JP2007125568A - プラズマトーチ - Google Patents
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Abstract
【課題】プラズマトーチの外径をより細くするために、ノズルと電極間の間隔をより狭くする。
【解決手段】電極(30)は、銅製の電極本体(36)を有し、電極本体(36)の後部(36B)は前部(36A)より太い。電極本体(36)の後部(36B)の外周面を、肉薄の筒状の絶縁体膜42が覆っている。絶縁体膜(42)は、電極本体(36)に外嵌された樹脂製チューブ、又は、溶射や蒸着などで作られたセラミックス薄膜などであり、電極本体(36)と一体になっている。電極本体(36)とノズル(32)との間の間隔が狭くても、パイロットアーク点火時、絶縁体膜(42)が、電極本体(36)の後部(36B)とノズル(32)との間の放電を防止し、パイロットアークが電極本体(36)の前端部で確実に発生する。
【選択図】図1
【解決手段】電極(30)は、銅製の電極本体(36)を有し、電極本体(36)の後部(36B)は前部(36A)より太い。電極本体(36)の後部(36B)の外周面を、肉薄の筒状の絶縁体膜42が覆っている。絶縁体膜(42)は、電極本体(36)に外嵌された樹脂製チューブ、又は、溶射や蒸着などで作られたセラミックス薄膜などであり、電極本体(36)と一体になっている。電極本体(36)とノズル(32)との間の間隔が狭くても、パイロットアーク点火時、絶縁体膜(42)が、電極本体(36)の後部(36B)とノズル(32)との間の放電を防止し、パイロットアークが電極本体(36)の前端部で確実に発生する。
【選択図】図1
Description
本発明は、プラズマ加工のためのプラズマトーチに関する。
軟鋼板やステンレス鋼板などの切断や溶接にプラズマ加工が広く用いられている。プラズマトーチは、前端部にオリフィスをもつ筒状のノズルと、ノズルの内側に配置される電極とを有する。ノズルと電極との間の空間に高圧のメインガス(一次ガス、プラズマガス)が供給され、ノズルと電極間に印加される高電圧により、ノズルのオリフィスの近傍でノズルと電極間にパイロットアークが発生される。パイロットアークのエネルギーによりパイロットアークの周囲のメインガスがプラズマ化され、それがノズルのオリフィスを通って高流速のプラズマアークジェットとなって、前方の被加工材へ向かって噴出する。これと同時に、ノズルと電極間への高電圧の印加が、被加工材と電極間への高電圧の印加に切り替えられて、以後、トーチから被加工材へ噴出するプラズマアークジェットが維持され、加工が開始される。
ノズルを外部環境から保護するために、ノズルの先端部の外周をキャップ(シールド)で覆ったプラズマトーチが知られている(例えば、特許文献1〜3)。また、キャップ(シールド)とノズルとを電気的に絶縁するために、キャップとノズルとの間にセラミックスのような耐熱性電気絶縁材料製の部材を配置するか(例えば特許文献1、3)、または、キャップ自体をセラミックスで形成すること(例えば、特許文献2)も知られている。また、キャップ(シールド)とノズルの間に二次ガス(アシストガス、シールドガス)を供給し、その二次ガスを、キャップのプラズマアークが通過する出口オリフィス内のプラズマアークの周囲に噴出させることも知られている(例えば、特許文献3)。さらに、キャップの出口オリフィスから離間した箇所に設けられた放出穴から、二次ガスの一部を外へ逃がすことで、キャップとノズルの間の二次ガス流量を増やし二次ガスによるキャップの冷却効果を上げることも知られている(例えば、特許文献3)。
特開2000−52043号公報
特開平8−294778号公報
特表平2−504603号公報
ノズルのオリフィスの形状や内径は、プラズマアークジェットの形状に影響し、加工品質に影響する。一般に、より細く絞られたプラズマアークジェットを形成できる性能が望まれている。しかし、プラズマトーチの使用回数または使用時間の増加に伴い、プラズマアークジェットがオリフィスの内面を侵食して、オリフィスの内径が次第に広がっていくため、プラズマアークジェットを細く絞る性能が徐々に低下する。そのため、適当なインターバルでノズルの交換が必要である。ノズルの寿命を延ばすため、ノズルに耐熱性の高いセラミックス片を埋め込むことが提案されている。しかし、ノズルの主材料である銅と、セラミックスとの間の熱膨張率の大きな違いにより、セラミックス片がノズルから抜け落ち易いという問題がある。
