JP2007191640A - 固体状態における変色によって湿気および温度を検知する物質ならびにその調製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明の目的は、高感度、低濃度、短い応答時間で、粉末状態でも単結晶状態でも、温度と空気中の湿気を検知することができる安価な物質の調製の簡単な方法を提供すること、ならびにそのような材料1種でその方法を例証することである。
【解決手段】 固体状態において可逆的水和反応を示して、湿気(気体の水)および/または温度を検知する物質は、以下のステップ:
(i)撹拌しながらアミンのアルコール溶液へ銅(II)塩のアルコール溶液を徐々に添加すること、
(ii)前記溶液からのその物質の結晶化、および
(iii)前記結晶の分離、
によって作成することができる。
【選択図】 なし
【解決手段】 固体状態において可逆的水和反応を示して、湿気(気体の水)および/または温度を検知する物質は、以下のステップ:
(i)撹拌しながらアミンのアルコール溶液へ銅(II)塩のアルコール溶液を徐々に添加すること、
(ii)前記溶液からのその物質の結晶化、および
(iii)前記結晶の分離、
によって作成することができる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、湿気および温度のためのセンサーとして使用される物質に関する。本発明は、固体状態において可逆的水和反応を示して、湿気および/または温度を検知することができる物質の調製方法、ならびに固体状態において可逆的水和反応を示して、湿気および/または温度を検知する前記物質を記述する。
湿気の検知用に考えられている物質の効率は、以下の要因、すなわち、遅い応答時間、低い感度(すなわち、非常に低い濃度の気体状の水を検知できないこと)、低いサイクル性(すなわち、気体状の水が検知されなくなる前の、無水状態と水和状態の間の繰返し回数が少ないこと)、疲労プロセス(副反応による検知活性の減少)、および、実操作のための温度の制約された範囲、のいくつかによって限定される。これらの判断基準全てを克服する化合物は、通常高価である。
部分的に充満した縮重分子軌道の存在のために、ヤーン−テラー(JT)効果を示す固体状態の化合物は、通常、そのエネルギーダイアグラムに数個の異なるエネルギー極小値をもつ(非特許文献1および2参照)。異なるエネルギー極小値の存在は、多安定性をもたらし、種々の極小値間での外的影響による構造の切替えに使用することができる。たとえば、構造が双安定であるならば、すなわち、それがある状況で共存する二つの形態を持つならば、その物質の構造および特性を二つの形態の間で、温度または圧力の変換、電磁放射線、または化学物質との反応によって交互に切替えることが可能である。
M.D. カプラン(Kaplan)、B.G. ベクター(Vekhter)著『ヤーン−テラー結晶における協同現象(Cooperative Phenomena in Jahn-Teller Crystals)』プレナム・プレス社(Plenum Press)、ニューヨーク、1995年。 I.B. バースーカー(Bersuker)著『現代化学におけるヤーン−テラー効果と振電相互作用(The Jahn-TeIler Effect and Vibronic Interactions in Modern Chemistry)』プレナム・プレス社、ニューヨーク、1984年。
M.D. カプラン(Kaplan)、B.G. ベクター(Vekhter)著『ヤーン−テラー結晶における協同現象(Cooperative Phenomena in Jahn-Teller Crystals)』プレナム・プレス社(Plenum Press)、ニューヨーク、1995年。 I.B. バースーカー(Bersuker)著『現代化学におけるヤーン−テラー効果と振電相互作用(The Jahn-TeIler Effect and Vibronic Interactions in Modern Chemistry)』プレナム・プレス社、ニューヨーク、1984年。
我々は、JT効果を示す化合物は、新しいスイッチング物質のデザインのために見込みのある物質であると考える。
本発明の目的は、高感度で安価な物質の簡単な調製方法を提供することであり、粉末状態でも単結晶状態でも低濃度で短い応答時間で温度と空気中の湿気を検出することができる、そしてその物質自体を記述することである。
<発明の概要>
