以下本実施形態に係る樹脂材料およびこの樹脂材料を製造する製造方法、粒状物の使用について説明する。なお、本実施形態は、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではない。
「樹脂材料」
本発明者は、50〜800nmの粒径を有する粒状物を分散相とし、分散媒となる樹脂中に分散させると、その分散相となる粒状物によって様々な機能性を有する樹脂材料(プラスチック板)を実現できることを見いだした。このサイズの大きさの粒子が分散しているのであればそれぞれの特性を顕著に樹脂材料に付与することができる。
粒状物は、樹脂の結晶化を促進させる核となり、結晶性に優れた樹脂材料を提供できる。結晶性に優れた樹脂材料は引張強度や破断伸度などに優れた強力な樹脂材料とすることができる。場合によっては50〜800nmの粒径を有する粒状物を分散させない同種の樹脂材料に比べ、二倍以上の強度を確保することもできる。このような二倍以上の強度の確保によって従来よりも1/2以下の厚さの樹脂材料で同じ強度を実現できるので、樹脂量も半分以下にすることができ、大幅に削減できるので地球環境における資源問題の解決に大きく貢献することができる。
さらには粒状物としてその粒状物自体の化学的な作用を得ることができるように、粒状物の材料を選択すると好適である。
例えば、本実施形態の粒状物が樹脂に合わせた結晶化促進剤を含むと、さらに粒状物の分散による物理的な結晶促進効果に加え、結晶化促進剤による化学的な結晶促進効果による二重の結晶促進効果によってさらなる強度の樹脂材料を提供することができ、粒状物を分散させていない同じ樹脂材料にくらべ、2倍どころか3倍、4倍の強度を確保でき従来よりも1/3以下、1/4以下の厚さの樹脂材料で同じ強度を実現できるので、樹脂量も1/3以下、1/4以下にすることができ、さらに大幅に削減できるので地球環境における資源問題の解決に甚大に貢献することができる。
さらに、粒状物の材料として、例えば帯電防止剤、二酸化炭素減少剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、導電剤、着色剤、金属光沢剤、滑剤、離型剤、光重合開始剤、光増感剤、光安定剤、充填剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、可塑剤、安定剤、界面活性剤、熱安定剤、レベリング剤、消泡剤、粘度調製剤、分子量調節剤、重合鎖逓伝体、ラジカル形成重合開始剤、カップリング剤等の添加剤、改質剤などの機能を有する樹脂に機能を付加する機能性材料を含むと好適である。
本実施形態の粒状物に帯電防止剤が含まれるものを添加した樹脂材料では、上記のように粒状物による結晶化作用によって強度が向上した上、静電気による帯電を防止することができる樹脂材料を提供することができる。このような樹脂材料は様々な用途に利用できる。例えば、ラベル、シール一般、ディスプレイ用のプラスチック基板、静電気が帯電しやすい樹脂製品一般などその用途は限られることがない。静電気は電化製品などでは、ノイズの要因となったり悪影響を与える。このような静電気の悪影響を取り除くことができるので、静電気で困難となっていた新技術の開発を促進させ、従来からの技術に対しては静電気の影響を取り除くことができるのでさらなる高精度な電化製品の提供が確保される。このような新技術および高精度製品の出現によって、世界産業は次世代産業を確立することが可能となり、巨額の経済性を得ることができる。さらにこの樹脂材料は強度が向上したことから薄くすることができ、従来考えられなかった用途への適用が可能となる。
帯電防止剤は、適宜選択して用いることができるが、例えば、4級アンモニウム塩、下記界面活性剤から選ばれる物質などを一例として挙げることができる。
本実施形態の粒状物に二酸化炭素減少剤が含まれるものを添加した樹脂材料では、上記のように粒状物による結晶化作用によって強度が向上した上、樹脂材料の焼却時に二酸化炭素の排出量を減少させることができる。二酸化炭素の排出量は、京都議定書(1997年12月、気候変動枠組条約の目的を達成するため、京都で開かれた第3回締約国会議(COP3)にて採択された議定書)により、6%の削減が急務とされている。樹脂材料の焼却時に二酸化炭素の排出量が抑制されれば二酸化炭素の削減に大きく貢献でき、巨額で取引される排出権を他の先進国等に売却することも可能となり、巨額の利益を得ることができる。さらにこの樹脂材料は強度が向上したことから薄くすることができ、従来考えられなかった用途への適用が可能となる。
二酸化炭素減少剤としては、金属ポルフィリン錯体、レドックス性高分子が挙げられる。これらは炭素と酸素の結合を阻害して、あるいは、生成した二酸化炭素を還元して炭素と酸素に分解することで二酸化炭素が減少するものであるとも考えられる。
金属ポルフィリン錯体とは下記化学式(I)、(II)で示される物質である。
金属ポルフィリン錯体を形成するポルフィリン錯体は特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが、例えば、5,10,15,20−テトラキス(2−チオフリル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(3−チオフリル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(2−ピロリル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(3−ピロリル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(2−フリル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(3−フリル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(2−メルカプトフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(3−メルカプトフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(4−メルカプトフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(2−アミノフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(3−アミノフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(4−アミノフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(2−ヒドロキシフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(3−ヒドロキシフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ポルフィリン、[5,10,15−トリス(2−チオフリル)−20−モノ(フェニル)]ポルフィリン、[5,10,15−トリス(3−チオフリル)−20−モノ(フェニル)]ポルフィリン、[5,10−ビス(2−チオフリル)−15,20−ジ(フェニル)]ポルフィリン、[5,10−ビス(3−チオフリル)−15,20−ジ(フェニル)]ポルフィリン、[5,15−ビス(2−チオフリル)−15,20−ジ(フェニル)]ポルフィリン、[5,15−ビス(3−チオフリル)−15,20−ジ(フェニル)]ポルフィリン、[5−モノ(2−チオフリル)−10,15,20−トリ(フェニル)]ポルフィリン、[5−モノ(3−チオフリル)−10,15,20−トリ(フェニル)]ポルフィリンなどを一例として挙げることができる。
また、上記化学式(II)で示された化合物Lで表示される配位子は適宜選択して用いることができるが例えば、イミダゾール誘導体、ピリジン誘導体、アニリン誘導体、ヒスチジン誘導体、トリメチルアミン誘導体、チオフェノール誘導体、システィン誘導体、メチオニン誘導体、安息香酸誘導体、酢酸誘導体、フェノール誘導体、脂肪族アルコール誘導体が一例として挙げられる。
イミダゾール誘導体は、特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが、例えば、メチルイミダゾール、エチルイミダゾール、プロピオイミダゾール、ジメチルイミダゾール、ベンズイミダゾールなどが一例として挙げられる。
ピリジン誘導体は、特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが、例えば、メチルピリジン、メチルピリジンアセテート、ニコチンアミド、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジンなどが一例として挙げられる。
アニリン誘導体は、特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが、例えば、アミノフェノール、ジアミノベンゼンなどが一例として挙げられる。
ヒスチジン誘導体は特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが、例えば、ヒスチジンメチルエステル、ヒスタミン、ヒップリル−ヒスチジン−ロイシンなどが一例として挙げられる。
トリメチルアミン誘導体は特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが、例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミンなどが一例として挙げられる。
チオフェノール誘導体は特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが、例えば、チオクレゾール、メルカプト安息香酸、アミノチオフェノール、ベンゼンジチオール、メチルベンゼンジチオールなどが一例として挙げられる。
システィン誘導体は特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが例えばシスティンメチルエステル、システィンエチルエステルなどが一例として挙げられる。
メチオニン誘導体は特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが、例えばメチオニンメチルエステル、メチオニンエチルエステルなどが一例として挙げられる。
安息香酸誘導体は特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが、例えば、サリチル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが一例として挙げられる。
酢酸誘導体は特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが、例えば、トリフルオロ酢酸、メルカプト酢酸、プロピオン酸、絡酸などが一例として挙げられる。
フェノール誘導体は特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが、例えば、クレゾール、ジヒドロキシベンゼンなどが一例として挙げられる。
