JP2007231808A - 火力発電プラントのプラント効率算出装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 火力発電プラントのプラント効率を精度良く算出することである。
【解決手段】 ボイラ効率算出手段11は燃料を燃焼させるボイラのボイラ効率を損失法で算出し、タービン効率算出手段12はボイラからの蒸気で駆動される蒸気タービンのタービン効率をヒートバランス解析法で算出する。そして、プラント効率算出手段13は、ボイラ効率算出手段11で算出されたボイラ効率とタービン効率算出手段13で算出されたタービン効率とを乗算して火力発電プラントのプラント効率を算出する。
【選択図】 図1
【解決手段】 ボイラ効率算出手段11は燃料を燃焼させるボイラのボイラ効率を損失法で算出し、タービン効率算出手段12はボイラからの蒸気で駆動される蒸気タービンのタービン効率をヒートバランス解析法で算出する。そして、プラント効率算出手段13は、ボイラ効率算出手段11で算出されたボイラ効率とタービン効率算出手段13で算出されたタービン効率とを乗算して火力発電プラントのプラント効率を算出する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、火力発電プラントのプラント効率を算出する火力発電プラントのプラント効率算出装置及び方法に関する。
火力発電プラントにおいては、エネルギーの有効活用からプラント効率の管理が行われている。火力発電プラントの性能は、発電機出力/燃料発熱量・燃料使用量という入出熱法で管理されている。一方、エネルギーの多様化や採掘年数の長さから、燃料として石炭を使用する石炭火力発電プラントが注目されている。石炭火力発電プラントにおいても、エネルギーの有効活用からプラント効率の管理が行われており、発電機出力/石炭発熱量・燃料使用量という入出熱法で管理されている。
いま、石炭火力発電プラントのプラント効率をηP、石炭エネルギーをEf、発電機出力をWとすると、(1)式で石炭火力発電プラントの性能を管理している。
ηP=W/Ef …(1)
発電機出力Wは出力検出器で精度良く計測できるが、入熱量に対応する石炭エネルギーEfを精度良く把握することが難しい。石炭はその性状によって発熱量が異なり、水分の含み具合によっても発熱量が異なるので、石炭の発熱量を把握することが難しく、石炭発熱量・燃料使用量を精度良く把握することができない。つまり、石炭エネルギーEfを精度良く把握することが難しいので、その誤差も大きくなることがある。バイオマス燃料の場合も石炭と同様に、バイオマス燃料発熱量・燃料使用量を精度良く把握することができない。
発電機出力Wは出力検出器で精度良く計測できるが、入熱量に対応する石炭エネルギーEfを精度良く把握することが難しい。石炭はその性状によって発熱量が異なり、水分の含み具合によっても発熱量が異なるので、石炭の発熱量を把握することが難しく、石炭発熱量・燃料使用量を精度良く把握することができない。つまり、石炭エネルギーEfを精度良く把握することが難しいので、その誤差も大きくなることがある。バイオマス燃料の場合も石炭と同様に、バイオマス燃料発熱量・燃料使用量を精度良く把握することができない。
一方、ボイラ効率ηBとタービン効率ηTとをそれぞれ求めて、これらを乗算してプラント効率をηPを入出熱法で求めることも考えられる。ボイラ効率ηBは(2)式で示され、タービン効率(タービン室効率)ηTは(3)式で示される。なおEsはボイラで発生した蒸気エネルギー、WTはタービン出力である。
ηB=Es/Ef …(2)
ηT=WT/Es …(3)
すなわち、ボイラ効率ηBは、(2)式に示すように、ボイラで発生した蒸気エネルギーEsを燃料エネルギーである石炭エネルギーEfで除算して求められ、タービン効率ηTは、(3)式に示すように、タービン出力WTをタービンに流入する蒸気エネルギーEsで除算して求められる。そして、(2)式のボイラ効率ηBと(3)式のタービン効率ηTとを乗算して、(1)式のプラント効率をηPを得る。
