JP2007087834A - 蛍光ランプ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】近赤外線を効率良く照射し、美容に関する効果を期待できるとともに、不要な光の照射を抑制して取り扱いを容易にできる蛍光ランプ装置を提供する。
【解決手段】電球形の蛍光ランプ10について、発光管14の発光層21の蛍光体をマンガン付活ゲルマン酸塩蛍光体とクロム付活YAG構造蛍光体とを混合して用いる。人体の皮膚への透過性に優れる600nmから800nmの近赤外光を効率良く放射できる。特に、ヘモグロビンによる吸収が少なく人体の透過性に優れる700nmの放射光を放射する。グローブ16の内面に、酸化鉄の紫外線遮断層25を形成する。紫外線や熱線など不要な光の照射を抑制して所望外の作用を抑制でき、取り扱いを容易にできる。
【選択図】図1
【解決手段】電球形の蛍光ランプ10について、発光管14の発光層21の蛍光体をマンガン付活ゲルマン酸塩蛍光体とクロム付活YAG構造蛍光体とを混合して用いる。人体の皮膚への透過性に優れる600nmから800nmの近赤外光を効率良く放射できる。特に、ヘモグロビンによる吸収が少なく人体の透過性に優れる700nmの放射光を放射する。グローブ16の内面に、酸化鉄の紫外線遮断層25を形成する。紫外線や熱線など不要な光の照射を抑制して所望外の作用を抑制でき、取り扱いを容易にできる。
【選択図】図1
Description
本発明は、美容に用いる蛍光ランプ装置に関する。
従来、例えば、人の肌に対して、希ガスが封入された大出力のフラッシュランプによりパルス状の光を放射し、色素細胞を破壊する美容方法が知られている。例えば、515nm〜1200nmの連続する波長を放射する装置を用い、3〜90J/cm2の範囲で、0.5〜25msのパルス幅、1〜300msの間隔で、1〜3回に分けて発光させ、顔面に照射するようになっている。また、この光の照射時には、特定波長のフィルタを用いるとともに、このフィルタに光の照射毎に無色のゼリーを塗布し、フィルタと皮膚とを2〜3mm離間させている。そして、例えば600nm以下の波長の照射により、赤血球の光吸収によって細胞が瞬時に発熱して破壊され、毛細血管拡張症や色素沈着の改善が図られている。
このような構成は、光吸収による色素細胞の破壊を目的とし、照射エネルギーが大きいため、治療時間が短いとの利点があるが、専門医師による施術が必要であるとともに、数キロワットと大出力で装置は高価で寸法も大きくなる。そこで、医療施設における多人数に対する施術には適するものの、一般家庭における施術は困難である。
この点、必ずしも色素細胞の破壊を目的とせず、皮膚への浸透効果の高い近赤外線などの波長を広い面積に安全に照射し、真皮へ到達する放射光を増加させ、真皮の血流増加や細胞活性化効果などの美容に関する効果を期待する構成があり、このような装置に蛍光ランプを用いる構成が考えられる。
しかしながら、従来の赤色光ないし近赤外線を照射する蛍光ランプでは、近赤外線の他に、分光分布のグラフには示されていなくとも、実際には紫外線や熱線も放射しており、人の肌を対象とする美容目的の利用としては取り扱いが容易でない問題を有している(例えば、特許文献1参照。)。
特開平9−199086号公報
上記従来のように、美容目的で蛍光ランプを用いる場合は、赤色ないし遠赤色光を効率良く照射するとともに、紫外線や熱線など不要な光の照射を抑制した構成が求められる。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、赤色ないし遠赤色光を効率良く照射し、美容に関する効果が期待されるとともに、不要な光の照射を抑制して取り扱いを容易にできる蛍光ランプ装置を提供することを目的とする。
請求項1記載の蛍光ランプ装置は、内部で放電が発生されるとともに水銀が封入された発光管と;発光管の内面に設けられ、700nmの放射光を含み600nmから800nmの放射光を放射する蛍光体を主体とした発光層と;蛍光体が放射した放射光から370nm以下の紫外線を遮断する紫外線遮断層と;を具備しているものである。
蛍光体は、例えば、クロム及びユーロピウムで付活されたYAG構造の蛍光体を含む。この蛍光体に水銀の放電で生じる254nmの紫外線を照射することで、発光管は650nmから800nmの範囲の赤色ないし遠赤色光を放射する。なお、ここでは、600nmから700nmの波長の光を赤色光、700nmから800nmの波長の光を遠赤色光とする。