脂肪族アルコール誘導体は特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが、例えば、エチルアルコール、プロピルアルコールなどが一例として挙げられる。
本実施形態の粒状物に紫外線吸収剤が含まれるものを添加した樹脂材料では、上記のように粒状物による結晶化作用によって強度が向上した上、紫外線吸収して削減することができる。このような樹脂材料を用いて人体と隔てることで紫外線による様々な弊害、例えば皮膚癌や目に対する悪影響などを大幅に削減することができる。現代社会では悪性腫瘍、目の病気などの人体に対する健康被害により、人道的な問題は勿論として、医療保険料の個人負担および国庫負担による負担が著しく、経済的な負担も大きい。したがって、この樹脂材料を用いることで健康被害を低減し、人道的な用途となると共に経済的な負担を著しく低減させることができ、巨額の利益を生むことができる。さらにこの樹脂材料は強度が向上したことから薄くすることができ、従来考えられなかった用途への適用が可能となる。
また、紫外線は物質を変質、分解させる様々な要因となることからその遮蔽については大きな課題であるが、この樹脂材料を用いて対象物質から紫外線を遮断することによって物質を紫外線による変質、分解から守ることができる。したがって、医薬、食物、高機能性材料、敏感な物質などの変質、分解しやすい物質を著しく長期間に亘って変質、分解を抑制することができる。したがって、この樹脂材料さえあればよいので従来のように大がかりな保存施設を建設し、紫外線を遮蔽したりすることがなく、大幅なコストダウンを実現できる。さらにこの樹脂材料は強度が向上したことから薄くすることができ、従来考えられなかった用途への適用が可能となる。
紫外線吸収剤としては、適宜選択して用いることができるが、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾ−ル系及びシアノアクリレ−ト系のものが好ましい。上記ベンゾフェノン系のものとしては、例えば、2,3′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン及び2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノンを一例として挙げることができる。
また上記ベンゾトリアゾ−ル系のものとしては、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)−5,6−ジクロルベンゾトリアゾ−ル)、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチルフェニル)、ベンゾトリアゾ−ル、2−(2′−ヒドロキシ−3′−メチル−5′−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロル−ベンゾトリアゾ−ル及び2−(2′−ヒドロキシ−5′−フェニルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾ−ル、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−{2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル}ベンゾトリアゾ−ル、2−{2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α′−ジメチルベンジル)フェニル}−2−ヒドロキシベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等を挙げることができる。上記シアノアクリレ−ト系のものとしては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレ−ト、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレ−ト等を挙げることができる。
本実施形態の粒状物に導電剤が含まれるものを添加した樹脂材料では、上記のように粒状物による結晶化作用によって強度が向上した上、導電性を付与されたことで様々な機能を生むことができる。透明な樹脂に導電性を付与することで現在、透明電極の主流となっているITO膜、IZO膜などをこの樹脂材料に置換することが可能である。現在、透明電極はディスプレイ産業においてなくてはならないものとなっているが成膜等が難しい面がある。これに対して透明電極をこの樹脂材料に置換することで著しく簡便で大幅にコストダウン可能となり、ディスプレイ産業に新たな時代を到来させることができる。さらにこの樹脂材料は強度が向上したことから薄くすることができ、従来考えられなかった用途への適用が可能となる。
また、導電性を付与したことで電磁波シールド作用も樹脂に与えることができる。電磁波は電気製品誤作動の主たる要因ともなり、ICタグなどの近年のRFID技術の進歩に伴い電磁波を遮断する必要も多い。このように電磁波は様々な場面で障害となる。この樹脂材料を用いれば導電性が付与されているので、電磁波シールドの新たな態様が可能となる。例えば車両用搭載機器(ECUなど)、精密機器、情報産業など次世代を担う産業において現在までの電磁波シールドから置換されることになり、大幅なコストダウンや新たな電磁波シールドの態様を構築することができる。さらにこの樹脂材料は強度が向上したことから薄くすることができ、従来考えられなかった用途への適用が可能となる。
導電剤は、適宜選択して用いることができるが、導電性を付与できるものであればよく例えば、金、銀、銅、ステンレス、アルミニウム、亜鉛、錫、インジウム、アンチモン、ニッケルなどの金属粒子、カーボンブラック、黒鉛などの導電性顔料、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化チタンなどの金属酸化物、カーボンナノチューブ、フラーレンなどの微細炭素繊維などが用いられる。導電性粉末の形状は特に限定されないが、球、楕円、鱗片形、針状の導電性粉末を用いることができる。有機金属化合物としては、メチル銀、ブチル銀、フェニル銀などの有機銀化合物、モノアルキル(アリール)金誘導体(二臭化エチル金、二塩化フェニル金など)、ジアルキル金誘導体、トリアルキル金誘導体などの有機金化合物などが用いられる。有機導電性樹脂としては、ポリアニリン、ポリチオフェンなどのπ共役系結合を有する有機化合物を用いてもよい。金属しては、例えば、アルミ、金、銀、銅、合金や酸化物、セラミックスなどの金属元素(例えば、重金属、軽金属、貴金属、卑金属、遷移金属、非遷移金属金属などの元素)を少しでも含むものまたは主に含むものを概念として含む。
本実施形態の粒状物に着色剤が含まれるものを添加した樹脂材料では、上記のように粒状物による結晶化作用によって強度が向上した上、着色作用によって様々な機能を生むことができる。例えば着色によって紫外線を遮断することもできるし、様々な意匠性などの視覚的効果を付与することができる。様々な色に着色することができれば、美術などの芸術、近年成長産業であるアニメーションなどにより好適な効果を付与することもでき、技術の世界を超えた芸術、文化の世界にまで多大な文化的、経済的貢献を提供することができる。さらにこの樹脂材料は強度が向上したことから薄くすることができ、従来考えられなかった用途への適用が可能となる。
着色剤は、適宜選択して用いることができるが、例えば着色剤には染料、顔料ともに用いることができる。顔料は、有機、無機を問わず各種のものが使用できる。例えばアルミニウム、真鍮、蒸着粉、パール顔料(ホワイト、ゴールド等各色)等の光輝性顔料、ローダミンレーキB、不溶性アゾ系赤色顔料(ナフトール系)(例、ブリリアントカーメルBS、レイクカーメルFB、レイクレッド4B、ファーストレッドFGR、レイクボルド5B、トルイジンマーロン)、不溶性アゾ系赤色顔料(アニライド系)(例、ピラゾールレッド)、溶性アゾ系赤色顔料(例、レイクオレンジ、ブリリアントカーメル3B、ブリリアントカーメル6B、ブリリアントスカーレットG、レイクレッドC、レイクレッドD、レイクレッドR、レイクボルド10B、ボンマーロンL、ボンマーロンM)などの赤色顔料、ハイザイエローA、不活性アゾ系黄色顔料(アニリド系)(例、ファーストイエローG、ファーストイエロー10G、ジアゾオレンジ)、染料レーキ系黄色顔料(例、イエローレイク)などの顔料などの黄色顔料、フタロシアニン系青色顔料(例、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー)、染色レーキ系青色顔料(例、バイオレットレイク、ブルーレイク)、その他の顔料(例、アルカリブルー)などの青色顔料、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラックなどの黒色顔料、ルチル型酸化チタンとアナターゼ型酸化チタンのいずれでもよい酸化チタン、シリカ、アルミナ、クレイ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機充填剤、酸化亜鉛等の白色顔料などを挙げることができる。これらの着色剤は、要求される色調に応じて、カーボンブラック、有機顔料、無機顔料などから適当なものを選択して用いることができ、単独、あるいは二種以上を混合して所望の色相に調整して使用することもできる。
本実施形態の粒状物に金属光沢剤が含まれるものを添加した樹脂材料では、上記のように粒状物による結晶化作用によって強度が向上した上、金属光沢性の作用によって様々な機能を生むことができる。例えば金属光沢によってメタリック性を付与できるなど様々な意匠性などの視覚的効果を付与することができる。この結果、金属よりもはるかに軽い樹脂材料を金属として代用できるので、今までにない軽量化した素材、部品、製品の提供が可能となり、新世代の材料として活躍させることができる。さらにこの樹脂材料は強度が向上したことから薄くすることができ、従来考えられなかった用途への適用が可能となる。
また、金属の反射特性を樹脂に適用した結果、赤外光、可視光、紫外光、短波長光線、電磁波などを反射してシールドさせるという対象物や人体を光、電磁波から遮蔽する用途に使用できることとなる。このような用途は紫外線などの有害光線から人体を保護する上述に例示される健康向上への有力な用途、同様に上述に例示される対象物の分解・変質を防止するという保存性の向上に寄与することができる。さらにこの樹脂材料は強度が向上したことから薄くすることができ、従来考えられなかった用途への適用が可能となる。
金属光沢剤としては、適宜選択して用いることができるが、例えば、金属光沢を有する金属一般、金属以外であってもアルミニウムペーストやアルミニウム粉等の金属顔料を添加した、シルバーまたはゴールド等のメタリック調の金属光沢剤を用いてもよい。
本実施形態の粒状物に離型剤、滑剤が含まれるものを添加した樹脂材料では、上記粒状物による結晶化作用によって強度が向上した上、耐摩耗性の減少、相手攻撃性の減少、摩擦抵抗の減少、耐ブロッキング性の向上、耐スリ傷性を著しく向上させることができる。耐摩耗性の減少、相手攻撃性の減少、摩擦抵抗の減少、耐ブロッキング性の向上、耐スリ傷性などは、製造現場、使用者の立場に拘わらず、様々な障壁となりうる課題であり、この課題の解決ができなかったために新たな技術分野や産業分野への樹脂材料の進出が妨害されていた。本樹脂材料は耐摩耗性の減少、相手攻撃性の減少、摩擦抵抗の減少、耐ブロッキング性の向上、耐スリ傷性などを向上させる樹脂材料を提供できるので、摩耗しない樹脂材料やブロッキングが起きない樹脂材料などを提供できる。これによって、ブロッキングや摩耗に注意しなければならなかった製造現場などではそれらに対して処理工程などを削減することができ、ひいては処理装置などを減少あるいは不要とすることができ、大幅なコストダウンを実現できる。さらにこの樹脂材料は強度が向上したことから薄くすることができ、従来考えられなかった用途への適用が可能となる。
