本発明の原理の理解を促進するために、図面に例示された実施例を参照すると共に、特定の用語を使用して斯かる実施例を説明する。しかしながら、本発明の範囲は斯かる用語を使用して説明される例示の実施例に制限されるものではなく、例示の装置を更に変更及び修正したり、また、本発明の原理を例示した実施例以外に応用することが通常可能なことは当業者には自明のことである。
本発明の一態様による椎体間固定装置10を図2乃至図5に図示する。該装置は、円錐形で堅牢な耐荷重性を有した本体11により形成され、該本体は生物学的適合性を有した材料または不活性材料から形成されるのが好適である。例えば、本体11は医療等級のステンレス鋼またはチタン、または、本書に記載する十分な強度特性を有したその他の適切な材料から構成することが可能である。固定装置は、また、インプレックス社(Implex Corp.)により提供される多孔性タンタル複合材料等の生物学的適合性を備えた多孔性材料から構成することも可能である。参照の目的上、装置10は前端12と後端13とを有し、該前端及び後端は、固定装置10が円板内空間に移植された時に該装置10の解剖学的位置に対応する。円錐形の本体11は本体壁16により境界を画定され且つ端部壁17により後端13で閉鎖された室または中空内部15を画成している(図3参照)。固定装置10の中空内部15は隣接する椎骨間及び円板内空間を横断した堅牢な固定を促進するようにされた自家移植骨または代用骨材料を収容できるような構造にされている。
本発明によれば、椎体間固定装置10は隣接する椎骨の端部プレート内へねじを介して螺入される。本発明の一実施例では、円錐形本体11が一連の不連続の外側ねじ18及びインプラントの先端の完全なねじ19を画成する。完全なねじ19は円板内空間において椎骨内へインプラントを螺入させる「スタータ」ねじとしての役割を果たす。ねじ18及び19は当該技術分野で公知である幾つかの形態を取って椎骨に係合することが可能となる。例えば、ねじの断面を三角形または切頭三角形とすることができる。好適には、ねじの高さを1.0ミリメートル(0.039インチ)として、椎骨内でしっかりと握持されて、脊椎に加わる高荷重により固定装置10が円板内空間から押し出されないようにされる。ある特定の実施例のねじピッチは、固定装置10が移植される椎骨のレベル及びインプラントを所定の位置に保持するのに必要とされるねじ係合量に応じて、2.3ミリメートル(0.118インチ)または3ミリメートル(0.091インチ)とすることができる。
本発明の一態様では、円筒形本体11及び特に本体壁16は図4に最もはっきりと図示された平行な切頭形側壁22を含んでいる。該側壁は平らで、隣接する椎骨の端部プレート間に固定装置を挿入するのを容易にすると共に、該端部プレートとの間で骨状固定のための領域を提供するのが好適である。切頭形側壁は固定装置の前端12から後端13の完全なねじ19まで伸長する。従って、切頭形側壁22により、固定装置10の端面図における外観は該装置の側部が円の弦を横断して切断された不完全な円形をしている。一特定の実施例では、椎体間固定装置10の前端の径は16.0ミリメートル(0.630インチ)である。この特定の例では、切頭形側壁22が12.0ミリメートル(0.472インチ)に隔置された平行な弦線に沿って形成されており、円の除去された円弧部は固定装置の各側部で大まかに90°に対している。固定装置10の切頭形側壁22によりもたらされるその他の利点及び効果をより詳細に説明する。
固定を促進するために、本発明の固定装置には本体壁16を貫通して画成される開口部を設けることが可能である。図2乃至図5に図示した固定装置10は2つのタイプの本体壁開口部、即ち、下記に説明する如き血管新生用開口部24、25及び骨内部成長用スロ
ット27を含む。
固定装置10の円錐形本体11は、切頭形側壁22の各々を貫通して画成された血管新生用開口部24、25を含んでいる。これらの開口部24及び25は、固定装置が円板内空間に移植された時に、横方向即ち側面に配向されるようにされている。前記開口部は、中空内部15内の骨移植材料とそれを囲繞する組織との間に生じる血管新生用の通路を提供することを目的としている。更に、これらの開口部を介してある種の骨の内部成長が生じる可能性もある。開口部24及び25は、円錐形本体11の大部分の構造体を保持して隣接する椎骨間の円板内空間を横断して伝達される軸線方向の高荷重を支持する一方で、発生する血管新生用の最適な通路を提供するようなサイズにされている。
円錐形本体11は、また、対向する骨の内部成長用スロット27を画成し、該スロットの各々は切頭形側壁22に対して90°に配向されている。これらのスロット27は、固定装置10が移植された時に、椎骨端部プレートに直接隣接するのが好適である。より詳細には、固定装置のねじ18及び19が椎骨端部プレート内へ螺入されるに連れて、椎骨が平行にスロット27内へ伸長して固定装置10の中空内部15内に収容された骨インプラント材料に接触する。図5により明白に図示されている如く、骨の内部成長用スロット27は、骨の内部成長のために最大開口部を提供して、完全な関節固定及び堅牢な固定を確実になすような形状にされている。スロットの横幅は円錐形本体のねじの切られた部分の有効幅に近似しているのが好適である。
開口部が小さくなると偽関節になったり、線維組織を生成することになる可能性がある。本発明の骨の内部成長用スロット27は直に椎骨に対向することから、固定装置の高荷重を受ける部分に配置されない。代わって、切頭形側壁22が不連続のねじ18を介して且つ円板内空間を横断して椎骨端部プレート間に伝えられる荷重の殆どを支持することになる。
更に別の特徴では、本体壁16の前端12が一対の直径方向に配置された切欠き29を画成し、該切欠きが本書において説明をするインプラントドライバ工具に係合するような形状にされている。更に、インプラントの後端13の端壁17に工具係合特徴(図示なし)が設けられる。例えば、六角形の凹所を設けて六角形ドライバ工具を収容するようにすることが可能であり、これに就いては更に詳細に後述する。
本発明の椎体間固定装置の1つの重要な特徴では、本体11にテーパが付けられている、または、本体が円錐形の形状にされていることである。即ち、本体の前端12の外径が後端13の外径より大きくされている。図3に図示した如く、本体壁16に固定装置10の中心線CLを中心に一定の角度Aでテーパが付けられている。本体壁16のテーパは隣接する椎骨間で正常な相対角度を回復するようにされている。例えば、腰椎領域では、角度Aは当該領域における脊椎の正常の前弯角度及び曲率を回復するようにされている。1つの特定の実施例では、角度Aが8.794°である。本体のテーパを付けた部分の機能に干渉しなければ、インプラントにテーパを付けない部分を設けることも可能である。
インプラントのテーパ角は、固定装置10の前端及び後端の外径と共に、インプラントが所定の位置へ配置されるまたは所定の位置へ螺入される時に隣接する椎骨が角度を成すように広がる量を画定する。この特徴は図6及び図7により明確に図示されており、一対の固定装置10を使用した好適な構成体が図示されている。図示された構成体では、固定装置10が下部腰椎L4及びL5の間に配置されており、ねじ18及び19は2つの椎骨の端部プレートE内へ螺入している。図7に図示する如く、固定装置10が端部プレートE内へ螺入すると、椎骨レベルの枢動軸線Pに向かって矢印Iの方向へ前進する。枢動軸線Pは運動部分の隣接する椎骨間の相対回転の公称上の中心である。テーパの付いた固定
装置10が枢動軸線Pに向かって矢印Iの方向へ更に押し入れられると、隣接する椎骨L4及びL5が角度を成して矢印Sの方向へ広がる。固定装置10の挿入深さが2つの椎骨間で達成される最大前弯角Lを決定する。
インプラント10の特定の実施例では、前端12の外径またはねじ山の頂径が16、18または20ミリメートルであり、装置の全長は26ミリメートルとすることができる。装置のサイズは、装置が移植される椎骨のレベル及び装置が展開される角度の大きさにより決定される。
本発明の別の態様では、固定装置10が、2つの斯かる円筒状の本体11が、図6に図示した如く、1つの円板空間内に移植可能なサイズにされている。これにより、元の位置にある装置10間及び周りに骨移植片材料を追加することが可能になる。この態様により、更に、円板内空間を横断した固定を促進すると共に、隣接する椎骨間に装置をよりしっかりと固定して、特定の椎骨レベルに加わる軸線方向の高荷重による装置の排除が防止される。
椎体間固定装置の1つの特定の実施例では、血管新生用開口部24が全体として6.0ミリメートル(0.236インチ)×7.0ミリメートル(0.276インチ)の面積を有した矩形である。同様に、血管新生用開口部25は4.0ミリメートル(0.157インチ)×5.0ミリメートル(0.197インチ)の面積を有した矩形である。当然、こちらの開口部の方が固定装置10の狭い後端13に設けられることから小さくなる。骨の内部成長用スロット27も、また、長さ方向の寸法が20.0ミリメートル(0.787インチ)で、幅が6.0ミリメートル(0.236インチ)の矩形である。血管新生用開口部24、25及び骨の内部成長用スロット27のこれらの寸法が最適な骨の内部成長及び血管新生をもたらすことが判明している。更に、これらの開口部はそれ程大きくないので、固定装置の構造的な一体性を損なったり、または、中空内部15内に収容された骨移植片材料が移植中に簡単に排除されるようなこともない。
