JP2007119390A - 大腸癌患者の予後を予測する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 大腸癌患者の予後,特に術後生存期間を予測しうる方法ならびにかかる方法に用いる診断用キットを提供すること。
【解決手段】 女性大腸癌患者の癌組織におけるLST-2の発現を測定することを含む,前記患者の予後を予測する方法が開示される。LST-2の発現は,例えば抗LST-2抗体を用いて測定することができる。好ましくは,抗LST-2抗体はLST-2のC末端側細胞内ドメインを認識するモノクローナル抗体である。また,抗LST-2モノクローナル抗体,ならびに抗LST-2抗体を含む女性大腸癌患者の予後を予測するための診断キットも提供される。
【選択図】図2
【解決手段】 女性大腸癌患者の癌組織におけるLST-2の発現を測定することを含む,前記患者の予後を予測する方法が開示される。LST-2の発現は,例えば抗LST-2抗体を用いて測定することができる。好ましくは,抗LST-2抗体はLST-2のC末端側細胞内ドメインを認識するモノクローナル抗体である。また,抗LST-2モノクローナル抗体,ならびに抗LST-2抗体を含む女性大腸癌患者の予後を予測するための診断キットも提供される。
【選択図】図2
Description
本発明は,大腸癌患者の予後を予測する方法,およびかかる方法に用いるためのキットに関する。
これまでに、大腸癌患者の予後の予測,特に術後の生存期間の予測についての信頼性のある方法は知られていない。従来、大腸癌の予後因子として、リンパ節転移の有無が重要であるとの報告は多数ある(大腸癌治療ガイドライン 金原出版)。Dukes分類に従い、リンパ節転移を有する大腸癌をDukes Cと分類すると、Dukes Cは明らかに予後が不良であることが、多くの論文により示されている(Hida J. et al., J Am Coll Surg 2005, 201: 217-222、ほか)。リンパ節転移の有無の判断は、周囲リンパ節を合併切除してきた際にのみわかり得るものであり、原発巣のみで予後を判別することは困難である。これ以外に大腸癌の予後予測因子として一般的に使用されているものは存在していない。したがって,当該技術分野においては,大腸癌患者の予後を予測するための新たな方法が求められている。
Hida J. et al., J Am Coll Surg 2005, 201: 217-222 Abe T et al. Gastroenterol. 2001, 120, 1689-1699
Hida J. et al., J Am Coll Surg 2005, 201: 217-222 Abe T et al. Gastroenterol. 2001, 120, 1689-1699
本発明は,大腸癌患者の予後,特に術後生存期間を予測しうる方法,ならびにかかる方法に用いる診断用キットを提供することを目的とする。
本発明者らは,女性大腸癌患者の手術検体におけるLST-2の発現と当該患者の予後との間に相関関係があることを見いだした。すなわち,本発明は,女性大腸癌患者の癌組織におけるLST-2の発現を測定することを含む,前記患者の予後を予測する方法を提供する。LST-2の発現は,例えば抗LST-2抗体を用いて測定することができる。好ましくは,抗LST-2抗体はLST-2のC末端側細胞内ドメインを認識するモノクローナル抗体である。別の観点においては,本発明は,抗LST-2モノクローナル抗体,ならびに抗LST-2抗体を含む女性大腸癌患者の予後を予測するための診断キットを提供する。
本発明にしたがえば,女性大腸癌患者の予後を高い信頼性をもって予測することができ,本発明の方法と,従来の大腸癌診断方法と組み合わせることにより,より正確な予後の予測が可能となる。
本発明は,女性大腸癌患者の大腸癌組織におけるLST-2の発現を測定することにより,大腸癌患者の予後を予測する方法を特徴とする。下記の実施例に示されるように,女性大腸癌においてLST-2の発現と予後との間に相関が認められ,特にERβの発現との関連が認められた。
