JP2007220654A - 燃料電池用電極触媒とその製造方法および燃料電池用電極 - Google Patents

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Abstract

【課題】高活性であり、比表面積が高く、触媒の利用率が高い、燃料電池用電極触媒及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】錯体を輸送しレーザー照射領域を通過させて分解し、基材へのRuPtの被覆反応領域に到達させ、上記の触媒原子との間で被覆反応を起こさせることにより、基材と整合する(100)または(010)または(001)面を持つ触媒を作製する。また、触媒表面積と触媒体積の比を大きくする。また、触媒粒子サイズをナノメートルサイズより大きくする。これにより、高活性であり、比表面積が高く、触媒の利用率が高い、燃料電池用電極触媒が得られる。
【選択図】図9

Description

本発明は、燃料電池用電極触媒とその製造方法に関する。また、燃料電池用電極触媒を備えた電極、電解質膜/電極接合体および燃料電池に関する。
燃料としてメタノールなどを直接用いる直接メタノール形燃料電池、或いは、燃料として炭化水素やメタノールなどを改質して用いる燃料電池では、燃料極に燃料を酸化する触媒粒子が使用され、空気極に水素イオンと空気中の酸素を反応させて水にする触媒粒子が使用される。触媒粒子は導電性炭素材料に担持され、さらに、電解質バインダーにより電解質膜と接続される。これにより、水素イオンは触媒粒子から電解質バインダーを通って電解質膜に拡散でき、電子は触媒粒子から導電性炭素材料を通って導線や電気的負荷へと流れるようになる。燃料極では燃料が酸化されて触媒表面から電解質膜に水素イオンが移動し、空気極では水素イオンと空気中の酸素が反応して水になり、その際のエネルギー差が電気的仕事として利用される。
直接メタノール形燃料電池、或いは、燃料として炭化水素やメタノールなどを改質して用いる燃料電池では、燃料極に白金触媒を用いた場合に、一酸化炭素により白金触媒が被毒される。このため、一般に燃料極には一酸化炭素により被毒されにくい、ルテニウム(Ru)と白金(Pt)を合金化した触媒が用いられる。白金ルテニウム(PtRu)合金には、組成比がほぼ1:1の高活性な組成で、かつ、触媒金属の表面積/体積である比表面積を増して利用効率を高めるために、粒径を数ナノメートルにしたものが用いられる。
PtRu合金の触媒粒子は、例えば特許文献1に記載されているように、Ruの塩又は錯体とPtの塩又は錯体を、アルコール混和有機溶剤中に溶解させ、不活性雰囲気中でアルコールによる加熱還流を行うことによって得ることができる。このような製法で得られるものや市販のPtRu合金の触媒粒子は、Pt結晶構造と同じFCC構造であることが知られている。また、Pt結晶構造のPtをランダムにRuに置き換えて組成をPtRu合金と同じ値にした構造になると言われている。つまり、RuとPtはFCC結晶構造の格子点をランダムに占有している。
FCC結晶構造の結晶粒子においては、方位面としては(111)面が最も安定である。周辺を除き、(111)面の原子の結晶粒子原子との結合手は9本である。(111)面のみで結晶粒子を構成すると結晶粒子は正8面体になる。正8面体の6頂点の原子は、結合手が4本しかなく結晶粒子内原子との結合が弱く、正8面体構造の中で最も不安定である。そこで、頂点近くの原子を取り除くことにすると、そこに(001)面が現れる。周辺を除き、(001)面の原子の結晶粒子原子との結合手は8本である。(001)面のみで結晶粒子を構成すると結晶粒子は正6面体になる。(001)面は(111)面の次に安定であり、FCC結晶構造の結晶粒子の表面は、この2つの方位面で構成されると考えられる。正8面体の頂点に近い部分を切り取り、(111)面と(111)面の交線、および(001)面と(111)面の交線のみが現れるような結晶粒子は、辺上の原子の結合手が7本で、頂点の原子の結合手が6本で、最も安定な形状であり、作製された結晶粒子はこのような形状が最も多いと考えられる。また、多数の結晶粒子がある場合、(111)面の方が安定性で優位であるため、平均的には表面における(111)面の占有率の方が大きいと考えられる。また、多結晶粒子であっても、平均的には表面における(111)面の占有率が大きいと考えられる。
空気極については、Ptの(111)面より(001)面の方が、活性が高いという議論が特許文献2でなされている。しかし、活性で優れている方位面が判ったとしても、その方位面が支配的な粒子を得る手段で有効なものはなかった。一方、燃料極で(111)面と(001)面のどちらが活性で優れているかは明らかになっていない。
特開2003-226901号公報 特開2003-157857号公報
既存の燃料極触媒は活性が十分でなく、かつ、高価な貴金属を使用しているために、粒子径を数ナノメートルにして比表面積を増し利用効率を高めている。しかし、このために触媒粒子が担体である導電性炭素材料の窪みに埋もれたり、電解質バインダーに接触しなかったり、電解質バインダーに埋もれたりし、結果として触媒利用率を増加させることが難しくなっている。
本発明の目的は、高活性であり、比表面積が高く、触媒の利用率が高い、燃料電池用電極触媒およびその製造方法を提供することにある。
本発明は、高活性の方位面が現れるような基材上に触媒金属を成長させたものであり、具体的には、(100)面,(010)面及び(001)面から選ばれた少なくとも1つと整合する格子表面を持つ基材上に、触媒層を成長させたことを特徴とする。本発明の実施態様として下記がある。
(1)(100)面,(010)面及び(001)面から選ばれた少なくとも1つと整合する格子表面を持つ基材上に、触媒層を成長させて作製した燃料電池用電極触媒。
(2)(100)面または(010)面または(001)面と整合する格子表面を持つ基材上に、触媒層を成長させて作製した燃料電池用電極触媒。
(3)表面に(100)(010)(001)面の少なくとも1つを50%以上持つ粒子により構成された燃料電池用電極触媒。
(4)前記(2)において、基材が2元系単純立方格子結晶よりなり、触媒結晶の格子定数×√2との差が15%以内である燃料電池用電極触媒。
(5)(100)面,(010)面及び(001)面から選ばれた少なくとも1つと整合する格子表面を持つ基材上に、触媒層を成長させたものであり、触媒層がPtRu合金よりなる燃料電池用電極触媒。
(6)(100)面,(010)面及び(001)面から選ばれた少なくとも1つと整合する格子表面を持つ基材上に、触媒層を成長させたものであり、触媒層がPtよりなる燃料電池用電極触媒。
(7)(100)面または(010)面または(001)面と整合する格子表面を持つ基材上に、触媒層を成長させて作製したものであり、基材がハロゲン化銀よりなる燃料電池用電極触媒。
(8)(100)面または(010)面または(001)面と整合する格子表面を持つ基材上に、触媒層を成長させて作製され、基材がAgClまたはAgBrよりなり、基材上にPtRu合金よりなる触媒層を有する燃料電池用電極触媒。
(9)(100)面または(010)面または(001)面と整合する格子表面を持つ基材上に、触媒層を成長させて作製され、基材がAgClまたはAgBrよりなり、基材上にPtよりなる触媒層を有する燃料電池用電極触媒。
(10)(100)面または(010)面または(001)面と整合する格子表面を持つ基材上に、触媒層を成長させて作製され、基材がAgClまたはAgBrよりなり、基材上にPtよりなる層を有し、Pt層上にPtRu合金よりなる触媒層を有する燃料電池用電極触媒。
(11)(100)面,(010)面及び(001)面から選ばれた少なくとも1つと整合する格子表面を持つ基材上に、触媒層を成長させるようにした燃料電池用電極触媒の製造方法。
(12)(100)面または(010)面または(001)面と整合する格子表面を持つ基材上に、触媒層を成長させるようにした燃料電池用電極触媒の製造方法。
(13)ハロゲン化銀よりなる基材上に、PtRu合金またはPtよりなる前記触媒層を成長させるようにした燃料電池用電極触媒の製造方法。
(14)AgClまたはAgBrよりなり基材上に、PtRu合金よりなる触媒層を成長させるようにした燃料電池用電極触媒の製造方法。
(15)AgClまたはAgBrよりな基材上に、Ptよりなる触媒層を成長させるようにした燃料電池用電極触媒の製造方法
(16)触媒成分を含む有機錯体にレーザーを照射して分解させ、(100)面,(010)面及び(001)面から選ばれた少なくとも1つと整合する格子表面を持つ、冷却された基材の表面に、Pt又はPtRu合金よりなる触媒層を成長させるようにした燃料電池用電極触媒の製造方法。
(17)有機Pt錯体、または有機Pt錯体と有機Ru錯体にレーザーを照射して分解させ、(100)面,(010)面及び(001)面から選ばれた少なくとも1つと整合する格子表面を持つ、冷却された基材の表面に、Pt又はPtRu合金よりなる触媒層を成長させるようにした燃料電池用電極触媒の製造方法。
(18)前記(1)に記載された、基材上に触媒層を持つ触媒粒子を、炭素系材料に担持させた燃料電池用電極。
(19)前記(18)において、触媒層がPtRu合金またはPtよりなる燃料電池用電極。
(20)前記(18)に記載の燃料電池用電極を電解質膜と接合して一体化し、電解質膜の一方の側にPtRu合金よりなる触媒層を設け、他方の側にPtよりなる触媒層を設けるようにした電解質膜/電極接合体。
(21)前記(18)に記載の構造を有し触媒層がPtRu合金よりなる燃料極と、前記(18)に記載の構造を有し触媒層がPtよりなる空気極を電解質膜の両側に対向して備え、燃料極に燃料が供給され、空気極に空気が供給されるようにした燃料電池。
本発明により、高活性であり、比表面積が高く、触媒の利用率が高い、燃料電池用電極触媒が得られる。
本発明者は、PtRu合金の触媒表面での燃料の酸化分解反応について詳しく検討して高活性表面の特徴を見出した。また、高活性表面を持つ触媒粒子の作製手段を詳細に検討して高活性の方位面が現れるような基材上に触媒金属を被覆させた構造にしたものは、触媒粒子が高活性で利用率が高いことを見出した。
触媒表面での燃料の酸化分解反応については、密度汎関数理論を用いた第一原理的分子軌道計算法によって、各素反応を調べることができる。本発明で用いた手法及び解析例は、次の参考文献に示されている。
K.Kobayashi, N.Kurita, H.Kumahora, K.tago, and K.Ozawa,“Nonlocal-density-functional bond-energy calculations of cage-shaped carbon fullerenes: C32 and C60”,Phys. Rev. B 45, 13690(1992).
