JP2007194057A - 電池スタックの冷媒条件設定装置及び電池スタックの冷媒条件設定方法 - Google Patents

電池スタックの冷媒条件設定装置及び電池スタックの冷媒条件設定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】隣接する電池の間にそれぞれ冷媒流路を設けて複数の電池を整列配置して構成される電池スタックにおいて、必要な冷却性能を確保しながら、最適な冷媒条件を求めることである。
【解決手段】電池の種類ごとに冷媒流路における熱コンダクタンスを記憶する記憶手段から、電池の種類を検索キーとしてその電池の熱コンダクタンスを取得し(S10)、取得された熱コンダクタンスを用いて、冷媒流路を流れる冷媒速度と冷媒流路の温度勾配との関係を取得し(S12)、温度勾配の条件を与えて最小冷媒速度を取得し(S14)、次に冷媒流路の流れを層流に維持するための条件を考慮し(S16)、冷媒流路における圧力損失を与えて、最小冷媒速度に対応する冷媒流路の断面積を取得する(S18)。
【選択図】図4

Description

本発明は、電池スタックの冷媒条件設定装置及び電池スタックの冷媒条件設定方法に係り、特に、隣接する電池の間にそれぞれ冷媒流路を設けて複数の電池を整列配置して構成される電池スタックにおける最適冷媒条件を求める冷媒条件設定装置及びその装置上で実行される電池スタックの冷媒条件設定方法に関する。
車両等においては、電源として様々な電池が用いられている。例えば、燃料ガスと酸化ガスとを供給し、電池化学反応によって電力を取り出す燃料電池が搭載される車両がある。また、2次電池として、リチウム電池やニッケル水素電池等が搭載される。これらの電池は1つでは起電力はあまり大きくないので、大電力を取り出すには、単電池を複数整列配置し、直列あるいは並列に接続して、いわゆる電池スタックとして用いられる。
燃料電池は電池化学反応と共に発熱し、各種の2次電池も充放電によって発熱するが、温度上昇は電池の出力特性に影響するので、空気又は冷却水等の冷媒によって冷却することが行なわれる。この場合に、隣接する電池の間に隙間を設け、これらを冷媒流路として、そこに冷媒を流すが、冷却効率を向上させるために、冷媒流路の構成等に工夫がされる。
例えば、特許文献1には複数の電池を備えた集合電池において、最適な冷却を行なうものとして、従来技術では集合電池の端に行くほど積層電池間の間隔を広くすることで冷却風を集合電池全体に行き渡らせていたものに対し、複数の冷媒通路の各々の幅を異ならせ、特に集合電池の端部から中央部に近づくにつれて大きくなるものが開示されている。
また、特許文献2には、単電池を複数個直列配置して一体電槽としてなる集合型密閉二次電池において、各単電池の全面を冷却する方法が開示されている。ここでは、単電池を直列に配列した状態で互いに対向する電槽の対向壁面に相互に当接する多数の突部がマトリクス上に配置され、その突部の当接によって形成される空間が冷却媒体通路となる。直列配置された複数の単電池は、その最も外側が端板で挟まれ、両端板の間を渡して拘束バンドで堅締されるが、その拘束バンドが渡る両側面にも冷却媒体通路が形成され、この一方側から他方側にむけて、突部の当接によって形成される冷却媒体通路を通って冷媒が流される。拘束バンドが渡る両側面の一方側と他方側には、例えば冷却媒体通路の断面積を異ならせる等の圧力差を発生させる手段が設けられる。これにより、各単電池の全面が強制冷却されることが述べられている。
特開2003−331932号公報 特開2000−251951号公報
電池スタックの冷却において、冷媒量が多ければ冷却性能は向上するが、そのためには冷媒流路断面積を大きくするか、冷媒速度を上げる必要がある。前者は隣接する電池間の距離を大きくとることになり、電池スタックが大型化し、後者は冷媒を流すポンプ等の供給装置が大型化する。
