JP2007222097A - 固定化酵素配合物および固定化酵素の製造方法 - Google Patents

固定化酵素配合物および固定化酵素の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 有機溶媒下、または無溶媒下における酵素触媒を用いた有機合成反応においても高い活性を維持した有用な固定化酵素触媒配合物を提供する。
【解決手段】 両親媒性でかつエチレン性不飽和結合を2個以上有する化合物(A)、エチレン性不飽和結合を有する非水溶性単量体(B)、酵素水溶液(C)、及び前記酵素の有するアミノ酸残基と反応性を有する官能基及びエチレン性不飽和結合を有する単量体(D)を含んでなる固定化酵素配合物および固定化酵素の製造方法に関する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、固定化酵素配合物及び固定化酵素の製造方法に関する。
生体触媒である酵素は温和な反応条件(低温、中性付近pH、水中など)で種々の有機反応を触媒することが知られている。また、自然界において加水分解反応を触媒する加水分解酵素は、有機溶媒の存在下、または無溶剤下において、結合生成反応を触媒することが広く知られている。このように酵素触媒を利用した有機合成反応は環境低負荷型の反応様式として工業的利用への関心が高まってきている。
このような酵素触媒反応において、酵素触媒の使用方法として酵素粉末、または酵素水溶液をそのまま用いることは可能であるが、生成物の単離や精製、酵素の再利用といった面から不溶性担体への酵素を固定化した固定化酵素の利用は非常に有効な手段である。
酵素の固定化法として、1)予め調整された固定化用担体へ物理吸着、イオン結合、共有結合等による固定化法、および2)酵素を溶解、または懸濁させた樹脂を硬化することによる包括法による固定化法が一般に知られている(例えば非特許文献1参照)。
包括法による固定化は、担体の調整(硬化)と同時に酵素を固定化できる利点があり、また、他の固定化法に比べ安価に調整できるといった利点も有する。包括法としては、一般に、酵素を含有したアルギン酸ナトリウム水溶液を塩化カルシウム水溶液中へ滴下することによりゲル化させる固定化方法、アクリルアミドやヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの親水性モノマーと酵素水溶液(または懸濁液)を均一に混合してそのままラジカル重合することによる固定化法などが公知である。また、固定化する酵素の脱離を抑制し、かつ基質の透過性低下の抑制を改良した固定化法も提案されている(例えば特許文献1、特許文献2および非特許文献2)。
包括法により得られる固定化酵素は、通常含水ゲル状の形態として調整される。そのために加水分解酵素を固定化した固定化酵素触媒を利用して、有機溶媒下または無溶媒下における有機合成反応に用いる場合では、可逆反応における加水分解反応を抑制するために(含水)固定化酵素を予め乾燥して用いるか反応中に脱水操作により乾燥する必要がある。
しかしながら、乾燥した固定化酵素は収縮によりゲル内部に形成していた細孔の崩壊により著しい基質透過性の低下を引き起こし、固定化酵素の活性の著しい低下を引き起こすという問題がある。
特開昭52−66681号公報 特開昭52−110888号公報
V. M. Balcao, A. L. Paiva, F. X. Malcata, Enzyme Microb. Technol., 第18巻, 第392−416頁, 1996年 A. Tanaka, N. Hagi, G. Gellf, S. Fukui, Agric. Biol. Chem., 第44巻, 第2399−2405頁, 1980年
本発明によって解決しようとする課題は、有機溶媒下、または無溶媒下における酵素触媒を用いた有機合成反応においても高い活性を維持した有用な固定化酵素触媒配合物を提供することである。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、両親媒性でかつ末端にエチレン性不飽和結合を有する化合物とエチレン性不飽和結合を有する非水溶性単量体からなる樹脂組成物を用いて酵素触媒を固定化することにより、有機溶媒下または無溶媒下においても高い活性を維持した固定化酵素触媒が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、両親媒性でかつエチレン性不飽和結合を2個以上有する化合物(A)、エチレン性不飽和結合を有する非水溶性単量体(B)、酵素水溶液(C)、及び前記酵素の有するアミノ酸残基と反応性を有する官能基及びエチレン性不飽和結合を有する単量体(D)を含んでなる固定化酵素配合物に関するものである。
また本発明は、前記の固定化酵素配合物にラジカル重合開始剤(E)を混合し、ラジカル重合することを特徴とする固定化酵素の製造方法に関する。
本発明の固定化酵素配合物を用いて製造された固定化酵素は非常に酵素活性が高く,エステル合成反応に有用な固定化酵素を得ることができる。
次に、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明は、両親媒性かつエチレン性不飽和結合を2個以上有する化合物(A)(以下、両親媒性化合物(A)という)、エチレン性不飽和結合を有する非水溶性単量体(B)、酵素水溶液(C)、及び前記酵素の有するアミノ酸残基と反応性を有する官能基及びエチレン性不飽和結合を有する単量体(D)を含む固定化酵素配合物である.
