JP2007151167A - 移動体通信システム、ハンドオーバー制御方法、基地局制御装置及び移動端末 - Google Patents

移動体通信システム、ハンドオーバー制御方法、基地局制御装置及び移動端末 Download PDF

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Abstract

【課題】干渉量が許容量を超えている基地局が移動端末から送信されるデータの送信電力を制御できるようにして、伝送品質の劣化を抑制することができる移動体通信システム及び移動端末を得る。
【解決手段】複数の基地局2におけるデータの受信状況に応じて、基地局制御装置3が複数の基地局2をE−DCHアクティブセットの基地局又はソフトハンドオーバー用アクティブセット(従来のアクティブセット)の基地局に振り分けるように構成する。
【選択図】図1

Description

この発明は、個別チャネルにおけるソフトハンドオーバー用のアクティブセットの基地局より、上りパケット通信用アクティブセットの基地局を選択するもの(マクロダイバシティ受信するもの)に係わり、特に移動端末から送信されるデータをマクロダイバシティ受信する複数の基地局のうち、その移動端末におけるデータの送信電力を制御する制御機能を有する非サービング基地局を選択する移動体通信システム及び移動端末などに関するものである。
従来の移動体通信システムにおける移動端末は、データが到着次第、そのデータを基地局に送信するように構成され、そのデータの送信タイミングをスケジューリングしてから、そのデータを送信するようには構成されていない。
しかし、送信データの高速化に伴って、移動端末における送信データの電力が大きくなり、基地局の干渉量が大きなものになっている。そのため、基地局のスケジューラが各移動端末の送信タイミング等を制御することにより、一定以上の干渉量の増大を防止して、スループットを高めることが求められている。
また、基地局のスケジューラが干渉量を考慮して、各移動端末の送信タイミング等を制御することにより、送信データのピークをずらすこともできる。
従来は基地局の干渉量を制御することができず、ある程度の余裕を見込んで、送信レートを制限していたが、基地局の干渉量を制御できれば、その余裕を減らして、送信データのピークレートを高めることも可能になる。
ここで、データの上り送信においては、移動端末から送信されたデータが複数の基地局に到達することがあり、スケジューリングを担当する以外の基地局が当該データを受信することも可能である。
複数の基地局が移動端末から送信されたデータを受信して品質を高める処理をマクロダイバシティと呼ばれ、1つの移動端末から送信されたデータを受信する基地局が複数存在する場合に、その移動端末に対してスケジューリング処理を担当する基地局は、プライマリ(Primary)基地局、もしくは、サービング(Serving)基地局と呼ばれる。
また、スケジューリング処理を担当しないが、移動端末から送信されたデータを受信する基地局は非サービング基地局と呼ばれ、ある一つの移動端末と通信する複数の基地局の集合は、アクティブセットと呼ばれる。
なお、非サービング基地局であっても他の移動端末をスケジュールする必要があるためスケジューラ自体は実装をしており、基地局がある移動端末にスケジューリングを担当するか、しないかがサービング基地局と非サービング基地局を区別するものである。
従来からデータの上り送信においても、ソフトハンドオーバー中にマクロダイバシティが利用されているが、ソフトハンドオーバー中にアクティブセットとなる全ての基地局が無線リンクを受信するようにしている。
しかしながら、スケジューラを導入している高速パケット通信では、送信データの電力を下げて、高い誤り率を基地局との再送制御でカバーすることを目指しているが、全ての基地局がデータを受信できるようにするには、移動端末がデータの送信電力を過剰に高めて送信することになる。
逆に、スケジューラとなるサービング基地局のみがデータを受信するようにする場合、そのデータの伝送路品質が変動して、その伝送路品質が悪化すると、そのデータの再送処理が多数発生して、スループットが低下してしまうことになる。
したがって、スケジューラを導入している高速パケット通信では、ソフトハンドオーバー中のリンク品質を確保するには、アクティブセットとなる全ての基地局ではなく、また、サービング基地局のみでもなく、複数の基地局がデータを受信するのが望ましい。
なお、スケジューラが用いられないソフトハンドオーバーの技術は従来から存在する。例えば、アクティブセットの数の最適化については以下の特許文献1、特許文献3及び特許文献4に開示されており、回線状況の改善については特許文献2に開示されている。
即ち、特許文献1には、移動端末が基地局と無線通信を実施して、信号強度やRF性能などを測定して、2つの閾値によりアクティブセットの数を調節する方法(第一閾値より大きいものがあれば、アクティブセットを1つ選択し、第2閾値より大きいものがあれば、アクティブセットを2つ選択する)が開示されている。
しかしながら、特許文献1では、単に無線資源の節約を目的にして、信号強度やRF性能などを測定してアクティブセットの数を制限する手法を開示しているに過ぎない。
特許文献2では、データの再送回数が一定回数以上になると、イントラセルハンドオーバーを行うことにより、回線状況を改善してデータ通信を継続する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献2では、単に強制切断の改善を目的にして、イントラセルハンドオーバーを実施するに過ぎない。
特許文献3では、無線ユニットの受信状態が悪いときにはマクロダイバシティを使用し、受信状態が良いときにはマクロダイバシティを使用しない方法が開示されている。
しかしながら、特許文献3では、上りの干渉量を調節することができず、マクロダイバシティの効果を得ることができない。
特許文献4では、過負荷状態の基地局の入出力基準を下げてアクティブセットから外し、アクティブセットのサイズを低減させる方法が開示されている。
しかしながら、特許文献4では、下りのデータ送信にのみ適用することができる手法であり、上りのデータ送信には適用することができない。
非特許文献1では、スケジューラを利用した高速パケット通信であるE−DCH(Enhanced Dedicated CHannel)アクティブセットについての記載があり、そのE−DCHアクティブセットの追加基準として、基地局の選択方法が開示されている。即ち、上り伝送路の品質を示す基地局により測定されたDPCCH SIR(Signal to Interference Ratio)、または、E−DPCCH BLER(BLock Error Rate)に基づいて基地局を選択するようにしている。
上り伝送路の品質は、E−DCHアクティブセットを選択する上で重要な要素ではあるが、それ以上に基地局の干渉量が考慮される必要がある。
しかしながら、非特許文献1では、非サービング基地局の干渉量の余裕を考慮した基地局の選択方法ではなく、また、シグナリングの負荷量についても考慮されずに基地局が選択される。
また、実際に基地局を選択するに際して、基地局以外でも選択は可能であるが、移動端末が基地局を選択する手法や、基地局制御装置が基地局を選択する手法についても開示されておらず、具体的な処理についても未検討である。
特開2002−95031号公報 特開2002−77982号公報 特開2001−16633号公報 特開2001−197536号公報 3GPP RAN1文書 R2−042357
従来の移動体通信システムは以上のように構成されているので、スケジューリングを担当している基地局では、基地局の干渉量を考慮して移動端末から送信されるデータの電力を制限することができるが、スケジューリングを担当していない基地局では、干渉量が許容量を超えても、移動端末から送信されるデータの電力を制限することができず、伝送品質が劣化することがある課題があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、干渉量が許容量を超えている基地局が移動端末から送信されるデータの送信電力を制御できるようにして、伝送品質の劣化を抑制することができる移動体通信システム及び移動端末を得ることを目的とする。
この発明に係る移動体通信システムは、複数の基地局に関する通信品質の測定量を比較し、E−DCHアクティブセットに含まれていないがDCHアクティブセットに含まれている基地局が、E−DCHアクティブセットに含まれている基地局の通信品質よりも良くなった場合、E−DCHアクティブセットに含まれていないがDCHアクティブセットに含まれている基地局をE−DCHアクティブセットに追加するために、その事象を通知するようにしたものである。
このことによって、干渉量が許容量を超えている基地局が移動端末から送信されるデータの送信電力を制御することができるようになり、その結果、伝送品質を高めることができるなどの効果がある。
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための最良の形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による移動体通信システムを示す構成図であり、図において、移動端末1はユーザが使用する携帯電話やモバイルPCなどの端末である。
サービング基地局2−1は移動端末1におけるデータの送信タイミング及び送信電力を制御するスケジューリング機能を有しており、移動端末1から送信されるデータを受信する。ここでの送信電力を制御することとは、最大送信レートの指示を目的する移動端末の送信許可電力の制御のことを指しており、高速クローズドループでの電力制御のことではない。
非サービング基地局2−2は移動端末1におけるデータの送信電力を制御する制御機能を有しており、移動端末1から送信されるデータを受信する。ただし、非サービング基地局2−2におけるデータの受信状況が変動すると、基地局制御装置3により上記の制御機能を有しない基地局に変更される場合がある。
基地局2−3はソフトハンドオーバー用アクティブセットの基地局であり、上記の制御機能を保持せずに移動端末1から送信されるデータを受信する。ただし、基地局2−3におけるデータの受信状況が変動すると、基地局制御装置3により非サービング基地局に変更される場合がある。
基地局制御装置3は基地局2−1,2−2,2−3におけるデータの受信状況に応じて、基地局2−1,2−2,2−3をサービング基地局、非サービング基地局又は上記の制御機能を有しない基地局(ソフトハンドオーバー用アクティブセットの基地局)に振り分ける処理を実施する。
なお、基地局制御装置3は高速な上りパケット通信においてマクロダイバシティを実施している。
図2はこの発明の実施の形態1による移動体通信システムの移動端末1を示す構成図であり、図において、変調部11は各チャネルの信号を多重化してから拡散して、所望の搬送波に変調する処理を実施する。
電力増幅部12は変調部11から出力された搬送波を所望の電力まで増幅する処理を実施する。
アンテナ13は電力増幅部12により増幅された搬送波である変調信号をサービング基地局2−1,非サービング基地局2−2及び基地局2−3に送信する一方、サービング基地局2−1,非サービング基地局2−2及び基地局2−3から送信された搬送波である変調信号を受信する。
低雑音増幅部14はアンテナ13より受信された微弱な変調信号を復調に必要なレベルまで増幅する処理を実施する。
復調部15は低雑音増幅部14により増幅された変調信号を逆拡散(送信元で拡散された符号と同一の符号で逆拡散)して、元のチャネルの信号に分離する処理を実施する。
制御部16は移動端末1における各部の制御を実施するとともに、データやパラメータの受け渡しを実施する。
送信バッファ17は制御部16からユーザにより入力されたデータを受けると、そのデータを一時的に保持する処理を実施する。
DPCH送信部18は送信バッファ17に保持されたデータやプロトコル処理部41から発生されたイベントなどをDCH(Dedicated CHannel)に乗せて、そのDCHを送信する処理を実施する。DPCH(Dedicated Phisical CHannel)はDCHを乗せるための物理レイヤの名称であり、DCHのデータに加えて、パイロット信号や電力制御コマンド等も含む実際に送信するものをすべて含むチャネルを意味する。
なお、DCHは、個別にデータのやり取りを行うチャネルであり、高速パケット通信が利用される場合には、主に音声等の比較的レートの低いデータを扱うチャネルである。
電力管理部19はDPCH送信部18から出力されたDCHの電力と、E−AGCH受信部29より受信されたAG(Absolute Grant)と、E−RGCH受信部30より受信されたRG(Relateive Grant)とからE−DCH(Enhanced DCH)に使用できる電力を算出する処理を実施する。 E−AGCHとはE−DCH Absolute Grant CHannelの略である。E−RGCHとはE−DCH Relative Grant CHannelの略である。
送信レート制御部20はスケジューラの指示の下、送信バッファ17におけるデータの出力を制御する処理を実施する。また、送信レート制御部20は電力管理部19により算出された移動端末1の残りの電力とSG管理部40から出力されたSG(Serving Grant;スケジューラから与えられたE−DCHの許容電力を制御する値)からE−TFCI(E−DCH Transport Format Combination Indicator)を算出する。
HARQ処理部21は送信データ情報であるシステマティックビットと、冗長ビットであるパリティビットとの比率を決定する処理を実施する。
スケジューリング要求情報作成部22は送信バッファ17から出力されたデータと、電力管理部19により算出されたE−DCHに使用できる電力とに基づいてスケジューリング要求情報を作成する処理を実施する。
エンコーダ部23は再送制御部27から出力されたRV(Redundancy Version)の情報に基づいてシステマティックビット(情報ビット)とパリティビット(誤り訂正用ビット)の混合した出力を符号化する処理を実施する。
E−DCH送信部24は再送制御部27から出力されたRVの情報を考慮して、E−DCHを物理チャネルに乗せて送信可能な状態に設定する処理を実施する。
E−DPCCH送信部25は送信レート制御部20により算出されたE−TFCIと、スケジューリング要求情報作成部22により作成されたスケジューリング要求情報と、再送制御部27から出力されたRSN(Retransmissin Sequence Number)とを送信可能な形に符号化する処理を実施する。
E−HICH受信部26は基地局2がE−DCHを受信したか否かを示すACK/NACKの情報を受信する処理を実施する。E−HICHとはE−DCH HARQ Acknowledgement Indicator CHannelの略である。
なお、E−HICH受信部26はE−DCHの最大アクティブセットの数だけ用意される。この数は移動端末1の性能によって決まる。
再送制御部27はE−HICH受信部26により受信されたACK/NACKの情報からRVとRSNを算出する処理を実施する。
なお、RVはシステマティックビットとパリティビットの組み合わせを示し、RSNは再送回数を示す情報である。
CPICH受信部28は共通パイロットチャネルの受信処理を実施して、その共通パイロットチャネルの受信レベルをプロトコル処理部41に出力する。
E−AGCH受信部29はサービング基地局2−1からAGを受信する処理を実施する。
E−RGCH受信部30はサービング基地局2−1又は非サービング基地局2−2からRGを受信する処理を実施する。
なお、E−RGCH受信部30はE−DCHの最大アクティブセットの数だけ用意される。
DPCH受信部31はDCHを受信する処理を実施する。
P−CCPCH受信部32は報知情報を受信する処理を実施する。
アクティブセット管理部33はP−CCPCH受信部32により受信された報知情報から現在のアクティブセット(E−DCHのアクティブセットと異なる従来のアクティブセット)の状態を確認する処理を実施する。
アクティブセット制御部34はP−CCPCH受信部32やE−AGCH受信部29などから各基地局の干渉量を取得し、各基地局の干渉量やアクティブセット管理部33により確認された現在のアクティブセットの状態とから、現在のアクティブセットの制御内容を決定して、その制御内容をプロトコル処理部41に出力する処理を実施する。また、アクティブセット制御部34はプロトコル処理部41から非サービング基地局の追加、または、非サービング基地局の削除の情報を受け取ると、アクティブセット管理部33を更新して、対象の基地局を追加又は削除するための制御をE−AGCH受信部29及びE−RGCH受信部30に行う。
E−DCHアクティブセット管理部35はP−CCPCH受信部32又はE−DCHアクティブセット制御部38から現在のE−DCHアクティブセットの状態を取得し、E−DCHアクティブセット制御部38の指示により現在のアクティブセットを更新する。
相関算出部36はCPICH受信部28により受信された共通パイロットチャネルであるCPICH(Common Pilot CHannel)の電力の相関を計算して、そのCPICHの電力の相関をE−DCHアクティブセット制御部38に出力する。
応答信号カウント部37はE−HICH受信部26がNACKの情報を受信すると、NACKの受信回数をカウントして、そのNACKの受信回数をE−DCHアクティブセット制御部38に出力する処理を実施する。
比較手段を構成しているE−DCHアクティブセット制御部38はP−CCPCH受信部32やE−AGCH受信部29(干渉量収集手段)などから各基地局の干渉量を取得するとともに、E−DCHアクティブセット管理部35から現在のE−DCHアクティブセットの状態を取得し、また、SG管理部40からSGを取得して、E−DCHのアクティブセットの制御内容を決定して、その制御内容をプロトコル処理部41に出力する処理を実施する。
ステップ幅管理部39はCPICH受信部28により受信された共通パイロットチャネルであるCPICHの電力又はプロトコル処理部41から出力されたパスロスに基づいて1回のステップで、SGを変動させる幅(ステップ幅)を算出する処理を実施する。
SG管理部40はE−AGCH受信部29により受信されたAGと、E−RGCH受信部30により受信されたRGと、ステップ幅管理部39により算出されたステップ幅とに基づいてSGを更新する処理を実施する。
要求送信手段を構成しているプロトコル処理部41は通信のプロトコル処理を実施する。
図3はこの発明の実施の形態1による移動体通信システムの基地局2を示す構成図であり、図において、変調部51は各チャネルの信号を多重化してから拡散して、所望の搬送波に変調する処理を実施する。
電力増幅部52は変調部51から出力された搬送波を所望の電力まで増幅する処理を実施する。
アンテナ53は電力増幅部52により増幅された搬送波である変調信号を移動端末1に送信する一方、移動端末1から送信された搬送波である変調信号を受信する。
低雑音増幅部54はアンテナ53より受信された微弱な変調信号を復調に必要なレベルまで増幅する処理を実施する。
復調部55は低雑音増幅部54により増幅された変調信号を逆拡散(移動端末1で拡散された符号と同一の符号で逆拡散)して、元のチャネルの信号に分離する処理を実施する。
制御部56は基地局2における各部の制御を実施するとともに、データの受け渡しやタイミングなどの制御を実施する。
プロトコル処理部57は通信のプロトコル処理を実施して、基地局制御装置3と基地局2間の通信処理を行う。
DPCCH受信部58は復調部55から出力されたDPCCHの復号処理を実施する。
DPDCH受信部59は復調部55から出力されたDPDCHを復号できる形に設定する処理を実施する。
図3の例では、DPCCH受信部58とDPDCH受信部59が1つずつ実装されているが、実際には移動端末1毎に用意されている。
E−DPCCH受信部60は移動端末1から送信されたE−DPCCH(Enhanced Dedicated Physical Control CHannel)を受信する処理を実施する。
スケジューリング要求情報復号部61はE−DPCCH受信部60により受信されたE−DPCCHのスケジューリング要求情報を復号する処理を実施する。
E−DPDCH受信部62はE−DCHの受信処理を実施して、情報源であるシステマティックビットと、冗長ビットであるパリティビットに分ける処理を実施する。
図3の例では、E−DPCCH受信部60とE−DPDCH受信部62が1つずつ実装されているが、実際には移動端末1毎に用意されている。
バッファ63はE−DPDCH受信部62から出力されたビットを一時的に保持する処理を実施する。
復号部64はDPDCH受信部59により受信されたDPDCHを復号する処理を実施するとともに、バッファ63により保持されたE−DCHをE−DPCCH受信部60により受信されたE−TFCIによって復号する処理を実施する。なお、復号部64はDCHと共用である。
干渉量測定部65は基地局2における干渉量を測定する処理を実施する。即ち、低雑音増幅部54から出力された受信強度と復調部55から出力された受信信号におけるパイロットとに基づいて信号成分を取り除くことにより干渉量を測定する。
SIR算出部66はDPCCH受信部58により復号されたDPCCHと干渉量測定部65により測定された干渉量との比であるSIRを算出する処理を実施する。
TPCコマンド生成部67は基地局制御装置3により指定されたターゲットSIRとSIR算出部66により算出された現在のSIRを比較し、現在のSIRがターゲットSIRより低い場合には電力を増加するTPCコマンドを生成し、現在のSIRがターゲットSIRより高い場合には電力を下げるコマンドを生成する。
干渉量通知部68は干渉量測定部65により測定されたSIRを基地局制御装置3に通知する処理を実施する。
RSN抽出部69は復号部64により復号された信号からRSNに相当するビットを抽出する処理を実施する。
E−DCHアクティブセット管理部70はE−DCHアクティブセット制御部71の指示の下、基地局制御装置3又はE−DCHアクティブセット制御部71から現在のE−DCHのアクティブセットの状態を収集する処理を実施する。
E−DCHアクティブセット制御部71はE−DCHアクティブセット管理部70により収集されたE−DCHのアクティブセットの状態を取得するとともに、シグナリング測定部79により測定されたシグナリングの数(E−AGCH送信部76、E−RGCH送信部77及びE−HICH送信部78で使用しているシグナリングの数)を取得し、また、干渉量通知部68から干渉量とE−DCHコードパワー(もしくは送信レート)を取得し、これらの取得内容にしたがって、どの移動端末1に対してE−DCHのアクティブセットを外すべきかの要求をプロトコル処理部57に出力する。また、プロトコル処理部57から非サービング基地局の追加又は非サービング基地局の削除の情報を受け取ると、E−DCHアクティブセット管理部70を更新して、対象の移動端末1の追加や削除の制御をE−RGCH送信部77、E−HICH送信部78、E−DPCCH受信部60及びE−DPDCH受信部62に行う。
P−CCPCH送信部72は基地局制御装置3から通知された干渉量情報等の報知情報を移動端末1に送信する処理を実施する。
DPCH送信部73はDPCCHを移動端末1に送信する処理を実施する。
HARQ制御部74はRSN抽出部69により抽出されたRSNから再送か否かを判定し、再送であれば復号部64のターボ符号化比率を変えて復号処理を実施させる一方、再送でなければバッファ63に保持されているデータを消去する処理を実施する。また、データが送り終わったか否かを上りスケジューラ75に通知する処理を実施する。
上りスケジューラ75は干渉量測定部65により測定された干渉量と、基地局制御装置3から通知された優先順位と、スケジューリング要求情報復号部61により復号されたスケジューリング要求情報と、HARQ制御部74から出力されたスケジューリング解放要求とに基づいて、各移動端末1に対するデータ量の調節を行う。
E−AGCH送信部76は当該基地局がサービング基地局の場合、上りスケジューラ75から出力されたAGを移動端末1に送信する処理を実施する。
E−RGCH送信部77は当該基地局が非サービング基地局の場合、上りスケジューラ75から出力されたRGを移動端末1に送信する処理を実施する。ただし、RGモードの場合には、当該基地局がサービング基地局の場合でも、RGを移動端末1に送信する処理を実施する。
E−HICH送信部78は復号部64におけるE−DCHデータのCRCチェックの結果がOKであれば、ACKを移動端末1に送信し、CRCチェックの結果がNGであれば、NACKを移動端末1に送信する処理を実施する。
図3の例では、E−AGCH送信部76、E−RGCH送信部77及びE−HICH送信部78が1つずつ実装されているが、実際には移動端末1毎に用意されている。
シグナリング測定部79はE−AGCH送信部76、E−RGCH送信部77及びE−HICH送信部78で使用しているシグナリングの数を測定する処理を実施する。
図4はこの発明の実施の形態1による移動体通信システムの基地局制御装置3を示す構成図であり、図において、制御部81は基地局制御装置3の各部を制御する処理を実施する。
伝送制御部82は誤りのないデータリンクを行う伝送制御処理を実施する。
無線資源管理部83は周波数やコードなどの無線資源を管理するとともに、干渉量や負荷などを管理する。
干渉量保管部84は傘下の基地局2の干渉量を保管する処理を実施する。
パスロス保管部85は傘下の基地局2が把握している移動端末1と基地局2間のパスロスを保管する処理を実施する。
アクティブセット管理部86は対象の移動端末1に対して、どの基地局2が従来のアクティブセットになっているかを管理する処理を実施する。
アクティブセット制御部87はどの基地局2を従来のアクティブセットに含めるか否かを判定して、いずれかの基地局2を従来のアクティブセットに含める制御を実施する。
AG管理部88は対象の移動端末1のAGを保管する処理を実施する。
E−DCHアクティブセット管理部89は対象の移動端末1に対して、どの基地局2がE−DCHのアクティブセットになっているかを管理する処理を実施する。
シグナリング負荷保管部90は基地局2により測定されたシグナリングの数を保管する処理を実施する。
応答信号カウント部91は無線資源管理部83からE−DCHのアクティブセットになっている基地局2のE−DCHの受信データを取得して、CRC=OKとなる数とCRC=NGとなる数(または、データを受信しなかった数)をカウントし、そのカウント結果をE−DCHアクティブセット制御部92に出力する。
E−DCHアクティブセット制御部92はどの基地局2をE−DCHのアクティブセットに含めるか否かを判定して、いずれかの基地局2をE−DCHのアクティブセットに含める制御を実施する。
次に動作について説明する。
[スケジューリング導入の説明]
従来の上りパケット通信と異なる上り高速パケット通信の特徴としては、スケジューラの導入が掲げられる。
これは、基地局2が各移動端末1の状態(例えば、データの送信要求など)を把握してスケジューリングを実施し、移動端末1が基地局2の指示にしたがってデータを送信するものである。
即ち、移動端末1が事前に状態を基地局2に通知しておき、基地局2が伝送路の品質や移動端末1におけるデータの送信電力のマージン等に基づいてスケジューリングを実施して、そのスケジューリング結果を移動端末1に通知し、移動端末1がそのスケジューリング結果にしたがって上り高速パケットを送信するものである。
これにより、上りパケット通信で問題となる基地局2における干渉量を適切に制御することができるため、高速通信を実現しながら無線リソースの節約を実現することができる。
以下、従来の上りパケット通信と比較して、この上り高速パケット通信のチャネルをE−DCHと称する。
以下、干渉量の余裕が厳しい基地局を非サービング基地局に変更(E−DCHアクティブセットの基地局に含める)する場合について説明する。
干渉量の余裕が厳しい基地局を非サービング基地局に変更するに際して、変更の判断主体が移動端末1になる場合と基地局制御装置3になる場合がある。
[アクティブセットの説明]
図5は従来のアクティブセット(ソフトハンドオーバー用アクティブセット)とE−DCHのアクティブセットの違いを示す説明図である。
従来の個別チャネルがDCH、新しいスケジューラを用いたパケット用のチャネルがE−DCHであるとき、このE−DCHに対して新しくE−DCH用のアクティブセットが生成される。
従来のアクティブセットに含まれている基地局2−3は、移動端末1とDCHのやり取りを実施する。基地局2−3にとっては、E−DCHは干渉となり、そのE−DCHの受信を実施しない。
E−DCH用のアクティブセットに含まれる基地局として、サービング基地局と非サービング基地局がある。
サービング基地局2−1と非サービング基地局2−2は、移動端末1からDCHのほかに、E−DCHを受信する。
なお、E−DCH用のアクティブセットに含まれる基地局は、従来のアクティブセットに含まれている基地局から選択される。
その理由は、上りチャネルではDPCCHに含まれているパイロットで同期を取っており、そのパイロットを用いて信号の位相基準を決めているため、従来のアクティブセットに含まれている基地局でなければ、E−DCHを受信することができないからである。
[E−DCHアクティブセットに含まれる基地局を追加する基準]
E−DCHアクティブセットに含まれる基地局を追加する際、パスロスを基準にして、追加の是非を判断することが考えられる。
即ち、移動端末1により測定されたCPICHの受信レベルと、実際に基地局2が送信しているCPICHの送信レベルとの差分(パスロス)を求めるものである。
パスロスは、移動端末1から基地局2までの距離にほぼ比例して減衰する。
従来のアクティブセットに含まれる基地局の追加の是非を判断する上では、このパスロスを基準にする方法でも十分であるが、E−DCH用のアクティブセットに含まれる基地局の追加の是非を判断する上では不十分である。
CPICHの受信レベルは、移動端末1と基地局2の伝送路の平均的な損失を示しているが、基地局2の干渉量の状態に対して、どの程度の余裕があるのかを判断することができないからである。
E−DCHアクティブセットに含まれる基地局を選択するに際して、考慮すべき条件としては、基地局2における干渉量のマージン(余裕)である。
干渉量の余裕が少ない基地局2は、移動端末1から送信されるデータの送信レート(送信電力)を下げて、干渉量の増大を防止できる機能を保持することが望ましいので、干渉量の余裕が少ない基地局2を非サービング基地局に変更するのが望ましい。
[E−DCH用のアクティブセットにおけるサービング基地局と非サービング基地局の違い]
サービング基地局2−1は、移動端末1に対してスケジューリングを実施する。
即ち、サービング基地局2−1は、移動端末1の送信レートをE−AGCH(E−DCH Absolute Grant CHannel)やE−RGCH(E−DCH Relative Grant CHannel)などで指示する。このE−AGCHには送信レートの絶対的な値を示すAGが乗せられ、E−RGCHには送信レートの微調整を示す値RGが乗せられる。
非サービング基地局2−2は、移動端末1に対してスケジューリングを実施せず、E−RGCHによって送信レートを下げることを要求するコマンド(Downコマンド)を移動端末1に送信する。
なお、サービング基地局2−1と非サービング基地局2−2は、マクロダイバシティを実施する。なお、サービング基地局と非サービング基地局は設置場所が異なればハードウェアとしては差がなくてもよく、ある移動端末に対して、どのような働きをしているかで呼び方が決まるものである。つまり、ある移動端末にとってはサービング基地局であっても、他の移動端末にとっては非サービング基地局として働く可能性がある。