電池スタックを車両に搭載する場合のように、搭載のためにスペースが限られている場合も多く、電池スタックの大型化を抑制し、最小のスペースで最大の冷却効果を得ることが要求される。
本発明の目的は、必要な冷却性能を確保しながら、最適な冷媒条件を求めることができる電池スタックの冷媒条件設定装置及び冷媒条件設定方法を提供することである。他の目的は、必要な冷却性能を確保しながら、最適な冷媒条件を求め、電池スタックの小型化を可能とする電池スタックの冷媒条件設定装置及び冷媒条件設定方法を提供することである。以下の手段はこれらの目的の少なくとも1つに貢献する。
本発明に係る電池スタックの冷媒条件設定装置は、隣接する電池の間にそれぞれ冷媒流路を設けて複数の電池を整列配置して構成される電池スタックにおける最適冷媒条件を求める冷媒条件設定装置であって、電池の種類ごとに、隣接する電池の間における冷媒流路の流路断面積と、冷媒流路を流れる冷媒速度と、冷媒流路における熱コンダクタンスとの相互関係を記憶する記憶手段と、流路断面積と冷媒速度との関係から流路の圧力損失を求め、冷媒速度と熱コンダクタンスとの関係から流路の温度勾配を求め、流路断面積と熱コンダクタンスとの関係から冷媒流路中の温度分布を求め、圧力損失と流路温度勾配と温度分布との条件を与えて、最適流路断面積を求める手段と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る電池スタックの冷媒条件設定装置は、隣接する電池の間にそれぞれ冷媒流路を設けて複数の電池を整列配置して構成される電池スタックにおける最適冷媒条件を求める冷媒条件設定装置であって、電池の種類ごとに冷媒流路における熱コンダクタンスを記憶する記憶手段と、記憶手段から、電池の種類を検索キーとしてその電池の熱コンダクタンスを取得する熱コンダクタンス取得手段と、取得された熱コンダクタンスを用いて、冷媒流路を流れる冷媒速度と冷媒流路の温度勾配との関係を求める温度勾配取得手段と、温度勾配の条件を与えて最小冷媒速度を求める冷媒速度取得手段と、冷媒流路における圧力損失を与えて、最小冷媒速度に対応する冷媒流路の断面積を求める流路断面積取得手段と、を備えることを特徴とする。
また、流路断面積取得手段は、冷媒流路の圧力損失について、層流を維持できる条件の下で与えることが好ましい。
また、本発明に係る電池スタックの冷媒条件設定方法は、隣接する電池の間にそれぞれ冷媒流路を設けて複数の電池を整列配置して構成される電池スタックにおける最適冷媒条件を求める冷媒条件設定装置上で実行される方法であって、電池の種類ごとに冷媒流路における熱コンダクタンスを記憶する記憶手段から、電池の種類を検索キーとしてその電池の熱コンダクタンスを取得する熱コンダクタンス取得工程と、取得された熱コンダクタンスを用いて、冷媒流路を流れる冷媒速度と冷媒流路の温度勾配との関係を求める温度勾配取得工程と、温度勾配の条件を与えて最小冷媒速度を求める冷媒速度取得工程と、冷媒流路における圧力損失を与えて、最小冷媒速度に対応する冷媒流路の断面積を求める流路断面積取得工程と、を含むことを特徴とする。
上記構成の少なくとも1つにより、電池の種類ごとに、隣接する電池の間における冷媒流路の流路断面積と、冷媒流路を流れる冷媒速度と、冷媒流路における熱コンダクタンスとの相互関係を記憶する記憶手段を備え、流路断面積と冷媒速度との関係から流路の圧力損失を求め、冷媒速度と熱コンダクタンスとの関係から流路の温度勾配を求め、流路断面積と熱コンダクタンスとの関係から冷媒流路中の温度分布を求め、圧力損失と流路温度勾配と温度分布との条件を与えて、最適流路断面積を求める。したがって、電池の種類で定まる熱コンダクタンスに基づき、冷媒供給装置の大きさを決める圧力損失を与えて、電池スタックの大きさを決める流路断面積を定めるので、最適な冷媒供給装置と最適な電池スタックの大きさを求めることができる。
