JP2007192810A - ガン検査薬および検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 容易かつ短時間にガンの兆候を調べるガン検査装置が望まれており、ガン検査装置においては、簡便な操作および被検査者への負担が少ないものが望まれている。さらに、ガン検査装置にかかるコストを低減することも望まれている。
【解決手段】 血液より血清成分を取得し、所定量の該血清にTSGF試薬の第1試薬を所定量混合し、該混合液を37℃において一定時間保持し、一定時間保持した該混合液にTSGF試薬の第2試薬を所定量混合し、該混合液を37℃において一定時間保持した後に、吸光度計により所定波長の吸光度を測定し、該測定結果と標準値との比較により、ガンの兆候を判断する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ガンの検査方法および検査装置に関する。より詳細には、血清中に含まれる悪性腫瘍特定因子の測定によるガン検査方法および検査薬に関する。
従来、ガンの発見を行う手法としては、X線撮影を用いたものが知られている。例えば、X線CT装置を用いるものであり、これに、移動可能な撮影テーブルを組みあわせ、被検体の透視映像を作成してガンの診断を補助するものが知られている。さらに、ガンのコンピュータ診断装置の利用効率を高めるべく、X線CT装置の構造的改良を加えたものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
また、遺伝子解析の手法によりヒト移植片対宿主病の早期診断用マーカーを決定する方法を用いるものも知られている(例えば、特許文献2を参照)。
特開2003−190149号公報 特開2002−95480号公報
しかし、特許文献1に示されるように、X線撮影を用いる方法においては、検査を受けるものにおいて負担が大きくなるとともに、ガンを発見するためにはある程度に腫瘍が成長している必要があり、初期ガンやガン化の兆候を認識することは出来ない。さらに、装置が大掛かりなものとなり、X線撮影に対応する配置場所が必要となる。
そして、特許文献2に示される技術においては、装置が大掛かりになるともに、測定に時間を必要とし、検査効率を向上させることが困難である。
そこで、検査を受けるものの負担が少なく、大掛かりな装置を必要としないガンの診断方法および検査薬を提供することを目的とする。
次に、ガンの傾向を認識するための手段について説明する。
本発明は、血液中の腫瘍細胞特異性成長因子(Tumor Specific Growth Factor、以下TSGFとする)の濃度を測定することにより、ガン進行状態やガンの兆候を認識するものである。これにより、初期のガンや、治療中のガンの状態が認識可能となる。
まず、血液中のTSGF濃度の測定方法について説明する。
血液中のTSGF濃度はTSGF試剤を用いて測定する。まず、血液より血清成分を分離する。この血清成分にTSGF試剤を混合した後に、吸光分析を行うことによりTSGF濃度を測定し、この濃度によりガン進行状態やガンの兆候を推察する。
細胞の腫瘍の悪性転化は、タンパク類の腫瘍標識物と、糖鎖および数種類のアミノ酸成分の著しい増加を引き起こす。腫瘍の悪性転化の初期、単一の腫瘍標識物の変化が微少であり測定し難い。
そこで、TSGF試剤は同一の測定体系で、タンパク質と糖の2種類の腫瘍標識物に作用し、共に発色させて腫瘍標識物の増加を認識可能とする。単一の腫瘍標識物を特定して検出するのではなく、腫瘍の悪性転化初期に変化する複数の物質に対して作用することにより、検出感度を向上させるものである。
TSGF試剤は、血清中の測定物質を模擬した物質を用いて、その検出感度を調べることにより、得られたものである。そして、模擬物質に対する酸化剤と発色剤の効果的な比率を見た。
模擬物質としては、表に示すようなフェニルアラニン、チロジン、水酸基のプロリン、α1−酸性の糖タンパク質を用いた。なお、α1−酸性の糖タンパク質は、分子量が約5.5万であり、10から20%の糖を含むものである。
TSGF試剤は、フェニルアラニン、チロジン、水酸基のプロリン、そしてα1−酸性の糖タンパク質および、これらに性質の似た血清中の化学的性質がある物質に作用して、発色を行うことにより、腫瘍の悪性転化初期に変化する複数の物質の濃度変化を認識可能とする。
Figure 2007192810
