・xHO)等が代表的である。また、その他の層状シリケートとしては、例えば、セピオライトのような粘土鉱物を酸の水溶液で処理して二酸化珪素以外の元素を除去した層状シリケートを使用することもできる。この場合の粘土鉱物としては、セピオライトの他にモンモリロナイト、バーミキュライト、雲母、カオリナイト、スメクタイトが代表的であるが、これらに限定することなく用いることができる。なお、層状シリケートからメソ多孔体を合成する方法においては、層状シリケートのかわりに水ガラス、珪酸ソーダ、Siアルコキシド、シリカ等を用いてもよい。
また、前記界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム、ジメチルアルキルアンモニウム、アルキルアンモニウム、ベンジルアンモニウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物あるいは水酸化物等を挙げることができる。さらに、前記溶媒としては水が好ましいが、水−アルコール混合溶媒や、その他の溶媒も用いることができる。このような溶媒中における界面活性剤の濃度は、0.05mol/L〜1mol/Lが好ましい。
また、このような溶媒中における層状シリケートの含有量としては、用いる層状シリケートの種類によっても異なるものではあるが、例えばカネマイトを用いる場合には、0.1mol/Lの界面活性剤の水溶液1000mlに対して5〜200gであることが好ましい。
次に、得られた分散溶液を基板の上にコートして30〜150℃で加熱乾燥せしめた後、550℃以上の温度で焼成、或いは塩酸/エタノール混合溶液で処理することにより、結晶中に取り込まれた界面活性剤が除去され、基板の上にメソ多孔体が生成される。なお、基板上にコートする方法としては、前述のアルコキシシランを用いる方法において説明した方法と同様の方法を採用することができる。
また、乾燥せしめる際の加熱時間としては1〜24時間程度が好ましい。また、このような加熱に際しては、加熱している間、分散溶液を撹拌するほうが好ましい。また、このような加熱乾燥に際しては、加熱開始から1〜5時間の間は分散溶液のpHを10以上に調整し、残りの加熱時間においては分散溶液のpHを10以下に調整することが好ましい。このようなpHの調整に際し、例えば層状シリケートとしてカネマイトを用いた場合には、カネマイトはアルカリ性であるため分散溶液のpHは何もしなくても10以上になるが、カネマイト以外の他の層状シリケートを用い、pHが10以上にならない場合には水酸化ナトリウム等のアルカリを添加してpHを10以上に調整することができる。このようなpHの制御により、結晶性の高いメソ多孔体を得ることができる。
さらに、前記焼成に際しては、空気、酸素、窒素等の雰囲気下で1時間以上加熱するのが好ましい。また、前記工程における前述の塩酸/エタノール混合溶液は単なる例示であり、酸/有機溶媒の組合せによる混合溶液であれば、この組み合わせ以外の酸と有機溶媒の混合溶液を用いることができる。
なお、上述のようなメソ多孔体を製造する方法においては、用いる界面活性剤の種類を変更して界面活性剤のアルキル鎖を始めとする疎水性部分の長さ等を変更することによって、得られるメソ多孔体の細孔径を制御することが可能となり、これによって本発明に用いられる中心細孔直径が1.5〜5.0nmであるメソ多孔体を製造することができる。
(金属酸化物)
本発明にかかる金属酸化物は、波長3〜15μmの光に対する屈折率が1.7〜2.1の範囲にあるものである。このような屈折率の値が前記下限未満では赤外域の吸収バンド形成のために5.0nm以上のナノ細孔が必要となり、他方、前記上限を超えると1.5nm以下の細孔に量子ドットを生成することが必要となる。
本発明に用いることができる金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化銅、酸化ニッケル、酸化鉄、酸化バナジウム、酸化チタン等が挙げられる。このような金属酸化物の中でも、化学的な安定性及び赤外域での光学特性の観点から、ZnO、InO、CuO、NiO、Feからなる群から選択される少なくとも一つが好ましい。
