JP2007116248A - 骨伝導マイクおよびその製造方法 - Google Patents

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陽一 橋本
Hideyuki Kawase
英幸 川瀬
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Abstract

【課題】 簡素な構造で、半田を使用せずに組立可能な振動検出部を有する骨伝導マイクとその製造方法を提供すること。
【解決手段】 骨伝導マイクの検出部を構成する圧電素子1aと、信号連結スペーサ11、銅接続スペーサ12、テーパ状の接地スペーサ13、絶縁スペーサ10からなる接続部材とを仮接着した状態で、マイクケース30に設けられた支持部材40に開口した素子取付開口部に、機械的に圧入し、必要に応じてさらに接着剤にて補強し固定する構造とした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、携帯電話機やモバイル機器に用いられる骨伝導マイクおよびその製造方法に関し、特に、携帯電話機やモバイル機器のアクセサリーとして使われる、音声の骨伝導振動を利用した耳装着型の音情報伝達器として好適に使用でき、また音情報伝達器の骨伝導音を検出するためのピックアップセンサとして好適に使用できる骨伝導マイクおよびその製造方法に関する。
近年、携帯電話やモバイル機器等の普及とともに、これら機器の利用の多様化が著しく進んでいる。その一例として、携帯電話やモバイル機器の利用において、利用者の手を煩わせずに通話できる小形な耳装着型の音情報伝達器が活用されつつある。その利用に際し、利用者は、上記音情報伝達器のマイクロホン部および、イヤホン部を耳甲介腔部に装着して利用するもので、利用者は、マイク部およびイヤホン部を、単に耳甲介腔部に装着するだけで通話できるメリットを持っている。また、携帯電話機等は、周囲騒音の大きい場所等でも多用されることから、これに用いる耳装着型の音情報伝達器は、周囲騒音の影響が少ない骨伝導方式のマイクロホン(骨伝導マイクと略記)を採用している。
上記した音情報伝達器は、骨伝導マイクとイヤホン部を持った構成であり、その使用時には、骨伝導マイクとイヤホン部は、耳甲介腔部に装着され利用される。まず、骨伝導マイクは、耳甲介腔部に装着され、耳甲介腔部における骨伝導音声を検出し、接続する携帯電話機やモバイル機器の音声として送信する。また、イヤホン部は、骨伝導マイクと同時に耳甲介腔に装着され、受信信号を音声に変換し、受信音声として利用者の外耳道に向け出力する。この2動作により本音情報伝達器は、携帯電話等の機器を手に持たずに利用できる機能を達成している。
一般に、骨伝導マイクは、利用者の耳甲介腔に装着されて、利用者の声帯で発生し、頭部等を伝搬し耳甲介腔部に到達した音声(骨伝導音声=振動)を耳甲介腔部の振動として検出する。つまり、本骨伝導マイクは、振動センサから構成され、耳甲介腔部内の接触面の振動を精密に検出するものであり、検出性能の向上のために、小形、軽量に製作されねばならない。
このような骨伝導マイクとイヤホン部を持つ音情報伝達器については多くの例が知られているが、たとえば特許文献1に開示された例がある。
特開平9−331591号公報
前述した骨伝導マイクは、圧電セラミックス材料から構成し、両面に電極を形成し、その一端は外部からの力により、ほぼ自由に振動し、他の一端は支持部材を介しマイクケース等に固定した構成で、電極と支持部材の機械的な固定、および、電気的な接続は、構成形状の小型化と作業の簡易性および作業設備の容易さから半田を用いた固定方法を使っていた。しかし、この半田付けによる部品の固定は、半田熱による部材の破損および特性の劣化を伴い、性能安定や品質保証において問題があった。