K.Kobayashi, K.tago, and N.Kurita,“Efficient, direct self-consistent-field method in density-functional theory”,Phys. Rev. A 53,1903(1996).
Pt(001)面上のメタノールの分解反応を調べると、メタノールの吸着からCO2気化までは、次の一連の素反応の経路が主たるものと判明した。
H3COH→H3CO+H→H2CO+2H→HCO+3H→CO+4H
H2O→OH+H,CO+OH→OCOH→OCO+H,OCO→CO2
分解したHは電解質膜へと拡散し、CO2が気化することになる。これらの一連の素反応で、最も起こり難い素反応(律速反応)は、CO+OH→OCOHで、1.2eVの活性化エネルギーが必要と判明した。Pt(111)上では、CO+OH→OCOH反応の活性化エネルギーが1.7eVと高く、Pt(110)上では吸着性が増加して活性化エネルギーが増加することが判ったので、Pt(001)上の活性が最も高いと、解析から判明した。
同様に、PtRu合金でも分解反応を調べると、(111)表面の活性化エネルギーが高く、(001)表面の活性が高いと判明した。また、CO+OH→OCOH反応の活性化エネルギーがPt(001)よりも低下していると考えられるので、各種PtRu(001)表面構造について律速反応を解析した。(001)面でCOとOHはブリッジ吸着するので、反応の場となる最表面構造は4原子からなる四角形である。PtRu合金は、1:1の合金比率のものが良いと知られており、1:1比率の四角形の最表面構造は真上からの俯瞰で見ると、図1(a)(b)に示すように2種類になる。一つは図1(a)のようにRuRuが隣接しPtPtが隣接した四角形であり、もう一つは図1(b)に示すようにRuPtが隣接した四角形である。COとOHのブリッジ吸着は、RuPt隣接四角形では図1(e)に示すようにRuPt上吸着の1種類のみであるが、RuRu隣接四角形では3種類あり、図1(c)に示すようにCOがPtPt上、図1(d)に示すようにRuPt上、或いはRuRu上のいずれかにブリッジ吸着することになる。これらのうちCOのRuRu上への吸着は安定配置が得られず、不安定であることが判った。これは、PtまたはRu1原子との、CO,OHの吸着エネルギーから理解できる。吸着エネルギーは、Pt-CO間では3.0eV、Pt-OH間では3.2eV、Ru-CO間では1.3eV、Ru-OH間では3.3eVである。よって、CO吸着性の大小はPtPt上>RuPt上>RuRu上となり、OHは逆になる。このため、COがRuRu上でOHがPtPt上の組合せは、最も不安定で安定配置が得られなかったと思われる。そこで、安定吸着配置の得られた場合についてCO+OH→OCOH反応を解析した。
各配置について、CO+OH→OCOH反応の解析結果を図2に示す。図2(a)はRuRu隣接配置でCOがPtPt上に吸着した場合である。この場合の活性化エネルギーは1.4eVとなり、Pt(100)上より大きく、反応が進み難いことが判った。これは、分解吸着状態が安定なために活性化エネルギーが増加したためと考えられる。図2(b)はRuRu隣接配置でCOがRuPt上に吸着した場合である。この場合の活性化エネルギーは1.2eVとなり、Pt(100)上と同等で、反応が進み難いことが判った。RuRu隣接とPtPt隣接になっているため、それぞれの性格が強く出て混合の効果が活かせず、Pt(100)上と同等程度になったものと思われる。図2(c)はRuPt隣接配置であり、この場合の活性化エネルギーは0.6eVとなり、Pt(100)上より大幅に小さく、反応が進み易いことが判った。RuとPtの性格が平均化されたため、活性化エネルギーの低減効果を生み出したものと思われる。このことからも判るように、触媒反応は表面上の複数原子の協働効果である。表面配置が変わると、各元素の反応個所への影響の現れ方が変化し、素反応への効果も変化することが判った。以上から、PtRu(100)のRuPt隣接配置が最も活性の高い表面であることが判明した。
PtRu合金の触媒表面での燃料の酸化分解反応についての検討から、PtRu(100)面のRuPt隣接配置(RuRu隣接が存在しない配置)が最も活性が高いことが判明したが、既存のPtRu触媒粒子はFCC結晶構造で平均的には(111)表面が多く、RuとPtの配置はランダムになっていることが知られている。高活性触媒粒子とするためには、(100)面比率を多くし、RuPt隣接配置(RuRu隣接が存在しない配置)の比率を少しでも上げる必要がある。
そこで、(100)方位面が現れるような基材上に触媒金属を被覆させた構造を作製することにした。基材上に触媒金属を被覆させた構造の利点は、被覆層を少なくできるので触媒粒子が大きくても表面近くにしか触媒金属がなく、比表面積が常に大きいことである。また、このため、比表面積が大きいまま触媒粒子のサイズを数十ナノメートルからミクロンメートルにも大きくできるので、触媒粒子が埋もれたり、バインダーと非接触になったりすることを避けることができ、触媒利用率を高くできることである。
基材としては、基材の結晶格子の表面がPtRu(001)面と整合する基材を選ぶ必要がある。FCC(001)面は表面が正方格子であるため、安定に正方格子を表面に持つ結晶粒子を用いる必要があり、そのような結晶粒子は単純立方格子の結晶粒子である。CRC Handbook of Physics and Chemistryによると、PtのFCC結晶の格子定数は3.912Aであり、PtPt距離は2.766Aであり、2元系単純立方格子の格子定数としては5.532Aに対応する。また、参考文献V. Radmilovic, H. A. gasteiger, and P. N. Ross, Jr.,”Structure and Chemical Composition of Supported Pt-Ru Electrocatalyst for Methanol Oxidation”, J. Catal.154,98-106(1995)によると、PtRuのFCC結晶の格子定数はPtと近い3.864Aであり、原子間最短距離は2.732Aであり、2元系単純立方格子の格子定数としては5.465Aに対応する。格子定数が±15%以内とすると、4.645Aから6.284Aの範囲にある単純立方格子の2元系物質は多数存在する。CRC Handbook of Physics and Chemistry (p12-28,12-29)の範囲で列挙すると、CdO, ZrC, CaO, NaH, AgF, SrO, LiCl, NdN, MgS, MnS(299K), KF, MgSe, MnSe, LiBr, BaO, AgCl, NaCl, RbF, CaS, SnAs, KH, AgBr, NdP, SrS, CaSe, PbS, NaBr, EuS, NdAs, PrAs, LiI, CsF, RbH, CeAs, LaAs, PbSe, SrSe, KClなどがある。基材上に触媒結晶が成長するには、基材内、基材触媒金属間、触媒金属内の結合強さが影響し、結合の強さは以下のように分類される。
(a)[基材内結合強さ]≦[基材触媒金属間結合強さ] ≧ [触媒金属内結合強さ]
(b)[基材内結合強さ]≦[基材触媒金属間結合強さ] < [触媒金属内結合強さ]
(c)[基材内結合強さ]>[基材触媒金属間結合強さ]<<[触媒金属内結合強さ]
(d)[基材内結合強さ]>[基材触媒金属間結合強さ] < [触媒金属内結合強さ]
(e)[基材内結合強さ]>[基材触媒金属間結合強さ] ≧ [触媒金属内結合強さ]
