JP2007189958A - 水分補給用消臭ゼリー - Google Patents

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Abstract

【課題】 飲食物を飲み込む力が弱い高齢者、あるいは、嚥下機能に障害がある者などが
飲みやすく、かつ体内に吸収されやすく、しかも気管内に流入しても肺炎が起こりにくい安全性に優れた、水分補給作用と消臭作用とを併せ持った水分補給用消臭ゼリーを実現する。
【解決手段】 水987.96gの中に、ゲル化剤7.00g、クエン酸三ナトリウム0.16g、乳酸カルシウム0.12g、硫酸マグネシウム0.03g、人工甘味料0.21g、クエン酸1.20g、リンゴ酸0.26g、グルタミン酸ナトリウム0.06g、シャンピニオン・エキス2.00g、レモン・エッセンス1.00gを混合して加熱、撹拌する。加熱撹拌された液を濾過して軟質ポリチューブの容器内に収容したうえで、80℃で30分殺菌する。
【選択図】 図1

Description

本発明は水分補給用消臭ゼリーに関する。より詳しくは、飲食物を飲み込む力が弱い高齢者、寝たきり老人などに必要な水分を補給するとともに、周囲に不快感を与える体臭や便臭を抑制することができる水分補給用消臭ゼリーを提供せんとするものである。
高齢になると、一般に飲食物を飲み込む力が弱くなり嚥下機能障害を起こす。そのため、水を飲んだり食事をしているときに、むせる、つかえる、こぼす等の現象が、高齢者においてはしばしば起きる。その場合、液体や食べ物が気管内に流入すると、むせたり、つかえたりして非常に苦しがり、寝たきり老人や病人では著しく体力を消耗する。この苦しさから、終いには食べる楽しみを失い食物が喉を通らなくなって、栄養失調等になりやすい。
また、嚥下機能障害者の中には、食べ物の一部が肺にまで流入してしまって肺炎などの疾患を引き起こして、落命する者も少なくない。ときには、食べ物が喉につかえて窒息死することもある。
他方、高齢になると、老人特有の体臭を発散して、周囲に不快感を与え敬遠される原因の1つとなる。とくに、寝たきり老人にあっては、排便時には、体臭の他に通常人よりは強い便臭を伴うことから、周囲からは一層敬遠されることになる。
上述のように、一般に、高齢者は、飲食物を飲み込む力が弱くなり嚥下機能障害が起きやすくなる。嚥下機能に障害が起きると、水を飲んでいるときに、むせたり、つかえたり、こぼしたりして介護者に迷惑をかけることが多くなる。その結果、高齢者は水を飲むのを控えがちとなる。
しかし、成人1人の1日の水分摂取量は2700mlで、飲料水からは1500ml程度を摂取する必要がある。ところが、寝たきり老人の場合、排泄に伴う介護者への気づかいや渇中枢機能の低下等により、飲む水の量が極端に少なく1日800ml程度である。
このように、飲む水の量が少なくなると、体内の血液の濃度が濃くなって脳血栓の原因になったり、あるいは、便秘の原因になったりして、医学的にも好ましいことではない。したがって、高齢者、飲食物を飲み込む力の弱い者、嚥下機能障害のある者、寝たきり老人こそ充分に水分を摂取することが必要となる。
さらに、寝たきり老人の介護者にとって最も大きな悩みは、老人の排便時の便臭と体臭が極めて強いことである。これは、介護者にとってだけではなく、老人施設の居室などにおける周囲の同室者にも迷惑がかかることから、老人施設等では大きな課題となっている。
しかしながら、飲食物を飲み込む力が弱い高齢者などにとって、むせたりつかえたりすることなく安心して飲用することができ、しかも、体臭や便臭を抑制することができる水分補給用の食品は、これまで提供されていなかった。
そこで、上記課題に照らし鋭意研究を重ねた結果、本発明はなされたものである。すなわち、本発明は、高齢者、飲食物を飲み込む力の弱い者、嚥下機能障害のある者、あるいは寝たきり老人でも、飲みやすい、体内に吸収されやすい、気管に流入しにくい、気管に流入しても肺炎が起こる危険の少ない安全性に優れた、水分補給と消臭の両効果を併せ持ったゼリーを提供しようとするものである。
まず、水分補給に関しては、従来より、とろみ食品や高粘度の物は嚥下しやすいと考えられており、嚥下機能障害者や飲食物を飲み込む力の弱い高齢者の水分補給には、ドロリとした液体が用いられてきた。しかし、各種行った臨床試験から、細かなゲルの表面が僅かに濡れた状態で喉を通るのが、口腔底筋の抵抗が最も小さく、嚥下しやすいとの結果を得た。この結果から、水分補給用の食品としてゼリー状に形成することにした。