<両親媒性化合物(A)>
本発明に用いる両親媒性化合物は、末端官能基がラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有し,両親媒性を示す化合物である。かかる両親媒性化合物として、例えばグリコールなどを重合開始剤としてプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドを付加重合してなる両親媒性トリブロック共重合体の両末端ヒドロキシル基に種々のエチレン性不飽和結合を導入した化合物が挙げられる。
またトリブロック共重合体の官能基数は使用する重合開始剤の官能基数に依存しており、通常2〜6程度のものが使用可能である。
両親媒性化合物(A)の具体例としては、(a)両親媒性トリブロック共重合体の両末端ヒドロキシル基に(メタ)アクリル酸を縮合したエステル化合物、(b)両親媒性トリブロック共重合体の両末端ヒドロキシル基に(メタ)アクリロイロキシエチルイソシアネートを付加したウレタン化合物、(c)両親媒性トリブロック共重合体の両末端ヒドロキシル基に種々のジイソシアネート化合物を付加して得られるイソシアネート末端プレポリマーに(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルを付加したウレタンアクリレート化合物等が挙げられる。
<エチレン性不飽和結合を有する非水溶性単量体(B)>
本発明に用いる非水溶性単量体(B)としては、特に限定されず、種々のエチレン性不飽和結合を有する非水溶性単量体を挙げることができる。例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピルなどの(メタ)アクリル酸アルキル、スチレン、(メタ)アクリルニトリル、酢酸ビニルなどが挙げられる。これら単量体を単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。
さらに、必要に応じてエチレン性不飽和結合を2以上有する多官能の非水溶性単量体を併用して用いてもよい。かかる多官能の非水溶性単量体としては、例えば二官能性単量体として、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレンジメタクリレート、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
非水溶性単量体(B)に対する両親媒性でかつエチレン性不飽和結合を2個以上有する化合物(A)の使用量は、酵素水溶液中で安定に乳化していれば特に制限はないが、通常重量比で、75/25〜5/95であることが好ましい。
<酵素水溶液(C)>
本発明に用いる酵素水溶液(C)は、目的とする反応を触媒する酵素を含む水溶液であれば制限を受けない。特に、酵素を触媒として用いたエステル化反応は穏和な条件で反応できる点で大変興味深い。
エステル化反応を触媒する酵素として、加水分解酵素が挙げられる。特に、カルボキシル基(例えば、エステル結合やペプチド結合)に作用するものが、酵素反応機構上好ましい。かかる加水分解酵素としては、例えば、国際生化学・分子生物学連合(International Union of Biochemistry and Molecular Biology (IUBMB))によって定義される酵素番号(Enzyme Commission Number)EC3.1群に分類されるカルボキシエステラーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、ホスホリパーゼ、アセチルエステラーゼ、コレステロールエステラーゼ、モノアシルグリセロールリパーゼ、ラクトナーゼ、リポプロテインリパーゼ等のエステル加水分解酵素、EC3.4群に分類されるアミノペプチダーゼ、キモトリプシン、トリプシン、ズブチリシン等のペプチド結合に作用する加水分解酵素等を挙げることができる。
