JP2007171680A - 液晶表示装置及びその製造方法 - Google Patents

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龍男 内田
Takahiro Ishinabe
隆宏 石鍋
Tetsuya Miyashita
哲哉 宮下
Tsutomu Kuboki
剣 久保木
Mitsuru Kano
満 鹿野
Mitsuo Oizumi
満夫 大泉
Yohei Iida
陽平 飯田
Yuzo Hayashi
祐三 林
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Abstract

【課題】高い電圧を印加しなくても、液晶層中の液晶分子の配列をスプレイ状態からベンド状態に速やかに、かつ、安定に発生させることができる液晶表示装置及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】基板3の基板表面上の配向膜全面に対して、aの方向にラビングなどの第1配向処理(全面均一処理)がなされる。次いで、aの方向の第1配向処理が施された領域に比べて狭い領域をなすように、上記aの方向に対して略90°をなすbの方向(第2の方向)、及び上記aの方向とは反対方向にcの方向(第3の方向)に、第2配向処理を行う。その結果、b方向及びc方向の交差した部分には、a〜cの方向に配向処理された微小領域31が存在することとなる。それぞれの微小領域31は、遮光部内に形成されている。
【選択図】図6

Description

本発明は、広視角化及び高速応答性を実現するOCB(Optically Compensated Birefringence又はOptically Compensated Bend)モードの液晶表示装置に関する。
近年、液晶表示装置では、OCBモードと呼ばれる表示方式が注目されている(例えば、非特許文献1,2を参照)。このOCBモードは、一対の基板間に挟み込まれた液晶層をスプレイ配向状態とし、駆動電圧の印加時にベンド配向状態に転移させる液晶パネルと、この液晶パネルの光学補償を行う光学補償フィルムとを組み合わせることで、広視野角化と高速応答性を実現するものである。しかしながら、このOCBモードにおいては、通常の配向処理をした場合には、初期スプレイ配向状態にある液晶層をベンド配向状態に速やかに転移させることは容易ではなく、基板上のプレティルト角を10°程度に設定した場合であっても、10V以上、例えば20V程度の高い電圧が必要になる。このような高い電圧を印加することは駆動電圧の制御上から非常に困難である。また、このような液晶層の転移を全ての画素で発生させることも容易ではなく、液晶層が転移しないまま残った一部の画素は欠陥としてパネルの表示品位を大きく低下させることになる。
このような問題を解決するために、多くの工夫が提案されている。例えば、特許文献1には、長手方向である第1の方向にラビング処理された溝部を設け、これと異なる第2の方向にラビング処理された第1の基板と、該第2の方向にラビング処理された第2の基板(対向基板)を用いたOCBモードの液晶表示装置において、前記2つの方向のなす角度を45°〜135°にした液晶表示装置が開示されている。
また、特許文献2には、ラビング処理及び基板上の凹凸形状、柱状、山状などの構造体を部分的に設け、局所的に他の領域に対し異配向領域を形成することにより、電圧印加時にツイスト配列を取り、これが転移核となってスプレイ(splay)配列からベンド(bend)配列への転移を容易にした液晶表示装置が開示されている。
SID 93 Digest p277 , Y. Yamaguchi et al. "Wide-Viewing-Angle Display Mode for the Active-Matrix LCD Using Bend-Alignment Liquid ;Crystal Cell" SID 94 Digest p927 , C-L. Kuo et al. "Improvement of Gray-Scale performance of Optically Compensated Birefringence(OCB) Display Mode for AMLCDs" 特許第3539727号公報 特開2002−169160号公報
しかしながら、これらの技術を用いても、携帯用機器、例えば携帯電話、PDAなどにOCBモードの液晶表示素子を適用しようとすると、数ボルトの電圧では、待機中に画面全領域をベンド配向に転移させるのに数秒以上の時間を要するため、実用的な表示装置にほとんどなり得ない。また、携帯用機器の電源であるバッテリー駆動を前提にすると、10Vを超える電圧印加が必要となり、バッテリー寿命の問題がある。また、転移核から高速・繰り返し再現性のあるベンド転移を起こすために基板表面に大きな凹凸形状・構造体を高密度で形成すると、パネル製造がしにくくなり、仮に部分的にベンド転移が起こっても、これらの方法では表示全領域を転移させることはほとんど不可能である。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、高い電圧を印加しなくても、液晶層中の液晶分子の配列をスプレイ(splay)状態からベンド(bend)状態に速やかに、かつ、安定に発生させることができる液晶表示装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の液晶表示装置は、電極と配向制御層とがそれぞれ配置された一対の基板間に正の誘電異方性を有する液晶層が挟持された液晶表示装置であって、少なくとも初期に前記配向制御層の近傍で、前記液晶層中の液晶分子が前記一対の基板に関して、それぞれ互いに逆方向のプレティルト角を有しており、スプレイ配列からベンド配列への転移が、電圧印加時に液晶分子のねじれ配列が互いに異なるねじれ構造を経由するような表面配向処理が前記配向制御層に施されており、前記転移の起点が所定の配置密度でパネル全面内に複数個形成された微小領域であり、前記それぞれの微小領域が遮光部内に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、単純なパネル構造であっても、均一な配向処理された広い領域の中に、微小幅で異なる2方向に配向処理された部分が起点となって、数ボルトの低い電圧で、OCB型液晶表示装置の表示を行う上で最も基本となるスプレイ配列からベンド配列への転移が速やかにかつ安定に行われる液晶表示装置を実現することができる。また、それぞれの微小領域が遮光部内に形成されているので、転移の起点におけるディスクリネーション領域を遮光部で隠すことができる。
