以下に本発明の実施形態の説明にあたり、請求項に記載の発明と、「発明の実施形態」との対応関係を例示するこの例は、請求項に記載されている発明をサポートする実施形態が本明細書に記載されていることを確認するためのものである。従って、「発明の実施形態」中に、発明に対応するものとして、積極的には記載されていない実施形態があったとしても、そのことは、その実施形態が、その発明に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施形態が発明に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施形態が、その発明以外の発明には対応しないものであることを意味するものでもない。
請求項1に記載の画像形成装置(例えば、図3の画像形成装置1)は、像担持体(例えば、図3の感光体ドラム12a乃至12d)上のトナー像を転写する転写手段(例えば、図3の1次転写ローラ20a乃至20d)と、この転写手段に転写電圧を印加する電源(例えば、図3の電源29)と、転写手段に印加する転写電圧を算出する転写電圧算出手段(例えば、図5の1次転写電圧算出部45)と、前記電源により前記転写手段に印加する転写電圧を、前記転写電圧算出手段による算出結果に基づいて変更する転写電圧変更手段(例えば、図5の1次転写電圧変更部46)と、前記転写電圧変更手段により前記転写手段に印加する転写電圧を変更する変更時期を設定する変更時期設定手段(例えば、図5の印刷枚数設定部47)とを備えることを特徴とする。
請求項9に記載の画像形成方法は、像担持体(例えば、図3の感光体ドラム12a乃至12d)上のトナー像を転写する転写部(例えば、図3の1次転写ローラ20a乃至20d)と、前記転写部に転写電圧を印加する電源(例えば、図3の電源29)とを備える画像形成装置(例えば、図3の画像形成装置1)の画像形成方法において、前記転写部に印加する転写電圧を算出する転写電圧算出ステップ(例えば、図7のステップS9)と、前記電源により前記転写部に印加する転写電圧を、前記転写電圧算出ステップの処理による算出結果に基づいて変更する転写電圧変更ステップ(例えば、図7のステップS10)と、前記転写電圧変更ステップの処理により前記転写部に印加する転写電圧を変更する変更時期を設定する変更時期設定ステップ(例えば、図7のステップS12)とを含むことを特徴とする。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図3は、本発明を適用した画像形成装置1の断面の概略的な機械的構成を表している。
図3に示されるように、画像形成装置1は、スキャナ部2、画像形成部3、および給紙部4により構成されている。
スキャナ部2は、原稿台にセットした原稿に光を照射し、原稿からの反射光を複数の光学部材を介して受光素子へ導き、光電変換して画像信号を画像形成部3に供給する。
画像形成部3には、プロセスカートリッジ11a、11b、11c、および11dが設けられる。プロセスカートリッジ11a、11b、11c、および11dは、それぞれ、像担持体である感光体ドラム12a、12b、12c、および12dを有し、これらの感光体ドラムに現像剤の像を形成する。
感光体ドラム12aは例えば、直径30mmの円筒状であり、図示矢印方向へ回転可能に設けられる。感光体ドラム12aの周囲には回転方向に沿って付設装置が配置される。まず、付設装置として帯電チャージャ13aが感光体ドラム12aの表面に対向して設けられる。帯電チャージャ13aは、感光体ドラム12aを一様に負(−)帯電させる。帯電チャージャ13aの下流には、帯電した感光体ドラム12aを露光して静電潜像を形成する露光装置14aが設けられる。露光装置14aは、感光体ドラム12aに、スキャナ部2から供給される画像信号に対応して光変調されたレーザービームを露光する。なお、露光装置14aは、レーザービームの代わりにLED(Light Emitting Diode)を用いてもよい。
また、露光装置14aの下流には黄色(イエロー)の現像剤を収容し、この現像剤で露光装置14aにより形成された静電潜像を反転現像する現像器15aが設けられる。さらに、感光体ドラム12aに対して当接するように被画像形成媒体である中間転写ベルト17が設置される。
感光体ドラム12aと中間転写ベルト17との当接位置よりも上流側にはクリーナ16aが設けられる。クリーナ16aは転写後の感光体上の残留トナーを除去収容する。除電ランプ(後述する図4の除電ランプ31)は感光体ドラム12aの表面電荷を一様な光照射によって除電する。これにより画像形成の1サイクルが完了し、次の画像形成プロセスにおいて、再び帯電チャージャ13aが未帯電の感光体ドラム12aを一様に帯電させる。
中間転写ベルト17は搬送方向と直交する方向(図面奥行き方向)において、感光体ドラム12aの長さ寸法とほぼ等しい長さ(幅)を有する。中間転写ベルト17は、無端状(シームレス)ベルトの形状をしており、ベルトを所定の速度で回動させる駆動ローラ18と従動ローラである2次転写対向ローラ19上に掛渡され、担持される。なお、符号27は、中間転写ベルト17を一定のテンションに保持するためのテンションローラである。