次に、TSGF試剤は2種の薬剤を用いるものであり、酸化剤を含む第1試薬と発色剤を含む第2試薬とからなっている。第1試薬と第2試薬との混合比について、種々のテストを行い、表2に示す測定結果を得た。
TSGF試剤は、前述のようにフェニルアラニン、チロジン、水酸基のプロリン、そしてα1−酸性の糖タンパク質等に化学性質の近い物質に作用して発色を行うとともに、その作用において濃度などの条件を、腫瘍の悪性転化初期に変化する複数の物質の濃度変化を認識可能とする。
TSGF試剤は、フェニルアラニン、チロジン、水酸基のプロリン、そしてα1−酸性の糖タンパク質等に作用して、発色させるものである。特に、酸化剤と発色剤とにより、腫瘍の悪性転化初期に増加する物質との化学反応により発色させるものである。
Figure 2007192810
このように得られた結果を評価して、第1試薬と第2試薬との割合において、どの割合において、低値血清と高値血清との差が大きくなるかを評価した。
そして、臨床検証においてその精度を調べた。307例の正常な人と、213例の悪性腫瘍の患者を対象として測定を行った。結果は表3に示されるものであった。
Figure 2007192810
このように、150:150の割合において、正常人に対して陽性と判定する確率が低く、悪性腫瘍患者に対し陽性と判定する確率が、最も高くなった。
また、反応温度においては、温度が55℃以上となると、反応系が混濁する。そして、37℃から55℃未満の温度に条件においては、反応性に大きな差は見られなかった。このことから、TSGF試剤の反応を行う温度を37℃とする。
そして、反応時間としては、第1試薬と血清との反応は、約30分の後には、大きな変化が見られないことから、第1試薬の反応時間を30分とした。第2試薬と血清との反応は、約20分を以前に、大きな変化が見られることから、第2試薬の反応時間を30分とした。
そして、第1試薬および第2試薬を反応させた後の血清は、反応終了後に1時間放置した場合においても、2時間放置した場合においても、吸光度の変化に大きな差が見られなかった。
図1は血清反応の最終生産物のスペクトルスキャナ図である。
血清とサンプルの反応による産物の吸光スペクトルは図1に示すようになり、吸光度は410〜415nmの範囲において測定することにより、効率的な測定を行うことができる。
次に、TSGF試剤の妨害要因を判定する。
ブドウ糖の濃度は、4.13U/ml、8.46U/mlで、影響が発生した。このことから、資料の採取は被験者の空腹時に行うことが望ましい。
ヘモグロビンの濃度は0.92U/ml、15.62U/mlで妨害が深刻であった。
また、グリセリンとコレステロールは大きな妨害を示さなかった。
TSGF試剤は、酸化剤、発色剤、リン酸塩などを含むものであり、血清成分中のTSGFに作用して、TSGF量に比例した吸光度を得るものである。
酸化剤は、TSGFに作用して発色剤との反応を促進する作用、もしくは血清成分を酸化することによりTSGF以外による吸光を抑制する作用をすると考えられる。
発色剤は、TSGFによる吸光度を増大させるもの、もしくはTSGFと反応することにより吸光度を増大させるものを用いることができる。発色剤としては、TSGFとの相互作用もしくは結合により、230〜1000nmの波長域で吸光を示すものをもちいることができる。特に410〜415nmの波長域において効率的な測定を行うことができる。
TSGFとの相互作用により、吸光を示すものとして、TSGFのコンフォメーションを変化させてTSGFに吸光性をもたせるもの、TSGFへの配位により発色剤成分に配位されたTSGFが吸光性を示すもの等を利用することができる。
そして、TSGFとの結合により、吸光を示すものとして、TSGFのコンフォメーションを変化させて吸光性をもたせるもの、TSGFと発色剤成分との結合部位において吸光性を示すもの、結合物の配向性により吸光を示すもの等を利用することができる。
すなわち、発色剤としては、TSGFとの相互作用もしくは結合により、吸光を示すものであればよい。
そして、リン酸塩は緩衝剤である。緩衝剤を含むことにより、TSGFとの反応条件を安定させて、精度の高い検査を行うことができる。
ガン検査薬として、このように酸化剤と発色剤を含むものを血清成分に作用させ、その吸光度を測定することにより、TSGFの濃度変化を顕著にしやすく、初期ガンやガン化の兆候を認識することができる。
次に、図を用いて、具体的な手法について説明する。
図2は血液よりのTSFGの測定工程を示す模式図である。
TSGF試剤を第1試薬と第2試薬とに分けて、血清成分に混合して、測定を行う。