水と温度に敏感な物質を創るために、本研究において、我々は、JT活性の金属、ならびに3つの重要な特性−(1)配位的に不飽和である(配位数は6ではなくて4に等しい)こと、(2)疑似JT不安定性を示すこと、および(3)限定された柔軟性を示すこと−を持つ第一配位圏を使用した。配位的に不飽和な圏域を選ぶことによって、我々はその化合物が水分子に対し親和性を持つと予想した。配位子は、金属イオンが電子的にはなお相互に作用することができるが、結合して二量体になることはないような距離に金属イオンを分離させるように、選択した。我々は、反応混合物の加熱に要するエネルギーの支出を含まない物質の調製のための簡単なワンポット法を記述し、そして、我々はまた、その方法を、得られた生成物質のうちの一つの構造および特性を記述することによって例証す
る。
<発明の概要>
水と温度に敏感な物質を創るために、本研究において、我々は、JT活性の金属、ならびに3つの重要な特性−(1)配位的に不飽和である(配位数は6ではなくて4に等しい)こと、(2)疑似JT不安定性を示すこと、および(3)限定された柔軟性を示すこと−を持つ第一配位圏を使用した。配位的に不飽和な圏域を選ぶことによって、我々はその化合物が水分子に対し親和性を持つと予想した。配位子は、金属イオンが電子的にはなお相互に作用することができるが、結合して二量体になることはないような距離に金属イオンを分離させるように、選択した。我々は、反応混合物の加熱に要するエネルギーの支出を含まない物質の調製のための簡単なワンポット法を記述し、そして、我々はまた、その方法を、得られた生成物質のうちの一つの構造および特性を記述することによって例証す
る。
本発明は、固体状態で可逆的水和反応を示し、湿気(気体の水)および/または温度を検知する物質の調製のための簡単なワンポット法を提供するが、その方法は、以下のステップ:
(i)撹拌しながらアミンのアルコール溶液へ(そのアミンに対して)等モル量の銅(II)塩のアルコール溶液を徐々に添加すること、
(ii)前記溶液から前記物質の結晶化、および
(iii)前記結晶の分離
から成る。
(i)撹拌しながらアミンのアルコール溶液へ(そのアミンに対して)等モル量の銅(II)塩のアルコール溶液を徐々に添加すること、
(ii)前記溶液から前記物質の結晶化、および
(iii)前記結晶の分離
から成る。
本発明はまた、固体状態で可逆的水和反応を示して、湿気(気体の水)または温度、あるいは湿気と温度の両方を検知する物質を提供する。この物質は、各ユニットが銅(II)イオンおよびN,N−二置換エチレンジアミン配位子によって構成され、前記イオンが、前記アミンの2個の二座分子によって平面四角形の配置で配位されている構造ユニットの配列から成る。
本発明の方法または方式によれば、我々は、簡単で安価な方法で、高感度で湿気または温度、あるいは低濃度で短い応答時間で湿気および温度の両方を検知することができる物質を調製することができる。
<発明の更に詳しい説明>
まず、我々は、固体状態で可逆的水和反応を示し、湿気(気体の水)および/または温度を検知する物質の調製のための方法を詳細に記述する。
<発明の更に詳しい説明>
まず、我々は、固体状態で可逆的水和反応を示し、湿気(気体の水)および/または温度を検知する物質の調製のための方法を詳細に記述する。
先に述べたように、本発明の調製法は、以下のステップ:
(i)撹拌しながらアミンのアルコール溶液へ銅(II)塩のアルコール溶液を徐々に(一滴ずつ)添加すること、
(ii)前記溶液からの前記物質の結晶化、および
(iii)前記結晶の分離
を含む。
(i)撹拌しながらアミンのアルコール溶液へ銅(II)塩のアルコール溶液を徐々に(一滴ずつ)添加すること、
(ii)前記溶液からの前記物質の結晶化、および
(iii)前記結晶の分離
を含む。
上記の手順のステップ(i)において、紫色の二量体ヒドロキソ化合物の生成を避けるために、銅(II)塩の溶液の激しい撹拌および滴状添加が決定的に重要である。反応体の添加の逆順(銅(II)カチオンの溶液へのアミンの溶液の添加)または大量の液の急速な添加もまた、紫色の二量体種の生成に導く。これらの紫色の二量体は熱変色性ではなく、それらは湿気と反応せず、所望の化合物と共に結晶化して、不純物として作用する。したがって、純粋な化合物を得るためには、反応混合物は、アミン溶液への銅(II)塩溶液のゆるやかな添加および激しい撹拌によって絶えず均質化されなければならない。上記の反応は、室温で(加熱することなく)行われる。