中間転写ベルト17は、カーボンが均一に分散された厚さ例えば100μmのポリイミドにより形成されている。中間転写ベルト17は10−9Ωcmの電気抵抗を有し、半導電性を示す。中間転写ベルト17の材料としては、体積抵抗値が10−8〜10−11Ωcmの半導電性を示す材料であればよい。例えば、カーボンを分散したポリイミドの他に、ポリエチレンテフタレート、ポリカーボネイト、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどにカーボンなどの導電粒子を分散させたものでもよい。導電粒子を用いず、組成調整によって電気抵抗を調整した高分子フィルムを用いてもよい。さらにはこのような高分子フィルムにイオン導電性物質を混入したもの、あるいは比較的電気抵抗が低いシリコンゴム、ウレタンゴム等のゴム材でもよい。
中間転写ベルト17上には、駆動ローラ18と2次転写対向ローラ19との間に中間転写ベルト17の搬送方向に沿ってプロセスカートリッジ11aの他、プロセスカートリッジ11b、11c、および11dが順次配置されている。各プロセスカートリッジ11b、11c、および11dは、いずれもプロセスカートリッジ11aと同じ構成を有する。
感光体ドラム12b、12c、および12dが各々のプロセスカートリッジのほぼ中心に設けられる。感光体ドラム12b、12c、および12dの表面に対向して、帯電チャージャ13b、13c、および13dがそれぞれ設けられる。帯電チャージャ13b、13c、および13dの下流には、帯電した感光体ドラム12b、12c、および12dを露光して静電潜像を形成する露光装置14b、14c、および14dが設けられる。露光装置14b、14c、および14dの下流には、露光装置14b、14c、および14dにより形成された静電潜像を反転現像する現像器15b、15c、および15dが設けられる。感光体ドラム12b、12c、および12dと中間転写ベルト17との当接位置よりも上流側には、クリーナ16b、16c、および16dが設けられる。なお、現像器15b、15c、および15dには、それぞれ、マゼンタの現像剤、シアンの現像剤、およびブラックの現像剤が収容されている。
中間転写ベルト17はそれぞれの感光体ドラム(感光体ドラム12a乃至12d)と順次当接する。この中間転写ベルト17とそれぞれの感光体ドラムとの当接位置近傍には、1次転写ローラ20a、20b、20c、および20dがそれぞれの感光体ドラムに対応して設けられる。すなわち、1次転写ローラ20a乃至20dは、対応する感光体ドラム上方で中間転写ベルト17に背面接触して設けられ、中間転写ベルト17を介してプロセスカートリッジ11a乃至11dと対向する。1次転写ローラ20a乃至20dは、電圧印加手段である正(+)の電源29の直流電源に接続されている。なお、各1次転写ローラ20a乃至20dの近傍には、各1次転写ローラ20a乃至20dに印加された電圧を検知する図示せぬ1次転写ローラ電圧検知部(図5を参照して後述する1次転写ローラ電圧検知部40)が設けられる。
また、駆動ローラ18の近傍には、中間転写ベルト17上の残留トナーを除去収容する中間転写ベルトクリーナ21が設けられる。
一方、画像形成部3の下部に用紙(転写材)を収容する給紙部4の給紙カセット23が設けられる。給紙部4には、給紙カセット23から用紙を1枚ずつピックアップするピックアップローラ24がさらに設けられる。画像形成部3の2次転写ローラ22付近には、レジストローラ対25が回転可能に設けられる。レジストローラ対25は、2次転写ローラ22と2次転写対向ローラ19が中間転写ベルト17を挟んで対峙する2次転写部へ用紙を所定のタイミングで供給する。
また、中間転写ベルト17の上部には、現像剤を用紙上に定着する定着器26が設けられる。定着器26は、トナー像を保持する用紙に所定の熱と圧力をかけて、溶融されたトナー像を用紙に定着させる。
さらに、中間転写ベルト17の下部の所定の位置には、画像形成装置1内の温度や相対湿度などの環境を検知する環境センサ28が設けられる。また、画像形成装置1の所定の場所には、画像形成装置1の各部に電力を供給する電源29が設けられる。
なお、各プロセスカートリッジ11a乃至11dは、同じ構成を有するので、以下において、個々に区別する必要がない場合、プロセスカートリッジ11と総称する。また、プロセスカートリッジ11(11a乃至11d)に設けられた各部についても同様とする。
次に、画像形成装置1のカラー画像形成動作(印刷処理)について説明する。
画像形成動作開始の指示がなされると(すなわち、印刷を開始するとの指示がなされると)、感光体ドラム12aは図示しない駆動機構から駆動力を受けて回転を始める。帯電チャージャ13aは、感光体ドラム12aを一様に例えば−600Vに帯電される。露光装置14aは、帯電チャージャ13aによって一様に帯電された感光体ドラム12に、印刷すべき画像(文字)に応じた光を照射し静電潜像を形成する。現像器15aは現像剤(イエローのYトナー+フェライトキャリア:2成分現像剤)を収容し、電源29の現像バイアス電源により、バイアス値例えば―380Vを現像スリ−ブ(図4を参照して後述する現像スリーブ35)に与え、現像電界を感光体ドラム12aとの間に形成する。負に帯電したYトナーは、感光体ドラム12aの静電潜像の画像部電位(高電位部:符号を考慮)の領域に付着する反転現像である。