LST-2 (Liver specific organic anion transporter-2)/SLC01B3 は,胆汁酸やホルモン,エイコサノイド,Methotrexate (MTX) 等多様な基質を細胞内へ取り込む OATP (Organic anion transporting polypeptide) 群の1つである。この蛋白質は,正常個体では肝細胞類洞側に限局した発現である一方,胃癌,大腸癌,膵癌,胆管癌など消化器固形癌の癌細胞で特異的発現が認められ,"癌細胞に発現する取り込み側トランスポーター" であることが明らかにされている(Abe T et al. Gastroenterol. 2001, 120, 1689-1699)。しかしながら,各種癌細胞で発現した LST-2の役割や腫瘍生物学的意義は十分に解明されていない。したがって,本発明において見いだされたLST-2の発現と大腸癌患者の予後との相関の詳細なメカニズムは現在のところよくわかっていない。
これまでに,E3S (エストロン-3-サルフェート), エストラジオール-17β-グルクロニド,DHEAS (デヒドロエピアンドロステソンサルフェート)などの抱合型ステロイドがLST-2の基質であることが見いだされており,LST-2がエストロゲン局所合成に関与している可能性が示唆されている。また,エストロゲンとの関連が示唆されている乳癌においても,LST-2/SLCO1B3が発現し,陽性乳癌の予後が良好であることが見いだされている。
一方,閉経後女性に対するエストロゲン補充療法(estrogen replacement therapy, ERT)の疫学的検討から,ERTを受けた女性は,大腸癌への罹患率が低下していることが明らかにされた。また,大腸癌ではエストロゲンレセプターβ (ERβ)が発現していること,ERβは大腸癌の増殖阻害として働いているなどの治験が得られつつあり,大腸癌においても腫瘍局所においてエストロゲン合成系が存在し,腫瘍増殖・分化と関連している可能性が考えられる。
被験者の大腸癌組織中のLST-2の発現は,抗LST-2抗体を用いて,当該技術分野においてよく知られる免疫組織染色により判定することができる。抗LST-2抗体はポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であってもよい。
LST-2に結合するポリクローナル抗体は,当該技術分野においてよく知られる方法にしたがって,LST-2またはそのペプチド断片を感作抗原として用いて動物を免疫し,免疫した動物から抗体を含有する抗血清を単離し,ELISAアッセイ,ウエスタンブロット分析,またはラジオイムノアッセイ等の当該技術分野においてよく知られる方法を用いて,所望の特異性を有する抗体の存在についてスクリーニングすることにより得ることができる。LST-2は,肝特異的トランスポーターであるLST-1と配列の相同性が高いため,LST-2をLST-1と区別して検出するためには,相同性の低い部分,例えばC末端側細胞内ドメインのアミノ酸配列を有する部分ペプチドを作製し,これを抗原として用いることが好ましい。
LST-2に結合するモノクローナル抗体は,当該技術分野においてよく知られる方法にしたがって,LST-2またはそのペプチド断片を感作抗原として用いて動物を免疫し,得られる免疫細胞を取り出して骨髄腫細胞と融合させ,抗体を産生するハイブリドーマをクローニングし,このハイブリドーマを培養することにより得ることができる。
本発明において用いられる抗LST-2モノクローナル抗体には,ハイブリドーマにより産生される抗体に加えて,抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した形質転換体により生産される遺伝子組換え抗体およびこれらの抗体の断片等が含まれる。遺伝子組み換え抗体は,LST-2に結合するモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマから抗体をコードするcDNAをクローニングし,これを発現ベクター中に挿入して,動物細胞,植物細胞などを形質転換し,この形質転換体を培養することにより製造することができる。LST-2に結合しうる抗体断片としては,Fab,F(ab')2,Fab',scFv,ディアボディー等があげられる。
LST-2に結合するモノクローナル抗体を産生する細胞は,当該技術分野においてよく知られる方法により取得することができる。まず,LST-2を抗原として,動物の皮下,静脈内または腹腔内に投与する。免疫動物としては,マウス,ラット,ハムスター,ウサギ,ヤギ等の哺乳動物を用いることができる。好ましくは,抗原をキャリア蛋白質に結合させるか,フロインド完全アジュバント等の適当なアジュバントとともに抗原を投与する。