第1試薬は酸化剤で、濃度はおよそ2.5mMol/Lである。
第2試薬は緩衝溶液と発色剤とを混合することにより調整される。第2試薬はリン酸塩緩衝溶液と20%発色剤とを100対1の割合で均一に混合して得られる。
TSGF試剤は酸化剤および、発色剤を含むものであり、血清成分に混合する際に、酸化剤と発色剤とを分けて加えることにより、酸化剤と発色剤との反応を抑制して、発色剤による吸光度の変化量の減少、酸化剤による発色剤への影響を低減できる。また、TSGF試剤の品質が維持される期間を長くすることができる。
例えば、酸化剤成分を含むものを第1試薬とし、発色剤成分を含むものを第2試薬とすることができる。図2はTSGF試剤を第1試薬と第2試薬とに分けた場合の測定工程を示す模式図である。図2に示す工程では、TSGF試剤は、第1試薬20aと第2試薬30aとに分けられている。
初めに、採取された血液10より血清成分10bを分離し、血清成分をセルに所定量採取する。そして、TSGF試剤の第1試薬20aを所定量添加して混合し、混合液20bを得て、混合液20bを恒温槽40において37℃に30分間静置する。
混合液20bに、TSGF試剤の第2試薬30aを所定量添加して混合し、混合液30bを得る。この混合液30bを恒温槽40において37℃に30分間静置する。
これにより、血清成分に含まれるTSGFとTSGF試薬とが反応し、TSGFを測定可能とする。
Figure 2007192810
表4はTSGFを指標として用いた卵巣悪性腫瘍の診断性能(%)を示すものであり、65U/mlを臨界値として、この臨界値を越したものを陽性と判断し、その診断性能を調べた結果である。このように、TSGFを指標として用いることにより、血液の採取により、有効率80%の卵巣悪性腫瘍に対する診断を行うことができると考えられる。
Figure 2007192810
次に、表5は、血清中のTSGFレベルと初診治療鼻咽ガンの臨床病理要素との関係を示すものである。表2中のTSGFレベル欄はTSFGの臨界値を表す。このように、男女の区別、年齢、転移の有無においてTSFGの臨界値が異なることから、臨床病理要素に応じてTSGFの臨界値を調節することにより、程度の高い診断を行うことができると考えられる。
Figure 2007192810
次に、表6は、治療前後および再発転移の悪性腫瘍患者の血清TSGFレベルを示すものである。このように、血清中のTSGFレベルを調べることにより、ガン治療の有効性および再発転移の可能性を予測することができる。
このように、血清中のTSGFレベルをもとにガンの診断を行うことにより、簡単にガンの検査を行うことができ、この検査結果を参考にすることによりガン診断の有効性を向上できる。
そして、血液より血清成分を取得し、所定量の該血清にTSGF試薬の第1試薬を所定量混合し、該混合液を37℃において一定時間保持し、一定時間保持した該混合液にTSGF試薬の第2試薬を所定量混合し、該混合液を37℃において一定時間保持した後に、吸光度計により所定波長の吸光度を測定し、該測定結果と標準値との比較により、ガンの兆候を判断することができるものである。
さらに、ガン検査装置においては、吸光度測定部と、恒温槽と、搬送部とを有し、該吸光度測定部がTSGF試薬により処理されたTSGFの吸光度を測定するものであり、該
恒温槽がマイクロパレットに注入された液体を37℃に保持するものであり、該搬送部が段階的に濃度を変化させたTSGF試薬の第1試薬を注入したマイクロパレットを載置し、吸光度測定部へ搬送するものを用いることで、簡便かつ安価にガン検査装置を構成できる。
次に、種々の病種に対するTSGF試剤の陽性率(%)を調べた。
病種は、肺がん、胃がん、肝がん、食道がん、卵巣がん、乳腺がん、子宮頚がん、鼻咽がん、悪性リンパ腫、結/直腸癌、神経膠腫(グリオーマ)、その他悪性腫瘍について、TSGF試剤の陽性率を調べ、正常人についてもTSGF試剤の陽性率を調べた。
結果は、表7に示すように、各病種において、高い陽性率を示し、正常人においてはきわめて低い陽性率を示した。
このように、TSGF試剤を用いることにより、種々のがんに対して高い確率で陽性を検出可能となる。このため、早期のがんの検出を容易にするとともに、血清成分のみによりがんの検出を容易とするので、簡便で、安価かつ初期段階における精度の高い検査を行うことができる。
Figure 2007192810