離型剤、滑剤は、適宜選択して用いることができるが、例えば、エンボス加工の加工性を向上させることに好適であるものが選択される。ポリオレフィン系、ステアリン酸、ステアリン酸エステル、ステアリルアルコール、ワセリン、脂肪酸のポリグリコールエステル等を一例として用いることができる。ワックスとしては例えば、マイクロクリスタリンワックス、カルバナワックス、パラフィンワックス等が挙げられる。更に、フィッシャー−トロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木蝋、密蝋、イボタロウ、羊毛蝋、セラックスワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、ポリエステルワックス、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等、種種のワックス等を挙げることができる。
本実施形態の粒状物に光重合開始剤、光増感剤、光安定剤が含まれるものを添加した樹脂材料では、上記粒状物による結晶化作用によって強度が向上した上、これら光を制御して有効活躍する機能性材料の特性が著しく向上する。わずかな光を効率的に利用できる光利用の新世代樹脂材料を提供することができる。さらにこの樹脂材料は強度が向上したことから薄くすることができ、従来考えられなかった用途への適用が可能となる。
光重合開始剤、光増感剤としては、適宜選択して用いることができるが、例えば、光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類、及び/又は光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等を混合して用いることもできる。
本実施形態の粒状物に充填剤を添加した樹脂材料では、上記粒状物による結晶化作用によって強度が向上した上、充填剤による分散性または凝集性の強固化さようによって、劣化防止・補強などの効果を著しく向上させることができる。このような樹脂材料によれば金属板並の強度性能を確保することもでき、新世代の樹脂材料として機能性は著しい。さらにこの樹脂材料は強度が向上したことから薄くすることができ、従来考えられなかった用途への適用が可能となる。
充填剤としては適宜選択して用いることができるが、例えば、無機質充填剤又は炭酸カルシウム等の一般無機質充填剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ホウ酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、無機質球状体、有機質中空球状体、メタホウ酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カリオン、クレー等を一例として挙げることができる。
本実施形態の粒状物に発泡剤を添加した樹脂材料では、上記粒状物による結晶化作用によって強度が向上した上、きめの細かい発泡樹脂体を形成することができる。発泡樹脂体は発泡の不均一性、発泡の一つ一つの泡の大きさを小さくすることが難しく、きめの細かい発泡体を提供することが難しかった。これに対して本樹脂材料は従来考えられなかったほどの発泡の均一性を確保することができ、発泡の一つ一つの泡の大きさを小さくすることができるようになったのできめの細かい新たな発泡樹脂体を提供することができるようになったので新世代の樹脂材料として機能性は著しい。さらにこの樹脂材料は強度が向上したことから薄くすることができ、従来考えられなかった用途への適用が可能となる。
発泡剤は、適宜選択して用いることができるが、例えば、加熱により発泡する加熱発泡剤、熱分解型発泡剤、カプセル発泡剤のいずれも用いることができる。発泡剤の成分としては、ニトロペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド、トルエンスルホニルヒドラジン、アゾビスイソブチルニトリル、ベンゼンスルホニルヒドラジン等を用いることができる。カプセル発泡剤は、低沸点溶剤を熱可塑性高分子材料の被膜或いは殻で包み込んだ粒径10〜30μmの微小球である。シェル材料としては、アクリロニトリル・塩化ビニリデン共重合体やアクリロニトリル・アクリル系共重合体、ニトリル系共重合体等が使用され、内包ガスとしてはペンタン、イソペンタン、イソブタン、ブタン等がある。そして、カプセル発泡剤としては、140(160)〜190℃で1分加熱して最高倍率となる高温発泡剤であって、シェル材料がニトリル系共重合体で内包ガスがペンタンのものなどが挙げられる。
本実施形態の粒状物に難燃剤を添加した樹脂材料では、上記粒状物による結晶化作用によって強度が向上した上、樹脂とは考えられないほどの難燃材を形成することができる。これによって、金属、陶磁器並の難燃材を得ることもでき、このような難燃材は例えば建築用(例えば建物の内壁など)、防火用製品として極めて有用であり、新世代の樹脂材料として機能性は著しい。さらにこの樹脂材料は強度が向上したことから薄くすることができ、従来考えられなかった用途への適用が可能となる。
難燃剤は、適宜選択して用いることができるが、例えば、無機質充填剤又は炭酸カルシウム等の一般無機質充填剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ホウ酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、無機質球状体、有機質中空球状体、メタホウ酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カリオン、クレー等を一例として挙げることができる。
さらに適宜選択して他の機能性材料などを本実施形態の粒状物に添加した樹脂材料であれば、それぞれ機能特性を著しく得ることができる。さらにこの樹脂材料は強度が向上したことから薄くすることができ、従来考えられなかった用途への適用が可能となる。よって、それぞれにおいて多大な新規な用途と共に経済的な利益を確保することができ、著しい経済的効果を生むことができる。
可塑剤は、適宜選択して用いることができるが、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル系、リン酸エステル系、塩素化脂肪酸エステル系、塩素化パラフィン系、エポキシ系、ポリエステル系、アジピン酸エステル系の可塑剤を一例として挙げることができる。
安定剤は、適宜選択して用いることができるが、例えば、カドミウム・バリウム・亜鉛等の複合系安定剤、鉛系安定剤、錫系安定剤、カルシウム系安定剤等を一例として用いることができる。
界面活性剤、乳化剤、湿潤剤は、適宜選択して用いることができるが、エマルジョン化することに対して好適であるものが好ましく、例えば、燐酸モノエステル、燐酸ジエステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエイト、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウリレート、4級アンモニウム塩などを一例として挙げることができる。ポリ乳酸、ライスワックス、大豆レシチン、リン脂質であると好適である。
例えばオレイン酸、脂肪酸多価アルコールエステルタイプの非イオン性界面活性剤、例えばソルビタンモノラウレート、モノオレエート、モノステアレートもしくはモノパルミテート、ソルビタントリステアレートもしくはトリオレート、脂肪酸多価アルコールエステルのポリオキシエチレン付加物、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸とポリメタクリル酸とからなる共重合体、スルホン酸基含有の水溶性重合体、例えばスルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレートもしくはスルホプロピルメタクリレートによる重合体、ならびにN−(スルホエチル)−マレインイミド、2−アクリルアミド−2−アルキルスルホン酸、スチロールスルホン酸およびビニルスルホン酸の重合体、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、モノオレエート、モノステアレート、モノパルミテート、トリステアレートもしくはトリオレート、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、例えばポリオキシエチルステアレート、ポリエチレングリコール400ステアレート、ポリエチレングリコール2000ステアレート、D−α−トコフェロール、DL−α−トコフェロール、D−α−トコフェロール酢酸エステル、DL−α−トコフェロール酢酸エステル、パルミチン酸アスコルビル、ビタミンFのグリセリド;ビタミンD類、特にビタミンD2及びビタミンD3;レチノール、レチノールエステル(パルミチン酸レチノールエステル及びプロピオン酸レチノールエステル)、β−カロチン、D−パンテノール、ファルネソール、酢酸ファルネシル;必須脂肪酸に富んだ油、特にジョジョバ油及び黒すぐり(cassis)油;5−n−オクタノイルサリチル酸、サリチル酸;α−ヒドロキシ酸、例えばクエン酸、乳酸及びグリコール酸のアルキルエステル;アジア酸、マダガスカル酸(acide madecassique)、アジアチコシド、ツボクサ(Centellaasiatica)の全抽出物、β−グリシレチン酸、α−ビサボロール;セラミド類、特に2−オレオイルアミノ−1,3−オクタデカン;フィタントリオール(phytanetriol)、乳からのスフィンゴミエリン、ポリ不飽和必須脂肪酸に富む海産物由来のリン脂質、エトキシキン、マンネンロウ抽出物、香油抽出物、ケルセチンなど、短鎖(C1〜C6)アルコール例えばエタノール;ポリオール例えばグリコール、特に1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール又はヘキシレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン及びソルビトールなどを例示することができる。
親油性界面活性剤の一例は、ショ糖ジステアリン酸エステル、ジステアリン酸ジグリセリン、トリステアリン酸テトラグリセリン、デカステアリン酸デカグリセリン、モノステアリン酸ジグリセリン、トリステアリン酸ヘキサグリセリン、ペンタステアリン酸デカグリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ジエチレングリコール、グリセリンとパルミチン酸とステアリン酸とのエステル、モノステアリン酸ポリオキシエチレン2EO(すなわちエチレンオキシド単位を2個含有するもの)、モノ−及びジベヘン酸グリセリン並びにテトラステアリン酸ペンタエリトリトールである。
