以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。先ず、図1乃至図2を参照して実施形態に係るパチンコ機の全体構成について説明する。図1は、パチンコ機を示す正面図である。図2は、本体枠及び前面枠を開放した状態のパチンコ機を示す斜視図である。
図1に示すように、遊技機としてのパチンコ機1は、外枠2、本体枠3、遊技盤4、前面枠5等を備えて構成されている。外枠2は、上下左右の枠材によって縦長四角形の枠状に形成され、外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6を有している。外枠2の前面一側には、ヒンジ機構7によって本体枠3が前方に開閉可能に装着されている。また、本体枠3は、前枠体8、遊技盤装着枠9、及び機構装着枠10を合成樹脂材によって一体成形することで構成されている。本体枠3の前側に形成された前枠体8は、外枠2前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠状に形成されている。なお、本実施形態では、パチンコ機1の正面を視認する視線方向を前側(前面側)とし、これとは反対側(例えば、前枠体8に対する本体枠3側)を後側(背面側)とする。
また、本体枠3は、合成樹脂材によって一体に形成されると共に、前面側に遊技盤装着枠9が背面側に機構装着枠10がそれぞれ形成されている。これによって、合成樹脂製の本体枠3は、従来の前枠(内枠、前面枠等と呼ばれることがある)と、機構板(裏機構板、裏セット板等と呼ばれることがある)との機能を兼ね備えている。
前枠体8の後部に一体的に形成された遊技盤装着枠9には、遊技盤4が前方から着脱交換可能に装着されるようになっている。また、遊技盤装着枠9の左側部には、係合突部9aが上下に2つ形成され、遊技盤装着枠9の右側部には、係合凹部(図示しない)が上下に2つ形成されている。また、遊技盤4の盤面(前面)の左側部には係合突部9aと対応する係止穴4e(図4参照)が上下に2つ形成され、遊技盤4の盤面の右側部には係合凹部と対応する係合フック4cが上下に2つ形成されている。係合フック4cは、遊技盤4と遊技盤装着枠9とを係脱可能に係止する。
さらに、遊技盤4の左下部には、係止フック9bが形成され、遊技盤装着枠9の左下部には係止フック9bと対応する付勢ロック部(図示しない)が設けられている。遊技盤4を遊技盤装着枠9に装着した場合には付勢ロック部が係止フック9bを下方に付勢して係止する。なお、付勢ロック部によって係止フック9bを下方に付勢することにより遊技盤4に下方への付勢力を作用しつつ係止することができる。これにより遊技盤4が遊技盤装着枠9の下縁部と密着して下方に押圧固定される。
また、遊技盤4の盤面には、外レールと内レールとを備えた案内レール11が設けられている。また、遊技盤装着枠9よりも下方に位置する前枠体8の前側下部の一側寄りには、下部スピーカ14が装着されている。また、前枠体8前面の下部領域内の上側部分には、遊技盤4の発射通路に向けて遊技球を導く発射レール15が傾斜状に装着されている。一方、前枠体8前面の下部領域内の下側部分には、下前面部材16が装着されている。下前面部材16前面のほぼ中央には、下皿17が設けられ、片側寄りには操作ハンドル18が設けられている。
また、図2に示すように、本体枠3(前枠体8)のヒンジ機構7が設けられる側とは反対側となる開放側の後面には、外枠2に対して本体枠3を施錠する機能と、本体枠3に対して前面枠5を施錠する機能とを兼ね備えた施錠装置19が装着されている。施錠装置19は、外枠2に設けられた閉止具20に係脱可能に係合して本体枠3を閉鎖状態に施錠する上下複数の本体枠施錠フック21と、前面枠5の開放側の後面に設けられた閉止具22に係脱可能に係合して前面枠5を閉鎖状態に施錠する上下複数の扉施錠フック23とを備えている。
しかして、シリンダー錠24の鍵穴に鍵が挿入されて一方向に回動操作されることで、本体枠施錠フック21と外枠2の閉止具20との係合が解除されて本体枠3が解錠され、これとは逆方向に鍵が回動操作されることで、扉施錠フック23と前面枠5の閉止具22との係合が解除されて前面枠5が解錠されるようになっている。なお、シリンダー錠24の前端部は、パチンコ機1の前方から鍵を挿入して解錠操作が行えるように、前枠体8及び下前面部材16を貫通して下前面部材16の前面に露出して配置されている。
なお、本実施例では、時計回り方向に鍵を回動操作することで外枠2に対して本体枠3が解錠され、反時計回り方向に鍵を解錠操作することで本体枠3に対して前面枠5が解錠される。このように、回動操作の方向を異ならせるだけで、本体枠3又は前面枠5のいずれかを解錠させることができる。また、施錠装置19は、本体枠3を閉塞状態に施錠したときに、鍵以外の外部操作によって本体枠施錠フック21と外枠2の閉止具20との係合が解除されないように本体枠施錠フック21をロックするロック機構をさらに備えている。しかして、本体枠3を閉塞状態に施錠したときには、ロック機構により本体枠施錠フック21がロックされる。また、本体枠施錠フック21よりも外枠2と本体枠3(前面枠8)との間隙に近い側(図2において右側方)にリブが突設形成され、当該リブにより本体枠施錠フック21が外枠2と本体枠3(前面枠8)との間隙から針金等を差し込んで直接本体枠施錠フック21を操作しようとしてもリブに当接する。従って、外枠2と本体枠3(前面枠3)との間隙から針金等により本体枠3を不正に解錠する不正行為を防止することができる。
本体枠3前面の一側には、ヒンジ機構25によって前面枠5が前方に開閉可能に装着されている。前面枠5は、扉本体フレーム26、上皿28、及び操作ボタン18a(操作手段)を備えて構成されている。扉本体フレーム26は、プレス加工された金属製フレーム部材によって構成され、前枠体8の上端から下前面部材16の上縁に亘る部分を覆う大きさに形成されている。扉本体フレーム26のほぼ中央には、後述する遊技盤4の遊技領域12を前方から透視可能なほぼ円形状の開口窓30が形成されている。また、扉本体フレーム26の後側には、開口窓30よりも大きい矩形枠状をなす窓枠31が設けられ、該窓枠31には、透明板32が装着されている。
なお、本実施例では、遊技盤4の下方にシリンダー錠24を配置し、遊技盤4の右方に配置された施錠装置19を薄型化することで、遊技盤4に形成された遊技領域12の面積を従来よりも拡大することができ、遊技者の視認に対する興趣を高めることができる。また、遊技領域12を拡大することで、遊技領域12の中央部分に後述する球誘導装飾体66が配置されても、該球誘導装飾体66の下方に配置された可変入賞装置に遊技球を誘導し難いとの印象を与えることがない。また、遊技領域12の拡大に合わせて前面枠8の開口窓30も拡大され、該前面枠8の剛性が低下することとなるが、上皿28を一体的に構成する前面枠8とすることで、前面枠8の剛性の低下を抑制している。
扉本体フレーム26の前側には、開口窓30の周囲において、下部に上皿28が前面枠8と一体的に設けられ、左右両側部に枠ランプ27が、上部に上部スピーカ29が装着されている。また、上皿28の左片側寄りには、操作ボタン18aが配設されている。なお、枠ランプ27は、後述する液晶表示器50(図柄表示手段、画像表示手段)にて実行される演出の演出態様に応じて点灯・消灯制御され、上部スピーカ29及び上述した下部スピーカ14は、液晶表示器50にて実行される演出の演出態様に応じて複数種類の音出力態様の音出力制御が実行される。このように、液晶表示器50にて実行される演出に同期して枠ランプ27の点灯・消灯制御、上部スピーカ29及び下部スピーカ14の音出力制御、を実行することにより演出効果を高め、遊技者の興趣を向上させるためのものである。また、上部スピーカ29及び下部スピーカ14では、不正行為が実行されたことを報知する警告音、遊技に関するエラー状態が発生したことを報知する情報音、等の出力も行われる。
次に、本体枠3の裏面構成について説明すると、図3に示すように、本体枠3の裏面上側には、遊技島に設置される球揚送装置から供給される遊技球を貯留する球タンク140と、球タンク140と払出装置109とを接続し、球タンクに貯留される遊技球を流下せしめるタンクレール141と、が配置されている。なお、タンクレール141によって球タンク140と接続される払出装置109は、ユニット状に形成され、タンクレール141からの遊技球を受け入れて遊技球の払い出しを指示する信号に基づいて所定個数の遊技球を払い出す。
また、タンクレール141の下方には、基板等が内蔵される基板保護カバー142が設けられている。なお、基板保護カバー142は、タンクレール141から落下した球によってこれら基板類が損傷するのを防止すると共に、各基板への不正行為を防止する役割を担っている。また、基板保護カバー142は、パチンコ機1の背面側に張り出しており、その下方に主制御基板201が配置されている。また、主制御基板201の遊技盤4背面側にはサブ統合基板211(図7参照)が配置されている。しかして、主制御基板201及びサブ統合基板211の上方がパチンコ機1の背面側に張り出した基板保護カバー142によって覆われ、タンクレール141から落下した球によって主制御基板201及びサブ統合基板211が損傷するのを防止している。
また、本体枠3の裏面下側一側に発射装置235が取り付けられている。この発射装置235は、発射レール15に送られた球を発射する発射ハンマーと、発射ハンマーに往復回動動作を付与する発射モータ等を集約して設けることにより構成され、操作ハンドル18と関連付けられている。また、発射装置235の右側方には、払出基板205が設けられている。払出基板205は、主制御基板201からの遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを受信したことに基づいて払出装置209を駆動制御する。
図4は、遊技盤4を単独で示している。遊技盤4は、その前面(盤面)にて遊技領域12を形成し、この遊技領域12内で遊技球を流下させながら遊技を進行させる役割を担う。通常、パチンコ遊技機1における遊技は、遊技領域12内で遊技球が各種入賞口に入賞することにもとづいて内部判定(大当り判定)が行われたり、あるいは賞球の払い出しが行われたりしながら進行する。
遊技盤4は矩形状に成型された遊技板4aを有しており、遊技板4aの表面に円形状の遊技領域12が形成されている。また遊技板4aは、その前面が図示しないセル板を貼着することで装飾されており、さらに遊技領域12を取り囲む上下左右および四隅はパネル装飾体4dによって装飾されている。パネル装飾体4dは装飾としての機能の他に、上記の案内レール11や係合フック4c等を支持する機能をも有している。またパネル装飾体4dの左側縁部には、遊技盤装着枠9の係合突部9aを係止させるため上下2つの係止穴4eが形成されている。
遊技領域12には、遊技の進行に必要な各種構成要素の他に、演出用の各種構成要素が配置されている。すなわち、遊技領域12には多数の傷害釘や風車(図示しない)が適宜の配列で設置されており、発射された遊技球は傷害釘や風車等に誘導されながら遊技領域12内を流下する。また遊技領域12の中央部分から上半分には、ひときわ大きく目を引く球誘導装飾体66が配置されている。球誘導装飾体66は遊技板4aの表面(盤面)から前面側に突出して配置されており、その上縁部および左右側縁部に沿って遊技球を案内することで、遊技球の流下方向に変化を与えることができる。なお、球誘導装飾体66についてはさらに後述する。
遊技領域12の下半分には、その中央に上始動口68および下始動口70が上下に並んで配置されている。本実施形態では、下始動口70に電動チューリップ式の可変入賞装置が適用されており、下始動口70には、図中に実線で示されるように2つの可動片70aが左右に開いた状態にあるときだけ遊技球が入賞可能となる。
また遊技領域12の下部分には、下始動口70よりも下方に大入賞口72が設置されている。本実施形態では、大入賞口72に前後開閉式の条件作動装置が適用されており、大入賞口72には、図示のように開閉部材72aが前面側へ開いた状態にあるときだけ遊技球が入賞可能となる。
その他、遊技領域12の下部分には、左右で一対をなすように2つの通過ゲート74が配置されている。また、遊技領域12の下部分には、大入賞口72の両側に2つずつ普通入賞口76が設置されており、これら4つの普通入賞口76は、遊技領域12の下縁部に沿って円弧を描くようにして配置されている。
球誘導装飾体66は全体として横長の額縁状に成型されており、その内側部分が中空となっている。前面側からみて、球誘導装飾体66の内側部分は演出領域(画像の表示や可動体の動作等の演出が行われる領域)として構成されており、球誘導装飾体66は演出領域の周囲を装飾するように配置されている。なお、演出領域や表示装置(液晶表示ユニット)、可動体等については後述する。
球誘導装飾体66には、全体としてパチンコ遊技機1の機種ないしそのゲームコンセプトに基づくデザインが施されている。本実施形態のパチンコ遊技機1では、ある有名な女性歌手をイメージキャラクターとしたゲームコンセプトが採用されており、球誘導装飾体66に施された造形には、その女性歌手自身の持つ流麗で豪華なイメージや、その持ち唄(各種の歌謡ヒット曲、恋愛歌)の持つ繊細なイメージを表現したデザインコンセプトが反映されている。
具体的には、先ず球誘導装飾体66の上縁部に目をやると、その中央位置に宝石状の頂部装飾体66aが配置されている。この頂部装飾体66aは、多面体カットが施された紫水晶(アメジスト)を象ったものであり、その周囲には宝石を支える金台を象った上部装飾体66bが配置されている。上部装飾体66bには微細な立体紋様が形成されており、その表面には光沢のあるクロムめっきが施されている。このため上部装飾体66bは、その微細な造形と金属的な光沢によって、宝石としての頂部装飾体66aを視覚的に引き立てている。
また球誘導装飾体66の左右の両側縁部には、左右で対をなすようにサイド装飾体66cが配置されている。これらサイド装飾体66cは架空動物(中国古代の瑞鳥)である「鳳凰」を象ったものであり、これら左右のサイド装飾体66cは、まさに「鳳凰」がこれから上空へ向かって飛翔しようとする姿を躍動的に表現したものとなっている。左右のサイド装飾体66cの表面には金めっき加工が施されており、その金色の光沢が視覚的に豪華で神秘的な雰囲気を醸し出している。
球誘導装飾体66の内縁(内周部分)には、上縁部から左右の内縁部および下縁部にかけて長く延びた内縁装飾体66dが配置されている。これら内縁装飾体66dは、中央位置の上部装飾体66bの両側から左右の斜め下方に延びた後、奥側へ湾曲するようにして成形されており、そして左右の内縁部の上端位置から下端位置を通り、さらに下縁部まで延びている。図4ではサイド装飾体66cの背後に隠れているが、内縁装飾体66dは左右の内縁部にて保護板120の前面に近接した位置を下方に延び、そして、下方に向かうにつれてサイド装飾体66cの後方から前方へせり出してくるように湾曲している。さらに左右の内縁装飾体66dは、サイド装飾体66cの下端(「鳳凰」の尾の先端に相当する部分)の近傍から下縁部の前面側に露出し、そのまま下縁部の前面を中央付近まで延びている。これら左右の内縁装飾体66dもまた、上部装飾体66bと同様にクロムめっき加工が施されており、このため左右の内縁装飾体66dには上部装飾体66bとの視覚的な一体感が生じ、遊技者からは、あたかも上部装飾体66bと左右の内縁装飾体66dが一続きに成形されているかのように視認される。
また球誘導装飾体66の下縁部には、その内縁に沿って下部装飾体67が設置されている。この下部装飾体67は、球誘導装飾体66の下縁部と保護板120との間を塞ぐようにして配置されている。下部装飾体67には、全体として周縁装飾部材122(図5参照)とデザイン上の統一感がある造形が施されているほか、その中央付近には左右で対をなす羽根状の装飾部が形成されている。なお、下部装飾体67の表面にもクロムメッキ加工が施されている。
一方、球誘導装飾体66の上縁部には、上部装飾体66bを中心として左右に広がる上縁装飾体66eが配置されている。この上縁装飾体66eは正面からみて横に並んだ2つ山形状をなしており、また全体としてある程度の奥行き(厚み)を有している。上縁装飾体66eの前面には、宝石を配列したような微細な立体的造形が施されており、その表面には全体的に金めっき加工が施されている。このため、上部装飾体66bおよび内縁装飾体66dの金属的な光沢と、隣接する上縁装飾体66eの金色の光沢とがきらびやかなコントラストをなし、そこには視覚的な高級感やゴージャスな雰囲気が醸し出されている。
発光領域64a,64bは、中央の上部装飾体66bを中心として左右対称の位置に配列されている。このうち、上位に並んだ4つの発光領域64aは、パチンコ遊技機1において特別図柄を表示するものとして機能する。特別図柄は、パチンコ遊技機1において特別図柄判定(大当り判定)が行われ、その当落の結果が出たということを外部に向けて表示する情報(判定情報)となる。すなわち、パチンコ遊技機1における通常遊技状態(大当り遊技でない状態)で上始動口68または下始動口70への入賞があると、それを契機に4つの発光領域67aがいろいろなパターンや発光色で点滅動作を開始し、これにより特別図柄の変動状態が表示される。このような特別図柄の変動開始(いわゆる「始動」)により、遊技者は大当り判定が行われたこと(あるいは、これから判定の結果が出ること)を認識することができる。この後、ある程度の時間が経過すると発光領域64aの点滅動作が停止し、そのときの判定結果(当落結果)を表示する態様で特別図柄が停止表示される。特別図柄の停止表示の態様について、簡易な例では4つの発光領域64aが全て同色で点灯していれば当選(大当り)を表し、4つの発光領域64aのいずれか1つでも点灯色が違っているか、もしくは消灯していれば落選を表すといった態様が挙げられる(ただし、これら以外の態様もある。)。これにより、遊技者は大当り判定に当選したか否かを視覚的に認識することができる。
反対に、下位に並んだ4つの発光領域64bは、パチンコ遊技機1において保留(始動記憶)ランプとして機能する。これら4つの発光領域64bは、そのとき発光(点灯)している個数によって特別図柄の始動記憶数(1〜4の保留球数)を表すことができる。具体的には、遊技中に上始動口68または下始動口70への入賞があると、これを契機として特別図柄の始動条件が記憶され、この状態で特別図柄が変動表示中であれば、最も左に位置する発光領域64bが発光(点灯)して始動記憶数(保留球数)が1であることが表示される。一方、始動条件が記憶されている状態で、特別図柄が変動していなければ(変動状態から停止表示状態になった場合を含む)、記憶された始動条件に基づいて特別図柄の変動表示が開始される。この場合、始動条件の記憶は消去され、あわせて始動記憶数「1」に対応する発光領域64bの発光が停止(消灯)される。なお、本実施形態では始動記憶数(保留球数)の上限が4であるため、上限に達した場合、それ以上の始動条件は記憶されない。なお、上記の特別図柄および始動記憶数の表示は、それぞれ特別図柄・保留表示LED基板144に実装された特別図柄表示LED144aおよび特図始動記憶LED144bにより行われる。これら特別図柄表示LED144aおよび特図始動記憶LED144bについては後述する。
一方、球誘導装飾体66の上縁部には、上部装飾体66bと左右のサイド装飾体66cとの間をつなぐようにして左右の上隅装飾体66fが配置されている。また球誘導装飾体66の下縁部には、左右のサイド装飾体66cの下方にそれぞれ左右の下隅装飾体66gが配置されている。これら上隅装飾体66fおよび下隅装飾体66gには、「鳳凰」にちなんだ「羽衣」を想起させる立体的な造形が施されており、その波打つような形状が「鳳凰」としてのサイド装飾体66cがこれからまさに飛翔しようとする姿を視覚的に強調している。また、上隅装飾体66fおよび下隅装飾体66gはいずれも光透過性の半透明材料から成形されており、このうち左右の上隅装飾体66fでは、後述するセンター左部上LED基板104またはセンター右部上LED基板106による装飾的な発光動作が行われる。また、左右の下隅装飾体66gでは、後述するセンター左部下LED基板112またはセンター右部下LED基板114による装飾的な発光動作が行われる。
上記のように、球誘導装飾体66はその装飾的な造形やめっき加工によって視覚的な面白みを発揮したり、内蔵されたLEDを光源として各種の発光動作を行ったりする機能を有する。この他に球誘導装飾体66は、遊技領域12内で遊技球の流下を案内し、遊技球の動きに変化を与えることで遊技に面白みを付加する機能を有している。具体的には、球誘導装飾体66の両側縁部には、その内側にワープ通路66hが形成されており、また球誘導装飾体66の下縁部には、その上面にステージ部66iが形成されている。ワープ通路66hは球誘導装飾体66の左右両側から始まって両側縁部の内側を下り、そしてステージ部66iに通じている。さらに球誘導装飾体66の下縁部には、その中央位置に球放出口66jが形成されている。
ワープ通路66hは球誘導装飾体66の両側面にて開口しており、この開口を通じて内部に遊技球を受け入れ可能となっている。左右のワープ通路66hは、サイド装飾体66cの内部を僅かに中央方向に下りながら進むと、そこから奥側(後方)へ向けて折れ曲がり、そして真下方向に少し下った位置で中央方向に集まるようにして湾曲している。左右のワープ通路66hの下端はワープ出口として開口しており、開口から先はそのままステージ部66iにつながっている。また各ワープ通路66h内には、その途中に2つの突起部(図示しない)が段違いに形成されており、各ワープ通路66h内を流下する遊技球は、これら突起部に衝突しながら流下速度を緩和される。そして、遊技球がワープ通路66hの出口から放出されると、その先でステージ部66i上を転動する。
ステージ部66iは、左右のワープ通路66hの間を左右方向に長く延びており、その中央部分が僅かに盛り上がるようにして湾曲している。ステージ部66iの中央位置にはセンター窪み部(図示しない)が形成されており、このセンター窪み部は後方に向けて下り傾斜を有している。センター窪み部の奧で、下部装飾体67の中央位置に球落下穴67dが形成されており、球誘導装飾体66の下縁部には、球落下穴67dから下方に延びる球放出通路(図示しない)が形成されている。球放出通路は球落下穴67dから下方に下った後に前方へ折れ曲がり、そのまま下り傾斜を有したまま前面側の球放出口66jに通じている。
左右のワープ通路66hからステージ部66iに放出された遊技球は、その上面にて左右方向に揺れながら転動する。このうち、中央のセンター窪み部に嵌り込んだ遊技球は、そこから球放出通路を経て、球放出口66jから下方に放出される。球放出口66jから放出された遊技球は、その真下位置にある上始動口68に向けて落下し、相当高い確率で上始動口68に入賞することができる。
これに対し、ステージ部66iの上面にて、左右いずれかの窪み部67bに嵌り込んだ遊技球は、そこから球放出部67fに流下し、そして放出窪み部67cを経て球誘導装飾体66より下方の遊技領域12に落下する。放出窪み部67cはある程度の幅(遊技球が左右に転動できる幅)を有していることから、その落下方向は一定しておらず、あるものは上始動口68に入賞したり、あるものは上始動口68から左右に逸れて入賞しなかったりする。
なお本実施形態では、ステージ部66iや放出部67fは、いずれも遊技板4aの前面より奧、つまり開口部4fの内側に位置している。このため、遊技球が流下する遊技領域12は遊技板4aの表面から開口部4fの内側にまで広がっており、その分だけ遊技球の流下できる範囲が前後方向に拡張され、立体的で多様な遊技球の流下態様が実現されている。また、このように遊技領域12の範囲が開口部4fの内側にまで拡張されていても、本実施形態では保護板120によって遊技板4aより後方への遊技球の落下や飛び込みが確実に防止されている。
可動体124は非作動時に左右で4つずつのグループに分かれ、遊技者から視認されない位置(遊技板4aの背後で開口部4fよりも下方の位置)に隠れて待機している。そして作動時に個々の可動体124はそれぞれ角度の異なる作動位置まで変位し、全体として扇を象るようにして配置される。なお、個々の可動体124の表面には「鳳凰の羽根」を象った緻密な造形が施されており、これにより球誘導装飾体66のデザインとの統一が図られている。
この状態を遊技者の視点からみると、先ず最も手前側に球誘導装飾体66の装飾面(前面)が位置し、これより少し奧の位置に遊技球が左右方向に揺れ動くステージ部66iや内縁部の装飾面が位置し、次に保護板120を挟んで奧の空間部内に可動体124が位置し、そして可動体124よりもさらに奧に液晶表示ユニット150の表示画面が位置することになる。したがって、遊技者が最も奧の表示画面に視線を送るとき、その手前側に空間部や可動体124、保護板120、球誘導装飾体66の装飾面やステージ部66i等を視界の中に認めることとなり、これらの前後方向への重なりによって視覚的な奥行き感や立体感が強調される。
球誘導装飾体66の他に、遊技領域12の下縁部には左右で対をなすサイド装飾部材82が設置されている。4つの普通入賞口76のうち、右上および左上に位置する普通入賞口76はサイド装飾部材82と一体に形成されている。またサイド装飾部材82には、球誘導装飾体66のデザインコンセプトと統一感のあるデザインが施されている。なお本実施形態では、下始動口70を構成する可変入賞装置や、右下および左下に位置する普通入賞口76にも装飾的な造形が施されており、そのデザインには球誘導装飾体66やサイド装飾部材82のデザインとの統一が図られている。
左側のサイド装飾体82の上部には、2つの発光領域82aと4つの発光領域82bとが左右方向に配列されている。このうち、右側に並んだ2つの発光領域82aは、パチンコ遊技機1において普通図柄を表示するものとして機能する。普通図柄は、パチンコ遊技機1において普通図柄判定が行われ、その当落の結果が出たということを外部に向けて表示する情報(判定情報)となる。また、左側に並んだ4つの発光領域82bは、パチンコ遊技機1において普通図柄の保留(始動記憶)ランプとして機能する。これら4つの発光領域82bは、そのとき発光(点灯)している個数によって普通図柄の始動記憶数(1〜4の保留球数)を表すことができる。なお、上記の普通図柄および始動記憶数の表示は、それぞれ普通図柄・保留表示LED基板146に実装された普通図柄表示LED146aおよび普図始動記憶LED146bにより行われる。これら普通図柄表示LED146aおよび普図始動記憶LED146bについては後述する。
また、右側のサイド装飾体82の上部には、2つの発光領域82cと4つの発光領域82dとが左右方向に配列されている。このうち、左側に並んだ2つの発光領域82cは、そのときいずれの発光領域82cが発光(点灯)しているかによって大当り遊技状態の種類に関する情報を表すことができる。また、右側に並んだ4つの発光領域82dは、そのときいずれの発光領域82dの組み合わせが発光(点灯)しているかによって確率変動状態中等の遊技状態に関する情報を表すことができる。なお、これら遊技状態の表示は、状態表示LED基板148に実装されたラウンド表示LED148aおよび状態表示LED148bにより行われる。これらラウンド表示LED148aおよび状態表示LED148bについても後述する。
図5は、遊技盤4を構成部品に分けた状態で示している。上記のように、遊技板4aの前面には各種入賞口等の他に球誘導装飾体66やサイド装飾部材82等の装飾部品が取り付けられているが、遊技板4aには、これら装飾部品の取付位置にそれぞれ開口部4f,4gが形成されている。開口部4f,4gは遊技板4aを前後方向(厚み方向)に貫通して形成されており、このうち中央に大きく形成された開口部4fの開口縁形状は球誘導装飾体66の外形に対応し、また左右に対をなして形成された開口部4gの開口縁形状は左右のサイド装飾部材82の外形に対応している。球誘導装飾体66および左右のサイド装飾部材82は、いずれも前面側から各開口部4f,4gに嵌め込んだ状態で遊技板4aに取り付けられる。
一方、遊技板4aの背面には大型の背面取付ユニット100が取り付けられている。この背面取付ユニット100は、遊技領域12内での演出動作に関する全ての電装品を1つに集合させたユニットとして構成されている。ここでいう演出動作には、例えば画像の表示や各種の発光動作、可動体の動作等が含まれる。本実施形態において、背面取付ユニット100は上記の球誘導装飾体66とともにパチンコ遊技機1の演出動作を行う構成要素である。以下、本実施形態において球誘導装飾体66と背面取付ユニット100とを総称して演出装置(図中参照符号400)と呼ぶものとする。
演出装置400を構成する球誘導装飾体66は、遊技板4aの前面側から開口部4fに嵌め込むようにして取り付けられている。これに対し、演出装置400のもう1つの構成要素である背面取付ユニット100は、遊技板4aの背面側に取り付けられた状態で3つの開口部4f,4gを背面側から覆うだけの大きさを有している。すなわち、背面取付ユニット100には、球誘導装飾体66において演出動作を行うために必要な電装品だけでなく、左右のサイド装飾部材82において演出動作(発光)を行うために必要な電装品が装備されている。
背面取付ユニット100は大きく分けて2つのパーツから構成されており、具体的には上側のアッパーパーツ100aおよび下側のロワーパーツ100bを有する。このうちアッパーパーツ100aは球誘導装飾体66に対応する電装品が組み込まれた部分であり、一方のロワーパーツ100bは左右のサイド装飾部材82に対応する電装品が組み込まれた部分となっている。
アッパーパーツ100aは球誘導装飾体66の外形に合わせて横長の矩形に成型されており、その上縁部にセンター上LED基板102が設置されているほか、左右の上隅位置にそれぞれセンター左部上LED基板104、センター右部上LED基板106が設置されている。またアッパーパーツ100aの左右の側縁部には、それぞれセンター左部中LED基板108、センター右部中LED基板110が設置されている。さらにアッパーパーツ100aの左右の下隅部には、それぞれセンター左部下LED基板112、センター右部下LED基板114が設置されている。そしてアッパーパーツ100aの下縁部の中央位置には、センター下LED基板116が設置されている。これらLED基板は球誘導装飾体66の背後から前方または側方に向けて光を発することで、球誘導装飾体66の発光領域を装飾的に発光させることができる。また、センター下LED基板116には、保護板120の後方で上向きに光を発するLEDが実装されており、これら上向きのLEDから発せられた光は、表示画面の前面側で可動体124を照射する。
アッパーパーツ100aの中央位置には、透明な保護板120が設置されている。保護板120は横長の矩形状をなし、アッパーパーツ100aに対してその前面側から嵌め込むようにして取り付けられている。上記のセンター左部下LED基板112やセンター右部下LED基板114、センター下LED基板116は、アッパーパーツ100a内にて保護板120の背面側に設置されている。また、センター左部上LED基板104およびセンター右部上LED基板106は、その下側の一部分が保護板120の背面側に位置している。
なお、左右側縁部に位置するセンター左部中LED基板108およびセンター右部中LED基板110は保護板120の両外側にあり、それぞれの実装面が保護板120に対して垂直となる姿勢でアッパーパーツ100aに取り付けられている。この状態で、センター左部中LED基板108およびセンター右部中LED基板110に実装されているLEDが互いに中央を向き合うようにして位置付けられている。また、これらLEDから発せられた光は、その一部がエッジライトとして保護板120の両側端面から保護板120の透明材料に導入され、内部を全反射しながら導かれる。このため本実施形態では、透明な保護板120が導光板としての機能をも有している。
アッパーパーツ100aの内側には、保護板120よりも背後の位置に四角枠形状の周縁装飾部材122が設置されている。周縁装飾部材122は、保護板120の上下左右の周縁部に沿うようにして配置されており、前面側からは透明な保護板120を透過して視認可能である。