次に、現像器15bはマジェンダ現像剤により静電潜像を現像し、マジェンダのMトナー像を感光体ドラム12b上に形成する。このとき、MトナーはYトナー同様数ミクロン(例えば7ミクロン)程度の平均粒径をもち、平均粒子径が60ミクロン程度のフェライト磁性キャリア粒子(図示しない)と摩擦帯電により負に帯電している。現像バイアス値は、現像器15bと同様に例えば−380V程度であり、現像スリーブ35に電源29のバイアス電源により印加する。現像電界の方向は画像部で感光体ドラム12b表面から現像スリーブ35に向かい、潜像の高電位部に負帯電Mトナーが付着する。
現像器15cはシアン現像剤により静電潜像を現像し、シアンのCトナー像を感光体ドラム12c上に形成する。このとき、CトナーはYトナー同様数ミクロン(例えば7ミクロン)程度の平均粒径をもち、平均粒子径が数10ミクロン(60ミクロン)程度のフェライト磁性キャリア粒子(図示しない)と摩擦帯電により負に帯電している。現像バイアス値は、現像器15cと同様に例えば−380V程度であり、現像スリーブ35に電源29のバイアス電源により印加する。現像電界の方向は画像部で感光体ドラム12c表面から現像スリーブ35に向かい、潜像の高電位部に負帯電Cトナーが付着する。
現像器15dはブラック現像剤により静電潜像を現像し、ブラックのBトナー像を感光体ドラム12d上に形成する。このとき、BトナーはYトナー同様数ミクロン(例えば7ミクロン)程度の平均粒径をもち、平均粒子径が数10ミクロン(例えば60ミクロン)程度のフェライト磁性キャリア粒子(図示しない)と摩擦帯電により負に帯電している。現像バイアス値は、現像器15dと同様に例えば−380V程度であり、現像スリーブ35に電源29のバイアス電源により印加する。現像電界の方向は画像部で感光体ドラム12d表面から現像スリーブに向かい、潜像の高電位部に負帯電Bトナーが付着する。
感光体ドラム12aと中間転写ベルト17,および1次転写ローラ20aにより形成される転写領域Taでは、1次転写ローラ20aには所要電圧例えば約+1000Vのバイアス電圧が印加される。1次転写ローラ20aと感光体ドラム12aとの間には転写電界が形成され、感光体ドラム12a上のYトナー像は、この転写電界に従って、中間転写ベルト17上に転写される。
1次転写ローラ20b、20c、および20dの構成は1次転写ローラ20aと基本的には同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
転写領域TaにおいてYトナー像が転写された中間転写ベルト17上の画像は転写領域Tbに向けて搬送される。転写領域Tbでは、1次転写ローラ20bに電源29の直流電源から所要電圧例えば約+1200Vのバイアス電圧を印加する事により、Yトナー像上に重ねてマゼンタのMトナー像を転写する。転写領域Tcにおいて1次転写ローラ20cに所要電圧例えば約+1400Vのバイアス電圧を印加することにより、また、転写領域Tdにおいて1次転写ローラ20dに所要電圧例えば約+1600Vの電圧を印加することにより、既に転写されている現像剤像の上に重ねてシアンの現像剤像、ブラックの現像剤像を順次多重転写する。一方、ピックアップローラ24は給紙カセット23から用紙を取り出し、レジストローラ対25は、用紙を2次転写部へ供給する。
2次転写部では、所要のバイアス電圧が2次転写対向ローラ19に印加され、中間転写ベルト17を挟んで2次転写ローラ22との間に転写電界を形成し、中間転写ベルト17上の多重カラートナー画像を用紙に一括転写する。このように一括転写された各色の現像剤像は、定着器26により用紙上に定着され、カラー画像が形成される。定着済みの用紙は胴内排紙部(図示せず)上に排出される。
図4は、図3のプロセスカートリッジ11の内部の概略的な構成を表している。
図4に示されるように、プロセスカートリッジ11は、感光体ドラム12、帯電チャージャ13、現像器15、クリーナ16などで一体的に構成されており、画像形成装置1本体に対して着脱自在となっている。
現像器15は、所定の位置で感光体ドラム12に対向して設けられる。感光体ドラム12の現像器15と対向する現像位置より回転方向下流側には、クリーナ16、除電ランプ31、および帯電チャージャ13が順に配置されている。フレッシュトナーを格納するトナーカートリッジ32は、画像形成装置1に対して着脱自在に設けられており、画像形成装置1内で現像器15と供給モータ・オーガ33を介して接続されることにより現像器15にフレッシュトナーを供給する。供給モータ・オーガ33は、トナーカートリッジ32から所定の量のトナーを現像器15に供給する。
現像器15の内部には、供給モータ・オーガ33を介してトナーカートリッジ32から供給されたトナーと、予め現像器15内に収納されたキャリアを攪拌帯電させるミキサ34−1とミキサ34−2が設けられている。現像器15内部のミキサ34−1とミキサ34−2の上部には、ミキサ34−1とミキサ34−2により攪拌帯電されてトナーとキャリアからなる2成分現像剤を現像位置に搬送するマグネット内包の現像スリーブ35が設けられる。現像器15の下部近傍には、現像器15内のトナー濃度を検知する磁気センサ36が設けられる。