親水性界面活性剤は一例としては、次の化合物:すなわちモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン4EO、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン20EO、モノステアリン酸ポリオキシエチレン8EO、モノステアリン酸ヘキサグリセリン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン10EO、ジステアリン酸ポリオキシエチレン12EO及びジステアリン酸ポリオキシエチレンメチルグルコース20EOを挙げ得る。
非イオン性、アニオン性、カチオン性および両性の界面活性剤 が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えばEO付加型非イオン性界面活性剤[例えば高級アルコール(C8〜18、以下同じ)、高級脂肪酸(C8〜24、以下同じ)または高級アルキルアミン(C8〜24)のEO付加物(分子量158〜Mn200,000);グリコールのEO付加物であるポリアルキレングリコール(分子量150〜Mn6,000)の高級脂肪酸エステル;多価アルコール(C2〜18の2価〜8価またはそれ以上、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールおよびソルビタン)高級脂肪酸エステルのEO付加物(分子量250〜Mn30,000);高級脂肪酸アミドのEO付加物(分子量200〜Mn30,000);および多価アルコール(前記のもの)アルキル(C3〜60)エーテルのEO付加物(分子量120〜Mn30,000)]、および多価アルコ−ル(C3〜60)型非イオン性界面活性剤 [例えば多価アルコールの脂肪酸(C3〜60)エステル、多価アルコールのアルキル(C3〜60)エーテルおよび脂肪酸(C3〜60)アルカノールアミド]が挙げられる。
なお界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性いずれであってもよい。
アニオン性界面活性剤としては、前記(C1)を除く化合物、例えばカルボン酸(例えばC8〜22の飽和または不飽和脂肪酸およびエーテルカルボン酸)またはその塩;硫酸エステル塩〔例えば高級アルコール硫酸エステル塩(例えばC8〜18の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩)および高級アルキルエーテル硫酸エステル塩[例えばC8〜18の脂肪族アルコールのEO(1〜10モル)付加物の硫酸エステル塩]〕;スルホン酸塩[C10〜20、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、アルキルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジアルキルエステル型、ハイドロカーボン(例えばアルカン、α−オレフィン)スルホン酸塩およびイゲポンT型];およびリン酸エステル塩[例えば高級アルコール(C8〜60)EO付加物リン酸エステル塩およびアルキル(C4〜60)フェノールEO付加物リン酸エステル塩]が挙げられる。上記の塩としては、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアミン(C1〜20)塩およびアルカノールアミン(C2〜12、例えばモノ−、ジ−およびトリエタノールアミン)塩が挙げられる。
カチオン性界面活性剤 としては、第4級アンモニウム塩型[例えばテトラアルキル(C4〜100)アンモニウム塩(例えばラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイドおよびステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド)、トリアルキル(C3〜80)ベンジルアンモニウム塩(例えばラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(塩化ベンザルコニウム)、アルキル(C2〜60)ピリジニウム塩(例えばセチルピリジニウムクロライド)、ポリオキシアルキレン(C2〜4)トリアルキルアンモニウム塩(例えばポリオキシエチレントリメチルアンモニウムクロライド)およびサパミン型第4級アンモニウム塩(例えばステアラミドエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェート)];およびアミン塩型[例えば高級脂肪族アミン(C12〜60、例えばラウリルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン、硬化牛脂アミンおよびロジンアミン)の無機酸(例えば塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸)塩または有機酸(C2〜22、例えば酢酸、プロピオン酸、ラウリル酸、オレイン酸、安息香酸、コハク酸、アジピン酸およびアゼライン酸)塩、脂肪族アミン(C1〜30)のEO付加物などの無機酸(上記のもの)塩または有機酸(上記のもの)塩および3級アミン(C3〜30、例えばトリエタノールアミンモノステアレートおよびステアラミドエチルジエチルメチルエタノールアミン)の無機酸(上記のもの)塩または有機酸(上記のもの)塩]が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤[例えば高級アルキルアミン(C8〜24)のプロピオン酸ナトリウム]、ベタイン型両性界面活性剤[例えばアルキル(C12〜18)ジメチルベタイン]、硫酸エステル塩型両性界面活性剤[例えば高級アルキルアミン(C8〜24)の硫酸エステルナトリウム塩およびヒドロキシエチルイミダゾリン硫酸エステルナトリウム塩]、スルホン酸塩型両性界面活性剤(例えばペンタデシルスルホタウリンおよびイミダゾリンスルホン酸)およびリン酸エステル塩型両性界面活性剤[例えばグリセリン高級脂肪酸(C8〜24)エステル化物のリン酸エステルアミン塩]が挙げられる。
分子量調節剤または重合鎖逓伝体は、適宜選択して用いることができるが、例えば、メルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノール、n−ドデシルメルカプタン、メルカプト琥珀酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプトグリセリン、メルカプト酢酸、チオグリコール酸エステル、例えばヘキシルチオグリコレート、メルカプトグリコールシラン、例えば3−メルカプトプロピルトリメトキシシランおよび3−メルカプトプロピル−メチルジメトキシシラン、エーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフルフリルアルコール、酢酸テトラヒドロフルフリルエステル、アルコール、例えばイソプロパノール、n−ブタノールおよびn−デカノールならびに芳香族炭化水素、例えばイソプロピルベンゾールを一例として挙げることができる。
ラジカル形成重合開始剤は、適宜選択して用いることができるが、例えば、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−アミルペルオキシピバレート、ジラウロイルペルオキシド、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2´−アゾビス−(2,4−ジメチル)バレロニトリル、2,2´−アゾビス−(2−メトキシブチロニトリル)、ジベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンおよびクモールヒドロペルオキシドである。有利に使用されるラジカル開始剤は、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)−ペルオキシド、4,4´−アゾビスイソブチロニトリル、t−ブチルペルピバレートおよびジメチル−2,2´−アゾビスイソブチレートなどを一例として挙げることができる。
また、前記粒状物は、核物質とこれを包含する外殻物質とからなるカプセルであると好適である。このようにすることで、前記粒状物は均一に樹脂材料中に分散する。ここでより好適に分散させるには前記外殻物質は、前記核物質よりも前記樹脂と親和性を有する樹脂親和性物質と前記樹脂よりも前記核物質と親和性を有する核物質親和性物質とを含む親和性物質であると均一分散に寄与して好適である。
均一分散性が向上すると、同様の効果を得るために使用する粒状物の使用量を削減することができる。したがって、粒状物の使用量の著しい減少により大幅なコストダウンを実現できることとなり、大きな経済的貢献効果を得ることができる。また、粒状物が環境に何らかの影響を与える場合などできるだけ使用を差し控えたい場合には、使用量の削減に大幅に寄与することになり、ひいては地球環境問題解決への大きな貢献とすることもできる。
このような物質は界面活性的性質をもつ、両親媒性脂質が挙げられる。両親媒性脂質は、中和された陰イオン性脂質、両性脂質及びアルキルスルホン酸誘導体からなる群から選択されたり、後述のリン脂質、糖脂質などが挙げられる。
中和された陰イオン性脂質は、例えばリン酸ジセチルのアルカリ金属塩、特にナトリウム塩及びカリウム塩;リン酸ジミリスチルのアルカリ金属塩、特にナトリウム塩及びカリウム塩;スルホン酸コレステロールのアルカリ金属塩、特にナトリウム塩;リン酸コレステロールのアルカリ金属塩、特にナトリウム塩;アシルグルタミン酸のモノナトリウム塩又はジナトリウム塩、特にN−ステアロイルグルタミン酸のモノナトリウム塩又はジナトリウム塩;及びホスファチジン酸ナトリウム塩の中から選ばれるものなどが挙げられる。
上述の機能性材料が核物質として含有されているカプセルであると機能性材料がカプセルによって均一分散されるので、同様の機能を得るのに必要な機能性材料の使用量を削減することができ、大きな経済的貢献効果や地球環境問題解決への大きな貢献を提供できることになる。
また、金属ポルフィリン錯体、レドックス性高分子を機能性材料としてこれらが核物質として含有されているカプセルを分散させた樹脂材料であれば、この樹脂材料を燃焼させたときに発生する二酸化炭素を減少させるのにカプセル化しない場合に比べ少量の金属ポルフィリン錯体、レドックス性高分子の使用量で済むことになる。これら機能性材料は高価であることが通常であり、使用量を少なくして低価格化をはかることが至上の命題である。このように使用量を少なくして低価格化をはかることができるので、このカプセル分散した樹脂材料は低価格で提供できることとなり、流通市場を席巻することとなる。これにより、市場の樹脂材料がこの樹脂材料に置換されるので二酸化炭素の削減効果に大きく貢献し、二酸化炭素の減少による環境的、経済的効果は著しい。
このようなカプセルはリポソームであると好適である。リポソームであればさらに均一分散などに貢献でき、環境的、経済的、物性的効果をさらに高めることができる。リポソームの内部には上記機能性材料が核物質として包含されていると好適である。より好適にはリポソーム内部に二酸化炭素減少剤たる金属ポルフィリン錯体、レドックス性高分子が包含されていると好適である。この中でも特に鉄ポルフィリン錯体であると好適である。