またアッパーパーツ100aの下縁部には、保護板120より背後の位置に左右の可動体124が設置されている。左右の可動体124は細長い板状部材から成型されており、アッパーパーツ100aの内側には、このような板状の可動体124が左右でそれぞれ前後方向に4枚ずつ重ね合わせられた状態で収容されている。なお左右の可動体124は中央位置から左右対称に斜め下方へ垂れ下がったような姿勢を保持している。
また、アッパーパーツ100aの下縁部には、保護板120の下方位置に可動体駆動部モータ126が設置されているほか、ギヤボックスからなる可動体駆動部128が設置されている。可動体駆動部モータ126は、可動体124を作動させる駆動源となり、また可動体駆動部128は、可動体駆動部モータ126の駆動力を各可動体124に伝達し、実際に可動体124を予め決められた態様で作動させる機能を有する。
また可動体駆動部128には、可動体モータセンサ234(図9に符号のみ記載)が内蔵されている。可動体モータセンサ234は透過式のフォトスイッチからなり、この可動体モータセンサ234により、可動体駆動部モータ126の作動時における可動体124の位置を検出可能となっている。
もう一方のロワーパーツ100bは、ちょうどアッパーパーツ100aの下側にぶら下がるようにして連結されており、その全体的な外形がアルファベットのW字形状をなしている。すなわち、ロワーパーツ100bの左右両側部分は上方へ拡開するようにして延びており、一方、左右両側部分の間をつなぐ連結部分は、その中央位置が僅かに上方へ山形に盛り上がっている。これにより、ロワーパーツ100bを全体としてみるとW字形状をなしていることがわかる。
ロワーパーツ100bの左右両側部分には、それぞれサイドLED基板130が設置されている。これらサイドLED基板130は、左右のサイド装飾部材82の背後から前方に向けて光を発することで、各サイド装飾部材82の発光領域を装飾的に発光させることができる。
本実施形態では、パチンコ遊技機1において行われる内部判定(特別図柄判定、普通図柄判定等)に関する情報が多色または単色のLEDを用いて表示されるものとなっており、そのための電装品として各種のLED基板が背面取付ユニット100に設置されている。
先ずアッパーパーツ100aの上縁部には、センター上LED基板102の後方に特別図柄・保留表示LED基板144(図9に符号のみ記載)が設置されている。この特別図柄・保留表示LED基板144には、4つの特図表示LED144aおよび4つの特図始動記憶LED144bが実装されている。例えば、パチンコ遊技機1において内部的な判定(大当りを決める判定)が行われると、これら特別図柄表示LED144aや特図始動記憶LED144bが決まったパターンで点灯または点滅(あるいは消灯)し、判定に関する情報を表示するものとなっている。
次に、ロワーパーツ100bの左側部分には、その上部位置に普通図柄・保留表示LED基板146が設置されている。この普通図柄・保留表示LED基板146には、2つの普図表示LED146aおよび4つの普図始動記憶LED146bが実装されている。上記の大当り判定とはべつの普通図柄判定が行われると、普図表示LED146aや普図始動記憶LED146bが決まったパターンで点灯または点滅(あるいは消灯)し、判定に関する情報を表示するものとなっている。
また、ロワーパーツ100bの右側部分には、その上部位置に状態表示LED基板148が設置されている。この状態表示LED基板148には、2つのラウンド表示LED148aおよび4つの状態表示LED148bが実装されている。上記の大当り判定で当選し、大当りになるとラウンド表示LED148aや状態表示LED148bが決まったパターンで点灯または点滅(あるいは消灯)し、大当り中や確率変動中等の遊技状態に関する情報を表示するものとなっている。
このように、本実施形態では演出装置400において各種の発光動作(装飾的な発光の他に、遊技者の利益に関わる判定情報の表示を含む)を行って遊技者の興趣を高めたり、遊技者の利益に関わる情報を提供したりしているが、特に本実施形態では、遊技板4aの前面側に取り付けられる球誘導装飾体66に多数の発光領域が設けられているにもかかわらず、その発光源となるLED基板は全て遊技板4aの背面側(背面取付ユニット100)に設けられている。このため、演出装置400の動作に必要なLED基板や電気配線を全て背面取付ユニット100に収容することができ、球誘導装飾体66にはLED基板や電気配線を別に設ける必要がない。
図6は、背面取付ユニット100を構成要素に分けた状態で示している。背面取付ユニット100には、アッパーパーツ100aの背面側に液晶表示ユニット150が組み付けられるものとなっている。液晶表示ユニット150は、表示制御基板220と液晶表示器(LCDモジュール)50とが一体化されて構成されており、表示制御基板220は、基板ボックス150aに収容された状態で液晶表示器50の背面に設置されている。また本実施形態では、基板ボックス150aの背面に放熱または冷却用のファン150bが設置されている。
ロワーパーツ100b(連結部分)の背面側にはパネル中継端子板151が設置されている。このパネル中継端子板151には、上記の特別図柄・保留表示LED基板144や普通図柄・保留表示LED基板146、状態表示LED基板148にそれぞれ対応するハーネスが1箇所に集合した状態で接続されており、各LED基板は、パネル中継端子板151を経由して主制御基板201に接続されるものとなっている。
液晶表示ユニット150を支持するため、アッパーパーツ100aの背面側には、その下縁部に受け部100cが形成されているほか、背面側からみて左側縁部に2つの係止部100dが形成されており、さらに右側縁部には上下スライド式のロック部材100eが設置されている。またアッパーパーツ100aの背面は、平坦な受け面として形成されており、液晶表示ユニット150がアッパーパーツ100aに対して背面側から組み付けられると、その受け面に液晶表示ユニット150の表示画面がぴったり密着する関係にある。また、合わせて周縁装飾部材122の後端が液晶表示ユニット150の前面に接触し、液晶表示ユニット150を受け止める受け部材としての機能を果たす。
図6には示されていないが、基板ボックス150aの左側縁部には2つの係止部100dに対応して突起部が形成されており、液晶表示ユニット150がアッパーパーツ100aに組み付けられると、2つの係止部100dにそれぞれ突起部が入り込んだ状態で、液晶表示ユニット150がアッパーパーツ100aに係止される。また上下方向に関していえば、液晶表示ユニット150の下面はアッパーパーツ100aの受け部100cに支持され、その落下が防止されることになる。また、基板ボックス150aの右側縁部にはロック爪150cが形成されており、液晶表示ユニット150をアッパーパーツ100aの受け面に密着させた状態で上記のロック部材100eを上方へスライドさせると、ロック爪150cを介して液晶表示ユニット150がロックされ、これにより液晶表示ユニット150の後方への脱落が確実に防止される。本実施形態では、このようなロック爪150cおよびロック部材100eを用いて液晶表示ユニット150を係止することにより、背面取付ユニット100に対して液晶表示ユニット150を容易に取り付けることができる。反対に、液晶表示ユニット150を取り外す際はロック部材100eの係止を解除するだけで容易に液晶表示ユニット150の取り外しが可能となる。これにより液晶表示ユニット150の着脱が容易となり、特にパチンコ遊技機1の中でも高価な電装品である液晶表示ユニット150のリサイクルやリユースが容易となる。
上記のように、背面取付ユニット100には各種LED基板をはじめ、可動体駆動部モータ126や液晶表示ユニット150等の演出動作に必要な全ての電装品が装備されているが、これら電装品につながる全ての電気配線(ハーネス類)は、背面取付ユニット100において1箇所にまとめた状態でサブ統合基板201に中継されている。すなわち、背面取付ユニット100にはランプ駆動基板156が装備されており、演出動作を目的とした全ての電装品につながる電気配線は全てランプ駆動基板156に集められ、基板上の中継回路に接続される。なおランプ駆動基板156には、サブ統合基板211に接続するためのコネクタが実装されている。
ランプ駆動基板156は、開閉動作式の基板ケース158に収容された状態で背面取付ユニット100に取り付けられる。基板ケース158はアッパーパーツ100aの背面側にヒンジ158aを介して開閉式の基板ケース158が取り付けられており、このため基板ケース158は、背面取付ユニット100の背面側にて開閉可能となっている。また基板ケース158の上縁部に係止部158bが形成されており、これに対応してアッパーパーツ100aの上縁部に受け部100fが形成されている。図6に示される位置から基板ケース158をアッパーパーツ100aの背面に沿うようにして閉じると、係止部158bが受け部100fに差し込まれて係止される。これにより、基板ケース158が閉位置で係止されることになる。
図6に示されているように、液晶表示ユニット150は、ランプ駆動基板156の基板ケース158を背面側へ開放させた状態で背面取付ユニット100から着脱可能となる。また、液晶表示ユニット150が組み付けられた状態で基板ケース158を閉位置に移動させると、ランプ駆動基板156は液晶表示ユニット150の背面に沿うようにして位置付けられる。なお、ここでいう「開閉」や「開放」、「閉位置」等は、いずれも本実施形態において基板ケース156の前後方向への動きを扉に見立てて表現したものである。厳密にいうと、基板ケース156そのものが何らかの開口や出入口を開閉しているわけではないが、ここでは直感的な理解を容易にするため便宜的に「開閉」等と表現している。以下の説明においても、基板ケース156や制御基板ボックス等の動きについて、扉に見立てた表現を適宜使用するものとする。
図7は、遊技盤4の背面側における背面取付ユニット100の着脱を示している。図示のように、主制御基板ボックス201aとともにサブ統合基板ボックス211aを遊技板4aの後方へ回動させた状態では、後述する下裏誘導部材160の中央部分が大きく後方へ開放されている。したがって、この状態で背面取付ユニット100は単独で遊技板4aに対して容易に着脱可能となっている。
背面取付ユニット100とは別に遊技板4aの背面には、その下縁部の位置に下裏誘導部材160が設置されている。下裏誘導部材160は遊技板4aの幅寸法より僅かに短い横幅を有しており、その両側端部に形成された4本の挿入部160cが遊技板4aに差し込まれた状態で背面側からねじ止めにより固定されている。下裏誘導部材160には、全ての入賞口に入賞した遊技球を誘導するための全入賞球誘導通路160aが形成されており、この全入賞球誘導通路160aには、上記の上始動口68、下始動口70、大入賞口72、普通入賞口76に入賞した遊技球が落下して回収されるものとなっている。図7には詳しく示されていないが、全入賞球誘導通路160aは遊技板4aの背面に沿って幅方向に長く延びており、そして下裏誘導部材160の下端位置で下方に開放されている。なお、全入賞球誘導通路160aから下方に放出された遊技球は本体枠3に形成されている入賞球回収経路を通り、その後、球放出部(図3中、払出基板205の直ぐ下方に位置する)から島設備の回収経路に向けて放出される。
上記のように遊技盤4の背面側には、主制御基板201とともにサブ統合基板211が設置されているが、これら主制御基板201およびサブ統合基板211は、いずれも対応する主制御基板ボックス201aまたはサブ統合基板ボックス211aに収容されている。このうち主制御基板ボックス201aは、背面側からみて左側縁部が上下2箇所のヒンジ部80c(図7には上方1箇所のみ示されている)を介してサブ統合基板ボックス211aの背面側に回動自在に支持されている。
一方のサブ統合基板ボックス211aは、背面側からみて左側縁部が上下2箇所のヒンジ部162bを介して下裏誘導部材160に支持されている。このためサブ統合基板ボックス211aを後方へ開放すると、これと一緒に主制御基板ボックス201aが開放される。本実施形態では、サブ統合基板ボックス211aの右側縁部に係止部162cが形成されており、一方、下裏誘導部材160には係止部162cに対応する受け部160bが形成されている。このためサブ統合基板ボックス211aを遊技板4aの背面に向けて押し込むと、係止部162cが受け部160bに係止され、サブ統合基板ボックス211aが取付位置で固定される。また主制御基板ボックス201aの右側縁部にも係止部80dが形成されており、この係止部80dは、サブ統合基板ボックス211aの係止部162cに係止される。したがって、係止部80dの係止を解除することで、主制御基板ボックス201aがサブ統合基板ボックス211aに対して単独で開閉可能となっている。
下裏誘導部材160の下部には、左右の2箇所に突出部160d,160eが形成されている。これら突出部160d,160eは遊技板4aの後方へ向けて突出しており、このうち一方(図7でみて左側)の突出部160dは、サブ統合基板ボックス211aのヒンジ部162bを受ける部材として利用されている。本実施形態では、遊技盤4を単独で台上や床上に置いたとき、2箇所の突出部160d,160eが遊技盤4の後方で支えとなり、その後方への転倒を防止することができる。これにより、ホールでの盤替え作業時において、遊技盤4を台上や床上に仮置きしておく際の安定性が増し、作業性を向上することができる。なお、このとき突出部160d,160eと合わせてサブ統合基板ボックス212aや主制御基板ボックス201aを支えに利用してもよい。
図8は、遊技板4aに取り付けられる各種構成要素の配置関係を示している。球誘導装飾体66は、遊技板4aの前面側から開口部4fに嵌め込まれた状態で遊技板4aの背面側にまで突出している。これにより遊技者は、遊技板4aの前面から奥行きDだけ入り込んだ位置まで球誘導装飾体66の立体的な装飾形状を視認することができるので、そこに視覚的な奥行きを感じることができる。
一方、背面取付ユニット100は遊技板4aの背面に取り付けられているが、球誘導装飾体66が遊技板4aの背面側に突出している分、上記の保護板120は遊技板4aの背面よりも後方に位置している。なお本実施形態では、背面取付ユニット100が取り付けられた状態で、保護板120の前面がちょうど球誘導装飾体66の後端面に接触するか、もしくは極めて近接する構造となっており、この位置で保護板120は遊技領域12内から後方への遊技球の落下を防止し、その背後にある可動体124や液晶表示ユニット150を保護している。
また保護板120は、遊技板4aの後方で開口部4fの開口面積よりも大きい範囲に広がっているため、保護板120による開口部4fから後方への遊技球の飛び込み防止がより一層確実となる。
保護板120の前面側では、開口部4fの周囲が各種の装飾体(内縁装飾体66d,下部装飾体67等)によって縁取られており、一方、保護板120の後方では、周縁装飾部材122によって液晶表示ユニット150の表示画面が縁取りされているが、前後でこれら縁取りの大きさを比較すると、保護板120の前面側の縁取りに比較して、その後方の周縁装飾部材122による表示画面の縁取りの方が大きくなっている。このため、保護板120の後方で液晶表示ユニット150の表示画面サイズを開口部4fの開口面積よりも大きく確保することができ、それだけ迫力のある演出表示が可能となるし、表示画面の奥行き感が強調される。
また液晶表示ユニット150は、保護板120の後方に間隔Sだけ離れた位置に設けられており、このため保護板120と液晶表示ユニット150の表示画面との間には、前後方向に厚み(間隔S)を有した空間部が形成されている。上記の可動体124はこの空間部内に配置されており、図示のように作動時の位置に変位した状態で、可動体124は液晶表示ユニット150の表示画面を部分的に覆っている。
図9は、パチンコ機1の動作を制御するための構成を概略的に示している。パチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板のグループと周辺基板のグループとで分担されており、このうち主基板のグループが遊技動作(入賞検出や当り判定、特別図柄表示、賞球払出等)を制御しており、周辺基板のグループが演出動作(発光装飾や音響出力、液晶表示等)を制御している。これら基板類は、いずれもパチンコ機1の背面側に設置されており、通常、本体枠3の施錠を解除した上で本体枠3を開放しない限り前面側から視認されたり、操作されたりすることはない。この他にも、パチンコ機1には電源基板や発射制御基板、インタフェース基板(CR機の場合)等が装備されているが、いずれも公知のものを適用できるため、ここでは図示とともに詳細な説明を省略する。
主基板グループは、主制御基板201と払出基板205とから構成されている。主制御基板201は、中央演算装置としてのCPU202をはじめ、読み出し専用メモリとしてのROM203や読み書き可能メモリとしてのRAM204等を備えている。このうちCPU202は、ROM203に格納されている遊技制御プログラムを実行し、この実行に伴いパチンコ機1で行われる各種遊技を制御する。またCPU202は、周辺基板グループや払出基板205に送信するコマンド(演出コマンド、払出コマンド等)を作成する。また、RAM204には、主制御基板201で実行される種々の処理において生成される各種データや入力信号等の情報が一時的に記憶される。
なお、主制御基板201には、始動口スイッチ68a,70b、ゲートスイッチ74b、カウントスイッチ72a、普通入賞口スイッチ76a等が接続されており、主制御基板201には、これらスイッチ類から検出信号が入力される。なお、始動口スイッチ68a,70bを除く全ての電装品(ゲートスイッチ74b、カウントスイッチ72a、普通入賞口スイッチ76a、ソレノイド71a,73a、特別図柄表示LED144a、特図始動記憶LED144b、普通図柄表示LED146a、普図始動記憶LED146b、ラウンド表示LED148a、状態表示LED148b)はパネル中継端子板151を介して主制御基板201に接続されている。
具体的には、ゲートスイッチ74bは遊技領域12内の通過ゲート74に対応して設置されており、遊技球が流下する過程で通過ゲート74を通過すると、その通過がゲートスイッチ74bにより検出され、そして検出信号がパネル中継端子板151を介して主制御基板201に入力される。また、始動口スイッチ68aは上始動口68に対応して設置されており、また始動口スイッチ70aは、下始動口70に対応して設置されている。したがって、遊技球が上始動口68または下始動口70に入賞すると、対応する始動口スイッチ68a,70bから主制御基板201に検出信号が直接入力される。またカウントスイッチ72aは大入賞口72に対応して設置されており、大当り遊技中に大入賞口72に遊技球が入賞すると、カウントスイッチ72aからパネル中継端子板151を介して主制御基板201に検出信号が入力される。そして、普通入賞口スイッチ76aは普通入賞口76に対応して配置されており、遊技球が普通入賞口76に入賞すると、普通入賞口スイッチ76aからパネル中継端子板151を介して主制御基板201に検出信号が入力される。
そして、CPU202は、これら入力された検出信号に応じた処理を実行する。すなわちCPU202は、入力された検出信号に基づいてソレノイド71a,73a、特別図柄表示LED144a、特図始動記憶LED144b、普通図柄表示LED146a、普図始動記憶LED146b、ラウンド表示LED148a、状態表示LED148b等に対し、パネル中継端子板151を介してそれぞれの駆動信号を出力する。さらにCPU202は、入賞に応じた遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを払出基板205に対して出力する。
払出基板205もまた、中央演算装置としての払出CPU206をはじめ読み出し専用メモリとしての払出ROM207や読み書き可能メモリとしての払出RAM208等を備えている。なお、上述した始動口スイッチ68a,70bやカウントスイッチ72a、普通入賞口スイッチ76a等により遊技球の入賞が検出されると、各スイッチから検出信号がパネル中継端子板151を介して主制御基板201に入力される。そして主制御基板201では、入力された検出信号に基づいてCPU202から払出基板205に対して規定個数の遊技球の払い出しを指示する払出コマンドが送信される。そして、払出基板205は、主制御基板201から受けとった払出コマンドを処理し、規定個数分の遊技球の払い出しを実行するべく払出装置209(払出モータ)に対して駆動信号を出力する。この結果、実際に払出装置209によって規定個数分の遊技球の払い出しが行われる。
また払出基板205には、発射モータを備えた発射装置235が接続されており、発射装置235は、発射モータの動力を用いて遊技球を遊技領域12に向けて発射する動作を行うことができる。遊技者が操作ハンドル18を操作(捻り操作)すると、発射装置235の発射モータが駆動され、これにより遊技球が打ち出される。
図9には示されてないが、発射装置235には、遊技者の身体が操作ハンドル18に触れていることを検知するためのタッチセンサが内蔵されている。発射装置235は、遊技者が操作ハンドル18に触れていることが検知されている場合に発射モータを駆動可能な状態となる。そして、この状態で操作ハンドル18が初期の位置から時計回り方向に捻り操作されると、発射装置235は実際に発射モータを駆動して遊技球を発射する。
あるいは、下皿17が満タン、つまり、払い出された遊技球で下皿17が満杯になったことを検出する下皿満タンスイッチを設け、この下皿満タンスイッチからの検出信号が入力されたときに操作ハンドル18の操作を受付不能な状態とする制御を行い、これにより発射装置235による発射モータの駆動を不可能な状態にすることもできる。すなわち、払出装置209から払い出された遊技球はひとまず上皿28に貯留されるが、上皿28に貯留しきれない数の遊技球が払い出された場合には、その貯留しきれない分の遊技球は上皿28と連通した下皿17に貯留される。この状態でさらに払出装置209により遊技球が払い出され、いよいよ下皿17が満タンになると、上記の下皿満タンスイッチから検出信号が出力されるので、これにより操作ハンドル18の操作が受付不能な状態に制御される。またこの場合、下皿満タンスイッチからの検出信号が出力されなくなると、操作ハンドル18の操作を受付可能な状態に復帰する制御が行われる構成としてもよい。
周辺基板グループは、サブ統合基板211やランプ駆動基板156、表示制御基板220等から構成されている。このうちサブ統合基板211は、統合CPU212をはじめ統合ROM213、統合RAM214を備えている。また、サブ統合基板211は、音出力に関する制御を行う音源IC228を備えるほか、音出力に関する読み出し専用メモリとしての音ROM227をも備えている。統合CPU212は、統合ROM213に格納されている演出制御プログラムを実行することにより主制御基板201から受信された演出コマンドに基づく処理を実行する。また、統合RAM214には、サブ統合基板211で実行される種々の処理において生成される各種データや入出力信号、主制御基板201から受信された演出コマンド等の情報が一時的に記憶される。そして、統合CPU212は、RAM214に記憶されている演出コマンドを読み出すと、この読み出した演出コマンドに基づいて表示制御基板220に対して表示コマンドを送信したり、ランプ駆動基板156にランプ点灯信号や駆動信号を送信したり、あるいは、枠ランプ27に駆動信号を出力したりする。またサブ統合基板211は、音源IC228によって演出コマンドに基づく音出力態様を音ROM227から読み出し、この読み出した音出力態様に応じた駆動信号を上部スピーカ29および下部スピーカ14に出力する。また、統合CPU212には、操作ボタン18aの操作に応じて操作信号が入力されたり、リモコン(リモートコントローラー)90の操作(操作信号)に応じて受信部90aから検出信号が入力されたり、あるいは、ランプ駆動基板156を介して可動体モータセンサ234の検出信号が入力されたりする。
リモコン90には、液晶表示器50の演出表示を切替可能なON/OFF操作ボタンが備えられている。リモコン90を管理する遊技場の管理者(店員)によってON/OFF操作ボタンが操作されると、リモコン90から操作信号が送信され、下前面部材16の前面に設けられた受信部90a(図1参照)が操作信号を検出したときに検出信号がサブ統合基板211に入力される。そして、サブ統合基板221では、入力された検出信号にもとづいて統合CPU212から表示制御基板220に対してリモコン90のON/OFF操作ボタンが操作された旨を告知する表示コマンドを送信する。この場合、液晶表示器50の背景画像として通常背景を表示制御しているときには、リモコン90のON操作がなされたと判別し、その旨を液晶表示器50にて告知するとともに、次回の変動表示から特殊背景に移行して表示制御する一方で、背景画像として特殊背景を表示制御しているときには、リモコン90のOFF操作がなされたと判別し、その旨を液晶表示器50にて告知するとともに、次回の変動表示から通常背景に移行して表示制御する。
この実施の形態では、リモコン90と受信部90aとの通信に、比較的近距離(数十cm〜1m程度)での遠隔操作に適した赤外線が用いられている。これにより、遊技場の管理者が目的とするパチンコ機1の前側にて、リモコン90から受信部90aに向けてON/OFF操作ボタンを操作することで、液晶表示器50の演出表示を切替えることができる。なお、この実施の形態では、液晶表示器50の演出表示の切替操作に赤外線通信を用いているが、前面枠5に設けられた操作ボタン18とは異なり遊技場の管理者のみが操作可能であって、遊技者に操作不能であればよく、例えば、赤外線以外の電波や音波を用いた無線通信であってもよい。無線通信として電波を用いた場合、障害物に阻害されることなく受信部90aから離れた場所でも操作信号を送信することができ、また受信部90aが設けられた複数台のパチンコ機1に対して操作信号を同時に送信することもできる。また、本体枠3や遊技盤4の裏面に液晶表示器50の演出表示を切替可能なON/OFF操作ボタンを取り付け、遊技場の管理者がシリンダー錠24に鍵を挿入して解錠されなければON/OFF操作ボタンを操作不能とする構成としてもよい。
また、液晶表示器50の演出表示の切替は、特定の遊技者に対して遊技場の管理者によるサービスとして提供される。遊技者の遊技期間中においては、大当り遊技状態に複数回制御され、多量の遊技球を獲得している遊技者であっても、大当り遊技状態に制御されなかった遊技者と同一の演出表示(ここでは、表示割合の高い通常背景)が繰り返して表示されてしまい、遊技が単調となることがあった。この実施の形態では、多量の遊技球を獲得している遊技者が所定数の遊技球(例えば、5〜10個)との交換によって、遊技場の管理者にリモコン90のON/OFF操作ボタンの操作を依頼できるようにすることで、液晶表示器50にて通常とは異なる演出表示(ここでは、表示割合の非常に低い特殊背景)を表示させることができ、周囲の遊技者に対して優越感を得ることができる。
なお、液晶表示器50の演出表示の切替は、所定数の遊技球との交換に限られず、例えば、遊技場の開店時や特定の日時、あるいは客付きの悪い遊技機に対して提供されてもよい。この場合、液晶表示器50にて通常とは異なる演出表示(ここでは、表示割合の非常に低い特殊背景)が表示されていることで、当該遊技機に対する興味が高まり、遊技客を呼び寄せることができる。
ランプ駆動基板156は、サブ統合基板211から受信したランプ点灯信号をセンターLED基板102,104,106,108,110,112,114,116やサイドLED基板130に送信し、また、サブ統合基板211から受信した駆動信号を可動体駆動部モータ126に送信する。センターLED基板102,104,106,108,110,112,114,116やサイドLED基板130および可動体駆動部モータ126は、演出装置400に装備されているものであり、このうちセンターLED基板102,104,106,108,110,112,114,116やサイドLED基板130は演出装置400において発光演出に用いられ、また可動体駆動部モータ126は、可動体124の駆動に用いられる。なお、ランプ駆動基板156は、サブ統合基板211から送信されるランプ点灯信号を各LED別に振り分けてLED基板に受け渡すほか、サブ統合基板211から送信される駆動信号を可動体駆動部モータ126にそのまま受け渡すものであり、実質的なLED基板および可動体駆動部モータ126の制御はサブ統合基板211が行っている。以下、ランプ駆動基板156を省略して説明する場合がある。
表示制御基板220は、中央演算装置としての表示CPU221を備えるほか、読み出し専用メモリとしての表示ROM222や読み書き可能メモリとしての表示RAM223を備えている。このうち表示CPU221は、サブ統合基板211からの表示コマンドに基づいて液晶表示器50を制御する。
次に、上述した各種の構成部材や装置等が設けられた遊技盤4にて実現される遊技について説明する。先ず、遊技者が操作ハンドル18を捻り操作することにより、パチンコ機1の裏面側に設けられた発射装置235によって遊技球が打ち出される。発射装置235から打ち出された遊技球は、発射レール15および案内レール11に沿って上昇すると遊技領域12の上部に放出され、この後は遊技領域12内を障害釘等に衝突しながら流下する。
遊技領域12を流下する遊技球が通過ゲート74を通過すると、ゲートスイッチ74bによって遊技球の通過が検出され、この検出信号に基づいて普通図柄表示LED146a(2つの発光領域82a)では普通図柄の変動表示(緑色のLEDと赤色のLEDとが交互に点灯する表示態様)が開始される。
すなわちゲートスイッチ74bにより遊技球が検出されると、主制御基板201のCPU202は所定範囲の普通図柄当り判定乱数を更新するカウンタから普通図柄当り判定乱数を抽出する。そしてCPU202は、普通図柄表示LED146aによる普通図柄の変動開始時に普通図柄当り判定乱数に基づいて当りとするか否かの判定を行い、この判定結果に応じた態様(本実施形態では、当りであれば赤色のLEDの点灯表示、はずれであれば緑色のLEDの点灯表示)で最終的に普通図柄を停止表示させる。
また、普通図柄表示LED146aにおいて普通図柄の変動表示中に遊技球が通過ゲート74を通過すると、CPU202にて抽出された普通図柄当り判定乱数は、所定個数(本実施形態では4個)までRAM204に記憶される。このとき、記憶された普通図柄当り判定乱数の個数は普図始動記憶LED146b(発光領域62b)の点灯態様によって表示される。具体的には、通過ゲート74の通過が有効である間(普通図柄の始動記憶数が4未満のとき)にゲートスイッチ74bにより遊技球の通過が検出されると、その都度、普図始動記憶LED146bの点灯態様を切り替える。
本実施形態では、例えば普図始動記憶数が1である場合に左側の普図始動記憶LED146b(発光領域62b)が1つだけ点灯し、さらに普図始動記憶数が増えていくと、左側の普図始動記憶LED146bに加えて右側の普図始動記憶LED146bが順に点灯する。そして、普図始動記憶数が最大の4に達すると、4つの普図始動記憶LED148がともに点滅状態になる。反対に、普通図柄表示LED146aにて普通図柄の変動表示が開始されると、その都度、普図始動記憶数が1つずつ減っていくので、この場合は上記と逆の態様により普図始動記憶LED148が点灯・点滅することになる。
本実施形態では、普通図柄の変動開始時にCPU202において普通図柄当り判定乱数に基づいて当りとする判定がなされた場合には、所定期間経過後に普通図柄表示LED146a(発光領域64c)が赤色に点灯した状態で停止表示される。そしてこの後、ソレノイド71aを作動状態(通電状態)に切り替えることで左右の可動片70aを拡開させ、可変入賞装置を所定期間(例えば0.5秒間)にわたり開放状態にする制御が行われる。これにより、下始動口70への入賞が可能な状態となる。またこの後、所定期間が経過するとソレノイド71aを非作動状態(非通電状態)に戻すことで可動片70aを初期位置に復帰させ、可変入賞装置を閉塞状態に戻す制御が行われる。