図7において分かる如く、固定装置が椎骨L4及びL5の間に位置決めされると、血管新生用開口部24及び25が側面に向いて、椎骨を囲繞する高度に血管化された組織に接触する。更に、図6において分かる如く、骨の内部成長用スロット27が軸線方向に指向されて、椎骨端部プレートEに接触する。
図8に図示する如く、本発明の代替実施例では、椎体間固定装置30は円錐形の荷重支持本体31から形成されている。本体壁34は前記の実施例の固定装置10と同様に室または中空内部33を画成している。しかしながら、本実施例では、切頭形側壁38は血管新生用開口部を一切含まない。更に、固定装置30の対向する側部の骨の内部成長用スロット39は前記の固定装置10より小さくされている。これは、固定装置30の外部の不連続のねじ36のインプラントの周りに伸長する長さが長いことを意味している。多孔性材料(例えば、多孔性のタンタル複合材料)を使用して表面積を追加して組織を内部成長させて、隣接する骨に定着させる場合、または、骨成長を促進するタンパク質を使用して固定率を向上させる場合には斯かるデザインを使用することが可能である。また、図8に図示した本実施例の椎体間固定装置30は、固定装置が排除される危険性が最大となる一定の椎骨レベルに使用することができる。従って、ねじ接触の量を増大させて斯かる排除を防止することができる。挿入する前に固定装置10の中空内部15を骨または代用品で完全に充填して、斯かる事前の装填を容易にする。
多孔性材料を使用する別の実施例では、図8Aの椎体間固定装置110は前記の実施例のテーパの付いた形状を保持するが、中空ではなく中実にされる。該固定装置110はテーパの付いた荷重支持本体111を備えており、該荷重支持本体111の前端112の外
径は後端113の外径より大きくされている。本体111全体が中実であり、インプラントの両端の面は面115等の閉鎖面となる。固定装置は前記の実施例の不連続のねじ118、スタータねじ119及び切頭形側壁122を含んでいる。駆動工具用スロット129も端面115に画成することが可能である。あるいは、スタータねじ119を排除して、インプラントの後端をねじの切られていない円筒部とすることができる。同様に、駆動工具用スロット129は、固定装置110を円板内空間に挿入するのに使用する工具のデザインによって様々な形態にすることが可能である。
図8Aに図示した固定装置の実施例の利点は、多孔性の高強度材料を使用して中実本体111を形成することにより特に理解することができる。好適な実施例では、この材料は多孔性のタンタル−カーボン複合材料であり、該複合材料は、インプレックス社からヘドロセル(HEDROCEL)(登録商標)の商品名で市販されており、また、カプラン(Kaplan)の米国特許第5,282,861号に記載されており、斯かる米国特許になされた説明は参考のために本書に組み入れられている。ヘドロセル材料の性質により、中実本体111の外側面全体が該本体全体を介して相互に連結された孔130を含んでいる。ヘドロセルカーボン−タンタル複合材料の支持体はガラス質カーボンの骨格または網状の連続気泡カーボン気泡体であり、相互に連結する孔のネットワークを画成する。斯かる支持体は蒸着された金属薄膜で浸透されている。斯かる金属薄膜の材料は、タンタル、ニオブまたはそれらの合金等の第5族の遷移金属である。
ヘドロセルは、金属製のインプラント及びセラミック製のインプラント双方の不利な点をなくして双方の有利な点を提供することから好適である。ヘドロセルは、骨の構造をまねると共に、人体の骨の弾性率に近い弾性率を有していることから、本発明の椎体間固定装置には良く適している。相互に連結された多孔性が骨の内部成長を促進すると共に、骨の血管新生を制限する行き詰まりを排除する。浸透された金属薄膜が重量を著しく増大することなく強度及び剛性をもたらす。ヘドロセルインプラントは椎骨間空間及び器具を装備した運動部分における脊椎の正常な曲率を維持する十分な強度を有している。同時に、応力シールドを行わずに済ますことができる。この複合材料は、また、同種移植片や自家移植片を必要としないことからも有利である。
本材料の更なる利点は再吸収されないことである。これにより初期の分解が防止されて、骨の再生が抑制される。再吸収不可能なインプラントは、また、完全な骨の内部成長が達成されない場合に有利である。しかしながら、恒久的な再吸収不可能なインプラントの不利な点は複合材料の優れた生物学的適合性及び骨伝導性により回避される。
ヘドロセルは好適であるが、任意の適切な高強度多孔性材料を使用することも考えられる。例えば、アルミナ、ジルコニア、窒化珪素、カーボン、ガラス、珊瑚、ハイドロキシアパタイト、硫酸カルシウム、カルシウム燐酸化第二鉄、カルシウム燐酸化亜鉛、燐酸エステルカルシウム及びカルシウムアルミネートセラミック等のセラミックを使用することが可能である。ハイドロキシアパタイト、トリカルシウム燐酸エステル及びそれらの二相性セラミック等のカルシウム燐酸エステルが高脊椎荷重に耐えられるように製造することができれば、斯かるカルシウム燐酸エステルを使用することが可能である。
その他の金属製連続気泡支持体複合材料もまた考慮することができる。例えば、支持体は黒鉛等のその他の炭質材料、または、トリカルシウム燐酸エステルまたはカルシウムアルミネート等のセラミックであっても良い。任意の適切な材料が考えられるが、タンタル、ニオブ及びそれらの合金等の第5族の元素が好適である。タンタルは機械特性及び生物学的適合性が優れていることから特に好適である。
本発明の椎体間固定装置は、本発明の一態様による図9に図示するインプラントドライ
バ50を使用して移植することができる。このインプラントドライバ50は、シャフト51及び該シャフトの周りに同心状に配置されたスリーブ52から構成される。シャフトの一方の端には椎体間固定装置10を把持して移植する挟持具即ちトング54が形成されている。該トングはテーパの付いた外側面55及び椎体間固定装置の切頭形側壁22に係合するようにされた対向する平らな内側面56を含んでいる。テーパの付いた外側面55は不連続ねじ18の谷径に対応して、該トング54が本質的に本体壁16の完全な円筒形状を完成するようにされている。トングのテーパの付いた外側面55が椎骨の端部プレートの雌ねじの切られた孔内に載ることから、トングのテーパの付いた外側面55の適合により椎体間固定装置10の螺入が容易に行われるようにされている。
トングの各々には連動フィンガ及び内側面56から伸長した駆動突起59が設けられている。これらの構成部品の機能はより明確に図11に図示されている。図9を参照すると、シャフト51が前記一対のトング54の各々を支持するヒンジスロット62を画成する。該ヒンジスロット62は、トングが該トングの間にテーパの付いた椎体間固定装置10を受け入れられるように十分に広げられて離間した自然に付勢された位置を取れるような形状にされている。シャフト51はヒンジスロット62とトング54の各々との間で円錐形のテーパを画成している。この円錐形のテーパはスリーブ53の内側壁上に画成された円錐形面67とかみ合う。従って、スリーブ52がトング54に向かって前進すると、円錐形面67に載接してヒンジスロット62を閉鎖または圧縮する。このように、トング54が互いに向かって押されると共に、トング間に位置決めされた椎体間固定装置に押圧されて該固定装置と把持係合する。
シャフト51及びスリーブ52にはねじの切られたインタフェース65が設けられ、該インタフェース65によりスリーブ52がシャフト51の長さ方向に螺走して上下動するのが可能となる。特に、ねじの切られたインタフェース65はシャフト51上の外側ねじとスリーブ52上の内側ねじとを含み、該外側ねじと内側ねじは同一のピッチを有しており、スリーブがインプラントドライバ50上を容易に上下移動できるようにされている。シャフト51には、また、一対のストップ69が設けられており、該ストップがスリーブ52の後方への移動を、トング54を十分な距離に亘って分離させて、椎体間固定装置10を受け入れるのに必要な範囲のみに制限する。
インプラントドライバ50の使用を図10及び図11を参照して説明する。図10において分かる如く、トング54の外側面55が不連続ねじ18の谷径と概ね平らになる。図11において分かる如く、連動フィンガ58が切頭形側壁22の各々の血管新生用開口部24内へ嵌合するように配列される。同様に、駆動突起59が円錐形本体11の前端の駆動工具スロット29に係合する。連動フィンガ58及び駆動突起59との組合せにより椎体間固定装置10をしっかりと係合して、該固定装置が椎骨内のテーパの付いたまたはテーパの付いていない開口部内へ螺入するのが可能となる。