[非サービング基地局がDownコマンドの送信を必要とする理由]
通信方式がCDMAである場合、基地局2における干渉量によって基地局2に収容可能な容量が決まる。移動端末の送信レートと比例して、移動端末はE−DCHの送信電力を増加させて、基地局の受信端におけるE−DCHチャネルの電力(コードパワー)も増加する。これは基地局全体からみると干渉成分となり、他の移動端末へ割り当てられる電力(干渉マージン)が少なくなる。
移動端末の送信レートが速い場合、サービング基地局以外にも、その移動端末の送信の影響が及ぶため、この干渉量によって干渉マージンが少なくなる。
この場合、移動端末の送信レートを低いものに落とす必要があるため、非サービング基地局がDownコマンドを移動端末1に送信して、干渉量を低減する必要がある。
[干渉量に基づいてE−DCHアクティブセットに含まれる基地局を追加する例]
基地局2により測定された干渉量のマージンと、移動端末1における送信データの電力が基地局2に及ぼす干渉の影響とに基づいて、E−DCH用のアクティブセットに追加する基地局2を選択する。
干渉量のマージンが少ない場合、僅かな干渉量の増加も許容できず、また、移動端末1の送信電力が大きい程、基地局2に与える干渉が大きくなる。
したがって、干渉量のマージンが少ない基地局2を積極的に非サービング基地局に変更する。
図6は移動端末1が基地局をE−DCH用のアクティブセットに含めるか否かを判断する際の処理内容を示すフローチャートである。
以下、図6を参照して、移動端末1や基地局2の処理内容を説明するが、移動端末1や基地局2内の処理部の具体的な内容は後述する。
移動端末1は、サービング基地局2−1,非サービング基地局2−2及び基地局2−3とソフトハンドオーバーを実施している。
移動端末1は、基地局2−3から基地局2−3の干渉量を示す干渉量情報を受信する(ステップST1)。
ここで、干渉量情報とは、基地局2−3が全部でどの程度の電力を受けているかを示す情報であり、例えば、基地局2−3における送信許容電力(最大電力)から、他基地局からの干渉電力、熱雑音、自基地局内の移動端末1からの受信電力を合わせた全受信電力を引いた電力(干渉マージン)である。
ここでは、干渉マージンを求めるに際して、全受信電力を用いているが、全受信電力の代わりに全受信電力から自基地局内の移動端末1からの受信電力を引いた上り干渉電力を使用してもかまわない。
図7は基地局の干渉量と干渉マージンを示す概念図である。
図7において、熱雑音はアンテナの熱雑音などの雑音であり、他セル干渉は他の基地局からの干渉量である。ただし、熱雑音と他セル干渉については、基地局では区別することができない。
干渉マージンは、上り受信許容電力から全受信電力を引いたものである。
UE1〜UE3で示される部分(UEとは移動端末;User Equipmentを意味する略語である。)は自基地局内の移動端末1から送信された信号を拡散符号を用いて復調することにより求められる受信電力(コードパワー)である。
クローズドループにより電力制御が効いて、DPCCHのパイロットの電力を基地局端においてターゲット値に合わせるE−DCHの受信電力は、DPCCHに対するオフセットで指定されるため、パワーコントロールの対象となっている。パワーコントロールがパスロスによる減衰を補償するため、基地局端でのE−DCHの受信電力が高いということは、移動端末1での送信レートが高いことを意味する。UE1にとっては、この自基地局内の他のコードパワーUE2,UE3は干渉となる。
移動端末1は、基地局2−3から干渉量情報を受信すると、その干渉量情報が示す基地局2−3の干渉量と、E−DCHアクティブセットに基地局を追加する際の判断基準となる閾値Aを比較する(ステップST2)。
ここで、判断基準となる閾値Aは、基地局2からのシグナリングにより求められる。または、移動端末1又は基地局2のE−DCHアクティブセット制御部が計算することによって求められる。
移動端末1は、基地局2−3の干渉量が閾値Aに満たなければ、基地局2−3の干渉量が少なく、その基地局2−3がDownコマンドを送信する必要性が小さいので、基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加せずに、現在のE−DCHアクティブセットを維持する。
移動端末1は、基地局2−3の干渉量が閾値A以上である場合、周辺の基地局2に対して影響を及ぼしているため、移動端末1が基地局2−3に与える干渉量(信号を含む)を取得する(ステップST3)。
実際には、基地局端で測るコードパワーが分かれば、信号の強さが分かる。また、移動端末1においても、送信レートから求めることができる。
基地局2−3に影響を及ぼす電力(コードパワー)が大きな移動端末1ほど、基地局2−3の干渉量に大きな影響を及ぼしている。このため、基地局2−3の干渉量を減らすには、基地局2−3に及ぼす影響の大きな移動端末1、即ち、コードパワーの大きな移動端末1の送信電力を下げるのが望ましい。
移動端末1の送信電力は、スケジューリングを実施しているサービング基地局2−1により制御されている。
このため、移動端末1のE−DCHアクティブセット制御部38においては、サービング基地局2−1から与えられたE−DCHの許容電力を制御する値であるSGとパスロスから、コードパワーを計算することができる。
なお、非RGモードでAGの変化があまりない場合や、移動端末1の送信レートが一定の場合には、SGの代わりにAGを用いてコードパワーを計算することもできる。
このAGはサービング基地局2−1から基地局制御装置3を介してシグナリングされる。
移動端末1は、基地局2−3に与える干渉量としてコードパワーを取得すると、そのコードパワーとE−DCHアクティブセットに基地局を追加する際の判断基準となる閾値Bを比較する(ステップST4)。
ここで、判断基準となる閾値Bは、基地局2からのシグナリングにより求められる。または、移動端末1又は基地局2のE−DCHアクティブセット制御部が計算することによって求められる。
移動端末1は、コードパワーが閾値Bに満たなければ、周辺の基地局2に対する影響が殆んどないので、基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加せずに、現在のE−DCHアクティブセットを維持する。
一方、コードパワーが閾値B以上である場合、周辺の基地局2に大きな影響を与えているため、基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加して、基地局2−3を非サービング基地局に変更することにより、基地局2−3が移動端末1の送信電力を下げることができるようにする必要がある。
そこで、移動端末1は、コードパワーが閾値B以上である場合、基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加することを要求する追加イベントを発生する(ステップST5)。
移動端末1は、上記のようにして、追加イベントを発生すると、その追加イベントをDCHに乗せて、基地局2−3を介して、基地局制御装置3に送信する。
基地局制御装置3は、移動端末1から基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加することを要求する追加イベントを受信すると、基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加して、基地局2−3を非サービング基地局に変更する。
以後、基地局2−3は、Downコマンドを移動端末1に送信する処理の実施が可能なり、Downコマンドを移動端末1に送信すれば、自己の受信電力を許容電力以下に抑えて、干渉量を低減することができるようになる。
ここでは、コードパワーと閾値Bを比較するものについて示したが、移動端末1の送信レート(送信電力)と規制基準C(E−DCHの許容電力と基地局2−3の干渉量との差から求められる基準値)を比較し、送信レートが規制基準C以上であるとき、移動端末1が基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加することを要求する追加イベントを発生するようにしてもよい。
[スケジューリングの一連の流れとチャネルの役割]
図8はこの発明の実施の形態1による移動体通信システムのチャネル構成図である。
ここでは、例としてW−CDMAシステムの基地局と移動端末間の無線区間におけるチャネル構成に基づいて説明する。
図8において、CPICHはタイミングの基準を移動端末に報知するチャネルであり、P−CCPCH(Primary−Common Control Physical CHannel)は、その他の報知情報を各移動端末に報知するチャネルである。
DCHは個別にデータのやり取りを行うチャネルであり、主に音声等の比較的レートの低いデータを扱うチャネルである。
E−DPCCHは上りの高速パケットの制御を行うチャネルであり、E−DCHは上りの高速パケット通信を行うデータチャネルである。
E−AGCHは上りの高速パケットの送信レートを決定する下り方向のチャネルであり、サービング基地局から移動端末に送信される。
E−RGCHは上りの高速パケットの送信レートを下げる要求を送信する下り方向のチャネルであり、非サービング基地局から移動端末に送信される。RGモードのときはサービング基地局からも送信される。
E−HICH(E−DCH Hybrid ARQ Indicator CHannel)は基地局の受信の成功失敗を通知するためのACK/NACKを送信するチャネルである。
以下、移動端末1、基地局2及び基地局制御装置3内の処理部の具体的な内容を詳細に説明する。
図9は基地局が干渉量を移動端末に通知するシーケンスを示すシーケンス図であり、図10は移動端末が基地局をE−DCHアクティブセットに追加するか否かを判断する処理内容を示すフローチャートであり、図11は移動体通信システムのシーケンスを示すシーケンス図である。
移動端末1が例えば基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加するか否かを判断する場合には、基地局2−3から干渉量が移動端末1に通知されている必要がある。
基地局2−3の干渉量測定部65は、基地局2−3における全ての干渉量を測定して、全干渉量の合計を計算する(ステップST11)。
即ち、低雑音増幅部54から出力された受信強度と復調部55から出力された受信信号におけるパイロットとに基づいて信号成分を取り除くことにより、全ての干渉量を測定する。
基地局2−3の干渉量通知部68は、干渉量測定部65が全ての干渉量を測定すると、その干渉量を示す干渉量情報を基地局制御装置3に報知する(ステップST12)。
基地局制御装置3の伝送制御部82は、基地局2−3から干渉量情報を受けると、基地局2−3のP−CCPCH送信部72を介して、その干渉量情報を移動端末1に通知する(ステップST13)。
このように基地局制御装置3を介して、干渉量情報を通知する場合、従来の(例えば3GPPリリース99)の通知方式を使用することができるため、新たな装置を移動端末1に付加する必要がない利点があるが、基地局2−3が干渉量情報を直接移動端末1に通知するようにしてもよい。
基地局2−3が干渉量情報を直接移動端末1に通知する場合、基地局制御装置3を介さない分、干渉量情報を速やかに通知することができる利点がある。
ここでは、基地局2−3が干渉量情報を移動端末1に通知するものについて示しているが、基地局2−3の干渉量測定部65が最大許容電力から全干渉量の合計を減算して干渉マージンを算出し、その干渉マージンを移動端末1に通知するようにしてもよい。
移動端末1のE−DCHアクティブセット管理部35は、従来のアクティブセット(ソフトハンドオーバー用アクティブセット)に含まれている基地局の中から、未だE−DCHアクティブセットに含まれていない基地局を選択する(ステップST21)。
ここでは、基地局2−3を選択するものとして説明する。
移動端末1のP−CCPCH受信部32は、E−DCHアクティブセット管理部35が基地局2−3を選択すると、その基地局2−3から送信される干渉量情報を受信する(ステップST22)。
移動端末1のE−DCHアクティブセット制御部38は、P−CCPCH受信部32が基地局2−3の干渉量情報を受信すると、干渉量の規制基準A(上述した判断基準となる閾値Aに相当)を算出する(ステップST23)。
移動端末1のE−DCHアクティブセット制御部38は、干渉量情報が示す基地局2−3の干渉量と規制基準Aを比較する(ステップST24)。
E−DCHアクティブセット制御部38は、基地局2−3の干渉量が規制基準Aを超えていなければ、基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加する必要がないので処理を終了する。
一方、基地局2−3の干渉量が規制基準Aを超えていれば、SG管理部40からE−DCHの許容電力を取得する(ステップST25)。
ここでは、E−DCHアクティブセット制御部38が基地局2−3の干渉量と規制基準Aを比較するものについて示したが、基地局2−3から干渉マージンが送信された場合、その干渉マージンと規制基準(干渉マージンの規制基準)を比較するようにしてもよい。
E−DCHアクティブセット制御部38は、E−DCHの許容電力を取得すると、その許容電力と基地局2−3の干渉量から送信レートの規制基準Cを算出する(ステップST26)。
この送信レートの規制基準Cは、E−DCHの許容電力と基地局2−3の干渉量との差である干渉マージンに比例して大きな値になる。
移動端末1のE−DCHアクティブセット制御部38は、移動端末1の送信レートと規制基準Cを比較する(ステップST27)。
E−DCHアクティブセット制御部38は、移動端末1の送信レートが規制基準Cを超えていなければ、基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加する必要がないので処理を終了する。
E−DCHアクティブセット制御部38は、移動端末1の送信レートが規制基準Cを超えていれば、E−DCHアクティブセットに含まれている基地局2の個数が最大個数(例えば、3個)を超えているか否かを判定する(ステップST28)。
なお、ステップST25〜ST27における送信レートのチェックはオプション処理であり、ステップST24から直接ステップST28に移行するようにしてもよい。
移動端末1のプロトコル処理部41は、E−DCHアクティブセット制御部38の判定結果が、E−DCHアクティブセットに含まれている基地局の個数が最大個数を超えていない旨を示す場合、基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加することを要求する追加イベントを発生する(ステップST29)。
移動端末1のE−DCHアクティブセット制御部38は、E−DCHアクティブセットに含まれている基地局の個数が最大個数を超えている場合、P−CCPCH受信部32から現在のE−DCHアクティブセットに含まれている非サービング基地局2−2の干渉量を取得する(ステップST30)。
図1の例では、E−DCHアクティブセットに含まれている非サービング基地局は非サービング基地局2−2だけであるが、複数の非サービング基地局が含まれている場合もあり、この場合は、複数の非サービング基地局の干渉量を取得する。
E−DCHアクティブセット制御部38は、非サービング基地局2−2の干渉量と基地局2−3の干渉量とを比較する(ステップST31)。複数の非サービング基地局が含まれている場合、複数の非サービング基地局における最小の干渉量と基地局2−3の干渉量とを比較する。
移動端末1のプロトコル処理部41は、E−DCHアクティブセット制御部38の判定結果が、非サービング基地局2−2の干渉量が基地局2−3の干渉量より大きい旨を示す場合、現在のE−DCHアクティブセットを維持する。
一方、E−DCHアクティブセット制御部38の判定結果が、非サービング基地局2−2の干渉量が基地局2−3の干渉量より小さい旨を示す場合、現在のE−DCHアクティブセットに含まれている非サービング基地局2−2を削除して、基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加することを要求する入れ替えイベント(更新イベント)を発生する(ステップST32)。
移動端末1のDPCH送信部18は、E−DCHアクティブセット制御部38から発生された追加イベント又は入れ替えイベントを基地局制御装置3に送信する(ステップST33)。
ここでは、移動端末1が基地局2−3の干渉量に基づいて、E−DCHアクティブセットの追加等を判定するものについて示したが、基地局2−3の干渉量と擬似SIRに基づいて、E−DCHアクティブセットの追加等を判定するようにしてもよい。
擬似SIRとは、基地局2−3端における信号対干渉比に相当するものであり、事前に基地局2−3から移動端末1に通知される干渉量と、パスロスとから推定することが可能な基地局2−3の上り受信電力の比である。
ソフトハンドオーバーの状態においては、どれか一つの基地局2のSIRを保証することができれば、それ以上電力を増大させないため、信号の強度が各基地局2で必ずしも同一とならない。つまり、干渉が弱くても信号も弱い可能性があり、そのような基地局2を干渉分が低いからといってE−DCHアクティブセットに追加しても、信号が弱い場合は受信エラーを引き起こす可能性が高い。
そこで、基地局2の干渉量だけでなく、擬似SIRに基づいてE−DCHアクティブセットに追加する基地局2を判定するようにすれば、干渉量だけでなく受信品質も考慮された基地局2をE−DCHアクティブセットに含めることができるようになる。これにより、干渉量の制御とマクロダイバシティ効果の両立を図ることができる。
擬似SIRに基づいてE−DCHアクティブセットに追加する基地局2を判定する場合、図10における“干渉量”を“擬似SIR”に置き換えたものになる。
ただし、擬似SIRは擬似上り受信信号を干渉量で割った値であるため、擬似SIRが大きい程、干渉量が小さくなるため、ステップST24やST31の不等号の向きは逆になる。
上記のようにして、移動端末1がE−DCHアクティブセットの追加イベント又は入れ替えイベントを基地局制御装置3に送信すると(図11のステップST41)、基地局制御装置3の無線資源管理部83がE−DCHアクティブセットの追加イベント又は入れ替えイベントを受信する(ステップST42)。
基地局制御装置3の無線資源管理部83は、E−DCHアクティブセットの追加イベント又は入れ替えイベントを受信すると、E−DCHアクティブセットの追加要求又は入れ替え要求を基地局2に送信する(ステップST43)。
例えば、E−DCHアクティブセットに基地局2−3を追加する場合、E−DCHアクティブセットの追加要求を基地局2−3に送信するが、E−DCHアクティブセットから非サービング基地局2−2を削除して、E−DCHアクティブセットに基地局2−3を追加する場合、E−DCHアクティブセットの入れ替え要求を基地局2−3と非サービング基地局2−2に送信する。
ここでは、説明の簡単化のため、E−DCHアクティブセットに基地局2−3を追加するものとする。
基地局2−3のシグナリング測定部79は、基地局制御装置3からE−DCHアクティブセットの追加要求を受信すると、シグナリング負荷(E−AGCH送信部76、E−RGCH送信部77及びE−HICH送信部78で使用しているシグナリングの数)を測定する。
基地局2−3のプロトコル処理部57は、シグナリング測定部79がシグナリング負荷を測定すると、シグナリング負荷に余裕があるか否かを判定する(ステップST44)。例えば、現在使用中のシグナリングの数が所定の数に到達しているか否かを判断することにより、余裕があるか否かを判定する。
基地局2−3のプロトコル処理部57は、シグナリング負荷に余裕がない場合、現在、シグナリングが不足しているため、E−DCHアクティブセットの追加を実施することができない旨を基地局制御装置3に通知して(ステップST45)、処理を終了する。
一方、シグナリング負荷に余裕がある場合、E−DCHアクティブセットの追加を実施することができる旨を基地局制御装置3に通知する(ステップST46)。
基地局制御装置3のE−DCHアクティブセット制御部92は、基地局2−3からの通知に基づいて、E−DCHアクティブセットの追加を実施することができるか否かを判断する(ステップST47)。
基地局制御装置3の伝送制御部82は、E−DCHアクティブセット制御部92がE−DCHアクティブセットの追加を実施することができると判断すると、E−DCHアクティブセットの追加指示を基地局2−3に送信する(ステップST48)。
基地局2−3のプロトコル処理部57は、基地局制御装置3からE−DCHアクティブセットの追加指示を受信すると、後述するE−DCHアクティブセットの追加処理を実施する(ステップST49)。
基地局2−3のプロトコル処理部57は、E−DCHアクティブセットの追加処理を実施すると、追加処理の完了を基地局制御装置3に通知する(ステップST50)。
基地局制御装置3の伝送制御部82は、基地局2−3から追加処理の完了通知を受けると、基地局2−3を介して、E−DCHアクティブセットの追加指示を移動端末1に送信する(ステップST51)。
移動端末1のプロトコル処理部41は、P−CCPCH受信部32が基地局制御装置3からE−DCHアクティブセットの追加指示を受信すると、後述するE−DCHアクティブセットの追加処理を実施し(ステップST52)、追加処理の完了を基地局制御装置3に通知する(ステップST53)。
ここで、移動端末1におけるE−DCHアクティブセットの追加処理を詳細に説明する。
図12は移動端末1におけるE−DCHアクティブセットの追加処理を示すフローチャートである。
移動端末1のプロトコル処理部41は、P−CCPCH受信部32が基地局制御装置3からE−DCHアクティブセットの追加指示を受信すると、E−DCHアクティブセットの追加要求をE−DCHアクティブセット制御部38に出力する(ステップST61)。
移動端末1のE−DCHアクティブセット制御部38は、プロトコル処理部41からE−DCHアクティブセットの追加要求を受けると、E−DCHアクティブセット管理部35に管理されている現在のE−DCHアクティブセットの状態を更新する(ステップST62)。
例えば、基地局2−3を非サービング基地局に変更する追加要求であれば、E−DCHアクティブセット管理部35に管理されているE−DCHアクティブセットに基地局2−3を書き込む処理を実施する。
移動端末1のE−DCHアクティブセット制御部38は、E−DCHアクティブセット管理部35に管理されている現在のE−DCHアクティブセットの状態を更新すると、新たに追加する基地局2−3からデータ等を受信するE−RGCH受信部30及びE−HICH受信部26を有意にセット(動作可能な状態にセット)する(ステップST63)。
その後、移動端末1のプロトコル処理部41は、E−DCHアクティブセットの追加処理の完了を基地局制御装置3に通知する(ステップST64)。
なお、移動端末1のE−DCHアクティブセット制御部38は、図13に示すように、基地局制御装置3からE−DCHアクティブセットの入れ替え指示を受信し、あるいは、E−DCHアクティブセットの削除指示を受信し(ステップST71)、例えば、非サービング基地局2−2を削除する必要がある場合、E−DCHアクティブセット管理部35に管理されている現在のE−DCHアクティブセットの状態を更新する(ステップST72)。
例えば、非サービング基地局2−2を非サービング基地局から除外するための削除指示であれば、E−DCHアクティブセット管理部35に管理されているE−DCHアクティブセットから非サービング基地局2−2を削除する処理を実施する。
そして、非サービング基地局2−2からデータ等を受信していたE−RGCH受信部30及びE−HICH受信部26を無意にセット(動作不可能な状態にセット)する(ステップST73)。
また、E−DCHアクティブセット制御部38は、非サービング基地局2−2を非サービング基地局から除外して、基地局2−3を非サービング基地局に変更する入れ替え要求であれば、E−DCHアクティブセット管理部35に管理されているE−DCHアクティブセットから非サービング基地局2−2を削除して、E−DCHアクティブセットに基地局2−3を書き込む処理を実施する。
そして、非サービング基地局2−2からデータ等を受信していたE−RGCH受信部30及びE−HICH受信部26を無意にセット(動作不可能な状態にセット)するとともに、新たに追加する基地局2−3からデータ等を受信するE−RGCH受信部30及びE−HICH受信部26を有意にセット(動作可能な状態にセット)する(ステップST73)。
その後、移動端末1のプロトコル処理部41は、E−DCHアクティブセットの入れ替え処理又は削除処理の完了を基地局制御装置3に通知する(ステップST74)。
次に、基地局2におけるE−DCHアクティブセットの追加処理を詳細に説明する。
図14は基地局2におけるE−DCHアクティブセットの追加処理を示すフローチャートである。
基地局2−3のプロトコル処理部57は、基地局制御装置3からE−DCHアクティブセットの追加指示を受信すると、E−DCHアクティブセットの追加要求をE−DCHアクティブセット制御部71に出力する(ステップST81)。
基地局2−3のE−DCHアクティブセット制御部71は、プロトコル処理部57からE−DCHアクティブセットの追加要求を受けると、E−DCHアクティブセット管理部70に管理されている現在のE−DCHアクティブセットの状態を更新する(ステップST82)。
例えば、基地局2−3を非サービング基地局に変更する追加要求であれば、E−DCHアクティブセット管理部70に管理されているE−DCHアクティブセットに基地局2−3を書き込む処理を実施する。
基地局2−3のE−DCHアクティブセット制御部71は、E−DCHアクティブセット管理部70に管理されている現在のE−DCHアクティブセットの状態を更新すると、対象の移動端末1にデータ等を送信するE−RGCH送信部77及びE−HICH送信部78を有意にセット(動作可能な状態にセット)する(ステップST83)。
また、E−DCHアクティブセット制御部71は、対象の移動端末1からデータ等を受信するE−DPDCH受信部62及びE−DPCCH受信部60を有意にセット(動作可能な状態にセット)する(ステップST84)。
その後、基地局2−3のプロトコル処理部57は、E−DCHアクティブセットの追加処理の完了を基地局制御装置3に通知する(ステップST85)。
次に、基地局2におけるE−DCHアクティブセットの削除処理を詳細に説明する。
図15は基地局2におけるE−DCHアクティブセットの追加処理を示すフローチャートである。
非サービング基地局2−2のプロトコル処理部57は、基地局制御装置3からE−DCHアクティブセットの削除指示(非サービング基地局2−2の削除要求に伴う削除指示だけでなく、非サービング基地局の入れ替え要求に伴う削除指示を含む)を受信すると、E−DCHアクティブセットの削除をE−DCHアクティブセット制御部71に要求する(ステップST91)。
非サービング基地局2−2のE−DCHアクティブセット制御部71は、プロトコル処理部57からE−DCHアクティブセットの削除要求を受けると、E−DCHアクティブセット管理部70に管理されている現在のE−DCHアクティブセットの状態を更新する(ステップST92)。
即ち、E−DCHアクティブセット管理部70に管理されているE−DCHアクティブセットから非サービング基地局2−2を削除する処理を実施する。
非サービング基地局2−2のE−DCHアクティブセット制御部71は、E−DCHアクティブセット管理部70に管理されている現在のE−DCHアクティブセットの状態を更新すると、対象の移動端末1にデータ等を送信していたE−RGCH送信部77及びE−HICH送信部78を無意にセット(動作不可能な状態にセット)する(ステップST93)。
また、E−DCHアクティブセット制御部71は、対象の移動端末1からデータ等を受信していたE−DPDCH受信部62及びE−DPCCH受信部60を無意にセット(動作不可能な状態にセット)する(ステップST94)。
その後、非サービング基地局2−2のプロトコル処理部57は、E−DCHアクティブセットの削除処理の完了を基地局制御装置3に通知する(ステップST95)。
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、複数の基地局2におけるデータの受信状況に応じて、基地局制御装置3が複数の基地局2を非サービング基地局又はソフトハンドオーバー用アクティブセット(従来のアクティブセット)の基地局に振り分けるように構成したので、干渉量が許容量を超えている基地局2−3(ソフトハンドオーバー用アクティブセットの基地局)が非サービング基地局に変更されて、移動端末1から送信されるデータの送信電力を制御することができるようになり、その結果、基地局での干渉量が限界を超えることを防いで、伝送品質を高めることができるなどの効果を奏する。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、干渉量の余裕が厳しい基地局2−3を非サービング基地局に変更するに際して、変更の判断主体が移動端末1であるものについて示したが、変更の判断主体が基地局制御装置3であってもよい。
以下、変更の判断主体が基地局制御装置3である場合について説明する。
変更の判断主体が基地局制御装置3である場合、基地局2が干渉量を測定することができるという利点がある。
基地局2から移動端末1にシグナリングする場合、無線回線を利用するためにエラーが発生する可能性があるが、基地局2が自身で測定するのであれば、干渉量情報の通知エラーが発生する不具合を防止することができる利点がある。
しかしながら、基地局2では、どの移動端末1からの干渉が大きな影響を与えているのかを知ることができない。
干渉を与える可能性のある全ての移動端末1について、従来のアクティブセットに含まれている全ての基地局2を非サービング基地局に変更するのであれば、どの移動端末1からの干渉が大きな影響を与えているかは問題にならないが、非サービング基地局の数が増加し過ぎて、移動端末1や基地局2のハードウェアの負担が重くなる。
従来のアクティブセットに含まれている基地局2の中から、E−DCHアクティブセットに含める基地局2を選択する方法としては、簡易的なパスロスに基づく方法のほか、一旦、E−DCHを受信してコードパワーを測定した上で、非サービング基地局として残すか否かを判断する方法などが考えられる。
最初に、パスロスに基づいてE−DCHアクティブセットに追加する基地局2を判定する方法について説明する。
図16は基地局制御装置3が基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加するか否かを判断する際の移動体通信システムのシーケンスを示すシーケンス図であり、図17は基地局制御装置3が基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加するか否かを判断する処理内容を示すフローチャートである。
移動端末1のDPCH送信部18は、CPICH受信部28がパスロス情報としてCPICHの受信レベルを取得すると、基地局2を介して、そのパスロス情報を基地局制御装置3に通知する(ステップST101)。
基地局制御装置3の伝送制御部82は、移動端末1からパスロス情報を受信する(ステップST102)。
従来のアクティブセットに含まれている全ての基地局2の干渉量通知部68は、干渉量測定部65により測定された干渉量を基地局制御装置3に通知する(ステップST103)。
基地局制御装置3の伝送制御部82は、従来のアクティブセットに含まれている全ての基地局2から干渉量を受信する(ステップST104)。
また、従来のアクティブセットに含まれている全ての基地局2の干渉量通知部68は、シグナリング測定部79により測定されたシグナリング負荷を基地局制御装置3に通知する(ステップST105)。