本発明の液晶表示装置においては、前記それぞれの微小幅の領域が、アクティブマトリクス基板上に形成されていることが好ましい。
本発明の液晶表示装置においては、前記一対の基板の外側に、少なくとも1枚の偏光板及び複数の位相差板が積層されていることが好ましい。
本発明の液晶表示装置の製造方法は、電極及び配向制御層を有する第1基板及び第2基板を準備する工程と、少なくとも初期に前記第2基板の前記配向制御層の近傍で、前記液晶層中の液晶分子が前記第1及び第2基板に関して、それぞれ互いに逆方向のプレティルト角を有し、スプレイ配列からベンド配列への転移が、電圧印加時に液晶分子のねじれ配列が互いに異なるねじれ構造を経由するような表面配向処理を前記配向制御層に対して施す工程と、前記転移の起点が生じる微小領域が遮光部内に形成されるようにして、前記第1及び第2基板を前記電極と前記配向制御層とが対向するように配置し、前記第1基板と前記第2基板との間に液晶層を設ける工程と、を具備することを特徴とする。
本発明の液晶表示装置の製造方法においては、前記表面配向処理は、前記配向制御層に対して、第1の方向に均一に第1配向処理を行う工程と、前記第1配向処理の後に、前記配向制御層における微小幅の領域に対して、前記第1の方向に対して略直交する第2の方向に及び前記第1の方向と逆の第3の方向に、第2配向処理を行う工程と、前記第1及び第2配向処理を施した配向制御層を有する基板に対向する基板の配向制御層に対して、前記第1の方向と略同じ方向の第3配向処理を行う工程と、を含むことが好ましい。
本発明の液晶表示装置の製造方法においては、前記第1の方向に対して、前記第2の方向が、約90°±20°の範囲であることが好ましい。
本発明の液晶表示装置の製造方法においては、前記第1及び第2配向処理された前記配向制御層上の配向規制力が、第1の方向>第2及び/又は第3の方向になるように制御されることが好ましい。
本発明の液晶表示装置の製造方法においては、前記表面配向処理がラビング処理であることが好ましい。
本発明によれば、電極と配向制御層とがそれぞれ配置された一対の基板間に正の誘電異方性を有する液晶層が挟持された液晶表示装置であって、少なくとも初期に前記配向制御層の近傍で、前記液晶層中の液晶分子が前記一対の基板に関して、それぞれ互いに逆方向のプレティルト角を有しており、スプレイ配列からベンド配列への転移が、電圧印加時に液晶分子のねじれ配列が互いに異なるねじれ構造を経由するような表面配向処理が前記配向制御層に施されており、前記転移の起点が所定の配置密度でパネル全面内に複数個形成された微小領域であるので、高い電圧を印加しなくても、液晶層中の液晶分子の配列をスプレイ(splay)状態からベンド(bend)状態に速やかに、かつ、安定に発生させることができる液晶表示装置を提供することができる。
本発明者は、OCB型液晶表示装置におけるスプレイ(splay)ベンド(bend)転移を安定に行わせるために必要な条件を鋭意検討した結果、表示画素間の微小領域において、特徴的なディスクリネーションを積極的に発生させることにより、これを起点として、速やかに、かつ、安定な転移を生ぜしめることを見出し本発明をするに至った。
すなわち、本発明の骨子は、少なくとも初期に前記配向制御層の近傍で、前記液晶層中の液晶分子が前記一対の基板に関して、それぞれ互いに逆方向のプレティルト角を有しており、スプレイ配列からベンド配列への転移が、電圧印加時に液晶分子のねじれ配列が互いに異なるねじれ構造を経由するような表面配向処理を施して、特徴的なディスクリネーションを積極的に発生させることにより、スプレイ配列からベンド配列への転移を速やかに、かつ、安定して生ぜしめることである。この場合、転移の起点は、所定の配置密度でパネル全面内に複数個形成された微小領域で生じる。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面では、特徴を分かり易くするために、必要に応じて、特徴となる部分を拡大して示している。
図1に示すように、本発明に係る液晶表示装置1は、OCBモードの液晶パネル2を備えている。この液晶パネル2は、例えばアクティブマトリクス駆動方式を採用した透過型のカラー液晶パネルであり、赤、緑、青の3原色に対応した3つのドット(サブピクセル)によって1つの単位画素(ピクセル)が構成されるとともに、ドット1つ1つにアクティブ駆動素子を設けて各画素の点灯状態を制御することによりカラー表示が行われる。なお、図1では、各赤、緑、青の各サブピクセルがストライプ状に並んだ例について説明しているが、サブピクセルが斜めに配列されたり、トライアングル状に配列されていても良い。
この液晶パネル2は、互いに対向配置された一対の基板3,4と、これら一対の基板3,4の間に挟まれた光変調層としての液晶層5と、背面側基板(目視側とは反対側の基板)3の下方に配置された光源6と、さらに前面側基板(目視側の基板)4上に配置された偏光板7と、少なくとも1枚の位相差板8と、下側基板3の下方に配置された偏光板9と、少なくとも1枚の位相差板10などを備えている。また、一対の基板3,4は、ガラスやプラスチックなどの矩形状の透過基板であり、液晶層5内に分散又は所定の場所に固着された球形などのスペーサ(図示せず)によって、互いの対向間隔が均一に保持されるとともに、その周辺部がエポキシ系樹脂などによるシール剤(図示せず)により封止されて接合一体化されている。なお、図示されていないが、上記前面側基板4には、全面に透明電極が設けられており、基板3,4における液晶層5に面する表面には、それぞれ所定の液晶配向状態を制御する配向制御層23,24(図2参照)が設けられている。
