JP2007137172A - Pneumatic tire - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、空気入りタイヤに関し、特に、タイヤ周方向に延びる補強素子が埋設されたベルト強化層をベルト層に重ね合わせて配置した空気入りタイヤに関する。 The present invention relates to a pneumatic tire, and more particularly to a pneumatic tire in which a belt reinforcing layer in which a reinforcing element extending in the tire circumferential direction is embedded is superimposed on the belt layer.
空気入りタイヤは、一般に、クラウン部のカーカス層の外周に、剛性の高い補強素子が埋設された1枚以上のベルトプライからなるベルト層が設けられている。このベルト層は、カーカス層を保護するだけでなく空気入りタイヤを径方向に圧縮する役目をしており、周方向の剛性を保ちいわゆるたが効果を発揮する。しかし、このような構造の空気入りタイヤでは、回転速度が速くなる高速走行時に、大きな遠心力が作用してタイヤのクラウン部がタイヤ半径方向(以下、単に半径方向という)外側に膨張変形し、操縦安定性が低下することがある。 In general, a pneumatic tire is provided with a belt layer including one or more belt plies in which a stiff reinforcing element is embedded in the outer periphery of a carcass layer in a crown portion. This belt layer not only protects the carcass layer, but also serves to compress the pneumatic tire in the radial direction, and maintains the circumferential rigidity and exhibits the so-called effect. However, in a pneumatic tire having such a structure, during high-speed running at a high rotational speed, a large centrifugal force acts and the crown portion of the tire expands and deforms outward in the tire radial direction (hereinafter simply referred to as the radial direction). Maneuvering stability may be reduced.
そこで、従来、クラウン部のベルト層にベルト強化層を重ね合わせて配置し、クラウン部を強化して遠心力による膨張変形等を抑制した空気入りタイヤが知られている(特許文献1参照)。 Therefore, conventionally, a pneumatic tire is known in which a belt reinforcing layer is disposed so as to overlap with a belt layer of a crown portion, and the crown portion is reinforced to suppress expansion deformation due to centrifugal force (see Patent Document 1).
図3は、特許文献に記載されたものではないが、このようなベルト強化層20を備えた空気入りタイヤ91の一例を示すタイヤ幅方向半断面図である。
この空気入りタイヤ91は、図示のように、クラウン部2に、一対のビードコア5間をトロイダル状に延びる少なくとも1枚のカーカスプライからなるカーカス層3と、その外周側に設けられたトレッド4とを有し、それらの間に、半径方向に重ねて配置された2枚のベルトプライ11、12からなるベルト層10と、その半径方向外側に配置された1枚の強化プライからなるベルト強化層20とを備えている。
FIG. 3 is a half cross-sectional view in the tire width direction showing an example of a
As shown in the figure, this
ベルト層10は、半径方向内側のベルトプライ12が外側のベルトプライ11よりも幅広に形成され、それらの内部には、タイヤ赤道面Sに対してそれぞれ逆方向に傾斜して延びるスチール等からなる複数本の補強素子が埋設されている。一方、ベルト強化層20は、ベルト層10よりも幅広に形成され、その両端部を覆ってクラウン部2の端部付近まで配置されている。また、ベルト強化層20は、その内部にタイヤ周方向(以下、単に周方向という)に延びる補強素子が埋設されており、この補強素子により周方向の変形が抑制されるため、同方向の伸びが非常に小さいという特徴を有する。
The
従って、この従来の空気入りタイヤ91では、ベルト強化層20により周方向の剛性を向上させることができるため、クラウン部2を押さえ付ける前記たが効果が高まり、遠心力による膨張変形を抑制して高速走行時の空気入りタイヤ91の操縦安定性やトラクション性、及び耐久性を大きく向上できる。
Therefore, in this conventional
このような効果に着目して、近年では、トラック・バス用タイヤや自動二輪車用タイヤ等の乗用車用以外の種々の空気入りタイヤにおいても、同様に、ベルト強化層20を設けることが行われている。このベルト強化層20の補強素子としては、ナイロンや芳香族ポリアミド等の有機繊維やスチール等からなるコードが一般的であり、中でも芳香族ポリアミドやスチールは、高温時においても伸張し難くクラウン部2の膨張変形を効果的に抑制できるため、近年、特に注目されている。
Focusing on such effects, in recent years, the
しかしながら、このような構造を有する空気入りタイヤ91では、以下で説明するように、ベルト強化層20の周方向の変形に対する剛性の高さ等に起因して、ベルト層10とカーカス層3との間に亀裂(セパレーション)が生じやすくなり、また、カーカス層3のカーカスプライを構成するカーカスコード等の補強素子が切断されやすくなるという問題がある。
However, in the
即ち、空気入りタイヤ91の丸いクラウン部2は、接地時に路面形状に合わせてタイヤ幅方向(以下、単に幅方向という)等の変形を受けて平面状に変形する。このとき、ベルト層10及びベルト強化層20にも同様の接地面内の変形が生じるが、ベルト層10は、周方向に変形し難いベルト強化層20に半径方向外側から覆われているため、ベルト強化層20に押え付けられて変形が抑制され、接地時の周方向の伸びが非常に小さくなる。
That is, the
一方、カーカス層3は、ベルト強化層20の幅方向外側端部を境界に、ベルト強化層20に重なる内側では同様に周方向の伸びが抑制されるが、その外側では抑制されずに大きな伸びが発生する。特に、カーカスプライの補強素子がタイヤ赤道面Sに対して90度、即ち幅方向に延びるラジアル構造のカーカス層3では、補強素子間のゴムが伸びることで周方向に容易に変形し、接地時の伸びがより大きくなる。また、この伸びは、接地面のタイヤ回転方向先方部(踏み込み部)とタイヤ回転方向後方部(蹴り出し部)で特に大きくなる。
On the other hand, the
このベルト層10とカーカス層3の伸びの差により、その間のゴムに大きなせん断歪みが繰り返し発生する結果、この従来の空気入りタイヤ91では、各層10、3間のゴムにセパレーションが生じやすく、耐久性が低下する恐れがある。特に、層間ゴムに生じるせん断歪みは、幅広なベルトプライ12の両端部付近とカーカス層3の間で最大となり、その部分でセパレーションが発生する恐れが最も大きくなる。
Due to the difference in elongation between the
また、この空気入りタイヤ91では、製造工程の一部である加硫成型工程において、ベルト層10とカーカス層3間の距離が近くなり、セパレーション等の故障が生じやすくなるという問題もある。