また、いわゆるプラズマトーチの寄付きを良くするために、プラズマトーチの外径はより細いことが望まれる。そして、プラズマトーチをより細くするために、ノズルと電極との間のメインガス通路となっている空間の間隔がより狭いことが望まれる。一般に、ノズルも電極は、オリフィスに近い前部より、オリフィスから遠い後部の方が太くなった形状を有する。そのため、ノズルと電極の後部における間隔をより狭くすることが重要である。しかし、メインガス通路となっているノズルと電極間の空間部分では、ノズルと電極間にはガス層が存在するだけであるため、その後部の間隔があまりに狭いと、パイロットアーク点火時にその後部で放電が発生してしまい、オリフィス近傍にパイロットアークが生成されないという問題が生じる。
従って、本発明の目的は、トーチの外径をより細くできるようにするために、ノズルと電極間の間隔をより狭くできるようにすることにある。
本発明の別の目的は、プラズマアークジェットを細く絞る性能を良好に維持できる期間を長くすること、換言すれば、ノズルを交換すべきインターバルを長くすることにある。
本発明に従うプラズマトーチは、電極と、前記電極を囲み、プラズマアークジェットを噴出するためのノズルオリフィスをもつノズルとを備える。そして、前記電極が、金属製の電極本体と、前記電極本体と一体化された、前記電極本体の外周面の少なくとも一部を覆う電気絶縁膜とを有する。
本発明に従うプラズマトーチによれば、電極本体とノズルとの間の間隔をより狭くして、プラズマトーチの外径をより細くすることが容易になる。
好適な実施形態では、前記電極本体が、本体前部と、前記本体前部より外径が太い本体後部とをもち、電気絶縁膜が、前記本体後部の外周面を覆っている。これにより、電極本体のうち特に外径が太い後部とノズルとの間の間隔をより狭くすることが容易になるので、プラズマトーチの外径を効果的に細くすることができる。
好適な実施形態では、プラズマトーチは、前記ノズルを囲み、ノズルオリフィスからの前記プラズマアークジェットを噴出するためのキャップオリフィスをもつキャップと、前記キャップの内側に設けられた、アシストガスを流すためのアシストガス通路とを更に備え、前記キャップの内面における前記キャップオリフィスの入口を囲む環状領域と、前記ノズルの外面における前記ノズルオリフィスの出口を囲む環状領域とが、直接的に密着し又は中間部材を介して密着し、前記アシストガス通路からのアシストガスが前記キャップオリフィス内に入らないようになっている。そして、前記キャップオリフィスの内径が、前記ノズルオリフィスの内径と同じまたはその近傍である。また、前記アシストガス通路に連通する、前記アシストガスを前記キャップオリフィスの周囲に噴出するためのアシストガス噴出孔が、前記キャップの前記環状領域の外側に設けられている。さらに、前記キャップにおける、前記キャップオリフィスが設けられた前部が、耐熱性の電気絶縁材料製である。
この構造によれば、キャップオリフィスが、ノズルオリフィスの延長部分のごときに作用して、ノズルオリフィスと協働して、プラズマアークジェットを細く絞る役目を果たす。プラズマアークジェットによる侵食のためにノズルオリフィスの内径が若干拡大しても、キャップオリフィスがこれを補ってプラズマアークジェットを細く絞ることができるので、より長い期間にわたり良好な加工品質を維持でき、ノズルの交換のインターバルも長くすることができる。
本発明は、また、上述した構造のプラズマトーチに組み込まれる電極およびノズルも提供する。
本発明によれば、トーチの外径をより細くすることが容易になる。
また、更に上述した構造のキャップを採用した場合には、プラズマアークジェットを細く絞る性能を良好に維持できる期間を長くでき、ノズルを交換すべきインターバルを長くすることができる。
図1は、本発明の一実施形態にかかるプラズマトーチの中心線に沿った断面図である。