一対の基板3,4のうち、一方(背面側)の基板3は、図2及び図3に示すように、いわゆるアクティブマトリクス基板であり、その液晶層5と対向する面には、スイッチング素子であるTFT(Thin Film Transistor)11がマトリックス状に複数配列して形成されている。このTFT11は、基板3側から順に、ゲート電極12及びゲート絶縁層13と、半導体層14と、ソース電極15及びドレイン電極16とが積層された逆スタガー型の構造を有している。すなわち、この構造においては、最下層のゲート電極12を覆うゲート絶縁層13上には、島状の半導体層14がゲート電極12を遮るように形成されるとともに、この半導体層14の一端側には、半導体層14を介してソース電極15が形成され、この半導体層14の他端側には、半導体層14を介してドレイン電極16が形成されている。なお、半導体層14上には、島状の絶縁層17が形成されており、この絶縁層17によってソース電極15とドレイン電極16との間が絶縁されている。この絶縁層17は、半導体層14を形成する際に、この半導体層14を保護するエッチングストッパとしての機能を有している。
基板3の液晶層5と対向する面には、各TFT11のゲート電極12と電気的に接続された配線である走査線18が、図3中矢印X方向(行方向)に互いに平行に複数並んで形成されるとともに、各TFT11のソース電極15と電気的に接続された配線である信号線19が、図3中矢印Y方向(列方向)に複数並んで形成されており、これら走査線18と信号線19との交差位置の近傍に上記TFT11が形成されている。なお、これら走査線18と信号線19とによって升目状に区画された1つ1つの矩形状の領域が、各ドットに対応した基板3側のドット対応領域を形成しており、これらのドット対応領域がマトリクス状に複数配列されることで、全体として液晶パネル2の表示領域が形成されている。また、この表示領域の外側の部分には、図示を省略するが、各走査線18に選択パルスを印加する走査ドライバと、各信号線19に信号電圧を印加する信号ドライバとが設けられている。
そして、この基板3の液晶層5と対向する面には、上述したTFT11、走査線18及び信号線19を被覆する絶縁膜20が形成されている。また、この絶縁膜20には、上記各TFT11のドレイン電極16に臨むコンタクトホール21が形成されている。そして、この絶縁膜20上には、コンタクトホール21を介して各TFT11のドレイン電極16と電気的に接続された画素電極22が、各ドットに対応してマトリクス状に複数配列して形成されている。この画素電極22は、ITO(Indium-Tin Oxide)などの透明な導電材料で構成され、上記各ドット対応領域のほぼ全域を覆うように矩形状に形成されている。そして、この画素電極22が形成された基板3上には、後述する処理がなされた配向制御層23が形成されている。
これに対して、他方(前面側)の基板4の液晶層5と対向する面には、後述する処理がなされた配向制御層24と、ITO(Indium-Tin Oxide)などの透明な導電材料で構成された対向電極27と、各ドットに対応したドット対応領域を区画する遮光性のブラックマトリクス層25と、このブラックマトリクス層25によって区画された、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタ層26R,26G(26Bは図示せず)とが順に形成されている。具体的には、矩形のブラックマトリクス層25によって升目状に区画された1つ1つの矩形領域が、各ドットに対応した基板4側のドット対応領域を形成している。このブラックマトリクス層25は、各カラーフィルタ間における光の混色を防ぐための遮光壁であり、前記赤(R)、緑(G)、青(B)の各色のうちいずれか1つの色のドットが埋め込み形成された形となっている。カラーフィルタ層26R,26G(26Bは図示せず)は、これら異なる色の層がストライプ状、斜め状、トライアングル状などのモザイク状に周期的に配列された構造を有している。したがって、各画素の赤、緑、青に対応した3つのドット対応領域毎に、画素電極22と対向電極27との間に印加される駆動電圧を制御することにより、各画素の表示色が制御され、これにより所望の画像が表示可能となる。
液晶層5は、一方の基板3の配向制御層23と、対向基板4の配向制御層24との間に封入された正の誘電異方性を有するネマティック液晶組成物を含む。さらに、液晶層5は、初期(電圧無印加状態又は配向状態の変化を起こさない低電圧状態)で、それぞれの基板3,4上において、互いに液晶分子のプレティルト角が逆となったスプレイ配列になるように配向制御されている。
本発明の液晶表示装置においては、後述するような液晶分子配向を与えたパネルに対して、液晶駆動電圧に応じて適正な光学補償条件を満たすように、複数の位相差板および偏光板などの光学フィルムが配置される。
例えば、透過型ノーマリブラックモードで表示を行う場合には、パネル(2枚の基板間に正の誘電異方性のネマティック液晶組成物を挟持してなる)に対して、パネル内の液晶層と合わせて複屈折位相差がトータルでゼロとなるように、また、その光学軸がラビング方向とそれぞれ直交する向きに設定された2軸性光学補償フィルム(n>n>n、ここでx,yはパネル面内の方向を表し、zはパネルの厚み方向を表す)をパネル上下に配置する。特に、ベンド配列状態を保持する最も低い電圧(OFF電圧)で黒表示になるように、ベンド配列から十分に液晶分子が立ち上がる電圧(ON電圧)で白表示になるように、上記の光学フィルム類の条件(相互の光学軸方向、位相差値など)を設定する。例えば、パネルの電圧無印加状態(スプレイ配向状態)における位相差が960nmであり、ON電圧を5.0Vとした場合、二軸性光学補償フィルムの位相差を50nm、Nz係数を7.5にすると、パネルの液晶層と二軸性光学補償フィルムの複屈折位相差がトータルでゼロとなる。ここで、Nz係数とは、位相差板の遅相軸方向の屈折率、進相軸方向の屈折率、厚さ方向の屈折率をそれぞれnx、ny、nzとしたとき、Nz=(nx−nz)/(nx−ny)で定義される値である。なお、いわゆるノーマリホワイトの場合に、上記の黒表示と白表示になる条件を逆にして設定することはいうまでもない。さらに、偏光板と1/4波長板(1/4λ板)とを、両者の光学軸が約45°となるように設定して円偏光板を形成した積層体を、上記の外側に上下共配置する。