基地局制御装置3の伝送制御部82は、従来のアクティブセットに含まれている全ての基地局2からシグナリング負荷を受信する(ステップST106)。
基地局制御装置3のE−DCHアクティブセット制御部92は、パスロス情報、干渉量及びシグナリング負荷を受信すると、そのパスロス情報と干渉量に基づいて、E−DCHアクティブセットに対する基地局2の追加や更新を行うか否かを判断する(ステップST107)。追加や更新の判定処理の詳細は後述する。
E−DCHアクティブセット制御部92は、基地局2の追加や更新を行わない場合には処理を終了するが、追加や更新を行う場合、追加対象の基地局2−3のシグナリング負荷が許容範囲内であるか否かを判断する(ステップST108)。
基地局制御装置3の伝送制御部82は、E−DCHアクティブセット制御部92が、追加対象の基地局2−3のシグナリング負荷が許容範囲内でないと判断する場合、サービング基地局2−1の上りスケジューラ75に対して、E−DCH送信レートの下げを指示する(ステップST109)。
基地局制御装置3のE−DCHアクティブセット制御部92は、追加対象の基地局2−3のシグナリング負荷が許容範囲内である場合、E−DCHアクティブセット管理部89に管理されている現在のE−DCHアクティブセットの状態を更新する(ステップST110)。
例えば、基地局2−3を非サービング基地局に変更する場合、E−DCHアクティブセット管理部89に管理されているE−DCHアクティブセットに基地局2−3を書き込む処理を実施する。
基地局制御装置3の伝送制御部82は、E−DCHアクティブセット制御部92が現在のE−DCHアクティブセットの状態を更新すると、E−DCHアクティブセットの追加指示(または入れ替え指示)を基地局2−3に送信する(ステップST111)。
基地局2−3のプロトコル処理部57は、基地局制御装置3からE−DCHアクティブセットの追加指示等を受信すると、図14又は図15に示すように、E−DCHアクティブセットの追加処理等を実施する(ステップST112)。
基地局2−3のプロトコル処理部57は、E−DCHアクティブセットの追加処理等を実施すると、追加処理等の完了を基地局制御装置3に通知する(ステップST113)。
基地局制御装置3の伝送制御部82は、基地局2−3から追加処理等の完了通知を受けると、基地局2−3を介して、E−DCHアクティブセットの追加指示(または入れ替え指示)を移動端末1に送信する(ステップST114)。
移動端末1のプロトコル処理部41は、P−CCPCH受信部32が基地局制御装置3からE−DCHアクティブセットの追加指示等を受信すると、図12又は図13に示すように、E−DCHアクティブセットの追加処理等を実施し(ステップST115)、追加処理等の完了を基地局制御装置3に通知する(ステップST116)。
次に、図17を参照して、基地局制御装置3が基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加するか否かを判断する処理内容(図16のステップST107〜ST109の処理内容)を説明する。
基地局制御装置3の伝送制御部82は、移動端末1から従来のアクティブセットに含まれている全ての基地局2のパスロス情報を受信する(ステップST121)。
基地局制御装置3の伝送制御部82は、全ての基地局2のパスロス情報を受信すると、そのパスロスが小さい順に、アクティブセットに含まれている基地局2を並べて、そのパスロスが最小の基地局2をサービング基地局2−1に選定する(ステップST122)。
基地局制御装置3の伝送制御部82は、従来のアクティブセットに含まれている全ての基地局2から干渉量を受信する(ステップST123)。
基地局制御装置3のE−DCHアクティブセット制御部92は、従来のアクティブセットに含まれている基地局2のうち、サービング基地局2−1以外の基地局2で、パスロスが一定値以下の基地局2を非サービング基地局の候補に選定する(ステップST124)。
基地局制御装置3のE−DCHアクティブセット管理部89は、E−DCHアクティブセット制御部92により選定された非サービング基地局の候補の中から、未だE−DCHアクティブセットに含まれていない基地局(例えば、基地局2−3)を選定する(ステップST125)。
基地局制御装置3のE−DCHアクティブセット制御部92は、E−DCHアクティブセット管理部89が基地局2−3を選定すると、E−DCHアクティブセットに基地局を追加する際の規制基準A(上述した判断基準となる閾値Aに相当)を取得して(ステップST126)、その基地局2−3の干渉量と規制基準Aを比較する(ステップST127)。
E−DCHアクティブセット制御部92は、基地局2−3の干渉量が規制基準Aを超えていなければ、基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加する必要がないので処理を終了する。
E−DCHアクティブセット制御部92は、基地局2−3の干渉量が規制基準Aを超えている場合、E−DCHアクティブセットに含まれている基地局2の個数が最大個数(例えば、3個)を超えているか否かを判定する(ステップST128)。
E−DCHアクティブセット制御部92は、E−DCHアクティブセットに含まれている基地局2の個数が最大個数を超えていない場合、E−DCHアクティブセット管理部89により選定された基地局2−3を、E−DCHアクティブセットに追加する基地局2−3に決定する(ステップST129)。即ち、E−DCHアクティブセット管理部89により選定された基地局2−3を非サービング基地局に変更することを決定する。
E−DCHアクティブセット制御部92は、E−DCHアクティブセットに含まれている基地局2の個数が最大個数を超えている場合、現在のE−DCHアクティブセットに含まれている非サービング基地局2−2の干渉量を取得する(ステップST130)。
図1の例では、E−DCHアクティブセットに含まれている非サービング基地局は非サービング基地局2−2だけであるが、複数の非サービング基地局が含まれている場合もあり、この場合は、複数の非サービング基地局の干渉量を取得する。
E−DCHアクティブセット制御部92は、非サービング基地局2−2の干渉量と基地局2−3の干渉量とを比較する(ステップST131)。複数の非サービング基地局が含まれている場合、複数の非サービング基地局における最小の干渉量と基地局2−3の干渉量とを比較する。
E−DCHアクティブセット制御部92は、非サービング基地局2−2の干渉量が基地局2−3の干渉量より大きい場合、現在のE−DCHアクティブセットを維持する。
一方、非サービング基地局2−2の干渉量が基地局2−3の干渉量より小さい場合、現在のE−DCHアクティブセットに含まれている非サービング基地局2−2を削除して、基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加することを決定する(ステップST132)。
ここでは、基地局制御装置3が、パスロスが一定値以下の基地局2を非サービング基地局の候補に選定するものについて示したが、移動端末1の送信電力はパスロスが小さい基地局2に対して影響が大きいので、送信レートを見ないで、パスロスの小さい基地局2から順番にE−DCHアクティブセットに含めるようにしてもよい。
また、ここでは、基地局制御装置3が基地局2−3の干渉量に基づいて、E−DCHアクティブセットの追加等を判定するものについて示したが、基地局2−3の干渉量と擬似SIRに基づいて、E−DCHアクティブセットの追加等を判定するようにしてもよい。
ソフトハンドオーバーの状態においては、どれか一つの基地局2のSIRを保証することができれば、それ以上電力を増大させないため、信号の強度が各基地局2で必ずしも同一とならない。つまり、干渉が弱くても信号も弱い可能性があり、そのような基地局2をE−DCHアクティブセットに追加しても、受信エラーを引き起こす可能性が高い。
そこで、基地局2の干渉量だけでなく、擬似SIRに基づいてE−DCHアクティブセットに追加する基地局2を判定するようにすれば、干渉量だけでなく受信品質も考慮された基地局2をE−DCHアクティブセットに含めることができるようになる。これにより、干渉量の制御とマクロダイバシティ効果の両立を図ることができる。
擬似SIRに基づいてE−DCHアクティブセットに追加する基地局2を判定する場合、図17における“干渉量”を“擬似SIR”に置き換えたものになる。
ただし、擬似SIRは擬似上り受信信号を干渉量で割った値であるため、擬似SIRが大きい程、干渉量が小さくなるため、ステップST127やST131の不等号の向きは逆になる。
次に、E−DCHコードパワーに基づいてE−DCHアクティブセットに追加する基地局2を判定する方法について説明する。
図18は基地局制御装置3が基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加するか否かを判断する処理内容を示すフローチャートである。
移動端末1から送信されたデータが基地局2において、どの程度の干渉量を引き起こすかは、実際に受信された結果を用いるようにするのが最も正確である。また、ソフトハンドオーバー中にE−DCHを利用している場合は、他の基地局2に対して干渉を与えてしまうが、コードをセットして逆拡散することにより、正確な電力を知ることができる。
なお、追加時にはE−DCHが受信されていないため、E−DCHのコードパワーを利用することができない。追加時にも利用できるようにするためには、E−DCHアクティブセットを一旦追加した上で、基地局2がE−DCHコードパワーを測定して、そのE−DCHコードパワーが小さい場合には再び削除する方法が考えられる。同時に利用することができるE−DCHアクティブセットの本数(E−DCHアクティブセットに含められる基地局の個数)には制限があるため、順次追加して削除するようにする。
基地局制御装置3のE−DCHアクティブセット制御部92は、例えば、基地局2−3をE−DCHアクティブセットに取りあえず追加し、その基地局2−3がデータを送受信する1以上の移動端末1を端末Aとする(ステップST141)。
E−DCHアクティブセット制御部92は、端末Aの中から任意の1つの移動端末1を選択する(ステップST142)。
E−DCHアクティブセット制御部92は、基地局2−3の干渉量測定部65から対象の移動端末1のコードパワーを取得し(ステップST143)、そのコードパワーと所定の閾値を比較する(ステップST144)。
E−DCHアクティブセット制御部92は、対象の移動端末1のコードパワーが所定の閾値より小さければ、その移動端末1をE−DCHアクティブセットから除外する(ステップST145)。
E−DCHアクティブセット制御部92は、端末Aの中に未だ選択されていない移動端末1が残されていれば、ステップST142〜ST145の処理を繰り返し継続する(ステップST146)。
なお、基地局制御装置3がE−DCHアクティブセットの選択を行う場合、基地局2の干渉量を測定するが、E−DCHコードパワーは実際のE−DCHのコードをセットした上でないと測定することができないため、既に受信状態にあるE−DCHアクティブセットの基地局2でなければ、コードパワーを得ることができない。
このため、基地局2の干渉量のみでE−DCHアクティブセットの選択を行う。非RGモードでAGの変化があまりない場合や、移動端末1の送信レートが一定の場合には、AGを移動端末1の送信レートとして使用することは可能である。
また、E−DCHの通信には、RG Basedと非RG Basedの2種類がある。
RG Basedの場合、サービング基地局2−1が各移動端末1に対して、一対一でスケジューリングを実施しており、スケジューリング毎にサービング基地局2−1から移動端末1に送信レートの指示が出力されるため、高速にレートが変化する。それ故、基地局制御装置3を経由した通知は困難である。
非RG Basedの場合、複数の移動端末1に対してスケジューリングを行うことが可能であり、RG Basedと比べて、送信レートの変化が少ないことが予想される。
以上のように、基地局制御装置3がE−DCHアクティブセットの追加や入れ替える基地局2の選択を行う場合、干渉量を移動端末1にシグナリングする必要がないという利点がある。そのため、従来のシステムと互換性の確保が容易であり、かつ、下り伝送路の品質劣化による干渉量のシグナリングエラーの影響を受けない。
実施の形態3.
上記実施の形態1では、移動端末1がE−DCHアクティブセットに追加する基地局2を判断するものについて示したが、この実施の形態3では、移動端末1がE−DCHアクティブセットから削除する基地局2を判断するものについて説明する。従来の個別チャネルのアクティブセットの基準では追加と削除では同じ基準を利用していたが、上りパケット通信におけるアクティブセット(E−DCHアクティブセット)においては、削除の方がすでにE−DCHを受信状態にあるため、E−DCHに関係するものを判断基準に利用でき、より正確なE−DCHアクティブセット削除の判断を可能とすることができる。
以下、移動端末1が基地局2の干渉量と、移動端末1の送信データによる基地局2に対する影響電力とに基づいて、E−DCHアクティブセットから削除する基地局2を選択するものについて説明する。なお、コードパワーの小さな移動端末1に対して、干渉量に余裕のある基地局2をE−DCHアクティブセットから削除する。
図19は移動端末1が非サービング基地局2−2をE−DCH用のアクティブセットから削除するか否かを判断する際の処理内容を示すフローチャートである。
移動端末1は、サービング基地局2−1,非サービング基地局2−2及び基地局2−3とソフトハンドオーバーを実施している。
移動端末1は、非サービング基地局2−2から非サービング基地局2−2の干渉量を示す干渉量情報を受信する(ステップST151)。
移動端末1は、非サービング基地局2−2から干渉量情報を受信すると、その干渉量情報が示す非サービング基地局2−2の干渉量と、E−DCHアクティブセットから基地局を削除する際の判断基準となる閾値Dを比較する(ステップST152)。
ここで、判断基準となる閾値Dは、基地局2からのシグナリングにより求められる。または、移動端末1又は基地局2のE−DCHアクティブセット制御部が計算することによって求められる。
移動端末1は、非サービング基地局2−2の干渉量が閾値Dを超えている場合、周辺の基地局2に対して影響を及ぼしているため、非サービング基地局2−2をE−DCHアクティブセットから削除せずに、現在のE−DCHアクティブセットを維持する。
移動端末1は、非サービング基地局2−2の干渉量が閾値Dに満たなければ、非サービング基地局2−2の干渉量が少なく、その非サービング基地局2−2がDownコマンドを送信する必要性が小さいので、移動端末1が非サービング基地局2−2に与える干渉量(信号を含む)を取得する(ステップST153)。
実際には、基地局端で測るコードパワーが分かれば、信号の強さが分かる。また、移動端末1においても、送信レートから求めることができる。
移動端末1は、非サービング基地局2−2に与える干渉量としてコードパワーを取得すると、そのコードパワーとE−DCHアクティブセットから基地局を削除する際の判断基準となる閾値Eを比較する(ステップST154)。
ここで、判断基準となる閾値Eは、基地局からのシグナリングにより求められる。または、移動端末1又は基地局2のE−DCHアクティブセット制御部が計算することによって求められる。
移動端末1は、コードパワーが閾値E以上である場合、周辺の基地局2に大きな影響を与えているため、非サービング基地局2−2をE−DCHアクティブセットから削除せずに、現在のE−DCHアクティブセットを維持する。
一方、コードパワーが閾値E未満であれば、周辺の基地局2に対する影響が殆んどないので、非サービング基地局2−2をE−DCHアクティブセットから削除して、シグナリング負荷を軽減するようにする。
そこで、移動端末1は、コードパワーが閾値E未満であれば、非サービング基地局2−2をE−DCHアクティブセットから削除することを要求する削除イベントを発生する(ステップST155)。
移動端末1は、上記のようにして、削除イベントを発生すると、その削除イベントをDCHに乗せて、非サービング基地局2−2を介して、基地局制御装置3に送信する。
基地局制御装置3は、移動端末1から非サービング基地局2−2をE−DCHアクティブセットから削除することを要求する削除イベントを受信すると、非サービング基地局2−2をE−DCHアクティブセットから削除する。
以後、非サービング基地局2−2は、Downコマンドを移動端末1に送信する処理の実施が不可能なるが、シグナリング負荷が軽減される。
ここでは、コードパワーと閾値Eを比較するものについて示したが、移動端末1の送信レート(送信電力)と規制基準F(E−DCHの許容電力と非サービング基地局2−2の干渉量との差から求められる基準値)を比較し、送信レートが規制基準F未満のとき、移動端末1が非サービング基地局2−2をE−DCHアクティブセットから削除することを要求する削除イベントを発生するようにしてもよい。
以下、移動端末1、基地局2及び基地局制御装置3内の処理部の具体的な内容を詳細に説明する。
図20は移動端末が基地局をE−DCHアクティブセットから削除するか否かを判断する処理内容を示すフローチャートであり、図21は移動体通信システムのシーケンスを示すシーケンス図である。
移動端末1が例えば非サービング基地局2−2をE−DCHアクティブセットから削除するか否かを判断する場合、非サービング基地局2−2から干渉量が移動端末1に通知されている必要がある。
非サービング基地局2−2の干渉量測定部65は、図9に示すように、非サービング基地局2−2における全ての干渉量を測定して、全干渉量の合計を計算する(ステップST11)。
即ち、低雑音増幅部54から出力された受信強度と復調部55から出力された受信信号におけるパイロットとに基づいて信号成分を取り除くことにより、全ての干渉量を測定する。
非サービング基地局2−2の干渉量通知部68は、干渉量測定部65が全ての干渉量を測定すると、その干渉量を示す干渉量情報を基地局制御装置3に報知する(ステップST12)。
基地局制御装置3の伝送制御部82は、非サービング基地局2−2から干渉量情報を受けると、非サービング基地局2−2のP−CCPCH送信部72を介して、その干渉量情報を移動端末1に通知する(ステップST13)。
このように基地局制御装置3を介して、干渉量情報を通知する場合、従来のR99の通知方式を使用することができるため、新たな装置を移動端末1に付加する必要がない利点があるが、非サービング基地局2−2が干渉量情報を直接移動端末1に通知するようにしてもよい。
非サービング基地局2−2が干渉量情報を直接移動端末1に通知する場合、基地局制御装置3を介さない分、干渉量情報を速やかに通知することができる利点がある。
ここでは、非サービング基地局2−2が干渉量情報を移動端末1に通知するものについて示しているが、非サービング基地局2−2の干渉量測定部65が最大許容電力から全干渉量の合計を減算して干渉マージンを算出し、その干渉マージンを移動端末1に通知するようにしてもよい。
移動端末1のP−CCPCH受信部32は、E−DCHアクティブセットに含まれている全ての基地局2から干渉量情報を受信する(ステップST161)。図1の例では、非サービング基地局2−2の干渉量情報を受信する。
移動端末1のE−DCHアクティブセット制御部38は、P−CCPCH受信部32が非サービング基地局2−2から干渉量情報を受信すると、干渉量の規制基準D(上述した判断基準となる閾値Dに相当)を算出する(ステップST162)。
なお、頻繁に追加処理や削除処理が発生することを避けるため、上記実施の形態1で示した干渉量の規制基準Aと異なる規制基準Dを算出する。即ち、規制基準Aと規制基準Dの間にヒステリスを持たせるが、規制基準Aと規制基準Dが同じであってもよい。
移動端末1のE−DCHアクティブセット制御部38は、干渉量の規制基準Dを算出すると、E−DCHアクティブセットに含まれている基地局2の中から、マクロダイバシティにとって必要不可欠でない1以上の基地局を選択する(ステップST163)。この基地局の選択方法は後述するが、ここでは、説明の便宜上、非サービング基地局2−2を選択する。
E−DCHアクティブセット制御部38は、必要不可欠でない1以上の基地局2の中から、1つの基地局2を任意に選択する(ステップST164)。ここでは、説明の便宜上、非サービング基地局2−2を選択する。
E−DCHアクティブセット制御部38は、非サービング基地局2−2を選択すると、その非サービング基地局2−2の干渉量と規制基準Dを比較する(ステップST165)。
E−DCHアクティブセット制御部38は、非サービング基地局2−2の干渉量が規制基準D以上であれば、その非サービング基地局2−2を削除すべきでないと判断し、必要不可欠でない1以上の基地局2の中に未選択の基地局2が存在するか否かを判定する(ステップST166)。
未選択の基地局2が存在しなければ、処理を終了し、未選択の基地局2が存在すれば、ステップST164〜ST165の処理を繰り返し継続する。
E−DCHアクティブセット制御部38は、非サービング基地局2−2の干渉量が規制基準Dに満たなければ、その非サービング基地局2−2をE−DCHアクティブセットから削除することを要求する削除イベントを発生する(ステップST167)。
移動端末1のDPCH送信部18は、E−DCHアクティブセット制御部38から発生された削除イベントを基地局制御装置3に送信する(ステップST168)。
ここでは、移動端末1が非サービング基地局2−2の干渉量に基づいて、E−DCHアクティブセットの削除を判定するものについて示したが、非サービング基地局2−2の干渉量と擬似SIRに基づいて、E−DCHアクティブセットの削除を判定するようにしてもよい。
基地局の干渉量だけでなく、擬似SIRに基づいてE−DCHアクティブセットから削除する非サービング基地局2−2を判定するようにすれば、干渉量だけでなく受信品質も考慮された非サービング基地局2−2をE−DCHアクティブセットから除外することができるようになる。これにより、干渉量の制御とマクロダイバシティ効果の両立を図ることができる。
擬似SIRに基づいてE−DCHアクティブセットから削除する非サービング基地局を判定する場合、図20における“干渉量”を“擬似SIR”に置き換えたものになる。
ただし、擬似SIRは擬似上り受信信号を干渉量で割った値であるため、擬似SIRが大きい程、干渉量が小さくなるため、ステップST165の不等号の向きは逆になる。
上記のようにして、移動端末1がE−DCHアクティブセットの削除イベントを基地局制御装置3に送信すると(図21のステップST171)、基地局制御装置3の無線資源管理部83がE−DCHアクティブセットの削除イベントを受信する(ステップST172)。
基地局制御装置3の伝送制御部82は、無線資源管理部83がE−DCHアクティブセットの削除イベントを受信すると、無線資源管理部83の指示の下、E−DCHアクティブセットの削除要求を非サービング基地局2−2に送信する(ステップST173)。
非サービング基地局2−2のプロトコル処理部57は、基地局制御装置3からE−DCHアクティブセットの削除要求を受信すると、E−DCHアクティブセットの削除処理を実施する(ステップST174)。
なお、E−DCHアクティブセットの削除処理は、上記実施の形態1で説明済みの入れ替え指示に伴う削除処理と同様であるため説明を省略する。
非サービング基地局2−2のプロトコル処理部57は、E−DCHアクティブセットの削除処理を実施すると、削除処理の完了を基地局制御装置3に通知する(ステップST175)。
基地局制御装置3の伝送制御部82は、非サービング基地局2−2から削除処理の完了通知を受けると、非サービング基地局2−2を介して、E−DCHアクティブセットの削除指示を移動端末1に送信する(ステップST176)。
移動端末1のプロトコル処理部41は、P−CCPCH受信部32が基地局制御装置3からE−DCHアクティブセットの削除指示を受信すると、E−DCHアクティブセットの削除処理を実施する(ステップST177)。
なお、E−DCHアクティブセットの削除処理は、上記実施の形態1で説明済みの入れ替え指示に伴う削除処理と同様であるため説明を省略する。
移動端末1のプロトコル処理部41は、E−DCHアクティブセットの削除処理を実施すると、削除処理の完了を基地局制御装置3に通知する(ステップST178)。
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、移動端末1がE−DCHアクティブセットに含まれている非サービング基地局2−2の干渉量を収集し、その干渉量が規制基準Dより小さい場合、その非サービング基地局2−2をE−DCHアクティブセットから削除する要求を基地局制御装置3に送信し、その基地局制御装置3が移動端末1から送信された要求に応じてE−DCHアクティブセットに含まれている非サービング基地局2−2を削除するように構成したので、非サービング基地局2−2のシグナリング負荷を軽減することができる効果を奏する。
実施の形態4.
上記実施の形態3では、干渉量に余裕がある非サービング基地局2−2をE−DCHアクティブセットから削除するに際して、削除の判断主体が移動端末1であるものについて示したが、削除の判断主体が基地局2であってもよい。
以下、削除の判断主体が基地局2である場合について説明する。
削除の判断主体が基地局2である場合、基地局2が既にE−DCHを受信することが可能な状態にあるため、移動端末1から送信されたE−DCHの受信コードパワーを基地局2が得ることができる。それ故、その移動端末が与える干渉量が、基地局全体の干渉に対して、どの程度占めているかを得ることができる。
したがって、基地局2の中で、干渉に対する影響の大きい移動端末1を知ることができるため、その移動端末1を優先的にE−DCHアクティブセットから外すことができる。
基地局2は、自局の干渉量と移動端末1のコードパワーとに基づいて削除の判定を行う。
削除の判断主体が基地局2である場合、干渉量を移動端末1にシグナリングする必要がなく、移動端末1の送信パワーが実際に基地局端において、どの程度の影響を与えているのかを正確に知ることができる利点がある。
図22は基地局制御装置3がE−DCHアクティブセットの削除を指示する際の移動体通信システムのシーケンスを示すシーケンス図であり、図23は基地局2が自局をE−DCHアクティブセットから削除するか否かを判断する処理内容を示すフローチャートである。
E−DCHアクティブセットに含まれている非サービング基地局2−2の干渉量測定部65は、干渉量を測定する(ステップST181)。
また、非サービング基地局2−2の干渉量測定部65は、E−DCHコードパワー(または、送信レート)を測定する(ステップST182)。
非サービング基地局2−2のシグナリング測定部79は、シグナリング負荷を測定する(ステップST183)。
非サービング基地局2−2のE−DCHアクティブセット制御部71は、その干渉量、E−DCHコードパワー及びシグナリング負荷に基づいて、自局をE−DCHアクティブセットから削除するか否かを判定する(ステップST184)。削除の判定処理の詳細は後述する。
非サービング基地局2−2のプロトコル処理部57は、E−DCHアクティブセット制御部71の判定結果が、自局をE−DCHアクティブセットから削除しない旨を示す場合には処理を終了するが、自局をE−DCHアクティブセットから削除する旨を示す場合、自局をE−DCHアクティブセットから削除する要求を基地局制御装置3に送信する(ステップST185)。
基地局制御装置3の伝送制御部82は、非サービング基地局2−2から削除要求を受信すると、無線資源管理部83の指示の下、E−DCHアクティブセットの削除指示を非サービング基地局2−2に送信する(ステップST186)。
非サービング基地局2−2のプロトコル処理部57は、基地局制御装置3からE−DCHアクティブセットの削除指示を受信すると、E−DCHアクティブセットの削除処理を実施する(ステップST187)。
なお、E−DCHアクティブセットの削除処理は、上記実施の形態1で説明済みの入れ替え指示に伴う削除処理と同様であるため説明を省略する。
非サービング基地局2−2のプロトコル処理部57は、E−DCHアクティブセットの削除処理を実施すると、削除処理の完了を基地局制御装置3に通知する(ステップST188)。
基地局制御装置3の伝送制御部82は、非サービング基地局2−2から削除処理の完了通知を受けると、非サービング基地局2−2を介して、E−DCHアクティブセットの削除指示を移動端末1に送信する(ステップST189)。
移動端末1のプロトコル処理部41は、P−CCPCH受信部32が基地局制御装置3からE−DCHアクティブセットの削除指示を受信すると、E−DCHアクティブセットの削除処理を実施する(ステップST190)。
なお、E−DCHアクティブセットの削除処理は、上記実施の形態1で説明済みの入れ替え指示に伴う削除処理と同様であるため説明を省略する。
移動端末1のプロトコル処理部41は、E−DCHアクティブセットの削除処理を実施すると、削除処理の完了を基地局制御装置3に通知する(ステップST191)。
次に、図23を参照して、非サービング基地局2−2が自局をE−DCHアクティブセットから削除するか否かを判断する処理内容(図22のステップST184の処理内容)を説明する。
E−DCHアクティブセットに含まれている非サービング基地局2−2のシグナリング測定部79は、AG,RG,ACK/NACKを合わせたシグナリング負荷を測定し、そのシグナリング負荷が許容量を超えているか否かを判定する(ステップST201)。
非サービング基地局2−2は、シグナリング負荷が許容量を超えていなければ、現在のアクティブセットを維持する。
非サービング基地局2−2の干渉量測定部65は、シグナリング負荷が許容量を超えている場合、現在、自局で受信しているE−DCHのコードパワーを測定する(ステップST202)。なお、E−DCHを送信している1以上の移動端末1を端末Dとする。
非サービング基地局2−2のE−DCHアクティブセット制御部71は、E−DCHコードパワーの規制基準Gを算出する(ステップST203)。または、シグナリングによって通知される。
非サービング基地局2−2のE−DCHアクティブセット制御部71は、E−DCHコードパワーの規制基準Gを算出すると、端末Dの中から移動端末1を任意に1つ選択し、干渉量測定部65から当該移動端末1のE−DCHコードパワーを取得する(ステップST204)。
また、E−DCHアクティブセット制御部71は、干渉量測定部65から当該移動端末1の干渉量を取得し、例えば、非サービング基地局2−2における送信許容電力(最大電力)から干渉量等を減算して干渉マージンを求め、その干渉マージンとE−DCHコードパワーの比を算出する(ステップST205)。
E−DCHアクティブセット制御部71は、干渉マージンとE−DCHコードパワーの比を算出すると、その比と規制基準Gを比較する(ステップST206)。
E−DCHアクティブセット制御部71は、その比が規制基準Gを超えていれば、現在のE−DCHアクティブセットを維持し、端末Dの中に未選択の移動端末1が存在するか否かを判定する(ステップST207)。
未選択の移動端末1が存在していなければ、処理を終了するが、未選択の移動端末1が存在していれば、ステップST204〜ST206の処理を繰り返し継続する。
E−DCHアクティブセット制御部71は、その比が規制基準Gを下回っていれば、自局をE−DCHアクティブセットから削除する要求を基地局制御装置3に送信する(ステップST208)。
以上で明らかなように、この実施の形態4によれば、干渉量が所定の閾値より小さい場合、非サービング基地局2−2が自局をE−DCHアクティブセットから削除する要求を基地局制御装置3に送信し、その基地局制御装置3が非サービング基地局2−2から送信された要求に応じて非サービング基地局2−2をE−DCHアクティブセットから削除するように構成したので、非サービング基地局2−2のシグナリング負荷を軽減することができる効果を奏する。
実施の形態5.
