JP2007107516A - タービンシュラウドセクション、タービンエンジンおよびタービンシュラウド冷却方法 - Google Patents

タービンシュラウドセクション、タービンエンジンおよびタービンシュラウド冷却方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温ガス流の運動量損失を最小限にする冷却通路を備えたシュラウドセクションを提供する。
【解決手段】ガスタービンエンジンを通流するガス流26の一部は、タービン内を周方向に移動する。タービンの外周に沿って配設されたシュラウドセクション30の冷却通路36は、予測された円周方向の流れ方向41と整列するとともに、排出方向42に向かって冷却空気を排出するように円周方向に傾斜している。排出方向42は、流れ方向41と整列するとともに、中心軸Aに対して垂直をなす円周方向成分47を有する。流れ方向41は、排出方向42に対し角度αをなす。ガス流26の運動量損失を最小限にするように、角度αが0°に近いことが望ましい。冷却空気は、後縁部44において流れ方向41’と整列する排出方向49に排出される。本発明により、高温ガス流26の運動量が増加し、タービンの効率が向上する。
【選択図】図4

Description

本発明は、ガスタービンエンジンのシュラウドに関し、特に、ガスタービンエンジンの効率を向上させる冷却通路を備えたシュラウドに関する。
従来のガスタービンエンジンは、広く知られており、航空機および他の乗物を推進させるように用いられる。通常、ガスタービンエンジンは、圧縮機、燃焼器およびタービン部を備える。圧縮空気は、圧縮機から燃焼器に導かれ、燃料と混合される。燃焼器により、燃料/空気混合気が点火され、高温のガス流が生じる。タービン部により、高温のガス流が機械エネルギーに変換され、圧縮機が駆動される。排気ノズルにより、航空機や他の乗物にスラスト(推力)をもたらすようにガスタービンエンジンからの高温ガスが方向づけられる。
通常、ブレード外側エアシールとして知られるシュラウドセクションは、タービン部の半径方向外側に配置されるとともに、ガスタービンエンジンを通る高温ガス流の外壁として機能する。シュラウドセクションは、通常、シュラウドセクションを所望の温度に維持するように、鋳造された一体型の冷却通路などの冷却システムを備える。冷却空気は、冷却通路を通流し、高温ガス流に抽気される。
タービン部においてタービンブレードがタービンベーンに対して回転することにより、エンジン軸に対する高温ガス流の周方向の成分が生じる。従来のシュラウドセクションでは、冷却空気は、軸方向に沿って高温ガス流内へと抽気されていた。不利なことには、排出された冷却空気の軸方向の運動量が、高温ガス流の周方向の運動量に対して作用して、高温ガス流の全運動量が減少してしまう。これにより、タービンブレードの回転効率が減少する空力的な不利益が生じてしまう。
したがって、高温ガス流の運動量の損失を最小限に抑える冷却通路を備えたシュラウドセクションが必要とされる。本発明は、そのようなニーズに応えるとともに、従来技術の欠点および短所を克服して、性能を向上させるものである。
本発明によるタービンシュラウドセクションは、エンジンを通流する高温ガス流に冷却空気を抽気する冷却通路を備える。冷却通路は、円周方向に対し角度をなすとともに、高温ガス流の運動量のエネルギー損失を減少させかつエンジン効率を向上させるように、高温ガス流の円周方向成分と整列する。
一実施例においては、タービンシュラウドセクションは、冷却通路を通って抽気される冷却空気に対する抗力を減少させるエアフォイル形状の開口部を備える。
本発明によるタービンシュラウドセクションを冷却する方法は、タービンシュラウドに隣接する予測された円周方向の流体の流れ方向を画定するステップを含む。冷媒は、予測された円周方向の流体の流れ方向と実質的に整列する方向に冷却通路から排出される。これにより、シュラウドセクションが冷却されるとともに、流体流の運動量損失が減少する。