インプラントドライバの代替実施例を図12に図示する。インプラントドライバ90はシャフト91を含み、該シャフトは患者の外側から円板内空間内へ届くのに十分な長さを有している。シャフト91の端部にはヘッドが連結されており、該ヘッドが一対の対向するトング93を画成し、該トングの各々が固定装置10の平らな切頭形側壁22と平らに接触するような形状にされている。前記のインプラントドライバ50のトング54のように、トングの外側面は円筒形をしており、固定装置の円筒形のねじの切られた部分に対応するようにされている。
インプラントドライバ50とは異なり、図12の実施例のインプラントドライバ90は展開コレット集成体を使用して固定装置10をしっかりと把持して体内へ挿入するようにされている。コレット94は環状フランジ96で終端しており、該環状フランジは少なく
とも最初は固定装置10の端部12の内径より若干小さくされている。伸展軸即ちエキスパンダシャフト97は摺動自在にコレット孔を貫通して伸長すると共に、フレアの付いた先端98を含んでおり、該フレアの付いた先端は環状フランジ96に隣接して配置されると共に、該環状フランジを僅かに超えて伸長している。エキスパンダシャフト97のフレアの付いた先端98はコレット孔内で摺動するようなサイズにされた径で始まり、漸次朝顔状に広がってコレット孔より大きな径となる。
インプラントドライバ90はシャフト91内に画成された孔100内に摺動自在に配置された引軸即ちプラーシャフト99を含んでいる。プラーシャフト99は端部に係止室101を有しており、該係止室101がエキスパンダシャフト97の端部に形成された係止垣ハブ102に係合する。プラーシャフト99はシャフト91の端部を超えて突出して外科医がアクセスできるようにされている。プラーシャフト99が引っ張られると、エキスパンダシャフト97がコレット94の環状フランジ96から引き離されて、フレアの付いた先端98がコレット孔95内に段階的に係合する。先端98が更に孔95内へ前進して行くと、環状フランジ96が初期の径から第2の拡径された径へ伸展して、固定装置10の内部にしっかりと把持接触する。固定装置が前記の如く係合されると、インプラントドライバを使用して該固定装置10を外科手術を施す部位へ挿入することが可能となり、その後でエキスパンダシャフトをコレット孔を超えて前進させてフレアの付いた先端を解放すると、その結果、固定装置が解放される。
本発明によれば、椎体間固定装置10を移植する方法が2つ考えられる。第1は、図13(a)乃至図13(d)を参照すると、前方からの接近法が図示されている。予備の段階として、適切なスタート点を位置決めして、固定装置を好適には左右相称に移植する。前からの接近法の第1段階では、拡張器75が椎骨の端部プレートE間に配置されて、椎骨L4及びL5の間の円板空間を拡張する。(勿論、この方法はその他の椎骨レベルで応用することが可能である。)図13(b)に図示する第2段階では、外側スリーブ76が円板空間の周りに配置される。該外側スリーブ76は公知のデザインを用いて、椎骨体の前側に確実に係合してしっかりとしかし一時的に外側スリーブ76を所定の位置に定着させる。本質的には、この外側スリーブ76はこの腹腔鏡検査法的な接近方法において作動チャネルとして作用する。図13(b)のこの段階では、公知のデザインのドリルが外側スリーブを貫通して伸長して、隣接する椎骨体に円形の開口部を掘穿するのに使用される。該開口部にテーパを付けて、固定装置の螺入を容易にすることが可能であるが、この段階は必要ではない。
図13(c)に図示する次の段階では、固定装置10にインプラントドライバ50を係合して、該固定装置10をスタータねじ19が骨の開口部に接触するまで外側スリーブ76を貫通して伸長する。次いで、インプラントドライバ50を使用して固定装置を椎骨端部プレートE内に形成された雌ねじの切られたまたは雌ねじの切られていない開口部内へ螺入する。この段階では、その他の適当な駆動工具を使用することが可能であり、例えば、ねじ廻しタイプの装置を使用して駆動工具スロット29を固定装置10の前端12に係合させることも可能であることを理解しておきたい。前述した如く、固定装置10の挿入度合いにより椎骨レベルに加えられるまたは回復される前弯の量が決定される。最終段階では、インプラントドライバを除去して、固定装置10を所定位置に残す。一旦移植がなされると、閉鎖端壁17を椎骨の後ろ側へ向かって指向する。中空内部15は前端で開放されているが、必要であればプラスチックまたは金属材料により閉鎖することができる。
図14(a)乃至図14(d)に図示する第2の創意のある方法では、後方からの接近法が実施される。この後方からの接近法の最初の2段階は前述の前方からの接近法に類似しているが、拡張器75、外側スリーブ76及びドリル77が続いて器具の取り付けられた領域内へ導入される点で異なっている。この接近法では外側スリーブ76を受け入れる
ために椎骨の剥離または除去が必要となる。本方法の第3段階では、固定装置10を拡張された円板空間内へ外側スリーブ76を貫通して挿入する。円板空間は椎骨端部プレートEに直接対面する切頭形側壁22でインプラントを収容するのに必要な程度にのみ拡張されることを理解しておきたい。従って、図14(c)に図示する如く、骨の内部成長用スロット27が、その最終移植位置から考えられる如く、冠状よりはむしろ横方向に向く。適当な駆動工具80を設けて固定装置10を外側スリーブ76を貫通させて円板内空間へ突出させることができる。1実施例では、駆動工具80は固定装置10の後端13の端壁17に形成されたスロット開口部に係合するような形状にされた特記81を含んでいる。内部ねじ(図示なし)を使用して固定装置10をドライバ80へ固定することができる。
一旦固定装置10が椎骨の枢動軸線Pに対して適切な深さまで円板空間内へ前進すると、駆動工具80を使用してインプラントが図14(c)に図示する回転矢印Rの方向へ回転される。駆動工具80が回転されると、固定装置自体が回転して、不連続ねじ18が端部プレートEにおいて椎骨内へ切断して食い込んで行く。この方法により、インプラントが図14(c)に図示する進展方向矢印Sの方向へ隣接する椎骨を分離するカムとして作用する。このカム接近法により、一回転すればインプラントを椎骨内に係止できると言った点で幾分簡単な挿入法が提供される。反対に、前記の螺入技術では固定装置を所定の位置へ着けるには連続してねじを廻すことが必要となる。
いずれの技術でも、固定装置10の隣接する椎骨に対する位置を放射線透過写真またはその他の適当な技術により確認をして、椎骨間の角度関係を確立できる。或いは、インプラントの好適な挿入深さを事前に決定しておき、インプラントが椎骨間に位置決めされると患者の外側から測定することができる。
本発明の椎体間固定装置10、インプラントドライバ50及び技術により従来の技術より著しく有利な点が提供されることが分かる。特に、固定装置10は中空のねじの切られたインプラントを提供し、該インプラントが隣接する椎骨間での骨状固定の潜在能力を最大限にする一方で、インプラント自体の一体性が維持される。脊椎がその軸線に沿った著しく大きな荷重に耐え、少なくとも堅牢な固定が達成されるまで固定装置が該荷重を支持する点を理解しておきたい。固定装置10は、また、血管新生及び組織の内部成長を起こす手段を提供し、該血管新生や組織の内部成長により固定速度を速め且つ固定された骨状塊の強度を増大される。別の重要な点は、インプラントのテーパの付いた形状によって外科医が椎骨体間での適切な曲率や相対角度を回復維持するのが可能となることである。これにより、製品の変形や脊椎のバランス喪失と言った従来の装置に関係した大変な問題が排除できる。本発明の装置及びインプラントドライバにより達成される更に別の利点は腹腔鏡法を使用して前側または後ろ側からの挿入が可能となることである。椎骨レベルによっていずれかの好適と考えられる方法を取ることが可能であり、故に、インプラントがいずれの方向からも挿入できるようにされていることが重要となる。前側からの挿入で使用した螺入技術(打入に対して)及び後ろ側からの挿入技術に使用された摺入及びカム方法によって固定装置の挿入を制御することが可能となる。
外科的移植処置中に、外科医は骨形成材料を中空内部15内に充填することで固定装置10または30に骨形成材料を付与することが可能となる。或いは、装置30または110の如き固定装置の場合には、骨内部成長材料の孔に骨形成複合材料を導入することで骨形成材料を付与することができる。任意の適当な骨形成材料または複合材料が考えられる。骨形成複合材料は、好適には、治療上有効な量の薬学上許容し得る担体における骨形態発生タンパク質等の骨誘導要素を備えている。
骨形成複合材料には、骨の内部成長材料の孔または装置の中空内部へ骨形成材料を導入する運搬媒体を提供する任意の適当な担体が考えられる。斯かる担体は公知であり市販さ