また、本発明にかかる金属酸化物は、前記メソ多孔体の細孔内に配列されて量子ドットを形成する。ここにいう量子ドットとは、半径1.0〜5.0nm(より好ましくは1.5〜2.5nm)の金属酸化物の微粒子をいう。そして、このような量子ドットを整然配列させることでナノメートルサイズの微小な領域に電子を閉じ込めることが可能となり十分な電場の増大効果が得られるため、得られる量子型赤外線センサの量子効率を十分に増大させることが可能となる。このような量子ドットの半径が前記下限未満ではクラスター状態となり表面効果を無視できなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると十分な量子とじ込め効果が得られにくくなる傾向にある。
(電極)
本発明にかかる電極は、前記金属酸化物に電気的に接続されるものである。このような電極としては、その形状等は特に制限されず、公知の方法で適宜製造した電極を用いることができる。また、このような電極の材料も特に制限されず、電極を構成させることが可能な公知の材料を適宜用いることができ、例えば、アルミニウム、アルミニウムシリコン合金、アルミニウムシリコン銅合金、チタン、ニッケル、コバルト、白金、金等を用いることができる。
(量子型赤外線センサ)
次に、本発明の量子型赤外線センサについて説明する。本発明の量子型赤外線センサは、前記メソ多孔体と、前記金属酸化物と、前記金属酸化物に電気的に接続されている電極とを備えるものである。
本発明の量子型赤外線センサにおいては、前記メソ多孔体を母体とし、前記メソ多孔体の細孔内において金属酸化物を生成してその細孔内に金属酸化物(量子ドット)を配列させているため、前記メソ多孔体と前記金属酸化物の屈折率の差によってメソ多孔体の細孔の周期構造に依存した特有の吸収バンドを有し、赤外線を照射することで光電流を流すことが可能となっている。
また、このような量子型赤外線センサとしては、前記金属酸化物により形成される量子ドットが前記メソ多孔体の細孔の周期構造と同様の周期で配列された超格子構造を形成していることが好ましい。このように、メソ多孔体に配列された量子ドットが超格子構造を形成すると、より高い量子効果が得られるため、より高感度で赤外線を検知することができる傾向にある。
以下、図面を参照しながら上述のような本発明の量子型赤外線センサの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の量子型赤外線センサの好適な一実施形態の構造を示す概略縦断面図である。図1に示す量子型赤外線センサ1は、基本的には、メソ多孔体11と、金属酸化物12と、電極13と、基板20と、薄膜21aと21bとを備えている。また、図1に示す量子型赤外線センサ1においては、基板20上において薄膜21aと薄膜21bに両面を挟まれてメソ多孔体11が配置されており、そのメソ多孔体11の細孔内に金属酸化物12が配列されている。更に、図1に示す量子型赤外線センサ1においては、金属酸化物12により形成される量子ドットが、メソ多孔体12の細孔の周期構造と同様の周期で配列された超格子構造を形成している。
また、図1に示す量子型赤外線センサ1においては、メソ多孔体11は2つの電極13に挟まれるようにして配置され、金属化合物12と電極13とは電気的に接続されている。このようなメソ多孔体11、金属酸化物12及び電極13には、前述のメソ多孔体、金属酸化物及び電極がそれぞれ用いられる。更に、基板20としては特に制限されず、このような量子型赤外線センサに用いられる公知の基板を適宜用いることができる。
また、薄膜21a及び薄膜21bとしては特に制限されず、例えば、量子型赤外線センサの表面保護用の膜等に用いられる材料として公知の材料により形成された薄膜(例えばUSG膜、SiN膜等)を適宜用いることができる。また、薄膜21a及び薄膜21bとしては、外部とメソ多孔体の細孔とが連通できなくなるような非多孔質の膜であることが好ましい。また、このような薄膜としては、より確実にメソ多孔体薄の細孔と外部との連通を防止するという観点から、メソ多孔体との密着性の高い膜が好ましい。また、薄膜21bは、得られる量子型赤外線センサにおいて赤外線を透過させる窓材としても機能するものであるため、基板上に形成せしめた薄膜21aよりも赤外線の透過性が高い材料により形成されたもの(例えばSiN膜)を用いることが好ましい。
このようなメソ多孔体11により形成される膜の厚みとしては、製造するセンサの構成によっても異なるものではあるが、50〜300nm程度であることが好ましい。このような膜の厚みが前記下限未満では、膜の強度不足によりクラックが生じやすく、素子の歩留まりを低下させる原因となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると膜の赤外吸収により素子性能が低下してしまう傾向にある。