これに対し、普通図柄の変動開始時にCPU202において普通図柄当り判定乱数に基づいてはずれとする判定がなされた場合、所定期間経過後に普通図柄表示LED146b(発光領域62b)が緑色に点灯した状態で停止表示されるだけであり、特に可変入賞装置は開放状態に制御されない。したがって、この場合は依然として下始動口70には入賞できない状態であるが、上始動口68への入賞は引き続き可能となっている。
遊技領域12内を流下する遊技球が上始動口68または下始動口70に入賞すると、始動口スイッチ68aまたは始動口スイッチ70aにより遊技球の入賞が検出される。この場合、特別図柄の変動表示が開始可能な状態(例えば、大当り遊技中でない状態であるか、または特別図柄・装飾図柄の変動表示中でない状態)であれば、特別図柄表示LED144a(4つの発光領域64a)にて特別図柄の変動表示が開始されるとともに、液晶表示器50で装飾図柄(例えば数字の「一」〜「七」をデザインしたもの)の変動表示が開始される。本実施形態では、特別図柄が4つの発光領域64aの点灯の組み合わせで表される。また装飾図柄は、液晶表示器50画面上にて左装飾図柄、中装飾図柄および右装飾図柄の3つが表され、これらはいずれも装飾図柄の列が画面上を一定方向へ順送り(スクロール)されるようにして変動表示される。
特別図柄や装飾図柄の変動表示は所定期間経過後に停止され、その停止時に特別図柄が特定の態様(大当りとなる複数の発光領域64aの点灯の組み合わせ:大当り図柄)で表示されると、これに合わせて装飾図柄の停止図柄(左・中・右の装飾図柄全てが停止した状態)も特定の態様(同一の装飾図柄の組み合わせ:大当り図柄)で表示される。この場合、主制御基板201のCPU202は「大当り遊技状態」の制御を開始する。なお、変動表示が行われる期間は、大当り判定乱数やその他の乱数に応じて数秒〜数十秒の範囲内で決定される。
大当り遊技状態では、CPU202はソレノイド73aを作動させて条件作動装置を開放させる制御を行う。すなわち、ソレノイド73aが作動すると、開閉部材72aがその下縁部を支点としてパチンコ機1の手前方向に倒れ込むようにして回動し、これにより大入賞口72への入賞を可能とする。このような条件作動装置の開放制御は、所定時間(例えば、30秒)が経過するか、もしくは所定個数(例えば、10個)の遊技球が大入賞口72に入賞したことがカウントスイッチ73aにより検出されるかのいずれかの条件が満たされるまで継続して行われる。
上記のいずれかの条件が満たされると、CPU202はソレノイド73aを非作動(非通電)の状態に戻し、それまで手前方向へ倒れていた開閉部材72aを盤面に沿って起立させる。これにより大入賞口72が閉じた状態となり、条件作動装置は閉塞状態に制御されることになる。大当り遊技状態において、CPU202は条件作動装置を開放状態にしてから閉塞状態に戻すまでを1回の開閉サイクル(以下、これをラウンドともいう)とする制御を繰り返し実行し、この制御を所定回数(15ラウンド)まで繰り返すと、そこで大当り遊技状態を終了させる。このように、大当り遊技状態に移行すると大入賞口72が開放されるので、この開放された大入賞口72に遊技球を入賞させることで、上始動口68や下始動口70、普通入賞口76等に遊技球を入賞させるよりも短時間で多量の遊技球を獲得可能であることから、遊技者の興趣を高めることができる。
また本実施形態では、左・中・右の装飾図柄は、左装飾図柄→右装飾図柄→中装飾図柄の順に停止するように制御される。装飾図柄の停止図柄とは、左・中・右の装飾図柄の変動表示を開始して中装飾図柄が停止表示されることにより左・中・右の装飾図柄全てが停止表示された状態の図柄の組み合わせをいう。
また本実施形態では、特別図柄の停止時に表示される特定の態様には、さらに特別態様(確変大当りとなる複数の発光領域64aの点灯の組み合わせ)があり、停止時の特別図柄が特別態様で表示された場合には、装飾図柄の停止図柄も特別態様(確変大当り図柄:本実施形態では、同一の奇数図柄の組み合わせ)となる。この場合、いわゆる「確変大当り」となり、大当り遊技状態の終了後、次に大当り遊技状態となる確率(当選確率、大当り確率)が高くなる(本実施形態では、確率変動状態では70分の1の確率であり、確率変動状態以外では490分の1の確率である。)。すなわち、停止時の特別図柄が特別態様であった場合は、大当り遊技の終了後に「確率変動状態」という遊技者にさらに有利な状態になる。
この実施の形態では、大当り遊技の終了後に確率変動状態になると、上記大当り確率が高くなることに加えて時短制御が行われる。すなわち、確率変動状態では、特別図柄表示LED144a(4つの発光領域64a)にて特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄を停止表示するまでの変動時間を通常状態よりも短縮する制御、普通図柄表示LED146a(発光領域82a)普通図柄の変動表示を開始してから普通図柄を停止表示するまでの変動時間を通常状態よりも短縮する制御、普通図柄表示LED146a(発光領域82a)における普通図柄の変動表示の結果が「当り」となる確率を高める制御、普通図柄表示LED146a(発光領域82a)にて普通図柄の変動表示の結果「当り」となったことに基づいて開放される可動片70aの開放時間を通常状態よりも延長する制御(本実施形態では、通常状態では、0.5秒、時短状態及び確率変動状態では、0.8秒)、可変入賞装置が開放状態にされる開放回数を通常状態よりも増加させる制御(本実施形態では、通常状態では、1回、時短状態及び確率変動状態では、3回)、等の時短制御も行われる。
一方、大当り遊技の終了後に確率変動状態にならない場合、特別図柄の変動表示が実行される回数が所定の回数(本実施形態では100回)に達するまでの間、時短制御が行われ、「時短状態」という遊技者に有利な状態になる。時短制御では、下始動口70への入賞確率が増加して、一定期間内での特別図柄の変動表示の実行回数を増加させることができる(つまり、大当りの判定機会が増える)ため、それだけ遊技者にとって有利な状態となる。なお、通常状態とは、上述した確率変動状態または時短状態ではない状態を意味する。
なお本実施形態では、上始動口68に遊技球が入賞し、始動口スイッチ68aによって検出されたときに規定個数として3個の遊技球が払い出され、また、下始動口70に遊技球が入賞し、始動口スイッチ70bによって検出されたときに規定個数として4個の遊技球が払い出される。このように、上始動口68と下始動口70とで払出個数に差を設けることで、以下の効果を奏する。
すなわち、下始動口70は通常、可動片70aによって閉塞されており、普通図柄の変動表示の結果が「当り」とならない限り入賞の機会がない構造であるのに対し、上始動口68は、常に上方から遊技球を受け入れ可能な構造であることから、上始動口68への遊技球1個の入賞に対する払出個数が多すぎると、遊技場運営者に比較して遊技者が有利になりすぎる。そうすると、遊技場運営者の不利益解消策として始動口(上始動口68および下始動口70)への入賞が抑制されてしまい、結果的に判定遊技(大当り遊技状態とするか否かの判定)の期待が減ることで遊技者に不快感を与えてしまいかねない。反対に、上始動口68への入賞に対する払出個数が少なすぎると、それだけ判定遊技に必要とする遊技球の数が増大してしまい、結果的に過度の投資が必要となって遊技者に不利益を与えてしまうことになる。
一方の下始動口70は、時短状態および確率変動状態においては遊技者に有利な遊技を提供するものであり、可動片70aの開放時間と開放回数の延長制御を行うことで、下始動口54への入賞確率を増加させている。しかし、遊技球の入賞に対する払出個数が少なすぎると、発射球の数に対して払い出しの数が少なくなり、結果的に有利な遊技状態であるにも関わらず、遊技球の残数が次第に減っていくことで遊技者に不快感を与えてしまうことになる。これらの事象を考慮し、本実施形態では上始動口68および下始動口70それぞれの払出個数(3,4個)が設定されている。
また、特別図柄表示LED144aにおける特別図柄の表示結果と、液晶表示器50における装飾図柄の表示結果とは対応している。すなわち、特別図柄の変動開始時に大当りとしない判定がなされた場合には、上記の特定の態様とは異なる態様、つまり、はずれの態様によりLED(4つの発光領域64a)を点灯させて特別図柄を停止表示するとともに、液晶表示器50では、はずれの態様(はずれ図柄:大当り図柄以外の図柄、本実施形態では少なくとも2種類以上の識別情報(図柄)の組み合わせ)により装飾図柄の画像が表示される。
また装飾図柄は、特別図柄とは異なる演出用の図柄であり、特別図柄の変動表示(4つの発光領域64aの点滅)の内容を演出用の装飾図柄の変動表示によって演出的に表現することで、見た目上の演出効果を高めるものである。つまり、特別図柄表示LED144aが特定の態様で点灯表示されると大当り遊技状態に移行する制御が行われるが、万が一、液晶表示器50において装飾図柄の表示結果が特定の態様となったとしても、特別図柄表示LED144aが特定の態様で点灯表示されていない場合、大当り遊技状態に移行する制御が行われることはない。
また本実施形態では、大当り遊技状態で実行されるラウンド数として「15回」が設定された1種類の大当り遊技状態に制御可能であるが、大当り遊技状態として遊技者に付与される利益が異なる複数種類の大当り遊技状態に制御可能に構成してもよい。例えば、大当り遊技状態にて実行されるラウンド数が異なる複数種類の大当り遊技状態に制御するように構成してもよい。この場合には、大当り判定乱数に基づいて大当りとする判定がなされた後、大当り遊技状態にて実行するラウンド数を決定するようにしてもよいし、大当り判定乱数に基づいて異なるラウンド数が設定された複数種類の大当り遊技状態のうちいずれかに制御するか否かの判定を行うようにしてもよい。
また、本実施形態では、状態表示LED148b(4つの発光領域82d)を上述した確率変動状態、時短状態、確率変動状態、大当り遊技状態の遊技状態に対応させ、現在の遊技状態に応じた状態表示LED148b(1つの発光領域82d)を点灯制御する一方、それ以外の状態表示LED148b(3つの発光領域82d)を消灯制御する。
また本実施形態では、大当り遊技中に上述したラウンド表示LED148a(2つの発光領域82c)が点灯する。具体的には、大当り遊技状態の種類に応じて、ラウンド表示LED148aとなる左右2つの発光領域82cのいずれか一方か、もしくは両方が点灯する。本実施形態では、1種類の大当り遊技状態にのみ制御可能であるため、ラウンド表示LED148aを点灯させる必要はないが、複数種類の大当り遊技状態に制御可能に構成した場合には、複数種類の大当り遊技状態に対応してラウンド表示LED148aを点灯・消灯制御することにより、大当り遊技状態の種類を外部から容易に把握することができる。
例えば、複数種類の大当り遊技状態として、大当り遊技状態にて実行されるラウンド数として「2回」が設定された第1大当り遊技状態と、大当り遊技状態にて実行されるラウンド数として「15回」が設定された第2大当り遊技状態とを実行可能な構成とした場合を想定する。この場合、第1大当り遊技状態の実行中にラウンド表示LED148aの右側の発光領域82cに対応するLEDを点灯させ、第2大当り遊技状態の実行中に左側の発光領域82cに対応するLEDを点灯させる制御を実行するようにしてもよい。このように、本実施形態のパチンコ機1は、複数種類の大当り遊技状態に制御可能な構成にも対応可能であることが理解される。
次に、パチンコ機1の遊技進行に応じて主制御基板201で実行される種々の制御処理について図10乃至図17を参照して説明する。図10は、主制御基板201に搭載されるCPU202が実行するメイン処理の一例を示すフローチャートである。図11は、電源断発生時処理の一例を示すフローチャートである。図12は、タイマ割込処理の一例を示すフローチャートである。図13は、主制御基板201で更新される乱数を示す一覧表図である。図14は、遊技処理の一例を示すフローチャートである。図15は、変動開始処理を示すフローチャートである。図16は、大当り判定処理の一例を示すフローチャートである。図17は、変動表示パターン設定処理の一例を示すフローチャートである。図18は、変動表示パターンテーブルの一例を示す一覧表図である。なお、タイマ割込処理は、主制御基板201に搭載されるCPU202により所定のタイミング(本実施形態では、4ms毎)で実行される。
図10に示すように、パチンコ機1へ電力の供給が開始されると、CPU202は、電源投入時処理を実行する(ステップS1)。この電源投入時処理では、RAM204に記憶されているバックアップデータが正常であるか(停電発生時の設定値となっているか)否か判別し、正常であればRAM204に記憶されているバックアップデータに従って停電発生時の状態に戻す処理(復電時処理)を実行し、バックアップデータが異常であればRAM204をクリアしてCPU周辺のデバイス設定(通常の初期設定:割込タイミングの設定等)を行う。なお、遊技途中でパチンコ機1への電力供給が停止すると、RAM204に現在の遊技状態がバックアップデータとして記憶される。また、電源投入時処理にてRAM204に記憶されているバックアップデータのクリアを指示するRAM消去スイッチがオンであれば、RAM204をクリアし、通常の初期設定を行う。また、電源投入時処理にて主制御基板201に搭載されるRAM204にバックアップデータが保存されていない場合には、RAM204をクリアし、通常の初期設定を行う。また、電源投入時処理では、通常の初期設定を実行したときにサブ統合基板211に主制御基板201が起動したことを示す電源投入コマンドを送信可能な状態にセットする処理も実行される。電源投入コマンドは、主制御基板201が起動したことをサブ統合基板211に通知するものである。なお、遊技店の閉店時等にパチンコ機1への電力供給を停止した場合(電源を落とした場合)にもRAM204にバックアップデータが記憶され、再びパチンコ機1への電力供給を開始したときには電源投入時処理が実行される。
電源投入時処理が終了すると、CPU202は、遊技用の各処理を繰り返し実行するループ処理を開始する。このループ処理の開始時には、CPU202は、まず、停電予告信号が検知されているか否かを判定する(ステップS2)。なお、この実施の形態では、パチンコ機1にて使用する電源電圧は、電源基板(図示しない)によって生成する。すなわち、パチンコ機1に搭載される複数種類の装置はそれぞれ異なる電源電圧で動作するため、外部電源からパチンコ機1に供給される電源電圧を電源基板にて所定の電源電圧に変換した後、各装置に供給している。しかして、停電が発生し、外部電源から電源基板に供給される電源電圧が所定の電源電圧以下となると、電源基板から主制御基板201に電源電圧の供給が停止することを示す停電予告信号が送信される。そして、ステップS2で主制御基板201に搭載されるCPU202により停電予告信号を検知すると、電源断発生時処理を実行する(ステップS4)。この電源断発生時処理は、停電後に電源基板に供給される電源電圧が(この実施の形態では、24V)復旧した場合に(以下、復電と呼ぶ)、遊技機の動作を停電前の状態から開始するために停電発生時の状態をRAM204にバックアップデータとして記憶する処理である。処理内容は後述するが、本実施例においては、図示する通り、電源断発生時処理は、割込処理ではなく、ループの開始直後に停電予告信号の検知有無に応じて実行される分岐処理としてメイン処理(主制御処理)内に組み込まれている。
ステップS2で停電予告信号が検知されていない場合、すなわち外部電源からの電力が正常に供給されている場合には、遊技にて用いられる各種乱数を更新する乱数更新処理2を行う(ステップS3)。なお、乱数更新処理2にて更新される乱数については後述する。
図11は、電源断発生時処理(ステップS4)の一例を示すフローチャートである。上述したように、電源断発生時処理は、メイン処理において、停電予告信号が検出された時に実行される処理である。CPU202は、まず、割込処理が実行されないように割込禁止設定を行う(ステップS4a)。そして、RAM204のチェックサムを算出し、RAM204の所定領域に保存する(ステップS4b)。このチェックサムは、復電時に停電前のRAM204の内容が保持されているか否かをチェックするのに使用される。
次いで、CPU202は、RAM204の所定領域に設けられたバックアップフラグに、電源断発生時処理が行われたことを示す規定値を設定する(ステップS4c)。以上の処理を終えると、CPU202は、RAM204へのアクセスを禁止し(ステップS4d)、無限ループに入って電力供給の停止に備える。なお、この処理では、ごく短時間の停電等(以下、「瞬停」と呼ぶ)によって、電源電圧が不安定となることによって、電源断発生時処理が開始されてしまった場合、実際には電源電圧は停止されないため、上記処理では、無限ループから復帰することができなくなるおそれがある。かかる弊害を回避するため、本実施例のCPU202には、ウォッチドックタイマが設けられており、所定時間、ウォッチドックタイマが更新されないとリセットがかかるように構成されている。ウォッチドックタイマは、正常に処理が行われている間は定期的に更新されるが、電源断発生時処理に入り、更新が行われなくなる。この結果、瞬停によって、電源断発生時処理に入り、図11の無限ループに入った場合でも、所定期間経過後にリセットがかかり、電源投入時と同じプロセスでCPU202が起動することになる。
図12は、タイマ割込処理の一例を示すフローチャートである。上述したように、この実施の形態では、メイン処理の実行中に主制御基板201に搭載されるCPU202により4ms毎にタイマ割込処理が実行される。タイマ割込処理において、CPU202は、レジスタの退避処理を実行した後(ステップS10)、ステップS11からステップS19の処理を実行する。ステップS11のスイッチ入力処理では、上述したスイッチ(ゲートスイッチ74b、始動口スイッチ68a,70b、カウントスイッチ72a、普通入賞スイッチ76a等)の検出信号を監視する処理を実行する。ステップS12の払出動作処理では、スイッチ入力処理(ステップS11)にて検出された信号にもとづいて払出基板205に遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを送信する。ステップS13の乱数更新処理1では、遊技にて用いられる各種乱数を更新する処理を実行する。なお、この実施の形態では、乱数更新処理1にて更新される乱数と、上述した乱数更新処理2にて更新される乱数と、は異なる。乱数については後述するが、乱数更新処理2にて更新される乱数を乱数更新処理1でも更新するようにしてもよい。
また、ステップS14の遊技処理では、遊技の進行状態に応じてパチンコ機1を制御する処理が実行される。ステップS15の普通図柄遊技では、普通図柄表示LED146aに関わる制御処理を実行する。ステップS16の普通電動役物遊技では、開閉部材56aの開閉制御するための処理を実行する。ステップS17の特別図柄遊技では、遊技処理(ステップS14)の処理の結果にもとづいて特別図柄表示LED144aを変動表示する制御を実行する。ステップS18の特別電動役物遊技では、ソレノイド73aを可動制御して開閉部材72aの開閉制御を実行する。ステップS19のコマンド伝送出力処理では、遊技処理(ステップS14)でセットされた演出コマンドをサブ統合基板211に送信する処理を実行する。また、コマンド伝送出力処理(ステップS19)では、パチンコ機1への電力供給が開始されたときに電源投入時処理(ステップS1)でセットされた電源投入コマンドをサブ統合基板211に送信する処理も行われる。ステップS20のI/Oポート出力処理では、パチンコ機1の外部(例えば、管理コンピュータ等)に遊技状態を示す状態信号を出力する処理、特図始動記憶ランプ147に駆動信号を出力する処理、等を実行する。ステップS11からステップS20の処理を実行すると、レジスタの復帰処理(ステップS21)を実行して、処理を終了する。
ここで、上述した乱数更新処理1(ステップS13)および乱数更新処理2(ステップS3)で主制御基板201に搭載されるCPU202により更新される各種乱数について図13を参照して説明する。図13に示すように、この実施の形態では、遊技にて用いられる各種乱数として、大当り遊技状態を発生させるか否かの判定(大当り判定)に用いられる大当り判定乱数、大当り判定において大当り遊技状態を発生させると判定されたときに確変大当りとするか否かの判定(確変判定)に用いられる確変判定乱数、大当り判定にて大当り遊技状態を発生させないと判定されたときにリーチ態様を伴うはずれとするか否かの判定(リーチ判定)に用いられるリーチ判定乱数、特別図柄表示LED144aに表示されている特別図柄の変動表示パターンを決定するために用いられる変動表示パターン乱数、入球装置56の開閉部材56aを開放状態に制御するか否かの判定(普通図柄当り判定)に用いられる普通図柄当り判定乱数、等がある。なお、リーチ判定用乱数を用いて特別図柄の変動表示パターンを決定するとともに、液晶表示器50にて表示制御される装飾図柄の変動表示パターンを決定するようにしてもよい。
これらの乱数のうち、乱数更新処理1では、大当り遊技状態の発生に関わる大当り判定乱数、確変判定乱数、および入球装置56の開閉部材56aを開放状態に制御するか否かに関わる普通図柄当り判定乱数の更新を行う。すなわち、大当り遊技状態の発生および条件作動装置の開閉部材72aを開放状態に制御するか否かに関わる判定に用いられる乱数は所定のタイミングとして4ms毎に更新される。このようにすることにより、それぞれの乱数における所定期間における確率(大当り遊技状態を発生させると判定する確率、条件作動装置の開閉部材72aを開放状態に制御すると判定する確率)を一定にすることができ、遊技者不利な状態となることを防止できる。一方、乱数更新処理2では、大当り遊技状態の発生および普通図柄の表示結果に関わらないリーチ判定乱数および変動表示パターン乱数の更新を行う。なお、主制御基板201で更新される乱数は、上記したものに限られず、乱数更新処理2では、大当り判定乱数を更新するカウンタが1周したときに次にカウントを開始させる大当り判定乱数の初期値を決定するための初期値決定乱数等の更新も行う。
図14は、遊技処理(ステップS14)の一例を示すフローチャートである。遊技制御処理において、CPU202は、まず、上始動口68および下始動口70に遊技球が入賞したか否かを判別する(ステップS30)。具体的には、始動口スイッチ68a,70bから検出信号が出力されたか否かを判別し、始動口スイッチ68a,70bから検出信号が出力された場合には上始動口68および下始動口70に遊技球が入賞した(ステップS30にてYES)と判別し、始動口スイッチ68a,70bからの検出信号が出力されていなければ上始動口68および下始動口70に遊技球が入賞していない(ステップS30にてNO)と判別する。ステップS30にて上始動口68および下始動口70に遊技球が入賞したと判別したときには、各種乱数(大当り判定乱数、確変判定乱数、等)を取得し、RAM204に設けられている保留球数カウンタの値が上限値となる4未満であるか否かを判別する(ステップS31)。そして、ステップS31で保留球数カウンタが4未満であれば、始動記憶格納処理を行う(ステップS32)。なお、ステップS30で始動口スイッチ68a,70bがオンしていない場合、およびステップS31で保留球数カウンタの値が4である場合、には、始動記憶格納処理を実行しない。その後、CPU202は、遊技の進行状態を示す処理選択フラグの値を参照してステップS40〜ステップS44のうちいずれかの処理を行う。
始動記憶格納処理では、保留球数カウンタに「1」を加算する処理と、保留球数カウンタの加算に伴って特図始動記憶LED144bの点灯表示態様(点灯表示させるLEDの個数)を変更する処理と、取得した乱数値(この実施の形態では、大当り判定乱数、確変判定乱数)をRAM204に設けられた始動記憶の保存領域に保留球数カウンタのカウント値に対応させて記憶する処理と、を行う。このように、保留球数カウンタは、始動記憶の保存領域に記憶される乱数値の数を示すカウンタである。また、ステップS31において保留球数カウンタの値が上限値である場合にはステップS30で取得した乱数値を破棄する。なお、ステップS30で上始動口68または下始動口70に遊技球が入賞したと判別したときには、ステップS30〜ステップS32の間で各種乱数を取得すればよく、例えば、ステップS30で各種乱数を取得せずに、ステップS31で保留球数カウンタが上限値未満であることを判別した後に、各種乱数を取得してもよいし、始動記憶格納処理(ステップS32)で取得するようにしてもよい。
処理選択フラグが「0」のときに実行される変動開始処理(ステップS40)では、始動記憶数を確認し、始動記憶数が0でなければ、特別図柄の変動表示を開始するための設定を行う。詳しくは後述するが具体的には、大当り遊技状態を発生させるか否かの判定を行い、大当り遊技状態を発生させる場合には、確変大当りとするか否かを判定する。処理選択フラグが「1」のときに実行される変動表示パターン設定処理(ステップS41)では、特別図柄および装飾図柄の変動表示に関わる設定を行う。詳しくは後述するが具体的には、特別図柄の変動表示パターンを決定し、当該変動表示パターンに対応して設定される変動時間(特別図柄表示LED144aにて特別図柄の変動表示を開始してから停止表示するまでの時間)をタイマにセットする。処理選択フラグが「2」のときに実行される変動中処理(ステップS42)では、変動表示パターン設定処理(ステップS41)で変動時間が設定されたタイマを監視し、タイマがタイムアウトしたことにもとづいて特別図柄表示LED144aにおける特別図柄の変動表示を停止させる処理を行う。このとき、変動開始処理(ステップS40)にて大当り遊技状態とする判定がなされていれば、処理選択フラグを「3」に更新し、大当り遊技状態とする判定がなされていなければ処理選択フラグを「0」に更新する。
また、処理選択フラグが「3」のときに実行される大当り遊技開始処理(ステップS43)では、大当り遊技状態を開始するための設定を行う。具体的には、サブ統合基板211に大当り遊技状態の開始表示の実行を指示する大当り開始コマンドを送信するとともに、条件作動装置の開放回数等の設定を行う。
処理選択フラグが「4」のときに実行される大当り遊技中処理(ステップS44)では、大当り遊技状態が開始された場合に、カウントスイッチ72aによって検出された遊技球の個数を判別し、所定個数(この実施の形態では、10個)の遊技球が大入賞口62に入賞したとき、または、所定期間(この実施の形態では、30秒)が経過したとき条件作動装置を閉塞状態にするための処理を行うとともに、サブ統合基板211に大当り遊技状態中の表示(例えば、ラウンド表示等)の実行を指示する大当り中コマンドを送信する。また、大当り遊技状態におけるラウンド回数が所定回数(この実施の形態では、15回)に達していなければ、再び、条件作動装置を開放状態にするための処理を行い、大当り遊技状態におけるラウンド回数が所定回数に達したときには、サブ統合基板211に大当り遊技状態の終了表示の実行を指示する大当り終了コマンドを送信するとともに処理選択フラグを「0」に更新する。
図15は、変動開始処理(ステップS40)の一例を示すフローチャートである。変動開始処理において、CPU202は、保留球数カウンタの値が0であるか否か判別する(ステップS401)。上述したように、保留球数カウンタの値は、始動記憶の保存領域に格納される乱数値の数を示すものであるため、ステップS401で保留球数カウンタの値が0であれば、始動記憶がないと判別されて処理を終了する。
一方、ステップS401で保留球数カウンタの値が0でなければ、始動記憶移行処理を実行する(ステップS402)。始動記憶移行処理では、保留球数カウンタを1減算する処理と、RAM204に設けられた始動記憶の保存領域に記憶される各種乱数をシフトした後、始動記憶の保存領域のうち保留球数カウンタの0に対応する保存領域に保存される各種乱数(大当り判定乱数等)を読み出す処理と、を行う。具体的には、始動記憶の保存領域にて保留球数カウンタのn(n=1、2、3、4)に対応する保存領域に記憶されている各種乱数を始動記憶の保存領域における保留球数カウンタのn−1(n=0、1、2、3)に対応する保存領域に記憶させる。
次いで、ステップS402で保留記憶の保存領域のうち保留球数カウンタの0に対応する保存領域から読み出した大当り判定乱数を用いて大当り遊技状態を発生させるか否かの判定を行い、大当り遊技状態を発生させる場合には、確変大当りとするか否かを判定する大当り判定処理を行った後(ステップS403)、処理選択フラグを「1」に更新する(ステップS404)。処理選択フラグを「1」に更新することにより、次にタイマ割込処理が発生し、遊技処理(ステップS14)が実行されたときに変動表示パターン設定処理(ステップS41)が実行可能となる。
図16は、大当り判定処理(ステップS404)の一例を示すフローチャートである。大当り判定処理において、CPU202は、大当り遊技中処理(ステップS44)でセットされる確変フラグがON状態であるか(セットされているか)否かを判別する(ステップS51)。確変フラグがON状態であれば、確変状態時大当り判定テーブル(図示しない)を選択し(ステップS52)、確変状態フラグがON状態でなければ(OFF状態であれば)、通常・時短状態時大当り判定テーブル(図示しない)を選択する(ステップS53)。なお、確変状態時大当り判定テーブルでは、0〜979までの980個の大当り判定乱数のうち大当り判定乱数と一致することにより大当り遊技状態を発生させることが決定される大当り判定値が14個設定され、大当りとなる確率である大当り確率が1/70となっている。一方、通常・時短状態時大当り判定テーブルでは、0〜979までの980個の大当り判定乱数のうち大当り判定値が2個設定され、大当り確率が1/490となっている。
そして、ステップS52,S53で選択した確変状態時大当り判定テーブル、または、通常・時短状態時大当り判定テーブルに設定されている判定値と、ステップS402の始動記憶移行処理で読み出した大当り判定乱数の値と、が一致するか否かによって、大当り遊技状態を発生させるか否か判定する(ステップS54)。ステップS52,S53で選択した確変状態時大当り判定テーブル、または、通常・時短状態時大当り判定テーブルに設定されている判定値と、ステップS402の始動記憶移行処理で読み出した大当り判定乱数の値(保留球数カウンタの0に対応する保存領域に保存される大当り判定乱数の値)と、が一致することにもとづいて大当り遊技状態を発生させると判定したときには、大当りフラグをON状態(セット)とした後に(ステップS55)、所定の判定値が設定された確変判定テーブル(図示しない)にもとづいて確変大当りとするか否かを判定する(ステップS56)。具体的には、ステップS402の始動記憶移行処理で読み出した確変判定乱数の値(保留球数カウンタの0に対応する保存領域に保存される確変判定乱数の値)と、確変判定テーブルに設定されている判定値と、が一致するか否かにもとづいて確変大当りとするか否か判定する。なお、本実施形態では、確変突入率(大当りのうち確変大当りとする割合)が2/3となるように、すなわち、0〜8までの9個の確変判定乱数のうち確変大当りとすることに決定される6個の判定値が確変判定テーブルに設定されている。
ステップS56で、確変判定テーブルに設定されている判定値と、ステップS402の始動記憶移行処理で読み出した確変判定乱数の値と、が一致したことにもとづいて確変大当りと判定されたときには、確変状態フラグをON状態(セット)とする(ステップS57)。一方、ステップS54で大当りとしない(はずれとする)と判定されたとき、および、ステップS56で確変大当りとしない(非確変大当りとする)と判定されたとき、には、以下の処理を実行することなく処理を終了する。なお、大当りフラグおよび確変状態フラグのON/OFF状態(セット状態、リセット状態)は、RAM204に記憶される。また、大当りフラグおよび確変状態フラグのOFF状態(リセット状態)とは「0」の値がセットされることであり、大当りフラグおよび確変状態フラグのON状態(セット状態)とは「1」の値がセットされることである。