上記の加水分解酵素のうち、EC3.1群に分類されるエステル加水分解酵素は、酵素本来の機能であるエステル加水分解反応の触媒作用を行うだけでなく、エステル加水分解反応の逆反応である種々のエステル化反応をも効率よく行う点、反応効率および収率も良い点からエステル加水分解酵素を用いることが好ましい。
エステル加水分解酵素としては、次の酵素を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
すなわち、エステル加水分解酵素の一種であるリパーゼとしては、例えばアスペルギルス(Aspergillus oryzae)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、バシラス(Bacillus)属、カンジダ(Candida)属、クロモバクター(Chromobacter)属、フザリウム(Fusarium)属、フミコラ(Humicola)属、ハイフォザイマ(Hyphozyma)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、リゾムーコル(Rhizomucor)属、リゾプス(Rhizopus)属、またはテルモマイセス(Thermomyces)属の微生物から得られるリパーゼが挙げられる。更に、植物種子から得られるリパーゼ、動物組織から得られるリパーゼ、さらにパンクレアチン、ステアプシン等を挙げることができる。
またエステル加水分解酵素の一種であるクチナーゼとして、例えばアスペルギルス(Aspergillus)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、アルテルナリア(Alternaria)属、フザリウム(Fusarium)属、ヘルミントスポルム(Helminthosporum)属、フミコラ(Humicola)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、リゾクトニア(Rhizoctonia)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、またはウロクラジウム(Ulocladium)属の微生物から得られるものが挙げられる。
また、酵素水溶液としては,市販の酵素粉末を水に溶解して用いてもよい。このとき、酵素の安定化剤として水溶性添加物やpH調整剤を含有していても、酵素固定化反応に影響を及ぼさないものであれば何ら問題ない。安定化剤としては、ソルビトールやグリセリンなどが挙げられる。また,pH安定化剤としては、リン酸緩衝剤などが挙げられる.
さらには目的とする酵素を分泌する菌体を培養して得られる酵素含有培養液をそのまま、または必要に応じて精製/希釈したものを用いても良い。
上記酵素水溶液中の酵素濃度は、特に制限はない。希薄水溶液は最終的に得られる固定化酵素量が少なくなり、酵素活性が低くなるため好ましくない。通常1〜50重量%の範囲が好ましい。
本発明における酵素水溶液(C)は、両親媒性化合物(A)および非水溶性単量体(B)100重量部あたり、10〜500重量部用いることができる。酵素水溶液量が500重量部を越えるとラジカル重合物が水分散体(エマルション)となるため、固定化酵素の単離が困難になる。また酵素水溶液量が10重量部未満であると重合熱により著しく反応温度が上昇し好ましくない。
<酵素の有するアミノ酸残基と反応性を有する官能基及びエチレン性不飽和結合を有する単量体(D)>
本発明に用いる単量体(D)は、共有結合による担体への酵素固定化を行う目的で酵素表面のアミノ酸残基と反応するような官能基とラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物である。