制御装置37は、画像形成装置1の駆動を総括的に制御する。入力部38は、画像形成装置1の上部などに設けられており、ユーザの種々の指示を入力するための表示パネルやボタンなどの入力デバイスを有する。
なお、画像形成装置1では、例えば、感光体ドラム12の回転速度と、給紙カセット23からの用紙搬送速度が共に所要速度例えば200mm/secであり、現像スリーブ35の対感光体比2.0倍の周速で回転させ、現像剤を感光体ドラム12上の静電潜像まで搬送して像を形成させる。
図5は、図3の画像形成装置1の内部における制御系の概略的な構成を表している。
図5に示されるように、制御装置37に入力部38、環境検知部39、および1次転写ローラ電圧検知部40が接続されている。
制御装置37は、主制御部41、印刷関連データ取得部42、記憶部43、感光体ドラム表面電位設定部44、1次転写電圧算出部45、1次転写電圧変更部46、および印刷枚数設定部47、印刷枚数加算判定部48、および設定印刷枚数加算判定部49が入出力インタフェース50を介して相互に接続されて構成されている。
主制御部41は、CPU(Central Processing Unit) またはMPU(Micro Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などからなり、種々の制御信号を生成し、供給することにより画像形成装置1を総括的に制御する。
印刷関連データ取得部42は、ユーザが表示パネルやボタンなどを操作することにより入力部38から、あるいは、電気ケーブルなどを介して外部装置(図示せず)から印刷関連データを取得し、取得された印刷関連データを記憶部43のデータ記憶部51に供給する。印刷関連データには、例えば、画像や文字などを印刷する用紙(転写材)のサイズに関するデータ、印刷する画像や文字の印刷データ、および印刷枚数に関する設定印刷枚数データなどが含まれている。
記憶部43は、データ記憶部51および印刷枚数データベース52により構成されている。
データ記憶部51は、印刷関連データ取得部42から供給された印刷関連データを取得し、取得された印刷関連データを記憶する。また、データ記憶部48は、主制御部41の指示に従い、適宜、画像形成装置1の各部に記憶されている各種のデータを供給する。
印刷枚数データベース52には、予め設定された所定の電流I0を1次転写ローラ20に印加したときの電圧V0と、電圧V0から算出される適正な1次転写電圧V1(以下、「適正1次転写電圧」という。)を1次転写ローラ20に印加して印刷を実行する適正化後印刷枚数が予め対応付けて登録されている。
感光体ドラム表面電位設定部44は、帯電チャージャ13を制御し、感光体ドラム12の表面電位を所定の電位に設定する。
1次転写電圧算出部45は、1次転写ローラ電圧検知部40から供給された1次転写ローラ電圧検知信号に基づいて、適正1次転写電圧V1を算出し、算出された適正1次転写電圧V1のデータである適正1次転写電圧データを1次転写電圧変更部46に供給する。
1次転写電圧変更部46は、1次転写電圧算出部45から供給された適正1次転写電圧データを取得し、取得された適正1次転写電圧データに基づいて1次転写ローラ20に印加する1次転写電圧を適正1次転写電圧V1に変更する。
印刷枚数設定部47は、データ記憶部43の印刷枚数データベース52を読み出し、読み出された印刷枚数データベース52を参照して、1次転写ローラ電圧検知部40から供給された1次転写ローラ電圧検知信号に基づいて、電圧V0から算出される適正1次転写電圧V1を1次転写ローラ20に印加して印刷を実行する適正化後印刷枚数を設定する。印刷枚数設定部47は、設定された適正化後印刷枚数のデータである適正化後印刷枚数データをデータ記憶部51に供給する。
印刷枚数加算判定部48は、適正化後印刷枚数のうち、印刷が実行された枚数を逐次加算するとともに、データ記憶部51に記憶されている適正化後印刷枚数データを読み出し、読み出された適正化後印刷枚数データに基づいて、加算された現在の印刷枚数が印刷枚数設定部47により設定された適正化後印刷枚数の最大値であるか否かを判定し、その判定結果を主制御部41に供給する。
設定印刷枚数加算判定部49は、印刷が実行された枚数を逐次加算するとともに、データ記憶部51に記憶されている印刷関連データを読み出し、読み出された印刷関連データに含まれる設定印刷枚数データに基づいて、加算された現在の印刷枚数がユーザにより予め設定された印刷枚数の最大値であるか否かを判定し、その判定結果を主制御部41に供給する。
環境検知部39は、例えば、図3の環境センサ28などからなり、主制御部41の指示に従い、画像形成装置1内の温度や相対湿度などの環境を検知し、検知された温度や相対湿度に基づいて環境検知信号を生成し、感光体ドラム表面電位設定部44に供給する。なお、この環境検知信号には、画像形成装置1内の温度や相対湿度などの環境データが含まれている。
1次転写ローラ電圧検知部40は、1次転写ローラ20に印加された電圧を検知し、検知された電圧に基づいて1次転写ローラ電圧検知信号を生成し、1次転写電圧算出部45に供給する。
ここで、図6を参照して、1次転写ローラ20の電気抵抗値と適正な1次転写電圧の範囲の関係について説明する。