また、電池の種類によって定まる熱コンダクタンスを取得し、取得された熱コンダクタンスを用いて、冷媒流路を流れる冷媒速度と冷媒流路の温度勾配との関係を求め、必要な冷却性能から定まる温度勾配の条件を与えて最小冷媒速度を求め、冷媒供給装置の大きさを決める圧力損失を与えて、最小冷媒速度に対応する冷媒流路の断面積を求める。これにより燃料電池スタックの大きさを最適化することができる。これによって、必要な冷却性能を満たす最適な冷媒供給装置と最適な電池スタックの大きさを求めることができる。
また、冷媒流路の圧力損失は、層流を維持できる条件の下で与えられる。一般的に流れが層流から乱流に変わると、流路の圧力損失が急増するので、層流を維持するには冷媒供給装置が大型化する。ここでは層流状態を維持するように圧力損失の条件を定めるので、冷媒ポンプ等の冷媒供給装置を小型にできる。
以下に図面を用いて、本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。以下では、車両に搭載される2次電池スタックについて説明するが、車両用でなくても、搭載面積が限られている他の用途に用いられる2次電池スタックであってもよい。また、2次電池スタック以外でも、一般的に電力を取り出すと発熱し、冷却が必要な電池スタック、例えば燃料電池スタック等であってもよい。
最初に、電池スタックを冷媒で冷却する場合に考慮されるパラメータについて説明し、その後に電池スタック冷媒条件設定装置の構成等について説明する。図1は、電池スタック10の冷却性能に影響する3つのパラメータを模式的に説明する図である。ここで電池スタック10は車両に搭載され、高電圧の電力を駆動用電動機、各種補機、各種車載用電子機器等に供給するため、複数の単電池12が、一定の間隔の隙間を隔てて整列配置される。この隣接する単電池12間の隙間が冷媒流路14として冷媒16を流すために用いられる。冷媒16は、空気又は冷却水等を用いることができる。冷媒16は、図示されていない冷媒ポンプあるいは冷却ファン等の冷媒供給装置によって冷媒流路を流され、図示されていない熱交換器で放熱して、再び冷媒流路に戻される。
冷媒16は、冷媒流路14を流れるうちに、電池化学反応によって発熱する単電池12から熱を奪ってその温度が上昇する。この冷媒16が冷媒流路14を流れるうちに奪う熱量が大きいほど、電池スタック10に対する冷却性能がよいことになる。冷却性能に影響を与えるパラメータの1つ目は、冷媒流路14の流路方向に垂直な断面積である流路断面積である。2つ目は、冷媒流路14を流れる冷媒の流速である冷媒速度である。3つ目は単電池12の構造特に冷媒流路に面する部分の材料や表面状態で定まる熱コンダクタンスである。
流路断面積が大きいほど、同じ冷媒速度でも冷媒流量が大きくなり、単電池12から奪う熱が多くなる。冷媒速度が大きいほど、流路断面積が同じであっても冷媒流量が大きくなり、単電池12から奪う熱が多くなる。また、流路断面積と冷媒速度が同じ条件であっても、単電池12の熱コンダクタンスが大きいほど、単電池12から奪う熱が多くなる。したがって、一般的には、熱コンダクタンスのよい材料で単電池12を構成し、隣接する単電池12の間の間隔を広げて流路断面積を大きくし、冷媒ポンプの循環能力を大きくして冷媒速度を大きくすれば、電池スタック10の冷却効率は向上する。しかし、これによって単電池12のコストが上昇し、電池スタックが大型化し、冷媒ポンプが大型化する。
電池スタック10の冷却効率は、図2に示すように、上記3つのパラメータを独立変数として3つの軸にとり、この3次元空間で表現することができる。3次元空間の表現は、以下の3つの関係に還元できる。図2に(1)として示されている流路断面積と冷媒速度との間の関係、(2)で示されている熱コンダクタンスと冷媒速度との間の関係、(3)で示されている熱コンダクタンスと流路断面積との間の関係である。