酵素のアミノ酸残基と反応性し共有結合を形成し得る官能基としては、例えばリジン残基のアミノ基と反応する活性エステル基(例えば,カルボキシル基とN-ヒドロキシコハク酸イミドから合成される)やエポキシ基、マレイン酸イミド基、4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジニル基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、酸無水物などが挙げられる。このようなアミノ酸残基と反応性を有する官能基及びエチレン性不飽和結合を有する単量体は、(メタ)アクリル酸誘導体などと公知の方法によって合成可能である。また、エポキシ基を有するグリシジル(メタ)アクリレートや(メタ)アクリル酸N-ヒドロキコハク酸イミド、(メタ)アクリル酸無水物、2−(メタ)アクリロイロキシエチルイソシアネートなどは市販されている。
酵素のアミノ酸残基と反応性を有する官能基及びエチレン性不飽和結合を有する単量体(D)は、酵素の固定化率の向上を目的としている。その目的の達成のためには、固定化酵素組成物を同時に混合して、ラジカル重合と酵素固定化反応とを同時に進行させてもよいし,また,酵素のアミノ酸残基と予め反応を行い酵素表面にエチレン性不飽和結合を修飾した後に他の成分とラジカル共重合によって酵素の固定化を行っても良い。酵素へのエチレン性不飽和結合の修飾方法は公知の方法によって行うことが可能である。例えば酵素表面に存在するリジン残基のアミノ基と反応可能なエポキシ基を持つグリシジル(メタ)アクリレートや(メタ)アクリル酸N-ヒドロキコハクイミドなどは酵素水溶液と混合し、数時間ないし数十時間反応するだけで可能となる。
アミノ酸残基と反応性を有する単量体(D)の使用量は、任意に選択することができるが、アミノ酸残基と反応性を有する官能基を有する単量体(D)の使用量が少なすぎると酵素の固定化量および固定化率の低下が起き、また使用量が多すぎると酵素活性低下が引き起こされるために、通常は酵素量に対し0.05〜50重量部の範囲で使用される。
本発明により得られる固定化酵素は、そのまま含水状態で酵素触媒反応に用いても良く、また必要に応じて水分を除去した乾燥した形態で用いても良い。特にエステル合成反応に用いる場合には含水状態では収率の低下を引き起こすことがあるので、乾燥した形態で用いる方が好ましい。
本発明の固定化酵素の製造方法は、前記固定化酵素配合物にラジカル重合開始剤を混合し、ラジカル重合することを特徴とするものである。具体的方法としては、1)両親媒性化合物と非水溶性単量体を、酵素を含まない水性媒体中で乳化し、これに酵素水溶液、酵素中のアミノ酸残基と反応性の官能基を有する単量体及びラジカル重合開始剤を加えてラジカル重合を行う方法、2)両親媒性化合物と非水溶性単量体を、酵素水溶液中で乳化し、これに、酵素中のアミノ酸残基と反応性の官能基を有する単量体及びラジカル重合開始剤を加えてラジカル重合を行う方法、3)前記のとおり、酵素水溶液と酵素中のアミノ酸残基と反応性の官能基を有する単量体を混合して、一旦エチレン性不飽和結合を導入した酵素水溶液を作製し、これに両親媒性化合物、非水溶性単量体及びラジカル重合開始剤を混合しラジカル重合を行う方法等が挙げられる。
(1)と(2)の方法のうち、両親媒性化合物と非水溶性単量体が形成する乳化状態を安定に維持しながらラジカル重合にて固定化酵素を製造する点で(1)の方法が好ましい。また酵素を効率よく共有結合にて固定化を行う点では(3)の方法が好ましい。
前記水性媒体としては、蒸留水、イオン交換水、リン酸緩衝溶液などのpH緩衝水溶液等が挙げられる。
<ラジカル重合開始剤(E)>
本発明において用いるラジカル重合開始剤(E)としては、ラジカル重合または乳化重合に一般に用いられるラジカル重合開始剤が使用される。例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、アゾイソブチロニトリルおよびその塩酸塩、過酸化水素、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどが挙げられる。