図6に示されるように、1次転写ローラ20の電気抵抗値がおよそ1.0×107Ω未満のとき(特に、3.0×106Ω以下のとき)、1次転写ローラ20の電気抵抗値が多少変動したとしても、1次転写電圧の適正な範囲はほとんど変化せず、1次転写電圧は500V乃至1000Vの範囲の値を示している。しかし、1次転写ローラ20の電気抵抗値がおよそ1.0×107Ω以上になると、1次転写ローラ20の電気抵抗値が少し変動しただけでも1次転写電圧の適正な範囲が大きく変動してしまう。
従って、1次転写ローラ20に印加する転写電圧の変更処理にあたり、1次転写ローラ20の電気抵抗値が所要の抵抗値、例えば1.0×107Ω未満である場合、良好な画像を取得するために転写電圧の変更処理を頻繁に行う必要はないが、1次転写ローラ20の電気抵抗値が所要の抵抗値、例えば1.0×107Ω以上である場合、良好な画像を取得するためには転写電圧の変更処理を頻繁に行わなければならない。
このことは、印刷開始後において1次転写ローラ20の電気抵抗値が所要の抵抗値、例えば1.0×107Ω以上になる前までは転写電圧の変更処理をそれほど頻繁に行わず、印刷開始後において1次転写ローラ20の電気抵抗値が所要の抵抗値、例えば1.0×107Ω以上になった後、良好な画像を取得するために転写電圧の変更処理を頻繁に行うようにすれば、印刷の生産性の低下を防止しつつ、好適な時期に適正な転写電圧への変更をすることができることを意味している。
具体的には、印刷枚数が例えば1000枚である場合、印刷開始時に1回転写電圧変更処理を行い、転写電圧変更処理により変更された転写電圧を印加して、1次転写ローラ20の電気抵抗値が所要の抵抗値、例えば1.0×107Ω以上になるまで転写電圧変更処理を行わずに、例えば500枚の印刷を停止することなく実行する。その後、1次転写ローラ20の電気抵抗値が所要の抵抗値、例えば1.0×107Ω以上になった場合、その後、一度に印刷する印刷枚数を200枚、100枚、50枚などと減らしながら、所定の印刷枚数が印刷される度に頻繁に転写電圧変更処理を行うようにする。このように、画像形成装置1内の環境などに合わせて、転写電圧を適正な転写電圧に変更する好適な時期を設定するようにする。以下、1次転写ローラ20の電気抵抗値と適正な1次転写電圧の範囲の関係を利用した転写電圧変更処理について説明する。
図7のフローチャートを参照して、図5の画像形成装置1における転写電圧変更処理について説明する。
ステップS1において、主制御部41は、ユーザが入力部38を操作することにより印刷を開始するとの指示がなされたか否かを判定し、ユーザが入力部38を操作することにより印刷を開始するとの指示がなされたと判定するまで待機する。
ステップS1においてユーザが入力部38を操作することにより印刷を開始するとの指示がなされたと判定された場合、印刷関連データ取得部42はステップS2で、ユーザが表示パネルやボタンなどを操作することにより入力部38から、あるいは、電気ケーブルなどを介して外部装置(図示せず)から印刷関連データを取得し、取得された印刷関連データをデータ記憶部51に供給する。データ記憶部51は、印刷関連データ取得部42から供給された印刷関連データを取得し、取得された印刷関連データを記憶する。
ステップS3において、主制御部41は、環境の検知を開始させる環境検知開始制御信号を生成し、環境検知部39に供給する。ステップS4において、環境検知部39は、主制御部41から供給された環境検知開始制御信号に基づいて、画像形成装置1内の温度や相対湿度などの環境を検知し、検知された温度や相対湿度などに基づいて環境検知信号を生成し、感光体ドラム表面電位設定部44に供給する。
ステップS5において、感光体ドラム表面電位設定部44は、環境検知部39から供給された環境検知信号に含まれる画像形成装置1内の温度や相対湿度などの環境データと、データ記憶部51に記憶されている感光体ドラム12の累積使用回転時間の積算値に基づいて、感光体ドラム12の表面電位を規定電位Vdrumにする帯電条件電位(帯電チャージャ13の電位)を算出する。
ステップS6において、感光体ドラム表面電位設定部44は、主制御部41の制御に従い、算出された帯電条件電位に基づいて帯電チャージャ13を制御し、感光体ドラム12の表面電位を規定電位Vdrumに設定する。
ステップS7において、主制御部41は、感光体ドラム12などの画像形成装置1の各部を制御し、1次転写ローラ20に所定の電流I0を印加する。ステップS8において、1次転写ローラ電圧検知部40は、1次転写ローラ20に所定の電流I0を印加したときの電圧V0を検知し、検知された電圧V0に基づいて1次転写ローラ電圧検知信号を生成し、1次転写電圧算出部45と印刷枚数設定部47に供給する。この1次転写ローラ電圧検知信号には、1次転写ローラ20に所定の電流I0を印加したときに検知された電圧V0のデータが含まれている。
ステップS9において、1次転写電圧算出部45は、主制御部41の制御に従い、1次転写ローラ電圧検知部40から供給された1次転写ローラ電圧検知信号に基づいて、[数1]に従い、1次転写ローラ20に印加する適正1次転写電圧V1を算出し、算出された適正1次転写電圧V1のデータである適正1次転写電圧データを1次転写電圧変更部46に供給する。
[数1]
V1=A×V0+B