紫外線遮断層は、例えば、透光性を有する基体上に、酸化鉄(Fe2O3)の微粉をコーティングして形成し、600nm以下の放射光を遮断し、赤色状の光線を照射する構成とすることができる。
また、紫外線遮断層は、例えば、透光性を有する基体上に、酸化チタンあるいは酸化亜鉛のコーティングをして形成し、370nm以下の放射光を遮断し、黄色状の光線を照射する構成とすることができる。
蛍光ランプ装置は、例えば、口金を有する一体形の電球形の蛍光ランプとして構成され、あるいは、蛍光ランプに器具本体を組み合わせて構成される。
発光管は、複数本のU字形バルブを並設して1本の放電路を形成した屈曲形の発光管、1本のバルブを螺旋状に屈曲した発光管などを含み、放電路の両端に一対の電極を封装するのが一般的であるが、一対の電極が発光管内に封装されてないいわゆる無電極方式でもよい。
そして、この構成では、人体の透過性に優れる600nmから800nmの赤色ないし遠赤色光を用い、特に、ヘモグロビンによる吸収が少なく人体の透過性に優れる700nmの放射光を用いることにより、真皮への放射光を増加させることが容易になり、真皮の血流増加や細胞活性効果が期待される。そして、370nm以下の紫外線を遮断することにより、メラニンの増加や表皮細胞への化学的作用など所望外の影響が抑制される。そして、適切な蛍光体を用いることで、皮膚への浸透効果の高い波長を拡散させ広い面積に連続して長時間照射することが容易になり、一般家庭などでの取り扱いが可能になる。
請求項2記載の蛍光ランプ装置は、請求項1記載の蛍光ランプ装置において、紫外線遮断層は、発光管の外面、及び発光管に一体的に連結されこの発光管を覆うグローブの少なくとも一方に設けられたものである。
紫外線遮断層は、発光管の外面、または、グローブの内面あるいは外面に設けられる。
グローブは、ボール形、あるいはレフ形の規格に近似する形状などに形成される。また、グローブの内面の一部に蒸着などによる反射面を設けた構成とすることもできる。
そして、この構成では、紫外線遮断層を一体的に設けた取り扱いの容易な蛍光ランプ装置が提供される。
請求項3記載の蛍光ランプ装置は、請求項1記載の蛍光ランプ装置において、発光管を備えた蛍光ランプと;蛍光ランプが装着されるランプソケット及び紫外線遮断層を備えた器具本体と;を具備しているものである。
そして、この構成では、発光管を備えた蛍光ランプと紫外線遮断層とが別体で形成され、放射光の分光分布の設定が容易になり、汎用性が向上する。
請求項4記載の蛍光ランプ装置は、請求項1ないし3いずれか一記載の蛍光ランプ装置において、放射対象物の被放射面に向けて光を照射する照射部を備え、この照射部から30mm離間した位置で放射対象物の被放射面が受ける放射照度を、0.1〔mW/cm2〕以上、300〔mW/cm2〕以下としたものである。
放射対象物の被放射面は、例えば、人の皮膚である。
そして、この構成では、規定の位置、例えば発光管を覆うグローブの先端部に設けた照射部から放射光の放射方向の中心方向に沿って30mm離間して位置する放射対象物の被放射面が受ける放射照度を、0.1〔mW/cm2〕以上としたため、皮下組織の活性化などの効果が期待される。また、この放射照度を、300〔mW/cm2〕以下としたため、連続照射時にも皮膚の過剰な温度上昇を抑制し、細胞温度を60℃以下にすることで、細胞の熱変性を防ぐことが可能になる。
さらに、被放射面の受ける放射エネルギーは、0.1〔J/cm2〕以上とすることにより、有効な血流増加と細胞活性効果が期待される。また、被放射面の受ける放射エネルギーは、200〔J/cm2〕以下とすることにより、組織の熱変性を防止することができる。
請求項5記載の蛍光ランプ装置は、請求項4記載の蛍光ランプ装置において、400nm以下の波長について、照射部から30mm離間した位置で放射対象物の被放射面が受ける放射照度を、0.05〔mW/cm2〕以下としたものである。
そして、この構成では、メラニンの増加や表皮細胞への化学的作用など皮膚への影響が確実に防止される。
請求項6記載の蛍光ランプ装置は、請求項4または5記載の蛍光ランプ装置において、照射部と放射対象物の被放射面の離間寸法を規定する位置規定部を具備しているものである。
位置規定部は、蛍光ランプが装着される器具本体に、あるいは、蛍光ランプ自体のグローブなどに設けられる。
そして、この構成では、照射部と放射対象物の被放射面の離間寸法が30mmなどに容易に設定され、蛍光ランプ装置の取り扱いが容易になる。