薄膜21aの厚みとしては、製造するセンサの構成によっても異なるものではあるが、300〜600nm程度であることが好ましい。このような膜の厚みが前記下限未満では、基板の帯電によるバックグラウンドノイズが増大する傾向にあり、他方、前記上限を超えると膜の応力により素子部にひずみ力が加わり易くなる傾向にある。
また、薄膜21bの厚みとしては、製造するセンサの構成によっても異なるものではあるが、100〜300nm程度であることが好ましい。このような膜の厚みが前記下限未満では、結晶成長時に十分なマスクとなりえない傾向にあり、他方、前記上限を超えると膜厚が厚くなり過ぎて赤外線の透過率が低下し、得られる量子型赤外線センサの性能が低下する傾向にある。
次に、図面を参照しながら本発明の量子型赤外線センサを製造するための好適な方法を説明する。
先ず、所定の基板上に薄膜21aを形成し、薄膜21aの上にメソ多孔体11の膜を形成して、図2に示す薄膜にメソ多孔体が積層した積層体を形成せしめる。このような薄膜21aの形成方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、平坦化効果の高いSOG法やCVD法により緻密な膜を形成する方法を好適に採用することができる。また、メソ多孔体11の形成方法としては、前述のメソ多孔体を製造するための好適な製造方法を採用することができる。
次に、このようにして得られたメソ多孔体11の表面に表面保護用の薄膜21bを形成せしめ、図3に示す表面保護層形成ウエハを得る。このような表面保護用の薄膜21bを形成する方法は、上述の薄膜21aの形成方法と同様の方法を採用できる。
次いで、表面保護用の薄膜21とメソ多孔体11とをエッチングして、外部とメソ多孔体の細孔とが連通可能となるようなコンタクトホールを形成せしめ、図4に示すコンタクトホール形成ウエハを得る。
このようなエッチングに際しては、所定のステッパを用いて所定のパターン形成せしめた後、これをマスクとしてエッチングを行う方法を採用することができる。また、エッチングの方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば反応性イオンエッチングを採用することができる。このような反応性イオンエッチングを採用する場合にはエッチングガスとして、例えば、CF、CHF、CCl等を採用することができる。
このようなイオンエッチング法を用いる場合において、投入する電力の大きさ、反応中のガス圧、および反応ガスのガス流量等の諸条件は、用いる装置の種類及びエッチング行う薄膜の状態等に依存する。そして、ガス圧等が最適な条件の下では、コンタクトホールの形状は、ほぼ垂直な壁を持つ垂直性の良いものとなる。なお、エッチング処理の最終工程において、エッチング壁を保護している析出物を取り除く02アッシング処理を行うことで、側壁に着いた析出物を取り除けると共に、細孔の細孔内表面を改質させることができる。このような処理に際し、特定の処理時間をとることで前記コンタクトホールから一定距離まで改質することが可能となる。
このようにして形成される前記コンタクトホールの口径は特に制限されず、その口径が10〜50000nm程度であることが好ましい。コンタクトホールの口径が前記下限未満では、後述する原料溶液を供給する時に十分な量の供給が困難となる傾向にある。
次に、前記ウエハに形成されたコンタクトホールを原料化合物の供給口として、前記コンタクトホールからメソ多孔体11の細孔内に原料化合物を導入して前記細孔内において金属を生成させる。
このような原料化合物としては特に制限されないが、例えば、前述の金属酸化物に含有される金属の塩(例えば、塩化亜鉛(ZnCl)、硝酸亜鉛(Zn(NO))又は錯塩(例えば、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛)を好適に用いることができる。
また、このような原料化合物は水又は有機溶媒に溶解させて原料溶液として細孔内に導入することが好ましい。このような有機溶媒としては、例えばエタノール、メタノール、ジオキサン等を用いることができる。
また、メソ多孔体11の細孔内に原料化合物を導入する際には、前記コンタクトホールに前記原料溶液を注入する。このようにしてコンタクトホールに原料溶液を注入することで、ナノ細孔への毛管現象により、原料溶液がメソ多孔体の細孔内に拡散する。
前記毛管現象は、液体中に毛細管を立てると水面が管内を上昇し又は下降する現象であり、本発明においてこの現象を利用することによって、前記原料溶液をメソ多孔体の細孔内に高密度に導入することができる。