このゼリー化については、細かなゲルの表面が僅かに濡れている程度のゼリーを噛み砕いたり、細かい孔から押し出したりしても、ゲルが崩壊しないゼリーを生成するために、水とゲル化剤の混合割合と、使用するゲル化剤に工夫を加えた。
また、気管内に流入しても肺炎を起こりにくくする課題については、水分補給用ゼリーの組成を、タンパク質、脂質、糖質をほとんど含まないで、体液と等張に近くなるように電解質を用いて体に吸収されやすいようにした。
つぎに、体臭や便臭に関しては、シャンピニオン・エキス(マッシュルーム(学名:アガリカス・ピスポーラス)抽出物)を、水分補給用ゼリーに混合することにした。このシャンピニオン・エキスは、株式会社リコムが開発した機能性消臭剤で、体臭・便臭の抑制作用を有することが知られているものである。
以上に加えて、本発明では、味が良好であり、飽きがこず、さっぱりしている水分補給用消臭ゼリーを実現するようにした。前述のシャンピニオン・エキスは消臭作用を有するものの、特有の香りと酸味があり、このことが食品中にシャンピニオン・エキスを混合する場合の難点となっていた。とくに、粘度のあるゼリー状に形成した食品の中にシャンピニオン・エキスを混合すると、その特有の香りと酸味が、水溶液の場合に比べて口腔中に残存する時間が長く、一層強く感じることになる。
この点に関しては、シャンピニオン・エキス特有の香りと酸味をマスキングするために、味を濃厚とする、甘味を強くする、シャンピニオン・エキスの量を少なくする等の方法もある。しかし、水分補給用消臭ゼリーの場合は、飽きがこないで、さっぱりとするためには、味を濃くしたり、甘味を強くするという方法により、シャンピニオン・エキス特有の香りと酸味に対処することはできない。
また、シャンピニオン・エキスを用いて体臭・便臭の抑制効果を得るためには、1日1〜1.5gのシャンピニオン・エキスを必要とする。例えば、水分補給用消臭ゼリー1本160mlであれば、400mg程度のシャンピニオン・エキスを混合する必要がある。したがって、シャンピニオン・エキス特有の香りと酸味に対処するために、シャンピニオン・エキスの混合量を少なくするという方法も用いることができない。
そこで、シャンピニオン・エキス特有の香りと酸味をマスキングして、味が良好であり飽きのこない水分補給用消臭ゼリーを実現すべく考究した結果、香料として柑橘類のエッセンスを水分補給用消臭ゼリーに混合するようにした。
本発明によるならば、第1に、ゼリー状に形成した結果、水とは異なり流動性が低いので、いかなる姿勢で飲用しても気管に流入しにくく、高齢者、飲食物を飲み込む力の弱い者、嚥下機能障害者、寝たきり老人であっても、安心して飲用することができる。したがって、むせる、つかえる、こぼす等により介護者に迷惑がかかることを懸念して水分を控えることがなくなり、充分に水分を摂取することができる。水分を充分に摂取すれば、脳血栓の原因や便秘の原因を除去することが可能となる。また、蛋白質、脂質、糖質がほとんど含まれていないことから、口腔内、呼吸器内で細菌が繁殖しにくく、万一気管内に流入したとしても、肺炎を起こしにくい。さらに、ノンカロリーに近いので、体重増加や糖尿病を心配することなく飲用することができる。しかも、体液と等張に近い電解質で生成されているので、体内に吸収されやすいうえに、適度のゼリー状に形成されているため、医薬品などの錠剤、散剤等の服用時に水の代わりに用いると、容易に医薬を飲み込むことができる。
第2に、消臭効果を有するシャンピニオン・エキスを混合しているので、寝たきり老人などの体臭や排便時の便臭を抑制することができる。したがって、介護者のみならず老人施設の居室などの同室者にも、不快感を与えることがなくなる。介護者や同室者に不快感を与えなければ、寝たきり老人等も水分を控えることなく、安心して水分を摂取することが可能となり、脳血栓等を予防することになる。
第3に、香料として柑橘類のエッセンスを加えたことから、シャンピニオン・エキス特有の香りと酸味をマスキングして、飲用しやすく、飲用後もさっぱりとし飽きがこない。飲用しやすく飽きがこなければ、継続して飲用することになり、水分補給が充分になされることになり、高齢者等における水分摂取量の不足による諸症状を改善することが可能となる。したがって、本発明によりもたらされる効果は、極めて大きい。