上記実施の形態1〜4では、基地局2における干渉量に基づいて非サービング基地局となる基地局を選択するものについて示したが、マクロダイバシティの効果が高い基地局を非サービング基地局となるようにしてもよい。
したがって、この実施の形態5では、非サービング基地局のもう一つの役割であるマクロダイバシティに着目する。
パスロスがほぼ同一であっても、地形や建物の影響により受信信号が変動する。このような変動はシャドウイングと呼ばれ、また、確率密度関数が対数正規分布(Log−Normal)となるため、対数正規フェージングと呼ばれる。
このようなフェージングに対処するには、基地局間の空間相関が小さい基地局を非サービング基地局に選択する必要がある。
[マクロ選択合成の説明]
マクロダイバシティとは、移動端末1から送信されたデータが複数の基地局2により受信され、そのデコード結果が“CRC OK”となる受信データを基地局制御装置3が選択するものである。
なお、マクロ選択合成において、サービング基地局2−1がNACKになっても、非サービング基地局2−2がACKになれば、データを受信することができる。したがって、非サービング基地局を選択する際には、サービング基地局がNACKになるときに、ACKになる非サービング基地局を選択するのが望ましい。
この実施の形態5において、重要な事項は、どのようにして基地局間の相関を知るかである。
空間相関は、長時間平均されているパスロスでは、反映される時間がかかり過ぎるため、より速い伝送路変動が反映されているものを利用して判断することになる。
速い伝送路変動が反映された基地局間の空間相関を知るためのものとして、瞬時のCPICHの受信レベルや、基地局から送信される応答信号(ACK/NACK)を利用することが考えられる。
図24はマクロダイバシティの効果を考慮してE-DCHアクティブセットを変更する処理内容を示すフローチャートである。図24は判断主体が移動端末1である場合と、判断主体が基地局制御装置3である場合とで共通である。
判断の主体となる装置(移動端末1又は基地局制御装置3)は、移動端末1と各基地局2間の伝送路の相関を計算する(ステップST211)。例えば、相関算出手段である移動端末1の相関算出部36(または、応答信号カウント部37)が移動端末1と各基地局2間の伝送路の相関を計算する。
判断の主体となる装置(移動端末1又は基地局制御装置3)は、サービング基地局2−1のE−DCH受信品質を受信する(ステップST212)。
判断の主体となる装置のE−DCHアクティブセット制御部38等は、サービング基地局2−1の受信品質が所定の閾値より高いか否かを判定する(ステップST213)。
判断の主体となる装置のE−DCHアクティブセット制御部38等は、サービング基地局2−1の受信品質が所定の閾値より高い場合、マクロダイバシティを使う必要がないので、非サービング基地局を追加する必要がなく、現存する非サービング基地局の削除の必要性を判別する。
一方、サービング基地局2−1の受信品質が所定の閾値より低い場合、マクロダイバシティを使う必要があるので、現存する非サービング基地局を削除せず、非サービング基地局の追加の必要性を判別する。
なお、サービング基地局が現存していない場合は、ステップST212,ST213の処理は実施されず、ステップST211からST214の処理に移行する。
判断の主体となる装置のE−DCHアクティブセット制御部38等は、サービング基地局2−1の受信品質が所定の閾値より低い場合、伝送路の相関が所定の閾値以下(もしくは、逆相関)であるか否かを判定する(ステップST214)。
ここでの閾値は、計算又はシグナリングによって通知される。
判断の主体となる装置のE−DCHアクティブセット制御部38等は、伝送路の相関が所定の閾値を超えている場合、伝送路の相関が高く、マクロダイバシティの効果を望めないので、非サービング基地局を追加せず、現在のE−DCHアクティブセットを維持して終了する。
移動端末1のプロトコル処理部41は、E−DCHアクティブセット制御部38等の判定結果が、伝送路の相関が所定の閾値以下である旨を示す場合、伝送路の相関が低く、マクロダイバシティの効果を望めるので、E−DCHアクティブセットの追加イベントを発生する(ステップST215)。
判断の主体となる装置のE−DCHアクティブセット制御部38等は、サービング基地局2−1の受信品質が所定の閾値より高い場合、伝送路の相関が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップST216)。
ここでの閾値は、計算又はシグナリングによって通知される。
判断の主体となる装置のE−DCHアクティブセット制御部38等は、伝送路の相関が所定の閾値を下回っている場合、伝送路の相関が低く、マクロダイバシティの効果を望めるので、非サービング基地局を削除せず、現在のE−DCHアクティブセットを維持して終了する。
移動端末1のプロトコル処理部41は、E−DCHアクティブセット制御部38等の判定結果が、伝送路の相関が所定の閾値以上である旨を示す場合、伝送路の相関が高く、マクロダイバシティの効果を望めないので、E−DCHアクティブセットの削除イベントを発生する(ステップST217)。
次に、移動端末1が判断主体になってE-DCHアクティブセットを追加する例を詳細に説明する。
以下では、サービング基地局2−1の受信品質と、サービング基地局2−1との相関からE−DCHアクティブセットに追加する基地局2を選択するものとする。受信品質の悪いサービング基地局2−1に対して、従来のアクティブセットに含まれている基地局2のうち、相関の低い基地局2が非サービング基地局になる
E−DCHアクティブセットを追加する場合、E−DCHが未だ受信状態になっていないため、CPICHの受信レベルを利用して、基地局間の相関を得て、マクロダイバシティの効果を判定する。このCPICHの受信レベルによる方法は、移動端末1と基地局2のどちらが主体でも可能であるが、CPCH受信レベルの測定自体は、移動端末1で行うため、相関があるか否かの判断は、移動端末1で行うことが望ましい。
説明は省略するが、移動端末1からCPICH受信レベルを基地局2に通知することで、基地局2でも判断は可能である。しかし、基地局2で相関を判断する場合は、高速に伝送路が変動すると遅延が生じるため適さない。
基地局で相関を判断する場合は端末で測定したCPICHレベルの平均値を通知することになり高速な変動に対しては追従していない。
端末で相関を判断する場合は、瞬時的な変化を利用することができる。例えばCPICH信号の瞬時レベルとしては、CPICH EC/NO等の利用が考えられる。(EC/NOとはReceived energy per chip divided by the power density in the bandの略でチップあたりのエネルギーと帯域のノイズ成分の比でありCPICHの瞬時強度を示す。)
図25はE−DCHのアクティブセットを追加する際の移動体通信システムのシーケンスを示すシーケンス図であり、図26は移動端末1がマクロダイバシティの効果を高めるか否かを判定する処理内容を示すフローチャートである。
移動端末1のCPICH受信部28は、サービング基地局2−1から送信されたCPICHの受信レベルを測定する(ステップST221)。
また、移動端末1のCPICH受信部28は、非サービング追加候補の基地局2−3から送信されたCPICHの受信レベルを測定する(ステップST222)。
移動端末1のE−DCHアクティブセット制御部38は、CPICH受信部28により測定されたCPICHの受信レベルに基づいて、非サービング追加候補の基地局2−3がマクロダイバシティの効果を高めるか否かを判定する(ステップST223)。マクロダイバシティの効果を高めるか否かの判定処理は後述する。
移動端末1のDPCH送信部18は、E−DCHアクティブセット制御部38の判定結果が、マクロダイバシティの効果が高まらない旨を示す場合、現在のE−DCHアクティブセットを維持して終了するが、E−DCHアクティブセット制御部38の判定結果が、マクロダイバシティの効果が高まる旨を示す場合、非サービング追加候補の基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加することを要求する追加イベントを基地局制御装置3に送信する(ステップST224)。
非サービング追加候補の基地局2−3のプロトコル処理部57は、シグナリング測定部79により測定されたシグナリング負荷を基地局制御装置3に送信する(ステップST225)。
基地局制御装置3のE−DCHアクティブセット制御部92は、基地局2−3からシグナリング負荷を受信すると、そのシグナリング負荷が許容範囲内か否かを判定する(ステップST226)。
基地局制御装置3のE−DCHアクティブセット制御部92は、基地局2−3のシグナリング負荷が許容範囲外であれば、基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加することができないので、現在のE−DCHアクティブセットを維持して終了する。
基地局制御装置3の伝送制御部82は、E−DCHアクティブセット制御部92の判定結果が、基地局2−3のシグナリング負荷が許容範囲内である旨を示す場合、E−DCHアクティブセットの追加指示を基地局2−3に送信する(ステップST227)。
基地局2−3のプロトコル処理部57は、基地局制御装置3からE−DCHアクティブセットの追加指示を受信すると、上記実施の形態1と同様に、E−DCHアクティブセットの追加処理を実施する(ステップST228)。
基地局2−3のプロトコル処理部57は、E−DCHアクティブセットの追加処理を実施すると、追加処理の完了を基地局制御装置3に通知する(ステップST229)。
基地局制御装置3の伝送制御部82は、基地局2−3から追加処理の完了通知を受けると、基地局2−3を介して、E−DCHアクティブセットの追加指示を移動端末1に送信する(ステップST230)。
移動端末1のプロトコル処理部41は、P−CCPCH受信部32が基地局制御装置3からE−DCHアクティブセットの追加指示を受信すると、上記実施の形態1と同様に、E−DCHアクティブセットの追加処理を実施し(ステップST231)、追加処理の完了を基地局制御装置3に通知する(ステップST232)。
次に、図26を参照して、移動端末1がマクロダイバシティの効果を高めるか否かを判定する処理内容(図25のステップST223の処理内容)を説明する。
移動端末1のCPICH受信部28は、従来のアクティブセットの基地局から送信されたCPICHの受信レベルを測定する(ステップST241)。
また、移動端末1のCPICH受信部28は、サービング基地局2−1から送信されたCPICHの受信レベルを測定する。
移動端末1のE−DCHアクティブセット制御部38は、CPICH受信部28がサービング基地局2−1におけるCPICHの受信レベルを測定すると、そのCPICHの受信レベルを下りシグナリングの誤り基準に設定する(ステップST242)。
移動端末1のE−DCHアクティブセット制御部38は、サービング基地局2−1におけるCPICHの受信レベルと所定の閾値を比較する(ステップST243)。
E−DCHアクティブセット制御部38は、CPICHの受信レベルが所定の閾値より高い場合、サービング基地局2−1のみで、E−DCHを受信することができるもの判断し、非サービング基地局を追加せずに終了する。
移動端末1の応答信号カウント部37は、E−DCHアクティブセット制御部38の比較結果が、CPICHの受信レベルが所定の閾値より低い旨を示す場合、E−HICH受信部26からサービング基地局2−1の応答信号であるACK/NACKを取得して、一定時間のNACKの数をカウントする(ステップST244)。
移動端末1のE−DCHアクティブセット制御部38は、応答信号カウント部37が一定時間のNACKの数をカウントすると、そのNACK数と所定の閾値を比較する(ステップST245)。
ここでの閾値は、シグナリング又はE−DCHアクティブセット制御部38において計算により求められる。
E−DCHアクティブセット制御部38は、NACK数が所定の閾値より少ない場合、サービング基地局2−1のみで、E−DCHを受信することができるもの判断し、非サービング基地局を追加せずに終了する。
なお、ステップST244,ST245は、既にサービング基地局2−1が設定されている場合にのみ適用される。
移動端末1の相関算出部36は、サービング基地局2−1におけるCPICHの受信レベルと、非サービング候補の基地局2−3におけるCPICHの受信レベルとの共分散から相関を計算する(ステップST246)。
移動端末1のE−DCHアクティブセット制御部38は、相関算出部36が相関を計算すると、その相関と所定の閾値を比較する(ステップST247)。
ここでの閾値は、シグナリング又はE−DCHアクティブセット制御部38において計算により求められる。
移動端末1のE−DCHアクティブセット制御部38は、相関が所定の閾値以上であれば、非サービング候補の基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加しても、マクロダイバシティの効果が高まらないと認定するが(ステップST248)、相関が所定の閾値より小さければ、非サービング候補の基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加すれば、マクロダイバシティの効果が高まると認定する(ステップST249)。
以上で明らかなように、この実施の形態5によれば、サービング基地局2−1と基地局2−3間の相関が低い場合、その基地局2−3を非サービング基地局に変更するように構成したので、マクロダイバシティの効果を高めることができる効果を奏する。
実施の形態6.
上記実施の形態5では、サービング基地局2−1と基地局2−3間の相関が低い場合、その基地局2−3を非サービング基地局に変更するものについて示したが、サービング基地局2−1と非サービング基地局2−2間の相関が高い場合、その非サービング基地局2−2をE−DCHアクティブセットから削除するようにしてもよい。
以下では、サービング基地局2−1の受信品質と、サービング基地局2−1との相関に基づいて、E−DCHアクティブセットから削除する非サービング基地局を選択する。即ち、受信品質の良いサービング基地局2−1に対して、相関が高い非サービング基地局をE−DCHアクティブセットから削除する。
[ACK/NACKを相関判定に使える理由]
基地局間の相関を調べる際、CPICHの受信レベルを利用することができるが、基地局2から送信されるACK/NACKの数を利用することができる。
CPICHの受信レベルでは、下り伝送路の品質において相関があるか否かを確認することができるが、上り伝送路の品質において相関があるか否かは不明である。
これに対して、ACK/NACKは、移動端末1から送信されたデータに対する基地局2の受信結果に基づく応答信号であり、下りの伝送路だけでなく、上りの伝送路の品質が結果に反映されているため、E−DCHにおける基地局間の相関を確認することができる。
E−DCHアクティブセットを追加する場合は、ACK/NACKの結果を得ることができないため、CPICHの受信レベルから相関判定を実施するが、E−DCHアクティブセットを削除する場合は、より理想的なACK/NACKに基づいて相関判定を実施する。
次に、移動端末1が判断主体になってE-DCHアクティブセットを削除する例を説明する。
図27はE−DCHのアクティブセットを削除する際の移動体通信システムのシーケンスを示すシーケンス図であり、図28は移動端末1がマクロダイバシティの効果を高めているか否かを判定する処理内容を示すフローチャートである。
移動端末1のE−DCH送信部24は、E−DCHをE−DCHアクティブセットに含まれている各基地局2に向けて送信する(ステップST251)。
E−DCHアクティブセットに含まれているサービング基地局2−1のE−DPDCH受信部62は、移動端末1から送信されたE−DCHを受信する(ステップST252)。
また、E−DCHアクティブセットに含まれている非サービング基地局2−2のE−DPDCH受信部62も、移動端末1から送信されたE−DCHを受信する(ステップST253)。
サービング基地局2−1のE−HICH送信部78は、E−DPDCH受信部62が移動端末1からE−DCHを受信すると、そのE−DCHの受信結果に基づく応答信号として、ACK/NACKを移動端末1に送信する(ステップST254)。
また、非サービング基地局2−2のE−HICH送信部78も、E−DPDCH受信部62が移動端末1からE−DCHを受信すると、そのE−DCHの受信結果に基づく応答信号として、ACK/NACKを移動端末1に送信する(ステップST256)。
移動端末1のE−HICH受信部26は、サービング基地局2−1及び非サービング基地局2−2から送信されるACK/NACKを受信する(ステップST255,ST257)。
移動端末1のE−DCHアクティブセット制御部38は、E−HICH受信部26により測定されたACK/NACKに基づいて、非サービング基地局2−2がマクロダイバシティの効果を高めているか否かを判定する(ステップST258)。マクロダイバシティの効果を高めているか否かの判定処理は後述する。
移動端末1のDPCH送信部18は、E−DCHアクティブセット制御部38の判定結果が、マクロダイバシティの効果を高めている旨を示す場合、現在のE−DCHアクティブセットを維持して終了するが、E−DCHアクティブセット制御部38の判定結果が、マクロダイバシティの効果を高めていない旨を示す場合、非サービング基地局2−2をE−DCHアクティブセットから削除することを要求する削除イベントを基地局制御装置3に送信する(ステップST259)。
非サービング基地局2−2のプロトコル処理部57は、シグナリング測定部79により測定されたシグナリング負荷を基地局制御装置3に送信する(ステップST260)。
基地局制御装置3のE−DCHアクティブセット制御部92は、非サービング基地局2−2からシグナリング負荷を受信すると、そのシグナリング負荷と所定の閾値を比較する(ステップST262)。
基地局制御装置3のE−DCHアクティブセット制御部92は、基地局2−3のシグナリング負荷が所定の閾値より小さければ、シグナリング負荷に余裕があり、非サービング基地局2−2をE−DCHアクティブセットから削除する必要がないので、現在のE−DCHアクティブセットを維持して終了する。
非サービング基地局2−2の干渉量通知部68は、干渉量測定部65により測定された干渉量を基地局制御装置3に送信する(ステップST262)。
なお、干渉量通知は、基地局制御装置3でなく、移動端末1に行うことも可能である。
基地局制御装置3のE−DCHアクティブセット制御部92は、非サービング基地局2−2から干渉量を受信すると、その干渉量と所定の閾値を比較する(ステップST263)。なお、ここでの閾値は、上記実施の形態3における規制基準Dと同じである。
基地局制御装置3のE−DCHアクティブセット制御部92は、非サービング基地局2−2の干渉量が所定の閾値より多い場合、干渉量に余裕がなく、非サービング基地局として電力制御を行う必要があるため、現在のE−DCHアクティブセットを維持して終了する。
基地局制御装置3の伝送制御部82は、非サービング基地局2−2の干渉量が所定の閾値より少ない場合、干渉量に余裕があり、非サービング基地局として電力制御を行う必要がないため、E−DCHアクティブセットの削除指示を非サービング基地局2−2に送信する(ステップST264)。
非サービング基地局2−2のプロトコル処理部57は、基地局制御装置3からE−DCHアクティブセットの削除指示を受信すると、上記実施の形態3と同様に、E−DCHアクティブセットの削除処理を実施する(ステップST265)。
非サービング基地局2−2のプロトコル処理部57は、E−DCHアクティブセットの削除処理を実施すると、削除処理の完了を基地局制御装置3に通知する(ステップST266)。
基地局制御装置3の伝送制御部82は、非サービング基地局2−2から削除処理の完了通知を受けると、非サービング基地局2−2を介して、E−DCHアクティブセットの削除指示を移動端末1に送信する(ステップST267)。
移動端末1のプロトコル処理部41は、P−CCPCH受信部32が基地局制御装置3からE−DCHアクティブセットの削除指示を受信すると、上記実施の形態3と同様に、E−DCHアクティブセットの削除処理を実施する(ステップST268)。
移動端末1のプロトコル処理部41は、E−DCHアクティブセットの削除処理を実施すると、削除処理の完了を基地局制御装置3に通知する(ステップST269)。
次に、図28を参照して、移動端末1がマクロダイバシティの効果を高めているか否かを判定する処理内容(図27のステップST258の処理内容)を説明する。
移動端末1の応答信号カウント部37は、サービング基地局2−1から送信されるACK/NACKをカウントするとともに、非サービング基地局2−2から送信されるACK/NACKをカウントする(ステップST271)。
移動端末1のCPICH受信部28は、サービング基地局2−1から送信されるCPICHの受信レベルを測定する(ステップST272)。このCPICHの受信レベルは、下り伝送路の品質を意味し、下りシグナリングの誤りの程度を調べるものである。
移動端末1のE−DCHアクティブセット制御部38は、サービング基地局2−1におけるCPICHの受信レベルと所定の閾値を比較する(ステップST273)。
E−DCHアクティブセット制御部38は、CPICHの受信レベルが所定の閾値より低い場合、サービング基地局2−1の応答信号の信頼性が低い場合があるため、E−DCHのアクティブセットを削除せずに終了する。つまり、サービング基地局2−1がACKを送信したにも拘わらず、伝送路の悪化によって移動端末1がNACKとみなした場合であっても、非サービング基地局2−2からのACKにより、正しく受信することが望ましい。そのため、非サービング基地局2−2の削除を行わない。
移動端末1の応答信号カウント部37は、E−DCHアクティブセット制御部38の比較結果が、CPICHの受信レベルが所定の閾値より高い旨を示す場合、E−HICH受信部26からサービング基地局2−1の応答信号であるACK/NACKを取得して、NACK数/全受信数を算出する(ステップST274)。
NACK数/全受信数は、下り品質が良好な条件下においては上り品質の誤りの程度を意味する。
移動端末1のE−DCHアクティブセット制御部38は、応答信号カウント部37がNACK数/全受信数を算出すると、そのNACK数/全受信数と所定の閾値を比較する(ステップST275)。
ここでの閾値は、シグナリング又はE−DCHアクティブセット制御部38において計算により求められる。
E−DCHアクティブセット制御部38は、NACK数/全受信数が所定の閾値より多い場合、サービング基地局2−1の品質が低いので、E−DCHアクティブセットを削除せず終了する。この場合、サービング基地局2−1を上り品質が良い基地局と交換するのが望ましが、その処理は時間がかかるため、非サービング基地局2−2を削除しないようにする。
移動端末1の応答信号カウント部37は、NACK数/全受信数が所定の閾値より少ない場合、サービング基地局2−1からNACKが送信されたときに、非サービング基地局2−2から送信されたACKの数をカウントする(ステップST276)。
移動端末1のE−DCHアクティブセット制御部38は、応答信号カウント部37がACKの数をカウントすると、そのACK数と所定の閾値を比較する(ステップST277)。
ここでの閾値は、シグナリング又はE−DCHアクティブセット制御部38において計算により求められる。
移動端末1のE−DCHアクティブセット制御部38は、ACK数が所定の閾値以上であれば、非サービング基地局2−2がマクロダイバシティの効果を高めていると認定し(ステップST278)、ACK数が所定の閾値に満たなければ、非サービング基地局2−2がマクロダイバシティの効果を高めていないと認定する(ステップST279)。
以上で明らかなように、この実施の形態6によれば、サービング基地局2−1と非サービング基地局2−2間の相関が高い場合、非サービング基地局2−2をE−DCHアクティブセットから削除するように構成したので、マクロダイバシティの効果を高めている非サービング基地局2−2のみを使用することができる効果を奏する。
実施の形態7.
上記実施の形態6では、非サービング基地局2−2をE−DCHアクティブセットから削除するに際して、削除の判断主体が移動端末1であるものについて示したが、削除の判断主体が基地局制御装置3であってもよい。
以下、削除の判断主体が基地局制御装置3である場合について説明する。
図29はE−DCHのアクティブセットを削除する際の移動体通信システムのシーケンスを示すシーケンス図であり、図30は基地局制御装置3がマクロダイバシティの効果を高めているか否かを判定する処理内容を示すフローチャートである。
移動端末1のE−DCH送信部24は、E−DCHをE−DCHアクティブセットに含まれている各基地局2に向けて送信する(ステップST281)。
E−DCHアクティブセットに含まれているサービング基地局2−1のE−DPDCH受信部62は、移動端末1から送信されたE−DCHを受信する(ステップST282)。
基地局制御部3の無線資源管理部83は、サービング基地局2−1から送信されたE−DCHを受信する(ステップST283)。
E−DCHアクティブセットに含まれている非サービング基地局2−2のE−DPDCH受信部62は、移動端末1から送信されたE−DCHを受信する(ステップST284)。
基地局制御部3の無線資源管理部83は、非サービング基地局2−2から送信されたE−DCHを受信する(ステップST285)。
移動端末1のE−DCH送信部24は、CPICH受信部28により測定されたサービング基地局2−1及び非サービング基地局2−2におけるCPICHの受信レベルを基地局制御装置3に通知する(ステップST286)。
非サービング基地局2−2のプロトコル処理部57は、シグナリング測定部79により測定されたシグナリング負荷を基地局制御装置3に送信する(ステップST287)。
基地局制御装置3のE−DCHアクティブセット制御部92は、非サービング基地局2−2からシグナリング負荷を受信すると、そのシグナリング負荷等に基づいて、非サービング基地局2−2がマクロダイバシティの効果を高めているか否かを判定する(ステップST288)。マクロダイバシティの効果を高めているか否かの判定処理は後述する。
E−DCHアクティブセット制御部92は、マクロダイバシティの効果を高めていると判定する場合、現在のE−DCHアクティブセットを維持して終了する。
非サービング基地局2−2の干渉量通知部68は、干渉量測定部65により測定された干渉量を基地局制御装置3に送信する(ステップST289)。
基地局制御装置3のE−DCHアクティブセット制御部92は、非サービング基地局2−2から干渉量を受信すると、その干渉量と所定の閾値を比較する(ステップST290)。なお、ここでの閾値は、上記実施の形態3における規制基準Dと同じである。
基地局制御装置3のE−DCHアクティブセット制御部92は、非サービング基地局2−2の干渉量が所定の閾値より多い場合、干渉量に余裕がなく、非サービング基地局として電力制御を行う必要があるため、現在のE−DCHアクティブセットを維持して終了する。
基地局制御装置3の伝送制御部82は、非サービング基地局2−2の干渉量が所定の閾値より少ない場合、干渉量に余裕があり、非サービング基地局として電力制御を行う必要がないため、E−DCHアクティブセットの削除指示を非サービング基地局2−2に送信する(ステップST291)。
非サービング基地局2−2のプロトコル処理部57は、基地局制御装置3からE−DCHアクティブセットの削除指示を受信すると、上記実施の形態3と同様に、E−DCHアクティブセットの削除処理を実施する(ステップST292)。
非サービング基地局2−2のプロトコル処理部57は、E−DCHアクティブセットの削除処理を実施すると、削除処理の完了を基地局制御装置3に通知する(ステップST293)。
基地局制御装置3の伝送制御部82は、非サービング基地局2−2から削除処理の完了通知を受けると、非サービング基地局2−2を介して、E−DCHアクティブセットの削除指示を移動端末1に送信する(ステップST294)。
移動端末1のプロトコル処理部41は、P−CCPCH受信部32が基地局制御装置3からE−DCHアクティブセットの削除指示を受信すると、上記実施の形態3と同様に、E−DCHアクティブセットの削除処理を実施する(ステップST295)。
移動端末1のプロトコル処理部41は、E−DCHアクティブセットの削除処理を実施すると、削除処理の完了を基地局制御装置3に通知する(ステップST296)。
次に、図30を参照して、基地局制御装置3がマクロダイバシティの効果を高めているか否かを判定する処理内容(図29のステップST288の処理内容)を説明する。
基地局制御装置3の応答信号カウント部91は、サービング基地局2−1から送信されたデータのCRC結果が“NG”(または、データを受信しなかった場合)のとき、非サービング基地局2−2から送信されたデータのCRC結果が“OK”となった回数をカウントする(ステップST301)。
基地局制御装置3のE−DCHアクティブセット制御部92は、応答信号カウント部91によりカウントされた一定時間の回数と所定の閾値を比較する(ステップST302)。
E−DCHアクティブセット制御部92は、一定時間のカウント数が所定の閾値以上である場合、即ち、サービング基地局2−1のCRC結果と非サービング基地局2−2のCRC結果との相違が数多く発生している場合、マクロ選択合成が有効に機能しているため、マクロダイバシティの効果を高めていると認定する(ステップST303)。
一方、一定時間のカウント数が所定の閾値に満たない場合、マクロ選択合成が有効に機能していないため、マクロダイバシティの効果を高めていないと認定する(ステップST304)。
なお、ステップST302における判定処理では、一定時間のカウント数の代わりに、DPCHのSIRを使用することも可能である。
基地局制御装置3のシグナリング負荷保管部90は、E−DCHアクティブセット制御部92がマクロダイバシティの効果を高めていないと認定すると、非サービング基地局2−2のシグナリング負荷を測定する(ステップST305)。
基地局制御装置3のE−DCHアクティブセット制御部92は、シグナリング負荷保管部90が非サービング基地局2−2のシグナリング負荷を測定すると、そのシグナリング負荷と所定の閾値を比較する(ステップST306)。
E−DCHアクティブセット制御部92は、シグナリング負荷が所定の閾値より小さい場合、他の移動端末1が非サービング基地局2−2を非サービング基地局として使用することも可能であり、現在のE−DCHアクティブセットを維持していても問題がないため、E−DCHアクティブセットの削除を実施しない。
E−DCHアクティブセット制御部92は、シグナリング負荷が所定の閾値より大きい場合、非サービング基地局2−2をE−DCHアクティブセットから削除することを決定する(ステップST307)。
これにより、他の移動端末1が非サービング基地局2−2を非サービング基地局として使用することが可能になる。
以上で明らかなように、この実施の形態7によれば、サービング基地局2−1と非サービング基地局2−2間の相関が高い場合、非サービング基地局2−2をE−DCHアクティブセットから削除するように構成したので、マクロダイバシティの効果を高めている非サービング基地局2−2のみを使用することができる効果を奏する。
実施の形態8.