ηT=WT/Es …(3)
すなわち、ボイラ効率ηBは、(2)式に示すように、ボイラで発生した蒸気エネルギーEsを燃料エネルギーである石炭エネルギーEfで除算して求められ、タービン効率ηTは、(3)式に示すように、タービン出力WTをタービンに流入する蒸気エネルギーEsで除算して求められる。そして、(2)式のボイラ効率ηBと(3)式のタービン効率ηTとを乗算して、(1)式のプラント効率をηPを得る。
蒸気エネルギーEsは、(4)式に示すように、蒸気流量Qsと蒸気のエンタルピーhsとを乗算して求められる。
Es=Qs・hs …(4)
蒸気のエンタルピーhsは蒸気温度及び蒸気圧力に基づいて算出されるので、比較的精度の良い値が得られる。一方、蒸気流量Qsは流量検出器で検出された値を使用しており、この蒸気流量Qsの検出精度は良くない。従って、蒸気エネルギーEsは誤差が大きくなることがある。
蒸気のエンタルピーhsは蒸気温度及び蒸気圧力に基づいて算出されるので、比較的精度の良い値が得られる。一方、蒸気流量Qsは流量検出器で検出された値を使用しており、この蒸気流量Qsの検出精度は良くない。従って、蒸気エネルギーEsは誤差が大きくなることがある。
ここで、火力発電プラントの各機器について熱入出力に関する計測を行い、得られた計測データの中で高精度と認められるデータに基づいて当該機器についてのヒートバランス計算を行い、高精度計測データおよびヒートバランスを基準値として低精度と認められる計測データの収束計算を行い、これによりプラント全体のヒートバランスを決定するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−229820号公報
しかし、特許文献1のものは、予め求めた機器の性能が熱効率に与える寄与度と決定されたヒートバランスとに基づいて、熱効率劣化要因機器を特定するものであり、燃料として、性状により発熱量が異なる石炭やバイオマス燃料を使用する火力発電プラントのプラント効率を精度良く算出するようにしたものではない。
前述したように、性状により発熱量が異なる燃料を使用する火力発電プラントのプラント性能(=発電機出力/燃料発熱量・燃料使用量)は、燃料発熱量・燃料使用量のばらつきが大きいので、精度良く把握することができない。
図5は、石炭火力発電プラントの運転時間の経過に沿って(1)式に基づいて計算したプラント効率のグラフである。石炭火力発電プラントのプラント効率の設計値を時点T0に示しており、約(A1+3.25)%である。そして、運開時の時点T1で(1)式に基づいてプラント効率を計算すると約(A1+0.49)%、さらに時間が経過した時点T2で計算すると約(A1+1.4)%、さらに時間が経過した時点T3で計算すると約(A1+2.35)%となる。時点T1からプラント効率ηPが向上するという特性となっており、運転を継続した後の方がプラント効率ηPがいいという結果であり、このようなことは実際には起こりえない。
図6は、蒸気タービンを構成する各タービン、すなわち、高圧蒸気タービン、中圧蒸気タービン、低圧蒸気タービンのタービン内部効率をヒートバランス法によって求めたグラフである。図6に示すように、高圧蒸気タービンの内部効率ηHP、中圧蒸気タービンの内部効率ηIP、低圧蒸気タービンの内部効率ηLP はいずれも時点T0の設計値と比較して各時点T1〜T3で3〜5%程度低下しており、こちらの方が実際の結果に近い。
高圧蒸気タービンの内部効率ηHP、中圧蒸気タービンの内部効率ηIP、低圧蒸気タービンの内部効率ηLP は基本的に(5)式により算出する。hinはタービン入口の蒸気のエンタルピー、houtはタービン出口の蒸気のエンタルピー、hadは断熱変化時のタービン出口の蒸気のエンタルピーである。
η=(hin−hout)/(hin−had) …(5)