図1では、エンジンの中心線12を中心に周方向に配設されるとともに、発電や推進に用いられるガスタービンなどのガスタービンエンジン10が図示されている。ガスタービンエンジン10は、ファン14と、圧縮機16と、燃焼器18と、タービンブレード22およびタービンベーン24を備えたタービン20と、を有する。周知のように、圧縮機16内で圧縮された空気は、燃料と混合され、燃焼器18内で燃焼され、タービン部20で膨張する高温ガスが生じる。図1は、例示を目的としているため概略的ではあるが、発電や航空機などのガスタービンに用いられる本発明を限定するものではない。さらに、ガスタービンエンジンには種々の型式があり、図示された構成だけに限定されることなく、本発明を多くのガスタービンエンジンに用いてもよい。
図2では、タービン部20の一部分が図示されている。タービンブレード22は、燃焼器18(図1)から高温ガス流26を受ける。タービン部20は、ガスタービンエンジン10を通流する高温ガス流26の外壁として作用するシュラウド28を備える。シュラウド28は、タービン部20の外周に沿って円周方向に配設されたシュラウドセクション30を備える。各シュラウドセクション30は、シュラウドセクション30を所望の温度に維持する冷却システム32を備える。コンパクトな熱交換器タイプの冷却システムが図示されているが、インピンジメント冷却、フィルム冷却、または超伝導性などの他の冷却システムであっても本発明から利益を得ることを理解されるであろう。
圧縮機16からの抽気などの冷却空気34は、各シュラウドセクション30の冷却通路36を通流するように導かれる。本実施例においては、冷却空気34は、シュラウドセクション30からパージギャップ38に抽気される。一方のパージギャップ38は、前方ベーン40aに隣接し、他方のパージギャップ38は、後方ベーン40bに隣接する。
図3を参照すると、高温ガス流26の少なくとも一部は、タービン部20において円周方向に移動する。高温ガス流26の予測される円周方向の流れ方向41は、周知の空力分析方法により決定される。シュラウドセクション30の冷却通路36は、高温ガス流26の運動量の損失を最小限にするように、予測された円周方向の流れ方向41と整列する。図示された実施例においては、冷却通路36は、排出方向42に向かって冷却空気を排出するように円周方向に傾斜しており、排出方向42は、予測された円周方向の流れ方向41と並ぶ円周方向の成分を有する。
図4(半径方向内側から見た図)および図5(軸方向断面図)では、シュラウドセクション30の前縁部43および後縁部44が図示されている。冷却空気(圧縮機16(図1)からの抽気など)は、実質的に半径方向の方向Rから冷却通路36内に流入し、前縁開口部46および後縁開口部48から排出方向42,49に向かってそれぞれ高温ガス流26内に排出される。排出方向42は、円周方向の成分47を有し、円周方向の成分47は、予測された円周方向の流れ方向41と、例えば、数度(°)以内に整列する。本実施例においては、円周方向の成分47は、エンジンの中心軸Aおよび半径方向Rに対して垂直である。
予測された円周方向の流れ方向41は、排出方向42に対し角度αをなす。角度αは、高温ガス流26内への冷却空気の排出による高温ガス流26の運動量の損失に対応する。すなわち、角度αが0°に近い場合には、運動量の損失は比較的小さいが、角度αが90°に近いか、あるいは90°以上である場合には、排出される冷却空気が、予測された円周方向の流れ方向41に流れる高温ガス流26に対して作用するため、運動量の損失が比較的大きくなる。運動量の損失を最小限にするように、角度αが0°に近いことが望ましい。また、これにより、冷却空気の排出を妨害する高温ガス流26によるよどみ点圧力の効果が最小限になる。
後縁部44において、冷却空気は、後縁部44における予測された高温ガスの円周方向の流れ方向41’と実質的に整列する第2の排出方向49に排出される。一実施例においては、第2の排出方向49は、予測された高温ガスの流れ方向41’の数度(°)以内にある。これにより、後縁部44付近の高温ガス流26の運動量が増加し、タービン部20の効率が向上する。
図6では、図4および図5に図示されているシュラウドセクション30の前縁部の代わりにタービン部20に用いられる第2の実施例のシュラウドセクション30’の一部分が図示されている。シュラウドセクション30’は、エンジンの中心軸Aに面している表面58から冷却空気を排出する冷却通路36’を備える。本実施例においては、冷却通路36’は、第1の部分60と、第1の部分60に向かって戻るような角度を有する後退部分62と、を備える。後退部分62は、第1の部分60の半径方向外側に向かい、さらに表面58に向かって後方にループする形状をなしており、これにより、表面58の開口部64から冷却空気が排出される。本実施例においては、開口部64は、シュラウドセクション30’の前縁部43’付近に設けられているが、後縁部付近のループにより利益を得る他の形状であってもよい。半径方向外側にループする形状をなすことによって、シュラウドセクション30’が軸方向によりコンパクトになる。