本発明による水分補給用消臭ゼリーは、水を主原料としてシャンピニオン・エキスと柑橘類のエッセンスを含むことが特徴である。ここで、香料として柑橘類のエッセンスを用いると、ゼリーに対してシャンピニオン・エキスを0.20〜0.27重量%を加えても、シャンピニオン・エキス特有の香りと酸味をまったく感ぜず、しかも、飲用後さっぱりとする水分補給用消臭ゼリーとなるとの実験結果を得ている。ここにおける柑橘類とは、いよかん、蜜柑、かぼす、きんかん、すだち、だいだい、ゆず、レモン、夏みかん、はっさく、グレープフルーツ等を指すが、中でもレモンが最も好ましい。また、香料として用いる量は、通常ゼリーに対して0.1〜0.15重量%が望ましい。以下、実施例により詳しく説明する。
図1は、本実施例における水分補給用消臭ゼリー1000g当たりの組成原料の配合量を示している。ここにおける水分補給用消臭ゼリーは、水987.96gの中に、ゲル化剤7.00g、クエン酸三ナトリウム0.16g、乳酸カルシウム0.12g、硫酸マグネシウム0.03g、人工甘味料0.21g、クエン酸1.20g、リンゴ酸0.26g、グルタミン酸ナトリウム0.06g、シャンピニオン・エキス2.00g、レモン・エッセンス1.00gを混合して加熱、撹拌する。加熱撹拌された液を濾過して軟質ポリチューブの容器内に収容したうえで、80℃で30分殺菌する。以上の製法により、本実施例における水分補給用消臭ゼリーは得られる(以下、「ゼリーA」という。)。
図2は、本実施例におけるゼリーAとの比較調査の対象とした、レモン・エッセンスを含まない水分補給用消臭ゼリー1000g当たりの組成原料の配合量を示すものである(以下、「ゼリーB」という。)。図示するように、各原料の配合量は、水988.96g、ゲル化剤7.00g、クエン酸三ナトリウム0.16g、乳酸カルシウム0.12g、硫酸マグネシウム0.03g、人工甘味料0.21g、クエン酸1.20g、リンゴ酸0.26g、グルタミン酸ナトリウム0.06g、シャンピニオン・エキス2.00gである。製法は、ゼリーAと同じである。
また、図3は、本実施例におけるゼリーAとの比較調査の対象とした、レモン・エッセンスの代わりにバニラ・エッセンスを含んだ他の水分補給用消臭ゼリー1000g当たりの組成原料の配合量を示すものである(以下、「ゼリーC」という。)。各原料の配合量は、水987.96g、ゲル化剤7.00g、クエン酸三ナトリウム0.16g、乳酸カルシウム0.12g、硫酸マグネシウム0.03g、人工甘味料0.21g、クエン酸1.20g、リンゴ酸0.26g、グルタミン酸ナトリウム0.06g、シャンピニオン・エキス2.00g、バニラ・エッセンス1gである。製法は、ゼリーAと同じである。
そこで、上記3種類の各ゼリーA,B,Cについてシャンピニオン・エキス特有の香りと酸味(以下、「特有の香り等」という。)を比較調査するために、男性50人、女性50人、年齢が30〜70歳の人を対象にして、各ゼリーA,B,Cをそれぞれ飲用してもらい、その感想を回答してもらった。その結果は、下記表1に示す通りである。
Figure 2007189958
以上の調査結果から、本発明による水分補給用消臭ゼリーは、シャンピニオン・エキス特有の香り等を飲用者に感じさせないことが明らかであり、充分な水分量を摂取する必要がある高齢者等にとって、その飲用を促進する効果が得られることになる。
なお、図1に表した各原料の配合量は、本発明による水分補給用消臭ゼリーの1例を示したものであり、本発明は、これに限定されるものではない。とくに、シャンピニオン・エキスの配合率は0.20〜0.27重量%、柑橘類のエッセンスは0.01〜0.10重量%の範囲内で、本発明は適用され得るものである。
本発明による水分補給用消臭ゼリーの原料の配合量を示す表示図である。 本発明による水分補給用消臭ゼリーとの比較調査の対象とした水分補給用消臭ゼリーの原料の配合量を示す表示図である。 本発明による水分補給用消臭ゼリーとの比較調査の対象とした他の水分補給用消臭ゼリーの原料の配合量を示す表示図である。

Claims (3)

  1. 主原料である水の中に少なくともゲル化剤とシャンピニオン・エキスと柑橘類のエッセンスとを配合して流動体状に形成した水分補給用消臭ゼリー。
  2. 前記柑橘類のエッセンスがレモン・エッセンスである請求項1記載の水分補給用消臭ゼリー。
  3. 前記シャンピニオン・エキスの配合比が0.20〜0.27重量%の範囲内にあり、前記レモン・エッセンスの配合比が0.01〜0.10重量%の範囲内にある請求項2記載の水分補給用消臭ゼリー。
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