上記実施の形態1〜7では、複数の基地局2におけるデータの受信状況に応じて、基地局制御装置3が複数の基地局2を非サービング基地局又はソフトハンドオーバー用アクティブセット(従来のアクティブセット)の基地局に振り分けるものについて示したが、この実施の形態8では、次のようにする。
即ち、この実施の形態8では、アクティブセットに含まれている基地局が大容量の高速パケットデータを上り方向に伝送することが可能な高速パケットデータチャネルを設定することができる第一の基地局であるのか、高速パケットデータチャネルを設定することができない第二の基地局であるのかを判断し、その基地局が第二の基地局であると判断する場合、その基地局をアクティブセットから削除しても、第一の基地局と移動端末間の通信品質を良好に保つことが可能であるか否かを評価し、良好な通信品質を保つことが可能であれば、アクティブセットから当該基地局を削除する。
具体的には、以下の通りである。
図45は、W−CDMA方式を用いる移動体通信システムの構成を説明する説明図である。図45において、移動端末1500(UE: User Equipment)は携帯電話機や携帯情報端末などユーザが利用する装置である。移動端末1500は無線を用いて基地局1501(Node B)と通信を行う。基地局1501は、所定の広さの領域(セル)内に位置する移動端末1500とユーザデータおよび制御信号の送受信を行うとともに、移動端末1500の送信電力や送信タイミングを制御する。
移動端末1500から基地局1501に対してデータを送信する「上り方向」の無線リンクを「上りリンク」、基地局1501から移動端末1500に対してデータを送信する「下り方向」の無線リンクを「下りリンク」という。
基地局制御装置1502(RNC: Radio Network Controller)は基地局1501とコアネットワーク間でデータの中継を行うとともに、無線回線の回線接続制御、ハンドオーバー制御などを行う。なお、基地局1501と基地局制御装置1502は無線アクセスネットワーク(RAN:Radio Access Network)を構成しており、3GPP(3rd Generation Partnership Project)規格に定められた通信システムでは、RANはUTRAN(Universal Terrestrial RAN)と呼ばれる。
図46は移動端末1500と基地局1501間で無線通信を行うためのチャネルを説明する説明図である。DCH1600(Dedicated CHannel)はデータを送信するチャネルであり、上り方向および下り方向の双方向に設定される。DCH1600は3GPP規格のR99(Release 1999)に定められているチャネルである。
HS−DSCH1601(High Speed Downlink Shared CHannel)は、下り方向に大容量データを送信するHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)通信が開始されたときに設定されるチャネルである。HS−DSCH1601は3GPP規格のRel5(Release 5)に定められている。E−DCH1602(Enhanced Dedicated CHannel)は、大容量データ送信用に上り方向に設定されるチャネルである。E−DCH1602は3GPP規格のRel6(Release 6)に定められている。
現在の移動体通信システムは、3GPP規格のR99に定められた仕様で運用されており、将来、Rel5およびRel6に定められた仕様が順次導入される見込みである。
W−CDMAでは、移動端末が同時に複数のセルと無線リンクを接続して通信を行うソフトハンドオーバーを行うことにより、複数の基地局からの信号の合成、セル周辺での受信品質の向上、無瞬断通信が実現できる。
ある移動端末と同時に通信を行っている複数の基地局は、移動端末の「アクティブセット」のメンバーと呼ばれる。つまり、アクティブセットとは、ある移動端末が同時に通信している複数の基地局に関する情報である。ソフトハンドオーバーを行うことにより、移動端末は複数の基地局から受信した信号を合成し、通信品質を向上させることができる。
また、基地局制御装置は、複数の基地局を経由して伝達された信号を合成することにより通信品質を向上させることができる。基地局制御装置は、複数の基地局を経由して伝達された受信データを合成するので、ある移動端末からの送信信号が適切に伝達されるかを判断することができる。
したがって、移動端末にデータを再送させるかを判定する再送制御は基地局制御装置で行われる。再送の必要がある場合、基地局制御装置は、同一のSN(Sequence Number)が付された再送指示信号を複数の基地局を介して移動端末に通知する。ソフトハンドオーバーおよびハードハンドオーバーを、適応的に変化する閾値を使用して実行する方法及び移動体通信システムは以下の特許文献5に開示されている。
特表2003―525533号公報
動画像など大容量のデータを移動端末から送信するためには、上りリンクに高速パケット通信を行う大容量チャネルを設定する必要がある。しかし、移動端末から送信するデータが大容量になると送信電力が大きくなり、必然的に基地局における干渉量も大きくなる。そのため、Rel6には、基地局に設けられたスケジューラが、移動端末に無線リソースを割り当てるスケジューリング処理を行う点が記載されている。
基地局が、セルの干渉量を考慮してスケジューリング処理を行い、セル内の各移動端末の送信を制御することにより、干渉量の増大が抑制され、スループットが改善される。しかし、E−DCHを移動端末に割り当てることが可能な基地局はRel6に対応していることが必要であり、Rel5、R99仕様の基地局は、E−DCHを用いて移動端末からデータを受信することができない。
Rel5およびRel6に定められたシステムが普及する過渡期には、R99、Rel5、Rel6のように、それぞれ対応する規格の仕様が異なる基地局が混在する可能性がある。バージョンが異なる基地局が管轄するセル間で移動端末が移動すると、使用しているチャネルが制限されることが考えられる。バージョンが異なる基地局間のハンドオーバーについては、以下の非特許文献2に開示されている。
非特許文献2によると、Rel6対応の基地局に対してEUL(Enhanced Up Link)を用いて送信している移動端末が、EULを使用できないRel5対応の基地局のセルに移動すると、E−DCHの送信を停止してDCHに切り換える点が開示されている。
ところで、基地局のバージョンによって、移動端末が使用可能なチャネルが制限されることにより下記のような問題が生じる。
上記非特許文献2に開示されたシステムでは、移動端末はE−DCHではなくDCHを用いて大容量のデータを送信しなければならないので、セル内の干渉量が増加し、スループットが低下するというシステム側の問題が生じる。
また、移動端末にとっては、高速伝送が可能なE−DCHの使用を中止し、DCHを使用せざるを得ないので、同じ量のデータを送るのに時間がかかるという問題が生じる。上記のように、大容量のデータを送信するときには、DCHではなくE−DCHを使用する方がシステムおよび移動端末にとっては好ましいので、E−DCHを利用可能な基地局と利用不可の基地局を認識し、E−DCHを利用できないRel5およびR99対応の基地局をアクティブセットから外しておくことが好ましい。
また、DCHの場合、基地局制御装置が各基地局に同じシーケンシャルナンバー(SN:Sequential Number)で再送制御するので、移動端末側で各基地局からの信号を合成することが可能である。しかし、E−DCHの場合、データ再送制御は基地局において実施される。
移動端末がE−DCHを用いて複数の基地局と通信する場合、再送制御は各基地局から異なるシーケンシャルナンバーで行われるので、基地局間の同期を取ることができず、移動端末で信号の合成ができない。したがって、移動端末はE−DCHを用いて複数の基地局と通信するソフトハンドオーバーを行うことができない。
また、Rel6で定められたフォーマット(例えばスロットフォーマット)が、Rel5ないしR99で定められたものから変更された結果、Rel5ないしR99対応基地局は、Rel6対応の移動端末から送信されたスロットフォーマットを認識できない問題も発生し得る。例えば、R99では、上りDPCCH(Dedicated Physical Control CHannel)のスロットフォーマットは、パイロット(Pilot)ビットが6ビット、TPC(Transmission Power Command)ビットが2ビット、TFCI(Transport Format Combination Indicator)ビットが2ビットの合計10ビットで1スロットが構成される。
一方、Rel6では、上りDPCCHのスロットフォーマットは、パイロットビットが4ビット、Rel6で新設された新規制御ビットが3ビット、TPCビットが1ビット、TFCIビットが2ビットの合計10ビットで1スロットが構成される。この場合、R99対応の基地局は、Rel6対応の移動端末から送信されたスロットフォーマットを、4ビットのパイロットビットと新規制御ビットのうち最初の2ビットをR99のパイロットビットと誤認識し、新規制御ビットの最後の1ビットとTPC2ビットを併せてR99のTPCビットと誤認識する可能性がある。
このように、例えばR99等の古い仕様に対応した基地局が、Rel6のような新しい仕様のスロットフォーマットを認識できず誤動作が生じる可能性がある。対応する規格の仕様が異なる基地局が混在する場合であっても、新しい仕様の通信システムと古い仕様のシステムは、互いに「旧版互換性」(Backward Compatibility)が保証されている必要がある。
この実施の形態8では、上記のような課題を解決するためになされたものであり、Rel6あるいはRel5のようにバージョンが異なる基地局が混在する移動体通信システムにおいて、E−DCHを使用できない基地局とのソフトハンドオーバーを制限する移動通信端末ないし基地局制御装置を提供することを目的としている。
図31はこの発明の実施の形態8に係る通信システムを構成する基地局制御装置の構成を示すブロック図である。制御部100は、各基地局のハードウェア及び各機能を制御している。伝送制御部101は、再送制御等を担当しリンクの信頼性を保証する部分である。無線資源管理部102は、CDMAに係る電力、コード、周波数帯域など無線資源を管理している。アクティブセット品質情報管理部103は、各アクティブセットの無線リンクの品質情報を格納している。
基地局バージョン情報管理部104は、傘下の基地局のバージョン情報を格納している。アクティブセット情報管理部105は、現在のアクティブセットの状態を格納している。イベント受信部106は、ある基地局をアクティブセットに追加ないし削除を要求する通知(イベント event)を受信する。アクティブセット制御部107は、基地局のアクティブセットへの追加ないし削除を制御する。
基地局バージョン情報判定部108は、基地局バージョン情報管理部104に格納されている基地局バージョン情報に基づいて、基地局のバージョンを判断する。基地局バージョン情報管理部104と基地局バージョン情報判定部108が新設されたものであり、その他の部分は従来から存在する部分である。
図32は、Rel6に対応した基地局の構成を示すブロック図である。図32において、制御部200はチャネルの設定を行う。プロトコル処理部201はチャネルの設定、開放等のプロトコル処理を行う。DPCH送信部202は個別物理チャネル(DPCH: Dedicated Physical CHannel)を送信するための処理を行う。共通パイロットチャネル(CPICH: Common Pilot CHannel)送信部203は共通パイロット信号を送信する。変調部204はDPCH送信部202、CPICH送信部203から出力された信号を変調する。電力増幅部205は、変調部204からの出力信号を所定の送信電力まで増幅する。電力増幅部205で送信電力まで増幅された信号はアンテナ206から送信される。
一方、低雑音増幅部207は、アンテナ206が受信した受信信号を増幅する。復調部208は、低雑音増幅部207で増幅された受信信号を復調して、DPCH、E−DCH、E−DPCCH(Enhanced - Dedicated Physical Control CHannel)などの各チャネルを分離して出力する。DPCH受信部209は、復調部208から出力されたDPCH信号を処理し、DPCHで伝達されたデータを得る。E―DCH受信部210は、復調部208から出力されたE−DCH信号を処理し、E−DCHで伝達された大容量の高速パケットデータを得る。E―DPCCH受信部211は、復調部208から出力されたE−DPCCH信号を処理する。上り品質測定部212は、上りリンクのDPCCHの通信品質を測定する。スケジューリング情報処理部213は、スケジューリング情報を処理する。スケジューリング情報保管部214は、スケジューリング情報を管理する。
スケジューリング情報とは、基地局が端末に対して無線リソースを割り当てるスケジューリング処理を行うのに必要な情報であり、移動端末の送信電力余裕や移動端末が送信するデータ量などが含まれる。
図33はこの発明の実施の形態8に係る通信システムにおけるソフトハンドオーバー制御処理を説明するフローチャートである。図34は、バージョンの異なる基地局間でソフトハンドオーバー中にE−DCHを設定する処理を示す概念図である。図34(a)は、移動端末400がRel6対応の基地局401とDCH403を介して通信を行っており、また、R99対応の基地局402とDCH404を介して通信を行うソフトハンドオーバー状態であることを示している。また、図34(b)は、移動端末400がE−DCH405を用いて基地局401に対して大容量のデータ通信を開始したのに伴い、基地局402とのDCH404を切断した状態を示す図である。なお、図34に示す移動端末400はRel6に対応しているものとする。
以下、図33に示される動作について説明する。
基地局制御装置は、コアネットワーク(Core Network)から、ソフトハンドオーバー状態にある所定の移動端末にE−DCHを割り当てるように指示を受けると(ステップST400)、その移動端末(例えば図34の移動端末400)のアクティブセットを読み出す。そして、このアクティブセットに記録されている基地局(例えば図34の基地局401、402)のうち、E−DCHに対応していない基地局(Rel6以外の仕様に対応した基地局402)をアクティブセットから外すか否か判断するアクティブセット決定処理を行う(ステップST401)。
このアクティブセット決定処理には、E−DCHに対応していない基地局とのDCHを切断した場合の通信品質の評価を行う処理が含まれている。
ステップST401のアクティブセット決定処理の結果、アクティブセットから外される基地局は、アクティブセットから削除されるとともに、例えば、アクティブセット削除リストに記録される。アクティブセット削除リストに記録された基地局は、E−DCHを使用できず、かつ、DCHを切断しても移動端末に通信品質の劣化を発生させないものである。
このアクティブセット削除リストを参照し、基地局制御装置は、アクティブセット削除リストに登録された基地局(例えばR99対応の基地局402)に対して移動端末400とのDCHを開放するよう、NBAP(Node B Application Part)プロトコルを用いて指示する。同時に移動端末400に対しても当該基地局402とのDCHを開放するよう、RRC(Radio Resource Control)プロトコルを用いて指示する(ステップST402)。
基地局制御装置からの指示を受けて、移動端末400及び基地局402はそれぞれDCHを開放する(ステップST403、404)。
一方、基地局制御装置は、アクティブセットに記録されている基地局(例えばE−DCHを使用可能なRel6対応基地局401)に対して、移動端末400とのE−DCHを設定するように、NBAPプロトコルを用いて指示する。同時に、移動端末400に対して基地局401との間でE−DCHを設定するように、RRCプロトコルを用いて指示する(ステップST405)。
基地局制御装置からの指示を受けて、移動端末400及び基地局402間にE−DCHを設定する処理が実行される(ステップST406、407)。
図35は、基地局制御装置が実行するアクティブセット決定処理を説明するフローチャートである。図35は、図33に示すステップST401のアクティブセット決定処理の詳細をフローチャートで表したものである。
基地局制御装置はコアネットワークから、ある移動端末に対してE−DCHを割り当てる指示を受けると(図33、ステップST401)、アクティブセット情報管理部105は、E―DCHを設定する移動端末のアクティブセットを参照する(ステップST500)。このアクティブセットには、移動端末がDPCHを介して通信を行っている複数の基地局が記録されている。
アクティブセット制御部107は、アクティブセットに記録されている複数の基地局のうちひとつを選択し(ステップST501)、選択した基地局がE−DCHを使用可能か判定する処理を行う(ステップST502)。選択した基地局がE−DCHを使用可能か否かは、基地局バージョン情報に基づいて、基地局バージョン情報管理部104と基地局バージョン情報判定部108が判断する。例えば、選択した基地局がRel6に対応している場合には、E−DCHを使用可能である。
この場合には、ステップST503が実行され、チェックしていない基地局が残っていないかを判断する。一方、選択した基地局がRel5ないしR99に対応している場合には、E−DCHを使用することができない。この場合には、ステップST504の処理が実行される。
現在ソフトハンドオーバー中の移動端末がE−DCHによるデータ送信を行うには、E−DCHに対応していない基地局とのDCHによる送信を停止し、E−DCHに対応している基地局に対してE−DCHを設定する必要が生じる。しかし、E−DCHに対応していない基地局との無線リンクを切断すると、上り無線リンクの品質が劣化して通信ができなくなる可能性がある。
そこで、本発明に係る基地局制御装置は、E−DCHに対応していない基地局をアクティブセットから削除する前に、E−DCH未対応基地局をアクティブセットから削除した場合に、E−DCH対応基地局との無線リンクの品質が維持できるか判定するステップST504の処理を実行する。
E−DCH未対応基地局をアクティブセットから削除すると、DCHの通信品質が維持できない場合には(ステップST504でNo)、E−DCH未対応基地局をアクティブセットから削除せず、E−DCH未対応基地局とのDCHを維持する(ステップST505)。
一方、E−DCH未対応基地局をアクティブセットから外しても、DCHの通信品質が維持できる場合には(ステップST504でYes)、E−DCH未対応基地局をアクティブセットから削除する(ステップST506)。
ステップST505ないしステップST506が実行された後、引き続き、アクティブセットに記憶された全ての基地局をチェックしたか否かを判定し(ステップST503)、未チェックの基地局が残っていれば(ステップST503でNo)、ステップST501以降の処理が繰り返される。未チェックの基地局が残っていなければ(ステップST503でYes)、移動端末はE−DCHが利用不可であるか判断する(ステップST507)。
移動端末がE―DCHを利用できない場合とは、アクティブセットに記録された全ての基地局がE−DCHに対応していないか、あるいはE−DCH未対応の基地局をアクティブセットから外すとDCHの通信品質が維持できない等の理由がある。E−DCHベアラの設定はコアネットワークから指示されるので、E−DCHの利用が不可である場合(ステップST507でYes)、コアネットワークにE−DCHの設定ができないことを通知する。E−DCHの利用が可能な場合(ステップST507でNo)には、図33のステップST402以降の処理が実行される。
図35のステップST500において基地局制御装置が得るアクティブセットは、移動端末の通信環境の変化に応じて常に基地局の追加ないし削除などの更新が行われる。図36はアクティブセット更新処理の詳細を説明するフローチャートである。図36において、イベント受信部106は、移動端末から送信されたイベントを受信する(ステップST600)。アクティブセット制御部107は、移動端末から送信されたイベントが、ある基地局をアクティブセットに追加するよう要求するもの(イベント1A)であったか判断する(ステップST601)。イベント1Aである場合(ステップST601でYes)、アクティブセット制御部107は、イベント1Aで指定された基地局をアクティブセットに追加する(ステップST602)。
移動端末から送信されたイベントが、イベント1Aではなかった場合(ステップST601でNo)、アクティブセット制御部107は、そのイベントが、ある基地局をアクティブセットから削除するよう要求するもの(イベント1B)であったか判断する(ステップST603)。
イベント1Bである場合(ステップST603でYes)、アクティブセット制御部107は、イベント1Bで指定された基地局をアクティブセットから削除する(ステップST604)。
移動端末から送信されたイベントが、イベント1Aおよびイベント1Bではない場合(ステップST603でNo)、アクティブセット制御部107は、そのイベントが、アクティブセット内の任意の基地局を所定の基地局と入れ替えるように要求するもの(イベント1C)であるか否かを判断する(ステップST605)。
イベント1Cである場合(ステップST605でYes)、ステップST606において、アクティブセット制御部107は、イベント1Cで指定された基地局の通信品質を確認する処理を行う。
基地局制御装置は、イベント1Cで指定された基地局の通信品質が、アクティブセットに登録された基地局のうち、通信品質がよくない所定基地局よりも通信品質が良好か判断する。イベント1Cで指定された基地局がアクティブセットに記録された基地局よりも通信品質が良好な場合(ステップST606でYes)、イベント1Cで指定された基地局をアクティブセットに追加し、イベント1Cで指定された基地局よりも通信品質が悪い任意の基地局をアクティブセットから削除する入れ替え処理を行う(ステップST607)。
そして、基地局制御装置は、上記ステップの処理結果を踏まえてアクティブセットの更新を行う(ステップST608)。なお、移動端末から送信されたイベントがイベント1A〜イベント1Cのいずれでもない場合(ステップST605でNo)、基地局制御装置は、アクティブセット更新処理を行わずに処理を終了する。また、イベント1Cで指定された基地局の通信品質が、アクティブセットに登録されたいずれの基地局の通信品質よりも悪い場合(ステップST606でNo)、イベント1Cで指定された基地局と、通信品質が良好なアクティブセット内の基地局を入れ替える必要がないため、基地局制御装置はアクティブセットの更新処理をせずに処理を終了する。
図35のステップST504では、E−DCHに対応していない基地局をアクティブセットから外した状態でDCHの通信品質が維持できないか否か判断する通信品質評価処理を実行していた。
図37は、この図35のステップST504で実行される通信品質評価処理の第一の方法を示すフローチャートである。
この通信品質評価処理の第一の方法は移動端末が実施して、その結果を基地局制御装置に通知するものである。
図37において、移動端末は、基地局より割り当てられた最大送信電力値から現在の送信に用いている送信電力値を引くことで、残りの使用可能な送信電力値(送信電力余裕)を計算する(ステップST700)。そして、ステップST700で求められた使用可能電力値を用いることで、無線リンクの品質を維持できる条件を満たしているかを判断する(ステップST701)。ステップST701の詳細については後述する。
条件を満たしている場合には(ステップST701でYes)、E−DCHに対応していない基地局とのDCHを開放しても通信品質は維持できると判断して処理を終了する。条件を満たしていない場合には(ステップST701でNo)、E−DCHに対応していない基地局とのDCHを開放した場合、通信品質が維持できないと判断する。そして、当該基地局をアクティブセットから削除できない旨、基地局制御装置に通知する。評価結果を通知する信号は、物理レイヤで送信することができる。また、DPCCHやE−DPCCHなどの制御チャネルに多重して送信することもできる。
ステップST700およびステップST701で実行される処理として、上りデータ用チャネル(DCH)のデータ送信形式(TFC: Transport Format Combination)に対して定義されている「状態」(state)を参照することが考えられる。例えば、DPDCHのような物理チャネルで送信されるユーザデータは、例えばMAC(Media Access Control)層のような上位レイヤから物理層にトランスポートチャネルを介して伝達されたものであり、DPDCHのような物理チャネルは、トランスポートチャネルがいくつも多重されている。
DPDCHを用いてデータを送信する際には、上位プロトコル層から伝達された、データの多重方法や単位時間当りのデータサイズ(通信速度)をDPCCHにのせて送信して受信側に通知するが、TFCとは、「データの多重方法」や「データサイズ」を含む通知情報である。受信側には、TFCのインデックスであるTFCI(TFC Index)を送信する。各TFCに対しては、状態遷移(Support, Excess Power, Block)が規定されており、「状態」は、移動端末の送信電力余裕に応じて選択されるものである。
状態のうち、「電力超過(Excess-Power)」は、電力不足を一定時間検知した状態であり、「使用不可(Block)」は、電力不足により送信を制限した状態である。「使用可能(Support)」は特に電力不足が発生していない状態を示す。
これらの3つの状態は、送信されたデータが最大送信電力(Pmax)に達したことで遷移される。最大送信電力に到達した状態が続くと、例えば「使用可能(Support)」から「電力超過(Excess-Power)」、あるいは「電力超過(Excess-Power)」から「使用不可(Block)」に遷移させることで、最大送信速度が下げられる。
ステップST700およびステップST701で実行される処理は、「使用可能(Support)」を検出したときには、移動端末の残りの送信電力に余裕があると評価し(ステップST701でYes)、「超過(Excess-Power)」あるいは「使用不可(Block)」を検知したときには、移動端末の残りの送信電力が不足していると評価する(ステップST701でNo)。
このように、Rel5あるいはR99対応の基地局とのDCHを開放しても、Rel6対応基地局とのDCHを維持できるかを判断するため、移動端末は、送信電力余裕とTFCの状態を参照して、Rel6対応基地局とのDCHの通信品質が確保できるかを評価し、基地局制御装置に通知する。基地局制御装置は、移動端末から送信された評価結果に応じてアクティブセットの更新を行う。
図38は、図35のステップST504で実行される通信品質評価処理の第二の方法を示すフローチャートである。
この通信品質評価処理の第二の方法は基地局が上りリンクの通信品質を評価して基地局制御装置に通知し、基地局制御装置が、Rel6に対応していない基地局をアクティブセットから外した状態でDCHの通信品質が維持できるかを判断するものである。
図38に示すステップのうち、ステップST800〜ステップST803が基地局により実行される処理であり、ステップST804〜ステップST806が基地局制御装置により実行される処理である。
基地局は、移動端末から送信された上り制御チャネル(DPCCH)を受信する(ステップST800)。そして、基地局は、それぞれ受信した上り制御チャネルの通信品質が条件を満足しているか、即ち、通信品質が所定レベルを上回っているかを判断する(ステップST801)。例えば、通信品質を判断する基準として、基地局はSIR(Signal to Interference ratio)を閾値として用いる。この閾値を目標SIRと仮に称する。
ステップST801において、基地局は、受信した上り制御チャネルから受信SIRを求め、この受信SIRと目標SIRを比較することにより、上り制御チャネルの品質が所定レベルを満たしているかを判断する。
上り制御チャネルの通信品質が所定レベルを満たしていると判断した場合(ステップST801でYes)、基地局制御装置が実行するステップST804の処理が実行される。一方、上り制御チャネルの通信品質が所定レベルを満たしていないと判断した場合(ステップST801でNo)、ステップST802において、当該上り制御チャネルの通信品質を改善する余地があるか判断する。
上り制御チャネルの通信品質が改善されるか判断する方法として、移動端末に送信電力上昇を指示する送信電力制御ビット(TPC: Transmitter Power Control)を連続して送信したかを評価しても良い。
基地局は、移動端末の送信電力を制御するために、TPCコマンドを移動端末に送信する。具体的には、受信SIRが目標SIRに達していない場合には「UP」を指示するTPCコマンド(以下、UPコマンド)を送信する。逆に、受信SIRが目標SIR以上であるときには「DOWN」を指示するTPCコマンド(以下、DOWNコマンド)を送信する。移動端末は、基地局から送信されたTPCを受信して復号することによって、そのコマンドに応じて送信電力を1dB変化させる。
移動端末は、基地局からUPコマンドを受信すると、送信電力が最大送信電力(Pmax)を超えていない限り、送信電力を上昇させる。しかし、移動端末が最大送信電力で送信しながら、基地局で受信した受信信号の通信品質が良好でない状況では、移動端末が送信電力を上げることによる通信品質の改善は期待できない。
ステップST802において、基地局が移動端末にUPコマンドを連続して送信していない場合、あるいはDOWNコマンドを送信している場合、基地局は当該移動端末からの通信品質は改善可能と判断する(ステップST802でYes)。
一方、基地局が移動端末にUPコマンドを送信しているにも関わらず、当該移動端末からの通信品質が良好ではない場合、基地局は当該移動端末からの通信品質は改善不可能と推定する(ステップST802でNo)。この場合、基地局は基地局制御装置にイベント(あるいは通知信号)を送信して、移動端末からの上りリンクの通信品質を改善できないことを通知する(ステップST803)。
基地局制御装置は、所定移動端末と通信している複数の基地局のうち、全ての基地局から、通信品質改善不能を示すイベントが送信されているかを判断する(ステップST804)。
所定の移動端末のアクティブセットに含まれる全ての基地局がイベントを送信している場合(ステップST804でYes)、いずれかの基地局との無線リンクを切断することにより、当該移動端末は通信できなくなる可能性がある。したがって、E−DCHを追加するため、E−DCHに対応していない基地局とのDCHを切断すると、通信品質が確保できないと判断し(ステップST805)、図35に示すステップ505の処理を実行する。
一方、当該移動端末のアクティブセットに含まれている複数の基地局全てからイベントが通知されていない場合には(ステップST804でNo)、イベントを通知していない基地局がリリース6対応であるか判断する(ステップ806)。イベントを通知していない基地局がリリース6対応である場合(ステップST806でYes)、E−DCHに対応していない基地局とのDCHを開放しても、通信品質が確保できると判断し(ステップST807)、図35に示すステップST506の処理を実行する。
一方、イベントを通知した基地局がリリース6である場合(ステップST806でNo)、当該リリース6対応基地局との通信品質が良好でないので、そもそもE−DCHの設定自体が困難であり、E−DCH利用不可であることがコアネットワークに通知される(ステップ507)。
上記説明のように、本発明に係る通信システムは、移動端末がE−DCH送信を行う際には、E−DCHに対応していないRel5およびR99の基地局をアクティブセットから外し、E−DCHの送信を優先的に実行させる。このように、E−DCH送信を行う際に、E−DCHに対応していないRel5およびR99の基地局をアクティブセットから外すことにより、バージョンが異なる基地局が混在する通信システムにおいて、使用可能なチャネルが制限されることがないという効果を奏する。
また、上記説明のように、本発明に係る通信システムは、大容量のデータ送信時には、スケジューリングにより移動端末に割り当てられるE−DCHが使用されるので、セルにおける干渉量を減少させ、システム全体のスループットが改善されるという効果がある。また、移動端末は、大容量のデータをDCHではなく、E−DCHを使用して送信できるので、短時間にデータ送信を完了できるという効果がある。
また、上記説明のように、本発明に係る通信システムでは、基地局制御装置が、Rel5やR99対応の基地局をアクティブセットから外すか判断するアクティブセット決定処理を行っている。そして、Rel5対応の基地局とのDCHを開放した場合に、Rel6対応基地局との通信(例えばDCH)が維持できるか(あるいは品質が確保されるか)を考慮してアクティブセット決定処理を行うので、通信品質が良好でないE−DCH対応基地局と移動端末間にE−DCHが設定されることを防止できる。したがって、E−DCH送信時に通信が途絶するという問題を防止できる効果がある。
なお、上記説明においては、E−DCHに対応していない基地局とのDCHを外した状態で、E−DCHに対応する基地局とのDCHの通信品質を維持できるか判断する処理を、移動端末の送信電力余裕に基づいて行っていた。しかし、「パスロス」を用いて上記判断を行ってもよい。具体的には、ソフトハンドオーバー中はもっともパスロスの少ない無線リンクに品質をあわせる点に着目し、アクティブセットから外す無線リンクのパスロス(L1)と、他の無線リンクのパスロスの中でもっとも小さいパスロス(L2)との差分がマイナスとなる場合には(L1−L2<0)、その差分以上の残りの送信可能電力を閾値とする。その差分がマイナスとならない場合には(L1−L2≧0)、追加の電力を要らないものとして、閾値を設定せず、アクティブセットから対象の基地局をはずしても問題ないと判断する。パスロスではなく、CPICHの受信レベルを利用してもよい。
実施の形態9.