一方、反射型(ノーマリブラック)表示の場合には、パネル(2枚の基板間に正の誘電異方性のネマティック液晶組成物を挟持してなる)の観察側と反対側の基板内面(液晶層と接する側の面)又は基板外面に反射層を形成するとともに、パネル内の液晶層とその複屈折位相差がトータルでゼロとなるような二軸性光学補償フィルム(n>n>n,ここでx、yはパネル面を表し、zはパネルの厚み方向を表す)を設ける。例えば、パネルの電圧無印加状態(スプレイ配向状態)における位相差が480nm、ON電圧を5.0Vとした場合、二軸性光学補償フィルムの位相差を50nm、Nz係数を7.5にすると、パネルの液晶層と二軸性光学補償フィルムの複屈折位相差がトータルでゼロとなる。そしてさらに、その上面(観察側に近い面)には、偏光板と1/4波長板(1/4λ板)とを、両者の光学軸が約45°となるように設定して円偏光板を形成した積層体を、配置する。なお、ノーマリホワイトの場合に、前述の黒表示と白表示の関係を逆にすることも上記と同様である。
次に、基板3,4への本発明の配向処理方法を以下詳述する。図4は、一方の基板、例えば下側基板3表面に付与される複数の配向エリアの位置関係を模式的に表した図である。この図において、aの方向は全画素にわたる基本的な液晶分子の配向方向(第1の方向)を表している。すなわち、基板3の基板表面上の配向制御層である配向膜(例えば、ポリビニルアルコール系、ポリアミド系、あるいはポリイミド系などの高分子系配向膜)全面に対して、aの方向にラビングなどの第1配向処理(全面均一処理)がなされる。
次いで、aの方向の第1配向処理が施された領域に比べて狭い領域をなすように、上記aの方向に対して略90°をなすbの方向(第2の方向)、及び上記aの方向とは反対方向にcの方向(第3の方向)に、第2配向処理を行う。その結果、b方向及びc方向の交差した部分には、a〜cの方向に配向処理された微小領域31が存在することとなる。これらb方向の配向処理及びc方向の配向処理が施された領域は、例えば画素間スペースのブラックマスクに相当する部分となるようにすることが好ましく、例えば、画素の幅寸法が約50μm〜90μmの場合、約10μm〜約20μmの幅が好ましい。一方、対向基板4には、平面視した場合、第1の方向(a)と同じ方向(破線で表される方向)に第3配向処理される。
このとき配向処理の強さは、処理後の各エリアの液晶分子に対する配向規制力(アンカリング)が、aの方向の配向処理が施された領域よりもbの方向及びcの方向の配向処理が施された領域の方が弱くなるように設定されることが好ましい。すなわち、配向規制力に関して、aの方向>b及び/又はcの方向のように設定されることが好ましい。
配向規制力を変化させるには種々の方法が採用可能であり、例えば、ラビング配向処理の場合、ラビング配向処理の程度を半定量的に表す「ラビング強度パラメータ」 (Y. Sato, K. Sato and T. Uchida : Jpn. J. Appl. Phys., 31(1992) L579参照)を決める因子を変化させることで制御可能である。このパラメータは、一般に下式で表される。なお、長さに関する単位は全てmmとする。
L=N×l×(l+2πrn/60v)
ここで、Nはラビング回数を表し、l(mm)はラビング布と基板とが接触する長さ(接触長)を表し、r(mm)はラビングロールの半径を表し、 n(rpm)はロールの回転数を表し、vは基板ステージの移動速度を表す。その結果、基板上でラビング布が単位時間内に接触する長さ(mm)に関係した量となる。上式から明らかなように、ラビング回数や押し込み量を増減させたり、あるいはラビングロールの径や回転速度を増減させる方法や、基板送り速度を変化させる方法などにより、配向規制力の強弱を制御することが可能である。
あるいは、ラビング法のみに限定されず、例えば高分子膜表面に光(偏光又は未偏光)照射を併用した配向処理法を採用しても良く、この場合、選択的な光照射により配向規制力を強くする方法、あるいは選択的な光照射により配向規制力を弱くする方法などを利用することができる。
これらa〜cの方向への配向処理により微小領域毎に得られる液晶分子の初期(電圧無印加での)配向状態を図5(a)に示す。この図5(a)も図4と同じ領域の位置関係を示している。すなわち、互いに平行な方向に配向処理された画素領域A1〜A4領域では、図5(b)に示すように、液晶分子が典型的なスプレイ配列をとっている。なお、配列断面図では、平面図の右方向から見た断面を表す。また、第1の方向aに対して、第2及び第3の方向b,cの配向規制力が小さくなるような配向処理を行うことにより、C1,C2領域では、図5(d)に示すように、液晶分子が下側基板から上側基板にかけて、第1の方向aに対して90°よりも小さな角度(例えば70°〜88°)だけ右ねじれしたスプレイ配列をとることとなる。
一方、B1,B2領域では、図5(c)に示すように、液晶分子が下側基板から上側基板にかけてねじれのない均一な水平(ホモジニアス)配向となる。そして、交差部の領域Dにおいては、図5(e)に示すように、下側基板から上側基板の間で、90°以下(例えば88°〜90°)の左ねじれ角度をもつ均一な水平配向となる。この領域Dにおいては、電圧印加によりDの領域がC1,C2の領域に広がる。
このような複数回の配向処理においては、最後の配向処理方向でプレティルト角の方向が決まる。また、この場合の配向方位は、それぞれの配向方向における配向強度を含む合成ベクトルの方向となる。この方法において、90°以下のねじれユニホーム(C1,C2,D領域)は、プレティルト角を小さくしてアンカリング効果を弱くすることにより発現し易くなる。
このように、本発明においては、画素部分の基本的なスプレイ配列以外に、画素間の狭い領域内に、互いにねじれ方向が異なった水平配列とスプレイ配列のそれぞれの領域が近接して存在する配向処理がなされることが大きな特徴である。このような配列が共存した状態に、あるしきい値以上の電圧が印加されると、C1,C2の90°以下右ねじれスプレイ領域は、90°以上左ねじれ水平領域に転移する。