上記(a)(b)では触媒金属が基材と結合する際に基材構造を不安定にして破壊しやすく、所望の被覆表面を得難い。上記(c)では触媒金属が基材と結合せずに、触媒金属のみの粒子を形成し基材を被覆しにくい。上記(d)では、基材触媒金属間結合強さが触媒金属を基材上に留めておけるときのみ、基材上に被覆できる。上記(e)では、触媒金属を基材上に被覆できる。貴金属との結合性が弱いアルカリ・アルカリ土類・Zn,Cd,Hgは上記(c)に該当し、水素を含むものは不安定なため取り除くと、ZrC, AgF, NdN, MnS(299K), MnSe, AgCl, SnAs, AgBr, NdP, PbS, EuS, NdAs, PrAs, CeAs, LaAs, PbSeが残る。これらの中には、Ptと親和性の高いS,Pを含んでいるため、不安定が予想されるMnS, PbS, EuSや、毒性のあるAs,Pbを含むSnAs, PbS, NdAs, PrAs, CeAs, LaAs, PbSeがある。また、特性データの記載のないNdN, MnSe, NdP, EuSがある。これらについては、必ずしも基材としての使用を否定するものではないが、今回の検討からは除外した。残りは、ZrC, AgF, AgCl, AgBrである。ZrCは安定でPtとの接着も良いと思われるが、整合する表面格子と格子定数に15%のずれがあるため、必ずしも基材としての使用を否定するものではないが、今回の検討からは除外した。残りは、ハロゲン化銀になり、これらは上記(d)に該当する。これらのハロゲン化銀はNaCl型の立方格子を取り、特にAgBrは写真フィルムの乳剤に微小粒子として使用されており、材料を入手しやすい。
前記のハロゲン化銀の格子定数a(Å)と密度ρ(g/cm3)と融点Tm(℃)はCRC Handbook of Physics and Chemistryによると以下のとおりである。
AgF(a4.92,ρ5.85,Tm435), AgCl(a5.545,ρ5.56,Tm455), AgBr(a5.755,ρ6.47,Tm432)
これらを基材とするとき、表面に一様に被覆するためには液体中で被覆させる反応を利用する方が有利である。H2気流中で加熱還元する方法では、基材を回転させつつ全面被覆するとしても、200℃以上で実施するため基材上への被覆反応が起こり難く実施が困難なためである。また、液体中での反応を利用する場合でも、上記の基材の内、AgFは酸、水に溶けるため、酸、水を使うことができず、処理中に酸を発生する塩酸系や硝酸系の錯体を使用できない。また、特許文献1に記載のようにアルコール還元法を用いる場合、市販のアセチルアセトナトの有機錯体を用いる。この錯体の製法は公知であり、Ptの場合は、例えば、K2PtCl4を水に溶かし、KOHを混ぜて、さらにアセチルアセトンを加えることで、結晶として沈殿させることができる。総括化学反応式は、K2PtCl4+2O2C5H8+2KOH→4KCl+2H2O+Pt(O2C5H7)2であり、アセチルアセトンのHが1つ取れることで、Ptと強く結合する。Ruについても同様である。O2C5H7はラジカル性分子H3CC(O)CHC(O)CH3であるが、これをH還元すると、アセチルアセトンH3CC(O)CH2C(O)CH3か、或いはケトンアルコールH3CC(O)C(H)=C(OH)CH3ができるが、これらはPtに配位結合し難いとされる。従来法のアルコール還元法では、このように配位子の再結合が抑えられるため、PtRuの自己凝集が起こり、触媒粒子が作製される。本発明では、基材への吸着がPt,Ruの自己凝集の結合より弱いと考えられるので、その関係を理解しておく必要がある。
前記第一原理的分子軌道計算法による、Pt,Ruクラスター化の結合エネルギーを図3に、CuBr, AgCl上へのPt,Ru吸着エネルギーを表1に示す。図3において、原子が結合するエネルギーは実線上に記載し、分子が結合するエネルギーは破線上に記載した。前記のように、基材への吸着が弱いことが理解できる。このため、液体中でPt,Ruの原子を基材表面に被覆させるには、吸着を起こりやすくするため基材を常温以下に保ち、還元されたPt,Ruの濃度を低く抑えて吸着反応速度を優先させることが最低限として必要になる。
Figure 2007220654
PtまたはRuのアセチルアセトナトの融点は250℃前後のため、これを特許文献1記載のようにエチレングリコールに溶解させる場合には昇温が必要である。つまり、有機錯体の溶液は、基材との反応領域よりも高温に保つ必要がある。このため、有機錯体を還元または分解して基材との反応領域に冷却・供給しなければならない。その方法としては、有機錯体を基材との反応領域に輸送・冷却する過程で、有機錯体の分解反応性を選択的に高めて分解する手段が望ましい。
有機錯体を選択的に分解するには、パルスレーザーを用いて瞬間的に有機錯体を分解する手段が有効である。表2に、前記分子軌道計算法による、有機錯体の結合エネルギー(eV)と反結合性軌道への励起エネルギー(eV)及びレーザー波長(μm)を示す。
Figure 2007220654
表2から、H3CC(O)CHC(O)CH3がPt,Ruと強く結合することが理解できる。0.5μm前後の青緑の波長は、Pt(acac)2、Ru(acac)3の分子を直接分解するエネルギーは持っていないが、励起軌道はO-C結合が反結合性になるため、分子内振動を引き起こして加熱する。これにより、配位子が解離しやすくなると共に、還元反応も起こりやすくなる。従来のアルコール還元法の温度はエチレングリコールの沸点程度が限度だが、本発明では瞬間的に錯体分子付近をそれ以上の温度にすることが可能な手段を用いる。また、錯体への強力なレーザー加熱のためにH3CC(O)CHC(O)CH3の形のままで解離してしまった分子には、その反結合性励起軌道に励起する赤外波長を同時に照射して還元反応を起こしやすくすることで、再結合を抑えることもできる。ただし、表2の数値は計算値であるため、正確なレーザー波長は実験で得る必要がある。例えば、高温にできる内側容器内にPtまたはRuの各錯体を入れて、さらに外側の容器を真空排気されて密封された状態にし、内側容器を高温にして錯体の蒸気を得る。この蒸気圧力を測定して錯体温度から温度と蒸気圧の関係を得ることができる。また、この蒸気にレーザーを照射して吸収の波長と強度を測定すれば、各錯体用の波長と吸収強度を可視光域・赤外域について得ることができる。
これらの可視域及び赤外域の波長のレーザーはどれも利用できるものが存在する。ただし、基材の上に被覆するPtRuは、微小粒子サイズでは上記波長のレーザー光と相互作用してしまう。このため、有機錯体や配位子にレーザーを照射して、基材とその上に被覆するPtRuには照射しない手段とする。赤外から紫外の波長域を透過させる容器としては、例えば石英製(石英のバンドギャップは8.9eV)のものを用いることができる。また、有機錯体を溶かす液体として、前記のレーザー光と相互作用しないものには例えばエチレングリコールのようなアルコールがある(計算HOMO-LUMOギャップは5.8eV)。しかし、このような液体に溶解した有機錯体分子にレーザー照射しても周囲の液体による冷却が速いため、有機錯体分子のみでなく液体も加熱する結果になり、有用でない。したがって、有機錯体分子を選択的に分解反応させて輸送・冷却するのは、気相で実施する必要がある。この場合、半導体製造の分野で実施されているような、減圧容器内に反応性ガスを導入してウェハに堆積やエッチングを生じさせる装置における、ガス供給・容器内減圧・ガス排気の手段を利用することが可能である。ただし、有機錯体分子を気体として減圧容器内に供給するには、別容器内で加熱して気化させて、高温不活性ガスと共に蒸気の状態で減圧容器内に供給する。また、有機錯体分子に還元反応を起こさせるガス、例えばH2を減圧容器内に供給し、レーザー照射で有機錯体分子の還元反応性を選択的に高めて分解させる。高温の不活性ガスと有機錯体分子蒸気に対して還元反応を起こさせるガスの供給量を多量にすることで、ガス全体の温度上昇を低く抑えることができる。また、還元反応を起こさせるガスに加えてN2や希ガスのような不活性ガスを供給しても良い。これらの処理は、減圧容器内の流れが層流となるような条件で実施する。有機錯体分子のPtやRuを含む分解物は、輸送・冷却され反応領域に到達させる。
ここで、Pt,Ruを含む分解物について述べる。前記分子軌道計算による解析の結果、Pt,Ruのアセチルアセトナトは加熱されてH2と反応し、次の反応式のように分解することが判った。