上記の手順のステップ(ii)における結晶化のために、望ましくは、我々は、溶液を乾燥雰囲気中に保つ。室温での排気した容器の中に、または冷蔵庫の中に、濃硫酸またはシリカゲルを存在させて、溶液を置くことによって、乾燥雰囲気がつくられる。空気中または溶液中の大量の水は、結晶化を妨げ、結晶状物質や結晶化した物質を全く含まないで、青色油状物質の生成をもたらす。
上記の手順のステップ(iii)における分離のために、我々は、種々の従来の技術(たとえば、濾過、遠心分離など)を使用し、ついで、たとえば、濾紙を用いた溶媒の吸引によって、物質を乾燥させることができる。
銅(Il)塩の溶液として、我々は、望ましくは、硝酸銅(II)、テトラフルオロホウ酸銅(II)、または過塩素酸銅(II)の溶液を使用することができる。それらの中で、硝酸銅(II)の溶液が最も好ましい。
アミンとして、我々は、望ましくは、アルキル基(たとえば、メチル、エチル、プロピル)によってN,N−二置換したエチレンジアミンを使用することができる。
N,N−二置換のエチレンジアミン(たとえばN,N−ジエチルエチレンジアミン)は、金属(銅)に緊密に結合し、4座の配位サイトを飽和させる小型配位子である。配位子のエチレンジアミン部分の柔軟性は、金属の配位圏の変化を可能にする。また、それは嵩高い配位子であり、したがって、それは、銅中心から離れて二量体化を妨げるが、同時に、金属中心の間の弱い磁気相互作用を可能にする。また、嵩高いアルキル基は、アニオンの金属への接近を遮り、したがって、それらは、金属配位の飽和を妨げる。
上記の銅(II)カチオンとアミンを溶解するアルコールとして、望ましくは、我々は、1〜4個の炭素原子を持つモノヒドロキシルアルコール、たとえば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロパノールまたはブチルアルコール、を使用することができる。これらの中では、メチルアルコールまたはエチルアルコールが好ましい。
実施例
実施例
ビス(N,N−ジエチルエチレンジアミン)銅(II)硝酸塩(略号:CuNO)の調製
ビス(N,N−ジエチルエチレンジアミン)銅(II)硝酸塩(化1)は、N,N−ジエチルエチレンジアミンのエタノール溶液および化学量論量の硝酸銅(II)三水和物のエタノール溶液から調製した。この調製に使用した化学物質は全て、市販品であり、使用前に精製しなかった。
硝酸銅(II)の溶液は、硝酸銅(II)三水和物(Cu(NO3)2・3H2O)1.21グラムを99.8%エタノール50mlに、室温で機械的攪拌をしながら溶解して調製した。アミンの溶液は、液状N,N−ジエチルエチレンジアミン1.2グラムを99.8%エタノール50mlに溶かすことによって調製した。硝酸銅(II)の溶液を、室
温でマグネチックスターラーで一定の激しい撹拌をしながら、非常にゆっくり、一滴ずつアミンの溶液に添加した。溶液の青色は、徐々に紫色に変わる。反応体の添加の逆の順序または大量の液を速く添加することは、溶液中に二量体の生成に導く。このような場合、後で、これらの二量体は、通常、所望の化合物と一緒に、大きな青い結晶として結晶する。添加が完了して撹拌が終了した数分後(またはときどき撹拌している間でさえ)、ビス(N,N−ジエチルエチレンジアミン)銅(II)硝酸塩の鮮赤色の結晶が溶液から現われ始める。これらの赤い結晶は、非常に小さいサイズであり、微結晶性粉末として結晶する。この結晶を濾過によって分離し、残りの溶液は、室温でデシケータの中、シリカゲルまたは濃硫酸の上に、または、冷蔵庫の中で乾燥剤なしで放置する。
温でマグネチックスターラーで一定の激しい撹拌をしながら、非常にゆっくり、一滴ずつアミンの溶液に添加した。溶液の青色は、徐々に紫色に変わる。反応体の添加の逆の順序または大量の液を速く添加することは、溶液中に二量体の生成に導く。このような場合、後で、これらの二量体は、通常、所望の化合物と一緒に、大きな青い結晶として結晶する。添加が完了して撹拌が終了した数分後(またはときどき撹拌している間でさえ)、ビス(N,N−ジエチルエチレンジアミン)銅(II)硝酸塩の鮮赤色の結晶が溶液から現われ始める。これらの赤い結晶は、非常に小さいサイズであり、微結晶性粉末として結晶する。この結晶を濾過によって分離し、残りの溶液は、室温でデシケータの中、シリカゲルまたは濃硫酸の上に、または、冷蔵庫の中で乾燥剤なしで放置する。