このような状況にあって、本発明の課題は、簡素な構造で、半田を使用せずに組立可能な振動検出部を有する骨伝導マイクとその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明では、機械的圧入と接着剤の使用によって、骨伝導振動検出用の振動センサの支持部を固定できる構造とした。すなわち、骨伝導マイクの振動検出部を構成する圧電素子および接続部材を仮接着した状態で、マイクケースに固定された支持部材に開口した素子取付開口部に、機械的に圧入し、また接着剤にて補強し固定する構成とした。
こうすることで半田作業の廃止と組立作業歩留まりの向上が図れ、性能が安定し、安価な且つ品質が安定した骨伝導マイクを製作し、提供することができる。
詳述すると、本発明の骨伝導マイクは、電極が形成された角棒状または角板状の圧電セラミックス材料からなり一端が開放され自由端として振動し他端が支持部材を介してマイクケースに固定された圧電素子を1個または複数個用い、前記マイクケースに伝達された骨伝導振動を検出する振動検出部を形成してなる骨伝導マイクにおいて、前記振動検出部を構成する圧電素子の端部近傍と、前記圧電素子の固定用または電気信号伝達用の接続部材とが、前記支持部材に形成された矩形の素子取付開口部に圧入されてなることを特徴とする。
また、本発明の骨伝導マイクの製造方法は、電極が形成された角棒状または角板状の圧電セラミックス材料からなり、一端が開放され自由端として振動し、他端が支持部材を介しマイクケースに固定された圧電素子による振動検出部を形成してなる骨伝導マイクの製造方法において、前記振動検出部を構成する圧電素子の端部近傍と前記圧電素子の固定用または電気信号伝達用の接続部材とを導電性接着剤により仮接着の状態で半固定する工程と、前工程による仮接着物の端部近傍を前記支持部材に形成された素子取付開口部に圧入する工程と、前記導電性接着剤を完全硬化させる工程とを有することを特徴とする。
また、本発明の骨伝導マイクの製造方法は、電極が形成された角棒状または角板状の圧電セラミックス材料からなり、一端が開放され自由端として振動し、他端が支持部材を介しマイクケースに固定された圧電素子による振動検出部を有する骨伝導マイクの製造方法において、前記振動検出部を構成する圧電素子の端部近傍と前記圧電素子の固定用または電気信号伝達用の接続部材とを前記支持部材に形成された素子取付開口部に挿入した後、挿入部がテーパ状に加工され前記圧電素子の電極の1つを接地する接地スペーサを前記素子取付開口部に圧入することにより前記圧電素子の端部近傍を前記支持部材に固着する工程を有することを特徴とする。
そして、前記接地スペーサを前記支持部材の素子取付開口部に圧入することにより前記圧電素子の端部近傍を固着後、さらに接着剤を使いその固着部を補強する工程を有するとよい。
以上のように、本発明によれば、簡素な構造で圧電素子の支持部の固定を半田付け作業を行うことなく可能とし、且つ作業歩留まりの向上を図ることができる。すなわち、簡素な構造で、半田を使用せずに組立可能な振動検出部を有する骨伝導マイクとその製造方法を提供することができる。
本発明にかかる耳装着型音情報伝達器の骨伝導マイクは、低域周波数から高域周波数の骨伝導音を検出可能なピックアップセンサ構造を有するものである。それゆえ、骨伝導マイクの構造は、振動検出の要である圧電素子に無駄なストレスや力を加えない構造および組立方法が最も望ましく、その構造等は、完成品の品質安定に繋がる。以下、本発明を実施するための最良の形態について図を使い詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態での骨伝導マイクを示す斜視図であり、図2はその右側面図である。図3は本発明の一実施の形態での骨伝導マイクの分解斜視図であり、図4は本発明による他の実施の形態での骨伝導マイクの分解斜視図である。