れている。担体材料は生物学的適合性、生物学的分解性、機械的特性及びインタフェース特性に基づいて選択される。本発明の複合材料はその応用に応じて適切な配合がなされる。骨形態発生タンパク質をインプラントへ搬送する能力があれば任意の適当な担体を使用することが可能である。担体が体内へ再吸収されるのが最も好適である。1つの好適な担体はインテグラ・ライフサイエンス社(Integra LifeSciences Corporation)によりヘリスタット(Helistat)(登録商標)の商品名で市販されている吸収可能なコラーゲンスポンジである。別の好適な担体は連続気泡のポリ乳酸ポリマーである。前記複合材料用のその他の潜在的に使用可能な基質は、生物学的に分解可能で化学的に定義される硫酸カルシウム、トリカルシウム燐酸塩(TCP)、ヒドロキシアパタイト(HA)、二相TCP/HAセラミック、ポリ乳酸及びポリ無水物である。その他の潜在的に使用可能な材料は、生物学的に分解可能で化学的に十分に定義された骨または皮膚コラーゲンである。別の基質は、純タンパク質または細胞外成分である。骨誘導材料も骨誘導サイトカインと高分子アクリル酸エステル担体との添加物とすることが可能である。高分子アクリル酸エステルはポリメチルメタクリルとすることができる。
装置101等の中空固定装置には、担体をストリップ状またはシート状に設けて、図15及び図16に図示する如く、折り畳んで中空内部15に合致させるようにすることができる。担体は血管新生用開口部24、25等の装置の開口部から外へ伸長するようにして、骨形成材料が椎骨を囲繞する高度に血管化された組織に接触するのを容易にするのが好適である。1つの実施例では、骨形成材料100はBMP−2等の骨形態発生タンパク質の担体として機能するポリ乳酸ポリマーを含んでいる。この特定の実施例では、骨形成材料100はシート101の形態を取っており、該シートは固定装置10の中空内部15内の折り目102で重ね合わされている。該シート101の長さは十分に長くされて、装置10内で折り畳まれるとほぼ完全に中空内部を満たし、少なくとも部分的に血管新生用開口部24及び25内へ伸長するのが好適である。
図15及び図16に図示する如く、シート101は切頭形側壁22と全体として平行に折り畳まれて、該シート101の折り目102が装置のねじの切られた部分にあるスロット27に隣接して配置されるようにされている。或いは、シート101を折り畳んで、折り目間の層が全体として側壁22に垂直となるようにれている。
骨形成材料100も固定装置10の中空内部15内へ嵌合するようなサイズの何本かのストリップとして設けることができる。ストリップ(図示なし)は中空内部を満たすように互いに向き合って配置することができる。折り畳まれたシート101と同様に、ストリップは装置10内で血管新生用開口部24、25またはスロット27に向くようにいくつかの配向に構成することができる。骨形成材料100は、1折りにされたシートの形態で設けられようとも、または、幾つかに折られて重ね合わされたシートの形態で設けられようとも、装置10の中空内部15の長さに対応する長さと、装置の長手軸線を横断する該装置の幅に対応する幅とを有するのが好適である。
カプランの特許において述べた如く、連続気泡タンタル材料は高度に相互連結された3次元多孔性を提供して骨の内部成長を促進する。カプランタイプの材料は装置全体に亘って骨の内部成長を容易にして固定を完全なものにすると共に、応力シールドや不完全融合即ち固定と言った金属の有する不利な点を持たずに金属の強度を有している。これらの多孔性材料のもう1つの利点は、骨成長を誘導する組成物を孔の内部へ導入できることである。例えば、1実施例では、組成物が孔内へ導入されて固定を促進する骨形態発生タンパク質を液体担体内に含んでいる。BMPsは器具を取り付けた円板空間を横断した関節固定または融合を達成する時間を著しく低減することが判明している。骨形態発生タンパク質は、人間の組替え型BMP−2等のBMP−2であるのが最も好適である。しかしながら、BMP−1乃至BMP−13と称する骨形態発生タンパク質を含んだ任意の骨形態発生タンパク質が考えられる。BMPsはマサチューセッツ州ケンブリッジ市(Cambridge, Massachusetts)のジェネティックス・インスティテュート社(Genetics Institute Inc.)から市販されており、また、ウズニー(Wozney)その他の米国特許第5,187,076号、ウズニーの米国特許第5,366,875号、ウォング(Wang)その他の米国特許第4,877,864号、ウォングその他の米国特許第5,108,922号、ウォングその他の米国特許第5,116,738号、ウズニーその他の米国特許第5,106,748号、ウズニーその他のPCT特許第WO93/00432号、セルステ(Celeste)その他のPCT特許第WO94/26893号及びセルステその他のPCT特許第WO94/26892号に記載されている如く、当業者により作製することも可能である。
BMPを凍結乾燥した形態で設けて、無菌水または別の適当な媒体または担体内で再構成することも可能である。担体は、タンパク質をインプラントへ搬送できるものであれば、任意の適当な媒体とすることが可能である。斯かる媒体は、当技術分野で公知の緩衝液で補足されるのが好適である。骨成長を誘導する組成物を任意の適当な方法で孔内へ導入することができる。例えば、組成物をインプラントの孔内へ注入することが可能である。その他の実施例では、組成物を生物学的適合性を有する材料の上に滴下するか、または、生物学的適合性を有する材料を組成物内へ浸す。本発明の1つの特定の実施例では、rhBMP−2が水または液体コラーゲン等の液体担体内に懸濁または添加される。斯かる液体を装置内へ滴下するか、または、該装置を適当な量の該液体内へ浸漬するが、いずれの場合であっても、固定装置の孔材料全体にある相互に連結された孔の全てに液体が侵入するのに十分な時間をかけて行う必要がある。
ある場合においては、BMPを導入する前にBMP−定着剤をインプラントの多孔性の生物学的適合性を有する材料に付与して、定着剤が装置の孔を被膜できるようにする。定着剤はカルシウム燐酸エステル組成物であるのが好適である。固定部位への骨形態発生タンパク質を搬送する速度が斯かる定着剤を使用することで制御できることが発見されている。カルシウム燐酸エステル組成物は骨形態発生タンパク質に結合して、BMPが結合が起きる前に装置から時期尚早に分散するのを防止すると考えられている。更に、定着剤によりBMPを保持することでBMPが、伝導されて完全且つ迅速な骨形成及び最後に円板の空間を横断した固定を達成する速度で装置から浸出するのが可能になる。任意の適当な生物学的適合性を有するカルシウム燐酸エステル組成物が考えられる。好適な実施例では、数ミクロン厚のハイドロキシアパタイトの層がカプランの材料の上へ塗布される。ハイドロキシアパタイトはタンタル薄膜で覆われた靭帯を覆う一方で、孔を開放の状態にしておく。また、トリカルシウム燐酸エステルセラミック及びハイドロキシアパタイト/トリカルシウム燐酸エステルセラミックもまた考えられる。
カルシウム燐酸エステル組成物をインプラントの多孔性の生物学的適合性を有する材料へ、プラズマ溶射または多孔性材料をカルシウム燐酸エステル組成物のスラリー内へ浸す化学的浸漬等の任意の適当な方法で付与することが可能である。カルシウム燐酸エステル組成物をの被膜を付与する方法は下記の米国特許に記載されている。即ち、コンスタンツ(Constantz)その他の米国特許第5,164,187号、サイタ(Saita)その他の米国特許第5,030,474号、テイラー(Taylor)その他の米国特許第5,330,826号、サイタその他の米国特許第5,128,169号、イノウエその他のRe.第34,037号、コクボ(Kokubo)その他の米国特許第5,068,122号、コンスタンツの米国特許第5,188,670号及び第5,279,831号であり、これらの特許は参考として本書に組み込まれている。
図2に図示した如き中空のスペーサには、本発明では、開口部15aを閉塞して室15
内の移植片材料が排除されるのを防止するキャップ300(図17)が設けられる。(図18参照)好適な実施例では、該キャップ300は開口部15aに接触して閉鎖するようなサイズ及び形状にされた閉塞体301と、該閉塞体301から突出する細長いプロングまたはアンカー310を含んでいる。
図17に図示した実施例では、閉塞体301は外側壁304と、対向する内側面306と、外側壁304と連絡し且つ該外側壁に連結されたフランジ307とを含んでいる。該フランジ307は荷重支持本体11′の本体壁16の内側面に接触する係合面308を画成する。フランジ307は、また、キャップ300が固定装置の内部へ移入するのを防止する。
アンカー310は、閉塞体301へ取り付けられた第1の端部311と、対向する荷重支持本体11′に係合して閉塞体301を開口部15a内に保持する係合手段を有した第2の端部312を含んでいる。好適な実施例では、係合手段はリップ315であり、該リップは荷重支持体11′の内側面に接触する第2の端部312から突出している。アンカー310は、キャップ300が開口部15a内へ挿入された時に、閉塞体301から本体壁開口部まで到達する長さlを有しているのが好適である。図18では、リップ315が血管新生用開口部24′へ係合されている。幾つかの実施例では、キャップ300の外側壁304は、図18に図示する如く、開口部15aと面一またはほぼ面一にされて垂直の断面形が低くなるようにされるのが好適である。