また、このような原料溶液を導入する際には、真空引きをすることが好ましい。このような真空引きをすることで、細孔内に吸着している水成分、各種ガス、有機成分等の吸着物を除去することができ、より効率よく原料溶液を細孔内に拡散させることが可能となる傾向にある。さらに、前記真空引きの際の圧力は特に制限されないが10−2torr以下とすることが好ましい。
このようにして多孔体の細孔内に原料溶液を導入した後において、熱、光、γ線等を用いて処理することによって、細孔内において金属を生成する。本発明において、原料化合物から金属を生成する方法及び条件は原料化合物の種類に応じて適宜選択されるが、熱により原料溶液の処理を行う方法を採用する場合には、例えば、空気、窒素、水素等の気流中もしくは真空中、200〜600℃で1〜5時間加熱することによって処理する方法を採用することができる。
また、光を用いて原料溶液の処理を行う方法を採用する場合には、例えば、真空脱気した後、冷却しながら高圧水銀ランプ等を用いて10分〜3時間光照射を行う方法を採用できる。また、このような光照射の際には、還元ガスとして2−プロパノール等のアルコール蒸気、水蒸気、一酸化炭素(CO)等を導入することが好ましい。このような還元ガスを導入することにより、還元ガスは異方的な拡散をするため一定方向への結晶成長をより確実に行うことが可能となる傾向にある。更に、γ線を用いて処理を行う方法を採用する場合には、真空脱気した後、1〜100時間γ線照射を行うことが好ましく、また、γ線照射に際しては一酸化炭素を導入することが好ましい。
さらに、このような熱、光、γ線等を用いて原料溶液を処理する方法の中でも、光を用いて処理する方法を用いると、金属をより均一に且つ高密度で形成させることができるので特に好ましい。また、このような光を用いて処理する方法において、前記メソ多孔体に照射する光は、紫外線であることが好ましく、その波長としては140〜360nmであることがより好ましく、200〜300nmであることが特に好ましい。このような光を照射する光源としては、前述の光源の他にUVランプ又はレーザー等を使用することができる。また、照射する光の光強度としては、1〜200mW/cm2であることが好ましく、5〜20mW/cm2であることがより好ましい。光を照射することによって、活性なHラジカルを生成することができ、このHラジカルの強い還元作用により、細孔内に導入された原料溶液中の金属イオンを0価の金属まで還元して、細孔内において金属を生成することができる。
次いで、前記ウエハのメソ多孔体11の細孔内に生成させた金属を酸化して、前記細孔内において金属酸化物を生成させる。
このような酸化の方法としては特に制限されず、例えば、熱により金属を酸化させる方法や、H等を用いて金属を酸化させる方法等を適宜採用することができる。このようにして金属酸化物12をメソ多孔体11の細孔内に配列することができ、得られる金属酸化物(量子ドット)12は、メソ多孔体11の細孔の周期構造と同様の周期で配列された超格子構造を形成する。
次に、メソ多孔体の細孔内において金属酸化物が生成された前記ウエハに電極13を形成させる(図5)。そして、このようにして電極を形成させることで、図1に示すような構造の量子型赤外線センサを得ることができる。
このような電極13を形成する方法としては特に制限されず、電極を形成せしめる公知の方法を適宜採用することができ、例えば、前述のような電極の材料を前記ウエハ上に蒸着せしめて電極材料の膜を形成させた後、所定のステッパを用いて所定のパターン形成した後、反応性イオンエッチング処理を行うことによって電極を形成する方法を採用することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
先ず、基板の上にCVD法により厚みが500nmのUSG(Undoped Silica Glass)膜を製膜した。このような基板としては、直径4インチのSi基板を用いた。
次に、前記USG膜上に、テトラメトキシシラン(TMOS)とナノ細孔形成の鋳型となる界面活性剤と水との複合液をディップコート法により均一に塗布し、これを100℃の温度条件で24時間乾燥処理した後、500℃の温度条件で2時間焼成処理して、前記USG膜上にメソ多孔体の膜を製膜した。このような界面活性剤としては、炭素数18の直鎖アルキル基を有するアルキルトリメチルアンモニウム(C18−TMA)を使用した。また、前記複合液は、前記テトラメトキシシランの添加量が前記複合液中に含有されている全SiとHOのモル比(Si:HO)が1:2となるようにし、前記界面活性剤の添加量が前記複合液中に含有されているSi1モルに対して前記界面活性剤0.1モルとなるように調製した。このようにして得られたメソ多孔体の膜は、Cubic構造で中心細孔直径が3.2nmの細孔を有するメソ多孔体の膜であった。