ラジカル重合開始剤の使用量は、両親媒性化合物(A)および非水溶性単量体(B)の合計100重量部あたり、0.1〜5重量部用いる。
本発明のラジカル重合の反応条件は、酵素が失活せずかつ反応が進行する温度であれば特に問題無く行うことができる。すなわち0〜80℃で重合することができる。また重合反応開始温度を低温で行うために、上記ラジカル重合開始剤にアミン系や鉄イオンなどの多価金属塩イオン系の促進剤を0.1〜5重量部併用することができる。
ラジカル重合の結果、含水ゲル状の固定化酵素を得ることができる。これを直接用いることもできるが、これをさらに乾燥して用いることもできる。特にエステル合成反応に用いる場合には含水状態では収率の低下を引き起こすことがあるので、乾燥した形態で用いる方が好ましい。乾燥方法としては、例えば冷風乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥等が挙げられる。
本発明によって得られる固定化酵素は、乾燥した形態で使用しても酵素反応に有効な表面積を保持することができ、酵素活性の低下を抑制することができる。一般に、水溶性化合物を用いて製造された固定化酵素では、含水ゲル状の固定化酵素を乾燥することにより収縮し,反応基質が通過する細孔が塞がれることにより固定化酵素の活性の低下が起きる。一方、本発明によって得られる固定化酵素は非水溶性単量体の重合物に由来する疎水性部分が構造体を形成することで多孔質を保持できることで固定化酵素の活性を保持できることを特徴としている。
以下、本発明を実施例にて説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(両親媒性でかつエチレン性不飽和結合を有する化合物(A)の製造例)
窒素雰囲気下、パンデックスT654P(両親媒性のイソシアネート末端プレポリマー,大日本インキ化学工業(株)製)224.8gにメトキシハイドロキノン0.013gを加え60℃に加温した。2−ヒドロキシエチルメタクリレート28.63gをゆっくり滴下した。オクチル酸第一錫を1滴加え、3時間反応を行い、目的物である両親媒性化合物を得た。
[固定化酵素の活性評価方法]
<アジピン酸法>
200mMアジピン酸のn-ブタノール溶液1mlに固定化酵素25mgを添加し、60℃にて1時間反応させた。反応終了後、固定化酵素を取り除き、得られた反応液について直接ガスクロマトグラムにより分析を行った.
ガスクロマトグラム条件:
カラム: キャピラリーカラムTC−5(GLサイエンス社製)
検出方法: FID
インジェクション温度: 250℃
検出器温度: 270℃
カラム温度: 150℃(2分間保持)→20℃/分→250℃(1分間保持)
得られるガスクロマトグラムより下記式(1)に基づき固定化酵素の活性値を算出した。
活性値=(アジピン酸ジブチルエステルに帰属されるGCエリア面積)÷{(アジピン酸に帰属されるGCエリア面積)+(アジピン酸モノブチルエステルに帰属されるGCエリア面積)+(アジピン酸ジブチルエステルに帰属されるGCエリア面積)}×100 式(1)
<オレイン酸法>
20重量%オレイン酸のn-ブタノール溶液1mlおよび水50μlの混合溶液に固定化酵素25mgを添加し、37℃にて1時間反応させた。反応終了後、固定化酵素を取り除き、得られた反応液について直接ガスクロマトグラムにより分析を行った。
ガスクロマトグラム条件:
カラム: キャピラリーカラムTC−5(GLサイエンス社製)
検出方法: FID
インジェクション温度: 250℃
検出器温度: 270℃
カラム温度: 200℃(1分間保持)→20℃/分→250℃(6.5分間保持)
固定化酵素の活性値は下記式(2)のより算出した.