図7は、タービン入口圧力Pin及びタービン出口圧力Poutをパラメータとしたときのエンタルピーhとエントロピーsとの特性図である。F1(Pin)はタービン入口圧力特性曲線、F2(Pout)はタービン入口圧力特性曲線であり予め計算で求められている。
図7は、タービン入口圧力Pin及びタービン出口圧力Poutをパラメータとしたときのエンタルピーhとエントロピーsとの特性図である。F1(Pin)はタービン入口圧力特性曲線、F2(Pout)はタービン入口圧力特性曲線であり予め計算で求められている。
いま、タービン入口のエンタルピーがhinでありタービン出口のエンタルピーがhoutであるとする。このときの断熱変化時のタービン出口のエンタルピーhadは、図7に示すように、タービン入口のエントロピーとタービン出口のエントロピーとがs1で同一あるときのタービン出口のエンタルピーとなる。
hinはタービン入口蒸気圧力及びタービン入口蒸気温度から計算可能であり、houtはタービン出口蒸気圧力及びタービン出口蒸気温度から計算可能である。ただし、低圧タービンに関してはタービン出口蒸気の乾き度等が必要になる。hadはタービン入口蒸気圧力、タービン入口蒸気温度、タービン出口蒸気圧力等圧線F2(Pout)から計算可能である。従って、タービン入口蒸気圧力及びタービン入口蒸気温度、タービン出口蒸気圧力及びタービン出口蒸気温度、そして、低圧タービンに関してはタービン出口蒸気の乾き度が分かれば、そのタービンの内部効率ηは計算で求めることができる。
なお、低圧タービンについては、タービン出口蒸気乾き度を検出する検出器が設けられていないので、発電機出力Wに見合うようにヒートバランス計算により低圧蒸気タービンの内部効率ηLP を算出する。
このように、(5)式で計算した高圧蒸気タービンの内部効率ηHP、中圧蒸気タービンの内部効率ηIP、低圧蒸気タービンの内部効率ηLP は、設計値と比較して低い値でほぼ安定して推移している。これに対して、(1)式で計算したプラント効率ηP は時間の経過とともに向上したという結果は、石炭発熱量・燃料使用量(石炭エネルギーEf)のばらつきや蒸気流量Qsのばらつきが原因であると考えられる。
本発明の目的は、火力発電プラントのプラント効率を精度良く算出できる火力発電プラントのプラント効率算出装置及び方法を提供することである。
請求項1の発明に係わる火力発電プラントのプラント効率算出装置は、ボイラのボイラ効率を損失法で算出するボイラ効率算出手段と、前記ボイラからの蒸気で駆動される蒸気タービンのタービン効率をヒートバランス解析法で算出するタービン効率算出手段と、前記ボイラ効率算出手段で算出されたボイラ効率と前記タービン効率算出手段で算出されたタービン効率とを乗算して火力発電プラントのプラント効率を算出するプラント効率算出手段とを備えたことを特徴とする。
請求項2の発明に係わる火力発電プラントのプラント効率算出装置は、請求項1の発明において、前記火力発電プラントは、燃料としてボイラで石炭を燃焼させる石炭火力発電プラントであることを特徴とする。
請求項3の発明に係わる火力発電プラントのプラント効率算出装置は、請求項1または2の発明において、前記タービン効率算出手段は、蒸気タービンの入口出口のエンタルピーに基づいてタービン効率を計算することを特徴とする。
請求項4の発明に係わる火力発電プラントのプラント効率算出方法は、ボイラのボイラ効率を損失法で算出し、前記ボイラからの蒸気で駆動される蒸気タービンのタービン効率をヒートバランス解析法で算出し、算出されたボイラ効率と算出されたタービン効率とを乗算して火力発電プラントのプラント効率を算出することを特徴とする。