まず、本発明の一実施の形態の骨伝導マイクについて説明する。図1〜図3に示すように本実施の形態の骨伝導マイクは、角棒状または角板状でその表面に電極が形成され、それ自体が振動を検出する第1の圧電素子1a、第2の圧電素子1bと、インピーダンス変換および増幅等の機能を持つFET(電界効果型トランジスタ)4と、これらの要素を接続する信号連結スペーサ11、銅接続スペーサ12、接地スペーサ13、素子取付開口部20が設けられた支持部材40を有し全体を固定するマイクケース30、絶縁を確保するための絶縁スペーサ10、FET4等を固定する素子基板2等から構成している。
この骨伝導マイクは、外部から振動力を受けると、その振動力はマイクケース30を介し、マイクケース30の素子取付開口部20に挿入固定された第1の圧電素子1a、第2の圧電素子1bに伝搬する。圧電素子1a,1bは、上記したように一端が固定され、他端が開放され自在に可動できる構造のため、固定端を基点に受けた振動力の大きさに対応した量で、自在に振動する。言い換えると、自由端と固定端を持つ振動体として振動する。同時に、圧電素子1a,1bは、受けた振動の大きさに対応した電気信号をその電極に発生し、接続する信号連結スペーサ11を介し素子基板2に形成された電気回路の入力部へ、また、第1の圧電素子1aの電極から接地スペーサ13を介し素子基板2のグランドへ伝わり、素子基板2のFET4を介し、骨伝導マイクの出力として、出力端子3で接続する携帯電話機等の電子機器へ伝える。
この骨伝導マイクを利用者の耳甲介腔に装着することにより、骨伝導マイクは、声帯で発生し、口咽、鼻腔等で変調を受け、顎や頭部の骨や軟骨、生体組織等を伝わり、耳甲介腔部に到達した音声に起因する振動(骨伝導音)を拾い、電気信号に変換し、接続する機器へ伝えるものである。
次に、骨伝導マイクの圧電素子の機械的な固定構造および方法について説明する。骨伝導マイクの検出部は、図3に示すように接地スペーサ13、第1の圧電素子1a、銅接続スペーサ12、第2の圧電素子1b、信号連結スペーサ11、絶縁スペーサ10の各部品を順次、積み重ね、たとえば、導電性接着剤でそれぞれの部材を仮接着する。この仮接着した検出部を、図3に示すマイクケース30に設けられた支持部材40の素子取付開口部20に圧入して、接着剤を所定の処理・工程にて硬化させ、骨伝導マイク部の固定を完成させる。ここに言う仮接着とは、接着剤がその粘性や接着性等で部材を保持しているが接着剤自体未硬化の状態を示す。
引き続き、骨伝導マイクの圧電素子とその電気的な接続について説明する。上記した接地スペーサ13、銅接続スペーサ12、信号連結スペーサ11は、導電体の素材から構成し、絶縁スペーサ10は絶縁体で構成している。従って、第1の圧電素子1aの一方の電極は接地スペーサ13と接続し、第1の圧電素子1aの他方の電極は導電性の銅接続スペーサ12を介し第2の圧電素子1bの一方の電極と接続し、第2の圧電素子1bの他方の電極は導電体の信号連結スペーサ11を介し素子基板2のFET4の入力部へ接続している。この入力接続部は、導電性接着剤または、半田にて確実に接続され、圧電素子が検出した信号は、素子基板2へ伝達される。
このとき、絶縁スペーサ10が十分機能しないと、圧電素子1a,1bが、導電体で構成されるマイクケース30の素子取付開口部20の周辺に当接し、圧電素子1a,1bが電気的にショート状態となり、検出出力信号が劣化する。
次に、上記した骨伝導マイクの圧電素子等の固定方法と別の第2の固定方法を用いた本発明の他の実施の形態について、以下に記載する。上記した圧電素子等の固定方法は、さらに説明すると、検出部を構成する図3に示す接地スペーサ13、第1の圧電素子1a、銅接続スペーサ12、第2の圧電素子1b、信号連結スペーサ11、絶縁スペーサ10の各部品に対し導電性接着剤を塗布し、順次積層し、それぞれの部材を仮接着の状態で、マイクケース30の素子取付開口部20に圧入する固定方法である。この方法は、仮接着した検出部の部材を素子取付開口部20に圧入するので圧入作業が円滑にできるメリットがある、一方、各部材間に液状(または、ペースト状)の導電性接着剤を塗布する課題もある。