Pt(acac)2 → PtH2 + 2H3CC(O)C(H) = C(OH)CH3
Ru(acac)3 → PuH3 + 3H3CC(O)C(H) = C(OH)CH3
また、PtH2,RuH3はPtH4,RuH5の形の分解物分子になることもできる。このため、表1で述べた場合とは状況が異なり、Pt,Ruの水素化物分子の反応を把握しておく必要がある。図3とは異なり、H2PtとRuH3の結合エネルギーは1.2eVと弱体化する。逆に、表1とは異なり、AgCl,AgBrへの吸着エネルギーは表3のように増加する。
Figure 2007220654
また、その他の分子との結合エネルギーも併せて前記分子軌道計算により評価した。その結果を表4に示す。
Figure 2007220654
これらの結果から判ることは以下である。RuH3の結合性が強く、特に、Ru(acac)3の還元の最終段階の結合(表4のNo.1)が強いため、H3CC(O)C(H) = C(OH)CH3にH2付加する反応を起こさせて、結合を弱くする(表4のNo.2,3)必要がある。表4のNo.4から、エチレングリコールとRuH3の結合が強いため、エチレングリコールは使用できない。他に、ベンゼン環を持つ分子やC=C二重結合を持つ分子も、表4のNo.5,6から、使用に向かないことが判る。また、No.10,11から、OH基を持つアルキルアルコ−ルは、RuH3との結合性が強く、使用に向かないことが判る。No.12,13から、カルボニル基を持つケトンも、RuH3との結合性が強く、使用に向かない。また、アセチルアセトナトを用いた従来方法による還元反応でも、Ptの方が還元されやすいことが知られているが、PtH2に比べてRuH3の結合性が強いことと関係があると考えられる。一方、アルカンは、表4のNo.7〜9から、PtH2,RuH3との結合が弱いため、反応領域における、基材を混入させる液体として使用できる。エーテルも使用できる可能性がある。
反応領域では、基板上に基材を置いて、基板を加振して基材を転がしながら基材にPtH2,RuH3を吸着させることもできるが、被覆の均一性の観点から、液体中に基材を混入させておき、液体中にPtH2,RuH3を取り込み、基材にPtH2,RuH3を吸着させる方がよい。また、液体中の基材、PtH2,RuH3の運動の自由を大きくするため、液体の粘度が常温の食用油以下であることを目安とする。また、減圧容器中での処理であるため、液体補給手段を用いるとしても、処理温度での蒸気圧が小さい方が良いので、沸点が処理温度より200度程度大きいことを目安にする。このような目安から、基材を混入させる液体として使用できるものには、例えば次のようなものがある。50℃のOctadecane C18H38,50℃のNonadecane C19H40,60℃のC2OH42,60℃のC21H44,70℃のC22H46,70℃のC23H48。また、攪拌や加振により、基材粒子が上記反応領域内を自由に動けるようにし、液面から液中に入った有機錯体分子のPtやRuを含む分解物が基材粒子の全表面に吸着可能とする。
以上のように、基材へのPtRuの被覆反応装置では、流れを作って錯体を輸送しレーザー照射領域を通過させて分解し、触媒原子を反応領域に到達させる。触媒原子は水素化物分子の形を取り、基材との結合が強いため、被覆反応の速度は自己凝集の反応速度の同等以上である。そこで、基材を被覆する反応速度の方を大きくしておくため、全ての基材表面が触媒原子で1層以上被覆されるまでは、液中に到達するPtやRuを抑制するか、液中の基材表面積を大きくしておく。このためには、蒸発量を抑制するか、或いは液中の基材量を多くしておけばよい。全ての基材表面が触媒原子で完全に被覆されれば、特許文献1記載のアルコール還元法のような手段でさらに触媒原子を被覆させて触媒層を成長させることが可能である。一方、基材粒子を導電性炭素材料上に析出させておき、例えば、ほぼ50℃に保たれたNonadecaneに混合して、これを前記の反応領域とする場合は、担持した触媒粒子材料を得ることができる。また、全ての基材表面が触媒原子で完全に被覆された触媒粒子と導電性炭素材料をエチレングリコールに混合しておき、公知のアルコール還元法のような手段を用いて、担持した触媒粒子材料を得ることもできる。また、全ての基材表面が触媒原子で完全に被覆された触媒粒子と導電性炭素材料を混合して電極触媒材料とすることも考えられる。
以上に述べたような物質と手段を用いて基材へのPtRuの被覆反応装置を構成し、基材上にPtRuを被覆した触媒粒子を作製した後、この触媒粒子を取り出して精製する場合は、従来と同様に実施できる。まず、ろ紙でろ過して液体を殆ど取り除き、アセトン洗浄して、加熱・乾燥すれば精製した触媒粒子が得られる。精製した触媒粒子は、走査電子顕微鏡で形状が6面体であるか確認でき、また、X線回折等で支配的な方位面を評価できる。精製した触媒粒子の表面積は、一酸化炭素吸着実験により測定でき、触媒原子の量との比から比表面積を評価できる。また、硫酸、メタノール水溶液中でのメタノール酸化電流を測定することにより、触媒の活性の高さを評価できる。精製した触媒粒子を導電性炭素材料に担持するには、例えば、特許文献1に記載の方法にならって、精製した触媒粒子と、導電性炭素材料と、Ruの塩又は錯体とPtの塩又は錯体とを、アルコール混和有機溶剤中に溶解させ、不活性雰囲気中でアルコールによる加熱還流を行うことによって得ることができる。この段階で、担持された触媒粒子の触媒としての表面積を、一酸化炭素吸着実験により測定できる。この後は、通常の手段で燃料電池用の電極構造体を形成できる。この段階で、電極構造体の触媒粒子の触媒としての表面積を、一酸化炭素吸着実験により測定し、担持段階のものと比較して触媒表面利用率が評価できる。得られた電極構造体は燃料電池に実装可能となる。
以上から、基材と整合する(100)または(010)または(001)面を持つPtRu触媒を作製できる。また、触媒表面積と触媒体積の比を大きくでき、触媒粒子サイズをナノメートルサイズより大きくできる。これにより、高活性であり、比表面積が高く、触媒の利用率が高い、燃料電池用燃料極触媒を得ることができる。
またPt有機錯体のみを原料とすれば、基材と整合する(100)または(010)または(001)面を持つPt触媒を作製できる。触媒表面積と触媒体積の比を大きくでき、触媒粒子サイズをナノメートルサイズより大きくできる。これにより、高活性であり、比表面積が高く、触媒の利用率が高い、燃料電池用空気極触媒を得ることができる。
以上、基材と整合する(100)または(010)または(001)面を持つ触媒を製造する方法について述べたが、これらの面の少なくとも1つ以上で50%以上持つものであれば、従来の触媒に比べて高活性で、触媒利用率の高い触媒が得られる。これらの面が100%に満たない場合、残りの面は(111)面である。
以上述べたように、本発明では、錯体を輸送し、レーザー照射領域を通過させて分解し、基材へのPtRuの被覆反応領域に到達させ、触媒原子を被覆反応させることにより、基材と整合する(100)または(010)または(001)面を持つ触媒を作製する。また、触媒表面積と触媒体積の比を大きくする。また、触媒粒子サイズをナノメートルサイズより大きくする。これにより、高活性であり、比表面積が高く、触媒の利用率が高い、燃料電池用電極触媒が得られる。以下、本発明の実施例を説明する。
燃料電池電極には、低温長時間動作が可能となるように、高活性で比表面積が高く触媒の利用率が高い触媒が要求される。本実施例は、基材に被覆させた高活性の(100)または(010)または(001)面が多く現れるような触媒及びその製造法に関する。はじめに高活性方位面の理解、基材選択の指針について述べ、製造法、実施例、効果の順に記述する。