即ち、加硫成型工程では、未加硫のグリーンタイヤ(生タイヤ)を金型(モールド)内に装入した後、グリーンタイヤの内側から熱と圧力を加えて加硫成型して所定形状の製品タイヤ91を製造する。この金型内の圧力で、グリーンタイヤは、2%から7%程度、外方向に拡張して金型内周面に押し付けられて型付けされる。このとき、周方向に伸び難いベルト強化層20は、殆ど拡張しないのに対し、ベルト層10やカーカス層3は、タイヤ赤道面Sに対して傾斜した補強素子を有するため、補強素子間のゴムが周方向に伸びる等して拡張する。
In addition, the
That is, in the vulcanization molding process, an unvulcanized green tire (raw tire) is inserted into a mold (mold), and then vulcanized and molded by applying heat and pressure from the inside of the green tire to obtain a predetermined shape. A
しかしながら、ベルト層10は、上記したように、ベルト強化層20により周方向の伸び、即ち拡張が抑制されるため、拡張するカーカス層3に押されてその間の未加硫ゴムに圧力が生じる。この圧力により、層間のゴムが、ベルト層10及びベルト強化層20の補強素子間から半径方向外側に押し出されて移動したり、或いはベルト層10の内周に沿って幅方向外側に流動する等して、ベルト層10とカーカス層3の間から流出しやすくなる。これは、加熱された未加硫ゴムが極めて柔らかい流動体であるのに対して、ベルト層10やベルト強化層20が内部の補強素子により流動できないために生じる現象であり、主にゴムの流動性が高い加硫初期に生じる。
However, as described above, since the
このゴムの流出は、特に、ベルト層10の端部付近で起こりやすく、従って、この空気入りタイヤ91では、カーカス層3とベルト層10、特にその端部との距離が接近する傾向にある。その結果、上記した層間ゴムに生じる周方向のせん断歪みが大きくなり、セパレーションがより生じやすくなる。また、転動時にベルト層10の端部が動いてカーカス層3に接触し、その補強素子が切断される恐れもある。更に、ベルト層10の補強素子がスチール等の金属からなる場合には、ベルト層10の端部に硬く剛性の高い切断面が位置するため、端部の伸びや移動がより小さくなる等して層間ゴムが流出しやすくなり、また、カーカス層3が押し付けられてその距離が更に接近し、ベルト層10の端部がカーカス層3に接触、又は食い込む恐れもある。従って、この場合には、セパレーションやカーカス層3の切断がより生じやすくなる。
This outflow of rubber is likely to occur particularly in the vicinity of the end of the
このような問題に対処する方法の1つとして、ベルト層10の両端部とカーカス層3との間にゴム層を設け、各層10、3間の距離を確保する方法が考えられる。これにより、各層10、3の周方向の伸びの差が大きい場合であっても、層間ゴムに生じるせん断歪みを低く抑えることができ、セパレーションの発生を抑制できる。また、ベルト層10の端部がカーカス層3に接触等するのを防止して、カーカス層3の切断を抑制できる。しかしながら、加硫前にベルト層10とカーカス層3の間にゴム層を配置しても、上記したように加硫成型時に流出してしまうことが多く、このような構造の空気入りタイヤ91を製造することは極めて難しい。
As one method for dealing with such a problem, a method of providing a rubber layer between both ends of the
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、ベルト層とカーカス層間のセパレーションやカーカス層の切断等の発生を抑制して空気入りタイヤの耐久性を向上させることである。 The present invention has been made in view of the above-described conventional problems, and its object is to improve the durability of a pneumatic tire by suppressing the occurrence of separation between the belt layer and the carcass layer, the cutting of the carcass layer, and the like. It is.
請求項1の発明は、一対のビードコアと、該ビードコア間をトロイダル状に延びるカーカス層と、該カーカス層のクラウン部の外周側に配置されたトレッドとを備えた空気入りタイヤであって、前記カーカス層と前記トレッドの間に、補強素子を有するベルトプライからなるベルト層と、該ベルト層のタイヤ半径方向外側に該ベルト層の両端部を覆って配置された、該ベルト層よりも幅広で実質上タイヤ周方向に延びる補強素子を有する少なくとも1枚の強化プライからなるベルト強化層と、前記ベルト層と前記カーカス層との間に前記ベルト層のタイヤ幅方向外側の端部を跨いで配置された補強素子を有する狭幅の補強層と、を備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載された空気入りタイヤにおいて、前記ベルト層が、金属製の補強素子を有するベルトプライを少なくとも1枚備えていることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載された空気入りタイヤにおいて、前記ベルトプライの補強素子が、タイヤ赤道面に対して15度から70度の角度で傾斜していることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載された空気入りタイヤにおいて、前記狭幅の補強層の補強素子が、タイヤ赤道面に対して20度から90度の角度で傾斜していることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載された空気入りタイヤにおいて、前記狭幅の補強層の補強素子が、隣接する前記ベルトプライの補強素子とタイヤ赤道面に対して逆方向に傾斜していることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載された空気入りタイヤにおいて、前記狭幅の補強層のタイヤ幅方向の幅が、20mmから70mmであることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載された空気入りタイヤにおいて、前記狭幅の補強層の補強素子が、有機繊維からなることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項7に記載された空気入りタイヤにおいて、前記有機繊維が、芳香族ポリアミドからなることを特徴とする。
The invention of claim 1 is a pneumatic tire comprising a pair of bead cores, a carcass layer extending in a toroidal shape between the bead cores, and a tread disposed on an outer peripheral side of a crown portion of the carcass layer, Between the carcass layer and the tread, a belt layer composed of a belt ply having a reinforcing element, and a belt layer disposed on the outer side in the tire radial direction of the belt layer so as to cover both ends of the belt layer and wider than the belt layer. A belt reinforcing layer composed of at least one reinforcing ply having a reinforcing element extending substantially in the tire circumferential direction, and the belt layer and the carcass layer are disposed across the end of the belt layer on the outer side in the tire width direction. And a narrow reinforcing layer having the reinforcing element formed.