請求項1記載の蛍光ランプによれば、人体の透過性に優れる600nmから800nmの赤色ないし遠赤色光を用い、特に、ヘモグロビンによる吸収が少なく人体の透過性に優れる700nmの放射光を用いることにより、真皮への放射光を増加させることが容易になり、真皮の血流増加や細胞活性効果を期待できる。そして、370nm以下紫外線を遮断することにより、メラニンの増加や表皮細胞への化学的作用などの所望外の影響を抑制できる。そして、適切な蛍光体を用いることで、皮膚への浸透効果の高い波長を拡散させ広い面積に連続して長時間照射することが容易になり、一般家庭などでの取り扱いを可能にできる。
請求項2記載の蛍光ランプによれば、請求項1記載の効果に加え、紫外線遮断層を一体的に設けた取り扱いの容易な蛍光ランプ装置を提供できる。
請求項3記載の蛍光ランプによれば、請求項1記載の効果に加え、発光管を備えた蛍光ランプと紫外線遮断層とが別体で形成され、放射光の分光分布の設定が容易になり、汎用性を向上できる。
請求項4記載の蛍光ランプによれば、請求項1ないし3いずれか一記載の効果に加え、規定の位置、例えば発光管を覆うグローブの先端部に設けた照射部から放射光の放射方向の中心方向に沿って30mm離間して位置する放射対象物の被放射面が受ける放射照度を、0.1〔mW/cm2〕以上としたため、皮下組織の活性化などの効果が期待される。また、この放射照度を、300〔mW/cm2〕以下としたため、連続照射時にも皮膚の過剰な温度上昇を抑制し、細胞温度を60℃以下にすることで、細胞の熱変性を防ぐことが可能になる。
請求項5記載の蛍光ランプ装置によれば、請求項4記載の効果に加え、400nm以下の波長について、照射部から30mm離間した位置で放射対象物の被放射面が受ける放射照度を、0.05〔mW/cm2〕以下としたため、皮膚への影響を確実に防止できる。
請求項6記載の蛍光ランプ装置によれば、請求項4または5記載の効果に加え、照射部と放射対象物の被放射面の離間寸法を規定する位置規定部を具備しているため、照射部と放射対象物の被放射面の離間寸法が30mmなどに容易に設定され、蛍光ランプ装置の取り扱いが容易になる。
以下、本発明の蛍光ランプ装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の蛍光ランプの一実施の形態を示す側面図、図2は同上蛍光ランプの分光分布及び生体の吸収波長分布を示すグラフ、図3は本発明の蛍光ランプ装置の他の実施の形態を示す一部の断面図である。
図1において、10は蛍光ランプ装置を構成する放電灯である蛍光ランプで、この蛍光ランプ10は、口金11を有するカバー12、このカバー12に支持された発光管14、この発光管14を支持してカバー12に取り付けられたホルダ15、発光管14を覆ってカバー12に取り付けられたグローブ16、口金11及びカバー12の内側に収納された点灯装置17などを備えた電球形蛍光ランプで、レフランプの規格寸法に近似する形状に形成されている。
そして、口金11は、エジソンタイプのE26形などで、ねじ山を備えた筒状のシェル11a、このシェル11aの一端側の頂部に絶縁部11bを介して設けられたアイレット11cを備えている。また、シェル11aの他端側は、カバー12の一端部に被せてかしめまたは接着などにより固定されている。
また、カバー12は、発光管14を間接的または直接的に支持し、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)などの耐熱性合成樹脂にて形成され、一端側には口金11のシェル11aが取り付けられ、他端側には拡開した円環状のカバー部12aが形成され、このカバー部12aの内側にホルダ15が取り付けられている。
また、発光管14は、例えば4本のU字形屈曲バルブであるバルブ14aを有し、これらバルブ14aが連通管で順次接続されて1本の連続した放電路が形成されている。各連通管は、バルブ14aの接続する端部近傍を加熱溶融した後、吹き破ることによって形成された開口同士をつなぎ合わせて形成されている。一方、各バルブ14aは、管外径が11mmのガラス製の断面略円筒状の管体が、中間部で湾曲されて頂部を有する略U字状に形成されている。すなわち、各バルブ14aは、湾曲する屈曲部とこの屈曲部に連続する互いに平行な一対の直管部とを備えている。
発光管14の内面には例えば3波長形の蛍光体を備えた発光層21が形成され、発光管14の内部にはアルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、あるいはクリプトン(Kr)などの希ガスや水銀などを含む封入ガスが封入されている。