図1に示すように、プラズマトーチ10は、トーチ本体12と前部構造体14とを有し、前部構造体14は、その後端部にて、トーチ本体12の前端部に螺合する螺子リング16によって、トーチ本体12に着脱可能に取り付けられる。トーチ本体12は、全体的にほぼ円柱形であり、冷却水供給管18、電極台座筒20、絶縁体筒22及びノズル台座筒24とを有し、これらの部品18〜24は、トーチ本体12の中心から外周へ向かって前記の順序で同軸に配置される。ノズル台座筒24の壁内には、プラズマガス供給管路26及びアシストガス供給管路28が形成され、これらのガス供給管路26、28のそれぞれのガス出口26A、28Aは、ノズル台座筒24の前面に開口する。電極台座筒20とノズル台座筒24には、それぞれ、パイロット点火のための高電圧印加やメインアーク維持のためのアーク電流供給を行なう電気配線(図示省略)が接続される。電極台座筒20とノズル台座筒24の間は、絶縁体筒22により電気的に絶縁される。電極台座筒20とノズル台座筒24の材料はいずれも、電気伝導率の高い金属、例えば銅である。
前部構造体14は、全体的にほぼ円柱状で、前方へテーパしている。前部構造体14は、電極30とノズル32と保護キャップ34とを有し、これらの部品30〜34は、前部構造体14の中心から外周へ向かって前記の順序で同軸に配置される。
電極30の大部分は電極本体36であり、これはパイプ状でその内側に冷却水路38を有する。電極本体36の材料は、電気伝導率の高い金属、例えば銅である。電極本体36の前部36Aは前方に向かってテーパし、その前端部は閉じ、この前端部の中心軸位置にハフニウム、ジルコニウム、タングステン又はそれらの合金のような耐熱金属製のインサート40が埋め込まれる。電極本体36の後部36Bは、冷却水路38に連通する開口36Cを有し、開口36C内に上述した電極台座筒20の前端部が挿入され、そして、上述した冷却水供給管18が冷却水路38内に挿入される。電極本体36の後部36Bの内周面と後端面は、電極台座筒20の前端部の外面に密着し、それにより、電極本体36とが電極台座筒20電気的に接続される。
電極本体36の外径は、前部36Aよりも後部36Bの方が太い。この太い外径をもつ後部36Bの外周面は、その全周にわたり、厚みの薄い筒状の絶縁体膜42で覆われる。この絶縁体膜42は、例えば電極本体36の後部36Bに外嵌された熱収縮チューブのような薄肉の合成樹脂筒であってもよいし、又は、例えば電極本体36の後部36Bの外周面に溶射、蒸着またはスパッタなどの方法で形成されたセラミックスのような絶縁材料の薄膜であってもよい。いずれにしても、絶縁体膜42は、電極本体36と一体化され、電極30の一部をなす。
ノズル32の材料は、電気伝導率の高い金属、例えば銅である。ノズル32は、ほぼ筒状で前方へテーパし、その後端部はフランジ32Bを形成し、このフランジ32Bの後面にて上述したノズル台座筒24の前端面に密着して、ノズル台座筒24に電気的に接続する。ノズル32は、電極30から離間した状態で、電極30のほぼ全体の外周を包囲する。ノズル32の前端部32Aの中心軸位置に、ノズルオリフィス44が設けられる。ノズルと32電極30との間の空間は、プラズマガス通路46であり、電極30のほぼ全体の外周を包囲する。プラズマガス通路46は、ノズル32の後端から前端までノズル32の内面に沿って延び、その後端にて上述したプラズマガス供給管路26に連通し、且つ、その前端にてノズルオリフィス44に連通する。プラズマガス通路46は、電極30の絶縁体膜42が存在する後部からインサート40が存在する前端部まで、電極30の外面に沿って延びている。そして、プラズマガス通路46における電極30とノズル32間の距離は、電極30の後部の絶縁体膜42の特定箇所にて最小であり、前端部のインサート40の近傍箇所にて2番目に小さいのであるが、絶縁体膜42の存在により、上記距離が2番目に小さいインサート40の近傍箇所の絶縁破壊電圧が最も低く、そこでパイロットアークが最も発生し易くなっている。
保護キャップ34は、ノズル32と同様に、ほぼ筒状で前方へテーパし、その後端面にて、ノズル32のフランジ32Bの前面に密着する。保護キャップ34は、ノズル34を外部環境から保護する役目を持ち、ノズル32のほぼ全体の外周を包囲する。保護キャップ34は、保護キャップ34の後部から中央部を構成する筒状のキャップ本体50と、キャップ本体50の前端に一体的に固定されたカップ状の耐熱部52とを有する。キャップ本体50の材料は、高い剛性をもち且つノズル32の材料(例えば銅)よりは低い熱膨張率をもつ材料、例えば鋼である。耐熱部52の材料は、ノズル32の材料(例えば銅)より耐熱性が高く且つプラズマークジェットによる侵食に対する耐性も高い電気絶縁材料、例えばセラミックスである。キャップ本体50はその後端部にフランジ50Aを有する。このフランジ50Aに上述した螺子リング16の前端の爪部16Aが係合し、螺子リング16が保護キャップ34とノズル32をノズル台座筒24上に固定する。保護キャップ34の耐熱部52は、ノズル32の前端部32Aの全体をその外側から覆う。耐熱部52は、前壁部52Aと前壁部52の外周縁から立ち上がる側壁部52Bとを有する。