According to a second aspect of the present invention, in the pneumatic tire according to the first aspect, the belt layer includes at least one belt ply having a metal reinforcing element.
According to a third aspect of the present invention, in the pneumatic tire according to the first or second aspect, the reinforcing element of the belt ply is inclined at an angle of 15 degrees to 70 degrees with respect to the tire equatorial plane. And
The invention according to
According to a fifth aspect of the present invention, in the pneumatic tire according to any one of the first to fourth aspects, the reinforcing element of the narrow reinforcing layer is connected to the reinforcing element of the adjacent belt ply and the tire equatorial plane. Inclined in the opposite direction.
A sixth aspect of the present invention is the pneumatic tire according to any one of the first to fifth aspects, wherein a width of the narrow reinforcing layer in a tire width direction is 20 mm to 70 mm.
A seventh aspect of the present invention is the pneumatic tire according to any one of the first to sixth aspects, wherein the reinforcing element of the narrow reinforcing layer is made of an organic fiber.
The invention according to
(作用)
本発明によれば、ベルト層よりも幅広で実質上周方向に延びる補強素子を有するベルト強化層をベルト層の半径方向外側に配置し、ベルト層等を外周側から押さえ付けて、高速転動時の遠心力で生じるクラウン部の膨張変形や、ベルト層が下層の部材から剥がれようとするのを抑制する。また、補強素子を有する狭幅の補強層を、ベルト層とカーカス層との間にベルト層の端部を跨いで配置し、その間の距離を確保して層間のせん断歪みを低下させるとともに、ベルト層の端部がカーカス層に接触等するのを防止する。
(Function)
According to the present invention, the belt reinforcing layer having the reinforcing element that is wider than the belt layer and extends substantially in the circumferential direction is disposed on the outer side in the radial direction of the belt layer, and the belt layer is pressed from the outer peripheral side to perform high-speed rolling. Suppresses expansion and deformation of the crown portion caused by the centrifugal force and the belt layer from peeling off from the lower layer member. In addition, a narrow reinforcing layer having a reinforcing element is disposed between the belt layer and the carcass layer so as to straddle the end of the belt layer, ensuring a distance therebetween, and reducing the shear strain between the layers. It prevents the end of the layer from coming into contact with the carcass layer.
本発明によれば、ベルト層とカーカス層間のセパレーションやカーカス層の切断等の発生を抑制できるため、空気入りタイヤの耐久性を向上させることができる。 According to the present invention, the separation of the belt layer and the carcass layer, the occurrence of cutting of the carcass layer, and the like can be suppressed, so that the durability of the pneumatic tire can be improved.
以下、本発明の空気入りタイヤの一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の空気入りタイヤ1の幅方向半断面図であり、図2は、この空気入りタイヤ1のクラウン部2の構造を模式的に示す一部破断平面展開図である。
Hereinafter, an embodiment of a pneumatic tire of the present invention will be described with reference to the drawings.
FIG. 1 is a half-sectional view in the width direction of the pneumatic tire 1 of the present embodiment, and FIG. 2 is a partially broken plan development view schematically showing the structure of the
この空気入りタイヤ1は、高い性能が要求される例えば乗用車等に装着される空気入りラジアルタイヤであり、図1に示すように、半径方向内側(図では下側)に位置する一対のビード部6と、ビード部6から略半径方向外側(図では上側)に向かってそれぞれ延びるサイドウォール部7と、両サイドウォール部7の半径方向外側の端部同士を連結する略円筒状のクラウン部2とを備える。
The pneumatic tire 1 is a pneumatic radial tire that is mounted on, for example, a passenger car or the like that requires high performance. As shown in FIG. 1, a pair of bead portions are located on the radially inner side (lower side in the figure). 6, a