高活性方位面は、既に述べたように、律速反応の活性化エネルギーの低下する(100)または(010)または(001)面である。基材選択の指針としては、基材の結晶格子の表面が触媒結晶の(001)面と整合する基材を選ぶ必要がある。FCC(001)面は表面が正方格子であるため、安定に正方格子を表面に持つ結晶粒子を用いる必要があり、そのような結晶粒子は2元系の単純立方格子の結晶粒子である。FCC触媒結晶の格子定数×√2と2元系単純立方格子の格子定数の差が15%以内として、被覆反応を起こし得ること、安定性、入手し易さ等から、ハロゲン化銀を選択した。製造法としては、流れを作って錯体を輸送しレーザー照射領域を通過させて分解し、触媒原子を反応領域に到達させる。また、反応領域に基材及び被覆された基材を設置して、上記の触媒原子を被覆させる。これにより、基材へのPtRuの被覆反応が進み、律速反応の活性化エネルギーを低下させる(100)または(010)または(001)面を持つ、触媒粒子が得られる。
触媒原子は水素化物分子の形を取り、基材との結合が強いため、反応の速度は自己凝集の反応速度の同等以上である。そこで、基材を被覆する反応速度の方を大きくしておくため、全ての基材表面が触媒原子で1層以上被覆されるまでは、投入する錯体量を抑制するか、或いは基材表面積を大きくしておく。また、Ptの方が還元されやすく、基材との結合が強いので、最初に全ての基材表面をPt原子で1層以上被覆しておくことも考えられる。
基材への被覆反応装置の構成、被覆触媒の構造、及び酸化電流測定結果について、図面を用いて説明する。図4は基材への被覆反応装置構成の一例であり、内壁が石英の容器111内上部に、高温不活性ガス内に蒸気化しているPt錯体分子のPtアセチルアセトナト錯体用の供給口112と、同様に蒸気化しているRu錯体分子のRuアセチルアセトナト錯体用の供給口113を持ち、H2よりなる還元性反応ガスの供給口114を持つ。この他にさらに希釈用不活性ガス供給口があってもよく、還元性反応ガスと希釈用不活性ガスの混合ガスが供給口から供給されても良い。容器111内の下部には、基材粒子115とほぼ50℃に保たれたNonadecane116を入れる盆状容器117が設置され、上部からの層流がほぼ50℃に保たれたNonadecane116の液面に触れながら排気口118へと導かれる構成になっている。排気口118の先には排気ポンプ119及びガス・分解物の回収装置120を設置する。本実施例では、還元性反応ガス及び希釈用不活性ガスの総流量を1slm程度とし、対応する能力の排気ポンプを用いて容器111内が130Pa程度になるようにした。これは、半導体製造でのアッシング装置でよく用いられる流量及び圧力の構成である。
図4において、錯体蒸気は容器111内に入って減圧されるため、また低温分子との衝突のため、そのままでは温度が低下する。また、層流であるため、また質量が大きいため、主に装置中央付近を下に流れ、ほぼ50℃に保たれたNonadecane116の液面で左右に分かれて進み、排気される。錯体蒸気と高温不活性ガスの流量は、減圧が1/2倍以上であることが断熱膨張による温度低下抑制の点から望ましく、ここでは1/1.5倍程度に減圧されるように、Ptアセチルアセトナト錯体用の供給口112と、Ruアセチルアセトナト錯体用の供給口113からの流量を調節した。また、レーザー照射領域121を設けて、Pt錯体分子とRu錯体分子をそれぞれの励起波長を用いて選択的に加熱した。
レーザー照射領域121にレーザー光が行き渡るようにするため、多重反射鏡を設置し、この領域は赤外及び光を透過する石英窓とした。レーザー照射に関する装置構成は、後で、図8を用いて説明する。錯体蒸気の流量が各々1sccm程度であれば、150W出力で1秒間に1回1m秒のパルスを照射することにより、錯体分子を千℃程度にでき、容易にH2分子との反応を起こして錯体分子を分解することができる。また、装置高さとレーザー照射領域121の上下長さの設定により、本実施例の流量・圧力での錯体分子は、レーザー照射領域121滞在中に2回以上のレーザー照射を受けることができるが、本実施例では2回程度の照射が受けられるようにレーザー照射領域121を30cm程度にした。
波長に関しては、事前にアセチルアセトナト錯体蒸気の波長と吸収強度を測定しておく。但し、還元分解反応により、アセチルアセトナトの配位子の数が減った分解物ができる。Ptの場合には配位子の1個ついた1種類、Ruの場合には配位子が1個付く場合と2個付く場合の2種類の分解物が生成され得る。これらの分解物は吸収波長が変化するので、図4と同様の装置に入射角度を変えて多重反射後に検出器に入射するレーザーを設置すれば、分解物の吸収波長を測定できる。アセチルアセトナト錯体蒸気の吸収波長で加熱し還元分解すると共に、測定用レーザーを照射して分解物の吸収波長を測定すればよい。Ru錯体の場合は、アセチルアセトナト錯体蒸気の吸収波長と2配位子錯体の吸収波長を照射して加熱し還元分解すると共に、測定用レーザーを照射して分解物の吸収波長を測定すれば1配位子錯体の吸収波長を測定できる。
図5は、図4の装置構成の被覆反応領域を拡大して示したものである。錯体分子から分解したPt,Ruを含む分解物は、容器111内を層流に乗って流れ降り、その質量の大きさから大部分が液面からほぼ50℃に保たれたNonadecane116内に入る。液中でのPt,Ruを含む分解物は、遭遇した相手が吸着或いは結合し得る対象であれば、吸着或いは結合反応する。そのような対象は、基材粒子115か、或いはPt,Ruを含む分解物自身である。分解物自身との結合反応を抑えて基材粒子との反応を優先させるには、ほぼ50℃に保たれたNonadecane116液内の分解物のモル濃度を基材表面積に対して抑制すればよく、例えば、左右50cm、奥行き20cm、深さ2cm程度の液体(ほぼ50℃に保たれたNonadecane116)があればよい。この液体に対してほぼ1μmのサイズのAgCl結晶粒子(基材粒子115)を液体体積の約1/1000の総体積量を使用すればよい。また、触媒粒子のサイズを変えるには基材粒子サイズを変更すればよく、触媒原子の総断面積より基材粒子の総断面積を大きく保つように、基材粒子の総体積量を調節すればよい。このNonadecane116液は保温用温度調節板122によってほぼ50℃に保たれている。また、AgCl結晶粒子がNonadecane液中を自由に動いて粒子の全面に被覆反応が起きるように、加振手段123を設置した。加振は、AgCl結晶粒子が動ければよい程度なので、振動方向は上下・横のどちらでもよく、振幅・振動数も小さくてよい。本実施例では、横方向に振幅0.5cm、周期1秒を用いた。また、深い液体容器の場合は攪拌手段を設ければよい。また、基材粒子の全面に被覆層を設けた後で、公知の手段、例えばアルコール還元法により、さらに被覆層を成長させることもできる。
図6に、本発明の実施例による基材に被覆反応させる触媒粒子製造装置の構成において、原料となる有機錯体を溶融・気化させる装置の構成を示す。この装置はPt用とRu用の2つを設置するが、温度・圧力・流量設定の運転条件が異なるのみなので、Pt用を例にとって説明する。金属製容器211の上部の開口部より高周波の電磁波212を導入し、この電磁波を吸収して発熱する発熱体213と214を配置する。この発熱の原理は電子レンジと同様である。発熱体213と214を包み込む形で、石英容器が配置されている。石英容器は、アセチルアセトナトのPt有機錯体217の容器となる下側の容器215と、その蓋いとなる蓋216からなり、容器215と蓋216は一体構造を取る。両者の間の空間は、不活性ガス供給口218から不活性ガス219を流すガス流路220となる。不活性ガス219は、発熱体213と214からの熱により、Pt有機錯体217からの蒸気を含んだ高温ガスすなわち錯体蒸気含有不活性ガス221となり、図4,図5に示した容器111へのPtアセチルアセトナト錯体用の供給口112へと輸送される。石英容器は石英支持材222により金属製容器211上に支持される。また、仕切り板223は高周波の電磁波212を透過させるための石英窓である。高周波による発熱体の発熱により、Pt有機錯体217の温度が250℃程度以上になると、Pt有機錯体217は溶融状態になる。また、不活性ガス供給口218からの不活性ガス219の供給量を10sccm程度にする。また、本装置の高温が他の装置に伝わり難くするために、冷却用不活性ガス224を、冷却用流路225と226に流している。Ptアセチルアセトナト錯体用の供給口112の口径は通過するガスの圧力が容器111内の1.5倍程度になるように設定されているが、容器111内の流量圧力条件が変わるときは、対応して図6の装置の流量調整により圧力差を調整可能である。また、Ptアセチルアセトナト錯体用の供給口112からのPt有機錯体の蒸発量が1sccm程度になるように、高温ガス(錯体蒸気含有不活性ガス221)の温度とPt有機錯体217の温度が調節されなければならない、即ち、高周波の電磁波212の導入量が調節されなければならない。有機錯体の蒸発流量が1sccm程度であるか否かの測定は、不活性ガス供給量が判っておりガス温度を測定すれば流速が判るため、Ptアセチルアセトナト錯体用の供給口112での1回通過のレーザー照射における吸収強度を測定して評価できる。これを用いて高周波の電磁波212の導入量を調節できる。この導入量調節により、Ruアセチルアセトナト錯体を蒸発させないで基材上にPtのみを析出させたり、触媒粒子のPtRu組成を制御することができる。