(1)の流路断面積と冷媒速度との間の関係からは、その冷媒流路14の圧力損失を決めることができる。すなわち、流路断面積と冷媒速度とを与えれば、その条件の下での冷媒流路の圧力損失を求めることができ、これによって冷媒ポンプ等に必要な容量または能力を定めることができる。なお、圧力損失を検討するときに、冷媒の流れが層流か乱流かに留意する必要がある。流れが層流から乱流に移ると、圧力損失は急増する。すなわち大型の冷媒ポンプを必要とする。層流から乱流に遷移する境界は、いわゆる臨界レイノルズ数で決めることができる。一般的には、流速をvとし、流路の代表寸法をDとして、vDに比例した数が臨界レイノルズ数である。流路の代表寸法は図1のモデルでは、隣接する単電池12の間の間隔である。したがって、層流を維持するには、臨界レイノルズ数に相当するvDを一定値以下に維持しなければならないことになる。
(2)の熱コンダクタンスと冷媒速度との間の関係からは、その冷媒流路14における温度勾配を決めることができる。ここで冷媒流路における温度勾配とは、冷媒流路14の入口の冷媒温度と、出口の冷媒温度との間の温度勾配のことである。冷媒流路14の上流側の端部から冷媒16が流れる方向に沿って測った距離をxとして、xが大きい値になるほど冷媒16の温度が上昇してくるので、冷媒16の熱伝達率が小さくなる。いま、単電池12の面からの発熱密度がxに依存せず一定であるとすると、xの位置における局部的熱伝達率は、(v/x)1/2に比例することが知られている。ここでvは冷媒速度であり、比例係数は熱コンダクタンスに依存して定められる。したがって、熱コンダクタンスと、冷媒速度を与えると、冷媒16の流れる方向に沿った温度分布、すなわち温度勾配を求めることができる。
また(3)の熱コンダクタンスと流路断面積との間の関係からは、断面積方向の温度分布を求めることができる。このように、流路断面積と、冷媒速度と、熱コンダクタンスとを与えることによって、電池スタック10の冷媒の状況を求めることができる。逆に言えば、電池スタック10の冷媒の状況を与えることで、その状況を満足する流路断面積と冷媒速度等の関係を求めることができる。電池スタック10に関する冷却システムの仕様は、例えば冷却温度を優先する仕様もあるが、ここでは小型化を優先する仕様を考えると、その中で重要なものは、電池スタック10の体積と、冷媒供給装置の容量である。すなわち、所定の冷却性能を満たしながら、流路断面積を小さく、冷媒速度を小さくすることが小型化仕様上の条件となる。所定の冷却性能は、冷媒流路における温度勾配で表すことができるので、小型化のためには、所定の温度勾配を満たす上での最小の冷媒速度と、最小の流路断面積とを求めることが要求される。
図3は、電池スタックの小型化のための冷媒条件を求めるための冷媒条件設定装置20の構成を示す図である。冷媒条件設定装置20は、CPU22と、キーボード等の入力部24と、ディスプレイ等の出力部26、熱コンダクタンス、冷媒速度、流路断面積の関係を記憶する記憶部28とを含んで構成される。かかる冷媒条件設定装置20は、一般的なコンピュータで構成することができる。
記憶部28は、図1、図2で説明した3つの要素の間の関係を記憶する機能を有する。3つの要素の関係は、階層的に記憶することができる。例えば熱コンダクタンスは、電池の種類、電池の構造、電池の運転状態等に関連付けて記憶され、さらに、それぞれについて下位の項目に関連付けて記憶される。
例えば電池の種類としては、リチウム電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、鉛蓄電池等の2次電池の種類が上げられる。熱コンダクタンスは、電池がどの種類の電池かによって異なってくるので、電池の種類に関連付けて記憶される。また、電池の種類が定まると、その種類の中で発電量や蓄電量等の容量ごとに関連付けて記憶される。