その理由は、電圧印加時には、90°以上のねじれがある状態でも、スプレイねじれよりも水平ねじれ配向の方がエネルギー的に安定になること、及びC1,C2の隣接した位置にDの90°以下左ねじれ水平配向領域が存在することによる。このようにC1,C2が90°以上左ねじれ水平配向領域になることにより、これらの領域と、隣接するA1〜A4領域がスプレイから90°以上のねじれ状態を経由する。この結果、スプレイからベンドへの転移に要するエネルギー障壁が小さくなり、速やかにベンド状態に転移する。本発明においては、基板表面に特別な構造体を設けることなく、高密度で、このような挙動が発生し得るので、安定にスプレイ配列からベンド状態への転移を起こすことが可能となる。このような観点から、第1(又は第3)の方向に対する第2の方向のなす角は、パネル面を平面視した場合に、一般に90°±20°であれば良く、特に、90°±10°とすることが好ましい。
本発明においては、画素間の領域にアクティブ駆動素子の電極配線であるソース電極配線あるいはゲート電極配線が存在しているため、これらの電極配線間の電位差を有効に利用することができる。例えば、図6に示すように、基板全面に第1の方向(a)に配向処理した後、画素電極間の非表示領域(遮光部:ブラックマスク)に対して、第2の方向(b)及び第3の方向(c)に配向処理を行う。これにより、必然的にソース電極ライン41及びゲート電極ライン42上に微小領域の配向処理がなされるので、ソース43及びゲート44によってベンド転移のための液晶分子への電圧印加が可能となる。また、それぞれの微小領域が遮光部内に形成されるので、転移の起点におけるディスクリネーション領域を遮光部で隠すことができ、領域間のディスクリネーションによる光もれに対して遮蔽効果が期待できる。なお、図中45はTFTを示す。
本発明においては、このように微小領域に対して配向処理方向を変える方法として、種々の方法が採用され得る。例えば、表示画素のピッチ及び画素間のスペース幅に合わせた開口を有するテンプレートを用いてそれぞれの方向にマスクラビングする方法;領域全体にラビングした後に、bの方向及びcの方向に配向処理した領域に対して偏光あるいは未偏光の紫外光をフォトマスクを用いて選択的に光照射して、配向規制力をaの方向に配向処理した領域に比較して選択的に弱める方法;ラビング時のせん断力に耐えうるフォトレジストをマスキング材として微小領域に異なる方向にラビングを行う方法;微小なエリアを選択的にラビング可能なヘッドやツールを用いて、配向膜表面をラビングする方法などが挙げられる。
上記においては、それぞれの画素に対応して、少なくとも一つのスプレイ−ベンド転移の起点を形成する例について説明しているが、本発明は、必ずしもこれに限るものではない。すなわち、液晶組成物の物性値(弾性定数、誘電異方性など)、パネルギャップ、液晶分子のプレティルト角、あるいは配向規制力などに応じて、所定の配置密度を適宜変更することができる。例えば、転移の起点が100画素〜3画素当りに1個、好ましくは10〜3画素当りに1個であっても良い。また、1画素当り2〜4個設けることにより、ベンド転移の起点が相対的に多く存在することになり、ベンド転移への時間を実質的に極めて短くすることができる。例えば、プレティルト角が大きい(4°又は5°〜15°)場合、スプレイ−ベンド転移が極めて起こり易くなるため、転移の起点の配置密度が10画素あるいはそれ以上の数当り1個でも効果が認められる。
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。
(実施例1)
図2に示すアクティブマトリクス基板3を上述したようにして作製した後、その表面に配向膜23(チッソ製、PIA5500シリーズ)を構成する材料をフレキソ印刷して配向膜を形成し、80℃×5分の予備乾燥した後に210℃×30分で焼成した。焼成後の膜厚は約650Åであった。一方、対向する側の基板4には、図1に示すようなストライプタイプパターンのR,G,B3原色のカラーフィルタをフォトリソグラフィで形成し、その上面にITO膜(シート抵抗約10Ω/□)を低温スパッタ法で形成した。さらにその表面には、上記と同様の方法で配向膜24を形成した。
次いで、基板3の配向膜表面をラビングロールに巻きつけたレーヨン布(吉川加工製YAシリーズ)を用いて、パネルに正対して12時方向から6時方向に、全面均一にラビングした。この方向を主たる方向(第1の方向)に設定した。ラビング条件としては、ラビングロール径を約100mmとし、ロール回転数を800rpmとし、ラビング接触長を約0.25〜0.30mmとし、基板送り速度を30mmとした。このときのラビング強度Lは約1532であった。また、基板4の配向膜表面も、上記と同様な方法でラビングした。この場合、配向膜面を下にしたときに、12時から6時方向になるような方向にラビングした。
次いで、基板3の表面を画素間のスペース(約10μm)とピッチ(約240μm)に対応した細長い開口を有するマスクで覆いながら、パネルに正対した方向で3時方向から9時の方向(第2の方向)にラビングした。このときのラビング条件は、ロール回転数を600rpmにした以外は上記と同様とした。このときのラビング強度Lは約1152であった。さらに、画素間のスペース(約10μm)とピッチ(70μm)に対応させた上記とは別の細長い開口を有するマスクで基板表面を覆いながら、パネルに正対した方向で、6時から12時の方向(第3の方向)にラビング処理を行った。この第3の方向は、第1の方向のラビング方向とは反対方向である。このときのラビング条件は、上記3時方向から9時方向へのラビング時と同じであった。このときのラビング強度Lは約1140であった。
上記のように、最初のラビング方向に対して異なる方向にラビング処理することにより、配向膜表面には後からラビング処理された方向やラビング強度に対応した配向規制力が生じる。すなわち、部分的に第2の方向あるいは第3の方向に配向処理された領域は、それぞれ第1の配向処理方向に対して、略直交及び反対方向に配向規制力が生じる。
上記のように配向処理を行った基板3及び基板4を、図1に示すような位置関係になるように組み合わせ、樹脂製球状スペーサ(セキスイファインケミカル社製、球径約6μm)を所定の密度で基板面に散布した後、エポキシ系シール剤(図示せず)により接着して空セルとした。この基板間に正の誘電異方性を有するネマティック液晶(チッソ製、フッ素系化合物を含む組成物)を充填し、さらに上下基板に偏光板及び位相差板を積層してパネルを完成させた。