ここで、発光層21の蛍光体は、マンガン付活ゲルマン酸塩蛍光体(3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)と、クロム付活YAG構造蛍光体、具体的にはクロム付活ガリウム酸ガドリウム蛍光体(Gd3Ga5O12:Cr)やクロム付活アルミン酸ガドリウム蛍光体(Gd3Al5O12:Cr)とが混合して塗布されている。なお、マンガン付活ゲルマン酸塩蛍光体のピーク波長は658nmである。
放電路の両端に位置する両側のバルブ14aの各一端部にはステムシールまたはピンチシールによって一対の電極が封装されている。各電極は、フィラメントコイルを有し、このフィラメントコイルが一対の線状のウエルズに支持されている。各ウエルズは、例えば、両側のバルブ14aの一端部に封装されたジュメット線を介して両側のバルブ14aの一端部から外部に導出されて点灯装置17に接続される一対のワイヤに接続されている。また、適宜のバルブ14aには、ステムシールまたはピンチシールによって封装されて排気管とも呼ばれる円筒状の細管が連通状態に突設されている。この細管には、アマルガムとしての主アマルガムが封入されている。この主アマルガムは、ビスマス、錫および水銀にて構成される合金であり、略球形状に形成され、発光管14内の水銀蒸気圧を適正な範囲に制御する作用を有している。なお、主アマルガムとしては、ビスマス、錫の他に、インジウム、鉛などを組み合わせた合金によって形成したものを用いてもよい。また、両端のバルブ14aの電極のウエルズには、水銀吸着放出作用を有する補助アマルガムが取り付けられて封入されている。さらに、中央側のバルブ14aにも同様の補助アマルガムが封入されている。
また、ホルダ15は、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)などの耐熱性合成樹脂材料にて形成され、円板状の基板部15a、この基板部15aの周縁部から一端側に突出する円筒状の筒部15bを備えている。そして、基板部15aには、発光管14のバルブ14aの端部が当接しあるいは挿入されてシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などの接着剤で接着固定される発光管固定部が設けられている。また、筒部15bには、カバー12に取り付けられるカバー取付部と、点灯装置17の基板が取り付けられる基板取付部が設けられている。
また、グローブ16は、透明または光拡散性を有するガラスや合成樹脂などの材質により形成された基体としてのグローブ本体22を備えている。このグローブ本体22は、レフランプの規格寸法に近似するように、正面側の頭頂部に位置する位置規定部を兼ねた皿状の照射部22aと、この照射部22a側に向かって径寸法が大きくなる筒状の反射部22bとが滑らかに連続する曲面状に形成されている。そして、このグローブ本体22の反射部22bの一端部に開口部が形成され、この開口部の縁部がカバー12のカバー部12aの内側に嵌合されて例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などの粘性を有する接着剤により接着固定されている。
さらに、グローブ本体22の内面の全面には、紫外線遮断層25が形成されているとともに、反射部22bの内面には、反射層26が形成されている。そして、紫外線遮断層25は、少なくとも370nm以下の紫外線を遮断するもので、本実施の形態では、600nm以下の波長の放射光を遮断する効果のある赤色顔料であるベンガラとも呼ばれる酸化鉄(III)(Fe2O3)を主体として形成されている。なお、この紫外線遮断層25は、照射部22aの部分のみに設けることもでき、あるいは、発光管14の各バルブ14aの外面に設けることもできる。また、反射層26は、グローブ本体22を構成するガラスと紫外線遮断層25との間に位置し、反射部22bの内面などにアルミニウムあるいは銀などの金属を蒸着などして鏡面状に形成されている。本実施の形態では、反射層26は、アルミニウムの蒸着層として形成されている。
なお、グローブ16の頭頂部の照射部22aは、実施の形態では、照射部22aを放射対象物Dの被放射面Eすなわち人の肌の表面が30mm離間した状態で、蛍光ランプ10に対する被放射面Eの位置が規定され、すなわち、蛍光ランプ10と被放射面Eとの距離Lが30mmの状態が規定の離間寸法であり、この位置で、被放射面Eに対する放射照度が規定されるようになっている。