また、電池の構造に関する項目としては、電池のケースが金属か樹脂か等の材料、その熱伝導率、電池の冷媒流路に面した表面積、表面の粗さ等の表面状態、電池の外形が直方体か円筒か等の形状等がある。熱コンダクタンスはこれらの構造の相違により異なってくるので、構造に関する項目に関連付けて熱コンダクタンスが記憶される。したがって、材料ごと、表面状態ごと、形状ごと等、及び熱伝導率、表面積等に関連付けて熱コンダクタンスが記憶される。
また、電池の運転状態に関する項目としては、運転時期が夏か冬か等の運転季節、冷媒が空気か冷却水か等の冷媒種類等がある。熱コンダクタンスはこれらの運転状況によって異なってくるので、運転状況に関する項目に関連付けて熱コンダクタンスが記憶される。
3つの要素の間の関係については、図2で説明したような関係が記憶される。すなわち(1)の流路断面積と冷媒速度との間の関係において圧力損失等が記憶される。すなわち、流路断面積、冷媒速度、圧力損失の関係が記憶されるので、圧力損失を与えれば、その圧力損失における流路断面積と冷媒速度との関係を読み出すことができる。また、冷媒速度と圧力損失とを与えれば、その条件の下で流路断面積を取得することができる。また、圧力損失に関し、層流条件としての冷媒速度と流路断面積との関係が記憶される。また(2)の熱コンダクタンスと冷媒速度との間の関係において、温度勾配等が記憶される。ここでは、冷媒流路の長さがパラメータとして入ってくる場合がある。したがって、冷媒流路の長さを与えると、熱コンダクタンス、冷媒速度、温度勾配の関係が記憶されるので、熱コンダクタンスと温度勾配を与えると、その条件の下での冷媒速度を求めることができる。また、(3)の熱コンダクタンスと流路断面積との間の関係においては、断面積方向の温度分布が記憶される。
図3に戻り、CPU22は、電池の種類等の条件を入力部24から与えることで熱コンダクタンスを記憶部から読み出す熱コンダクタンス取得モジュール30と、熱コンダクタンスを用いて冷媒速度と温度勾配との関係を読み出す温度勾配取得モジュール32と、温度勾配の条件を与えて最小冷媒速度を取得する最小冷媒速度取得モジュール34と、圧力損失を与えて最小冷媒速度に対応する流路断面積を取得する最適流路断面積取得モジュール36とを含む。これらの機能はソフトウェアで実現でき、具体的には、対応する冷媒条件設定プログラムを実行することで実現できる。これらの機能の一部をハードウェアで実現してもよい。
かかる構成の冷媒条件設定装置20の作用を、図4のフローチャートを用いて詳細に説明する。図4のフローチャートは、電池スタックを小型化するために最適の冷媒条件を設定するための各手順を示すもので、各手順は、対応する冷媒条件設定プログラムの各処理手順の内容を表している。
電池スタック10について小型化のために最適の冷媒条件設定を行なう手順は次のように実行される。まずその電池における熱コンダクタンスを取得する(S10)。具体的には、CPU22の熱コンダクタンス取得モジュール30の機能により、入力部24からユーザによって入力された電池の種類等を取得し、記憶部28からその電池種類を検索キーとして対応する熱コンダクタンスを読み出す。上記のように記憶部28は、熱コンダクタンスを階層構造で記憶するので、階層における項目指定を順次行なって、対応する熱コンダクタンスを取得する。例えば、最初に、電池の種類としてニッケル水素が入力されて取得されると、電池種類=ニッケル水素電池を入力検索キー、熱コンダクタンスを出力検索キーとして記憶部28において検索が実行される。すると次に発電量や蓄電量等の容量を検索キーの入力項目として要求してくる。これらの条件を入力するとそれに応じて検索が実行され、次に電池の構造に関する項目として、電池のケースの材料、電池の冷媒流路に面した表面積、表面状態、電池の形状等が順次検索キーとしての入力項目として要求される。これらの条件をそれぞれ入力すると、それに応じて検索が順次実行され、最終的にその電池の内容における熱コンダクタンスが(watt/℃/単電池)の単位で出力されて取得される。