上記実施の形態8では、基地局制御装置が、E−DCHに対応していないRel5およびR99の基地局をアクティブセットから外してもよいか判断するアクティブセット決定処理を行っていた。しかし、E−DCHに対応していない基地局をアクティブセットから外しても良いか判断する処理は移動端末が実行してもよい。
図39はこの発明の実施の形態9に係る通信システムを構成する移動端末のブロック図である。図40はこの発明の実施の形態9に係る通信システムにおけるソフトハンドオーバー制御処理を説明するフローチャートである。
図39において、制御部900はチャネルの設定を行う。プロトコル処理部901は、チャネルの設定、開放などプロトコル処理を行う。DPCH(Dedicated Physical CHannel)追加/削除部902は、DPCHの設定、追加及び削除を制御する。DPCHとはトランスポートチャネルであるDCHがマッピングされる物理チャネルである。
DPCH送信部903は、チャネルコーディングなどDPCHを送信するための処理を行う。E―DCH追加/削除部904は、DPCH追加/削除部902と同様に、E―DCHの設定、追加及び削除を制御する。
E―DCH送信部905は、DPCH送信部903と同様に、E―DCHを送信するための処理を行う。変調部906は、DCH、E―DCHなどの信号を変調する。電力増幅部907は所望の電力に増幅する。アンテナ908は信号の送受信を行う。受信側では低雑音増幅部909はアンテナ908が受信した微弱な信号を増幅する。復調部910は、DPCH、CPICH(Common Pilot CHannel)等を復調する。CPICH受信部911は、共通パイロット信号を受信する。
報知情報受信部912は、基地局を識別するのに必要なスクランブリングコードや、スクランブリングコードごとに対応するバージョン情報を受信する。パスロス測定部913は、CPICHの受信レベルより伝播損失(パスロス)を得る。
基地局バージョン情報管理部914は、各基地局のバージョン情報を格納する。アクティブセット情報管理部915は、CPICHの情報をもとにどの基地局がアクティブセットになっているかを格納する。アクティブセット制御部916は、アクティブセットの情報と基地局のバージョン情報に基づいて、アクティブセット決定処理を制御する。
イベント発生部917は、アクティブセットの制御イベントを作成し、プロトコル処理部に伝える。基地局バージョン情報判定部918は、基地局バージョン管理部914に格納されている情報に基づいて基地局のバージョンを判断する。DPCH受信部919は、受信したDPCHの処理を行う。検出部920は、受信した上り送信電力を検出する。基地局バージョン情報管理部914と、基地局バージョン情報判定部918が本発明における端末に新設されたものである。
図40において、基地局制御装置は、アクティブセットに含まれる基地局が対応する仕様を移動端末に通知している(ステップST1000)。基地局を識別するための識別情報としてスクランブリングコードが用いられる。そして、コアネットワークから所定の移動端末にE−DCHを割り当てるように指示を受けると(ステップST1001)、基地局制御装置は、コアネットワークからE−DCHの設定指示が発生したことを移動端末に通知する(ステップST1002)。
コアネットワークからE−DCHの設定が指示された移動端末は、移動端末自身が管理しているアクティブセットを読み出す。そして、アクティブセットに記録されている基地局のうち、E−DCHに対応していない基地局(Rel5あるいはR99対応の基地局)を特定し、アクティブセットから外すか判断するアクティブセット決定処理を行う(ステップST1003)。このアクティブセット決定処理には、E−DCHに対応していない基地局とのDCHを切断した場合の通信品質の評価を行う処理が含まれる。
ステップST1003でアクティブセット決定処理を行った結果、移動端末は基地局制御装置に通知信号を送信する(ステップST1004)。この通知信号は、アクティブセットから削除する基地局、あるいは、E−DCHの利用が不可能と判断した場合には、E−DCHを利用しない旨通知する情報を含んでいる。
基地局制御装置は、移動端末から送信された通知信号により、移動端末がE−DCHを利用しないかを判断する(ステップST1005)。移動端末がE−DCHを利用しない場合には(ステップST1005でYes)、E−DCHベアラの利用を中止し、E−DCHを設定できないことをコアネットワークに通知する(ステップST1012)。
一方、移動端末がE−DCHを利用する場合には(ステップST1005でNo)、基地局制御装置は、アクティブセットから削除するよう、移動端末から指定された基地局にDCHを開放するよう指示する(ステップST1007)。また、移動端末に対しても当該基地局とのDCHを開放するよう、RRC(Radio Resource Control)プロトコルを用いて指示する(ステップST1006)。基地局制御装置からの指示を受けて、移動端末および基地局はそれぞれDCHを開放する(ステップST1007、1008)。
そして、基地局制御装置は、アクティブセットに記録されている基地局に対して、移動端末とのE−DCHを設定するように、NBAPプロトコルを用いて指示する。同時に、移動端末に対して当該基地局との間でE−DCHを設定するように、RRCプロトコルを用いて指示する(ステップST1009)。基地局制御装置からの指示を受けて、移動端末及び基地局間にE−DCHを設定する処理が実行される(ステップST1010、1011)。
図41は、基地局制御装置が移動端末に通知する基地局バージョン情報を説明する説明図である。図41に示す基地局バージョン情報は、移動端末が位置するセルの周辺に存在する複数の基地局を識別するための情報であるスクランブリングコードと、これらの基地局が対応する規格のバージョンが対応付けられている。スクランブリングコードは、必ず各基地局に1つずつ割り当てられているので、基地局を識別するのに好適である。
以下、基地局制御装置が、移動端末に基地局のバージョン情報を通知する方法について説明する。
まず、基地局のバージョン情報を移動端末に通知するために、基地局制御装置が利用するチャネルとして、共通チャネルまたは個別チャネルが考えられる。共通チャネルを用いて通知する場合はBCH(Broadcast CHannel)を用いて通知する。一方、個別チャネルを用いて通知する場合はDCHを用いて通知する。
DCHで通知する場合は、対象となる移動端末が現在アクティブセットになっているセル情報のみ通知する。また、移動端末が基地局を識別するための情報としてスクランブリングコードのほか、CELL_IDを用いても良い。また、基地局制御装置が、移動端末に基地局のバージョン情報を通知する方法として、基地局バージョン情報を「周辺セル情報」に乗せて移動端末に通知してもよい。
図42は、移動端末が実行するアクティブセット決定処理を説明するフローチャートである。図42は、図40に示すステップST1003のアクティブセット決定処理の詳細をフローチャートで表したものである。
移動端末は、基地局制御装置からE−DCHの設定要求通知を受信すると、基地局バージョン情報を参照し(ステップST1200)、E−DCH未対応の基地局をひとつ選択する(ステップST1201)。そして、移動端末は、選択したE−DCH未対応基地局をアクティブセットから削除した場合に、E−DCH対応基地局とのDCHの通信品質が確保できるかを判断する(ステップST1202)。
ステップ1202における処理は、上記実施の形態8において説明した、移動端末の送信電力余裕に基づいて行うものと同様であるので説明は省略する。
E−DCH未対応基地局をアクティブセットから削除すると、E−DCH対応基地局とのDCHの通信品質が維持できない場合(ステップST1202でNo)、E−DCH未対応基地局をアクティブセットから削除せず、E−DCH未対応基地局とのDCHを維持する(ステップST1203)。一方、E−DCH未対応基地局をアクティブセットから外しても、E−DCH対応基地局とのDCHの通信品質が維持できる場合には(ステップST1202でYes)、E−DCH未対応基地局をアクティブセットから削除する(ステップST1204)。
ステップST1203ないしステップST1204が実行された後、アクティブセットに記憶された全ての基地局をチェックしたかを判定し(ステップST1205)、未チェックの基地局が残っていれば(ステップST1205でNo)、ステップST1201以降の処理が繰り返される。未チェックの基地局が残っていなければ(ステップST1205でYes)、移動端末はアクティブセット決定処理を終了し、図40のステップST1004の通知信号送信処理を実行する。
ステップST1004において、E−DCH未対応基地局とをアクティブセットから削除すると、E−DCH対応基地局とのDCHの通信品質が維持できない場合(ステップST1202でNo)、移動端末は、E−DCHを利用しないことを通知信号として基地局制御装置に送信する。一方、E−DCH未対応基地局をアクティブセットから外しても、E−DCH対応基地局とのDCHの通信品質が維持できる場合(ステップST1202でYes)、移動端末は、アクティブセットから削除した基地局を通知信号として基地局制御装置に送信する。
上記説明のように、本発明に係る通信システムは、移動端末がE−DCH送信を行う際には、E−DCHに対応していないRel5およびR99の基地局をアクティブセットから外し、E−DCHの送信を優先的に実行させる。このように、E−DCH送信を行う際に、E−DCHに対応していないRel5およびR99の基地局をアクティブセットから外すことにより、バージョンが異なる基地局が混在する通信システムにおいて、使用可能なチャネルが制限されることがないという効果を奏する。
また、上記説明のように、本発明に係る通信システムは、大容量のデータ送信時には、スケジューリングにより移動端末に割り当てられるE−DCHが使用されるので、セルにおける干渉量を減少させ、システム全体のスループットが改善されるという効果がある。また、移動端末は、大容量のデータをDCHではなく、E−DCHを使用して送信できるので、短時間にデータ送信を完了できるという効果がある。
また、上記説明のように、本発明に係る通信システムでは、Rel5(あるいはR99)対応の基地局とのDCHを開放した場合に、Rel6対応基地局との通信(例えば、DCH)が維持できるか(あるいは品質が確保されるか)を考慮してアクティブセット決定処理を行うので、通信品質が良好でないE−DCH対応基地局と移動端末間にE−DCHが設定されることを防止できる。したがって、E−DCH送信時に通信が途絶するという問題を防止できる効果がある。
また、上記説明のように、本発明に係る通信システムでは、アクティブセット決定処理を移動端末が行うので、基地局制御装置に対するシグナリングの回数を減少させることができる。また、基地局制御装置の機能を移動端末が負担しているので、基地局制御装置の過負荷を減少させ、輻輳などの問題が発生することを防止できる。
実施の形態10.
上記実施の形態8では、移動端末が複数の基地局とDCHを用いて通信を行っている状況において、コアネットワークからE−DCHの設定を指示された場合に、基地局制御装置がアクティブセット決定処理を行っていた。しかし、E−DCHを用いて通信中の移動端末がRel6に対応していない基地局のセルに移動したことを契機として、基地局制御装置がアクティブセット決定処理を行う場合もある。
以下、E−DCHを用いて通信中の移動端末がRel6に対応していない基地局のセルに移動した場合に実行される、基地局制御装置のアクティブセット決定処理について説明する。
図43はこの発明の実施の形態10に係る移動体通信システムにおけるソフトハンドオーバー制御処理を説明するフローチャートである。
ステップST1300において、E−DCHを用いてRel6対応基地局とデータ送信している移動端末が、ほかの基地局が管轄するセルに移動すると、受信レベルが基準に達する。
移動端末は、移動先セルの基地局をアクティブセットに追加するように基地局制御装置に対してイベントを送信する(ステップST1301)。基地局制御装置は、アクティブセットに追加するよう通知された基地局がE−DCHを利用可能か、即ち、Rel6に対応しているかを判断する(ステップST1302)。
移動端末から通知された基地局がE−DCHを利用可能である場合、例えばRel6対応である場合には(ステップST1302でYes)、当該基地局をアクティブセットに追加するようにアクティブセットを変更し、端末と基地局に対してそれぞれDCHを設定するように指示する(ステップST1303)。
基地局制御装置から、DCHを設定するよう指示された基地局および移動端末は、それぞれDCHを設定する(ステップST1304、1305)。
一方、移動端末から通知された基地局がE−DCHを利用できない場合、例えば、Rel5ないしR99対応である場合には(ステップST1302でNo)、基地局制御装置は、移動端末から通知された基地局をアクティブセットに追加できないと判断する。そして、当該基地局と移動端末に対して、アクティブセットに追加できない理由を送信する(ステップST1306)。このように、アクティブセットに追加できない理由を当該基地局と移動端末に通知するのは、端末がハンドオーバーの要否を判断する基準を下げすぎないようにするためである。
上記説明のように、この実施の形態10に係る通信システムでは、例えば、E−DCHを送信している移動端末が、E−DCHを利用できない基地局が管轄するセルに入った場合に、移動先セルの基地局をアクティブセットに追加しないようにする。この処理を行うことにより、旧版互換性がない基地局へのハンドオーバーを回避し、E−DCHの優先利用およびスロットフォーマットの誤解釈防止の効果を奏することができる。
実施の形態11.
上記実施の形態9では、移動端末が複数の基地局とDCHを用いて通信を行っている状況において、コアネットワークからE−DCHの設定を指示された場合に、基地局制御装置がアクティブセット決定処理を行っていた。しかし、E−DCHを用いて通信中の移動端末がRel6に対応していない基地局のセルに移動したことを契機として、移動端末自身がアクティブセット決定処理を行う場合もある。
以下、E−DCHを用いて通信中の移動端末がRel6に対応していない基地局のセルに移動した場合に実行するアクティブセット決定処理を説明する。
図44はこの発明の実施の形態11に係る移動体通信システムにおけるソフトハンドオーバー制御処理を説明するフローチャートである。図44において、移動端末は、E−DCHを用いてRel6対応基地局にデータを送信しており(ステップST1400)、基地局制御装置は、移動端末に図41に示す基地局バージョン情報を移動端末に通知する(ステップ1401)。
E−DCHを送信している移動端末が、ほかの基地局が管轄するセルに移動すると、移動先セルの基地局がE−DCHを使用できるか、基地局バージョン情報を参照して判断する(ステップST1402)。
移動先セルの基地局がRel5あるいはR99に対応している場合(ステップST1402でYes)、移動端末は、移動先セルの基地局をアクティブセットに追加するよう要求する通知を基地局制御装置に送信せずに処理を終了する。
一方、移動先セルの基地局がRel6に対応している場合(ステップ1402でNo)、移動端末は、移動先セルの基地局をアクティブセットに追加するよう要求する通知を基地局制御装置に送信する(ステップST1403)。
移動端末から通知を受信した基地局制御装置は、指定された基地局をアクティブセットに追加するとともに、当該基地局および移動端末にDCHを設定するように指示する(ステップST1404)。移動端末および基地局は、基地局制御装置からの指示を受けて、それぞれDCHを設定する(ステップST1405、1406)。
基地局バージョン情報は、基地局を識別するスクランブリングコードと、基地局が対応する規格のバージョンが対応付けられており、基地局制御装置からBCHないしDCHを介して移動端末に通知される。
移動端末は、移動先のセルおよび周辺セルの基地局のスクランブリングコードを用いて基地局バージョン情報を参照し、移動先のセルおよび周辺セルがE−DCHに対応しているかを判断する。
上記説明のように、この発明の実施の形態11に係る通信システムでは、例えば、E−DCHを送信している移動端末が、E−DCHを利用できない基地局が管轄するセルに入った場合に、移動先セルの基地局をアクティブセットに追加しないようにする。この処理を行うことにより、旧版互換性がない基地局へのハンドオーバーを回避し、E−DCHの優先利用およびスロットフォーマットの誤解釈防止の効果を奏することができる。
また、上記説明のように、この発明に係る通信システムでは、アクティブセット決定処理を移動端末が行うので、基地局制御装置に対するシグナリングの回数を減少させることができる。また、基地局制御装置の機能を移動端末が負担しているので、基地局制御装置の過負荷を減少させ、輻輳などの問題が発生することを防止できる。
実施の形態12.
上記実施の形態2では、基地局制御装置3が干渉量のマージンが少ない基地局を積極的に非サービング基地局2−2(E−DCHアクティブセット)に加えるものについて説明している。
しかし、Release6非対応の基地局(E−DCHサービスをサポートしていない基地局)とRelease6対応の基地局(E−DCHサービスをサポートしている基地局)が混在するようなRelease6への移行期などにおいては、上記実施の形態10で示したように、基地局のバージョン情報によってE−DCHアクティブセットを選択することも重要な要素となる。
そこで、この実施の形態12では、基地局制御装置3が基地局における干渉量のマージンと、基地局のバージョン情報とに基づいて、従来のアクティブセット(=ソフトハンドオーバー用アクティブセット)からE−DCHアクティブセットを選択する方法を開示する。
この実施の形態12によれば、E−DCHサービスをサポートする上で、より最適な基地局をE−DCHアクティブセットとして選択することができるようになる。
上記実施の形態2でも述べた通り、変更の判断主体が基地局制御装置3である場合、基地局2が干渉量を測定することができるという利点がある。
基地局2から移動端末1にシグナリングする場合、無線回線を利用するためにエラーが発生する可能性が高い。基地局2が干渉量情報を基地局制御装置3に通知する場合、有線回線を利用するために無線回線を利用する場合と比較して、エラーの発生を大幅に減らすことができ、より高品質な情報を通知することができる利点がある。
図47はこの発明の実施の形態12による移動体通信システムの基地局制御装置3を示す構成図であり、図4の基地局制御装置3に図31の基地局バージョン情報管理部104と基地局バージョン情報判定部108を付加したものである。
図48は基地局制御装置3が基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加するか否かを判断する際の移動体通信システムのシーケンスを示すシーケンス図であり、図49は図48のステップST4710において、基地局制御装置3が干渉量情報に基づいて基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加するか否かを判断する処理内容を詳細に示すフローチャートである。
最初に、基地局制御装置3が基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加するか否かを判断する際の移動体通信システムの動作を説明する。
まず、基地局制御装置3は、基地局バージョン情報管理部104に格納されている傘下の基地局2−3のバージョン情報を読み取ることにより、傘下の基地局2−3のバージョン情報を把握することができる。
従来のアクティブセットに含まれている全ての基地局2−1,2−2,2−3の干渉量通知部68は、干渉量測定部65により測定された干渉量情報を基地局制御装置3に通知する(ステップST4701)。
ここで、基地局2−1,2−2,2−3から通知される干渉量情報には、例えば、次のような情報が考えられる。ただし、以下に示す情報は、あくまでも一例であり、他にも同じような内容を示す情報であれば、他の情報を通知するようにしてもよい。
(1)基地局2の干渉量測定部65により測定された基地局2における干渉量の絶対値
基地局2における干渉量の絶対値は、低雑音増幅部54から出力された受信強度と復調部55から出力された受信信号におけるパイロットとに基づいて信号成分を取り除くことにより求められた干渉量である。
(2)基地局2のSIR算出部66により算出された上りSIRの絶対値
上りSIRの絶対値は、DPCCH受信部58により復号されたDPCCHと干渉量測定部65により測定された干渉量との比を示す上りSIRである。
ソフトハンドオーバーの状態においては、どれか一つの基地局2−1,2−2,2−3のSIRを保証することができれば、それ以上、電力を増大させないため、信号の強度が各基地局2−1,2−2,2−3で必ずしも同一とはならない。
そこで、基地局2−3の干渉量だけでなく、上りSIRに基づいてE−DCHアクティブセットに追加する基地局2−3を判定するようにすれば、干渉量だけでなく受信品質も考慮された基地局2−3をE−DCHアクティブセットに含めることができるようになる。
これにより、干渉量の制御とマクロダイバシティ効果の両立を図ることができるという利点がある。
(3)基地局2における干渉マージンの絶対値
干渉マージンの絶対値は、例えば、基地局2における受信許容電力(最大受信電力)から、他の基地局からの干渉電力、熱雑音、自基地局内の移動端末1からの受信電力を合わせた全受信電力を引いた電力(干渉マージン)である。
ここでは、干渉マージンを求めるに際して、全受信電力を用いているが、全受信電力の代わりに、全受信電力から自基地局内の移動端末1からの受信電力を引いた上り干渉電力を使用してもよい。
(4)(1)〜(3)に示した情報の絶対値ではなく、例えば、ある定められた一定時間前の状態と比較した際の相対値や差分が考えられる。
この場合、基地局2から基地局制御装置3への通知は、定められた一定時間毎でも、変化が起こった時のみでもよい。
この報告時間は、あらかじめ決められた値でもよいし、基地局2又は基地局制御装置3からのシグナリングにより求められてもよい。また、移動端末1又は基地局2のE−DCHアクティブセット制御部が計算することによって求められてもよい。
相対値や差分を通知することのメリットとしては、絶対値で測定した値の精度が粗い場合には、相対値や差分、つまり比を取ることにより誤差をキャンセルして、より精度が高い情報を通知することができるという点が挙げられる。
(5)(1)〜(3)に示した情報を事前にクラス(ランク)分けし、基地局2から基地局制御装置3への通知にはそのクラスを用いる。
これにより、干渉量情報を通知するための情報量の削減効果を得ることができる。
基地局制御装置3は、従来のアクティブセットに含まれている全ての基地局2−1,2−2,2−3から干渉量情報を受信する(ステップST4702)。
従来のアクティブセットに含まれている全ての基地局2−1,2−2,2−3の干渉量通知部68は、シグナリング測定部79により測定されたシグナリング負荷を基地局制御装置3に通知する(ステップST4703)。
基地局制御装置3の伝送制御部82は、従来のアクティブセットに含まれている全ての基地局2−1,2−2,2−3からシグナリング負荷を受信する(ステップST4704)。
基地局2−1,2−2,2−3から通知されるシグナリング負荷には、例えば、次のような情報が考えられる。ただし、以下に示す情報は、あくまでも一例であり、他にも同じような内容を示す情報であれば、他の情報を通知するようにしてもよい。
A.基地局で使用可能なコード数という観点
(1)基地局で使用しているコード数
上記実施の形態2で示したように、基地局2のシグナリング測定部79は、シグナリング負荷(E−AGCH送信部76、E−RGCH送信部77及びE−HICH送信部78で使用しているシグナリングの数)を測定し、そのシグナリングの数を基地局制御装置3に通知する。
(2)該当基地局が更に使用できるコード数
基地局2のプロトコル処理部57が、上記(1)で測定した現在使用しているシグナリングの数を元に、更にE−RGCH送信部77及びE−HICH送信部78で使用可能なコード数を基地局制御装置3に通知する。
(3)使用可能なコード数から考えて、E−DCHアクティブセットに追加することが可能であるか否かを示す判断結果
上記(1)で測定した結果に基づいて、基地局2−1,2−2,2−3のプロトコル処理部57が、コード数に余裕があるか否かを判断し、その判断結果を基地局制御装置3に通知する。
これにより、上記(1)(2)の通知と比較して、情報量の削減効果を得ることができる。
B.基地局の下り送信可能電力という観点
基地局2の能力として、下りトータル送信可能電力が存在する。
しかし、基地局2は、下りトータル送信可能電力を超えた送信を行うことができないため、上記(1)の基地局2で使用可能なコード数という観点と合せて、あるいは、それに代えて、基地局2の下り送信可能電力という観点にて、基地局2−1,2−2,2−3がシグナリング負荷を基地局制御装置3に通知するようにしてもよい。
(1)基地局で使用している下りトータル送信電力
基地局2が使用している下りトータル送信電力を測定し、その下りトータル送信電力を基地局制御装置3に通知する。
(2)該当基地局が更に送信できる電力
上記(1)で測定した現在使用している下りトータル送信電力を元に、更に送信できる電力として下り送信電力マージンを基地局制御装置3に通知する。
(3)使用可能な下り送信電力から考えて、E−DCHアクティブセットに追加することが可能であるか否かを示す判断結果
上記(1)で測定した結果を元に、基地局2−1,2−2,2−3のプロトコル処理部57が送信電力に余裕があるか否かを判断し、その判断結果を基地局制御装置3に通知する。
これにより、上記(1)(2)の通知と比較して、情報量の削減効果を得ることができる。
移動端末1は、受信レベルがE−DCHアクティブセットの追加・更新条件を満足しているか否かを判断する(ステップST4705)。
E−DCHアクティブセットの追加条件としては、従来のアクティブセット(=ソフトハンドオーバー用アクティブセット)に含まれている基地局2−3からのCPICHの受信レベルが閾値を超えた場合などが考えられる。この閾値は、規定の値でもよいし、基地局制御装置3からシグナリングにより通知された値でもよい。
また、E−DCHアクティブセットの更新条件としては、従来のアクティブセットに含まれている基地局2−3からのCPICHの受信レベルがE−DCHアクティブセット内の基地局2−1,2−2からのCPICHの受信レベルを超えた場合などが考えられる。
移動端末1は、追加条件を満足している場合、E−DCHアクティブセットの追加イベントを基地局2−1,2−2,2−3を介して基地局制御装置3に送信する(ステップST4706)。
また、移動端末1は、更新条件を満足している場合、E−DCHアクティブセットの更新イベントを基地局2−1,2−2,2−3を介して基地局制御装置3に送信する(ステップST4706)。
このE−DCHアクティブセットの追加・更新イベントは、従来から存在する従来のアクティブセットの追加・更新イベントとは別のイベントである。別のイベントとすることにより、別の判断基準を設けることが可能となる。
具体的には、従来の技術(E−DCHサービスサポート以前)では、アクティブセットを選択する上での判断基準として重要視されていなかった基地局2−1,2−2,2−3の干渉マージンや基地局2−1,2−2,2−3のシグナリング負荷、また、元来、判断基準として不要であった基地局2−3のバージョン情報などを判断基準として盛り込むことが可能となる。
これにより、E−DCHサービスをサポートする上で、より最適な基地局2をE−DCHアクティブセットとして選択することができるようになる。
移動端末1から基地局制御装置3へのイベントの通知方法には、以下のようなものが考えられる。
(1)移動端末1がRRCプロトコルを用いて、イベントを基地局制御装置3に送信する。
(2)移動端末1がMACシグナリングを用いて、イベントを基地局2−1,2−2,2−3に送信し、基地局2−1,2−2,2−3がNBAPプロトコルを用いて、そのイベントを基地局制御装置3に転送する。
基地局制御装置3は、移動端末1から送信されたE−DCHアクティブセットの追加・更新イベントを受信する(ステップST4707)。
基地局制御装置3は、移動端末1からE−DCHアクティブセットの追加・更新イベントを受信すると、E−DCHアクティブセットに追加・変更する該当の基地局2−3がE−DCHを利用することが可能であるか否かを判断する。
即ち、基地局制御装置3の基地局バージョン情報判定部108は、基地局バージョン情報管理部104に格納されている基地局2−3のバージョン情報を参照して、該当の基地局2−3がRelease6に対応しているか否かを判断する(ステップST4708)。
該当の基地局2−3がRelease6に対応していない場合は、E−DCHサービスをサポートしていないので、該当の基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加・更新しない。
なお、基地局制御装置3の基地局バージョン情報判定部108は、該当の基地局2−3がRelease6に対応しているか否かを判断する際、例えば、該当の基地局2−3が基地局制御装置3の傘下の基地局でないという理由で、該当の基地局2−3のバージョン情報が基地局バージョン情報管理部104に格納されていない場合を考える。
この場合、基地局制御装置3は、該当の基地局2−3に対してバージョン情報を報告するように要求する。
該当の基地局2−3は、基地局制御装置3からバージョン情報の報告要求を受けると、自己のバージョン情報を基地局制御装置3に通知する。その際、基地局制御装置3と該当の基地局2−3が直接通信を行う場合と、該当の基地局2−3の管理を担当する別の基地局制御装置を通して行う場合が考えられる。
基地局制御装置3は、該当の基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加・更新しない場合、移動端末1がE−DCHアクティブセットの追加・更新条件を下げ過ぎないようにするため、E−DCHアクティブセットを追加・更新しない理由を移動端末1に通知する(ステップST4709)。
これにより、同じ理由によって、基地局制御装置3がイベントを受け付けない判断を行う状況を回避することができる。よって、基地局制御装置3の負荷の軽減を図ることが可能になる。併せて、イベント送信を削除することができるという点において、移動体通信システムの無線資源の有効活用が可能となる。このステップST4709はオプションである。
一方、該当の基地局2−3がRelease6に対応している場合は、次の判断に進む。
次に、基地局制御装置3は、干渉量情報に基づいて、該当の基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加・更新するか否かを判断する(ステップST4710)。追加・更新の判定処理の詳細は図49を用いて後述する。
上り通信品質ではなく干渉量情報に基づいて追加・更新するか否かを判断する利点、あるいは、上り通信品質と同時に干渉量情報に基づいて追加・更新するか否かを判断する利点としては、以下のようなものがある。
従来の上りパケット通信と比較してE−DCH(上り高速パケット通信)は、高速であるが故に、移動端末1からの上り送信電力も大きくなる。つまり、基地局2に対する干渉量も大きくなる。
E−DCH用のアクティブセットに含まれる基地局2として、サービング基地局2−1と非サービング基地局2−2がある。
上述した通り、サービング基地局2−1は、移動端末1に対してスケジューリングを実施する。即ち、サービング基地局2−1は、移動端末1の送信レートをE−AGCH(E−DCH Absolute Grant CHannel)やE−RGCH(E−DCH Relative Grant CHannel)などで指示することが可能である。
これに対して、非サービング基地局2−2は、移動端末1に対してスケジューリングを実施せず、E−RGCHによって送信レートを下げることを要求するコマンド(Downコマンド)を移動端末1に送信することのみが可能であり、スケジューリングを実施することができない。
この事は、サービング基地局2−1の干渉マージンが逼迫した場合には、E−DCHを送信している移動端末1のスケジューリングを調整し、該当の移動端末1に対して、E−AGCH、E−RGCHを用いて送信レートを下げることを要求することが可能であることを示している。また、非サービング基地局2−2の干渉マージンが逼迫した場合には、E−DCHを送信している移動端末1に対してE−RGCHを用いてDownコマンドを送信し、送信レートを下げることを要求することが可能であることを示している。
一方、E−DCHアクティブセットに含まれない但し、従来のアクティブセットに含まれる基地局2−3は、E−DCHを送信している移動端末1に対して送信レートを下げることを要求する手段がない。
よって、E−DCHアクティブセットに含まれない但し、従来のアクティブセットに含まれる基地局2−3の干渉マージンが逼迫した場合は、該当の基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加して、E−DCHを送信している移動端末1に対して送信レートを下げることを要求する手段を与える必要がある。
これにより、E−DCHアクティブセットに含まれない但し、従来のアクティブセットに含まれる基地局2−3の干渉マージンの逼迫による移動体通信システムの通信品質の劣化などを回避することができる。
基地局制御装置3は、ステップST4710で、該当の基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加しないと判断した場合は、E−DCHアクティブセットを追加・更新しない理由を移動端末1に通知する(ステップST4709)。このステップST4709はオプションである。
追加・更新を行う場合、追加対象の基地局2−3のシグナリング負荷が許容範囲内であるか否かを判断する(ステップST4711)。
基地局制御装置3の伝送制御部82は、E−DCHアクティブセット制御部92が、追加対象の基地局2−3のシグナリング負荷が許容範囲内でないと判断する場合、サービング基地局2−1の上りスケジューラ75に対して、E−DCH送信レートの下げを指示する(ステップST4712)。
ステップST4712では、ステップST4710で干渉量情報によりE−DCHアクティブセットに追加した方が良いと判断された基地局が存在していたが、該当の基地局2−3がE−DCHアクティブセットに追加されるのに必要なシグナリングが不足していた場合において重要な意味を有する。なぜなら、該当の基地局2−3の干渉マージンは逼迫しており、E−DCHを送信している移動端末1に対して送信レートを下げることを要求したいが、シグナリング負荷の関係で非サービング基地局2−2となり、E−DCHを送信している移動端末1に対して送信レートを下げることを要求する手段を手に入れることができない。そのため、基地局制御装置3からサービング基地局2−1に対してE−DCHを送信している移動端末1に対してE−DCHの送信レートを下げる指示を出すのが、ステップST4712となる。
このステップST4712はオプションであり、E−DCHアクティブセット制御部92は、基地局2−3の追加・更新を行わないとしてもよい。その場合には、E−DCHアクティブセットを追加・更新しない理由を移動端末1に通知する(ステップST4709)。このステップST4709はオプションである。
基地局制御装置3のE−DCHアクティブセット制御部92は、追加対象の基地局2−3のシグナリング負荷が許容範囲内である場合、E−DCHアクティブセット管理部89に管理されている現在のE−DCHアクティブセットの状態を更新する(ステップST4713)。
例えば、基地局2−3を非サービング基地局2−2に変更する場合、E−DCHアクティブセット管理部89に管理されているE−DCHアクティブセットに基地局2−3を書き込む処理を実施する。
ステップST4714以降は、上記実施の形態2における図16のステップST111以降と同じであるため説明を省略する。
この実施の形態12では、基地局制御装置3が該当の基地局2−3のバージョンと干渉量情報に基づいて、該当の基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加・更新するか否かを判断するものについて示したが、基地局制御装置3が該当の基地局2−3のバージョンのみに基づいて、該当の基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加・更新するか否かを判断するようにしてもよい。
この場合、該当の基地局2−3のシグナリング負荷量の判断は、上記実施の形態1における図11のステップST44〜ST46に示した通り、該当の基地局2−3が行うようにしてもよい。
また、図48のシーケンス図において、ステップST4708、ステップST4710、ステップST4711の処理の順番は問わない。また、同時であってもよい。
更に、基地局制御装置3が該当の基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加・更新するか否かを判断する際、上記実施の形態5で示した空間相関を用いて判断する処理を加えてもよい。
これにより、マクロダイバシティの効果が高い基地局2−3を非サービング基地局2−2として選択することができるため、より最適な基地局2をE−DCHアクティブセットとして選択することができるようになる。
また、ステップST4701において、従来のアクティブセットに含まれている全ての基地局2−3の干渉量通知部68は、干渉量測定部65により測定された干渉量情報を基地局制御装置3に通知する代わりに、基地局2−3により測定された干渉量情報を移動端末1に通知するようにしてもよい。
その後、基地局制御装置3が干渉量情報に基づいて、基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加・更新するか否かを判断するステップST4710の代わりに、移動端末1の処理であるステップST4705とステップST4706の間に、上記実施の形態1における図6のステップST1〜ST4までの処理を実施するようにしてもよい。
その効果としては、該当の基地局2−3の干渉量情報が閾値より小さいなどの理由で、基地局制御装置3により拒否される追加・更新イベントを削減することができる。
これにより、同じ理由で、基地局制御装置3がイベントを受け付けない判断を行う状況を回避することができる。よって、基地局制御装置3の負荷の軽減が可能になる。併せて、イベント送信を削除することができるという点において、移動体通信システムの無線資源の有効活用が可能になる。
次に、図49を用いて、図48のステップST4710の処理内容を詳細に説明する。
E−DCHアクティブセット制御部92は、E−DCHアクティブセットに基地局2−3を追加する際の規制基準A(上述した判断基準となる閾値Aに相当)を取得して(ステップST4801)、該当の基地局2−3の干渉量と規制基準Aを比較する(ステップST4802)。
E−DCHアクティブセット制御部92は、該当の基地局2−3の干渉量が規制基準Aを超えていなければ、該当の基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加する必要がないので判断処理を終了し、E−DCHアクティブセットを追加・更新しない理由を移動端末1に通知する(ステップST4709)。
E−DCHアクティブセット制御部92は、該当の基地局2−3の干渉量が規制基準Aを超えている場合、E−DCHアクティブセットに含まれている基地局2の個数が最大個数(例えば、3個)を超えているか否かを判定する(ステップST4803)。
E−DCHアクティブセット制御部92は、E−DCHアクティブセットに含まれている基地局2の個数が最大個数を超えていない場合には、ステップST4707にて受信したイベントに従う。例えば、ステップST4707において、追加イベントを受信した場合(ステップST4804)、該当の基地局2−3を非サービング基地局2−2に変更することを決定する(ステップST4805)。
E−DCHアクティブセット制御部92は、E−DCHアクティブセットに含まれている基地局2の個数が最大個数を超えている場合、または、基地局2の個数が最大個数を超えていない場合でも、ステップST4707において、更新イベントを受信した場合(ステップST4804)、現在のE−DCHアクティブセットに含まれている非サービング基地局2−2の干渉量を取得する(ステップST4806)。
図1の例では、E−DCHアクティブセットに含まれている非サービング基地局2−2は、1つだけであるが、複数の非サービング基地局2−2が含まれている場合もあり、この場合は、複数の非サービング基地局2−2の干渉量を取得する。
E−DCHアクティブセット制御部92は、非サービング基地局2−2の干渉量と該当の基地局2−3の干渉量とを比較する(ステップST4807)。複数の非サービング基地局2−2が含まれている場合、複数の非サービング基地局2−2における最小の干渉量と該当の基地局2−3の干渉量とを比較する。
E−DCHアクティブセット制御部92は、非サービング基地局2−2の干渉量が該当の基地局2−3の干渉量より大きい場合、現在のE−DCHアクティブセットを維持する。そのため、処理を終了し、E−DCHアクティブセットを追加・更新しない理由を移動端末1に通知する(ステップST4709)。
一方、非サービング基地局2−2の干渉量が基地局2−3の干渉量より小さい場合、現在のE−DCHアクティブセットに含まれている非サービング基地局2−2(複数の非サービング基地局2−2が含まれている場合、複数の非サービング基地局2−2の中で、干渉量が最小の非サービング基地局)を削除して、該当の基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加することを決定する(ステップST4808)。
実施の形態13.