また、点灯装置17は、基板に複数の電子部品を実装して構成され、例えば、10kHz以上の高周波電力を発光管に印加して発光管14を点灯させるインバータ回路などの点灯回路を備えている。また、この基板は、口金11の中心線に沿って縦形に配置され、あるいは、口金11の中心線に対して交差する横形に配置されている。そして、この基板に設けられた接続端子としてのラッピングピンに、発光管14の各電極の一対のワイヤをそれぞれ巻き付けて接続されるとともに、リード線により、口金11のシェル11aおよびアイレット11cに接続されている。
そこで、蛍光ランプ10の口金11に、配線37を介して例えば100Vの商用交流電源の電力を供給することにより、点灯装置17が発光管14に高周波を供給し、放電を生じさせる。そして、この放電により生じた254nmの紫外線を発光層21の蛍光体に照射することにより、主として600nm〜800nmの範囲で発光を生じる。そして、このように発光層21から放射された放射光は、直接的に、あるいは反射層26で反射されて間接的に、照射部22aに至り、この照射部22aの紫外線遮断層25を介して紫外線が除去された状態で照射部22aから照射され、放射対象物Dの被放射面Eに照射される。
そして、このように構成された蛍光ランプ10は、E26形の口金11を含めた全長すなわちランプ高さが140mm、最大直径すなわちグローブ16の最大外径は65mmに形成されている。また、定格ランプ入力電力は22Wで、蛍光ランプ10と放射対象物Dの被放射面Eとの間の所定の離間寸法Lすなわちグローブ16の頭頂部である照射部22aから所定の離間寸法Lである30mm離間して位置する放射対象物Dの被放射面Eの得る放射照度は21〔mW/cm2〕となり、3分間の連続した照射により、放射対象物Dの被放射面Eは約3.8〔J/cm2〕の照射エネルギーを受ける。
図2に、この放電ランプ10から照射される放射光の分光分布及び生体の吸収波長分布を示す。
図2の放射光の分光分布について、横軸は波長〔nm〕、縦軸はグラフの左側に示すように放射強度〔a.u.〕であり、実線PhosAはマンガン付活ゲルマン酸塩蛍光体の分光分布であり、2点鎖線PhosBはクロム付活YAG構造蛍光体の分光分布であり、これらを合計した点線Cがこの蛍光ランプ10から照射される放射光の分光分布となる。
また、図2の生体の吸収波長分布について、横軸は波長〔nm〕、縦軸はグラフの右側に示すようにモル吸収係数〔mM/cm−1〕であり、破線fhは肺を通過して動脈を流れる酸化ヘモグロビンの吸収波長分布、1点鎖線rhは静脈を流れる還元ヘモグロビンの吸収波長分布を示している。
そして、この生体の吸収波長分布に示されるように、酸化ヘモグロビンは約700nm付近の吸収が最も少なく、さらに、人体については、600nmから800nmの範囲の波長の放射光において、人体の透過性に優れ、表皮だけでなく皮膚の真皮細胞にまで到達することが知られている。
また、発光管14に水銀を含む蛍光ランプ10では、紫外線域の放射があり、400nm以下、特に、370nm以下の放射については、人体にメラニン色素を増加させ、日焼け作用を生じるとの所望外の作用を生じてしまうが、400nm以下、特に、370nm以下、本実施の形態では、600nm以下の波長の放射光を遮断する紫外線遮断層25を設けたため、グラフに示される通り、これら紫外線域の放射光は遮断されている。
このように、本実施の形態の蛍光ランプ10によれば、適切な蛍光体を選定した発光層21により、生体である皮膚への浸透効果の高い波長である650nmから800nmの赤色ないし遠赤色光を効率良く照射し、美容に関する効果が期待されるとともに、紫外線遮断層25により、紫外線や熱線など不要な光の照射を抑制して所望外の作用を抑制し、取り扱いを容易にできる。
すなわち、発光層21の蛍光体として、マンガン付活ゲルマン酸塩蛍光体とクロム付活YAG構造蛍光体とを混合して用いることにより、人体の皮膚への透過性に優れる600nmから800nmの赤色ないし遠赤色光を放射させ、特に、ヘモグロビンによる吸収が少なく人体の透過性に優れる700nmの放射光を用いることにより、真皮への放射光を増加させることが容易になり、真皮の血流増加や細胞活性効果を期待できる。
そして、紫外線遮断層25により、400nm以下、より好ましくは600nm以下、少なくとも370nm以下の波長の紫外線を遮断することにより、人体への所望外の影響を抑制でき、長時間の連続した照射も可能になり、一般家庭などでの取り扱いが可能になる。すなわち、600nm以下の波長を遮断することにより、水銀輝線を全て遮断でき、皮膚表面で吸収される光をなくし、無駄な可視光による皮膚表面の乾燥を防止できる。また、400nm以下、すなわち、化学作用を引き起こすUV−A波長を遮断することにより、皮膚細胞に所望外の作用を与えることを抑制でき、蛍光ランプ10を皮膚に近接して配置し、皮膚に対して600nmから800nmの範囲の波長の放射光を最大にすることができる。少なくとも、メラニン細胞を増加させ日焼けなどの所望外の作用を生じやすい370nm以下の波長の紫外線を遮断することにより、例えば蛍光ランプ10を顔面に近接させて使用しても、エネルギーの高い紫外線が皮膚に照射されることを防止し、生体に所望外の作用を与えることなく、真皮に十分な放射光を到達させることができる。なお、370nm以下、好ましくは400nm以下の放射光の遮断は、例えば、酸化チタンあるいは酸化亜鉛のコーティングにより実現される。