次に、温度勾配が取得される(S12)。具体的には温度勾配取得モジュール32の機能により、S10で取得された熱コンダクタンスを用いて冷媒速度と冷媒流路の温度勾配との関係を求める。図2に関連して説明したように、冷媒流路14の上流側の端部から冷媒16が流れる方向に沿って測った距離をxとして、単電池12の面からの発熱密度がxに依存せず一定であるとすると、xの位置における局部的熱伝達率は、(v/x)1/2に比例することが知られている。この比例係数は熱コンダクタンスで定められるので、冷媒速度を与えることで、冷媒16の流れる方向に沿った温度分布、すなわち温度勾配を求めることができる。ここでは冷媒速度は変数のままとしておき、冷媒速度と温度勾配との関係を取得する。この関係の取得は、上記の計算を実行してもよく、また、記憶部28に予め熱コンダクタンスや、冷媒流路の長さ等の各種パラメータを変数として、関係マップ、又は関係式を記憶させておき、各種パラメータを入力して、冷媒速度と温度勾配との関係を読み出して取得してもよい。
そして、最小冷媒速度を取得する(S14)。具体的には最小冷媒速度取得モジュール34の機能により、S12で取得された冷媒速度と温度勾配との関係に、所定の温度勾配を与えて、それに対応する冷媒速度を取得する。所定の温度勾配は、電池スタック10の仕様によって与えることができる。ここでは、電池スタック10の標準的運転状況の下で電池スタック10の許容できる温度上昇限界から定められる温度勾配等を用いることができる。この許容温度上昇限界から定められる温度勾配に対応する冷媒速度を最小冷媒速度として取得するには、S12で取得された関係が冷媒速度と温度勾配の関係式で与えられているときは演算により行い、冷媒速度と温度勾配の関係マップで与えられているときは、記憶部28からその関係マップを検索して温度勾配を入力して冷媒速度を読み出すことによって行うことができる。
次に層流条件を検討する(S16)。冷媒流路における流れが層流か乱流かでは圧力損失が大きく異なる。上記のように、層流条件は一般的には臨界レイノルズ数で定められ、流速として冷媒速度をv、流路の代表寸法として冷媒流路の隙間の間隔をDとし、所定のvDを超えると乱流に遷移する。したがって、冷媒速度をS14で取得された最小冷媒速度とし、これに対応する層流条件を満たす冷媒流路の隙間の間隔Dを取得し、これから最適流路断面積を求める(S18)。この機能は、最適流路断面積取得モジュール36の機能により実行される。具体的には、層流条件を記憶部28から読み出し、これにS14で取得した最小冷媒速度を適用して隙間の間隔Dを算出し、流路断面積に換算する演算を実行する。層流条件を満たすための隙間の間隔Dが実用的でない値となるときは、記憶部28から流路断面積と冷媒速度と圧力損失の関係を検索し、これに冷媒供給装置の能力を考慮した圧力損失と、S14で取得した最小冷媒速度とを与えて流路断面積を読み出し、これを最適流路断面積として取得することができる。
このようにして、熱コンダクタンス、冷媒速度、流路断面積の関係を記憶する記憶部のデータベースを用いて、電池スタックを小型化するための最小冷媒速度、最適流路断面積等の冷媒条件を求めることができる。実際に、ニッケル水素2次電池を整列配置した車両用電池スタックについて、空気を冷媒として用い、温度上昇ΔTを設計値として与え、標準的な冷却ファンでまかなえる圧力損失の範囲で最適流路断面積を求めたところ、冷媒流路の隙間間隔で0.5mmから2mmの範囲を得ることができ、小型の電池スタックの実現が可能であることが分かった。
本発明に係る実施の形態の背景として、電池スタックの冷却性能に影響する3つのパラメータを模式的に説明する図である。 本発明に係る実施の形態の背景として、電池スタックの冷却効率が3つのパラメータを独立変数として3つの軸にとった3次元空間で表現することができることを説明する図である。 本発明に係る実施の形態において、電池スタックの冷媒条件設定装置の構成を示す図である。 本発明に係る実施の形態において、電池スタックを小型化するために最適の冷媒条件を設定するための各手順を示すフローチャートである。