ここで、記号AおよびBは、それぞれ、電圧V0から適正1次転写電圧V1を算出するために予め実験などにより求められた係数である。
ステップS10において、1次転写電圧変更部46は、主制御部41の制御に従い、1次転写電圧算出部45から供給された適正1次転写電圧データを取得し、取得された適正1次転写電圧データに基づいて、1次転写ローラ20に印加する1次転写電圧を適正1次転写電圧に変更する。
ステップS11において、印刷枚数設定部47は、主制御部41の制御に従い、予め設定された所定の電流I0を1次転写ローラ20に印加したときの電圧V0と、電圧V0から算出される適正な1次転写電圧V1を1次転写ローラ20に印加して印刷を実行する適正化後印刷枚数が予め対応付けて登録されている印刷枚数データベース52に管理されているデータベースを読み出す。
図8は、図5の印刷枚数データベース52に管理されているデータベースの構成例を表している。
図8の第1列目と第2列目には、「電流帯域(V)」と「印刷枚数」が記載されており、それぞれ、1次転写ローラ20に所定の電流I0を印加したときの電圧V0が含まれる電流の帯域、電圧V0から算出される適正1次転写電圧V1を1次転写ローラ20に印加して印刷を実行する適正化後印刷枚数を示している。
図8の第1行目の場合、「電流帯域(V)」は「X1〜X2(V)」であり、1次転写ローラ20に所定の電流I0を印加したときの電圧V0が含まれる電流の帯域が「X1〜X2(V)」であることを示している。「印刷枚数」は「Y1」であり、電圧V0から算出される適正1次転写電圧V1を1次転写ローラ20に印加して印刷を実行する適正化後印刷枚数が「Y1」であることを示している。
図8の第2行目の場合、「電流帯域(V)」は「X2〜X3(V)」であり、1次転写ローラ20に所定の電流I0を印加したときの電圧V0が含まれる電流の帯域が「X2〜X3(V)」であることを示している。「印刷枚数」は「Y2」であり、電圧V0から算出される適正1次転写電圧V1を1次転写ローラ20に印加して印刷を実行する適正化後印刷枚数が「Y2」であることを示している。
図8の第3行目の場合、「電流帯域(V)」は「X3〜X4(V)」であり、1次転写ローラ20に所定の電流I0を印加したときの電圧V0が含まれる電流の帯域が「X3〜X4(V)」であることを示している。「印刷枚数」は「Y3」であり、電圧V0から算出される適正1次転写電圧V1を1次転写ローラ20に印加して印刷を実行する適正化後印刷枚数が「Y3」であることを示している。
図8の第4行目の場合、「電流帯域(V)」は「X4〜X5(V)」であり、1次転写ローラ20に所定の電流I0を印加したときの電圧V0が含まれる電流の帯域が「X4〜X5(V)」であることを示している。「印刷枚数」は「Y4」であり、電圧V0から算出される適正1次転写電圧V1を1次転写ローラ20に印加して印刷を実行する適正化後印刷枚数が「Y4」であることを示している。
図8の第5行目の場合、「電流帯域(V)」は「X5〜X6(V)」であり、1次転写ローラ20に所定の電流I0を印加したときの電圧V0が含まれる電流の帯域が「X5〜X6(V)」であることを示している。「印刷枚数」は「Y5」であり、電圧V0から算出される適正1次転写電圧V1を1次転写ローラ20に印加して印刷を実行する適正化後印刷枚数が「Y5」であることを示している。
なお、図8の第2列目の「印刷枚数」の「Y1」乃至「Y5」は、具体的には、例えば100枚、200枚、300枚などであり、その枚数が多くなるにつれて、次に行われる転写電圧変更処理の時期が遅くなることを意味している。
ステップS12において、1次転写電圧変更部46は、読み出された印刷枚数データベーを参照して、1次転写ローラ電圧検知部40から供給された1次転写ローラ電圧検知信号に基づいて適正化後の印刷枚数である適正化後印刷枚数を設定する。
具体的には、図8の例の場合、1次転写ローラ20に所定の電流I0を印加したときの電圧V0が含まれる電流の帯域である「電流帯域」が「X1〜X2」であるとき、適正化後印刷枚数は「Y1」に設定される。
これにより、1次転写ローラ20に印加される適正1次転写電圧に応じて好適な印刷枚数を設定することができ、適正な転写電圧への変更の時期を設定することができる。
さらに詳しく述べると、1次転写ローラ20に所定の電流I0を印加したときの電圧V0が大きいほど、適正化後の印刷枚数が小さくなる。
印刷枚数設定部47は、設定された適正化後印刷枚数のデータである適正化後印刷枚数データをデータ記憶部51に供給する。
ステップS13において、主制御部41は、印刷の実行を開始するにあたり、印刷が実行された現在の印刷枚数Nと、適正化後の印刷枚数のうち印刷が実行された現在の適正化後印刷枚数nの初期値を、それぞれ、N=0、n=0に設定する。
ステップS14において、主制御部41は、画像形成装置1全体の駆動を制御し、印刷を実行する。すなわち、感光体ドラム12は、主制御部41の指示に従い、図示しない駆動機構から駆動力を受けて回転を始める。その後、図3を参照して説明した画像形成装置1における画像形成動作が開始され、データ記憶部51に記憶されている印刷関連データに含まれる印刷データ(印刷する画像や文字のデータ)に基づいて、印刷が実行される。