図7に、基材に被覆反応させる触媒粒子製造装置の構成において、原料となる有機錯体を溶融・気化させる装置の別の例を示す。この装置はPt用とRu用の2つを設置するが、温度・圧力・流量設定の運転条件が異なるのみなので、Pt用を例にとって説明する。金属製容器211の上部の開口部より高周波の電磁波212を導入し、この電磁波を吸収して発熱する発熱体213と214を配置する。この発熱の原理は電子レンジと同様である。発熱体213と214をそれぞれ包み込む形で、石英容器229と230が二重に配置されており、内側の石英容器229の内側にはアセチルアセトナトのPt有機錯体217が入れられている。高周波による発熱体の発熱により、Pt有機錯体217の温度が250℃程度以上になると、Pt有機錯体217は溶融状態になる。また、不活性ガス供給口218から不活性ガス219を10sccm程度供給し、不活性ガス流路231を通過させて過熱し、錯体蒸気供給口232からのPt有機錯体蒸気と合わせて、蒸気化Pt錯体分子を含む高温不活性ガス(錯体蒸気含有不活性ガス221)として、Ptアセチルアセトナト錯体用の供給口112に輸送する。排気口233は、石英容器220内の圧力調節のための排気ポンプにつながっている。また、本装置の高温が他の装置に伝わり難くするために、冷却用不活性ガス224を、流路234と235に流している。仕切り板223は高周波の電磁波212を透過させるための石英窓である。Ptアセチルアセトナト錯体用の供給口112の口径は通過するガスの圧力が容器111内の1.5倍程度になるように設定されているが、容器111内の流量圧力条件が変わるときは、対応して図7の装置の流量調整により圧力差を調整可能である。また、錯体蒸気供給口232からのPt有機錯体の蒸発量が1sccm程度になるように、高温不活性ガス236の温度とPt有機錯体217の温度とPt有機錯体217に掛かる圧力が調節されなければならない。即ち、高周波の電磁波212の導入量と排気口233からの排気量が調節されなければならない。有機錯体の蒸発流量が1sccm程度であるか否かの測定は、不活性ガス供給量が判っておりガス温度を測定すれば流速が判るため、Ptアセチルアセトナト錯体用の供給口112での1回通過のレーザー照射における吸収強度を測定して評価できる。これを用いて高周波の電磁波212の導入量と排気口233からの排気量を調節できる。電磁波212の導入量調節により、Ruアセチルアセトナト錯体を蒸発させないで基材上にPtのみを析出させたり、触媒粒子のPtRu組成を制御することができる。
図8に、本発明の実施例による基材に被覆反応させる触媒粒子製造装置の構成において、レーザーを照射する装置の構成を示す。レーザーは図4に示す装置において紙面の垂直方向から照射するので、図8にはレーザー照射装置の構成を図4の側面から見た図として示した。パルスレーザー発生装置151にて発生したレーザー光は、拡大レンズ152によりレーザー照射領域121の幅に拡大され、収束レンズ153により平行レーザー光束154となって、容器111内に入射する。図示した平行レーザー光束154は、中心線を示しており、実際は上下に幅を持つ。容器111内に入射した平行レーザー光束154は、多重反射鏡155によって次々と反射されて、レーザー照射領域121の下方に進んでいく。平行レーザー光束154は、上向き反射となるように調節された反射鏡156で反射されて、多重反射鏡155に再び入射して上方に進んでいく。また、上方に進んだ平行レーザー光束154は、上方の反射鏡157により再び下方に反射されて多重反射鏡155に入射するように設定されている。このような多重反射によりレーザー光を有効に錯体分子に吸収させる。また、測定用レーザー発生装置160から発生した測定用レーザー光161は、容器111への入射角度が調節されており、多重反射鏡155で反射を繰り返して下方に行くと、測定装置170に入射するようになっている。これにより、分解した有機錯体の吸収波長を測定することができる。有機錯体の蒸発流量が1sccm程度であるか否かの測定は、反射鏡157を外して測定装置を設置し、測定用レーザー発生装置の位置と照射角度を調節して、Ptアセチルアセトナト錯体用の供給口112出口での1回通過のレーザー照射を実施し、吸収強度を測定して評価できる。また、各レーザー出力は、析出したPtRu合金の組成が所望のものとなるように調整される。
第一の実施例として、図4、図5、図6、図8の構成の装置を用いて、錯体蒸気投入とレーザー照射を20分間実施した。その後、ガス供給・排気・レーザー照射の運転を止め、加熱部の放熱と共に容器111内を大気圧に戻し、Nonadecane液116とその内容物を回収し、通常の手段で、触媒が被覆した基材をろ過して回収し、アセトン洗浄・乾燥した。もちろん、排気ポンプを停止せずにNonadecane液116とその内容物を回収し、交換設置する手段を用いても良い。走査型電子顕微鏡で被覆基材300が6面体形状で図9(a)のようであることを確認し、走査型電子顕微鏡で基材の各部を調べたところ、特にえぐれや突起は見つからなかった。また、基材の6面体の1面を0.1μmに削って透過型電子顕微鏡で各辺を観察したところ、図9(b)のように触媒層310で均一に被覆されていた。このことから、被覆された触媒粒子は(100)または(010)または(001)面を持つと考える。図10に示すように、この基材被覆触媒粒子の酸化電流401は、市販のナノサイズ触媒の酸化電流402に対して1.5倍に達した。CO吸着による表面積測定から、比表面積はナノサイズ触媒と同等であった。このとから、高活性方位面を持ち、比表面積、利用率の高い触媒粒子が得られたと結論した。
精製した触媒粒子を導電性炭素材料に担持するには、例えば、特許文献1にならって、精製触媒粒子と、導電性炭素材料と、ルテニウムの塩又は錯体と白金の塩又は錯体とを、アルコール混和有機溶剤中に溶解させ、不活性雰囲気中でアルコールによる加熱還流を行うことによって得ることができる。担持・実装時には酸化電流が市販のナノサイズ触媒の2倍になった。また、導電性炭素材料上に、ハロゲン化銀を析出させておき、前述の第一の実施例を用いてその上にPtRuを被覆させて担持触媒粒子を作成することもできる。
第一の実施例は基材結晶粒子がAgClであったが、基材結晶粒子115をAgBrとしたときの触媒層被覆した触媒粒子を同様に作製した。走査型電子顕微鏡で被覆基材300が6面体形状で図9(a)のようであることを確認し、走査型電子顕微鏡で基材の各部を調べたところ、特にえぐれや突起は見つからなかった。また、基材の6面体の1面を0.1μmに削って透過型電子顕微鏡で各辺を観察したところ、図9(b)のように触媒層310で均一に被覆されていた。このことから、被覆された触媒粒子は(100)または(010)または(001)面を持つと考える。図10に示すように、この基材被覆触媒粒子の酸化電流401は、市販のナノサイズ触媒の酸化電流402に対して1.5倍に達した。CO吸着による表面積測定から、比表面積はナノサイズ触媒と同等であった。このとから、高活性方位面を持ち、比表面積、利用率の高い触媒粒子が得られたと結論した。