このときの、偏光板及び位相差板の設定条件は次のようにした。すなわち、パネルの観察側から偏光板、1/4波長板、二軸性光学補償フィルム、パネル、二軸性光学補償フィルム、1/4波長板、偏光板という構成で積層した。それぞれのフィルムは次のものを使用した。パネル上面の偏光板はヨウ素系偏光板(日東電工製、単体透過率44%、偏光度99.95%)を用い、パネル上面から見て吸収軸を3時方向から半時計回りに45゜回転した状態にする。パネル上面の1/4波長板は、ポリカーボネート製で波長が高くなると位相差が大きくなるような波長分散特性を持つものを、パネル上面から見て遅相軸を3時方向から半時計回りに90゜回転した状態にする。パネル上面の二軸性光学補償フィルムは、ポリカーボネート製で位相差が50nm、Nz係数が7.5のものを、パネル上面から見て遅相軸を3時方向(パネルのラビング方向と直交する方向)に向けた状態にする。ここで、Nz係数とは、位相差板の遅相軸方向の屈折率、進相軸方向の屈折率、厚さ方向の屈折率をそれぞれnx、ny、nzとしたとき、Nz=(nx−nz)/(nx−ny)で定義される値である。パネル下面の二軸性光学補償フィルムは、ポリカーボネート製で位相差が50nm、Nz係数が7.5のものを、パネル上面から見て遅相軸を3時方向(パネルのラビング方向と直行する方向)に向けた状態にする。パネル下面の1/4波長板は、ポリカーボネート製で波長が高くなると位相差が大きくなるような波長分散特性を持つものを、パネル上面から見て遅相軸を3時方向に向けた状態にした。パネル下面の偏光板は、ヨウ素系偏光板(日東電工製、単体透過率44%、偏光度99.95%)を、パネル上面から見て吸収軸を3時方向から半時計回りに135゜回転した状態に設定した。
こうして得られたパネルは、電圧無印加時に、図5(a)に示すように、第1の方向に配向処理された領域(A1〜A4)においてスプレイ配列をとり、第2の方向に配向処理された領域(C1,C2)において90°以下の右ねじれスプレイ配列をとり、第3の方向に配向処理された領域(D)において90°以下の左ねじれ水平配列をとった。
このパネルに電圧を印加すると、図7に示すように、第2の方向に配向処理された領域と第3の方向に配向処理された領域の境界より、第2の方向に配向処理された領域へ向けて、ツイスト角度90°以下の右ねじれスプレイ配列からツイスト角度90°以上の左ねじれ水平配列への転移が生じた。そして、90°以上の左ねじれ水平配列へ転移した領域(F)と第1の方向に配向処理された領域の境界より、スプレイからベンドへの転移が起こった(G)。この液晶表示装置において、交流電圧5V、周波数60Hz、矩形の波形を印加したところ、スプレイからベンドへの転移に要する時間は、約0.38秒であった。このように、実施例1の液晶表示装置において、スプレイ配列からベンド配列への速やかな転移が行われたことが確認された。また、実施例1の液晶表示装置においては、領域間のディスクリネーションによる光もれがなく、領域間のディスクリネーションによる光もれに対する遮蔽効果が発揮されていることが確認された。
(実施例2)
実施例1と同様にアクティブマトリクス基板3及び対向する側のカラーフィルタ基板4の表面に実施例1と同様の方法により配向膜23を形成した。そして、基板3及び基板4の配向膜表面を実施例1と同様の方法・条件で全面均一にラビングした。次いで、基板3の表面を画素間のスペース(約10μm)とピッチ(約240μm)に対応して図8(a),(b)に示すようなラビングロールを用い、パネルに正対した方向で3時方向から9時の方向(第2の方向)にラビングした。
このラビングロール51は、メタル製ロール基材52の円周上に、幅11μm高さ1mmの段差部をピッチ240μmで多数形成した後、約500μmのレーヨン製パイル(単一パイル径約15〜20μm)53を静電植毛してなるものである。図8(a)において、参照番号54はロール軸を示す。ラビング条件としては、ラビングロール径を約80mmとし、ロール回転数を700rpmとし、ラビング押込み量を約0.30〜0.35mmとし、基板送り速度を35mmとした。このときのラビング強度 Lは約829であった。
次いで、幅11μm、高さ1mmの段差部をピッチ70μmにする以外は上記と同様の方法で形成した別のロールを用い、パネルに正対した方向で6時から12時の方向(第3の方向)にラビング処理を行った。このときのラビング条件は、上記3時方向から9時方向へのラビング時と略同じであった。このときのラビング強度Lは約841であった。
上記のように配向処理を行った基板3及び基板4を用いて、実施例1と同様の方法によりパネルを完成させた。こうして得られたパネルでは、電圧無印加時に図5のように第1の方向に配向処理された領域(A1〜A4)においてスプレイ配列をとり、第2の方向に配向処理された領域(C1,C2)において90°以下の右ねじれスプレイ配列をとり、第3の方向に配向処理された領域(D)において90°以下の左ねじれ水平配列をとっていた。
このパネルに電圧を印加すると、図9に示すように、第2の方向に配向処理された領域と第3の方向に配向処理された領域の境界より、第2の方向に配向処理された領域へ向けて、ツイスト角度90°以下の右ねじれスプレイ配列からツイスト角度90°以上の左ねじれ水平配列への転移が起こった。そして、90°以上の左ねじれ水平配列へ転移した領域(I)と第1の方向に配向処理された領域の境界より、スプレイからベンドへの転移が生じた(J)。この液晶表示装置において、交流電圧5V、周波数60Hz、矩形の波形を印加したところ、スプレイからベンドへの転移に要する時間は、約0.35秒であった。このように、実施例2の液晶表示装置において、スプレイ配列からベンド配列への速やかな転移が行われたことが確認された。また、実施例2の液晶表示装置においては、領域間のディスクリネーションによる光もれがなく、領域間のディスクリネーションによる光もれに対する遮蔽効果が発揮されていることが確認された。
(実施例3)
実施例1と同様にアクティブマトリクス基板3及び対向する側のカラーフィルタ基板4の表面に実施例1と同様の方法により配向膜23,24を形成した。使用した配向膜のプレティルト角度は、3〜4°であった。そして、基板3及び基板4の配向膜表面を実施例1と同様の方法・条件で全面均一にラビングした。その後、転移の起点の配置密度を変えるため、基板3の表面を実施例2で述べたラビングロールのピッチを何通りかに変えて、実施例2と同様のラビング条件でラビングを行った。その後、基板3及び基板4を用いて実施例1と同様の方法によりパネルを完成させた。得られたパネルに交流電圧5V、周波数60Hz、矩形の波形を印加し、ベンド転移の起点の密度と転移時間の関係を調べた。その結果を図10に示す。