次いで、CVD法により、前記メソ多孔体の膜上に表面保護用のナノ細孔の無いUSG膜(厚み200nm)を製膜し、ウエハを得た。なお、このような表面保護用のUSG膜は得られる量子型赤外線センサにおいては窓材として機能する。
次に、前記ウエハにステッパを用いてパターン形成を行いった後に反応性イオンエッチング(RIE)を行い、前記ウエハの表面保護用のUSG膜とメソ多孔体の膜とを同時にエッチングして、前記ウエハに原料溶液を供給可能なコンタクトホールを形成させた。このようなパターン形成には、通常のシリコン半導体プロセスで用いるポジ型レジストをマスクとして用い、前記ステッパとしてI線ステッパ(Cannon製のFPA2500)を用いた。また、前記反応性イオンエッチングには、エッチングガスとして、CFガスを用いた。
次に、前記ウエハに形成させたコンタクトホールに原料溶液を注入し、毛管現象により前記ウエハ中のメソ多孔体の細孔内に前記硝酸亜鉛水溶液を導入した。このような原料溶液としては、0.1質量%の硝酸亜鉛水溶液を用いた。また、原料溶液を注入する際には予め細孔内を真空引き(1×10−3Torr)しておき、真空に保持した状態で原料溶液を注入して前記硝酸亜鉛水溶液を細孔内に拡散させた。更に、このようにしてメソ多孔体の細孔内に前記硝酸亜鉛水溶液を導入した後に、メタノールにより表面洗浄を行い、前記細孔内に原料溶液を保持した。
次いで、前記メソ多孔体の細孔内に原料溶液を導入させた状態で、更に24時間真空引きした後、前記細孔内に還元ガスとしてメタノールを導入し、前記ウエハ全体にUVランプ光を照射して、前記細孔内においてZn金属が生成させた。その後、焼成炉において前記細孔内において生成させたZn金属の酸化処理を500℃で2時間行い、ZnO量子ドットの形成されたウエハを製造した。なお、ZnOの量子ドット間のメソ多孔体により形成される障壁層(絶縁層)の厚みは2.5nmであった。
次に、前記ZnO量子ドットの形成されたウエハに金属アルミを厚みが400nmとなるようにして蒸着し、ポジレジストパターンを形成せしめた後、RIE処理をドライプロセスで行い、電極を配置せしめて接合面がAl/ZnO/Alとなっている量子型赤外線センサを得た。
<量子型赤外線センサの構造の確認>
上述のようにして得られた量子型赤外線センサの構造を確認するため、Zn金属を生成した段階のウエハの断面TEM観察及びZn金属を酸化処理した後のウエハの断面TEM観察を行った。得られた結果のうちZn金属を生成した段階のウエハの透過電子顕微鏡像を図6に、Zn金属を生成した段階のウエハの電子線回折パターンを図7に、Zn金属を酸化処理した後のウエハの透過電子顕微鏡像を図8に、Zn金属を酸化処理した後のウエハの電子線回折パターンを図9にそれぞれ示す。
図6に示すZn金属を生成した段階のウエハの透過電子顕微鏡像から、ナノサイズのZn金属が生成されていることが確認された。また、図9に示すZn金属を酸化処理した後のウエハの透過電子顕微鏡像の電子線回折パターンより、Zn金属がほぼ完全に酸化状態へ変化していることが確認された。
<量子型赤外線センサの特性の確認>
次に、得られた量子型赤外線センサを用いてFT−IR測定を行った。このようなFT−IR測定によって得られた光学スペクトルを示すグラフを図10に示す。
また、図10に示すFT−IR測定による光学スペクトルからも明らかなように、量子ドットの入れ物であるシリカメソ多孔体は母材がSiO2で形成されており、10μm前後に吸収帯を持っているのに対して、導入されたZnO量子ドットでは特徴的な吸収が2つ見られた。ZnO量子ドットの特徴的な吸収の一つは、5.6μmの急峻なピークであり、これがZnO量子ドットの量子効果による吸収によるものであると推察される。また、3.3μm付近においても幅のある吸収帯が存在するが、これはZnOとSiO2の接合による吸収であると推察される。このような結果から、得られた量子型赤外線センサは主に5.6μm波長の赤外線を検出する素子であることが確認された。
<赤外応答特性の試験>