第一の実施例において、供給する錯体原料をPt原料のみとしたときの触媒層被覆した触媒粒子を同様に作製した。走査型電子顕微鏡で被覆基材300が6面体形状で図9(a)のようであることを確認し、走査型電子顕微鏡で基材の各部を調べたところ、特にえぐれや突起は見つからなかった。また、基材の6面体の1面を0.1μmに削って透過型電子顕微鏡で各辺を観察したところ、図9(b)のように触媒層310で均一に被覆されていた。このことから、被覆された触媒粒子は(100)または(010)または(001)面を持つと考える。CO吸着による表面積測定から、比表面積はナノサイズ触媒と同等であった。このことから、高活性方位面を持ち、比表面積、利用率の高い触媒粒子が得られたと結論した。
第一の実施例において、基材結晶粒子115をAgBrとし、供給する錯体原料をPt原料のみとしたときの触媒層被覆した触媒粒子を同様に作製した。走査型電子顕微鏡で被覆基材300が6面体形状で図9(a)のようであることを確認し、走査型電子顕微鏡で基材の各部を調べたところ、特にえぐれや突起は見つからなかった。また、基材の6面体の1面を0.1μmに削って透過型電子顕微鏡で各辺を観察したところ、図9(b)のように触媒層310で均一に被覆されていた。このことから、被覆された触媒粒子は(100)または(010)または(001)面を持つと考える。CO吸着による表面積測定から、比表面積はナノサイズ触媒と同等であった。このとから、高活性方位面を持ち、比表面積、利用率の高い触媒粒子が得られたと結論した。
第一の実施例において、供給する錯体原料を最初の5分間だけPt原料のみとし、その後はPtRu原料としたときの触媒層被覆した触媒粒子を同様に作製した。走査型電子顕微鏡で被覆基材300が6面体形状で図9(a)のようであることを確認し、走査型電子顕微鏡で基材の各部を調べたところ、特にえぐれや突起は見つからなかった。また、基材の6面体の1面を0.1μmに削って透過型電子顕微鏡で各辺を観察したところ、図9(b)のように触媒層310で均一に被覆されていた。このことから、被覆された触媒粒子は(100)または(010)または(001)面を持つと考える。CO吸着による表面積測定から、比表面積はナノサイズ触媒と同等であった。このとから、高活性方位面を持ち、比表面積、利用率の高い触媒粒子が得られたと結論した。
第一の実施例において、基材結晶粒子115をAgBrとし、供給する錯体原料を最初の5分間だけPt原料とし、その後はPtRu原料としたときの触媒層被覆した触媒粒子を同様に作製した。走査型電子顕微鏡で被覆基材300が6面体形状で図9(a)のようであることを確認し、走査型電子顕微鏡で基材の各部を調べたところ、特にえぐれや突起は見つからなかった。また、基材の6面体の1面を0.1μmに削って透過型電子顕微鏡で各辺を観察したところ、図9(b)のように触媒層310で均一に被覆されていた。このことから、被覆された触媒粒子は(100)または(010)または(001)面を持つと考える。CO吸着による表面積測定から、比表面積はナノサイズ触媒と同等であった。このとから、高活性方位面を持ち、比表面積、利用率の高い触媒粒子が得られたと結論した。
本発明の第二の実施例として、図4、図5、図7、図8の構成の装置を用いて、この錯体蒸気投入とレーザー照射を20分間実施した。その後、ガス供給・排気・レーザー照射の運転を止め、加熱部の放熱と共に容器AA内を大気圧に戻し、Nonadecane液116とその内容物を回収し、通常の手段で、触媒が被覆した基材をろ過して回収し、アセトン洗浄・乾燥した。もちろん、排気ポンプを停止せずにNonadecane液116とその内容物を回収し、交換設置する手段を用いても良い。走査型電子顕微鏡で被覆基材300が6面体形状で図9(a)のようであることを確認し、走査型電子顕微鏡で基材の各部を調べたところ、特にえぐれや突起は見つからなかった。また、基材の6面体の1面を0.1μmに削って透過型電子顕微鏡で各辺を観察したところ、図9(b)のように触媒層310で均一に被覆されていた。このことから、被覆された触媒粒子は(100)または(010)または(001)面を持つと考える。図10に示すように、この基材被覆触媒粒子の酸化電流401は、市販のナノサイズ触媒の酸化電流402に対して1.5倍に達した。CO吸着による表面積測定から、比表面積はナノサイズ触媒と同等であった。このことから、高活性方位面を持ち、比表面積、利用率の高い触媒粒子が得られたと結論した。
精製した触媒粒子を導電性炭素材料に担持するには、例えば、特許文献1にならって、精製触媒粒子と、導電性炭素材料と、ルテニウムの塩又は錯体と白金の塩又は錯体とを、アルコール混和有機溶剤中に溶解させ、不活性雰囲気中でアルコールによる加熱還流を行うことによって得ることができる。担持・実装時には酸化電流が市販のナノサイズ触媒の2倍になった。また、導電性炭素材料上に、ハロゲン化銀を析出させておき、実施例2を用いてその上にPtRuを被覆させて担持触媒粒子を作製することもできる。
上記の第二の実施例は基材結晶粒子がAgClであるが、基材結晶粒子115をAgBrとしたときの触媒層被覆した触媒粒子を同様に作製した。走査型電子顕微鏡で被覆基材300が6面体形状で図9(a)のようであることを確認し、走査型電子顕微鏡で基材の各部を調べたところ、特にえぐれや突起は見つからなかった。また、基材の6面体の1面を0.1μmに削って透過型電子顕微鏡で各辺を観察したところ図9(b)のように触媒層310で均一に被覆されていた。このことから、被覆された触媒粒子は(100)または(010)または(001)面を持つと考える。図10に示すように、この基材被覆触媒粒子の酸化電流401は、市販のナノサイズ触媒の酸化電流402に対して1.5倍に達した。CO吸着による表面積測定から、比表面積はナノサイズ触媒と同等であった。このとから、高活性方位面を持ち、比表面積、利用率の高い触媒粒子が得られたと結論した。
第二の実施例において、供給する錯体原料をPt原料のみとしたときの触媒層被覆した触媒粒子を同様に作製した。走査型電子顕微鏡で被覆基材300が6面体形状で図9(a)のようであることを確認し、走査型電子顕微鏡で基材の各部を調べたところ、特にえぐれや突起は見つからなかった。また、基材の6面体の1面を0.1μmに削って透過型電子顕微鏡で各辺を観察したところ、図9(b)のように触媒層310で均一に被覆されていた。このことから、被覆された触媒粒子は(100)または(010)または(001)面を持つと考える。CO吸着による表面積測定から、比表面積はナノサイズ触媒と同等であった。このとから、高活性方位面を持ち、比表面積、利用率の高い触媒粒子が得られたと結論した。
第二の実施例において、基材結晶粒子115をAgBrとし、供給する錯体原料をPt原料のみとしたときの触媒層被覆した触媒粒子を同様に作製した。走査型電子顕微鏡で被覆基材300が6面体形状で図9(a)のようであることを確認し、走査型電子顕微鏡で基材の各部を調べたところ、特にえぐれや突起は見つからなかった。また、基材の6面体の1面を0.1μmに削って透過型電子顕微鏡で各辺を観察したところ、図9(b)のように触媒層310で均一に被覆されていた。このことから、被覆された触媒粒子は(100)または(010)または(001)面を持つと考える。CO吸着による表面積測定から、比表面積はナノサイズ触媒と同等であった。このとから、高活性方位面を持ち、比表面積、利用率の高い触媒粒子が得られたと結論した。
第二の実施例において、供給する錯体原料を最初の5分間だけPt原料のみとし、その後はPtRu合金原料としたときの触媒層被覆した触媒粒子を同様に作製した。走査型電子顕微鏡で被覆基材300が6面体形状で図9(a)のようであることを確認し、走査型電子顕微鏡で基材の各部を調べたところ、特にえぐれや突起は見つからなかった。また、基材の6面体の1面を0.1μmに削って透過型電子顕微鏡で各辺を観察したところ、図9(b)のように触媒層310で均一に被覆されていた。このことから、被覆された触媒粒子は(100)または(010)または(001)面を持つと考える。CO吸着による表面積測定から、比表面積はナノサイズ触媒と同等であった。このとから、高活性方位面を持ち、比表面積、利用率の高い触媒粒子が得られたと結論した。