また、この空気入りタイヤ1は、図3に示す前記従来の空気入りタイヤ91と同様に、ビード部6の半径方向内側端部付近に埋設された一対のビードコア5と、ビードコア5周りに折り返され、かつ一対のビードコア5間に渡って延びるカーカス層3と、クラウン部2の外周側に設けられ、リブ溝50等からなるトレッドパターンが形成されたトレッド4とを備える。加えて、クラウン部2のカーカス層3とトレッド4との間に、カーカス層3の外周側に隣接して配置された少なくとも1枚(図では2枚)のベルトプライ11、12からなるベルト層10と、ベルト層10の半径方向外側に配置された少なくとも1枚(図では1枚)の強化プライからなるベルト強化層20とを備える。しかしながら、この空気入りタイヤ1では、カーカス層3とベルト層10の幅方向両端部間のそれぞれに狭幅な補強層30を備えている点で、前記従来の空気入りタイヤ91と相違する。
Further, the pneumatic tire 1 is folded around a pair of
カーカス層3は、図1に示すように、ビード部6からサイドウォール部7とクラウン部2内を通ってトロイダル状に延びるととともに、ビードコア5を包み込むように、ビードコア5の周りを幅方向内側から外側に向かって折り返して半径方向外側に向かって巻き上げられて配置されている。このカーカス層3は、少なくとも1枚のカーカスプライから構成され、図2に示すように、カーカスプライの内部には実質上ラジアル方向、即ちタイヤ赤道面Sに対する角度が90度である幅方向に延びる非伸張性の補強素子9、例えばスチールコードやナイロンコード等が複数本埋設されている。
As shown in FIG. 1, the
ベルト層10は、図1に示すように、タイヤ赤道面Sから幅方向両外側に向かって、それぞれ略等しい長さに渡って延びる2枚のベルトプライ11、12から構成されている。ベルトプライ11、12の内部には、図2に示すように、タイヤ赤道面Sに対して所定の角度で傾斜して延びる非伸張性の補強素子15、例えばスチール等の金属や芳香族ポリアミド等の有機繊維からなるコードが複数本埋設されている。
As shown in FIG. 1, the
本実施形態のベルト層10は、図1に示すように、半径方向外側のベルトプライ11と、それよりも幅広な内側のベルトプライ12を、半径方向に重ね合わせて形成されている。また、各ベルトプライ11、12は、互いに交錯する、即ち、図2に示すように、それぞれの補強素子15がタイヤ赤道面Sに対して互いに逆方向に傾斜している。
As shown in FIG. 1, the
ここで、補強素子15として、比較的剛性が低く柔軟性を有する有機繊維コードを用いた場合には、剛性が高い金属からなる補強素子15を用いた場合に比べて、ベルト層10が内圧充填時や接地時等に柔軟に変形できるため、その端部に過大な張力等が掛かることがより少なくなり、周方向の変形等に対しても柔軟に追従できる。その結果、上記したベルト層10の端部とカーカス層3との間のゴムに生じる周方向のせん断歪みも過大にならず、セパレーション等がより生じ難い。
Here, when the organic fiber cord having relatively low rigidity and flexibility is used as the reinforcing
しかしながら、金属からなる補強素子15は、有機繊維コードに比べて圧縮変形に対する剛性が高いため、ベルト層10の面内せん断剛性も高くなり、接地時にクラウン部2が過大に変形するのが抑制されて操縦安定性がより高くなるという利点を有する。本実施形態のベルト層10では、この利点を考慮してスチールコード等の金属からなる補強素子15により各ベルトプライ11、12を形成している。
However, since the reinforcing
なお、金属製のベルトプライが1枚あればベルト層10の面内せん断剛性を充分高めることができるため、このベルト層10のように2枚、又はそれ以上のベルトプライからなるベルト層10では、1枚のベルトプライを金属製の補強素子15により形成すれば、他のベルトプライは、芳香族ポリアミド等の有機繊維からなる補強素子15により形成してもよい。
In addition, since the in-plane shear rigidity of the
ベルト強化層20は、図1に示すように、タイヤ赤道面Sから幅方向両外側に向かって略等しい長さに渡って延びる1枚の強化プライから構成され、その内部には、図2に示すように、実質上周方向に延びる補強素子25、例えばスチール等の金属や芳香族ポリアミド等の有機繊維からなるコードが埋設されている。このベルト強化層20は、ベルト層10の幅広なベルトプライ12よりも幅広に形成され、クラウン部2両端部のショルダー部(肩部)8付近まで、ベルト層10の両端部を半径方向外側から覆って配置されている。
As shown in FIG. 1, the
ここで、ベルト強化層20は、例えば1本又は複数本の並列な補強素子25をゴムで被覆したストリップ状の部材を、ベルト層10の外周に螺旋状(スパイラル状)に巻き付ける等して形成される。また、補強素子25は、図2に示すように、直線状の補強素子25を実質上周方向に向けて配置してもよく、また、ベルト強化層20の表裏面に平行な平面内において、例えば方形、三角形、正弦波形等の波形やジグザグ状に屈曲した補強素子25を同一位相で、その振幅の中心線が実質上周方向を向くように配置してもよい。従って、補強素子25の延在方向である実質上周方向には、周方向のみならず、以上のようにベルト強化層20を形成した場合の補強素子25、又はその振幅の中心線の延在方向を含む。
Here, the
各補強層30は、図1に示すように、ベルト層10とカーカス層3との間に、その幅方向外側端部がベルト層10(ベルトプライ12)の幅方向外側端部よりも幅方向外側に、かつ、幅方向内側端部が、ベルト層10の幅方向外側端部よりも幅方向内側に位置するように、ベルト層10のそれぞれの端部を跨いで配置されている。各補強層30は、1枚の補強プライからなり、図2に示すように、内部にタイヤ赤道面Sに対して所定の角度で傾斜して延びる非伸張性の補強素子35が複数本埋設されている。本実施形態では、この各補強素子35を、隣接するベルトプライ12の各補強素子15と、タイヤ赤道面Sに対して逆方向に傾斜させて互いに交錯させている。
As shown in FIG. 1, each reinforcing
ここで、補強層30の補強素子35としては、例えば引張強度等に優れるスチールコード等の金属からなる補強素子35を用いてもよいが、有機繊維からなる補強素子35を用いるのがより好ましい。有機繊維からなる補強素子35の場合には、クラウン部2が変形する転動時等に、隣接するベルト層10内の補強素子15やカーカス層3内の補強素子9とゴムを挟んで互いに擦れ合っても、繊維自体が硬くないため層間のゴムを削るようなことが少なく、セパレーションをより確実に抑制できるという利点を有する。特に、補強素子35を芳香族ポリアミドからなる有機繊維で形成した場合には、他の有機繊維に比べて耐熱性に優れるため、高速転動時に高温となるベルト層10の端部に配置しても、溶解せずにその機能を発揮する。
Here, as the reinforcing
なお、上記したようにグリーンタイヤの加硫成型時に、補強層30には、半径方向内側の拡張するカーカス層3に押されて、半径方向外側の拡張しないベルト層10等に向かう圧力が加えられる。しかし、補強層30は、内部に複数本の補強素子35を有するため、この圧力によっても流動しにくく、その結果、周囲のゴムの流動も抑制され、加硫成型後も各層3、10間のゴムを確保しつつ、ほぼ同位置に残留する。
Note that, as described above, during the vulcanization molding of the green tire, the reinforcing
本実施形態の空気入りタイヤ1は、以下で説明する種々の特長を有する。
まず、ベルト層10を構成するベルトプライ11、12の少なくとも1枚に、圧縮変形に対する剛性の高い金属からなる補強素子15を埋設したため、ベルト層10の面内せん断剛性を高くでき、接地時等にクラウン部2が過大に変形するのを抑制して操縦安定性を向上できる。同時に、その補強素子15をタイヤ赤道面Sに対して傾斜させたため、幅方向の曲げ変形等に対しても剛性が高くなり操縦安定性を維持できる。また、このベルト層10では、各ベルトプライ11、12に、タイヤ赤道面Sに対してそれぞれ逆方向に傾斜して延びる補強素子15を埋設したため、それぞれの面内せん断変形の向きが逆になり、互いに変形を抑制し合って面内せん断剛性が高くなり操縦安定性をより向上できる。
The pneumatic tire 1 of this embodiment has various features described below.