図7を参照すると、後退部分62は、また、円周方向に角度をなしており、該後退部分62により、冷却空気が、予測された円周方向の流れ方向41’と並ぶ対応の円周方向の成分47’を有する円周方向の排出方向42’に向けて排出され、これにより、前述と同様に高温ガス流26の運動量の損失が減少する。
図8では、例示的な第3の実施例のタービンシュラウドセクション30”の半径方向外側部分が図示されている。シュラウドセクション30”は、前縁部78および後縁部80に複数の開口部76を備える。本実施例においては、開口部76は、エアフォイル形状を有する。エアフォイル形状は、コーナ86を備えた公称狭端部84と、実質的に該狭端部84の反対側に位置する公称広端部82と、を有する。エアフォイル形状を有することにより、開口部76から高温ガス流26に流出する冷却空気への抗力が減少する。従来では、複数のコーナを有する開口部によって、抗力を増加させる圧力低下が生じていた。本発明による単一のコーナを有するエアフォイル形状により、排出された冷却空気にかかる抗力の量(例えば、流量係数で表される摩擦損失から)が減少し、それにより、空力的な利点がもたらされる。本実施例に記載されたエアフォイル形状を前述の実施例の開口部46,48,64に用いてもよいことを理解されたい。
一実施例においては、有利には、前縁部78における開口部76のエアフォイル形状により、一定の冷却空気の抽気速度がもたらされる。周知の開口部の(複数の)コーナにより生じる乱流および圧力低下が最小限となり、その結果、冷却空気の抽気速度がより均一かつ一定となる。これにより、開口部76からの抽気後、シュラウドセクション30”に隣接する冷却空気のフィルム79の効果が向上する。
他の実施例においては、後縁部80において排出される冷却空気は、高温ガス流26の圧力よりも大きい圧力を有する。その結果、冷却空気により、高温ガス流26に運動エネルギーが付与される。後縁部80における開口部76に亘る摩擦損失を減少させることにより、排出される冷却空気と高温ガス流26との間の圧力差がさらに増す。これにより、冷却空気がさらに多くの運動エネルギーを高温ガス流26に付与することが可能となる。
本発明の好ましい実施形態が開示されたが、当業者であれば、ある種の変更形態が本発明の範囲内にあることを理解されよう。
例示的なガスタービンエンジンの概略図。 図1のガスタービンエンジンのタービン部の部分概略図。 図2に図示されたシュラウドセクションの軸方向の概略図。 図2に図示されたシュラウドセクションの半径方向の概略図。 図4に図示されたシュラウドセクションの断面図。 図2のタービン部に用いられる第2の実施例のシュラウドセクションの断面図。 図6のシュラウドセクションの断面図。 図2のタービン部に用いられるエアフォイル形開口部を有する第3の実施例のシュラウドセクションの概略図。
符号の説明
10…ガスタービンエンジン
12…エンジンの中心線
14…ファン
16…圧縮機
18…燃焼器
20…タービン部
22…タービンブレード
24…タービンベーン
26…高温ガス流
28…シュラウド
30…シュラウドセクション
32…冷却システム
34…冷却空気
36…冷却通路
38…パージギャップ
40a…前方ベーン
40b…後方ベーン
41…予測された円周方向の流れ方向
42,49…排出方向
43,78…前縁部
44,80…後縁部
46…前縁開口部
47…円周方向の成分
48…後縁開口部
58…表面
60…第1の部分
62…後退部分
64,76…開口部
79…フィルム
82…広端部
84…狭端部
86…コーナ

Claims (22)

  1. 長手方向のエンジン軸を中心に円周方向に延びる表面と、
    前記表面を貫通するとともに予測された流体の流れ方向に対して所定の角度をなす冷却通路と、
    を備え
    前記角度が、円周方向に角度成分を有することを特徴とするタービンのシュラウドセクション。