図2は、耐熱部52の前壁部52Aを前方から見た正面図である。
図1及び図2に示すように、前壁部52Aの中心軸の位置に、キャップオリフィス54が設けられ、このキャップオリフィス54はノズルオリフィス44に連通する。前壁部52Aの後面(内面)における、キャップオリフィス54の入口を全周にわたり包囲する円環状の領域60が、ノズル32の前端部32Aの前面(外面)における、ノズルオリフィス44の出口を全周にわたり包囲する円環状の領域に直接的に密着する。それにより、アシストガスがキャップオリフィス54内に流れ込むことはなく、キャップオリフィス54はノズルオリフィス44の延長部分のようになる。キャップオリフィス54の内径は、ノズルオリフィス44の出口の内径とほぼ同じかその近傍のサイズである。前壁部52Aのキャップオリフィス54から半径方向に、上記円環状の領域(以下、密着領域という)60の分だけ離間した位置に、キャップオリフィス54を囲むようにして複数のアシストガス噴出孔56が設けられる。
ところで、変形例として、図3に示すように、前壁部52Aの内面のキャップオリフィス54の入口周囲の円環状領域60と、これに対応するノズル32の外面のノズルオリフィス44の出口周囲の円環状領域との間に、キャップオリフィス54とノズルオリフィス44とを中継するような円環状の中間部材70が挿入され、この中間部材70がキャップオリフィス54の入口周囲の円環状領域60とノズルオリフィス44の出口周囲の円環状領域とにそれぞれ密着する(換言すれば、キャップオリフィス54の入口周囲の円環状領域60とノズルオリフィス44の出口周囲の円環状領域とが、中間部材70を介して密着する)ようになっていてもよい。それにより、アシストガスがキャップオリフィス54内に流れ込むことはなく、キャップオリフィス54はノズルオリフィス44の延長部分のようになる。
図1に示すように、保護キャップ34の上述したノズル32の前端面に密着した円環状の領域60より外側に存在する部分、すなわち、耐熱部52の側壁部52Bとキャップ本体50は、ノズル32から離間した状態でノズル32の外周を包囲する。保護キャップ34のこの部分52B、50とノズル32との間の空間は、アシストガス通路58であり、ノズル32の外周を包囲する。アシストガス通路48は、保護キャップ34の後端から前端まで保護キャップ34の内面に沿って延び、その前端にて上述した複数のアシストガス噴出孔56に連通し、また、その後端にて、キャップ本体50のフランジ50Aより後方の部分の壁に設けられたアシストガス導入孔62に連通する。また、キャップ本体50のフランジ50Aより後方の部分と螺子リング16との間には、アシストガス中継路64が形成され、このアシストガス中継路64は上述したアシストガス供給管路28とアシストガス導入孔62に連通する。
以上のように構成されたプラズマトーチ10の作用について、以下に説明する。
プラズマトーチ10の外径をできるだけ細くするために、ノズル32もできるかぎり細く設計される。そのため、図1に示すように、電極30の外面に沿って電極30の後部から前端部まで延びているとプラズマガス通路46において、電極本体30の外径が太い後部36Bとノズル32との間の距離が、パイロットアークが発生されるべき電極本体36の前端部とノズル32との間の距離に匹敵する程に小さくなっている。特に、電極30の後部の電気絶縁膜42で覆われた部分の特定箇所(この実施形態では電気絶縁膜42の前端縁)にて、電極30とノズル32間の距離が最小になっており、電極30の前端部のインサート40の近傍箇所にて同距離が2番目に小さくなっている。しかし、電極本体30の後部36Bを全周にわたり覆う絶縁体膜42の作用で、その最小距離の箇所での絶縁破壊電圧は、電極30の前端部での絶縁破壊電圧より高く、よって、電極30とノズル32との間にパイロットアーク点火用の高電圧が印加されたとき、電極30の後部で放電が発生することはなく、電極30の前端部のインサート40の近傍箇所でパイロットアークを確実に発生させることができる。