なお、大当りフラグは、大当り遊技状態への移行制御を示すフラグであり、大当り遊技開始処理(ステップS43)にて大当りフラグがセットされていれば、大当り遊技状態を発生させる。また、確変状態フラグは、大当り遊技状態終了後に確率変動状態への移行制御を示すフラグであり、大当り遊技中処理(ステップS44)にて大当り遊技状態を終了するときに確変状態フラグがセットされていれば、確変状態フラグをリセットし、確変状態を示す確変フラグをセットする処理が実行される。確変フラグがセットされた状態では、上述した確率変動状態に制御され、例えば、上述したステップS52の確変状態時大当り判定テーブルが選択されて確率変動状態以外の状態(通常状態、時短状態)よりも大当り遊技状態を発生させると判定される確率が高まる。また、大当り遊技開始処理(ステップS43)にて確変フラグがセットされている場合には、確変フラグをリセットする処理が実行される。
図17は、変動表示パターン設定処理(ステップS41)の一例を示すフローチャートである。変動表示パターン設定処理において、CPU202は、今回の変動表示の結果、大当りとするか否か、すなわち、大当りフラグがセットされているか否かを判別し(ステップS410)、大当りフラグがセットされていれば(ON状態であれば)、大当りのうち確変大当りとするか否か(確変状態フラグがセットされているか否か)を判別する(ステップS411)。そして、確変状態フラグがセットされていれば(ON状態であれば)、確変大当りとなる場合に用いられる変動表示パターンが設定された確変大当り時変動表示パターンテーブル(図18参照)を選択し(ステップS411a)、確変状態フラグがセットされていなければ(OFF状態であれば)、非確変大当りとなる場合に用いられる変動表示パターンが設定された非確変大当り時変動表示パターンテーブル(図18参照)を選択する(ステップS411b)。
一方、ステップS410で大当りフラグがセットされていなければ(OFF状態であれば)、リーチ判定乱数を取得し、RAM204の所定の保存領域に記憶するとともに、所定の判定値が設定されたリーチ判定テーブルに設定されている判定値と、取得したリーチ判定乱数の値と、が一致するか否かによって、リーチとするか否かを判定する(ステップS411)。リーチ態様とすると判定されたときには、リーチ態様を伴うはずれ図柄を導出する態様が示された変動表示パターンが設定されたリーチ時変動表示パターンテーブル(図18参照)を選択し(ステップS413)、リーチ態様としないと判定されたときには、リーチ態様を伴わないはずれ図柄を導出する態様が示された変動表示パターンが設定されたはずれ時変動表示パターンテーブル(図18参照)を選択する(ステップS414)。なお、リーチ判定テーブルでは、リーチ確率(リーチ態様とする割合)が1/12.5となるように、すなわち、0〜24までの25個のリーチ判定乱数のうち2個の判定値がリーチ判定テーブルに設定されている。
そして、変動表示パターン乱数を取得し、RAM204の所定の保存領域に記憶するとともに、ステップS411a,S411b,S413,S414で選択された確変大当り時変動表示パターンテーブル、非確変大当り時変動表示パターンテーブル、リーチ時変動表示パターンテーブル、はずれ時変動表示パターンテーブル、のいずれか1つの変動表示パターンテーブルに設定されている判定値と、取得した変動表示パターン乱数の値と、が一致する変動表示パターンに決定する(ステップS415)。なお、ステップS411a,S411b,S413,S414では、確変大当り時変動表示パターンテーブル、非確変大当り時変動表示パターンテーブル、リーチ時変動表示パターンテーブル、はずれ時変動表示パターンテーブルにおいて、確変フラグまたは時短フラグがON状態であるかを判別し、確変フラグまたは時短フラグがON状態であれば、確変・時短状態用変動表示パターンテーブルを選択し、確変フラグおよび時短フラグがOFF状態であれば、通常状態用変動表示パターンテーブルを選択する。
なお、時短フラグは、大当り判定処理のステップS56で確変大当りとしない(非確変大当りとする)と判定されたときにセットされるフラグであり、大当り遊技中処理(ステップS44)にて大当り遊技状態を終了するときにセットする処理が実行される。時短フラグがセットされている場合には、時短状態に制御され、例えば、ステップS414ではずれ時変動表示パターンテーブルから特別図柄の変動時間を通常状態よりも短縮した変動番号2の「短縮変動」の変動表示パターンが選択される。また、大当り遊技状態終了後に所定回数の特別図柄の変動表示が実行されるまでに大当り判定処理のステップS54で次回の大当り遊技状態を発生させると判定された場合、または、大当り遊技状態終了後に所定回数(この実施の形態では、100回)の特別図柄の変動表示が実行された場合、には、時短フラグをリセットする処理が実行される。なお、時短フラグがセットされた際に回数カウンタを所定回数にセットし、大当り判定処理で大当りとするか否かを判定する毎に1減算することで、大当り遊技状態終了後に所定回数の特別図柄の変動表示が実行されたか否かを判別する。また、時短フラグのON/OFF状態(セット状態、リセット状態)は、RAM204に記憶される。また、時短フラグのOFF状態(リセット状態)とは「0」の値がセットされることであり、時短フラグのON状態(セット状態)とは「1」の値がセットされることである。
次いで、ステップS415で決定した変動表示パターンを指定する演出コマンドとして変動表示パターンコマンドをセットし(ステップS416)、当該変動表示パターンに応じた変動時間を主制御基板201に搭載されるRAM204に設けられたタイマ(この実施の形態では、有効期間タイマ)にセットする(ステップS417)。ステップS417では、ステップS415で決定した変動表示パターンに設定されている変動時間を有効期間タイマにセットする。なお、ステップS416でセットされた変動表示パターンコマンドは、コマンド伝送出力処理(ステップS19)にてサブ統合基板211に送信される。また、変動表示パターンコマンドをコマンド伝送出力処理でサブ統合基板211に送信するときには、特別図柄遊技にて特別図柄表示LED144aに駆動信号を出力し、特別図柄の変動表示を開始させる。
ここで、変動表示パターンコマンドは、2バイト構成のデータであり、各変動表示パターンコマンドには、特別図柄表示LED144aにて特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄の変動表示が停止表示されるまでの変動時間やリーチ演出を特定するためのデータが含まれる。この2バイト構成の変動表示パターンコマンドのうち、1バイト目は、変動表示パターンであることを特定可能なデータであり、2バイト目は、変動番号(変動表示パターン)を特定可能なデータである。すなわち、サブ統合基板211に搭載される統合CPU212は、1バイト目のデータにもとづいて変動表示パターンであることを認識可能であり、さらに、2バイト目のデータにもとづいて変動表示パターンを特定する。
なお、ステップS415で決定される変動表示パターンを図18を参照して説明する。図18は、変動表示パターンの一例を示す一覧表図である。液晶表示器50には、特別図柄の変動時間(特別図柄表示LED144aにて特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄の変動表示が停止表示されるまでの時間)に、変動表示パターンに従った演出態様が画像表示される。
変動番号1の「通常変動」とは、リーチ態様を伴わない変動表示パターンである。変動番号2の「短縮変動」とは、特別図柄および装飾図柄の変動時間が「通常変動」よりも短い変動表示パターンである。変動番号3,4の「ノーマルリーチ」とは、リーチ態様を伴ってノーマルリーチ演出の実行後にスーパーリーチ演出を実行しない変動表示パターンである。なお、スーパーリーチ演出は、ノーマルリーチ演出の実行後に後述する「歌リーチA」、「歌リーチB」、「歌リーチC」のいずれが実行されるかを示唆する分岐演出が実行され、当該分岐演出から継続して行われるリーチ演出のことである。
また、変動番号5〜16の「歌リーチ」とは、ノーマルリーチ演出の実行後のスーパーリーチ演出として、演出期間中に流れる楽曲に応じて未だ停止表示されていない装飾図柄(この実施の形態では、中装飾図柄)の停止図柄を決定する歌リーチ演出を実行する変動表示パターンである。歌リーチ演出では、当該歌リーチ演出中に変動表示パターンにもとづく楽曲が各スピーカ14,29から流れ、これに伴った演出表示(例えば、楽曲に合わせて歌詞が順次表示される)が液晶表示器50にて実行される。
なお、「歌リーチ」は、変動番号5〜8の「歌リーチA」と、変動番号9〜12の「歌リーチB」と、変動番号13〜16の「歌リーチC」と、でそれぞれ異なる楽曲が設定されたリーチ演出に分類される。また、「歌リーチ」の各々は、変動番号5,6,9,10,13,14の「歌リーチ(前半)」と、該「歌リーチ(前半)」に比べて演出期間が長く設定された変動番号7,8,11,12,15,16の「歌リーチ(後半)」と、に分類される。そして、「歌リーチ」の各々は、「歌リーチ(後半)」に設定された楽曲の一部(前半部)が「歌リーチ(前半)」に設定され、「歌リーチ(前半)」では楽曲の前半部のみを演奏する一方で、「歌リーチ(後半)」では楽曲の前半部から後半部にかけてを演奏する。
また、変動番号17の「全回転リーチ」とは、ノーマルリーチ演出を実行しない大当り確定演出として、大当り図柄の組み合わせとなった装飾図柄を同期変動し、確変大当り図柄と非確変大当り図柄とのいずれか一方の大当り図柄で停止表示する全回転リーチ演出を実行する変動表示パターンである。
また、変動番号18の「たすと10プレミアム」とは、装飾図柄の仮停止図柄として「たすと10」図柄を仮停止表示(例えば、上下(または/および左右であってもよい)に小刻みに揺れて完全には停止していない状態:揺れ変動表示)する「たすと10」演出を実行した後、可動体駆動部モータ126を駆動制御することにより可動体124を作動し、仮停止表示された装飾図柄が可動体124に覆われて視認困難となる期間に、装飾図柄の停止図柄として確変大当り図柄を停止表示する変動表示パターンである。なお、「たすと10」図柄とは、変動番号1の変動表示パターンと同様に左右の装飾図柄でリーチ態様を形成せず、且つ、全装飾図柄に描かれた数字図柄の数値を合計すると「10」になる図柄の組み合わせである。また、変動番号18は、当落の結果が確変大当りとなる場合にのみ実行される変動表示パターンである。
また、変動番号19〜32の「ノーマルリーチ」および「歌リーチ」とは、すべり変動を伴い、且つ、変動番号3〜16の変動表示パターンのそれぞれと同様のリーチ演出を実行する変動表示パターンである。すべり変動とは、リーチ態様を形成するか否かを判別するための装飾図柄(この実施の形態では、右装飾図柄)が一旦はリーチ態様とはならない図柄で停止表示するかのように変動する(仮停止表示する)が、再び別の図柄まで移行して停止表示される態様である。例えば、装飾図柄の変動表示にて各々の装飾図柄を順次切替えて変動表示する場合、リーチ態様を形成するか否かを判別するための装飾図柄をリーチ態様とはならない図柄で仮停止表示した後、再び当該装飾図柄を切替えて停止表示する態様であってもよいし、装飾図柄の変動表示にて各々の装飾図柄をスクロールして変動表示する場合、リーチ態様を形成するか否かを判別するための装飾図柄を高速変動から低速変動に移行した後、当該装飾図柄を数コマだけコマ送りさせてリーチ態様とはならない図柄で仮停止表示するが、再び高速変動へと移行し、高速変動から低速変動に移行した後に停止表示する態様であってもよい。
ここで、詳細は後述するが、サブ統合基板211に搭載される統合CPU212の処理にて、変動番号19〜32のすべり変動を伴う変動表示パターンに対しても、すべり変動の実行以前に「たすと10」演出が実行されることを1/2の割合で決定する。すべり変動を伴う変動表示パターンに対して「たすと10」演出が実行される場合には、まず「たすと10」演出として「たすと10」図柄を仮停止表示した後、リーチ態様を形成するか否かを判別するための装飾図柄を再び変動表示し、リーチ態様を形成する図柄で停止表示する態様となる。この場合、「たすと10」演出が実行されたときに、遊技者はすべり変動が実行されることを把握することができ、「たすと10」演出がすべり変動の実行を遊技者に事前に告知する演出となる。
この実施の形態では、変動番号18の「たすと10プレミアム」の変動表示パターンにもとづいて「たすと10」演出が実行される場合と、すべり変動を伴う変動表示パターンにもとづいて「たすと10」演出が実行される場合と、があり、「たすと10」図柄の表示後、可動体124が作動するか否かを視認するまで、いずれの変動表示パターンにもとづく「たすと10」演出であるかを判別することができない。しかして、装飾図柄が「たすと10」図柄で仮停止表示した場合には、リーチ態様を経由することなく突然的に確変大当り図柄が停止表示されるか否かに注目させることができ、「たすと10」演出後の演出にも期待感を抱かせることができる。
また、液晶表示器50にて実行される装飾図柄の変動表示において、遊技者はリーチ態様となるか否かに注目する。そして、リーチ態様となった場合には、大当り図柄となるか否かに注目するため、大当り遊技状態に対する期待感を高めることができる。一方、リーチ態様とならなかった場合には、大当り遊技状態に対する期待感が低下し、当該変動表示に興味を抱かなくなる虞がある。この実施の形態では、リーチ態様および大当り図柄とは異なるはずれ図柄のうち「たすと10」図柄を装飾図柄の仮停止図柄としたため、リーチ態様とならなかった場合にも「たすと10」図柄となるか否かに注目させることができ、装飾図柄の変動表示に対して最後まで期待感を抱かせることができる。
また、各々の変動表示パターンには、特別図柄の変動時間(特別図柄表示LED144aにて特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄の変動表示が停止表示されるまでの時間)が設定されている。特別図柄の変動時間は、サブ統合基板211に送信される変動表示パターンコマンドによって指定される装飾図柄の変動時間とほぼ一致して設定されており、ステップS415では特別図柄の変動時間に応じた装飾図柄の変動時間を有する変動表示パターンに決定される。すなわち、特別図柄の変動時間と装飾図柄の変動時間とは、完全に一致していなくてもよい。
また、各々の変動表示パターンには、リーチ態様とした後にリーチ演出が多く実行されるほど演出の実行時間が長くなることに伴って、特別図柄および装飾図柄の変動時間が長く設定されている。具体的には、特別図柄および装飾図柄の変動時間は、ノーマルリーチ演出のみを実行する変動表示パターン(例えば、変動番号3,4)よりも、ノーマルリーチ演出の実行後にスーパーリーチ演出として「歌リーチ」を実行する変動表示パターン(例えば、変動番号5〜16)の方が長く設定されている。さらに、「歌リーチ」を実行する変動表示パターンの中では、「歌リーチ(前半)」を実行する変動表示パターン(例えば、変動番号5,6,9,10,13,14)よりも、「歌リーチ(後半)」を実行する変動表示パターン(例えば、変動番号7,8,11,12,15,16)の方が楽曲の後半部に相当する実行時間だけ長く設定されている。
また、変動番号19〜32の変動表示パターンでは、すべり変動を伴い、すべり変動を伴わない変動番号3〜16の変動表示パターンと同一のリーチ演出が実行される変動表示パターンであっても、すべり変動が実行される時間だけ特別図柄および装飾図柄の変動時間が長く設定されている。これは、すべり変動を伴う場合には、すべり変動を伴わない場合に装飾図柄が停止表示されるタイミングで停止表示されそうになり、このタイミングから別の装飾図柄に移行して停止表示されるまでの時間だけ装飾図柄の停止表示が遅くなるためである。
また、変動番号3〜16,19〜32の変動表示パターンでは、当落の結果に応じて大当り時とはずれ時とで同一または類似した演出態様でリーチ演出が実行され、また、該リーチ演出に応じた特別図柄および装飾図柄の変動時間がほぼ一致して設定されていることから、演出を見るだけでは当否の認識が困難となり、遊技者をハラハラドキドキさせることができ、遊技の興趣を低下させることがない。
この実施の形態では、ステップS411a,S411bで選択される確変大当り時変動表示パターンテーブルおよび非確変大当り時変動表示パターンテーブルには、変動番号3〜32の変動表示パターンのうち当落の結果が大当りとなる変動表示パターン(図18に示す変動表示パターンテーブルの当落にて○が付されている変動表示パターン)が設定され、これらの変動表示パターンに判定値が振り分けられている。ただし、非確変大当り時変動表示パターンテーブルには、変動番号18の「たすと10プレミアム」の変動表示パターンが設定されておらず、確変大当り時変動表示パターンテーブルにて変動番号18の変動表示パターンに振り分けられた判定値の数だけ、それ以外の変動表示パターン(この実施の形態では、すべり変動を伴わない変動番号3〜17の変動表示パターンのうち当落の結果が大当りとなる変動表示パターン)に多くの判定値が振り分けられている。
また、ステップS413で選択されるリーチ時変動表示パターンテーブルには、変動番号3〜32の変動表示パターンのうち当落の結果がはずれとなる変動表示パターン(図18に示す変動表示パターンテーブルの当落にて×が付されている変動表示パターン)が設定され、これらの変動表示パターンに判定値が振り分けられている。また、ステップS414で選択されるはずれ時変動表示パターンテーブルのうち通常状態用はずれ時変動表示パターンテーブルには、当落の結果がはずれとなる変動番号1の「通常変動」の変動表示パターンに判定値が振り分けられ、確変・時短状態用はずれ時変動表示パターンテーブルには、当落の結果がはずれとなる変動番号2の「短縮変動」の変動表示パターンに判定値が振り分けられている。なお、確変・時短状態用はずれ時変動表示パターンテーブルは、時短制御が実行されていない通常状態であっても、始動口スイッチ68a,70aにより検出されたことにもとづいて抽出された大当り判定乱数の記憶数を示す保留球数カウンタの値が上限値、等の条件が成立したときに選択され得る。
また、遊技状態が確率変動状態および時短状態にて参照される各変動表示パターンテーブル(確変大当り時変動表示パターンテーブル、非確変大当り時変動表示パターンテーブル、リーチ時変動表示パターンテーブル、はずれ時変動表示パターンテーブル)と、通常状態にて参照される各変動表示パターンテーブルと、を異なる変動表示パターンテーブルで構成している。そして、確率変動状態および時短状態にて参照される各変動表示パターンテーブルでは、すべり変動を伴う変動番号19〜32の変動表示パターンに判定値がほとんど振り分けられていない。確率変動状態および時短状態では、時短状態が行われて下始動口70への入賞確率が増加するが、特別図柄および装飾図柄の変動時間が長くなると、未だ変動表示が実行されていない保留球数がなかなか消化されず、保留球数が上限値(この実施の形態では、4個)となって遊技者が遊技を一時的に止めてしまう虞がある。従って、特別図柄および装飾図柄の変動時間が長く設定された変動番号19〜32の変動表示パターンの選択確率を減少させ、単位時間当りの変動表示回数を増加させることで、保留球数が消化される待ち時間を抑制することができる。
また、確率変動状態および時短状態にて参照される確変大当り時変動表示パターンテーブルには、通常状態にて参照される確変大当り時変動表示パターンテーブルよりも変動番号18の「たすと10プレミアム」の変動表示パターンに非常に多くの判定値が振り分けられ、確率変動状態においては、確変大当りとなる場合に変動番号18の「たすと10プレミアム」が実行される割合が非常に高くなっている。一方、上述したように、通常状態にて参照される各変動表示パターンテーブルには、確率変動状態および時短状態にて参照される各変動表示パターンテーブルよりもすべり変動を伴う変動番号19〜32の変動表示パターンに非常に多くの判定値が振り分けられ、通常状態においては、すべり変動が実行される割合が非常に高くなっている。これら変動番号18の「たすと10プレミアム」の変動表示パターン、および、すべり変動を伴う変動番号19〜32の変動表示パターンに対しては、「たすと10」図柄を仮停止表示する「たすと10」演出を実行する。このため、確率変動状態において「たすと10」演出が実行された場合には、変動番号18の「たすと10プレミアム」と変動番号19〜32のすべり変動とのいずれが実行されているのかを把握することが困難であるが、確率変動状態にて確変大当りとなる場合に変動番号18の「たすと10プレミアム」が実行される割合が高いため、「たすと10」演出が実行されたときに確変大当りが導出される期待感を高めることができる。
また、大当り時変動表示パターンテーブルおよびリーチはずれ時変動表示パターンテーブルでは、リーチ演出の種別に応じて大当り期待度(当該リーチ演出が実行される割合(全出現率)のうち大当りとなる割合(大当り時の出現率);大当り期待度=大当り時の出現率/全出現率)が異なるように各々の変動表示パターンに対して判定値が振り分けられている。具体的には、ノーマルリーチ演出のみを実行する変動表示パターンよりもスーパーリーチ演出を実行する変動表示パターンの方が大当り期待度が高くなるように設定され、さらにスーパーリーチ演出として「歌リーチ」を実行する変動表示パターンの中では、「歌リーチ(前半)」を実行する変動表示パターンよりも「歌リーチ(後半)」を実行する変動表示パターンの方が大当り期待度が高くなるように設定されている。なお、「歌リーチ(前半)」を実行する変動表示パターンでは、変動番号5,6,21,22の「歌リーチA(前半)」、変動番号9,10,25,26の「歌リーチB(前半)」、変動番号13,14,29,30の「歌リーチC(前半)」の順で大当り期待度が高くなるように設定されている。また、「歌リーチ(後半)」を実行する変動表示パターンでは、変動番号7,8,23,24の「歌リーチA(後半)」、変動番号11,12,27,28の「歌リーチB(後半)」、変動番号15,16,31,32の「歌リーチC(後半)」の順で大当り期待度が高くなるように設定されている。
また、大当り時変動表示パターンテーブルおよびリーチはずれ時変動表示パターンテーブルでは、すべり変動の有無に応じて大当り期待度が異なるように各々の変動表示パターンに対して判定値が振り分けられている。具体的には、すべり変動を伴わない変動表示パターン(変動番号3〜16の変動表示パターン)よりもすべり変動を伴う変動表示パターン(変動番号19〜32の変動表示パターン)の方が大当り期待度が若干高くなるように設定されている。これらすべり変動を伴う変動番号19〜32の変動表示パターンに対しては、「たすと10」図柄を仮停止表示する「たすと10」演出を実行する。このため、「たすと10」演出が実行された場合には、確変大当りが導出される変動番号18の「たすと10プレミアム」が実行されなかったとしても、大当り期待度が若干高い変動番号19〜32のすべり変動が実行されるため、「たすと10」演出が実行されたときに大当りが導出される期待感を高めることができる。
変動表示パターン設定処理のステップS417に次いで、CPU202は、確変状態フラグがセットされているか否か確認し(ステップS418)、確変状態フラグがセットされているときには、確変大当りであることを示す演出コマンドである確変大当りコマンドをセットする(ステップS419)。そして、処理選択フラグを「2」に更新する(ステップS420)。なお、ステップS419にてセットされた確変大当りコマンドは、変動表示パターンコマンドとともにコマンド伝送出力処理(ステップS19)にてサブ統合基板211に送信される。これによりサブ統合基板211に搭載される統合CPU212に今回の変動表示の結果、確変大当りとなることを認識させることが可能となる。
なお、変動表示パターン設定処理では、当落の結果を示す演出コマンドとして確変大当りコマンド以外にも、大当りフラグおよび確変状態フラグがセットされているか否かを確認し、大当りフラグがセットされているが確変状態フラグがセットされていないときに非確変大当りを示す当落コマンドや、大当りフラグがセットされていないときにはずれを示す当落コマンドをセットする処理が実行される。サブ統合基板211に搭載される統合CPU212は、変動表示パターンコマンドとともに送信された当落コマンドにより今回の変動表示の結果、非確変大当りとなることを認識することができる。この実施の形態では、変動表示パターンコマンドにも当落の結果を示す情報が含まれており、統合CPU212は、変動表示パターンコマンドと当落コマンドとの示す当落の結果が一致するか否かを判別している。これにより、統合CPU212に今回の変動表示の結果を確実に認識させることができ、外部ノイズの影響等が原因でコマンド受信に失敗し、間違った変動表示の結果を表示するといった誤動作を防止することができる。
また、変動表示パターン設定処理では、遊技状態を示す演出コマンドとして、確変フラグまたは時短フラグがセットされているか否かを確認し、確変フラグがセットされているときに遊技状態が確変状態であることを示す遊技状態コマンドや、時短フラグがセットされているときに遊技状態が時短状態であることを示す遊技状態コマンドをセットする処理が実行される。遊技状態コマンドは、変動表示パターンコマンドおよび当落コマンドとともにコマンド伝送出力処理(ステップS19)にてサブ統合基板211に送信される。サブ統合基板211に搭載される統合CPU212は、遊技状態コマンドが確変状態を示すことで遊技状態が確変状態であることを認識することができ、時短状態を示すことで遊技状態が時短状態であることを認識することができる。
また、ステップS417で変動時間がセットされた有効期間タイマは、コマンド伝送出力処理(ステップS19)で変動表示パターンコマンドをサブ統合基板211に送信するときにスタートし、変動中処理(ステップS42)で有効期間タイマがタイムアウトしたときに特別図柄表示LED144aに駆動信号を出力して特別図柄の変動表示をCPU202により停止制御させるとともに、サブ統合基板211に装飾図柄の変動表示停止を指示する演出コマンド(変動停止コマンド)を送信する。なお、サブ統合基板211では、変動停止コマンドを受信したことにもとづいて装飾図柄の停止を確定表示するための制御を行う。
また、表示装置に複数の表示領域を設け、それぞれの表示領域にて図柄を変動表示する場合には、上述した大当り判定処理にて大当りとする判定がなされたときに、特定の表示結果で停止表示する表示ラインを複数有する場合には、いずれかの表示ラインにて未だ停止していない図柄が所定の図柄で停止することにより当該表示ラインに停止表示される図柄が特定の表示結果となる状態、または、いずれかの表示ラインにて全ての図柄が特定の表示結果となるような組み合わせで同期して変動表示している状態、をリーチ態様という。すなわち、リーチ態様とは、特定の表示結果(大当り表示)の一歩手前を表す態様(大当りとなる直前の態様)である。この実施の形態では、上述した表示ラインを1つだけ有し、液晶表示器50に表示される左・中・右の装飾図柄のうち左装飾図柄と右装飾図柄と(任意の2つの装飾図柄の組み合わせでもよい)が同一の図柄で停止し、中装飾図柄(任意の2つの装飾図柄の組み合わせが停止した状態では残りの装飾図柄)については変動表示している状態、または、液晶表示器50に表示される全ての装飾図柄が同一の図柄の組み合わせで同期して変動表示している状態(例えば、左・中・右の装飾図柄が常に同一の図柄となるように同期して変動表示している状態)をリーチ態様といい、リーチ態様となった後、枠ランプ27、センターLED基板102,104,106,108,110,112,114,116やサイドLED基板130、液晶表示器50、上部スピーカ29、および下部スピーカ14等により実行される演出(例えば、枠ランプ27やセンターLED基板102,104,106,108,110,112,114,116、サイドLED基板130を所定の態様で点灯・点滅、液晶表示器50にて所定の画像表示、上部スピーカ29および下部スピーカ14にて所定の音声出力)をリーチ演出という。
次に、サブ統合基板211に搭載される統合CPU212によって実行される処理について説明する。図19はサブメイン処理の一例を示すフローチャートであり、図19は16ms定常処理の一例を示すフローチャートである。
図19に示すように、パチンコ機1への電力供給が開始されると、統合CPU212は、初期設定処理を行う(ステップS71)。この初期設定処理は、サブ統合基板211に搭載される統合RAM214をクリアする処理等が行われる。なお、この初期設定処理中では割込禁止となっており、初期設定処理のあと割込許可となる。初期設定処理(ステップS71)が終了すると、16ms経過フラグTがセットされたか否かを監視するループ処理を開始する(ステップS72)。
この実施の形態では、統合CPU212は、2ms経過毎に割込を発生させ、2ms定常処理を実行する。2ms定常処理では、16ms経過監視カウンタをカウントアップする(16ms経過監視カウンタを1加算する)処理が実行され、16ms経過監視カウンタの値が8になったとき、すなわち、16ms経過したときに16ms経過フラグTをセットするとともに、16ms経過監視カウンタをリセット(0にする)処理が実行される。このように、16ms経過フラグTは、2ms定常処理にて16ms毎に「1」に設定(セット)され、通常は「0」に設定(リセット)されている。ステップS72で16ms経過フラグがセットされている(16ms経過フラグTが「1」)ときには、16ms経過フラグをリセットした後(ステップS73)、16ms定常処理を行う(ステップS74)。
この16ms定常処理では、主制御基板201から受信した演出コマンドにもとづいて液晶表示器50、枠ランプ27、センターLED基板102,104,106,108,110,112,114,116、サイドLED基板130、スピーカ14,29等を制御する処理が実行される。16ms定常処理が終了すると、再びステップS72に戻り、16ms経過フラグTがセットされる毎に、つまり16ms毎に上述したステップS73〜ステップS74を繰り返し行う。一方、ステップS72で16ms経過フラグTがセットされていない(16ms経過フラグTが「0」)ときには、16ms経過フラグTがセットされるまでループ処理を行う。
図20は、サブメイン処理にて16ms毎に実行される16ms定常処理の一例を示すフローチャートである。16ms定常処理において、統合CPU212は、ステップS91〜ステップS95の処理を実行する。ステップS91のコマンド解析処理では、主制御基板201から受信した演出コマンドを解析する。ステップS91aのリモコン信号受信処理では、リモコン90から受信した操作信号にもとづいて演出表示器50に関わる制御処理を実行する。ステップS92の演出制御処理では、変動表示パターンコマンドにもとづいて液晶表示器50に関わる制御処理を実行する。具体的には、後述する予告演出の設定、装飾図柄の停止図柄の決定、等を行う。
また、ステップS93の音制御処理では、スピーカ14,29に関わる制御処理を実行する。ステップS94のランプ制御処理では、センターLED基板102,104,106,108,110,112,114,116、サイドLED基板130、枠ランプ27に関わる制御処理を実行する。ステップS95の情報出力処理では、表示制御基板220に表示コマンドを送信するとともに、ランプ駆動基板156に駆動信号およびランプ点灯信号を送信する。ステップS96の乱数更新処理では、演出制御処理(ステップS92)で各種設定に用いられる乱数を更新する処理を実行する。