上記実施の形態12では、基地局制御装置3が基地局2における干渉量のマージンと基地局2のバージョン情報とに基づいて、従来のアクティブセットからE−DCHアクティブセットを選択する方法を示したが、この実施の形態13では、移動端末1が判断主体になり、移動端末1が基地局2のバージョン情報に基づいてE−DCHアクティブセットを選択する方法を説明する。
この実施の形態13では、Release6非対応という理由で、E−DCHアクティブセットに含めることが不可能な基地局に対して、移動端末1から基地局制御装置3に送信される全く意味のない追加イベントや更新イベントを削除することができる効果が得られる。
これにより、同じ理由で、基地局制御装置3がイベントを受け付けない判断を行う状況を回避することができる。よって、基地局制御装置3の負荷の軽減が可能になる。併せて、イベント送信を削除することができるという点において、移動体通信システムの無線資源の有効活用が可能になる。
この発明の実施の形態13による移動体通信システムの移動端末1は、図2の移動端末1に対して、図39の移動端末における基地局バージョン情報管理部914と基地局バージョン情報判定部918を付加した構成である。
この実施の形態13の移動体通信システムのシーケンス図は、上記実施の形態12の移動体通信システムのシーケンス図(図48、図49)とほぼ同じである。そのため、図50を用いて、上記実施の形態12との相違点を説明する。
なお、この実施の形態13では、図48のステップST4708の代わりに、ステップST4705とステップST4706の間に図50のステップが追加される。
基地局制御装置3は、従来のアクティブセットに含まれる基地局2−1,2−2,2−3のバージョン情報を移動端末1に報知する(ステップST4901)。
あるいは、周辺セルやイベント対象セルに含まれている基地局2−1,2−2,2−3のバージョン情報を報知するようにしてもよい。この報知されるバージョン情報や報知方法は、上記実施の形態9に示しているため省略する。また、基地局2のバージョン情報を基地局制御装置3を介さずに、基地局2が直接移動端末1に報知するようにしてもよい。
移動端末1の基地局バージョン情報管理部914は、移動端末1が基地局制御装置3から送信された基地局2−1,2−2,2−3のバージョン情報を受信すると(ステップST4902)、その基地局2−1,2−2,2−3のバージョン情報を管理する。
移動端末1の基地局バージョン情報判定部918(あるいは、アクティブセット制御部34)は、基地局バージョン情報管理部914に管理されている基地局2−3のバージョン情報を参照して、追加・更新条件を満足している基地局2−3のバージョンを判断する。即ち、追加・更新条件を満足している基地局2−3がRelease6に対応しているか否かを判断する。
該当の基地局2−3がRelease6に対応していない場合は、E−DCHサービスをサポートしていないので(ステップST4903)、該当の基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加・更新するための追加・更新イベントを基地局制御装置3に送信しないで処理を終了する。
該当の基地局2−3がRelease6に対応している場合は、E−DCHサービスをサポートしているので(ステップST4903)、該当の基地局2−3を追加・変更の対象とするE−DCHアクティブセットの追加・更新イベントを基地局制御装置3に送信する(ステップST4706)。
なお、ステップST4901及びステップST4902の処理は、ステップST4705の処理より前に行われていてもよい。
実施の形態14.
上記実施の形態4では、基地局2が判断主体になり、(1)基地局の干渉量情報、(2)E−DCHコードパワー(または、送信レート)、(3)基地局のシグナリングの負荷とに基づいて、E−DCHアクティブセットから非サービング基地局2−2(該当の基地局2−2)を削除するか否かを判断するものについて示したが、この実施の形態14では、基地局制御装置3が判断主体になり、基地局制御装置3がE−DCHアクティブセットから該当の基地局2−2を削除するか否かを判断するものについて説明する。
ただし、この実施の形態14では、E−DCHアクティブセットから削除するか否かを判断するものであって、E−DCHアクティブセットから削除されることに決まったとしても、従来のアクティブセットから削除されるわけではない。
図51は基地局制御装置3が該当の基地局2−2をE−DCHアクティブセットから削除するか否かを判断する際の移動体通信システムのシーケンスを示すシーケンス図であり、図52は図51のステップST5010において、基地局制御装置3が該当の基地局2−2をE−DCHアクティブセットから削除するか否かを判断する処理内容の詳細を示すフローチャートである。
まず、図51を用いて、基地局制御装置3が該当の基地局2−2をE−DCHアクティブセットから削除するか否かを判断する際の移動体通信システムの動作を説明する。
従来のアクティブセットに含まれている基地局2−1,2−2,2−3、あるいは、E−DCHアクティブセットに含まれている基地局2−1,2−2の干渉量通知部68は、干渉量測定部65により測定された干渉量情報を基地局制御装置3に通知する(ステップST5001)。
基地局制御装置3は、従来のアクティブセットに含まれている全ての基地局2−1,2−2,2−3、あるいは、E−DCHアクティブセットに含まれている基地局2−1,2−2の干渉量情報を受信する(ステップST5002)。
E−DCHアクティブセットに含まれている基地局2−1,2−2は、コードパワー、あるいは、送信レートを基地局制御装置3に通知する(ステップST5003)。
基地局制御装置3は、E−DCHアクティブセットに含まれている基地局2のコードパワー、あるいは、送信レートを受信する(ステップST5004)。
また、従来のアクティブセットに含まれている全ての基地局2−1,2−2,2−3、あるいは、E−DCHアクティブセットに含まれている基地局2−1,2−2の干渉量通知部68は、シグナリング測定部79により測定されたシグナリング負荷を基地局制御装置3に通知する(ステップST5005)。
基地局制御装置3は、従来のアクティブセットに含まれている全ての基地局2−1,2−2,2−3、あるいは、E−DCHアクティブセットに含まれている基地局2−1,2−2のシグナリング負荷を受信する(ステップST5006)。
移動端末1は、受信レベルがE−DCHアクティブセットの削除条件を満足しているか否かを判断する(ステップST5007)。
E−DCHアクティブセットの削除条件としては、E−DCHアクティブセットに含まれている基地局2−1,2−2からのCPICHの受信レベルが閾値を外れた(範囲外になった)場合などが考えられる。この閾値は規定の値、または、基地局制御装置からシグナリングにより通知された値でもよい。
移動端末1は、削除条件を満足する場合、E−DCHアクティブセットの削除イベントを基地局2−1,2−2,2−3を介して基地局制御装置3に送信する(ステップST5008)。
基地局制御装置3は、移動端末1から送信されたE−DCHアクティブセットの削除イベントを受信する(ステップST5009)。
基地局制御装置3は、(1)基地局2の干渉量情報、(2)E−DCHコードパワー(または、送信レート)、(3)基地局2のシグナリングの負荷とに基づいて、E−DCHアクティブセットから該当の基地局2−2を削除するか否かを判断する(ステップST5010)。削除の判定処理の詳細は図52を用いて後述する。
基地局制御装置3は、判断の結果、該当の基地局2−2を削除しない場合、移動端末1がE−DCHアクティブセットの削除条件を上げ過ぎないようにするため、E−DCHアクティブセットを削除しない理由を移動端末1に通知する(ステップST5011)。
これにより、同じ理由で、基地局制御装置3がイベントを受け付けない判断を行う状況を回避することができる。よって、基地局制御装置3の負荷の軽減が可能になる。併せて、イベント送信を削除することができるという点において、移動体通信システムの無線資源の有効活用が可能になる。
E−DCHアクティブセット制御部92は、該当の基地局2−2を削除する判断を行うと、ステップST5012の処理に移行する。
図51のステップST5012〜ST5017までの説明は、上記実施の形態4における図22のステップST186〜ST191と同様であるため説明を省略する。
次に図52を用いて、図51のステップST5010の処理内容を詳細に説明する。
即ち、基地局制御装置3が該当の非サービング基地局2−2をE−DCHアクティブセットから削除するか否かを判断する処理内容を説明する。
基地局制御装置3は、ステップST5002において、E−DCHアクティブセットに含まれている非サービング基地局2−2から干渉量情報を受信済みである。
基地局制御装置3は、その干渉量情報が示す該当の非サービング基地局2−2の干渉量と、E−DCHアクティブセットから基地局を削除する際の判断基準となる閾値D(上述の閾値Dと同様)を比較する(ステップST5101)。
ここで、判断基準となる閾値Dは、規定の値でもよし、移動端末1又は基地局2−1,2−2のE−DCHアクティブセット制御部が計算することによって求められ、その後、シグナリングによって基地局制御装置3に通知されるようにしてもよい。
基地局制御装置3は、非サービング基地局2−2の干渉量が閾値Dを超えている場合、Downコマンドを送信する必要性があるので、E−DCHアクティブセットから非サービング基地局2−2を削除せずに、現在のE−DCHアクティブセットを維持する。その場合、ステップST5011の処理に移行する。
基地局制御装置3は、非サービング基地局2−2の干渉量が閾値Dに満たなければ、非サービング基地局2−2の干渉量が少なく、その非サービング基地局2−2がDownコマンドを送信する必要性が小さいと判断する。基地局制御装置3は、引き続き、E−DCHアクティブセットから非サービング基地局2−2を削除するか否か判断するため、次のステップST5102の処理に移行する。
基地局制御装置3は、基地局側で測定されて通知されている該当の移動端末1からのコードパワーとE−DCHアクティブセットから基地局を削除する際の判断基準となる閾値Eを比較する(ステップST5102)。
ここで、判断基準となる閾値Eは、規定の値でもよいし、移動端末1又は基地局2−2のE−DCHアクティブセット制御部が計算することによって求められ、その後、シグナリングによって基地局制御装置に通知されるようにしてもよい。
基地局制御装置3は、コードパワーが閾値E以上である場合、該当の非サービング基地局2−2に対する該当の移動端末1の影響が大きく、Downコマンドを送信する必要性があるので、E−DCHアクティブセットから非サービング基地局2−2を削除せずに、現在のE−DCHアクティブセットを維持する。この場合、ステップST5011の処理に移行する。
基地局制御装置3は、コードパワーが閾値E未満であれば、該当の非サービング基地局2−2に対する該当の移動端末1の影響が小さく、Downコマンドを送信する必要性が小さいと判断する。基地局制御装置3は、引き続き、E-DCHアクティブセットから非サービング基地局2−2を削除するか否か判断するため、次のステップST5103の処理に移行する。
基地局制御装置3は、シグナリング負荷が許容量を超えていなければ、現在のアクティブセットを維持する(ステップST5103)。この場合、ステップST5011の処理に移行する。
基地局制御装置3は、シグナリング負荷が許容量を超えている場合、E−DCHアクティブセットから該当の非サービング基地局2−2を削除するため、ステップST5012の処理に移行する。このステップST5013の処理はオプションである。
また、ステップST5101、ステップST5012、ステップST5103の処理の順序は問わない。更に同時に処理されても構わない。
また、ステップST5001で行っている従来のアクティブセットに含まれている基地局2−1,2−2,2−3、あるいはE−DCHアクティブセットに含まれている基地局2−1,2−2の干渉量通知部68が、干渉量測定部65により測定された干渉量情報を基地局制御装置3に通知する代わりに、移動端末1に通知するようにしてもよい。
その後、基地局制御装置3の判断(基地局の干渉量情報に基づいてE−DCHアクティブセットから基地局2−2を削除するか否かの判断(ステップST5101)、E−DCHコードパワー(または、送信レート)に基づいてE−DCHアクティブセットから基地局2−2を削除するか否かの判断(ステップST5102)を、移動端末1が行うようにしてもよい。
その効果としては、該当の基地局2−2の干渉量情報が閾値より大きいなどの理由で、基地局制御装置3が拒否する削除イベントを削減することができる。
これにより、同じ理由で、基地局制御装置3がイベントを受け付けない判断を行う状況を回避することができる。よって、基地局制御装置3の負荷の軽減が可能になる。併せて、イベント送信を削除することができるという点において、移動体通信システムの無線資源の有効活用が可能になる。
重ねて、E−DCHコードパワーに代えて、送信レートに基づいて判断すれば、移動端末1では、送信レートを正確に把握されているというメリットも得ることができる。
移動端末1がステップST5101、ステップST5102の処理を行う場合、図51におけるステップST5007とステップST5008の間で行われるべきである。これにより、無意味なE−DCHアクティブセットの削除イベントが削除されるからである。
実施の形態15.
上記実施の形態8〜11で示している「アクティブセット」は、E−DCHサービスを実施していない時には、従来のアクティブセット(個別チャネル(DCH)用のソフトハンドオーバー用)を示し、E−DCHサービス中には、E−DCHアクティブセット(サービング基地局+非サービング基地局)及び従来のアクティブセットを示している。つまり、E−DCHサービス中においては、従来のアクティブセットとE−DCHアクティブセットは同一となる。
E−DCHアクティブセット及び従来のアクティブセット双方に含まれない基地局2を基地局2−4とする。つまり基地局2からサービング基地局2−1、非サービング基地局2−2、ソフトハンドオーバー用アクティブセットの基地局(従来のアクティブセットの基地局)2−3、を除いた基地局が基地局2−4となる。
この実施の形態15では、この「アクティブセット」で使用する技術について開示する。
以降、単に「アクティブセット」と記載した場合、E−DCHサービスを実施していない時には従来のアクティブセット(=ソフトハンドオーバー用アクティブセット)を示し、また、E−DCHサービス中の時には、E−DCHアクティブセット(サービング基地局+非サービング基地局)及び従来のアクティブセットを示しているものとする。
また、上記実施の形態10において、基地局制御装置3が基地局2のバージョン情報に基づいて、アクティブセットに追加するか否かを判断するものについて示したが、E−DCHサービスを実施する上では、E−DCHサービスを行わない場合と比較して、基地局2の干渉マージンに与える影響は大きい。なぜなら、DCHと比較してE−DCHの送信レートが高い場合が多く、送信レートに伴って、送信電力も大きくなるからである。
そこで、この実施の形態15では、基地局2のバージョン情報に加え、基地局2の干渉量情報、シグナリング負荷などに基づいてアクティブセットを選択する方法を開示する。
この実施の形態15によれば、E−DCHサービスをサポートする上で、より最適な基地局2をアクティブセットとして選択することができるようになる。
上記実施の形態2でも述べた通り、変更の判断主体が基地局制御装置3である場合、基地局2が干渉量を測定することができるという利点がある。
基地局2から移動端末1にシグナリングする場合、無線回線を利用するためにエラーが発生する可能性が高い。基地局2から基地局制御装置3へ干渉量情報を通知する場合、有線回線を利用するために無線回線を利用する場合と比較してエラーの発生を大幅に減らすことができ、より高品質な情報を通知することができる利点がある。
この発明の実施の形態15による移動体通信システムの基地局制御装置3は、上記実施の形態12における図47の基地局制御装置3と同様である。
図53は基地局制御装置3が該当の基地局2−3,2−4をアクティブセットに追加するか否かを判断する際の移動体通信システムのシーケンスを示すシーケンス図である。
図53を用いて、基地局制御装置3が該当の基地局2−3,2−4をアクティブセットに追加するか否かを判断する際の移動体通信システムの動作を説明する。
まず、基地局制御装置3は、基地局バージョン情報管理部104に格納されている傘下の基地局2のバージョン情報を読み取ることにより、傘下の基地局2のバージョン情報を把握することができる。
ステップST5201〜ステップST5204は、上記実施の形態12における図48のステップST4701〜ステップST4704と同様であるため説明を省略する。
移動端末1は、受信レベルがアクティブセットの追加・更新条件を満足しているか否かを判断する(ステップST5205)。
アクティブセットの追加条件としては、CPICHの受信レベルが閾値を超えた場合などが考えられる。この閾値は規定の値、または、基地局制御装置3からシグナリングによって通知された値でもよい。
また、アクティブセットの更新条件としては、CPICHの受信レベルがアクティブセット内の基地局からのCPICHの受信レベルを超えた場合などが考えられる。
移動端末1は、アクティブセットの追加条件を満足している場合、アクティブセットの追加イベントを基地局2−1,2−2,2−3を介して基地局制御装置3に送信する(ステップST5206)。
また、移動端末1は、アクティブセットの更新条件を満足する場合、アクティブセットの更新イベントを基地局2−1,2−2,2−3を介して基地局制御装置3に送信する(ステップST5206)。
基地局制御装置3は、移動端末1から送信されたアクティブセットの追加・更新イベントを受信する(ステップST5207)。
このアクティブセットの追加・更新イベントは、従来から存在する従来のアクティブセットの追加・更新イベントと同一イベントである。言い換えれば、E−DCHサービス中においては、従来のアクティブセットとE−DCHアクティブセットは同一であるため、イベントを分離する必要がない。
これにより、E−DCH用に新しく追加・更新イベントを設ける必要がなくなり、バックワードコンパチビリティが確保される。
しかし、アクティブセットの追加・更新イベントが1つであるということは、従来のアクティブセット選択用、E−DCHアクティブセット選択用と区別されていないということになり、別々の判断基準を設けることができなくなる。この場合、E−DCHをサポートしていない基地局がRelease6非対応の理由のみでアクティブセットへの追加・更新を拒否された場合の品質の劣化が問題となる。その問題は、ステップST5209の処理により解決される。ステップST5209の処理については後述する。
基地局制御装置3は、移動端末1からアクティブセットの追加・更新イベントを受信すると、該当の移動端末1がE−DCHサービス中であれば、ステップST5208の処理に移行し、E−DCHサービス中でなければ、従来通りのアクティブセットの追加・更新処理を行う。
基地局制御装置3は、ステップST5208において、移動端末1からアクティブセットに追加・更新する該当の基地局2−3,2−4がE−DCHを利用することが可能であるか否かを判断する。即ち、基地局バージョン情報管理部104に格納されているバージョン情報を参照して、Release6に対応しているか否かを判断する。該当の基地局2−3,2−4がRelease6に対応していない場合は、ステップST5209の処理に移行する。
ステップST5209は、この実施の形態15において、重要な処理である。
ステップST5209では、基地局制御装置3がE−DCHに対応していない基地局をアクティブセットに追加しないことにより、その基地局2−3,2−4とのDCHをを利用しなかった場合のDCHの通信品質を基にして、その基地局2−3,2−4をアクティブセットへ追加するか否かを判断する。
基地局制御装置3が通信品質を判断する手法としては、以下のような方法が考えられる。
(1)上り選択合成時に用いられている信頼度情報に基づく判断
信頼度情報としては、DPDCHのCRC結果、DPCCHに含まれるパイロットのSIR、受信信号電力などが考えられる。
例えば、DPDCHのCRC結果が良好(例えば、ある一定期間のCRC結果が閾値より良いなど)な基地局2−3,2−4をE−DCH非サポートだという理由でアクティブセットへ追加しなかった場合は、DCHの通信品質が満たせないと考える。
(2)移動端末1により受信されているCPICH受信レベルに基づく判断
例えば、移動端末1により受信されているCPICH受信レベルが一番高い基地局2−3,2−4、あるいは、ある閾値より高い基地局2をE−DCH非サポートだという理由で、その基地局2−3,2−4をアクティブセットへ追加しない場合は、DCHの通信品質が満たせないと考える。
基地局制御装置3は、E−DCHに対応していないという理由で、該当の基地局2−3,2−4をアクティブセットへ追加しなくても、DCHの通信品質が満たせるという判断をすると(ステップST5209)、アクティブセットを追加・更新しない理由を移動端末1に通知する(ステップST5211)。
また、基地局制御装置3は、E−DCHに対応していないという理由で、該当の基地局2−3,2−4をアクティブセットへ追加しなかった場合、DCHの通信品質が満たせないと判断すると(ステップST5209)、E−DCHサービスを停止する処理を行う(ステップST5210)。その後、ステップST5215の処理に移行する。
基地局制御装置3は、ステップST5208において、該当の基地局2−3,2−4がRelease6に対応している場合は、ステップST5212の処理に移行する。
ステップST5212〜ST5221は、上記実施の形態12における図48のステップST4709〜ST4719の説明、及び図49の「E−DCHアクティブセット」を「アクティブセット」に変更したものである。そのため、詳細な説明を省略する。但し、基地局制御装置3に対して干渉量を通知する基地局は、アクティブセット内の基地局のみならず、基地局制御装置3傘下の基地局となる場合もある。
ここで、図53のシーケンス図において、基地局制御装置3が該当の基地局2−3,2−4をアクティブセットに追加・更新するか否かを判断するに際して、該当の基地局2−3,2−4のバージョンに基づくもの(ステップST5208)のみとしてもよい。この場合、該当の基地局2−3,2−4のシグナリング負荷量の判断は、上記実施の形態1における図11のステップST44〜ST46に示した通り、該当の基地局2−3,2−4が行うようにしてもよい。
また、図53のシーケンス図において、ステップST5208、ステップST5212、ステップST5213の処理の順番は問わない。また同時であってもよい。
更に、基地局制御装置3が該当の基地局2−3,2−4をアクティブセットに追加・更新するか否かを判断するに際して、更に、上記実施の形態5に示した空間相関を用いて判断する処理を加えてもよい。
これにより、マクロダイバシティの効果が高い基地局2−3,2−4を非サービング基地局2−2に選択することができるようになり、より最適な基地局2をアクティブセットとして選択することができるようになる。
また、ステップST5201において、アクティブセットに含まれている全ての基地局2の干渉量通知部68が干渉量測定部65により測定された干渉量情報を基地局制御装置3に通知する代わりに、基地局2により測定された干渉量情報を移動端末1に通知するようにしてもよい。
その後、基地局制御装置3が、干渉量情報に基づいて該当の基地局2−3,2−4をアクティブセットに追加・更新するか否かを判断するステップST5212の代わりに、移動端末1の処理であるステップST5205とステップST5206の間に、上記実施の形態1で示した図6のステップST1〜ST4までの処理を加えるようにしてもよい。
その効果としては、該当の基地局2−3,2−4の干渉量情報が閾値より小さいなどの理由で、基地局制御装置3が拒否する追加・更新イベントを削減することができる。
これにより、同じ理由で、基地局制御装置3がイベントを受け付けない判断を行う状況を回避することができる。よって、基地局制御装置3の負荷の軽減が可能になる。併せて、イベント送信を削除することができるという点において、移動体通信システムの無線資源の有効活用が可能になる。
実施の形態16.