完成した量子型赤外線センサの光学応答特性を測定した。すなわち、赤外光源として、温度500Kの黒体炉を用い、量子型赤外線センサの電極の両端に0.1mVの定電圧印加状態で外部からの赤外線をON−OFFして光学応答性を測定した。このような測定において、感光部の面積を10μmとし、測定温度を77Kとし、ZnO自体が可視光線に敏感なため可視光線をカットするフィルターを用いた。また、量子型赤外線センサの電極の両端絶対抵抗値を測定したところ抵抗値は約100MΩであった。このような測定の結果得られた電流と時間との関係を示すグラフを図11に示す。
図11に示す結果からも明らかなように、光誘起電流は約1pAであることが確認され、この領域においては電荷律速にならず、定常的な光電流が流れることが確認された。また、このような結果と、暗状態でのノイズと合わせて性能指数D*を見積もり、D*が1.2×1010であることが分かった。
このような結果から、本発明の量子型赤外線センサにおいては、量子ドット内への電子の閉じ込めによる電荷の増大効果と、メソ多孔体の周期構造に由来する量子ドットの超格子構造により形成される超格子バンドとにより、性能が大きく高められていることと推察され、従来のGaAs系量子井戸を用いた赤外検出素子よりも高性能を発揮できることが分かった。また、量子型赤外線センサの感光部の面積とパターンによっては、常温近くでの動作も可能である。更に、本発明の量子型赤外線センサにおいては、Si半導体プロセスと親和性の高いシリカメソ多孔体を母材とするため、メソ多孔体膜の形成プロセスおよびZnO導入部以外は従来の装置を流用して製造することが可能であり、製造コストを低く抑えることが可能となることが確認され、更には、現在、実用化が検討されている熱型の赤外イメージ素子と比しても真空封止技術を必要としないため、低廉な技術により製造できることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、高度な量子効果により高感度で赤外線を検知することができ、室温近くの温度条件下においても動作させることが可能な量子型赤外線センサを提供することが可能となる。
したがって、本発明の量子型赤外線センサは、高感度で赤外線を検知することができるため、例えば、夜間監視カメラに最適な赤外イメージ素子を形成するための基本素子等として有用である。
本発明の量子型赤外線センサの好適な一実施形態の構造を示す概略縦断面図である。 薄膜にメソ多孔体が積層した積層体の好適な一実施形態の構造を示す概略縦断面図である。 表面保護層が形成されたウエハの好適な一実施形態の構造を示す概略縦断面図である。 コンタクトホールが形成されたウエハの好適な一実施形態の構造を示す概略縦断面図である。 電極を形成されたウエハの好適な一実施形態の構造を示す概略縦断面図である Zn金属を生成した段階のウエハの透過型電子顕微鏡写真である。 Zn金属を生成した段階のウエハの電子線回折パターンの写真である Zn金属を酸化処理した後のウエハの透過型電子顕微鏡写真である。 Zn金属を酸化処理した後のウエハの電子線回折パターンの写真である。 量子型赤外線センサのFT−IR測定によって得られた光学スペクトルを示すグラフである。 量子型赤外線センサに赤外線をON−OFFして照射した際の光学応答性を測定した電流と時間との関係を示すグラフである。
符号の説明
1…量子型赤外線センサ、11…メソ多孔体、12…金属酸化物、13…電極、20…基板、21a…薄膜、21b…薄膜。

Claims (4)

  1. 中心細孔直径が1.5〜5.0nmであるメソ多孔体と、該メソ多孔体の細孔内に配列された波長3〜15μmの光に対する屈折率が1.7〜2.1の範囲にある金属酸化物と、前記金属酸化物に電気的に接続されている電極とを備えること特徴とする量子型赤外線センサ。
  2. 前記金属酸化物により形成される量子ドットが、前記メソ多孔体の細孔の周期構造と同様の周期で配列された超格子構造を形成していることを特徴とする請求項1に記載の量子型赤外線センサ。
  3. 前記金属酸化物が、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化銅、酸化ニッケル及び酸化鉄からなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項1又は2に記載の量子型赤外線センサ。
  4. 前記メソ多孔体が、シリカ系メソ多孔体であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の量子型赤外線センサ。
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