ここで、上述した乱数更新処理(ステップS96)でサブ統合基板211に搭載される統合CPU212により更新される各種乱数について図21を参照して説明する。図21に示すように、この実施の形態では、装飾図柄の停止図柄として確変大当り図柄の決定に用いられる確変大当り図柄乱数、装飾図柄の停止図柄として非確変大当り図柄の決定に用いられる非確変大当り図柄乱数、装飾図柄の停止図柄としてはずれ図柄の決定に用いられるはずれ図柄乱数、「たすと10」演出を実行するか否かの判定に用いられる「たすと10」実行判定乱数、「たすと10」演出を実行するときに装飾図柄の仮停止図柄として「たすと10」図柄の決定に用いられる「たすと10」図柄乱数、背景画像を切替えるか否かの判定(例えば、通常背景から次の季節背景や特殊背景に移行するか否かの判定や、特殊背景から通常背景に移行して当該特殊背景を終了するか否かの判定)に用いられる背景判定乱数、等がある。なお、各種乱数(確変大当り図柄乱数、非確変大当り図柄乱数、はずれ図柄乱数、「たすと10」実行判定乱数、「たすと10」図柄乱数、背景判定乱数、等)は、コマンド解析処理(ステップS91)にて主制御基板201から受信した演出コマンドが変動表示パターンであるときに取得される。
また、16ms定常処理におけるステップS91〜ステップS96の処理は16ms以内に終了する。仮に、16ms定常処理を開始してから当該16ms定常処理の終了までに16ms以上かかったとしても、16ms定常処理を開始してから16ms経過したときに直ぐに16ms定常処理を最初から(後述するステップS91のコマンド解析処理から)実行しない。すなわち、16ms定常処理の実行中に16ms経過したときには、16ms経過フラグのセットのみを行い、当該16ms定常処理の終了後にステップS72で16ms経過フラグがセットされていると判定されたときに16ms定常処理を開始する。
また、この実施の形態では、16ms定常処理にて乱数更新処理(ステップS96)を実行して各種乱数を更新するように構成しているが、各種乱数を更新する時期(タイミング)はこれに限られるものではない。例えば、サブメイン処理におけるループ処理および16ms定常処理のいずれか一方または両方にて各種乱数を更新するように構成してもよい。
図23は、リモコン信号受信処理(ステップS91a)の一例を示すフローチャートである。リモコン信号受信処理では、統合CPU212は、まず、リモコン90から操作信号を受信したか否かを判別する(ステップS651)。この実施の形態では、受信部90aがリモコン90から送信された操作信号を検出すると、サブ統合基板211に検出信号を入力し、16ms定常処理等の他の処理を中断して検出信号受信割込処理を発生させ、サブ統合基板211に搭載される統合RAM214における検出信号格納領域に検出信号の受信を示すフラグをセットする。ステップS651では、検出信号格納領域に検出信号の受信を示すフラグがセットされているか否かを判別し、検出信号の受信を示すフラグがセットされていれば(ステップS651にてYES)、検出信号の受信を示すフラグをリセットし、ステップS652〜S658の処理を実行する。また、検出信号の受信を示すフラグがセットされていなければ(ステップS651にてNO)、リモコン90から操作信号を受信していないと判別して処理を終了する。
リモコン90から操作信号を受信していれば(ステップS651にてYES)、特殊背景強制フラグがセットされているか判別する(ステップS652)。特殊背景強制フラグがセットされていなければ(ステップS652にてNO)、特殊背景強制フラグをセットし(ステップS653)、リモコン90のON操作に応じた表示コマンドをセットする(ステップS654)。そして、特殊背景実行フラグがセットされているか判別し(ステップS655)、特殊背景実行フラグがセットされている場合には(ステップS655にてYES)、特殊背景実行フラグをリセットする(ステップS656)。なお、特殊背景強制フラグは、特殊背景実行フラグとは別のフラグであり、特殊背景を次回の変動表示から所定の回数(この実施の形態では、30回)だけ表示制御することを示すフラグである。また、特殊背景強制フラグのセット/リセット状態(ON状態/OFF状態)は、統合RAM214に記憶される。
また、特殊背景強制フラグがセットされていれば(ステップS652にてYES)、特殊背景強制フラグをリセットし(ステップS657)、リモコン90のOFF操作に応じた表示コマンドをセットする(ステップS658)。ステップS654,S658でセットされた表示コマンドは、情報出力処理(ステップS95)にて表示制御基板220に送信され、表示制御基板220に搭載される表示CPU221により当該表示コマンドがリモコン90のON操作に応じたコマンドであれば、液晶表示器50にてリモコン90がON操作された旨を示す演出表示を表示制御し、リモコン90のOFF操作に応じたコマンドであれば、液晶表示器50にてリモコン90がON操作された旨を示す演出表示を非表示に表示制御する。このように構成することで、リモコン90のON/OFF操作ボタンを操作したときに受信部90aがリモコン90からの操作信号を正確に受信したか否かを、演出表示器50にてリモコン90がON操作された旨を示す演出表示が表示されたか否かによって確認することができる。なお、この実施の形態では、液晶表示器50にてリモコン90がON操作された旨を示す演出表示が表示されているが、リモコン90がON操作されたか否かを判別できればよく、例えば、遊技盤4や演出装置400等の遊技場の管理者(または遊技者)に視認可能な位置に取り付けられたランプやLEDであってもよい。
図22は、コマンド解析処理(ステップS91)の一例を示すフローチャートである。コマンド解析処理において、統合CPU212は、まず、主制御基板201から演出コマンドを受信したか否かを判別する(ステップS601)。この実施の形態では、主制御基板201から演出コマンドを受信すると、16ms定常処理等の他の処理を中断してコマンド受信割込処理を発生させ、受信したコマンドを、サブ統合基板211に搭載される統合RAM214における受信コマンド格納領域に保存する。なお、受信コマンド格納領域は、演出コマンドの受信順に対応して複数の領域が設けられ、コマンド受信割込処理では、演出コマンドの受信順に対応して各領域に保存する。ステップS601では、受信コマンド格納領域の内容を確認し、受信コマンドが記憶されていれば、受信コマンド格納領域の受信順が先の演出コマンドを読み出す(ステップS602)。
そして、読み出した演出コマンドが変動表示パターンコマンドであるか判別し(ステップS603)、読み出した演出コマンドが変動表示パターンコマンドであれば(ステップS603にてYES)、変動表示パターン受信フラグをセットするとともに、サブ統合基板211に搭載される統合RAM214における変動表示パターン格納領域に格納する(ステップS604)。なお、読み出した演出コマンドが変動表示パターンコマンドであるときには、乱数更新処理(ステップS96)で更新される各種乱数(確変大当り図柄乱数、非確変大当り図柄乱数、はずれ図柄乱数、「たすと10」実行判定乱数、「たすと10」図柄乱数、背景判定乱数、等)を取得し、統合RAM214の所定の保存領域に記憶する処理も行う。
一方、読み出した演出コマンドが変動表示パターンコマンドでなければ(ステップS603にてNO)、読み出した演出コマンドが確変大当りコマンドであるか判別し(ステップS605)、読み出した演出コマンドが確変大当りコマンドであれば(ステップS605にてYES)、確変大当りフラグをセットする(ステップS606)。また、読み出した演出コマンドが確変大当りコマンドでなければ(ステップS605にてNO)、受信した演出コマンド(確変大当りコマンド以外の当落コマンド、遊技状態コマンド、変動停止コマンド、大当り開始コマンド等)に対応したフラグをセットする(ステップS607)。
図24は、演出制御処理(ステップS92)の一例を示すフローチャートである。演出制御処理において、統合CPU212は、遊技の進行状態を示す処理選択フラグの値を参照してステップS700〜ステップS702のうちいずれかの処理を行う。
処理選択フラグが「0」のときに実行される装飾図柄変動開始処理(ステップS700)では、変動表示パターンコマンドを受信していれば装飾図柄の変動表示を開始させるための設定を行う。具体的には、変動表示パターンコマンドおよび確変大当りコマンドに応じて装飾図柄の停止図柄を決定するとともに、予告演出等の設定を行い、処理選択フラグを「1」に更新する。
処理選択フラグが「1」のときに実行される装飾図柄変動処理(ステップS701)では、変動停止コマンドを受信したときに表示制御基板220に表示コマンドを送信して装飾図柄の変動表示を停止させる制御を行い、主制御基板201から大当り開始コマンドを受信していれば処理選択フラグを「2」に更新し、主制御基板201から大当り開始コマンドを受信していなければ処理選択フラグを「0」に更新する。
処理選択フラグが「2」のときに実行される大当り表示処理(ステップS702)では、主制御基板201から送信される大当り開始コマンドに応じて液晶表示器50に大当り遊技状態の開始を示す表示を行うとともに、主制御基板201から送信される大当り中コマンドに応じて大当り遊技状態中の表示(例えば、ラウンド表示等)を行うための制御を実行し、大当り終了コマンドを受信していれば大当り遊技状態の終了表示を行い、処理選択フラグを「0」に更新する。
図25は、装飾図柄変動開始処理(ステップS700)の一例を示すフローチャートである。装飾図柄変動開始処理において、統合CPU212は、まず、変動表示パターン受信フラグがセットされているか判別する(ステップS710)。変動表示パターン受信フラグは、上述したコマンド解析処理(ステップS91)のステップS604でセットされ、主制御基板201から変動表示パターンコマンドを受信したことを示すフラグである。すなわち、ステップS710で変動表示パターン受信フラグがセットされていなければ(ステップS710にてNO)、変動表示パターンコマンドを受信していないと判別して処理を終了する。
一方、変動表示パターン受信フラグがセットされていれば(ステップS710にてYES)、変動表示パターン受信フラグをリセットし(ステップS711)、「たすと10」演出を実行するか否かの判定にもとづいて装飾図柄の仮停止図柄として「たすと10」図柄を設定する「たすと10」設定処理(ステップS711a)を実行する。そして、受信した当落コマンドが当りを示すコマンドであるか判別するとともに、受信した変動表示パターンコマンドにもとづく変動表示パターンが大当りを発生させる変動表示パターンであるか(当りパターンであるか)判別する(ステップS712)。当りパターンであるか否かは、変動表示パターンコマンドの2バイト目のデータを参照することにより確認できる。
当落コマンドが当りを示すコマンドでなければ(ステップS712にてNO)、はずれ図柄の停止図柄を決定する(ステップS713)。次いで、「たすと10」設定処理(ステップS711a)にて「たすと10」演出を実行するか否かを判別し(ステップS713a)、「たすと10」演出を実行することを決定していなければ(ステップS713aにてNO)、「たすと10」図柄テーブル(図27(A)参照)を選択する。そして、「たすと10」図柄テーブルに設定された「たすと10」図柄と、ステップS713で決定されたはずれ図柄の停止図柄と、が一致するか否かにもとづいてはずれ図柄を差替えるか否かを決定し(ステップS713b;「たすと10」差替判定)、一致することにもとづいてはずれ図柄を「たすと10」図柄から「たすと10」図柄テーブル(図27(B)参照)に設定されたはずれ図柄に差替える(ステップS713c)。このように、ステップS713a〜S713cを実行することで、はずれ図柄の停止図柄として「たすと10」図柄が停止表示されることはないが、詳細については後述する。
一方、変動表示パターンが当りパターンであれば(ステップS712にてYES)、確変大当りフラグがセットされているか判別し(ステップS714)、確変大当りフラグがセットされていれば(ステップS714にてYES)、確変大当り図柄の停止図柄を決定する(ステップS715)。また、ステップS714で確変大当りフラグがセットされていなければ(ステップS714にてNO)、非確変大当り図柄の停止図柄を決定する(ステップS716)。確変大当りフラグは、大当り表示処理(ステップS702)にて大当り遊技状態を開始するときにリセットされる。なお、確変大当りフラグがリセットされる時期はこれに限らず、例えば、装飾図柄変動処理(ステップS701)で装飾図柄の変動表示を停止させるとき、具体的には、変動停止コマンドを受信したときにリセットするようにしてもよいし、大当り表示処理(ステップS702)で大当り遊技状態を終了するときにリセットするようにしてもよい。
この実施の形態では、装飾図柄の確変大当り図柄として同一の奇数図柄(特定図柄)の組み合わせのうちいずれかの組み合わせの図柄を停止図柄として決定し、装飾図柄の非確変大当り図柄として同一の偶数図柄(非特定図柄)の組み合わせのうちいずれかの組み合わせの図柄を停止図柄として決定する。また、ステップS713ではずれ図柄の停止図柄を決定するときに、リーチ態様を伴う変動表示パターンであるかを判別し、リーチ態様を伴う変動表示パターンであれば、装飾図柄のはずれ図柄として左・中・右の装飾図柄のうち左および右の装飾図柄が同一図柄であり、中の装飾図柄は左および右の装飾図柄とは異なる図柄となる停止図柄に決定する。一方、リーチ態様を伴わない変動表示パターンであれば、装飾図柄のはずれ図柄として左・中・右の装飾図柄のそれぞれが異なる図柄となる停止図柄に決定する。なお、上記した確変大当り図柄、非確変大当り図柄およびはずれ図柄の停止図柄は、「たすと10」演出を実行しない場合にコマンド解析処理(ステップS91)で取得した確変大当り図柄乱数、非確変大当り図柄乱数またははずれ図柄乱数のそれぞれを用いて決定される一方、「たすと10」演出を実行する場合に「たすと10」図柄の左装飾図柄にもとづく図柄の組み合わせに決定される。
次いで、統合CPU212は、予告演出を実行するか否かの判定や当該予告演出の種別の決定を行う予告選択処理(ステップS717)を実行した後、背景画像の種別(通常背景の季節や特殊背景)の決定を行う背景選択処理(ステップS717a)を実行し、変動表示パターンと、後述する予告種類格納領域に記憶される予告パターンと、ステップS713,S715,S716で決定した装飾図柄の停止図柄と、に応じた表示コマンドをセットする(ステップS718)。そして、処理選択フラグを「1」に更新して処理を終了する(ステップS719)。なお、ステップS718でセットされた表示コマンドは、情報出力処理(ステップS95)にて表示制御基板220に送信され、表示制御基板220に搭載される表示CPU221により当該表示コマンドを受信したことにもとづいて液晶表示器50にて装飾図柄の変動表示の実行を開始する。また、ステップS718で予告種類格納領域に記憶される予告パターンを読み出したときには、当該予告パターンを読み出した後、予告種類格納領域の内容をクリアする。これにより、次回の装飾図柄の変動表示にて誤って以前の装飾図柄の変動表示を開始するときに決定した予告パターンの予告演出が実行されることを防止できる。
図26は、装飾図柄変動開始処理(ステップS700)で実行される「たすと10」設定処理(ステップS717a)の一例を示すフローチャートである。「たすと10」設定処理において、統合CPU212は、先ず、受信した変動表示パターンコマンドにもとづく変動表示パターンが変動番号18の「たすと10プレミアム」であるか否かを判別する(ステップS851)。変動番号18の「たすと10プレミアム」の変動表示パターンであれば(ステップS851にてYES)、共通時「たすと10」図柄テーブル(図27参照)を選択する(ステップS852)。そして、確変大当り時「たすと10」図柄テーブルに設定されている判定値と、コマンド解析処理(ステップS91)で取得した「たすと10」図柄乱数の値と、が一致する「たすと10」図柄に決定する(ステップS853)。
一方、ステップS851で変動表示パターンが変動番号18の「たすと10プレミアム」でなければ(ステップS851にてNO)、変動表示パターンがすべり変動を伴ったパターン(変動番号19〜32の変動表示パターン)であるか否かを判別する(ステップS854)。変動表示パターンがすべり変動を伴ったパターンであれば(ステップS854にてYES)、「たすと10」実行判定テーブル(図示しない)を選択する(ステップS855)。そして、「たすと10」実行判定テーブルに設定されている判定値と、コマンド解析処理(ステップS91)で取得した「たすと10」実行判定乱数の値と、が一致するか否かにもとづいて「たすと10」演出を実行するか否かを決定し(ステップS855;「たすと10」実行判定)、一致することにもとづいて「たすと10」演出を実行することを決定する。なお、「たすと10」実行判定テーブルでは、0〜1の2個の「たすと10」実行判定乱数のうち「たすと10」演出を実行する判定値の個数が1個であり、「たすと10」演出を実行する割合が1/2に設定されている。
この実施の形態では、変動番号19〜32のすべり変動を伴う変動表示パターンにもとづいて単にすべり変動が実行される場合と、ステップS855で「たすと10」実行判定により「たすと10」演出を実行することを決定したときに「たすと10」図柄を仮停止表示した後、すべり変動が実行される場合と、がある。このように構成することで、すべり変動が複数種類の変動表示の展開によって実行され、リーチ態様が導出される過程を多種多様とし、遊技の興趣にメリハリを生じさせるができる。
次いで、統合CPU212は、ステップS855で「たすと10」実行判定により「たすと10」演出を実行することを決定したときに(ステップS856にてYES)、受信した当落コマンドが当りを示すコマンドであるか判別するとともに、受信した変動表示パターンコマンドにもとづく変動表示パターンが大当りを発生させる変動表示パターンであるか(当りパターンであるか)判別する(ステップS857)。当りパターンであるか否かは、変動表示パターンコマンドの2バイト目のデータを参照することにより確認できる。
当落コマンドが当りを示すコマンドでなければ(ステップS857にてNO)、共通時「たすと10」図柄テーブル(図27(A)参照)を選択する(ステップS858)。また、当落コマンドが当りを示すコマンドであれば(ステップS857にてYES)、確変大当りフラグがセットされているか判別し(ステップS859)、確変大当りフラグがセットされていれば(ステップS859にてYES)、確変大当り時「たすと10」図柄テーブル(図27(A)参照)を選択する(ステップS860)。
一方、ステップS859で確変大当りフラグがセットされていなければ(ステップS859にてNO)、非確変大当り時「たすと10」図柄テーブル(図27(A)参照)を選択する(ステップS861)。そして、ステップS858,S861,S862で選択された確変大当り時「たすと10」図柄テーブル、非確変大当り時「たすと10」図柄テーブル、または、共通時「たすと10」図柄テーブルに設定されている判定値と、コマンド解析処理(ステップS91)で取得した「たすと10」図柄乱数の値と、が一致する「たすと10」図柄を仮停止図柄として決定する(ステップS862)。
なお、確変大当り時「たすと10」図柄テーブル、非確変大当り時「たすと10」図柄テーブル、および共通時「たすと10」図柄テーブルを図27(A)に示す。これら「たすと10」図柄テーブルには、「たすと10」図柄として「たすと10」図柄番号1〜30の30種類が用意されている。具体的には、図27(A)に示すように、左右の装飾図柄でリーチ態様を形成せず、且つ、全装飾図柄に描かれた数字図柄の数値の合計が「10」となる図柄の組み合わせ(「たすと10」図柄)が設定されている。
確変大当り時「たすと10」図柄テーブルは、変動番号19〜32のすべりありパターンであるとともに確変大当りを示す当落コマンドを受信したときであって、「たすと10」実行判定により「たすと10」演出を実行することを決定したときに、ステップS862で「たすと10」図柄乱数にもとづいて「たすと10」図柄を決定するためのテーブルである。また、確変大当り時「たすと10」図柄テーブルでは、左装飾図柄に描かれた数字図柄が奇数図柄(この実施の形態では、「一」,「三」,「五」,「七」)となる「たすと10」図柄番号1〜6,13〜17,22〜25,29,30の17種類に「たすと10」図柄乱数の値が略均等に振り分けられている。これは、確変大当り時「たすと10」図柄テーブルを選択した場合、確変大当りを示す当落コマンドにもとづいて確変大当り図柄(同一の奇数図柄の組み合わせ)を停止表示するためである。すなわち、左装飾図柄に描かれた数字図柄が奇数図柄となる「たすと10」演出が実行されると、右装飾図柄がすべり変動し、当該左装飾図柄と同一の奇数図柄で停止表示されることでリーチ態様を形成した後、中装飾図柄もリーチ演出にて当該左装飾図柄と同一の奇数図柄で停止表示されることで確変大当り図柄となり、今回の変動表示の結果、確変大当りが導出される。
また、非確変大当り時「たすと10」図柄テーブルは、変動番号19〜32のすべりありパターンであるとともに非確変大当りを示す当落コマンドを受信したときであって、「たすと10」実行判定により「たすと10」演出を実行することを決定したときに、ステップS862で「たすと10」図柄乱数にもとづいて「たすと10」図柄を決定するためのテーブルである。また、非確変大当り時「たすと10」図柄テーブルでは、左装飾図柄に描かれた数字図柄が偶数図柄(この実施の形態では、「二」,「四」,「六」)となる「たすと10」図柄番号7〜12,18〜21,26〜28の13種類に「たすと10」図柄乱数の値が略均等に振り分けられている。これは、非確変大当り時「たすと10」図柄テーブルを選択した場合、非確変大当りを示す当落コマンドにもとづいて非確変大当り図柄(同一の偶数図柄の組み合わせ)を停止表示するためである。すなわち、左装飾図柄に描かれた数字図柄が偶数図柄となる「たすと10」演出が実行されると、右装飾図柄がすべり変動し、当該左装飾図柄と同一の偶数図柄で停止表示されることでリーチ態様を形成した後、中装飾図柄もリーチ演出にて当該左装飾図柄と同一の偶数図柄で停止表示されることで非確変大当り図柄となり、今回の変動表示の結果、非確変大当りが導出される。
また、共通時「たすと10」図柄テーブルは、変動番号18の「たすと10プレミアム」に対応した変動表示パターンコマンドを受信したとき、または、変動番号19〜32のすべりありパターンであるとともにはずれを示す当落コマンドを受信したときに、ステップS862で「たすと10」図柄乱数にもとづいて「たすと10」図柄を決定するためのテーブルである。また、共通時「たすと10」図柄テーブルでは、左装飾図柄に描かれた数字図柄が奇数図柄または偶数図柄のいずれでもよく、「たすと10」図柄番号1〜30の30種類に「たすと10」図柄乱数の値が略均等に振り分けられている。これは、共通時「たすと10」図柄テーブルを選択した場合、変動番号18の「たすと10プレミアム」に対応した変動表示パターンコマンドにもとづいて「たすと10」図柄とは関係なく確変大当り図柄を停止表示したり、はずれを示す当落コマンドにもとづいてはずれ図柄を停止表示するためである。すなわち、変動番号18の「たすと10プレミアム」に対応した変動表示パターンコマンドを受信したときに「たすと10」演出が実行されると、可動体駆動部モータ126を駆動制御することにより可動体124を作動し、仮停止表示された装飾図柄が可動体124に覆われて視認困難となる期間に確変大当り図柄を停止表示し、今回の変動表示の結果、確変大当りが導出される。また、はずれを示す当落コマンドを受信したときに「たすと10」演出が実行されると、右装飾図柄がすべり変動し、左装飾図柄と同一の偶数図柄で停止表示されることでリーチ態様を形成するが、中装飾図柄がリーチ演出にて左装飾図柄とは異なる図柄で停止表示されることではずれ図柄となり、今回の変動表示の結果、はずれが導出される。
この実施の形態では、変動番号19〜32のすべり変動を伴う変動表示パターンに対して「たすと10」演出を実行する場合に、「たすと10」設定処理のステップS862で装飾図柄の仮停止図柄として「たすと10」図柄に決定するとともに、装飾図柄変動開始処理のステップS713,S715,S716で装飾図柄の停止図柄として「たすと10」図柄の左装飾図柄にもとづく図柄の組み合わせに決定する。具体的には、確変大当り時「たすと10」図柄テーブルから「たすと10」図柄を決定したときにステップS715で「たすと10」図柄の左装飾図柄と同一の奇数図柄の組み合わせ(確変大当り図柄)となる停止図柄に決定し、非確変大当り時「たすと10」図柄テーブルから「たすと10」図柄を決定したときにステップS716で「たすと10」図柄の右装飾図柄と同一の偶数図柄の組み合わせ(非確変大当り図柄)となる停止図柄に決定し、共通時「たすと10」図柄テーブルから「たすと10」図柄を決定したときにステップS713で「たすと10」図柄の左装飾図柄と右装飾図柄が同一であり、中装飾図柄が異なる停止図柄に決定する。
一方、この実施の形態では、変動番号18の「たすと10プレミアム」の変動表示パターンに対して「たすと10」演出を実行する場合に、「たすと10」設定処理のステップS853で装飾図柄の仮停止図柄として「たすと10」図柄に決定するとともに、装飾図柄変動開始処理のステップS715で装飾図柄の停止図柄として「たすと10」図柄の左装飾図柄とは関わりなく、特定の奇数図柄(この実施の形態では、「七」)の組み合わせ(確変大当り図柄)に決定する。
また、この実施の形態では、確変大当り時「たすと10」図柄テーブル、非確変大当り時「たすと10」図柄テーブル、共通時「たすと10」図柄テーブルに設定された「たすと10」図柄番号に対して「たすと10」図柄乱数の値が略均等に振り分けられているが、「たすと10」図柄番号に対して均等に振り分けられていなくてもよく、例えば、左装飾図柄の各々の数字図柄が導出される割合が略均等となるように「たすと10」図柄乱数の値を振り分けてもよい。例えば、確変大当り時「たすと10」図柄テーブルでは、「たすと10」図柄番号1〜6,13〜17,22〜25,29,30の17種類に対して「たすと10」図柄乱数の値が略均等に振り分けられると、左装飾図柄の数字図柄を「一」に決定する割合が高くなり、結果として確変大当り図柄が「一」の組み合わせで導出される割合が高くなってしまう。しかしながら、左装飾図柄の数字図柄を「一」とする「たすと10」図柄番号1〜6、「三」とする「たすと10」図柄番号13〜17、「五」とする「たすと10」図柄番号22〜25、「七」とする「たすと10」図柄番号29,30のそれぞれの数字図柄が導出される割合が略均等となるように「たすと10」図柄乱数を振り分けることで、確変大当り図柄として導出される数字図柄の組み合わせの偏りをなくすことができる。
また、この実施の形態では、確変大当り時「たすと10」図柄テーブル、非確変大当り時「たすと10」図柄テーブル、共通時「たすと10」図柄テーブルから「たすと10」図柄を決定しているが、「たすと10」図柄の決定方法はこれに限られず、例えば、まず当落コマンドにもとづいて左装飾図柄の数字図柄のみを決定(例えば、確変大当りを示す当落コマンドであれば奇数図柄であり、非確変大当りを示す当落コマンドであれば偶数図柄を決定)した後、当該決定された左装飾図柄の数字図柄を含む「たすと10」図柄に決定してもよい。
なお、確変大当り時変動表示パターンテーブルまたは非確変大当り時変動表示パターンテーブルには、変動表示パターンとして再抽選演出を実行する再抽選パターンを設定してもよい。再抽選演出とは、液晶表示器50にて変動表示される左・中・右の装飾図柄を大当り図柄(仮停止図柄)で仮停止表示(未だ装飾図柄の変動表示が停止していない状態、例えば、上下(または/および左右であってもよい)に小刻みに揺れて完全には装飾図柄が停止していない状態)した後、再び左・中・右の装飾図柄を変動表示させる表示を所定回繰り返した後、仮停止表示した大当り図柄または仮停止表示した大当り図柄とは異なる大当り図柄で確定表示する演出である。再抽選演出では、変動表示する特別図柄を装飾図柄が確定表示されるまで停止表示しない。なお、再抽選演出では、実際に別抽選(確変大当りとするか否かの判定)はしていないが、一旦、大当り図柄が停止表示されたかのように表示した後、当該大当り図柄を変更するか否かの演出であり、一旦停止表示されたかのように表示される大当り図柄とは異なる大当り図柄を停止図柄(確定図柄)として停止表示する場合と、一旦停止表示されたかのように表示される大当り図柄を停止図柄(確定図柄)として停止表示する場合と、がある。そして、すべり変動を伴う再抽選パターンに対して「たすと10」演出を実行する場合には、当落コマンド、すなわち停止図柄(確定図柄)が確変大当り図柄または非確変大当り図柄であるかにもとづいて「たすと10」図柄を決定するのではなく、仮停止表示する大当り図柄が確変大当り図柄または非確変大当り図柄であるかにもとづいて「たすと10」図柄を決定することになる。
また、この実施の形態では、「たすと10」図柄として、左右の装飾図柄でリーチ態様を形成せず、且つ、全装飾図柄に描かれた数字図柄の数値の合計が「10」となる図柄の組み合わせが設定されている。また、装飾図柄には、「一」〜「七」の7種類の数字図柄が用いられている。このように構成することで、左装飾図柄の全ての数字図柄に対して「たすと10」図柄が設定され、全装飾図柄のうち最初に停止表示する左装飾図柄が最高値である「七」であったとしても、全装飾図柄が停止表示したときに数字図柄の数値の合計が「10」となる可能性が残されており、左装飾図柄が停止表示(仮停止表示)した後も「たすと10」図柄となるか否かに注目させることができ、装飾図柄の変動表示に対して最後まで期待感を抱かせることができる。また、数字図柄の数値の合計が「10」であるのに対して数字図柄の最高値を「七」としているが、数字図柄の最高値は小さな値とすることが好ましく、誰にでも数値の合計が「10」であることを簡単に計算することができるように構成している。また、装飾図柄の各々が停止表示(仮停止表示)される順に数字図柄の数値の合計を計算させることで、装飾図柄の変動表示に対する視覚的な興趣だけでなく、遊技者の思考力にも働きかけている。なお、数字図柄の数値の合計は、高度な計算能力を要しない程度の値であれば何でもよい。
また、この実施の形態では、装飾図柄変動開始処理のステップS713a〜S713cを実行することで、はずれ図柄として「たすと10」図柄を停止表示することがない。具体的には、ステップS714cの「たすと10」差替判定にて「たすと10」図柄テーブル(図27(A)参照)に設定された「たすと10」図柄と、ステップS713で決定されたはずれ図柄の停止図柄と、が一致したときに、「たすと10」図柄差替テーブル(図27(B)参照)に設定されたはずれ図柄に差替える(ステップS713c)。なお、ステップS714dで差替えるはずれ図柄は、「たすと10」差替判定にて一致した図柄の「たすと10」図柄番号と同一の番号である「たすと10」図柄差替番号のはずれ図柄(例えば、「たすと10」図柄番号1であれば「たすと10」図柄差替番号1のはずれ図柄)に決定される。
ここで、「たすと10」演出が実行された場合には、変動番号18の「たすと10プレミアム」の変動表示パターンにもとづいて確変大当り図柄を導出する場合と、変動番号19〜32のすべり変動を伴う変動表示パターンにもとづいてすべり変動を実行し、リーチ態様を導出する場合と、がある。このように構成することで、装飾図柄が「たすと10」図柄で仮停止表示された場合には、少なくともリーチ態様が導出されるため、「たすと10」演出が実行されたときに大当り遊技状態に対する期待感を高めることができる。
なお、「たすと10」図柄差替テーブルを図27(B)に示す。「たすと10」図柄差替テーブルには、「たすと10」図柄番号1〜30の各々に対応させた「たすと10」図柄差替番号1〜30の30種類が用意されている。具体的には、図27(B)に示すように、「たすと10」図柄番号1〜30に設定された「たすと10」図柄のうち中装飾図柄の数字図柄の数値を1加算した図柄(ただし、「七」であれば「一」)の組み合わせが設定されている。