実用パネルでは、ベンド配向への転移時間は短い方が望ましい。図10に示すように、ベンド転移の起点密度が大きい方がパネル全体の転移時間は短くなり有利である。例えば、本発明に係る配向膜を用いた場合、転移時間を1秒以下にするには、交流電圧5V、周波数60Hz、矩形の波形を印加した場合、1画素当たり2個以上の起点が必要になる。
(実施例4)
実施例3において、プレティルト角度が異なる4種類の配向膜を適用した。各配向膜のプレティルト角度は、0.5〜1°、2〜3°、5〜7°、8〜10°である。それぞれの配向膜を用いて、実施例1と同様にアクティブマトリクス基板3及び対向する側のカラーフィルタ基板4の表面に実施例1と同様の方法により配向膜23,24を形成した。そして、基板3及び基板4の配向膜表面を実施例1と同様の方法・条件で全面均一にラビングし、実施例3と同様に転移の起点の配置密度を変えるための配向処理を行った。その後、基板3及び基板4を用いて実施例1と同様の方法によりパネルを完成させた。
得られたパネルに交流電圧5V、周波数60Hz、矩形の波形を印加し、ベンド転移の起点の密度と転移時間の関係を調べて評価した。その評価結果を図11に示す。なお、評価の基準として、実用パネルがベンド配向で表示を行うことを考慮すると、パネル全面がベンド転移する時間が1秒未満を○とし、1秒以上1分未満を△とし、1分以上を×とした。図11に示すように、プレティルト角度が高く、ベンド転移起点の密度が高いと転移時間が短くなる傾向であった。
(実施例5)
実施例1と同様にアクティブマトリクス基板3及び対向する側のカラーフィルタ基板4の表面に実施例1と同様の方法により配向膜23,24を形成し、基板3及び基板4の配向膜表面を実施例1と同様の方法・条件で全面均一にラビングした。次いで、実施例1で説明したように、基板3の表面を画素間のスペース(約10μm)とピッチ(約240μm)に対応した細長い開口を有するマスクで覆いながら、実施例1と同様に第2の方向のラビングと第3の方向のラビングを行った。その際、第2の方向のラビング強度LをL=約700〜約850とL=約200〜約300の各範囲に分けて、その範囲で任意にラビングを行った。第2の方向のラビング強度を変える以外は、全て実施例1と同様にしてパネルを完成させた。
こうして得られたパネルは、電圧無印加時に、図5のように第1の方向に配向処理された領域(A1〜A4)においてスプレイ配列をとり、ラビング強度がL=約700〜約850で第2の方向に配向処理された領域(C1,C2)は、80°〜89°の右ねじれスプレイ配列をとり、第3の方向に配向処理された領域(D)は、90°以下の左ねじれ水平配列をとった。
これらのパネルに電圧を印加すると、第2の方向のラビング強度に拘らず、図7に示すように第2の方向に配向処理された領域と第3の方向に配向処理された領域の境界より、第2の方向に配向処理された領域へ向けて、80°〜89°の右ねじれスプレイ配列から91°〜100°の左ねじれ水平配列への転移が生じた。そして、90°以上の左ねじれ水平配列へ転移した領域(F)と第1の方向に配向処理された領域の境界より、スプレイからベンドへの転移が起こった(G)。一方、ラビング強度がL=約200〜約300で第2の方向に配向処理された領域(C1,C2)は、70°〜80°の右ねじれスプレイ配列をとる。その他の領域A1〜A4,Dは、上述の配向と同様であった。
これらのパネルに電圧を印加すると、第2の方向に配向処理された領域(C1,C2)が、70°〜80°の右ねじれスプレイ配列をとる場合、前述した70°〜75°以下の右ねじれスプレイ配列から100°〜110°の左ねじれ水平配列への転移が生じない領域を有するパネルが見られた。その原因として、ラビング強度がL=約200〜約300と低いことによるラビング不良や、70°から80°の右ねじれスプレイ配列が、電圧印加でも、逆ねじれの100°〜110°の左ねじれ水平配列よりエネルギー的に安定であること、などが考えられる。
(比較例)
実施例1と同様にアクティブマトリクス基板103及び対向する側のカラーフィルタ基板104の表面に実施例1と同様の方法により配向膜を形成した。そして、基板103及び基板104の配向膜表面を実施例1と同様の方法・条件で、図12に示す参照番号105の方向に全面均一にラビングした。次いで、基板103の表面を画素間のスペース(約10μm)とピッチ(約240μm)に対応した細長い開口を有するマスクで覆いながら、パネルに正対した方向で、角度85°の方向(図12の参照番号106の方向)にラビングした。このときのラビング条件は、全面均一にラビングした条件と同様であった。このときのラビング強度Lは約1532であった。上記のように配向処理を行った基板103及び基板104を用いて、実施例1と同様の方法によりパネルを完成させた。
こうして得られたパネルの特性は、電圧無印加時に、参照番号105の方向に配向処理された領域においてスプレイ配列をとり、参照番号106の方向に配向処理された領域において約85°の右ねじれスプレイ配列をとっていた。
このパネルに電圧を約30秒間印加すると、参照番号106の方向に配向処理された領域のある一部分で、約85°の右ねじれスプレイ配列から約95°の左ねじれ水平配列への転移が起こった。そして、約95°の左ねじれ水平配列へ転移した領域と参照番号105の方向に配向処理された領域の境界より、参照番号105の方向に配向処理された領域において、スプレイからベンドへの転移が起こった。しかしながら、同条件で作製した他のパネルでは、電圧を長時間印加し続けても、約85°の右ねじれスプレイ配列から約95°の左ねじれ水平配列への転移が起こらなかった。そのため、スプレイからベンドへの転移も起らなかった。