抗原の投与は,1−3週間毎に数回行う。血清中の免疫グロブリンの量をELISA法などにより測定することにより,抗体価をモニターする。十分に抗体価が上昇した後,この動物から免疫細胞を取り出す。免疫細胞としては好ましくは脾臓細胞を用いる。抗体産生免疫細胞と,同種の哺乳動物に由来する骨髄腫細胞とを融合させてハイブリドーマを作製する。ハイブリドーマを作製するのに適した各種の骨髄腫細胞株が市販されている。融合は,当該技術分野においてよく知られる方法にしたがって,例えばPEGの存在下で行い,HAT培地で融合細胞を選択する。培養上清をELISA法などによりアッセイして,抗原と結合する抗体を産生するハイブリドーマを選択する。次に,限界希釈法により目的とする抗体を産生するハイブリドーマをクローニングすることができる。
モノクローナル抗体は,モノクローナル抗体産生細胞を培養して得られる培養液の上清から,またはマウスにモノクローナル抗体産生細胞を腹腔内投与し,接種後7日から10日目にマウスの腹水から製造することができる。モノクローナル抗体の精製は,通常の蛋白質精製方法,例えば,塩析,限外濾過,ゲル濾過,イオン交換クロマトグラフィー,アフィニティークロマトグラフィー,HPLC等の方法を用いて行うことができる。好ましくは,プロテインAカラムによるアフィニティークロマトグラフィーを行う。精製したモノクローナル抗体のサブクラスは,市販のマウスモノクローナル抗体アイソタイピングキットを用いてタイピングすることにより決定することができる。
抗LST-2モノクローナル抗体をコードする抗体遺伝子の塩基配列は,得られたモノクローナル抗体産生細胞の遺伝子を解析することにより得ることができる。モノクローナル抗体産生細胞から全RNAを抽出し,これを鋳型としてリバーストランスクリプターゼを用いてcDNA断片を調製する。次に,適切に設計されたプライマーを用いてPCRにより抗体遺伝子のV領域を増幅し,この領域のcDNAの塩基配列を決定する。
抗LST-2抗体のアミノ酸配列をコードする遺伝子を利用して,遺伝子組換え技術を用いて組換え型の抗体を製造することができる。組換え型のモノクローナル抗体を製造するためには,抗LST-2抗体をコードする遺伝子を適当な発現ベクターに組み込み,宿主細胞に導入する。宿主細胞としては,大腸菌,酵母,哺乳動物細胞,昆虫細胞,植物細胞などを用いることができる。宿主細胞へのベクターの導入は,例えば塩化カルシウム法,リン酸カルシウム法,DEAEデキストラン法,エレクトロポーレーション法,リポフェクションなどの方法により行うことができる。得られた形質転換宿主細胞を培養し,抗体を発現させることにより,組換え型の抗体を製造することができる。
LST-2に結合しうるFab,F(ab')2,Fab',scFv,ディアボディー等の抗体断片は,上述の抗LST-2モノクローナル抗体をパパイン,トリプシン等の酵素で処理するか,またはこれらをコードする遺伝子を組み込んだ発現ベクターを宿主細胞に導入して形質転換体を得ることにより,製造することができる。
大腸癌組織中におけるLST-2の発現の免疫学的検出は,例えば,以下のようにして行うことができる。典型的には,手術により摘出した大腸癌組織または生検により採取した検体を定法にしたがって固定し,パラフィン切片を調製する。脱パラフィンした後に,切片上に上述の抗LST-2抗体を加え,所定時間(通常1晩)インキュベートする。切片を洗浄して未結合成分を除去した後,抗LST-2抗体と結合しうる二次抗体(例えばヤギ抗マウス抗体)を加える。二次抗体は,酵素,蛍光色素,化学発光物質,ビオチン,放射線化合物等により検出可能なように標識されている。所定時間インキュベートした後,切片を洗浄し,蛍光,発光,放射活性等を測定することにより,標識を検出する。このようにして,被験者の組織切片におけるLST-2の発現量を測定することができる。また、大腸癌組織からmRNAを得ることが出来る場合は、逆転写酵素によりcDNAを作成し、LST-2特異的プライマーを使用したRT-PCR法により半定量することが可能である。
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが,本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
抗LST-2モノクローナル抗体の製造
LST-2の公知のアミノ酸配列に基づいて,GENETYX等のソフトによるペプチドデザインにより,膜貫通部位の確認,二次構造予測(ターン部位の確認),親水性部位の確認,シグナルペプチド有無の確認を行った。その結果,C末端側の691−702のペプチド(CNLDMQDNAAAN)(配列番号1)を感作用ペプチドとして選択した。
ペプチド合成は下記の如く行った。
合成方法:Fmoc固相合成法
合成概要:C末樹脂 Fmoc-Asn(trt)Wang resin
脱保護試液 reagentK