ステップS15において、設定印刷枚数加算判定部49は、主制御部41の制御に従い、印刷が実行された現在の印刷枚数Nを1だけインクリメントする。ステップS16において、印刷枚数加算判定部48は、データ記憶部51に記憶されている印刷関連データに含まれる印刷枚数に関する設定印刷枚数データを読み出し、読み出された印刷枚数に関する設定印刷枚数データに基づいて、現在の印刷枚数Nがユーザにより予め設定された印刷枚数Nの最大値であるか否かを判定する。
ステップS16において現在の印刷枚数Nがユーザにより予め設定された印刷枚数Nの最大値ではない判定された場合、印刷枚数加算判定部48はステップS17で、主制御部41の制御に従い、適正化後の印刷枚数のうち印刷が実行された現在の適正化後印刷枚数nを1だけインクリメントする。
ステップS18において、印刷枚数加算判定部48は、データ記憶部51に記憶されている適正化後印刷枚数データを読み出し、読み出された適正化後印刷枚数データに基づいて、現在の適正化後印刷枚数nが印刷枚数設定部47により設定された印刷枚数Nの最大値であるか否かを判定する。
ステップS18において現在の適正化後印刷枚数nが印刷枚数設定部47により設定された印刷枚数Nの最大値ではないと判定された場合、処理はステップS14に戻り、その後、ステップS14以降の処理が繰り返される。これにより、電圧V0から算出される適正1次転写電圧V1を1次転写ローラ20に印加し、印刷枚数設定部47により設定された適正化後印刷枚数を印刷することができる。従って、印刷枚数設定部47により設定された適正化後印刷枚数の印刷において良好な画像を取得することができる。
ステップS18において現在の適正化後印刷枚数nが印刷枚数設定部47により設定された適正化後印刷枚数nの最大値であると判定された場合、印刷枚数加算判定部48は、判定結果を主制御部41に供給する。ステップS19において、主制御部41は、印刷枚数加算判定部48から供給された判定結果(現在の適正化後印刷枚数nが印刷枚数設定部47により設定された適正化後印刷枚数nの最大値であり、設定された適正化後印刷枚数nの印刷がすべて実行されたという判定結果)に基づいて、画像形成装置1内の環境の検知を開始する環境検知開始制御信号を生成し、環境検知部39に供給する。その後、処理はステップS4に進み、ステップS4以降の転写電圧変更処理が繰り返される。
これにより、画像形成装置1内の環境や連続使用時間などにより1次転写ローラ20の電気抵抗値が変動した場合であっても、1次転写ローラ20に印加する1次転写電圧を適正な1次転写電圧である適正1次電圧に変更し、変更された適正1次転写電圧を1次転写ローラ20に印加して印刷を実行することができる。
ステップS16において現在の印刷枚数Nがユーザにより予め設定された印刷枚数Nの最大値であると判定された場合、主制御部41はステップS20で、印刷の実行を終了する。これにより、残りの印刷枚数によって次の転写電圧変更処理を行う必要がない場合、印刷の生産性を低下させる転写電圧変更処理を無駄に行わないようにすることができる。
本発明の第1の実施形態に示された画像形成装置1においては、1次転写電圧を適正1次転写電圧に変更する度に、検知された電圧V0と電圧V0から算出される適正1次転写電圧V1を印加して印刷を実行する適正化後印刷枚数が予め対応付けて登録されている印刷枚数データベースを参照して、1次転写ローラ電圧検知部40から供給された1次転写ローラ電圧検知信号に基づいて適正化後の印刷枚数である適正化後印刷枚数を設定するようにしたので、1次転写電圧の適正な範囲がそれほど変動しない場合(1次転写ローラ20の電気抵抗値がおよそ1.0×107Ω未満の場合)には、印刷の生産性を低下させることなく、比較的多くの印刷枚数の印刷を実行しつつ、良好な画像を取得することができるとともに、1次転写電圧の適正な範囲が大きく変動する場合(1次転写ローラ20の電気抵抗値がおよそ1.0×107Ω以上の場合)には、印刷の生産性の低下を防止しつつ、良好な画像を取得するために転写電圧の変更処理を頻繁に行うことができる。これにより、印刷の生産性の低下を防止しつつ、好適な時期に適正な転写電圧への変更をすることができる。
なお、図7のフローチャートを参照して説明した転写電圧変更処理においては、予め設定された所定の電流I0を1次転写ローラ20に印加したときの電圧V0と、電圧V0から算出される適正な1次転写電圧Vを1次転写ローラ20に印加して印刷を実行する適正化後印刷枚数が予め対応付けて登録されている印刷枚数データベースを参照して、適正化後印刷枚数を設定するようにしたが、1次転写ローラ電圧検知部40により検知された電圧V0から適正化後印刷枚数を算出し、算出結果に基づいて適正化後印刷枚数を設定するようにしてもよい。以下に、この場合における転写電圧変更処理について説明する。
図9は、図3の画像形成装置1の内部における制御系の他の概略的な機能的構成を表している。なお、図5の画像形成装置1の構成と対応するものについては、同一の符号を付してあり、その説明は繰り返しになるので省略する。
印刷枚数算出部61は、1次転写ローラ電圧検知部40から供給された1次転写ローラ電圧検知信号に基づいて適正化後印刷枚数を算出し、算出結果を印刷枚数設定部47に供給する。