このようなリポソームによる分散性の確保によってさらに機能性材料の使用量を少なくして低価格化をはかることができるので、このリポソームが分散した樹脂材料は低価格で提供できることとなり、流通市場をさらに席巻することとなる。これにより、さらに市場の樹脂材料がこの樹脂材料に置換されるので二酸化炭素の削減効果に大きく貢献し、二酸化炭素の減少による環境的、経済的利益はさらに著しい。また、リポソームは化粧品や食品として用いられるもので、健康面や環境面への影響も少なく次世代の環境社会へ貢献できる樹脂材料を提供することができる。
本実施形態において、分散媒となる樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂などいずれに拘わらず採用することができる。また、樹脂は各種を単独であるいは複数種組み合わせて用いてもよい。なお、適宜樹脂の性能をさらに補うために上述の機能性材料を樹脂中に単独であるいは複数種含有させてもよい。
熱可塑性樹脂は、特に限られるものではなく適宜選択して採用することができるが水性エマルジョン樹脂(各種のエマルジョンが使用できるが、一例としてはエチレン−酢ビ、アクリル系樹脂の単体又はブレンド、共重合体などが挙げられる)、ポリエチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル、樹脂合成ゴム等が用いることができる。例えばポリエチレン樹脂は廃棄物とし燃焼させた時にダイオキシンを発生させにくく、環境面に与える害が少ないなどの利点を有し、好適であるなどの利点がある。ポリエチレン、ポリブタジエンなど一般的なポリオレフィン系樹脂が挙げられる。ポリプロピレン樹脂としては、プロピレンの単独重合体であるホモポリマーとコポリマータイプのいずれでもよく、さらに、コポリマーのランダムコポリマーとブロックコポリマーのいずれでもよい。常温での耐衝撃性・透明性に優れるランダムコポリマーを用いると好適である。また、上記成分にエラストマー成分を混合させてもよい。エラストマー成分としては特に限定されないが、例えばオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、生分解性樹脂、などが一例として挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、適宜選択してもちいることができるが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂などを例示することができる。
紫外線硬化性樹脂としては、適宜選択してもちいることができるが、例えば、アクリレート化合物、エポキシ樹脂、オキセタン化合物などを挙げることができる。
電子線硬化性樹脂としては、適宜選択して用いることができる。具体的には、分子中にラジカル重合性不飽和結合、又はカチオン重合性官能基を有する、プレポリマー(所謂オリゴマーも包含する)及び/又はモノマーを適宜混合した電子線により硬化可能な組成物が好ましくは用いられる。これらプレポリマー又はモノマーは単体又は複数種を混合して用いてもよい。また、硬化は通常は架橋硬化であり、また耐摩耗性等の耐久性の点からも架橋硬化が好ましい。上記プレポリマー又はモノマーは、具体的には、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物からなる。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによるポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましくは用いられる。なお、例えば(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーの例としては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が使用できる。分子量としては、通常250〜100,000程度のものが用いられる。ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーの例としては、単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等がある。また、多官能モノマーとして、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等もある。カチオン重合性官能基を有するプレポリマーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーがある。チオールとしては、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオールがある。また、ポリエンとしては、ジオールとジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリルアルコールを付加したもの等がある。
なお、電子線硬化性樹脂を架橋性樹脂に用いる時には、硬化剤と反応する官能基を有するのが好ましく、官能基としてOH基、SH基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基等が挙げられる。しかし、これらの官能基を有していない場合でも、重合性不飽和二重結合を有していれば、重合により硬化させて用いることができる。つまり、架橋性樹脂は、硬化剤を用いて架橋される樹脂と、硬化剤を用いずにラジカル重合により硬化される樹脂を含んでおり、例えばウレタンアクリレート、エポキシアクリレートやアクリルポリオール等を用いる場合には、OH基やエポキシ基は硬化剤による架橋反応を起こして硬化が進み、さらに、アクリル基の二重結合はラジカル重合を起こして各々硬化する。従って硬化後の架橋性樹脂は、架橋反応生成物と重合生成物が別々に生成している場合があり、また、同一分子中に架橋により生じる構造と重合により生じる構造が存在する場合もある。また、架橋反応生成物と重合生成物の各々に重合性二重結合が存在すれば、両反応生成物が重合反応を起こして1分子を形成することもある。
架橋性樹脂としては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、アクリルポリオール及びポリエステルアクリレートの少なくとも1種と硬化剤を用いて架橋反応して得られる樹脂、さらに後述する電離放射線硬化性樹脂をそのまま又は硬化剤を用いて架橋硬化させた樹脂が挙げられる。層を形成する塗工剤には、これらの樹脂から選ばれた少なくとも1種の架橋性樹脂を用いることができる。これらの樹脂の中で、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、アクリルポリオール及びポリエステルアクリレートより選ばれた少なくとも1種と硬化剤と架橋反応して得られる樹脂を用いることが好ましい。
架橋性樹脂を得るために用いる硬化剤としては、通常イソシアネート類又は有機スルホン酸塩が不飽和ポリエステル系樹脂やポリウレタン系樹脂に、アミン類がエポキシ系樹脂に用いられ、更にラジカル重合開始剤として、メチルエチルケトンパーオキサイドやアゾビスイソブチルニトリル等が使用される。
イソシアネート類としては、2価以上の脂肪族又は芳香族イソシアネートが使用できるが、具体的には、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
分散媒となる樹脂は、例えば、ポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ナイロン、ポリスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリウレタン、ポリサッカライド、デンプン質、ポリ(N−ビニルピロリドン)、およびそれらの共重合体、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、メラミン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド、エチレンー酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエンゴム等の熱可塑性エラストマーなどを用いてもよい。ウレタン系樹脂を用いる場合は、例えばポリオキシアルキル化ジオール又はポリオール、軟化点40℃〜140℃の粘着付与剤、脂肪族あるいは芳香族ジイソシアネートあるいはポリイソシアネート等があげられる。また、ビニル系樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル重合体、ポリビニルブチラ−ル及びポリアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル系からなる樹脂があげられる。さらにシリコーン系樹脂としては,たとえばゴム状ポリシロキサン及び樹脂状ポリシロキサン等があげられる。本実施形態で記載した樹脂は、単独またはこれら2種類以上から成る共重合体及びこれらの混合物としても使用できる。
分散媒となる樹脂は、ポリエステルウレタン樹脂を用いてもよい。ポリエステルウレタン樹脂とは、ジカルボン酸とジオール成分をエステル化したポリエステルポリオールとポリイソシアネート、また必要に応じて鎖伸張剤から成るものである。
ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、セバシン酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタール酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタール酸、アゼライン酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−ナフタール酸、ジフェニン酸、4,4’−オキシ安息香酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸などを用いることができる。
ジオール成分としてはエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの芳香族ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリ(オキシアルキレン)グリコールなどが挙げられる。
またジカルボン酸成分、ジオール成分の他にp−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等が共重合されていても良く、さらに、これらは線状構造であるが、3価以上のエステル形成成分を用いて分枝状ポリエステルとすることもできる。
ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールエタンの付加物などを挙げることができる。
また、鎖伸張剤としては、ペンダントカルボキシル基含有ジオール類や例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどのグリコール類、あるいはエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ジフェニルジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノシクロヘキシルメタンなどのジアミン類などが挙げられる。