図17に図示されたキャップ300も閉塞体301から突出する第2の対向する細長いアンカー325を含んでいる。勿論、設けられるアンカーの数は任意であって良い。アンカーは、特に、2つ以上のアンカーが設けられる場合には、弾性材料から成るのが好適である。弾性材料であれば、アンカー310、325が挿入のための内側方向の力Fにより若干変位するのが可能となる。キャップ300が一旦開口部15a内へ挿入されると、アンカー310、325に加わる力が解放されてアンカー310、325が、アンカー310が荷重支持体11′に係合するアンカーそれぞれの正常な相対的配置に戻ることが可能となる。
本発明のキャップの材料には生物学的適合性を有する金属やポリマー等の任意の適当な材料を使用出来る。1つの好適な実施例では、キャップはチタンから構成される。別の好適な実施例では、キャップは、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ぽりすちれん、及びそれらのコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、フルオロカーボンポリマー、ゴム、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリスルホン及びポリカーボネート等のポリマーである。例えば、グリロライド、ラクチド及びポリカーボネートを基材としたポリマー等を含んだ生物学的に分解可能なポリマーもまたキャップの材料として考えられる。斯かるポリマーは、予定どおりに移植片材料または代用移植片に混入/分解された後で分解するように製造される。ポリエチレンは、不活性であり且つ面が円滑で刺激をもたらさないことから特に好適である。別の利点は、ポリエチレンは放射線半透過性であり且つ放射線性血管新生に干渉しない。その他の適当な材料としてはステンレス鋼やヘドロセル(登録商標)がある。
キャップは、また、外側壁304を貫通して画成された、骨の内部成長及びタンパク質の退出を可能にするサイズにされた骨成形開口部305を含むのが好適である。骨形成開口部305は、ポリエチレン等の材料がキャップ用に選択された場合には特に好適である。かかる生物学的適合性を有したポリマーはチタン等のその他の材料と同様に骨状結合が可能であることは知られていない。従って、中実なプラスチックキャップはキャップ領域での骨形成を妨げる。骨形成開口部は、また、室内に移植された骨成長タンパク質の拡散の制御を容易にして、骨状の架橋及び固定装置の回りでの固定を容易にすることから利点があると言える。この結果生じる固定装置の回りの固定は装置内の装置内部成長固定塊を補足して、全体的な固定をより堅牢なものにする。装置の周りの骨状架橋は、また、斯かる方法の成功をより良く表すことから好ましい。装置内の骨内部成長は普通のフィルムを使用して放射線透過写真を評価するのは難しいが、装置の外部での骨状架橋は容易に見ることが可能である。キャップのサイズは任意に考えられる。キャップの寸法は固定装置の開口部を効果的に閉塞する必要性に応じて変化する。図17を参照すると、キャップ(フランジを含めた閉塞体)の長さLは13.7ミリメートル(0.548インチ)、フランジを除いた閉塞体の長さL′は12ミリメートル(0.488インチ)、幅Wは8.25ミリメートル(0.330インチ)、及び高さHは9.4ミリメートル(0.377インチ)である。
本発明は、また、椎体間固定装置のキャップを操作する工具を提供する。斯かる工具はキャップに係合する手段と、固定装置に係合してキャップの挿入及び取り外しを行う手段とを含む。外科手術中に、固定装置10′が移植され、且つ、室が骨形成材料で充填された後で、キャップ300が開口部15a内へ挿入される。場合によっては、外科手術中または後でキャップを取り外して室内の骨形成材料の入れ替えまたは除去、または、固定装置に接近して修正することが必要となることがある。図17に図示するキャップ300は、挿入または取り外し工具を収容する工具穴320を含んでいる。該穴320はねじを切られているのが好適であるが、穴の内側を六角形にする等の任意の係合面が考えられる。
本発明の工具400の1実施例を図19及び図20に図示する。工具400は、一対の叉即ちプロング401及びシャフト410を含んでおり、前記プロング401の各々は固定装置に係合する第1の係合手段を画成する基端部402を有し、前記シャフト410はキャップに係合する第2の係合手段を画成する第1の端部を有している。工具は、また、プロング401に間にシャフト410を摺動自在に支持する手段を含んでいる。1実施例では、本発明は、本体またはハウジング420を含み、該ハウジング420がそれ自体を貫通する通路を画成している。本実施例では、プロング401の末端部403はハウジングに結合されている。図20に図示する如く、プロング401をねじ404でハウジング420に取り付けることができる。勿論、任意の適当な固定手段が考えられる。
プロング401を使用して固定装置を固定してキャップを挿入出来、又は、該プロング401を使用して固定装置及び/またはキャップに係合してキャップの取り外しを行うことができる。図19に図示した実施例では、プロング401の基端部402が向かい合った固定装置に係合する係合面404を含んでいる。最も好適な実施例では、一対の解放部材405が向かい合った係合面404の各々に配置される。特に図21を参照すると、解放部材405の高さはh、幅はwにされて、固定装置10′の開口部24′内へ挿入可能なようにされている。図19乃至図21に図示した工具を使用して、本発明のキャップ300を取り外すことが可能であり、該キャップ300は図18に図示した固定装置10′の開口部15a内へ挿入される。解放部材405は開口部24′内へ挿入されて、圧力Fをキャップ300の細長い腕またはアンカー310に加えて、該アンカー310内側へ撓ませて、椎体間固定装置10′からキャップ300を解放する。アンカー310がリップ315またはその他の係合手段を含んでいる実施例では、解放部材405を開口部24′内へ挿入して開口部からリップ315を取り外す。
プロング401の基端部402間の距離dは調節自在となって、固定装置及び/またはキャップの一部へ係合するのを容易にするのが好適である。好適な実施例では、これはステンレス鋼等の弾性のある金属でプロング401を構成することにより達成される。調節可能となる特徴は、プロング401の末端部403にヒンジを取り付ける当のその他の手段により売ることが可能である。距離dを調節するその他の任意の適当な手段が考えられる。
再度図19を参照すると、シャフト410の第1の端部411はキャップの工具穴にかみ合うように構成されたキャップ−係合先端415を画成している。図19の実施例では、キャップ係合先端415が図22に図示したキャップ300内のねじの切られた工具穴に係合するねじを画定している。例えば、キャップの内側の六角に係合する六角形等の任意の適切な工具係合手段が考えられる。
図19乃至図22に図示した実施例では、シャフト410がハウジング420の通路421内に摺動自在に配置される。シャフト410は引っ込められた位置(図23)と、第1の端部411がプロング401の基端部402に隣接し且つ該基端部の間に位置する伸展した位置(図24)との間を摺動自在となる。キャップを固定装置内へ挿入するには、プロング401を使用して固定装置に係合して該固定装置を保持する。係合端部415がキャップの工具穴に係合して、シャフト410を伸展された位置(図24)まで摺動させてキャップを固定装置まで運ぶ。係合端部405にねじが切られている場合には、キャップを固定装置内へ挿入した後で、ハウジング420内でシャフト410を回転させることで、該シャフト410を廻してキャップから取り外す。キャップを取り外すには、先ず、プロング401を固定装置に係合させる。プロング401を固定装置の本体壁へ係合させることも可能である。図17及び図18に図示した如きキャップ300と一緒に使用される場合には、解放部材405を開口部24′内へ挿入してリップ315を解放し、且つ、アンカー310、325を内側へ撓ませる。次いでシャフト410が引っ込められた位置(図23)から伸展された位置(図24)へ移動されて、次いで回転させられてキャップの工具係合穴320へ係合する。次いでシャフトが引っ込められた位置(図23)へ戻されて、キャップ300が係合端部415へ係合される。
図19に図示した実施例では、シャフト410の第1の端部411は、オートクレーブ処理可能なプラスチック製の中心ロッド413に取り付けられた金属製ロッド412である。オートクレーブ処理可能なプラスチックが軽量且つ再使用可能な装置用に選択される。1実施例では、金属製ロッド412がプラスチック製の中心ロッド内へプレス嵌めされると共に、更にピン414に係合される。