脱Fmoc試液 20%ピペリジン/N-メチル-ピロリドン
LST-2の公知のアミノ酸配列に基づいて,GENETYX等のソフトによるペプチドデザインにより,膜貫通部位の確認,二次構造予測(ターン部位の確認),親水性部位の確認,シグナルペプチド有無の確認を行った。その結果,C末端側の691−702のペプチド(CNLDMQDNAAAN)(配列番号1)を感作用ペプチドとして選択した。
ペプチド合成は下記の如く行った。
合成方法:Fmoc固相合成法
合成概要:C末樹脂 Fmoc-Asn(trt)Wang resin
脱保護試液 reagentK
脱Fmoc試液 20%ピペリジン/N-メチル-ピロリドン
4匹のマウスをKLHペプチドで免疫し,2週間後に2回目の免疫,さらに9日後に最終免疫を行い,最終免疫終了後,該マウスより無菌的に脾臓を摘出し,脾細胞を調製した。この脾細胞とマウス由来ミエローマ細胞を無血清RPMI1640培地中で細胞融合を行った。その結果,121個のハイブリドーマが得られた。
このハイブリドーマ培養上清を用いてELISAを行った結果,LST-2に対する抗体を産生する5個のハイブリドーマが得られた。このスクリーニングされた5個のハイブリドーマに対し限界希釈法によるクローニングを2〜3回行い,LST-2に対する抗体を産生し,且つ安定な増殖を示すハイブリドーマクローン(KS-0057)を得た。このハイブリドーマクローンより産生されるLST-2抗体のクラスをELISAにより調べたところ,IgGである事が判明した。
LST-2抗体の精製はハイブリドーマ培養上清をマウス腹腔内に投与した腹水よりカラムクロマトグラフィーで行った(Protein-Gカラム精製)。セルロースアセテート膜電気泳動にて抗体バンドを確認した。タンパク定量(UV法)したところ5.93mg/mlであった。
大腸癌組織におけるLST-2の発現の測定
大腸癌組織試料としては,1994年〜1999年の期間に手術が施行された大腸癌症例 255例(平均観察期間69か月)の標本を用いた。実施例1で作製した抗LST-2モノクローナル抗体を使用して免疫染色をおこなった。免疫染色の評価は,浸潤部での陽性細胞10%以上を陽性と判定した。
大腸癌組織試料としては,1994年〜1999年の期間に手術が施行された大腸癌症例 255例(平均観察期間69か月)の標本を用いた。実施例1で作製した抗LST-2モノクローナル抗体を使用して免疫染色をおこなった。免疫染色の評価は,浸潤部での陽性細胞10%以上を陽性と判定した。
抗LST-2抗体を用いた大腸癌細胞の染色の例を図1に示す。染色シグナルは細胞膜および細胞質が主で,腫瘍の辺縁部が強く染色される傾向がみられた。今回検討した全255例中,67症例が10%以上の細胞が染色され,陽性と判断した。一方,正常大腸粘膜は陰性(ないし弱陽性)であった。LST-2の陽性率は男性で40/145 (27.6%),女性で27/110 (24.5%)で,男女によりLST-2陽性率の変化は見られなかった。
LST-2の発現と大腸癌の臨床病理学的因子との関連
次に,LST-2陽性と陰性に分類し,年齢/性/部位/浸潤度/リンパ節転移/Duke's分類/血管浸潤/リンパ節浸潤/組織型/予後などの臨床病理学的因子,及び免疫染色により性ホルモン受容体ERα/ERβの発現,および増殖関連抗原 Ki-67の発現との相関を検討した。これらの因子では有意な相関関係を示すものは存在しなかった。しかしながら有意差は示されなかったが,LST-2発現と血管浸潤やリンパ節転移,浸潤度などと反比例する傾向が観察された。さらに女性にのみ絞って検討すると,ERβとの発現と相関する事が明らかとなった(p=0.03)。
次に,LST-2陽性と陰性に分類し,年齢/性/部位/浸潤度/リンパ節転移/Duke's分類/血管浸潤/リンパ節浸潤/組織型/予後などの臨床病理学的因子,及び免疫染色により性ホルモン受容体ERα/ERβの発現,および増殖関連抗原 Ki-67の発現との相関を検討した。これらの因子では有意な相関関係を示すものは存在しなかった。しかしながら有意差は示されなかったが,LST-2発現と血管浸潤やリンパ節転移,浸潤度などと反比例する傾向が観察された。さらに女性にのみ絞って検討すると,ERβとの発現と相関する事が明らかとなった(p=0.03)。
LST-2の発現と大腸癌術後生存期間との関連
次に,LST-2 発現と術後生存期間に関して,全生存率をKaplan-Meier法により検討したところ,LST-2 陽性症例は,女性においてのみ有意に生存率が高い(p=0.0217)ことが明らかとなった(図2)。これをステージ別に分けて検討すると,Duke's A+B,すなわちリンパ節転移がない症例では,LST-2陽性症例は全例が生存しており,またDuke's C症例においても,LST-2陽性症例は1例を失うのみで,有意に予後が良好であった(図3および図4)。