その理由として次のことが挙げられる。ある一部分から約85°の右ねじれスプレイ配列から約95°の左ねじれ水平配列への転移が起こる場合は、右ねじれスプレイ配列領域の配向欠陥を起点に転移が起きており、配向欠陥が無い場合は、転移は起きなかった。欠陥を起点にする転移が起きた場合でも、欠陥の数は極少数であり、ランダムに存在するため、右ねじれスプレイ配列領域の全てが、左ねじれ水平配列へ転移するには、長時間の電圧印加が必要になる。例えば、交流電圧5V、周波数60Hz、矩形の波形を印加した場合、右ねじれスプレイ配列領域の全てが左ねじれ水平配列への転移に要する時間は約3分程度である。そのため、左ねじれ水平配列と接する領域からベンド配列への転移が起こるため、パネル全面がベンド配列へ転移するのに要する時間は電圧印加開始から3分以上を要した。
このように、本発明によれば、単純なパネル構造およびプロセスであっても、均一な配向処理された広い領域の中に、微小幅で異なる2方向に配向処理された部分が起点となって、数ボルトの低い電圧で、OCB型液晶表示装置の表示を行う上で最も基本となるスプレイ配列からベンド配列への転移が速やかにかつ安定に行われる。その結果、比較的生産しやすい単純な配向構造で工程にかかるコストを低減しながら、携帯用機器にも適用可能な低消費電力かつ広視野角の高速応答性液晶表示装置が得られる。また、それぞれの微小領域が遮光部内に形成されているので、転移の起点におけるディスクリネーション領域を遮光部で隠すことができる。また、本発明によれば、基板表面に高い密度で微細構造体を形成するなど、プロセスを煩雑・高コストにすることなくパネル全面にベンド転移が速やかに起こり易い液晶表示装置を得ることができる。また、消費電力を上げることなく携帯用機器に適した液晶表示装置を実現することができる。
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態で説明した数値や材質、液晶表示装置の構成などについては特に制限はない。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
本発明の実施の形態に係る液晶表示装置の概略構成を示す分解斜視図である。 図1に示す液晶表示装置の断面図である。 図1に示す液晶表示装置のアクティブマトリクス基板を示す拡大図である。 本発明の実施の形態に係る液晶表示装置の配向処理を説明するための図である。 (a)〜(e)は、本発明の実施の形態に係る液晶表示装置の配向制御層における配向状態を説明するための図である。 図1に示す液晶表示装置における配向方向と配線との間の関係を示す図である。 実施例1に係る液晶表示装置の配向制御層における配向状態を示す図である。 (a)は、本発明の実施の形態に係る液晶表示装置の製造方法において使用する配向処理装置を示す概略図であり、(b)は、(a)のH部の拡大図である。 実施例2に係る液晶表示装置の配向制御層における配向状態を示す図である。 ベンド転移の起点の密度と転移時間の関係を説明するための図である。 ベンド転移の起点の密度と転移時間の関係を説明するための図である。 比較例の液晶表示装置の配向制御層の配向処理を説明するための図である。
符号の説明
3,4 基板
5 液晶層
11 TFT
12 ゲート電極
13 ゲート絶縁膜
14 半導体層
15 ソース電極
16 ドレイン電極
17 絶縁層
18 走査線
19 信号線
22 画素電極
23,24 配向制御層
25 ブラックマトリクス層
26R,26G カラーフィルタ層
27 対向電極

Claims (7)

  1. 電極と配向制御層とがそれぞれ配置された一対の基板間に正の誘電異方性を有する液晶層が挟持された液晶表示装置であって、少なくとも初期に前記配向制御層の近傍で、前記液晶層中の液晶分子が前記一対の基板に関して、それぞれ互いに逆方向のプレティルト角を有しており、スプレイ配列からベンド配列への転移が、電圧印加時に液晶分子のねじれ配列が互いに異なるねじれ構造を経由するような表面配向処理が前記配向制御層に施されており、前記転移の起点が所定の配置密度でパネル全面内に複数個形成された微小領域であり、前記それぞれの微小領域が遮光部内に形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記それぞれの微小幅の領域が、アクティブマトリクス基板上に形成されていることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
  3. 前記一対の基板の外側に、少なくとも1枚の偏光板及び複数の位相差板が積層されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の液晶表示装置。
  4. 電極及び配向制御層を有する第1基板及び第2基板を準備する工程と、少なくとも初期に前記第2基板の前記配向制御層の近傍で、前記液晶層中の液晶分子が前記第1及び第2基板に関して、それぞれ互いに逆方向のプレティルト角を有しており、スプレイ配列からベンド配列への転移が、電圧印加時に液晶分子のねじれ配列が互いに異なるねじれ構造を経由するような表面配向処理を前記配向制御層に対して施す工程と、前記転移の起点が生じる微小領域が遮光部内に形成されるようにして、前記第1及び第2基板を前記電極と前記配向制御層とが対向するように配置し、前記第1基板と前記第2基板との間に液晶層を設ける工程と、を具備することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  5. 前記表面配向処理は、前記配向制御層に対して、第1の方向に均一に第1配向処理を行う工程と、前記第1配向処理の後に、前記配向制御層における微小幅の領域に対して、前記第1の方向に対して略直交する第2の方向に及び前記第1の方向と逆の第3の方向に、第2配向処理を行う工程と、前記第1及び第2配向処理を施した配向制御層を有する基板に対向する基板の配向制御層に対して、前記第1の方向と略同じ方向の第3配向処理を行う工程と、を含むことを特徴とする請求項4記載の液晶表示装置の製造方法。
  6. 前記第1の方向に対して、前記第2の方向が、約90°±20°の範囲であることを特徴とする請求項4又は請求項5記載の液晶表示装置の製造方法。
  7. 前記第1及び第2配向処理された前記配向制御層上の配向規制力が、第1の方向>第2及び/又は第3の方向になるように制御されることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の液晶表示装置の製造方法。
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