上記実施の形態15では、基地局制御装置3が基地局2における干渉量のマージンと、基地局2のバージョン情報とに基づいて、アクティブセットを選択する方法を示したが、この実施の形態16では、移動端末1が判断主体になり、移動端末1が基地局2のバージョン情報に基づいてアクティブセットを選択する方法を開示する。
この実施の形態16では、Release6非対応という理由で、アクティブセットに含めることが不可能な基地局に対して、移動端末1から基地局制御装置3に送信される全く意味のない追加イベントや更新イベントを削除することができる効果が得られる。
これにより、同じ理由で、基地局制御装置3がイベントを受け付けない判断を行う状況を回避することができる。よって、基地局制御装置3の負荷の軽減が可能になる。併せて、イベント送信を削除することができるという点において、移動体通信システムの無線資源の有効活用が可能になる。
この発明の実施の形態16による移動体通信システムの移動端末1は、図2の移動端末1に対して、図39の移動端末における基地局バージョン情報管理部914と基地局バージョン情報判定部918を付加した構成である。
この実施の形態16の移動体通信システムのシーケンス図は、上記実施の形態15の移動体通信システムのシーケンス図(図53)とほぼ同じである。そのため、図54を用いて、上記実施の形態15との相違点を説明する。
なお、この実施の形態16では、図53のステップST5208〜ST5210の代わりに、ステップST5205とステップST5206の間に図54のステップが追加される。
基地局制御装置3は、従来のアクティブセットに含まれる基地局2−1,2−2,2−3のバージョン情報を移動端末1に報知する(ステップST5301)。
あるいは、周辺セルやイベント対象セルに含まれている基地局2−1,2−2,2−3,2−4のバージョン情報を移動端末に報知する(ステップST5301)。この報知されるバージョン情報や報知方法は、上記実施の形態9に示しているため省略する。また、基地局2のバージョン情報を基地局制御装置3を介さずに、基地局2が直接移動端末1に報知するようにしてもよい。
移動端末1の基地局バージョン情報管理部914は、移動端末1が基地局制御装置3から送信された基地局2のバージョン情報を受信すると(ステップST5302)、その基地局2のバージョン情報を管理する。
移動端末1の基地局バージョン情報判定部918(あるいは、アクティブセット制御部34)は、基地局バージョン情報管理部914に管理されている基地局2−3,2−4のバージョン情報を参照して、追加・更新条件を満足している基地局2−3,2−4のバージョンを判断する。即ち、追加・更新条件を満足している基地局2−3,2−4がRelease6に対応しているか否かを判断する。
該当の基地局2−3,2−4がRelease6に対応していない場合は、E−DCHサービスサポートが不可能であると判断し(ステップST5303)、ステップST5304の処理に移行する。
また、Release6に対応している場合、E−DCHサービスサポートが可能であると判断し(ステップST5303)、該当の基地局2−3,2−4を対象とするアクティブセットの追加・更新イベントを送信する(ステップST5206)。
ステップST5304は、この実施の形態16において重要な処理である。
ステップST5304では、移動端末1がE−DCHに対応していない基地局2−3,2−4をアクティブセットから外して追加しないで、その基地局2−3,2−4とのDCHを利用しなかった場合のDCHの通信品質を基にして、その基地局2−3,2−4をアクティブセットからへ追加するか否かを判断する。
移動端末1が通信品質を判断する手法としては、以下のような方法が考えられる。
・移動端末1により受信されているCPICH受信レベルに基づく判断
例えば、移動端末1により受信されているCPICH受信レベルが一番高い基地局2−3,2−4、あるいは、ある閾値より高い(この閾値は規定値でもよし、あるいは、基地局制御装置3からのシグナリングにより与えられるようにしてもよい)基地局2−3,2−4をE−DCH非サポートだという理由で、その基地局2−3,2−4をアクティブセットへ追加しなかった場合は、DCHの通信品質が満たせないと考える。
移動端末1は、ステップST5304において、E−DCHに対応していないという理由で、アクティブセットへ該当の基地局2−3,2−4を追加しなくても、DCHの通信品質が満たせるという判断をした場合には終了して、ステップST5211の処理に移行する。
また、移動端末1は、ステップST5304において、E−DCHに対応していないという理由で、アクティブセットへ該当の基地局2−3,2−4を追加しなかったとき、DCHの通信品質が満たせないと判断した場合、E−DCHサービスを停止する処理を行う(ステップST5305)。その後、ステップST5206の処理に移行する。
もちろん、ステップST5301、ステップST5302の処理は、ステップST5205の処理より前に行われていてもよい。
実施の形態17.
この実施の形態17では、上記実施の形態15の変形例を説明する。
即ち、この実施の形態17では、E−DCHサービスを実施していない時には、従来のアクティブセットを示し、また、E−DCHサービスを実施している時には、E−DCHアクティブセット(サービング基地局+非サービング基地局)と、従来のアクティブセットを示す「アクティブセット」から該当の基地局2−2を削除する削除イベントについての技術を開示する。
E−DCHサービスを実施している移動端末1は、受信レベルがアクティブセットの削除条件を満足している場合、アクティブセットの削除イベントを基地局制御装置3に送信する。
このアクティブセットの削除イベントは、従来から存在する従来のアクティブセットの削除イベントと同じイベントである。
E−DCHサービスを実施する上では、E−DCHサービスを行わない場合と比較して、基地局2の干渉マージンへ与える影響が大きい。なぜなら、DCHと比較してE−DCHの送信レートが高い場合が多くなり、送信電力も大きくなるからである。
このため、E−DCHサービス中のアクティブセットから該当の基地局2−2を削除する判断は、E−DCHをサービスしていない場合の削除判断とは別の判断(例えば、基地局の干渉量情報などを基づく判断)を加えなければ、より最適なアクティブセット(従来のアクティブセット)を選択することができないという問題が生じる。
この問題は、以下の方法にて解決することができる。
基地局制御装置3は、アクティブセットの削除イベントを送信した移動端末1が、現在、E−DCHをサービス中であるか否かを把握している。
E−DCHサービスを実施している場合、上記実施の形態14で示したステップST5010以降(図52含む)の処理を行う。
一方、アクティブセットの削除イベントを送信した移動端末1が、現在、E−DCHサービスを実施していない場合、従来通りの削除処理を行う。
これにより、E-DCHサービス中の移動端末1に対しては、基地局2の干渉量情報などを考慮することにより、E−DCHサービス用により最適なアクティブセットを選択することが可能になる。
実施の形態18.
移動端末1がE−DCHアクティブセット(従来のアクティブセットも同様)の追加条件(更新条件、削除条件も同様)を満足したことにより、追加イベント等を基地局制御装置3に送信しても、基地局制御装置3が何らかの理由で、移動端末1から送信されたイベントを拒否することがある。
その拒否理由としては、既に示した通り、基地局2のバージョン情報、基地局2の干渉量情報などがある。
しかし、基地局制御装置3におけるイベントの拒否理由を移動端末1が知らない場合、移動端末1が該当の基地局2が追加条件等を満たしているために、再度、同じ基地局2に対する追加イベント等を基地局制御装置3に送信するという問題が生じる。
これにより、同じ理由で、基地局制御装置3がイベントを受け付けない判断を行う状況が発生して、基地局制御装置3の負荷が高くなる。また、移動端末1から基地局制御装置3が拒否するイベントが送信され続けられることにより、無線資源の有効活用という点においても問題である。つまり、移動端末1からのイベント抑制という課題がある。
例えば、上記実施の形態12では、基地局制御装置3の判断により、E−DCHアクティブセットを追加・更新しない理由を移動端末1に通知することにより(図48のステップST4709)、上記問題を解決している。
この実施の形態18では、以下のとおり別の解決策を開示している。
従来技術として、移動端末1から基地局制御装置3へのイベント抑制に使用できるパラメータとしては次のようなものがある。
既に規格化3GPP(TS25.331)されている基地局制御装置3から移動端末1へ指定されるオフセット値(Cell individual offset)、即ち、移動端末1において測定される受信レベル(基地局2から送信されるCPICHの受信レベル)に、加算されるオフセット値CIOを用いれば、移動端末1により測定されたCPICHの測定結果を変更することができるため、イベントの発生を抑制することができる。このオフセット値CIOは、基地局制御装置3が基地局2毎に設定することができる。
この実施の形態18では、オフセット値CIOを用いて、イベントの発生を抑制する方法を説明する。
移動端末1は、受信レベルがE−DCHアクティブセットの追加条件を満足している場合、アクティブセットの追加イベントを基地局制御装置3に送信するが(図48のステップST4706)、基地局制御装置3が、例えば、基地局のバージョン情報に基づいて、該当の基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加しないと判断すると(図48のステップST4708)、負の値のオフセット値CIOを指定して、そのオフセット値CIOを移動端末1に送信する。
これにより、オフセット値受信手段を構成している移動端末1のDPCH受信部31(または、P−CCPCH受信部32)は、基地局制御装置3から送信された負の値のオフセット値CIOを受信する。
次回、移動端末1がアクティブセットの追加イベントを発行するか否かを判断するに際して、図48のステップST4705において、受信レベル測定手段を構成している移動端末1のCPICH受信部28が、基地局2から送信されるCPICHの受信レベルを測定する。
オフセット値加算手段を構成している移動端末1のプロトコル処理部41は、DPCH受信部31(または、P−CCPCH受信部32)により受信されたオフセット値CIOをCPICH受信部28により測定されたCPICHの受信レベルに加算する。
加算後の受信レベル
=測定されたCPICHの受信レベル+負の値のオフセット値
イベント送信手段を構成している移動端末1のプロトコル処理部41は、加算後の受信レベルとアクティブセットの追加レベル(追加条件)を比較し(図48のステップST4705)、加算後の受信レベルがアクティブセットの追加レベルを上回ると、アクティブセットの追加イベントを基地局制御装置3に送信する(図48のステップST4706)。
なお、負の値のオフセット値が加算された受信レベルは、加算前の受信レベルより小さくなるため、アクティブセットの追加レベルを上回る可能性が低下し、イベントの発生が抑制される。
また、移動端末1は、受信レベルがE−DCHアクティブセットの削除条件を満足している場合、アクティブセットの削除イベントを基地局制御装置3に送信するが(図48のステップST4706)、基地局制御装置3が、例えば、該当の基地局2−2の干渉マージンが少ないことを理由に、E−DCHアクティブセットから該当の基地局2−2を削除しないと判断すると(図48のステップST4708)、正の値のオフセット値CIOを指定して、そのオフセット値CIOを移動端末1に送信する。
これにより、移動端末1のDPCH受信部31(または、P−CCPCH受信部32)は、基地局制御装置3から送信された正の値のオフセット値CIOを受信する。
次回、移動端末1がアクティブセットの削除イベントを発行するか否かを判断するに際して、図48のステップST4705において、移動端末1のCPICH受信部28が、基地局2から送信されるCPICHの受信レベルを測定する。
移動端末1のプロトコル処理部41は、DPCH受信部31(または、P−CCPCH受信部32)により受信されたオフセット値CIOをCPICH受信部28により測定されたCPICHの受信レベルに加算する。
加算後の受信レベル
=測定されたCPICHの受信レベル+正の値のオフセット値
移動端末1のプロトコル処理部41は、加算後の受信レベルとアクティブセットの削除レベル(削除条件)を比較し(図48のステップST4705)、加算後の受信レベルがアクティブセットの削除レベルを下回ると、アクティブセットの削除イベントを基地局制御装置3に送信する(図48のステップST4706)。
なお、正の値のオフセット値が加算された受信レベルは、加算前の受信レベルより大きくなるため、アクティブセットの削除レベルを下回る可能性が低下し、イベントの発生が抑制される。
この実施の形態18では、基地局制御装置3がE−DCHアクティブセットを追加・更新しない理由を移動端末1に通知するようにしているが(図48のステップST4709)、基地局制御装置3が理由を移動端末1に通知する代わりに、基地局制御装置3が該当の基地局2のオフセット値CIOを設定するようにしてもよいし、移動端末1から基地局制御装置3へのイベントを抑制する目的のパラメータを設定するようにしてもよい。
実施の形態19.
実施の形態18では、従来技術であるオフセット値CIOを用いて、イベントの発生を抑制するものについて示したが、更なる課題が存在する。
従来技術であるオフセット値CIOを用いる場合、そのオフセット値CIOが設定される基地局2の配下にある全ての移動端末1に対して同じ値が設定される。これにより、次のような問題が発生する。
例えば、典型的な不都合な例として、Release6非対応(E−DCHのサービスが不可能)の基地局2の配下に、E−DCHサービス中の移動端末1が近づいてきてE−DCHアクティブセットの追加イベントを基地局制御装置3に通知する場合がある。
この場合、基地局制御装置3は、基地局2−3のバージョン情報に基づいて、該当の基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加しないと判断して、該当の基地局2−3のオフセット値CIOを負の値を設定する。
これにより、該当の移動端末1から送信されるE−DCHアクティブセットの追加イベントが抑制されることになる。
しかし、該当の基地局2−3の配下にあるE−DCHサービスをしていない別の移動端末1についても、該当の基地局2−3には、同じオフセット値CIOを設定することになる。
これにより、別の移動端末1にとって、該当の基地局2−3からのCPICHの受信レベルが、本来は、従来のアクティブセットに追加されるべき値であったとしても、従来のアクティブセットの追加イベントが送信されないという問題が生じる。この場合、別の移動端末1(E−DCHサービスを行っていない端末)の通信品質の劣化を招くことになる。
この課題は、E−DCHサービス中でない移動端末1が反映するパラメータとは別に新しくE−DCHサービス中の移動端末1が反映するパラメータを新設することで解決することができる。
即ち、基地局制御装置3は、負の値又は正の値のオフセット値を移動端末1に送信する際、移動端末1がE−DCHサービスを実施している移動端末であれば、E−DCHサービスを実施していない移動端末とは別のパラメータであるオフセット値を送信するようにする。
これにより、別の移動端末1にとって、該当の基地局2−3からのCPICHの受信レベルが、本来、従来のアクティブセットに追加されるべき値であったとすれば、従来のアクティブセットの追加イベントを送信することができるようになる。
実施の形態20.
E−DCHの非サービング基地局2−2、つまりE−DCHアクティブセットに含まれる基地局(アクティブセットに含まれる基地局も同様に考えられる)は、以下の点において、従来のアクティブセット(E−DCHサービスを行っていない従来のアクティブセット)に含まれる基地局と比較して負荷が高くなる。
負荷が高くなる点としては、まずはシグナリング負荷が上げられる。なぜなら、E−DCHの非サービング基地局2−2となれば、非サービング基地局2−2は、移動端末1に対してDownコマンドを送信するためのE−RGCHや、E−DCHに対するACK/NACKを送信するためのE−HICHを新たに送信する必要があるからである。
また、新たなE−RGCHやE−HICHが送信されることより、無線資源という観点においても負荷が高くなる。
また、別の負荷が高くなる点としては、E−DCHのデコード処理が上げられる。
E−DCHサービスは、DCHサービスと比較して高速になる場合が多いことから、データ量も多く、E−DCHのデコード処理が基地局2の負荷として大きなものになる。
以上のように、基地局の負荷や無線資源の有効活用という観点において、必要以上に、非サービング基地局2−2を増やすべきではないといえる。
既にE−DCHアクティブセットに品質の良い基地局2−1,2−2が含まれている場合を考える。
このような場合には、更なる上りマクロダイバシティによるダイバーシティ効果は必要ない。なぜなら、E−DCHアクティブセットに含まれている基地局内のいずれかの基地局において、E−DCHが正しくデコードされれば、基地局制御装置3は、上りマクロダイバシティにより正しいE−DCHデータを受信することが可能だからである。
移動端末1が上り品質を測定することが困難であるために、以下のような方法が考えられる。
・移動端末1により受信されているCPICHの受信レベルに基づく判断
例えば、移動端末1により受信されているCPICHの受信レベルがある閾値(この閾値は規定値でもよいし、基地局制御装置3からのシグナリングにより与えられる値でもよい)より高い基地局2−1,2−2が存在する場合、その基地局2−1,2−2のE−DCHの受信品質が良好であると考え、更なる基地局2−3をE−DCHアクティブセットに追加する必要はないと考える。上記閾値を閾値Fとして、以下の説明を行う。
図55は移動端末1が追加・更新イベントを送信する際の処理内容を示すフローチャートである。
図55のステップST5404が特徴的な処理内容である。
移動端末1のプロトコル処理部41は、アクティブセットの追加・更新条件を満足しているか否かを判断する(ステップST5401)。
E−DCHアクティブセットの追加条件としては、従来のアクティブセットに含まれている基地局2−3からのCPICHの受信レベルが閾値を超えた場合などが考えられる。この閾値は、規定の値でもよいし、基地局制御装置3からシグナリングにより通知された値でもよい。
また、E−DCHアクティブセットの更新条件としては、従来のアクティブセットに含まれている基地局2−3からのCPICHの受信レベルがE−DCHアクティブセット内の基地局2−1,2−2からのCPICHの受信レベルを超えた場合などが考えられる。
移動端末1のプロトコル処理部41は、アクティブセットの追加・更新条件を満足している場合、E−DCHアクティブセットに含まれている基地局2の個数が最大個数(例えば、3個)を超えているか否かを判定する(ステップST5402)。
移動端末1のプロトコル処理部41は、E−DCHアクティブセットに含まれている基地局2の個数が最大個数を超えている場合、更新イベントを基地局制御装置3に送信する(ステップST5403)。
閾値保持手段及びレベル比較手段を構成している移動端末1のプロトコル処理部41は、予め、CPICHの受信レベルが良好であるレベルを示す閾値Fを保持しており、E−DCHアクティブセット内の基地局2−1,2−2の中に、CPICH受信部28により測定されたCPICHの受信レベルが閾値F以上の基地局2−1,2−2が存在しているかを判断する(ステップST5404)。
この閾値Fは、規定の値でもよいし、基地局制御装置3からシグナリングにより通知された値でもよい。
イベント送信手段を構成している移動端末1のプロトコル処理部41は、CPICHの受信レベルが閾値F以上の基地局2−1,2−2が存在している場合、上りマクロダイバシティによるダイバーシティ効果は、これ以上必要ないので、更なる非サービング基地局2−2の追加を行わず、非サービング基地局2−2の更新を行うことにする。
このため、プロトコル処理部41がE−DCHアクティブセットの更新イベントを基地局制御装置3に送信する(ステップST5403)。
この高品質な基地局2−1,2−2は、サービング基地局2−1になることが多いと考えられるので、ステップST5404において、E−DCHアクティブセットに含まれている全ての基地局2の受信レベルを判断する代わりに、サービング基地局2−1の受信レベルのみを判断するようにしてもよい。
移動端末1のプロトコル処理部41は、CPICHの受信レベルが閾値F以上の基地局2−1,2−2が存在していない場合、E−DCHアクティブセットの追加イベントを基地局制御装置3に送信する(ステップST5405)。
これにより、既に高品質な基地局2−1,2−2がE−DCHアクティブセットに含まれている場合には、更なる非サービング基地局2−2の追加が行われないことになり、基地局の負荷軽減や無線資源の有効活用という効果が得られる。
以上のように、この発明に係る移動体通信システムは、干渉量が許容量を超えている基地局が移動端末から送信されるデータの送信電力を制御できるようにして、伝送品質の劣化を抑制する必要性が高いものに適している。
この発明の実施の形態1による移動体通信システムを示す構成図である。 この発明の実施の形態1による移動体通信システムの移動端末を示す構成図である。 この発明の実施の形態1による移動体通信システムの基地局を示す構成図である。 この発明の実施の形態1による移動体通信システムの基地局制御装置を示す構成図である。 従来のアクティブセット(ソフトハンドオーバー用アクティブセット)とE−DCHのアクティブセットの違いを示す説明図である。 移動端末が基地局をE−DCH用のアクティブセットに含めるか否かを判断する際の処理内容を示すフローチャートである。 基地局の干渉量と干渉マージンを示す概念図である。 この発明の実施の形態1による移動体通信システムのチャネル構成図である。 基地局が干渉量を移動端末に通知するシーケンスを示すシーケンス図である。 移動端末が基地局をE−DCHアクティブセットに追加するか否かを判断する処理内容を示すフローチャートである。 移動体通信システムのシーケンスを示すシーケンス図である。 移動端末におけるE−DCHアクティブセットの追加処理を示すフローチャートである。 移動端末におけるE−DCHアクティブセットの削除処理を示すフローチャートである。 基地局におけるE−DCHアクティブセットの追加処理を示すフローチャートである。 基地局におけるE−DCHアクティブセットの削除処理を示すフローチャートである。 基地局制御装置が基地局をE−DCHアクティブセットに追加するか否かを判断する際の移動体通信システムのシーケンスを示すシーケンス図である。 基地局制御装置が基地局をE−DCHアクティブセットに追加するか否かを判断する処理内容を示すフローチャートである。 基地局制御装置が基地局をE−DCHアクティブセットに追加するか否かを判断する処理内容を示すフローチャートである。 移動端末が基地局をE−DCHアクティブセットから削除するか否かを判断する際の処理内容を示すフローチャートである。 移動端末が基地局をE−DCHアクティブセットから削除するか否かを判断する処理内容を示すフローチャートである。 移動体通信システムのシーケンスを示すシーケンス図である。 基地局制御装置がE−DCHアクティブセットの削除を指示する際の移動体通信システムのシーケンスを示すシーケンス図である。 基地局が自局をE−DCHアクティブセットから削除するか否かを判断する処理内容を示すフローチャートである。 マクロダイバシティの効果を考慮してE-DCHアクティブセットを変更する処理内容を示すフローチャートである。 E−DCHのアクティブセットを追加する際の移動体通信システムのシーケンスを示すシーケンス図である。 移動端末がマクロダイバシティの効果を高めるか否かを判定する処理内容を示すフローチャートである。 E−DCHのアクティブセットを削除する際の移動体通信システムのシーケンスを示すシーケンス図である。 移動端末がマクロダイバシティの効果を高めているか否かを判定する処理内容を示すフローチャートである。 E−DCHのアクティブセットを削除する際の移動体通信システムのシーケンスを示すシーケンス図である。 基地局制御装置がマクロダイバシティの効果を高めているか否かを判定する処理内容を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態8に係る通信システムを構成する基地局制御装置のブロック図である。 Rel6に対応した基地局の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態8に係る通信システムにおけるソフトハンドオーバー制御処理を説明するフローチャートである。 バージョンの異なる基地局間でソフトハンドオーバー中にE−DCHを設定する処理を示す概念図である。 アクティブセット決定処理の詳細を示すフローチャートである。 アクティブセット更新処理の詳細を説明するフローチャートである。 通信品質評価処理の詳細を示すフローチャートである。 通信品質評価処理の詳細を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態9に係る通信システムを構成する移動端末のブロック図である。 この発明の実施の形態9に係る通信システムにおけるソフトハンドオーバー制御処理を説明するフローチャートである。 基地局制御装置が移動端末に通知する基地局バージョン情報を説明する説明図である。 移動端末が実行するアクティブセット決定処理を説明するフローチャートである。 この発明の実施の形態10に係る移動体通信システムにおけるソフトハンドオーバー制御処理を説明するフローチャートである。 この発明の実施の形態11に係る移動体通信システムにおけるソフトハンドオーバー制御処理を説明するフローチャートである。 W−CDMA方式を用いる移動体通信システムの構成を説明する説明図である。 移動端末と基地局間で無線通信を行うためのチャネルを説明する説明図である。 この発明の実施の形態12による移動体通信システムの基地局制御装置を示す構成図である。 基地局制御装置が基地局をE−DCHアクティブセットに追加するか否かを判断する際の移動体通信システムのシーケンスを示すシーケンス図である。 基地局制御装置が干渉量情報に基づいて基地局をE−DCHアクティブセットに追加するか否かを判断する処理内容を詳細に示すフローチャートである。 移動端末が基地局のバージョンを判断する際の移動体通信システムのシーケンスを示すシーケンス図である。 基地局制御装置が該当の基地局をE−DCHアクティブセットから削除するか否かを判断する際の移動体通信システムのシーケンスを示すシーケンス図である。 基地局制御装置が該当の基地局をE−DCHアクティブセットから削除するか否かを判断する処理内容の詳細を示すフローチャートである。 基地局制御装置が基地局をE−DCHアクティブセットに追加するか否かを判断する際の移動体通信システムのシーケンスを示すシーケンス図である。 移動端末が基地局のバージョンを判断する際の移動体通信システムのシーケンスを示すシーケンス図である。 移動端末が追加・更新イベントを送信する際の処理内容を示すフローチャートである。
符号の説明
1,400,1500 移動端末、2,2−3,1501 基地局、2−1 サービング基地局、2−2 非サービング基地局、3,1502 基地局制御装置、11,51,204,906 変調部、12,52,205,907 電力増幅部、13,53,206,908 アンテナ、14,54,207,909 低雑音増幅部、15,55,208,910 復調部、16,56,81,100,200,900 制御部、17 送信バッファ、18,73,202,903 DPCH送信部、19 電力管理部、20 送信レート制御部、21 HARQ処理部、22 スケジューリング要求情報作成部、23 エンコーダ部、24,905 E―DCH送信部、25 E−DPCCH送信部、26 E−HICH受信部、27 再送制御部、28,911 CPICH受信部、29 E−AGCH受信部、30 E−RGCH受信部、31,209,919 DPCH受信部、32 P−CCPCH受信部、33,86 アクティブセット管理部、34,87,107,916 アクティブセット制御部、35,70,89 E−DCHアクティブセット管理部、36 相関算出部、37,91 応答信号カウント部、38,71,92 E−DCHアクティブセット制御部、39 ステップ幅管理部、40 SG管理部、41,57,201,901 プロトコル処理部、58 DPCCH受信部、59 DPDCH受信部、60,211 E−DPCCH受信部、61 スケジューリング要求情報復号部、62 E−DPDCH受信部、63 バッファ、64 復号部、65 干渉量測定部、66 SIR算出部、67 TPCコマンド生成部、68 干渉量通知部、69 RSN抽出部、72 P−CCPCH送信部、74 HARQ制御部、75 上りスケジューラ、76 E−AGCH送信部、77 E−RGCH送信部、78 E−HICH送信部、79 シグナリング測定部、82,101 伝送制御部、83,102 無線資源管理部、84 干渉量保管部、85 パスロス保管部、88 AG管理部、90 シグナリング負荷保管部、103 アクティブセット品質情報管理部、104,914 基地局バージョン情報管理部、105,915 アクティブセット情報管理部、106 イベント受信部、108,918 基地局バージョン情報判定部、203 CPICH送信部、210 E−DCH受信部、212 上り品質測定部、213 スケジューリング情報処理部、214 スケジューリング情報保管部、401 Rel6対応の基地局、402 R99対応の基地局、403,404,1600 DCH、405,1602 E−DCH、902 DPCH(Dedicated Physical CHannel)追加/削除部、904 E―DCH追加/削除部、912 報知情報受信部、913 パスロス測定部、917 イベント発生部、920 検出部、1601 HS−DSCH。

Claims (1)

  1. E−DCHアクティブセットに含まれている基地局に関する通信品質の測定量と、E−DCHアクティブセットに含まれていないがDCHアクティブセットに含まれている基地局に関する通信品質の測定量とを比較する品質比較ステップと、
    前記品質比較ステップにおける比較結果として、E−DCHアクティブセットに含まれていないがDCHアクティブセットに含まれている基地局に関する通信品質が、E−DCHアクティブセットに含まれている基地局に関する通信品質よりも良くなった場合、E−DCHアクティブセットに含まれていた前記基地局をE−DCHアクティブセットから削除して、E−DCHアクティブセットに含まれていなかったがDCHアクティブセットに含まれていた基地局をE−DCHアクティブセットに追加するために、その事象が発生したことを通知する通知ステップと、
    を含むことを特徴とするアクティブセット制御方法。
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