次に,LST-2 発現と術後生存期間に関して,全生存率をKaplan-Meier法により検討したところ,LST-2 陽性症例は,女性においてのみ有意に生存率が高い(p=0.0217)ことが明らかとなった(図2)。これをステージ別に分けて検討すると,Duke's A+B,すなわちリンパ節転移がない症例では,LST-2陽性症例は全例が生存しており,またDuke's C症例においても,LST-2陽性症例は1例を失うのみで,有意に予後が良好であった(図3および図4)。
次に既知の大腸癌予後因子群(リンパ節転移/浸潤度/組織型/血管浸潤/リンパ節浸潤/Ki-67 ラベリングインデックス等)との単多変量解析,多変量解析をCOX比例ハザードモデルを使用し行った。その結果,全体ではDukes分類,リンパ節浸潤の有無,T-ステージが有意差をもって予後不良因子であったが,LST-2 の発現と予後の相関関係は見られなかった。一方,症例を女性においてのみ絞って検討すると,Dukes分類やリンパ節浸潤の有無に加え,LST-2の発現と予後は相関する事,さらに多変量解析では,唯一の優れた独立予後規定因子になることが判明した(危険率0.121, p=0.0447)(表2)。
女性においてERβの発現と予後との間に相関関係は認めなかったが,LST-2とERβがともに発現している症例では全例予後が良好であった。一方,症例全体および男性症例においては,LST-2発現と予後,臨床病理学的因子との相関は認めなかった。
以上の結果から,女性大腸癌においてLST-2の発現は,優れた独立予後規定因子と成り得るものであり,特にERβの発現との関連が認められた。大腸癌においても局所でのエストロゲン輸送・合成系が増殖・分化に関与し,予後を規定している可能性が示唆された。
本発明は,大腸癌患者の予後の予測に有用である。
Claims (6)
- 女性大腸癌患者の癌組織におけるLST-2の発現を測定することを含む,前記患者の予後を予測する方法。
- 抗LST-2抗体を用いてLST-2の発現を測定する,請求項1記載の方法。
- 抗LST-2抗体がLST-2のC末端側細胞内ドメインを認識するモノクローナル抗体である,請求項2記載の方法。
- LST-2のC末端側細胞内ドメインを認識する抗LST-2モノクローナル抗体。
- 抗LST-2抗体を含む,女性大腸癌患者の予後を予測するためのキット。
- 抗LST-2抗体がLST-2のC末端側細胞内ドメインを認識するモノクローナル抗体である,請求項5記載のキット。
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Cited By (1)
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---|---|---|---|---|
US9115405B2 (en) | 2010-02-19 | 2015-08-25 | National University Corporation Chiba University | Alternative splicing variant of OATP1B3 mRNA |
-
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US9115405B2 (en) | 2010-02-19 | 2015-08-25 | National University Corporation Chiba University | Alternative splicing variant of OATP1B3 mRNA |
US9404158B2 (en) | 2010-02-19 | 2016-08-02 | National University Corporation Chiba University | Alternative splicing variant of OATP1B3 mRNA |
US10011881B2 (en) | 2010-02-19 | 2018-07-03 | National University Corporation China University | Alternative splicing variant of OATP1B3 mRNA |
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