さらに、唾液酸、N−Acetylneuramic Acid、酢酸ブドウアミン、N−AC−D−Glucosamine、酢酸半乳糖アミン、N−Acetyl−b−Glactosamineを検出することにより、ガンの兆候をより敏感に感知することができる。前述の指標成分に加えて、これらの成分の濃度もしくは濃度変化により、ガンの兆候を推量することができる。唾液酸、N−Acetylneuramic Acid、酢酸ブドウアミン、N−AC−D−Glucosamine、酢酸半乳糖アミン、N−Acetyl−b−Glactosamineの感知方法としては、個別にその濃度を検出し、他の成分について、TSGF試薬を用いる方法もしくは、TSGF試薬により、唾液酸、N−Acetylneuramic Acid、酢酸ブドウアミン、N−AC−D−Glucosamine、酢酸半乳糖アミン、N−Acetyl−b−Glactosamineを検出することも可能である。
すなわち、TSGF試薬は、フェニルアラニン、チロジン、水酸基のプロリン、そしてα1−酸性の糖タンパク質、唾液酸、N−Acetylneuramic Acid、酢酸ブドウアミン、N−AC−D−Glucosamine、酢酸半乳糖アミン、N−Acetyl−b−Glactosamineに作用して、光りの波長の吸収特性を変化させ、特定波長における吸光度を測定することにより、ガンの兆候を観測しやすくするものである。もしくは、これらの内の一種もしくは複数種の物質についてTSGF試薬により波長吸収しやすい状態に変化させ、他の物質の濃度測定を行うことにより、ガンの兆候を推量しやすくなる。
これらの物質を検出し、検出量もしくは検出量の変化より、ガンの兆候を推察できる。
このように、ガンの兆候を示す物質を特定もしくは、これらの物質の存在を、TSGF試薬により容易に行うことが出来る。
これにより、容易かつ短時間にガンの兆候に対する測定を行うことができ、診療時における参考資料を提供することができる。
また、簡便な操作および構成によりガンの診断の参考となる情報を提供することができる。また、ガン検査装置にかかるコストを低減できる。
一種の腫瘍血管増殖因子であるTSGFの血中濃度を測定することにより、悪性腫瘍の判別を容易に行うものである。
次に、実施例について、図を用いて説明する。
図3はガン検査装置の全体構成を示す図である。血清のTSGF濃度を測定する測定装置50には、通信ケーブル62を介してコンピュータ60が接続されている。これにより、測定装置50により測定した結果をコンピュータ60内に保持される指標と比較して、測定されたTSGF濃度の判定結果を算出することができる。
測定装置50にはマイクロプレート70が載置され、マイクロプレート70のウェル80に検査対象の血清が注入され、TSGF試薬により処理された後に測定される。測定装置50には、吸光分析が可能なものを利用するものであり、TSGF試薬により処理された血清中のTSGF濃度を測定可能であればよい。
測定装置50により測定した結果は、電信号としてケーブル62を介してコンピュータ60に入力される。測定結果がコンピュータ60内に取り込まれることにより、測定結果により検査対象に対するガンに対する状態を判別できる。
コンピュータ60においては、検査対象の年齢、性別、状態(ガン治療の有無や、手術の有無)、前回の測定結果等の情報が保持されており、この検査対象に対応する指標と測定装置50による結果とを比較して、検査対象に対して判定を行うことができる。
例えば、前回の測定結果においてTSGF濃度が正常範囲内であり、今回の測定結果でTSGF濃度が正常範囲を超えている場合には、腫瘍発生注意の判断を行うことができる。そして、検査対象がガン治療である場合には、前回の測定結果に対してTSGF濃度が低下している場合には、ガン治療が有効であるとの判定を行うことができ、逆にTSGF濃度が上昇している場合には、行っているガン治療の効果が小さいとの判定を行うことができる。
次に、測定装置50の構成について説明する。
図4は測定装置の構成を示す模式図である。測定装置50は注入部51と、搬送部52と、測定部53と、恒温槽40とにより構成されている。ウェル80を複数個構成したマイクロプレート70は搬送部52に配設されて、注入部51と測定部53との間を移動可能にしている。
注入部51においては、検体の血清や、TSFG試薬のウェル80への注入を行う。そして、測定部53はウェル80においてTSFG試薬により処理された血清のTSGF濃度の測定を吸光分析により行う。測定部53内には、恒温槽40が構成されており、この恒温槽40において検体の血清温度や、TSGF試薬を注入した後の温度調整を行う。恒温槽40による温度調整は、主に37℃とするものであり、この温度において測定部53による測定を行うことができる。