  2. 前記表面が、前記長手方向のエンジン軸と交差する方向に沿っていることを特徴とする請求項1に記載のタービンシュラウドセクション。
  3. 前記表面が、前記長手方向のエンジン軸に対して垂直であることを特徴とする請求項2に記載のタービンシュラウドセクション。
  4. 前記冷却通路が、前記表面を通るとともに前記予測された流体の流れ方向に対する開口部を備え、前記表面が、前方に面していることを特徴とする請求項1に記載のタービンシュラウドセクション。
  5. 後方に面している表面を通って開口されている第2の冷却通路をさらに備え、前記第2の冷却通路が、第2の予測された流体の流れ方向に対して所定の第2の角度をなし、前記第2の角度が、円周方向に第2の角度成分を有することを特徴とする請求項4に記載のタービンシュラウドセクション。
  6. 前記第2の冷却通路が、前記第2の予測された流体の流れ方向と実質的に整列することを特徴とする請求項5に記載のタービンシュラウドセクション。
  7. 前記冷却通路が、前記表面を通る開口部を備え、前記表面が半径方向内側に面していることを特徴とする請求項1に記載のタービンシュラウドセクション。
  8. 前記冷却通路が、エアフォイル形の開口部を備えることを特徴とする請求項1に記載のタービンシュラウドセクション。
  9. 前記角度成分が、前記長手方向のエンジン軸および半径方向に対して垂直であることを特徴とする請求項1に記載のタービンシュラウドセクション。
  10. 前記表面および前記冷却通路を画定する単一の一体型鋳造部をさらに備える請求項1に記載のタービンシュラウドセクション。
  11. 前記冷却通路が、後方部分と、後方に向かって角度をなす後退部分と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のタービンシュラウドセクション。
  12. 前記後退部分が、前記後方部分から少なくとも部分的に半径方向外側に向かっていることを特徴とする請求項11に記載のタービンシュラウドセクション。
  13. エンジンの中心線を中心に回転するタービンブレードの外周に沿って円周方向に配設された請求項1に記載の複数のタービンシュラウドセクションを備えるタービンエンジンであって、さらに、
    空気を吸気するファンと、
    前記空気を圧縮する圧縮機と、
    燃料を燃焼させるように前記空気を受ける燃焼器と、
    を少なくとも備えるタービンエンジン。
  14. 冷媒を排出する冷却通路と、
    前記冷却通路と流体連通しているエアフォイル形の開口部と、
    を備えるタービンシュラウドセクション。
  15. 前記エアフォイル形開口部が、湾曲した公称広端部と、コーナを有する公称狭端部と、を備えることを特徴とする請求項14に記載のタービンシュラウドセクション。
  16. 前記エアフォイル形開口部が、前方に面している表面に設けられていることを特徴とする請求項14に記載のタービンシュラウドセクション。
  17. 前記エアフォイル形開口部が、エンジンの中心軸に対して半径方向内側に面している表面に設けられていることを特徴とする請求項14に記載のタービンシュラウドセクション。
  18. 前記冷却通路が、後方部分と、後方に向かって角度をなす後退部分と、を備えることを特徴とする請求項14に記載のタービンシュラウドセクション。
  19. 前記冷却通路が、予測された流体の流れ方向に対して所定の角度をなし、前記角度が、円周方向に角度成分を有することを特徴とする請求項14に記載のタービンシュラウドセクション。
  20. タービンシュラウドを冷却する方法であって、
    (a)タービンシュラウドに隣接する予測された円周方向の流体の流れ方向を画定するステップと、
    (b)前記予測された円周方向の流体の流れ方向と実質的に整列する円周方向の成分を有する所定の方向にタービンシュラウドの冷却通路から冷媒を排出するステップと、
    を含むタービンシュラウド冷却方法。
  21. エアフォイル形開口部を通して前記冷媒を排出することを含む請求項20に記載のタービンシュラウド冷却方法。
  22. 前記冷却通路を形成するように単一の一体部分として前記シュラウドセクションを鋳造することを含む請求項20に記載のタービンシュラウド冷却方法。
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