一方、800nmを超える長波長側の赤外線は、水の吸収が大きく、すなわち、皮膚に存在する水分の吸収が増加する。そこで、このような赤外線を過度に放射すると、赤外線が皮膚の表面で吸収され、皮膚の表面が加熱されて乾燥し、しわが生成の原因となる可能性があるとともに、真皮への浸透効果も小さくなる。この点、本実施の形態の発光層21の蛍光体は、主として600nm〜800nmの範囲で発光を生じ、800nm以上の波長の放射は比較的抑制されており、皮膚の表面の加熱や乾燥を抑制できる。
また、レーザやフラッシュランプと比較し、点状の光源ではなく、発光管14が少なくとも線状に連続して発光する蛍光ランプ10であるため、光の拡散性に優れているとともに長時間の点灯が可能であり、また、太陽光レベルの弱い光出力であるため、特別な配光手段がなくとも適切な放射照度の放射光を拡散した状態で広い面積に長時間連続して照射することが容易になり、所望外の作用を起こすことがなく、一般家庭などでの取り扱いが可能になる。
また、紫外線遮断層25は蛍光ランプ10のグローブ16に設けられ、一体の電球形の蛍光ランプ10で、いわば遠赤色光放射器具である蛍光ランプ装置が構成されるため、装置に要するコストを低減できるとともに、操作の誤りなどにより紫外線が照射されることもなく、取り扱いが容易になり、一般家庭などでの取り扱いが可能になる。
さらに、グローブ16の内面の一部に蒸着などにより一体に反射部22bを設けたため、放射光の方向を制御し、皮膚以外へ照射される無駄な光をなくし、皮膚への光浸透作用を最大にすることができる。
また、規定の位置、本実施の形態ではグローブ16から30mm離間した位置で、放射対象物Dの被放射面Eが受ける放射照度を、0.1〔mW/cm2〕以上とすることにより、皮下組織の活性化などの効果が期待される。
一方、規定の位置、本実施の形態ではグローブ16に当接した位置で、放射対象物Dの被放射面Eが受ける放射照度を、300〔mW/cm2〕以下とすることにより、連続照射時にも皮膚の過剰な温度上昇を抑制し、取り扱いが容易になる。
さらに、一定時間の照射により被放射面Eの受ける放射エネルギーは、0.1〔J/cm2〕以上とすることにより、有効な血流増加と細胞活性効果が期待される。
また、一定時間の照射により被放射面Eの受ける放射エネルギーは、200〔J/cm2〕以下とすることにより、発熱を抑制して組織の破壊を防止することができる。そこで、一定時間の経過時に自動的に放射を停止するタイマーを、点灯装置17に内蔵し、あるいは蛍光ランプ10とは別体の制御部に設けることができる。
また、蛍光ランプ10自体のグローブ16が、放射対象物Dの被放射面Eの位置を規定する位置規定部を兼ねる構成とすると、構成を簡略化して製造コストを低減できるとともに、誤操作のおそれがなく、取り扱いを容易にできる。
なお、上記の実施の形態では、単独の蛍光ランプ10で蛍光ランプ装置を構成したが、蛍光ランプ10を別体の部材と組み合わせて、蛍光ランプ装置を構成することもできる。
図3に蛍光ランプ装置の第2の実施の形態を説明する。
この構成では、蛍光ランプ10は、蛍光ランプ装置を構成する器具本体31に装着されている。この器具本体31は、シャーシ32と、このシャーシ32に取り付けられるランプソケット33を備えている。そして、シャーシ31は、円筒状のシャーシ本体部35を備え、このシャーシ本体部35の一端部である先端部は、照射開口35aとなるとともに、放射対象物Dの被放射面Eに当接する当接部となっている。
一方、シャーシ本体部35の他端部である基端部は、シャーシ底板部36により閉塞されている。そして、このシャーシ底板部36の内面側に、ランプソケット33が取り付けられ固定されているとともに、このランプソケット33内の端子金具に接続された配線37が、シャーシ底板部36を貫通して器具本体31の外部に導出されている。また、この配線37は、スイッチやタイマーなどを備えた図示しない制御部に接続されている。