第二の実施例において、基材結晶粒子115をAgBrとし、供給する錯体原料をPt原料のみとし、その後はPtRu合金原料としたときの触媒層被覆した触媒粒子を同様に作製した。走査型電子顕微鏡で被覆基材300が6面体形状で図9(a)のようであることを確認し、走査型電子顕微鏡で基材の各部を調べたところ、特にえぐれや突起は見つからなかった。また、基材の6面体の1面を0.1μmに削って透過型電子顕微鏡で各辺を観察したところ、図9(b)のように触媒層310で均一に被覆されていた。このことから、被覆された触媒粒子は(100)または(010)または(001)面を持つと考える。CO吸着による表面積測定から、比表面積はナノサイズ触媒と同等であった。このとから、高活性方位面を持ち、比表面積、利用率の高い触媒粒子が得られたと結論した。
(001)面正方格子の1:1比率のPtとRuの配置と、CO及びOHの吸着構造を示す説明図。 PtRuの(001)面正方格子に吸着したCO及びOHの構造と、結合反応の遷移構造と、反応後構造と、活性化エネルギーを示す説明図。 Pt及びRuが結合してクラスター化する際の結合エネルギーを示す説明図。 本発明の実施例による基材に被覆反応させる触媒粒子製造装置の構成を示す概略図。 本発明の実施例による基材に被覆反応させる触媒粒子製造装置において、被覆反応領域の装置の構成を示す概略図。 本発明の実施例による基材に被覆反応させる触媒粒子製造装置において、原料となる有機錯体を溶融・気化させる装置の構成を示す概略図。 本発明の実施例による基材に被覆反応させる触媒粒子製造装置において、原料となる有機錯体を溶融・気化させる装置の別の構成を示す概略図。 本発明の実施例による基材に被覆反応させる触媒粒子製造装置の構成において、レーザーを照射する装置の構成を示す概略図。 本発明の実施例による被覆された基材形状及びその断面で確認した被覆層を示す図。 本発明の実施例による触媒粒子の酸化電流特性を示す図。
符号の説明
111…石英容器、112…Ptアセチルアセトナト錯体用の供給口、113…Ruアセチルアセトナト錯体用の供給口、114…還元性反応ガスの供給口、115…基材結晶粒子、116…エチレングリコール、117…エチレングリコール用容器、118…排気口、119…排気ポンプ、120…回収装置、121…レーザー照射領域、122…保温用温度調節板、123…加振手段、151…パルスレーザー発生装置、152…拡大レンズ、153…収束レンズ、154…平行レーザー光束、155…多重反射鏡、156…反射鏡、157…反射鏡、160…測定用レーザー発生装置、161…測定用レーザー光、170…測定装置、211…金属製容器、212…高周波電磁波、213…電波吸収発熱体、214…電波吸収発熱体、215…石英容器、216…石英構造体、217…Pt有機錯体、218…不活性ガス供給口、219…不活性ガス、220…ガス流路、221…錯体蒸気含有不活性ガス、223…仕切り板、224…冷却用不活性ガス、231…不活性ガス流路、232…錯体蒸気供給口、233…排気口、234…冷却用流路、300…被覆基材、310…触媒層、401…基材被覆触媒粒子の酸化電流、402…市販のナノサイズ触媒粒子の酸化電流。

Claims (21)

  1. (100)面,(010)面及び(001)面から選ばれた少なくとも1つと整合する格子表面を持つ基材上に、触媒層が成長していることを特徴とする燃料電池用電極触媒。
  2. (100)面または(010)面または(001)面と整合する格子表面を持つ基材上に、触媒層を成長させて作製したことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用電極触媒。
  3. 請求項1において、前記触媒層がPtRu合金よりなり、前記PtRu合金は表面に(100)(010)(001)面の少なくとも1つを50%以上持つ粒子により構成されていることを特徴とする燃料電池用電極触媒。
  4. 請求項2において、前記基材が2元系単純立方格子結晶よりなり、触媒結晶の格子定数×√2との差が15%以内であることを特徴とする燃料電池用電極触媒。
  5. 請求項1において、前記触媒層がPtRu合金よりなることを特徴とする燃料電池用電極触媒。
  6. 請求項1において、前記触媒層がPtよりなることを特徴とする燃料電池用電極触媒。
  7. 請求項2において、前記基材がハロゲン化銀よりなることを特徴とする燃料電池用電極触媒。
  8. 請求項7において、前記基材がAgClまたはAgBrよりなり、前記基材上にPtRu合金よりなる触媒層を有することを特徴とする燃料電池用電極触媒。
  9. 請求項7において、前記基材がAgClまたはAgBrよりなり、前記基材上にPtよりなる触媒層を有することを特徴とする燃料電池用電極触媒。
  10. 請求項7において、前記基材がAgClまたはAgBrよりなり、前記基材上にPtよりなる層を有し、Pt層上にPtRu合金よりなる触媒層を有することを特徴とする燃料電池用電極触媒。
  11. (100)面,(010)面及び(001)面から選ばれた少なくとも1つと整合する格子表面を持つ基材上に、触媒層を成長させることを特徴とする燃料電池用電極触媒の製造方法。
  12. (100)面または(010)面または(001)面と整合する格子表面を持つ基材上に、触媒層を成長させることを特徴とする請求項11に記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
  13. 請求項12において、ハロゲン化銀よりなる前記基材上に、PtRu合金またはPtよりなる前記触媒層を成長させることを特徴とする燃料電池用電極触媒の製造方法。
  14. 請求項13において、AgClまたはAgBrよりなる前記基材上に、PtRu合金よりなる前記触媒層を成長させることを特徴とする燃料電池用電極触媒の製造方法。
  15. 請求項13において、AgClまたはAgBrよりなる前記基材上に、Ptよりなる前記触媒層を成長させることを特徴とする燃料電池用電極触媒の製造方法。
  16. 触媒成分を含む有機錯体にレーザーを照射して分解させ、(100)面,(010)面及び(001)面から選ばれた少なくとも1つと整合する格子表面を持つ、冷却された基材の表面に、触媒成分よりなる触媒層を成長させることを特徴とする燃料電池用電極触媒の製造方法。
  17. 有機Pt錯体、または有機Pt錯体と有機Ru錯体にレーザーを照射して分解させ、前記基材の表面に、Pt又はPtRu合金よりなる触媒層を成長させることを特徴とする請求項16に記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
  18. 請求項1に記載された、基材上に触媒層を持つ触媒粒子を、炭素系材料に担持させたことを特徴とする燃料電池用電極。
  19. 請求項18において、前記触媒層がPtRu合金またはPtよりなることを特徴とする燃料電池用電極。
  20. 請求項18に記載の燃料電池用電極を電解質膜と接合して一体化し、前記電解質膜の一方の側にPtRu合金よりなる触媒層を設け、他方の側にPtよりなる触媒層を設けるようにしたことを特徴とする電解質膜/電極接合体。
  21. 請求項18に記載の構造を有し触媒層がPtRu合金よりなる燃料極と、請求項18に記載の構造を有し触媒層がPtよりなる空気極を電解質膜の両側に対向して備え、前記燃料極に燃料が供給され、前記空気極に空気が供給されるようにしたことを特徴とする燃料電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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