本発明によれば、ボイラ効率を入出熱法よりも精度の良い損失法で算出するとともに、蒸気タービンのタービン効率を入出熱法よりも精度の良いヒートバランス解析法で算出して、これら算出されたボイラ効率とタービン効率とを乗算してプラント効率を算出するので、火力発電プラントのプラント効率の精度が向上する。特に、性状により発熱量が異なる燃料を使用する火力発電プラントのプラント効率の精度が向上する。従って、火力発電プラントの性能管理の精度が向上し的確なメンテナンスができる。また、的確なメンテナンスができることからプラント効率を向上させることができ、同じ発電出力を得るのに燃料を削減でき、火力発電プラントの運転のコストを下げることができる。
図1は本発明の実施の形態に係わるプラント効率算出装置のブロック構成図である。以下、性状により発熱量が異なる燃料を使用する火力発電プラントとして、石炭火力発電プラントを例にとりプラント効率の管理を説明する。
図1において、ボイラ効率算出手段11は、石炭エネルギーEf及び煙突から出て行く排出エネルギーEc を入力し、燃料として石炭を燃焼させるボイラのボイラ効率ηBを損失法で算出するものである。なお、石炭エネルギーEf及び煙突から出て行く排出エネルギーEc は別の演算手段で算出して求めたものを用いる。損失法によるボイラ効率ηBは(6)式で算出される。
ηB=(Ef−Ec)/Ef=1−Ec/Ef …(6)
Efは石炭エネルギー、Ec は主に煙突から出て行く損失エネルギーである。(6)式から分かるように、ボイラ効率ηBはボイラの燃焼排ガスによる熱損失の割合(Ec/Ef )を100%から差引いて求められる。
Efは石炭エネルギー、Ec は主に煙突から出て行く損失エネルギーである。(6)式から分かるように、ボイラ効率ηBはボイラの燃焼排ガスによる熱損失の割合(Ec/Ef )を100%から差引いて求められる。
煙突から出て行く排出エネルギーEc は計算で比較的精度良く算出でき、また、燃焼排ガスによる熱損失の割合(Ec/Ef )は、通常、石炭エネルギーEf全体の10%以下である。従って、燃焼排ガスによる熱損失の割合(Ec/Ef )がボイラ効率ηBに与える影響は比較的小さく、石炭エネルギーEfの精度が良くない場合であっても、ボイラ効率ηBを精度良く算出できる。このように、本発明の実施の形態では、精度の良い損失法でボイラ効率ηBを算出する。
図2は損失法で算出したボイラ効率ηB1と入出熱法で算出したボイラ効率ηB2とのグラフである。石炭火力発電プラントのボイラ効率の設計値を時点T0に示しており、約(X1+5.75)%である。損失法で算出したボイラ効率ηB1は、運開時の時点T1で約(X1+6.7)%、さらに時間が経過した時点T2で約(X1+6.7)%、さらに時間が経過した時点T3で約(X1+6.4)%であり、設計値と比較して多少高めの値で安定して推移している。運開時の時点T1では設計値より多少高めの値であり多少向上して、時点T2からボイラ効率ηB1が多少低下するという特性となっている。
一方、入出熱法で算出したボイラ効率ηB2は、運開時の時点T1で約(X1+1.5)%、さらに時間が経過した時点T2で約(A1+1.3)%、さらに時間が経過した時点T3で約(A1+1)%となる。運開時の時点T1からボイラ効率ηB1は設計値よりもかなり低い値で推移する特性となっている。
通常、運転を開始して直後にボイラ効率ηBがその設計値から大きく低下することは実際には起こりえないことであるので、設計値よりもやや大きい損失法で算出したボイラ効率ηB1の方が入出熱法で算出したボイラ効率ηB2より、真値に近い値を示していると判断できる。
次に、タービン効率算出手段12は、タービン入口の蒸気のエンタルピーhin及びタービン出口の蒸気のエンタルピーhoutを入力し、ボイラからの蒸気で駆動される蒸気タービンのタービン効率ηTをヒートバランス解析法で算出するものである。なお、タービン入口の蒸気のエンタルピーhin及びタービン出口の蒸気のエンタルピーhoutは別の演算手段で算出して求めたものを用いる。タービン入口の蒸気のエンタルピーhinはタービンの入口蒸気温度及び入口蒸気圧力に基づいて精度良く計算で求めることができ、タービン出口の蒸気のエンタルピーhoutもタービンの出口蒸気温度及び出口蒸気圧力に基づいて精度良く計算で求めることができる。