次に、測定装置50における測定過程について説明する。
図5は測定過程を示す模式部である。測定過程は図5(a)〜図5(e)へと順次進んでゆく。
まず、図5(a)に示すごとく、注入部51にマイクロプレート70が配設され、この注入部51において、ウェル80内に血清が処理量注入される。ウェル80内には、予めTSGF試薬の第1試薬が所定量注入されており、ここに血清を注入している。
そして、図5(b)に示すごとく、ウェル80を有するマイクロプレート70は、搬送部52により、恒温槽40に搬送される。そして、この恒温槽40において、37℃に一定時間(約30分程度)置かれる。
この後に、図5(c)に示すごとく、マイクロプレート70は再び注入部51に搬送され、注入部51においてウェル80内に、TSGF試薬の第2試薬が注入される。
そして、図5(d)に示すごとく、マイクロプレート70は、搬送部52により、恒温槽40に搬送される。そして、この恒温槽40において、37℃に一定時間(約30分程度)置かれる。
この後に、図5(e)に示すごとく、搬送部52により測定部50に搬送されたマイクロプレート70は、各ウェル80に対して吸光測定が行われる。
これにより、血清中のTSGF濃度の測定を効率的に行うことができる。そして、測定結果は、前述のように測定装置50に接続したコンピュータ60に出力される。
次にマイクロプレート70におけるウェル80について説明する。
図6はマイクロプレートの構成を示す図であり、図6(a)はウェルの配置構成、図6(b)はウェルへの試薬注入構成を示す図である。
マイクロプレート70において、ウェル80・・・は基盤状に配設されている。これらのウェル80にそれぞれ検体となる血清と、TSGF試薬である第1試薬および第2試薬がそれぞれ注入される。血清は、このウェル80内において処理され、TSGF濃度が測定される。
血清を注入する前のマイクロプレート70において、予め第1試薬を注入しておくことが可能である。マイクロプレート70において、マトリックス状に配設されたウェル80・・にx方向(行方向)に段階的に濃度を変化させた第1試薬を注入し、x方向に配設したウェル80・・においてウェル80・80間に濃度差が生じるようにする。そして、y方向(列方向)には、同一濃度の第1試薬を注入しておく。これによりx方向に第1試薬の濃度勾配を設定することができる。予め第1試薬をウェル80に注入したマイクロプレート70は、ウェル80の開口部をシールすることにより、貯蔵および搬送が容易となるとともに、測定の準備にかかる時間を短縮できる。
この濃度勾配を設けたマイクロプレート70に血清を注入する。血清の注入方法としては、図6(b)に示すように、マイクロプレート70のx方向におけるウェル80の数および間隔に対応して配列した注入口54・54・・により一度に注入することができる。
これにより、血清注入にかかる時間を短縮して、ガン検査にかかる時間を短縮できる。
血清を注入して、一定温度下に置いた後に、第1試薬と同様に濃度勾配を設けた第2試薬を対応する各ウェル80に注入する。注入方法は、血清と同様に、図6(b)に示す方法をとることができる。これにより、血清に対してTSGF試薬の各濃度においての測定結果を得ることが出来る。
これにより、TSGF試薬の濃度変化に対する測定値の変化を認識することができ、血清成分が濃縮や希釈されている場合においてもTSGF測定値を補正することができる。
すなわち、段階的に濃度変化させたTSGF試薬により血清を処理することにより、血清中のTSGFの希釈直線性を認識することができ、測定値を補正して精度の高い測定およびガン検査の判定を行うことができる。
[検査結果の判定方法] 次に、検査結果の判定保法について説明する。
検査結果の判定は、複数の標準試薬の吸光度測定結果をもとに予測される。
標準試薬20、40、60、80、100の吸光度を測定し、これに基づいて検体である血清成分におけるTSGFの濃度を推定する。
例えば、試薬20において測定値が0.108、試薬40において測定値が0.261、試薬60において測定値が0.334、試薬80において測定値が0.439、試薬100において測定値が0.562、血清1において測定値が0.322、血清2において測定値が0.403、血清3において測定値が0.411とする。
試薬20から100までの濃度は既知のものであり、これから、濃度と測定値との関係を予測する。