1実施例では、シャフト410の中心ロッド413がハウジング420の通路421内へ滑り嵌めされる。基端及び末端ストップ部材が設けられて、シャフト410がハウジング420が滑り出してしまうのを防止するのが好適である。基端のストップ部材は第1の端部411に隣接して中心ロッド413上に配置されて、第1の端部411が通路421内へ進入するのを防止するのが好適である。図19図示する如く、基端のストップ部材はシャフト410の中心ロッド413に係合したOリング430である。1実施例では、中心ロッド413がOリング430が着座する溝431(図25)を画成する。該溝431は、Oリング430が該溝内に着座すると、シャフト410が図23に図示した引っ込められた位置を超えて移動できないようにして、第1の端部411が通路421へ進入するのを防止するようにされている。
末端のストップ部材440はシャフト410の第2の端部416に取付けることが可能であり、該ストップ部材の周囲は通路421の周囲より大きくされており、第2の端部416が通路421へ進入するのを防止することが可能である。図25に示す如く、ストップ部材440及び通路421が円形である場合には、末端のストップ部材440の径D1は通路421の径D2より大きくされる。
本発明の工具では、また、シャフト410の第2の端部416に末端のシャフト操作部材を取り付けて通路421内でシャフト410摺動且つ回動するようにするのが好適である。図19に図示した実施例では、該操作部材はサムホイール441である。該サムホイ
ール441の寸法または径D1は径D2より大きく、従って、末端のストップ部材440でもある。
本発明を更に十分に理解するために、下記の特定の例を挙げる。これらの例は本発明を例示するのを目的としたものであって、現実に本発明を制限するものではない。
例1
外科技術: 本研究には21頭の成長した雌のアルペン山羊を使用した。山羊の体重は42乃至62キログラムであった。全ての山羊に導入用に静脈バリウム及びケタミンを使用して一般的な麻酔をかけ、吸入ハロタンを使用して麻酔の維持を図りつつ外科処置を施した。前部頸を無菌状態に消毒して外科処置の準備を行い、長手方向に皮膚を切開して右前外側から頚椎へ接近した。十分に発達したロンゴス・コリ(longus coli)筋肉を中央で切開して、C2−C3、C3−C4及びC4−C5の円板空間を露出した。最初に軟質円板を切除して、各レベルの前部頸椎間板を切開した。次いで、ポストの中央に位置決めされた8mmの伸延プラグを円板空間内へ軽く打入して、円板空間を伸延する。作業用管がポスト及び円板空間の上下の椎骨体内へ打入された管の端部のプロング上を通過させた。これらのプロングが中心ポスト及び伸延プラグが除去されると円板空間の伸延を維持した。円板空間及び椎骨体/端部プレートが次いで作業用管を介して10mmのリーマを使用してが拡張即ちリーミングがなされた。拡張した時に生じた骨屑を蓄えておき、移植片材料として使用した。次いで、拡張されたチャネルに雌ねじを切った後で、直径10mmのチタンBAK装置(ミネソタ州、ミネアポリス市のスパインテック社(SpineTech, Minneapolis, Minnesota))を挿入した。前部の長手方向の靭帯の切除または脊柱管の露出の試みはなされなかった。
山羊は各グループ7頭から成る3つの処置グループに分割された。グループIは各レベルに前記リーミング時に収穫した自原性骨移植片で満たされた装置を備えていた。グループIIはヒドロキシアパタイトで被膜され且つリーミング時の自原性骨屑を移植片として充填した装置を使用した。グループIIIは組替え型BMP−2(マサチューセッツ州、ケンブリッジ市のジェネティックス・インスティテュート社(Genetics Institute,Cambridge, Massachusetts))200μgを注入したコラーゲンスポンジで充填された装置を使用した。装置の設置の前に通常の食塩水、バシトラシン(50U/cc)、ポリミキシンB(0.05mg/cc)及びネオマイシン(0.5%)の溶液で傷を洗浄した。次いでロンゴス・コリ筋肉を連続縫合で閉じた。皮下組織は断続縫合で再近置し、皮膚は連続縫合で再近置した。
術後、山羊が完全に麻酔から回復するまで監視した。山羊はナクセル(Naxcell)(セフチオフル)を2投与量、即ち、手術前に静脈内に500mgを、手術後に筋肉内に500mgを投与された。柔らかい包帯を山羊の頸に巻き、何日間か畜舎において日々観察をしつつ、山羊には自由な活動を許した。
3週毎に臨床上の評価を行なった。手術の直後、3週目、6週目及び9週目に側部頚椎の放射線透過写真を取った。蛍光色素ラベルを3週目、6週目及び9週目に付けた。3週目のラベルはオキシテトラサイクリン(30mg/kg IV)、6週目のラベルはアリザリン複合オキシテトラサイクリン(30mg/kg IV)、9週目のラベルはDCAF(20mg/kg IV)から成っていた。山羊は12週目にビューサネージア(Beuthanasia)を静脈に注射して安楽死をさせた。次いで、頚椎を切除して、全ての周りの組織を切除した頚椎から取り除いた。次いで、標本のAP及び横平面における放射線透過写真を取った。
生体力学的試験: 脊椎標本を得たばかりの状態で生体研究所に持ち込んで生体力学的試験を行った。脊椎をポリエステル樹脂(オハイオ州、シンシナチ市のライトウェート3
ファイバーグラス−エバーコート社(Lite Weight 3 Fiberglass−Evercoat,Cincinnati,Ohio))を用いてC2及びC7のフレーム内に載せた。生体力学的試験を改造型のMTSバイオニクス858サーボ−油圧材料テスタ(MTS Bionix 858 Servo−Hydraulic Material Tester)(ミネソタ州、ミネアポリス市のMTS社(MTS Corporation,Minneapois,Minnesota))で行った。MTS試験機は軸線方向の圧縮荷重及び捩れ荷重を脊椎の長手方向軸線の周りにかけることができる。このシステムでは一定の曲げモーメントを脊椎の全長に亘ってかけることができ、これにより軸線方向の荷重及び捩れをゼロに維持したままで純然たる矢状屈曲及び伸展荷重を発生することが可能となる。
軸線方向圧縮、捩れ、屈曲−伸展及び横方向曲げに就いて別個の試験がなされた。軸線方向の圧縮荷重が0から100Nまで循環してかけられた。回転または矢状曲げの連結運動が許容された。捩れは正から負の5N−mまで循環させ、50Nの圧縮予備荷重がかけられた。再度、軸線方向荷重及び矢状曲げを荷重制御したままにすることで連結運動を許容した。5Nの引張予備荷重をかけ、均一な2N−mの曲げモーメントで矢状曲げが屈曲から伸展まで循環された。5Nの引張予備荷重をかけ、均一な2N−mの曲げモーメントで左から右へ横方向の曲げが行われた。各試験とも0.1Hzの正弦荷重(sinusoidal load)サイクルを5サイクル行った。標本は最初の4サイクルを分析に使用された5回目のサイクルからのデータで事前に条件を調整した。データは試験毎に連続して取られて、コンピュータデータファイルに記憶させた。
軸線方向の圧縮データは軸線方向荷重(N)及び軸線方向の変位(mm)を含んでいた。屈曲−伸展、捩れ及び横方向の曲げのデータは軸線方向荷重(N)、トルク(N−m)及び回転変位(度)を含んでいた。軸線方向、屈曲−伸展、横方向の曲げ及び捩れ変位の測定は、手術を受けた円板レベルの各々を横断して付けられた伸縮計を使用して同時になされた。軸線方向荷重、屈曲−伸展、捩れ及び横方向曲げに就いて各円板空間を横断した剛性を計算してデータの分析を行った。
放射線透過写真分析: 3週、6週、9週及び12週目の放射線透過写真の全てが分析された。放射線透過写真はケージ移動(migration)及び各ケージを囲む光る線の有無について分析された。APまたは横方向の放射線透過写真のいずれかに光る線が確認された場合には、ケージが輝き即ちルーセンシ(lucency)を持っていると認められた。
組織学的分析: 生体力学的試験に続いて、標本は取付グリップ及びフレームから取り外された。脊椎はC3−、C4及びC6の椎骨体の中間軸線を通して切断されて、骨−円板空間−骨のブロックにインプラントを含んだ3つの個々の標本にされた。次いで、標本はアイソメットプラス(Isomet Plus)精密鋸(イリノイ州、レイクブラフ市のブエフラー・インスツルメンツ社(Buehler Instruments,Lake Bluff,Illinois))を使用して右横側から始まる矢状部分に切断された。矢状の一片にケージの最初の兆候が現れた時に、2つの追加の2.5mm片が除去された。これらの2つの片は次いで70パーセントのアルコール内で保管されてマイクロ放射線透過写真分析を待った。次いで第3の矢状片が除去されて別にされて蛍光色素分析にかけられた。残りの標本は70パーセントのアルコール内で保管されている。
ケージを含んだ最初の2つの片が次いでマイクロ放射線透過写真のために処理された。矢状放射線透過写真がヒューレット・パッカードファキシトロン装置(Hewlett Packard Faxitron)(オレゴン州、マクミンビル市のヒューレット・パッード社(Hewlett Packard,McMinnville,Oregon)で得られた。各矢状マイクロ放射線透過写真は2つのケージ−椎骨体インタフェースを含んでいた。これらのインタフェースの各々は別個に且つケージを囲む骨または線維組織の有無について等級分けされた。次いで各インタフェースがそれぞれのインタフェースからケージ内へ骨が内部成長しているか否かについて下位分類された。従って、各円板間空−ケージ−端部プレート接合を(1)骨の内部成長があり、ケージが完全に骨に囲まれている(B−B)、(2)線維の内部成長がありまたは内部成長がないがケージが完全に骨に囲まれている(B−F/E)、(3)線維の内部成長がありケージが線維により囲まれている(F−F)または(4)ケージの中は空っぽで線維組織に取り囲まれている(F−E)のいずれかに分類することができた。