印刷枚数設定部47は、印刷枚数算出部61から供給された算出結果を取得し、取得された算出結果に基づいて適正化後印刷枚数を設定する。印刷枚数設定部47は、設定された適正化後印刷枚数のデータである適正化後印刷枚数データをデータ記憶部51に供給する。
図10のフローチャートを参照して、図9の画像形成装置1における転写電圧変更処理について説明する。なお、図10のステップS31乃至40、およびステップS43乃至S50の処理は、図7のステップS1乃至S10、およびステップS13乃至20の処理と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
ステップS41において、印刷枚数算出部61は、1次転写ローラ電圧検知部40から供給された1次転写ローラ電圧検知信号に基づいて適正化後印刷枚数を[数2]に従い算出し、算出結果を印刷枚数設定部47に供給する。
[数2]
適正化後印刷枚数=C×D−(E×V0)
ここで、記号C、D、およびEは、それぞれ、電圧V0から適正化後印刷枚数を算出するために予め実験などにより求められた係数である。
例えば、C=1115、D=2.72、およびE=−0.0008である場合、V0=600(V)であるとき、適正化後印刷枚数は689枚となる。同様に、V0=800(V)、1200(V)、2000(V)、および3000(V)であるとき、それぞれ、適正化後印刷枚数は、587枚、426枚、224枚、および100枚となる。
ステップS42において、印刷枚数設定部47は、印刷枚数算出部61から供給された算出結果を取得し、取得された算出結果に基づいて適正化後印刷枚数を設定する。これにより、1次転写ローラ20に印加される適正1次転写電圧により好適な印刷枚数を設定することができ、適正な転写電圧への変更の時期をより好適に設定することができる。
印刷枚数設定部47は、設定された適正化後印刷枚数のデータである適正化後印刷枚数データをデータ記憶部51に供給する。
図10のフローチャートを参照して説明した転写電圧変更処理においては、1次転写電圧を適正1次転写電圧に変更する度に、検知された電圧V0に基づいて適正化後の印刷枚数である適正化後印刷枚数を算出し、算出された適正化後印刷枚数に基づいて設定するようにしたので、1次転写電圧の適正な範囲がそれほど変動しない場合(1次転写ローラ20の電気抵抗値がおよそ1.0×107Ω未満の場合)には、印刷の生産性を低下させることなく、比較的多くの印刷枚数の印刷を実行しつつ、良好な画像を取得することができるとともに、1次転写電圧の適正な範囲が大きく変動する場合(1次転写ローラ20の電気抵抗値がおよそ1.0×107Ω以上の場合)には、印刷の生産性の低下を防止しつつ、良好な画像を取得するために転写電圧の変更処理を頻繁に行うことができる。これにより、印刷の生産性の低下を防止しつつ、より好適な時期に適正な転写電圧への変更をすることができる。
なお、本発明の実施形態に示された画像形成装置1においては、1次転写ローラ20に所定の電流I0を印加したときの電圧V0を検知するようにしたが、1次転写ローラ20に所定の電圧V0を印加したときの電流I0を検知するようにしてもよい。その場合、1次転写ローラ20に所定の電圧V0を印加したときの電流I0が小さいほど、適正化後の印刷枚数(変更時期)は小さく(短く)なる。
本発明の実施形態に示された画像形成装置1においては、印刷用紙枚数をカウントするようにしたが、そのような場合限られず、印刷用紙枚数以外の、例えば、感光体ドラムの回転量(数)や駆動時間をカウントするようにしてもよい。なお、枚数、回転量、駆動時間などを総称して印刷量と呼ぶ。
また、本発明は、中間転写システムにおける1次転写ローラ20に印加する1次転写電圧に適用するようにしたが、この場合に限られず、例えば、中間転写システムにおける2次転写ローラ22に適用するようにしてもよいし、また、転写ベルト方式(転写ベルトに用紙を担持させる方式)の転写や、用紙の反対面に転写部材を設置して感光体のトナー像を転写する方式の転写にも適用するようにしてもよい。
さらに、本発明の実施形態に示された画像形成装置1においては、画像形成装置1内に設けられた環境センサ28により感光体ドラム12の表面電位を規定の電位に設定するようにしたが、例えば、帯電チャージャ13の下流側に表面電位センサを設けるようにして、感光体ドラム12の表面電位を直接検知するようにしてもよい。
また、本発明の実施形態に示された画像形成装置1においては、1次転写ローラ20に所定の電流I0を印加したときの電圧V0と、印刷枚数を印刷枚数データベース52に予め対応付けて登録するようにしているが、例えば、適正1次転写電圧V1と印刷枚数を印刷枚数データベース52に予め対応付けて登録するようにしてもよい。
なお、本発明の実施形態においては、1次転写ローラ20に印加される適正1次転写電圧に応じた印刷枚数を設定することにより、適正な転写電圧への変更の好適な時期を設定するようにしているが、このような場合に限られず、例えば、所定の適正1次転写電圧が1次転写ローラ20に印加される所定の時間を設定することにより、適正な転写電圧への変更の好適な時期を設定するようにしてもよい。
なお、本発明の実施形態では、フローチャートのステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。