本実施例においては、濃度と測定値との関係の予測に回帰直線を利用する。これは、各測定値に最も近い直線を得る方法である。即ち、試薬の測定により得られた値より、TSGF濃度と測定値との関係を示す回帰直線をもとめる。
回帰直線は、測定結果(i番目試薬の吸光度,i番目試薬の濃度)=(Xi,Yi)として、試薬の吸光度X,と試薬の濃度Yとの関係が1次的に対応すると仮定すると、これらの関係をY=aX+bと示すことができる(i=0,1,・・・)。
そして、aは数式1により、示されるものであり、bは数式2により示されるものである。
Figure 2007192810
Figure 2007192810
このような数式に試薬濃度と測定結果とを当てはめて、計算することにより、標準試薬における濃度と吸光度との関係を近似的に得ることができる。そして、得られた回帰直線を用いて診断を行う血清について判定を行う。
例えば、上記の試薬の番号が濃度を示すものであるとする。
試薬の測定結果より、[試薬換算濃度]=176.8・[測定値]という回帰直線が導き出される。
これより、測定した血清の測定値を代入して、試薬番号に換算することができる。
すなわち、血清1は試薬レベルで56.9、血清2は試薬レベルで71.3、血清3は試薬レベルで72.7となる。
測定ごとに、試薬の測定を行い、検体である血清成分を測定するので、測定装置ごとや測定環境による測定誤差を解消でき、安定した結果をえることができる。
このように、測定される試薬の吸光度と推定される判定結果とを関連付けることにより、自動的な判定を行うことができる。
血清成分の測定において、複数の目的部物の濃度の異なる試薬を測定して、濃度と測定値との関係を得た後に、この関係を用いて測定された血清成分の目的物濃度を判定するので、測定状況による誤差を解消しやすく、測定精度が向上する。
次に、ガン検査システムの通信網を利用した構成について説明する。
図7は通信網を利用したガン検査システムの構成を示す模式図である。
通信網を利用したガン検査システムは、ガン検査のデータを有用に利用可能にするシステムであり、通信網を利用することにより、効率的に検査結果の配信を行うことができる。また、個人の性別や年齢、術前術後、において判定基準が変化することから、検査結果のみを配信して、検査結果受信側において判定基準を設定することにより、ガン検査の診断の匿名性を維持することができる。
測定装置50は通信ケーブルを介してコンピュータ60に接続されており、コンピュータ60は通信網100に接続している。この通信網100には、コンピュータ60の他に通信情報サーバー65、情報端末63、携帯電話などの個人端末64などが接続されている。測定装置50の検出値および検体IDをコンピュータ60において配信可能な情報に加工し、通信情報サーバー65に送信する。通信情報サーバー65には、検体IDと検出値とが記憶される。
そして、情報端末63や、携帯電話から、通信情報サーバー65に検体IDに対する検出値を照会することにより、通信情報サーバー65より検出値が送信される。そして、情報端末63もしくは、携帯電話において照会検体IDに対応した検出結果を受信し、情報端末63、携帯電話などの個人端末64に記憶されている判定基準により検出結果を判定する。
これにより、検査結果の通知が容易になるとともに、通信網100に流通する情報量を少なくできるとともに、ガン検査結果の匿名性も維持できる。
検査結果を通信により送信するので、測定装置50を配置するための地理的制限を少なくできる。
血清反応の最終生産物のスペクトルスキャナ図。 血液よりのTSFGの測定工程を示す模式図。 ガン検査装置の全体構成を示す図。 測定装置の構成を示す模式図。 測定過程を示す模式図。 マイクロプレートの構成を示す図。 通信網を利用したガン検査システムの構成を示す模式図。
符号の説明
10 血液
10b 血清
20 第1試薬
30 第2試薬
40 恒温槽
50 測定装置
60 コンピュータ

Claims (2)

  1. 血清成分と所定量混合し、血清成分中の目的成分との反応により発色し、吸光度計による所定波長の吸光度測定値に変化を与える試薬であって、
    該試薬に、酸化剤、リン酸塩、発色剤、を含むことを特徴とするガン検査薬。
  2. 酸化剤、リン酸塩、発色剤、を含む検査薬を、
    血清成分と所定量混合し、該混合液を37℃において一定時間保持したのちの、吸光度計による所定波長の吸光度の測定することを特徴とするガン検査方法。
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