活性値=(オレイン酸ブチルエステルに帰属されるGCエリア面積)÷{(オレイン酸に帰属されるGCエリア面積)+(アジピン酸ブチルエステルに帰属されるGCエリア面積)}×100 式(2)
実施例1
両親媒性化合物0.40gを蒸留水2.00gに溶解した後に、メチルメタクレート(MMA)1.60gおよびグリシジルメタクリレート(GMA)0.02gを加え乳化させた。ノボザイムCALB L(Candida antarctica由来リパーゼBの水溶液、ノボザイム ジャパン社製)2.00gを加え、脱気窒素置換を行った。5%過硫酸アンモニウム水溶液0.20gおよびN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)5μlを加え、2mmのスペーサーを挟んだガラス板で作成した型に流し込み、3時間室温、次いで37℃で2時間硬化させた。脱型および2mm×2mmに切断後、蒸留水(4℃)に12時間浸し未反応物を除去した後、減圧乾燥を行い固定化酵素を得た。
固定化酵素活性測定結果(アジピン酸法):活性値 21
実施例2
両親媒性化合物0.50g、MMA1.48g、GMA0.02gを用いた以外は実施例1と同様にして固定化酵素を作成した。
固定化酵素活性測定結果(アジピン酸法):活性値 24
実施例3
両親媒性化合物0.50g、MMA1.40g、GMA0.10gを用いた以外は実施例1と同様にして固定化酵素を作成した。
固定化酵素活性測定結果(アジピン酸法):活性値 31
実施例4
両親媒性化合物0.5g、MMA1.30g、GMA0.20gを用いた以外は実施例1と同様にして固定化酵素を作成した。
固定化酵素活性測定結果(アジピン酸法):活性値 34
比較例1
MMAおよびGMAを用いずに、両親媒性化合物2.00gを用いた以外は実施例1と同様にして固定化酵素を作成した。
固定化酵素活性測定結果(アジピン酸法):活性値 12
比較例2
両親媒性化合物1.6g、MMA0.40g、GMA0.02gを用いた以外は実施例1と同様にして固定化酵素を作成した。
固定化酵素活性測定結果(アジピン酸法):活性値 11
比較例3
GMAを用いずに、両親媒性化合物0.5g、MMA1.50gを用いた以外は実施例1と同様にして固定化酵素を作成した。
固定化酵素活性測定結果(アジピン酸法):活性値 16
<Candida antarctica由来リパーゼBへのエチレン性不飽和結合の導入>
ノボザイムCALB L 20mlと300ppmジメチルアミノピリジン水溶液10mlの混合溶液にGMA0.20mlを添加し室温で6時間反応させた。反応混合物を10mMリン酸緩衝液(pH7.0)、次いで蒸留水で透析(分画分子量10000以下)を行い、未反応物を除去した。遠心分離により沈殿物を除去した後、凍結乾燥を行うことによりエチレン性不飽和結合修飾リパーゼB0.41gを粉末として得た。10mMリン酸緩衝液で10重量%酵素水溶液して調整を行い、固定化に用いた。
実施例5
両親媒性化合物1.50gを蒸留水2.00gに溶解した後に、MMA1.50gを加え乳化した。エチレン性不飽和結合を導入したリパーゼBの10重量%水溶液2.00gを加え、脱気窒素置換を行った。5%過硫酸アンモニウム水溶液0.20gおよびTEMED5μlを加え、10ml遠沈管(直径約10mm)に流し込み、3時間室温に保持し、次いで37℃で2時間で硬化させた。脱型後、硬化物を約2mmにスライスした後、蒸留水(4℃)に12時間浸し未反応物を除去した後、減圧乾燥を行い固定化酵素を得た。
固定化酵素活性測定結果(アジピン酸法):活性値 48
実施例6
非水溶性単量体としてスチレン1.50gを用いた以外は実施例5と同様にして固定化酵素を作成した。
固定化酵素活性測定結果(アジピン酸法):活性値 54
実施例7
リポザイムTL100L(Thermomyces lanuginosus由来のリパーゼ水溶液、ノボザイム ジャパン社製)2.5mlと200ppmイミダゾール水溶液2.5mlの混合溶液にGMA1.3μlを添加し、4℃で3日間反応させ、リパーゼにエチレン性不飽和結合を導入した。別途、両親媒性化合物1.50gを蒸留水3.00gに溶解した後にMMA1.50gを加え乳化させた溶液に、エチレン性不飽和結合を導入したリパーゼ水溶液1.00gを加え、脱気窒素置換を行った。5%過硫酸アンモニウム水溶液0.20gおよびTEMED5μlを加え、1mmのスペーサーを挟んだガラス板で作成した型に流し込み、1時間室温で保持し、次いで37℃で1時間硬化させた。脱型および2mm×2mmに切断した後、蒸留水(4℃)に12時間浸し未反応物を除去した後、減圧乾燥を行い固定化酵素を得た。
固定化酵素活性測定結果(オレイン酸法):活性値 23
実施例8
エチレン性不飽和結合の導入としてGMA2.5μlを用いた以外は実施例6と同様にして固定化酵素を作成した。
固定化酵素活性測定結果(オレイン酸法):活性値 24
実施例9
エチレン性不飽和結合の導入としてGMA6.3μlを用いた以外は実施例6と同様にして固定化酵素を作成した。
固定化酵素活性測定結果(オレイン酸法):活性値 26
実施例10
エチレン性不飽和結合の導入としてGMA12.5μlを用いた以外は実施例6と同様にして固定化酵素を作成した。
固定化酵素活性測定結果(オレイン酸法):活性値 33
実施例11
エチレン性不飽和結合の導入としてGMA25μlを用いた以外は実施例6と同様にして固定化酵素を作成した.