First, since the reinforcing
ここで、このベルト層10のように、2枚のベルトプライ11、12の補強素子15を逆方向に傾斜させた場合には、各補強素子15のタイヤ赤道面Sに対する傾斜角度が45度から60度のときにベルト層10の面内せん断剛性が最大となり、特に操舵初期のタイヤの操縦安定性が向上する。しかし、本実施形態の空気入りタイヤ1のように、ベルト層10に加えて周方向に延びる補強素子25を有するベルト強化層20を設けた場合には、ベルトプライ11、12の補強素子15の傾斜角度の範囲を広くしても、充分に大きな面内せん断剛性を得ることができる。
Here, when the reinforcing
しかしながら、補強素子15の傾斜角度が15度未満である場合には、2枚のベルトプライ11、12内の各補強素子15間の角度差が小さくなりすぎることに加えて、ベルト強化層20の補強素子25との角度差も小さくなりすぎるため、充分なベルト層10の面内せん断剛性を得られない恐れがある。逆に、補強素子15の傾斜角度が大きい場合、例えば90度である場合には、各ベルトプライ11、12の補強素子15が幅方向を向いて互いに平行になる結果、ベルト層10の面内せん断剛性が低下し、ベルト層10が幅方向にせん断されやすくなる。同様に、傾斜角度が70度よりも大きい場合には、2枚のベルトプライ11、12同士の角度差が小さすぎて充分な面内せん断剛性が得られず、操縦安定性が低下する恐れがある。
However, when the inclination angle of the reinforcing
従って、ベルト層10の補強素子15のタイヤ赤道面Sに対する傾斜角度は、15度から70度であることが好ましい。この範囲内であれば、ベルト強化層20の補強素子25、又は他のベルトプライの補強素子15との交錯角度が適切になり、ベルト層10の面内せん断剛性を高めて操縦安定性の低下を防止できる。
Therefore, the inclination angle of the reinforcing
また、ベルト強化層20をベルト層10の両端部を覆って半径方向外側に配置したため、高速転動時の遠心力で下層の部材から剥がれようとするベルト層10全体を押さえ付けて、その剥離やセパレーション等を効果的に抑制できるとともに、クラウン部2の膨張変形を抑制する効果も大きくなる。加えて、ベルト強化層20を幅広に形成して、クラウン部2のショルダー部8付近まで配置したため、クラウン部2の端部まで周方向の剛性を高めることができ、その部分の遠心力による膨張変形を確実に抑制できる。その結果、クラウン部2全体の路面との接地圧を均一化でき、接地圧上昇に伴う発熱を防止してクラウン部2の熱による故障の発生を抑制できる。このように、ベルト強化層20により、操縦安定性やトラクション性を維持しつつ、セパレーション等の故障の発生を抑制して空気入りタイヤ1の耐久性を向上できる。
Further, since the
更に、補強層30を、ベルト層10とカーカス層3との間に、ベルト層10の幅方向外側端部を跨いで重ね合わせて配置したため、各層3、10間の距離を大きくすることができ、層間のゴムに生じるせん断歪みを低下させてセパレーションの発生を抑制できる。同時に、加硫成型時や転動等にベルト層10の端部がカーカス層3に接近したり、或いは、接触又は食い込むのを防止でき、その間の距離を確保してセパレーションの発生やカーカス層3(補強素子9)が切断されるのを抑制できる。
Further, since the reinforcing
以上の効果に加えて、補強層30の補強素子35と、隣接するベルトプライ12の補強素子15を、タイヤ赤道面Sに対して逆方向に傾斜させたため、各補強素子15、35が互いに交錯する箇所が増加し、ベルトプライ12の補強素子15の端部が補強層30内に食い込もうとするのを、より多くの箇所で受け止めて効果的に防止できる。その結果、ベルトプライ12の端部がカーカス層3に接近又は接触するのを防止でき、セパレーションの発生やカーカス層3の切断を抑制する効果を向上させることができる。また、補強層30を、有機繊維からなる補強素子35により形成した場合には、上記したように他の補強素子9、15との擦れ合いによるセパレーションの発生をより確実に抑制でき、更に、有機繊維が芳香族ポリアミドからなる場合には、温時が上昇する高速転動時の補強層30の機能低下を抑制できる。
In addition to the above effects, the reinforcing
ここで、補強層30の周方向の剛性が高すぎる場合には、接地時等に生じるカーカス層3との間の伸びの差、及びせん断歪みが大きくなって、その間でセパレーションが生じる恐れがある。しかし、本実施形態では、補強層30を狭幅に形成したため、幅広のベルト層10等に比べて、他の部材から受ける変形応力や接地時に生じる応力等に柔軟に追従でき、その結果、周方向の剛性が必要以上に高くならず、カーカス層3との間にセパレーションが生じるのを一層確実に防止できる。
Here, when the rigidity in the circumferential direction of the reinforcing
なお、ベルト強化層20やベルト層10の幅等にもよるが、補強層30の幅が20mm未満の場合には、幅が狭くなりすぎて、上記した加硫成型時のゴムの流出やベルトプライ12の端部の食い込みを抑制する効果が小さくなり、逆に70mmよりも大きい場合には、周方向の剛性が高くなって、カーカス層3との間のせん断歪みが増加する恐れがある。従って、補強層30の幅は、20mmから70mm程度にするのが好ましく、この範囲内であれば、カーカス層3との間のセパレーションやカーカス層3の切断等がより生じ難くなる。
Although depending on the width of the
また、補強層30内に埋設する補強素子35のタイヤ赤道面Sに対する傾斜角度が20度未満の場合には、補強素子35の延在方向が周方向に近くなって補強層30が周方向に変形し難くなる。その結果、補強層30の周方向の剛性が高くなり、上記と同様に、カーカス層3との間のせん断歪みが大きくなる恐れがある。従って、セパレーションの発生をより確実に抑制するためには、補強素子35のタイヤ赤道面Sに対する傾斜角度を20度から90度にすることがより好ましい。上限値の90度は、補強素子35を傾斜させうる最大の角度である。
When the inclination angle of the reinforcing
以上説明したように、本実施形態の空気入りタイヤ1では、ベルト層10とカーカス層3間の周方向のせん断歪みを低下させて、各層3、10間、特にベルト層10の端部付近でのセパレーションの発生を抑制できる。同時に、ベルト層10の端部がカーカス層3に接触等するのを防止でき、カーカス層3が切断されるのを抑制できる。従って、操縦安定性を損なうことなく、空気入りタイヤ1に故障が発生するのを効果的に抑制でき、その耐久性、特に高速耐久性を向上できる。