より具体的には、例えばポリエステルウレタンはポリイソシアネート化合物とポリエーテルポリオールとの反応により得られるものである。ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、蔗糖などの多価アルコール類、エチレンジアミン、エタノールアミン、芳香族ポリアミンなどのアミン類、フェノール樹脂などの多価フェノール類を出発原料とし、これにアルキレンオキシドを開環重合したものが用いられる。ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネートジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。また、より具体的には、例えばポリエステルウレタンは、ポリエステルウレタン樹脂は、ポリイソシアネート化合物とポリエステルポリオールとの反応により得られるものであってもよい。ポリエステルポリオールは、一般にジカルボン酸とグリコールから製造され、分子の末端に水酸基を持つ。ジカルボン酸としては、アジピン酸、フタル酸、セバチン酸、ダイマー酸などが、グリコールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3−ブタンジオール、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパンなどとカプロラクトンを開環重合したタイプのエステルとがある。ポリイソシアネートとしては、ポリエーテルウレタン樹脂の原料として先に例示したものが用いられる。
また、分散媒となる樹脂は、樹脂単位重量当りの水素結合性基またはイオン性基の重量百分率が20%〜60%の割合を満足する高水素結合性樹脂なども具体例としてあげられる。高水素結合性樹脂の水素結合性基としては水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基、などが挙げられ、イオン性基としてはカルボキシレート基、スルホン酸イオン基、燐酸イオン基、アンモニウム基、ホスホニウム基などが挙げられる。高水素結合性樹脂の水素結合性基またはイオン性基のうち、さらに好ましいものとしては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、カルボキシレート基、スルホン酸イオン基、アンモニウム基、などが挙げられる。具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール分率が41モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アミロース、アミロペクチン、プルラン、カードラン、ザンタン、キチン、キトサン、セルロース、プルラン、キトサンなどのような多糖類、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリベンゼンスルホン酸、ポリベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、そのアンモニウム塩ポリビニルチオール、ポリグリセリン、などが挙げられる。
また、分散媒となる樹脂は、多糖類をあげることができる。種々の単糖類の縮重合によって生体系で合成される生体高分子であり、ここではそれらをもとに化学修飾したものも含まれる。たとえば、セルロースおよびヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、アミロース、アミロペクチン、プルラン、カードラン、ザンタン、キチン、キトサン、などが挙げられる。
さらには分散媒となる樹脂は、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等を挙げることできる。これらの中でも、透明性、耐候性に優れ、比較的安価で加工適正の優れている(メタ)アクリル系樹脂などを挙げることができる。このような(メタ)アクリル系樹脂としては、たとえば、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、2−メチルブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、イソノニルアクリレート等のアクリル酸のC2〜C12アルキルエステルの少なくとも1種(モノマーA)とアクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の官能基含有アクリル系モノマーの少なくとも1種(モノマーB)とが共重合されることにより得られるものを挙げることができる。
分散媒となる樹脂は、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又は単量体を適宜混合した組成物が用いられる。これらの組成物としては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート、シロキサン等の珪素樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。
プレポリマー、オリゴマーの例としては不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート類等が挙げられる。
エポキシ樹脂、エポキシ系又はウレタン系の各プレポリマーやオリゴマーを用いる場合には、各々の硬化に用いる硬化剤、例えばアミンやイソシアネートを混合して2液性混合物として使用することができる。
また、単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸−2−(N、N−ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸−2−(N、N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N、N−ジベンジルアミノ)エチル、メタクリル酸−2−(N、N−ジメチルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N、N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和酸の置換アミノアルコースエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合物、及び/又は、分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例えば、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコール等が挙げられる。
1、2官能単量体と3官能以上の単量体を混合し塗工適性と硬化物の物性とを調整することもできる。以上のような1官能アクリレート系単量体としては、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等が挙げられる。また、2官能アクリレート系単量体としては、エチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールアクリレート等が、3官能以上のアクリレート系単量体としてはトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
分散媒となる樹脂としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラート、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合系樹脂等を用いることもできる。例示すると、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等のニトリル系モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド系モノマー、該アミド系モノマーのN−アルコキシ置換体、同N−メチロール置換体、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー、ジアリルフタレート、アリルグリジジルエーテル、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系モノマー、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン等の重合性二重結合を有するモノマー等の1種ないし2種以上と、カルボキシル基を有するアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他等の不飽和カルボン酸の一種ないしそれ以上との共重合体からなるアルカリ溶液可溶性(メタ)アクリル系共重合体を使用することができる。また、ポリアルリルアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN−ビニルピロリドン系樹脂、水溶性ポリウレタン系樹脂(2液硬化型ポリウレタン系樹脂)、水溶性ポリエステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂、水溶性アミノ系樹脂、水溶性フェノール系樹脂、その他等の水溶性合成樹脂、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類、等の水溶性天然高分子、その他等も使用することができる。また、その他の水系塗工剤用のバインダー樹脂としては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリウレタン−ポリアクリル系樹脂変性ないし混合樹脂、アクリル変性ウレタン樹脂、ポリエステル変性ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体変性ウレタン樹脂等のウレタン系樹脂、ポリオール系樹脂、或いは塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル系樹脂との混合樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
また、上記各樹脂には更に必要に応じて、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂等の熱可塑性樹脂を添加することもできる。また、上記各樹脂には、更に必要に応じ、各種添加剤を添加する事もできる。これらの添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ等の微粉末からなる体質顔料(充填剤)等である。
本実施形態において、分散相となる粒状物は、固体、液体、気体に限られずいずれの態をも採用することができる。
本実施形態において、分散相となる粒状物は、例えば、上記機能性材料、上記分散媒とした樹脂の一軍から得られる樹脂およびその誘導体、それらの組み合わせ、高分子体、無機物、炭素類(グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレンなど)、高分子液晶、高分子医薬品、DNA、タンパク質、層状粘土鉱物、金属およびその酸化物、無機顔料などを含むことが挙げられる。