図28および図29は、装飾図柄変動開始処理(ステップS700)で実行される背景選択処理(ステップS717a)の一例を示すフローチャートである。背景選択処理において、統合CPU212は、先ず、遊技状態が確率変動状態または時短状態であるか判別する(ステップS811)。なお、遊技状態が確率変動状態または時短状態であるか否かは、主制御基板201から確率変動状態または時短状態を示す遊技状態コマンドを受信し、コマンド解析処理(ステップS91)のステップS607でセットされた確率変動状態または時短状態を示す遊技状態コマンドに対応したフラグにより確認できる。遊技状態が確率変動状態または時短状態であれば(ステップS811にてYES)、特殊背景実行フラグがセットされているか判別し(ステップS812)、特殊背景実行フラグがセットされている場合には(ステップS812にてYES)、特殊背景実行フラグをリセットする(ステップS813)。なお、特殊背景実行フラグは、後述するステップS827でセットされ、特殊背景の終了条件が成立するまで背景画像として特殊背景を継続して表示制御することを示すフラグである。また、特殊背景実行フラグのセット/リセット状態(ON/OFF状態)は、統合RAM214に記憶される。
また、背景フラグが春背景の表示制御を示すフラグであるか判別し(ステップS814)、背景フラグが春背景の表示制御を示すフラグではない場合には(ステップS814にてNO)、背景フラグを春背景の表示制御を示すフラグに更新(セット)する(ステップS815)。なお、背景フラグは、この背景フラグの値に応じて春背景、夏背景、秋背景、冬背景のいずれかの通常背景を背景画像として表示制御することを示すフラグである。また、背景フラグの値は、統合RAM214に記憶される。
そして、春背景の表示制御を示す背景フラグに応じた表示コマンドをセットして処理を終了する(ステップS816)。なお、ステップS816でセットされた表示コマンドは、情報出力処理(ステップS95)にて表示制御基板220に送信され、表示制御基板220に搭載される表示CPU221により当該表示コマンドを受信したことにもとづいて、少なくとも装飾図柄の変動表示の開始からリーチ態様が形成されるか否かまでの通常変動期間に、液晶表示器50にて春背景を背景画像として表示制御する。
この実施の形態では、遊技状態が通常状態であるときに春背景→夏背景→秋背景→冬背景の季節背景の順序で通常背景を切替えて表示制御しているが、遊技状態を通常状態から確率変動状態または時短状態に移行したときに背景フラグを春背景の表示制御を示すフラグに更新(セット)することで、大当り遊技状態後には背景画像を通常背景の1つである春背景に固定して表示制御している。また、遊技状態を通常状態から確率変動状態または時短状態に移行したときに特殊背景実行フラグをリセットすることで、確率変動状態または時短状態の移行前に背景画像として特殊背景を表示制御していても、確率変動状態または時短状態に移行後には背景画像を通常背景(春背景)に戻して表示制御している。そして、確率変動状態または時短状態の終了後には背景画像を春背景から開始している(但し、確率変動状態または時短状態の終了後の最初の変動表示において通常背景の移行条件や特殊背景の開始条件が成立した場合を除く)。なお、遊技状態を確率変動状態または時短状態に移行後には(ステップS811にてYES)、後述するステップS817〜S840を実行することがなく、通常背景の移行条件や特殊背景の開始条件が成立することがないことから、春背景の表示制御を示す背景フラグが更新されることがない。
ステップS811で遊技状態が確率変動状態または時短状態でなければ(ステップS811にてNO)、特殊背景実行フラグまたは特殊背景強制フラグがセットされているか判別する(ステップS817,S817a)。特殊背景実行フラグがセットされていれば(ステップS817にてYES)、ステップS833に移行し、特殊背景強制フラグがセットされていれば(ステップS817aにてYES)、ステップS841に移行する。特殊背景実行フラグおよび特殊背景強制フラグがセットされていなければ(ステップS817にてNO,ステップS817aにてNO)、背景フラグに応じた通常背景の演出表示が上限回数であるか否かを判別し(ステップS818)、上限回数に達している場合には(ステップS818にてYES)、ステップS829に移行する。背景フラグに応じた通常背景の演出表示が上限回数であるか否かは、後述するステップS830で背景フラグを更新(セット)したときに上限回数を回数カウンタにセットするとともに、ステップS830で背景フラグに応じた表示コマンドをセットする毎に1減算する当該回数カウンタを参照することにより判別される。すなわち、回数カウンタが0となったときに、背景フラグに応じた通常背景の演出表示が上限回数であると判別する。また、通常背景の演出表示の上限回数は、背景フラグに応じて異なり、春背景、夏背景および冬背景の表示制御を示す背景フラグが50回であるのに対し、秋背景の表示制御を示す背景フラグが20回に設定されている。
次いで、統合CPU211は、変動表示パターンが変動番号1の「通常変動」または変動番号3〜32のうち当りパターンであるか否か判別し(ステップS819)、変動表示パターンが当りパターンであれば(ステップS819にてYES)、背景フラグに応じた背景移行判定テーブル(図30(A)〜(D)参照)の当り時を参照する(ステップS820)。そして、ステップS826の処理に移行する。なお、変動表示パターンが当りパターンであるか否かは、受信した変動表示パターンコマンドの2バイト目のデータを参照することにより確認できる。
また、ステップS819で変動表示パターンが当りパターンでなければ(ステップS819にてNO)、変動表示パターンがリーチパターン(リーチ態様を伴う変動表示パターン)であるか否か判別する(ステップS821)。なお、変動表示パターンがリーチパターンであるか否かは、受信した変動表示パターンコマンドの2バイト目のデータを参照することにより確認できる。すなわち、変動表示パターンコマンドの2バイト目が「01H」、「02H」でなければリーチパターンである。変動表示パターンがリーチパターンでなければ(ステップS821にてNO)、背景フラグに応じた背景移行判定テーブル(図30(A)〜(D)参照)の通常はずれ時を参照する(ステップS822)。
また、ステップS819で変動表示パターンがリーチパターンであれば(ステップS821にてYES)、リーチパターンのうちノーマルリーチ演出のみを実行する変動表示パターン(この実施の形態では、変動番号3,4,19,20)であるか否か判別する(ステップS823)。なお、ノーマルリーチ演出のみを実行する変動表示パターンであるか否かは、受信した変動表示パターンコマンドの2バイト目のデータを参照することにより確認できる。すなわち、変動表示パターンコマンドの2バイト目が「03H」、「04H」、「13H」、「14H」であればノーマルリーチ演出のみを実行する変動表示パターンである。ノーマルリーチ演出のみを実行する変動表示パターンであれば(ステップS823にてYES)、背景フラグに応じた背景移行判定テーブル(図30(A)〜(D)参照)のノーマルリーチはずれ時を参照し(ステップS824)、ノーマルリーチ演出だけではなくスーパーリーチ演出も実行する変動表示パターンであれば(ステップS823にてNO)、背景フラグに応じた背景移行判定テーブル(図30(A)〜(D)参照)のスーパーリーチはずれ時を参照する(ステップS825)。
そして、ステップS820,S822,S824,S825で参照した背景フラグに応じた背景移行判定テーブル(当り時、通常はずれ時、ノーマルリーチはずれ時、スーパーリーチはずれ時のいずれか)に設定されている判定値と、コマンド解析処理(ステップS91)で取得した背景判定乱数と、が一致するか否かにもとづいて背景画像を通常背景から次の季節背景または特殊背景に移行するか否かを決定する(ステップS826;背景移行判定)。
次いで、統合CPU212は、ステップS826で背景移行判定により背景画像を移行することを決定したときに(ステップS827にてYES)、背景移行判定にて背景判定乱数が特殊背景に移行する判定値と一致し、背景画像を通常背景から特殊背景に移行する決定がなされているか否か判別する(ステップS828)。背景移行判定にて背景判定乱数が通常背景から次の季節背景に移行する判定値と一致し、背景画像を通常背景から次の季節背景に移行する決定がなされていれば(ステップS828にてNO)、当該次の季節背景の表示制御を示す背景フラグに更新(セット)する(ステップS829)。また、ステップS818で背景フラグに応じた通常背景の演出表示が上限回数に達したときにも、ステップS829で次の季節背景の表示制御を示す背景フラグに更新(セット)する。そして、背景移行判定にて背景画像を通常背景から特殊背景に移行する決定がなされていなければ(ステップS827にてNOまたはステップS828にてNO)、ステップS829で背景フラグが更新されたか否かに関わらず、背景フラグに応じた表示コマンドをセットする(ステップS830)。
また、ステップS828で背景移行判定にて背景画像を通常背景から特殊背景に移行する決定がなされていれば(ステップS828にてYES)、特殊背景実行フラグをセットし(ステップS831)、特殊背景に応じた表示コマンドをセットする(ステップS832)。ステップS830,S832でセットされた表示コマンドは、情報出力処理(ステップS95)にて表示制御基板220に送信され、表示制御基板220に搭載される表示CPU221により当該表示コマンドを受信したことにもとづいて、少なくとも装飾図柄の変動表示の開始からリーチ態様が形成されるか否かまでの通常変動期間に、液晶表示器50にて背景フラグに応じた通常背景、または、特殊背景を背景画像として表示制御する。ここで、詳細については後述するが、リーチ態様が形成される場合(変動表示パターンがリーチパターンである場合)には、通常背景よりも特殊背景に応じた表示コマンドを受信したときの方がリーチ態様を形成するタイミングを遅くすることから、通常背景と特殊背景との演出表示で通常変動期間が異なる。
なお、背景移行判定テーブルの一例を図30(A)乃至図30(D)に示す。これら背景移行判定テーブルには、背景フラグに対応させて春背景移行判定テーブル(図30(A))、夏背景移行判定テーブル(図30(B))、秋背景移行判定テーブル(図30(C))、冬背景移行判定テーブル(図30(D)の4種類が設定されている。さらに、各々の背景フラグに応じた背景移行判定テーブルには、変動表示パターンの種別に対応させて当り時、通常はずれ時、ノーマルリーチはずれ時、スーパーリーチはずれ時が設定されている。
背景フラグに応じた背景移行判定テーブルは、装飾図柄の変動表示を開始する毎に、ステップS826で背景判定乱数にもとづいて通常背景から次の季節背景または特殊背景に移行するか否かを決定するためのテーブルである。また、背景移行判定テーブルでは、通常背景から次の季節背景に移行するか否か、または、特殊背景に移行するか否かに対応して判定値が振り分けられている。なお、図30(A)〜(D)に示す背景フラグに応じた背景移行判定テーブル(当り時、通常はずれ時、ノーマルリーチはずれ時、スーパーリーチはずれ時のいずれか)には、振り分けられた判定値の個数が示されている。
この実施の形態では、前回の変動表示で背景画像として通常背景を表示制御した場合、背景移行判定により背景画像を通常背景から次の季節背景に移行する決定がなされることで(ステップS827にてYES,ステップS828にてNO)、今回の変動表示で当該次の季節背景を表示制御する。すなわち、通常背景の移行条件は、背景移行判定により通常背景から次の季節背景に移行する判定がなされたときに成立する。そして、通常背景の移行条件が成立する毎に、次の季節背景の表示制御を示す背景フラグに更新し(ステップS829)、液晶表示器50にて四季の移り変わりに対応した春背景→夏背景→秋背景→冬背景の季節背景の順序で背景画像を切替えて表示制御する。
ここで、春背景移行判定テーブルおよび冬背景移行判定テーブルでは、図30(A)および図30(D)に示すように、通常はずれ時に参照されるテーブルよりもリーチ態様形成時(ノーマルリーチはずれ時、スーパーリーチはずれ時、当り時)に参照されるテーブルに対して、それぞれ「夏背景に移行する」または「春背景に移行する」に振り分けられる判定値の数が非常に多い(この実施の形態では、通常はずれ時に参照されるテーブルにて季節背景を切替える判定値の個数が4個であるのに対し、リーチ態様形成時に参照されるテーブルにて季節背景を切替える判定値の個数が46個)。すなわち、通常背景として春背景および冬背景を表示制御している場合には、リーチ態様を形成するときに非常に高い割合で通常背景の移行条件が成立する。このように構成することで、通常背景が春背景または冬背景から移行した変動表示においては、リーチ態様を形成する割合が高く、リーチ態様の形成後に大当りとなる期待感を高めることができる。
また、夏背景移行判定テーブルでは、図30(B)に示すように、リーチ態様形成時に参照されるテーブルのうちノーマルリーチはずれ時、スーパーリーチはずれ時、当り時に参照されるテーブルの順で、「秋背景に移行する」に振り分けられる判定値の数が多い(この実施の形態では、ノーマルリーチはずれ時に参照されるテーブルにて夏背景を切替える判定値の個数が4個であるのに対し、スーパーリーチはずれ時に参照されるテーブルにて夏背景を切替える判定値の個数が10個、当り時に参照されるテーブルにて夏背景を切替える判定値の個数が87個)。また、春背景移行判定テーブルおよび冬背景移行判定テーブルと比較すると、ノーマルリーチはずれ時およびスーパーリーチはずれ時に参照されるテーブルにて季節背景を切替える判定値の数が非常に少ない(ノーマルリーチ時およびスーパーリーチ時に参照されるテーブルの中では、夏背景移行判定テーブルにて季節背景を切替える判定値の数がもっとも少ない)一方で、当り時に参照されるテーブルにて季節背景を切替える判定値の数が多い(当り時に参照されるテーブルの中では、夏背景移行判定テーブルにて季節背景を切替える判定値の数がもっとも多い)。すなわち、通常背景として夏背景を表示制御している場合には、リーチ演出の実行後にはずれを導出するときに非常に高い割合で通常背景の移行条件が成立しない一方で、大当りを導出するときに高い割合で通常背景の移行条件が成立する。このように構成することで、通常背景が夏背景から秋背景に移行した変動表示においては、大当りを導出する割合が高いとともに、特にリーチ演出が実行されたときには大当りを導出する割合が非常に高く、大当りとなる期待感を高めることができる。
また、秋背景移行判定テーブルでは、図30(C)に示すように、リーチ態様形成時に参照されるテーブルのうちノーマルリーチはずれ時およびスーパーリーチはずれ時に参照されるテーブルよりも当り時に参照されるテーブルに対して、「冬背景に移行する」に振り分けられる判定値の数が極めて少ない(この実施の形態では、ノーマルリーチはずれ時およびスーパーリーチはずれ時に参照されるテーブルにて秋背景を切替える判定値の個数が128個であるのに対し、当り時に参照されるテーブルにて秋背景を切替える判定値の個数が2個)。また、春背景移行判定テーブルおよび冬背景移行判定テーブルと比較すると、はずれ時(通常はずれ時、ノーマルリーチはずれ時、スーパーリーチはずれ時)に参照されるテーブルにて季節背景を切替える判定値の数が多い(ノーマルリーチ時およびスーパーリーチ時に参照されるテーブルの中では、秋背景移行判定テーブルにて季節背景を切替える判定値の数がもっとも多い)一方で、当り時に参照されるテーブルにて季節背景を切替える判定値の数が極めて少ない(当り時に参照されるテーブルの中では、秋背景移行判定テーブルにて季節背景を切替える判定値の数がもっとも少ない)。すなわち、通常背景として秋背景を表示制御している場合には、はずれを導出するときに高い割合で通常背景の移行条件が成立する一方で、大当りを導出するときに極めて高い割合で通常背景の移行条件が成立しない。このように構成することで、通常背景が秋背景から冬背景に移行した変動表示においては、はずれを導出する割合が高く、大当りとなる期待感を高めることができないが、秋背景を継続した変動表示においては、大当りを導出する割合が高いとともに、特にリーチ演出が実行されたときには大当りを導出する割合が非常に高く、大当りとなる期待感を高めることができる。
この実施の形態では、前回の変動表示で背景画像として通常背景を表示制御した場合、背景移行判定により背景画像を通常背景から次の季節背景に移行する決定がなされなかったときであっても(ステップS827にてNO)、背景フラグに応じた通常背景の演出表示が上限回数に達したときに(ステップS818にてYES)、次の季節背景を表示制御する。すなわち、通常背景の移行条件は、背景フラグに応じた通常背景の演出表示が上限回数に達したときにも成立する。
ここで、通常背景の移行条件は、背景フラグに応じた通常背景の演出表示が上限回数に達したときよりも高い割合で、背景移行判定により背景画像を通常背景から次の季節背景に移行する決定がなされることにより成立する。具体的には、通常背景の演出表示の上限回数が春背景、夏背景および冬背景の表示制御を示す背景フラグに応じて50回、秋背景の表示制御を示す背景フラグに応じて20回である一方、背景移行判定により通常背景の次の背景に移行する判定がなされるまでに通常背景の演出表示が継続実行される平均回数が春背景および冬背景の表示制御を示す背景フラグに応じて34回、夏背景の表示制御を示す背景フラグに応じて37回、秋背景の表示制御を示す背景フラグに応じて12回であることによる。このように、背景移行判定により通常背景から次の季節背景に移行する決定がなされたときに通常背景の移行条件が成立することを基本とすることで、通常背景の移行タイミングにランダム性を有し、遊技の興趣にメリハリを生じさせることができる。また、背景フラグに応じた通常背景の演出表示に上限回数を設定することで、背景移行判定により通常背景の移行条件が成立しないときにも、同一の季節背景の演出表示が長期間に亘って継続されることを防止することができ、背景画像の演出表示を単調とすることがなく、遊技の興趣が低下することを抑制している。
また、背景フラグに応じた通常背景の演出表示の上限回数と、背景移行判定により通常背景から次の季節背景に移行する判定がなされるまでに通常背景の演出表示が継続実行される平均回数と、のいずれの場合であっても、秋背景の演出表示が継続実行される回数がもっとも少ない。すなわち、通常背景のうち秋背景を表示制御するときに高い割合で移行条件が成立する。このように構成することで、秋背景の演出表示に対する希少性が増大し、秋背景が演出表示される変動表示において「何かが起こるのでは?」といった期待感を高めることができ、遊技の興趣にメリハリを生じさせることができる。
この実施の形態では、秋背景の演出表示が継続実行される回数がもっとも少ないが、通常背景として夏背景を表示制御している場合には、大当りを導出するときに高い割合で通常背景の移行条件が成立し、秋背景に移行して表示制御する。また、通常背景として秋背景を表示制御している場合には、大当りを導出するときに極めて高い割合で通常背景の移行条件が成立せず、秋背景を継続して表示制御する一方で、はずれを導出するときに高い割合で通常背景の移行条件が成立し、冬背景に移行して表示制御する。すなわち、通常背景のうち秋背景の表示制御中には、秋背景とは異なる季節背景と比べて大当り期待度が高くなるように設定されている。
ここで、複数種類の背景画像を順に切替えて表示制御する遊技機においては、大当り判定の判定結果が当りのときに高い割合で背景画像を切替えるものがあった。この場合、背景画像を切替えて表示制御した変動表示のみ、大当りとなる期待感を高めることができるが、各々の背景画像の表示制御中には、それぞれ大当り期待度が略同一であり、大当りとなる期待感を持続させることができず、背景画像に対する興味を失う虞があった。この実施の形態では、通常背景として秋背景を表示制御する変動表示においては、大当りを導出する割合が高く、秋背景とは異なる季節背景と比べて大当りとなる期待感を高めることができ、遊技の興趣にメリハリを生じさせることができる。
また、通常背景として夏背景を表示制御している場合には、リーチ演出の実行後にはずれを導出するときに非常に高い割合で通常背景の移行条件が成立せず、夏背景を継続して表示制御する。また、通常背景として秋背景を表示制御している場合には、リーチ演出の実行後にはずれを導出するときに非常に高い割合で通常背景の移行条件が成立し、冬背景に移行して表示制御する。すなわち、通常背景のうち秋背景の表示制御中にリーチ演出が実行されたときには、秋背景とは異なる季節背景と比べて大当り期待度が非常に高くなるように設定されている。このように構成することで、通常背景として秋背景を表示制御する変動表示においては、リーチ演出が実行されたときに大当りを導出する割合が非常に高く、秋背景とは異なる季節背景と比べて大当りとなる期待感を特に高めることができる。また、大当り判定の当落と関わりなく通常背景を切替えた場合、リーチ演出が実行されたとしてもはずれを導出する割合も高く、「またはずれるのではないか」といった疑心暗鬼の心情となるが、大当り判定の当落に応じて通常背景を切替えることで、特定の背景(この実施の形態では、秋背景)におけるリーチ演出を遊技者にとって信頼しうる演出(大当り期待度の非常に高い演出)とすることができる。
また、この実施の形態では、前回の変動表示で背景画像として通常背景を表示制御した場合、背景移行判定により背景画像を通常背景から特殊背景に移行することを決定することで(ステップS827にてYES,ステップS828にてYES)、今回の変動表示で特殊背景を表示制御する。背景フラグに応じた背景移行判定テーブルでは、図30(A)〜(D)に示すように、通常はずれ時および当り時に参照されるテーブルに対して「特殊背景に移行する」に判定値が振り分けられている一方、ノーマルリーチはずれ時およびスーパーリーチはずれ時に参照されるテーブルに対して「特殊背景に移行する」に判定値が振り分けられていない。すなわち、特殊背景の開始条件は、変動表示パターンが変動番号1の「通常変動」または変動番号3〜17のうち当りパターンであり、且つ、背景移行判定により通常背景から特殊背景に移行する判定がなされたときに成立する。なお、通常はずれ時または当り時に参照される背景移行判定テーブルでは、0〜255の256個の背景判定乱数のうち特殊背景に移行する判定値の個数が1個であり、通常背景から特殊背景に移行する割合が1/256に設定されている。
ここで、通常はずれ時または当り時に参照される背景移行判定テーブルでは、「通常背景を継続する」および「通常背景の次の季節背景に移行する」よりも「特殊背景に移行する」に振り分けられる判定値の数が極めて少ない。すなわち、背景画像として通常背景を表示制御している場合には、変動表示パターンが変動番号1の「通常変動」または変動番号3〜17のうち当りパターンであったとしても、極めて高い割合で特殊背景の開始条件が成立しない。このように構成することで、特殊背景の開始条件が成立する割合は極めて低く、背景画像が通常背景から特殊背景に移行した変動表示において「何かが起こるのでは?」といった期待感を特に高めることができ、遊技の興趣にメリハリを生じさせることができる。
また、この実施の形態では、変動表示パターンが変動番号1の「通常変動」または変動番号3〜17のうち当りパターンであるときに特殊背景の開始条件が成立する可能性があるが、変動番号3〜17のうちリーチはずれパターンであるときに特殊背景の開始条件が成立することはない。すなわち、背景画像が通常背景から特殊背景に移行した変動表示においてリーチ態様が形成された場合には、必ず変動番号3〜17の当りパターンにもとづくリーチ態様の形成であり、当該変動表示の結果、大当りが導出される。このように構成することで、背景画像が通常背景から特殊背景に移行した変動表示においては、リーチ態様が形成されるか否かを視認するだけで大当りが導出されるか否かを判別可能であり、全ての装飾図柄を停止表示(確定表示)する以前に大当りが導出されることを知り得ることで、遊技者に優越感を生じさせることができる。
また、背景選択処理(ステップS717a)では、ステップS817で特殊背景実行フラグがセットされていれば(ステップS817にてYES)、特殊背景に応じた表示コマンドをセットする(ステップS833)。そして、特殊背景の演出表示が上限回数(この実施の形態では、25回)であるか否か判別し(ステップS834)、上限回数に達している場合には(ステップS834にてYES)、ステップS839に移行する。なお、特殊背景の演出表示が上限回数であるか否かは、上述したステップS831で特殊背景実行フラグをセットしたときに上限回数を回数カウンタにセットするとともに、ステップS832,S833で特殊背景に応じた表示コマンドをセットする毎に1減算する当該回数カウンタを参照することにより判別される。すなわち、回数カウンタが0になったときに、特殊背景の演出表示が上限回数であると判別する。
ステップS834で特殊背景の演出表示が上限回数でなければ(ステップS834にてNO)、変動表示パターンがリーチパターン(リーチ態様を伴う変動番号3〜32の変動表示パターン)であるか否か判別する(ステップS835)。変動表示パターンがリーチパターンであるか否かは、変動表示パターンコマンドの2バイト目のデータを参照することにより確認できる。変動表示パターンがリーチパターンであれば(ステップS835にてYES)、特殊背景終了判定テーブル(図30(E)参照)を選択する(ステップS836)。そして、特殊背景終了判定テーブルに設定されている判定値と、コマンド解析処理(ステップS91)で取得した背景判定乱数と、が一致するか否かにもとづいて特殊背景を終了するか否かを決定し(ステップS837;特殊背景終了判定)、一致することにもとづいて当該変動表示にて特殊背景を終了することを決定する。すなわち、次回の変動表示にて背景画像を特殊背景から通常背景に移行することを決定する。なお、図30(E)に示す特殊背景終了判定テーブルでは、0〜255の256個の特殊背景判定乱数のうち特殊背景を終了する判定値の個数が85個であり、特殊背景を終了する割合が約1/3に設定されている。また、この実施の形態では、通常背景を次の季節背景または特殊背景に移行するか否かの背景移行判定(ステップS826)と、特殊背景を終了するか否かの特殊背景終了判定(ステップS837)と、で同一の背景判定乱数を用いているが、それぞれ別の乱数を用いてもよい。
次いで、統合CPU212は、ステップS834で特殊背景の演出表示が上限回数に達したとき(ステップS834にてYES)、または、ステップS837で特殊背景終了判定により特殊背景を終了することを決定したとき(ステップS838にてYES)に、特殊背景実行フラグをリセットし(ステップS839)、通常背景の次の季節背景の表示制御を示す背景フラグに更新(セット)する(ステップS840)。すなわち、背景画像を特殊背景から通常背景に戻して表示制御するときには、当該特殊背景の移行前に表示制御していた通常背景の次の季節背景を表示制御する。一方、ステップS835で変動表示パターンがリーチパターンでない(ステップS835にてNO)、または、ステップS838で特殊背景終了判定により特殊背景を終了しないことを決定したとき(ステップS838にてNO)には、特殊背景実行フラグのセット状態を継続して処理を終了する。
この実施の形態では、当該変動表示で背景画像として特殊背景を表示制御した場合、特殊背景の演出表示が上限回数であること(ステップS834にてYES)、または、変動表示パターンがリーチパターンであり(ステップS835にてNO)、且つ、特殊背景終了判定により特殊背景を終了することを決定することで(ステップS838にてYES)、次回の変動表示で通常背景を表示制御する(ただし、次回の変動表示において特殊背景の開始条件が成立した場合を除く)。すなわち、特殊背景の終了条件は、特殊背景の演出表示が上限回数に達したとき、または、変動表示パターンがリーチパターンであり、且つ、特殊背景終了判定により特殊背景を終了する判定がなされたときに成立する。
ここで、特殊背景の終了条件は、変動表示パターンがリーチパターンであり、且つ、特殊背景終了判定により特殊背景を終了することを決定するよりも高い割合で特殊背景の演出表示が上限回数であることにより成立する。具体的には、変動表示パターンがリーチパターンであり、且つ、特殊背景終了判定により特殊背景を終了する判定がなされるまでに特殊背景の演出表示が継続実行される平均回数が37回程度である一方、特殊背景の演出表示の上限回数が25回であることによる。このように、特殊背景の終了条件として、特殊背景の演出表示に上限回数を設定することに加えて、変動表示パターンがリーチパターンであり、且つ、特殊背景終了判定により特殊背景を終了する判定を設定することで、特殊背景の演出表示が上限回数に達したときに特殊背景の終了条件が成立することを基本としながらも、特殊背景の終了タイミングにある程度のランダム性を有することができ、遊技の興趣にメリハリを生じさせることができる。
また、特殊背景の演出表示の上限回数と、変動表示パターンがリーチパターンであり、且つ、特殊背景終了判定により特殊背景を終了する判定がなされるまでに特殊背景の演出表示が継続実行される平均回数と、のいずれの場合であっても、通常背景の演出表示が継続実行される平均回数である278回程度と比べて非常に少ない。すなわち、特殊背景の開始条件が成立するよりも非常に高い割合で特殊背景の終了条件が成立する。このように構成することで、特殊背景の演出表示が継続実行される回数は非常に少なく、特殊背景が演出表示される変動表示において「何かが起こるのでは?」といった期待感を特に高めることができ、遊技の興趣にメリハリを生じさせることができる。
また、背景選択処理(ステップS717a)では、ステップS817aで特殊背景強制フラグがセットされていれば(ステップS817にてYES)、特殊背景に応じた表示コマンドをセットする(ステップS841)。そして、リモコン90からの操作信号の受信にもとづく特殊背景の演出表示の上限回数(この実施の形態では、30回)であるか否か判別し(ステップS842)、上限回数に達している場合には(ステップS842にてYES)、特殊背景強制フラグをリセットし(ステップS843)、リモコン90のOFF操作に応じた表示コマンドをセットする(ステップS844)。なお、リモコン90からの操作信号の受信にもとづく特殊背景の演出表示が上限回数であるか否かは、上述したリモコン信号受信処理(ステップS91a)のステップS653で特殊背景強制フラグをセットしたときに上限回数を回数カウンタにセットするとともに、ステップS841で特殊背景に応じた表示コマンドをセットする毎に1減算する当該回数カウンタを参照することにより判別される。すなわち、回数カウンタが0になったときに、リモコン90からの操作信号の受信にもとづく特殊背景の演出表示が上限回数であると判別する。また、リモコン90からの操作信号の受信にもとづく特殊背景の演出表示が上限回数ではない場合であっても、上述したリモコン信号受信処理(ステップS91a)のステップS657で特殊背景強制フラグをリセットしたときに、回数カウンタを0(リセット)とする。
なお、液晶表示器50には、リモコン90がON操作された旨を示す演出表示だけでなく、リモコン90からの操作信号の受信にもとづく特殊背景の演出表示の残り回数を表示制御してもよい。すなわち、変動表示の開始毎に、特殊背景強制フラグにもとづいてセットされる回数カウンタの値を順次、液晶表示器50にて表示制御することで、特殊背景の演出表示の残り回数を遊技者が簡単に認識することができる。また、リモコン90には、液晶表示器50の演出表示を切替可能なON/OFF操作ボタンだけでなく、特殊背景の演出表示の上限回数を設定可能な回数設定ボタンが備えられてもよい。この場合、リモコン90を管理する遊技場の管理者(店員)がON/OFF操作ボタンを操作するとともに、回数設定ボタンにより特殊背景の演出表示の上限回数を設定することで、当該上限回数が固定されることなく、状況に応じて(例えば、交換した遊技球の個数に応じて)適宜に設定することができる。
そして、通常背景の次の季節背景の表示制御を示す背景フラグに更新(セット)する(ステップS840)。すなわち、背景画像を特殊背景から通常背景に戻して表示制御するときには、当該特殊背景の移行前に表示制御していた通常背景の次の季節背景を表示制御する。一方、ステップS842でリモコン90からの操作信号の受信にもとづく特殊背景の演出表示が上限回数ではない場合には(ステップS842にてNO)、特殊背景強制フラグのセット状態を継続して処理を終了する。