成功した関節固定の有無が矢状マイクロ放射線透過写真から決定された。双方の円板間空−ケージ−端部プレートインタフェースが完全に骨に囲まれており、且つ、間空内の骨が完全に硬化していた場合には、レベルが堅牢に関節固定なされたと見なした。双方のインタフェースが線維組織により囲まれていて、ケージが空っぽであった場合には、レベルの関節固定は失敗したと見なされた。一方のインタフェースが骨に囲まれ、他方が線維組織に囲まれていた場合、または、双方のインタフェースが線維組織に囲まれており且つケージが線維組織で満たされていた場合には、レベルの状態は中間の結果を得たと見なされた。
第3の矢状片をポリメチルメタクリレート内へ載置して蛍光色素分析を行った。アイソメットプラス精密鋸を使用して200乃至360μm厚の片を得た。次いでこれらの片をマルトML−512Dスピートラッピング機械(Maruto ML−512D Speed Lapping Machine)(日本国、東京都のマルトインスツルメンツ社(Maruto Instruments,Tokyo,Japan))を使用して100μmの厚さまで研削した。厚さ100μmの標本の矢状マイクロ放射線透過写真を得て蛍光色素分析との相関関係を証明した。このマイクロ放射線透過写真を得た後で、片を厚さ40μmまで研削して、スライドに載せて色素分析をした。ケージの周り及びケージ内に各標識が存在しているか否かによりケージの周り及びケージ内の骨の再血管新生の相対的な時間フレームを決定することができた。
結果: 21頭全ての山羊の外科手術は成功し、実験期間中は問題なく生存した。頚椎の傷の感染は一切発生しなかった。神経学的な合併症は一切発生しなかった。
放射線透過写真結果: どのグループのケージも正常位置からの移動はなかった。グループIではルーセンシを備えたケージは3つあった。グループIIではルーセンシを備えたケージは4つあった。グループIIではルーセンシを示したのは21のケージ中1つもなかった。
マイクロラジオグラフ結果: 各々のケージーエンドプレートーインタフェース(cage−endplate−interface)接合を等級付している結果は表Iへ要約されている。BMPを充填したケージは、骨によって取り囲まれた非常に多数のインタフェースと、他の2つのグループのいずれよりも非常に大量の骨成長と、を有している。
関節固定の成功率はBMPが充填されたケージが最高で95%であり、HA被膜したもの(62%)、そして標準の装置(48%)と続いた。この差は統計学的には著しかった(p=0.002)。関節固定の不成功率はHA被膜したグループ及び標準のグループ双方が14%で、BMPを充填したケージではゼロであった。中間の結果は標準のケージで38%、ヒドロキシアパタイトケージで14%及びBMPを充填したケージでは5%であった。
生体力学的データ: 軸線方向圧縮、捩れ、屈曲、進展及び横方向の曲げにおける平均
生体力学的剛性のデータをグループ毎に表IIにまとめてある。荷重モード試験ではいずれの試験においてもグループによる統計学的差はなかった。関節固定結果によるいずれの荷重モードにおける剛性の統計学的な著しい差はなかったが、関節固定が成功したケージが関節固定に失敗したケージよりも軸線方向圧縮、捩れ、屈曲、進展及び横方向の曲げにおいて剛性が高い傾向があった。
蛍光色素分析: グループIでは、ケージの全周における骨の形成を示したケージは10あった。これらのケージ中7つ(70%)が3週目の注射の後で骨の再血管新生を示し、3つ(30%)が6週目の注射の後で骨の再血管新生を示した。グループIIでは、ケージの全周における骨の形成を示したケージは13あった。これらの中8つ(62%)が3週目の注射の後で再血管新生を示し、3つ(23%)が6週目の注射の後で再血管新生を示し、2つ(15%)が9週目の注射の後で再血管新生を示した。グループIIIでは、ケージの全周における骨の形成を示したケージは20あった。これらのケージ中19(95%)が3週目の注射の後で骨の再血管新生を示し、1つ(5%)が6週目の注射の後で骨の再血管新生を示した。
3つのグループの63のケージ中21がケージ内での骨の成長を示した。グループIでは、6つの中1つのケージ(17%)が6週目の注射の後で骨の血管新生を示し、5つのケージ(83%)が9週目の注射の後で骨の血管新生を示した。グループIIでは、5つのケージ全てが9週目の注射の後で骨の血管新生を示した。グループIIIでは、11のケージ中3つ(27%)が3週目の注射の後で再血管新生を示し、6つ(55%)が6週目の注射の後で再血管新生を示し、2つ(18%)が9週目の注射の後で再血管新生を示した。従って、一般的には、BMPで充填されたケージがその他の2つのグループのものに比較してケージの周り及びケージ内の双方における血管新生を早く示した。
結論: BMPで充填された椎骨間固定ケージが著しく高い関節固定率を示す結果となり、自原性骨で充填された装置またはプレートの安定化がなされたまたはなされていない自原性の椎体間骨移植片に比較して骨の血管新生の速度が速かった。
例2
設計: 12頭の成長した雌の羊にシングルレベルの中間腰椎椎体間固定を行った。全ての外科的解剖を同一の無菌状態にて実施した。前部固定部位の準備に続いて、インプラントを挿入した。単一ケージで横方向の配向をした、タイプIの原線維コラーゲン(ヘリスタット)(n=6)上に担持されたrhBMP−2を含んだねじの切られた椎体間固定装置(TIBFD)を用いて腹膜の後ろから接近する方法で処置された。研究(全てn=6)の前の四肢は自原性骨プラグ、自原性骨プラグのみ、または、模擬(空)の固定部位を備えたTIBFDを含んでいた。羊は術後直ぐに草を食むことを許され、外部から動けなくすることは一切しなかった。全ての羊は外科手術後6カ月で屠殺された。死んだ羊から取った14の脊椎を追加して基本線の椎骨間の機械的剛性測定値を決定した。
材料: テネシー州メンフィス(Memphis,Tennessee)市のソファモダネク社(Sofamor Danek,Inc.)が開発製造する椎体間固定ケージはTi−6Al−4V合金で構成され、閉鎖円筒としてデザインされた。装置の径は14mmで、移植片材料の配置を可能にするねじ込み式のエンドキャップを含んでいた。製造業者により記載されてある如く装置の多孔度は金属に対する穴全体の比率で35%であり、椎骨間体と接触する所の多孔度は増大されていた。降伏機械的荷重は80,000ニュートン(Newtons)(人間の生理学的最大荷重−10,000ニュートン)と報告された。15Hzで800から9,680ニュートンの5,000,000サイクル以上の循環圧縮荷重の結果、観察可能な微細な損傷または変形はなかった。
rhBMP−2の投与量は043mg/mlであった。緩衝液中のタンパク質は市販等級のタイプIのコラーゲン(ヘリスタット)に滴下して付与した。次いで、複合材料をケージ室内へ挿入し、その後、ケージキャップを着けた。次いで、装置を好適な固定部位へ挿入した。
外科処置: 無菌状態において吻部から尾部の左側腹部に至る10cmの切開を行った。外部腹部筋系の側部筋膜の切開に続いて、腹膜の後ろの平面を識別した。この平面を介して進んで、椎骨体L4とL5との間の椎骨間円板の軟質組織を取り払った。露出が更に必要でない場合には、分節血管は縛らなかった。降下する大動脈を引っ込めて前部の長手方向靭帯及び前部輪を露出した。2mmのガイドワイヤを矢状平面で円板を二分する椎骨間円板を横断するように配置した。カニューレの付いた穿孔パンチをワイヤ上で使用して左側部にアニュロトミ(annulotomy)を形成した。
先端の丸まった「弾丸」の形状をした径7mmの拡張器を同一のワイヤ上で使用して円板空間を拡張すると共に、張力かけた輪を配置した。4つのプロングを備えた外側スリーブを伸延器上に配置し、押し込んで隣接する椎骨体を動かした。円板空間内の側部プロングが伸延を維持する一助となった。骨切断用のリーマを外側スリーブを貫通するように配置し且つ使用して、円板空間を貫通する横断方向の穴を明けた。隣接する椎骨の少なくとも3mmの端部プレート及び肋軟骨下の骨は処置中は取り除いた。この時点で、装置を準備して移植した。外部腹部筋筋膜、皮下組織及び皮膚は通常通り閉鎖された。
機械的試験: 外科手術を施した全ての羊を屠殺後に機械的に試験をして固定剛性を調べた。更に、未処置の14頭の羊の死体から取った脊椎も同様に試験して、L4−L5運動部分の基本線パラメータを確立した。L4−L5椎骨間部分(固定部位)を試験して、18頭全ての羊の矢状及び冠状平面の曲げモーメント(屈曲、伸展、右曲げ、左曲げ)に対する剛性を調べた。基本線測定には、未処置の14頭の羊の死体から取った脊椎も同様に試験して、同一平面の運動におけるL4−L5の体節間の剛性を調べた。