また分散相となる粒状物は、低分子有機化合物、例えばフタロシアニン系、アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系もしくはペリレン系顔料もしくは染料、長鎖エステルなどの可塑剤、リン酸エステルなどの離型剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、医薬品、アミノ酸、DNA・タンパク質およびそれらの断片などを含んでいてもよい。
また分散層となる粒状物は、無機層状化合物を用いることができる。これらの中でも膨潤性を持つ粘土鉱物が好ましく、粘土系鉱物はシリカの四面体層の上部に、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属にした8面体層を有する2層構造よりなるタイプと、シリカの4面体層が、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属にした8面体層を両側から挟んだ3層構造よりなるタイプに分類される。前者としてはカオリナイト族、アンチゴライト族等を挙げることができ、後者としては層間カチオンの数によってスメクタイト族、バーミキュライト族、マイカ族等を挙げることができる。具体的には、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、ヘクトライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石等をあげることができる。さらには本無機層状化合物を膨潤させた粒状物とすると好適である。膨潤に用いる溶媒は、特に限定されないが、例えば天然の膨潤性粘土鉱物の場合、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン等が挙げられ、水やメタノール等のアルコール類が好ましい。
分散相となる粒状物は、例えば、Pt、Au、W、Ru、Ir、Al、Sc、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Rh、Pd、Ag、Cd、Ln、Sn、Ta、Re、Os、Tl、Pb、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等の金属単体もしくは積層もしくはその化合物を採用することもできる。
金属酸化物も採用できる。金属酸化物としては、LiOx、LiNx、NaOx、KOx、RbOx、CsOx、BeOx、MgOx、MgNx、CaOx、CaNx、SrOx、BaOx、ScOx、YOx、YNx、LaOx、LaNx、CeOx、PrOx、NdOx、SmOx、EuOx、GdOx、TbOx、DyOx、HoOx、ErOx、TmOx、YbOx、LuOx、TiOx、TiNx、ZrOx、ZrNx、HfOx、HfNx、ThOx、VOx、VNx、NbOx、TaOx、TaNx、CrOx、CrNx、MoOx、MoNx、WOx、WNx、MnOx、ReOx、FeOx、FeNx、RuOx、OsOx、CoOx、RhOx、IrOx、NiOx、PdOx、PtOx、CuOx、CuNx、AgOx、AuOx、ZnOx、CdOx、HgOx、BOx、BNx、AlOx、AlNx、GaOx、GaNx、InOx、TiOx、TiNx、SiNx、GeOx、SnOx、PbOx、POx、PNx、AsOx、SbOx、SeOx、TeOxなどの金属酸化物や、LiAlO2、Li2SiO3、Li2TiO3、Na2Al22O34、NaFeO2、Na4SiO4、K2SiO3、K2TiO3、K2WO4、Rb2CrO4、Cs2CrO4、MgAl2O4、MgFe2O4、MgTiO3、CaTiO3、CaWO4、CaZrO3、SrFe12O19、SrTiO3、SrZrO3、BaAl2O4、BaFe12O19、BaTiO3、Y3Al5O12、Y3Fe5O12、LaFeO3、La3Fe5O12、La2Ti2O7、CeSnO4、CeTiO4、Sm3Fe5O12、EuFeO3、Eu3Fe5O12、GdFeO3、Gd3Fe5O12、DyFeO3、Dy3Fe5O12、HoFeO3、Ho3Fe5O12、ErFeO3、Er3Fe5O12、Tm3Fe5O12、LuFeO3、Lu3Fe5O12、NiTiO3、Al2TiO3、FeTiO3、BaZrO3、LiZrO3、MgZrO3、HfTiO4、NH4VO3、AgVO3、LiVO3、BaNb2O6、NaNbO3、SrNb2O6、KTaO3、NaTaO3、SrTa2O6、CuCr2O4、Ag2CrO4、BaCrO4、K2MoO4、Na2MoO4、NiMoO4、BaWO4、Na2WO4、SrWO4、MnCr2O4、MnFe2O4、MnTiO3、MnWO4、CoFe2O4、ZnFe2O4、FeWO4、CoMoO4、CuTiO3、CuWO4、Ag2MoO4、Ag2WO4、ZnAl2O4、ZnMoO4、ZnWO4、CdSnO3、CdTiO3、CdMoO4、CdWO4、NaAlO2、MgAl2O4、SrAl2O4、Gd3Ga5O12、InFeO3、MgIn2O4、Al2TiO5、FeTiO3、MgTiO3、Na2SiO3、CaSiO3、ZrSiO4、K2GeO3、Li2GeO3、Na2GeO3、Bi2Sn3O9、MgSnO3、SrSnO3、PbSiO3、PbMoO4、PbTiO3、SnO2−Sb2O3、CuSeO4、Na2SeO3、ZnSeO3、K2TeO3、K2TeO4、Na2TeO3、Na2TeO4などの金属複合酸化物などを挙げることもできる。
また、FeS、Al2S3、MgS、ZnSなどの硫化物、LiF、MgF2、SmF3などのフッ化物、HgCl、FeCl2、CrCl3などの塩化物、AgBr、CuBr、MnBr2などの臭化物、PbI2、CuI、FeI2などのヨウ化物、またはSiAlONなどの金属酸化窒化物であってもよく特に限定されない。また、金属や金属化合物に限られず、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコールなどポリマー系材料などの有機材料、高分子、樹脂ITO、IZOのような金属酸化物類、ポリアニリン類、ポリチオフェン類、ポリピロール類などの共役性高分子化合物を含む有機導電材料も採用できる。
半導体特性を用いる有機材料でもよく、例えば、フタロシアニン系誘導体、ナフタロシアニン系誘導体、アゾ化合物系誘導体、ペリレン系誘導体、インジゴ系誘導体、キナクリドン系誘導体、アントラキノン類などの多環キノン系誘導体、シアニン系誘導体、フラーレン類誘導体、あるいはインドール、カルバゾール、オキサゾール、インオキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、オキサアジアゾール、ピラゾリン、チアチアゾール、トリアゾールなどの含窒素環式化合物誘導体、ヒドラジン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、スチルベン類、アントラキノンジフェノキノン等のキノン化合物誘導体、アントラセン、ビレン、フェナントレン、コロネンなどの多環芳香族化合物誘導体などでその構造がポリエチレン鎖、ポリシロキサン鎖、ポリエーテル鎖、ポリエステル鎖、ポリアミド鎖、ポリイミド鎖等の高分子の主鎖中に用いられた物あるいは側鎖としてペンダント状に結合したもの、もしくはポリパラフェニレン等の芳香族系共役性高分子、ポリアセチレン等の脂肪族系共役性高分子、ポリピノールやポリチオフェン率の複素環式共役性高分子、ポリアニリン類やポリフェニレンサルファイド等の含ヘテロ原子共役性高分子、ポリ(フェニレンビニレン)やポリ(アニーレンビニレン)やポリ(チェニレンビニレン)等の共役性高分子の構成単位が交互に結合した構造を有する複合型共役系高分子等の炭素系共役高分子が用いられる。また、ポリシラン類やジシラニレンアリレンポリマー類、(ジシラニレン)エテニレンポリマー類、(ジシラニレン)エチニレンポリマー類のようなジシラニレン炭素系共役性ポリマー構造などのオリゴシラン類と炭素系共役性構造が交互に連鎖した高分子類などが用いられる。他にもリン系、窒素系等の無機元素からなる高分子鎖でも良く、さらにフタロシアナートポリシロキサンのような高分子鎖の芳香族系配位子が配位した高分子類、ペリレンテトラカルボン酸のようなペリレン類を熱処理して縮環させた高分子類、ポリアクリロニトリルなどのシアノ基を有するポリエチレン誘導体を熱処理して得られるラダー型高分子類、さらにペロブスカイト類に有機化合物がインターカレートした複合材料などを用いることもできる。
「樹脂材料の製造方法」
次に、粒状物たる機能性材料の一例として金属ポルフィリン錯体を核物質としたリポソームをカプセルとして、これを樹脂中に分散させる方法を例示して樹脂材料の製造方法を説明する。すなわち、本実施形態では好適であることから下記超臨界二酸化炭素法によって、核物質たる封入物質として金属ポルフィリン錯体、外殻物質として脂質からなるカプセルたるリポソームを用いてこれを樹脂中に分散させる。
(リポソームの準備)
第一に水溶液たる水相中に分散した50〜800nmの粒径を有するリポソームを用意する。リポソームの外殻物質は脂質、脂肪であり、これらのうちから適宜選択して用いることができるがリン脂質または糖脂質であると好適である。リン脂質または糖脂質は脂質2分子膜を形成しうる化合物であるとさらに好適である。脂質は核物質よりも前記樹脂と親和性を有する樹脂親和性物質と前記樹脂よりも前記核物質と親和性を有する核物質親和性物質とを含む親和性物質である。親和性物質の代表例として上述の界面活性剤、乳化剤等の界面活性物質が挙げられる。
リン脂質は、ホスファチドともいわれ、複合脂質のうちリン酸エステルおよびC−P結合を持つ一群の物質の総称であることが一応の定義として考えられる。リン脂質としては、一例として例えばホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、カルジオピン、卵黄レシチン、水添卵黄レシチン、大豆レシチン、水添大豆レシチン等のグリセロリン脂質、スフィンゴミエリン、セラミドホスホリルエタノールアミン、セラミドホスホリルグリセロール等のスフィンゴリン脂質などを挙げることができる。
糖脂質としては、一例として例えばジガラクトシルジグリセリド、ガラクトシルジグリセリド硫酸エステル等のグリセロ脂質、ガラクトシルセラミド、ガラクトシルセラミド硫酸エステル、ラクトシルセラミド、ガングリオシドG7、ガングリオシドG6、ガングリオシドG4等のスフィンゴ糖脂質などを挙げることができる。
リポソームの核物質たる封入物質は水溶性または親水性の物質であると好適である。本実施形態では、水溶性または親水性の封入物質としては金属ポルフィリン錯体が好適であるので例示しているがその他の機能性材料などその他の物質を封入物質として用いることも可能である。封入物質の態は気体、液体、固体いずれであってもよい。
封入物質としては一例として、薬理活性成分などを挙げることができる。薬理活性成分としては、例えば、リン酸L−アスコルビルマグネシウム、アスコルビン酸グリコシド、グリチルリチン酸ジカリウム、β−グリチルレチン酸、グリチルレチン酸アンモニウム、グリチルレチン酸ステアリル、エスチン、エスクリン、パントテニルアルコール、パントテン酸とその塩、チアミン、フラビン、葉酸または抗生物質や、少なくとも1種以上の非ステロイド系抗炎症薬、ケトプロフェン、イブプロフェン、ブフェキサマクまたはインドメタシン等のを挙げることができる。また、封入物質としては一例として、封入物質として以下の水溶性色素などを挙げることができる。水溶性色素としては、たとえば赤色104号、赤色2号、赤色3号、青色1号、青色2号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、カルミン、カーサミン、紅麹色素、クチナシ色素、アントシアニン色素またはクロロフィル等を挙げることができる。