この実施の形態では、ステップS826で背景移行判定により特殊背景の開始条件が成立するか否かに関わらず、リモコン90から操作信号を受信したときに特殊背景強制フラグをセットし、当該特殊背景強制フラグのセット後の変動表示にて特殊背景を表示制御する。このように構成することで、特殊背景の開始条件が成立する割合は非常に低く、遊技者の遊技期間中に特殊背景の演出表示が見られるのは稀であるが、特定の遊技者が遊技場の管理者にリモコン90のON/OFF操作ボタンの操作を依頼することによって当該特殊背景を見ることができ、遊技の興趣にメリハリを生じさせることができる。
なお、特殊背景の演出表示中にてリモコン90から操作信号を受信したときには、上述したリモコン信号受信処理(ステップS91a)のステップS656で特殊背景実行フラグをリセットすることから、特殊背景の終了条件が成立していなくとも、特殊背景実行フラグにもとづく特殊背景の表示制御(ステップS817にてYES、ステップS833)を強制的に終了する。しかしながら、特殊背景強制フラグにもとづく特殊背景の表示制御(ステップS817aにてYES、ステップS841)を継続することから、特殊背景の演出表示は継続して表示制御される。
次に、液晶表示器50にて表示制御される背景画像として通常背景を伴った演出態様の一例について図31乃至図34を参照して説明する。図31は、春背景の表示制御を示す背景フラグにもとづく演出態様の一例を示す説明図であり、図32は、夏背景の表示制御を示す背景フラグにもとづく演出態様の一例を示す説明図であり、図33は、秋背景の表示制御を示す背景フラグにもとづく演出態様の一例を示す説明図であり、図34は、冬背景の表示制御を示す背景フラグにもとづく演出態様の一例を示す説明図である。
まず、サブ統合基板211にて変動表示パターンに応じた変動表示パターンコマンドを受信すると、背景選択処理(ステップS718a)で背景フラグに応じた表示コマンドをセットする。ここで、遊技状態が通常状態である場合には、特殊背景実行フラグがセットされていない限り、通常背景のうちいずれかの季節背景の表示制御を示す背景フラグがセットされている。そして、背景移行判定により通常背景から次の季節背景に移行する判定がなされたとき(ステップS827にてYES,ステップS828にてNO)、または、背景フラグに応じた通常背景の演出表示が上限回数であるとき(ステップS817にてYES)に、通常背景の移行条件が成立し、背景フラグを次の季節背景の表示制御を示すフラグに更新する(ステップS829)。また、背景画像として特殊背景を表示制御している場合には、特殊背景の終了条件が成立したときに、背景フラグを次の季節背景を示すフラグに更新する(ステップS840)。さらに、遊技状態が確率変動状態または時短状態である場合には、背景フラグを春背景の表示制御を示すフラグに更新する(ステップS815)。
そして、背景フラグに応じた表示コマンドとともに、装飾図柄変動開始処理のステップS718で変動表示パターンと停止図柄と予告パターンとに応じた表示コマンドもセットし、これらの表示コマンドを情報出力処理(ステップS95)で表示制御基板220に送信する。表示制御基板220に搭載される表示CPU221は、受信した表示コマンドにもとづいて表示ROM222からプロセスデータを読み出し、当該プロセスデータにもとづいてタイマ(表示画像の切替タイミング等を示す)を設定するとともに、液晶表示器50に駆動信号を出力して装飾図柄50a〜50cの変動表示や背景画像を表示制御する。
この実施の形態では、変動表示パターンと停止図柄と予告パターンとに応じた表示コマンドが同一であっても、背景フラグに応じた表示コマンドが異なる場合に、背景画像だけではなく、装飾図柄50a〜50cの変動表示における表示態様(動作態様)も変更して表示制御するプロセスデータが読み出される。すわわち、装飾図柄50a〜50cは、各々の背景画像にもとづく表示態様で変動表示される。
なお、装飾図柄50a〜50cには、「一」〜「七」の7種類の数字図柄が用いられている。装飾図柄50a〜50cは、「一」、「三」、「五」、「七」の4種類の奇数図柄(特定図柄)と、「二」、「四」、「六」の3種類の偶数図柄(非特定図柄)と、から構成され、表示制御基板220の表示ROM222に記憶されている。なお、数字図柄のうち奇数図柄が赤系統色に、偶数図柄が青系統色に配色されており、遊技者が一見しただけで特定図柄または非特定図柄のいずれの図柄であるかを判別可能に構成している。また、装飾図柄50a〜50cは、数字図柄の背面(背景画像の前面)に扇子を伴い、変動表示の開始時に不透明の表示態様であるが、プロセスデータにもとづいて装飾図柄50a〜50cが高速変動に移行する過程で、背景画像を見通せるように半透明の表示態様に変更される。そして、装飾図柄50a〜50cは、プロセスデータにもとづいて装飾図柄50a〜50cの各々が停止表示される前の低速変動に移行する過程で、再び遊技者が認識しやすい不透明の表示態様に変更される。
背景フラグが春背景51fの表示制御を示すフラグである場合、図31(A)〜(H)に示すように、春背景51fの背景画像として、日本の春をイメージさせる寺院や桜、富士山といった爽やかな景色が全体的に薄い青系統色の配色で描かれている。このとき、装飾図柄50a〜50cの各々の変動表示は、数字図柄の上下方向の中心線を軸とし、背面に扇子を伴った数字図柄を左方向に軸回転させる表示態様で表示制御される。具体的には、前回の変動表示にて装飾図柄50a〜50cの停止図柄(同図中では、「一六一」を例示)が停止表示された状態(図31(A))から、装飾図柄50a〜50cの変動表示が開始されると、扇子とともに装飾図柄50a〜50cの各々が同期して左方向に軸回転を開始する(図31(B))。そして、装飾図柄50a〜50cを低速変動から高速変動に移行するとともに、不透明から半透明の表示態様に変更する(図31(C))。なお、装飾図柄50a〜50cの各々が左方向に半回転した状態では、扇子の背面となることで数字図柄が遊技者に視認不能となり、さらに左方向に半回転した状態、すなわち装飾図柄50a〜50cの各々が一回転する毎に、数字図柄を切替えて表示制御している。
次いで、所定時間経過後に装飾図柄50a〜50cの変動表示が停止動作を開始すると、まず、左装飾図柄50aを高速変動から低速変動に移行するとともに、再び半透明から不透明の表示態様に変更する(図31(D))。そして、左装飾図柄50aのゆっくりとした回転とともに、数字図柄を数図柄(同図中では、「五」から「六」、「七」へと二図柄)だけ切替え、左装飾図柄50aを所定の停止図柄(同図中では、「七」を例示)で停止表示する(図31(E),(F))。また、左装飾図柄50aの停止動作の期間にて右装飾図柄50cの停止動作も開始し、左装飾図柄50aの停止動作の期間にて高速変動から低速変動に移行するとともに、再び半透明から不透明の表示態様に変更する(図31(F))。ここでは、主制御基板201から送信された変動番号1の「通常変動」の変動表示パターンがリーチ態様を伴わない変動表示パターンであり、右装飾図柄50cを左装飾図柄50aとは異なる停止図柄(同図中では、「一」を例示)で停止表示する(図31(G))。
さらに、右装飾図柄50cの停止動作の期間にて中装飾図柄50bの停止動作も開始し、高速変動から低速変動に移行するとともに、再び半透明から不透明の表示態様に変更し、中装飾図柄50bを所定の停止図柄(同図中では、「二」を例示)で停止表示(確定表示)する(図31(G),(H))。停止表示された装飾図柄50a〜50cの組み合わせが同一図柄の組み合わせとならないことで、当該変動表示の結果、「はずれ」であることを遊技者に認識させる。
また、背景フラグが夏背景51aの表示制御を示すフラグである場合、図32(A)〜(H)に示すように、夏背景51aの背景画像として、夜の街に立ち並ぶ高層ビル群をライトアップし、その付近で大花火を打ち上げるといった賑やかな景色が全体的に黒系統色の配色で描かれている。このとき、装飾図柄50a〜50cの各々の変動表示は、液晶表示器50の上方から下方に向けて変動する縦スクロールにて行われ、夏背景51aの特有の停止動作により各々の図柄を停止表示させる表示態様で表示制御される。具体的には、前回の変動表示にて装飾図柄50a〜50cの停止図柄(同図中では、「五七二」を例示)が停止表示された状態(図32(A))から、装飾図柄50a〜50cの変動表示が開始されると、扇子とともに装飾図柄50a〜50cの各々が同期して縦スクロールを開始する。そして、装飾図柄50a〜50cを低速変動から高速変動に移行するとともに、不透明から半透明の表示態様に変更し、数字図柄の背面の扇子を非表示とする(図31(B))。
次いで、所定時間経過後に装飾図柄50a〜50cの変動表示が停止動作を開始すると、まず、縦スクロールしている左装飾図柄50aを一旦、非表示とする。そして、縦スクロールの進行方向とは逆方向に、液晶表示器50の下方から上方に向けて折り畳まれた扇子をあたかも花火のように打ち上げ、上方にて扇子を徐々に開いた状態とするとともに、扇子の前面の数字図柄を左右方向に徐々に拡大表示することで、左装飾図柄50aを遊技者に視認可能とする(図32(C)〜(F))。このとき、左装飾図柄50aを所定の停止図柄(同図中では、「七」を例示)で表示(停止表示)する。その後、液晶表示器50の上方にて拡大表示された左装飾図柄50aは、全体的に縮小されながら下方に向けてゆっくりと移動し、当該変動表示の開始前の表示態様で停止表示される(図32(G),(H))。このように、装飾図柄50a〜50cの停止動作においては、夏背景51aに描かれた大花火と関連付けて、花火の打ち上げ態様に似せた表示態様としており、装飾図柄50a〜50cと背景画像との一体感のある演出を実行している。
さらに、左装飾図柄50aの停止動作の期間にて右装飾図柄50cの停止動作も開始し、花火の打ち上げ態様に似せた表示態様で、右装飾図柄50cを左装飾図柄50aとは異なる停止図柄(同図中では、「三」を例示)で停止表示する(図32(F),(G))。また、右装飾図柄50cの停止動作の期間にて中装飾図柄50bの停止動作も開始し、花火の打ち上げ態様に似せた表示態様で、中装飾図柄50bを所定の停止図柄(同図中では、「五」を例示)で停止表示(確定表示)する(図32(G),(H))。停止表示された装飾図柄50a〜50cの組み合わせが同一図柄の組み合わせとならないことで、当該変動表示の結果、「はずれ」であることを遊技者に認識させる。
また、背景フラグが秋背景51gの表示制御を示すフラグである場合、図33(A)〜(H)に示すように、秋背景51gの背景画像として、日本の秋をイメージさせる寺院や紅葉した木々といった鮮やかな景色が全体的に赤系統色の配色で描かれている。このとき、装飾図柄50a〜50cの各々の変動表示は、数字図柄の上下方向の中心線を軸とし、液晶表示器50の上方から下方に向けて背面に扇子を伴った数字図柄を軸回転させながら左右方向に揺らし、秋背景51gの特有の停止動作により各々の図柄を停止表示させる表示態様で表示制御される。具体的には、前回の変動表示にて装飾図柄50a〜50cの停止図柄(同図中では、「七六五」を例示)が停止表示された状態(図33(A))から、装飾図柄50a〜50cの変動表示が開始されると、扇子とともに装飾図柄50a〜50cの各々が左右方向のいずれかに軸回転を開始し、液晶表示器50の画面上を当該軸回転の方向(同図中では、左装飾図柄50aを右方向、中装飾図柄50bおよび右装飾図柄50cを左方向)に変動する(図33(B))。そして、装飾図柄50a〜50cを低速変動から高速変動に移行するとともに、不透明から半透明の表示態様に変更する(図33(C))。なお、装飾図柄50a〜50cの各々が左右方向のいずれかに半回転した状態では、扇子の背面となることで数字図柄が遊技者に視認不能となり、さらに半回転した状態、すなわち装飾図柄50a〜50cの各々が一回転する毎に、数字図柄を切替えて表示制御している。また、液晶表示器50の上方から下方に向けて装飾図柄50a〜50cを変動表示する過程にて、時折、軸回転の方向を変更することで、あたかも紅葉が散るかのように左右方向にゆらゆらと揺れる表示態様としている。
次いで、所定時間経過後に装飾図柄50a〜50cの変動表示が停止動作を開始すると、まず、左装飾図柄50aを高速変動から低速変動に移行するとともに、再び半透明から不透明の表示態様に変更する(図33(D))。そして、左装飾図柄50aがゆっくりと反転を繰り返しながら液晶表示器50の右上方から左下方に向けて移動し、数字図柄を数図柄(同図中では、「三」から「四」へと一図柄)だけ切替え、左装飾図柄50aを所定の停止図柄(同図中では、「四」を例示)で停止表示する(図33(E),(F))。このように、装飾図柄50a〜50cの停止動作においては、秋背景51gに描かれた紅葉した木々と関連付けて、紅葉が散る様に似せた表示態様としており、装飾図柄50a〜50cと背景画像との一体感のある演出を実行している。
さらに、左装飾図柄50aの停止動作の期間にて右装飾図柄50cの停止動作も開始し、紅葉が散る様に似せた表示態様で液晶表示器50の左上方から右下方に向けて移動し、右装飾図柄50cを左装飾図柄50aとは異なる停止図柄(同図中では、「五」を例示)で停止表示する(図33(E)〜(G))。また、右装飾図柄50cの停止動作の期間にて中装飾図柄50bの停止動作も開始し、紅葉が散る様に似せた表示態様で液晶表示器50の上方からやや下方に向けて移動し、中装飾図柄50bを所定の停止図柄(同図中では、「六」を例示)で停止表示(確定表示)する(図33(G),(H))。停止表示された装飾図柄50a〜50cの組み合わせが同一図柄の組み合わせとならないことで、当該変動表示の結果、「はずれ」であることを遊技者に認識させる。
また、背景フラグが冬背景51hの表示制御を示すフラグである場合、図34(A)〜(H)に示すように、冬背景51hの背景画像として、日本の冬をイメージさせる雪の降り積もった寺院や富士山といった寒空の景色が全体的に青系統色の配色で描かれている。このとき、装飾図柄50a〜50cの各々の変動表示は、液晶表示器50の上方から下方に向けて変動する縦スクロールの表示態様で表示制御される。具体的には、前回の変動表示にて装飾図柄50a〜50cの停止図柄(同図中では、「五七二」を例示)が停止表示された状態(図34(A))から、装飾図柄50a〜50cの変動表示が開始されると、扇子とともに装飾図柄50a〜50cの各々が同期して縦スクロールを開始する。そして、装飾図柄50a〜50cを低速変動から高速変動に移行するとともに、不透明から半透明の表示態様に変更する(図34(B))。
次いで、所定時間経過後に装飾図柄50a〜50cの変動表示が停止動作を開始すると、まず、左装飾図柄50aを高速変動から低速変動に移行するとともに、再び半透明から不透明の表示態様に変更する(図34(C))。そして、左装飾図柄50aをゆっくりと数コマ(同図中では、「五」から「六」、「七」へと二図柄)だけ移動し、所定の停止図柄(同図中では、「七」を例示)で停止表示する(図34(D),(E))。また、左装飾図柄50aの停止動作の期間にて右装飾図柄50cの停止動作も開始し、高速変動から低速変動に移行するとともに、再び半透明から不透明の表示態様に変更する(図34(E),(F))。ここでは、主制御基板201から送信された変動番号1の「通常変動」の変動表示パターンがリーチ態様を伴わない変動表示パターンであり、右装飾図柄50cを左装飾図柄50aとは異なる停止図柄(同図中では、「四」を例示)で停止表示する(図34(G))。
さらに、右装飾図柄50cの停止動作の期間にて中装飾図柄50bの停止動作も開始し、高速変動から低速変動に移行するとともに、再び半透明から不透明の表示態様に変更し、中装飾図柄50bを所定の停止図柄(同図中では、「六」を例示)で停止表示(確定表示)する(図34(G),(H))。停止表示された装飾図柄50a〜50cの組み合わせが同一図柄の組み合わせとならないことで、当該変動表示の結果、「はずれ」であることを遊技者に認識させる。
この実施の形態では、遊技状態が通常状態であるときに春背景51f→夏背景51a→秋背景51g→冬背景51hの季節背景の順序で通常背景を切替えて表示制御しているが、遊技状態を通常状態から確率変動状態または時短状態に移行したときに背景フラグを春背景51fの表示制御を示すフラグに更新(セット)することで、大当り遊技状態後には背景画像を通常背景の1つである春背景51fに固定して表示制御している。また、遊技状態を確率変動状態または時短状態に移行したときには、装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始してから装飾図柄50a〜50cを停止表示するまでの変動時間を短縮する制御(時短制御)が実行される。
受信した表示コマンドが変動番号2の「短縮変動」の変動表示パターンである場合、「通常変動」よりも装飾図柄50a〜50cの各々の高速変動の期間を短縮したり、停止動作の期間を短縮することで、装飾図柄50a〜50cの変動時間を短縮したプロセスデータが読み出される。具体的には、図31(C)に示す装飾図柄50a〜50cの高速変動の期間を、数字図柄の切替え回数(回転数)を減少するとともに、装飾図柄50a〜50cの回転速度を速めることで、短縮することができる。また、図31(D)〜(F)に示す左装飾図柄50aの停止動作の期間を、数字図柄の切替え回数(回転数)を減少(例えば、同図中では「五」から「六」、「七」へと二図柄であるが、「六」から「七」へと一図柄のみに変更)するとともに、装飾図柄50a〜50cの回転速度を速めることで、短縮することができる(中装飾図柄50bおよび右装飾図柄50cも同様)。さらに、装飾図柄50a〜50cの各々が停止動作を開始する間隔を減少することでも、短縮することができる。なお、液晶表示器50の右上方には、確率変動状態において「確変中」の文字が、時短状態において「時短中」の文字が表示制御される。
ここで、背景フラグが春背景51fおよび冬背景51hの表示制御を示すフラグである場合には、夏背景51aおよび秋背景51gの表示制御を示すフラグである場合と比べて、「通常変動」における装飾図柄50a〜50cの停止動作の期間が元々、短く設定されている。また、背景フラグが春背景51fおよび冬背景51hの表示制御を示すフラグである場合には、装飾図柄50a〜50cの停止動作の期間を短縮することが可能である一方、背景フラグが夏背景51aおよび秋背景51gの表示制御を示すフラグである場合には、装飾図柄50a〜50cの停止動作の期間を短縮することが困難である。背景フラグが夏背景51aおよび秋背景51gの表示制御を示すフラグである場合には、装飾図柄50a〜50cの停止動作を背景特有の表示態様で表示制御することから、花火の打ち上げ態様に似せた表示態様や紅葉が散る様に似せた表示態様の一部を省略したり、表示速度を速めたりすると、装飾図柄50a〜50cの変動表示による演出自体が成立しなくなる。一方、背景フラグが春背景51fおよび冬背景51hの表示制御を示すフラグである場合には、装飾図柄50a〜50cの停止動作を背景特有の表示態様で表示制御しておらず、停止動作の期間を短縮することを可能としている。
上記した理由により、遊技状態を確率変動状態または時短状態に移行したときには、背景画像として春背景51fおよび冬背景51hを表示制御することに伴って、装飾図柄50a〜50cの変動時間を短縮した表示態様で変動表示を行うことができるが、この実施の形態では、春背景51fを表示制御することが設定されている。これは、春背景51f→夏背景51a→秋背景51g→冬背景51hの季節背景の順序のうち春背景51fが四季の第一(始まり)であり、遊技状態を確率変動状態または時短状態の終了後、通常状態に移行したときに、春背景51fから開始させることで、遊技者が四季の移ろいを感じ取りやすい構成としている。
次に、液晶表示器50にて表示制御される「たすと10演出」の一例について図35乃至図36を参照して説明する。図35は、変動番号19〜32のすべり変動を伴う変動表示パターンに対して「たすと10」演出を実行する演出態様の一例を示す説明図である。サブ統合基板211にて変動番号19〜32の変動表示パターンに応じた変動表示パターンコマンドを受信すると、装飾図柄変動開始処理のステップS718で当該変動表示パターンと停止図柄と予告パターンとに応じた表示コマンドとともに、「たすと10」実行判定にて「たすと10」演出の実行を決定したときに「たすと10」演出で仮停止表示される仮停止図柄に応じた表示コマンドをセットし、これらの表示コマンドを情報出力処理(ステップS95)で表示制御基板220に送信する。ここでは、「たすと10」設定処理のステップS862で「たすと10」図柄テーブル(この実施の形態では、非確変大当りを示す当落コマンドに対して非確変大当り時「たすと10」図柄テーブル、はずれを示す当落コマンドに対して共通時「たすと10」図柄テーブル)から「たすと10」図柄番号26の「たすと10」図柄が決定されている。表示制御基板220に搭載される表示CPU221は、受信した表示コマンドにもとづいて表示ROM222からプロセスデータを読み出し、当該プロセスデータにもとづいてタイマ(表示画像の切替タイミング等を示す)を設定するとともに、液晶表示器50に駆動信号を出力して装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始する(図35(A))。
図35(A)で装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始した後、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、所定時間経過後に左装飾図柄50aおよび右装飾図柄50cを順に仮停止表示する(図35(B),(C))。このとき、右装飾図柄50cは、すべり変動を伴う変動表示パターンにもとづいて「たすと10」演出が実行されており、「たすと10」図柄がリーチ態様を伴わないことから、左装飾図柄50aとは異なる仮停止図柄(同図中では、「六」および「三」を例示)で仮停止表示される。仮停止表示された左右の装飾図柄50a,50cが同一図柄とならないことで、当該変動表示の結果、「はずれ」が導出されたと遊技者に思わせることができる。
図35(B),(C)で左右の装飾図柄50a,50cを順に仮停止表示した後、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、所定時間経過後に中装飾図柄50bを仮停止図柄(同図中では、「一」を例示)で仮停止表示する(図35(D))。仮停止表示された装飾図柄50a〜50cの数値の合計が「10」となる「たすと10」図柄が形成されたことで、当該変動表示の結果、「はずれ」が導出されたとの認識から一転し、少なくともすべり変動が実行されてリーチ態様が導出されることを認識することができ、大当り遊技状態に対する期待感を高めることができる。
図35(D)で「たすと10」図柄を仮停止表示した後、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、所定時間経過後に画面下方の中央付近から蝶51eを出現させる(図35(E))。そして、蝶51eが画面下方の中央付近から画面右方の中央付近に飛び去る際に右装飾図柄50cの前面を横切り、すべり変動として、右装飾図柄50cが横回転方向に一回転、回転表示される(図35(E),(F))。なお、右装飾図柄50cがすべり変動する期間にて、仮停止表示された中装飾図柄50bを徐々に透明化し、右装飾図柄50cが停止表示するまでに中装飾図柄50bを消去している。
そして、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、右装飾図柄50cを停止表示する(図35(G))。停止表示された左右の装飾図柄50a,50cが同一図柄(同図中では、「六」を例示)であることでリーチ態様となり、画面内中央にリーチ演出の開始を遊技者に告知する「リーチ確定画面51d」を表示制御する(図35(H))。
図36は、変動番号18の「たすと10プレミアム」の変動表示パターンに対して「たすと10」演出を実行する演出態様の一例を示す説明図である。サブ統合基板211にて変動番号18の「たすと10プレミアム」の変動表示パターンに応じた変動表示パターンコマンドを受信すると、装飾図柄変動開始処理のステップS718で当該変動表示パターンと停止図柄と予告パターンとに応じた表示コマンドとともに、「たすと10」演出で仮停止表示される仮停止図柄に応じた表示コマンドをセットし、これらの表示コマンドを情報出力処理(ステップS95)で表示制御基板220に送信する。ここでは、「たすと10」設定処理のステップS853で共通時「たすと10」図柄テーブルから「たすと10」図柄番号11の「たすと10」図柄が決定されている。表示制御基板220に搭載される表示CPU221は、受信した表示コマンドにもとづいて表示ROM222からプロセスデータを読み出し、当該プロセスデータにもとづいてタイマ(表示画像の切替タイミング等を示す)を設定するとともに、液晶表示器50に駆動信号を出力して装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始する。
そして、装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始した後、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、所定時間経過後に左装飾図柄50aおよび右装飾図柄50cを順に仮停止表示する(図36(A),(B))。このとき、右装飾図柄50cは、変動番号18の「たすと10プレミアム」の変動表示パターンにもとづいて「たすと10」演出が実行されており、「たすと10」図柄がリーチ態様を伴わないことから、左装飾図柄50aとは異なる仮停止図柄(同図中では、「二」および「三」を例示)で仮停止表示される。仮停止表示された左右の装飾図柄50a,50cが同一図柄とならないことで、当該変動表示の結果、「はずれ」が導出されたと遊技者に思わせることができる。
図36(A),(B)で左右の装飾図柄50a,50cを順に仮停止表示した後、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、所定時間経過後に中装飾図柄50bを仮停止図柄(同図中では、「五」を例示)で仮停止表示する(図36(C))。仮停止表示された装飾図柄50a〜50cの数値の合計が「10」となる「たすと10」図柄が形成されたことで、当該変動表示の結果、「はずれ」が導出されたとの認識から一転して、変動番号18の「たすと10プレミアム」と変動番号19〜32のすべり変動とのいずれが実行されているのかを把握しようとし、その後の演出表示に注目させることができる。遊技状態が確率変動状態である場合には、変動番号18の「たすと10プレミアム」が実行される割合が高いため、大当り遊技状態に対する期待感を特に高めることができる。
ここで、統合CPU212は、コマンド解析処理(ステップS91)で変動番号18の「たすと10プレミアム」の変動表示パターンに応じた変動表示パターンコマンドを受信したときに、情報出力処理(ステップS95)で当該変動表示パターンと予告パターンと停止図柄とに応じた表示コマンドを表示制御基板220に送信するとともに、変動表示の開始後の所定のタイミングで、ランプ制御処理(ステップS94)でランプ駆動基板156を介して可動体駆動部モータ126に駆動信号を出力する。具体的には、ランプ制御処理(ステップS94)で統合ROM213から当該変動表示パターンに応じた駆動パターンを選択するとともに当該変動表示パターンに応じたタイマ(可動体駆動部モータ126の駆動時間、駆動開始時期、等)をセットし、選択した駆動パターンおよびタイマにもとづいて可動体駆動部モータ126に駆動信号を出力する。これにより、液晶表示器50における装飾図柄50a〜50cの変動表示と同期して可動体駆動部モータ126を所定の駆動パターンで駆動制御し、液晶表示器50の前方に可動体124を出現させる演出を実行することができる。なお、統合ROM213には、可動体駆動部モータ126の駆動態様が記された複数の駆動パターンが記憶されている。
また、統合ROM213に記憶された駆動パターンには、センター下LED基板116に実装されたLEDの発光態様も記されている。すなわち、ランプ制御処理(ステップS94)で選択された駆動パターンおよびタイマにもとづいて、ランプ駆動基板156を介して可動体駆動部モータ126に駆動信号を出力するとともに、センター下LED基板116にランプ点灯信号を出力する。これにより、液晶表示器50における装飾図柄50a〜50cの変動表示と同期して可動体駆動部モータ126を所定の駆動パターンで駆動制御するとともに、センター下LED基板116に実装されたLEDを所定の駆動パターンで発光制御し、液晶表示器50の前方に可動体124を出現させたときに当該可動体124をLEDからの発光により照射する演出を実行することができる。
図36(C)で「たすと10」図柄を仮停止表示した後、駆動パターンにもとづく駆動信号を可動体駆動部モータ126に出力し、可動体124を初期位置から駆動位置へと液晶表示器50の前方に駆動制御する(図36(D),(E))。液晶表示器50の画面の一部(少なくとも装飾図柄50a〜50cの表示領域の一部)が覆われるように可動体124を駆動することで、仮停止表示された装飾図柄50a〜50cが左右の装飾図柄50a,50cから中装飾図柄50bの順で遊技者に視認困難または視認不能となる。そして、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、所定時間経過後に液晶表示器50の画面をブラックアウト(暗転)して装飾図柄50a〜50cおよび背景画像を視認不能にする(図36(F))。これにより、「たすと10」図柄を仮停止表示した後、装飾図柄50a〜50cの再変動表示(図柄の切替え)が予測不能となり、当該再変動表示において「何かが起こるのでは?」といった期待感を高めることができ、その後の演出表示に対して効果的に注目させることできる。
この実施の形態では、「たすと10」図柄を仮停止表示した後、液晶表示器50の画面の一部(少なくとも装飾図柄50a〜50cの表示領域の一部)が覆われるように可動体124を駆動し、さらに液晶表示器50の画面をブラックアウト(暗転)しているが、装飾図柄50a〜50cの再変動表示を視認困難または視認不能にすればよく、例えば、ブラックアウト(暗転)とは異なる画像として明転画像や、背景画像のみを表示制御したり、液晶表示器50の電源を切断することで画像を消去したり、可動体124とは別に動作可能な隠蔽部材により液晶表示器50の画面の一部または全部を隠蔽してもよい。
図36(F)で液晶表示器50の画面をブラックアウトした後、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、所定時間経過後にブラックアウト以前の画像から装飾図柄50a〜50cおよび背景画像を切替え、当該装飾図柄50a〜50cを停止表示する(図36(G))。このとき、液晶表示器50の画面の一部が未だ可動体124で覆われていることで、「たすと10」図柄から切替えられた装飾図柄50a〜50cの図柄を把握することができない。
図36(G)で装飾図柄50a〜50cおよび背景画像を切替えた後、駆動パターンにもとづく駆動信号を可動体駆動部モータ126に出力し、可動体124を駆動位置から初期位置へと駆動制御する(図36(H))。可動体124を駆動して初期位置に戻すことで、停止表示された装飾図柄50a〜50cが中装飾図柄50bから左右の装飾図柄50a,50cの順で遊技者に視認可能となる。このとき、停止表示された装飾図柄50a〜50cが同一の奇数図柄の組み合わせ(同図中では、「七」を例示)であることで、当該変動表示の結果、確変大当り図柄が導出されたことを認識することができる。
この実施の形態では、液晶表示器50にて切替えられる装飾図柄50a〜50cおよび背景画像の演出表示と同期して、液晶表示器50の前方に可動体124を駆動する。このように 液晶表示器50の表示内容と可動体124の作動態様とを関連付けた演出を実行するため、液晶表示器50にて表示制御される演出表示の演出効果をさらに高めることができる。また、この実施の形態では、変動番号18の「たすと10プレミアム」の変動表示パターンにもとづいて「たすと10」図柄を仮停止表示した後、確変大当りを導出しているが、非確変大当りを導出する変動表示パターンを設定してもよい。これにより、「たすと10」図柄を仮停止表示した後、装飾図柄50a〜50cの再変動表示を視認困難または視認不能としたときに、確変大当りまたは非確変大当りのいずれの図柄が導出されるか判別することができず、その後の演出表示に対して特に注目させることできる。