そこで、各部材間へ導電性接着剤を塗布する作業を省き、組立工程を低減する第2の固定方法を以下に示す。すなわち、第2の固定方法は、図4に示すマイクケース30の素子取付開口部20に、絶縁スペーサ10、信号連結スペーサ11、第2の圧電素子1b、銅接続スペーサ12、第1の圧電素子1aを順次、乾燥状態で所定位置へ挿入し、最後に、挿入部がテーパ状に加工された接地スペーサ14を、矢印Aに示す方向に機械的に圧入し、各部材を機械的に高い剛性で固定する。また、固定後、必要に応じて、接着剤等にて固定部の補強を行うものである。上記した第2の固定方法は、検出部を構成する各部材の組立作業を、乾燥状態にて行えるメリットを持つ。
ところで、図2に示した素子取付開口部20の一辺は、マイクケース30の面に対して45度の角度を有している。しかし、本件骨伝導マイクの固定方法は、素子取付開口部20の一辺とマイクケース30のなす角度に関わらず可能である。
また、マイクケース30とは逆側に、振動検出部および電気回路を保護するケースを被せ、この部分で骨伝導音を受けることができる。
以上の実施の形態では、第1および第2の圧電素子を用いて振動検出部を形成した場合について説明したが、この圧電素子数を多くすると、振動検出感度を高めることができ、逆に1個だけで振動検出部を構成することも可能である。
本発明の一実施の形態での骨伝導マイクを示す斜視図。 本発明の一実施の形態での骨伝導マイクを示す右側面図。 本発明の一実施の形態での骨伝導マイクを示す分解斜視図。 本発明による他の実施の形態での骨伝導マイクを示す分解斜視図。
符号の説明
1a,1b 圧電素子
2 素子基板
3 出力端子
4 FET
10 絶縁スペーサ
11 信号連結スペーサ
12 銅接続スペーサ
13,14 接地スペーサ
20 素子取付開口部
30 マイクケース
40 支持部材
A 矢印

Claims (4)

  1. 電極が形成された角棒状または角板状の圧電セラミックス材料からなり一端が開放され自由端として振動し他端が支持部材を介してマイクケースに固定された圧電素子を1個または複数個用い、前記マイクケースに伝達された骨伝導振動を検出する振動検出部を形成してなる骨伝導マイクにおいて、前記振動検出部を構成する圧電素子の端部近傍と、前記圧電素子の固定用または電気信号伝達用の接続部材とが、前記支持部材に形成された矩形の素子取付開口部に圧入されてなることを特徴とする骨伝導マイク。
  2. 電極が形成された角棒状または角板状の圧電セラミックス材料からなり、一端が開放され自由端として振動し、他端が支持部材を介しマイクケースに固定された圧電素子による振動検出部を形成してなる骨伝導マイクの製造方法において、前記振動検出部を構成する圧電素子の端部近傍と前記圧電素子の固定用または電気信号伝達用の接続部材とを導電性接着剤により仮接着の状態で半固定する工程と、前工程による仮接着物の端部近傍を前記支持部材に形成された素子取付開口部に圧入する工程と、前記導電性接着剤を完全硬化させる工程とを有することを特徴とする骨伝導マイクの製造方法。
  3. 電極が形成された角棒状または角板状の圧電セラミックス材料からなり、一端が開放され自由端として振動し、他端が支持部材を介しマイクケースに固定された圧電素子による振動検出部を有する骨伝導マイクの製造方法において、前記振動検出部を構成する圧電素子の端部近傍と前記圧電素子の固定用または電気信号伝達用の接続部材とを前記支持部材に形成された素子取付開口部に挿入した後、挿入部がテーパ状に加工され前記圧電素子の電極の1つを接地する接地スペーサを前記素子取付開口部に圧入することにより前記圧電素子の端部近傍を前記支持部材に固着する工程を有することを特徴とする骨伝導マイクの製造方法。
  4. 前記接地スペーサを前記支持部材の素子取付開口部に圧入することにより前記圧電素子の端部近傍を固着後、さらに接着剤を使いその固着部を補強する工程を有することを特徴とする請求項3記載の骨伝導マイクの製造方法。
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