また、このシャーシ32のシャーシ本体部35について、ランプソケット33に蛍光ランプ10の口金11を装着した状態で、蛍光ランプ10の先端部、すなわち、グローブ16のグローブ本体22の照射部22aの中央部である頂部22cよりも、先端側の部分は、蛍光ランプ10と放射対象物Dの被放射面Eとの距離Lを規定する位置規定部38となっている。すなわち、シャーシ32の照射開口35aを放射対象物Dの被放射面Eに押し当てた状態で、蛍光ランプ10に対する被放射面Eの位置が規定され、被放射面Eに対する放射照度が規定されるようになっている。
そこで、器具本体31に蛍光ランプ10を装着した状態で、配線37を介して例えば100Vの商用交流電源の電力を供給することにより、点灯装置17が発光管14に高周波を供給し、放電を生じさせる。そして、この放電により生じた254nmの紫外線を発光層21の蛍光体に照射することにより、主として600nm〜800nmの範囲で発光を生じる。そして、このように発光層21から放射された放射光は、直接的に、あるいは反射層26で反射されて間接的に、照射部22aに至り、この照射部22aの紫外線遮断層25を介して紫外線が除去された状態で照射部22aから照射され、照射開口35aに至り、放射対象物Dの被放射面Eに照射される。
さらに、この器具本体31については、蛍光ランプ10と照射開口35aとの間に、ガラス製などの基体41の一面に600nm以下の波長の放射光を遮断する紫外線遮断層25を設けたいわば色ガラスフィルタであるフィルタ42を設けることができる。この場合には、蛍光ランプ10と別体のフィルタ42との組み合わせにより、放射光の分光分布の設定が容易になるとともに、紫外線遮断層25を備えない蛍光ランプ10を用いることができ、汎用性を向上できる。
さらに、この器具本体31については、蛍光ランプ10の背面側、例えばシャーシ本体部35及びシャーシ底板部36の内側に位置して、アルミニウム製などの反射板を設けることもできる。この場合には、グローブ16に反射層26を備えない蛍光ランプ10を用いることができ、一定の寿命がある蛍光ランプ10を安価に構成できる。さらに、発光管14を覆うグローブ16自体を備えない蛍光ランプ10を用いることができる。
なお、光放射は、上記のように時間的に連続した光の他、点灯装置17あるいは制御部の制御により、光放射が時間変化するパルス状とすることもできる。この場合、被放射面Eが受ける放射エネルギーは、0.1〔J/cm2〕以上、200〔J/cm2〕以下としつつ、パルスのデューティー比をT=ON時間/一周期の時間とすると、放射対象物Dの被放射面Eが受ける放射照度の最大値を、0.1/T〔mW/cm2〕以上、300/T〔mW/cm2〕以下とすることができる。但し、放射照度のピーク強度が1kW以上になると、熱変性を生じるので、ピーク強度は1kWを超えてはならない。
このように、蛍光ランプ10をパルス状に点灯させることで、瞬間的に強い照度を与え、細胞活性を促す効果を期待できるとともに、全体としての発熱を抑制し、組織の破壊を抑制して、取り扱いを容易にすることが図られる。
また、蛍光ランプ10の形状は、上記の構成に限られず、JIS C 7501に定義される定格電力が例えば40Wタイプ、60Wタイプ、100Wタイプの白熱電球などの一般照明用電球と略同じ外観に形成することもでき、また、球状のグローブ16を備えるいわゆるボール形に形成することもできる。
また、口金11は、E形と称されるねじ込みタイプについて説明したが、適宜の形状の口金を用いることができる。
また、例えば、蛍光ランプ10は、電球形蛍光ランプに限られず、円形あるいは角形などの環形の発光管14を有する環形蛍光ランプ、あるいは、両端部に口金11を有する直管形の蛍光ランプなどとすることもできる。例えば、上記の電球形の蛍光ランプ10と同様の蛍光体を備えた環形蛍光ランプを用いる場合、この環形蛍光ランプの発光管14に、600nm以下の波長の放射光を遮断する紫外線遮断層25を備えた別体のチューブを被せて、蛍光ランプ10を構成することもできる。そして、このチューブは、熱収縮チューブとし、発光管14に被せた後、熱を加えて発光管14に密着させることもできる。
例えば、円形の環形蛍光ランプの場合、発光管14の直径16mm、発光管14の外径229mm、定格ランプ電力20Wの蛍光ランプ10を構成することができる。