因みに、従来、電極とノズルとの間に、電極及びノズルとは別の部品である絶縁体のブロックを介在させることで、電極とノズルとの間を電気的に絶縁するという構造が広く採用されている(例えば、特許文献1及び2)。この従来構造では、絶縁体ブロックの厚みが、ノズル32を細く設計することの障害となる。これに対し、図1に示したプラズマトーチ10では、電極本体30と一体になった絶縁膜42は、その支持体に電極本体30が利用できるため、柔軟な合成樹脂やゴムなどの可撓性のある素材を用いたり、溶射や蒸着やスパッタリングなどの薄膜形成技術を用いたりして、従来の絶縁体ブロックよりも遥かに薄く形成することが可能である。よって、ノズル32をより細くして、プラズマトーチ10の外径をより細くすることが可能である。
また、図1又は図3に示すように、保護キャップ34の耐熱部52の前壁部52Bが、キャップオリフィス54の入口を包囲する円環状の領域60にて、ノズル32の前端部32Aのノズルオリフィス44の出口を包囲する円環状の領域に、直接的に密着するか又は中間部材70を介して密着する。そのため、キャップオリフィス54は、アシストガス通路58からは隔離され、キャップオリフィス54内には、ノズルオリフィス44から噴出するプラズマアークジェットのみが流れることになり、アシストガスは流れない。アシストガスは、ノズルオリフィス44とは別のアシストガス噴出孔56から噴出して、プラズマアークジェットを包囲するアシストガスカーテンを形成する。キャップオリフィス54の内径は、ノズルオリフィス44の内径とほぼ同じかその近傍のサイズにすぎない。換言すれば、キャップオリフィス54の内径は、もし、キャップオリフィス54にアシストガスを流すとしたならそうであるべき程には、ノズルオリフィス44の内径より大きはない。従って、キャップオリフィス54は、ノズルオリフィス44の延長部分の如く機能する、すなわち、ノズルオリフィス44と同様に、プラズマアークジェットを細く絞るという機能を果たす。プラズマトーチ10の使用回数または使用時間の増加に伴い、ノズルオリフィス44は、プラズマアークジェットによる侵食を受けて次第に消耗し拡大していく。しかし、キャップオリフィス54は、セラミックスのような耐熱性と耐侵食性がノズル32の材料(例えば銅)よりも高い材料で囲まれているため、ノズルオリフィス44ほど容易には拡大しない。従って、ノズルオリフィス44が多少消耗し拡大しても、キャップオリフィス54が依然としてプラズマアークジェットを細く絞るから、より長い期間にわたり加工品質を良好に維持できる。ひいては、ノズル32の交換のインターバルも、より長くなる。
因みに、従来技術によれば、キャップオリフィスには、プラズマアークジェットが流れるだけでなく、アシストガスもプラズマアークジェットが包囲するようにして流れる。アシストガスを流すために必要な分だけ、キャップオリフィスの内径は、ノズルオリフィスの内径より大きくなければならない。そのため、キャップオリフィスは、プラズマアークジェットを細く絞るという機能を果たすことができない。
また、保護キャップ34のキャップ本体50と耐熱部52との接合箇所は、ノズル32ほどには高温にはならない。加えて、キャップ本体50の材料は、ノズル32の材料よりは熱膨張率が小さい。そのため、従来のセラミックを埋め込んだノズルとは異なり、耐熱部52がキャップ本体50から外れてしまう問題は実質的に存在しない。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は本発明の説明のための例示にすぎず、本発明の範囲をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱することなく、その他の様々な態様でも実施することができる。
30 電極
32 ノズル
36 電極本体
36A 電極本体の前部
36B 電極本体の後部
34 保護キャップ
42 絶縁体膜
44 ノズルオリフィス
46 プラズマガス通路
54 キャップオリフィス
56 アシストガス噴出孔
58 アシストガス通路
60 円環状の領域
70 中間部材
32 ノズル
36 電極本体
36A 電極本体の前部
36B 電極本体の後部
34 保護キャップ
42 絶縁体膜
44 ノズルオリフィス
46 プラズマガス通路
54 キャップオリフィス
56 アシストガス噴出孔
58 アシストガス通路
60 円環状の領域
70 中間部材
Claims (9)
- 電極(30)と、
前記電極を囲み、プラズマアークジェットを噴出するためのノズルオリフィス(44)をもつノズル(32)と、