As described above, in the pneumatic tire 1 of the present embodiment, the shear strain in the circumferential direction between the
(タイヤ試験)
本発明の空気入りタイヤ1の効果を確認するため、以上説明した構造(図1参照)の4種類の実施例のタイヤ(以下、実施品という)と、実施品から補強層30を除いた構造(図3参照)の1種類の比較例のタイヤ(以下、比較品という)を用いて、以下の条件でタイヤの耐久性等を評価した。
(Tire test)
In order to confirm the effect of the pneumatic tire 1 of the present invention, the tires (hereinafter referred to as “implemented products”) of the four types of examples of the structure described above (see FIG. 1) and the structure obtained by removing the reinforcing
以下の実施品と比較品は全て、JATMA YEAR BOOK(2004、日本自動車タイヤ協会規格)で定めるタイヤサイズ225/50R17(タイヤ外径658mm)の乗用車用ラジアルタイヤである。実施品と比較品は、補強層30以外は全て同様に構成し、例えばトレッド4には、所定形状の溝等からなる同じトレッドパターンを形成した。また、カーカス層3は、補強素子9としてナイロン繊維を撚った直径0.5mmのナイロンコードを実質上ラジアル方向に延びるように埋設したカーカスプライを2枚重ねて形成した。
The following implementation products and comparative products are all radial tires for passenger cars having a tire size 225 / 50R17 (tire outer diameter 658 mm) defined by JATMA YEAR BOOK (2004, Japan Automobile Tire Association Standard). The implemented product and the comparative product were all configured in the same manner except for the reinforcing
実施品と比較品はともに、カーカス層3の半径方向外側に、2枚のベルトプライ11、12からなるベルト層10を配置した。ベルトプライ11、12には、補強素子15として3本のスチール線(直径0.2mm)を撚った、いわゆる1×3タイプのコードを、打ち込み間隔35本/50mmで埋設した。また、各ベルトプライ11、12内の補強素子15が、タイヤ赤道面Sに対して40度の角度で傾斜するとともに、傾斜方向が互いに逆方向になるように、ベルトプライ11、12を互いに交錯させてベルト層10を形成した。その半径方向外側には、1枚の強化プライからなるベルト強化層20を配置した。ベルト強化層20の補強素子25には、直径0.7mmの撚った芳香族ポリアミド繊維コードを用いた。このコードを3本並列させてゴムで被覆してストリップ状にした後、コードの打ち込み間隔が50本/50mmになるように周方向にスパイラル状に巻き付けてベルト強化層20を形成した。
The
なお、ベルト層10の半径方向内側のベルトプライ12は幅210mmに、外側のベルトプライ11は幅190mmに形成し、ベルト強化層20は幅230mmに形成した。従って、ベルト強化層20が最も幅が広く、その端部から幅方向内側へ向かって10mmの位置にベルトプライ12の端部が位置し、更に10mm内側にベルトプライ11の端部が位置する。
The belt ply 12 on the inner side in the radial direction of the
4種類の実施品には、以上に加えて、ベルト層10とカーカス層3間に補強層30を配置した。補強層30の幅は20mmに形成し、その幅方向外側端部を、ベルト強化層20とベルト層10の各端部の中間に、即ち幅広なベルトプライ12の端部から幅方向外側に向かって5mmの位置に配置した。各実施品の補強層30には、補強素子35を打ち込み間隔40本/50mmで埋設し、この補強素子35の材質とタイヤ赤道面Sに対する傾斜角度及び傾斜方向を変えて、以下で説明する4種類の実施品(以下、実施品A、B、C、Dという)を作製した。
In addition to the above, the reinforcing
実施品Aの補強層30には、補強素子35に直径0.7mの撚った芳香族ポリアミド繊維コードを用い、この補強素子35を、タイヤ赤道面Sに対して60度の角度で傾斜させ、かつ隣接するベルトプライ12内の補強素子15とタイヤ赤道面Sに対して同じ方向に傾斜するように配置した。
In the reinforcing
実施品Bの補強層30には、補強素子35に直径0.7mmの撚った芳香族ポリアミド繊維コードを用い、この補強素子35を、タイヤ赤道面Sに対して60度の角度で傾斜させ、かつベルトプライ12内の補強素子15とタイヤ赤道面Sに対して逆方向に傾斜するように配置した。即ち、実施品Aとは補強素子35の傾斜方向が相違する。
The reinforcing
実施品Cの補強層30には、補強素子35に直径0.7mmの撚った芳香族ポリアミド繊維コードを用い、この補強素子35を、タイヤ赤道面Sに対して90度、即ち、幅方向を向かせて配置した。従って、実施品A、Bとは補強素子35の傾斜角度が相違する。
For the reinforcing
実施品Dの補強層30には、補強素子35に直径0.7mmの撚ったナイロン繊維コードを用い、この補強素子35を、タイヤ赤道面Sに対して60度の角度で傾斜させ、かつベルトプライ12内の補強素子15とタイヤ赤道面Sに対して逆方向に傾斜するように配置した。即ち、実施品A、B、Cとは補強素子35の材質が相違し、また、実施品Aとは補強素子35の傾斜方向が、実施品Cとは傾斜角度が相違する。
For the reinforcing
以上の比較品、及び各実施品を用いて、2種類の耐久性試験と操縦安定性試験を行った。なお、以下の各試験は、それぞれ新品のタイヤを用いて行った。
耐久性試験は、直径3mのスチール製のドラムの外周に、タイヤをキャンバー角度0度、スリップ角度0度で、2種類の荷重(6kN、9kN)で押し付けて高速回転させて行った。このとき、タイヤには、7J×17インチのリムに装着した後、指定内圧220kPaよりも低い180kPaの内圧を充填した。このようにタイヤ内圧を指定内圧よりも低めに設定したのは、タイヤのたわみ量を大きくして、タイヤの故障を促進させるためである。以上の条件で、速度120km/hで200時間連続走行させた後、タイヤを解剖して亀裂の有無等を調べて耐久性を比較した。