残りの溶液(母液)を、平滑な表面をもつ損傷を受けていないガラス容器に移し、そこでそっと放置し、新に排気していないデシケータの中、室温でシリカゲルまたは濃硫酸の上で放置すると、数週間後に、CuNOの大きな赤い板状晶(crystal plates)および平らな柱状体(prisms)が結晶化する。これらを、濾紙の上で、または真空デシケータのなかでの排気によって乾燥する。このアミンのエタノール溶液の大過剰量を残りの溶液(母液)に添加し、得られた混合物をシリカゲル上に放置すると、CuNOの赤色結晶を全く含まないで、純粋な一水和物化合物、ビス(N,N−ジエチルエチレンジアミン)銅(II)硝酸塩一水和物、CuNO・H20、の大きな青色柱状体だけが現われる。
上に記述したように、CuNOの赤色結晶は、反応体の混合の直後に反応混合物から結晶性粉末として、または、乾燥雰囲気中の数週間の後に大きな赤色板状晶として得られる。いずれの場合も、溶液から分離後の結晶の処置は、空気中でのそれらの挙動にとって決定的に重要である。溶液からの分離の直後に、赤色結晶が乾いた1枚の濾紙を用いて溶液を吸収することによって乾燥され、室温で非乾燥空気に曝されると、それは1分以内に青色になる。溶液から分離後の得られたままの(乾燥していない)赤色結晶をデシケータ中、乾燥シリカゲル上で5〜10分間排気すると、それは鮮赤色を保持する。その場合、排気されたデシケータに保持されると、赤色は、無期限に長い時間安定している。乾燥していない空気への露出の後では、そのような結晶の赤色はわずかに2〜3日の間安定していて、その後、その結晶は青色になる。赤色結晶を、デシケータの中、または、その外で、室温で母液(溶液)の中に放置するならば、その赤色は安定であり、数カ月後にさえ色の変化はない。濾紙上で乾燥された結晶を直ちにデシケータ内で乾燥シリカゲルの上に置くと、その鮮赤色の黒っぽい赤色へのわずかな変化があるが、その変化は、紫色または青色にまでは進行せず、それは、無限に長い時間の間デシケータ中で保存されうる。CuNOの色の変化は、赤から青への劇的な変色をもたらす、気中湿気との非常に高い反応性によっている。
水和反応は、相転移と競合するかなり可逆的で速い反応である。CuNOの熱的挙動を、示差走査熱量測定(DSC)によって研究した。DSCによれば、CuNOの赤色の非水和結晶は、赤色から赤紫色への変色を伴う緩やかな相転移を行う。この相転移の上に、CuNOは、部分的な脱アミノ化反応(417K)、溶融(441K)および分解(456K)による他の相転移を行う。同様に、合成によって得られた一水和物、CuNO・H2Oは、散漫な脱水反応(およそ329K)を行い、ついで、分解(463K)の前に、相転移(392および420K)が続く。
図1は、分解点以下で熱的にサイクルさせた、青色の水和したCuNOおよび赤色の無水のCuNOのDSC曲線を示す。完全に水和した青色粉末は、最初に、領域300〜370Kで、準安定な脱水状態への散漫な脱水を受け、それが図1aの幅広い吸熱のピーク1をもたらす。脱水時の減量は>3.1%であり、それは、純粋な一水和物に対する計算値、4.1%に近い。393K (2)で、このようにして得られた脱水状態のものの一部は、赤色の無水のCuNOに変換する。加熱時における青色CuNOからの二相混合体
の創造は、その場で温度分解した粉末回折によって確認された。以下の4つの熱サイクルの間に、その混合体は、4(335K)および5(374K)の点で、39Kのヒステリシス(これは無水のCuNOに相当する)を伴う、高温の熱変色性転移、ならびに、無水物への部分的変換を伴う、脱水された成分の10Kのヒステリシスを伴う2(393K)および3(383K)の点での、それぞれの相転移を示す。脱水→無水の変換が完了した後、2および3の点での転移は消失し、青色のCuNOのDSCプロフィールは赤色のCuNOのそれと同一になる。図1の2枚の差込み図の中の青色結晶および赤色結晶に対するピーク4の異なるプロフィールは、青色のCuNOの場合には、2つの熱的プロセス、脱水物の無水物への変換および後者のHT相転移、が進行するが、一方、赤色のCuNOの場合には、一つのプロセス、HT相転移、だけが存在することを確証する。
の創造は、その場で温度分解した粉末回折によって確認された。以下の4つの熱サイクルの間に、その混合体は、4(335K)および5(374K)の点で、39Kのヒステリシス(これは無水のCuNOに相当する)を伴う、高温の熱変色性転移、ならびに、無水物への部分的変換を伴う、脱水された成分の10Kのヒステリシスを伴う2(393K)および3(383K)の点での、それぞれの相転移を示す。脱水→無水の変換が完了した後、2および3の点での転移は消失し、青色のCuNOのDSCプロフィールは赤色のCuNOのそれと同一になる。図1の2枚の差込み図の中の青色結晶および赤色結晶に対するピーク4の異なるプロフィールは、青色のCuNOの場合には、2つの熱的プロセス、脱水物の無水物への変換および後者のHT相転移、が進行するが、一方、赤色のCuNOの場合には、一つのプロセス、HT相転移、だけが存在することを確証する。