また、例えば、角形の環形蛍光ランプの場合、発光管14の直径16mm、発光管14の外径300mm、定格ランプ電力40Wの第1の蛍光ランプ10と、発光管14の直径16mm、発光管14の外径375mm、定格ランプ電力50Wの第2の蛍光ランプ10とを用いるとともに、これら蛍光ランプ10を同心状に配置する器具本体を用い、広い面積に放射光を照射可能な蛍光ランプ装置を構成することができる。この構成では、蛍光ランプ10と放射対象物Dの被放射面Eとの距離を20cmとすると、蛍光ランプ装置の放射照度は、0.7〔mW/cm2〕となり、10分間の連続した照射により、放射対象物Dの被放射面Eに約0.42〔J/cm2〕の照射エネルギーを受けさせることができる。
本発明は、美容目的の蛍光ランプ装置として利用できる。
10 蛍光ランプ装置を構成する蛍光ランプ
14 発光管
16 グローブ
21 発光層
22a 照射部
25 紫外線遮断層
31 蛍光ランプ装置を構成する器具本体
33 ランプソケット
38 位置規定部
D 放射対象物
E 被放射面
14 発光管
16 グローブ
21 発光層
22a 照射部
25 紫外線遮断層
31 蛍光ランプ装置を構成する器具本体
33 ランプソケット
38 位置規定部
D 放射対象物
E 被放射面
Claims (6)
- 内部で放電が発生されるとともに水銀が封入された発光管と;
発光管の内面に設けられ、700nmの放射光を含み600nmから800nmの放射光を放射する蛍光体を主体とした発光層と;
蛍光体が放射した放射光から370nm以下の紫外線を遮断する紫外線遮断層と;
を具備していることを特徴とする蛍光ランプ装置。 - 紫外線遮断層は、発光管の外面、及び発光管に一体的に連結されこの発光管を覆うグローブの少なくとも一方に設けられた
ことを特徴とする請求項1記載の蛍光ランプ装置。 - 発光管を備えた蛍光ランプと;
蛍光ランプが装着されるランプソケット及び紫外線遮断層を備えた器具本体と;
を具備していることを特徴とする請求項1記載の蛍光ランプ装置。 - 放射対象物の被放射面に向けて光を照射する照射部を備え、この照射部から30mm離間した位置で放射対象物の被放射面が受ける放射照度を、0.1〔mW/cm2〕以上、300〔mW/cm2〕以下とした
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の蛍光ランプ装置。 - 400nm以下の波長について、照射部から30mm離間した位置で放射対象物の被放射面が受ける放射照度を、0.05〔mW/cm2〕以下とした
ことを特徴とする請求項4記載の蛍光ランプ装置。 - 照射部と放射対象物の被放射面の離間寸法を規定する位置規定部を具備していることを特徴とする請求項4または5記載の蛍光ランプ装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005276927A JP2007087834A (ja) | 2005-09-22 | 2005-09-22 | 蛍光ランプ装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010082247A (ja) * | 2008-09-30 | 2010-04-15 | Panasonic Electric Works Co Ltd | 発毛調節光照射装置 |
JP2012192186A (ja) * | 2011-03-17 | 2012-10-11 | Jk-Holding Gmbh | 異なる波長の化学線を照射する装置 |
WO2014084379A1 (ja) | 2012-11-30 | 2014-06-05 | 株式会社 東芝 | 医療用光源およびそれを用いた医療用光源システム |
PL424051A1 (pl) * | 2017-12-28 | 2019-07-01 | Liw.Lewant - Fabryka Wyrobów Z Tworzyw Sztucznych Spółka Z Ograniczoną Odpowiedzialnością | Urządzenie terapeutyczne do naświetlania jarzeniowego do obniżania stresu i podnoszenia relaksu |
WO2021256369A1 (ja) * | 2020-06-19 | 2021-12-23 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 光照射型美容装置及び電子機器 |
-
2005
- 2005-09-22 JP JP2005276927A patent/JP2007087834A/ja active Pending
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