屠殺した後でL3からL6までの脊柱を外植した。体節間靭帯組織は保持した。横方向の処理を削除して、L3及びL6の椎骨のポリメチルメタクリレート(PMMA)注封を容易にした。PMMA注封にはL3−L4またはL5−L6の円板は含まなかった。
非破壊機械的試験をMTS812サーボ油圧試験機を使用して行った。標本は起動の軸線に垂直に配向するように装置に載せられた。標本の一方の端を固定すると共に、他方を移動自由にすると共に、アクチュエータの真上に配置した。ケーブル及びプーリから成る装置を使用して純曲げモーメントを加えた。回転可変示差変圧器(RVDT)をほねねじを介して椎骨体へ取り付けて、L4−L5運動部分の回転を測定し、また、前記の自由端に取り付けて、水平に対する各度を測定した。荷重変位データを記録した。
各試験とも、最大付与モーメントが約10N−mで、サイクル毎の第2ランプが5から成るサイクルを3回循環して荷重をかけた。試験は屈曲、伸展、右曲げ、左曲げの順で行った。全てのグループとも剛性は8N−mにおける力対角変位曲線の勾配として計算された。
放射線透過写真評価: 手術直後、2カ月後、4カ月後、及び6カ月後に通常の麻酔がかかった状態で、前後及び側方の放射線透過写真を取った。椎骨体高さ及び頚椎に沿った円板高さの測定がフォトイメージ分析器(超微細ピッチモニタ、イメージ−1/アトソフトウエア(Image−1/Atsoftware)1991)を使用して中間矢状線においてなされた。全ての測定は真の側方放射線透過写真で行われた。固定部位の椎体間円板高さの測定は移植材料により不明瞭となることから、「椎体間高さ指標」(IB指標)を計算して椎体間伸延を反映させた。この指標は下記の如く計算された:L4の頭方向の端部プレートからL5の尾部方向の端部プレートまでの固定部分の中間矢状スパンを「固定高さ」として測定した。椎骨の高さは比較的均一であることから、L3及びL6の椎骨の中間矢状高さの合計を使用し、邪魔になる椎体間円板を除外したL4及びL5の椎骨の高さの合計を推定した。次いでL3及びL6の椎骨の合計を固定高さから差し引いて「算出した椎体間高さ」を確認した。倍率の差を修正するために、この値を平均椎骨高さに対する比として表して、この値をIB指標と定義した。
結果: TIBFD+rhBMP−2で移植した1標本からの機械的試験結果は装置エラーのために除外した。
機械的試験データの結果: グループを関数とした平均標準変位を表IIIに表す。全体及び対の統計的比較からの結果を表IVに表す。平均剛性は各モードの試験(p=0.005、p=0.0001、p=0.0001、p=0.0001)共グループ(2つの処置及び手術なしでの制御)間で著しく差があった。
全ての外科処置を受けた体節は未処置の体節より著しく剛性が高かった。即ち、TIBEF+rhBMP−2またはTIBFD+自家移植片で移植した部位は未処置の部位に比較して、屈曲(p=0.0001、p=0.055)、伸展(p=0.0001、p=0.0001)、右曲げモーメント(p=0.0001、p=0.0001)及び左曲げモーメント(p=0.0001、p=0.0001)について著しく高い剛性を示した。TIBEF+rhBMP−2で処理した体節とTIBFD+自家移植片で処理した部位との剛性差はなかった(全てのモードの試験の比較はp=0.05であった)。
椎体間高さ測定椎体間高さ指標の結果: 平均標準変位及び全体及び対の統計的比較からの結果を表Vに表す。各時間測定(F(4.40)=0.20 P=94))のおけるTIBEF+rhBMP−2及びTIBFD+自家移植片間の椎体間高さ指標の差はない。双方のグループとも主に手術後最初の2カ月後に沈下が生じた(大まかに初期の椎体間円板高さの20%)が、椎体間高さの低下は著しいものではなかった(F(2.20)=0.19 P=0.83))。
結論: TIBEF+rhBMP−2で生じた固定とTIBFD+自家移植片で生じた固定との差は機械的または形態学的にも認められなかった。屈曲の剛性はTIBEF+rhBMP−2の方が高い傾向を示したが著しいものではなかった。沈下は双方のグループとも最初の2カ月後に起きる傾向があった。自原性骨移植片を収穫したが、本モデルのタイプIの原線維コラーゲンと一緒にrhBMP−2を使用したものと比較して利点はない。
例3
開放多孔性ポリ乳酸ポリマー(OPLA)を無菌の12.0mm×6.5mm×30mmのストリップパッケージを作る(各パッケージに2本のストリップ)。純OPLAをガンマ照射で無菌とする。rhBMP−2を凍結乾燥して粉末状にすると共に、無菌水で手術中に再構成をし、緩衝ビークル(vehicle)溶液で補足する。rhBMP−2を担体材料中へ導入すると共に、該担体を金属固定ケージ装置の中空内部へ設置する。次いで、該装置を固定部位へ移植する。
例4
rhBMP−2コラーゲンインプラントをヘリスタットを吸収可能なコラーゲンヘモスタティック剤(Helistat Absorbaly Collagen Hemostatic Agent)(インテグラ・ライフサイエンス社(Integra LifeScience Corporation)及びrhBMP−2から作製する。コラーゲン担体を金属固定ケージ装置の中空内部へ設置する。該装置を固定部位へ移植する。
試験理由
rhBMP−2を湿潤したコラーゲンスポンジによる排除に対するエンドキャップの抵抗を測定して、測定した抵抗を公知のウレタン製のエンドキャップと比較するために試験を行った。
試験A
プレス嵌めエンドキャップの押出試験
本試験は、ポリエチレン製のプレス嵌めされたエンドキャップをBAK(登録商標)(ミネソタ州、ミネアポリス市のスパインテック社(Spine Tech,Minneapolis,Minnesota)装置から外すのに必要な静的力を決定するためになされた。エンドキャップはBAK装置にスナップ嵌めされ、軸線方向の荷重がBAK装置のキャビティを介してエンドキャップに加えられた。5つの試料の押出(push−out)荷重は約5.4432乃至16.7832kgf(12乃至37ポンドf)の範囲であった。
試験B
試験のセットアップ及び方法
チタン製の12mmのエンドキャップ(894−120、米国ソファモデネク)(894−XXX、米国、テネシー州、メンフィス市ソファモデネク)の試料を5つを、図18及び図19に図示した如き12mmのチタン製ノバス(NOVUS)(登録商標)LT(米国、サファモデネク)インプラント内へそれぞれ設置した。12mmのインプラントを閉ループサーボ油圧試験機の台に堅牢に固定した。試験機のアクチュエータをエンドキャップ内に螺入されたアダプタを介してエンドキャップへ取り付けた。軸線方向の荷重をかけて25mm/分の速度でエンドキャップが12mmのインプラントから完全に外れるまでエンドキャップを引き出した。最大荷重及び変位を含んだデータを記録してスーパスコープII(Superscope II)データ収集ソフトを使用して作図した。
2つのアンカープロングの弾性変形により全てのエンドキャップが引き出された。平均引き出し荷重は187N(41.99ポンドf)であった。表Iに引き出し試験の生データを示す。
試験C
試験Bの方法を9つの試料について繰り返し行ったが、使用した荷重は引き出し速度で12.5mm/分であった。平均引き出し荷重は平均で約13.87kgf(30.57lbf)であった。
30.57の値は試験Bの値である41,99に十分に匹敵するものである。本試験の試料サイズは9であったが、試験Bの試料サイズは5であった。
検討及び結論
試験結果は本発明のエンドキャップが2つの理由で生体内排除に抗することを示している。第1は、椎骨間円板は複雑で複合された荷重を受けることは公知のことである。しかしながら、円板空間に作用する荷重のいずれもインプラントのエンドキャップに直接作用してエンドキャップを排除することはない。第2の理由は、rhBMP−2を湿潤したコラーゲンスポンジが177N(41.99ポンドf)の力を作用させてエンドキャップを排除することはあり得ない。
本発明のアンカープロングエンドキャップは手で容易に装置内へ挿入された。1つの例では、エンドキャップはサーボ油圧試験機を介して挿入された。挿入荷重を測定して、約1.45kgf(3.2lbf)であることが分かった。これにより堅牢なエンドキャップ係合が更に支持されるとになる。平均排除力は挿入荷重の13倍である。
本発明のアンカープロングエンドキャップは公知のポリエチレン製のプレス嵌めエンドキャップに十分に匹敵するものであった。プレス嵌めエンドキャップの引き出し荷重は約5.44乃至16.78kgf(12乃至37lbf)の範囲にあり、その平均は25ポンドfであった。本発明のアンカープロングキャップは前記値を凌ぐものであり、9つの試料の平均は約13.86kgf(30.57lbf)であり、範囲は約5.67乃至21.15kgf(12.5乃至46.62lbf)であった。
本発明を上記の如く詳細に説明してきたが、斯かる説明は例示を目的としたものであって、本発明は、その特徴において斯かる説明により制限されるものではなく、好適な実施例のみを図示及び説明したのであって、本発明の趣旨内のものであれば全ての変更及び修正を施すことが可能であるのは自明のことである。