符号の説明
10 電池スタック、12 単電池、14 冷媒流路、16 冷媒、20 冷媒条件設定装置、22 CPU、24 入力部、26 出力部、28 記憶部、30 熱コンダクタンス取得モジュール、32 温度勾配取得モジュール、34 最小冷媒速度取得モジュール、36 最適流路断面積取得モジュール。

Claims (4)

  1. 隣接する電池の間にそれぞれ冷媒流路を設けて複数の電池を整列配置して構成される電池スタックにおける最適冷媒条件を求める冷媒条件設定装置であって、
    電池の種類ごとに、隣接する電池の間における冷媒流路の流路断面積と、冷媒流路を流れる冷媒速度と、冷媒流路における熱コンダクタンスとの相互関係を記憶する記憶手段と、
    流路断面積と冷媒速度との関係から流路の圧力損失を求め、冷媒速度と熱コンダクタンスとの関係から流路の温度勾配を求め、流路断面積と熱コンダクタンスとの関係から冷媒流路中の温度分布を求め、圧力損失と流路温度勾配と温度分布との条件を与えて、最適流路断面積を求める手段と、
    を備えることを特徴とする電池スタックの冷媒条件設定装置。
  2. 隣接する電池の間にそれぞれ冷媒流路を設けて複数の電池を整列配置して構成される電池スタックにおける最適冷媒条件を求める冷媒条件設定装置であって、
    電池の種類ごとに冷媒流路における熱コンダクタンスを記憶する記憶手段と、
    記憶手段から、電池の種類を検索キーとしてその電池の熱コンダクタンスを取得する熱コンダクタンス取得手段と、
    取得された熱コンダクタンスを用いて、冷媒流路を流れる冷媒速度と冷媒流路の温度勾配との関係を求める温度勾配取得手段と、
    温度勾配の条件を与えて最小冷媒速度を求める冷媒速度取得手段と、
    冷媒流路における圧力損失を与えて、最小冷媒速度に対応する冷媒流路の断面積を求める流路断面積取得手段と、
    を備えることを特徴とする電池スタックの冷媒条件設定装置。
  3. 請求項2に記載の電池スタックの冷媒条件設定装置において、
    流路断面積取得手段は、
    冷媒流路の圧力損失について、層流を維持できる条件の下で与えることを特徴とする電池スタックの冷媒条件設定装置。
  4. 隣接する電池の間にそれぞれ冷媒流路を設けて複数の電池を整列配置して構成される電池スタックにおける最適冷媒条件を求める冷媒条件設定装置上で実行される方法であって、
    電池の種類ごとに冷媒流路における熱コンダクタンスを記憶する記憶手段から、電池の種類を検索キーとしてその電池の熱コンダクタンスを取得する熱コンダクタンス取得工程と、
    取得された熱コンダクタンスを用いて、冷媒流路を流れる冷媒速度と冷媒流路の温度勾配との関係を求める温度勾配取得工程と、
    温度勾配の条件を与えて最小冷媒速度を求める冷媒速度取得工程と、
    冷媒流路における圧力損失を与えて、最小冷媒速度に対応する冷媒流路の断面積を求める流路断面積取得工程と、
    を含むことを特徴とする電池スタックの冷媒条件設定方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009068736A (ja) * 2007-09-11 2009-04-02 Fujitsu General Ltd 熱交換器
JP2011517617A (ja) * 2008-03-18 2011-06-16 レッドスタック・ベスローテン・フェンノートシャップ (逆)電気透析用の膜、セル、デバイスおよび方法
JP2023525313A (ja) * 2020-10-27 2023-06-15 エルジー エナジー ソリューション リミテッド バッテリーラック及びそのバッテリーラックを含む電力貯蔵装置

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