を備え、
前記電極(30)が、
金属製の電極本体(36)と、
前記電極本体(36)と一体化された、前記電極本体(36)の外面の少なくとも一部を覆う電気絶縁膜(42)と
を有するプラズマトーチ(10)。 - 請求項1記載のプラズマトーチ(10)において、
前記電極本体(36)が、本体前部(36A)と、前記本体前部(36A)より外径が太い本体後部(36B)とをもち、
電気絶縁膜(42)が、前記本体後部(36B)の外面を覆っているプラズマトーチ(10)。 - 請求項1記載のプラズマトーチ(10)において、
前記電極(30)の外面と前記ノズル(32)の内面との間に形成されたプラズマガス通路(46)を更に有し、
前記プラズマガス通路(46)が、前記電極(30)の前記電気絶縁膜(42)が存在する部分から前端部までわたって前記電極(30)の外面に沿って延びているプラズマトーチ(10)。 - 請求項1記載のプラズマトーチ(10)において、
前記ノズルを囲み、ノズルオリフィス(44)からの前記プラズマアークジェットを噴出するためのキャップオリフィス(54)をもつキャップ(34)と、
前記キャップの内側に設けられた、アシストガスを流すためのアシストガス通路(58)と、
を更に備え、
前記キャップ(34)の内面における前記キャップオリフィス(54)の入口を囲む環状領域(60)と、前記ノズル(32)の外面における前記ノズルオリフィス(44)の出口を囲む環状領域とが、直接的に密着し又は中間部材を介して密着し、前記アシストガス通路(58)からのアシストガスが前記キャップオリフィス(54)内に入らないようになっており、
前記キャップオリフィス(54)の内径が、前記ノズルオリフィス(44)の内径と同じまたはその近傍であり、
前記アシストガス通路(58)に連通する、前記アシストガスを前記キャップオリフィス(54)の周囲に噴出するためのアシストガス噴出孔(56)が、前記キャップ(34)の前記環状領域(60)の外側に設けられ、
前記キャップ(34)における、前記キャップオリフィス(54)が設けられた前部(52)が、耐熱性の電気絶縁材料製であるプラズマトーチ(10)。 - 請求項1記載のプラズマトーチ(10)のための電極(30)。
- 請求項4記載の電極(30)において、
前記電極本体(36)が、本体前部(36A)と、前記本体前部(36A)より外径が太い本体後部(36B)とをもち、
電気絶縁膜(42)が、前記本体後部(36B)の外周面を覆っている電極(10)。 - 請求項4記載の電極(30)において、
ノズル(32)に囲まれるようにして前記プラズマトーチ(10)内に配置され、
前記ノズル(32)との間に、プラズマガスを流すためのプラズマガス通路(46)を形成し、
前記プラズマガス通路(46)が、前記電極(30)の前記電気絶縁膜(42)が存在する部分から前端部までわたって前記電極(30)の外面に沿って延びている電極(30)。 - 請求項1記載のプラズマトーチ(10)のためのノズル(32)において、
前記電極(30)との間にプラズマガス通路(46)を形成し、
前記プラズマガス通路(46)が、前記電極(30)の前記電気絶縁膜(42)が存在する部分から前端部までわたって前記電極(30)の外面に沿って延びているノズル(32)。 - 請求項8記載のノズル(32)において、
ノズルオリフィス(44)に連通するキャップオリフィス(54)を有するキャップ(34)に囲まれるようにして前記プラズマトーチ(10)内に配置され、
前記キャップとの間に、アシストガスを流すためのアシストガス通路(58)を形成し、
前記ノズル(32)の外面における前記ノズルオリフィス(44)の出口を囲む環状の領域が、前記キャップ(34)の内面における前記キャップオリフィス(54)の入口を囲む環状領域(60)に、直接的に密着し又は中間部材(70)を介して密着し、それにより、前記アシストガス通路(58)からのアシストガスが前記キャップオリフィス(54)内に入らないようになっているノズル(32)。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005318404A JP2007125568A (ja) | 2005-11-01 | 2005-11-01 | プラズマトーチ |
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