濾紙による乾燥、または、真空デシケータ中、シリカゲル上で乾燥させた直後に、赤色の結晶から得られた青色の結晶を空気に曝すと、それらは数週間で色を元の暗赤色へ変える。これらの赤色の結晶をもう一度空気に曝すと、それは再び青くなる。しかしながら、その色の変化は、それらが母液から得られた直後に空気に曝したバージンの赤色の結晶よりも遅い(1〜2週間)。青色の結晶(これは、バージンの赤色の結晶の非乾燥空気への暴露によって得られた)を、デシケータ中で1〜2日間排気すると、それは、再び暗赤色に変わる。
その化合物を、赤色の結晶を過剰の95%エタノール中に溶解し、その溶液を排気していないデシケータ中でシリカゲルの上に放置することによって、再結晶する。溶媒中、または、空気中の大量の水は、結晶化を防ぎ、そのような場合には青色の半固体の塊だけが得られる。
ビス(N,N−ジエチルエチレンジアミン)銅(II)過塩素酸塩(略号:CuCO)の調製
典型的な合成においては、メタノールまたはエタノール(100ml)中のCu(ClO4)2・6H2O(3.705g)を、同一溶媒(50ml)中のアミン(2.8ml)の、撹拌した溶液に添加する。CuCOの赤色の結晶は、冷蔵庫内での、または室温での濃H2SO4上での、ゆっくりした蒸発によって2、3日中に得られる。その化合物を、メタノールまたはエタノールから再結晶する(収量>70%)。反応混合物中の大量の水または湿った空気中での蒸発は、結晶化を妨げる。熱力学的に制御された条件下、また
は反応体の添加の逆転した順序の下で(反応の間は過剰の金属イオンにおいて)、少量の紫色の平行六面体の結晶が得られ、それに関してX線回折によって証明されたのは、それがヒドロキソダイマー[Cu2(μOH)2(N,N−ジエチルエチレンジアミン)2](ClO4)2に由来することである。
は反応体の添加の逆転した順序の下で(反応の間は過剰の金属イオンにおいて)、少量の紫色の平行六面体の結晶が得られ、それに関してX線回折によって証明されたのは、それがヒドロキソダイマー[Cu2(μOH)2(N,N−ジエチルエチレンジアミン)2](ClO4)2に由来することである。
(N,N−ジエチルエチレンジアミン)銅(II)テトラフルオロホウ酸塩(略号:CuBF)の調製
CuBFは、CuCOに対してと、同じ方法を使用し、同じ条件下で調製する。しかしながら、CuBFの三斜晶の室温相が、室温ですでに、他の紫色の相への相転移を受けるので、冷蔵庫(5℃)内で母液中に該化合物を保持することが必要である。室温での空気への暴露の後、赤色の結晶は、完全な結晶崩壊とともに、相転移によって直ぐに青紫色に変わる。CuBFの単結晶は、次のようにして毛細管中のゆっくりした拡散によって得ることができる、すなわち、内径0.6mmのガラス毛細管の半分に、該化合物の母液(溶液)を満たし、炎で封じ、5℃の冷蔵庫内に立てて1年間放置する。溶液から毛細管の他の(空の)側への溶媒のゆっくりした拡散によって、大きな単結晶が最初の溶液の上で作られ、その溶液は、溶媒の蒸発によってゆっくり濃縮されていく。
Claims (5)
- 変色を伴い、固体状態での可逆的水和反応および温度誘起相転移を示し、湿気および/または温度を検知する物質を調製する方法であって、前記方法が以下のステップ:
(i)撹拌しながら銅(II)塩のアルコール溶液をアミンのアルコール溶液へ徐々に添加すること、
(ii)前記溶液からの前記物質の結晶化、および
(iii)前記結晶の分離
を含む方法。 - 前記銅(II)塩が硝酸銅(II)、テトラフルオロホウ酸銅(II)、または過塩素酸銅(II)である、請求項1の方法。
- 前記アミンが有機基によってN,N−二置換されたエチレンジアミンである、請求項1または2の方法。
- 前記アルコールがモノヒドロキシルアルコールである、請求項1〜3のいずれかの方法。
- 固体状態において可逆的水和反応を示し、湿気および/または温度を検知する物質であって、その構造がカチオンおよびアニオンから成り、各カチオンが銅(II)イオンおよびN,N−二置換エチレンジアミンによって構成されていて、かつ前記銅(II)イオンが前記アミンの2個の二座分子によって平面四角形の配置で配位されている物質。
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