Two kinds of durability tests and steering stability tests were performed using the above comparative products and the respective implementation products. The following tests were conducted using new tires.
The durability test was performed by pressing the tire on the outer periphery of a steel drum having a diameter of 3 m at a camber angle of 0 degrees and a slip angle of 0 degrees with two types of loads (6 kN and 9 kN) and rotating at high speed. At this time, the tire was mounted on a 7 J × 17 inch rim and then filled with an internal pressure of 180 kPa, which was lower than the specified internal pressure of 220 kPa. The reason for setting the tire internal pressure to be lower than the designated internal pressure is to increase the amount of deflection of the tire and promote the failure of the tire. Under the above conditions, after running continuously at a speed of 120 km / h for 200 hours, the tires were dissected to examine the presence or absence of cracks and the like, and the durability was compared.
その結果、タイヤを6kNでドラムに押し付けたときには、比較品の幅広なベルトプライ12の端部とカーカス層3との間のゴムに長さ2mmの亀裂が発生したのに対し、実施品A、B、C、Dでは、亀裂は全く確認されなかった。従って、この条件では、比較品に比べて、全ての実施品でセパレーションの発生を抑制できることが分かる。
As a result, when the tire was pressed against the drum at 6 kN, a crack having a length of 2 mm occurred in the rubber between the end of the wide belt ply 12 of the comparative product and the
また、通常の走行では生じ得ない荷重9kNの試験では、実施品A、B、C、Dは200時間走行したのに対し、比較品は182時間走行したときにベルト層10の端部が剥離してバーストが発生した。このとき、比較品では、カーカス層3も切断されていた。しかし、各実施品を解剖したところ、実施品B、Cでは亀裂等の欠陥が全く確認されなかったのに対し、実施品A、Dでは、欠陥が確認された。具体的に、実施品Aでは、補強層30とカーカス層3の間に長さ2mmの亀裂が発生したが、他の部分には故障は発生しなかった。実施品Dでは、補強層30のナイロンコードがベルトプライ12の端部と隣接する位置で若干ほつれるとともに、ベルトプライ12の端部と補強層30の間に長さ1mmの亀裂が発生した。ただし、他の部分には故障は発生しなかった。
Further, in the test with a load of 9 kN that cannot occur during normal traveling, the products A, B, C, and D traveled for 200 hours, while the comparative product stripped the end of the
ここで、実施品Aでは、ベルトプライ12と補強層30の各補強素子15、35の傾斜方向が同じ方向であるため、逆方向である実施品Bに比べて、ベルトプライ12端部が補強層30に食い込みやすく、補強層30がベルトプライ12の端部と同様な動きをしやすくなり、せん断歪みが若干大きくなって僅かに亀裂が生じたものと考えられる。また、実施品Dでは、ベルトプライ12と補強層30の各補強素子15、35の傾斜方向が逆向きに交錯しているものの、補強層30の補強素子35がナイロン製であり、発熱時に軟化しやすいため、コードが劣化して若干のほつれと僅かな亀裂が生じたものと考えられる。これらに対し、実施品B、Cでは、補強素子35がベルトプライ12の補強素子15と交錯しているため、ベルト層10の端部とカーカス層3間の距離が確実に確保されて亀裂の発生が抑制されたものと考えられる。
Here, in the implementation product A, since the inclination directions of the
このように、より過酷な条件では、実施品の一部に故障が生じたものの、カーカス層3の切断は発生しなかった。また、比較品では亀裂の長さが少なくとも20mm以上になって故障していることが伺え、これに比べて各実施品の故障の程度は極めて小さく、セパレーションの発生やカーカス層3の切断を効果的に抑制できることが分かる。
As described above, under more severe conditions, although a failure occurred in a part of the product, the
次に、比較品と実施品A、B、C、Dのそれぞれを、後輪駆動のスポーツタイプの車両の4輪全てに取り付けて、熟練ドライバーによるテストコース走行を行って、操縦安定性を比較した。その結果、5つの各タイヤの操縦安定性に差は認められなかった。 Next, each of the comparison product and the implementation products A, B, C, and D is attached to all four wheels of a rear-wheel drive sports type vehicle, and a test course run by an experienced driver is performed to compare the handling stability. did. As a result, no difference was found in the handling stability of the five tires.