固定化酵素活性測定結果(オレイン酸法):活性値 43
実施例12
エチレン性不飽和結合の導入としてGMA125μlを用いた以外は実施例6と同様にして固定化酵素を作成した.
固定化酵素活性測定結果(オレイン酸法):活性値 55
実施例13
エチレン性不飽和結合の導入としてGMA250μlを用いた。エチレン性不飽和結合を導入した後の酵素水溶液には沈殿が観測されたので、沈殿を遠心分離により除去した以外は実施例6と同様にして固定化酵素を作成した。
固定化酵素活性測定結果(オレイン酸法):活性値 38
実施例14
エチレン性不飽和結合の導入としてGMA25μlを用い、非水溶性単量体としてアクリロニトリル1.50gを用いた以外は実施例6と同様にして固定化酵素を作成した。
固定化酵素活性測定結果(オレイン酸法):活性値 43
比較例4
エチレン性不飽和結合の導入のためのGMAを用いない以外は実施例6と同様にして固定化酵素を作成した。
固定化酵素活性測定結果(オレイン酸法):活性値 18
Figure 2007222097
Figure 2007222097
Figure 2007222097

Claims (7)

  1. 両親媒性でかつエチレン性不飽和結合を2個以上有する化合物(A)、エチレン性不飽和結合を有する非水溶性単量体(B)、酵素水溶液(C)、及び前記酵素の有するアミノ酸残基と反応性を有する官能基及びエチレン性不飽和結合を有する単量体(D)を含んでなる固定化酵素配合物。
  2. 前記非水溶性単量体(B)に対する前記両親媒性でかつ両末端にエチレン性不飽和結合を2個以上有する化合物(A)の割合が、重量比で75/25〜5/95である請求項1に記載の固定化酵素配合物。
  3. 前記酵素が加水分解酵素である請求項1又は2に記載の固定化酵素配合物。
  4. 前記加水分解酵素がエステル加水分解酵素である請求項3に記載の固定化酵素配合物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の固定化酵素配合物及びラジカル重合開始剤(E)を混合し、ラジカル重合することを特徴とする固定化酵素の製造方法。
  6. 水性媒体中で前記両親媒性でかつエチレン性不飽和結合を2個以上有する化合物(A)、エチレン性不飽和結合を有する非水溶性単量体(B)、及びアミノ酸残基と反応性を有する官能基及びエチレン性不飽和結合を有する単量体(D)を混合し、次いで得られる混合物に、アミノ酸残基を有する酵素水溶液(C)及びラジカル重合開始剤(E)を混合し、ラジカル重合する請求項5記載の固定化酵素の製造方法。
  7. 酵素水溶液(C)とアミノ酸残基と反応性を有する官能基及びエチレン性不飽和結合を有する単量体(D)とを混合し、前記酵素中のアミノ酸残基と単量体(D)中の官能基とを反応させ、次いで得られるエチレン性不飽和結合を有する酵素水溶液に、両親媒性でかつエチレン性不飽和結合を2個以上有する化合物(A)、エチレン性不飽和結合を有する非水溶性単量体(B)及びラジカル重合開始剤(E)を混合し、ラジカル重合する請求項5記載の固定化酵素の製造方法。
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