ヒートバランス解析法では、流量検出器の検出精度が良くない蒸気流量Qsを検出精度の良いプロセス量を用いて算出し、最終的に精度の良いタービン効率ηTを求める。タービン効率ηTは(3)式で示されるように、ηT=WT/Es である。また、蒸気タービンに流入する蒸気エネルギーEsは(4)式で示される。(4)式の蒸気のエンタルピーhsはタービンに流入する蒸気であるので、hs=hinである。従って、(4)式のhsにhinを代入すると(7)式が得られる。
Es=Qs・hin …(7)
この(7)式の蒸気流量Qsは、流量検出器の検出精度が良くないので、(8)式及び(9)式により蒸気流量Qsを計算で求める。
この(7)式の蒸気流量Qsは、流量検出器の検出精度が良くないので、(8)式及び(9)式により蒸気流量Qsを計算で求める。
WT=Qs・(hin−hout) …(8)
Qs=WT/(hin−hout) …(9)
この(7)式で求めた蒸気流量Qsを(7)式に代入して蒸気タービンに流入する蒸気エネルギーEsを求めると、(10)式となる。
Qs=WT/(hin−hout) …(9)
この(7)式で求めた蒸気流量Qsを(7)式に代入して蒸気タービンに流入する蒸気エネルギーEsを求めると、(10)式となる。
Es=WT・{hin/(hin−hout)} …(10)
そして、この(10)式で得られた蒸気タービンに流入する蒸気エネルギーEsを(3)式に代入し、タービン効率ηTを求めると、(11)式となる。
そして、この(10)式で得られた蒸気タービンに流入する蒸気エネルギーEsを(3)式に代入し、タービン効率ηTを求めると、(11)式となる。
ηT=(hin−hout)/hin …(11)
このように、ヒートバランス解析法を用いて、精度が良くない蒸気流量Qsを検出精度の良いプロセス量を用いて算出して最終的に精度の良いタービン効率ηTを求めるには、タービン入口の蒸気のエンタルピーhin及びタービン出口の蒸気のエンタルピーhoutを入力し、(11)式を用いて計算する。これにより、精度の良いタービン効率ηTを得ることができる。
このように、ヒートバランス解析法を用いて、精度が良くない蒸気流量Qsを検出精度の良いプロセス量を用いて算出して最終的に精度の良いタービン効率ηTを求めるには、タービン入口の蒸気のエンタルピーhin及びタービン出口の蒸気のエンタルピーhoutを入力し、(11)式を用いて計算する。これにより、精度の良いタービン効率ηTを得ることができる。
以上の述べたモデルは、タービン抽気等を考慮しない単純化したモデルであるが、タービン抽気を無視できない場合には、タービン抽気分の蒸気量を考慮に入れることになる。その場合は、多少複雑な計算をすることになる。
図3はヒートバランス解析法で算出したタービン効率(タービン室効率)ηT1と入出熱法で算出したタービン効率ηT2とのグラフである。石炭火力発電プラントのタービン室効率の設計値を時点T0に示しており、約(X2+2.84)%である。ヒートバランス解析法で算出したタービン効率ηT1は、運開時の時点T1で約(X2+1.10)%、さらに時間が経過した時点T2で約(X2+1.20)%、さらに時間が経過した時点T3で約(X2+1.12)%であり、運開時からタービン効率ηT1が多少低下するという特性となっている。
一方、入出熱法で算出したタービン効率ηT2は、時点T0から所定時間経過後の時点T1で約(X2+2.81)%、さらに時間が経過した時点T2で約(X2+2.80)%、さらに時間が経過した時点T3で約(X2+2.55)%であり、設計値と比較してタービン効率ηT2はほぼ同じ値で推移するという特性となっている。
図6に示す高圧タービン効率、中圧タービン効率、低圧タービン効率は、設計値よりかなり低いため、タービン室効率を設計値より低いと考えられることから、ヒートバランス解析法で算出したタービン効率(タービン室効率)ηT1が入出熱法で算出したタービン効率(タービン室効率)ηT2より、真値に近い値を示していると判断できる。