リポソームの製造方法は適宜選択してもちいることができるが例えば、一例として以下の方法を採用することができる。
(1)脂質のサスペンションを超音波で処理する超音波処理法。
(2)脂質と界面活性剤の混合ミセルを形成し界面活性剤を除去する界面活性剤除去法。
(3)有機溶媒に溶かした脂質を水槽に注入して、水と有機溶媒の界面でリポソームを形成させる有機溶媒注入法。
(4)脂質を懸濁した水溶液を凍結した後、溶融して脂質二重膜を形成し、これをさらに凍結溶融してリポソームを形成させる凍結融解法。
(5)水に溶解しない有機溶媒に、少量の水系溶媒を加え、超音波をあててW/Oエマルジョン(逆ミセル)を形成し、有機溶媒を減圧下で除去する逆相蒸発法。
(6)超臨界流体を利用した方法。超臨界流体としては特に限られることがないが、例えば、二酸化炭素、水、エタン、エチレン、プロパン、亜酸化窒素などが挙げられる。二酸化炭素とエタノールの混合流体に脂質を溶解し、減圧過程で保持対象水溶液を攪拌注入する超臨界二酸化炭素法は好適である。
超臨界二酸化炭素法は様々な態様を取りうるが本法のうち一例を挙げて説明すると、超臨界二酸化炭素と必要に応じてエタノールなどをそれぞれポンプで送り、リン脂質を充填したカラムへ通す。リン脂質は二酸化炭素とエタノールの混合流体に溶解した状態で減圧弁まで運ばれ、減圧される。減圧過程でリン脂質は析出するが、このとき保持対象となる水溶性物質(本実施形態では金属ポルフィリン錯体)を含む水相をポンプを介して流入させ、ミキサーで攪拌することにより、リポソームをミキサー内で形成させる方法などが挙げられる。
また、超臨界状態または臨界点以上の温度もしくは圧力条件下の二酸化炭素とリン脂質または糖脂質の均一混合流体中に、封入物質(本実施形態では金属ポルフィリン錯体)を含む水相を加えることを特徴とする封入物質を内包した超臨界二酸化炭素法によってこのリポソームを製造する方法であると好適である。この方法であると超臨界状態または臨界点以上の温度もしくは圧力条件下の二酸化炭素にリン脂質を均一に溶解させた混合物中に、水溶性または親水性の封入物質を含む水相を加えて、一段で封入物質を内包するリポソームを製造することにある。本方法により製造したリポソームは、保持効率が高いので、従来のリポソームに比べて、より多量に封入物質を内包させることができる。なお、超臨界状態の二酸化炭素とは、臨界温度(30.98℃)および臨界圧力(7.3773±0.0030MPa)以上の超臨界状態にある二酸化炭素を意味し、臨界点以上の温度もしくは圧力条件下の二酸化炭素とは、臨界温度だけ、あるいは臨界圧力だけが臨界条件を超えた条件下の二酸化炭素を意味する(ただし、もう片方が臨界条件をこえていないものである)。以下、超臨界状態または臨界点以上の温度もしくは圧力条件下の二酸化炭素を「超臨界二酸化炭素」と総称するのが一応の定義として考えられる。
当初透明であった均一混合流体は水相の導入とともに徐々に白濁し(逆ミセルが形成されていると考えられる)、さらに水相を導入すると超臨界二酸化炭素(および逆ミセル)への水の溶解限界を越えた時点で反応容器底部に白濁した水相が形成される。所定水相を注入した後、減圧することにより均一なリポソームが得られることになる。
リン脂質と超臨界二酸化炭素との均一混合物を調製するに際し、助溶媒を用いることが好ましい。助溶媒を系に添加することにより、超臨界二酸化炭素に対する難溶性の封入物質の溶解度を増加させることができる。例えば助溶媒は超臨界二酸化炭素に対して、15wt%以下添加すると好適である。15wt%を超えるとエタノールの液相が析出するため好ましくない場合がある。なお、エタノールの添加はリポソームの形成を阻害するためなるべく少ない方が好ましい場合が多い。助溶媒としては、例えばエチルアルコール等を挙げることができる。
水相の添加量は、水が流動性をもって流入できる範囲で、なおかつリポソームの形成が阻害されない範囲で適宜選択すればよい。
封入物質(本実施形態では金属ポルフィリン錯体)が含まれる水相を構成する媒体としては、水、水道水、蒸留水、純水、海洋深層水、限外濾過水、濾過水、地下水、伏流水、脱塩水、精製水(RO水、膜処理水)、雨水、井戸水、中和水、電解水、水溶液などを挙げることができる。
(リポソームと樹脂の混入、成形)
準備されたリポソームは、乾燥させて固体のカプセルとしてもよいが、水相などの液体中に液中分散した態様で次工程に用いると工程の削減などにも好適である。
乾燥させて固体のカプセルとする方法については適宜選択して用いることができるが、例えば、界面沈積法、界面反応法、相分離法、液中乾燥法、融解分散冷却法、スプレードライング法、パンコーティング法、凍結乾燥法、気中懸濁被覆法、粉床法、界面重合法、in−situ重合法、液中硬化被覆法、オリフィス法、界面反応法などを利用することが挙げられる。
本実施形態では固体のカプセルとせずに水相などの液体中にリポソームが液中分散した態様で説明する。水相中に上記機能性材料たる金属ポルフィリン錯体を核物質としたリポソームを分散させた分散液を用意する。
リポソームが分散させられる液体は、特に限られる物ではないが、リポソームの生成過程において生じた液体であるとそのまま利用できるので好適である。また、液体は樹脂との分散、成形工程の加熱、減圧などの際に揮発したりして消失する揮発性液体や樹脂材料に機能性を付与する液体であると好適である。
この分散液を直接、分散媒となる樹脂に混入し、成形してもよいが、混入前にリポソームを担持体に担持させ、このリポソームが担持させられた担持体を分散媒となる樹脂に混入し、成形すると好適である。または、混入前にリポソームまたはリポソームが担持された担持体を分散媒となる樹脂とは異なる樹脂または同じ樹脂によって粒状化して錠剤し、この錠剤をペレットとして分散媒となる樹脂に混入し、成形すると好適である。錠剤化する樹脂は分散媒たる樹脂と分散性のよい樹脂、例えば分散媒たる樹脂と同じ樹脂または類似の樹脂を用いると好適である。このような錠剤化したペレットは単体で販売することもでき、大きな経済的利益を得ることもできる。
担持体としては適宜選択して用いることができるが、例えば、古紙、新聞紙、多孔質体、繊維物質、セルロース、ゼオライト、炭酸カルシウムなどを挙げることができる。
樹脂との混入方法、成形方法については適宜選択して用いることができる。
混入方法は、適宜選択して用いることができるが、例えば、ボールミル、サンドミル、三本ロール、アトライター、ニーダーなどを用いて分散溶媒中に分散、混合する方法。また、溶媒などを用いることなく、加熱型三本ロール、加熱加圧ニーダー、バンバリーミキサーなどで溶融、混合しても良い。ここで溶解、分散、混合などに用いられる分散溶媒は、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトン、キシレン、メチルイソブチルケトン、イソプロピルアルコール、エタノールなどを用いることもできる。さらに、分散に際しては、分散性を向上する目的で、分散助剤を用いることができる。適当な分散助剤としては、ラウリル硫酸エステルナトリウム塩の様な高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリル硫酸エステルナトリウム塩の様なポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの様なアルキルアリルスルホン酸塩や、アニオン性界面活性剤、及びポリオキシエチレンモノラウリン酸エステルの様なポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステルや、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの様なポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルなどのノニオン性界面活性剤などを用いることが挙げられる。
このような溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等の非水溶性有機溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール等の水溶性有機溶剤、水、またはこれらの混合溶剤等が用いられる。
水系塗工剤の溶媒としては、水やアルコール等の水溶性有機溶剤を用いることができる。水としては、通常の工業用水を使用することができる。また、水とアルコール等からなる水溶性有機溶剤として、水のほかにメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、N−プロピルアルコール等の低級アルコール、グリコール類およびそのエステル類等を使用して調整することができる。溶剤系塗工剤の溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等の非水溶性有機溶剤、またはこれらの混合溶剤等が用いられる。
成形方法は、適宜選択して用いることができるが、例えば、圧縮成形、スタンピング成形、ブロー成型、インフレーション成形、押出成形、押出ラミネート成形、回転成形(エンゲル成形)、カレンダー成形、シートワインディング、射出成形、真空成形、スプレーアップ法、スラッシュ成形、積層成形、注形法、注入成形、手積み成形、低圧成形、トランスファー成形、発泡成形、ハヤシ成形、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法、粉末成形、マッチドダイ成形、反応射出成形、SMC法(シート・モールディング・コンパウンド法)、Tダイ法などを挙げることができる。
これによって成形できる樹脂製品は、特に限られることがないが、例えば、各種成形品、各種樹脂フィルム、各種樹脂シート、加飾成形用シート、化粧シート、レジ袋など各種樹脂からなる袋体、眼鏡のレンズ、ガラス代用のプラスチック製品、包装容器、日常品・食品用パック、樹脂容器一般、各種ペットボトル、各種車両用樹脂製品、航空産業、飛行機、宇宙産業、船舶、各種インテリア・エクステリア製品、おもちゃ、各種電化製品、ゴム製品、各種レジャー用品(釣り糸など)、FRP、透明板、光学レンズ、液晶表示素子用プラスチック基板、カラーフィルター用基板、有機EL表示素子用プラスチック基板、太陽電池基板、タッチパネル、光学素子、光導波路、LED封止材、透明シート、プラズマディスプレイ、家具、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、ベッド、農業用樹脂製品、漁業用樹脂製品、衣服、靴、パーソナルコンピュータ、梱包用樹脂製品、クッション材、充填用プラスチック材、自転車、フレーム、各種ボデイ、化粧品、化粧品包装容器、広告用プラスチックフィルムなど、これらに限られず、従来の樹脂製品の用途に変えてあらゆる用途に適用できる。 本実施形態では、従来医療や化粧品などの分野に通常用いられていたリポソームを樹脂中に分散させるという新規な試みによって、優れた樹脂材料を提供することができた。これによって、リポソーム中の封入物質としての金属ポルフィリン錯体の二酸化炭素減少効果が大きくなり、これによって樹脂材料消却の際に顕著な二酸化炭素減少効果を得ることができた。