次に、液晶表示器50にて表示制御される演出態様のタイミングチャートの一例について図37乃至図38を参照して説明する。図37(A)は、ノーマルリーチ演出を実行する変動表示パターン(変動番号3,4の変動表示パターン)と、通常背景と、にもとづく演出態様のタイミングチャートであり、図37(B)は、ノーマルリーチ演出を実行する(変動番号3,4の変動表示パターン)と、特殊背景と、にもとづく演出態様のタイミングチャートである。図38(A)は、スーパーリーチ演出を実行する変動表示パターン(変動番号5〜16の変動表示パターン)と、通常背景と、にもとづく演出態様のタイミングチャートであり、図38(B)は、スーパーリーチ演出を実行する(変動番号5〜16の変動表示パターン)と、特殊背景と、にもとづく演出態様のタイミングチャートである。
まず、サブ統合基板211にて変動表示パターンに応じた変動表示パターンコマンドを受信すると、背景選択処理(ステップS718a)で背景画像に応じた表示コマンドをセットする。ここで、背景画像として、通常背景の演出表示の継続期間中(特殊背景実行フラグのリセット状態)であって、特殊背景の開始条件が成立するか否か判定し、特殊背景の開始条件が成立しない場合(ただし、はずれパターンである場合には、特殊背景の開始条件が必ず成立しない)には、ステップS830で通常背景(背景フラグ)に応じた表示コマンドをセットする一方、通常背景の演出表示の継続期間中(特殊背景実行フラグのリセット状態)であって、特殊背景の開始条件が成立するか否か判定し、特殊背景の開始条件が成立した場合、および、特殊背景の演出表示の継続期間中(特殊背景実行フラグのセット状態)である場合には、ステップS832,S833で特殊背景に応じた表示コマンドをセットする。
そして、通常背景または特殊背景のいずれかの背景画像に応じた表示コマンドとともに、装飾図柄変動開始処理のステップS718で変動表示パターンと停止図柄と予告パターンとに応じた表示コマンドもセットし、これらの表示コマンドを情報出力処理(ステップS95)で表示制御基板220に送信する。表示制御基板220に搭載される表示CPU221は、受信した表示コマンドにもとづいて表示ROM222からプロセスデータを読み出し、当該プロセスデータにもとづいてタイマ(表示画像の切替タイミング等を示す)を設定するとともに、液晶表示器50に駆動信号を出力して装飾図柄の変動表示や背景画像を表示制御する。
この実施の形態では、変動表示パターンと停止図柄と予告パターンとに応じた表示コマンドが同一であっても、背景画像に応じた表示コマンドが異なる場合に、背景画像だけではなく、装飾図柄の変動表示や演出態様も変更して表示制御するプロセスデータが読み出される。変動表示パターンには、装飾図柄の変動時間(装飾図柄の変動表示を開始してから全ての装飾図柄を停止表示するまでの時間)や変動表示、リーチ演出等の演出態様が設定されており、通常背景(背景フラグ)に応じた表示コマンドを受信した場合には、この変動表示パターンにもとづく装飾図柄の変動時間にてリーチ演出等の演出態様を表示制御したり、各々の装飾図柄を停止表示したりするプロセスデータが読み出される。一方で、特殊背景に応じた表示コマンドを受信した場合には、変動表示パターンにもとづく装飾図柄の変動時間ではあるが、変動表示パターンとは異なるリーチ演出等の演出態様(例えば、ノーマルリーチ演出や分岐演出を実行することなく、これらの演出とは別の特殊背景演出を実行する)を表示制御したり、左右の装飾図柄を異なる停止表示タイミングで停止表示したりするプロセスデータが読み出される。ただし、リーチ演出を伴わない変動表示パターンに応じた表示コマンドを受信した場合には、背景画像のみを変更して表示制御するプロセスデータが読み出される。
具体的には、図37(A)に示すように、ノーマルリーチ演出を実行する変動番号3,4の変動表示パターンと、通常背景(背景フラグ)と、に応じた表示コマンドを表示CPU221が受信した場合には、当該変動表示パターンにもとづいて装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始し、左右の装飾図柄50a,50cを同一の図柄で順に停止表示することでリーチ態様を形成し、リーチ態様が形成されたことを告知する「リーチ確定画面51d」を表示制御する。そして、「リーチ確定画面51d」を表示制御した後、さらに変動表示パターンにもとづいてノーマルリーチ演出を実行し、当該ノーマルリーチ演出にて中装飾図柄50bを停止表示することで全ての装飾図柄50a〜50cを停止表示(確定表示)する。この場合には、装飾図柄50a〜50cの変動開始からリーチ態様が形成されるまでの期間(通常変動期間)に、通常背景(背景フラグ)にもとづいて季節背景のいずれかを表示制御する。
また、図37(B)に示すように、ノーマルリーチ演出を実行する変動番号3,4の変動表示パターンと、特殊背景と、に応じた表示コマンドを表示CPU221が受信した場合には、当該変動表示パターンにもとづいて装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始し、上記した通常背景にてリーチ態様を形成するタイミングで特殊背景演出を実行開始し、当該特殊背景演出にて左右の装飾図柄50a,50cを同一の図柄で順に停止表示することでリーチ態様を形成した後、中装飾図柄50bを停止表示することで全ての装飾図柄50a〜50cを停止表示(確定表示)する。この場合には、装飾図柄50a〜50cの変動開始から停止表示するまでの期間に、特殊背景を表示制御し、特殊背景の演出表示の継続期間中(特殊背景フラグのセット状態)である限り、当該特殊背景を継続して表示制御する。
このように、特殊背景に応じた表示コマンドを表示CPU221が受信した場合には、通常背景(背景フラグ)に応じた表示コマンドを受信した場合と装飾図柄の変動時間が同一であるが、変動表示パターンにもとづくノーマルリーチ演出を変更し、この演出とは別の特殊背景演出を実行している。特殊背景演出は、装飾図柄50a〜50cの変動開始から表示制御される特殊背景をそのまま利用して行われる演出であり、特殊背景演出の開始前後で一体感のある演出が実行される。また、通常背景(背景フラグ)に応じた表示コマンドを受信した場合には、ノーマルリーチ演出の実行前に左右の装飾図柄50a,50cが停止表示されるのに対し、特殊背景に応じた表示コマンドを表示CPU221が受信した場合には、特殊背景演出の実行中(終了前)に左右の装飾図柄50a,50cが停止表示される。すなわち、特殊背景演出が実行されることに伴って、変動表示パターンにもとづく左右の装飾図柄50a,50cの停止表示タイミングが遅延されている。
また、図38(A)に示すように、スーパーリーチ演出を実行する変動番号5〜16の変動表示パターンと、通常背景(背景フラグ)と、に応じた表示コマンドを表示CPU221が受信した場合には、当該変動表示パターンにもとづいて装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始し、左右の装飾図柄50a,50cを同一の図柄で順に停止表示することでリーチ態様を形成し、リーチ態様が形成されたことを告知する「リーチ確定画面51d」を表示制御する。そして、「リーチ確定画面51d」を表示制御した後、さらに変動表示パターンにもとづいてノーマルリーチ演出、分岐演出、スーパーリーチ演出を順次実行し、当該スーパーリーチ演出にて中装飾図柄50bを停止表示することで全ての装飾図柄50a〜50cを停止表示(確定表示)する。この場合にも、装飾図柄50a〜50cの変動開始からリーチ態様が形成されるまでの期間(通常変動期間)に、通常背景(背景フラグ)にもとづいて季節背景のいずれかを表示制御する。
また、図38(B)に示すように、スーパーリーチ演出を実行する変動番号5〜16の変動表示パターンと、特殊背景と、に応じた表示コマンドを表示CPU221が受信した場合には、当該変動表示パターンにもとづいて装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始し、上記した通常背景にてリーチ態様を形成するタイミングで特殊背景演出を実行開始し、当該特殊背景演出にて左右の装飾図柄50a,50cを同一の図柄で順に停止表示することでリーチ態様を形成した後、さらに変動表示パターンにもとづいてスーパーリーチ演出を実行し、当該スーパーリーチ演出にて中装飾図柄50bを停止表示することで全ての装飾図柄50a〜50cを停止表示(確定表示)する。この場合には、装飾図柄50a〜50cの変動開始からリーチ態様が形成されるまでの期間(通常変動期間)に、特殊背景を表示制御する。
このように、スーパーリーチ演出を実行する変動番号5〜16の変動表示パターンと、特殊背景と、に応じた表示コマンドを受信した場合には、変動パターンにもとづくノーマルリーチ演出および特殊背景演出を変更し、これらの演出とは別の特殊背景演出を実行している。この場合、ノーマルリーチ演出を実行する変動番号3,4の変動表示パターンに応じた表示コマンドを受信した場合とは異なり、ノーマルリーチ演出だけでなく分岐演出も実行されることなく、特殊背景演出に次いでスーパーリーチ演出が実行される。
この実施の形態では、特殊背景演出を実行するか否かを、主制御基板201にて変動表示パターン設定処理(ステップS41)のステップS415で決定される変動表示パターンに設定するのではなく(すなわち、特殊背景演出を実行する変動表示パターンを設けるのではなく)、サブ統合基板211にて背景選択処理(ステップS718a)で特殊背景の演出表示の継続期間中(特殊背景実行フラグのセット状態)であるか否かによって決定している。このように構成することで、特殊背景演出が実行される割合が少ないながらも、特殊背景演出を実行する変動表示パターンを主制御基板201のROM203に別に設ける必要がなく、主制御基板201の制御負担を増大させることがない。
なお、上記では変動番号5〜16のすべり変動を伴わない変動表示パターンに対する特殊背景演出について説明しているが、例えば、変動表示パターンテーブルに設定されている変動番号18〜32のすべり変動を伴う変動表示パターンに対しても特殊背景演出を実行することができる。この場合、すべり変動を伴わない変動表示パターンに比べてすべり変動を行う期間だけ変動時間が長くなるが、これに伴って特殊背景演出の演出期間も長くなる。
また、この実施の形態では、サブ統合基板211にて変動表示パターンに応じた変動表示パターンを受信したことにもとづいて、変動表示パターンと停止図柄と予告パターンとに応じた表示コマンドと、背景画像に応じた表示コマンドと、の2つの表示コマンドを表示制御基板220に送信し、当該表示制御基板220にて2つの表示コマンドに対応したプロセスデータを判別するとともに表示ROM222から読み出しているが、表示制御基板220に送信する表示コマンドを変動表示パターンと停止図柄と予告パターンと背景画像とに応じた1つの表示コマンドとし、この1つの表示コマンドに対応したプロセスデータを表示ROM222から読み出してもよい。
次に、液晶表示器50にて表示制御される通常背景を伴った演出態様の一例について図39乃至図40を参照して説明する。図39は、変動番号1の「通常変動」の変動表示パターンと、通常背景と、にもとづく演出態様の一例を示す説明図である。サブ統合基板211にて変動番号1の「通常変動」の変動表示パターンに応じた変動表示パターンコマンドを受信すると、背景選択処理(ステップS718a)で特殊背景51bの開始条件が成立するか否か判定し、特殊背景51bの開始条件が成立しない場合には、背景選択処理のステップS830で通常背景(背景フラグ)に応じた表示コマンドをセットする。また、装飾図柄変動開始処理のステップS718で当該変動表示パターンと停止図柄と予告パターンとに応じた表示コマンドもセットし、これらの表示コマンドを情報出力処理(ステップS95)で表示制御基板220に送信する。表示制御基板220に搭載される表示CPU221は、受信した表示コマンドにもとづいて表示ROM222からプロセスデータを読み出し、当該プロセスデータにもとづいてタイマ(表示画像の切替タイミング等を示す)を設定するとともに、液晶表示器50に駆動信号を出力して通常背景(夏背景51a)を表示制御する。ここでは、通常背景(夏背景51a)として、夜の街に立ち並ぶ高層ビル群をライトアップし、その付近で大花火を打ち上げるといった賑やかな背景画像が描かれている。
そして、プロセスデータにもとづいて装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始する(図39(A))。装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始した後、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、所定時間経過後に左装飾図柄50aおよび右装飾図柄50cを順に停止表示する(図39(B),(C))。このとき、右装飾図柄50cは、主制御基板201から送信された変動番号1の「通常変動」の変動表示パターンがリーチ態様を伴わない変動表示パターンであり、左装飾図柄50aとは異なる停止図柄(同図中では、「七」および「三」を例示)で停止表示される。
図39(B),(C)で左右の装飾図柄50a,50cを順に停止表示した後、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、所定時間経過後に中装飾図柄50bを停止表示(確定表示)する(図39(D))。停止表示された装飾図柄50a〜50cの組み合わせが同一図柄の組み合わせとならないことで、当該変動表示の結果、「はずれ」であることを遊技者に認識させる。
図40は、リーチ態様を伴う変動表示パターンと、通常背景と、にもとづく演出態様の一例を示す説明図である。ここでは、リーチ態様を伴う変動表示パターン(変動番号3〜17の変動表示パターン)のうち、ノーマルリーチ演出の実行後にスーパーリーチ演出として「歌リーチ」を実行する変動表示パターン(変動番号5〜16の変動表示パターン)の場合を例示する。サブ統合基板211にて変動番号5〜16の変動表示パターンに応じた変動表示パターンコマンドを受信すると、背景選択処理(ステップS718a)で特殊背景51bの開始条件が成立するか否か判定し、特殊背景51bの開始条件が成立しない場合(ただし、はずれパターンである場合には、特殊背景51bの開始条件が必ず成立しない)には、背景選択処理のステップS830で通常背景(背景フラグ)に応じた表示コマンドをセットする。また、装飾図柄変動開始処理のステップS718で当該変動表示パターンと停止図柄と予告パターンとに応じた表示コマンドもセットし、これらの表示コマンドを情報出力処理(ステップS95)で表示制御基板220に送信する。表示制御基板220に搭載される表示CPU221は、受信した表示コマンドにもとづいて表示ROM222からプロセスデータを読み出し、当該プロセスデータにもとづいてタイマ(表示画像の切替タイミング等を示す)を設定するとともに、液晶表示器50に駆動信号を出力して通常背景(夏背景51a)を表示制御する。
そして、プロセスデータにもとづいて装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始する(図39(A)参照)。装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始した後、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、所定時間経過後に左装飾図柄50aおよび右装飾図柄50cを順に停止表示する(図40(A))。このとき、右装飾図柄50cは、主制御基板201から送信された変動番号5〜16の変動表示パターンがリーチ態様を伴う変動表示パターンであり、左装飾図柄50aと同一の停止図柄(同図中では、「七」を例示)で停止表示される。停止表示された左右の装飾図柄50a,50cが同一図柄であることでリーチ態様となり、画面内中央にリーチ演出の開始を遊技者に告知する「リーチ確定画面51d」を表示制御する(図40(B))。
図40(B)で「リーチ確定画面51d」を表示制御した後、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、ノーマルリーチ演出を開始する(図40(C))。ノーマルリーチ演出では、図40(C)に示すように、背景画像を通常背景51aからノーマルリーチ演出用の背景に変更して表示制御するとともに、既に停止表示された左右の装飾図柄50a,50cを画面内の左右下方に小さく表示制御するのに対して未だ変動表示中の中装飾図柄50bを画面内の中央縦ラインに大きく表示制御する。また、変動表示中の中装飾図柄50bは、リーチ態様が形成されるまでの通常変動期間と比べて、中装飾図柄50bの各々の図柄が遊技者に十分視認できるほどゆっくりとした態様(同図中では、「一」から「二」、「二」から「三」、「三」から「四」の順に1図柄ずつゆっくりと進行する変動態様を例示)で、画面内の中央縦ラインにおける上方から下方に向けて変動表示している(図40(C)〜図40(E))。
図40(C)〜(E)で中装飾図柄50bを数図柄に亘ってゆっくりと低速変動で表示制御した後、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、中装飾図柄50bをさらにゆっくりと、当該中装飾図柄50bが停止表示されるか否かの超低速変動で表示制御する(図40(F))。このとき、黒系統色の背景を画面内上方から下方に向けて、幕を下ろすかの如く表示制御し、ノーマルリーチ演出から分岐演出に移行する(図40(G))。分岐演出では、図40(G)に示すように、黒系統色の背景内に羽ばたく鳥がいずれの発色で輝くかによって、当該分岐演出の実行後にいずれのスーパーリーチ演出を実行するかを示唆する演出態様を表示制御する。具体的には、変動番号5〜16の変動表示パターンにもとづく「歌リーチA」、「歌リーチB」、「歌リーチC」をそれぞれ青色、黄色、赤色に対応させ、黒系統色の背景内に羽ばたく鳥が最終的に青色、黄色、赤色のいずれかに輝くかによって、スーパーリーチ演出の実行前にいずれの「歌リーチ」が実行されるかを遊技者に認識させる。
図40(G)で分岐演出にもとづく演出態様を表示制御した後、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、所定のスーパーリーチ演出を開始する。なお、リーチ態様を伴う変動表示パターン(変動番号3〜11の変動表示パターン)のうち、スーパーリーチ演出を実行することなく、ノーマルリーチ演出のみを実行する変動表示パターン(変動番号3,4の変動表示パターン)の場合には、図40(F)に示す中装飾図柄50bが停止表示されるか否かの超低速変動で表示制御されたときに、黒系統色の背景を画面内上方から下方に向けて表示制御することなく、当該中装飾図柄50bを当落に応じた停止図柄(同図中では、例えば、当りパターンであれば同一図柄の組み合わせとなる「七」、はずれパターンであれば同一図柄の組み合わせとはならない「一」〜「六」のいずれか)で停止表示(確定表示)する。
次に、液晶表示器50にて表示制御される特殊背景を伴った演出態様の一例について図41乃至図42を参照して説明する。図41は、変動番号1の「通常変動」の変動表示パターンと、特殊背景と、にもとづく演出態様の一例を示す説明図である。サブ統合基板211にて変動番号1の「通常変動」の変動表示パターンに応じた変動表示パターンコマンドを受信すると、背景選択処理(ステップS718a)で特殊背景実行フラグがセットされている場合、または、特殊背景51bの開始条件が成立するか否か判定して特殊背景51bの開始条件が成立した場合には、背景選択処理のステップS832,S833で特殊背景に応じた表示コマンドをセットする。また、装飾図柄変動開始処理のステップS718で当該変動表示パターンと停止図柄と予告パターンとに応じた表示コマンドもセットし、これらの表示コマンドを情報出力処理(ステップS95)で表示制御基板220に送信する。表示制御基板220に搭載される表示CPU221は、受信した表示コマンドにもとづいて表示ROM222からプロセスデータを読み出し、当該プロセスデータにもとづいてタイマ(表示画像の切替タイミング等を示す)を設定するとともに、液晶表示器50に駆動信号を出力して通常背景とは異なる特殊背景51bを表示制御する。
そして、プロセスデータにもとづいて装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始する(図41(A))。特殊背景51bでは、通常背景にて表示制御される色彩に富んだ賑やかな背景画像とは異なり、セピア色で描かれた部屋とともに長方形状の額縁51cが表示制御されることで、厳かに演出が進行する。また、額縁51cは、内部に描かれた絵画とともにゆっくりとした態様(同図中では、画面内の左方から中央、中央から右方に移動する態様を例示)で、画面内の左方から右方に向けて移動している(図41(B))。なお、この実施の形態では、額縁51cに描かれる絵画として有名な女性歌手の肖像画が描かれているが、人物以外にも動物や風景等が描かれたり、それらの写真であってもよい。
そして、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、所定時間経過後に左装飾図柄50aおよび右装飾図柄50cを順に停止表示する(図41(C),(D))。このとき、右装飾図柄50cは、主制御基板201から送信された変動番号1の「通常変動」の変動表示パターンがリーチ態様を伴わない変動表示パターンであり、左装飾図柄50aとは異なる停止図柄(同図中では、「七」および「四」を例示)で停止表示される。
図41(C),(D)で左右の装飾図柄50a,50cを順に停止表示した後、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、所定時間経過後に中装飾図柄50bを停止表示(確定表示)する(図41(E))。停止表示された装飾図柄50a〜50cの組み合わせが同一図柄の組み合わせとならないことで、当該変動表示の結果、「はずれ」であることを遊技者に認識させる。このとき、画面内の左方から右方に向けて移動していた額縁51cは、画面内の右端まで到達することで非表示としているが、次回の装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始したときには、額縁51cを再び画面内の右端に表示制御する(図41(F))。すなわち、装飾図柄50a〜50cを変動表示する毎に、画面内の左方から右方に向けての移動を繰り返し表示制御している。また、額縁51cに描かれる肖像画は、表示ROM222に複数種類の肖像画が記憶されており、装飾図柄50a〜50cを変動表示する毎に次の肖像画に切替えて表示制御される。なお、表示ROM222に記憶された最後の絵画が表示制御されたときには、最初の絵画に戻って表示制御される。
図42は、リーチ態様を伴う変動表示パターンと、特殊背景と、にもとづく演出態様の一例を示す説明図である。ここでは、リーチ態様を伴う変動表示パターン(変動番号3〜17の変動表示パターン)のうち、ノーマルリーチ演出の実行後にスーパーリーチ演出として「歌リーチ」を実行する変動表示パターン(変動番号5〜16の変動表示パターン)の場合を例示する。サブ統合基板211にて変動番号5〜16の変動表示パターンに応じた変動表示パターンコマンドを受信すると、背景選択処理(ステップS718a)で特殊背景実行フラグがセットされている場合、または、特殊背景51bの開始条件が成立するか否か判定して特殊背景51bの開始条件が成立した場合には、背景選択処理のステップS832,S833で特殊背景に応じた表示コマンドをセットする。また、装飾図柄変動開始処理のステップS718で当該変動表示パターンと停止図柄と予告パターンとに応じた表示コマンドもセットし、これらの表示コマンドを情報出力処理(ステップS95)で表示制御基板220に送信する。表示制御基板220に搭載される表示CPU221は、受信した表示コマンドにもとづいて表示ROM222からプロセスデータを読み出し、当該プロセスデータにもとづいてタイマ(表示画像の切替タイミング等を示す)を設定するとともに、液晶表示器50に駆動信号を出力して通常背景とは異なる特殊背景51bを表示制御する。
そして、プロセスデータにもとづいて装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始する(図42(A))。絵画は、特殊背景51bにて画面内の左方から右方に移動する態様を表示制御するが、所定のタイミング(通常背景51aにて左右の装飾図柄50a,50cを停止表示するタイミング)で画面内の中央付近に停止表示し、特殊背景演出を開始する(図42(B))。特殊背景演出では、特殊背景51bの一部として表示制御されている額縁51cを画面内の中央付近で停止表示した状態で、当該額縁51cに描かれた絵画を順に切替えて表示制御する(図42(B)〜(E))。このように、特殊背景演出を実行しない場合や特殊背景演出の開始前には、額縁51cが画面内の左方から右方に移動する態様であるが、特殊背景演出の開始後には、画面内の中央付近で停止表示する態様となることで、額縁51cに描かれた絵画をじっくりと鑑賞することができ、当該絵画の内容を十分に堪能することができる。なお、表示ROM222に記憶された最後の絵画が表示制御されたときには、最初の絵画に戻って表示制御される。
そして、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、所定時間経過後に左装飾図柄50aおよび右装飾図柄50cを順に停止表示する(図42(E),(F))。このとき、右装飾図柄50cは、主制御基板201から送信された変動番号5〜16の変動表示パターンがリーチ態様を伴う変動表示パターンであり、左装飾図柄50aと同一の停止図柄(同図中では、「七」を例示)で停止表示される。
図42(E),(F)で左右の装飾図柄50a,50cを順に停止表示した後、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、画面内の中央付近に停止表示されている額縁51cとともに絵画を画面前方に向かって徐々に拡大表示する(図42(G))。そして、背景画像を特殊背景51bからスーパーリーチ演出用の背景に変更して表示制御するとともに、所定のスーパーリーチ演出を実行する。なお、リーチ態様を伴う変動表示パターン(変動番号3〜11の変動表示パターン)のうち、スーパーリーチ演出を実行することなく、ノーマルリーチ演出のみを実行する変動表示パターン(変動番号3,4の変動表示パターン)の場合には、額縁51cとともに絵画を画面前方に向かって拡大表示することなく、当該中装飾図柄50bを当落に応じた停止図柄(同図中では、例えば、当りパターンであれば同一図柄の組み合わせとなる「七」、はずれパターンであれば同一図柄の組み合わせとはならない「一」〜「六」のいずれか)で停止表示(確定表示)する。
この実施の形態では、少なくともノーマルリーチ演出を実行する変動表示パターン(変動番号3〜16の変動表示パターン)であるときに、背景画像が通常背景または特殊背景のいずれであるかによって、それぞれノーマルリーチ演出(および分岐演出)または特殊背景演出のいずれかの演出態様が表示制御される。ここで、背景フラグにもとづく通常背景が表示制御された場合には、賑やかな背景画像を伴った演出(ノーマルリーチ演出等)が進行する一方で、特殊背景51bが表示制御された場合には、厳かな背景画像を伴った演出(特殊背景演出等)が進行する。このように、背景画像によって演出の趣向をがらりと変えることで、遊技中において実行割合の少ない特殊背景51bを際立たせ、特殊背景51bが演出表示される変動表示において「何かが起こるのでは?」といった期待感を特に高めることができ、遊技の興趣にメリハリを生じさせることができる。
また、この実施の形態では、背景画像の変化に伴って、上部スピーカ29および下部スピーカ14から出力される音出力態様も同期して変化させる。すなわち、背景フラグにもとづく通常背景が表示制御された場合には、テンポの早い賑やかな音出力態様で出力する一方で、特殊背景51bが表示制御された場合には、テンポの遅い落ち着いた音出力態様で出力する。このように、液晶表示器50にて表示制御される演出態様に合わせて、上部スピーカ29および下部スピーカ14から出力される音出力態様の趣向も変えることで、遊技中において実行割合の少ない特殊背景51bをさらに際立たせ、特殊背景51bが演出表示される変動表示において「何かが起こるのでは?」といった期待感を相乗的に高めることができ、遊技の興趣にメリハリをさらに生じさせることができる。
また、この実施の形態では、特殊背景51bが表示制御される場合には、少なくともノーマルリーチ演出を実行する変動表示パターン(変動番号3〜16の変動表示パターン)に決定されたときであっても、ノーマルリーチ演出を実行することがない。ここで、ノーマルリーチ演出のみを実行する変動表示パターン(変動番号3,4の変動表示パターン)は、ノーマルリーチ演出の実行後にスーパーリーチ演出を実行する変動表示パターン(変動番号5〜16の変動表示パターン)に比べて導出割合が高いが、リーチ演出を実行する変動表示パターンの中でノーマルリーチ演出のみを実行する変動表示パターンが大当り期待度がもっとも低くなるように設定されている。すなわち、ノーマルリーチ演出から分岐演出を経てスーパーリーチ演出に移行する割合が低いとともに、ノーマルリーチ演出にて「はずれ」となる(はずれ図柄の組み合わせで停止表示される)割合が高く、ノーマルリーチ演出が頻繁に実行される割に、遊技者にとって大当りとなる期待感が高まらない演出となっている。この実施の形態では、特殊背景51bが表示制御される場合に、ノーマルリーチ演出を実行しないことで、大当りとなる期待感が高まらないノーマルリーチ演出に対する遊技者の退屈感(つまらなさ)を省くことができる。
また、ノーマルリーチ演出では、リーチ態様を形成した後、中装飾図柄50bの各々の図柄が遊技者に十分視認できるほどゆっくりとした態様で変動表示し、「どうせ当らないのに」とイライラを募らせる遊技者がいることも想定される。しかしながら、特殊背景51bが表示制御される場合に、特殊背景演出を実行し、当該特殊背景演出の実行後にリーチ態様を形成する(左右の装飾図柄50a,50cの停止表示タイミングを遅延させる)ことで、ノーマルリーチ演出に対するイライラを募らせることがなく、通常背景にてノーマルリーチ演出が実行されるはずであった演出期間に、特殊背景演出にて装飾図柄の変動表示に期待をもって注目させることができる。
また、この実施の形態では、特殊背景51bが表示制御される場合には、スーパーリーチ演出を実行する変動表示パターン(変動番号5〜16の変動表示パターン)に決定されたときであっても、ノーマルリーチ演出とともに分岐演出も実行することがない。ここで、大当りとなる割合の高いスーパーリーチ演出に移行する割合が低い(例えば、はずれとなる場合に、変動番号5〜8の「歌リーチA」の変動表示パターンよりも変動番号13〜16の「歌リーチC」の変動表示パターンに決定する割合が低い)ことから、分岐演出においても、大当りとなる割合の低いスーパーリーチ演出(例えば、変動番号5〜8の「歌リーチA」の変動表示パターン)を示唆する割合が高い。この実施の形態では、特殊背景51bが表示制御される場合に、ノーマルリーチ演出とともに分岐演出も実行しないことで、「どうせ大当りとなる割合の低いスーパーリーチ演出が示唆されるのに」といった分岐演出に対する遊技者の退屈感(つまらなさ)も省くことができる。また、特殊背景演出にてリーチ態様を形成した後、突然、スーパーリーチ演出が実行されることで、遊技者に驚きを与えることができる。すなわち、演出表示に意外性を与えることで、遊技が単調になることがない。
また、上記実施形態では、遊技機としてパチンコ機1を示したが、パチンコ機以外の遊技機、例えば、スロットマシーンや、パチンコ機とスロットマシーンとを融合させてなる遊技機等であっても本発明を適用することができる。