プラント効率算出手段13は、ボイラ効率算出手段11で損失法で算出したボイラ効率ηBと、タービン効率算出手段12でヒートバランス解析法で算出されたタービン効率ηTとを入力し、これらボイラ効率ηBとタービン効率ηTとを乗算して石炭火力発電プラントのプラント効率ηPを算出する。そして、例えば、表示装置やプリンタ等の出力装置14に出力する。
図4は、本発明の実施の形態で求めたプラント効率ηP1と従来例で求めたプラント効率ηP2とのグラフである。なお、従来例で求めたプラント効率ηP2は図5に示したグラフと同じである。前述したように、従来例で求めたプラント効率ηP2は、運開時から急激に低下して、時点T1からボイラ効率ηB1が多少低下するという特性となっている。
一方、本発明の実施の形態で求めたプラント効率ηP1は、設計値である時点T0、運開時の時点T1で約(A1+2.2)%、さらに時間が経過した時点T2で約(A1+2.3)%、さらに時間が経過した時点T3で約(A1+2.05)%となる。設計値と比較してプラント効率ηP がやや低い値で推移する特性となる。
従来例では、設定値と比較して運開時はかなり低いプラント効率であり、そこから時間とともに急激に上昇するということは、実際には起こりえないことであるので、本発明の実施の形態によるプラント効率ηP の方が従来例で求めたプラント効率ηPより、真値に近い値を示していると判断できる。
本発明の実施の形態によれば、ボイラ効率ηBは誤差の大きい石炭発熱量・燃料使用量の影響を受けにくい損失法で計算し、また、タービン効率ηTは誤差の大きな蒸気流量Qsを算出してヒートバランス解析法でタービン効率ηTを算出するので、ボイラ効率ηB及びタービン効率ηTともに精度が向上し、これら精度が向上したボイラ効率ηB及びタービン効率ηTを乗算してプラント効率ηP を求めるので、得られたプラント効率ηP も精度が向上する。これにより、火力発電プラントの性能管理の精度が向上し的確なメンテナンスができ、さらには燃料の削減が可能となりコストダウンも図ることができる。
以上の説明では、性状により発熱量が異なる燃料を使用する火力発電プラントとして、石炭火力発電プラントについて説明したが、バイオマス燃料を使用する火力発電プラントや、石油や天然ガスを燃料として使用する火力発電プラントにも適用できる。
11…ボイラ効率算出手段、12…タービン効率算出手段、13…プラント効率算出手段、14…出力装置
Claims (4)
- ボイラのボイラ効率を損失法で算出するボイラ効率算出手段と、前記ボイラからの蒸気で駆動される蒸気タービンのタービン効率をヒートバランス解析法で算出するタービン効率算出手段と、前記ボイラ効率算出手段で算出されたボイラ効率と前記タービン効率算出手段で算出されたタービン効率とを乗算して火力発電プラントのプラント効率を算出するプラント効率算出手段とを備えたことを特徴とする火力発電プラントのプラント効率算出装置。
- 前記火力発電プラントは、燃料としてボイラで石炭を燃焼させる石炭火力発電プラントであることを特徴とする請求項1記載の火力発電プラントのプラント効率算出装置。
- 前記タービン効率算出手段は、蒸気タービン入口の蒸気のエンタルピー及び蒸気タービン出口の蒸気のエンタルピーに基づいてタービン効率を計算することを特徴とする請求項1または2記載の火力発電プラントのプラント効率算出装置。
- ボイラのボイラ効率を損失法で算出し、前記ボイラからの蒸気で駆動される蒸気タービンのタービン効率をヒートバランス解析法で算出し、算出されたボイラ効率と算出されたタービン効率とを乗算して火力発電プラントのプラント効率を算出することを特徴とする火力発電プラントのプラント効率算出方法。
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