以上の結果から、本発明により、操縦安定性を損なうことなく、故障の発生を効果的に抑制して、空気入りタイヤ1の耐久性、特に高速耐久性や高荷重耐久性を向上できることが証明された。 From the above results, it is proved that the present invention can effectively suppress the occurrence of failure and improve the durability of the pneumatic tire 1, particularly the high speed durability and the high load durability without impairing the steering stability. It was done.
1・・・空気入りタイヤ、2・・・クラウン部、3・・・カーカス層、4・・・トレッド、5・・・ビードコア、6・・・ビード部、7・・・サイドウォール部、8・・・ショルダー部、9・・・補強素子、10・・・ベルト層、11・・・ベルトプライ、12・・・ベルトプライ、15・・・補強素子、20・・・ベルト強化層、25・・・補強素子、30・・・補強層、35・・・補強素子、50・・・リブ溝。 DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 ... Pneumatic tire, 2 ... Crown part, 3 ... Carcass layer, 4 ... Tread, 5 ... Bead core, 6 ... Bead part, 7 ... Side wall part, 8 ... Shoulder, 9 ... Reinforcing element, 10 ... Belt layer, 11 ... Belt ply, 12 ... Belt ply, 15 ... Reinforcing element, 20 ... Belt reinforcing layer, 25 ... Reinforcing element, 30 ... Reinforcing layer, 35 ... Reinforcing element, 50 ... Rib groove.
Claims (8)
前記カーカス層と前記トレッドの間に、
補強素子を有するベルトプライからなるベルト層と、
該ベルト層のタイヤ半径方向外側に該ベルト層の両端部を覆って配置された、該ベルト層よりも幅広で実質上タイヤ周方向に延びる補強素子を有する少なくとも1枚の強化プライからなるベルト強化層と、
前記ベルト層と前記カーカス層との間に前記ベルト層のタイヤ幅方向外側の端部を跨いで配置された補強素子を有する狭幅の補強層と、
を備えたことを特徴とする空気入りタイヤ。 A pneumatic tire comprising a pair of bead cores, a carcass layer extending in a toroidal shape between the bead cores, and a tread disposed on the outer peripheral side of the crown portion of the carcass layer,
Between the carcass layer and the tread,
A belt layer comprising a belt ply having a reinforcing element;
A belt reinforcement comprising at least one reinforcing ply having a reinforcing element that is wider than the belt layer and extends substantially in the tire circumferential direction, and is disposed outside the belt layer in the tire radial direction so as to cover both ends of the belt layer. Layers,
A narrow reinforcing layer having a reinforcing element disposed between the belt layer and the carcass layer across the end of the belt layer in the tire width direction; and
A pneumatic tire characterized by comprising:
前記ベルト層が、金属製の補強素子を有するベルトプライを少なくとも1枚備えていることを特徴とする空気入りタイヤ。 In the pneumatic tire according to claim 1,
The pneumatic tire according to claim 1, wherein the belt layer includes at least one belt ply having a metal reinforcing element.
前記ベルトプライの補強素子が、タイヤ赤道面に対して15度から70度の角度で傾斜していることを特徴とする空気入りタイヤ。 In the pneumatic tire according to claim 1 or 2,
The pneumatic tire according to claim 1, wherein the reinforcing element of the belt ply is inclined at an angle of 15 degrees to 70 degrees with respect to the tire equatorial plane.
前記狭幅の補強層の補強素子が、タイヤ赤道面に対して20度から90度の角度で傾斜していることを特徴とする空気入りタイヤ。 In the pneumatic tire according to any one of claims 1 to 3,
The pneumatic tire according to claim 1, wherein the reinforcing element of the narrow reinforcing layer is inclined at an angle of 20 to 90 degrees with respect to the tire equatorial plane.
前記狭幅の補強層の補強素子が、隣接する前記ベルトプライの補強素子とタイヤ赤道面に対して逆方向に傾斜していることを特徴とする空気入りタイヤ。 In the pneumatic tire according to any one of claims 1 to 4,
The pneumatic tire according to claim 1, wherein the reinforcing element of the narrow reinforcing layer is inclined in the opposite direction with respect to the reinforcing element of the adjacent belt ply and the tire equatorial plane.
前記狭幅の補強層のタイヤ幅方向の幅が、20mmから70mmであることを特徴とする空気入りタイヤ。 In the pneumatic tire according to any one of claims 1 to 5,
The pneumatic tire according to claim 1, wherein a width of the narrow reinforcing layer in a tire width direction is 20 mm to 70 mm.
前記狭幅の補強層の補強素子が、有機繊維からなることを特徴とする空気入りタイヤ。 In the pneumatic tire according to any one of claims 1 to 6,
The pneumatic tire according to claim 1, wherein the reinforcing element of the narrow reinforcing layer is made of an organic fiber.
前記有機繊維が、芳香族ポリアミドからなることを特徴とする空気入りタイヤ。 In the pneumatic tire according to claim 7,
A pneumatic tire, wherein the organic fiber is made of an aromatic polyamide.
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- 2005-11-16 JP JP2005331587A patent/JP2007137172A/en active Pending
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